JP6494421B2 - トナーの製造方法およびブロックポリマーの製造方法 - Google Patents

トナーの製造方法およびブロックポリマーの製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、電子写真法、静電記録法、およびトナージェット法のような画像形成方法に用いられるトナーの製造方法およびブロックポリマーの製造方法に関する。
近年、複合機やプリンターなどにおいて、省エネルギー化が求められおり、そのためにトナーの特性として、より低い温度で軟化するということが求められる。また、複合機やプリンターが様々な地域、環境で使われる現在、保存安定性(耐熱保存性)も兼ね備える必要がある。これらの課題に対して結晶性樹脂を用いることが検討されている。
結晶性樹脂は、融点以下においては粘性変化がほとんどなく、融点を超えると一気に軟化するという性質(シャープメルト性)をもっている。結晶性樹脂をトナーに導入することによって、耐熱保存性を悪化させず、定着時に加熱されることによって結着樹脂の溶融粘度を一気に下げる(可塑効果)ことで、低温定着性を得ることができる。
以下のような検討の中で、この結晶性樹脂を用いたトナーが提案されている(特許文献1)。しかし、前記に挙げたようなトナーは、結晶性樹脂が、一般的に規則正しい分子配列を取るため、外力に対する脆弱性が発現してしまう傾向があるので、外的な力に対する耐久性が低く、高速で連続してプリントを行った際、画像に縦筋状の欠け(現像スジ)などの画像不良を引き起こす場合があった。さらにより低い設定温度で用いた際、低温定着性と耐熱保存性の両立が十分でない場合があった。
上記課題に対し、1分子中に結晶性部と非晶性部を持つブロック体を結着樹脂として使用することが提案されている(特許文献2)。メカニズムは定かではないが、結晶性部と非晶性部がブロック化されていることにより、結晶性樹脂の表面への露出が少なくなり、耐熱性、耐久性ともに向上し、上記課題を解決するに至っている。これらのことから、ブロックポリマーを工業的に用いることが求められている。
工業的なブロックポリマーの合成例としては、末端にカルボン酸基を有するポリスチレンと末端に水酸基を有する結晶性ポリエステルとをp−トルエンスルホン酸を触媒としてブロック化させる方法が提案されている(特許文献3)。
特開2006−106727号公報 特開2007−147927号公報 特開昭62−273574号公報
本発明者らの検討の結果、特許文献3に記載の合成法によって得られたブロックポリマーは十分な可塑効果を有する成分が少なく、より低い設定温度におけるトナーの定着性能として不十分な場合があることがわかった。その結果、低温定着性と耐熱保存性の両立が困難な場合があることがあきらかとなった。
本発明は、より高い水準で低温定着性と耐熱保存性の両立を可能とするトナーの製造方法およびブロックポリマーの製造方法を提供することを目的とする。
上記目的を達成するために、本発明は、トナー粒子を有するトナーの製造方法であって、
該製造方法が、
ジオールモノマーと、
ジカルボン酸モノマーと、
末端がカルボキシル基もしくはカルボン酸エステル基であるビニル系重合体Vと、
を重合させることによってブロックポリマーを得る工程Aと、
該ブロックポリマーと結着樹脂とを含有するトナー粒子を得る工程Bと、
を有し、
該ブロックポリマーが、融点を有し、
該ブロックポリマーが、
該ジオールモノマーおよび該ジカルボン酸モノマーから形成される結晶部と、
該ビニル系重合体Vからなる非晶部と、
を有し、
該工程Aにおける該ジオールモノマーの総使用量をMA[g]とし、該ジカルボン酸モノマーの総使用量をMB[g]とし、該ビニル系重合体Vの総使用量をMC[g]としたとき、(MA+MB)/MCが、20/80以上80/20以下であり、
該工程Aが、下記工程1および工程2を有する
ことを特徴とするトナーの製造方法に関する。
工程1:MA[g]の該ジオールモノマーと、MB×X[g]の該ジカルボン酸モノマー(Xは0.3以上0.7以下)と、MC[g]の該ビニル系共重合体Vとを使用して、該ジオールモノマーと該ジカルボン酸モノマーと該ビニル系重合体Vとの重合反応を行う工程、
工程2:工程1の後、MB×(1−X)[g]の該ジカルボン酸モノマーを追添し、さらに重合反応を行い、該ブロックポリマーを得る工程
また、本発明は、ブロックポリマーの製造方法であって、
該製造方法が、
ジオールモノマーと、
ジカルボン酸モノマーと、
末端がカルボキシル基もしくはカルボン酸エステル基であるビニル系重合体Vと、
を重合させることによってブロックポリマーを得る工程Aを有し、
該ブロックポリマーが、
該ジオールモノマーおよび該ジカルボン酸モノマーから形成される結晶部と、
該ビニル系重合体Vからなる非晶部と、
を有し、
該工程Aにおける該ジオールモノマーの総使用量をMA[g]とし、該ジカルボン酸モノマーの総使用量をMB[g]とし、該ビニル系重合体Vの総使用量をMC[g]としたとき、(MA+MB)/MCが、20/80以上80/20以下であり、
該工程Aが、下記工程1および工程2を有する
ことを特徴とするブロックポリマーの製造方法に関する。
工程1:MA[g]の該ジオールモノマーと、MB×X[g]の該ジカルボン酸モノマー(Xは0.3以上0.7以下)と、MC[g]の該ビニル系共重合体Vとを使用して、該ジオールモノマーと該ジカルボン酸モノマーと該ビニル系重合体Vとの重合反応を行う工程、
工程2:工程1の後、MB×(1−X)[g]の該ジカルボン酸モノマーを追添し、さらに重合反応を行い、該ブロックポリマーを得る工程
本発明によれば、より高い水準で低温定着性と耐熱保存性の両立を可能とするトナーの製造方法およびブロックポリマーの製造方法を提供することができる。
樹脂A1のNMRによる組成分析データを示す図である。
以下に本発明の実施形態を具体的に説明する。
本件において、本発明者らはトナーの溶融時における結着樹脂に対するブロックポリマーの可塑効果に着眼した。鋭意検討の結果、本発明のトナーはブロックポリマーの製造方法を改良することにより、効果を発現することを見出した。本発明の製造方法は、以下工程Aと工程Bを有する。工程Aは、ジオールモノマーと、ジカルボン酸モノマーと、末端がカルボキシル基もしくはカルボン酸エステル基であるビニル系重合体Vとを重合させることによってブロックポリマーを得る工程である。工程Bは、ブロックポリマーと結着樹脂とを含有するトナー粒子を得る工程である。
本発明のブロックポリマーは、ジオールとジカルボン酸からなる結晶部と、末端がカルボキシル基もしくはカルボン酸エステル基であるビニル系重合体からなる非晶部によって構成される。ブロックポリマーは分子量分布を持ち、さらには分子量ごとに結晶部と非晶部の組成の偏りが生じていると考えられる。一方、結着樹脂に対するブロックポリマーの可塑効果において、ブロックポリマーの分子量分布や分子量ごとの組成の違いによって結着樹脂への相溶度合いおよび可塑効果が変化すると考えられる。ブロックポリマーの製造時において、ビニル系重合体、ジオール、ジカルボン酸を共重合させる際、ジカルボン酸をある質量の比において、二度に分けて添加することにより、可塑効果に寄与する分子量帯でのブロック体として得られる成分が増加し、効果を発揮すると考えられる。そのため、定着性能が向上したものと考えられている。また、分子量分布が変化することによって、耐熱性悪化に寄与すると考えられる低分子量の成分の割合、組成が変化し、良好な耐熱性が得られたもの考えられている。
本発明によって得られるブロックポリマーは、工程Aにおいて、次のような質量比で縮重合する。すなわち、ジオールモノマー、ジカルボン酸モノマーおよびビニル系重合体Vの総使用量をMA[g]、MB[g]、MC[g]としたとき、(MA+MB)/MCが20/80以上80/20以下の範囲で重縮合させる。(MA+MB)/MCが80/20より大きい場合、ブロックポリマー中の非晶部比率が小さくなり、加熱時における結着樹脂との相溶効果が得られにくく低温定着性を良化することができない。また耐熱性も維持することができない。(MA+MB)/MCが20/80より小さい場合、ブロックポリマーの結晶部が小さくなり、結晶性樹脂としての性能が十分に発揮されず、定着性能を良化することができない。
工程Aは更に下記工程を含んで製造されることを特徴とする。
工程1:MA[g]の該ジオールモノマーと、MB×X[g]の該ジカルボン酸モノマーと、MC[g]の該ビニル系共重合体Vとを使用して、該ジオールモノマーと該ジカルボン酸モノマーと該ビニル系重合体Vとの重合反応を行う工程。Xは0.3以上0.7以下である。
工程2:工程1の後、MB×(1−X)[g]の該ジカルボン酸モノマーを追添し、さらに重合反応を行い、該ブロックポリマーを得る工程。
Xが0.3以上0.7以下の範囲外にある場合、製造後のブロックポリマーの分子量分布および組成が、Xが範囲内にある場合と比べ、変化せず、結着樹脂に対する可塑効果を発現する成分が増加しないと考えられ、定着性能を良化できない。また、耐熱性悪化に寄与する低分子量の成分の割合が増え、耐熱保存性を良化することができないと考えられる。
ここで、「工程1の後」とは、工程1においてGPCによる重量平均分子量(Mw)の推移を追った際、Mwのおおよその変化がなくなった時点を反応後とする。具体的な測定手法については後述する。
工程1は下記工程3と4を含むことが好ましい。
工程3:MA[g]の該ジオールモノマーと、MC[g]の該ビニル系重合体Vとを使用して、該ジオールモノマーと該ビニル系重合体Vとの重合反応を行う工程、
工程4:工程3の後、MB×X[g]の該ジカルボン酸モノマーを追添し、さらに重合反応を行う工程。
工程3と工程4を含む場合、工程3においてビニル系重合体Vは両末端にジオールが導入されることにより、局所的にビニル系重合体とジカルボン酸とが相溶しやすくなっていると考えられる。そのため、ブロック体として得られる成分の割合が向上し、定着性が良化すると考えられる。
工程3の反応は通常、10分以上10時間以下の範囲で行われ、より好ましくは1時間以上5時間以下の範囲で行われる。エステル化触媒は工程2で添加しても良いし、工程3で添加しても良いし、両工程で添加しても良い。
ブロックポリマーの含有量は、結着樹脂とブロックポリマーの質量の和を基準として、5.0質量%以上50.0質量%以下であることが好ましい。ブロックポリマーの含有量が5.0質量%以上である場合、ブロックポリマーが結着樹脂を可塑する割合が大きくなり、定着効果を発揮し易い。ブロックポリマーの質量が50.0質量%以下である場合、トナー中においてブロックポリマーの割合が小さくなり、表面近傍に存在する確率が低くなることによって、耐熱性、耐久性を維持することが可能になる。より好ましくは10.0質量%以上40.0質量%以下である。
ブロックポリマーの融点は55℃以上90℃以下であることが好ましい。ブロックポリマーの融点が55℃以上である場合、トナーのブロッキングが発生し難くなり、耐熱性を維持し易くなる。融点が90℃以下である場合、加熱時においてブロックポリマーが溶融し易くなり、低温定着性が良化し易い。ブロックポリマーの融点はジオール、ジカルボン酸、ビニル系重合体の組成を変更するなどの方法によって制御することができる。例えば、脂肪族ジオールモノマー、脂肪族ジカルボン酸モノマーを用いる場合、モノマーの炭素数を大きくすると融点は高くなり、炭素数を小さくすると融点は低くなる傾向にある。
ブロックポリマーの重量平均分子量(Mw)は15000以上50000以下が好ましい。本発明の製造方法で製造されたブロックポリマーは、結晶性部と非晶性部がランダムに形成されるため、重量平均分子量が15000以上だと、ブロックポリマーとしての特性(例えばミクロ相分離構造の生成など)が十分に発現される。また、重量平均分子量が50000以下であると、蒸留による溶媒やモノマー等の低分子量成分の除去がしやすくなる。ブロックポリマーの重量平均分子量(Mw)は縮重合時の温度、ジオール、ジカルボン酸、ビニル系重合体の質量比などを変更することにより制御することができる。
本発明で用いることができるブロックポリマーはジオール、ジカルボン酸およびビニル系重合体を縮重合することにより、製造することが可能である。
ジカルボン酸としては、例えばアルカンジカルボン酸(例えば、コハク酸、アジピン酸、ピメリン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ドデカンジカルボン酸、オクタデカンジカルボン酸、デシルコハク酸、ドデシルコハク酸、オクタデシルコハク酸など)、アルケンジカルボン酸(例えば、マレイン酸、フマル酸、シトラコン酸、メサコン酸、ドデセニルコハク酸、ペンタデセニルコハク酸、オクタデセニルコハク酸、ダイマー酸など)、芳香族ジカルボン酸(例えば、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸およびナフタレンジカルボン酸など)などが挙げられる。これらは、酸無水物およびアルキルエステルの形で用いても良い。
ジオールとしては、アルキレングリコール(例えば、エチレングリコール、1,2−プロピレングリコール、1,3−プロピレングリコール、1,4−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,8−オクタンジオール、1,9−ノナンジオール、1,10−デカンジオール、1,12−ドデカンジオール、1,14−テトラデカンジオール、ネオペンチルグリコール、2,2−ジエチル−1,3−プロパンジオール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、水素添加ビスフェノールAおよびスピログリコールなど)、アルキレンエーテルグリコール(例えば、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ジプロピレングリコールなど)、ビスフェノール類(ビスフェノールA、ビスフェノールF、ビスフェノールS、ビスフェノールA・エチレンオキサイド2モル付加物、ビスフェノールA・プロピレンオキサイド2.5モル付加物など)などが挙げられる。
これらのジカルボン酸及びジオールのうち、結晶性ポリエステルを生成するアルカンジカルボン酸、アルキレングリコールが好ましい。
末端がカルボキシル基もしくはカルボン酸エステル基であるビニル系重合体Vは、ビニルモノマーを重合することによってビニル系重合体を作成し、このビニル系重合体の末端にカルボキシル基又はカルボン酸エステル基を導入することによって得られる。
本発明で用いることができるビニル系重合体を構成するビニルモノマーとしては以下のものが挙げられる。スチレン、α−メチルスチレン、α−エチルスチレン、o−メチルスチレン、m−メチルスチレン、p−メチルスチレン、p−メトキシスチレン、p−フェニルスチレン、p−クロロスチレン、3,4−ジクロロスチレン、p−エチルスチレン、2,4−ジメチルスチレン、p−n−ブチルスチレン、p−tert−ブチルスチレン、p−n−ヘキシルスチレン、p−n−オクチルスチレン、p−n−ノニルスチレン、p−n−デシルスチレン、p−n−ドデシルスチレン、エチレン、プロピレン、ブチレン、イソブチレン、塩化ビニル、塩化ビニリデン、ビニルメチルエーテル、ビニルエチルエーテル、ビニルイソブチルエーテル、ビニルメチルケトン、ビニルヘキシルケトン、メチルイソプロペニルケトン、ビニルナフタリン、アクリロニトリル、メタクリロニトリル、又は、アクリルアミド等を挙げる事ができる。この中でもスチレンが特に好ましい。
末端がカルボキシル基又はカルボン酸エステル基であるビニル系重合体V(ビニルポリマーブロック)は公知の方法により導入することができる。官能基含有開始剤を用いる方法としては、例えば、Koji Ishizu、「Journal of Polymer Science Part A:Polymer Chemistry」、(米国)、John Wiley&Sons、1990年、第28巻、1887−1894頁。官能基含有開始剤としては、例えば、Dimethyl 2,2’−azobis(2−methylpropionate)が挙げられる。官能基含有連鎖移動剤を用いる方法としては、例えば、Toshiro Uchida、外4名、「Journal of Polymer Science Part A:Polymer Chemistry」、(米国)、John Wiley&Sons、2000年、第38巻、3052−3058頁。]。
縮合反応には、必要に応じて公知のエステル化触媒を用いても良い。
縮合反応後半から又は終了後、蒸留により溶媒を留去することでブロック共重合体を得ることができる。また、溶媒及び不純物を除去するために、必要に応じて公知の精製方法(例えば、デカンテーション、再沈澱、カラムクロマト法、吸着法、ソックスレー抽出などを含む抽出、限外濾過、透析等など)を用いても良い。
本発明のトナーに用いられる結着樹脂としては、以下のものが挙げられる。スチレンとアクリル酸との共重合体、スチレンとメタクリル酸との共重合体,スチレンと不飽和カルボン酸エステル等との共重合体、アクリロニトリル等のニトリル系単量体、塩化ビニル等の含ハロゲン系単量体、アクリル酸或はメタクリル酸等の不飽和カルボン酸、その他不飽和二塩基酸及び不飽和二塩基酸無水物、ニトロ系単量体等の重合体若しくはこれらの単量体とスチレン系単量体等との共重合体、マレイン酸共重合体,ポリエステル樹脂,エポキシ樹脂。定着前でのブロックポリマーと相分離性が良い(耐熱性が良い)ことや耐久に必要な弾性を維持できることから、この中でも特にスチレンとアクリル系モノマーまたはメタクリル系モノマーとの共重合体からなるスチレンアクリル系樹脂が好ましい。
スチレン−アクリル樹脂を構成する重合性単量体としては、ラジカル重合が可能なビニル系重合性単量体を用いることが可能である。該ビニル系重合性単量体としては、単官能性重合性単量体あるいは多官能性重合性単量体を使用することができる。
単官能性重合性単量体としては以下のものが挙げられる。スチレン、α−メチルスチレン、β−メチルスチレン、o−メチルスチレン、m−メチルスチレン、p−メチルスチレン、2,4−ジメチルスチレン、p−n−ブチルスチレン、p−tert−ブチルスチレン、p−n−ヘキシルスチレン、p−n−オクチルスチレン、p−n−ノニルスチレン、p−n−デシルスチレン、p−n−ドデシルスチレン、p−メトキシスチレン、および、p−フェニルスチレンのようなスチレン誘導体類;
メチルアクリレート、エチルアクリレート、n−プロピルアクリレート、iso−プロピルアクリレート、n−ブチルアクリレート、iso−ブチルアクリレート、tert−ブチルアクリレート、n−アミルアクリレート、n−ヘキシルアクリレート、2−エチルヘキシルアクリレート、n−オクチルアクリレート、n−ノニルアクリレート、シクロヘキシルアクリレート、ベンジルアクリレート、ジメチルフォスフェートエチルアクリレート、ジエチルフォスフェートエチルアクリレート、ジブチルフォスフェートエチルアクリレート、および、2−ベンゾイルオキシエチルアクリレートのようなアクリル系重合性単量体類;
メチルメタクリレート、エチルメタクリレート、n−プロピルメタクリレート、iso−プロピルメタクリレート、n−ブチルメタクリレート、iso−ブチルメタクリレート、tert−ブチルメタクリレート、n−アミルメタクリレート、n−ヘキシルメタクリレート、2−エチルヘキシルメタクリレート、n−オクチルメタクリレート、n−ノニルメタクリレート、ジエチルフォスフェートエチルメタクリレート、および、ジブチルフォスフェートエチルメタクリレートなどのメタクリル系重合性単量体類。
多官能性重合性単量体としては以下のものが挙げられる。ジエチレングリコールジアクリレート、トリエチレングリコールジアクリレート、テトラエチレングリコールジアクリレート、ポリエチレングリコールジアクリレート、1,6−ヘキサンジオールジアクリレート、ネオペンチルグリコールジアクリレート、トリプロピレングリコールジアクリレート、ポリプロピレングリコールジアクリレート、2,2’−ビス(4−(アクリロキシジエトキシ)フェニル)プロパン、トリメチロールプロパントリアクリレート、テトラメチロールメタンテトラアクリレート、エチレングリコールジメタクリレート、ジエチレングリコールジメタクリレート、トリエチレングリコールジメタクリレート、テトラエチレングリコールジメタクリレート、ポリエチレングリコールジメタクリレート、1,3−ブチレングリコールジメタクリレート、1,6−ヘキサンジオールジメタクリレート、ネオペンチルグリコールジメタクリレート、ポリプロピレングリコールジメタクリレート、2,2’−ビス(4−(メタクリロキシジエトキシ)フェニル)プロパン、2,2’−ビス(4−(メタクリロキシポリエトキシ)フェニル)プロパン、トリメチロールプロパントリメタクリレート、テトラメチロールメタンテトラメタクリレート、ジビニルベンゼン、ジビニルナフタリン、ジビニルエーテル。
単官能性重合性単量体を単独で、あるいは二種以上組み合わせて、または、単官能性重合性単量体と多官能性重合性単量体とを組み合わせて、または、多官能性重合性単量体を単独で、あるいは、二種以上を組み合わせて使用することができる。
本発明において、トナーを製造するための製造方法は、どのような製造方法であっても構わない。定着前のトナー中での結着樹脂とブロックポリマーとの相分離性を維持するためには、懸濁重合法、乳化重合法および懸濁造粒法などの水系媒体中で重合性単量体組成物を造粒するトナーの製造方法によって得ることが好ましい。
以下、本発明に用いられるトナーの製造方法の中で最も好適な懸濁重合法を用いて、トナーの製造方法を説明する。
上述した結着樹脂を構成する重合性単量体、ブロックポリマー、着色剤、および必要に応じて他の添加物を、ホモジナイザー、ボールミル、コロイドミル、超音波分散機のような分散機に依って均一に溶解または分散させる。これに重合開始剤を溶解し、重合性単量体組成物を調製する。次に、該重合性単量体組成物を分散安定剤含有の水系媒体中に懸濁して重合を行なうことによってトナーは製造される。
重合開始剤は、重合性単量体中に他の添加剤を添加する時に同時に加えてもよいし、水系媒体中に懸濁する直前に混合してもよい。また、造粒直後、重合反応を開始する前に重合性単量体あるいは溶媒に溶解した重合開始剤を加えてもよい。
上記混合液に極性樹脂を添加してもよい。極性樹脂を添加することにより、結晶性樹脂の内包化の促進を図ることができる。
極性樹脂としては、ポリエステル系樹脂またはカルボキシル基含有スチレン系樹脂が好ましい。極性樹脂としてポリエステル系樹脂またはカルボキシル基含有スチレン系樹脂を用いることで、当該樹脂がトナー粒子の表面に偏在してシェルを形成した際に、当該樹脂自身のもつ潤滑性が期待できる。
極性樹脂に係るポリエステル系樹脂としては、下記に挙げる酸成分単量体とアルコール成分単量体とを縮合重合した樹脂を用いることができる。酸成分単量体としては、テレフタル酸、イソフタル酸、フタル酸、フマル酸、マレイン酸、マロン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、しょうのう酸、シクロヘキサンジカルボン酸、および、トリメリット酸が挙げられる。
アルコール成分単量体としては以下のものが挙げられる。エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、1,2−プロピレングリコール、1,3−プロピレングリコール、1,4−ブタンジオール、ネオペンチルグリコール、1,4−ビス(ヒドロキシメチル)シクロヘキサンのアルキレングリコール類およびポリアルキレングリコール類、ビスフェノールA、水素添加ビスフェノール、ビスフェノールAのエチレンオキサイド付加物、ビスフェノールAのプロピレンオキサイド付加物、グリセリン、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール。
極性樹脂に係るカルボキシル基含有スチレン系樹脂としては、スチレン系のアクリル酸共重合体、スチレン系のメタクリル酸共重合体、スチレン系のマレイン酸共重合体などが好ましく、特にスチレン−アクリル酸エステル−アクリル酸系共重合体が帯電量を制御し易く好ましい。
また、カルボキシル基含有スチレン系樹脂は1級または2級の水酸基を有するモノマーを含有していることがより好ましい。具体的な重合体組成物としては以下のものが挙げられる。スチレン−2−ヒドロキシエチルメタクリレート−メタクリル酸−メタクリル酸メチル共重合体、スチレン−n−ブチルアクリレート−2−ヒドロキシエチルメタクリレート−メタクリル酸−メタクリル酸メチル共重合体、スチレン−α−メチルスチレン−2−ヒドロキシエチルメタクリレート−メタクリル酸−メタクリル酸メチル共重合体。1級または2級の水酸基を有するモノマーを含有した樹脂は極性が大きく、長期放置安定性がより良好となる。
上記極性樹脂の含有量は、結着樹脂100質量部に対して1.0質量部以上20.0質量部以下であることが好ましく、より好ましくは2.0質量部以上10.0質量部以下である。
本発明において、公知のワックスを用いることができる。具体的には、以下のものが挙げられる。パラフィンワックス、マイクロクリスタリンワックス、ペトロラクタムの石油系ワックスおよびその誘導体、モンタンワックスおよびその誘導体、フィッシャートロプシュ法による炭化水素ワックスおよびその誘導体、ポリエチレンに代表されるポリオレフィンワックスおよびその誘導体、カルナバワックス、キャンデリラワックスの天然ワックスおよびそれらの誘導体。誘導体には酸化物や、ビニルモノマーとのブロック共重合物、グラフト変性物も含まれる。また、高級脂肪族アルコールなどのアルコール;ステアリン酸、パルミチン酸などの脂肪酸あるいはその化合物;酸アミド、エステル、ケトン、硬化ヒマシ油およびその誘導体、植物ワックス、動物ワックスが挙げられる。これらは単独、もしくは併用して用いることができる。
これらの中でも、ポリオレフィン、フィッシャートロプシュ法による炭化水素ワックス、もしくは、石油系ワックスを使用した場合に、耐久性や転写性の改善効果がさらに高くなる。なお、これらのワックスには、トナーの帯電性に影響を与えない範囲で酸化防止剤が添加されていてもよい。また、これらのワックスは、結着樹脂100質量部に対して1.0質量部以上30.0質量部以下使用するのが好ましい。
本発明において、ワックスの融点は30℃以上120℃以下の範囲であることが好ましく、より好ましくは60℃以上100℃以下の範囲である。
上記のような熱特性を呈するワックスを用いることにより、得られるトナーの良好な定着性はもとより、ワックスによる離型効果が効率良く発現され、十分な定着領域が確保される。
本発明に用いられる着色剤としては、以下の有機顔料、有機染料、および、無機顔料が挙げられる。
シアン系着色剤としては、銅フタロシアニン化合物およびその誘導体、アントラキノン化合物、および、塩基染料レーキ化合物が挙げられる。具体的には、以下のものが挙げられる。C.I.ピグメントブルー1、7、15、15:1、15:2、15:3、15:4、60、62、および、66。
マゼンタ系着色剤としては、以下のものが挙げられる。縮合アゾ化合物、ジケトピロロピロール化合物、アントラキノン、キナクリドン化合物、塩基染料レーキ化合物、ナフトール化合物、ベンズイミダゾロン化合物、チオインジゴ化合物、および、ペリレン化合物。具体的には、以下のものが挙げられる。C.I.ピグメントレッド2、3、5、6、7、23、48:2、48:3、48:4、57:1、81:1、122、144、146、150、166、169、177、184、185、202、206、220、221、254、およびC.I.ピグメントバイオレット19。
イエロー系着色剤としては、縮合アゾ化合物、イソインドリノン化合物、アントラキノン化合物、アゾ金属錯体、メチン化合物、および、アリルアミド化合物が挙げられる。具体的には、以下のものが挙げられる。C.I.ピグメントイエロー12、13、14、15、17、62、74、83、93、94、95、97、109、110、111、120、127、128、129、147、151、154、155、168、174、175、176、180、181、185、191、および、194。
黒色着色剤としては、カーボンブラック、および、上記イエロー系着色剤、マゼンタ系着色剤、およびシアン系着色剤を用いて黒色に調色されたものが挙げられる。
これらの着色剤は、単独または混合しさらには固溶体の状態で用いることができる。本発明に用いられる着色剤は、色相角、彩度、明度、耐光性、OHP透明性、および、トナー粒子中の分散性の点から選択される。
該着色剤は、結着樹脂100質量部に対して1.0質量部以上20.0質量部以下用いることが好ましい。
懸濁重合法を用いてトナー粒子を得る場合には、着色剤の持つ重合阻害性や水相移行性を考慮し、重合阻害のない物質による疎水化処理を施した着色剤を用いることが好ましい。染料を疎水化処理する好ましい方法としては、あらかじめこれら染料の存在下に重合性単量体を重合させ着色重合体を得る方法が挙げられ、この得られた着色重合体を重合性単量体組成物に添加する。
また、カーボンブラックについては、上記染料と同様の疎水化処理の他、カーボンブラックの表面官能基と反応する物質(ポリオルガノシロキサン)で処理を行ってもよい。
本発明において、荷電制御剤または荷電制御樹脂を用いてもよい。
該荷電制御剤としては、公知のものが利用でき、特に摩擦帯電スピードが速く、かつ、一定の摩擦帯電量を安定して維持できる荷電制御剤が好ましい。さらに、トナー粒子を懸濁重合法により製造する場合には、重合阻害性が低く、水系媒体への可溶化物が実質的にない荷電制御剤が特に好ましい。
荷電制御剤としてはトナーを負荷電性に制御するものと正荷電性に制御するものがある。
トナーを負荷電性に制御するものとしては、以下のものが挙げられる。モノアゾ金属化合物、アセチルアセトン金属化合物、芳香族オキシカルボン酸、芳香族ダイカルボン酸、オキシカルボン酸およびダイカルボン酸系の金属化合物、芳香族オキシカルボン酸、芳香族モノおよびポリカルボン酸およびその金属塩、無水物、エステル類、ビスフェノールのようなフェノール誘導体類、尿素誘導体、含金属サリチル酸系化合物、含金属ナフトエ酸系化合物、ホウ素化合物、4級アンモニウム塩、カリックスアレーン、および、荷電制御樹脂。
一方、トナーを正荷電性に制御する荷電制御剤としては、以下のものが挙げられる。グアニジン化合物;イミダゾール化合物;トリブチルベンジルアンモニウム−1−ヒドロキシ−4−ナフトスルフォン酸塩、テトラブチルアンモニウムテトラフルオロボレートのような4級アンモニウム塩、およびこれらの類似体であるホスホニウム塩のようなオニウム塩およびこれらのレーキ顔料;トリフェニルメタン染料およびこれらのレーキ顔料(レーキ化剤としては、リンタングステン酸、リンモリブデン酸、リンタングステンモリブデン酸、タンニン酸、ラウリン酸、没食子酸、フェリシアン化物、および、フェロシアン化物);高級脂肪酸の金属塩、および荷電制御樹脂。
これら荷電制御剤の中でも、含金属サリチル酸系化合物が好ましく、特にその金属がアルミニウムもしくはジルコニウムであるものが好ましい。
荷電制御樹脂としては、スルホン酸基、スルホン酸塩基またはスルホン酸エステル基を有する重合体または共重合体を用いることができる。スルホン酸基、スルホン酸塩基またはスルホン酸エステル基を有する重合体としては、特にスルホン酸基含有アクリルアミド系モノマーまたはスルホン酸基含有メタクリルアミド系モノマーを共重合比で2質量%以上含有することが好ましく、より好ましくは5質量%以上含有することである。
荷電制御樹脂は、ガラス転移温度(Tg)が35℃以上90℃以下であり、ピーク分子量(Mp)が10,000以上30,000以下であり、重量平均分子量(Mw)が25,000以上50,000以下であることが好ましい。これを用いた場合、トナー粒子に求められる熱特性に影響を及ぼすことなく、好ましい摩擦帯電特性を付与することができる。さらに、荷電制御樹脂がスルホン酸基を含有している為、着色剤を含む重合性単量体組成物中における荷電制御樹脂自身の分散性、および、着色剤の分散性が向上し、着色力、透明性、および、摩擦帯電特性をより向上させることができる。
これら荷電制御剤または荷電制御樹脂は、単独であるいは2種類以上組み合わせて添加してもよい。
これら荷電制御剤の中でも、含金属サリチル酸系化合物が好ましく、特にその金属がアルミニウムもしくはジルコニウムであるものが好ましい。
荷電制御剤または荷電制御樹脂の添加量は、結着樹脂100質量部に対して0.01質量部以上20.0質量部以下であることが好ましく、より好ましくは0.5質量部以上10.0質量部以下である。
上記重合開始剤としては、有機過酸化物系開始剤やアゾ系重合開始剤が挙げられる。
有機過酸化物系開始剤としては、以下のものが挙げられる。ベンゾイルパーオキサイド、ラウロイルパーオキサイド、ジ−α−クミルパーオキサイド、2,5−ジメチル−2,5−ビス(ベンゾイルパーオキシ)ヘキサン、ビス(4−t−ブチルシクロヘキシル)パーオキシジカーボネート、1,1−ビス(t−ブチルパーオキシ)シクロドデカン、t−ブチルパーオキシマレイン酸、ビス(t−ブチルパーオキシ)イソフタレート、メチルエチルケトンパーオキサイド、tert−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート、ジイソプロピルパーオキシカーボネート、クメンヒドロパーオキサイド、2,4−ジクロロベンゾイルパーオキサイド、および、tert−ブチル−パーオキシピバレート。
アゾ系重合開始剤としては、以下のものが挙げられる。2,2’−アゾビス−(2,4−ジメチルバレロニトリル)、2,2’−アゾビスイソブチロニトリル、1,1’−アゾビス(シクロヘキサン−1−カルボニトリル)、2,2’−アゾビス−4−メトキシ−2,4−ジメチルバレロニトリル、アゾビスメチルブチロニトリル。
また、重合開始剤として、酸化性物質と還元性物質とを組み合わせたレドックス系開始剤を用いることもできる。酸化性物質としては、過酸化水素、過硫酸塩(ナトリウム塩、カリウム塩、および、アンモニウム塩)の無機過酸化物、および、4価のセリウム塩の酸化性金属塩が挙げられる。還元性物質としては以下のものが挙げられる。還元性金属塩(2価の鉄塩、1価の銅塩、および、3価のクロム塩)、アンモニア、低級アミン(メチルアミン、および、エチルアミンのような炭素数1以上6以下程度のアミン)、ヒドロキシルアミンのようなアミノ化合物、チオ硫酸ナトリウム、ナトリウムハイドロサルファイト、亜硫酸水素ナトリウム、亜硫酸ナトリウム、および、ナトリウムホルムアルデヒドスルホキシレートの還元性硫黄化合物、低級アルコール(炭素数1以上6以下)、アスコルビン酸またはその塩、低級アルデヒド(炭素数1以上6以下)。
重合開始剤は、10時間半減期温度を参考に選択され、単独または混合して利用される。前記重合開始剤の添加量は、目的とする重合度により変化するが、一般的には重合性単量体100質量部に対し0.5質量部以上20.0質量部以下が添加される。
また、重合度を制御するため公知の連鎖移動剤、および、重合禁止剤をさらに添加し用いることも可能である。
重合性単量体を重合させる場合に各種架橋剤を用いることもできる。架橋剤としては、以下のものが挙げられる。ジビニルベンゼン、4,4’−ジビニルビフェニル、エチレングリコールジアクリレート、エチレングリコールジメタクリレート、ジエチレングリコールジアクリレート、ジエチレングリコールジメタクリレート、グリシジルアクリレート、グリシジルメタクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、トリメチロールプロパンとりメタクリレートのような多官能性化合物。
水系媒体を調製する時に使用する分散安定剤としては、公知の無機化合物の分散安定剤、および、有機化合物の分散安定剤を用いることができる。無機化合物の分散安定剤としては、以下のものが挙げられる。リン酸三カルシウム、リン酸マグネシウム、リン酸アルミニウム、リン酸亜鉛、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、水酸化カルシウム、水酸化マグネシウム、水酸化アルミニウム、メタケイ酸カルシウム、硫酸カルシウム、硫酸バリウム、ベントナイト、シリカ、アルミナ。一方、有機化合物の分散安定剤としては、以下のものが挙げられる。ポリビニルアルコール、ゼラチン、メチルセルロース、メチルヒドロキシプロピルセルロース、エチルセルロース、カルボキシメチルセルロースのナトリウム塩、ポリアクリル酸およびその塩、および、デンプン。これら分散安定剤の使用量は、重合性単量体100質量部に対して0.2質量部以上20.0質量部以下であることが好ましい。
これら分散安定剤の中で、無機化合物の分散安定剤を用いる場合、市販のものをそのまま用いてもよいが、より細かい粒径の分散安定剤を得るために、水系媒体中で該無機化合物を生成させてもよい。例えば、リン酸三カルシウムの場合、高撹拌下において、リン酸ナトリウム水溶液と塩化カルシウム水溶液を混合することで得られる。
トナー粒子には、トナーへの各種特性を付与するために外添剤を外添してもよい。トナーの流動性を向上させるための外添剤としては、シリカ微粒子、酸化チタン微粒子、および、それらの複酸化物微粒子のような無機微粒子が挙げられる。無機微粒子の中でもシリカ微粒子および酸化チタン微粒子が好ましい。
例えば、本発明のトナー粒子に、無機微粒子を外添混合してトナー粒子の表面に付着させることで、トナーを得ることができる。無機微粒子の外添方法は公知の方法を採用すればよい。例えば、ヘンシェルミキサー(三井三池化工機(株))を用いて混合処理を行う方法が挙げられる。
シリカ微粒子としては、ケイ素ハロゲン化物の蒸気相酸化により生成された乾式シリカまたはヒュームドシリカ、および水ガラスから製造される湿式シリカが挙げられる。無機微粒子としては、表面およびシリカ微粒子の内部にあるシラノール基が少なく、またNa2O、SO3 2-の少ない乾式シリカの方が好ましい。また、乾式シリカは、製造工程において、塩化アルミニウム、塩化チタン他のような金属ハロゲン化合物をケイ素ハロゲン化合物と共に用いることによって、シリカと他の金属酸化物の複合微粒子であってもよい。
無機微粒子は、その表面を処理剤によって疎水化処理することによって、トナーの摩擦帯電量の調整、環境安定性の向上、および、高温高湿下での流動性の向上を達成することができるので、疎水化処理された無機微粒子を用いることが好ましい。トナーに外添された無機微粒子が吸湿すると、トナーの摩擦帯電量、および、流動性が低下し、耐久性や転写性の低下が生じ易くなる。
無機微粒子を疎水化処理するための処理剤としては、以下のものが挙げられる。未変性のシリコーンワニス、各種変性シリコーンワニス、未変性のシリコーンオイル、各種変性シリコーンオイル、シラン化合物、シランカップリング剤、その他有機ケイ素化合物、および、有機チタン化合物。その中でも、シリコーンオイルが好ましい。これらの処理剤は単独で用いてもあるいは併用してもよい。
無機微粒子の総添加量は、トナー粒子100質量部に対して1.0質量部以上5.0質量部以下であることが好ましく、より好ましくは1.0質量部以上2.5質量部以下である。外添剤は、トナーに添加した時の耐久性の点から、トナー粒子の平均粒径の1/10以下の粒径であることが好ましい。
以下、本発明に係る各種物性の測定方法について説明する。
<分子量の測定方法>
樹脂およびポリマーの重量平均分子量(Mw)ならびに数平均分子量(Mn)は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)を用い、以下のようにして測定する。
まず、室温で、樹脂またはポリマーをテトラヒドロフラン(THF)に溶解する。そして、得られた溶液を、ポア径が0.2μmの耐溶剤性メンブランフィルター「マイショリディスク」(東ソー社製)で濾過してサンプル溶液を得る。なお、サンプル溶液は、THFに可溶な成分の濃度が0.8質量%となるように調整する。このサンプル溶液を用いて、以下の条件で測定する。
装置:高速GPC装置「HLC−8220GPC」[東ソー(株)製]
カラム:LF−604の2連[昭和電工(株)製]
溶離液:THF
流速:0.6ml/min
オーブン温度:40℃
試料注入量:0.020ml
サンプルの分子量の算出にあたっては、標準ポリスチレン樹脂を用いて作成した分子量校正曲線を使用する。標準ポリスチレン樹脂は例えば、以下のものが挙げられる。商品名「TSKスタンダード ポリスチレン F−850、F−450、F−288、F−128、F−80、F−40、F−20、F−10、F−4、F−2、F−1、A−5000、A−2500、A−1000、A−500」、(東ソ−社製)
<組成分析方法>
核磁気共鳴分光分析(1H−NMR)[400MHz、CDCl3、室温(25℃)]を用いて行った。
測定装置:FT NMR装置 JNM−EX400(日本電子社製)
測定周波数:400MHz
パルス条件:5.0μs
周波数範囲:10500Hz
積算回数:64回
得られたスペクトルのケミカルシフトの値からブロックポリマーの組成を確認した。
<工程1における反応終了点の見極め方法>
工程1において反応中の反応液を反応開始後から一定時間毎にサンプリングし、その時点の重量平均分子量(Mw)をMw(t)とする。tは反応開始時からの経過時間である(t/min)。Mw(t)が、Mw(t)/Mw(t−60)<1.05となった時点で、反応の終点と判断する。但し、工程1が工程1aと工程1bを含む場合、サンプリングは工程1a終了後から開始する。
<融点(Tm)の測定方法>
結晶性樹脂の融点(Tm)は、示差走査熱量分析装置「Q1000」(TA Instruments社製)を用いてASTM D3418−82に準じて測定する。
装置検出部の温度補正はインジウムと亜鉛の融点を用い、熱量の補正についてはインジウムの融解熱を用いる。
具体的には、サンプル5mgを精秤し、これをアルミニウム製のパンの中に入れ、リファレンスとして空のアルミニウム製のパンを用い、測定温度範囲30℃以上200℃以下の間で、昇温速度10℃/minで測定を行う。なお、測定においては、一度200℃まで昇温させ、続いて30℃まで10℃/minで降温し、その後に再度昇温を行う。この2度目の昇温過程での温度30℃以上200℃以下の範囲におけるDSC曲線の最大の吸熱ピークのピーク温度を融点(Tm)とする。
以下、本発明を実施例によりさらに具体的に説明する。本発明は以下の実施例によって制限されるものではない。
まず、実施例で用いるブロックポリマー(樹脂A)について述べる。
<樹脂A1の製造>
撹拌機、温度計、窒素導入管、および、減圧装置を備えた反応容器に、キシレン57.1質量部を窒素置換しながら加熱し、液温140℃で還流させた。該溶液へスチレン100.0質量部、Dimethyl 2,2’−azobis(2−methylpropionate)22.6質量部を混合したものを3時間かけて滴下し、滴下終了後、溶液を3時間撹拌した。その後、160℃、1hPaにて、キシレンおよび残存スチレンを留去しビニル系重合体(1)を得た。ビニル系重合体(1)は、末端がカルボキシル基もしくはカルボン酸エステル基であるビニル系重合体Vである。
次いで、撹拌機、温度計、窒素導入管、脱水管、および、減圧装置を備えた反応容器に上記で得られたビニル系重合体(1)100.0質量部、有機溶媒としてキシレン36.5質量部、1,12−ドデカンジオール78.0質量部にエステル化触媒としてチタン(IV)イソプロポキシド0.39質量部を加えて、窒素雰囲気下、150℃で4時間反応させた。その後、セバシン酸17.5質量部を加えて150℃で5時間、180℃で10時間反応させた。GPCにて分子量をモニターし、反応終了を確認した後、セバシン酸17.5質量部を添加し、180℃、1hPaで所望のMwとなるまで反応させて樹脂A1(ブロックポリマー)を得た。得られた樹脂A1のNMRによる組成分析データを図1に示す。以下のケミカルシフト(ppm)の値から反応を確認した。
2.27〜2.32ppmおよび4.02〜4.06ppm:ジオールとジカルボン酸のエステル結合由来のピーク、
3.33ppm:ビニル系重合体の末端とジオールとのエステル結合ピーク
<樹脂A2〜10、12〜16の製造>
表1に示すような原料および製造条件を変更すること以外は樹脂A1の製造と同様にして樹脂A2〜10、12〜16を得た。得られた樹脂Aの物性を表2に示す。
<樹脂A11の製造>
樹脂A1の製造と同様にしてビニル系共重合体(1)を得た。
次いで、撹拌機、温度計、窒素導入管、脱水管、および、減圧装置を備えた反応容器に上記で得られたビニル系重合体(1)100.0質量部、有機溶媒としてキシレン36.5質量部、1,12−ドデカンジオール78.0質量部とセバシン酸17.5質量部とエステル化触媒としてチタン(IV)イソプロポキシド0.39質量部を加えて150℃で7時間、180℃で10時間反応させた。GPCにて分子量をモニターし、反応終了を確認した後、セバシン酸17.5質量部を添加し、180℃、1hPaで所望の重量平均分子量(Mw)となるまで反応させて樹脂A11を得た。
<樹脂A17の製造>
樹脂A1の製造と同様にしてビニル系共重合体(1)を得た。
次いで、撹拌機、温度計、窒素導入管、脱水管、および、減圧装置を備えた反応容器に上記で得られたビニル系重合体(1)100.0質量部、有機溶媒としてキシレン36.5質量部、1,12−ドデカンジオール78.0質量部にエステル化触媒としてチタン(IV)イソプロポキシド0.39質量部を加えて、窒素雰囲気下、150℃で4時間反応させた。その後、セバシン酸35質量部を加えて150℃で5時間反応後、180℃、1hPaで所望の分子量になるまで反応させて樹脂A17を得た。
Figure 0006494421
Figure 0006494421
<トナー1の製造>
温度60℃に加温したイオン交換水1300.0質量部に、リン酸三カルシウム9.0質量部を添加し、TK式ホモミキサー(特殊機化工業製)を用いて、撹拌速度15,000rpmにて撹拌し、水系媒体を調製した。
下記の混合物をアトライター(三井金属社製)で常温にて5時間分散させ、マスターバッチを調製した。
・スチレン 120.0質量部
・シアン着色剤(C.I.ピグメントブルー15:3) 19.5質量部
・荷電制御剤(ボントロンE−88、オリエント化学社製) 1.5質量部
・荷電制御樹脂 2.1質量部
(スチレン/アクリル酸2−エチルヘキシル/2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸共重合体=(質量基準)88.0/6.0/5.0、Mw=33000、Tg=83℃)
下記の材料を温度65℃でプロペラ式撹拌装置にて撹拌速度100rpmで撹拌しながら、混合して重合性単量体組成物を調製した。
・マスターバッチ 47.7質量部
・スチレン 10.7質量部
・n−ブチルアクリレート 14.3質量部
・樹脂A1 35.0質量部
・炭化水素ワックス(Tm=78℃) 9.0質量部
・極性樹脂 5.0質量部
(スチレン−2−ヒドロキシエチルメタクリレート−メタクリル酸−メタクリル酸メチル共重合体、酸価10mgKOH/g、Tg=80℃、Mw=15,000)
上記水系媒体中に上記重合性単量体組成物を投入し、重合開始剤として
・パーブチルPV(10時間半減期温度54.6℃(日本油脂製)) 6.0質量部
を加え、温度60℃にてTK式ホモミキサーを用いて、撹拌速度15,000rpmで20分間撹拌し、造粒した。
プロペラ式撹拌装置に移して撹拌速度200rpmで撹拌しつつ、温度85℃で5時間、重合性単量体組成物中の重合性単量体であるスチレンおよびn−ブチルアクリレートを重合反応させ、トナー粒子を含むスラリーを製造した。重合反応終了後、該スラリーを冷却した。冷却されたスラリーに塩酸を加えpHを1.4にし、1時間撹拌することでリン酸カルシウム塩を溶解させた。その後、スラリーの10倍の水量で洗浄し、ろ過、乾燥の後、分級によって粒子径を調整してトナー粒子を得た。
上記トナー粒子100.0質量部に対して、外添剤として、シリカ微粒子に対して20質量%のジメチルシリコーンオイルで処理された疎水性シリカ微粒子(1次粒子径:7nm、BET比表面積:130m2/g)1.5質量部を、ヘンシェルミキサー(三井三池社製)を用い、撹拌速度3000rpmで15分間混合して、トナー1を得た。トナー1の物性を表3に示す。なお、D1は数平均粒径であり、D4は重量平均粒径である。
<トナー2〜19の製造>
表3に示す原材料および添加部数に変更すること以外はトナー1の同様の製造方法でトナー2〜19を得た。トナー2〜19の物性を表3に示す。
<トナー20およびトナー23〜25の製造>
・スチレンアクリル樹脂 65.0質量部
[スチレン:n−ブチルアクリレート=78:22(質量比)の共重合物](Mw=30,000、Tg=55℃)
・樹脂A1 35.0質量部
・メチルエチルケトン 100.0質量部
・酢酸エチル 100.0質量部
・炭化水素ワックス(Tm=78℃) 9.0質量部
・シアン着色剤(C.I.ピグメントブルー15:3) 6.5質量部
・荷電制御樹脂 1.0質量部
(スチレン/アクリル酸2−エチルヘキシル/2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸共重合体=(質量基準)88.0/6.0/5.0、Mw=33000、Tg=83℃)
上記材料を、アトライター(三井金属社製)を用いて3時間分散し、着色剤分散液を得た。
一方、温度60℃に加温したイオン交換水3000.0質量部にリン酸カルシウム27.0質量部を添加し、TK式ホモミキサー(特殊機化工業製)を用いて、撹拌速度10,000rpmにて撹拌し、水系媒体を調製した。
上記水系媒体へ上記着色剤分散液を投入し、温度65℃、N2雰囲気下において、TK式ホモミキサーにて撹拌速度12,000rpmで15分間撹拌し、着色剤粒子を造粒した。その後、TK式ホモミキサーから通常のプロペラ撹拌装置に変更し、撹拌装置の撹拌速度を150rpmに維持し、内温を温度95℃に昇温して3時間保持して着色剤粒子から溶剤を除去し、トナー粒子の分散液を調製した。
得られたトナー粒子の分散液に塩酸を加えpHを1.4にし、1時間撹拌することでリン酸カルシウム塩を溶解させた。上記分散液を加圧ろ過器にて、ろ過・洗浄をしてトナー凝集物を得た。その後、トナー凝集物を破砕、乾燥してトナー粒子を得た。
得られたトナー粒子100.0質量部に対して、外添剤として、シリカ微粒子に対して20質量%のジメチルシリコーンオイルで処理された疎水性シリカ微粒子(1次粒子径:7nm、BET比表面積:130m2/g)1.5質量部をヘンシェルミキサー(三井三池社製)で、撹拌速度3000rpmで15分間混合してトナー20を得た。トナー20の物性については表3に示す。
更に、樹脂A1を樹脂A15〜17に変える他は、トナー20と同様にトナー23〜25を得、トナー23〜25の物性も表3に示す。
<トナー21の製造>
(樹脂粒子分散液1の調製)
・スチレン 78.0質量部
・n−ブチルアクリレート 22.0質量部
以上を混合し、溶解したものを、非イオン性界面活性剤(三洋化成(株)製:ノニポール400)1.5質量部およびアニオン性界面活性剤(第一工業製薬(株)製:ネオゲンSC)2.2質量部をイオン交換水120.0質量部に溶解した。これに、分散、乳化し、10分間ゆっくりと混合しながら、これに重合開始剤として過硫酸アンモニウム1.5質量部を溶解したイオン交換水10.0質量部を投入し、窒素置換を行った。その後、撹拌しながら内容物が温度70℃になるまで加熱し、4時間そのまま乳化重合を継続し、平均粒径が0.29μmである樹脂粒子を分散させてなる樹脂粒子分散液1を調製した。
(樹脂粒子分散液2の調製)
・樹脂A1 100.0質量部
を溶解したものを、非イオン性界面活性剤(三洋化成(株)製:ノニポール400)1.5質量部およびアニオン性界面活性剤(第一工業製薬(株)製:ネオゲンSC)2.2質量部をイオン交換水120質量部に溶解したものに、分散、乳化した。平均粒径が0.31μmである樹脂粒子を分散させてなる樹脂粒子分散液2を調製した。
(着色剤粒子分散液の調製)
・シアン着色剤(C.I.ピグメントブルー15:3) 20.0質量部
・アニオン性界面活性剤 3.0質量部
(第一工業製薬(株)製:ネオゲンSC)
・イオン交換水 78.0質量部
以上を混合し、サンドグラインダーミル(日本コークス工業株式会社製)を用いて分散した。この着色剤粒子分散液における粒度分布を、粒度測定装置(堀場製作所製、LA−700)を用いて測定したところ、含まれる着色剤粒子の平均粒径は、0.20μmであり、また1μmを超える粗大粒子は観察されなかった。
(ワックス粒子分散液の調製)
・炭化水素ワックス(Tm=78℃) 50.0質量部
・アニオン性界面活性剤 7.0質量部
(第一工業製薬(株)製:ネオゲンSC)
・イオン交換水 200.0質量部
以上を温度95℃に加熱して、ホモジナイザー(IKA社製:ウルトラタラックスT50)を用いて分散した後、圧力吐出型ホモジナイザーで分散処理し、平均粒径が0.50μmであるワックスを分散させてなるワックス粒子分散液を調製した。
(荷電制御粒子分散液の調製)
・ジ−アルキル−サリチル酸の金属化合物 5.0質量部
(荷電制御剤、ボントロンE−84、オリエント化学工業社製)
・アニオン性界面活性剤 3.0質量部
(第一工業製薬(株)製:ネオゲンSC)
・イオン交換水 78.0質量部
以上を混合し、サンドグラインダーミルを用いて分散した。
(混合液の調製)
・樹脂粒子分散液1 150.0質量部
・樹脂粒子分散液2 77.5質量部
・着色剤粒子分散液 27.5質量部
・ワックス粒子分散液 45.0質量部
以上を、撹拌装置,冷却管,温度計を装着した1リットルのセパラブルフラスコに投入し撹拌した。この混合液を1モル/L−水酸化カリウムを用いてpH=5.2に調整した。
この混合液に凝集剤として、8%塩化ナトリウム水溶液120.0質量部を滴下し、撹拌しながら温度55℃まで加熱した。この温度の時、荷電制御粒子分散液を10.0質量部加えた。温度55℃で2時間保持した後、光学顕微鏡にて観察すると平均粒径が3.3μmである凝集粒子が形成されていることが確認された。
その後、ここにアニオン製界面活性剤(第一工業製薬(株)製:ネオゲンSC)3.0質量部を追加した後、撹拌を継続しながら温度95℃まで加熱し、4.5時間保持した。そして、冷却後、反応生成物をろ過し、イオン交換水で十分に洗浄した後、温度45℃で流動層乾燥を行い、トナー粒子を得た。トナー粒子には、スチレンアクリル樹脂が65.0質量部、樹脂Aが35.0質量部、シアン着色剤が5.5質量部、ワックスが9.0質量部、負荷電性制御樹脂が0.6質量部含まれていた。
得られたトナー粒子100.0質量部に対して、外添剤として、シリカ微粒子に対して20.0質量%のジメチルシリコーンオイルで処理された疎水性シリカ微粒子(1次粒子径:7nm、BET比表面積:130m2/g)1.5質量部を、ヘンシェルミキサー(三井三池社製)を用い、撹拌速度3000rpmで15分間混合してトナー21を得た。トナー21の物性については表3に示す。
<トナー22の製造>
下記材料を予め混合物し、二軸エクストルーダーで溶融混練し、冷却した混練物をハンマーミル(ホソカワミクロン社製)で粗粉砕し、得られた微粉砕物を分級してトナー粒子を得た。
・結着樹脂 65.0質量部
[スチレン−n−ブチルアクリレート共重合樹脂[(Mw=30,000、Tg=50℃)]
・樹脂A1 35.0質量部
・C.I.Pigment Blue15:3 5.5質量部
・ジ−アルキル−サリチル酸の金属化合物 3.0質量部
〔オリエント化学工業社製:ボントロンE88〕
・炭化水素ワックス(Tm=78℃) 6.0質量部
得られたトナー粒子100.0質量部に対して、外添剤として、シリカ微粒子に対して20.0質量%のジメチルシリコーンオイルで処理された疎水性シリカ微粒子(1次粒子径:7nm、BET比表面積:130m2/g)1.5質量部を、ヘンシェルミキサー(三井三池社製)を用い、撹拌速度3000rpmで15分間混合してトナー22を得た。トナー22の物性については表3に示す。
Figure 0006494421
<低温定着性の評価方法>
定着ユニットを外したカラーレーザープリンター(HP Color LaserJet 3525dn、HP社製)を用意し、シアンカートリッジからトナーを取り出して、代わりに評価するトナーを充填した。次いで、受像紙(キヤノン製オフィスプランナー 64g/m2)上に、充填したトナーを用いて、縦2.0cm横15.0cmの未定着のトナー画像(0.6mg/cm2)を、通紙方向に対し上端部から1.0cmの部分に形成した。次いで、取り外した定着ユニットを定着温度とプロセススピードを調節できるように改造し、これを用いて未定着画像の定着試験を行った。
まず、常温常湿環境下(23℃、60%RH)、プロセススピードを230mm/s、定着線圧269N(27.4kgf)に設定し、初期温度を100℃として設定温度を5℃ずつ順次昇温させながら、各温度で上記未定着画像の定着を行った。
低温定着性の評価基準は以下の通りである。低温側定着開始点とは、画像の中央部分を縦方向に折り曲げ、4.9kPa(50g/cm2)の荷重で折り目を付け、該折り目と垂直方向に同様に折り目を付け、折り目の交点を4.9kPa(50g/cm2)の荷重をかけたシルボン紙(ダスパー K−3)で0.1m/秒の速度で5回摺擦したときに、摺擦前後の濃度低下率が10%以下となる最低温度のことである。
(評価基準)
A:低温側定着開始点が105℃以下(低温定着性が特に優れている)
B:低温側定着開始点が110℃あるいは115℃(低温定着性に優れている)
C:低温側定着開始点が120℃あるいは125℃(低温定着性が良好である)
D:低温側定着開始点が130℃あるいは135℃(低温定着性にやや劣る)
<高温定着性の評価方法>
上記評価方法を用いて、高温定着性の評価も同様に行った。
(評価基準)
A:180℃オフセットせず
B:175℃でオフセット発生
C:170℃でオフセット発生
D:155℃でオフセット発生
<耐久性の評価方法>
常温常湿環境下(温度23℃/湿度60%RH)、および、高温湿湿環境下(温度33℃/湿度85%RH)において、カラーレーザープリンター(HP Color LaserJet 3525dn、HP社製)を用い、横線で1%の印字率の画像を20000枚プリントアウト試験終了後、LETTERサイズのXEROX 4200用紙(XEROX社製、75g/m2)にハーフトーン(トナーの載り量:0.6mg/cm2)の画像をプリントアウトし、画像に縦筋状の欠け(現像スジ)の評価をした。耐久性が低い場合、現像スジが発生しやすくなる。
(評価基準)
A:未発生
B:現像スジが1カ所以上3カ所以下発生
C:現像スジが4カ所以上6カ所以下発生
<耐熱保存性>
各トナー5gを50ccポリカップに取り、温度55℃/湿度10%RHで放置し、凝集塊の有無を調べ評価した。
(評価基準)
A:放置後72時間で凝集塊発生せず(耐熱保存性に特に優れる)
B:放置後48時間で軽微な凝集塊が発生(耐熱保存性に優れる)
C:放置後24時間で軽微な凝集塊が発生(耐熱保存性が良好)
D:放置後24時間で凝集塊が発生、軽く指で押しても崩れない(耐熱保存性に劣る)
〔実施例1〜22〕
実施例1〜22では、トナーとして、トナー1〜22をそれぞれ用いて上記評価を行った。その評価結果を表4に示す。
〔比較例1〜3〕
比較例1〜3では、トナーとしてトナー23〜25をそれぞれ用いて上記評価を行った。その評価結果を表4に示す。
Figure 0006494421

Claims (8)

  1. トナー粒子を有するトナーの製造方法であって、
    該製造方法が、
    ジオールモノマーと、
    ジカルボン酸モノマーと、
    末端がカルボキシル基もしくはカルボン酸エステル基であるビニル系重合体Vと、
    を重合させることによってブロックポリマーを得る工程Aと、
    該ブロックポリマーと結着樹脂とを含有するトナー粒子を得る工程Bと、
    を有し、
    該ブロックポリマーが、融点を有し、
    該ブロックポリマーが、
    該ジオールモノマーおよび該ジカルボン酸モノマーから形成される結晶部と、
    該ビニル系重合体Vからなる非晶部と、
    を有し、
    該工程Aにおける該ジオールモノマーの総使用量をMA[g]とし、該ジカルボン酸モノマーの総使用量をMB[g]とし、該ビニル系重合体Vの総使用量をMC[g]としたとき、(MA+MB)/MCが、20/80以上80/20以下であり、
    該工程Aが、下記工程1および工程2を有する
    ことを特徴とするトナーの製造方法:
    工程1:MA[g]の該ジオールモノマーと、MB×X[g]の該ジカルボン酸モノマー(Xは0.3以上0.7以下)と、MC[g]の該ビニル系共重合体Vとを使用して、該ジオールモノマーと該ジカルボン酸モノマーと該ビニル系重合体Vとの重合反応を行う工程、
    工程2:工程1の後、MB×(1−X)[g]の該ジカルボン酸モノマーを追添し、さらに重合反応を行い、該ブロックポリマーを得る工程。
  2. 前記工程1が、下記工程3および工程4を有する請求項1に記載のトナーの製造方法:
    工程3:MA[g]の前記ジオールモノマーと、MC[g]の前記ビニル系重合体Vとを使用して、前記ジオールモノマーと前記ビニル系重合体Vとの重合反応を行う工程、
    工程4:工程3の後、MB×X[g]の前記ジカルボン酸モノマーを追添し、さらに重合反応を行う工程。
  3. 前記ブロックポリマーの含有量が、前記結着樹脂と前記ブロックポリマーの質量の和を基準として5.0質量%以上50.0質量%以下である請求項1または2に記載のトナーの製造方法。
  4. 前記ブロックポリマーの融点が、55℃以上90℃以下である請求項1〜3のいずれか1項に記載のトナーの製造方法。
  5. 前記結着樹脂がスチレンアクリル系樹脂である請求項1〜4のいずれか1項に記載のトナーの製造方法。
  6. ブロックポリマーの製造方法であって、
    該製造方法が、
    ジオールモノマーと、
    ジカルボン酸モノマーと、
    末端がカルボキシル基もしくはカルボン酸エステル基であるビニル系重合体Vと、
    を重合させることによってブロックポリマーを得る工程Aを有し、
    該ブロックポリマーが、
    該ジオールモノマーおよび該ジカルボン酸モノマーから形成される結晶部と、
    該ビニル系重合体Vからなる非晶部と、
    を有し、
    該工程Aにおける該ジオールモノマーの総使用量をMA[g]とし、該ジカルボン酸モノマーの総使用量をMB[g]とし、該ビニル系重合体Vの総使用量をMC[g]としたとき、(MA+MB)/MCが、20/80以上80/20以下であり、該工程Aが、下記工程1および工程2を有する
    ことを特徴とするブロックポリマーの製造方法:
    工程1:MA[g]の該ジオールモノマーと、MB×X[g]の該ジカルボン酸モノマー(Xは0.3以上0.7以下)と、MC[g]の該ビニル系共重合体Vとを使用して、該ジオールモノマーと該ジカルボン酸モノマーと該ビニル系重合体Vとの重合反応を行う工程、
    工程2:工程1の後、MB×(1−X)[g]の該ジカルボン酸モノマーを追添し、さらに重合反応を行い、該ブロックポリマーを得る工程。
  7. 前記工程1が、下記工程3および工程4を有する請求項6に記載のブロックポリマーの製造方法:
    工程3:MA[g]の前記ジオールモノマーと、MC[g]の前記ビニル系重合体Vとを使用して、前記ジオールモノマーと前記ビニル系重合体Vとの重合反応を行う工程、
    工程4:工程3の後、MB×X[g]の前記ジカルボン酸モノマーを追添し、さらに重合反応を行う工程。
  8. 前記ブロックポリマーの融点が、55℃以上90℃以下である請求項6または7に記載のブロックポリマーの製造方法。
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