JP6708401B2 - トナーの製造方法 - Google Patents
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Description
トナーの低温定着性を改善するための一般的な方法としては、使用する結着樹脂のガラス転移温度(Tg)を低くする方法が挙げられる。しかしながら、単に結着樹脂のTgを低下させるだけでは、低温での離型性が不足するため、Tg低下による粘度低下の効果が発揮される前に定着部材へのコールドオフセットが発生してしまう。これを抑制するためには、定着時においてワックス等の離型剤のトナー表面への染み出しを速くする必要がある。しかし、より融点の低いワックスを用いてこれを達成しようとした場合、定着時の染み出しが速くなると同時に、保存中にもワックスのトナー表面への染み出しが起こりやすくなり、耐熱保存性との両立が困難になる。
そこで、上述のような弊害を抑制するために、ワックスの融点を下げずに、トナー中での分散状態を制御することによって、ワックスの染み出しを向上させる試みが行われている。
特許文献2では、水系媒体中でトナー製造を行う方法である乳化凝集法においてスチレン/アクリル系バインダーを用いたトナー中にワックスを分散させる方法が開示されている。
特許文献3では、トナー中でワックスを分散させ、かつその分布状態は均一ではなく表層近傍により多く存在するようにしたトナーが開示されている。この方法ではトナー表面へのワックスがより染み出しやすくなるため、低温定着性のさらなる向上は期待できる。
また、引用文献2の方法においてもワックスの存在状態は均一分散であり、上記課題については解決されていない。
引用文献3の方法においても上記課題は解決されておらず、また、トナー中心近傍のワックス存在量が減少するために、加熱定着時にワックスが溶融することによるトナー全体の変形の度合が劣るため、得られる画像のグロスが低下するという弊害が発生する。
以上のように、ワックスの存在状態を制御することによって低温定着性を向上させ、かつ十分な耐高温オフセット性と高グロスを両立するトナーについては未だ提案されていなかった。
本発明は、前述した従来の問題点を解決したトナーを提供するものである。即ち、本発明は、ワックスのトナー表面への染み出しを向上させることにより、低温定着時の離型性に優れ、かつ高温定着時のオフセットを抑制でき、高グロスな定着画像が得られるトナーを提供することを目的とする。
下記(A)又は(B)の暴露処理工程を含み、
(A)結着樹脂及びワックスを含有する処理前のトナー粒子を二酸化炭素に暴露してトナー粒子を得る工程
(B)結着樹脂及びワックスを含有するトナー粒子並びに外添剤を有する処理前のトナーを二酸化炭素に暴露してトナーを得る工程
前記暴露処理工程の二酸化炭素の温度が10℃以上60℃以下であり、圧力が1.0MPa以上3.5MPa以下であり、
前記暴露処理工程を経て得られたトナーの断面を透過型電子顕微鏡で観察したときの前記トナーの表面から1.0μmまでの表層領域におけるワックスの占める面積の割合をAsとし、
前記表層領域よりも内側の内部領域におけるワックスの占める面積の割合をAcとしたときに、
下記式(1)及び(2)を満たすことを特徴とするトナーの製造方法に関する。
18.0%≧As≧1.5% (1)
10.0≧Ac/As≧2.0 (2)
つつ、高温定着時の離型性を得るために十分な量のワックスを添加でき、かつ高グロスなトナー画像を形成することが可能なトナーを得ることができる。
トナー中でのワックスの存在状態は、透過型電子顕微鏡を用いトナーの断面を観察することにより確認できる。断面画像において、表層領域の面積に対する該表層領域に存在するワックスの面積の割合と、トナー中心を含む該表層領域以外の内部領域の面積に対する該内部領域に存在するワックスの面積の割合と、の比により、ワックスの存在量の比を特定することができる。
本発明はあらゆる製法のトナーに適用することができるが、中でもトナー原材料を水系媒体中で造粒しトナー粒子を製造する湿式製法(懸濁重合法、溶解懸濁法など)に適用した場合に効果が顕著に得られる。例として重合性単量体含む組成物を水系媒体中で造粒しトナー粒子を製造する懸濁重合法による製造方法を工程ごとに説明する。
結着樹脂を構成する重合性単量体、ワックス、及び必要に応じて着色剤などを混合し、重合性単量体組成物を調製する。着色剤は予め媒体撹拌ミルなどで重合性単量体又は有機溶媒中に分散させた後に他の組成物と混合してもよいし、全ての組成物を混合した後に分散させてもよい。上記重合性単量体組成物中には必要に応じて極性樹脂、顔料分散剤、荷電制御剤等を適宜加えることもできる。
分散安定剤を含む水系媒体を調製し、高剪断力を有する撹拌機を設置した撹拌槽に投入し、ここに重合性単量体組成物を添加し、撹拌することによりこれを分散させ、重合性単量体組成物の液滴を形成する。
上述のようにして得られた重合性単量体組成物の液滴中の重合性単量体を重合し、樹脂粒子分散液を得る。重合性単量体を重合することで結着樹脂が生成される。本発明における重合工程には、温度調節可能な一般的な撹拌槽を用いることができる。
重合温度は、通常40℃以上、好ましくは50℃以上90℃以下で行われる。重合温度は終始一定でもよいが、所望の分子量分布を得る目的で重合工程後半に昇温してもよい。撹拌に用いられる撹拌翼は樹脂粒子分散液を滞留させることなく浮遊させ、かつ槽内の温度を均一に保てるようなものならばどのようなものを用いてもよい。
重合工程が終了した樹脂粒子分散液中から未反応の重合性単量体などを除去するために、揮発成分除去工程を行ってもよい。揮発成分除去工程は樹脂粒子分散液を撹拌手段が設置された撹拌槽で加熱、撹拌することによって行う。揮発成分除去工程時の加熱条件は重合性単量体など除去したい成分の蒸気圧を考慮し適宜調節される。揮発成分除去工程は常圧又は減圧下で行うことができる。
トナー粒子表面に付着した分散安定剤を除去する目的で、トナー粒子分散液を酸又はアルカリで処理してもよい。トナー粒子から分散安定剤を除去した後、一般的な固液分離法によりトナー粒子を水系媒体と分離するが、酸又はアルカリ、及びそれらに溶解した分散安定剤成分を完全に取り除くため、再度水を添加してトナー粒子を洗浄することが好ましい。この洗浄工程を何度か繰り返し、十分な洗浄が行われた後に、再び固液分離してトナー粒子を得ることができる。得られたトナー粒子は必要であれば公知の乾燥手段により乾燥してもよい。
得られたトナー粒子の重量平均粒子径は4μm以上10μm以下であることが好ましく、5μm以上8μm以下であることがより好ましい。トナーの重量平均粒子径がこの範囲であるとワックスの分布を所望の状態に保つことが容易になり、かつ粒径による低温定着性の阻害も抑制できるため好ましい。トナー粒子の重量平均粒子径は、造粒工程に用いる分散安定剤の添加量により制御することができる。
得られたトナー粒子に対し、流動性や帯電性、耐ケーキング性等を向上させる目的で、外添剤を添加させてもよい。外添工程は、外添剤とトナー粒子を、高速回転する羽根を備えた混合装置に入れ、十分混合することによって行う。
溶解懸濁法における樹脂溶液に用いる有機溶媒は、結着樹脂、ワックスなどトナー粒子の原材料となるものと相溶するものであれば特に限定されるものではないが、溶媒除去の観点から水の沸点以下でもある程度の蒸気圧があるものが好ましい。例えばトルエン、キシレン、酢酸エチル、酢酸ブチル、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトンなどを用いることができる。
(二酸化炭素処理工程)
二酸化炭素処理工程は、以下の(i)及び(ii)のいずれか、又は両方の暴露処理工程を含む。いずれの場合も、処理の手順は共通である。
(i)固液分離工程後又は乾燥工程後に得られるトナー粒子(結着樹脂及びワックスを有する処理前のトナー粒子)
(ii)外添工程後に得られるトナー(結着樹脂及びワックスを有するトナー粒子並びに外添剤を有する処理前のトナー)
以下、(i)を処理前トナー粒子、(ii)を処理前トナーと表記し、(i)を下記工程で処理したものを処理後トナー粒子、(ii)を下記工程で処理したものを処理後トナーと記述する。また、単にトナー粒子又はトナーと表記する場合、処理前/処理後を区別しない。なお、(i)の下記二酸化炭素による暴露処理工程で得られた処理後トナー粒子は、その後、外添剤を添加してもよい。
二酸化炭素による暴露処理工程は下記(A)又は(B)の暴露処理工程を含むものである。
(A)処理前のトナー粒子を二酸化炭素に暴露してトナー粒子を得る工程
(B)処理前のトナーを二酸化炭素に暴露してトナーを得る工程
本発明の製造方法における二酸化炭素処理に使用する処理装置は、所定の圧力、温度に調節できるものであれば特に限定されないが、図1に示す処理装置の一例に基づいて、以下に暴露処理方法を説明する。
二酸化炭素処理は、まず処理前トナー粒子及び処理前トナーを所定の温度に調節されたタンクTaに投入し、攪拌を行う。次にバルブV1を開き、二酸化炭素が保存されている
容器Bから圧縮ポンプPを用いて圧縮した状態の二酸化炭素をタンクTaに導入する。所定の圧力に達したところで、ポンプを止め、バルブV1を閉じ、タンクTa内を密閉状態にして所定の時間圧力保持を行う。所定の保持時間が経ったところで、バルブV2を解放し、二酸化炭素をタンクTaの外部に排出し、タンクTaの圧力を大気圧まで減圧する。この二酸化炭素導入から圧力保持して処理前トナー粒子及び処理前トナーに二酸化炭素を接触させ、処理後に二酸化炭素を排出するという工程を2回以上繰り返すこともできる。
本発明の製造方法における二酸化炭素の圧力は1.0MPa以上3.5MPa以下であり、好ましくは1.5MPa以上3.0MPa以下である。圧力がこの範囲内であることで、二酸化炭素がトナー粒子又はトナーに十分に浸透し、トナー粒子又はトナー内部のワックスに到達しやすくなる。それにより、本発明のワックス分散効果が得られ、優れた低温定着性を得ることができる。また、圧力がこの範囲内であれば、処理後トナー粒子同士及び処理後トナー同士の融着を抑制することができる。
二酸化炭素処理工程(暴露処理工程)の時間は、5分以上であることが好ましく、30分以上がより好ましい。5分以上処理を行うことで、ワックスが結着樹脂中に十分に拡散し、ワックスの分布を好適な状態にすることができる。また、二酸化炭素処理工程は、長時間に亘って行うと、処理後トナー粒子及び処理後トナーの表層近傍に存在するワックス量が過剰になり、帯電性や耐久性を低下させる傾向があることから、180分以下であることが好ましく、150分以下であることがより好ましい。
ワックスの分布状態はトナーの断面観察により確認することができる。この時、トナーの表面から1.0μmまでの表層領域において、ワックスを示すドメインが複数個観察される状態であることが好ましい。ワックスがこのような状態である方がより低温定着性に優れる。ワックスを示すドメインが複数個観察される状態とは、後述のAc及びAsの算出における、10個のトナー断面のうち6個以上のトナー断面において、長径0.05μm〜1.00μmのドメインが5個以上存在する状態を示す。
表層領域において、ワックスのドメインを複数存在させるためには、具体的には、二酸化炭素による暴露処理が挙げられる。
結着樹脂は、公知の樹脂を用いることができる。
具体的には、ビニル系樹脂;ポリエステル樹脂;ポリアミド樹脂;フラン樹脂;エポキシ樹脂;キシレン樹脂;シリコーン樹脂等が挙げられる。これらの樹脂は、単独で又は混合して使用できる。なお、ビニル系樹脂としてはスチレン、α−メチルスチレン、ジビニルベンゼン等に代表されるスチレン系単量体;アクリル酸メチル、アクリル酸ブチル、メタクリル酸メチル、メタクリル酸2−ヒドロキシエチル、メタクリル酸t−ブチル、メタクリル酸2−エチルヘキシル等に代表される不飽和カルボン酸エステル;アクリル酸、メタクリル酸等に代表される不飽和カルボン酸;マレイン酸等に代表される不飽和ジカルボン酸;マレイン酸無水物等に代表される不飽和ジカルボン酸無水物;アクリロニトリル等に代表されるニトリル系ビニル単量体;等の単量体の単重合体又は共重合体を用いることができる。
使用できる過酸化物系重合開始剤としては、有機系としては、パーオキシエステル、パーオキシジカーボネート、ジアルキルパーオキサイド、パーオキシケタール、ケトンパーオキサイド、ハイドロパーオキサイド、ジアシルパーオキサイドが挙げられる。
無機系としては、過硫酸塩、過酸化水素などが挙げられる。具体的には、t−ブチルパーオキシアセテート、t−ブチルパーオキシピバレート、t−ブチルパーオキシイソブチレート、t−ヘキシルパーオキシアセテート、t−ヘキシルパーオキシピバレート、t−ヘキシルパーオキシイソブチレート、t−ブチルパーオキシイソプロピルモノカーボネート、t−ブチルパーオキシ2−エチルヘキシルモノカーボネートなどのパーオキシエステル;ベンゾイルパーオキサイドなどのジアシルパーオキサイド;ジイソプロピルパーオキシジカーボネートなどのパーオキシジカーボネート;1,1−ジ−t−ヘキシルパーオキシシクロヘキサンなどのパーオキシケタール;ジ−t−ブチルパーオキサイドなどのジアルキルパーオキサイド;その他としてt−ブチルパーオキシアリルモノカーボネートなどが挙げられる。
また、使用できるアゾ系重合開始剤としては、2,2’−アゾビス−(2,4−ジメチルバレロニトリル)、2,2’−アゾビスイソブチロニトリル、1,1’−アゾビス(シクロヘキサン−1−カルボニトリル)、2,2’−アゾビス−4−メトキシ−2,4−ジメチルバレロニトリル、アゾビスイソブチロニトリル、ジメチル−2,2’−アゾビス(2−メチルプロピオネート)などが例示される。
なお、必要に応じてこれら重合開始剤を2種以上同時に用いることもできる。この際使用される重合開始剤の使用量は、重合性単量体100.0質量部に対し0.10質量部以上20.0質量部以下であることが好ましい。
結着樹脂の重量平均分子量(Mw)は、10000以上50000以下であることが好ましく、12000以上45000以下であることがより好ましい。10000以上であることで、処理後トナー粒子及び処理後トナーにおける結着樹脂とワックスが相分離状態を保ちやすくなり、定着時にワックスが染み出しやすくなる。その結果、本発明の低温定着の効果を十分に発揮できる。また、50000以下であることで、結着樹脂に二酸化炭素が浸透しやすくなり、本発明のワックス分散の効果を十分に得ることができる。
メチルアクリレート、エチルアクリレート、n−プロピルアクリレート、iso−プロピルアクリレート、n−ブチルアクリレート、iso−ブチルアクリレート、tert−ブチルアクリレート、n−アミルアクリレート、n−ヘキシルアクリレート、2−エチルヘキシルアクリレート、n−オクチルアクリレート、n−ノニルアクリレート、シクロヘキシルアクリレート、ベンジルアクリレート、ジメチルフォスフェートエチルアクリレート、ジエチルフォスフェートエチルアクリレート、ジブチルフォスフェートエチルアクリレート、及び、2−ベンゾイルオキシエチルアクリレートのようなアクリル系重合性単量体類;
メチルメタクリレート、エチルメタクリレート、n−プロピルメタクリレート、iso−プロピルメタクリレート、n−ブチルメタクリレート、iso−ブチルメタクリレート、tert−ブチルメタクリレート、n−アミルメタクリレート、n−ヘキシルメタクリレート、2−エチルヘキシルメタクリレート、n−オクチルメタクリレート、n−ノニルメタクリレート、ジエチルフォスフェートエチルメタクリレート、及び、ジブチルフォスフェートエチルメタクリレートのようなメタクリル系重合性単量体類;
コールジアクリレート、トリプロピレングリコールジアクリレート、ポリプロピレングリコールジアクリレート、2,2’−ビス(4−(アクリロキシジエトキシ)フェニル)プロパン、トリメチロールプロパントリアクリレート、テトラメチロールメタンテトラアクリレート、エチレングリコールジメタクリレート、ジエチレングリコールジメタクリレート、トリエチレングリコールジメタクリレート、テトラエチレングリコールジメタクリレート、ポリエチレングリコールジメタクリレート、1,3−ブチレングリコールジメタクリレート、1,6−ヘキサンジオールジメタクリレート、ネオペンチルグリコールジメタクリレート、ポリプロピレングリコールジメタクリレート、2,2’−ビス(4−(メタクリロキシジエトキシ)フェニル)プロパン、2,2’−ビス(4−(メタクリロキシポリエトキシ)フェニル)プロパン、トリメチロールプロパントリメタクリレート、テトラメチロールメタンテトラメタクリレート、ジビニルベンゼン、ジビニルナフタリン、及び、ジビニルエーテルが挙げられる。
ポリエステル系樹脂としてはアルコールモノマーとカルボン酸モノマーが縮重合したものが用いられる。アルコールモノマーとしては以下のものが挙げられる。
フタル酸、イソフタル酸及びテレフタル酸のような芳香族ジカルボン酸類又はその無水物;コハク酸、アジピン酸、セバシン酸及びアゼライン酸のようなアルキルジカルボン酸類又はその無水物;炭素数6〜18のアルキル基又はアルケニル基で置換されたコハク酸又はその無水物;フマル酸、マレイン酸及びシトラコン酸のような不飽和ジカルボン酸類又はその無水物。
また、その他にも以下のモノマーを使用することが可能である。
グリセリン、ソルビット、ソルビタン、さらには例えばノボラック型フェノール樹脂のオキシアルキレンエーテル等の多価アルコール類;トリメリット酸、ピロメリット酸、ベンゾフェノンテトラカルボン酸やその無水物等の多価カルボン酸類。
それらの中でも、特に下記式(3)で表されるビスフェノール誘導体を2価アルコールモノマー成分とし、2価以上のカルボン酸成分を酸モノマー成分とするポリエステルユニット成分を縮重合した樹脂が良好な帯電特性を有するので好ましい。2価以上のカルボン酸成分としては、カルボン酸又はその酸無水物、又はその低級アルキルエステルを用いることができる。例えば、フマル酸、マレイン酸、無水マレイン酸、フタル酸、テレフタル酸、トリメリット酸、ピロメリット酸等である。
カルボキシル基含有スチレン系樹脂としては、スチレン系のアクリル酸共重合体、スチレン系のメタクリル酸共重合体、スチレン系のマレイン酸共重合体などが好ましい。特には、スチレン−アクリル酸エステル−アクリル酸系共重合体が帯電量を制御しやすく好ましい。また、カルボキシル基含有スチレン系樹脂は1級又は2級の水酸基を有するモノマーを含有していることがより好ましい。具体的な重合体組成物としては、スチレン−2−ヒドロキシエチルメタクリレート−メタクリル酸−メタクリル酸メチル共重合体、スチレン−n−ブチルアクリレート−2−ヒドロキシエチルメタクリレート−メタクリル酸−メタクリル酸メチル共重合体、スチレン−α−メチルスチレン−2−ヒドロキシエチルメタクリレート−メタクリル酸−メタクリル酸メチル共重合体などを挙げることができる。1級又は2級の水酸基を有するモノマーを含有した樹脂は極性が大きく、長期放置安定性がより良好となる。
極性樹脂の含有量は、結着樹脂又は結着樹脂を構成する重合性単量体100.0質量部に対して1.0質量部以上20.0質量部以下が好ましく、2.0質量部以上10.0質量部以下がより好ましい。
黒色着色剤としては、カーボンブラック、磁性体、又は以下に示すイエロー/マゼンタ/シアン着色剤を用い黒色に調色されたものが利用される。
イエロー着色剤としては、例えばモノアゾ化合物、ジスアゾ化合物、縮合アゾ化合物、イソインドリノン化合物、アンスラキノン化合物、アゾ金属錯体メチン化合物、アリルアミド化合物に代表される化合物が用いられる。具体的にはC.I.ピグメントイエロー74,93,95,109,111,128,155,174,180,185が挙げられる。
マゼンタ着色剤としては、例えばモノアゾ化合物、縮合アゾ化合物、ジケトピロロピロール化合物、アントラキノン、キナクリドン化合物、塩基染料レーキ化合物、ナフトール化合物、ベンズイミダゾロン化合物、チオインジゴ化合物、ペリレン化合物が用いられる。具体的にはC.I.ピグメントレッド2,3,5,6,7,23,48:2,48:3,48:4,57:1,81:1,122,144,146,150,166,169,177,184,185,202,206,220,221,238,254,269、
C.I.ピグメントバイオレッド19等が例示できる。
シアン着色剤としては、例えば銅フタロシアニン化合物及びその誘導体、アントラキノン化合物、塩基染料レーキ化合物が利用できる。具体的にはC.I.ピグメントブルー1,7,15,15:1,15:2,15:3,15:4,60,62,66が挙げられる。
本発明に用いられる着色剤は、色相角、彩度、明度、耐光性、OHP透明性、及びトナー粒子中の分散性の点から選択される。これらの着色剤は、単独又は混合し、さらには固溶体の状態で用いることができる。該着色剤は、結着樹脂又は結着樹脂を構成する重合性単量体100.0質量部に対して1.0質量部以上20.0質量部以下で用いることが好ましい。
上記ワックス(好ましくは炭化水素系ワックス)の含有量は、結着樹脂100質量部又は結着樹脂を構成する重合性単量体100質量部に対して、1.0質量部以上20.0質量部以下が好ましい。より好ましくは、1.5質量部以上15.0質量部以下である。ワックスの含有量がこの範囲であると、十分な低温定着性、高温定着性が得られ、かつ定着されたトナー画像と紙の十分な接着性が得られるため画像強度が向上する。
|SP1−SP2|≧1.10 (3)
SP値の差がこの範囲であると、ワックスの結着樹脂への過度の相溶を抑制でき、ワックスのトナー表面への染み出しが促進される。|SP1−SP2|は、より好ましくは1.20以上1.80以下である。
有機金属化合物、キレート化合物、モノアゾ金属化合物、アセチルアセトン金属化合物、尿素誘導体、含金属サリチル酸系化合物、含金属ナフトエ酸系化合物、4級アンモニウム塩、カリックスアレーン、ケイ素化合物、ノンメタルカルボン酸系化合物及びその誘導体が挙げられる。また、スルホン酸基、スルホン酸塩基、又は、スルホン酸エステル基を有するスルホン酸樹脂を好ましく用いることができる。
具体的には、負帯電用荷電制御剤として以下のものが挙げられる。サリチル酸、アルキルサリチル酸、ジアルキルサリチル酸、ナフトエ酸、ダイカルボン酸等に代表される芳香族カルボン酸の金属化合物;スルホン酸基、スルホン酸塩基又はスルホン酸エステル基を有する重合体又は共重合体;アゾ染料又はアゾ顔料の金属塩又は金属錯体;ホウ素化合物、ケイ素化合物、カリックスアレーン等。
一方、正帯電用荷電制御剤としては以下のものが挙げられる。四級アンモニウム塩、四級アンモニウム塩を側鎖に有する高分子型化合物;グアニジン化合物;ニグロシン系化合物;イミダゾール化合物等。
荷電制御剤の添加量は、結着樹脂又は結着樹脂を構成する重合性単量体100.0質量部に対して、0.01質量部以上20.0質量部以下であることが好ましく、0.1質量部以上10.0質量部以下であることがより好ましく、0.5質量部以上10.0質量部以下であることがさらに好ましい。
、シリカ、ベントナイト、アルミナの如き無機酸化物。これらの無機分散剤は、重合終了後に酸あるいはアルカリを加えて溶解することにより、ほぼ完全に取り除くことができる。
<溶解度パラメータ(SP値)の計算方法>
本発明におけるSP値は、Fedorsの式(1)を用いて求めた。ここでのΔei、及び、Δviの値は著「コーティングの基礎科学」54〜57頁、1986年(槇書店)の表3−9による原子及び原子団の蒸発エネルギーとモル体積(25℃)」を参考にした。なお、SP値の単位は、(cal/cm3)1/2であるが、1(cal/cm3)1/2=2.046×103(J/m3)1/2によって(J/m3)1/2の単位に換算することができる。
δi=[Ev/V]^(1/2)=[Δei/Δvi]^(1/2) 式(1)
Ev:蒸発エネルギー
V:モル体積
Δei:i成分の原子又は原子団の蒸発エネルギー
Δvi:i成分の原子又は原子団のモル体積
(トナーからの結着樹脂とワックスの分離)
トナーをテトラヒドロフラン(THF)に溶解し、得られた可溶分から溶媒を減圧留去して、トナーのTHF可溶成分を得る。
得られたトナーのTHF可溶成分をクロロホルムに溶解し、濃度25mg/mlの試料溶液を調製する。
得られた試料溶液3.5mlを、下記装置に注入し、下記条件で、数平均分子量(Mn)2000以上を結着樹脂成分、2000未満をワックス成分として分取する。
分取GPC装置:日本分析工業(株)製 分取HPLC LC−980型
分取用カラム:JAIGEL 3H、JAIGEL 5H(日本分析工業(株)社製)
溶離液:クロロホルム
流速:3.5ml/min
試料の分子量の算出にあたっては、標準ポリスチレン樹脂(例えば、商品名「TSKスタンダード ポリスチレン F−850、F−450、F−288、F−128、F−80、F−40、F−20、F−10、F−4、F−2、F−1、A−5000、A−2500、A−1000、A−500」、東ソー社製)を用いて作成した分子量校正曲線を使用する。
各成分を分取した後、溶媒を減圧留去し、さらに90℃雰囲気中、減圧下で24時間乾燥する。各成分がそれぞれ100mg程度得られるまで上記操作を繰り返す。
(結着樹脂及びワックスの構造の特定)
結着樹脂及びワックスの構造は核磁気共鳴分光分析(1H−NMR)[400MHz、CDCl3、室温(25℃)]を用いて特定する。
測定装置:FT NMR装置 JNM−EX400(日本電子社製)
測定周波数:400MHz
パルス条件:5.0μs
周波数範囲:10500Hz
積算回数:64回
上記で特定された構造をもとに、前述の溶解度パラメータの計算方法を用いて結着樹脂とワックスのSP値を求める。
酸価は試料1gに含まれる酸を中和するために必要な水酸化カリウムのmg数である。本発明における酸価は、JIS K 0070−1992に準じて測定されるが、具体的には、以下の手順に従って測定する。
0.1モル/L水酸化カリウムエチルアルコール溶液(キシダ化学社製)を用いて滴定を行う。水酸化カリウムエチルアルコール溶液のファクターは、電位差滴定装置(電位差滴定測定装置AT−510)を用いて求めることができる。0.1モル/L塩酸100mLを250mLトールビーカーに取り、水酸化カリウムエチルアルコール溶液で滴定し、中和に要した前記水酸化カリウムエチルアルコール溶液の量から求める。0.1モル/L塩酸は、JIS K 8001−1998に準じて作成されたものを用いる。
下記に酸価測定の際の測定条件を示す。
滴定装置:電位差滴定装置AT−510(京都電子工業株式会社製)
電極:複合ガラス電極ダブルジャンクション型(京都電子工業株式会社製)
滴定装置用制御ソフトウエア:AT−WIN
滴定解析ソフト:Tview
滴定時における滴定パラメータ並びに制御パラメータは下記のように行う。
滴定パラメータ
滴定モード:ブランク滴定
滴定様式:全量滴定
最大滴定量:20mL
滴定前の待ち時間:30秒
滴定方向:自動
制御パラメーラー
終点判断電位:30dE
終点判断電位値:50dE/dmL
終点検出判断:設定しない
制御速度モード:標準
ゲイン:1
データ採取電位:4mV
データ採取滴定量:0.1mL
本試験;
試料サンプル0.100gを250mLのトールビーカーに精秤し、トルエン/エタノール(3:1)の混合溶液150mLを加え、1時間かけて溶解する。前記電位差滴定装置を用い、水酸化カリウムエチルアルコール溶液を用いて滴定する。
空試験;
試料サンプルを用いない(すなわちトルエン/エタノール(3:1)の混合溶液のみとする)以外は、前記の操作と同様の滴定を行う。
得られた結果を下記式に代入して、酸価を算出する。
A=[(C−B)×f×5.61]/S
ここで、Aは酸価(mgKOH/g)、Bは空試験の水酸化カリウム溶液の添加量(mL)、Cは本試験の水酸化カリウム溶液の添加量(mL)、fは水酸化カリウム溶液のファクター、Sは試料サンプル(g)を示す。
なお、本発明においては、結着樹脂の酸価を測定するために、重合性単量体以外のトナー構成材料を用いず、トナー粒子の製造と同様の条件で樹脂を別途作製し、その樹脂を酸価測定の試料サンプルに用いた。
結着樹脂の重量平均分子量(Mw)は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)により、以下のようにして測定する。
まず、室温で、トナー粒子をテトラヒドロフラン(THF)に溶解する。そして、得られた溶液を、ポア径が0.2μmの耐溶剤性メンブランフィルター「マイショリディスク」(東ソー社製)で濾過してサンプル溶液を得る。なお、サンプル溶液は、THFに可溶な成分の濃度が0.8質量%となるように調整する。このサンプル溶液を用いて、以下の条件で測定する。
装置:高速GPC装置「HLC−8220GPC」[東ソー(株)製]
カラム:LF−604の2連[昭和電工(株)製]
溶離液:THF
流速:0.6ml/min
オーブン温度:40℃
試料注入量:0.020ml
試料の分子量の算出にあたっては、標準ポリスチレン樹脂(例えば、商品名「TSKスタンダード ポリスチレン F−850、F−450、F−288、F−128、F−80、F−40、F−20、F−10、F−4、F−2、F−1、A−5000、A−2500、A−1000、A−500」、東ソー社製)を用いて作成した分子量校正曲線を使用する。
なお、本発明においては、結着樹脂のMwを測定するために、重合性単量体以外のトナー構成材料を用いず、トナー粒子の製造と同様の条件で樹脂を別途作製し、その樹脂を試料サンプルに用いた。
トナーの重量平均粒子径(D4)は、以下のようにして算出する。測定装置としては、100μmのアパーチャーチューブを備えた細孔電気抵抗法による精密粒度分布測定装置「コールター・カウンター Multisizer 3」(登録商標、ベックマン・コールター社製)を用いる。測定条件の設定及び測定データの解析は、付属の専用ソフト「ベックマン・コールター Multisizer 3 Version3.51」(ベックマン・コールター社製)を用いる。尚、測定は実効測定チャンネル数2万5千チャンネルで行う。
測定に使用する電解水溶液は、特級塩化ナトリウムをイオン交換水に溶解して濃度が1質量%となるようにしたもの、例えば、「ISOTON II」(ベックマン・コールター社製)が使用できる。
なお、測定、解析を行う前に、以下のように前記専用ソフトの設定を行う。
前記専用ソフトの「標準測定方法(SOM)を変更」画面において、コントロールモードの総カウント数を50000粒子に設定し、測定回数を1回、Kd値は「標準粒子10.0μm」(ベックマン・コールター社製)を用いて得られた値を設定する。「閾値/ノイズレベルの測定ボタン」を押すことで、閾値とノイズレベルを自動設定する。また、カレントを1600μAに、ゲインを2に、電解液をISOTON IIに設定し、「測定後のアパーチャーチューブのフラッシュ」にチェックを入れる。
前記専用ソフトの「パルスから粒径への変換設定」画面において、ビン間隔を対数粒径に、粒径ビンを256粒径ビンに、粒径範囲を2μmから60μmまでに設定する。
(1)Multisizer 3専用のガラス製250ml丸底ビーカーに前記電解水溶液200mlを入れ、サンプルスタンドにセットし、スターラーロッドの撹拌を反時計回りで24回転/秒にて行う。そして、専用ソフトの「アパーチャーのフラッシュ」機能により、アパーチャーチューブ内の汚れと気泡を除去しておく。
(2)ガラス製の100ml平底ビーカーに前記電解水溶液30mlを入れる。この中に分散剤として「コンタミノンN」(非イオン界面活性剤、陰イオン界面活性剤、有機ビルダーからなるpH7の精密測定器洗浄用中性洗剤の10質量%水溶液、和光純薬工業社製)をイオン交換水で3質量倍に希釈した希釈液を0.3ml加える。
(3)発振周波数50kHzの発振器2個を、位相を180度ずらした状態で内蔵し、電気的出力120Wの超音波分散器「Ultrasonic Dispersion System Tetora150」(日科機バイオス社製)を準備する。超音波分散器の水槽内に3.3lのイオン交換水を入れ、この水槽中にコンタミノンNを2ml添加する。(4)前記(2)のビーカーを前記超音波分散器のビーカー固定穴にセットし、超音波分
散器を作動させる。そして、ビーカー内の電解水溶液の液面の共振状態が最大となるようにビーカーの高さ位置を調整する。
(5)前記(4)のビーカー内の電解水溶液に超音波を照射した状態で、トナー10mgを少量ずつ前記電解水溶液に添加し、分散させる。そして、さらに60秒間超音波分散処理を継続する。なお、超音波分散にあたっては、水槽の水温が10℃以上40℃以下となる様に適宜調節する。
(6)サンプルスタンド内に設置した前記(1)の丸底ビーカーに、ピペットを用いてトナーを分散した前記(5)の電解質水溶液を滴下し、測定濃度が5%となるように調整する。そして、測定粒子数が50000個になるまで測定を行う。
(7)測定データを装置付属の前記専用ソフトにて解析を行い、重量平均粒子径(D4)を算出する。なお、前記専用ソフトでグラフ/体積%と設定したときの、「分析/体積統計値(算術平均)」画面の「平均径」が重量平均粒子径(D4)である。
トナー中のワックス分布状態は、トナーの断面を透過型電子顕微鏡で観察し、ワックスによって形成されたドメインの断面積からAs及びAcを算出し、任意に選択したトナー10個の平均値をもって評価した。詳細には、トナーを可視光硬化性包埋樹脂(D−800、日新EM社製)で包埋し、超音波ウルトラミクロトーム(EM5、ライカ社製)により60nm厚に切削し、真空染色装置(フィルジェン社製)によりRu染色を行った。その後、透過型電子顕微鏡(H7500、日立社製)により加速電圧120kVで観察を行った。観察するトナー断面は、重量平均粒子径から±2.0μm以内のものを10個選んで撮影を行った。得られた画像に画像処理ソフト(Photoshop 5.0、Adobe製)を用い、ワックスのドメインとバインダーの領域の区別を明確化した。
トナー断面における、トナー表面から1.0μmまで(1.0μmの境界を含む)の表層領域を残しマスキングを行い、残った表層領域の面積におけるワックスのドメインの占有面積百分率を算出し、これをAsとした。
また、トナー断面において、トナーの表面から1.0μmまでの該表層領域よりも内側の内部領域(該表層領域以外の領域)におけるワックスのドメインの占有面積百分率を算出し、これをAcとした。
・スチレン 78.0部
・n−ブチルアクリレート 22.0部
・銅フタロシアニン顔料(ピグメントブルー15:3) 6.0部
・サリチル酸アルミニウム化合物 0.7部
(ボントロンE−88:オリエント化学社製)
・極性樹脂 4.0部
(スチレン−2−ヒドロキシエチルメタクリレート−メタクリル酸−メタクリル酸メチル共重合体(質量比95:2:2:3)、酸価10mgKOH/g、ガラス転移点(Tg)=80℃、重量平均分子量(Mw)=15000)
・フィッシャートロプシュワックス 9.0部
(HNP−51:日本精鑞製:融点77℃)
からなる重合性単量体の混合物を調製した。これに15mmのセラミックビーズを入れ、湿式アトライタ(日本コークス工業製)を用いて2時間分散して、重合性単量体組成物1を得た。
一方、イオン交換水414.0部にリン酸ナトリウム(Na3PO4)6.3部を投入
し、クレアミックス(エム・テクニック社製)を用いて撹拌しながら、60℃に加温した。その後、3.6部の塩化カルシウム(CaCl2)を25.5部のイオン交換水に溶解した塩化カルシウム水溶液を添加してさらに撹拌を続け、リン酸三カルシウム(Ca3(PO4)2)からなる分散安定剤を含む水系媒体を調製した。
該重合性単量体組成物1に重合開始剤であるt−ブチルパーオキシピバレート10.0部を添加し、これを上記水系分散媒体に投入した。上記クレアミックスにて15000回転/分を維持しつつ10分間の造粒工程を行った。その後、一般的な撹拌機を備えた撹拌槽で、攪拌しながら70℃を保持して8時間重合を行うことによってトナー粒子分散液1を得た。
トナー粒子分散液1を冷却した後、塩酸を添加し、pHを1.4以下として分散安定剤を溶解し、ろ過、洗浄、乾燥を行うことによって(処理前)トナー粒子1を得た。
トナー粒子1の結着樹脂の酸価は0mgKOH/gであり、重量平均分子量(Mw)は21000であった。
還流冷却管、撹拌機、窒素導入管を備えた反応容器に、窒素雰囲気下、下記材料を入れた。
・トルエン 100.0部
・スチレン 78.0部
・n−ブチルアクリレート 22.0部
・t−ブチルパーオキシピバレート 3.0部
上記容器内を毎分200回転で撹拌し、70℃に加熱して10時間撹拌し、結着樹脂溶解液1を得た。次いで、
・結着樹脂溶解液1 160.0部
・フィッシャートロプシュワックス 7.2部
(HNP−51:日本精鑞製 融点77℃)
・銅フタロシアニン顔料(ピグメントブルー15:3) 4.8部
・サリチル酸アルミニウム化合物 0.6部
(ボントロンE−88:オリエント化学社製)
上記成分を15mmのセラミックビーズを入れた湿式アトライタ(日本コークス工業製)を用いて10時間混合分散させ樹脂組成物溶解液1を得た。
一方、イオン交換水414.0部にリン酸ナトリウム(Na3PO4)6.3部を投入し、クレアミックス(エム・テクニック社製)を用いて撹拌しながら、60℃に加温した。その後、3.6部の塩化カルシウム(CaCl2)を25.5部のイオン交換水に溶解した塩化カルシウム水溶液を添加してさらに撹拌を続け、リン酸三カルシウム(Ca3(PO4)2)からなる分散安定剤を含む水系媒体を調製した。
樹脂組成物溶解液1を上記水系分散媒体に投入し、クレアミックスにて15000回転/分を維持しつつ10分間の造粒工程を行い樹脂組成物分散液1を得た。
樹脂組成物分散液1を95℃に昇温して120分間撹拌を行うことによって樹脂組成物分散液1中のトルエンを除去しトナー粒子分散液2を得た。
トナー粒子分散液2を冷却した後、塩酸を添加し、pHを1.4以下として分散安定剤を溶解し、ろ過、洗浄、乾燥を行うことによって(処理前)トナー粒子2を得た。
トナー粒子2の結着樹脂の酸価は0mgKOH/gであり、重量平均分子量(Mw)は23000であった。
トナー粒子1の製造においてスチレンの添加量を70.2部、n−ブチルアクリレートの添加量を19.8部とした。さらにポリエステル(1,12‐ドデカンジオール−セバ
シン酸共重合体、融点=84.2℃、重量平均分子量(Mw)=21000)を10.0部添加した以外は、全く同様の方法によって(処理前)トナー粒子3の製造を行った。
トナー粒子3の結着樹脂の酸価は0mgKOH/gであり、重量平均分子量(Mw)は21000であった。
トナー粒子1の製造においてフィッシャートロプシュワックスのかわりにエステルワックスとしてベヘン酸ベヘニルを9.0部用いた以外は、全く同様の方法によって(処理前
)トナー粒子4の製造を行った。
トナー粒子4の結着樹脂の酸価は0mgKOH/gであり、重量平均分子量(Mw)は20000であった。
トナー粒子1の製造においてフィッシャートロプシュワックスのかわりにエステルワックスとしてセバシン酸ジベヘニルを9.0部用いた以外は、全く同様の方法によって(処
理前)トナー粒子5の製造を行った。
トナー粒子5の結着樹脂の酸価は0mgKOH/gであり、重量平均分子量(Mw)は21000であった。
トナー粒子1の製造においてフィッシャートロプシュワックスの添加量を1.5部にかえた以外は、全く同様の方法によって(処理前)トナー粒子6の製造を行った。
トナー粒子6の結着樹脂の酸価は0mgKOH/gであり、重量平均分子量(Mw)は20000であった。
<トナー粒子7の製造>
トナー粒子1の製造においてフィッシャートロプシュワックスの添加量を15.0部にかえた以外は、全く同様の方法によって(処理前)トナー粒子7の製造を行った。
トナー粒子7の結着樹脂の酸価は0mgKOH/gであり、重量平均分子量(Mw)は22000であった。
<トナー粒子8の製造>
トナー粒子1の製造においてフィッシャートロプシュワックスの添加量を0.8部にかえた以外は、全く同様の方法によって(処理前)トナー粒子8の製造を行った。
トナー粒子8の結着樹脂の酸価は0mgKOH/gであり、重量平均分子量(Mw)は21000であった。
トナー粒子1の製造においてフィッシャートロプシュワックスの添加量を22.0部にかえた以外は、全く同様の方法によって(処理前)トナー粒子9の製造を行った。
トナー粒子9の結着樹脂の酸価は0mgKOH/gであり、重量平均分子量(Mw)は20000であった。
<トナー粒子10の製造>
トナー粒子1の製造においてフィッシャートロプシュワックスの添加量を3.0部にかえた以外は、全く同様の方法によって(処理前)トナー粒子10の製造を行った。
トナー粒子10の結着樹脂の酸価は0mgKOH/gであり、重量平均分子量(Mw)は21000であった。
<トナー粒子11の製造>
トナー粒子1の製造においてフィッシャートロプシュワックスの添加量を25.0部にかえた以外は、全く同様の方法によって(処理前)トナー粒子11の製造を行った。
トナー粒子11の結着樹脂の酸価は0mgKOH/gであり、重量平均分子量(Mw)は21000であった。
トナー粒子1の製造においてフィッシャートロプシュワックスの添加量を5.5部、リン酸ナトリウムの添加量を6.9部、塩化カルシウムの添加量を3.9部にかえた以外は、全く同様の方法によって(処理前)トナー粒子12の製造を行った。
トナー粒子12の結着樹脂の酸価は0mgKOH/gであり、重量平均分子量(Mw)は22000であった。
<トナー粒子13の製造>
トナー粒子1の製造においてフィッシャートロプシュワックスの添加量を15.0部、リン酸ナトリウムの添加量を5.7部、塩化カルシウムの添加量を3.3部にかえた以外は、全く同様の方法によって(処理前)トナー粒子13の製造を行った。
トナー粒子13の結着樹脂の酸価は0mgKOH/gであり、重量平均分子量(Mw)は20000であった。
<トナー粒子14の製造>
トナー粒子1の製造においてフィッシャートロプシュワックスの添加量を3.5部、リン酸ナトリウムの添加量を7.2部、塩化カルシウムの添加量を4.1部にかえた以外は、全く同様の方法によって(処理前)トナー粒子14の製造を行った。
トナー粒子14の結着樹脂の酸価は0mgKOH/gであり、重量平均分子量(Mw)は21000であった。
トナー粒子1の製造においてフィッシャートロプシュワックスの添加量を15.0部、リン酸ナトリウムの添加量を5.4部、塩化カルシウムの添加量を3.1部にかえた以外は、全く同様の方法によって(処理前)トナー粒子15の製造を行った。
トナー粒子15の結着樹脂の酸価は0mgKOH/gであり、重量平均分子量(Mw)は22000であった。
<トナー粒子16の製造>
トナー粒子1の製造においてフィッシャートロプシュワックスの添加量を3.0部にかえた以外は、全く同様の方法によって(処理前)トナー粒子16の製造を行った。
トナー粒子16の結着樹脂の酸価は0mgKOH/gであり、重量平均分子量(Mw)は22000であった。
<トナー粒子17の製造>
トナー粒子1の製造においてフィッシャートロプシュワックスの添加量を3.5部にかえた以外は、全く同様の方法によって(処理前)トナー粒子17の製造を行った。
トナー粒子17の結着樹脂の酸価は0mgKOH/gであり、重量平均分子量(Mw)は21000であった。
(結着樹脂分散液の調製)
・スチレン 78.0部
・n−ブチルアクリレート 22.0部
以上を混合し、溶解したものを、非イオン性界面活性剤(三洋化成(株)製:ノニポール400)1.5部及びアニオン性界面活性剤(第一工業製薬(株)製:ネオゲンSC)2.2部をイオン交換水120.0部に溶解したものに分散、乳化した。これに重合開始剤として過硫酸アンモニウム1.5部を溶解したイオン交換水10.0部を投入した。窒素置換を行った後、撹拌しながら温度が70℃になるまで加熱し、4時間そのまま乳化重合を継続した。その後、固形分濃度が20.0質量%になるようイオン交換水の量を調整し、結着樹脂を分散させてなる結着樹脂分散液を調製した。
(着色剤分散液の調製)
・銅フタロシアニン顔料(C.I.ピグメントブルー15:3) 20.0部
・アニオン性界面活性剤(第一工業製薬(株)製:ネオゲンSC) 3.0部
・イオン交換水 78.0部
以上を混合し、サンドグラインダーミルを用いて分散した。その後、固形分濃度が20.0質量%になるようイオン交換水の量を調整し、着色剤分散液を調製した。
(ワックス分散液の調製)
・フィッシャートロプシュワックス 50.0部
(HNP−51:日本精鑞製 融点77℃)
・アニオン性界面活性剤 7.0部
(第一工業製薬(株)製:ネオゲンSC)
・イオン交換水 200.0部
以上を温度95℃に加熱して、ホモジナイザー(IKA社製:ウルトラタラックスT50)を用いて分散した後、圧力吐出型ホモジナイザーで分散処理した。その後、固形分濃度が20.0質量%になるようイオン交換水の量を調整し、ワックスを分散させてなるワックス粒子分散液を調製した。
(荷電制御粒子分散液の調製)
・サリチル酸アルミニウム化合物 5.0部
(ボントロンE−88、オリエント化学工業社製)
・アニオン性界面活性剤 3.0部
(第一工業製薬(株)製:ネオゲンSC)
・イオン交換水 78.0部
以上を混合し、サンドグラインダーミルを用いて分散した。その後、固形分濃度が5.0質量%になるようイオン交換水の量を調整し、荷電制御粒子分散液を調製した。
(混合液の調製)
・結着樹脂分散液 100.0部
・着色剤分散液 6.0部
・ワックス分散液 15.0部
以上を、撹拌装置,冷却管,温度計を装着した1リットルのセパラブルフラスコに投入し撹拌した。この混合液を1モル/L−水酸化カリウムを用いてpH=5.2に調整した。
この混合液に凝集剤として、8.0質量%塩化ナトリウム水溶液120.0部を滴下し、撹拌しながら温度55℃まで加熱した。さらに荷電制御粒子分散液2.0部を加え、温度55℃で2時間保持した。アニオン製界面活性剤(第一工業製薬(株)製:ネオゲンSC)3.0部を追加した後、撹拌を継続しながら温度95℃まで加熱し、4.5時間保持し、トナー粒子分散液18を得た。トナー粒子分散液18を冷却した後、ろ過、洗浄、乾燥を行うことによって(処理前)トナー粒子18を得た。
トナー粒子18の結着樹脂の酸価は0mgKOH/gであり、重量平均分子量(Mw)は24000であった。
トナー粒子18の製造においてワックス分散液の添加量を6.0部にかえた以外は、全く同様の方法によって(処理前)トナー粒子19の製造を行った。
トナー粒子19の結着樹脂の酸価は0mgKOH/gであり、重量平均分子量(Mw)は23000であった。
<トナー粒子20の製造>
トナー粒子2の製造においてフィッシャートロプシュワックスの添加量を3.2部にかえた以外は、全く同様の方法によって(処理前)トナー粒子20の製造を行った。
トナー粒子19の結着樹脂の酸価は0mgKOH/gであり、重量平均分子量(Mw)は22000であった。
<トナー粒子21の製造>
トナー粒子18の製造においてワックス分散液の添加量を12.5部にかえた以外は、全く同様の方法によって(処理前)トナー粒子21の製造を行った。
トナー粒子19の結着樹脂の酸価は0mgKOH/gであり、重量平均分子量(Mw)
は24000であった。
上記処理前のトナー粒子1に、以下のようにワックス分布制御工程(二酸化炭素による暴露処理)を行った。
トナー粒子1に対しては、以下のように処理した。図1に示す装置のタンクTa内に、処理前トナー粒子を20g入れ、内部温度を25℃に調節し、150rpmで攪拌しつつ、バルブV1を開き、ボンベBからポンプPを用いて二酸化炭素(純度99.99%)をタンクTaに導入した。バルブV1とバルブV2を調節し、タンクTa内の圧力を2.5MPaまで昇圧した。その後、ポンプPを止め、バルブV1を閉じ、バルブV2を調節しタンク内が密閉状態になるようにして60分の圧力保持を行った。その後、バルブV2を調節し、二酸化炭素をタンクTaの外部に排出し、タンクTaの圧力を大気圧まで減圧した。その後、攪拌を止めた後、タンクTaを開き処理後トナー粒子1を得た。
処理前トナー粒子2〜21に対しても、表1に記載の条件で、同様に処理した。
得られた各処理後のトナー粒子について、トナー粒子100.0部に対して一次粒子の個数平均粒径が40nmのシリカ微粒子1.0部を加え、FMミキサ(日本コークス工業製)を用いて混合しトナー1〜19(実施例1〜19のトナー)及びトナー25〜28(比較例1〜4のトナー)を得た。得られたトナーの物性を表1に示す。
トナー粒子1の製造において得られたトナー粒子に表1に示す条件でワックス分布制御工程(二酸化炭素による暴露処理)を行った。各トナー粒子について、トナー粒子100.0部に対して一次粒子の個数平均粒径が40nmのシリカ微粒子1.0部を加え、FMミキサ(日本コークス工業製)を用いて混合し、トナー20〜24(実施例20〜24のトナー)を得た。得られたトナーの物性を表1に示す。
(比較例5〜8)
トナー粒子1の製造において得られたトナー粒子に表1に示す条件でワックス分布制御工程(二酸化炭素による暴露処理)を行った。各トナー粒子について、トナー粒子100.0部に対して一次粒子の個数平均粒径が40nmのシリカ微粒子1.0部を加え、FMミキサ(日本コークス工業製)を用いて混合し、トナー29〜32(比較例5〜8のトナー)を得た。得られたトナーの物性を表1に示す。比較例6及び比較例8ではワックス分布制御工程においてトナー粒子が凝集、融着してしまい、トナーを得ることができなかった。
[低温定着性]
定着ユニットを外したカラーレーザープリンタ(HP Color LaserJet
3525dn、HP社製)を用意し、シアンカートリッジからトナーを取り出して、代わりに評価するトナーを充填した。次いで、受像紙(HP Laser Jet90、HP社製、90g/m2)上に、充填したトナーを用いて、縦2.0cm横15.0cmの未定着のトナー画像(トナーの載り量:0.9mg/cm2)を、通紙方向に対し上端部から1.0cmの部分に形成した。次いで、取り外した定着ユニットを定着温度とプロセ
ススピードを調節できるように改造し、これを用いて未定着画像の定着試験を行った。
まず、常温常湿環境下(23℃、60%RH)、プロセススピードを250mm/sに設定し、初期温度を110℃として設定温度を5℃ずつ順次昇温させながら、各温度で上記未定着画像の定着を行った。
低温定着性の評価基準は以下の通りである。低温側定着開始点とは、低温オフセット現象(トナーの一部が定着器に付着してしまう現象)が観察されない下限温度のことである。
A:低温側定着開始点が130℃以下(低温定着性が特に優れている)
B:低温側定着開始点が135℃以上145℃以下(低温定着性に優れている)
C:低温側定着開始点が150℃以上160℃以下(低温定着性が良い)
D:低温側定着開始点が165℃以上175℃以下(低温定着性にやや劣る)
E:低温側定着開始点が180℃以上(低温定着性に劣る)
上記低温定着性試験において、低温側定着開始点+20℃の温度で定着した定着画像を4.9kPa(50g/cm2)の荷重をかけたシルボン紙(オズ産業製:DUSPER
K−3)で同一方向に3回摺擦した。摺擦前後の濃度低下率を定着画像の折り曲げ強度とした。定着画像の折り曲げ強度の評価基準は以下の通りである。
A:濃度低下率が5%未満である(折り曲げ強度が特に優れている)
B:濃度低下率が5%以上10%未満である(折り曲げ強度が優れている)
C:濃度低下率が10%以上15%未満である(折り曲げ強度が良い)
D:濃度低下率が15%以上20%未満である(折り曲げ強度がやや劣る)
E:濃度低下率が20%以上である(折り曲げ強度が劣る)
定着ユニットを外したカラーレーザープリンタ(HP Color LaserJet
3525dn、HP社製)を用意し、シアンカートリッジからトナーを取り出して、代わりに評価するトナーを充填した。次いで、受像紙(HP Laser Jet90、HP社製、90g/m2)上に、充填したトナーを用いて、縦2.0cm横15.0cmの未定着のトナー画像(トナーの載り量:0.9mg/cm2)を、通紙方向に対し上端部から1.0cmの部分に形成した。次いで、取り外した定着ユニットを定着温度とプロセススピードを調節できるように改造し、これを用いて未定着画像の定着試験を行った。
まず、常温常湿環境下(23℃、60%RH)、プロセススピードを250mm/sに設定し、初期温度を170℃として設定温度を5℃ずつ順次昇温させながら、各温度で上記未定着画像の定着を行った。
高温定着性は、高温オフセット現象(トナーの一部が定着器に付着してしまう現象)が観察される温度範囲により下記のように評価した。
A:215℃以上でオフセット発生(高温定着性が特に優れている)
B:205℃以上210℃以下でオフセット発生(高温定着性に優れている)
C:195℃以上200℃以下でオフセット発生(高温定着性が良い)
D:190℃以下でオフセット発生(高温定着性にやや劣る)
定着ユニットを外したカラーレーザープリンタ(HP Color LaserJet
3525dn、HP社製)を用意し、シアンカートリッジからトナーを取り出して、代わりに評価するトナーを充填した。次いで、受像紙(XEROX 4200用紙、XEROX社製、75g/m2)上に、充填したトナーを用いて、未定着のベタ画像(トナーの載り量:0.6mg/cm2)を形成した。次いで、取り外した定着ユニットを定着温度とプロセススピードを調節できるように改造し、常温常湿環境下(23℃、60%RH)、プロセススピード250mm/s、170℃で上記未定着画像の定着を行った。PG−
3D(日本電色工業製)を用いてグロス値の測定を行った。評価基準を下記に示す。
A:グロス値が30以上
B:グロス値が25以上30未満
C:グロス値が20以上25未満
D:グロス値が15以上20未満
E:グロス値が15未満
トナーの性能評価の結果を表2に示す。
Claims (10)
- 結着樹脂及びワックスを含有するトナー粒子(但し、結着樹脂が結晶構造を取りうる樹脂を含有する場合を除く。)を有するトナーの製造方法であって、
下記(A)又は(B)の暴露処理工程を含み、
(A)結着樹脂及びワックスを含有する処理前のトナー粒子を二酸化炭素に暴露してトナー粒子を得る工程
(B)結着樹脂及びワックスを含有するトナー粒子並びに外添剤を有する処理前のトナーを二酸化炭素に暴露してトナーを得る工程
前記暴露処理工程の二酸化炭素の温度が10℃以上60℃以下であり、圧力が1.0MPa以上3.5MPa以下であり、
前記暴露処理工程を経て得られたトナーの断面を透過型電子顕微鏡で観察したときの前記トナーの表面から1.0μmまでの表層領域におけるワックスの占める面積の割合をAsとし、
前記表層領域よりも内側の内部領域におけるワックスの占める面積の割合をAcとしたときに、
下記式(1)及び(2)を満たすことを特徴とするトナーの製造方法。
18.0%≧As≧1.5% (1)
10.0≧Ac/As≧2.0 (2) - 前記結着樹脂の酸価が15.0mgKOH/g以下である請求項1に記載のトナーの製造方法。
- 前記結着樹脂の重量平均分子量(Mw)が10000以上50000以下である請求項1又は2に記載のトナーの製造方法。
- 前記結着樹脂がスチレンアクリル系樹脂を含む請求項1〜3のいずれか一項に記載のトナーの製造方法。
- 前記ワックスの含有量が、前記結着樹脂100質量部に対して、1.0質量部以上20.0質量部以下である請求項1〜4のいずれか一項に記載のトナーの製造方法。
- 前記結着樹脂の溶解度パラメータをSP1とし、前記ワックスの溶解度パラメータをSP2としたときに、下記式(3)を満たす請求項1〜5のいずれか一項に記載のトナーの製造方法。
|SP1−SP2|≧1.10 (3) - 前記ワックスが炭化水素系ワックスを含む請求項1〜6のいずれか一項に記載のトナーの製造方法。
- 前記暴露処理工程の時間が5分以上180分以下である請求項1〜7のいずれか一項に記載のトナーの製造方法。
- 水系媒体中において液滴を形成する造粒工程を経て、結着樹脂及びワックスを有するトナー粒子を得る工程を含む請求項1〜8のいずれか一項に記載のトナーの製造方法。
- (a)結着樹脂を構成する重合性単量体及びワックスを有する重合性単量体組成物を調製する工程、
(b)該重合性単量体組成物を水系媒体中に分散して、前記重合性単量体組成物の液滴を形成する工程、及び、
(c)前記液滴中の重合性単量体を重合する工程、
を有する、結着樹脂及びワックスを有するトナー粒子を得る工程を含む請求項1〜9のいずれか一項に記載のトナーの製造方法。
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