JP6339976B2 - 炭素微小電極の製造方法 - Google Patents

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本発明は、電気化学的な測定で用いられる炭素微小電極の製造方法に関する。
電気化学測定は、溶液中の水素イオン、微量金属イオン、生体分子を対象とした高感度検出に優れた測定法である。電気化学法に基づく分析やバイオセンサーにおいては、微量試料の測定や、より低濃度の目的物質を高感度に測定する技術が重要である。微量試料分析を行う技術として、電極の微小化が挙げられる。さらに、微小電極を微小流路中に組み込むことにより、試料体積および物質の拡散速度に対して電極面積が大きくなるため、速い応答や応答電流の高密度化という利点が期待できる。その反面、電気化学電流は電極面積に比例して増減するため、応答電流の絶対値については、一般的に低下するという欠点がある。これらの点を解決するために、さまざまな電極形状を有する微小電極が検討されている。
微小電極の高感度化には、微小電極を近接させて作製したパターン電極を用いることも有効である。たとえば、作用電極をμmオーダで近接して構成した2つの電極(ジェネレータ電極とコレクター電極)から構成する技術がある(例えば特許文献1、非特許文献1参照)。この技術では、電気化学的な酸化還元サイクルを電極上に発生させ、1つの検出目的分子から繰り返し酸化還元電流を取り出すことで、見かけ上の電流値を増大させ、高感度な測定を可能としている。上述の電極構造を用いることで、高感度な電気化学検出が可能であり、また、上述の電極構造を利用した高感度バイオセンサーの実現が可能となる。
一方、電気化学法に基づく分析においては、電極材料の選定が重要である。測定に使用される電極には、広い電位範囲において安定な材料を用いることが重要である。測定可能な電位範囲、即ち電位窓は、電極、溶媒及び支持電解質によっても異なる。最も一般的な水溶液系において、電解質の種類が同一である場合は、(1)水素過電圧(実際の水素発生電位と理論的平衡電位との差)が大きいもの、(2)酸素過電圧(実際の酸素の発生電位と理論的平衡電位との差)が大きいもの、及び(3)電極の溶解電位が高いものほど電位窓が広い。
上述した状況の下、電極材料としては金、白金、パラジウムなどの貴金属、水銀、SnO、Inなどの半導体、グラッシーカーボン、結晶性カーボンなどの炭素材料が使用されている。これらの材料中、貴金属類は酸素過電圧が高く酸化溶解し難いため、酸化側では広い電位範囲内において測定用電極として使用可能である。しかしながら、貴金属は水素過電圧が小さいために還元側の測定に使用し難い欠点もあり使用が限定される。また、高価な材料である。一方、水銀電極では、水素過電圧が大きく還元側の測定には適するが、酸化側では溶解が生じるため酸化反応の測定には使用できない。また、環境負荷が大きい。SnO、Inは透明電極として使用され、測定可能な電位範囲も相当に広いが、還元側では、錫やインジウムに電極が還元される欠点がある。
炭素材料は、耐蝕性が強く、酸化側還元側ともに電位窓が広い。この特徴により、他の材料で作製した電極に比べ、多種類の物質の電気化学検出が可能となり、電気化学用電極として利用する場合の長所となっている。
一方、炭素材料の電極の短所として、構造が不定であることが挙げられる。一言で炭素電極と言っても、その製造法はまちまちであり、例えばグラッシーカーボン、アモルファスカーボン、スパッタカーボン、ダイヤモンドライクカーボン、グラファイトなどの呼称で知られる多様な形態がある。
電気化学反応は溶液中における電極表面での電子移動反応であることから、電極表面の形状は電気化学反応の効率や反応物質の選択性に重要な影響を及ぼす。しかしながら、上述の炭素材料の表面構造は多様であり、かつ完全には同定されていない。このことが炭素材料で作製された電気化学電極の機能化を阻害する制限となっている。
近年、電気化学検出装置の小型化や集積化に対する要求、あるいは測定対象の微量化に対する要求を満たすべく、電気化学電極自体の小型化した微小電極の利用が望まれている。炭素材料を用いた微小電極の作製においては、炭素材料の微細加工特性が重要となる。よって、これらの微小電極の作製に関しても、そのサイズが小さくなればなるほど、炭素材料の構造制御が不可避である。
炭素材料では、ダイヤモンド構造に代表されるsp結合部分で硬度が増加し、グラファイトに代表されるsp結合部分では硬度が減少するため、sp結合の構成比率が高い材料においては、微細加工が困難であるという問題が生じる。電気化学電極の小型化は、上述の構造不定性の影響をさらに顕著に受けることになり、微細加工の精度のばらつきの原因となる。安定に電気化学応答を示す電極を供給するためには、構造が規定された炭素材料が望まれている。
現在、炭素材料の新規形態として、グラフェンと呼ばれる材料が注目を集めている。グラフェンは炭素のsp結合のみから構成される原子層一層分の厚さを有する平面状の炭素材料である。グラフェンは高い移動度を有するなど、その二次元構造に起因する特異な電子物性が明らかにされて以来、世界的に研究が加速している。
グラフェンの作製方法は、グラフェンが多数重なった構造を持つグラファイトを、基板上に押し付けて剥離及び転写する方法が一般的である(例えば、非特許文献2参照)。炭素含有原料を用いてグラフェンを生成する方法も多く開発されており、シリコンカーバイドの熱分解(例えば、非特許文献3参照)、ニッケルや銅などの触媒金属表面での化学気相成長法(例えば、非特許文献4,5参照)、分子線エピタキシ法(例えば、非特許文献6参照)が知られている。
ここで、グラフェンを炭素材料に用いた電気化学測定用炭素電極は、真に構造が規定された炭素電極といえる。グラフェンを構成するのは表面と端だけである。したがって、電極の小型化に際して、他の炭素材料ではその表面構造が不定のため制御不可能な電極特性を、予測し、それに基づく電極設計が可能となる。これによって高感度化や高選択性の付加も可能となる。さらには、これまで実現が困難あるいは不可能であった測定対象への応用も期待できる。
グラフェン微小電極は、電極基板に生成あるいは転写したグラフェンを、リソグラフィー法及びリフトオフ法を用いる加工プロセスにより得ることができる(例えば、特許文献2参照)。一般的な加工プロセスは、グラフェン膜上に、フォトレジストを塗布し、露光、現像した後、ドライエッチング法や化学的エッチング法を用いてグラフェン膜を所望の形状に加工した後に、有機溶剤などを用いて表面のフォトレジストを除去する。
特開平01−272958号公報 特開2013−242214号公報
C.E.Chidsey et al.,Anal.Chem.,vol.58,1986,601−607. K.S.Novoselov et al.,Science,vol.306,2004,666−669. A.J.van Bommel et al.,Surface Science,vol.48,1975,463−472. A.Reina et al.,Nano Letters,vol.9,2009,30−35. X.Li et al.,Science,vol.324,2009,1312−1314. F.Maeda et al.,Japanese Journal of Applied Physics,vol.49,2010,04DH13.
しかしながら、グラフェンを構成するのは表面と端であるが、加工プロセスによって新たにできたグラフェン膜の端の特性は、膜生成時に自発的にできる端とは構造及び性質が異なるため、構造制御の精度が低下するという問題があった。また、成長させたグラフェン膜に対して、レジスト塗布・ベーキング・露光・現像・レジスト除去・洗浄など多段階のプロセスを経るため、グラフェン膜の表面部分も、ダメージやレジスト残渣付着による構造制御の精度低下を回避することが困難であった。
上記事情に鑑み、本発明は、高精度な電気化学測定が実現可能な炭素微小電極を提供することを目的としている。
本発明の一態様は、微小電極の形状にパターンニングした触媒金属層の表面上に、化学気相成長法(CVD法)によりグラフェン層をパターン通りに成長させる第1工程と、前記グラフェン層のパターン形状を保持するために、前記グラフェン層上に支持層を形成する第3工程と、前記触媒金属層から、前記パターン状に成長させたグラフェン層を剥離して電極基板上に載置する第2工程と、をこの順に備え、前記支持層が、ポリパラキシレン及びこれらの誘導体の少なくともいずれか一方からなるパラキシリレン系ポリマー蒸着膜である炭素微小電極の製造方法である。
本発明の一態様は、上記炭素微小電極の製造方法であって、前記触媒金属層は、リソグラフィー法及びリフトオフ法にて作製する。
本発明の一態様は、上記炭素微小電極の製造方法であって、前記触媒金属層は、市販の微小電極パターンの表面にニッケル又は銅をめっき法によって処理し、作製する。
本発明の一態様は、上記炭素微小電極の製造方法であって、前記第1工程後であって前記第3工程前に、前記パラキシリレン系ポリマー蒸着膜からなる前記支持層を任意の形状にパターンニングする第4工程を更に備える。
本発明の一態様は、上記炭素微小電極の製造方法であって、前記第2工程において、化学的エッチングにより前記触媒金属層から、前記支持層が形成された前記グラフェン層を剥離し、前記グラフェン層を前記電極基板上に載置する。
本発明の一態様は、上記炭素微小電極の製造方法であって、前記第2工程において、物理的な手法により前記触媒金属層から、前記絶縁膜からなる前記支持層が形成された前記グラフェン層を剥離し、前記グラフェン層を前記電極基板上に載置する。
本発明の一態様は、上記炭素微小電極の製造方法であって、前記第2工程において、記支持層をそのまま前記電極基板として用いる。
本発明によれば、高精度な電気化学測定が実現可能な炭素微小電極を提供することが可能となる。
本発明における炭素微小電極の製造方法の一実施形態を説明するフローチャートである。 本発明の実施例1における炭素微小電極の製造方法を説明するための工程における構成を模式的に示す断面図である。 本発明の実施例2における炭素微小電極の製造方法を説明するための工程における構成を模式的に示す断面図である。 本発明の実施例2における炭素微小電極の製造方法を説明するための工程における構成を模式的に示す断面図である。
以下、本発明の一実施形態を、図面を参照しながら説明する。図1は、本発明における炭素微小電極の製造方法の一実施形態を説明するフローチャートである。
(第一実施形態)
一実施形態において、本発明は、微小電極の形状にパターンニングした触媒金属層の表面上に、化学気相成長法(CVD法)によりグラフェン層をパターン通りに成長させる第1工程と、前記パターン状に成長させたグラフェン層を剥離して電極基板上に載置する第2工程と、を備える炭素微小電極の製造方法を提供する。
本実施形態によれば、構造制御性の高い炭素材料により、電極特性及び微細加工特性の均一性電極特性及び微細加工特性の均一性を高められた炭素微小電極を得ることができる。さらに、本実施形態により得られた炭素微小電極により、高精度な電気化学測定が実現可能となる。
まず、第1工程において、触媒金属層のパターンを形成する。触媒金属層のパターンは、リソグラフィー法及びリフトオフ法にて作製すればよい。また、市販の微小電極パターンを利用する場合は、これらの表面にニッケルや銅をめっき法によって処理して作製してもよい。ただし、めっき法を利用する場合には、CVD法の成長温度より融点の高い白金電極などを用いればよい。
続いて、パターンニングした触媒金属層の表面上に、化学気相成長法(CVD法)によりグラフェン層をパターン通りに成長させる。あらかじめパターン状に成長させたグラフェン層を用いることで、加工プロセスによって新たにできたグラフェン膜の端の混在を回避でき、構造制御の精度が低下を防止することができる。
本明細書中において、「化学気相成長法(CVD法)」とは、さまざまな物質の薄膜を形成する蒸着法の一つであって、石英などで出来た反応管内で加熱した基板物質上に、目的とする薄膜の成分を含む原料ガスを供給し、基板表面あるいは気相での化学反応により膜を堆積する方法を意味する。例えば、シリコン薄膜を形成する場合、原料ガスであるシラン等の安定分子を分解する過程、気相中の分解種(ラジカル種)が反応を起こす過程、基板上に堆積する過程、の3つの段階を経ることでシリコン薄膜を形成することができる。
次に、第2工程において、前記パターン状に成長させたグラフェン層を剥離して電極基板上に載置する。剥離の方法についての詳細は、後述の第四及び第五実施形態において示す。
(第二実施形態)
一実施形態において、本発明は、さらに、前記第1工程後であって前記第2工程前に、前記グラフェン層のパターン形状を保持するために、前記グラフェン層上に支持層を形成する第3工程を備える炭素微小電極の製造方法を提供する。
本実施形態によれば、支持層を介したプロセスとなるため、電極として動作するグラフェン表面に対するプロセス負荷を低減し、構造制御の精度低下を従来よりも低減することができる。
第1工程及び第2工程は上述の第一実施形態と同様に行えばよい。本実施形態において、前記第1工程後であって前記第2工程前に、前記グラフェン層上に支持層を形成する第3工程を備える。第3工程における前記支持層は、リムーバーで除去可能な高分子フィルム又はグラフェンと密着性の高い絶縁膜であることが好ましい。また、高分子フィルムの除去に用いるリムーバーは、例えば、アセトンやN‐メチル−2−ピロリドンなどの有機溶剤であることが好ましい。
「有機溶剤で除去可能な高分子フィルム」としては、例えば、ポリメチルメタクリレート(PMMA)などの樹脂が挙げられる。
また、「グラフェンと密着性の高い絶縁膜」としては、例えば、ポリパラキシレン及びこれらの誘導体(フッ化物、塩化物等)の少なくともいずれか一方からなるパラキシリレン系ポリマー蒸着膜が挙げられる。
(第三実施形態)
一実施形態において、本発明は、前記第1工程後であって前記第3工程前に、前記パラキシリレン系ポリマー蒸着膜からなる前記支持層を任意の形状にパターンニングする第4工程を備える炭素微小電極の製造方法を提供する。
本実施形態によれば、支持層を介したプロセスとなるため、電極として動作するグラフェン表面に対するプロセス負荷を低減し、構造制御の精度低下を従来よりも低減することができる。
第1工程、第2工程及び第3工程は、上述の第一実施形態及び第二実施形態と同様に行えばよい。本実施形態において、前記支持層を形成する前記絶縁膜がパラキシリレン系ポリマー蒸着膜である場合に、前記第1工程後であって前記第3工程前に、パラキシリレン系ポリマー蒸着膜を電極基板に蒸着した後にドライエッチング法によりパターンニングすることができる。電極基板/支持層を形成したのちにグラフェン膜と圧着し、電極基板/支持層/グラフェン/金属層を形成すればよいが、グラフェンと密着性の高いポリパラキシレン層が無い部分のグラフェン層は、グラフェンとの密着性の差異により、その後の工程で除去される場合がある。
(第四実施形態)
一実施形態において、本発明は、前記第2工程において、前記触媒金属層の化学的エッチングにより前記グラフェン層を剥離し、前記グラフェン層を前記電極基板上に載置する炭素微小電極の製造方法を提供する。
本実施形態によれば、グラフェン膜の表面部分のダメージやフィルム残渣付着による構造制御の精度低下を従来よりも低減することができる。
本明細書において、「化学的エッジング」とは、化学薬品を使用して、試料表面を腐食又は溶解することを意味する。例えば、酸や塩基などを使用して、前記触媒金属層を取り除くことが挙げられる。
第1工程及び第3工程は、上述の第一実施形態及び第二実施形態と同様に行えばよい。本実施形態において、前記支持層が、溶剤などのリムーバーで除去可能な高分子フィルムである場合には、第1工程及び第3工程後の支持層/グラフェン/金属層を、希薄酸溶液(例えば、FeClを0.05g/mL濃度で溶かした溶液)中に浸漬し、金属を溶解させることで、支持層/グラフェンを剥離すればよい。支持層/グラフェンを、純水を入れた容器で表面に浮かせるようにして酸を除去した後、電極基板ですくい上げて載置し、支持層/グラフェン/電極基板を得る。次いで、有機溶剤で支持層の高分子フィルムを除去することでグラフェン表面を露出し、グラフェン/電極基板という構成の電極を形成すればよい。この転写工程では、電極として動作するグラフェン表面に対するプロセス負荷は、高分子フィルム塗布と除去プロセスのみですむため、グラフェン膜の表面部分のダメージやフィルム残渣付着による構造制御の精度低下を従来よりも低減することができる。
また、前記支持層が、グラフェンと密着性の高い絶縁膜である場合には、第1工程及び第3工程後において、支持層をあらかじめ電極基板に蒸着しておき、電極基板/支持層を形成したのちにグラフェン膜と圧着し、電極基板/支持層/グラフェン/金属層を形成すればよい。これを希薄酸溶液中に浸漬し、金属を溶解させることで、電極基板/支持層/グラフェンを剥離すればよい。グラフェン表面が露出しているので、支持層は除去する必要なく、このまま電極として用いることができる。この工程では、電極として動作するグラフェン表面に対するプロセス負荷は、絶縁膜蒸着と金属層の除去のみですむため、グラフェン膜の表面部分のダメージによる構造制御の精度低下を従来よりも低減することができる。また高分子フィルムを用いないため、残渣付着を回避できる。
(第五実施形態)
一実施形態において、本発明は、前記第2工程において、物理的な手法により前記触媒金属層から、前記絶縁膜からなる前記支持層が形成された前記グラフェン層を剥離し、前記グラフェン層を前記電極基板上に載置する炭素微小電極の製造方法を提供する。
本実施形態によれば、化学的エッチング時に生じる水分の吸着やエッチング剤の残渣付着を回避できるため、構造制御性がさらに高くすることができる。
本明細書において、「物理的な手法」とは、光、熱、水、電気、磁気及び機械的なものなど物理的な作用を利用した方法を意味する。例えば、磁石などを利用して前記触媒金属層を引き剥がす方法や、機械などで上下方向に引く力をかけて前記触媒金属層を引き剥がす方法などが挙げられる。
第1工程及び第3工程は、上述の第一実施形態及び第二実施形態と同様に行えばよい。本実施形態において、第1工程及び第3工程後において、支持層をあらかじめ電極基板に蒸着しておき、電極基板/支持層を形成したのちにグラフェン膜と圧着し、電極基板/支持層/グラフェン/金属層を形成すればよい。その後、上述した物理的な手法を用いて前記触媒金属層から電極基板/支持層/グラフェンを剥離すればよい。この場合は、化学的エッチング時に生じる水分の吸着やエッチング剤の残渣付着を回避できるため、構造制御性がさらに高くなる。また、工程が全てドライプロセスとなるため、水分で形状が変化するなどウェットプロセスへの耐性が低い材料(紙やセルロースフィルムなど)を電極基板として用いることが可能となる。
さらに、グラフェンと密着性の高い絶縁膜の強度が十分である場合は、これをそのまま電極基板として用いてもよい。
上述した第一実施形態〜第五実施形態の各工程において、グラフェン層の形状および膜構造の確認は、ラマンイメージング法などを用いて非接触及び非破壊で分析を行うとよい。
以上、この発明の実施形態について図面を参照して詳述してきたが、具体的な構成はこの実施形態に限られるものではなく、この発明の要旨を逸脱しない範囲の設計等も含まれる。
以下、実施例により本発明を説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
[実施例1]
図2は、本発明の実施例1における炭素微小電極の製造方法を説明するための工程における構成を模式的に示す断面図である。まず、絶縁基板(望ましくは石英)の上にレジストパターン層を形成した。レジストパターン層は、微小電極を形成するパターン箇所に開口部を備えている。次に、レジストパターン層の上より、スパッタ法(又は、蒸着法などの堆積法でもよい。)により金属層を堆積することで、絶縁層およびレジストパターンの上に金属層を形成した。このときの金属層の条件としては、ニッケル層(又は、銅層でもよい。)で厚さ0.5μm〜100μm程度となるように設定した。引き続きレジストパターン層をリフトオフ法により除去することで、この上に形成されている金属層を選択的に除去した。これにより、金属層から成る微小パターンを得た(図2A参照)。
以上の方法に変えて、市販の微小電極パターンを利用して、これらの表面にニッケルや銅をめっき法によって作製してもよい。ただしこの場合は、CVD法の成長温度より融点の高い白金電極などを用いる。
次に、この微小パターン状の金属膜の上に、グラフェン層を成長させた。金属層を形成した基板をアセトン(又は、イソプロピルアルコール(IPA)等の有機溶媒でもよい。)を用いて洗浄した後、CVD用の加熱炉に設置した。加熱炉内の圧力が1気圧(760Torr、1013hPa)程度となるように、1000sccm程度のアルゴンガス及び2〜35sccmの流量のHガスを、グラフェンが成長させた後に金属基板を加熱炉から取り出すまで連続して流した。sccmは流量の単位であり、0℃で1013hPaの流体が1分間に1cm流れることを示す。
室温から約15分かけて1000℃程度まで加熱し、その後10分程度かけてグラフェン成長温度(望ましくは、1075℃)まで加熱し、温度を保持したまま30分程度金属層の表面をクリーニングした。次いで、1%に希釈したCHガスを1sccm程度の流量で所定の時間(望ましくは、30分程度)流し、基板上の金属層表面にグラフェンの成長を行った。グラフェン成長時の圧力は1気圧程度で行うが、低圧条件で成長させてもよい。次いで、CHガスの導入及びヒーターの加熱を止め、そのまま静置した。2時間ほどで100℃前後まで温度が下がった。100℃前後になったことを確認し、Hガスの導入を止めて、HおよびCHガスを排気した後に基板を加熱炉から取り出した。以上の方法により、一原子層から数層のグラフェンを金属層のパターン通りに作製することができた。(第1工程)(図2B参照)。グラフェン層が形成されたことの確認は、ラマンイメージング法を用いて行った。
次に、パターン状に成長させたグラフェン層を剥離する工程を行った。CVD法により金属基板上に成長させたグラフェンの上に、ポリメチルメタクリレート(PMMA)を塗布し、170℃程度で加熱し固化させた(図2C参照)。続いて、PMMA/グラフェン/金属基板を、希薄酸溶液(例えば、FeClを0.05g/mL濃度で溶かした溶液)中に浸漬し、1〜数時間程度かけて金属を溶解した。この処理により、金属層から剥離され、樹脂層で支持されたパターン状のグラフェンが得られた(図2D参照)。
このPMMA/グラフェンを純水中に浸漬して酸を除去した後、任意の絶縁材料から成る電極基板(望ましくは、石英又はガラス)上にすくい上げて載置した(図2E参照)。電極基板には、あらかじめ電気化学測定機器と接続するための電極パッドを形成しておき、これと接触するようにグラフェン膜を載置した。電極パッドの形成は、リソグラフィー法及びリフトオフ法にて、金属層により作製した。
次いで、水分を蒸発させた後に樹脂層を除去し、パターン状に成長させたグラフェン層から成る微小電極が得られた(第2工程)(図2F参照)。水分を蒸発させるには、室温及び大気中で乾燥させるのみでもよいが、真空中で40−80℃程度に加熱して蒸発させた。加熱による水分の蒸発は、電極基板とグラフェン層の間にある吸着水がよりよく除去され、基板とグラフェン膜の密着性が高まる。また、樹脂層の除去は、アセトン(又は、N−メチル−2−ピロリドン(NMP)などでもよい。)を室温(25℃)(又は、25℃以上50℃以下の温度でもよい。)に加熱して用いた。また、PMMA樹脂は、水素雰囲気で350℃から450℃に加熱することでも除去できる。
電極基板上に、パターン状のグラフェン層が形成されたことの確認は、ラマンイメージング法を用いて行った。
以上により、構造制御性の高いグラフェン層を用いた炭素微小電極が提供されることが明らかとなった。
[実施例2]
図3及び図4は、本発明の実施例2における炭素微小電極の製造方法を説明するための工程における構成を模式的に示す断面図である。第1工程までのプロセスは、実施例1と同様に行った(図3A−B及び図4A−B)。
次に、パターン状に成長させたグラフェン層を剥離する工程を行った。任意の電極基板(望ましくは、石英又はガラス)上に、ポリパラキシレン層を蒸着法により形成した(図3C参照)。
電極基板には、あらかじめ電気化学測定機器と接続するための電極パッドを形成しておいた。電極パッドの形成は、リソグラフィー法及びリフトオフ法にて、金属層により作製した。電極パッド部分には、絶縁材であるポリパラキシレン層の蒸着を防止するため、ポリパラキシレン蒸着時にはマスクで覆っておいた。
グラフェン/金属を、ポリパラキシレン/電極基板の上に、ポリパラキシレン層とグラフェン層が接着する向きに貼り合わせた(図3D参照)。貼り合わせには、油圧プレス機を用いた。貼り合わせに先立ち、グラフェン層の上にもポリパラキシレン層を蒸着法により形成し、これを支持膜としたものも作成した(図4C参照)。厚さは2μm程度であった。ポリパラキシレン層同士が接着する向きに貼り合わせた(図4D参照)。
この貼り合わせた基板(金属/グラフェン/ポリパラキシレン/電極基板)を希薄酸溶液(例えば、FeClを0.05g/mL濃度で溶かした溶液)中に浸漬し、1〜数時間程度かけて金属層のみを溶解した。この処理により、金属層から剥離され、ポリパラキシレン/電極基板層で支持されたパターン状のグラフェンが得られた(図3E及び図4E参照)。純水中に浸漬して酸を除去した後、水分を蒸発させた。電極基板上に、パターン状のグラフェン層が形成されたことの確認は、ラマンイメージング法を用いて行った。
以上により、構造制御性の高いグラフェン層を用いた炭素微小電極を提供できる。
本発明によれば、高精度な電気化学測定が実現可能な炭素微小電極を提供することができる。

Claims (7)

  1. 微小電極の形状にパターンニングした触媒金属層の表面上に、
    化学気相成長法(CVD法)によりグラフェン層をパターン通りに成長させる第1工程と、
    前記グラフェン層のパターン形状を保持するために、前記グラフェン層上に支持層を形成する第3工程と、
    前記触媒金属層から、前記パターン状に成長させたグラフェン層を剥離して電極基板上に載置する第2工程と、
    この順に備え
    前記支持層が、ポリパラキシレン及びこれらの誘導体の少なくともいずれか一方からなるパラキシリレン系ポリマー蒸着膜であることを特徴とする炭素微小電極の製造方法。
  2. 前記触媒金属層は、リソグラフィー法及びリフトオフ法にて作製する請求項1に記載の炭素微小電極の製造方法。
  3. 前記触媒金属層は、市販の微小電極パターンの表面にニッケル又は銅をめっき法によって処理し、作製する請求項1に記載の炭素微小電極の製造方法。
  4. 前記第1工程後であって前記第3工程前に、前記パラキシリレン系ポリマー蒸着膜からなる前記支持層を任意の形状にパターンニングする第4工程を更に備える請求項1〜3のいずれか一項に記載の炭素微小電極の製造方法。
  5. 前記第2工程において、化学的エッチングにより前記触媒金属層から、前記支持層が形成された前記グラフェン層を剥離し、前記グラフェン層を前記電極基板上に載置する請求項1〜のいずれか一項に記載の炭素微小電極の製造方法。
  6. 前記第2工程において、物理的な手法により前記触媒金属層から、記支持層が形成された前記グラフェン層を剥離し、前記グラフェン層を前記電極基板上に載置する請求項のいずれか一項に記載の炭素微小電極の製造方法。
  7. 前記第2工程において、記支持層をそのまま前記電極基板として用いる請求項1〜のいずれか一項に記載の炭素微小電極の製造方法。
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