JP4560462B2 - トナー - Google Patents

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Description

本発明は、電子写真法、静電記録法、磁気記録法、トナージェット方式記録法の如き画像形成方法において形成される静電画像の現像に用いるトナーに関する。
プリンターや複写機は近年アナログからデジタルへの移行が進み、潜像の再現性に優れ高解像度であると同時にプリント速度の向上、使用する消費電力の低減が強く求められている。
例えばプリンターについて着目すると、総消費電力に占める定着工程での消費電力の割合はかなり大きく、定着温度が高くなると消費電力も増えてしまう。さらに、定着温度が高温になると、プリントアウトペーパーのカール等の問題も生じてしまい、定着温度の低温化の要望は大きい。
定着工程に関しては、種々の方法や装置が開発されている。例えば、熱ローラーによる加熱圧着方式や、定着フィルムを用いて熱エネルギーを与え定着するサーフ定着方式がある。サーフ定着方式は、フィルムの熱容量が小さいために電力の消費が格段に少なく、ウエイト時間も短くてすむという利点がある。しかし、その反面、軽圧下で定着を行うためにトナーがつぶれにくく、また熱が十分に伝わりにくいため、トナー像の表面の一層だけが極端に溶融して定着フィルムに付着する低温オフセット、所謂一層オフセットが発生しやすいという問題点もある。これは、プリント速度が高くなると一層顕著になる。
従来、定着性に優れたトナーを得るために、トナー中に離型剤としてワックスを含有させることは古くから知られている。しかし、単に低軟化点のワックスをトナーに含有させると、トナーの流動性や帯電性、耐久性、保存性に悪影響を及ぼしてしまう。
このような問題を解決するために、飽和ポリエステルを含有する重合トナーが提案されている(例えば、特許文献1参照)。水系媒体中で製造される重合トナーの場合、ポリエステルのような極性樹脂は表面に偏在していると考えられる。この方法により得られるトナーは、流動性に関してはある程度解決するものの、長期間に渡る高温高湿下での帯電安定性には欠けるものであった。これは、ポリエステル樹脂とバインダー樹脂との接着性が十分でなく、表層となるポリエステル樹脂が中身のバインダー樹脂を保護しきれなかったためと考えられる。
コアとシェルとの接着性を高める目的で、重合開始性アゾ基を含有するカプセル殻にビニル系単量体をビニル重合させるトナーや、カプセル殻がビニル重合体とポリアミドとの混合体で、かつ該混合体の各成分を化学的に結合させたトナー等が提案されている(例えば、特許文献2、3参照)。しかしながら、これらの手法はどちらもトナー製造時にコアとシェルとの界面で重合を行うものであり、最終的なカプセル殻の構造を厳密に制御するものではなかった。本発明者らが検討したところ、上記のようなトナーは帯電安定性や耐久性は改善されるものの、定着性能については満足の行くレベルではないことが分かってきた。これは、生成したカプセル殻は架橋構造を有するランダムな共重合体であり、表面硬度が大きくなってしまったためであると考えている。
これに対し、同一反応容器内で縮重合反応と付加重合反応を並行して行うことにより得られるハイブリッド樹脂を外殻の主成分とする熱圧力定着用のカプセルトナーが開示されている(例えば、特許文献4)。しかし、本発明者らが検討した結果、サーフ定着方式においては、近年の高速化や低消費電力化に伴う十分な定着性能は得られないことが分かってきた。
特開昭60−238846号公報 特開平5−61237号公報 特開平5−142847号公報 特許第2984901号公報
本発明の目的は、上記の従来技術の問題点を解決したトナーを提供することにある。
即ち本発明の目的は、良好な定着性を示し、サーフ定着方式においても低温定着性に優れたトナーを提供することにある。
また、本発明の目的は、帯電安定性に優れ、高温高湿環境下での長期の使用においても、画像濃度が高く、カブリの少ないトナーを提供することにある。
また、本発明の目的は、保存性と耐久性に優れ、高温高湿環境下での長期の使用においても高い流動性を保ち、融着の発生しないトナーを提供することにある。
本発明は、少なくとも結着樹脂と着色剤とワックスを含有するトナー粒子を有するトナーであって、
該トナー粒子は、水系媒体中で製造されたものであり、
該トナー粒子は、コアとシェルを有し、該トナー粒子のシェルにポリエステルで変性された変性ビニル系重合体を含有し、
該変性ビニル系重合体のポリエステル変性量が50質量%未満であり、
該変性ビニル系重合体の酸価が1mgKOH/g以上10.2mgKOH/g以下であり、
該変性ビニル系重合体のガラス転移点が30℃乃至80℃であり、
該変性ビニル系重合体は、ポリエステルとビニル系重合体とのブロック共重合体であり、
該トナーは、該変性ビニル系重合体を結着樹脂100質量部に対して5乃至50質量部含有することを特徴とするトナーに関する。
本発明のトナーは低温定着性に優れ、サーフ定着方式においても幅広い定着温度領域を有する。
また、本発明のトナーを用いることにより、高温高湿環境下での長期使用においても画像濃度が高く、カブリの少ない画像を得ることができる。
また、本発明のトナーは保存性と耐久性に優れ、高温高湿環境下での長期の使用においても高い流動性を保ち、融着の発生が抑制できる。
本発明者らは、帯電量の均一化および安定化、さらには低温定着性と耐オフセット性の両立化について鋭意検討した結果、特定の構造を有するポリエステル変性ビニル系重合体を含有することで、現像性・転写性等の画像特性を満足するだけでなく、耐久性が向上し、さらには幅広い定着温度領域を有することを見出し本発明に至った。つまり、該変性ビニル系重合体のポリエステル変性量が50質量%未満であり、酸価が1mgKOH/g以上であり、さらにブロック構造を有することによって、結着樹脂やワックスとのなじみが良くなり、現像性や保存性と定着性との両立を達成することができた。
さらに、本発明のトナーは、水系媒体中で製造されるトナーであることが特に好ましい。水系媒体中では、トナー粒子の表層付近に該変性ビニル系重合体が局在化すると考えられる。その際、該変性ビニル系重合体がブロック構造を有することによって、酸価を有するポリエステル変性部が最表層に、ビニル系重合体部がその内側にと明確に相分離しやすい。これにより、結着樹脂を主成分とするコアを二重のシェルが取り囲む構造となる。この時、ビニル系重合体部は結着樹脂とのなじみが良好であるため、低温定着性向上のための多量のワックスや、それを含有するガラス転移点の低いバインダー樹脂をしっかりと内包化することが可能になり、低温定着性と耐ブロッキング性の両立が達成されると考えられる。
本発明のトナーに含有される変性ビニル系重合体は、ポリエステルとビニル系重合体とのブロック共重合体であり、且つポリエステル変性量が50質量%未満であることを特徴とする。変性ビニル系重合体がブロック共重合体ではなく、グラフト共重合体または架橋構造を有しているものであると、ポリエステル変性部とビニル系重合体部が相分離しにくくなる。特に本発明のようにポリエステル変性量が50質量%未満である場合には、結着樹脂成分との相溶性が高くなりトナー表面にポリエステル成分が存在し難くなる。そのため帯電性及び流動性共に低下しやすく、画質に劣ったものとなってしまう。これに対し、本発明の変性ビニル系重合体はブロック構造を有しているので、コアを二重のシェルが取り囲む構成となり、完全なカプセル化が達成される。さらに、ポリエステル変性量が50質量%未満、つまりビニル系重合体成分が50質量%以上存在することによって、コアとの密着性が高まるだけでなく、2重シェル構造がより明確になり、保存性、耐久性を高めるポリエステル表層と、低温定着性を向上させるコアとの完全な機能分離を実現することが可能になったと考えられる。
本発明のトナーに含有される変性ビニル系重合体は、酸価が1mgKOH/g以上である。1mgKOH/g以上の酸価を有することにより、水系媒体中での製造において該変性ビニル系重合体がトナー表面に局在化することができ、造粒性が良好となり、また保存性、耐久性が高くなる。
本発明のトナーに含有される変性ビニル系重合体は、GPC測定における重量平均分子量が3000乃至20000であることが好ましく、3000乃至12000であることがさらに好ましい。重量平均分子量がこの範囲にあることで、低温定着性が一層向上する。変性ビニル系重合体の重量平均分子量が20000より大きいと、重合性単量体へ溶解して水系媒体中へ懸濁、重合を行う場合に、溶解性が悪化して造粒性に悪影響が出やすく、また、着色剤の分散を阻害する恐れがある。さらに、分子鎖間の相互作用が強くなりすぎて、サーフ定着方式においては低温定着性の効果が少なくなる。一方、重量平均分子量が3000よりも小さいと、表面硬度が低下し、耐久性が悪化する。また保存安定性も低下してしまう。
本発明のトナーに含有される変性ビニル系重合体のガラス転移点は、30乃至80℃であることが好ましい。ガラス転移点が30℃未満であるとトナーの保存安定性が悪くなる傾向があり、80℃を超えるとトナーの定着性が悪くなる傾向がある。
本発明においては、ブロック共重合体である変性ビニル系重合体のポリエステル変性部とビニル系重合体部のガラス転移点を独立して設計することにより、高度に制御された二重カプセル構造のトナーを得ることができる。例えば、ポリエステル変性部は、水系媒体中で製造される場合にはトナー粒子の最表層に局在すると考えられるため、耐久性や保存性の観点からガラス転移点は60℃以上であることが好ましい。第二シェルとなるビニル系重合体部については、コアのガラス転移点が非常に低かったり、多量のワックスを含有したりする場合は、コアの保護効果を高めるためにビニル系重合体部を60℃以上に設計することが好ましい。一方、低温定着性という観点から例えば40℃以下に設計することも好ましい形態の一つである。この場合でも、ビニル系重合体部は外殻を形成するポリエステル変性部と化学的に結合しているため、一部の低Tg成分がトナーから遊離して保存性が劣化することは無い。以上のように、二重カプセル構造を任意に制御することにより、低温定着性と保存安定性の両立を高いレベルで実現することが可能となり、多様な定着器構成に対応可能な低温定着トナーを得ることができる。
これまで述べた効果は、ポリエステルユニットとビニル系重合体ユニットが化学的に結合したブロック共重合体を、あらかじめ製造して添加することにより初めて得られるものである。ポリエステルとビニル系重合体の混合物やグラフト共重合体の添加、またはトナー製造時の界面重合やシード重合等によっては達成が困難なものである。
本発明のトナーは、前記変性ビニル系重合体を結着樹脂100質量部に対して5乃至50質量部含有することが好ましい。変性ビニル系重合体の含有量が5質量部未満であると、トナー表層に二重シェル層を形成するには不十分となり、本発明の効果が小さくなる。また、流動性が十分に得られず画質に劣ったものとなりやすい。また、変性ビニル系重合体の含有量が50質量部より大きいと、懸濁液中で変性ビニル系重合体成分を多く含む微粉が多量に発生し易くなり、粒度分布が広くなってしまう。
本発明に用いられる変性ビニル系重合体の主成分であるビニル系重合体を構成する重合性単量体としては以下のものが挙げられる。
例えばスチレン;α−メチルスチレン、β−メチルスチレン、o−メチルスチレン、m−メチルスチレン、p−メチルスチレン、2,4−ジメチルスチレン、p−n−ブチルスチレン、p−tert−ブチルスチレン、p−n−ヘキシルスチレン、p−n−オクチル、p−n−ノニルスチレン、p−n−デシルスチレン、p−n−ドデシルスチレン、p−メトキシスチレン、p−フェニルスチレンの如きスチレン誘導体;メチルアクリレート、エチルアクリレート、n−プロピルアクリレート、iso−プロピルアクリレート、n−ブチルアクリレート、iso−ブチルアクリレート、tert−ブチルアクリレート、n−アミルアクリレート、n−ヘキシルアクリレート、2−エチルヘキシルアクリレート、n−オクチルアクリレート、n−ノニルアクリレート、シクロヘキシルアクリレート、ベンジルアクリレート、ジメチルフォスフェートエチルアクリレート、ジエチルフォスフェートエチルアクリレート、ジブチルフォスフェートエチルアクリレート、2−ベンゾイルオキシエチルアクリレートの如きアクリル系重合性単量体;メチルメタクリレート、エチルメタクリレート、n−プロピルメタクリレート、iso−プロピルメタクリレート、n−ブチルメタクリレート、iso−ブチルメタクリレート、tert−ブチルメタクリレート、n−アミルメタクリレート、n−ヘキシルメタクリレート、2−エチルヘキシルメタクリレート、n−オクチルメタクリレート、n−ノニルメタクリレート、ジエチルフォスフェートエチルメタクリレート、ジブチルフォスフェートエチルメタクリレートの如きメタクリル系重合性単量体;メチレン脂肪族モノカルボン酸エステル類;酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、ベンゾエ酸ビニル、酪酸ビニル、安息香酸ビニル、蟻酸ビニルの如きビニルエステル;ビニルメチルエーテル、ビニルエチルエーテル、ビニルイソブチルエーテルの如きビニルエーテル;ビニルメチルケトン、ビニルヘキシルケトン、ビニルイソプロピルケトンの如きビニルケトンが挙げられる。
これらの単量体は単独または混合して使用し得る。上述の単量体の中でも、スチレンまたはスチレン誘導体を単独で、あるいはほかの単量体と混合して使用することが結着樹脂との親和性の点から好ましい。
本発明に用いられる変性ビニル系重合体の変性部であるポリエステルの代表的な組成は以下の通りである。
ポリエステル樹脂を構成する単量体のうち、多価のアルコールとしては、エチレングリコール、プロピレングリコール、1,4−ブタンジオール、1,3−ブタンジオール、2,3−ブタンジオール、ジエチレングリコール、ジプロピレングリコール、トリエチレングリコール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、ネオペンチルグリコール、2,2,4−トリメチルペンタン−1,3−ジオール、水素化ビスフェノールA、又は下記式(I)で表されるビスフェノール誘導体、また、下記式(II)で示されるジオール類等が挙げられる。これらの多価アルコールは、単独で使用してもよいし、混合状態で使用してもよい。但し、これらに制限されるものではなく、他の3価以上のアルコール成分を架橋成分として用いることができる。
Figure 0004560462
(式中、Rはエチレン又はプロピレン基であり、x及びyはそれぞれ1以上の整数であり、且つx+yの平均値は2〜10である。)
Figure 0004560462
ポリエステル樹脂を構成する単量体のうち、多価のカルボン酸成分としては、ナフタレンジカルボン酸、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、マレイン酸、フマル酸、シトラコン酸、イタコン酸、コハク酸、アジピン酸、セバシン酸、アゼライン酸等のジカルボン酸;無水フタル酸、無水マレイン酸等のジカルボン酸無水物及びテレフタル酸ジメチル、マレイン酸ジメチル、アジピン酸ジメチル等のジカルボン酸の低級アルキルエステルなどを挙げることができる。特に、その主成分は、テレフタル酸ジメチル、マレイン酸ジメチル、アジピン酸ジメチル等のジカルボン酸の低級アルキルエステル又はその誘導体が好適である。
ポリエステル樹脂は下記の3価以上の酸成分を用いることにより、架橋させてもよい。架橋成分としては、トリメリット酸、1,2,4−トリカルボン酸トリn−エチル、1,2,4−トリカルボン酸トリn−ブチル、1,2,4−トリカルボン酸トリn−ヘキシル、1,2,4−ベンゼントリカルボン酸トリイソブチル、1,2,4−ベンゼントリカルボン酸トリn−オクチル、1,2,4−ベンゼントリカルボン酸トリ2−エチルヘキシル及びトリカルボン酸の低級アルキルエステルが使用できる。但し、これらに制限されるものではなく、他の3価以上の酸成分あるいは3価以上のカルボン酸低級アルキルエステルを架橋成分として用いることができる。
また、本発明の変性ビニル系重合体に用いることのできるポリエステル樹脂の特性を損なわない程度に、1価のカルボン酸成分、1価のアルコ−ル成分を用いても良い。例えば安息香酸、ナフタレンカルボン酸、サリチル酸、4−メチル安息香酸、3−メチル安息香酸、フェノキシ酢酸、ビフェニルカルボン酸、酢酸、プロピオン酸、酪酸、オクタン酸、デカン酸、ドデカン酸、ステアリン酸、などのモノカルボン酸、また、n−ブタノール、イソブタノール、sec−ブタノール、n−ヘキサノール、n−オクタノール、ラウリルアルコール、2−エチルヘキサノール、デカノール、シクロヘキサノール、ベンジルアルコール、ドデシルアルコール等の1種類以上の1官能性モノマーなどを添加することができる。
本発明の変性ビニル系重合体に用いることのできるポリエステル樹脂は、通常のポリエステル合成法で製造することができる。例えば、多価カルボン酸成分と多価アルコ−ル成分をエステル化反応、またはエステル交換反応せしめた後、低沸点の多価アルコ−ル成分を減圧下または窒素ガスを導入して常法に従って重縮合反応させポリエステル樹脂を得る。エステル化またはエステル交換反応の時には必要に応じて硫酸、チタンブトキサイド、ジブチルスズオキサイド、酢酸マンガン、酢酸マグネシウムなどの通常のエステル化触媒またはエステル交換触媒を用いることができる。また、重合に関しては、通常の重合触媒例えば、チタンブトキサイド、ジブチルスズオキサイド、酢酸スズ、酢酸亜鉛、2硫化スズ、3酸化アンチモン、2酸化ゲルマニウムなどを公知のものを使用することができる。
また、重合温度、触媒量は特に限定されるものではなく、必要に応じて任意に選択すればよい。
本発明に用いられる変性ビニル系重合体は種々の方法により製造できるが、例えば以下のようにして製造することが、反応の簡便さやコストなどの面から好ましい。まず、ポリエステルユニット製造後に、ビニル系重合体成分とポリエステル樹脂成分の両方と反応し得るモノマーを反応させる。その後、生成する鎖末端に重合性基を有するポリエステルと、ビニル系重合性単量体とを付加重合させることによって製造できる。
ビニル系重合体成分とポリエステル樹脂成分の両方と反応し得るモノマーとしては、フタル酸、マレイン酸、シトラコン酸、イタコン酸などの不飽和ジカルボン酸又はその無水物、アクリル酸、メタクリル酸、アクリル酸エステル類、メタクリル酸エステル類、イソシアネート基を有するアクリル酸エステル類、イソシアネート基を有するメタクリル酸エステル類が挙げられる。その中でも、イソシアネート基を有するメタクリル酸エステル類が特に好適である。
本発明のトナーは、ガラス転移点が10乃至60℃であることが好ましい。ガラス転移点が10℃未満であると、トナー粒子の強度が低下して耐久試験時に転写性や現像性の劣化を招きやすい。また、保存安定性も悪化する。一方、ガラス転移点が60℃を超えると低温定着性が悪化し好ましくない。
本発明のトナーは、着色剤として磁性酸化鉄を含有することが好ましい。磁性トナーを用いたジャンピング現像方法(現像剤担持体上に絶縁性磁性トナーを薄く塗布し、これを摩擦帯電せしめ、次いでこれを磁界の作用下で静電潜像にきわめて近接させ、かつ接触することなく対向させ、現像する方法)は、カブリが少なく高精細な画像を得ることができる。
しかしながら、磁性トナーを用いる現像方法には、用いる磁性トナーに関わる不安定要素がある。それは、トナー中に微粉末状の磁性粉体が相当量混合分散されており、該磁性体の一部がトナー粒子の表面に露出しているため、トナーの流動性及び摩擦帯電性が低下するというものである。そのため、長期間の使用においては、トナー同士あるいは規制部材との摺擦による磁性体の剥離に伴う画像濃度の低下やスリーブゴーストと呼ばれる濃淡のムラの発生など、現像剤の劣化を引き起こしてしまう。
こういった問題を解決するためには磁性粉体の有する表面特性の改質が重要である。そこで、本発明の磁性トナーに使用される磁性粉体は、カップリング剤で均一に疎水化処理されていることが好ましい。
磁性粉体表面をカップリング剤で処理する方法としては、乾式処理と湿式処理の二つがある。
湿式で処理する場合は、水系媒体中で、酸化鉄を一次粒径となるよう分散した状態でカップリング剤を加水分解しながら表面処理することが好ましく、水溶液中で製造した磁性体を洗浄後、乾燥させずに疎水化処理することがより好ましい。
酸化鉄の疎水化処理に使用できるカップリング剤としては、例えば、シランカップリング剤、チタンカップリング剤が挙げられる。より好ましく用いられるのはシランカップリング剤であり、一般式
RmSiYn
[式中、Rはアルコキシ基を示し、mは1〜3の整数を示し、Yはアルキル基、ビニル基、グリシドキシ基、メタクリル基の如き炭化水素基を示し、nは1〜3の整数を示す。]
で示されるものである。例えばビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、γ−メタクリルオキシプロピルトリメトキシシラン、ビニルトリアセトキシシラン、メチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、イソブチルトリメトキシシラン、ジメチルジメトキシシラン、ジメチルジエトキシシラン、トリメチルメトキシシラン、ヒドロキシプロピルトリメトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、n−ヘキサデシルトリメトキシシラン、n−オクタデシルトリメトキシシランを挙げることができる。
特に、式
p2p+1−Si−(OCq2q+13
[式中、pは2〜20の整数を示し、qは1〜3の整数を示す]
で示されるアルキルトリアルコキシシランカップリング剤を使用して酸化鉄を疎水化処理するのが良い。
上記式におけるpが2より小さいと、疎水化処理は容易となるが、疎水性を十分に付与することが困難であり、またpが20より大きいと、疎水性は十分になるが、酸化鉄粒子同士の合一が多くなり、トナー中へ酸化鉄粒子を十分に分散させることが困難になる。
また、qが3より大きいと、シランカップリング剤の反応性が低下して疎水化が十分に行われにくくなる。
特に、式中のpが2〜20の整数(より好ましくは、3〜15の整数)を示し、qが1〜3の整数(より好ましくは、1又は2の整数)を示すアルキルトリアルコキシシランカップリング剤を使用するのが良い。
その処理量は酸化鉄100質量部に対して、0.05〜20質量部、好ましくは0.1〜10質量部とするのが良い。
磁性粉体の表面処理として水系媒体中でカップリング剤で処理するには、水系媒体中で適量の磁性粉体及びカップリング剤を撹拌する方法が挙げられる。
水系媒体とは、水を主要成分としている媒体である。具体的には、水系媒体として水そのもの、水に少量の界面活性剤を添加したもの、水にpH調整剤を添加したもの、水に有機溶剤を添加したものが挙げられる。界面活性剤としては、ポリビニルアルコールの如きノンイオン系界面活性剤が好ましい。界面活性剤は、水に対して0.1〜5質量%添加するのが良い。pH調整剤としては、塩酸の如き無機酸が挙げられる。
撹拌は、例えば撹拌羽根を有する混合機(具体的には、アトライター、TKホモミキサーの如き高剪断力混合装置)で、酸化鉄微粒子が水系媒体中で、一次粒子になるように充分におこなうのが良い。
本発明のトナーに用いる酸化鉄は、結着樹脂100質量部に対して、10〜200質量部用いることが好ましく、20〜180質量部用いることが更に好ましい。酸化鉄の配合量が10質量部未満では現像剤の着色力が乏しく、カブリの抑制も困難であり、一方、200質量部を超えると、現像剤担持体への磁力による保磁力が強まり現像性が低下したり、個々のトナー粒子への酸化鉄の均一な分散が難しくなったりするだけでなく、定着性が低下してしまう。
次に本発明におけるトナーの製造方法を説明する。
本発明のトナーは、粉砕法によって製造することも可能であるが、粉砕法では上述したような二重カプセル構造を得るために多段階の工程を経る必要があり、収率やコストの面から不利である。
これに対して水系媒体中単量体系を直接重合して得られるトナー製造方法(以下、重合法と表記)においては、水系媒体との親和性の観点から極性−非極性成分との間に局在/分離が生じやすいため、二重カプセル構造を1段階で得ることが可能となり、好ましい。
本発明に使用される重合性単量体系を構成する重合性単量体としては以下のものが挙げられる。
重合性単量体としては、スチレン、o−メチルスチレン、m−メチルスチレン、p−メチルスチレン、p−メトキシスチレン、p−エチルスチレンの如きスチレン系単量体;アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸n−ブチル、アクリル酸イソブチル、アクリル酸n−プロピル、アクリル酸n−オクチル、アクリル酸ドデシル、アクリル酸2−エチルヘキシル、アクリル酸ステアリル、アクリル酸2−クロルエチル、アクリル酸フェニルの如きアクリル酸エステル類;メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸n−プロピル、メタクリル酸n−ブチル、メタクリル酸イソブチル、メタクリル酸n−オクチル、メタクリル酸ドデシル、メタクリル酸2−エチルヘキシル、メタクリル酸ステアリル、メタクリル酸フェニル、メタクリル酸ジメチルアミノエチル、メタクリル酸ジエチルアミノエチルの如きメタクリル酸エステル類;アクリロニトリル、メタクリロニトリル、アクリルアミドが挙げられる。
これらの単量体は単独または混合して使用し得る。上述の単量体の中でも、スチレンまたはスチレン誘導体を単独で、あるいはほかの単量体と混合して使用することがトナーの現像特性及び耐久性の点から好ましい。
本発明のトナーは、結着樹脂に対して1〜50質量%の離型剤を含有することが好ましい。離型剤の含有量が1質量%未満では低温オフセット抑制効果が小さく、50質量%を超えてしまうと長期間の保存性が低下すると共に、他のトナー材料の分散性が悪くなり、トナーの流動性の劣化や画像特性の低下につながる。
本発明のトナーに使用可能な離型剤としては、公知のワックスが使用できる。例えば、パラフィンワックス、マイクロクリスタリンワックス、ペトロラクタムの如き石油系ワックス及びその誘導体、モンタンワックス及びその誘導体、フィッシャートロプシュ法による炭化水素ワックス及びその誘導体、ポリエチレンに代表されるポリオレフィンワックス及びその誘導体、カルナバワックス、キャンデリラワックスの如き天然ワックス及びその誘導体などが含まれる。ここでの誘導体には酸化物や、ビニル系モノマーとのブロック共重合物、グラフト変性物が含まれる。さらに、高級脂肪族アルコール、高級脂肪酸またはその化合物、酸アミドワックス、エステルワックス、ケトン、硬化ヒマシ油及びその誘導体、植物系ワックス、動物性ワックスも使用できる。
これらの離型剤成分の内でも、示差熱分析による吸熱ピークが40〜110℃のもの、即ち、示差走査熱量計により測定されるDSC曲線において昇温時に40〜110℃の領域に最大吸熱ピークを有するものが好ましく、さらには45〜90℃の領域に有するものがより好ましい。上記温度領域に最大吸熱ピークを有することにより、低温定着に大きく貢献しつつ、離型性をも効果的に発現する。
本発明のトナーには、荷電特性を安定化するために荷電制御剤を配合しても良い。荷電制御剤としては、公知のものが利用できるが、特に帯電スピードが速く、且つ、一定の帯電量を安定して維持できる荷電制御剤が好ましい。
さらに、トナーを直接重合法により製造する場合には、重合阻害性が低く、水系分散媒体への可溶化物が実質的にない荷電制御剤が特に好ましい。具体的な化合物としては、ネガ系荷電制御剤としてサリチル酸、アルキルサリチル酸、ジアルキルサリチル酸、ナフトエ酸、ダイカルボン酸の如き芳香族カルボン酸の金属化合物、アゾ染料もしくはアゾ顔料の金属塩または金属錯体、スルホン酸又はカルボン酸基を側鎖に持つ高分子型化合物、ホウ素化合物、尿素化合物、ケイ素化合物、カリックスアレーンが挙げられる。ポジ系荷電制御剤として四級アンモニウム塩、その四級アンモニウム塩を側鎖に有する高分子型化合物、グアニジン化合物、ニグロシン系化合物、イミダゾール化合物が挙げられる。これらの荷電制御剤は、重合性単量体100質量部に対して0.5〜10質量部使用することが好ましい。しかしながら、本発明の画像形成方法に関わる現像剤は、荷電制御剤の添加は必須ではなく、現像剤の層圧規制部材や現像剤担持体との摩擦帯電を積極的に利用することでトナー中に必ずしも荷電制御剤を含む必要はない。
また、本発明のトナーにおいて磁性体として用いられる酸化鉄は、リン、コバルト、ニッケル、銅、マグネシウム、マンガン、アルミニウム、ケイ素の如き元素を含んでもよく、四三酸化鉄、γ−酸化鉄を主成分とするものであり、これらを1種または2種以上を併用して用いられる。これら酸化鉄は、窒素吸着法によるBET比表面積が好ましくは2〜30m2/g、特に3〜28m2/gであり、更にモース硬度が5〜7のものが好ましい。
また、酸化鉄の形状としては、8面体、6面体、球状、針状、鱗片状などがあるが、8面体、6面体、球状、不定形の如き異方性の少ないものが画像濃度を高める上で好ましい。こういった形状は、SEMなどによって確認することができる。酸化鉄の粒度としては、0.03μm以上の粒径を有する粒子を対象とした粒度の測定において、体積平均粒径が、0.1〜0.3μmであり、かつ0.03〜0.1μmの粒子が40個数%以下であることが好ましい。
平均粒径が0.1μm未満の酸化鉄を用いた磁性トナーから画像を得ると、画像の色味が赤味にシフトし、画像の黒色度が不足したり、ハーフトーン画像ではより赤味が強く感じられる傾向が強くなるなど、一般的に好ましいものではない。また、酸化鉄の表面積が増大するために分散性が低下し、製造時に要するエネルギーが増大し、効率的ではない。また、酸化鉄の着色剤としての効果が弱くなり、画像の濃度が不足することもあり、好ましいものではない。
一方、酸化鉄の平均粒径が0.3μmを超えると、一粒子あたりの質量が大きくなるため、製造時にバインダーとの比重差の影響でトナー表面に露出する確率が高まったり、製造装置の摩耗などが著しくなる可能性が高まったり、分散物の沈降安定性などが低下するため好ましくない。
また、トナー中において、該酸化鉄の0.1μm以下の粒子が40個数%を超えると、酸化鉄の表面積が増大して分散性が低下し、トナー中にて凝集塊を生じやすくなりトナーの帯電性を損なったり、着色力が低下したりする可能性が高まるため40個数%以下であることが好ましい。さらに、30個数%以下とすると、その傾向はより小さくなるため、より好ましい。
尚、0.03μm未満の酸化鉄は、粒子径が小さいことに起因してトナー製造時に受ける応力が小さいため、トナー粒子の表面へ出る確率が低くなる。さらに、仮に粒子表面に露出してもリークサイトとして作用することはほとんど無く実質上問題とならない。そのため、本発明では、0.03〜0.1μmの粒子に注目し、その個数%を定義するものである。
また、酸化鉄中の0.3μm以上の粒子が10個数%を超えると、着色力が低下し、画像濃度が低下する傾向になることに加え、同じ使用量であっても個数的に少ないためにトナー粒子表面の近傍まで存在させること及び各トナー粒子に均一個数を含有させることが確率的に難しくなり、好ましくない。より好ましくは5個数%以下とするのが良い。
本発明においては、前述の粒度分布の条件を満たすよう、酸化鉄製造条件を設定したり、予め粉砕及び分級の如き粒度分布の調整を行ったものを使用したりすることが好ましい。分級方法としては、例えば、遠心分離やシックナーといった沈降分離を利用したものや、例えばサイクロンを利用した湿式分級装置などの手段が好適である。
酸化鉄の体積平均粒径及び粒度分布の決定は、以下の測定方法によって行う。
粒子を十分に分散させた状態で、透過型電子顕微鏡(TEM)において3万倍の拡大倍率の写真で視野中の100個の酸化鉄粒子のそれぞれ投影面積を測定し、測定された各粒子の投影面積に等しい円の相当径を各粒子径として求めた。さらに、その結果を基に、体積平均粒径の算出ならび0.03〜0.1μmの粒子と、0.3μm以上の粒子の個数%を計算した。尚、粒度の測定は、0.03μm以上の粒径を有する粒子を対象とした。また、画像解析装置により粒子径を測定することも可能である。
トナー粒子中の酸化鉄の体積平均粒径及び粒度分布を決定する場合には、以下の測定方法により行う。
エポキシ樹脂中へ観察すべきトナー粒子を十分に分散させた後、温度40℃の雰囲気中で2日間硬化させ得られた硬化物を、ミクロトームにより薄片状のサンプルとして、透過型電子顕微鏡(TEM)において1万〜4万倍の拡大倍率の写真で視野中の100個の酸化鉄の粒子径のそれぞれ投影面積を測定し、測定された各粒子の投影面積に等しい円の相当径を酸化鉄の粒子径として求めた。さらに、その結果を基に、0.03〜0.1μmの粒子と、0.3μm以上の粒子の個数%を計算した。また、画像解析装置により粒子径を測定することも可能である。
さらにまた、酸化鉄以外に他の着色剤を併用しても良い。併用し得る着色材料としては、磁性あるいは非磁性無機化合物、公知の染料及び顔料が挙げられる。具体的には、例えば、コバルト、ニッケルの如き強磁性金属粒子、またはこれらにクロム、マンガン、銅、亜鉛、アルミニウム、希土類元素を加えた合金、ヘマタイト、チタンブラック、ニグロシン染料/顔料、カーボンブラック、フタロシアニンが挙げられる。これらもまた、表面を処理して用いても良い。
本発明に使用する重合開始剤としては重合反応時に半減期0.5〜30時間であるものを、重合性単量体の0.5〜20質量%の添加量で重合反応を行なうと、分子量1万〜10万の間に極大を有する重合体を得、トナーに望ましい強度と適当な溶融特性を与えることができる。重合開始剤の例としては、2,2’−アゾビス−(2,4−ジメチルバレロニトリル)、2,2’−アゾビスイソブチロニトリル、1,1’−アゾビス(シクロヘキサン−1−カルボニトリル)、2,2’−アゾビス−4−メトキシ−2,4−ジメチルバレロニトリル、アゾビスイソブチロニトリルの如きアゾ系またはジアゾ系重合開始剤;ベンゾイルパーオキサイド、メチルエチルケトンパーオキサイド、ジイソプロピルパーオキシカーボネート、クメンヒドロパーオキサイド、2,4−ジクロロベンゾイルパーオキサイド、ラウロイルパーオキサイドの如き過酸化物系重合開始剤が挙げられる。
本発明では、架橋剤を添加しても良く、好ましい添加量としては、重合性単量体の0.001〜15質量%である。
懸濁重合法によるトナーの製造では、一般に上述のトナー組成物、すなわち重合性単量体中に、酸化鉄、着色剤、離型剤、可塑剤、結着剤、荷電制御剤、架橋剤等トナーとして必要な成分及びその他の添加剤、例えば重合反応で生成する重合体の粘度を低下させるために入れる有機溶媒、分散剤等を適宜加えて、ホモジナイザー、ボールミル、コロイドミル、超音波分散機等の分散機に依って均一に溶解または分散せしめた単量体系を、分散安定剤を含有する水系媒体中に懸濁する。この時、高速撹拌機もしくは超音波分散機のような高速分散機を使用して一気に所望のトナー粒子のサイズとするほうが、得られるトナー粒子の粒径がシャープになる。重合開始剤添加の時期としては、重合性単量体中に他の添加剤を添加する時同時に加えても良いし、水系媒体中に懸濁する直前に混合しても良い。また、造粒直後、重合反応を開始する前に重合性単量体あるいは溶媒に溶解した重合開始剤を加えることもできる。
造粒後は、通常の撹拌機を用いて、粒子状態が維持され且つ粒子の浮遊・沈降が防止される程度の撹拌を行なえば良い。なお、本発明の極性化合物を用いて適度に表面近傍に偏析させるためには、単量体系を添加する前の水系媒体中のpHが重要であり、本発明の磁性体構成とするためにはpH4〜10.5であることが好ましい。pHが4未満であると、該極性化合物の効果がほぼ消失してしまうため多量の極性物質添加が必要となり、帯電量の低下や粒度分布の広がり等の影響が出る。またpHが10.5を超えると極性化合物の添加によってむしろ一部の磁性体の露出が促進され、本発明の磁性体構造を維持することが困難となる。
本発明の懸濁重合法においては、分散安定剤として公知の界面活性剤や有機・無機分散剤が使用でき、中でも無機分散剤が有害な超微粉を生じ難く、その立体障害性により分散安定性を得ているので反応温度を変化させても安定性が崩れ難く、洗浄も容易でトナーに悪影響を与え難いので、好ましく使用できる。こうした無機分散剤の例としては、燐酸カルシウム、燐酸マグネシウム、燐酸アルミニウム、燐酸亜鉛の如き燐酸多価金属塩;炭酸カルシウム、炭酸マグネシウムの如き炭酸塩;メタ硅酸カルシウム、硫酸カルシウム、硫酸バリウムの如き無機塩;水酸化カルシウム、水酸化マグネシウム、水酸化アルミニウム、シリカ、ベントナイト、アルミナの如き無機酸化物が挙げられる。
これらの無機分散剤は、重合性単量体100質量部に対して、0.2〜20質量部を単独でまたは2種類以上組み合わせて使用することが好ましい。平均粒径が5μm以下である様な、より微粒化されたトナーを目的とする場合には、0.001〜0.1質量部の界面活性剤を併用しても良い。
界面活性剤としては、例えばドデシルベンゼン硫酸ナトリウム、テトラデシル硫酸ナトリウム、ペンタデシル硫酸ナトリウム、オクチル硫酸ナトリウム、オレイン酸ナトリウム、ラウリル酸ナトリウム、ステアリン酸ナトリウム、ステアリン酸カリウムが挙げられる。
これら無機分散剤を用いる場合には、そのまま使用しても良いが、より細かい粒子を得るため、水系媒体中にて該無機分散剤粒子を生成させることができる。例えば、燐酸カルシウムの場合、高速撹拌下、燐酸ナトリウム水溶液と塩化カルシウム水溶液とを混合して、水不溶性の燐酸カルシウムを生成させることができ、より均一で細かな分散が可能となる。この時、同時に水溶性の塩化ナトリウム塩が副生するが、水系媒体中に水溶性塩が存在すると、重合性単量体の水への溶解が抑制されて、乳化重合に依る超微粒トナーが発生し難くなるので、より好都合である。重合反応終期に残存重合性単量体を除去する時には障害となることから、水系媒体を交換するか、イオン交換樹脂で脱塩したほうが良い。無機分散剤は、重合終了後酸あるいはアルカリで溶解して、ほぼ完全に取り除くことができる。
前記重合工程においては、重合温度は40℃以上、一般には50〜90℃の温度に設定して重合を行なう。この温度範囲で重合を行なうと、内部に封じられるべき離型剤やワックスの類が、相分離により析出して内包化がより完全となる。残存する重合性単量体を消費するために、重合反応終期ならば、反応温度を90〜150℃にまで上げることは可能である。
また、本発明のトナーには、流動性向上剤として、無機微粉体または疎水性無機微粉体が混合されることが好ましい。例えば、酸化チタン微粉末、シリカ微粉末、アルミナ微粉末を添加して用いることが好ましく、特にシリカ微粉末を用いることが好ましい。
現像剤に用いられる無機微粉体は、BET法で測定した窒素吸着による比表面積が30m2/g以上のもの、特に50〜400m2/gの範囲のものが良好な結果を与えることができるため好ましい。
本発明中のトナーには、必要に応じて流動性向上剤以外の外部添加剤を添加してもよい。
例えば、クリーニング性を向上させる等の目的で、一次粒径が30nmを超える(好ましくは比表面積が50m2/g未満)微粒子、より好ましくは一次粒径が50nm以上(好ましくは比表面積が30m2/g未満)で球状に近い無機微粒子または有機微粒子をさらに添加することも好ましい形態の一つである。例えば球状のシリカ粒子、球状のポリメチルシルセスキオキサン粒子、球状の樹脂粒子を用いるのが好ましい。
更に他の添加剤、例えばポリフッ化エチレン粉末、ステアリン酸亜鉛粉末、ポリフッ化ビニリデン粉末の如き滑剤粉末;または酸化セリウム粉末、炭化硅素粉末、チタン酸ストロンチウム粉末の如き研磨剤;ケーキング防止剤;または例えばカーボンブラック粉末、酸化亜鉛粉末、酸化スズ粉末の如き導電性付与剤;また、逆極性の有機微粒子、及び無機微粒子を現像性向上剤として少量加えることもできる。これらの添加剤も、その表面を疎水化処理して用いることも可能である。
上述の如き、外添剤は、トナー100質量部に対して0.1〜5質量部(好ましくは0.1〜3質量部)使用するのが良い。
本発明のトナーを粉砕法で製造する場合には、公知の方法を用いることができる。例えば、トナーとして必要な結着樹脂、本発明の変性ビニル系重合体、着色剤、離型剤、荷電制御剤等他の添加剤をヘンシェルミキサー、ボールミル等の混合機中で十分混合した後、加熱ロール、ニーダー、エクストルーダーのような熱混練機を用いて溶融混練して、均一に分散させる。その後冷却固化、粉砕、分級、必要に応じて表面処理を行ってトナー粒子を得る。粉砕工程は、機械衝撃式、ジェット式等の公知の粉砕装置を用いて行うことができる。粉砕工程の後、さらに熱をかけて粉砕したり、または補助的に機械的衝撃を加えたりする処理をしてもよい。また、微粉砕(必要に応じて分級)された粒子を熱水中に分散させる湯浴法、熱気流中を通過させる方法などを用いても良い。
さらにまた、本発明のトナーは、特公昭56−13945号公報等に記載のディスク又は多流体ノズルを用いて溶融混合物を空気中に霧化し球状トナーを得る方法や、単量体には可溶で得られる重合体が不溶な水系有機溶剤を用いて直接トナーを生成する分散重合方法、又は水溶性の極性重合開始剤の存在下で直接重合させてトナーを生成するソープフリー重合方法に代表される乳化重合方法等を用いてトナーを製造する方法でも製造が可能である。
本発明のトナーを好適に用いることの出来る画像形成装置の一例を図に沿って具体的に説明する。
図1の画像形成装置において、100は感光ドラムで、その周囲に一次帯電ローラー117、現像器140、転写帯電ローラー114、クリーナ116、レジスタローラー124等が設けられている。そして感光体100は一次帯電ローラー117によって、例えば−700Vに帯電される(印加電圧は交流電圧−2.0kVpp、直流電圧−700Vdc)。そして、レーザー発生装置121によりレーザー光123を感光体100に照射することによって露光される。感光体100上の静電潜像は現像器140によって一成分磁性現像剤で現像され、転写材を介して感光体に当接された転写ローラー114により転写材上へ転写される。トナー画像をのせた転写材は搬送ベルト125等により定着器126へ運ばれ転写材上に定着される。また、一部感光体上に残されたトナーはクリーニング手段116によりクリーニングされる。現像器140は図2に示すように感光体100に近接してアルミニウム、ステンレスの如き非磁性金属で作られた円筒状のトナー担持体102(以下現像スリーブと称す)が配設され、感光体100と現像スリーブ102との間隙は図示されないスリーブ/感光体間隙保持部材等により約300μmに維持されている。現像スリーブ内にはマグネットローラー104が現像スリーブ102と同心的に固定、配設されている。但し現像スリーブ102は回転可能である。マグネットローラー104には図示のように複数の磁極が具備されており、S1は現像、N1はトナーコート量規制、S2はトナーの取り込み/搬送、N2はトナーの吹き出し防止に影響している。トナーは、トナー塗布ローラ141によって、現像スリーブ102に塗布され、付着して搬送される。搬送されるトナー量を規制する部材として、弾性ブレード103が配設され弾性ブレード103の現像スリーブ102に対する当接圧により現像領域に搬送されるトナー量が制御される。現像領域では、感光体100と現像スリーブ102との間に直流及び交流の現像バイアスが印加され、現像スリーブ上現像剤は静電潜像に応じて感光体100上に飛翔し可視像となる。
本発明における各種物性データの測定法を以下に詳述する。
(酸価の測定方法)
酸価は以下のように求められる。基本操作は、JIS−K0070に準ずる。
次によって試験を行う。
(1)試薬
(a)溶剤エチルエーテル−エチルアルコール混液(1+1または2+1)またはベンゼン−エチルアルコール混液(1+1または2+1)で、これらの溶液は使用直前にフェノールフタレインを指示薬としてN/10水酸化カリウムエチルアルコール溶液で中和しておく。
(b)フェノールフタレイン溶液 フェノールフタレイン1gをエチルアルコール(95v/v%)100mlに溶かす。
(c)N/10水酸化カリウム−エチルアルコール溶液 水酸化カリウム7.0gをできるだけ少量の水に溶かしエチルアルコール(95v/v%)を加えて1リットルとし、2〜3日放置後ろ過する。標定はJIS K 8006(試薬の含量試験中滴定に関する基本事項)に準じて行う。
(2)操作 試料1〜20gを正しくはかりとり、これに溶剤100mlおよび指示薬としてフェノールフタレイン溶液数滴を加え、試料が完全に溶けるまで十分に振る。固体試料の場合は水浴上で加温して溶かす。冷却後これをN/10水酸化カリウムエチルアルコール溶液で滴定し、指示薬の微紅色が30秒間続いたときを中和の終点とする。
3)計算式 つぎの式によって酸価を算出する。
Figure 0004560462
ここにA:酸価
B:N/10水酸化カリウムエチルアルコール溶液の使用量(ml)
f:N/10水酸化カリウムエチルアルコール溶液のファクター
S:試料(g)
(GPC測定)
本発明で規定する分子量は、ゲルパ−ミエ−ションクロマトグラフィ−(GPC)測定装置(HLC−8120GPC 東ソー(株)社製)を用いて、下記の測定条件で測定することができる。
測定条件
・カラム(昭和電工株式会社製):Shodex GPC KF−801,Shodex GPC KF−802,Shodex GPC KF−803,Shodex GPC KF−804,Shodex GPC KF−805,Shodex GPC KF−806,Shodex GPC KF−807(8.0mmφ×30cm)の7連
・温度:40℃
・流速:0.6ml/min
・検出器:RI
・サンプル濃度:0.1%の試料を10μl
サンプル調製は、測定対象の試料をテトラヒドロフラン(THF)中に入れ、6時間放置した後、充分に振とうし(試料の合一体がなくなるまで)、更に1日以上静置して行なう。そして、サンプル処理フィルター(ポアサイズ0.45μm)を通過させたものをGPC測定用試料とする。検量線は、単分散ポリスチレン標準試料により作成した分子量校正曲線を使用する。
(DSC測定)
示差熱分析測定装置(DSC測定装置;DSC−7(パーキンエルマー社製)を用いてASTM D3418−82に準じて測定する。
測定試料は5〜20mg、好ましくは10mgを精密に秤量する。これをアルミパン中に入れ、リファレンスとして空のアルミパンを用い、測定温度範囲30〜200℃の間で、昇温速度10℃/minで常温常湿下で測定を行う。
(凝集度)
試料(外添剤を有するトナー、分級品)の流動特性を測定する一手段として凝集度を用いるものであり、この凝集度の値が大きいほど試料の流動性は悪いと判断する。
測定装置としては、デジタル振動計(デジバイブロ MODEL 1332)を有するパウダーテスター(細川ミクロン社製)を用いる。測定法としては、振動台に200メッシュ、100メッシュ、60メッシュの篩いを目開の狭い順に、即ち60メッシュ篩いが最上位にくるように200メッシュ、100メッシュ、60メッシュの篩い順に重ねてセットする。このセットした60メッシュ篩い上に正確に秤量した試料5gを加え、振動台への入力電圧を21.7Vになるようにし、デジタル振動計の変位の値を0.130にし、その際の振動台の振幅が60〜90μmの範囲に入るように調整し(レオスタット目盛約2.5)、約15秒間振動を加える。その後、各篩い上に残った試料の重量を測定して下式に基づき凝集度を得る。
凝集度(%)=20A+12B+4C
(式中、A、B、Cはそれぞれ60メッシュ、100メッシュ、200メッシュ篩い上に残った試料の質量(g))
以下、本発明を製造例及び実施例により具体的に説明するが、これは本発明をなんら限定するものではない。尚、以下の配合における部数は全て質量部である。
<変性ビニル系重合体1の製造>
テレフタル酸 12.0mol
プロピレンオキサイド変性ビスフェノールA 10.0mol
上記モノマーをエステル化触媒と共にオートクレーブに仕込み、減圧装置、水分離装置、窒素ガス導入装置、温度測定装置および拡販装置を装着して窒素雰囲気下、減圧しながら情報に従って200℃で10時間縮重合反応を行い、ポリエステルを得た。
次に、キシレン105部に、上記ポリエステル40部を添加し、窒素雰囲気下、撹拌しながら75℃まで加熱した。続いて、
イソシアネートエチルメタクリレート(カレンズMOI) 5部
ラウリン酸ジブチル錫 0.0005部
を添加した後、約30分かけて141℃に加熱した。そこに、
スチレン 50部
アクリル酸ブチル 10部
tert−ブチルパーオキシベンゾエート 3部
あらかじめ混合しておいた上記モノマーと重合開始剤を、2時間かけて滴下した。その温度でさらに3時間保持してラジカル重合反応を終了した。さらに加熱しながら減圧して、脱溶剤することにより、ポリエステル変性ビニル系重合体1を得た。物性を表1に示す。
<変性ビニル系重合体2〜6の製造>
変性ビニル系重合体1の製造において、表1に示す組成に変更し、また開始剤量や反応温度、反応時間などを適宜調整する以外は変性ビニル系重合体1の製造と同様にして、変性ビニル系重合体2〜6を得た。物性を表1に示す。
<変性ビニル系重合体7の製造>
スチレン 50部
アクリル酸ブチル 10部
アクリル酸 5部
上記単量体および両反応性化合物に、重合開始剤としてジクミルパーオキサイド3部を溶解して滴下ロートに入れた。プロピレンオキサイド変性ビスフェノールAを28部、テレフタル酸10.5部、無水トリメリット酸(TMA)1.5部を、ガラス製5リットルの4口フラスコに入れ、温度計、ステンレス製撹拌棒、流下式コンデンサー及び窒素導入管を取り付け、マントルヒーター中で窒素雰囲気下、135℃の温度で撹拌しつつ、先の滴下ロートよりビニル系樹脂の単量体及び重合開始剤を4時間かけて滴下した。135℃に保持したまま5時間熟成し、220℃に昇温して10時間反応させることにより、ポリエステルでグラフト変性された変性ビニル系重合体7を得た。物性を表1に示す。
Figure 0004560462
<疎水性磁性酸化鉄の製造>
硫酸第一鉄水溶液中に、鉄イオンに対して1.0〜1.1当量の苛性ソーダ溶液を混合し、水酸化第一鉄を含む水溶液を調製した。該水溶液をpH8に維持しながら、空気を吹き込み、80〜90℃で酸化反応を行い、種晶を生成させるスラリー液を調製した。次いで、このスラリー液に当初のアルカリ量(苛性ソーダのナトリウム成分)に対し0.9〜1.2当量となるよう硫酸第一鉄水溶液を加えた後、スラリー液をpH=8に維持して、空気を吹込みながら酸化反応を進め、酸化反応の終期にpHを約6に調整し、酸化反応を終了した。生成した酸化鉄粒子を洗浄、濾過して一旦取り出し、乾燥せずに別の水中に再分散させた後、再分散液のpHを調整し、十分撹拌しながらn−ヘキシルトリメトキシシランカップリング剤を磁性酸化鉄100部に対し2部添加し、十分撹拌した。生成した疎水性酸化鉄粒子を常法により洗浄、濾過、乾燥し、次いで凝集している粒子を解砕処理し、平均粒径が0.19μmの疎水性磁性酸化鉄を得た。
<トナー1の製造>
イオン交換水720部に0.1M−Na3PO4水溶液450部を投入し60℃に加温した後、1.0M−CaCl2水溶液67.7部を添加して分散安定剤を含む水系媒体を得た。
スチレン 74部
n−ブチルアクリレート 26部
ジビニルベンゼン 0.5部
変性ビニル系重合体1 15部
負荷電制御剤・T−77(保土ヶ谷化学製) 1部
疎水性磁性酸化鉄1 95部
上記処方をアトライター(三井三池化工機(株))を用いて均一に分散混合した。
この単量体組成物を60℃に加温し、そこにポリエチレンワックス(DSCにおける最大吸熱ピーク65℃、吸熱ピークの半値幅17℃)10部を添加混合溶解し、これに重合開始剤t−ブチル−オキシ2−エチルヘキサノエート4部を溶解して重合性単量体組成物とした。
前期水系媒体中に上記重合性単量体組成物を投入し、60℃,N2雰囲気下においてTK式ホモミキサー(特殊機化工業(株))にて10,000rpmで15分間撹拌し、造粒した。その後パドル撹拌翼で撹拌しつつ、80℃で8時間反応させた。反応終了後、懸濁液を冷却し、塩酸を加えて分散剤を溶解し、分散剤を溶解し、濾過、水洗、乾燥してトナー粒子1を得た。
このトナー粒子100部と、一次粒径12nmのシリカにヘキサメチルジシラザンで処理をした後シリコーンオイルで処理し、処理後のBET値が120m2/gの疎水性シリカ微粉体1.0部をヘンシェルミキサー(三井三池化工機(株))を用い混合し、トナー1を調製した。トナー1の物性を表2に示す。
<トナー2〜6、8〜10の製造>
トナー1の製造において、用いる変性ビニル系重合体の種類や添加量を表2に示す通りに変更し、またスチレンとアクリル酸n−ブチルの組成比を適宜調整する以外はトナー1の製造と同様にして、トナー2〜6、8〜10を得た。物性を表2に示す。
<トナー7の製造>
スチレン/n−ブチルアクリレート共重合体(質量比80/20)
(Mn=24300、Mw/Mn=3.0) 100部
変性ビニル系重合体1 15部
負荷電制御剤・T−77(保土ヶ谷化学製) 1部
疎水性磁性酸化鉄 30部
トナー1の製造で用いたポリエチレンワックス 5部
上記材料をブレンダーにて混合し、110℃に加熱した2軸エクストルーダーで溶融混練し、冷却した混練物をハンマーミルで粗粉砕し、粗粉砕物をターボミル(ターボ工業社製)で微粉砕し、得られた微粉砕物を風力分級してトナー粒子を得た。
次に、変性ビニル系重合体2をハンマーミルで粗粉砕し、粗粉砕物をターボミルで微粉砕した。その後、該トナー粒子100部に対して、粉砕した変性ビニル系重合体2を15部外添した後、衝撃式表面処理装置(処理温度50℃、回転式処理ブレード周速90m/sec.)を用いて固着・皮膜形成化を行い、皮膜トナー粒子を得た。
得られたトナー粒子100部にトナー1の製造と同様にして、疎水性シリカ微粉体1.0部を外添し、トナー7を調製した。得られたトナー7の物性を表2に示す。
Figure 0004560462
<実施例1>
画像形成装置として、LBP−1760を改造し、概ね図1に示される構造のものを用いた。
静電荷像担持体(感光体ドラム)の電位は、暗部電位Vd=−650V、明部電位VL=−130Vとした。また、静電荷像担持体と現像スリーブとの間隙は270μmとし、トナー担持体として下記の構成の層厚約7μm、JIS中心線平均粗さ(RA)1.0μmの樹脂層を、表面をブラストした直径16φのアルミニウム円筒上に形成した現像スリーブを使用し、現像磁極85mT(850ガウス)、トナー規制部材として厚み1.0mm、自由長0.5mmのウレタン製ブレードを39.2N/m(40g/cm)の線圧で当接させた。
フェノール樹脂 100部
グラファイト(粒径約7μm) 90部
カーボンブラック 10部
次いで、現像バイアスとして直流バイアス成分Vdc=−450V、重畳する交流バイアス成分Vp-p=1600V、F=2200Hzを用いた。また、現像スリーブの周速は感光体周速(170mm/sec)に対して順方向に110%のスピード(187mm/sec)とした。また、転写バイアスは直流1.5kVとした。
定着方法としてはLBP−1760のオイル塗布機能のない、フィルムを介してヒーターにより加熱加圧定着する方式の定着装置を用いた。この時加圧ローラーはフッ素系樹脂の表面層を有するものを使用し、ローラーの直径は30mmであった。また、定着温度は180℃、ニップ幅を7mmに設定した。
トナー1をカートリッジに100g充填し、常温常湿環境下(23℃,60%RH)及び高温高湿環境下(30℃、80%RH)において、印字率2%の横線のみからなる画像パターンで3000枚の画出し試験を行った。なお、転写材としては75g/m2の紙を使用した。
その結果、トナー1は初期、及び、3000枚の画出し後において流動性の低下や融着の発生も無く、高濃度で、非画像部へのカブリのない良好な画像が得られた。また、低温定着性、耐オフセット性にも優れ、幅広い定着温度幅を取ることができた。常温常湿環境下での評価結果を表3に、高温高湿環境下での評価結果を表4に示す。
本発明の実施例、ならびに、比較例中に記載の評価項目とその判断基準について述べる。
(定着性)
LBP−1760の改造機を用い、常温常湿環境下において定着試験を行った。このときの画像面積比率は25%であり、単位面積当たりのトナー載り量は、0.3mg/cm2に設定した。また、プロセススピードは170mm/secに設定した。定着開始温度の測定は、定着器の設定温度を120〜200℃迄の温度範囲で5℃おきに温度調節して、各々の温度で定着画像を出力し、得られた定着画像を4.9kPa(50g/cm2)の荷重をかけたシルボン紙で摺擦し、摺擦前後の濃度低下率が10%以下となる定着温度を定着開始温度とした。また、高温オフセット温度については画像上及び紙裏の汚れを目視で評価した。
(画像濃度)
画像濃度はベタ画像部を形成し、このベタ画像をマクベス反射濃度計(マクベス社製)にて測定を行った。
(カブリ)
カブリの測定は、東京電色社製のREFLECTMETER MODEL TC−6DSを使用して測定した。フィルターは、グリーンフィルターを用い、カブリは下記の式より算出した。
カブリ(反射率)(%)=標準紙上の反射率(%)−サンプル非画像部の反射率(%)
なお、カブリの判断基準は以下の通り。
A:非常に良好(1.5%未満)
B:良好(1.5%以上乃至2.5%未満)
C:普通(2.5%以上乃至4.0%未満)
D:悪い(4%以上)
(トナーの流動性)
先に述べた凝集度測定結果に基づき、評価基準数値範囲を以下のように定めた。 A:流動性が極めて良好:凝集度の測定結果が20%以下のサンプル
B:流動性が良好:凝集度の測定結果が41%〜50%のサンプル
C:流動性が普通:凝集度の測定結果が51%〜60%のサンプル
D:流動性が悪い:凝集度の測定結果が61%〜70%のサンプル
E:流動性が極めて悪い:凝集度の測定結果が71%以上のサンプル
(融着の有無)
画出し耐久後の静電荷像担持体と現像スリーブを観察し、融着の有無を目視で評価した。
(耐ブロッキング性)
約10gのトナーを100mlガラス瓶に入れ、50℃で5日間放置した後に目視で判定した。
A:変化なし
B:凝集体があるがすぐにほぐれる
C:ほぐれにくい
D:流動性なし
E:ケーキング
<実施例2、参考例3、4、実施例5、参考例6、7
トナーとして、トナー2〜7を使用し、実施例1と同様の条件で画出し試験、定着性評価及び耐久性評価を行った。その結果、初期の画像特性も問題なく、印字3000枚までいずれも大きな問題のない結果が得られた。常温常湿環境下での評価結果を表3に、高温高湿環境下での評価結果を表4に示す。
<比較例1〜3>
トナーとして、トナー8〜10を使用し、実施例1と同様の条件で画出し試験、定着性評価及び耐久性評価を行った。その結果、トナー8、9については耐久試験と共に流動性の悪化が生じ、特に高温高湿環境下においては融着が発生し画像濃度の低下が著しかった。また、磁性トナー10については定着開始温度が高かった。常温常湿環境下での評価結果を表3に、高温高湿環境下での評価結果を表4に示す。
Figure 0004560462
Figure 0004560462
本発明の実施例に用いた画像形成装置の一例を示す概略図である。 現像器構成の説明図である。
符号の説明
100 感光体(像担持体、被帯電体)
102 現像スリーブ(磁性トナー担持体)
114 転写ローラー(転写部材)
116 クリーナー
117 帯電ローラー(接触帯電部材)
121 レーザービームスキャナー(潜像形成手段、露光装置)
124 給紙ローラ
125 搬送部材
126 定着装置
140 現像装置
141 撹拌部材

Claims (2)

  1. 少なくとも結着樹脂と着色剤とワックスを含有するトナー粒子を有するトナーであって、
    該トナー粒子は、水系媒体中で製造されたものであり、
    該トナー粒子は、コアとシェルを有し、該トナー粒子のシェルにポリエステルで変性された変性ビニル系重合体を含有し、
    該変性ビニル系重合体のポリエステル変性量が50質量%未満であり、
    該変性ビニル系重合体の酸価が1mgKOH/g以上10.2mgKOH/g以下であり、
    該変性ビニル系重合体のガラス転移点が30℃乃至80℃であり、
    該変性ビニル系重合体は、ポリエステルとビニル系重合体とのブロック共重合体であり、
    該トナーは、該変性ビニル系重合体を結着樹脂100質量部に対して5乃至50質量部含有することを特徴とするトナー。
  2. 該トナー粒子は、着色剤として酸化鉄を含有することを特徴とする請求項1に記載のトナー。
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