JP2021165835A - トナー及びトナーの製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】使用環境に囚われず長期に亘る印刷においても、細線再現性が良好であり、かつ画像カブリや部材汚染が低減され、安定して高品質な画像が得られるトナー及び該トナーの製造方法を提供すること。【解決手段】結着樹脂を含有するトナー粒子を有するトナーであって、結着樹脂が樹脂A及び樹脂Bを含有し、トナー粒子が表面に凸部を有し、凸部が樹脂Bを含み、走査型電子顕微鏡で観察されるトナーの形状係数SF−2が105〜120であり、走査型電子顕微鏡で観察されるトナーの下記式(1)により算出される表面凹凸指数が0.010〜0.050であることを特徴とするトナー。表面凹凸指数=(トナーの凸包により囲まれた領域の面積−トナーの投影面積)/トナーの投影面積 (1)【選択図】図1

Description

本開示は、電子写真法、静電記録法、トナージェット方式記録法のような方法によって形成される静電潜像を現像してトナー画像を形成するために用いられるトナー及び該トナーの製造方法に関する。
複写機、プリンター、ファクシミリの受信装置などに用いられる電子写真技術は、装置の発展とともに利用者からの要求も年々厳しくなっている。近年の動向では、市場の拡大により使用される環境が広がったことから環境に依存しない安定した画像品質が得られることが強く求められるようになっている。また、コンパクトな設計でありながら長期に亘って印刷が可能であることが強く求められるようになっている。
上記要求を満足させるためには、電子写真プロセスとして(1)現像性が変化しないこと(高耐久性)、(2)記録媒体上に潜像を乱さず転写すること(高転写性)、が必要である。そのため、トナーとしては高耐久性かつ高転写性が求められており、前記課題を解決すべく数多く改良が行われている。
高転写性という観点においては、トナー粒子の形状を制御することにより、トナーと転写部材との付着力を制御することが行われている。例えば、特許文献1〜3ではトナー粒子の形状係数SF−2を制御したトナーが開示されている。
特開2001−013732号公報 特開2011−197160号公報 特開2013−064965号公報
特許文献1においては、通常の懸濁重合法によりトナー粒子を作製するため、真球に近いトナーが得られる。このようなトナーは、現像機内で転がり易いため、特に低温低湿環境下において、トナーが過剰に帯電しやすく帯電量が高くなりすぎる傾向にある。
その結果、長期間の連続使用後半において、トナーとトナーを供給するトナー担持体との付着力が強くなり、現像残トナーが担持体上に多量に残った状態となる。このような状態で担持体上に新しいトナーが供給されると、担持体上のトナーが規制されにくく、画像カブリや部材汚染が発生する場合がある。
特許文献2及び特許文献3においては、粉砕トナーを機械的に球形化処理したものや、ある程度の大きさの粒子を凝集させてトナー粒子とするため、トナー粒子の表面が極度に凸凹したものから丸い形状のものまで幅広く存在する。そのため、細線再現性にバラツキが生じる場合がある。また、このように幅広い形状のトナー粒子が混在する場合はトナーの形状により流動性が異なるため、流動性の高いトナーの帯電量が上がりやすく流動性の低いトナーの帯電量は上がりにくい。その結果、トナーの帯電量分布がブロードになりやすく、画像カブリや部材汚染が発生する場合がある。
このように、特許文献1〜3いずれのトナーにおいても未だ改善の余地がある。
そこで本開示は、使用環境に囚われず長期に亘る印刷においても、細線再現性が良好であり、かつ画像カブリや部材汚染が低減され、安定して高品質な画像が得られるトナー及び該トナーの製造方法を提供する。
本開示は、
結着樹脂を含有するトナー粒子を有するトナーであって、
該結着樹脂が、樹脂A及び樹脂Bを含有し、
該トナー粒子が、表面に凸部を有し、
該凸部が、樹脂Bを含み、
走査型電子顕微鏡で観察される該トナーの形状係数SF−2が、105〜120であり、
走査型電子顕微鏡で観察される該トナーの下記式(1)により算出される表面凹凸指数が、0.010〜0.050であることを特徴とするトナー。
表面凹凸指数=(トナーの凸包により囲まれた領域の面積−トナーの投影面積)/トナーの投影面積 (1)
また、本開示は、
結着樹脂を含有するトナー粒子を有するトナーの製造方法であって、
該結着樹脂が、樹脂A及び樹脂Bを含有し、
該トナー粒子が、表面に凸部を有し、
該凸部が、樹脂Bを含み、
走査型電子顕微鏡で観察される該トナーの形状係数SF−2が、105〜120であり、
走査型電子顕微鏡で観察される該トナーの下記式(1)により算出される表面凹凸指数が、0.010〜0.050であり、
該製造方法は、
水系媒体中で、該樹脂Aを形成しうる重合性単量体及び該樹脂Bを含有する重合性単量体組成物の粒子を形成する工程(I)、
該重合性単量体組成物の該粒子に含まれる該重合性単量体を、該水系媒体中で重合し樹脂粒子を形成する工程(II)、及び、
該樹脂粒子を、該樹脂Bの酸解離定数pKaより高いpHを有する水系媒体中で、該樹脂Bのガラス転移温度以上の温度で保持する工程(III)、
を含むことを特徴とするトナーの製造方法。
表面凹凸指数=(トナーの凸包により囲まれた領域の面積−トナーの投影面積)/トナーの投影面積 (1)
本開示によれば、使用環境に囚われず長期に亘る印刷においても、細線再現性が良好であり、かつ画像カブリや部材汚染が低減され、安定して高品質な画像が得られるトナー及び該トナーの製造方法を提供することができる。
トナー粒子の表面の様子を示す概略図
本開示において、数値範囲を表す「XX以上YY以下」や「XX〜YY」の記載は、特に断りのない限り、端点である下限及び上限を含む数値範囲を意味する。
数値範囲が段階的に記載されている場合、各数値範囲の上限及び下限は任意に組み合わせることができる。
(メタ)アクリル酸とは、アクリル酸、メタクリル酸、並びに、アクリル酸及びメタクリル酸を意味する。
同様に、(メタ)アクリル酸エステルとは、アクリル酸エステル、メタクリル酸エステル、並びに、アクリル酸エステル及びメタクリル酸エステルを意味する。
「単量体単位」とは、重合体中の単量体物質の反応した形態をいう。例えば、重合体中
のビニル系単量体が重合した主鎖中の、炭素−炭素結合1区間を1単位とする。ビニル系単量体とは下記式(Z)で示すことができる。
Figure 2021165835
該式(Z)中、RZ1は、水素原子、又はアルキル基(好ましくは炭素数1〜3のアルキル基であり、より好ましくはメチル基)を表し、RZ2は、任意の置換基を表す。
以下、本開示の実施態様を具体的に説明するがこれらに限定されるわけではない。
該トナーは、結着樹脂を含有するトナー粒子を有するトナーであって、
該結着樹脂が、樹脂A及び樹脂Bを含有し、
該トナー粒子が、表面に凸部を有し、
該凸部が、樹脂Bを含み、
走査型電子顕微鏡で観察される該トナーの形状係数SF−2が、105〜120であり、
走査型電子顕微鏡で観察される該トナーの下記式(1)により算出される表面凹凸指数が、0.010〜0.050であることを特徴とする。
表面凹凸指数=(トナーの凸包により囲まれた領域の面積−トナーの投影面積)/トナーの投影面積 (1)
本発明者らが鋭意検討した結果、上記構成を満たすことで転写性に優れ、且つ最適な帯電量のトナーを得ることができることを見出した。その結果、該トナーの使用により、使用環境に囚われず長期に亘る印刷においても、細線再現性が良好であり、かつ画像カブリや部材汚染が低減され、安定して高品質な画像が得られる。該効果が得られる原因について、本発明者らは以下のように推察する。
優れた細線再現性を実現するためには、転写効率を向上させる必要があるため、トナーとしては接触点が少ないものが好ましい。
そのため、走査型電子顕微鏡で観察される該トナーの形状係数SF−2は、105〜120である。該トナーの形状係数SF−2は、107〜118であることが好ましく、110〜116であることがより好ましい。
該形状係数SF−2が105未満の場合、帯電量が上りすぎる傾向にあり画像カブリが発生しやすい傾向にある。一方、該形状係数SF−2が120を超える場合、細線再現性が低下しやすい傾向にある。
該形状係数SF−2は次式で求められる形状係数である。(式)SF−2=(トナーの投影周囲長)2/(トナーの投影面積)/4π×100。
すなわち、形状係数SF−2は、トナーの投影面積と、そのトナーと同周囲長の真円粒子の投影面積の比を百分率で表したものである。
一方で、トナーの帯電量を最適化するには、帯電量を上げすぎず、かつ、帯電量分布をシャープにする必要がある。トナーの帯電量を上げすぎないためには、トナーの流動性を適度に下げる必要があるため、トナーの丸さを適度に下げる必要がある。
また、トナーの帯電量分布をシャープにするためには、トナー1粒子ごとの流動性を揃えること、つまり、トナーの形状が揃っていることが重要である。
ここで、同じ形状係数SF−2を有するトナーであっても、その表面形状が異なる場合が存在する。すなわち、表面が極度に凸凹したトナーと、小さな微粒子などが多数付着したようなトナーにおいて、該形状係数SF−2の値が同じになる場合がある。
このような場合、トナーの形状が揃っていないため、転がりやすいトナーは帯電量が高くなりやすく、転がりにくいトナーは帯電量が低くなりやすい。そのため、トナーの帯電量分布はブロードとなりやすい。このように帯電量分布がブロードとなった場合、画像カブリ及び部材汚染が発生しやすくなる。
該トナーの形状のバラツキをなくすためには、形状係数SF−2に加え、下記式(1)で表される表面凹凸指数を考慮する必要がある。
表面凹凸指数=(トナーの凸包により囲まれた領域の面積−トナーの投影面積)/トナーの投影面積 (1)
具体的な分析方法は後述するが、形状係数SF−2とは異なり、該表面凹凸指数は、トナーの表面が、どの程度凹凸しているのか数値化したものである。そのため、形状係数SF−2が同じトナーであっても、該表面凹凸指数によって、トナーの表面に小さな凹凸が多数あるのか、極度な凹みがわずかにあるのか又は小さな微粒子などが多数付着したものなのか、切り分けることができる。
本開示のトナーは、トナーの表面に小さな凹凸が多数あることによって、細線再現性を維持しつつ、トナー帯電量のブロード化に伴う画像カブリを改善する。
すなわち、走査型電子顕微鏡で観察される該トナーの上記式(1)により算出される表面凹凸指数が、0.010〜0.050である。
該表面凹凸指数が0.010未満の場合、トナー表面の凹凸が適度に存在しないことにより、トナーが過剰に帯電してしまう。そのため、長期間の連続使用時に画像カブリが発生しやすい。一方、該表面凹凸指数が0.050を超える場合、トナー表面の極度な凹みの存在や、微粒子などの付着が想定され、細線再現性が低下しやすく、また、トナーの帯電量分布がブロードになりやすい。そのため画像カブリや部材汚染が発生しやすい。
該表面凹凸指数は、0.015〜0.045であることが好ましく、0.024〜0.040であることがより好ましい。
該トナーの表面凹凸指数の標準偏差は、上記効果をさらに良化できる観点から、0.010以下であることが好ましく、0.005以下であることがより好ましい。
また、上記効果をさらに良化する観点から、走査型電子顕微鏡で観察される該トナーの形状係数SF−1は105以上であることが好ましい。
一方、上記効果の良化とともに、高温高湿環境下における反転カブリに伴う紙上カブリや、現像機のブレードに対する融着の良化の観点から、該該形状係数SF−1は120以下であることが好ましく、112以下であることがより好ましい。
該形状係数SF−1は次式で求められる形状係数である。(式)SF−1=(トナーの投影最大長)2/(トナーの投影面積)×(π/4)×100。
該トナーは、結着樹脂を含有するトナー粒子を有するトナーであって、結着樹脂が、樹脂A及び樹脂Bを含有し、該トナー粒子が表面に凸部を有し、該凸部が樹脂Bを含む。該樹脂Bが前記トナー粒子の表面に凸部を形成していてもよい。
形状係数SF−2及び式(1)により算出される表面凹凸指数の数値範囲を満足させる観点から、トナー粒子を形成する結着樹脂に樹脂A及び樹脂Bを含有させ、トナー粒子の表面に凸部を形成させ、該凸部に樹脂Bを含ませるとよい。また、樹脂Bがトナー粒子の表面に凸部を形成させてもよい。図1は、トナー粒子の表面の様子を示す概略図である。図中、1が樹脂Bを表し、2が樹脂Aを表す。
また、製造容易性の観点から、樹脂Aはスチレン(メタ)アクリル樹脂を含有し、樹脂Bはポリエステル樹脂を含有することが好ましい。すなわち、トナー粒子表面の凸部はポリエステル樹脂を含有し、トナー粒子表面の凸部以外の凹陥部はスチレン(メタ)アクリル樹脂を含有していることが好ましい。
さらに、樹脂Aを形成しうる重合性単量体100.0質量部に対するポリエステル樹脂の含有量が3.0質量部以上15.0質量部以下であると、または樹脂A 100.0質量部に対するポリエステル樹脂の含有量が3.0質量部以上15.0質量部以下であると、凸部と凹陥部を多数存在させることができるので好ましく、3.0質量部以上10.0質量部以下であると凸部と凹陥部を均一に多数存在させることができるため、より好ましい。
該トナー粒子はワックスを含有し、透過型電子顕微鏡で観察される該トナーの断面において、該トナーの輪郭及び該輪郭から該トナーの内側へ1.0μm離れた線により囲まれた領域に存在するワックスの占有面積百分率をAsとし、該トナーの輪郭から該トナーの内側へ1.0μm離れた線よりも内側の内部領域に存在するワックスの占有面積百分率をAcとしたときに、該As及び該Acが、下記式(2)を満たすことが好ましい。また、下記式(2)’を満たすことがより好ましい。該ワックスの占有面積百分率は、後述のように、トナーの製造条件を適宜調整することによって所定の範囲に制御することができる。
50.0≧〔As/(Ac+As)〕×100≧3.0 (2)
20.0≧〔As/(Ac+As)〕×100≧5.0 (2)’
該〔As/(Ac+As)〕×100が上記範囲内であることで、定着性を維持しつつ、ワックスによる部材汚染やトナー融着を抑制することができる。
以下、トナーの製造方法について説明するがこれらに限定されるわけではない。
本開示のトナーの製造方法は、
結着樹脂を含有するトナー粒子を有するトナーの製造方法であって、
該結着樹脂が、樹脂A及び樹脂Bを含有し、
該トナー粒子が、表面に凸部を有し、
該凸部が、樹脂Bを含み、
走査型電子顕微鏡で観察される該トナーの形状係数SF−2が、105〜120であり、
走査型電子顕微鏡で観察される該トナーの下記式(1)により算出される表面凹凸指数が、0.010〜0.050であり、
該製造方法は、
水系媒体中で、該樹脂Aを形成しうる重合性単量体及び該樹脂Bを含有する重合性単量体組成物の粒子を形成する工程(I)、
該重合性単量体組成物の該粒子に含まれる該重合性単量体を、該水系媒体中で重合し樹脂粒子を形成する工程(II)、及び、
該樹脂粒子を、該樹脂Bの酸解離定数pKaより高いpHを有する水系媒体中で、該樹脂Bのガラス転移温度以上の温度で保持する工程(III)、
を含むことを特徴とするトナーの製造方法。
表面凹凸指数=(トナーの凸包により囲まれた領域の面積−トナーの投影面積)/トナーの投影面積 (1)
上記懸濁重合を実施した場合、水系媒体中において、樹脂Bは、樹脂Bの酸解離定数pKa前後でトナー粒子の界面への配向性が大きく変化する。つまり、樹脂Bの酸解離定数pKaよりも高いpHを有する水系媒体中で懸濁重合に関連する工程が実施された場合、樹脂Bは界面に移行しやすい。
それゆえ、樹脂Bをトナー粒子の表面に偏在させるために、重合によって得られた樹脂
粒子を、樹脂Bの酸解離定数pKaよりも高いpHを有する水系媒体中で保持するとよい。また、(該水系媒体のpH)と(樹脂Bの酸解離定数pKa)において、(該水系媒体のpH)−(樹脂Bの酸解離定数pKa)の値が1.3〜5.0であることが好ましく、3.5〜4.5であることがより好ましい。
さらに、樹脂Bは高分子のため、トナー粒子中の分子移動が遅い。そのため、樹脂Bの酸解離定数pKaより高いpHを有する水系媒体中で、樹脂Bのガラス転移温度(Tg)以上の温度で保持する。それにより、樹脂Bをトナー粒子の表面に積極的に偏在させることができる。その結果、トナー粒子が表面に凸部を有するとき、該凸部に樹脂Bを含ませることができる。また、トナー粒子の表面に樹脂Bによる凸部を形成させることもできる。また、該保持温度は、樹脂Bのガラス転移温度(Tg)+10℃以上の温度であることが好ましく、樹脂Bのガラス転移温度(Tg)+15℃以上の温度であることがより好ましい。該保持温度の上限値は特に限定されないが、樹脂Bのガラス転移温度(Tg)+30℃以下程度の温度である。
該保持時間は、樹脂Bを部分的かつ積極的に表面に偏在させる観点から、30分以上、6時間以下であることが好ましく、1時間以上、5時間以下であることがより好ましい。該保持時間を長くすると、表面凹凸指数の値を大きくすることができる。
また、該保持する工程(III)より前の工程、すなわち、工程(I)及び/又は工程(II)における水系媒体のpHは、樹脂Bの酸解離定数pKa未満であることが、樹脂Bを適度にトナー粒子の表面に偏在させる観点から好ましい。
製造容易性の観点から、例えば、トナー粒子の表面の凸部に含まれるか、またはトナー粒子の表面に凸部を形成させるための樹脂Bは、ポリエステル樹脂を含有することが好ましい。
上述のように懸濁重合を実施した場合、ポリエステル樹脂はカルボキシ基を有するため、水系媒体中ではポリエステル樹脂の酸解離定数pKa前後でトナー粒子の界面への配向性が大きく変化する。つまり、ポリエステル樹脂の酸解離定数pKaよりも高いpHを有する水系媒体中で、該ポリエステル樹脂のガラス転移温度以上の温度で保持された場合、ポリエステル樹脂は界面に移行しやすい。
それゆえ、ポリエステル樹脂をトナー粒子の表面に偏在させるために、工程(III)における水系媒体のpHをポリエステル樹脂の酸解離定数pKaよりも高く設定するとよい。
さらに、ポリエステル樹脂は高分子のため、トナー粒子中の分子移動が遅い。そのため、ポリエステル樹脂のガラス転移温度(Tg)以上の温度で保持することでポリエステル樹脂をトナー粒子の表面に積極的に偏在させることができる。その結果、トナー粒子の表面にポリエステル樹脂による凸部を形成させることができる。
具体的には、樹脂Bとして、酸解離定数pKaが、6.5未満のポリエステル樹脂を用いる場合、工程(III)における、水系媒体のpHを6.5〜10.0とし、ポリエステル樹脂のガラス転移温度(Tg)以上の温度で保持するとよい。
該保持時間は、ポリエステル樹脂を部分的かつ積極的に表面に偏在させる観点から、30分〜6時間であることが好ましく、1時間〜5時間であることがより好ましい。
また、該保持する工程(III)より前の工程、すなわち、工程(I)及び/又は工程(II)における水系媒体のpHは、ポリエステル樹脂の酸解離定数pKa未満であることが、ポリエステル樹脂を適度に表面に出す観点から好ましい。
また、樹脂Bの酸価は10mgKOH/g以上であることが好ましく、14mgKOH/g以上であることがより好ましい。一方、該酸価は20mgKOH/g以下であることが好ましい。
樹脂Bの酸価が10mgKOH/g以上の場合、酸解離部分が増えるので、樹脂Bをよりトナー粒子の表面に偏在させやすくなる。一方で、高温高湿環境下(HH)での画像カ
ブリの発生抑制の観点から20mgKOH/g以下であることが好ましい。
樹脂Aはビニル系樹脂を含有することが好ましく、スチレン(メタ)アクリル樹脂を含有することがより好ましい。また、樹脂Aがスチレン(メタ)アクリル樹脂を含有し、樹脂Bがポリエステル樹脂を含有することが好ましく、樹脂Aがスチレン(メタ)アクリル樹脂であり、樹脂Bがポリエステル樹脂であることがより好ましい。
また、樹脂Aを形成しうる重合性単量体100.0質量部に対するポリエステル樹脂の含有量が3.0質量部以上15.0質量部以下であると、または樹脂A 100.0質量部に対するポリエステル樹脂の含有料が3.0質量部以上15.0質量部以下であると、凸部と凹陥部を多数存在させることができるので好ましく、3.0質量部以上10.0質量部以下であると凸部と凹陥部を均一に多数存在させることができるため、より好ましい。
該ビニル系樹脂とは、ビニル基を有する単量体(以下単に「ビニル基系単量体」ともいう)をラジカル重合して得られた樹脂を指す。ビニル系樹脂は、1種のビニル基系単量体を重合して得られる単独重合体であっても、2種以上のビニル基系単量体を重合して得られる共重合体であってもよい。
該ビニル系樹脂としては、例えば、スチレン骨格を有する単量体(例えば、スチレン、パラクロロスチレン、α−メチルスチレンなど)、(メタ)アクリル酸エステル骨格を有する単量体(例えば、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸n−プロピル、アクリル酸n−ブチル、アクリル酸ラウリル、アクリル酸2−エチルヘキシル、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸n−プロピル、メタクリル酸ラウリル、メタクリル酸2−エチルヘキシルなど)、エチレン性不飽和ニトリル骨格を有する単量体(例えば、アクリロニトリル、メタクリロニトリルなど)、ビニルエーテル骨格を有する単量体(例えば、ビニルメチルエーテル、ビニルイソブチルエーテルなど)、ビニルケトン骨格を有する単量体(例えば、ビニルメチルケトン、ビニルエチルケトン、ビニルイソプロペニルケトンなど)、オレフィン骨格を有する単量体(例えば、エチレン、プロピレン、ブタジエンなど)などの単量体の単独重合体、又はこれら単量体を2種以上組み合せた共重合体などが挙げられる。
該スチレン(メタ)アクリル樹脂は、スチレン骨格を有する単量体と、(メタ)アクリル酸エステル骨格を有する単量体とを共重合した樹脂であることが好ましい。
該スチレン(メタ)アクリル樹脂は、スチレン骨格を有する単量体と(メタ)アクリロイル基を有する単量体と、を少なくとも共重合した共重合体であることが好ましい。上述のように「(メタ)アクリル酸」とは、「アクリル酸」及び「メタクリル酸」のいずれをも含む表現である。また、「(メタ)アクリロイル基」とは、「アクリロイル基」及び「メタクリロイル基」のいずれをも含む表現である。
スチレン骨格を有する単量体(以下、「スチレン系単量体」ともいう)としては、例えば、スチレン、アルキル置換スチレン(例えば、α−メチルスチレン、2−メチルスチレン、3−メチルスチレン、4−メチルスチレン、2−エチルスチレン、3−エチルスチレン、4−エチルスチレンなど)、ハロゲン置換スチレン(例えば、2−クロロスチレン、3−クロロスチレン、4−クロロスチレンなど)、ビニルナフタレンなどが挙げられる。スチレン系単量体は、1種単独で使用してもよいし、2種以上併用してもよい。
これらの中で、スチレン系単量体としては、反応し易さ、反応の制御の容易さ、さらに入手性の点で、スチレンが好ましい。
(メタ)アクリロイル基を有する単量体(以下、「(メタ)アクリル系単量体」ともいう)としては、例えば、(メタ)アクリル酸、(メタ)アクリル酸エステルが挙げられる。(メタ)アクリル酸エステルとしては、例えば、(メタ)アクリル酸アルキルエステル
(例えば、(メタ)アクリル酸n−メチル、(メタ)アクリル酸n−エチル、(メタ)アクリル酸n−プロピル、(メタ)アクリル酸n−ブチル、(メタ)アクリル酸n−ペンチル、アクリル酸n−ヘキシル、(メタ)アクリル酸n−ヘプチル、(メタ)アクリル酸n−オクチル、(メタ)アクリル酸n−デシル、(メタ)アクリル酸n−ドデシル、(メタ)アクリル酸n−ラウリル、(メタ)アクリル酸n−テトラデシル、(メタ)アクリル酸n−ヘキサデシル、(メタ)アクリル酸n−オクタデシル、(メタ)アクリル酸イソプロピル、(メタ)アクリル酸イソブチル、(メタ)アクリル酸t−ブチル、(メタ)アクリル酸イソペンチル、(メタ)アクリル酸アミル、(メタ)アクリル酸ネオペンチル、(メタ)アクリル酸イソヘキシル、(メタ)アクリル酸イソヘプチル、(メタ)アクリル酸イソオクチル、(メタ)アクリル酸2−エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸シクロヘキシル、(メタ)アクリル酸t−ブチルシクロヘキシル等)、(メタ)アクリル酸アリールエステル(例えば、(メタ)アクリル酸フェニル、(メタ)アクリル酸ビフェニル、(メタ)アクリル酸ジフェニルエチル、(メタ)アクリル酸t−ブチルフェニル、(メタ)アクリル酸ターフェニル等)、(メタ)アクリル酸ジメチルアミノエチル、(メタ)アクリル酸ジエチルアミノエチル、(メタ)アクリル酸メトキシエチル、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシエチル、(メタ)アクリル酸β−カルボキシエチル、(メタ)アクリルアミドなどが挙げられる。(メタ)アクリル酸系単量体は、1種単独で使用してもよいし、2種以上併用してもよい。
後述する重合性単量体は、スチレン骨格を有する単量体(スチレン系単量体)と(メタ)アクリル酸エステル骨格を有する単量体((メタ)アクリル系単量体)との共重合体であることが、ポリエステル樹脂をトナー粒子の表面に部分的に存在させる観点から好ましい。
該スチレン系単量体と(メタ)アクリル系単量体との共重合比(質量基準、スチレン系単量体/(メタ)アクリル系単量体)は、例えば、85/15〜70/30であることが好ましい。
該ポリエステル樹脂としては非晶性ポリエステル樹脂であることが好ましい。
非晶性ポリエステル樹脂であれば、耐熱保存性をさらに付与することができる。なお、非晶性樹脂であるか否かはDSC測定装置で融点をもつか否かにより特定することができる。
ポリエステル樹脂は、多価アルコールと多価カルボン酸との縮重合物であることが好ましい。
多価アルコールとしては、例えば、エチレングリコール、プロピレングリコール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、2,3−ブタンジオール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、ネオペンチルグリコール、2−エチル−1,3−ヘキサンジオール、シクロヘキサンジメタノール、ブテンジオール、オクテンジオール、シクロヘキセンジメタノール、イソソルビド、水素化ビスフェノールA、ビスフェノールAのエチレンオキサイド付加物、ビスフェノールAのプロピレンオキサイド付加物が挙げられる。
多価カルボン酸としては、例えば、フタル酸、テレフタル酸、イソフタル酸、無水フタル酸などのベンゼンジカルボン酸又はその無水物:コハク酸、アジピン酸、セバシン酸、アゼライン酸などのアルキルジカルボン酸又は、その無水物が挙げられる。
該結着樹脂中の該樹脂Aの含有量は、80質量%〜98質量%であることが好ましく、90質量%〜95質量%であることがより好ましい。
該結着樹脂中の該樹脂Bの含有量は、2質量%〜20質量%であることが好ましく、4質量%〜10質量%であることがより好ましい。
また、樹脂Aの樹脂Bに対する含有量比(質量基準、樹脂A/樹脂B)は、5〜50であることが好ましく、10〜30であることがより好ましい。
以下、トナーの製造方法について、より具体的に説明するが、これらに限定される訳ではない。該トナーの製造方法は、
水系媒体中で、樹脂Aを形成しうる重合性単量体及び樹脂Bを含有する重合性単量体組成物の粒子を形成する工程(I)、
重合性単量体組成物の粒子に含まれる重合性単量体を、水系媒体中で重合し樹脂粒子を形成する工程(II)、及び、
得られた樹脂粒子を、樹脂Bの酸解離定数pKaより高いpHを有する水系媒体中で、樹脂Bのガラス転移温度以上の温度で保持する工程(III)、を含む。
該工程(I)において、重合性単量体組成物は、樹脂Aを形成しうる重合性単量体及び樹脂B、並びに、必要に応じて、着色剤、ワックス、重合開始剤、荷電制御剤、連鎖移動剤、重合禁止剤及び架橋剤などの添加剤を含有させることもできる。
得られた重合性単量体組成物は水系媒体に分散され、樹脂Aを形成しうる重合性単量体及び樹脂Bなどを含有する重合性単量体組成物の粒子が形成される。
該水系媒体は、分散剤として難水溶性無機微粒子を含むものを用いるとよい。
難水溶性無機微粒子を含む水系媒体は、難水溶性無機微粒子、及び、水を含む水系媒体を含有させて構成することができる。また、該水系媒体は、難水溶性無機微粒子以外に、難水溶性無機微粒子を生成する際に生じる対イオンや、pH調整用に添加する酸(例えば、塩酸及び硫酸)やアルカリ(例えば、水酸化ナトリウム及び炭酸ナトリウム)などを含むことができる。
水系媒体の調製に用いられる水は、例えば、イオン交換水を用いることができる。なお、水系媒体は、重合性単量体100質量部に対して、100質量部以上の水を用いて調製することが好ましい。水の使用量が100質量部以上であれば、油水反転を起こすことなく油滴(重合性単量体組成物の粒子)を容易に形成できる。
難水溶性無機微粒子は、水系媒体中に存在する重合性単量体組成物の粒子の分散安定化剤としての役割を果たす。ここで、難水溶性無機微粒子は、特定のpH領域(例えば、4.0〜10.0)で水に対する溶解度(測定温度:60℃)が極めて低く、個数平均粒径が1.0μm以下のものなどが例示できる。
一方、分散安定化剤としては、無機系及び有機系の分散安定化剤が公知であるが、無機系の分散安定化剤が好ましい。なお、有機系の分散安定化剤(例えば、界面活性剤)を併用してもよい。
難水溶性無機微粒子としては、例えば、リン酸カルシウム、リン酸マグネシウム、リン酸アルミニウム、リン酸亜鉛、炭酸マグネシウム、炭酸カルシウム、水酸化カルシウム、水酸化マグネシウム、水酸化アルミニウム、メタケイ酸カルシウム、硫酸カルシウム、硫酸バリウム、ベントナイト、シリカ、アルミナなどの微粒子が挙げられる。この中でも、粒子径の制御の簡便さから、リン酸カルシウムを用いるとよい。これら難水溶性無機微粒子は1種を単独で用いてもよいし、複数種を併用してもよい。
難水溶性無機微粒子を含む水系媒体を調製する場合、難水溶性無機微粒子として、市販の分散安定化剤をそのまま用いて、水中に分散させてもよい。しかし、細かく均一な粒度を有する難水溶性無機微粒子を得るために、水中にて高速撹拌下で、難水溶性無機微粒子を生成させて調製することもできる。
例えば、リン酸カルシウムを難水溶性無機微粒子として使用する場合、以下のように調製することができる。すなわち、高速撹拌下かつ60℃以下の低温領域で、リン酸ナトリウム水溶液と塩化カルシウム水溶液を混合してリン酸カルシウムの微粒子を水中に形成さ
せることで難水溶性無機微粒子を得ることができる。
次いで、難水溶性無機微粒子を含む水系媒体に重合性単量体組成物を分散させて、重合性単量体組成物の粒子を造粒する。これにより、分散安定化剤として働く難水溶性無機微粒子と、重合性単量体組成物の粒子とを含む分散体を得ることができる。
重合性単量体組成物の粒子を形成する際には、TK式ホモミキサー(商品名、特殊機化工業製)などの撹拌装置を用いるとよい。
工程(II)は、得られた重合性単量体組成物の粒子に含まれる重合性単量体を、水系媒体中で重合し樹脂粒子を形成する工程である。
重合の際に、重合開始剤として、油溶性重合開始剤及び水溶性重合開始剤のいずれか一方又は両方を用いることができる。
油溶性重合開始剤としては、例えば、以下のものが挙げられる。
2,2’−アゾビスイソブチロニトリル、2,2’−アゾビス−2,4−ジメチルバレロニトリル、1,1’−アゾビス(シクロヘキサン−1−カルボニトリル)、2,2’−アゾビス−4−メトキシ−2,4−ジメチルバレロニトリルなどのニトリル系重合開始剤;アセチルシクロヘキシルスルホニルパーオキサイド、ジイソプロピルパーオキシカーボネート、デカノニルパーオキサイド、ラウロイルパーオキサイド、ステアロイルパーオキサイド、プロピオニルパーオキサイド、アセチルパーオキサイド、t−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート、ベンゾイルパーオキサイド、t−ブチルパーオキシピバレート、t−ブチルパーオキシイソブチレート、シクロヘキサノンパーオキサイド、メチルエチルケトンパーオキサイド、ジクミルパーオキサイド、t−ブチルヒドロパーオキサイド、ジ−t−ブチルパーオキサイド、クメンヒドロパーオキサイドなどのパーオキサイド系重合開始剤。
水溶性重合開始剤としては、例えば、以下のものが挙げられる。
過硫酸アンモニウム、過硫酸カリウム、2,2’−アゾビス(N,N’−ジメチレンイソブチロアミジン)塩酸塩、2,2’−アゾビス(2−アミノジノプロパン)塩酸塩、アゾビス(イソブチルアミジン)塩酸塩、2,2’−アゾビスイソブチロニトリルスルホン酸ナトリウム、硫酸第一鉄又は過酸化水素。
重合開始剤の添加量は、重合性単量体100質量部に対して、重合効率と安全性の観点から、0.1質量部〜20質量部であることが好ましく、より好ましくは0.1質量部〜15質量部である。重合性開始剤は、10時間半減温度を参考に、1種類を単独で、又は、2種類以上を混合して使用することができる。
トナー粒子の耐ストレス性を高めると共に、トナー粒子の構成分子の分子量を制御するために、重合性単量体の重合時に架橋剤を用いることもできる。
架橋剤としては、2個以上の重合可能な二重結合を有する化合物を用いることができる。
具体的には、ジビニルベンゼン、ジビニルナフタレンのような芳香族ジビニル化合物;エチレングリコールジアクリレート、エチレングリコールジメタクリレート、1,3−ブタンジオールジメタクリレートのような二重結合を2個有するカルボン酸エステル;ジビニルアニリン、ジビニルエーテル、ジビニルスルフィド、ジビニルスルホンなどのジビニル化合物;及び3個以上のビニル基を有する化合物が挙げられる。
架橋剤は、1種を単独で用いてもよいし、2種以上の混合物として用いてもよい。
架橋剤の添加量は、トナーの定着性、耐オフセット性の観点から、重合性単量体100質量部に対して、0.05質量部〜10質量部であることが好ましく、0.10質量部〜5質量部であることがより好ましい。
重合性単量体の重合度を制御する為に、連鎖移動剤、及び、重合禁止剤などを用いるこ
とも可能である。
連鎖移動剤としては、例えば、α−メチルスチレンダイマー、t−ドデシルメルカプタン、n−ドデシルメルカプタン、n−オクチルメルカプタン、四塩化炭素、四臭化炭素などを用いることができる。
また、重合禁止剤としては、例えば、p−ペンゾキノン、クロルアニリル、アントラキノン、フェナンスキノン、ジクロロベンゾキノンなどのキノン化合物、フェノール、第3級ブチルカテコール、ハイドロキノン、カテコール、ハイドロキシモノメチルエーテルなどのハイドロキシ有機化合物、ジニトロベンゼン、ジニトロトルエン、ジニトロフェノールなどのニトロ化合物、ニトロソベンゼン、ニトロソナフトールなどのニトロソ化合物、メチルアニリン、p−フェニレンジアミン、N,N’−テトラエチル−p−フェニレンジアミン、ジフェニルアミンなどのアミノ化合物、テトラアルキルウラムジスルフィド、ジチオベンゾイルジスルフィドなどの有機イオウ化合物などを用いることができる。
トナー粒子は着色剤を含有してもよい。該着色剤は、色相角、彩度、明度、耐侯性、OHT透明性、トナー粒子中への分散性などの観点を考慮して、トナー分野で公知の着色剤から適宜選択して用いることができる。具体的には、後述するブラック、イエロー、マゼンタ及びシアンの顔料、並びに、必要に応じて染料などの着色剤を用いることができる。また、着色剤は、1種を単独で用いてもよいし、また、複数種を混合して用いてもよい。さらに、着色剤は、固溶体の状態で用いることもできる。
着色剤の含有量は、結着樹脂100質量部に対して、1質量部〜20質量部であることが好ましい。なお、トナー粒子中に顔料などの着色剤を分散させるために、着色剤を溶剤に分散させた状態で用いることができ、重合性単量体(例えばスチレン)をこの溶剤として用いることもできる。
ブラック着色剤としては、トナーの分野で、公知のブラック着色剤を用いることができる。ブラック着色剤としては、具体的には、カーボンブラックが挙げられ、さらに、以下に示すイエロー着色剤、マゼンタ着色剤及びシアン着色剤を混合させて、ブラックに調節したものも挙げることができる。
カーボンブラックとしては、特に制限はないが、例えばサーマル法、アセチレン法、チャンネル法、ファーネス法、ランプブラック法などの製法により得られたカーボンブラックを用いることができる。カーボンブラックは1種類を単独で用いても良く、また2種類以上を混合して用いてもよい。カーボンブラックは粗製顔料であっても良く、顔料分散剤の効果を著しく阻害するものでなければ調製された顔料組成物であってもよい。
カーボンブラックの一次粒子の個数平均粒径は、特に制限はないが、14nm〜80nmであることが好ましく、より好ましくは25nm〜50nmである。
イエロー着色剤としては、トナーの分野で、公知のイエロー着色剤を用いることができる。
顔料系のイエロー着色剤としては、例えば、縮合多環系顔料、イソインドリノン化合物、アントラキノン化合物、アゾ金属錯体メチン化合物、アリルアミド化合物に代表される化合物を用いることができる。具体的には、C.I.Pigment Yellow3、7、10、12、13、14、15、17、23、24、60、62、74、75、83、93、94、95、99、100、101、104、108、109、110、111、117、123、128、129、138、139、147、148、150、155、166、168、169、177、179、180、181、183、185、191:1、191、192、193、199が挙げられる。
染料系のイエロー着色剤としては、例えば、C.I.solvent Yellow33、56、79、82、93、112、162、163、C.I.disperse Yellow42、64、201、211が挙げられる。
マゼンタ着色剤としては、トナーの分野で、公知のマゼンタ着色剤を用いることができる。
マゼンタ着色剤としては、例えば、縮合多環系顔料、ジケトピロロピロール化合物、アントラキノン化合物、キナクリドン化合物、塩基染料レーキ化合物、ナフトール化合物、ベンズイミダゾロン化合物、チオインジゴ化合物、ペリレン化合物を用いることができる。具体的には、C.I.Pigment Red 2、3、5、6、7、23、48:2、48:3、48:4、57:1、81:1、122、146、150、166、169、177、184、185、202、206、220、221、238、254、269、C.I.Pigment Violet19が挙げられる。
シアン着色剤としては、トナーの分野で、公知のシアン着色剤を用いることができる。シアン着色剤としては、例えば、フタロシアニン化合物及びその誘導体、アントラキノン化合物、塩基染料レーキ化合物を用いることができる。具体的には、C.I.Pigment Blue1、7、15、15:1、15:2、15:3、15:4、60、62、66が挙げられる。
トナー粒子はワックスを含有してもよい。該ワックスとしては、以下のものが挙げられる。低分子量ポリエチレン、低分子量ポリプロピレン、マイクロクリスタリンワックス、フィッシャートロプッシュワックス、パラフィンワックスなどの脂肪族炭化水素系ワックス;酸化ポリエチレンワックスなどの脂肪族炭化水素系ワックスの酸化物、又はそれらのブロック共重合物;カルナバワックス、モンタン酸エステルワックスなどの脂肪酸エステルを主成分とするワックス類、及び脱酸カルナバワックスなどの脂肪酸エステル類を一部又は全部を脱酸化したもの;パルミチン酸、ステアリン酸、モンタン酸などの飽和直鎖脂肪酸類;ブラシジン酸、エレオステアリン酸、パリナリン酸などの不飽和脂肪酸類;ステアリルアルコール、アラルキルアルコール、ベヘニルアルコール、カルナウビルアルコール、セリルアルコール、メリシルアルコールなどの飽和アルコール類;ソルビトールなどの多価アルコール類;リノール酸アミド、オレイン酸アミド、ラウリン酸アミドなどの脂肪酸アミド類;メチレンビスステアリン酸アミド、エチレンビスカプリン酸アミド、エチレンビスラウリン酸アミド、ヘキサメチレンビスステアリン酸アミドなどの飽和脂肪酸ビスアミド類;エチレンビスオレイン酸アミド、ヘキサメチレンビスオレイン酸アミド、N,N’ジオレイルアジピン酸アミド、N,N’ジオレイルセバシン酸アミドなどの不飽和脂肪酸アミド類;m−キシレンビスステアリン酸アミド、N,N’ジステアリルイソフタル酸アミドなどの芳香族系ビスアミド類;ステアリン酸カルシウム、ラウリン酸カルシウム、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸マグネシウムなどの脂肪族金属塩(一般に金属石けんといわれているもの);脂肪族炭化水素系ワックスにスチレンやアクリル酸などのビニル系モノマーを用いてグラフト化させたワックス類;ベヘニン酸モノグリセリドなどの脂肪酸と多価アルコールの部分エステル化物;植物性油脂の水素添加などによって得られるヒドロキシ基を有するメチルエステル化合物が挙げられる。これらワックスは、1種を単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
これらのうち、脂肪族炭化水素系ワックス、又直鎖状の脂肪酸エステルを主成分とするモノエステルワックス類が好ましい。
該ワックスの示差走査熱量計(DSC)を用いて測定されるワックスの最大吸熱ピークのピーク温度(融点)は、60℃〜140℃であることが好ましく、60℃〜90℃であることがより好ましい。
ワックスの含有量は、結着樹脂100質量部に対して、2.5質量部〜25.0質量部であることが好ましい。
トナー粒子の帯電性を環境によらず安定に保つために、トナー粒子は荷電制御剤を含有してもよい。
荷電制御剤としては、公知のものが利用でき、特に帯電スピードが速く、かつ、一定の
帯電量を安定して維持できる帯電制御剤が好ましい。さらに、トナー粒子を直接重合法にて製造する場合には、重合阻害性が低く、水系媒体への可溶化物が実質的にない荷電制御剤が特に好ましい。具体的な化合物としては、負帯電性荷電制御剤としては、例えば、サリチル酸、アルキルサリチル酸、ジアルキルサリチル酸、ナフトエ酸、ダイカルボン酸などの芳香族カルボン酸の金属化合物、アゾ染料あるいはアゾ顔料の金属塩又は金属錯体、ホウ素化合物、ケイ素化合物、カリックスアレーンが挙げられる。正帯電性荷電制御剤としては、例えば、四級アンモニウム塩、該四級アンモニウム塩を側鎖に有する高分子型化合物、グアニジン化合物、ニグロシン系化合物、イミダゾール化合物が挙げられる。
荷電制御剤は、1種類を単独で用いてもよいし、2種類以上を組み合わせて用いてもよい。
荷電制御剤としては、含金属サリチル酸系化合物が好ましく、その金属がアルミニウム又はジルコニウムのものがよい。好ましい荷電制御剤は、サリチル酸アルミニウム化合物である。
一方、樹脂系の荷電制御剤を用いてもよい。具体的には、スルホン酸基、スルホン酸塩基又はスルホン酸エステル基、サリチル酸部位、安息香酸部位を有する重合体又は共重合体が挙げられる。
荷電制御剤の含有量は、結着樹脂100質量部に対して、0.01質量部〜20質量部であることが好ましく、0.05質量部〜10質量部であることがより好ましい。
工程(III)は、工程(II)で得られた樹脂粒子を、樹脂Bの酸解離定数pKaより高いpHを有する水系媒体中で、樹脂Bのガラス転移温度以上の温度で保持する工程である。上述したように、樹脂Bは高分子のため、トナー粒子中の分子移動が遅い。そのため、樹脂Bの酸解離定数pKaより高いpHを有する水系媒体中で、樹脂Bのガラス転移温度(Tg)以上の温度で保持する工程を実施することで樹脂Bをトナー粒子の表面に積極的に偏在させることができる。
該保持時間は、30分〜6時間であることが好ましく、1時間〜5時間であることがより好ましい。また、該保持する工程(III)より前の工程、すなわち、工程(I)及び/又は工程(II)における水系媒体のpHは、樹脂Bの酸解離定数pKa未満であることが、樹脂Bを適度にトナー粒子の表面に偏在させる観点から好ましい。
また、該製造方法は、工程(II)と工程(III)との間に、蒸留工程を実施してもよい。蒸留工程では、未反応の重合性単量体や副生成物などの揮発性不純物を除去する工程である。該蒸留工程は、常圧(101325Pa)又は減圧下(0.5kPa〜0.95kPa)で行うことができる。
また、該製造方法は、工程(III)の後に、得られた樹脂粒子表面に付着した分散安定化剤を除去する目的で、樹脂粒子を含む分散液を、酸又はアルカリで処理をすることもできる。その際、一般的な固液分離法により樹脂粒子は固相へと分離されるが、酸又はアルカリ及びそれに溶解した分散安定化剤を完全に取り除くため、再度水を添加して樹脂粒子を洗浄するとよい。この洗浄は何度か繰り返し、十分な洗浄が行われた後に、再び固液分離してトナー粒子を得るとよい。得られたトナー粒子は必要であれば公知の乾燥手段により乾燥することができる。
トナーにおける各種特性付与を目的として、得られたトナー粒子はその表面に、外添剤などを有していてもよい。
外添剤としては、トナー粒子表面に存在した時の耐久性の観点から、外添剤を付与する前のトナー粒子の重量平均粒径の1/10以下の粒径であることが好ましい。
外添剤としては、例えば、以下のものが挙げられる。
酸化アルミニウム、酸化チタン、チタン酸ストロンチウム、酸化セリウム、酸化マグネシウム、酸化クロム、酸化錫、酸化亜鉛などの金属酸化物;窒化ケイ素などの窒化物;炭
化物炭化ケイ素などの炭化物;硫酸カルシウム、硫酸バリウム、炭酸カルシウムなどの無機金属塩;ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸カルシウムなどの脂肪酸金属塩;カーボンブラック、シリカ。
外添剤の含有量は、トナー粒子100質量部に対して、0.01質量部〜10質量部であることが好ましく、0.05質量部〜5質量部であることがより好ましい。外添剤は1種類を単独で用いてもよいし、また複数種類を併用してもよい。
なお、これら外添剤は、帯電安定性の観点から、外添剤の表面を疎水化処理したものを用いることが好ましい。疎水化処理の方法としては、メチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、イソブチルトリメトキシシラン、ジメチルジメトキシシラン、ジメチルジエトキシシラン、トリメチルメトキシシラン、ヘキサメチレンジシラザンなどのシランカップリング剤で表面処理することが挙げられる。
トナーは、公知の一成分現像方式、二成分現像方式を用いた画像形成方法に適用可能である。また、該トナーは、いかなるシステムにも用いることができる。例えば、高速システム用トナー、オイルレス定着用トナー、クリーナーレスシステム用トナー、長期使用によって劣化した現像器内のキャリアを順次回収し、フレッシュなキャリアを補給していく現像方式用トナーなどが挙げられる。
以下、トナーの各種物性の測定方法について説明する。
<表面凹凸指数の算出>
トナーの表面凹凸指数は、走査型電子顕微鏡を用いてトナーを観察し、得られた画像の計測値を用い、下記式(1)により算出する。
表面凹凸指数=(トナーの凸包により囲まれた領域の面積−トナーの投影面積)/トナーの投影面積 (1)
具体的な観察方法及び画像計測方法は以下の通りである。
まず、トナーを走査型電子顕微鏡(SEM)「S−4800」(日立製作所製)を用いて10万倍〜20万倍に拡大した。得られた視野で、トナーの重量平均粒径から±2.0μmの範囲にあるトナーが単独で映るように撮影画像を得る。
得られた画像のトナー表面の外添剤を無視できるように画像処理を施した後、二値化及び画像処理することでトナーの表面凹凸指数を算出する。
二値化の条件は観察装置により適切に選択する。ここでは二値化に画像解析ソフトウェアImage−Pro Plus5.1J(MediaCybernetics社製)を用い、背景輝度分布をSubtract Backgroundメニューから平坦化半径40ピクセルで除去した後、輝度閾値50で二値化し、二値化画像を得る。
得られた二値化画像を、画像解析ソフトウェアImage−Pro Plus5.1Jで粒子解析することで、トナーの表面凹凸指数を算出する。算出手順を以下に示す。
(1)[Analyze]−[Set Scale]にて、スケールの設定を行う。
(2)[Process]→[Filters]→[Gaussian Blur]でSigma(Radius)を1.7に設定する。
(3)[Image]−[Adjust]−[Threshold]でHuangを選び、Dark Backgroundにチェックを付け、粒子が赤く塗りつぶされるように数値を変更し閾値を決定する。
(4)[Analyze]→[Analyze Particle]で、Size(Pixcel^2)を50−Infinityに、Circularityを0.0−1.00に設定する。以下の6項目にチェックをつける。
Display Results、ClearResults、Summarize、Add to Manager、Exclude on edges、Include Holes。
ShowをNothingにし、実行するとウィンドウが生成される。
生成された「Summary」ウィンドウのTotal Areaがトナーの投影面積
となる。
(5)次に[File]→[New]→[Image]で、Duplicateで生成した粒子画像のウィンドウに表示されているPixelsを入力する。
(6)ROI Managerを選択し、ROI Managerのトナーに対応する番号を選び、生成されたウィンドウの黒画像部分にトナーの形状の線が出ていることを確認する。
(7)[Edit]→[Selection]→[Convex Hull]を実行する。
(8)[Edit]→[Invert]を実行する。
(9)選択していたウィンドウの黄色枠を削除し(ウィンドウ内を1クリックすることで黄色枠は消える)、再度[Edit]→[Invert]を実行する。
(10)[Analyze]→[Analyze Particle]で、Size(Pixcel^2)を5−Infinityに、Circularityを0.1−1.00に設定する。以下の6項目にチェックをつける。
Display Results、ClearResults、Summarize、Add to Manager、Exclude on edges、Include Holes。
ShowをNothingにし、実行するとウィンドウが生成される。
生成された「Summary」ウィンドウのTotal Areaがトナーの凸包により囲まれた領域の面積となる。
以上のトナーの投影面積及びトナーの凸包により囲まれた領域の面積を用いることで、トナーの表面凹凸指数を算出する。
上記解析を二値化画像100枚について行い、得られた表面凹凸指数の算術平均値を「トナーの表面凹凸指数」とする。また、該計測により得られた表面凹凸指数の標準偏差の算術平均値を「トナーの表面凹凸指数の標準偏差」とする。
<形状係数SF−1及び形状係数SF−2の算出>
トナーの、形状係数SF−1、及び、形状係数SF−2は、以下の方法で算出する。
走査型電子顕微鏡(SEM)「S−4800」(日立製作所製)を用いて、トナーを観察する。
10万倍〜20万倍に拡大した視野において、100個のトナーの投影最大長、投影面積、及び、投影周囲長を画像処理ソフトImage−Pro Plus5.1J(MediaCybernetics社製)を使用して計測し、下記式を用いて形状係数SF−1、及び、形状係数SF−2を各々算出する。そして、100個のトナーの形状係数SF−1値、及び、形状係数SF−2値の算術平均値を、形状係数SF−1、及び、形状係数SF−2とする。
形状係数SF−1=(トナーの投影最大長)2/(トナーの投影面積)×(π/4)×100
形状係数SF−2=(トナーの投影周囲長)2/(トナーの投影面積)/4π×100
以下にImage−Pro Plus5.1Jを用いた算出手順を記載する。
(1)[Analyze]−[Set Scale]にて、スケールの設定を行う。
(2)[Process]→[Filters]→[Gaussian Blur]でSigma(Radius)を1.7に設定する。
(3)[Image]−[Adjust]−[Threshold]でHuangを選び、Dark Backgroundにチェックを付け、粒子が赤く塗りつぶされるように数値を変更し閾値を決定する。
(4)[Analyze]→[Analyze Particle]で、Size(Pixcel^2)を50−Infinityに、Circularityを0.0−1.00に設定する。以下の6項目にチェックをつける。
Display Results、ClearResults、Summarize、
Add to Manager、Exclude on edges、Include Holes。
ShowをNothingにし、実行するとウィンドウが生成される。
生成された「Summary」ウィンドウのFeretXがトナーの投影短径に、FeretYがトナーの投影最大長に、Perim.がトナーの投影周囲長に、トナーの投影面積となる。上記値を式に代入することでSF−1及びSF−2を得る。
<As及びAcの算出>
透過型電子顕微鏡で観察されるトナーの断面における、トナーの輪郭及び輪郭からトナーの内側へ1.0μm離れた線により囲まれた領域に存在するワックスの占有面積百分率(%)As、及び、トナーの輪郭からトナーの内側へ1.0μm離れた線よりも内側の内部領域に存在するワックスの占有面積百分率(%)Acは、以下のように算出する。
トナー中のワックス分布状態は、トナーの断面を透過型電子顕微鏡で観察し、ワックスによって形成されたドメインの断面積からAs及びAcを算出し、任意に選択したトナー10個の算術平均値をもって評価する。
詳細には、トナーを可視光硬化性包埋樹脂(D−800、日新EM社製)で包埋し、超音波ウルトラミクロトーム(EM5、ライカ社製)により60nm厚に切削し、真空染色装置(フィルジェン社製)によりRu染色(RuOガス、500Pa雰囲気で15分間染色)を行う。
その後、透過型電子顕微鏡(H7500、日立社製)により加速電圧120kVで観察を行う。観察するトナーの断面は、トナーの重量平均粒径から±2.0μm以内のものを10個選んで撮影を行う。
得られた画像に画像処理ソフト(Photoshop 5.0、Adobe製)を用い、ワックスのドメインと結着樹脂の領域の区別を明確化する。
詳細にはワックスのドメインは、以下のようにして区別することができる。画像処理ソフトにて、取りこんだ透過型電子顕微鏡画像を明るさ(階調255)の閾値を160に設定して2値化する。このとき、トナー中のワックスと可視光硬化性包埋樹脂(D−800)が明部になり、トナー中のワックス以外が暗部となる。トナーの断面の輪郭は、トナーと該可視光硬化性包埋樹脂の明暗で区別ができる。
該トナーの断面における、トナーの輪郭及び該輪郭からトナーの内側へ1.0μm離れた線により囲まれた領域(1.0μmの線上を含む)を残しマスキングを行う。詳細には、トナーの断面の重心から、トナーの断面の輪郭上の点に対して線を引く。該線上において、輪郭から重心方向に1.0μmの位置を特定する。そして、トナーの断面の輪郭に対して一周分、この操作を行い、トナーの断面における、トナーの輪郭及びトナーの輪郭からトナーの内側へ1.0μm離れた線により囲まれた領域を明示する。得られた領域の面積に対する、該領域に存在するワックスのドメインの占有面積百分率を算出しAs1とする。該操作をトナー10粒子について実施し、得られたAs値の算術平均値をAs(面積%)とする。
一方、先にマスキングした部分、すなわち、トナーの断面における、トナーの輪郭からトナーの内側へ1.0μm離れた線よりも内側の内部領域の面積に対する、該内部領域に存在するワックスのドメインの占有面積百分率を算出しAc1とする。該操作をトナー10粒子について実施し、得られたAc値の算術平均値をAc(面積%)とする。
<樹脂のガラス転移温度(Tg)の測定>
ガラス転移温度(Tg)は、示差走査熱量分析装置「Q2000」(TA Instruments社製)を用い、ASTM D3418−82に準じて測定する。
装置検出部の温度補正はインジウムと亜鉛の融点を用い、熱量の補正についてはインジウムの融解熱を用いる。
具体的には、樹脂約2mgを精秤し、これをアルミニウム製のパンの中に入れ、リファレンスとして空のアルミニウム製のパンを用いる。
測定は、温度範囲30℃〜200℃で、昇温速度10℃/minで実施する。
なお、測定において、一度200℃まで昇温させ、続いて30℃まで、降温速度10℃/minで、降温し、その後に再度昇温を行う。
この2度目の昇温過程で、40℃〜100℃の温度範囲において比熱変化が得られる。このときの比熱変化が出る前と出た後の各ベースラインの延長した直線から縦軸方向に等距離にある直線と、ガラス転移の階段状変化部分の曲線とが交わる点の温度を、樹脂のガラス転移温度(Tg:単位「℃」)とする。
<樹脂の軟化点の測定>
樹脂の軟化点(単位:℃)は、定荷重押し出し方式の細管式レオメータ「流動特性評価装置 フローテスターCFT−500D」(島津製作所社製)を用い、装置付属のマニュアルに従って測定する。本装置では、測定試料の上部からピストンによって一定荷重が加えられ、同時に、シリンダに充填された測定試料を昇温させて溶融し、シリンダ底部のダイから溶融された測定試料が押し出される。この一連の過程において、ピストン降下量と温度との関係を示す流動曲線が得られる。
本開示においては、「流動特性評価装置 フローテスターCFT−500D」に付属のマニュアルに記載の「1/2法における溶融温度」を軟化点とする。なお、1/2法における溶融温度とは、次のようにして算出されたものである。まず、流出が終了した時点におけるピストンの降下量Smaxと、流出が開始した時点におけるピストンの降下量Sminとの差の1/2を求める(これをXとする。X=(Smax−Smin)/2)。そして、流動曲線においてピストンの降下量がXとSminの和となるときの流動曲線の温度が、1/2法における溶融温度である。
測定試料は、1.00gの樹脂を、25℃の環境下で、錠剤成型圧縮機(NT−100H、エヌピーエーシステム社製)を用いて10MPaで、60秒間圧縮成型し、直径8mmの円柱状としたものを用いる。
CFT−500Dの測定条件は、以下の通りである。
試験モード:昇温法
開始温度:50℃
到達温度:200℃
測定間隔:1.0℃
昇温速度:4.0℃/min
ピストン断面積:1.000cm
試験荷重(ピストン荷重):10.0kgf(0.9807MPa)
予熱時間:300秒
ダイの穴の直径:1.0mm
ダイの長さ:1.0mm
<樹脂の酸価、及び、樹脂の酸解離定数pKaの測定>
樹脂の酸価は試料1gに含まれる酸を中和するために必要な水酸化カリウムのmg数を意味する。樹脂の酸価は、JIS K 0070−1992に準じて測定するが、具体的手順は以下の通りである。
まず、0.1モル/L水酸化カリウムエチルアルコール溶液(キシダ化学社製)を用いて滴定を行う。水酸化カリウムエチルアルコール溶液のファクターは、電位差滴定装置(京都電子工業株式会社製、電位差滴定測定装置AT−510(商品名))を用いて求める。具体的には、0.100モル/L塩酸100mLを250mLトールビーカーに取り、水酸化カリウムエチルアルコール溶液で滴定し、中和に要した水酸化カリウムエチルアルコール溶液の量から求める。0.100モル/L塩酸は、JIS K 8001−1998に準じて作製されたものを用いる。
下記に酸価測定の際の測定条件を示す。
滴定装置:電位差滴定装置AT−510(商品名、京都電子工業株式会社製)
電極:複合ガラス電極ダブルジャンクション型(京都電子工業株式会社製)
滴定装置用制御ソフトウェア:AT−WIN
滴定解析ソフト:Tview
滴定時における滴定パラメータ及び制御パラメータは下記のように設定する。
<滴定パラメータ>
滴定モード:ブランク滴定
滴定様式:全量滴定
最大滴定量:20mL
滴定前の待ち時間:30秒
滴定方向:自動
<制御パラメータ>
終点判断電位:30dE
終点判断電位値:50dE/dmL
終点検出判断:設定しない
制御速度モード:標準
ゲイン:1
データ採取電位:4mV
データ採取滴定量:0.1mL
<本試験>
測定サンプル(樹脂)0.100gを250mLのトールビーカーに精秤し、トルエン/エタノール(3:1)の混合溶液150mLを加え、1時間かけて溶解する。前記電位差滴定装置を用い、前記水酸化カリウムエチルアルコール溶液を用いて滴定する。
<空試験>
試料を用いない(すなわちトルエン/エタノール(3:1)の混合溶液のみとする)以外は、上記操作と同様の滴定を行う。
得られた結果を下記式に代入して、樹脂の酸価(Av:単位 mgKOH/g)を算出する。
Av=[(C−B)×f×5.61]/S
該式中、Av:酸価(mgKOH/g)、B:空試験の水酸化カリウムエチルアルコール溶液の添加量(mL)、C:本試験の水酸化カリウムエチルアルコール溶液の添加量(mL)、f:水酸化カリウムエチルアルコール溶液のファクター、S:試料(樹脂)の質量(g)である。
pKaは中和点までに必要とした0.1モル/L水酸化カリウムエチルアルコール溶液量の半分量でのpHと同じ値であるため、滴定曲線から半分量でのpHを読み取る。
<トナーの粒径の測定>
トナーの粒径の測定には、細孔電気抵抗法による精密粒度分布測定装置(商品名:コールター・カウンター Multisizer 3)と、専用ソフト(商品名:ベックマン・コールター Multisizer 3 Version3.51、ベックマン・コールター社製)を用いる。アパーチャー径を100μmとし、実効測定チャンネル数2万5千チャンネルで測定し、測定データの解析を行う。
測定に使用する電解水溶液は、特級塩化ナトリウムをイオン交換水に溶解して濃度が約1質量%となるようにしたもの、例えば、ベックマン・コールター社製のISOTON II(商品名)を使用する。
なお、測定及び解析を行う前に、以下のように専用ソフトの設定を行う。
専用ソフトの「標準測定方法(SOM)を変更画面」において、コントロールモードの総カウント数を50000粒子に設定し、測定回数を1回、Kd値は(標準粒子10.0μm、ベックマン・コールター社製)を用いて得られた値を設定する。
閾値/ノイズレベルの測定ボタンを押すことで、閾値とノイズレベルを自動設定する。また、カレントを1600μAに、ゲインを2に、電解液をISOTON II(商品名
)に設定し、測定後のアパーチャーチューブのフラッシュにチェックを入れる。
専用ソフトの「パルスから粒径への変換設定画面」において、ビン間隔を対数粒径に、粒径ビンを256粒径ビンに、粒径範囲を2μm以上60μm以下に設定する。
具体的な測定法は以下の通りである。
(1)Multisizer 3専用のガラス製250mL丸底ビーカーに前記電解水溶液約200mLを入れ、サンプルスタンドにセットし、スターラーロッドの撹拌を反時計回りで24回転/秒にて行う。そして、専用ソフトの「アパーチャーチューブのフラッシュ」機能により、アパーチャーチューブ内の汚れと気泡を除去しておく。
(2)ガラス製の100mL平底ビーカーに前記電解水溶液約30mLを入れる。ここにコンタミノンN(商品名)(精密測定器洗浄用中性洗剤の10質量%水溶液、和光純薬工業(株)製)をイオン交換水で3質量倍に希釈した希釈液を約0.3mL加える。
(3)発振周波数50kHzの発振器2個を、位相を180度ずらした状態で内蔵し、電気的出力120Wの超音波分散器(商品名:Ultrasonic Dispersion System Tetora150、日科機バイオス(株)製)の水槽内にイオン交換水所定量とコンタミノンN(商品名)を約2mL添加する。
(4)前記(2)のビーカーを前記超音波分散器のビーカー固定穴にセットし、超音波分散器を作動させる。そして、ビーカー内の電解水溶液の液面の共振状態が最大となるようにビーカーの高さ位置を調整する。
(5)前記(4)のビーカー内の電解水溶液に超音波を照射した状態で、トナー10mgを少量ずつ前記電解水溶液に添加し、分散させる。そして、さらに60秒間超音波分散処理を継続する。なお、超音波分散にあたっては、水槽の水温が10℃以上40℃以下となる様に適宜調節する。
(6)サンプルスタンド内に設置した前記(1)の丸底ビーカーに、ピペットを用いてトナーを分散した前記(5)の電解水溶液を滴下し、測定濃度が約5%となるように調整する。そして、測定粒子数が50000個になるまで測定を行う。
(7)測定データを装置付属の前記専用ソフトにて解析を行い、重量平均粒径(D4)又は個数平均粒径(D1)を算出する。なお、専用ソフトでグラフ/体積%と設定したときの、分析/体積統計値(算術平均)画面の「平均径」が重量平均粒径(D4)である。専用ソフトでグラフ/個数%と設定したときの、「分析/個数統計値(算術平均)」画面の「平均径」が個数平均粒径(D1)である。
<トナーの平均円形度の測定>
トナーの平均円形度の測定は、フロー式粒子像分析装置「FPIA−3000」(シスメックス社製)を用い、校正作業時の測定条件及び解析条件で実施する。
具体的な測定方法は、以下の通りである。
まず、ガラス製の容器中に予め不純固形物などを除去したイオン交換水約20mLを入れる。この中に分散剤として「コンタミノンN」(非イオン界面活性剤、陰イオン界面活性剤、有機ビルダーからなるpH7の精密測定器洗浄用中性洗剤の10質量%水溶液、和光純薬工業社製)をイオン交換水で約3質量倍に希釈した希釈液を約0.2mL加える。さらに測定試料を0.02g加え、超音波分散器を用いて2分間分散処理を行い、測定用の分散液とする。その際、分散液の温度が10℃以上40℃以下となる様に適宜冷却する。超音波分散器としては、発振周波数50kHz、電気的出力150Wの卓上型の超音波洗浄器分散器(例えば「VS−150」(ヴェルヴォクリーア社製))を用い、水槽内には所定量のイオン交換水を入れ、この水槽中に前記コンタミノンNを約2mL添加する。
測定には、対物レンズとして「LUCPLFLN」(倍率20倍、開口数0.40)を搭載した前記フロー式粒子像分析装置を用い、シース液にはパーティクルシース「PSE−900A」(シスメックス社製)を使用する。前記手順に従い調製した分散液を前記フロー式粒子像分析装置に導入し、HPF測定モードで、トータルカウントモードにて2000個のトナー粒子を計測する。そして、粒子解析時の2値化閾値を85%とし、解析粒子径を円相当径1.977μm以上39.54μm未満に限定し、トナー粒子の平均円形
度を求める。
測定にあたっては、測定開始前に標準ラテックス粒子(Duke Scientific社製の「RESEARCH AND TEST PARTICLES Latex Microsphere Suspensions 5100A」をイオン交換水で希釈)を用いて自動焦点調整を行う。その後、測定開始から2時間毎に焦点調整を実施することが好ましい。
なお、シスメックス社による校正作業が行われた、シスメックス社が発行する校正証明書の発行を受けたフロー式粒子像分析装置を使用する。解析粒子径を円相当径1.977μm以上39.54μm未満に限定した以外は、校正証明を受けた時の測定条件及び解析条件で測定を行う。
以下、実施例及び比較例を用いてさらに具体的に説明する。しかしながら、本開示は以下の実施例及び比較例によって制限されるものではない。なお、実施例及び比較例の「部」及び「%」は特に断りが無い場合、すべて質量基準である。
<樹脂B:ポリエステル樹脂1の製造例>
窒素導入管、脱水管、撹拌器及び熱電対を装備した反応槽中に、下記表1に示す配合量の酸成分及びアルコール成分を入れた後、触媒としてジブチル錫を、モノマーの総量100部に対して、1.5部添加した。次いで、窒素雰囲気下にて常圧で180℃まで素早く昇温した後、180℃から210℃まで10℃/時間の速度で加熱しながら水を留去して縮重合を行った。210℃に到達してから反応槽内を5kPa以下まで減圧し、210℃、5kPa以下の条件下にて縮重合を行い、ポリエステル樹脂1を得た。その際、得られるポリエステル樹脂1の軟化点が126℃となるように重合時間を調整した。得られたポリエステル樹脂1の物性を表1に示す。
<樹脂B:ポリエステル樹脂2〜5の製造例>
酸成分及びアルコール成分の配合量を表1のように変更した以外は、ポリエステル樹脂1の製造例と同様の操作を行い、ポリエステル樹脂2〜5を製造した。得られたポリエステル樹脂2〜5の物性を表1に示す。
Figure 2021165835

TPA:テレフタル酸
TMA:無水トリメリット酸
BPA(PO):ビスフェノールAのプロピレンオキサイド2mol付加物
BPA(EO):ビスフェノールAのエチレンオキサイド2mol付加物
EG:エチレングリコール
IS:イソソルビド
また、表中のガラス転移温度の単位は「℃」であり、酸価の単位は「mgKOH/g」である。
<トナー1の製造例>
(水系媒体の調製)
造粒タンクにイオン交換水100.0部、リン酸ナトリウム2.0部、及び塩化水素濃度10質量%の塩酸0.9部を添加し、50℃に加熱保持した。
これに、イオン交換水8.2部に塩化カルシウム6水和物1.2部を溶解した塩化カルシウム水溶液を添加した。添加後、TK式ホモミキサー(特殊機化工業製)を用いて周速25m/sにて30分撹拌することで、pH5.0の難水溶性無機微粒子を含有する水系媒体を得た。
(重合性単量体組成物の調製)
(顔料分散組成物の調製)
・スチレン 39.0部
・カーボンブラック 6.5部
(Nipex35、エボニックジャパン社製)
上記材料を、アトライター(日本コークス社製)に導入し、半径1.25mmのジルコニアビーズを用いて200rpmにて25℃で180分間撹拌を行った後、ジルコニアビーズを取り除き、顔料分散組成物を調製した。
(重合性単量体組成物の調製)
下記材料を同一容器内に投入しTK式ホモミキサー(特殊機化工業製)を用いて、周速20m/sにて混合及び分散した。
・顔料分散組成物 45.5部
・スチレン 33.0部
・n−ブチルアクリレート 28.0部
・ポリエステル樹脂1 5.0部
さらに、60℃に加温した後、炭化水素ワックス(融点:吸熱ピークが最大となる温度:77℃)5.0部及びベヘン酸ベヘニルワックス(融点:吸熱ピークが最大となる温度:72℃)9.0部を投入し、30分間分散及び混合し、重合性単量体組成物を得た。
<工程(I)>
難水溶性無機微粒子を含有する水系媒体中に重合性単量体組成物を投入し、温度60℃、窒素雰囲気下において、TK式ホモミキサー(特殊機化工業製)にて周速30m/sで撹拌した。これに、重合開始剤t−ヘキシルパーオキシピバレート(日本油脂社製、商品名「パーヘキシルPV」、分子量:202、10時間半減期温度:53.2℃)6.0部を溶解し、重合開始剤を含んだ重合性単量体組成物を調製した。
<工程(II)>
重合性単量体組成物の粒子を含む分散体を別のタンクに移し、パドル撹拌翼で撹拌しつつ温度70℃に昇温し、重合性単量体組成物の粒子に含まれる重合性単量体を6時間重合反応させた。その後、さらに90℃に昇温し、6時間反応させて、樹脂粒子を形成させた。
<蒸留工程>
重合工程終了後、水系媒体と樹脂粒子を含むスラリーに120℃の水蒸気を30.0部/hrの流量で供給を開始した。水蒸気供給開始後、98℃に達した時点から蒸留開始とし、8時間蒸留を行った。
<工程III>
蒸留工程終了後、水系媒体と樹脂粒子を含むスラリーにおいて、該水系媒体のpHが8.0になるように7.0%の炭酸ナトリウム水溶液を加えた。その後、80℃で1時間保持した。
<洗浄、ろ過、乾燥、及び分級工程>
工程(III)終了後、冷却し、塩酸を加えpHを1.4にし、2時間撹拌してトナー粒子を含む水系分散液を得た。該水系分散液からトナー粒子をろ別し、トナー粒子を水洗した後に、40℃で48時間乾燥し、分級することでトナー粒子1を得た。
<外添工程>
100.0部のトナー粒子1に、ヘキサメチルジシラザン25質量%で表面処理した一次粒子の個数平均粒径20nmの疎水性シリカ微粒子0.5部を添加し、ヘンシェルミキサー(三井三池化工機(株)製FM−10型)で混合して、トナー1を得た。なお、ヘンシェルミキサーは、混合物の温度が30℃になるように温度調整を行った。
ここで、トナー1の主な処方と製造条件に関する事項を表2に示す。
Figure 2021165835

表中、Aは、炭化水素ワックス(融点:吸熱ピークが最大となる温度:77℃)を、
Bは、ベヘン酸ベヘニル(融点:72℃)を、
Cは、ペンタエリスリトールステアリル酸エステル(融点:72℃)を表す。
<トナー2〜18の製造例>
処方及び製造条件を表2に示すように変更すること以外は、トナー1の製造例と同様にして、トナー2〜18を得た。
<トナー19の製造例>
<樹脂B粒子分散液1の調製>
100.0部のポリエステル樹脂1、イオン交換水350部をステンレス製の容器に入れ、温浴下95℃まで加熱溶融した。その後、ホモジナイザー(IKA社製:ウルトラタラックスT50)を用いて7800rpmで十分撹拌しながら、0.1mol/L炭酸水素ナトリウムを加えpHを7.0よりも大きくした。
その後、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム3部とイオン交換水300部の混合溶液を徐々に滴下し乳化分散することでポリエステル樹脂粒子分散液を得た。分散液を室温まで冷却し、イオン交換水を添加することで固形分濃度が12.5質量%、体積基準のメジアン径が0.2μmの樹脂B粒子分散液1を得た。
<樹脂A粒子分散液2の調製>
スチレン78.0部、n−ブチルアクリレート20.7部、カルボキシ基付与モノマーとしてアクリル酸1.3部、及びn−ラウリルメルカプタン3.2部を混合し溶解させた。この溶液にネオゲンRK(第一工業製薬社製)1.5部及びイオン交換水150部を含む水溶液を添加して、分散させた。
さらに10分間ゆっくりと撹拌しながら、過硫酸カリウム0.3部及びイオン交換水10部を含む水溶液を添加した。窒素置換をした後、70℃で6時間乳化重合を行った。重合終了後、反応液を室温まで冷却し、イオン交換水を添加することで固形分濃度が12.5質量%、体積基準のメジアン径が0.2μmの樹脂A粒子分散液2を得た。
<ワックス分散液の調製>
炭化水素ワックス(融点:77℃)100部、及びネオゲンRK15部をイオン交換水385部に混合し、湿式ジェットミル JN100((株)常光製)を用いて約1時間分散してワックス分散液を得た。ワックス分散液の固形分濃度は20質量%であった。
<着色剤分散液の調製>
カーボンブラック「Nipex35(オリオンエンジニアドカーボンズ社製)」100部、及びネオゲンRK15部をイオン交換水885部に混合し、湿式ジェットミル JN100を用いて約1時間分散して着色剤分散液1を得た。
<トナー粒子の調製>
[粒子成長工程]
54部の樹脂B粒子分散液1、250部の樹脂A粒子分散液2、ワックス分散液20部、及び着色剤分散液20部を混合し、ホモジナイザー(IKA社製:ウルトラタラックスT50)を用いて分散した。撹拌しながら容器内の温度を30℃に調整して、1mol/Lの水酸化ナトリウム水溶液を加えてpHを8.0に調整した(pH調整1)。
凝集剤として、塩化アルミニウム0.25部をイオン交換水10部に溶解した水溶液を、30℃で攪拌下、10分間かけて添加した。3分間放置した後に昇温を開始し、50℃まで昇温し、凝集粒子の生成を行った。その状態で、「コールター・カウンター Multisizer 3」(登録商標、ベックマン・コールター社製)にて凝集粒子の粒径を測定した。重量平均粒径が6.6μmになった時点で、塩化ナトリウム0.9部とネオゲンRK5.0部を添加して粒子成長を停止させた。
[球形化工程]
1mol/Lの水酸化ナトリウム水溶液を加えてpHを8.5に調整してから95℃まで昇温し、凝集粒子の球形化を同温度で5時間行った。その後、室温まで冷却して、トナー粒子分散液1を得た。
[洗浄、ろ過、乾燥、及び分級工程]
得られたトナー粒子分散液1に塩酸を添加してpHを1.5以下に調整して1時間撹拌放置してから加圧ろ過器で固液分離し、トナーケーキを得た。これをイオン交換水でリスラリーして再び分散液とした後に、前述のろ過器で固液分離した。リスラリーと固液分離とを、ろ液の電気伝導度が5.0μS/cm以下となるまで繰り返した後に、最終的に固液分離してトナーケーキを得た。得られたトナーケーキは、乾燥を行い、さらに分級機を用いて、重量平均粒径が6.0μmになるように分級して、トナー粒子19を得た。
[外添工程]
100.0部のトナー粒子19に、ヘキサメチルジシラザン25質量%で表面処理した一次粒子の個数平均粒径20nmの疎水性シリカ微粒子0.5部を添加し、ヘンシェルミキサー(三井三池化工機(株)製FM−10型)で混合して、トナー19を得た。なお、ヘンシェルミキサーは、混合物の温度が30℃になるように温度調整を行った。
ここで、トナー19の製造条件に関する事項を表3に示す。
Figure 2021165835
<トナー20〜22の製造例>
製造条件を表3に示すように変更すること以外はトナー19の製造例と同様にして、トナー20〜22を得た。
<トナー23の製造例>
・ポリエステル樹脂1(樹脂B) 5.0部
・スチレンとn−ブチルアクリレートとの共重合体(樹脂A) 100.0部
(共重合質量比;スチレン:n−ブチルアクリレート=72:28、ピーク分子量(Mp)=14000)
・メチルエチルケトン 80.0部
・酢酸エチル 80.0部
・炭化水素系ワックス(融点:吸熱ピークが最大となる温度:77℃)
14.0部
・カーボンブラック 6.0部
(Nipex35、エボニックジャパン社製)
・ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム 0.5部
上記材料を、アトライター(三井金属社製)を用いて3時間分散し、72時間静置して
混合着色剤分散液を得た。
一方、イオン交換水220部に塩化アルミニウム0.25部を投入し65℃に加温した後、1.0mol/LのCaCl水溶液20部を徐々に添加した水系媒体を用意した。
上記水系媒体へ前記混合着色剤分散液を投入し、温度65℃、窒素雰囲気下において、TK式ホモミキサー(特殊機化工業製)を用いて12000rpmで15分間撹拌し混合着色剤分散液の粒子を形成した。
その後、内温を30℃まで急冷して、そのまま12時間保持して溶剤を除去し、樹脂粒子が分散している水系媒体を得た。
樹脂粒子が分散している水系媒体に塩酸を加えpHを1.4にし、1時間撹拌することで分散剤を溶解させた。上記分散液を加圧ろ過器にてろ過し、得られた湿潤樹脂粒子を洗浄してトナーケーキを得た。その後、トナーケーキを破砕、乾燥してトナー粒子23を得た。
100.0部のトナー粒子23に、ヘキサメチルジシラザン25質量%で表面処理した一次粒子の個数平均粒径20nmの疎水性シリカ微粒子0.5部を添加し、ヘンシェルミキサー(三井三池化工機(株)製FM−10型)で混合して、トナー23を得た。なお、ヘンシェルミキサーは、混合物の温度が30℃になるように温度調整を行った。
ここで、トナー23の主な処方と製造条件に関する事項を表4に示す。
Figure 2021165835

表中、Aは、炭化水素系ワックス(融点:吸熱ピークが最大となる温度:77℃)を、
Bは、ベヘン酸ベヘニル(融点:72℃)を表す。
<トナー24〜27の製造例>
処方及び製造条件を表4に示すように変更すること以外はトナー23の製造例と同様にして、トナー24〜27を得た。
<トナー28の製造例>
・ポリエステル樹脂1(樹脂B) 5.0部
・スチレンとn−ブチルアクリレートとの共重合体(樹脂A) 100.0部
(共重合質量比;スチレン:n−ブチルアクリレート=72:28、ピーク分子量(Mp)=17000)
・炭化水素系ワックス(融点:吸熱ピークが最大となる温度:77℃)
14.0部
・3,5−ジ−t−ブチルサリチル酸アルミニウム化合物 1.0部
・カーボンブラック 6.0部
(Nipex35、エボニックジャパン社製)
上記処方をヘンシェルミキサー(FM−75型、三井三池化工機(株)製)で混合した後、温度120℃に設定した二軸混練機(PCM−30型、池貝鉄工(株)製)にて溶融混練した。得られた混練物を冷却し、ハンマーミルにて1mm以下に粗粉砕し、粗砕物を得た。得られた粗砕物を、機械式粉砕機(T−250、ターボ工業(株)製)にて樹脂粒子粉砕物を得た。
[球形化処理工程]
得られた樹脂粒子粉砕物を表面改質機メテオレインボー(日本ニューマチック工業株式会社製)にて280℃の熱風にて球形化処理を行った。
その後、風力式分級機(エルボジェットPURO、マツボー(株))にて分級を行い、トナー粒子28を得た。
100.0部のトナー粒子28に、ヘキサメチルジシラザン25質量%で表面処理した一次粒子の個数平均粒径20nmの疎水性シリカ微粒子0.5部を添加し、ヘンシェルミキサー(三井三池化工機(株)製FM−10型)で混合して、トナー28を得た。なお、ヘンシェルミキサーは、混合物の温度が30℃になるように温度調整を行った。
ここで、トナー28の製造条件に関する事項を表5に示す。
Figure 2021165835
<トナー29〜30の製造例>
製造条件を表5に示すように変更すること以外はトナー28の製造例と同様にして、トナー29〜30を得た。
<トナー31の製造例>
・ポリエステル樹脂1(樹脂B) 5.0部
・スチレンとn−ブチルアクリレートとの共重合体(樹脂A) 100.0部
(共重合質量比;スチレン:n−ブチルアクリレート=72:28、ピーク分子量(Mp=16000)
・炭化水素系ワックス(融点:吸熱ピークが最大となる温度:77℃)
14.0部
・3,5−ジ−t−ブチルサリチル酸アルミニウム化合物 1.0部
・カーボンブラック 6.0部
(Nipex35、エボニックジャパン社製)
上記処方をヘンシェルミキサー(FM−75型、三井三池化工機(株)製)で混合した後、温度120℃に設定した二軸混練機(PCM−30型、池貝鉄工(株)製)にて溶融混練した。得られた混練物を冷却し、ハンマーミルにて1mm以下に粗粉砕し、粗砕物を得た。得られた粗砕物を、機械式粉砕機(T−250、ターボ工業(株)製)にて2回粉砕し、樹脂粒子粉砕物を得た。
[球形化処理工程]
得られた樹脂粒子粉砕物を機械式表面改質装置(ファカルティ F−400型 ホソカワミクロン(株)製)にて、固定子が付いた分散ローターを12000rpm、分級ローターを6000rpmで回転させ、分級しながら球形化処理を行い、トナー粒子31を得た。
100.0部のトナー粒子31に、ヘキサメチルジシラザン25質量%で表面処理した一次粒子の個数平均粒径20nmの疎水性シリカ微粒子0.5部を添加し、ヘンシェルミキサー(三井三池化工機(株)製FM−10型)で混合して、トナー31を得た。なお、ヘンシェルミキサーは、混合物の温度が30℃になるように温度調整を行った。
ここで、トナー31の製造条件に関する事項を表6に示す。
Figure 2021165835
<トナー32の製造例>
製造条件を表6に示すように変更すること以外はトナー31の製造例と同様にして、トナー32を得た。
<トナー33の製造例>
(水系媒体の調製)
造粒タンクにイオン交換水100.0部、リン酸ナトリウム2.0部、及び塩化水素濃度10質量%の塩酸0.9部を添加し、50℃に加熱保持した。これに、イオン交換水8.2部に塩化カルシウム6水和物1.2部を溶解した塩化カルシウム水溶液を添加した。添加後、TK式ホモミキサー(商品名、特殊機化工業製)を用いて周速25m/sにて30分撹拌することで、pH5.0の難水溶性無機微粒子を含有する水系媒体を得た。
(重合性単量体組成物の調製)
(顔料分散組成物の調製)
スチレン 39.0部
カーボンブラック 6.5部
(Nipex35、エボニックジャパン社製)
上記材料を、アトライター(日本コークス社製)に導入し、半径1.25mmのジルコニアビーズを用いて200rpmにて25℃で180分間撹拌を行った後、ジルコニアビーズを取り除き、顔料分散組成物を調製した。
(重合性単量体組成物の調製)
下記材料を同一容器内に投入し、TK式ホモミキサー(特殊機化工業製)を用いて、周速20m/sにて混合及び分散した。
・顔料分散組成物 46.0部
・スチレン 31.0部
・n−ブチルアクリレート 30.0部
・ポリエステル樹脂5 2.0部
更に、60℃に加温した後、ベヘン酸ベヘニル(融点:吸熱ピークが最大となる温度:72℃)10.0部を投入し、30分間分散及び混合し、重合性単量体組成物を得た。
<工程(I)>
難水溶性無機微粒子を含有する水系媒体中に重合性単量体組成物を投入し、温度60℃、窒素雰囲気下において、TK式ホモミキサー(特殊機化工業製)にて周速30m/sで撹拌した。これに、重合開始剤t−ブチルパーオキシピバレート(日本油脂社製、商品名「パーブチルPV」、分子量:202、10時間半減期温度:53.2℃)6.0部を溶解し、重合開始剤を含んだ重合性単量体組成物を調製した。
<工程(II)>
重合性単量体組成物の粒子を含む分散体を別のタンクに移し、パドル撹拌翼で撹拌しつつ温度70℃に昇温し、重合性単量体組成物の粒子に含まれる重合性単量体を6時間重合反応させた。その後、さらに80℃に昇温し、6時間反応させて、樹脂粒子を形成させた。この時、重合スラリーのpHは5.0だった。その後、80℃にて塩化アルミニウムを2.0mmol/Lの濃度になるよう投入し、さらに2時間同条件で攪拌した。
<蒸留工程>
重合工程終了後、水系媒体と樹脂粒子を含むスラリーに120℃の水蒸気を30.0部/hrの流量で供給を開始した。水蒸気供給開始後、98℃に達した時点から蒸留開始とし、8時間蒸留を行った。
<工程(III)>
蒸留工程終了後、水系媒体と樹脂粒子を含むスラリーにおいて、該水系媒体のpHが8.0になるように7.0%の炭酸ナトリウム水溶液を加えた。その後、80℃で30分保持した。
<洗浄、ろ過、乾燥、及び分級工程>
工程(III)終了後、冷却し、塩酸を加えpHを1.4にし、2時間撹拌してトナー粒子を含む水系分散液を得た。該水系分散液からトナー粒子をろ別し、トナー粒子を水洗した後に、40℃にて48時間乾燥し、分級することでトナー粒子33を得た。
<外添工程>
トナー1の製造例の同様にして外添工程を行った。
以下、トナー1〜33の物性を表7に示す。
Figure 2021165835
<実施例1>
上記トナー1を用いて、下記に示す評価を実施した。
評価には、市販のカラーレーザープリンタ〔HP Color LaserJet Enterprise M855]を一部改造して用いた。改造は、下記4点とした。
(1)一色のトナーカートリッジとイメージングドラムを装着するだけでも作動するようにした。
(2)プロセススピードを55ppmになるようにした。
(3)定着器を任意の温度に変更できるようにした。
(4)イメージングドラムの現像ローラー及びトナー供給ローラー部周りのギアを変更することで、現像ローラー部とトナー供給ローラー部の回転方向が同方向回転から逆方向回転になるようにした。
このカラーレーザープリンタに搭載されていたブラックトナー用のトナーカートリッジ及びイメージングドラムの中に入っているトナーを抜き取り、エアーブローにて内部を清掃した後、トナーカートリッジにトナー1(425g)を、イメージングドラムにもトナー1(127g)を導入し、トナーを詰め替えたトナーカートリッジ及びイメージングドラムをカラーレーザープリンタに装着し、以下の評価を実施した。具体的な画像評価項目は下記の通りである。
<画像カブリ>
低温低湿環境下(温度15℃、湿度10%RH)、及び、高温高湿環境下(温度33℃、湿度85%RH)において、横線で1%の印字率の画像を30,000枚プリントアウトした後、48時間放置した。
その後、さらに1枚プリントアウトした画像の非画像部の反射率(%)を「REFLECTOMETER MODEL TC−6DS」(東京電色社製)で測定した。
得られた反射率を、同様にして測定した未使用のプリントアウト用紙(標準紙)の反射率(%)から差し引いた数値(%)を用い、下記評価基準にて評価した。
数値が小さい程、画像カブリが抑制されていることになる。
評価は、グロス紙モードで実施し、普通紙(HP Brochure Paper 200g、Glossy、HP社製、200g/m)を用いた。
(評価基準)
A:0.5%未満
B:0.5%以上1.5%未満
C:1.5%以上3.0%未満
D:3.0%以上
<部材汚染>
高温高湿環境下(温度33℃、湿度85%RH)において、初期にハーフトーン画像を出力し、画像上に濃淡ムラがないことを確認した。その後、縦線で30%の印字率の画像を50,000枚プリントアウトした。なお、本評価にあたり、トナーカートリッジの容量が無くなったら新しく用意したトナーカートリッジに差し替えながら試験を実施した。
50,000枚プリントアウトした後、ハーフトーン画像を出力して、ハーフトーン画像上に印字画像部と非印字画像部の間で濃淡ムラが発生していないか目視で観察した。
その後、現像ブレードを取り出し、現像ローラーと現像ブレードの当接部のトナーをエアーで吹き、現像ブレードの観察を行った。該観察の結果を下記評価基準にて評価した。(評価基準)
A:画像上に濃淡ムラの発生がなく、現像ブレードも良好
B:画像上に濃淡ムラの発生はないが、現像ブレードに若干のフィルミングが確認される。
C:画像上に軽度な濃淡ムラが発生
D:画像上に醜い濃淡ムラが発生
<細線再現性>
常温常湿環境下(温度25℃、湿度50%RH)において、細線再現性の評価を行った。
縦線で30%の印字率の画像を20,000枚プリントアウトした後、線幅3ピクセルの格子模様がA4用紙全面に印刷された画像(印字面積比率4%)を印刷し、以下の評価基準で細線再現性を評価した。
3ピクセルの線幅は理論上127μmである。画像の線幅をマイクロスコープVK−8500(商品名、キーエンス製)で測定した。無作為に5点選んで線幅を測定し、最小値と最大値を除いた3点の平均値をd(μm)とし、細線再現性指数Lを算出し、下記評価基準で評価した。
L(μm)=|127−d|
Lは理論上の線幅127μmと、出力された画像上の線幅dとの差を定義したものである。dは127より大きくなる場合と、小さくなる場合とがあるため、差の絶対値として定義している。Lの値が小さいほど優れた細線再現性を示す。
(評価基準)
A:Lが0μm以上5μm未満である
B:Lが5μm以上15μm未満であり、軽微な細線の幅の変動が見られる
C:Lが15μm以上30μm未満であり、細線の細りや飛び散りが見られるが、実用に耐える程度である
D:Lが30μm以上であり、所々で細線の断裂、あるいは太りが見られる
実施例1の結果を表8に示す。表8に示すように、実施例1の結果はいずれも良好であった。
<実施例2〜12>
トナー1を表8に示す各トナーに変更した以外は、トナー1の評価方法と同様にして、評価を実施した。評価結果を表8に示す。
<比較例1〜18>
トナー1を表8に示す各トナーに変更した以外は、トナー1の評価方法と同様にして、評価を実施した。評価結果を表8に示す。
Figure 2021165835
1:樹脂B、2:樹脂A

Claims (12)

  1. 結着樹脂を含有するトナー粒子を有するトナーであって、
    該結着樹脂が、樹脂A及び樹脂Bを含有し、
    該トナー粒子が、表面に凸部を有し、
    該凸部が、樹脂Bを含み、
    走査型電子顕微鏡で観察される該トナーの形状係数SF−2が、105〜120であり、
    走査型電子顕微鏡で観察される該トナーの下記式(1)により算出される表面凹凸指数が、0.010〜0.050であることを特徴とするトナー。
    表面凹凸指数=(トナーの凸包により囲まれた領域の面積−トナーの投影面積)/トナーの投影面積 (1)
  2. 走査型電子顕微鏡で観察される前記トナーの形状係数SF−1が、105以上、120以下である、請求項1に記載のトナー。
  3. 前記トナーの前記表面凹凸指数の標準偏差が、0.010以下である、請求項1又は2に記載のトナー。
  4. 前記樹脂Aが、スチレン(メタ)アクリル樹脂を含有し、
    前記樹脂Bが、ポリエステル樹脂を含有する、請求項1〜3のいずれか1項に記載のトナー。
  5. 前記樹脂A 100.0質量部に対する前記ポリエステル樹脂の含有量が3.0質量部以上15.0質量部以下である、請求項1〜4のいずれか1項に記載のトナー。
  6. 前記トナー粒子が、ワックスを含有し、
    透過型電子顕微鏡で観察される該トナーの断面において、
    該トナーの輪郭及び該輪郭から該トナーの内側へ1.0μm離れた線により囲まれた領域に存在するワックスの占有面積百分率をAsとし、
    該トナーの輪郭から該トナーの内側へ1.0μm離れた線よりも内側の内部領域に存在するワックスの占有面積百分率をAcとしたときに、
    該As及び該Acが、下記式(2)を満たす、請求項1〜5のいずれか1項に記載のトナー。
    50.0≧〔As/(Ac+As)〕×100≧3.0 (2)
  7. 結着樹脂を含有するトナー粒子を有するトナーの製造方法であって、
    該結着樹脂が、樹脂A及び樹脂Bを含有し、
    該トナー粒子が、表面に凸部を有し、
    該凸部が、樹脂Bを含み、
    走査型電子顕微鏡で観察される該トナーの形状係数SF−2が、105〜120であり、
    走査型電子顕微鏡で観察される該トナーの下記式(1)により算出される表面凹凸指数が、0.010〜0.050であり、
    該製造方法は、
    水系媒体中で、該樹脂Aを形成しうる重合性単量体及び該樹脂Bを含有する重合性単量体組成物の粒子を形成する工程(I)、
    該重合性単量体組成物の該粒子に含まれる該重合性単量体を、該水系媒体中で重合し樹脂粒子を形成する工程(II)、及び、
    該樹脂粒子を、該樹脂Bの酸解離定数pKaより高いpHを有する水系媒体中で、該樹
    脂Bのガラス転移温度以上の温度で保持する工程(III)、
    を含むことを特徴とするトナーの製造方法。
    表面凹凸指数=(トナーの凸包により囲まれた領域の面積−トナーの投影面積)/トナーの投影面積 (1)
  8. 前記工程(III)における、前記樹脂粒子を、前記樹脂Bの酸解離定数pKaより高いpHを有する水系媒体中で、該樹脂Bのガラス転移温度以上の温度で保持する時間が、30分以上である、請求項7に記載のトナーの製造方法。
  9. 前記樹脂Bの酸価が、10mgKOH/g以上である、請求項7又は8に記載のトナーの製造方法。
  10. 前記樹脂Aが、スチレン(メタ)アクリル樹脂を含有し、
    前記樹脂Bが、ポリエステル樹脂を含有する、請求項7〜9のいずれか1項に記載のトナーの製造方法。
  11. 前記樹脂Aを形成しうる重合性単量体100.0質量部に対する前記ポリエステル樹脂の含有量が3.0質量部以上15.0質量部以下である、請求項7〜10のいずれか1項に記載のトナーの製造方法。
  12. 前記工程(III)における、前記水系媒体のpHが6.5〜10.0であり、
    前記ポリエステル樹脂の酸解離定数pKaが、6.5未満である、請求項10に記載のトナーの製造方法。
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