JP6376959B2 - トナー - Google Patents
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Description
トナー画像を紙のような転写材に定着する方法に関しては、種々の方法が開発されている。例えば、熱ローラーと加圧ローラーによってトナー画像を転写材に定着させる熱ローラー定着法や、フィルムを介して加熱体に加圧部材を密着させてトナー画像を転写材に定着させるフィルム定着法がある。
これらの定着方法は、熱ローラーやフィルムの表面と転写材上のトナー画像とが接触するため、トナー画像を転写材上に融着させる際の熱効率が良好であり、迅速に定着を行うことができる。そのため、これらの定着方法は複合機やプリンターにおいて広く採用されている。
画像形成装置の省エネルギー化の有効な手段の一つとして、熱ローラーやフィルムといった定着部材の設定温度を低くすることが挙げられる。しかし、そのためには、トナーの低温定着性をさらに向上させなければならない。トナーにおいて低温定着性を良くするための一つの方法としては、結晶性の樹脂を用いてトナーの軟化点をより低く設定することが提案されている。これらの対策により、結晶性樹脂によるシャープメルト性を利用し、トナーの軟化温度をより低く設定することが可能となり低温定着性を良化させることができるようになった。
しかし、上記のトナーは、トナーの一部(特に低粘性である結晶性樹脂)がこれら定着部材の表面に付着してしまい、次の転写材にこの熱ローラーやフィルムに付着したトナーが再転移してしてしまうというオフセット現象が生じることがあった。このような問題に対し、結晶性と非晶性のブロック樹脂を結着樹脂として使用することが提案されている(特許文献1参照)。これらの対策により、定着部材へのオフセットが低減し、広い温度領域において安定した定着性を有するトナーが得られるようになった。
また、複合機やプリンターの高機能化が進み、長期に亘って連続高速プリントが要求される複合機やプリンターにおいては、従来のトナーを用いてプリントを連続して行った場合、十分な耐久性が得られず現像器への融着が起こることがあり、それにより画像不良の発生を引き起こしてしまうことがあった。
そのため、低温定着性に優れ、幅広い定着可能領域を維持しつつ、長期に亘って良好な
トナー画像を形成することが可能なトナーが求められている。
本発明の目的は、低温定着性に優れ、幅広い定着温度領域を維持しつつ、長期に亘って良好なトナー画像を形成し得ることが可能なトナーを提供することである。
前記ブロックポリマーが、ポリエステル部位およびビニルポリマー部位を有し、
前記ブロックポリマーの融点(Tm)が、55℃以上90℃以下であって、
前記ポリエステル部位が、下記式(1)〜(3)で示される構造から選択される、少なくとも2つの構造を有するか、または下記式(3)で示される構造を有し、
前記ポリエステル部位のソルビリティパラメータ(SP)値が、9.40以上9.85以下であり、
前記ビニルポリマー部位の重量平均分子量(Mw)が、4000以上15000以下である
ことを特徴とするトナー。
本発明のトナーは、スチレンアクリル樹脂およびブロックポリマーを含有する結着樹脂を含有するトナー粒子を有するトナーであって、
前記ブロックポリマーが、ポリエステル部位およびビニルポリマー部位を有し、
前記ブロックポリマーの融点が、55℃以上90℃以下であって、
前記ポリエステル部位が、下記式(1)〜(3)で示される構造(下記式(1)〜(3)で示されるユニット)から選択される、少なくとも2つの構造を有するか、または下記式(3)で示される構造を有し、
前記ポリエステル部位のソルビリティパラメータ(SP)値が、9.40以上9.85以下であり、
前記ビニルポリマー部位の重量平均分子量(Mw)が、4000以上15000以下であることを特徴とする。
好ましくは前記ポリエステル部位が、式(1)で示される構造、および式(2)で示される構造を有する。
久性が得られにくく、スジなどの画像弊害が発生しやすくなる。また、樹脂の結晶部位は帯電のリークサイトとして働くため帯電特性が著しく劣りカブリなどが発生しやすい。本発明では、スチレンアクリル樹脂と、特定の構成とソルビリティパラメータ(SP)値を有するブロックポリマーとを結着樹脂として併用することで低温定着性および定着領域幅を維持しつつ、上記課題を解決することができることを見出した。上記特定のブロックポリマーを用いるとトナー中ではスチレンアクリル樹脂とブロックポリマーが相分離構造を取る。これにより、スチレンアクリル樹脂の強靭性が保たれ高耐久性が得られる。また、帯電のリークサイトとなりうるブロックポリマーのポリエステル部位(結晶部位)がトナー表面に出ることなく、帯電特性に優れ、高温高湿環境下においてもカブリが少ない良好な画像を長期に亘って得ることができる。
一方、定着プロセスにおいては、トナーに熱が供給されるとブロックポリマーがビニルポリマー部位を起点としてスチレンアクリル樹脂に瞬時に相溶し可塑効果を発揮する。それによりトナーの軟化点が下がり低温定着性が達成される。また、ブロックポリマー自身もビニルポリマー部位を有することで、溶融後、定着に必要な適度な粘度を持つことで、結着樹脂として働き低温定着性が相乗的に達成される。さらに、本発明のトナーはスチレンアクリル樹脂が主な結着樹脂となっているため溶融後のトナーの粘度は維持され幅広い温度領域で定着可能となる。
SP値は、添加するモノマーの種類と量によって制御することができる。SP値を大きくするためには、例えば、SP値の大きいモノマーを添加すればよい。一方、SP値を小さくするためには、例えば、SP値の小さいモノマーを添加すればよい。
HOOC−(CH2)m−COOH 式(A)
[式中、mは、6以上14以下(好ましくは6以上10以下)の整数を示す]
HO−(CH2)n−OH 式(B)
[式中、nは、6以上16以下(好ましくは6以上12以下)の整数を示す]
ジカルボン酸は、ポリエステル部位に同じ部分骨格を生成するものであれば、カルボキシル基が(好ましくは炭素数1〜4の)アルキルエステル化した化合物または酸無水物化した化合物等を用いてもよい。
上記ポリエステル部位を採用することで、SP値、融点を所望の値にすることができる。
ジオールとしては、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,7−ヘプタンジオール、1,9−ノナンジオール、1,10−デカンジオール、1,12−ドデカンジオールなどが好ましい。
また、ポリエステル部位の生成には、炭素数6〜16のモノヒドロキシモノカルボン酸を用いることもできる。モノヒドロキシモノカルボン酸を用いることで、ポリエステル部位が式(3)で示される構造を有する。
モノヒドロキシモノカルボン酸としては、例えば、6−ヒドロキシヘキサン酸、7−ヒドロキシヘプタン酸、8−ヒドロキシオクタン酸、9−ヒドロキシノナン酸、10−ヒドロキシデカン酸、11−ヒドロキシウンデカン酸、12−ヒドロキシドデカン酸、13−ヒドロキシトリデカン酸、14−ヒドロキシテトラデカン酸などが挙げられる。これらのモノヒドロキシモノカルボン酸は反応においてラクトンまたはアルキルエステルの形で用いてもよい。
ビニルポリマー部位の重量平均分子量(Mw)と数平均分子量(Mn)の比(Mw/Mn)は、1.3以上3.5以下であることが好ましい。より好ましくは、1.5以上3.0以下である。Mw/Mnが1.3以上であれば、分子量幅が広いため、ブロックポリマーの定着領域が広くなる。Mw/Mnが3.5以下であれば、分子量のバラツキが小さくなり、低分子成分による耐熱性、耐久性の低下や高分子成分によるグロスの低下などが起こりにくくなる。
重量平均分子量(Mw)および数平均分子量(Mn)は、開始剤の量、添加タイミング、反応温度などにより制御することができる。
ブロックポリマーの融点は、ポリエステル部位を生成するモノマーやポリエステル部位とビニルポリマー部位の比率により制御することができる。
ブロックポリマーの含有量は、結着樹脂中に2.0質量%以上50.0質量%以下の範囲であることが好ましく、6.0質量%以上50.0質量%以下の範囲であることがより好ましい。2.0質量%(より好ましくは6.0質量%以上)以上であれば、本発明の効果である溶融時の可塑効果およびブロックポリマーによる結着効果が得られやすくなり、低温定着性が向上する。50.0質量%以下であれば、結晶性のポリエステル部位からの帯電リークが起きにくく、帯電性が低下しにくく、カブリが発生しにくくなる。また、耐ストレス性も低下しにくいため、耐久性が低下しにくく、現像スジなどの画像弊害が発生しにくくなる。ブロックポリマーの含有量は、より好ましくは、10.0質量%以上45.0質量%以下、さらに好ましくは20.0質量%以上40.0質量%以下である。
の範囲であることがより好ましい。40:60以上であれば、ポリエステル部位の特性が大きくなるため、シャープメルト性が十分になり、低温定着性に優れる。80:20以下(より好ましくは70:30以下)であれば、ポリエステル部位の特性が強く出すぎず、耐熱性の悪化を起こしにくく、ブロッキングが発生しにくくなる。より好ましくは、45:55〜60:40である。
なお、ブロックポリマーの定義としては、線状に連結した複数のブロックで構成されたポリマー(高分子学会 国際純正応用化学連合高分子命名法委員会による高分子科学の基本的術語の用語集)とあり、本発明もその定義に従う。
メチルアクリレート、エチルアクリレート、n−プロピルアクリレート、iso−プロピルアクリレート、n−ブチルアクリレート、iso−ブチルアクリレート、tert−ブチルアクリレート、n−アミルアクリレート、n−ヘキシルアクリレート、2−エチルヘキシルアクリレート、n−オクチルアクリレート、n−ノニルアクリレート、シクロヘキシルアクリレート、ベンジルアクリレート、ジメチルフォスフェートエチルアクリレート、ジエチルフォスフェートエチルアクリレート、ジブチルフォスフェートエチルアクリレート、および、2−ベンゾイルオキシエチルアクリレートのようなアクリル系重合性単量体類;
メチルメタクリレート、エチルメタクリレート、n−プロピルメタクリレート、iso−プロピルメタクリレート、n−ブチルメタクリレート、iso−ブチルメタクリレート、tert−ブチルメタクリレート、n−アミルメタクリレート、n−ヘキシルメタクリレート、2−エチルヘキシルメタクリレート、n−オクチルメタクリレート、n−ノニルメタクリレート、ジエチルフォスフェートエチルメタクリレート、および、ジブチルフォスフェートエチルメタクリレートのようなメタクリル系重合性単量体類が挙げられる。
多官能性重合性単量体としては、ジエチレングリコールジアクリレート、トリエチレン
グリコールジアクリレート、テトラエチレングリコールジアクリレート、ポリエチレングリコールジアクリレート、1,6−ヘキサンジオールジアクリレート、ネオペンチルグリコールジアクリレート、トリプロピレングリコールジアクリレート、ポリプロピレングリコールジアクリレート、2,2’−ビス(4−(アクリロキシジエトキシ)フェニル)プロパン、トリメチロールプロパントリアクリレート、テトラメチロールメタンテトラアクリレート、エチレングリコールジメタクリレート、ジエチレングリコールジメタクリレート、トリエチレングリコールジメタクリレート、テトラエチレングリコールジメタクリレート、ポリエチレングリコールジメタクリレート、1,3−ブチレングリコールジメタクリレート、1,6−ヘキサンジオールジメタクリレート、ネオペンチルグリコールジメタクリレート、ポリプロピレングリコールジメタクリレート、2,2’−ビス(4−(メタクリロキシジエトキシ)フェニル)プロパン、2,2’−ビス(4−(メタクリロキシポリエトキシ)フェニル)プロパン、トリメチロールプロパントリメタクリレート、テトラメチロールメタンテトラメタクリレート、ジビニルベンゼン、ジビニルナフタリン、および、ジビニルエーテルが挙げられる。
以下、本発明に用いられるトナー粒子の製造方法の中で最も好適な懸濁重合法を用いて、トナー粒子の製造方法を説明する。
懸濁重合法のよう水系媒体を用いる重合法の場合には、上記重合性単量体組成物に極性樹脂を添加することが好ましい。極性樹脂を添加することにより、ブロックポリマーやワックスの内包化の促進を図ることができる。
水系媒体に懸濁した重合性単量体組成物中に極性樹脂が存在する場合、水に対する親和性の違いから、極性樹脂が水系媒体と重合性単量体組成物との界面付近に移行しやすいため、トナー粒子の表面に極性樹脂が偏在することになる。その結果、トナー粒子はコア−シェル構造を有する。
極性樹脂としては、ポリエステル系樹脂またはカルボキシル含有スチレン系樹脂が好ましい。極性樹脂としてポリエステル系樹脂またはカルボキシル含有スチレン系樹脂を用いることで、当該樹脂がトナー粒子の表面に偏在してシェルを形成した際に、当該樹脂自身のもつ潤滑性が期待できる。
アルコール成分単量体としては、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、1,2−プロピレングリコール、1,3−プロピレングリコール、1,4−ブタンジオール、ネオペンチルグリコール、1,4−ビス(ヒドロキシメチル)シクロヘキサンのアルキレングリコール類およびポリアルキレングリコール類、ビスフェノールA、水素添加ビスフェノール、ビスフェノールAのエチレンオキサイド付加物、ビスフェノールAのプロピレンオキサイド付加物、グリセリン、トリメチロールプロパン、および、ペンタエリスリトールが挙げられる。
また、カルボキシル基含有スチレン系樹脂は1級または2級の水酸基を有するモノマーを含有していることがより好ましい。具体的な重合体組成物としては、スチレン−2−ヒドロキシエチルメタクリレート−メタクリル酸−メタクリル酸メチル共重合体、スチレン−n−ブチルアクリレート−2−ヒドロキシエチルメタクリレート−メタクリル酸−メタクリル酸メチル共重合体、スチレン−α−メチルスチレン−2−ヒドロキシエチルメタクリレート−メタクリル酸−メタクリル酸メチル共重合体などを挙げることができる。1級または2級の水酸基を有するモノマーを含有した樹脂は極性が大きく、長期放置安定性がより良好となる。
本発明に用いられるワックス成分の融点は30℃以上120℃以下の範囲であることが好ましく、より好ましくは60℃以上100℃以下の範囲であることが好ましい。
上記のような熱特性を呈するワックス成分を用いることにより、得られるトナーの良好な定着性はもとより、ワックス成分による離型効果が効率良く発現され、十分な定着領域が確保される。
シアン系着色剤としては、銅フタロシアニン化合物およびその誘導体、アントラキノン化合物、および、塩基染料レーキ化合物が挙げられる。具体的には、以下のものが挙げられる。C.I.ピグメントブルー1、C.I.ピグメントブルー7、C.I.ピグメントブルー15、C.I.ピグメントブルー15:1、C.I.ピグメントブルー15:2、C.I.ピグメントブルー15:3、C.I.ピグメントブルー15:4、C.I.ピグメントブルー60、C.I.ピグメントブルー62、および、C.I.ピグメントブルー66。
エロー175、C.I.ピグメントイエロー176、C.I.ピグメントイエロー180、C.I.ピグメントイエロー181、C.I.ピグメントイエロー185、C.I.ピグメントイエロー191、および、C.I.ピグメントイエロー194。
これらの着色剤は、単独または混合しさらには固溶体の状態で用いることができる。本発明に用いられる着色剤は、色相角、彩度、明度、耐光性、OHP透明性、および、トナー粒子中の分散性の点から選択される。
該着色剤は、結着樹脂100.0質量部に対して1.0質量部以上20.0質量部以下用いることが好ましい。
また、カーボンブラックについては、上記染料と同様の疎水化処理の他、カーボンブラックの表面官能基と反応する物質(ポリオルガノシロキサン)で処理を行ってもよい。
荷電制御剤としてはトナーを負荷電性に制御するものと正荷電性に制御するものがある。トナーを負荷電性に制御するものとしては、以下のものが挙げられる。モノアゾ金属化合物、アセチルアセトン金属化合物、芳香族オキシカルボン酸、芳香族ダイカルボン酸、オキシカルボン酸およびダイカルボン酸系の金属化合物、芳香族オキシカルボン酸、芳香族モノおよびポリカルボン酸およびその金属塩、無水物、エステル類、ビスフェノールのようなフェノール誘導体類、尿素誘導体、含金属サリチル酸系化合物、含金属ナフトエ酸系化合物、ホウ素化合物、4級アンモニウム塩、カリックスアレーン、および、荷電制御樹脂が挙げられる。
これら荷電制御剤は、単独でまたは2種類以上組み合わせて添加してもよい。
これら荷電制御剤の中でも、含金属サリチル酸系化合物が好ましく、特にその金属がアルミニウムもしくはジルコニウムであるものが好ましい。
荷電制御剤の添加量は、結着樹脂100.0質量部に対して0.01質量部以上20.0質量部以下であることが好ましく、より好ましくは0.5質量部以上10.0質量部以下である。
たはスルホン酸エステル基を有する重合体としては、特にスルホン酸基含有アクリルアミド系モノマーまたはスルホン酸基含有メタクリルアミド系モノマーを共重合比で2質量%以上含有することが好ましく、より好ましくは5質量%以上含有することである。荷電制御樹脂は、ガラス転移温度(Tg)が35℃以上90℃以下、ピーク分子量(Mp)が10,000以上30,000以下、重量平均分子量(Mw)が25,000以上50,000以下であるものが好ましい。これを用いた場合、トナー粒子に求められる熱特性に影響を及ぼすことなく、好ましい摩擦帯電特性を付与することができる。さらに、荷電制御樹脂がスルホン酸基を含有しているため、着色剤の分散液中の荷電制御樹脂自身の分散性、および、着色剤の分散性が向上し、着色力、透明性、および、摩擦帯電特性をより向上させることができる。
アゾ系重合開始剤としては、2,2’−アゾビス−(2,4−ジメチルバレロニトリル)、2,2’−アゾビスイソブチロニトリル、1,1’−アゾビス(シクロヘキサン−1−カルボニトリル)、2,2’−アゾビス−4−メトキシ−2,4−ジメチルバレロニトリル、および、アゾビスメチルブチロニトリルなどが挙げられる。
重合開始剤は、10時間半減期温度を参考に選択され、単独または混合して利用される。前記重合開始剤の添加量は、目的とする重合度により変化するが、一般的には重合性単量体100.0質量部に対し0.5質量部以上20.0質量部以下が添加される。
また、重合度を制御するため公知の連鎖移動剤、および、重合禁止剤をさらに添加し用いることも可能である。
これら分散安定剤の中で、無機化合物の分散安定剤を用いる場合、市販のものをそのまま用いてもよいが、より細かい粒径の分散安定剤を得るために、水系媒体中で該無機化合物を生成させてもよい。例えば、リン酸三カルシウムの場合、高撹拌下において、リン酸ナトリウム水溶液と塩化カルシウム水溶液を混合することで得られる。
シリカ微粒子としては、ケイ素ハロゲン化物の蒸気相酸化により生成された乾式シリカまたはヒュームドシリカ、および、水ガラスから製造される湿式シリカが挙げられる。無機微粒子としては、表面およびシリカ微粒子の内部にあるシラノール基が少なく、またNa2O、SO3 2−の少ない乾式シリカの方が好ましい。また、乾式シリカは、製造工程において、塩化アルミニウム、塩化チタン他のような金属ハロゲン化合物をケイ素ハロゲン化合物と共に用いることによって、シリカと他の金属酸化物の複合微粒子であってもよい。
無機微粒子は、その表面を処理剤によって疎水化処理することによって、トナーの摩擦帯電量の調整、環境安定性の向上、および、高温高湿下での流動性の向上を達成することができるので、疎水化処理された無機微粒子を用いることが好ましい。トナーに外添された無機微粒子が吸湿すると、トナーの摩擦帯電量、および、流動性が低下し、現像性や転写性の低下が生じやすくなる。
無機微粒子の総添加量は、トナー粒子100.0質量部に対して1.0質量部以上5.0質量部以下であることが好ましく、より好ましくは1.0質量部以上2.5質量部以下である。外添剤は、トナーに添加したときの耐久性の点から、トナー粒子の平均粒径の1/10以下の粒径であることが好ましい。
<SP値の計算方法>
本発明におけるSP値は、Fedorsの式(3)を用いて求めた。ここでのΔei、および、Δviの値は著「コーティングの基礎科学」54〜57頁、1986年(槇書店)の表3〜9による原子および原子団の蒸発エネルギーとモル体積(25℃)」を参照に
した。
δi=[Ev/V]^(1/2)=[Δei/Δvi]^(1/2) 式(3)
Ev:蒸発エネルギー
V:モル体積
Δei:i成分の原子または原子団の蒸発エネルギー
Δvi:i成分の原子または原子団のモル体積
例えば、ヘキサンジオールは、原子団(−OH)×2+(−CH2)×6から構成され、計算SP値は下記式で求められる。
δi=[Δei/Δvi]^(1/2)=[{(5220)×2+(1180)×6}/{(13)×2+(16.1)×6}]^(1/2)
SP値(δi)は11.95となる。
ブロックポリマーの重量平均分子量(Mw)および数平均分子量(Mn)は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)により、以下のようにして測定する。
まず、室温で、ブロックポリマーをテトラヒドロフラン(THF)に溶解する。そして、得られた溶液を、ポア径が0.2μmの耐溶剤性メンブランフィルター「マエショリディスク」(東ソー社製)で濾過してサンプル溶液を得る。なお、サンプル溶液は、THFに可溶な成分の濃度が0.8質量%となるように調整する。このサンプル溶液を用いて、以下の条件で測定する。
装置:高速GPC装置「HLC−8220GPC」[東ソー(株)製]
カラム:LF−604の2連
溶離液:THF
流速:0.6ml/min
オーブン温度:40℃
試料注入量 :0.020ml
試料の分子量の算出にあたっては、標準ポリスチレン樹脂(例えば、商品名「TSKスタンダード ポリスチレン F−850、F−450、F−288、F−128、F−80、F−40、F−20、F−10、F−4、F−2、F−1、A−5000、A−2500、A−1000、A−500」、東ソー社製)を用いて作成した分子量校正曲線を使用する。
具体的な方法は、ブロックポリマー30mgにジオキサン5ml、10wt%の水酸化カリウム水溶液1mlを加え、温度70℃で6時間振とうさせてポリエステル部位を加水分解させる。その後、溶液を乾燥させて、ビニルポリマー部位の分子量の測定用試料を作成する。その後の操作は、ブロックポリマーと同様に行う。
ブロックポリマーのポリエステル部位とビニルポリマー部位の比率は核磁気共鳴分光分析(1H−NMR)[400MHz、CDCl3、室温(25℃)]を用いて行った。
測定装置:FT NMR装置 JNM−EX400(日本電子社製)
測定周波数:400MHz
パルス条件:5.0μs
周波数範囲:10500Hz
積算回数:64回
得られたスペクトルの積分値からポリエステル部位とビニルポリマー部位の質量比(C/A比)を算出した。
ブロックポリマーの融点(Tm)は、示差走査熱量分析装置「Q1000」(TA Instruments社製)を用いてASTM D3418−82に準じて測定する。
装置検出部の温度補正はインジウムと亜鉛の融点を用い、熱量の補正についてはインジウムの融解熱を用いる。
具体的には、ブロックポリマー5mgを精秤し、これをアルミニウム製のパンの中に入れ、リファレンスとして空のアルミニウム製のパンを用い、測定温度範囲30〜200℃の間で、昇温速度10℃/minで測定を行う。なお、測定においては、一度200℃まで昇温させ、続いて30℃まで降温し、その後に再度昇温を行う。この2度目の昇温過程での温度30〜200℃の範囲におけるDSC曲線の最大の吸熱ピークを、本発明のブロックポリマーのDSC測定における融点(Tm)とする。
トナーからの、スチレンアクリル樹脂およびブロックポリマーを分離する方法は例えば下記方法による。以下の方法で分離を行い、さらに構造の特定およびSP値の算出など各物性の特定を行うことができる。
(分取ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)によるトナーからのワックスの分離)
トナーをテトラヒドロフラン(THF)に溶解し、得られた可溶分から溶媒を減圧留去して、トナーのテトラヒドロフラン(THF)可溶成分を得る。
得られたトナーのテトラヒドロフラン(THF)可溶成分をクロロホルムに溶解し、濃度25mg/mlの試料溶液を調製する。
得られた試料溶液3.5mlを、下記装置に注入し、下記条件で、数平均分子量(Mn)2000以上を樹脂成分として分取する。
分取GPC装置:日本分析工業(株)製 分取HPLC LC−980型
分取用カラム:JAIGEL 3H、JAIGEL 5H(日本分析工業(株)社製)
溶離液:クロロホルム
流速:3.5ml/min
試料の分子量の算出にあたっては、標準ポリスチレン樹脂(例えば、商品名「TSKスタンダード ポリスチレン F−850、F−450、F−288、F−128、F−80、F−40、F−20、F−10、F−4、F−2、F−1、A−5000、A−2500、A−1000、A−500」、東ソー社製)を用いて作成した分子量校正曲線を使用する。
樹脂由来の高分子量成分を分取した後、溶媒を減圧留去し、さらに90℃雰囲気中、減圧下で24時間乾燥する。該樹脂成分が100mg程度得られるまで上記操作を繰り返す。
(スチレンアクリル樹脂およびブロックポリマーの分離)
上記作業で得られた樹脂100mgにアセトン500mlを加え、70℃に加熱し完全に溶解させた後、徐々に25℃まで冷却してブロックポリマーを再結晶させる。吸引ろ過して、結晶性のブロックポリマーとろ液に分離する。分離したろ液をメタノール500mlへ徐々に加えていきスチレンアクリル樹脂を再沈殿させた。吸引ろ過器でスチレンアクリル樹脂を取り出した。得られたスチレンアクリル樹脂およびブロックポリマーを40℃で24時間減圧乾燥した。
スチレンアクリル樹脂およびブロックポリマーの構造は核磁気共鳴分光分析(1H−NMR)[400MHz、CDCl3、室温(25℃)]を用いて特定した。
測定装置:FT NMR装置 JNM−EX400(日本電子社製)
測定周波数:400MHz
パルス条件:5.0μs
周波数範囲:10500Hz
積算回数:64回
ブロックポリマーの含有量は、スチレンアクリル樹脂およびブロックポリマー各々の核磁気共鳴分光分析(1H−NMR)スペクトルを基にトナーの核磁気共鳴分光分析(1H−NMR)スペクトルの積分値から算出した。
測定装置:FT NMR装置 JNM−EX400(日本電子社製)
測定周波数:400MHz
パルス条件:5.0μs
周波数範囲:10500Hz
積算回数:64回
まず、実施例で用いるブロックポリマーについて述べる。
撹拌機、温度計、窒素導入管、脱水管、および、減圧装置を備えた反応容器に、セバシン酸100.0質量部、および、1,10−デカンジオール93.5質量部を添加して撹拌しながら温度130℃まで加熱した。エステル化触媒としてチタン(IV)イソプロポキシド0.7質量部を加えた後、温度160℃に昇温し5時間かけて縮重合する。その後、温度180℃に昇温し、減圧させながら所望の分子量となるまで反応させてポリエステル(1)を得た。ポリエステル(1)の重量平均分子量(Mw)は19000、融点(Tm)は83℃であった。
次いで、撹拌機、温度計、および、窒素導入管を備えた反応容器にポリエステル(1)100.0質量部、脱水クロロホルム440.0質量部を添加して完全に溶解させた後、トリエチルアミン5.0質量部を加え、氷冷させながら、2−ブロモイソブチリルブロミド15.0質量部を徐々に加えた。その後、室温(25℃)で一昼夜撹拌した。
メタノール550.0質量部を入れた容器に、上記樹脂溶解液を徐々に滴化して樹脂分を再沈殿させた後、濾過、精製、乾燥させてポリエステル(2)を得た。
次いで、撹拌機、温度計、および、窒素導入管を備えた反応容器に上記で得られたポリエステル(2)100.0質量部、スチレン300.0質量部、臭化銅(I)3.5質量部、および、ペンタメチルジエチレントリアミン8.5質量部を添加して撹拌しながら、温度110℃で重合反応を行った。所望の分子量となったところで反応を停止して、メタノール250.0質量部で再沈殿、濾過、精製し、未反応のスチレンおよび触媒を除去した。その後、50℃に設定した真空乾燥機で乾燥してポリエステル部位とビニルポリマー部位を有するブロックポリマー1を得た。得られたブロックポリマー1の物性を表3に示す。
表1に示すような原料および製造条件に変更すること以外はブロックポリマー1の製造方法と同様にしてブロックポリマー2〜8、10、12、14、16、18〜24、26を得た。得られたブロックポリマー2〜8、10、12、14、16、18〜24、26の物性を表3に示す。
撹拌機、温度計、窒素導入管、および、減圧装置を備えた反応容器に、キシレン100.0質量部を窒素置換しながら加熱し、液温140℃で還流させた。該溶液へスチレン100.0質量部、Dimethyl 2,2’−azobis(2−methylpropionate)6.0質量部を混合したものを3時間かけて滴下し、滴下終了後、溶液を3時間撹拌した。その後、160℃、1hPaにて、キシレンおよび残存スチレンを留去しビニルポリマー(1)を得た。
次いで、撹拌機、温度計、窒素導入管、脱水管、および、減圧装置を備えた反応容器に上記で得られたビニルポリマー(1)100.0質量部、有機溶媒としてキシレン80.0部、1,6−ヘキサンジオール27.1質量部にエステル化触媒としてチタン(IV)イソプロポキシド0.43部を加えて、窒素雰囲気下、150℃で4時間反応させた。その後、1,12−ドデカン二酸40.7質量部を加えて150℃で3時間、180℃で4時間反応させた。その後、さらに180℃、1hPaで所望のMwとなるまで反応させてブロックポリマー9を得た。
ブロックポリマー9の製造条件を表2示すように変更すること以外はブロックポリマー9の製造方法と同様にしてブロックポリマー11、13、15、17、25および27〜30を得た。得られたブロックポリマー11、13、15、17、25および27〜30の物性を表3に示す。
撹拌機、温度計、窒素導入管、脱水管、および、減圧装置を備えた反応容器に、セバシン酸100.0質量部、および、1,10−デカンジオール93.5質量部を添加して撹拌しながら温度130℃まで加熱した。チタン(IV)イソプロポキシド0.7質量部を加えた後、温度160℃に昇温し5時間かけて縮重合する。アクリル酸15.0質量部、スチレン140.0質量部を1時間かけて滴下した。160℃に保持したまま1時間攪拌を続けた後、8.3kPaにて1時間スチレン樹脂成分の単量体の除去を行った。その後210℃に昇温し、所望の分子量になるまで反応を行い、グラフトポリマーを得た。得られたグラフトポリマーの物性を表3に示す。
還流管、撹拌機、温度計、窒素導入管、滴下装置および減圧装置を備えた加圧可能な反応容器に、溶媒としてメタノール255.0質量部、2−ブタノン145.0質量部および2−プロパノール100.0質量部を添加し、重合性単量体としてスチレン88.0質量部、アクリル酸2−エチルヘキシル6.0質量部、2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸5.0質量部を添加して撹拌しながら還流温度まで加熱した。重合開始剤である2,2’−アゾビスイソブチロニトリル1.0質量部を2−ブタノン20.0質量部で希釈した溶液を30分かけて滴下して5時間撹拌を継続した。さらに2,2’−アゾビスイソブチロニトリル1.2質量部を2−ブタノン20質量部で希釈した溶液を30分かけて滴下して、さらに5時間撹拌して重合を終了し、凝集物を得た。
次に、重合溶媒を減圧留去した後に得られた凝集物を150メッシュ(目開き104μm)のスクリーンを装着したカッターミルにて100μm以下に粗粉砕し、さらにジェッ
トミルにより微粉砕した。その微粉体を250メッシュ(目開き61μm)の篩により分級し、60μm以下の粒子を分別して得た。次に該粒子を10%の濃度になるようにメチルエチルケトン(MEK)を加え溶解し、前述の溶液をMEKの20倍量のメタノール中に徐々に投じ再沈殿した。得られた沈殿物を再沈殿に使用した量の2分の1のメタノールで洗浄し、ろ過した粒子を温度35℃にて48時間真空乾燥した。
温度60℃に加温したイオン交換水1300.0質量部に、リン酸三カルシウム9.0質量部を添加し、TK式ホモミキサー(特殊機化工業製)を用いて、撹拌速度15,000rpmにて撹拌し、水系媒体を調製した。
また、下記の結着樹脂材料をプロペラ式攪拌装置にて撹拌速度100rpmで撹拌しながら、混合して混合液を調製した。
・スチレン 50.0質量部
・n−ブチルアクリレート 15.0質量部
・ブロックポリマー1 35.0質量部
次に上記溶解液に、
・シアン着色剤(C.I.ピグメントブルー15:3) 6.5質量部
・負荷電制御剤(ボントロンE−88、オリエント化学社製) 0.5質量部
・炭化水素ワックス(Tm=78℃) 9.0質量部
・負荷電性制御樹脂1 0.7質量部
・極性樹脂 5.0質量部
(スチレン−2−ヒドロキシエチルメタクリレート−メタクリル酸−メタクリル酸メチル共重合体、酸価10mgKOH/g、Tg=80℃、Mw=15,000)
を加え、その後、混合液を温度65℃に加温した後にTK式ホモミキサー(特殊機化工業製)にて、撹拌速度10,000rpmにて攪拌し、溶解、分散し、重合性単量体組成物を調整した。
・パーブチルPV(10時間半減期温度54.6℃(日本油脂製))6.0質量部を加え、温度70℃にてTK式ホモミキサーを用いて、撹拌速度15,000rpmで20分間攪拌し、造粒した。
プロペラ式攪拌装置に移して撹拌速度200rpmで攪拌しつつ、温度85℃で5時間、重合性単量体組成物中の重合性単量体であるスチレンおよびn−ブチルアクリレートを重合反応させ、トナー粒子を含むスラリーを製造した。重合反応終了後、該スラリーを冷却した。冷却されたスラリーに塩酸を加えpHを1.4にし、1時間撹拌することでリン酸カルシウム塩を溶解させた。その後、スラリーの10倍の水量で洗浄し、ろ過、乾燥の後、分級によって粒子径を調整してトナー粒子を得た。トナー粒子中には、スチレン−アクリル樹脂が65.0質量部、ブロックポリマーが35.0質量部、シアン着色剤が6.
5質量部、ワックスが9.0質量部、負荷電性制御剤が0.5質量部、負荷電性制御樹脂1が0.7質量部、極性樹脂が5.0質量部含まれていた。
上記トナー粒子100.0質量部に対して、外添剤として、シリカ微粒子に対して20質量%のジメチルシリコーンオイルで処理された疎水性シリカ微粒子(1次粒子径:7nm、BET比表面積:130m2/g)1.5質量部をヘンシェルミキサー(三井三池社製)で撹拌速度3000rpmで15分間混合して、トナー1を得た。トナー1の物性を表4に示す。
表4に示すように原材料および添加部数を変更すること以外はトナー1と同様の製造方法でトナー2〜30およびトナー34〜45を得た。
・スチレン−アクリル樹脂 65.0質量部
(スチレン:n−ブチルアクリレート=80:20(質量比)の共重合物)(Mw=30,000、Tg=55℃)
・ブロックポリマー5 35.0質量部
・メチルエチルケトン 100.0質量部
・酢酸エチル 100.0質量部
・炭化水素ワックス(Tm=78℃) 9.0質量部
・シアン着色剤(C.I.ピグメントブルー15:3) 6.5質量部
・負荷電性制御樹脂1 1.0質量部
上記材料を、アトライター(三井金属社製)を用いて3時間分散し、着色剤分散液を得た。
得られたトナー粒子の分散液に塩酸を加えpHを1.4にし、1時間撹拌することでリン酸カルシウム塩を溶解させた。上記分散液を加圧ろ過器にて、ろ過・洗浄をしてトナー凝集物を得た。その後、トナー凝集物を破砕、乾燥してトナー粒子を得た。トナー粒子には、スチレン−アクリル樹脂が65.0質量部、ブロックポリマーが35.0質量部、シアン着色剤が6.5質量部、ワックスが9.0質量部、負荷電性制御樹脂1が1.0質量部含まれていた。得られたトナー粒子100.0質量部に対して、外添剤として、シリカ微粒子に対して20質量%のジメチルシリコーンオイルで処理された疎水性シリカ微粒子(1次粒子径:7nm、BET比表面積:130m2/g)1.5質量部をヘンシェルミキサー(三井三池社製)で、撹拌速度3000rpmで15分間混合してトナー31を得た。トナー31の物性については表4に示す。
(樹脂粒子分散液1の調製)
・スチレン 75.0質量部
・n−ブチルアクリレート 25.0質量部
以上を混合し、溶解したものを、非イオン性界面活性剤(三洋化成(株)製:ノニポール400)1.5質量部およびアニオン性界面活性剤(第一工業製薬(株)製:ネオゲン
SC)2.2質量部をイオン交換水120.0質量部に溶解したものに、分散、乳化し、10分間ゆっくりと混合しながら、これに重合開始剤として過硫酸アンモニウム1.5質量部を溶解したイオン交換水10.0質量部を投入し、窒素置換を行った後、撹拌しながら内容物が温度70℃になるまで加熱し、4時間そのまま乳化重合を継続し、平均粒径が0.29μmである樹脂粒子を分散させてなる樹脂粒子分散液1を調製した。
・ブロックポリマー5 100.0質量部
を溶解したものを、非イオン性界面活性剤(三洋化成(株)製:ノニポール400)1.5質量部およびアニオン性界面活性剤(第一工業製薬(株)製:ネオゲンSC)2.2質量部をイオン交換水120質量部に溶解したものに、分散、乳化した。平均粒径が0.31μmである樹脂粒子を分散させてなる樹脂粒子分散液2を調製した。
・シアン着色剤(C.I.ピグメントブルー15:3) 20.0質量部
・アニオン性界面活性剤 3.0質量部
(第一工業製薬(株)製:ネオゲンSC)
・イオン交換水 78.0質量部
以上を混合し、サンドグラインダーミルを用いて分散した。この着色剤粒子分散液における粒度分布を、粒度測定装置(堀場製作所製、LA−700)を用いて測定したところ、含まれる着色剤粒子の平均粒径は、0.2μmであり、また1μmを超える粗大粒子は観察されなかった。
・炭化水素ワックス(Tm=78℃) 50.0質量部
・アニオン性界面活性剤 7.0質量部
(第一工業製薬(株)製:ネオゲンSC)
・イオン交換水 200.0質量部
以上を温度95℃に加熱して、ホモジナイザー(IKA社製:ウルトラタラックスT50)を用いて分散した後、圧力吐出型ホモジナイザーで分散処理し、平均粒径が0.5μmであるワックスを分散させてなるワックス粒子分散液を調製した。
・ジ−アルキル−サリチル酸の金属化合物 5.0質量部
(負荷電性制御剤、ボントロンE−84、オリエント化学工業社製)
・アニオン性界面活性剤 3.0質量部
(第一工業製薬(株)製:ネオゲンSC)
・イオン交換水 78.0質量部
以上を混合し、サンドグラインダーミルを用いて分散した。
・樹脂粒子分散液1 150.0質量部
・樹脂粒子分散液2 77.5質量部
・着色剤粒子分散液 27.5質量部
・ワックス粒子分散液 45.0質量部
以上を、撹拌装置,冷却管,温度計を装着した1リットルのセパラブルフラスコに投入し撹拌した。この混合液を1モル/L−水酸化カリウムを用いてpH=5.2に調整した。
この混合液に凝集剤として、8%塩化ナトリウム水溶液120.0質量部を滴下し、撹拌しながら温度55℃まで加熱した。この温度のとき、荷電制御粒子分散液を10.0質
量部加えた。温度55℃で2時間保持した後、光学顕微鏡にて観察すると平均粒径が3.3μmである凝集粒子が形成されていることが確認された。
その後、ここにアニオン性界面活性剤(第一工業製薬(株)製:ネオゲンSC)3.0質量部を追加した後、撹拌を継続しながら温度95℃まで加熱し、4.5時間保持した。そして、冷却後、反応生成物をろ過し、イオン交換水で十分に洗浄した後、温度45℃で流動層乾燥を行い、トナー粒子を得た。トナー粒子には、スチレン−アクリル樹脂が65.0質量部、ブロックポリマーが35.0質量部、シアン着色剤が5.5質量部、ワックスが9.0質量部、負荷電性制御樹脂が0.6質量部含まれていた。
得られたトナー粒子100.0質量部に対して、外添剤として、シリカ微粒子に対して20.0質量%のジメチルシリコーンオイルで処理された疎水性シリカ微粒子(1次粒子径:7nm、BET比表面積:130m2/g)1.5質量部をヘンシェルミキサー(三井三池社製)で、撹拌速度3000rpmで15分間混合してトナー32を得た。トナー32の物性については表4に示す。
下記材料を予め混合物し、二軸エクストルーダーで溶融混練し、冷却した混練物をハンマーミルで粗粉砕し、得られた微粉砕物を分級してトナー粒子を得た。
・結着樹脂[スチレン−n−ブチルアクリレート共重合樹脂(Mw=30,000、Tg
=50℃)] 65.0質量部
・ブロックポリマー5 35.0質量部
・C.I.Pigment Blue15:3 5.5質量部
・ジ−アルキル−サリチル酸の金属化合物 3.0質量部
〔オリエント化学工業社製:ボントロンE88〕
・炭化水素ワックス(Tm=78℃) 6.0質量部
得られたトナー粒子100.0質量部に対して、外添剤として、シリカ微粒子に対して20.0質量%のジメチルシリコーンオイルで処理された疎水性シリカ微粒子(1次粒子径:7nm、BET比表面積:130m2/g)1.5質量部をヘンシェルミキサー(三井三池社製)で、撹拌速度3000rpmで15分間混合してトナー33を得た。トナー33の物性については表4に示す。
画像評価は、市販のカラーレーザープリンタ〔HP Color LaserJet
3525dn]を一部改造して評価を行った。改造は一色のプロセスカートリッジだけの装着でも作動するよう改良した。また、定着器を任意の温度に変更できるように改造した。
このカラーレーザープリンタに搭載されていたブラックトナー用のプロセスカートリッジから中に入っているトナーを抜き取り、エアーブローにて内部を清掃した後、プロセスカートリッジに各トナー(300g)を導入し、トナーを詰め替えたプロセスカートリッジをカラーレーザープリンタに装着し、以下の画像評価を行った。具体的な画像評価項目は下記の通りである。
転写材にベタ画像(トナーの載り量:0.9mg/cm2)を、定着温度を変えてプリントし、下記の基準で評価した。なお、定着温度は定着ローラー表面を非接触の温度計を用いて測定した値である。転写材は、LETTERサイズの普通紙(XEROX 4200、XEROX社製、75g/m2)を用いた。
(評価基準)
A:100℃でオフセットせず
B:100℃でオフセット発生
C:110℃でオフセット発生
D:120℃でオフセット発生
転写材にベタ画像(トナーの載り量:0.9mg/cm2)を、定着温度を変えて(200〜220℃)プリントし、下記の基準で評価した。なお、定着温度は定着ローラー表面を非接触の温度計を用いて測定した値である。転写材は、普通紙(LETTERサイズのXEROX 4200用紙、XEROX社製、75g/m2)を用いた。(評価基準)A:210℃でオフセットせず
B:210℃でオフセット発生
C:200℃でオフセット発生
D:190℃でオフセット発生
定着温度170℃でベタ画像(トナーの載り量:0.6mg/cm2)をプリントし、PG−3D(日本電色工業製)を用いてグロス値の測定を行った。転写材としては、LETTERサイズの普通紙(XEROX 4200用紙、XEROX社製、75g/m2)を用いた。
(評価基準)
A:グロス値が30以上
B:グロス値が20以上30未満
C:グロス値が15以上20未満
D:グロス値が15未満
常温常湿環境下(温度23℃/湿度60%RH)、および、高温高湿環境下(温度33℃/湿度85%RH)において、横線で1%の印字率の画像を25000枚プリントアウト試験終了後、LETTERサイズのXEROX 4200用紙(XEROX社製、75g/m2)にハーフトーン(トナーの載り量:0.6mg/cm2)の画像をプリントアウトし、現像スジの評価をした。
(評価基準)
A:未発生
B:現像スジが1カ所以上3カ所以下発生
C:現像スジが4カ所以上6カ所以下発生
D:現像スジが7カ所以上発生、あるいは、幅0.5mm以上発生
常温常湿環境下(温度23℃/湿度60%RH)、および、高温高湿環境下(温度33℃/湿度85%RH)において、横線で1%の印字率の画像を25000枚プリントアウト試験終了後、48時間放置してからさらにプリントアウトした画像の非画像部の反射率(%)を「REFLECTOMETER MODEL TC−6DS」(東京電色社製)で測定した。得られた反射率を、同様にして測定した未使用のプリントアウト用紙(標準紙)の反射率(%)から差し引いた数値(%)を用いて評価した。数値が小さい程、画像カブリが抑制されていることになる。評価は、グロス紙モードで、普通紙(HP Brochure Paper 200g , Glossy、HP社製、200g/m2)を用いて行った。
(評価基準)
A:0.5%未満
B:0.5%以上1.5%未満
C:1.5%以上3.0%未満
D:3.0%以上
各トナー5gを50ccポリカップに取り、温度55℃/湿度10%RHで3日間放置し、凝集塊の有無を調べ、下記の基準で評価した。
(評価基準)
A:凝集塊発生せず
B:軽微な凝集塊が発生、軽く指で押すと崩れる
C:凝集塊が発生、軽く指で押しても崩れない
D:完全に凝集
実施例1〜39では、トナーとして、トナー1〜33および40〜45をそれぞれ用いて上記評価を行った。その評価結果を表5に示す。
比較例1〜6では、トナーとしてトナー34〜39をそれぞれ用いて上記評価を行った。その評価結果を表5に示す。
Claims (13)
- スチレンアクリル樹脂およびブロックポリマーを含有する結着樹脂を含有するトナー粒子を有するトナーであって、
前記ブロックポリマーが、ポリエステル部位およびビニルポリマー部位を有し、
前記ブロックポリマーの融点(Tm)が、55℃以上90℃以下であって、
前記ポリエステル部位が、下記式(1)〜(3)で示される構造から選択される、少なくとも2つの構造を有するか、または下記式(3)で示される構造を有し、
前記ポリエステル部位のソルビリティパラメータ(SP)値が、9.40以上9.85以下であり、
前記ビニルポリマー部位の重量平均分子量(Mw)が、4000以上15000以下である
ことを特徴とするトナー。
[式(1)中、mは、6以上14以下の整数を示す。]
[式(2)中、nは、6以上16以下の整数を示す。]
[式(3)中、pは、5以上15以下の整数を示す。] - 前記ポリエステル部位が、前記式(1)で示される構造、および前記式(2)で示される構造を有する請求項1に記載のトナー。
- 結着樹脂中の前記ブロックポリマーの含有量が、2.0質量%以上50.0質量%以下である請求項1または2に記載のトナー。
- 結着樹脂中の前記ブロックポリマーの含有量が、6.0質量%以上50.0質量%以下である請求項3に記載のトナー。
- 前記ポリエステル部位と前記ビニルポリマー部位の質量基準の比率(C/A比)が、40:60〜80:20である請求項1〜4のいずれか一項に記載のトナー。
- 前記ポリエステル部位と前記ビニルポリマー部位の質量基準の比率(C/A比)が、4
0:60〜70:30である請求項5に記載のトナー。 - 前記ブロックポリマーの重量平均分子量(Mw)が、15000以上45000以下である請求項1〜6のいずれか1項に記載のトナー。
- 前記ブロックポリマーの重量平均分子量(Mw)が、20000以上45000以下である請求項7に記載のトナー。
- 前記ブロックポリマーの重量平均分子量(Mw)と数平均分子量(Mn)の比(Mw/Mn)が、1.5以上3.5以下である請求項1〜8のいずれか1項に記載のトナー。
- 前記ビニルポリマー部位の重量平均分子量(Mw)と数平均分子量(Mn)の比(Mw/Mn)が、1.3以上3.5以下である請求項1〜9のいずれか1項に記載のトナー。
- 前記スチレンアクリル樹脂のSP値が、9.45以上9.90以下である請求項1〜10のいずれか1項に記載のトナー。
- 前記スチレンアクリル樹脂と前記ブロックポリマーのソルビリティパラメータ(SP)値の差の絶対値(ΔSP値)が、0.03以上0.20以下である請求項1〜11のいずれか1項に記載のトナー。
- 請求項1〜12のいずれか1項に記載のトナーの製造方法であって、
前記スチレンアクリル樹脂を生成する重合性単量体、及び前記ブロックポリマーを溶解または分散させ、重合性単量体組成物を調製する工程、及び
該重合性単量体組成物を水系媒体中に懸濁して重合し前記トナー粒子を得る工程
を有するトナーの製造方法。
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