JP2017091701A - 非水電解質二次電池用電極の製造方法、非水電解質二次電池用電極及び非水電解質二次電池 - Google Patents

非水電解質二次電池用電極の製造方法、非水電解質二次電池用電極及び非水電解質二次電池 Download PDF

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Abstract

【課題】バインダ等の電池反応に寄与しない添加剤の添加量を少なくできる非水電解質二次電池用電極の製造方法及び非水電解質二次電池の製造方法を提供すること。【解決手段】本発明の非水電解質二次電池用電極の製造方法は、電極活物質粒子と、被覆ポリマーと、を溶媒に分散して前駆体混合物を生成する混合工程(S1)と、平均粒子径が電極活物質粒子の10%以下の微細粒子を前駆体混合物に添加して分散溶液を調製する添加工程(S2)と、分散溶液を攪拌して電極合材を調製する合材調製工程(S3)と、を有する。本発明の非水電解質二次電池用電極(2,3)及び非水電解質二次電池(1)は、上記の製造方法により製造できる。【選択図】図2

Description

本発明は、非水電解質二次電池用電極の製造方法、非水電解質二次電池用電極及び非水電解質二次電池に関する。
ノート型コンピュータ、携帯電話、デジタルカメラ等電子機器の普及に伴い、これら電子機器を駆動するための二次電池の需要が拡大している。近年、これら電子機器においては、高機能化の進展に伴い消費電力が増大していることや、小型化が期待されていることから、二次電池の性能の向上が求められている。二次電池の中でも非水電解質二次電池(特に、リチウムイオン二次電池)は高容量化が可能であることから、種々の電子機器への利用が進められている。
非水電解質二次電池は、一般に、正極活物質を有する正極活物質層を正極集電体の表面に形成した正極と、負極活物質を有する負極活物質層を負極集電体の表面に形成した負極とが、非水電解質(非水電解液とも称する)とともに、電池ケースに収納される構成を有している。
そして、非水電解質二次電池の電極(正極及び負極)では、電極活物質を適当な溶媒に分散させたスラリー状の電極合材を調製し、電極合材を電極集電体の表面に塗布・乾燥して電極活物質層を形成している。そして、電極合材は、バインダ(結着材)を含有する。バインダは、電極活物質の沈降を防止したり、電極合材の特性を安定して塗布性を向上したり、電極活物質層を形成したときに電極活物質粒子同士及び電極集電体を結着する。
非水電解質二次電池は、例えば、特許文献1〜4に開示されている。
特許文献1には、負極活物質と、アミド構造単位を有する重合体と、無機微粒子と、を含む負極用スラリー組成物(負極合材)が記載されている。さらに、バインダ樹脂や、粘度調整剤、結着性向上剤、分散剤等の公知の添加剤を含有することも記載されている。他のバインダ樹脂としては、例えば、アクリル酸変性SBR樹脂(SBR系ラテックス)、アクリルゴム系ラテックス、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)、エチレン−テトラフルオロエチレン共重合体(ETFE)等のフッ素系樹脂などが挙げられている。
特許文献2には、樹脂製のバインダの全部又は一部を金属酸化物に代えることが記載され、電極活物質粒子と集電体及び電極活物質粒子同士をそれぞれ金属酸化物によって固着することが記載されている。
特許文献3には、黒鉛質材料である負極活物質と、炭素繊維と、を含む負極が記載されている。さらに、バインダ樹脂として、SBR,PVDFを含有することも記載されている。
特許文献4には、電極組成物を含むものであって、ずり速度が特定の電極ペーストが記載されている。さらに、バインダとして、高分子材料を電極ペーストに含有することも記載されている。
特開2014−86161号公報 特開2012−94403号公報 特開2007−42620号公報 特開2004−95198号公報
しかしながら、特許文献1〜4に記載の従来の非水電解質二次電池は、樹脂製のバインダを用いている。樹脂製のバインダは、電池反応を生じるものでは無く、電極活物質層の抵抗を増加する。電極活物質層の抵抗の増加は、非水電解質二次電池の電池性能(特性)を低下する。
そして、特許文献2に記載のように、樹脂製のバインダの全部を金属酸化物に替える場合、スラリー状の電極合材の安定性が悪化し、分離や沈降が生じる。また、バインダの一部を金属酸化物に替えた場合でも、金属酸化物に固着させることを目的として、乾燥温度を200〜300℃と非常に高くする必要が有り、この温度で樹脂製バインダが炭化して電極の強度が低下するという問題が発生する。
特許文献3には、電極合材(スラリー)の安定性について記載されていない。安定性を高めるために添加する増粘剤等の添加剤の添加量についての検討が何らされていない。つまり、電極活物質層の抵抗の問題について記載も示唆もされていない。
特許文献4には、電極合材(スラリー)の流動性についての規定は記載されているが、流動方程式の相関係数を向上させるための構成が記載されていない。また、スラリーの固形分調整が成り行きとなっている。つまり、電極活物質層の抵抗の問題について記載も示唆もされていない。
本発明は上記実情に鑑みてなされたものであり、バインダ等の電池反応に寄与しない添加剤の添加量を少なくできる非水電解質二次電池用電極の製造方法、非水電解質二次電池用電極及び非水電解質二次電池を提供することを課題とする。
上記課題を解決するために検討を重ねた結果、本発明者らは、電極合材中の電極活物質粒子間の斥力を制御することで上記課題を解決できることを見出した。
すなわち、本発明の非水電解質二次電池用電極の製造方法は、電極活物質粒子と、被覆ポリマーと、を溶媒に分散して前駆体混合物を生成する混合工程と、平均粒子径が電極活物質粒子の10%以下の微細粒子を前駆体混合物に添加して分散溶液を調製する添加工程と、分散溶液を攪拌して電極合材を調製する合材調製工程と、を有する。
本発明の非水電解質二次電池用電極の製造方法は、生成した前駆体混合物に微細粒子を添加して電極合材を調製している。
この製造方法では、まず、前駆体混合物が生成する。前駆体混合物では、電極活物質粒子の表面に被覆ポリマーが配される。この構成となると、電極活物質粒子間に斥力が働く。
そして、前駆体混合物に微細粒子が添加されて電極合材が調整される。調製された電極合材において、電極活物質粒子の間に微細粒子が存在し、これらの二種類の粒子の間にも斥力が働く。この微細粒子を介した斥力により、電極活物質粒子の間の距離を大きくすることができる。この結果、被覆ポリマーの添加量を減少できる。すなわち、製造される電極において、電極反応に寄与しない(電池性能の低下を招く)添加剤の添加量を減少できる。
本発明の製造方法において、前駆体混合物は、添加工程が施される前に、せん断応力を付与する攪拌工程が施される。せん断応力を付与することで、電極活物質粒子の表面に被覆ポリマーを均一に配する(詳しくは、均一にコートする)ことができ、電極活物質粒子同士の斥力を制御できる。
本発明の非水電解質二次電池用電極は、集電体と、集電体の表面に形成された、表面に被覆ポリマーの被膜を備えた電極活物質粒子と、均一に分散した状態で電極活物質粒子の間に介在する、平均粒子径が電極活物質粒子の10%以下の導電材粒子と、を有する電極活物質層と、を備える。
本発明の非水電解質二次電池用電極は、上記の電極の製造方法で製造されてなるものであり、上記の効果を発揮する。
本発明の非水電解質二次電池は、上記の非水電解質二次電池用電極を有する。
本発明の非水電解質二次電池は、上記の非水電解質二次電池用電極を有するものであり、上記の効果を発揮する。
実施形態1のリチウムイオン二次電池の構成を模式的に示した図である。 実施形態1での正極の製造工程を示した図である。 実施形態1の前駆体混合物における電極活物質粒子のポテンシャルカーブを示した図である。 実施形態1の前駆体混合物における電極活物質粒子と微細粒子のポテンシャルカーブを示した図である。 実施形態2のリチウムイオン二次電池の構成を模式的に示した斜視図である。 実施形態2のリチウムイオン二次電池の構成を示した断面図である。 実施形態3のリチウムイオン二次電池の構成を示した断面図である。
以下、実施の形態としてリチウムイオン二次電池に適用した形態を用いて本発明を具体的に説明する。なお、実施の形態は、常温(あるいは室温)での実施の形態である。温度が異なる場合には、当該温度に合うように条件(特に、合材の特性)を補正(あるいは変更)する。
[実施形態1]
本形態は、非水電解質二次電池用電極をリチウムイオン二次電池用正極及び負極に適用した形態である。リチウムイオン二次電池1は、図1にその構成を模式的に示した。二次電池1は、正極2、負極3、非水電解質4を有する。
[正極]
正極2は、正極活物質を有する。正極2は、正極集電体20の表面に、正極活物質を含む正極活物質層21を有する。詳しくは、正極2は、集電体20と、集電体20の表面に形成された、表面に被覆ポリマーの被膜を備えた正極活物質粒子と、均一に分散した状態で正極活物質粒子の間に介在する、平均粒子径が正極活物質粒子の10%以下の導電材粒子と、を有する正極活物質層21と、を備える。
正極活物質層21は、正極活物質と被覆ポリマーと微細粒子と溶媒とから調製した正極合材を正極集電体20の表面に塗布、乾燥して形成される。正極合材は、適当なペースト状(スラリー状)をなしている。
(正極活物質)
正極活物質粒子は、従来のリチウムイオン二次電池の正極活物質の粒子を用いることができる。
正極活物質は、リチウムイオンの吸蔵・放出が可能な正極活物質を有するものであること以外は限定されるものではない。例えば、種々の酸化物、硫化物、リチウム含有酸化物、導電性高分子などを挙げることができる。正極活物質としては、リチウム−遷移金属複合酸化物を用いることが好ましい。
このような正極活物質としては、リチウム−遷移金属複合酸化物を用いることが好ましく、層状構造を有する複合酸化物や、スピネル構造を有する複合酸化物や、ポリアニオン構造を有する複合酸化物を用いることがより好ましい。
本形態の正極活物質は、2相共存型の反応を有する化合物であることがより好ましい。そして、2相共存型の反応を生じる化合物として、ポリアニオン構造の1種であるオリビン構造の化合物であることがより好ましい。
オリビン構造の化合物としては、LiMn1−y4−z(なお、M:Mnを除く遷移金属より選ばれる1種以上、X:P,As,Si,Moより選ばれる1種以上、X:Al,Mg,Ca,Zn,Tiより選ばれる1種以上を任意で含有可能、0<x<1.0、0≦y<1.0、1≦z≦1.5)を挙げることができる。
層状構造を有する複合酸化物は、例えば、LiNiCoMn(x+y+z=1、0≦x,y,z≦1)、LiNiAlMn(x+w+z=1、0≦x,w,z≦1)、LiNiCoAlMn(x+y+w+z=1、0≦x,y,w,z≦1)を挙げることができ、具体的にはLiNi0.4Co0.4Mn0.2を例示できる。
スピネルを有する複合酸化物は、例えば、LiNiMn(x+y+z=2、0≦x,y,z≦2)を挙げることができる。
なお、正極活物質は、上記の複合酸化物においてオリビン構造の化合物であることが好ましいが、オリビン構造の化合物以外に、従来公知の正極活物質と、の混合物であってもよい。この場合、その混合割合が限定されるものではない。
正極活物質は、その粒子径が限定されるものではないが、平均粒子径(D50)が1〜50μmであることが好ましい。
(被覆ポリマー)
被覆ポリマーは、正極活物質の表面に配され、正極合材において正極活物質粒子を溶媒に分散する。すなわち、本形態の被覆ポリマーは、バインダ(結着材)や、分散剤として機能する。また、被覆ポリマーは、電極(正極)を形成したときに、活物質(正極活物質)の表面に、被膜を形成してもよい。被覆ポリマーから形成する被膜は、いわゆるコア−シェル構造の活物質(正極活物質)において、シェル部であってもよい。
被覆ポリマーは、正極活物質の表面に配されるものが選択でき、正極活物質の表面を被覆できるものがより好ましい。被覆ポリマーは、正極活物質と親和性のあるものが選択されることが望ましい。このような観点から、当該実施形態に用いられる被覆ポリマーは、ジエン系ポリマー、オレフィン系ポリマー、スチレン系ポリマー、アクリレート系ポリマー、アミド系あるいはイミド系ポリマー、エステル系ポリマー、フッ素系ポリマー、セルロース系ポリマー等が例示できる。
より具体的には、ポリブタジエン、ポリイソプレン、イソプレン−イソブチレンコポリマー、天然ゴム、スチレン−1,3−ブタジエンコポリマー(SBR)、スチレン−イソプレンコポリマー、1,3−ブタジエン−イソプレン−アクリロニトリルコポリマー、スチレン−1,3−ブタジエン−イソプレンコポリマー、1,3−ブタジエン−アクリロニトリルコポリマー、スチレン−アクリロニトリル−1,3−ブタジエン−メタクリル酸メチルコポリマー、スチレン−アクリロニトリル−1,3−ブタジエン−イタコン酸コポリマー、スチレン−アクリロニトリル−1,3−ブタジエン−メタクリル酸メチル−フマル酸コポリマー、スチレン−1,3−ブタジエン−イタコン酸−メタクリル酸メチル−アクリロニトリルコポリマー、アクリロニトリル−1,3−ブタジエン−メタクリル酸−メタクリル酸メチルコポリマー、スチレン−1,3−ブタジエン−イタコン酸−メタクリル酸メチル−アクリロニトリルコポリマー、スチレン−アクリロニトリル−1,3−ブタジエン−メタクリル酸メチル−フマル酸コポリマー、エチレン−プロピレンコポリマー、エチレン−プロピレン−ジエンコポリマー、ポリスチレン、ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン、エチレン−ビニルアセテートコポリマー、エチレン系アイオノマー、ポリビニルアルコール(PVA)、酢酸ビニルポリマー、エチレン−ビニルアルコールコポリマー、塩素化ポリエチレン、ポリアクリロニトリル、クロロスルホン化ポリエチレン、スチレン−エチレン−ブタジエンコポリマー、スチレン−ブタジエン−プロピレンコポリマー、スチレン−アクリル酸n−ブチル−イタコン酸−メタクリル酸メチル−アクリロニトリルコポリマー、スチレン−アクリル酸n−ブチル−イタコン酸−メタクリル酸メチル−アクリロニトリルコポリマー、ポリメタアクリル酸、ポリメタクリル酸メチル、ポリアクリル酸、ポリアクリル酸メチル、ポリアクリル酸エチル、ポリアクリル酸ブチル、アクリル酸エチル−アクリロニトリルコポリマー、アクリル酸2−エチルヘキシル−アクリル酸メチル−アクリル酸−メトキシポリエチレングリコールモノメタクリレート、ポリアミド6、ポリアミド66、ポリアミド11、ポリアミド12、芳香族ポリアミド、ポリイミド、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、フッ素ゴム、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、テトラフルオロエチレン−ヘキサフルオロプロピレンコポリマー、テトラフルオロエチレン−パーフルオロアルキルビニルエーテルコポリマー、ポリクロロトリフルオロエチレン、エチレン−クロロトリフルオロエチレンコポリマー、カルボキシメチルセルロース(CMC)、メチルセルロース(MC)、ヒドロキシプロピルセルロース等が挙げられる。また、これらのポリマーのアルカリ金属塩やアンモニウム塩等を用いることもでき、さらに、これらのポリマーは単独でも、2種類以上を混合して用いてもよい。
被覆ポリマーの分子量は特に限定されず、低分子量から高分子量までの幅広い分子量のポリマーが適用できる。また、被覆ポリマーは、適正な溶媒に溶解ないし膨潤させた状態であることが望ましい。この場合、被覆ポリマーの粘度は、5〜10,000mPa・sであることが望ましい。すなわち、被覆ポリマーが高分子量で高粘度である場合には、適正な溶媒によって5〜10,000mPa・sの粘度に調整して用いることができる。
(微細粒子)
微細粒子は、平均粒子径が正極活物質粒子の10%以下の粒子よりなる。微細粒子の平均粒子径がこの範囲となることで、後述の添加の効果を発揮できる。微細粒子の平均粒子径は、正極活物質粒子の平均粒子径の0.05〜1%であることがより好ましい。なお、微細粒子が、粒径の異なる複数種の粒子が混合してなる場合には、最も粒子径の大きな成分の平均粒子径を用いて正極活物質粒子との比較を行うことができる。
微細粒子は、その材質が限定されるものではないが、導電性を備えた材質よりなることが好ましい。微細粒子が導電性の材質よりなる場合、正極活物質層において導電材として機能する。微細粒子は、炭素,アルミニウム,鉄,コバルト,モリブデン,ニッケル,マンガンより選ばれる元素、その酸化物よりなる導電性粒子を挙げることができる。なお、微細粒子が金属よりなる場合には、導電性を発揮できる限りにおいて、その表面に酸化物(酸化被膜)が形成していてもよい。また、微細粒子が金属の酸化物よりなる場合には、当該酸化物が、二次電池を形成したときの使用条件下で導電性を発揮できる元素を選択することが好ましい。
微細粒子の平均粒子径の下限は、限定されるものではないが、正極活物質粒子の0.05%以上であることが好ましい。
(溶媒)
溶媒は、正極活物質等を分散できる溶媒である。溶媒は、正極活物質等を分散できる溶媒であれば限定されるものではなく、従来のリチウムイオン二次電池の正極合材の溶媒に用いられるものを用いることができる。溶媒としては、被覆ポリマーを溶解する溶媒を使用することが好ましい。溶媒としては、水系溶媒、又は有機系溶媒であることが好ましい。
水系溶媒とは、水、又は水を主成分とする溶媒であり、水であることがより好ましい。また、水に分散剤、増粘剤などを加えてPTFEなどで正極活物質をスラリー化する場合もある。
有機系溶媒とは、有機化合物、又は有機化合物を主成分とする溶媒であり、例えば、NMP、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン、酢酸メチル、アクリル酸メチル、ジエチルトリアミン、N−N−ジメチルアミノプロピルアミン、エチレンオキシド、テトラヒドロフランなどを挙げることができる。
(正極集電体)
正極集電体は、従来のリチウムイオン二次電池に用いられたものを使用できる。例えば、アルミニウム、ステンレスなどの金属を、板状に加工した箔、網、パンチドメタル、フォームメタルなどを用いることができるが、これらに限定されない。
(正極の製造)
正極の製造は、図2に工程を示したように、混合工程(ステップS1)と、攪拌工程(ステップS2)と、添加工程(ステップS3)と、合材調製工程(ステップS4)と、塗布工程(ステップS5)と、乾燥工程(ステップS6)の各工程を施して行われる。
(混合工程(ステップS1))
混合工程(ステップS1)は、正極活物質粒子と、被覆ポリマーと、を溶媒に分散して前駆体混合物を生成する工程である。本工程では、被覆ポリマーと負極活物質とが溶媒に分散した前駆体混合物が得られる。
(攪拌工程(ステップS2))
攪拌工程(ステップS2)は、前駆体混合物にせん断応力を付与する攪拌を施す工程である。攪拌工程(ステップS2)は、先の混合工程で得た前駆体混合物にせん断応力を加えることで、正極活物質の表面に被覆ポリマーを被覆させる。なお、本工程(ステップS2)は、先の混合工程(ステップS1)と前処理工程は同時に行ってもよい。すなわち、せん断応力を付与する攪拌を行いながら、正極活物質粒子や被覆ポリマーを溶媒に分散(混合)してもよい。
なお、正極活物質の表面への被覆ポリマーによる被覆とは、正極活物質表面に被覆ポリマーが配された状態である(存在する)ことを意味し、典型的には付着又は結合した状態で存在することを示す。正極活物質の内部まで被覆ポリマーの一部が含まれていてもよい。また、前駆体混合物には、攪拌によって正極活物質と結合しなかった被覆ポリマーが含まれていてもよい。
前駆体混合物にせん断応力を加える方法は、公知の混練攪拌機を用いて行う方法を採用することができる。混練攪拌機として、例えば、マグネテッィクスターラー、攪拌羽根による機械攪拌、自動乳鉢、三本ロール、ビーズミル、遊星ボールミル、ホモジェナイザー、プラネタリーミキサー、二軸混練機などを挙げることができる。
また、前駆体混合物に与えるせん断応力は、前駆体混合物の固形分濃度によって調節することができる。つまり、せん断応力の値自体を制御することのほか、以下に示す固形分濃度を採用することで好ましいせん断応力の値になる。ここで、前駆体混合物の固形分濃度とは、前駆体混合物における(固形分の質量)/(液状分の質量+固形分の質量)×100(質量%)で表される値を意味する。
本工程における前駆体混合物の固形分濃度は、50質量%〜90質量%であることが好ましい。この範囲内であれば、せん断応力により正極活物質に与える物理的なダメージを低減させることができ、正極活物質と電解液との接触面積が広がることを十分に抑制できる。
また、前駆体混合物の固形分濃度は、好ましくは75〜90質量%の範囲内、より好ましくは80〜90質量%の範囲内である。一般に、この固形分濃度の範囲内での攪拌は、固練りと呼ばれている。そして、本形態の本工程で行われる攪拌が固練りであることにより、前駆体混合物に効果的なせん断応力を与えることができる。
このように、本工程によると、正極活物質の表面に被覆ポリマーを十分に被覆させることができると考えられる。つまり、本形態の攪拌工程(ステップS2)を行うことにより、正極活物質表面が十分に被覆ポリマーに被覆される。
(添加工程(ステップS3))
添加工程(ステップS3)は、微細粒子を前駆体混合物に添加して分散溶液を調製する工程である。前駆体混合物に微細粒子を添加することで、添加した微細粒子も分散した分散溶液となる。
微細粒子の添加量は、限定されるものではないが、分散溶液の降伏応力が2.00Pa以上となるように添加されることが好ましい。降伏応力がこの範囲(2.00Pa以上)内となることで、製造される正極合材が、塗布性に優れたものとなる。また、降伏応力がこの範囲(2.00Pa)未満では、正極活物質粒子の凝集が生じ、沈降が生じる。また、降伏応力がこの範囲未満では、正極活物質粒子の含有量が少なすぎ、正極活物質層を得るための正極合材の塗布回数が増加し、この点から塗布性が低下する。
なお、降伏応力は、円すい−平板形回転粘度計を用いて測定できる。詳しくは、この回転粘度計において、せん断速度500[1/s]から十分速度が遅い0.1[1/s]に低下させた際の、0.1[1/s]における回転軸にかかる応力(せん断応力)とする。
(合材調製工程(ステップS4))
合材調製工程(ステップS4)は、先の工程で得られた分散溶液を攪拌して正極合材を調製する工程である。正極合材は、その後の工程で、集電体に塗布され、正極活物質層を形成する。
分散溶液を攪拌することで、微細粒子の表面にも被覆ポリマーを被覆させる。すなわち、正極合材は、正極活物質粒子及び正極粒子の表面に被覆ポリマーが被覆し、被覆ポリマーにより各粒子間に斥力が生じ、正極合材の塗布性が向上する。
分散溶液を攪拌する方法は限定されるものではなく、先の攪拌工程(ステップS2)と同様に、せん断応力を付与する攪拌を施すことが好ましい。
合材調製工程(ステップS4)は、さらに、従来の正極合材に添加される添加剤を添加してもよい。この添加剤としては、例えば、結着材(バインダ)、pH調整材や導電材を挙げることができる。
結着材は、正極合材を生成する時に用いられるものを採用でき、特に限定されるものではない。例えば、PVDF、MC、CMC、ヒドロキシプロピルセルロース(HPC)、ポリビニルブチラール(PVB)、PE、PVA、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、SBR等が、単独で、又は組み合わせて用いることができる。
導電材は、黒鉛の微粒子、アセチレンブラック、ケッチェンブラック、カーボンナノファイバーなどのカーボンブラック、ニードルコークスなどの無定形炭素の微粒子などを使用できるが、これらに限定されない。導電材の粒子径(平均粒子径(D50))についても限定されるものではない。
(塗布工程(ステップS5))
塗布工程(ステップS5)は、先の工程において調製した正極合材を正極集電体の表面に塗布する工程である。
本形態において、塗布方法は正極集電体表面に正極合材を所定の厚みで塗布できるものであればよく、特に限定されるものではない。例えば、ドクターブレード法、ディップ法、リバースロール法、ダイレクトロール法、グラビア法、エクストルージョン法、刷毛塗り法等の方法が挙げられる。また、塗布量は、形成しようとする後述する正極活物質層の厚みに応じて適宜設定できる。
正極活物質層の厚みは、活物質の種類に応じて適宜決定できる。例えば、正極活物質層の厚みは、30〜70μmが好ましく、50〜70μmがより好ましい。
(乾燥工程(ステップS6))
乾燥工程は、先の塗布工程によって集電体の表面に塗布された正極合材の溶媒を適当な乾燥手段によって除去し、集電体の表面に正極活物質層を形成させる工程である。
乾燥手段は、溶媒を除去(揮発)できる方法であれば限定されるものではなく、正極合材を加熱する方法を用いることができる。この場合の加熱温度は、70〜200℃であることが好ましい。また、加熱時間は、10〜120秒であることが好ましい。なお、この加熱は、常圧での好ましい条件であり、減圧条件で行う場合には、これらよりも低温、短時間で加熱することができる。
乾燥工程が施された正極は、必要に応じて、例えば、公知のロールプレス法、平板プレス法等の圧縮手段により圧縮することができる。圧縮により、正極シートが作製される。
正極シートは、その後、所定の形状に形成され、非水電解質二次電池1の正極2として製造される。
[負極]
負極3は、負極活物質を有する。負極3は、負極集電体30の表面に、負極活物質を含む負極活物質層31を有する。負極活物質層31は、負極活物質と被覆ポリマーと微細粒子と溶媒とから調製した負極合材を負極集電体30の表面に塗布、乾燥して形成される。正極合材は、適当なペースト状(スラリー状)をなしている。
本形態の負極3は、上記の正極2と同等な技術的特徴をリチウム二次電池用負極に適用した構成である。つまり、負極活物質等の負極に特有な構成以外の構成は、上記の正極2と同等であり、特に言及しない構成等については正極2と同様とすることができる。
(負極活物質)
負極3の負極活物質は、従来の負極活物質を用いることができる。例えば、Sn、Si、Sb、Ge、Cの少なくともひとつの元素を含有する負極活物質を挙げることができる。これらの負極活物質のうち、Cは、リチウムイオン二次電池の電解質イオンを吸蔵・脱離可能な(Li吸蔵能がある)炭素材料であることが好ましく、グラファイトや黒鉛であることがより好ましい。
また、これらの負極活物質のうち、Sn、Sb、Geは、特に、体積変化の多い合金材料である。これらの負極活物質は、Ti−Si、Ag−Sn、Sn−Sb、Ag−Ge、Cu−Sn、Ni−Snなどのように、別の金属と合金をなしていてもよい。
(被覆ポリマー)
被覆ポリマーは、正極2の時と同様に選択できる。
(微細粒子)
微細粒子は、正極2の時と同様に選択でき、平均粒子径が負極活物質粒子の10%以下の粒子よりなる。
(溶媒)
溶媒は、正極2の時と同様に選択でき、負極活物質等を分散できる溶媒である。
(負極集電体)
負極集電体は、従来のリチウムイオン二次電池に用いられたものを使用できる。例えば、銅、ステンレス、チタンあるいはニッケルなどの金属を、板状に加工した箔、網、パンチドメタル、フォームメタルなどを用いることができるが、これらに限定されない。
(負極の製造)
本形態の負極3の製造方法は、負極集電体30の表面に負極活物質層31を形成するものであり、上記の正極2の製造方法と同様の方法によって製造することができる。なお、負極活物質層31は、正極2の場合と同様に、結着材や導電材を含んでいてもよい。
[非水電解質]
非水電解質4は、従来の非水電解質を用いることができる。非水電解質4は、支持電解質が非水溶媒に溶解してなるものをあげることができる。また、従来の添加剤が添加されていてもよい。
支持電解質は、リチウムを含有するものであること以外は限定されるものではない。例えば、LiPF,LiBF,LiClO及びLiAsFから選ばれる無機塩,これらの無機塩の誘導体,LiSOCF,LiC(SOCF及びLiN(SOCF,LiN(SO,LiN(SOCF)(SO),から選ばれる有機塩、並びにこれらの有機塩の誘導体の少なくとも1種であることが好ましい。これらの支持電解質は、電池性能を更に優れたものとすることができ、かつその電池性能を室温以外の温度域においても更に高く維持することができる。支持電解質の濃度についても特に限定されるものではなく、支持電解質及び有機溶媒の種類を考慮して適切に選択することが好ましい。
非水溶媒は、支持電解質を溶解する。非水溶媒は、支持電解質を溶解するものであること以外は限定されるものではない。例えば、カーボネート類,ハロゲン化炭化水素,エーテル類,ケトン類,ニトリル類,ラクトン類,オキソラン化合物等を用いることができる。特に、プロピレンカーボネート,エチレンカーボネート(EC),1,2−ジメトキシエタン,ジメチルカーボネート(DMC),ジエチルカーボネート(DEC),エチルメチルカーボネート(EMC),ビニレンカーボネート(VC)等及びそれらの混合溶媒が好ましい。これらの有機溶媒のうち、特にカーボネート類,エーテル類からなる群より選ばれた1種以上の非水溶媒を用いることが、支持電解質の溶解性、誘電率及び粘度において優れ、リチウムイオン二次電池1の充放電効率が高くなるため好ましい。
従来の添加剤としては、電池を組み立てたときに、電極の表面で分解し、電極(電極、特に電極活物質)の表面に被膜(例えば、Solid Electrolyte Interphase:SEI膜)を生成する。この電極表面に生成した被膜が高い安定性を示す。そして、正極が高い電位となっても(例えば、高電位で充電反応が進行しても)、被膜が分解せず、電極の表面を被覆する。この結果、被膜により電極の容量の低下が抑えられる。
[その他の構成]
本形態の二次電池1は、正極2及び負極3を、正極活物質層21と負極活物質層31とが対向した状態で、セパレータ5を介した状態で非水電解質4とともに、電池ケース6内に収容する。
[セパレータ]
セパレータ5は、正極2及び負極3を電気的に絶縁し、非水電解質4を保持する役割を果たす。セパレータ5は、例えば、多孔性合成樹脂膜、特にポリオレフィン系高分子(ポリエチレン、ポリプロピレン)の多孔膜を用いることが好ましい。
[電池ケース]
電池ケース6は、正極2及び負極3を、セパレータ5を介した状態で非水電解質4とともに、その内部に収容(封入)する。
電池ケース6は、内部と外部との間で水分の透過を阻害する材質よりなる。このような材質としては、金属層を有する材質を挙げることができる。金属層を有する材質としては、金属そのものや、ラミネートフィルムを挙げることができる。
[実施形態の作用効果]
(1)第1の効果
本形態の二次電池1の正極2及び負極3の製造方法は、混合工程(ステップS1)で電極活物質粒子(具体的には、正極活物質粒子、負極活物質粒子)と被覆ポリマーとを溶媒に分散して前駆体混合物を生成し、その後の添加工程(ステップS3)で微細粒子を前駆体混合物に添加して分散溶液を調製する。
混合工程(ステップS1)で生成する前駆体混合物は、電極活物質粒子と被覆ポリマーとが溶媒に分散する。詳しくは、図3に模式的に示したように、前駆体混合物において、電極活物質粒子は、その表面に被覆ポリマーを配した状態で溶媒に分散している。この状態では、図3に示したように、電極活物質粒子同士の間にポテンシャルカーブの正となるピークが存在する。このピークにより、電極活物質粒子同士の間には斥力が働き、電極活物質粒子同士の間の距離が所定の間隔となる。
なお、図3中、破線で示したポテンシャルカーブは、電極活物質の表面に被覆ポリマーが配されて異な状態のポテンシャルカーブである。この2つのカーブから、電極活物質の表面に被覆ポリマーが配されることで、電極活物質粒子の粒子間に相互作用が働くことがわかる。
その後、添加工程(ステップS3)で微細粒子が前駆体混合物に添加される。添加した微細粒子は、電極活物質粒子よりも小さく、前駆体混合物において、電極活物質粒子の間に位置するようになる。この状態では、図4に示したように、電極活物質粒子と微細粒子の間にポテンシャルカーブの正となるピークが存在することとなる。このピークにより、電極活物質粒子と微細粒子の間にも斥力が働き、その結果として電極活物質粒子同士の間の距離が広がる。
本形態によると、これらの工程を施したことで、前駆体混合物(電極合材)の特性が安定化している。つまり、被覆ポリマーだけの場合と比較して、特性の安定した電極合材を得られる。特性の安定した電極合材は、その後の塗布工程(ステップS5)での塗布性も向上する。
また、本形態によると、特性の安定した電極合材を得られることから、被覆ポリマーの使用量を減らすことができる。このことは、製造される電極に含まれる被覆ポリマーの使用量を減らすことができることを示す。つまり、電極において、電池反応に寄与しない化合物(被覆ポリマー)を減らすことが可能となり、電極の特性を向上できる。
また、上記の微細粒子の添加の効果は、平均粒子径が電極活物質粒子の10%以下の粒子よりなることにより発揮される。微細粒子の平均粒子径がこの範囲より大きくなると、電極活物質粒子との粒径の差が小さくなり、その効果を発揮できなくなる。
さらに、本形態によると、添加される微細粒子の平均粒子径を制御することで、前駆体混合物(電極合材)の特性を調節できる効果を発揮する。また、この特性の調整は、微細粒子の添加量によっても可能である。
(2)第2の効果
本形態の二次電池1の正極2及び負極3の製造方法は、添加工程(ステップS3)が施される前に、前駆体混合物にせん断応力を付与する攪拌工程(ステップS2)が施される。
この工程を施すことで、電極活物質の表面に被覆ポリマーを均一に被覆させることができる。このことは、その後の添加工程(ステップS3)で、微細粒子が添加されたときに、微細粒子と電極活物質粒子の間隔にバラツキが生じなくなり、前駆体化合物(電極合材)の特性が安定する。
また、この工程を施すことで、電極活物質の表面を被覆する被覆ポリマーの被膜を薄いものとすることができ、電極の特性を向上できる。
(3)第3の効果
本形態の二次電池1の正極2及び負極3の製造方法は、分散溶液の降伏応力が2.00Pa以上となるように、微細粒子が添加される。
分散溶液の降伏応力がこの範囲内となることで、製造される電極合材が、塗布性や取り扱い性に優れたものとなる。
(4)第4の効果
本形態の二次電池1の正極2及び負極3の製造方法は、電極活物質粒子は、正極活物質粒子、負極活物質粒子の少なくとも一方である。
上記のように、正極2と負極3のいずれの製造方法においても、電極の特性を向上できる。
(5)第5の効果
本形態の二次電池1の正極2及び負極3の製造方法は、微細粒子が、炭素,アルミニウム,鉄,コバルト,モリブデン,ニッケル,マンガンより選ばれる元素、その酸化物よりなる導電性粒子である。
微細粒子がこれらの導電性粒子よりなることで、製造された電極の導電性が改善される。つまり、電極の特性をより向上できる。
(6)第6の効果
本形態の二次電池1の正極2及び負極3の製造方法は、被覆ポリマーが、スチレンブタジエンラバー,カルボキシメチルセルロース,ポリアクリル酸,ポリフッ化ビニリデン,エチルヒドロキシエチルセルロース,シアノエチルセルロース,ポリビニルピロリドン、又はこれらの塩のうち少なくとも一種を含む。
被覆ポリマーがこれらより選択できることで、電極活物質粒子の表面に均一な被膜を形成できる。つまり、電極の特性をより向上できる。
(7)第7の効果
本形態の二次電池1の正極2及び負極3の製造方法は、溶媒が、水系溶媒、又は有機系溶媒である。
溶媒がこれらの溶媒より選択できることで、電極活物質粒子や微細粒子を均一に分散できる。つまり、電極の特性をより向上できる。
(8)第8の効果
本形態の二次電池1の正極2及び負極3の製造方法は、集電体20,30と、集電体20,30の表面に形成された、表面に被覆ポリマーの被膜を備えた電極活物質粒子と、均一に分散した状態で電極活物質粒子の間に介在する、平均粒子径が電極活物質粒子の10%以下の導電材粒子と、を有する電極活物質層21,31と、を備えた電極(正極2及び負極3)を製造する。
電極(正極2及び負極3)及びこの電極を用いた二次電池1は、上記した効果を発揮する。
[変形形態1]
上記の実施形態は、正極2と負極3の両極に本発明を適用した形態であるが、正極2と負極3のいずれか一方の極に適用した形態としてもよい。この変形形態では、正極2と負極3のいずれか他方の極を、微細粒子を用いずに製造する。
本変形形態においても、実施形態と同様な効果を発揮できる。
[実施形態2]
本形態は、実施形態1(及び変形形態1)の二次電池1をラミネート型の電池に適用した形態であり、正極2,負極3,非水電解質4等の構成は、実施形態1と同様である。本形態の二次電池1の構成を、図5〜図6に示した。図5では二次電池1を斜視図で、図6では図5中のVI−VI断面における断面図で、それぞれ構成を示した。
本形態のリチウムイオン二次電池1は、正極2及び負極3をラミネートケースよりなる電池ケース6に収容(封入)してなる。なお、本形態で特に限定されない構成は、実施形態1と同様とする。
正極2は、略方形状の正極集電体20の表面(両面)に、正極活物質層21を形成してなる。正極2は、方形状の1辺に、正極集電体20が露出した(正極活物質層21が形成されない)未塗布部22を有する。
負極3は、略方形状の負極集電体30の表面(両面)に、負極活物質層31を形成してなる。負極3は、方形状の1辺に、負極集電体30が露出した(負極活物質層31が形成されない)未塗布部32を有する。
負極3は、負極活物質層31が、正極2の正極活物質層21よりも広く形成される。負極3の負極活物質層31を正極活物質層21に重ねたときに、正極活物質層21を露出することなく完全に被覆できる大きさに形成されている。
正極2及び負極3は、セパレータ5を介して積層した状態で、非水電解質4とともにラミネートフィルムから形成される電池ケース6に収容(封入)される。
セパレータ5は、負極活物質層31よりも広い面積で形成される。
正極2及び負極3は、セパレータ5を介した状態で、正極活物質層21と負極活物質層31との中心が重なる状態で積層される。このとき、正極2の未塗布部22と、負極3の未塗布部32と、が反対方向(互いに背向する方向)に配される。
(電池ケース)
電池ケース6は、ラミネートフィルム60から形成される。ラミネートフィルムは、可塑性樹脂層601/金属箔602/可塑性樹脂層603をこの順で含む。電池ケース6は、予め所定の形状に曲成されたラミネートフィルム60を、熱や何らかの溶媒により可塑性樹脂層601,503を軟化させた状態で別のラミネートフィルムなどに押圧することにより接着される。
電池ケース6は、正極2及び負極3を収容可能な形状に予め成形(エンボス加工)されたラミネートフィルム60を重ね合わせ、外周の端縁部を全周にわたって接着して、正極2及び負極3を内部に封入して形成される。外周の接着により、封止部が形成される。本形態での外周の接着は、融着でなされた。
電池ケース6は、ラミネートフィルム60に、別のラミネートフィルム60を重ね合わせて形成される。ここで、別のラミネートフィルム60とは、接着(融着)されるラミネートフィルムを示すものである。すなわち、電池ケース6は、2枚以上のラミネートフィルム60から形成する態様だけでなく、1枚のラミネートフィルムを折り返して形成する態様も含む。
電池ケース6の外周の接着(組み立て)は、減圧雰囲気下(好ましくは真空)で行われる。これにより、電池ケース6内に大気(それに含まれる水分)が含まれることなく、電極体のみが封入される。
予め成形されたラミネートフィルム60は、図5〜図6に示したように、重ね合わされたときに別のラミネートフィルム60との間で封止部62を形成する平板部61と、平板部61の中央部に形成された正極2及び負極3を収容可能な槽状部63と、を有する。
ラミネートフィルム60,60は、図5〜図6に示したように、正極2及び負極3を収容可能な凹字状をなすように曲成(成形)されている。ラミネートフィルム60,60は、同一形状をなし、互いに対向した向きで重ね合わせたときに、平板部61,61が完全に重なり合う。
ラミネートフィルム60は、平板部61及び槽状部63の底部63A(リチウムイオン二次電池1の積層方向の端部を形成する部分)が平行に形成されている。平板部61と槽状部63の底部63Aとは、立設部63Bにより接続されている。立設部63Bは、平板部61及び底部63Aの平行な方向に対して交差する方向(傾斜した方向)に伸びている。底部63Aは、槽状部63の開口部(平板部61の内方の端部)よりも小さく形成されている。
電池ケース6において、平板部61,61の周縁部に封止部62が形成され、封止部62の内方(電極体に近接する方向)には、平板部61,61が重なり合った未接着の部分が形成されている。平板部61,61が重なり合った未接着の部分は、当接した状態であっても、隙間を形成した状態であっても、いずれでもよい。さらに、電極板(正極板2,負極板3)の未塗布部22,32やセパレータ5が介在していてもよい。
ラミネートフィルム60,60は、図5〜図6に示された形状に予め成形されている。この形状への成形は、従来公知の成形方法が用いられる。
リチウムイオン二次電池1は、正極2と負極3のそれぞれが、電極端子(正極端子65,負極端子66)に接続される。
(電極端子)
正極端子65は、正極2の未塗布部22に電気的に接続されている。負極端子66は、負極3の未塗布部32に電気的に接続されている。本形態では、電極端子65,66のそれぞれには、電極2,3の未塗布部22,32が溶接(振動溶接)で接合されている。電極2,3の未塗布部22,32の幅方向の中央部が、電極端子65,66に接合される。
電極端子65,66のそれぞれは、電池ケース6を貫通する部分では、ラミネートフィルム60,60の可塑性樹脂層601と電極端子65,66とが密封状態を保つように、シーラント64を介して接合されている。
電極端子65,66はシート状(箔状)の金属よりなり、シーラント64は、シート状の電極端子65,66を被覆する樹脂よりなる。シーラント64は、電極端子65,66が平板部61と重なる部分を被覆する。電極端子65,66がシート状をなすことで、電池ケース6を貫通する部分で電極端子65,66が介在することによるラミネートフィルム60の変形の応力を低減できる。また、電極2,3の未塗布部22,32との溶接(振動溶接)を簡単に行うことができる。
本形態のラミネート型の二次電池1は、正極2と負極3が離反する方向に変移することを規制する拘束部材を有することが好ましい。拘束部材を有することで、正極2と負極3の積層方向の距離が長くなることを抑えることができる。正極2と負極3の距離が長くなると、電解質イオンの移動距離が長くなり、内部抵抗の上昇につながる。拘束部材は、この距離の増大を抑えることができる。
拘束部材は、例えば、ラミネート型の二次電池1の積層方向の両外周面に当接する一対の治具を備えた部材を挙げることができる。拘束部材は、ラミネート型の二次電池1の外周面を圧縮する方向に加圧する部材であっても、一対の治具間の距離が固定されて厚さの増加のみを規制する部材であっても、いずれでも良い。拘束部材は、ラミネート型の二次電池1を収容する、剛性を備えた外装ケースであっても良い。
[効果]
本形態の二次電池1は、形状が異なること以外は、実施形態1と同様な構成であり、実施形態1と同様な効果を発揮する。
[実施形態3]
本形態は、実施形態1(及び変形形態1)の二次電池1をコイン型の電池に適用した形態であり、正極2,負極3,非水電解質4等の構成は、実施形態1と同様である。本形態の二次電池1の構成を、図7に断面図で示した。
本形態のリチウムイオン二次電池1は、正極2及び負極3を金属よりなる電池ケース7に収容(封入)してなる。なお、本形態で特に限定されない構成は、実施形態1〜2と同様とする。
具体的には、本形態のリチウムイオン二次電池1は、正極2,負極3,非水電解質4,セパレータ5,正極ケース71,負極ケース72,シール材73,保持部材74を有する。
本形態のリチウムイオン二次電池1では、正極ケース71と負極ケース72が、絶縁性のシール材73を介して内蔵物を密封する。内蔵物は、正極2,負極3,非水電解質4,セパレータ5及び保持部材74を有する。シール材73は、ガスケットを例示できる。
なお、図5に示したように、正極2と負極3は、正極活物質層21と負極活物質層31とが向き合った状態でセパレータ5を介して配される。
正極ケース61には正極集電体20を介して正極活物質層21が面接触して導電する。負極ケース62には負極集電体30を介して負極活物質層31が面接触して導電する。
[効果]
本形態の二次電池1は、形状が異なること以外は、実施形態1と同様な構成であり、実施形態1と同様な効果を発揮する。
上記の実施形態2〜3の二次電池1はラミネート型又はコイン型の電池に適用しているが、本発明はこれらの形態に限定されるものではない。例えば、本形態のラミネート型の不定形の二次電池1やコイン型の二次電池1以外に、円筒型,角型等、種々の形状の電池とすることができる。
さらに、二次電池1を直列及び/又は並列に組み合わせた組電池を形成してもよい。
以下、実施例を用いて本発明を具体的に説明する。
本発明を具体的に説明するための実施例として、実施形態2に示したリチウムイオン二次電池1を製造した。なお、実施例では、変形形態1で示した、微細粒子の添加を負極3のみに行った例を用いた。すなわち、本発明の製造方法を負極3に適用した例を用いて具体的に説明する。
(実施例1)
(負極)
本例の負極は、以下のように作製した。なお、負極活物質として平均粒径(D50)が10μmの天然黒鉛を用いた。被覆ポリマーとしてCMCを用いていた。微細粒子として平均粒径(D50)が100nm(0.1μm)のアルミニウム粒子(Al粒子)を用いた。Al粒子は、その平均粒子径が負極活物質の平均粒子径の1.0%である。バインダとしてSBRを用いた。なお、アルミニウム粒子は、その表面に酸化被膜(不動態被膜)が形成されている。
負極活物質:97.5質量部、被覆ポリマー:0.1質量部に溶媒として水を加え前駆体混合物を得た(混合工程)。このとき、前駆体混合物の固形分は天然黒鉛及びCMCからなり、前駆体混合物の液状分は水であり、前駆体混合物の固形分濃度が80質量%となるように液状分の水で調製した。
得られた前駆体混合物をプラネタリーミキサーを用い、5.5A、10rpmで30分間固練りを行って負極活物質の表面にCMCを優先的に被覆した混合物を得た(攪拌工程)。
得られた前駆体混合物に、さらに、結着材としてのCMC:0.4質量部(全体として0.5質量部となる量)、SBRを1.0質量部とともに、溶媒としての水を加え二軸混練機を用い混練した。このとき、5.2A、25rpmで10分間、プラネタリーミキサーで混練した。また、負極スラリーの固形分濃度は最終的に50質量%となるように液状分の水で調製した。
得られた負極の前駆体混合物は、固形分として負極活物質、被覆ポリマー、結着材からなり、その質量比率(質量%)は、負極活物質:被覆ポリマー:結着材=97.5:0.5:1.0となっている。
次に、負極の前駆体混合物に、Al粒子とともに溶媒としての水を添加する(添加工程)。このとき、Al粒子は、水系の溶媒に分散した分散液として添加する。Al粒子が添加された前駆体混合物は、5.2A、25rpmで10分間、プラネタリーミキサーで混練した(合材調製工程)。また、負極合材の固形分濃度は最終的に48質量%となるように液状分の水で調製した。
以上により、本例の負極合材が調製された。負極合材の降伏応力を測定したところ、2.13Paであった。
本例の負極合材は、固形分における質量比率(質量%)で、負極活物質:Al粒子:CMC:SBR=97.5:1.0:0.5:1.0となっている。
負極合材を負極集電体30である銅箔に塗布し(塗布工程)、その後、150℃で20秒乾燥させ(乾燥工程)、負極活物質層を負極集電体表面に備えた負極シートを作製した。そして、所望の大きさに形成してリチウムイオン二次電池用の負極3を得た。
(正極)
正極活物質としてLiFePOを90質量%と、導電材としてアセチレンブラック(AB)を5質量%と、結着材としてポリフッ化ビニリデン(PVDF)を5質量%とを混合し、これら材料をNMPに分散させて正極合材を調製した。この正極合材をアルミニウム箔の正極集電体表面に塗布し乾燥させた後、正極シートを作製した。そして、所望の大きさに形成してリチウムイオン二次電池1の正極2を得た。
得られた負極3と正極2との間にポリプロピレンからなるセパレータ5を介在させ、非水電解質4を用いて、ドライボックス中でラミネート型のリチウムイオン二次電池を組み立てた。
非水電解質4は、エチレンカーボネート(EC)30体積%とジメチルカーボネート(DMC)30体積%とエチルメチルカーボネート(EMC)30体積%との混合溶媒に、LiPFを1モル/リットルとなるように溶解させて調製されている。また、非水電解質4は、添加剤としてビニレンカーボネート(VC)が1体積%となるように添加されている。
以上により、実施例1のリチウムイオン二次電池1を製造した。本例及び以下の各例の二次電池1の構成を表1に示した。
Figure 2017091701
(実施例2)
本例は、微細粒子として酸化鉄(Fe)粒子を用いた例である。酸化鉄粒子は、平均粒径(D50)が100nm(0.1μm)である。酸化鉄粒子は、その平均粒子径が負極活物質の平均粒子径の1%である。
また、本例では、負極合材が、固形分における質量比率(質量%)で、負極活物質:酸化鉄粒子:CMC:SBR=97.5:1.0:0.5:1.0となっている。負極合材の降伏応力を測定したところ、2.25Paであった。
その他については、実施例1と同様の方法により本例のリチウムイオン二次電池1が製造された。
(実施例3)
本例は、微細粒子として酸化モリブデン(MoO)粒子を用いた例である。酸化モリブデン粒子は、平均粒径(D50)が100nm(0.1μm)である。酸化モリブデン粒子は、その平均粒子径が負極活物質の平均粒子径の1%である。
また、本例では、負極合材が、固形分における質量比率(質量%)で、負極活物質:酸化モリブデン:CMC:SBR=97.5:1.0:0.5:1.0となっている。負極合材の降伏応力を測定したところ、2.09Paであった。
その他については、実施例1と同様の方法により本例のリチウムイオン二次電池1が製造された。
その他については、実施例1と同様の方法により本例のリチウムイオン二次電池1が製造された。
(実施例4)
本例は、微細粒子として酸化コバルト(Co)粒子を用いた例である。酸化コバルト粒子は、平均粒径(D50)が100nm(0.1μm)である。酸化コバルト粒子は、その平均粒子径が負極活物質の平均粒子径の1%である。
また、本例では、負極合材が、固形分における質量比率(質量%)で、負極活物質:酸化コバルト:CMC:SBR=97.5:1.0:0.5:1.0となっている。負極合材の降伏応力を測定したところ、2.54Paであった。
その他については、実施例1と同様の方法により本例のリチウムイオン二次電池1が製造された。
(実施例5)
本例は、微細粒子としてカーボンナノチューブ(CNT)を用いた例である。CNTは、平均粒径(D50)が15nm(0.015μm)である。CNTは、その平均粒子径が負極活物質の平均粒子径の0.15%である。
本例では、負極合材が、固形分における質量比率(質量%)で、負極活物質:CNT:CMC:SBR=97.5:1.0:0.5:1.0となっている。負極合材の降伏応力を測定したところ、3.33Paであった。
その他については、実施例1と同様の方法により本例のリチウムイオン二次電池1が製造された。
(実施例6)
本例は、微細粒子として、CNT、アルミニウム、酸化鉄(Fe)、酸化コバルト(Co)を合わせて用いた例である。各粒子は、実施例1,2,4,5に用いた粒子である。微細粒子は、その平均粒子径が負極活物質の平均粒子径の1%として扱う。
また、本例では、負極合材が、固形分における質量比率(質量%)で、負極活物質:アルミニウム:酸化鉄:酸化コバルト:CNT:CMC:SBR=97.5:0.3:0.3:0.3:0.1:0.5:1.0となっている。負極合材の降伏応力を測定したところ、2.51Paであった。
その他については、実施例1と同様の方法により本例のリチウムイオン二次電池1が製造された。
(比較例1)
本例は、微細粒子を用いない例である。
また、本例では、負極合材が、固形分における質量比率(質量%)で、負極活物質:SBR=98.3:0.7:1.0となっている。負極合材の降伏応力を測定したところ、2.06Paであった。
その他については、実施例1と同様の方法により本例のリチウムイオン二次電池1が製造された。
(比較例2)
本例は、攪拌工程を行わなかった以外は、比較例1と同様な例である。
本例の負極合材は、固形分における質量比率(質量%)で、負極活物質:CMC:SBR=98.0:1.0:1.0となっている。負極合材の降伏応力を測定したところ、2.04Paであった。
その他については、実施例1と同様の方法により本例のリチウムイオン二次電池1が製造された。
(比較例3)
本例は、攪拌工程を行わなかった以外は、実施例6と同様な例である。
また、本例では、負極合材が、固形分における質量比率(質量%)で、負極活物質:アルミニウム:酸化鉄:酸化コバルト:CNT:CMC:SBR=97.5:0.3:0.3:0.3:0.1:0.5:1.0となっている。負極合材の降伏応力を測定したところ、0.65Paであった。
その他については、実施例6と同様の方法により本例のリチウムイオン二次電池1が製造された。
本例では、微細粒子が負極合材に十分に分散されず、負極活物質層31にも部分的に偏在している(均一に分散していなかった)。
(比較例4)
本例は、攪拌工程時にアルミニウム分散液を同時投入した。それ以外は、実施例1と同様な例である。
また、本例では、負極合材が、固形分における質量比率(質量%)で、負極活物質:アルミニウム:CMC:SBR=97.5:1.0:0.5:1.0となっている。負極合材の降伏応力は、0.52Paであった。
その他については、実施例2と同様の方法により本例のリチウムイオン二次電池1が製造された。
本例では、微細粒子が負極合材に十分に分散されず、負極活物質層31にも部分的に偏在している(均一に分散していなかった)。
[評価]
上記の各例の二次電池1の評価として、初期容量、初期入力抵抗、及び常温耐久後のサイクル試験後の容量維持率の評価を行った。
なお、容量維持率の評価は、実施形態3のコイン型二次電池において、正極2に替えて金属リチウムよりなる対極を用いたハーフセル型の試験セルを用いて行われた。
(初期入力抵抗)
まず、各例の二次電池1に対して、初期入力抵抗を算出した。
具体的には、定電流定電圧(CC−CV)充電によって各例のリチウムイオン二次電池をSOC50%の充電状態に調整した。その後、25℃において、4Cの電流値で20秒間の放電を行い、放電開始から20秒後の電圧降下量から初期入力抵抗を算出した。そして、比較例1の初期入力抵抗値を100%とした場合の比(初期入力抵抗値比)を求め、表2に示した。
(容量維持率)
次に、各例の試験セルをCC−CV充電により満充電した後、60℃で4週間保存した。
保存後の各例の試験セルに対して、1Cレートで4.5VのCC−CV充電と、1Cレートで3.0VのCC放電と、を1000サイクル繰り返す充放電試験を行った。
そして、充放電試験の初回と1000サイクル後の試験セルの電池容量を0.1Cのレートで測定した。(1000サイクル後の容量)/(初回の容量)で表される容量維持率を求めた。得られた容量維持率は、比較例1の容量維持率を100%とした場合の比(容量維持率比)として表2に合わせて示した。
合わせて、各例の初回の容量を、比較例1の初回容量を100%とした場合の比(初回容量比)として表2に合わせて示した。
Figure 2017091701
表1に示したように、各実施例において製造された負極合材は、降伏応力が2.0Pa以上となっている。これらの負極合材は、塗布性に優れたものとなっていた。
対して、各比較例の負極合材は、降伏応力が0.65〜0.52Paとなっており、塗布性が大きく低下していた。詳しくは、比較例3〜4では、微細粒子が負極合材に十分に分散されていなかった。特に、比較例4では、添加された微細粒子が負極活物質と凝集体を形成し、分散性が低下していた。
さらに、比較例1と比較例2を比較すると、攪拌工程を行って負極活物質粒子の表面をCMCで被覆することで、行わない場合と比較して、CMCの添加量をおよそ0.3(質量%)低減させることができた。そして、初期入力抵抗から明らかなように、このCMCの使用量の低減により、負極3の抵抗を大幅に低減させることが確認できる。
比較例1と実施例1〜5を比較すると、微細粒子をCNTから導電性の金属酸化物粒子に変更しても、実施例1と同様に、初期入力抵抗を大幅に低減させることが確認できる。
なお、実施例1〜4は、初回容量比で示したように、比較例1よりも初回放電容量が向上している。つまり、微細粒子として、導電性の金属酸化物粒子を用いることで、負極3の容量を向上できる。
実施例1〜4と実施例6を比較すると、微細粒子にCNTを更に含有させることで、容量維持率を改善できることが確認できる。これは、微細粒子に含有したCNTが、充放電の繰り返しに伴う体積膨張収縮による負極活物質粒子の微細化を緩衝することによる。
以上に説明したように、前駆体混合物に微細粒子を添加した負極合材は、負極活物質粒子間の斥力を制御でき、塗布性が向上した合材となっている。
そして、この負極合材から製造された負極3及び二次電池1は、入力抵抗が低減するとともに、サイクル試験後の容量維持率を向上できることが確認できた。
1:リチウムイオン二次電池
2:正極 20:正極集電体 21:正極活物質層
3:負極 30:負極集電体 31:負極活物質層
4:非水電解質
5:セパレータ
6,7:電池ケース
60:ラミネートフィルム 61:平板部 62:封止部
63:槽状部 64:シーラント 65:正極端子
66:負極端子
71:正極ケース 72:負極ケース 73:シール材
74:保持部材

Claims (12)

  1. 電極活物質粒子と、被覆ポリマーと、を溶媒に分散して前駆体混合物を生成する混合工程(S1)と、
    平均粒子径が該電極活物質粒子の10%以下の微細粒子を該前駆体混合物に添加して分散溶液を調製する添加工程(S3)と、
    該分散溶液を攪拌して電極合材を調製する合材調製工程(S4)と、
    を有する非水電解質二次電池用電極(2,3)の製造方法。
  2. 前記前駆体混合物は、前記添加工程が施される前に、せん断応力を付与する攪拌工程(S2)が施される請求項1記載の非水電解質二次電池用電極の製造方法。
  3. 前記微細粒子は、前記分散溶液の降伏応力が2.00Pa以上となるように添加される請求項1〜2のいずれか1項に記載の非水電解質二次電池用電極の製造方法。
  4. 前記電極活物質粒子は、正極活物質粒子、負極活物質粒子の少なくとも一方である請求項1〜3のいずれか1項に記載の非水電解質二次電池用電極の製造方法。
  5. 前記微細粒子は、炭素,アルミニウム,鉄,コバルト,モリブデン,ニッケル,マンガンより選ばれる元素、その酸化物よりなる導電性粒子である請求項1〜4のいずれか1項に記載の非水電解質二次電池用電極の製造方法。
  6. 前記被覆ポリマーは、スチレンブタジエンラバー,カルボキシメチルセルロース,ポリアクリル酸,ポリフッ化ビニリデン,エチルヒドロキシエチルセルロース,シアノエチルセルロース,ポリビニルピロリドン、又はこれらの塩のうち少なくとも一種を含む請求項1〜5のいずれか1項に記載の非水電解質二次電池用電極の製造方法。
  7. 前記溶媒は、水系溶媒、又は有機系溶媒である請求項1〜6のいずれか1項に記載の非水電解質二次電池用電極の製造方法。
  8. 集電体(20,30)と、
    該集電体の表面に形成された、表面に被覆ポリマーの被膜を備えた電極活物質粒子と、均一に分散した状態で該電極活物質粒子の間に介在する、平均粒子径が該電極活物質粒子の10%以下の導電材粒子と、を有する電極活物質層(21,31)と、
    を備えた非水電解質二次電池用電極(2,3)。
  9. 前記電極活物質粒子は、正極活物質粒子、負極活物質粒子の少なくとも一方である請求項8記載の非水電解質二次電池用電極。
  10. 前記微細粒子は、炭素,アルミニウム,鉄,コバルト,モリブデン,ニッケル,マンガンより選ばれる元素、その酸化物よりなる導電性粒子である請求項8〜9のいずれか1項に記載の非水電解質二次電池用電極。
  11. 前記被覆ポリマーは、スチレンブタジエンラバー,カルボキシメチルセルロース,ポリアクリル酸,ポリフッ化ビニリデン,エチルヒドロキシエチルセルロース,シアノエチルセルロース,ポリビニルピロリドン、又はこれらの塩のうち少なくとも一種を含む請求項8〜10のいずれか1項に記載の非水電解質二次電池用電極。
  12. 請求項8〜11のいずれか1項に記載の非水電解質二次電池用電極(2,3)を有することを特徴とする非水電解質二次電池(1)。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2023503203A (ja) * 2020-10-15 2023-01-27 寧徳新能源科技有限公司 電気化学装置及び電子装置
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