JP6380254B2 - 全固体電池の製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、全固体電池の製造方法に関する。更に詳しくは、本発明は、短絡を抑制し、かつ内部抵抗値が低下した全固体電池の製造方法に関する。
近年、電解液を固体電解質に置換した全固体電池が注目されている。電解液を用いる二次電池と比較して、電解液を用いない全固体電池は、電池の過充電に起因する電解液の分解等を生じることなく、かつ高いサイクル耐久性及びエネルギー密度を有している。
このような全固体電池では、一般的に、正極集電体層、正極活物質層、固体電解質層、負極活物質層、及び負極集電体層がこの順で積層されており、かつ全固体電池の製造では、一般的に、これらの層を全体としてプレスする工程が含まれている。これは、固固界面の接触を改良し、全固体電池の性能を向上させる等の目的のためである。
しかしながら、このような全固体電池では、充放電を繰り返すことによる変形、及び使用中の振動等によって、正極活物質層及び負極活物質層が崩れて互いに接触し、電池が短絡する恐れがある。これに関して、正極活物質層の面積と負極活物質層の面積に差をつけることによって、全固体電池の短絡を抑制する技術が知られている。なお、一般的に、固体電解質層は、大きい面積を有している活物質層と同等か、それより大きい。
上記の構成の全固体電池を製造する場合には、これらの層を全体としてプレスすることによって、小さい面積の活物質層が、上記の固体電解質層に食い込み、かつ大きい面積の活物質層と接触して短絡する可能性が新たに生じた。
図4を参照して、従来の全固体電池の製造方法を説明する。図4は、従来の全固体電池の製造工程において、小さな面積の正極活物質層2と、大きい面積の固体電解質層3と、大きい面積の負極活物質層4とを積層させた積層体1に圧力をかけた際の、積層体1の短絡過程を示す図である。
各層間及び/又は各層内における接触を改良して全固体電池の性能を向上させるために、積層体1に高い圧力をかけると(図4(a))、小さい面積の正極活物質層2が、大きい面積の固体電解質層3に食い込み(図4(b))、かつ大きい面積の負極活物質層4と接触して短絡する。したがって、このような短絡を抑制できる全固体電池の製造方法が検討されている。
特許文献1の全固体電池の製造方法は、負極活物質層及び第一固体電解質層を有している負極積層体をプレス(第一プレス)し、かつこの負極積層体の端部を切断する工程と、正極活物質層及び第二固体電解質層を有している正極積層体をプレス(第二プレス)し、かつこの正極積層体の端部を切断する工程と、第一固体電解質層側と第二固体電解質層側とが接触するように、これらの負極積層体及び正極積層体を積層して電池用積層体を得る工程と、この電池用積層体を加熱プレス(第三プレス)する工程とを含む。特許文献1の全固体電池の製造方法は、各工程のプレスの圧力を変更する技術を開示し、各工程のプレスの圧力は、具体的には、下記のとおりである:
第一プレス工程のプレス圧力は、500MPa以上;
第二プレス工程のプレス圧力は、500MPa以上;
第三プレス工程のプレス圧力は、100MPa以上。
すなわち、特許文献1の全固体電池の製造方法では、第三プレス工程のプレス圧力を、第一プレス工程のプレス圧力及び第二プレス工程のプレス圧力より小さくすることによって、一方の活物質層が他方の活物質層に食い込むことを抑制している。
なお、特許文献2の全固体電池の製造方法は、正極層と、第1の結晶電解質層とをプレスして、正極積層体を得る工程と、負極層と、第2の結晶電解質層とをプレスして、負極積層体を得る工程と、正極積層体と負極積層体との間に、ガラス電解質層を挟持させた状態でプレスする工程とを含む。特許文献2は、ガラス電解質層を挟持させた状態でプレスする工程によって、正極積層体と負極積層体との間の層間密着性を向上させる技術を開示している。
特開2015−008073号公報 特開2014−216131号公報
本発明者らは、特許文献1の方法で製造される全固体電池の電池用積層体を加熱プレス(第三プレス工程)した場合に、負極積層体及び/又は正極積層体の内部での電池の容量を低下させる物質の生成又は固体電解質の変性等の複数の要因によって、この電池用積層体を有している全固体電池の内部抵抗値が増加する可能性を見出した。
したがって、本発明は、短絡を抑制し、かつ内部抵抗値が低下した全固体電池の製造方法を提供することを目的とする。
本発明者らは、以下の手段により、上記課題を解決できることを見出した。
〈1〉正極積層体、中間固体電解質層、及び負極積層体がこの順で積層されている全固体電池の製造方法であって、
上記正極積層体をプレスする第一プレス工程、
上記負極積層体をプレスする第二プレス工程、
上記正極積層体、上記中間固体電解質層、及び上記負極積層体をプレスする第三プレス工程を含み、
上記第一プレス工程のプレス圧力が、上記第三プレス工程のプレス圧力よりも高く、かつ上記第一プレス工程のプレス温度が、150℃以上175℃以下であり、
上記第二プレス工程のプレス圧力が、上記第三プレス工程のプレス圧力よりも高く、かつ上記第二プレス工程のプレス温度が、125℃以下であり、
上記第三プレス工程のプレス温度が、125℃以下であり、
上記正極積層体が、正極集電体層及び正極活物質層をこの順で有し、又は正極集電体層、正極活物質層、及び第一固体電解質層をこの順で有し、
上記負極積層体が、負極活物質層及び銅を含有している負極集電体層をこの順で有し、又は第二固体電解質層、負極活物質層、及び銅を含有している負極集電体層をこの順で有し、
上記第一固体電解質層及び上記第二固体電解質層の少なくとも一方が存在し、
上記中間固体電解質層が、上記第三プレス工程でプレスする前に、上記第三プレス工程のプレス圧力を超える圧力でプレスされていない、
全固体電池の製造方法。
〈2〉上記第一プレス工程のプレス圧力が710MPa以上である、〈1〉項に記載の方法。
〈3〉上記第二プレス工程のプレス圧力が630MPa以上である、〈1〉又は〈2〉項に記載の方法。
〈4〉上記第三プレス工程のプレス圧力が200MPa以下である、〈1〉〜〈3〉項のいずれか一項に記載の方法。
〈5〉上記正極積層体の面積が、上記負極積層体の面積よりも小さい又は大きい、〈1〉〜〈4〉項のいずれか一項に記載の方法。
〈6〉上記第一固体電解質層及び/又は上記第二固体電解質層が、硫化物系の結晶質固体電解質を含有し、かつ上記中間固体電解質層が、硫化物系の非晶質固体電解質を含有している、〈1〉〜〈5〉項のいずれか一項に記載の方法。
〈7〉上記正極集電体層がアルミニウムを含有している、〈1〉〜〈6〉項のいずれか一項に記載の方法。
〈8〉上記〈1〉〜〈7〉項のいずれか一項に記載の方法で製造された全固体電池を具備している自動車。
本発明によれば、短絡を抑制し、かつ内部抵抗値が低下した全固体電池の製造方法を提供することができる。
図1は、本発明の全固体電池の製造方法の一実施形態を示すフローチャートである。 図2は、正極積層体、中間固体電解質層、及び負極積層体が積層されている全固体電池に関して、正極積層体のプレス温度(℃)と、全固体電池の内部抵抗値(相対値)(%)との関係を示す図である。 図3は、正極積層体、中間固体電解質層、及び負極積層体が積層されている全固体電池に関して、負極積層体のプレス温度(℃)と、全固体電池の充放電効率(相対値)(%)との関係を示す図である。 図4は、従来の全固体電池の製造工程において、小さな面積の正極積層体と、大きな面積の負極積層体とを積層させた積層体に圧力をかけた際の、負極積層体の破損過程を示す図である。
以下、本発明の実施形態について詳細に説明する。なお、本発明は、以下の実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨の範囲内で種々変形して実施できる。また、図面の寸法比率は、説明の都合上変更されており、実際の比率と異なる場合がある。さらに、図面の説明において同一の要素には同一の符号を付し、重複する説明を省略する。
《全固体電池》
〈プレス工程〉
本発明の方法では、正極積層体、中間固体電解質層、及び負極積層体がこの順で積層されている全固体電池を製造する。また、本発明の方法は、正極積層体をプレスする第一プレス工程、負極積層体をプレスする第二プレス工程、並びに正極積層体、中間固体電解質層、及び負極積層体をプレスする第三プレス工程を含む。さらに、本発明の方法では、第一プレス工程のプレス圧力が、第三プレス工程のプレス圧力よりも高く、かつ第一プレス工程のプレス温度が、150℃以上175℃以下であり、第二プレス工程のプレス圧力が、第三プレス工程のプレス圧力よりも高く、かつ第二プレス工程のプレス温度が、125℃以下である。
全固体電池を製造する本発明の方法では、第三プレス工程のプレス圧力を、第一プレス工程のプレス圧力及び第二プレス工程のプレス圧力より小さくすることによって、一方の積層体が他方の積層体に食い込むことを抑制し、電池の製造工程において、短絡の発生を抑制しつつ、比較的大きい第一及び第二のプレス圧力によって、正極積層体と負極積層体における内部抵抗を減少させている。
また、本発明者らは、このようなプレス圧力を用いる場合の課題として下記の(1)〜(4)の課題を見出した:
(1)銅の反応生成物の生成
高温の条件下では、銅を含有している集電体層と、活物質層、特に硫化物系の固体電解質を含有している活物質層との間で、全固体電池の容量の低下の一因となる硫化銅のような反応生成物が生成し易くなる課題;
(2)正極活物質層の抵抗値の低減の困難性
従来の正極積層体、特に正極活物質層のプレス工程では、正極活物質層の抵抗値の低減が困難である課題;
(3)正極積層体及び負極積層体の接合性及び/接着性の悪化
高圧及び高温の条件下で、正極積層体及び/又は負極積層体をプレスした場合には、正極積層体と負極積層体との間の接合性及び/又は接着性が低下し、これらの間で剥離が生じ易くなる課題;
(4)固体電解質層の充填率の低下に伴う固体電解質層の抵抗値の上昇
全固体電池、特にその内部の固体電解質層の充填率が低下することによって、固体電解質層の抵抗値が上昇する課題。
上記(1)の課題に関して
上記(1)の硫化銅のような反応生成物の生成の原因は何らの原理によって限定されるものではないが、下記の理由によるものと考えられる。すなわち、高出力の全固体電池では、化学的安定性の高さ等の観点から、集電体、例えば、負極集電体の原料として銅を採用することができる。しかしながら、高温、特に125℃超の条件下では、負極活物質層に含有されている固体電解質、特に硫化物系の固体電解質がこの銅と反応し、硫化銅等の反応生成物を生じる可能性がある。この硫化銅等の反応生成物が、充電時にイオン種、特にリチウムイオンを取り込む一方で、放電時にこれを放出せず、結果として、全固体電池の容量が低下すると考えられる。
これに関して、全固体電池を製造する本発明の方法では、第二プレス工程のプレス温度が、125℃以下である。
このため、銅を含有している負極集電体層と、固体電解質を含有している負極活物質層との間で、硫化銅等の反応生成物の生成を抑制することができる。硫化銅等の反応生成物の生成が抑制された全固体電池では、その容量の低下を抑制することができる。
第二プレス工程のプレス圧力としては、600MPa以上、又は630MPa以上の圧力を挙げることができる。このプレス圧力が十分に大きい場合には、負極積層体の充填率を高くすることができる。
第二プレス工程のプレス温度としては、125℃以下、120℃以下、110℃以下、又は100℃以下の温度を挙げることができる。このプレス温度が十分に低い場合には、電池の容量を低下させる物質の生成等を抑制することができる。
上記(2)の課題に関して
上記(2)の正極活物質層の抵抗値の低減が困難である原因は、何らの原理によって限定されるものではないが、下記の(2−A)及び(2−B)によるものと考えられる:
(2−A)固体電解質の状態
正極活物質層は、固体電解質、特に非晶質及び/又は結晶質固体電解質を好ましくは含有している。この非晶質及び/又は結晶質固体電解質の粒子は、低温、特に150℃未満の条件下では、比較的硬質である。この比較的硬質の固体電解質の粒子を(低い圧力又は高い圧力にかかわらず)プレスした場合には、これらの固体電解質の粒子の間で及び/又はこれらの固体電解質の粒子と正極活物質の粒子との間で、接触性及び/又は接触面積等が向上しにくくなる;
(2−B)低リチウムイオン伝導層の生成
正極活物質層は、固体電解質、特に硫化物系の固体電解質を好ましくは含有している。この固体電解質、特に硫化物系の固体電解質は、高温、特に175℃超の条件下では、結晶構造の変化を生じ易くなる。この結晶構造の変化によって、低リチウムイオン伝導層が生成し、この伝導層がリチウムイオン伝導度の低下をもたらす。
なお、本発明において、「結晶質固体電解質」とは、加熱等の処理によって非晶質固体電解質を結晶化した材料を意味する。結晶質及び非晶質の判定は、例えば、X線回折法を用いることによって行うことができる。結晶質固体電解質のイオン伝導度は、例えば、非晶質固体電解質のイオン伝導度よりも高いため、結晶質固体電解質を採用した全固体電池では、その内部抵抗値を低減することができる。
これに関して、全固体電池を製造する本発明の方法では、正極積層体をプレスする第一プレス工程のプレス温度が、150℃以上175℃以下であり、かつ第一プレス工程のプレス圧力が、第三プレス工程のプレス圧力よりも高い。
すなわち、第一プレス工程のプレス温度が、150℃以上であるため、非晶質及び/又は結晶質固体電解質の粒子を、比較的軟質にすることができる。さらに、第一プレス工程のプレス圧力が比較的高い。したがって、これらの固体電解質の粒子の間で及び/又はこれらの固体電解質の粒子と正極活物質の粒子との間で、接触性及び/又は接触面積が向上し、正極積層体、特に正極活物質層の充填率が高まる。このため、正極積層体、特に正極活物質層の抵抗値の低減を実現することができる。
また、第一プレス工程のプレス温度が175℃以下であるため、固体電解質、特に硫化物系の固体電解質は、低リチウムイオン伝導層の生成を伴う結晶構造の変化をほとんど生じない。したがって、正極活物質層の抵抗値の低減を実現することができる。
第一プレス工程のプレス圧力としては、600MPa以上、又は710MPa以上の圧力を挙げることができる。このプレス圧力が十分に大きい場合には、正極積層体、特に正極活物質層の充填率を高くすることができる。
第一プレス工程のプレス温度としては、150℃以上、155℃以上、又は160℃以上の温度を挙げることができる。また、このプレス温度としては、175℃以下、170℃以下、又は165℃以下の温度を挙げることができる。
上記(3)の課題に関して
上記(3)の正極積層体及び負極積層体の接合性及び/接着性の悪化の原因は、何らの原理によって限定されるものではないが、下記の理由によるものと考えられる。すなわち、高温、例えば100℃以上、特に150℃以上の条件下では、固体電解質、特に非晶質及び/又は結晶質固体電解質は、比較的に軟らかくなる。このため、このような温度の条件下で、この固体電解質を含有している層をプレスした場合には、この層の表面、すなわち、この層とプレス面との間の接触表面が、平滑になる。常温であることを除いて上記と同一の圧力でプレスした層の表面と比較して、高温でプレスした層の平滑な表面はより滑らかである。このため、高温で正極積層体及び/又は負極積層体を予めプレスした場合には、正極積層体と負極積層体との間の接合性及び/接着性が悪化すると考えられる。
なお、何らの原理によって限定されるものではないが、平滑な表面を有している層が、上記の接合性及び/又は接着性を低下させる理由の一つとして、アンカー効果を挙げることができる。本発明において、アンカー効果とは、相異なる2つの物体の界面が幾何学的に入り組み、これによって、これらが固定される効果を意味し、一般的に、界面の粗さとアンカー効果との間には、相関関係が存在してよい。上記の平滑な表面では、界面の粗さが低く、アンカー効果が生じにくくなり、これによって、上記の接合性及び/又は接着性が低下したと考えられる。
これに関して、全固体電池を製造する本発明の方法では、中間固体電解質層が、第三プレス工程でプレスする前に、第三プレス工程のプレス圧力以上でプレスされていない。
このため、正極積層体と負極積層体との間に存在している中間固体電解質層は、圧縮状態、例えば、高い圧力で粉体を押し固めたような状態でなく、非圧縮状態である。中間固体電解質層がこの非圧縮状態である場合には、常温及び比較的低圧力(第三プレス工程)の条件下で、比較的平滑な表面を有している正極積層体と中間固体電解質層との間の接合性及び/又は接着性が向上する。また、この効果を、負極積層体と中間固体電解質層との間でも発揮させることができる。これは、中間固体電解質層が非圧縮状態であることによって、上記のアンカー効果が生じ易くなったためと考えられる。したがって、非圧縮状態の中間固体電解質層の存在によって、正極積層体と負極積層体との間の接合性及び/又は接着性を、向上することができる。
第三プレス工程のプレス圧力としては、200MPa以下、又は100MPa以下の圧力を挙げることができる。このプレス圧力が十分に低い場合には、全固体電池を製造するときに、その短絡を抑制することができる。
第三プレス工程のプレス圧力としては、0MPa超、40MPa以上、又は100MPa以上の圧力を挙げることができる。このプレス圧力が十分に高い場合には、中間固体電解質層の充填率を所定の値以上に維持することができる。
第三プレス工程のプレス温度は、125℃以下であれば、特に限定されない。
上記(4)の課題に関して
上記(4)の固体電解質層の充填率の低下に伴う固体電解質層の抵抗値の上昇は、層中の粒子間の固固界面の接触が低下したことに起因する。すなわち、ある層の充填率と、その層の抵抗値との間には、良好な相関関係が存在してよい。したがって、ある層の充填率が比較的高い場合には、固固界面の接触が増加し、これによって、その層の抵抗値は比較的低くなり、その逆もまた然りである。
このため、中間固体電解質層を比較的低圧力でプレスする第三プレス工程を採用する本発明の方法では、中間固体電解質層の充填率が比較的低くなり、これによって、中間固体電解質層の抵抗値の上昇が生じる可能性がある。
なお、本発明において、「充填率」とは、ある物体の見かけ体積に対して、その物体を占める全物質の体積の割合を意味する。例えば、正極活物質層の充填率とは、正極活物質層の見かけ体積に対する、正極活物質層を構成している全物質の体積の割合を意味する。
ところで、全固体電池の内部抵抗値は、正極活物質層の抵抗値、負極活物質層の抵抗値、及び固体電解質層の抵抗値で主に構成されていることに留意されたい。ここで、本発明者らは、全固体電池の内部抵抗値の内訳に関して、正極活物質層の抵抗値が最も大きく、かつ固体電解質層の抵抗値が最も小さいことを見出した。
したがって、上記の各層の抵抗値と全固体電池の内部抵抗値との間の関係、並びに上記の層の充填率と抵抗値との間の関係を考慮すれば、仮に中間固体電解質層の抵抗値が上昇したとしても、中間固体電解質層の抵抗値が全固体電池の内部抵抗値に与える影響を、最小限に抑制することができる。
さらに、全固体電池を製造する本発明の方法では、上記したように、第一プレス工程によって、正極積層体、特に正極活物質層の抵抗値が低減されている。したがって、正極活物質層の抵抗値の低減が全固体電池の内部抵抗値に与える影響が非常に大きいことを考慮すれば、中間固体電解質層の抵抗値が全固体電池の内部抵抗値に与える影響は、ほとんど問題とならないことを理解されたい。
〈正極積層体及び負極積層体〉
また、全固体電池を製造する本発明の方法では、正極積層体が、正極集電体層及び正極活物質層をこの順で有し、又は正極集電体層、正極活物質層、及び第一固体電解質層をこの順で有し、かつ負極積層体が、負極活物質層及び銅を含有している負極集電体層をこの順で有し、又は第二固体電解質層、負極活物質層、及び銅を含有している負極集電体層をこの順で有している。また、本発明の方法では、第一固体電解質層及び第二固体電解質層の少なくとも一方が存在している。
すなわち、全固体電池を製造する本発明の方法では、正極積層体及び負極積層体のうち少なくとも一方に、固体電解質層が含まれ、かつ活物質層及び固体電解質層が、第一プレス工程及び/又は第二プレス工程によって、一体的に圧縮成形されている。このため、活物質層及び固体電解質層の固固界面の接触が向上し、全固体電池の内部抵抗値を低減することができる。
また、全固体電池を製造する本発明の方法では、正極積層体の面積が負極積層体の面積よりも小さい又は大きいことが好ましい。
正極積層体の面積と、負極積層体の面積との間に差をつけることによって、正極活物質層及び負極活物質層が崩れて互いに接触し、電池が短絡することを抑制することができる。
ところで、全固体電池を充電する場合には、一般的に、正極活物質層から負極活物質層にイオン種、例えば、リチウムイオンが移動し、かつこれが、金属に還元されて負極活物質層に取り込まれる(インターカレーション)。ここで、負極積層体の面積が、正極積層体の面積より小さい場合、又はそれらの面積が同一である場合には、負極活物質層に取り込まれなかった上記の金属が、短絡の原因となるデンドライト等の形態で析出する可能性がある。
これに関して、全固体電池を製造する本発明の方法では、正極積層体の面積が負極積層体の面積よりも小さいことが更に好ましい。
これによって、上記のデンドライト等の発生を抑制することができる。
また、本発明の方法では、好ましくは、第一固体電解質層及び/又は第二固体電解質層が、硫化物系の結晶質固体電解質を含有し、かつ中間固体電解質層が、硫化物系の非晶質固体電解質を含有している。
結晶質固体電解質は、イオン伝導性が高い。したがって、結晶質固体電解質を含有している層に関して、その抵抗値を抑制することができる。
さらに、非晶質固体電解質の粒子は、比較的軟質である。したがって、非晶質固体電解質を含有している固体電解質層では、上記のアンカー効果等によって、この層に接触している他の層との接合性及び/又は接着性が向上し、それらの層の間の剥離を抑制することができる。
〈本発明の全固体電池の製造方法の一実施形態〉
図1を参照して、本発明の全固体電池の製造方法の一実施形態を説明する。図1は、本発明の全固体電池の製造方法の一実施形態を示すフローチャートである。
この実施形態における本発明の全固体電池の製造方法は、下記の工程を含む:
正極活物質層準備工程(S1)、第一固体電解質層準備工程(S2)、及び正極積層体作製工程(S3);
第二固体電解質層準備工程(S4)、負極活物質層準備工程(S5)、及び負極積層体作製工程(S6);並びに
中間固体電解質層準備工程(S7)及び全固体電池作製工程(S8)。
正極活物質層準備工程(S1)及び第一固体電解質層準備工程(S2)の順序は、正極積層体作製工程(S3)の前であれば、任意である。第二固体電解質層準備工程(S4)及び負極活物質層準備工程(S5)の順序は、負極積層体作製工程(S6)の前であれば、任意である。正極積層体作製工程(S3)、負極積層体作製工程(S6)、及び中間固体電解質層準備工程(S7)の順序は、全固体電池作製工程(S8)の前であれば、任意である。
正極活物質層準備工程(S1)は、正極活物質層を調製する工程である。この工程は、全固体電池に用いられる正極活物質層を調製する工程であれば、特に限定されない。例えば、正極活物質層は、正極活物質スラリー層を乾燥及び/又は焼成することによって、調製することができる。例えば、正極活物質スラリー層は、正極活物質スラリーを塗工して形成することができる。
第一固体電解質層準備工程(S2)は、第一固体電解質層を調製する工程である。この工程は、全固体電池に用いられる第一固体電解質層を調製する工程であれば、特に限定されない。例えば、第一固体電解質層は、第一固体電解質スラリー層を乾燥及び/又は焼成することによって、調製することができる。例えば、第一固体電解質スラリー層は、第一固体電解質スラリーを塗工して形成することができる。
なお、正極活物質層準備工程(S1)及び/又は第一固体電解質層準備工程(S2)は、各層の整形等の目的で、仮プレス段階を含んでよい。
正極積層体作製工程(S3)は、正極積層体を作製する工程である。正極積層体をプレス圧力Paでプレスし、かつプレス温度Taが150℃以上175℃以下であれば、この工程の形態は特に限定されない。例えば、プレス圧力Pa及びプレス温度Taの条件下で、上記の工程S1及びS2で準備した正極活物質層及び第一固体電解質層をこの順で、プレスすることができる。
第二固体電解質層準備工程(S4)は、第二固体電解質層を調製する工程である。この工程は、全固体電池に用いられる第二固体電解質層を調製する工程であれば、特に限定されない。例えば、第二固体電解質層は、第二固体電解質スラリー層を乾燥及び/又は焼成することによって、調製することができる。例えば、第二固体電解質スラリー層は、第二固体電解質スラリーを塗工して形成することができる。
負極活物質層準備工程(S5)は、負極活物質層を調製する工程である。この工程は、全固体電池に用いられる負極活物質層を調製する工程であれば、特に限定されない。例えば、負極活物質層は、負極活物質スラリー層を乾燥及び/又は焼成することによって、調製することができる。例えば、負極活物質スラリー層は、負極活物質スラリーを塗工して形成することができる。
なお、第二固体電解質層準備工程(S4)及び/又は負極活物質層準備工程(S5)は、各層の整形等の目的で、仮プレス段階を含んでよい。
負極積層体作製工程(S6)は、負極積層体を作製する工程である。負極積層体をプレス圧力Pbでプレスし、かつプレス温度Tbが125℃以下であれば、この工程の形態は特に限定されない。例えば、プレス圧力Pb及びプレス温度Tbの条件下で、上記の工程S4及びS5で準備した第二固体電解質層及び負極活物質層をこの順で、プレスすることができる。
中間固体電解質層準備工程(S7)は、中間固体電解質層を調製する工程である。この工程は、全固体電池に用いられる中間固体電解質層を調製する工程であれば、特に限定されない。例えば、中間固体電解質層は、中間固体電解質スラリー層を乾燥及び/又は焼成することによって、調製することができる。例えば、中間固体電解質スラリー層は、中間固体電解質スラリーを塗工することによって形成することができる。
なお、中間固体電解質層を正極(負極)積層体の第一(第二)固体電解質層側に積層し、正極(負極)積層体及び中間固体電解質層を仮プレスする工程を、正極積層体作製工程(S3)及び/又は負極積層体作製工程(S6)の後、かつ全固体電池作製工程(S8)の前に、任意選択的にさらに行ってよい。
全固体電池作製工程(S8)は、全固体電池を作製する工程である。正極積層体、中間固体電解質層、及び負極積層体をプレス圧力Pcでプレスできれば、この工程の形態は特に限定されない。
上記のプレス圧力Pa、プレス圧力Pb、及びプレス圧力Pcの大小関係は、Pa>PcかつPb>Pcである。また、正極(負極)積層体及び中間固体電解質層を仮プレスする場合には、この仮プレスのプレス圧力は、プレス圧力Pc以下である。
プレスの方法としては、特に制限されることはなく、公知のプレス方法を採用してよい。プレスの方法としては、例えば、平面一軸プレス若しくはロールプレス又はこれらの組み合わせを挙げることができる。
〈正極積層体〉
正極積層体は、正極集電体層及び正極活物質層をこの順で有し、又は正極集電体層、正極活物質層、及び第一固体電解質層をこの順で有している。
(正極集電体層)
正極集電体層としては、特に限定されることなく、各種金属、例えば、銀、銅、金、アルミニウム、ニッケル、鉄、ステンレス鋼、若しくはチタン等、又はこれらの合金を挙げることができる。化学的安定性等の観点から、正極集電体層としては、アルミニウムを含有している集電体層が好ましい。
(正極活物質層)
正極活物質層は、正極活物質、並びに任意選択的に導電助剤、バインダー、及び固体電解質を含有している。
正極活物質としては、マンガン、コバルト、ニッケル、及びチタンから選ばれる少なくとも1種の遷移金属及びリチウムを含む金属酸化物、例えば、コバルト酸リチウム(LiCoO)若しくはニッケルコバルトマンガン酸リチウム(Li1+xNi1/3Co1/3Mn1/3)等、又はこれらの組み合わせを挙げることができる。
正極活物質の形態は、好ましくは粉体である。正極活物質の平均粒径としては、特に限定されないが、固固界面の接触面積を増加させる観点から、例えば、1μm以上、3μm以上、5μm以上、又は10μm以上の平均粒径を挙げることができ、かつ100μm以下、50μm以下、30μm以下、又は20μm以下の平均粒径を挙げることができる。正極活物質の平均粒径としては、1〜50μmの範囲の平均粒径が好ましく、1μm〜20μmの範囲の平均粒径がより好ましく、1μm〜10μmの範囲の平均粒径が更に好ましく、1μm〜6μmの範囲の平均粒径が特に好ましい。
なお、本発明において「平均粒径」とは、特に断りのない限り、走査透過電子顕微鏡(STEM)及び走査型電子顕微鏡(SEM)等の手段を用い、かつ無作為に選択した10個以上の粒子の円相当径(Heywood径)を測定した際に、それらの測定値の算術平均値をいうものである。
更に、正極活物質は、任意選択的に緩衝膜を有してよい。正極活物質と硫化物系の非晶質固体電解質及び/又は硫化物系の結晶質固体電解質との間で化学反応が生じることによって、高い電気抵抗を有している金属硫化物が生成する可能性がある。上記の緩衝膜は、この金属硫化物の生成の抑制等の効果を有している。これによって、全固体電池の出力を向上することができる。
緩衝膜としては、電子絶縁性及びイオン伝導性を示し、かつカチオンを拘束する力が強いアニオン種を有していることが好ましい。緩衝膜としては、例えば、LiNbO、LiTi12、若しくはLiPO等、又はこれらの組み合わせを挙げることができる。
正極活物質をコートする緩衝膜の厚さとしては、特に限定されないが、例えば、1nm〜100nmの範囲の厚さ、1nm〜50nmの範囲の厚さ、1nm〜20nmの範囲の厚さ、又は1nm〜10nmの範囲の厚さを挙げることができる。
なお、緩衝膜の厚さは、例えば、透過型電子顕微鏡(TEM)等を用いて測定することができる。
導電助剤としては、炭素材、例えば、VGCF(気相成長法炭素繊維、Vapor Grown Carbon Fiber)、カーボンブラック、アセチレンブラック(AB)、ケッチェンブラック(KB)、カーボンナノチューブ(CNT)、若しくはカーボンナノファイバー(CNF)等、若しくは金属材等、又はこれらの組み合わせを挙げることができる。
バインダーとしては、特に限定されないが、ポリマー樹脂、例えば、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)、ブタジエンゴム(BR)、若しくはスチレンブタジエンゴム(SBR)等、又はこれらの組み合わせを挙げることができる。
固体電解質としては、特に限定されないが、固体電解質として利用可能な原材料を用いることができる。固体電解質としては、硫化物系の非晶質固体電解質、例えば、75LiS−25P等;硫化物系の結晶質固体電解質、例えば、Li3.240.24Ge0.76等;酸化物系の非晶質固体電解質、例えば、LiO−B−P、若しくはLiO−SiO等;若しくは、結晶質酸化物若しくは酸窒化物、例えば、LiI、LiN、LiLaTa12、LiLaZr12、LiBaLaTa12、LiPO(4−(3/2)w)(wは1未満)、Li3.6Si0.60.4、Li1.3Al0.3Ti0.7(PO、若しくはLi1+x+yTi2−xSi3−y12(Aは、Al又はGa:0≦x≦0.4、0<y≦0.6)等;又はこれらの組み合わせを挙げることができる。固体電解質としては、優れたリチウムイオン伝導性を有する観点から、硫化物系の非晶質固体電解質及び/又は硫化物系の結晶質固体電解質が好ましい。
固体電解質の形態は、好ましくは粉体である。固体電解質の平均粒径としては、特に限定されないが、固固界面の接触面積を増加させる観点から、例えば、0.1μm〜20.0μmの範囲の平均粒径が好ましく、0.2μm〜10.0μmの範囲の平均粒径がより好ましく、0.3μm〜6.0μmの範囲の平均粒径が更に好ましく、0.5μm〜3.0μmの範囲の平均粒径が特に好ましい。
(第一固体電解質層)
第一固体電解質層は、固体電解質、及び任意選択的にバインダーを含有している。第一固体電解質層の固体電解質及びバインダーとしては、正極活物質層に関する記載を参照することができる。
〈中間固体電解質層〉
中間固体電解質層は、正極積層体と負極積層体との間に存在している。
中間固体電解質層は、固体電解質、及び任意選択的にバインダーを含有している。中間固体電解質層の固体電解質及びバインダーとしては、正極活物質層に関する記載を参照することができる。
〈負極積層体〉
負極積層体は、負極活物質層及び負極集電体層をこの順で有し、又は第二固体電解質層、負極活物質層、及び負極集電体層をこの順で有している。
(第二固体電解質層)
第二固体電解質層は、固体電解質、及び任意選択的にバインダーを含有している。第二固体電解質層の固体電解質及びバインダーとしては、正極活物質層に関する記載を参照することができる。
(負極活物質層)
負極活物質層は、負極活物質、並びに任意選択的に導電助剤、バインダー、及び固体電解質を含有している。
負極活物質としては、イオン種、例えば、リチウムイオン等を吸蔵・放出することができる場合には、特に限定されないが、金属、例えば、Li、Sn、Si、若しくはIn等;リチウムと、チタン、マグネシウム、若しくはアルミニウム等との合金;若しくは炭素原材料、例えば、ハードカーボン、ソフトカーボン、若しくはグラファイト等;又はこれらの組み合わせを挙げることができる。
負極活物質層の導電助剤、バインダー、及び固体電解質としては、正極活物質層に関する記載を参照することができる。
(負極集電体層)
また、負極集電体層としては、化学的安定性等の観点から、銅を含有している集電体層が好ましい。
〈その他〉
(活物質スラリー)
活物質スラリーとしては、正極活物質スラリー又は負極活物質スラリーを挙げることができる。
正極活物質スラリーは、正極活物質、並びに任意選択的に分散媒、導電助剤、バインダー、及び固体電解質を含有している。
分散媒としては、無極性溶媒若しくは極性溶媒又はこれらの組み合わせを挙げることができる。分散媒としては、無極性溶媒、例えば、ヘプタン、キシレン、若しくはトルエン等、又はこれらの組み合わせを挙げることができる。分散媒としては、極性溶媒、例えば、第三級アミン系溶媒、エーテル系溶媒、チオール系溶媒、若しくはエステル系溶媒、又はこれらの組み合わせを挙げることができる。分散媒としては、第三級アミン系溶媒、例えば、トリエチルアミン等;エーテル系溶媒、例えば、シクロペンチルメチルエーテル等;チオール系溶媒、例えば、エタンメルカプタン等;若しくはエステル系溶媒、例えば、酪酸ブチル等;又はこれらの組み合わせを挙げることができる。
正極活物質スラリーの正極活物質、導電助剤、バインダー、及び固体電解質としては、正極活物質層に関する記載を参照することができる。
負極活物質スラリーは、負極活物質、並びに任意選択的に分散媒、導電助剤、バインダー、及び固体電解質を含有している。
負極活物質スラリーの負極活物質、導電助剤、バインダー、及び固体電解質としては、負極活物質層に関する記載を参照することができる。また、負極活物質スラリーの分散媒としては、正極活物質スラリーに関する記載を参照することができる。
(固体電解質スラリー)
固体電解質スラリーは、固体電解質並びに任意選択的に分散媒及びバインダーを含有している。固体電解質スラリーの固体電解質及びバインダーとしては、固体電解質層に関する記載を参照することができる。また、固体電解質スラリーの分散媒としては、正極活物質スラリーに関する記載を参照することができる。
《自動車》
自動車は、本発明の方法で製造された全固体電池を具備している。
以下に示す実施例を参照して本発明を更に詳しく説明するが、本発明の範囲はこれらの実施例によって限定されるものでないことは、言うまでもない。
《実施例1〜2及び比較例1》
〈実施例1〉
(正極活物質層準備工程)
正極活物質層の原材料としての正極合剤を、ポリプロピレン(PP)製の容器に入れた。これを、超音波分散装置(エスエムテー社製、型式:UH−50)で合計150秒間にわたって撹拌し、かつ振盪器(柴田科学株式会社製、型式:TTM−1)で合計20分間にわたって振盪することによって、正極活物質スラリーを調製した。
アプリケーターを使用して、ブレード法によって、この正極活物質スラリーを、正極集電体層としてのAl箔上に塗工した。これを、ホットプレート上で30分間にわたって100℃で乾燥させ、正極集電体層としてのAl箔上に形成されている正極活物質層を得た。
なお、正極合剤の構成を下記に示している:
・正極活物質としてのLiNi1/3Co1/3Mn1/3(平均粒径6μm);
・分散媒としての酪酸ブチル;
・導電助剤としてのVGCF;
・バインダーとしてのPVdF系バインダーの酪酸ブチル溶液(5質量%);
・固体電解質としてのLiIを含有しているLiS−P系のガラスセラミック(平均粒径0.5μm)。
(負極活物質層準備工程)
負極活物質層の原材料としての負極合剤を、ポリプロピレン(PP)製の容器に入れた。これを、超音波分散装置(エスエムテー社製、型式:UH−50)で合計120秒間にわたって撹拌し、かつ振盪器(柴田科学株式会社製、型式:TTM−1)で合計20分間にわたって振盪することによって、負極活物質スラリーを調製した。
アプリケーターを使用して、ブレード法によって、この負極活物質スラリーを、集電体層としてのCu箔上に塗工した。これを、ホットプレート上で30分間にわたって100℃で乾燥させ、負極集電体層としてのCu箔上に形成されている負極活物質層を得た。
なお、負極合剤の構成を下記に示している:
・負極活物質としての天然黒鉛系カーボン(三菱化学株式会社製、平均粒径10μm);
・分散媒としての酪酸ブチル;
・バインダーとしてのPVdF系バインダーの酪酸ブチル(5質量%);
・固体電解質としての、LiIを含有しているLiS−P系ガラスセラミックス(平均粒径0.5μm)。
(各固体電解質層の準備工程)
第一及び第二固体電解質層準備工程
第一固体電解質層の原材料としての電解質合剤を、ポリプロピレン(PP)製の容器に入れた。これを、超音波分散装置(エスエムテー社製、型式:UH−50)で30秒間にわたって撹拌し、かつ振盪器(柴田科学株式会社製、型式:TTM−1)で30分間にわたって振盪することによって、第一固体電解質スラリーを調製した。
アプリケーターを使用して、ブレード法によって、この固体電解質スラリーを、剥離シートとしてのAl箔上に塗工した。これを、ホットプレート上で30分間にわたって100℃で乾燥させ、Al箔上に形成されている第一固体電解質層を得た。更に、上記の操作を繰り返し、Al箔上に形成されている第二固体電解質層を得た。
なお、電解質合剤の構成を下記に示している:
・固体電解質としての、LiIを含有しているLiS−P系ガラスセラミックス(平均粒径2.0μm);
・分散媒としてのヘプタン;
・バインダーとしてのBR系バインダーのヘプタン(5質量%)。
中間固体電解質層準備工程
中間固体電解質層の原材料としての電解質合剤を、ポリプロピレン(PP)製の容器に入れた。これを、超音波分散装置(エスエムテー社製、型式:UH−50)で30秒間にわたって撹拌し、かつ振盪器(柴田科学株式会社製、型式:TTM−1)で30分間にわたって振盪することによって、中間固体電解質スラリーを調製した。
アプリケーターを使用して、ブレード法によって、この固体電解質スラリーを、剥離シートとしてのAl箔上に塗工した。これを、ホットプレート上で30分間にわたって100℃で乾燥させ、Al箔上に形成されている中間固体電解質層を得た。
なお、電解質合剤の構成を下記に示している:
・固体電解質としての、LiIを含有しているLiS−P系ガラス質(平均粒径1.0μm);
・分散媒としてのヘプタン;
・バインダーとしてのBR系バインダーのヘプタン(5質量%)。
(正極積層体作製工程)
上記の正極集電体層、正極活物質層、及び第一固体電解質層をこの順で積層した。この積層体をロールプレス機にセットし、第一プレス工程のプレス圧力として20kN/cm(約710MPa)及びプレス温度として165℃でプレスすることによって、正極積層体を得た。
(負極積層体作製工程)
上記の第二固体電解質層、負極活物質層、及び負極集電体層としてのCu箔をこの順で積層した。この積層体をロールプレス機にセットし、第二プレス工程のプレス圧力としての20kN/cm(約630MPa)及びプレス温度として25℃でプレスすることによって、負極積層体を得た。
更に、剥離シートとしてのAl箔及びこのAl箔上に形成されている中間固体電解質層と、第二固体電解質層、負極活物質層、及び負極集電体層としてのCu箔を有している上記の負極積層体とをこの順で積層した。この積層体を平面一軸プレス機にセットし、100MPa及び25℃で、10秒間にわたって仮プレスした。この積層体の中間固体電解質層からAl箔を剥がし、中間固体電解質層がさらに積層されている負極積層体を得た。
なお、負極積層体の面積が正極積層体の面積より大きくなるように、負極積層体及び正極積層体を作製した。正極積層体及び負極積層体の面積比は、1.00:1.08であるが、正極積層体の面積が大きくなるにつれて、「正極積層体が負極積層体からはみ出している部分」の面積は相対的に小さくなっていく。そのため、この面積比の値に限定されるものではない。
また、第一プレス工程のプレス圧力20kN/cm(約710MPa)と、第二プレス工程のプレス圧力20kN/cm(約630MPa)との間の差異は、正極積層体と負極積層体との間の面積の差異から生じる。すなわち、実効圧力(MPa)は、ロールプレス機のロール及び積層体の接触面積と反比例的に相関してよい。したがって、このロールと正極積層体との間の接触面積が比較的小さい場合には、正極積層体のプレスの実効圧力は、比較的大きくなる。
(全固体電池作製工程)
上記の正極積層体及び中間固体電解質層がさらに積層されている負極積層体をこの順で積層した。この積層体を平面一軸プレス機にセットし、第三プレス工程のプレス圧力として200MPa及びプレス温度120℃で、1分間にわたってプレスした。これによって、全固体電池を得た。
〈実施例2〉
実施例2の全固体電池は、第三プレス工程のプレス圧力を100MPaとしたことを除いて実施例1と同様にして作製した。
〈比較例1〉
比較例1の全固体電池は、第一プレス工程、第二プレス工程、及び第三プレス工程のプレス圧力を全て600MPaとしたことを除いて実施例1と同様にして作製した。
《評価》
実施例1〜2及び比較例1の全固体電池に関して、各層の充填率、短絡の有無、及び全固体電池の内部抵抗値の評価を行った。各例の全固体電池の製造工程における条件と、短絡の有無と、全固体電池の内部抵抗値(相対値)とを、下記の表1に示している。
Figure 0006380254
なお、表1の全固体電池の内部抵抗値(相対値)は、実施例1の全固体電池の内部抵抗値を100%とした場合の相対値である。
また、全固体電池の内部抵抗値の測定方法は、下記のとおりである:
全固体電池を所定の電圧まで充電する;
所定の電圧から、所定の時間にわたって7C放電を行う;
電圧降下と、7C放電の際の電流とから、全固体電池の内部抵抗値を算出する。
また、上記7C放電の「C」とは、放電レートを意味する。放電レートとは、公称容量値の容量を有する全固体電池を定電流放電して、1時間で放電終了となる電流値を「1C」とする指標である。例えば、5時間で放電終了となる電流値は「0.2C」、10時間で放電終了となる電流値は「0.1C」と表記される。
表1からは、第一、第二、及び第三プレス工程のプレス圧力が600MPaである比較例1の全固体電池において、製造時に短絡が発生していることが分かる。これは、小さい面積を有している正極積層体が、大きい面積を有している負極積層体に食い込み、正極活物質層及び負極活物質層が導通して短絡したためと考えられる。
また、表1からは、実施例1の全固体電池の内部抵抗値(測定値)が、実施例2の全固体電池の内部抵抗値(相対値)より少し低い。これは、第三プレス工程のプレス圧力において、実施例1のプレス圧力が実施例2のプレス圧力より100MPa高いため、中間固体電解質層の充填率に差が生じたためと考えられる。
《実施例3〜5及び比較例2〜6》
実施例3〜5及び比較例2〜6の全固体電池は、下記の表2に示すように第一プレス工程のプレス温度を変化させたことを除いて作製条件について実施例1の全固体電池と同様にして作製した。
《評価》
実施例3〜5及び比較例2〜6の全固体電池の全固体電池の内部抵抗値の評価を行った。結果を、表2及び図2に示している。
Figure 0006380254
なお、全固体電池の内部抵抗値の測定方法は、表1の説明を参照されたい。
図2は、正極積層体、中間固体電解質層、及び負極積層体が積層されている全固体電池に関して、正極積層体のプレス温度(℃)と、全固体電池の内部抵抗値(相対値)(%)との関係を示す図である。
図2では、全固体電池の内部抵抗値(相対値)は、正極積層体のプレス温度が25℃である比較例2の全固体電池の内部抵抗値を100%とした場合の相対値である。図2からは、正極積層体のプレス温度が150℃以上175℃以下である実施例3〜5おいて全固体電池の内部抵抗値(相対値)が低下していることが分かる。したがって、この温度範囲において、全固体電池の内部抵抗値が低下し、その性能が向上していることが理解される。
これは、下記の理由によると考えられる:
100℃以上、特に150℃以上のプレスによって、固体電解質が軟化し、固体電解質と固体電解質との間で及び/又は固体電解質と正極活物質との間で、接触性及び/又は接触面積が向上し、更に、正極積層体、特に正極活物質層の充填率が高まったこと;
175℃以下のプレスによって、固体電解質、特に硫化物系の固体電解質の結晶構造変化が抑制され、これによって、低リチウムイオン伝導層の形成が抑制されたこと。
《実施例6〜8及び比較例7〜8》
実施例6〜8及び比較例7〜8の全固体電池は、下記の表3に示すように第二プレス工程のプレス温度を変化させたことを除いて実施例1の全固体電池と同様にして作製した。
《評価》
実施例6〜9及び比較例7の全固体電池の充放電効率の評価を行った。結果を表3及び図3に示している。
Figure 0006380254
なお、全固体電池の充放電効率の測定方法は、下記のとおりである:
全固体電池を初めて定電流定電圧充電(CCCV)した際の充電容量を測定する;
全固体電池を初めて定電流定電圧充電(CCCV)した際の放電容量を測定する;
放電容量を充電容量で除す。
図3は、正極積層体、中間固体電解質層、及び負極積層体が積層されている全固体電池に関して、負極積層体のプレス温度(℃)と、全固体電池の充放電効率(相対値)(%)との関係を示す図である。
図3では、全固体電池の充放電効率(相対値)は、負極積層体のプレス温度が25℃である実施例6の全固体電池の充放電効率を100%とした場合の相対値である。図3からは、負極積層体のプレス温度が125℃以下である実施例6〜8において全固体電池の充放電効率(相対値)の低下が抑制されていることが分かる。
これは、125℃以下のプレスによって、負極集電体層としてのCu箔と、硫化物系の固体電解質としてのLiS−P系ガラスセラミックスを含有している負極活物質層とを有している負極積層体において、硫化銅等の生成を抑制することができたためと考えられる。
なお、負極積層体を、表3に記載のプレス温度でプレスした後に、全固体電池を作製する場合に、全固体電池を120℃のプレス温度でプレスしているが、これは、125℃以下で硫化銅等の生成を抑制するのと同時に、固体電解質を軟質化させ、粒子同士の固固界面の接触を向上させるためである。
《実施例9〜11及び比較例9》
実施例9〜11及び比較例9の全固体電池は、下記の表4に示すようにして第三プレス工程のプレス圧力を変化させたことを除いて実施例1の全固体電池と同様にして作製した。
《評価》
実施例9〜11及び比較例9の全固体電池中間固体電解質層の充填率及び抵抗値、並びに全固体電池の内部抵抗値の評価を行った。結果を下記の表4に示している。
Figure 0006380254
なお、表4において、中間固体電解質層の抵抗値(相対値)は、充填率が84%である実施例11の中間固体電解質層の抵抗値を100%とした場合の相対値である。中間固体電解質層の抵抗値の測定は、交流インピーダンス法により行った。この抵抗値は、具体的には、リチウムイオン伝導度に相当する。測定ではソーラトロン1260(ソーラトロン社)を用い、測定条件は、印加電圧5mV、測定周波数域0.01MHz〜1MHzであり、100kHzでの抵抗値を測定した。
なお、全固体電池の内部抵抗値の測定方法は、表1の説明を参照されたい。
表4からは、中間固体電解質層充填率の値が大きくなるにつれて、中間固体電解質層の抵抗値(相対値)が減少していることが分かる。したがって、充填率が比較的低い場合には、抵抗値は比較的高くなることが理解される。
また、表4からは、中間固体電解質層の抵抗値(相対値)が、100%、162%、及び268%であるとき、全固体電池の内部抵抗値(相対値)が、それぞれ、100%、101%、及び102%であることが分かる。したがって、中間固体電解質層の抵抗値(相対値)が、2倍以上に上昇した場合に、全固体電池の内部抵抗値(相対値)が、2%上昇していることが理解される。すなわち、中間固体電解質層の抵抗値の上昇は、全固体電池の内部抵抗値にほとんど影響を与えないことが理解される。
これは、全固体電池の内部抵抗値に関して、中間固体電解質層の抵抗値の影響が非常に小さいことによると考えられる。
《実施例12及び比較例10〜11》
実施例12及び比較例10〜11の全固体電池は、正極積層体の加熱の有無の条件及び中間固体電解質層の存在の有無の条件を下記の表5に示すように変更したことを除いて実施例1の全固体電池と同様にして作製した。
《評価》
実施例12及び比較例10〜11の全固体電池に関して、正極積層体及び負極積層体の接合性、並びに全固体電池の内部抵抗値の評価を行った。結果を下記の表5に示している。
Figure 0006380254
なお、接合性についての評価は、第三プレス後に目視確認によって行った。接合不良の電池は、プレス圧を開放してすぐに、正極積層体及び/又は負極積層体が反るようにして剥離した。全固体電池の内部抵抗値の測定方法は、表1の説明を参照されたい。
表5からは、比較例10の全固体電池の正極積層体及び負極積層体の接合性が不良であり、全固体電池を製造できなかったことが分かる。これは、正極積層体を165℃で加熱プレスしたことによって、正極積層体と負極積層体との間で正極積層体側の接触表面が、平滑となり、それらの間の接合性及び/又は接着性が低下したためと考えられる。
これに対して、実施例12の全固体電池では、接合性及び/又は接着性が向上している。これは、第三プレス工程でプレスする際に、非圧縮状態の中間固体電解質層が正極積層体と負極積層体との間に存在していることによって、アンカー効果等が生じ易くなり、接合性及び/又は接着性が向上したためと考えられる。また、この接合性及び/又は接着性の向上によって、比較例11の全固体電池と比較して、実施例12の全固体電池では、全固体電池の内部抵抗値(相対値)の改善がなされたことも留意されたい。
本発明の好ましい実施形態を詳細に記載したが、特許請求の範囲から逸脱することなく、本発明の方法で採用される、装置又は薬品、そのメーカー及び等級、製造ラインの位置及び配置等について変更が可能であることを当業者は理解する。
1 積層体
2 正極積層体
3 固体電解質層
4 負極積層体

Claims (9)

  1. 正極積層体、中間固体電解質層、及び負極積層体がこの順で積層されている全固体電池の製造方法であって、
    前記正極積層体をプレスする第一プレス工程、
    前記負極積層体をプレスする第二プレス工程、
    前記正極積層体、前記中間固体電解質層、及び前記負極積層体をプレスする第三プレス工程を含み、
    前記第一プレス工程のプレス圧力が、前記第三プレス工程のプレス圧力よりも高く、かつ前記第一プレス工程のプレス温度が、150℃以上175℃以下であり、
    前記第二プレス工程のプレス圧力が、前記第三プレス工程のプレス圧力よりも高く、かつ前記第二プレス工程のプレス温度が、125℃以下であり、
    前記第三プレス工程のプレス温度が、125℃以下であり、
    前記正極積層体が、正極集電体層及び正極活物質層をこの順で有し、又は正極集電体層、正極活物質層、及び第一固体電解質層をこの順で有し、
    前記負極積層体が、負極活物質層及び銅を含有している負極集電体層をこの順で有し、又は第二固体電解質層、負極活物質層、及び銅を含有している負極集電体層をこの順で有し、
    前記第一固体電解質層及び前記第二固体電解質層の少なくとも一方が存在し、
    前記中間固体電解質層が、前記第三プレス工程でプレスする前に、前記第三プレス工程のプレス圧力を超える圧力でプレスされていない、
    全固体電池の製造方法。
  2. 前記第三プレス工程が、前記正極積層体、前記中間固体電解質層、及び前記負極積層体を加熱して、固体電解質を軟質化させて、プレスする工程である、請求項1に記載の方法。
  3. 前記第三プレス工程のプレス温度が、100℃以上125℃以下である、請求項1又は2に記載の方法。
  4. 前記第一プレス工程のプレス圧力が710MPa以上である、請求項1〜3のいずれか一項に記載の方法。
  5. 前記第二プレス工程のプレス圧力が630MPa以上である、請求項1〜4のいずれか一項に記載の方法。
  6. 前記第三プレス工程のプレス圧力が200MPa以下である、請求項1〜のいずれか一項に記載の方法。
  7. 前記正極積層体の面積が、前記負極積層体の面積よりも小さい又は大きい、請求項1〜のいずれか一項に記載の方法。
  8. 前記第一固体電解質層及び/又は前記第二固体電解質層が、硫化物系の結晶質固体電解質を含有し、かつ前記中間固体電解質層が、硫化物系の非晶質固体電解質を含有している、請求項1〜のいずれか一項に記載の方法。
  9. 前記正極集電体層がアルミニウムを含有している、請求項1〜のいずれか一項に記載の方法。
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