JP5814173B2 - 電気化学測定用カーボン電極およびその製造方法 - Google Patents

電気化学測定用カーボン電極およびその製造方法 Download PDF

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本発明は、電気化学的な測定で用いられる電気化学測定用カーボン電極およびその製造方法に関する。
電気化学測定は、溶液中の水素イオン濃度,微量金属イオン検出,生体中の微量成分などの検出に利用されている。電気化学測定法に基づく分析やバイオセンサーにおいては、より低濃度の目的物質を高感度に測定する技術が重要である。高感度な測定を行う技術として、μmオーダのパターンから構成された微小電極があり、フローインジェクションやクロマトグラフィの検出電極としても注目されている。
例えば、作用電極をμmオーダで近設して構成した2つの電極(ジェネレータ電極とコレクター電極)から構成する技術では、電気化学的な酸化還元サイクルを電極上に発生させ、1つの検出目的分子から繰り返し酸化還元電流を取り出すことで、見かけ上の電流値を増大させ、高感度な測定を可能としている(特許文献1、非特許文献1参照)。
このような微小電極構造を用いることで、高感度な電気化学検出が可能であり、また、これを利用した高感度バイオセンサーの実現が可能となる。この微小電極の応答挙動は、電極形状に依存し、電極サイズが減少するに従って応答が速くなるため、種々の電極形状や電極の微細化が検討されている。
測定に使用される電極材料としては、広い電位範囲における測定が可能であることが重要である。測定可能な電位範囲(電位窓)は、電極,溶媒,支持電解質により異なり、電位窓の範囲内では電極は理想分極する。最も一般的な水溶液系の場合、電解質の種類が同一である場合は、(1)水素過電圧(実際の水素発生電位と理論的平衡電位との差)が大きいもの、(2)酸素過電圧(実際の酸素の発生電位と理論的平衡電位との差)が大きいもの、および(3)電極の溶解電位が高いものが、電位窓の広い電極材料となる。
電極材料としては金,白金,パラジウムなど貴金属、水銀、SnO2、In22などの半導体、グラッシーカーボン、結晶性カーボンなどの半金属が使用されている。これらの材料の中、貴金属類は、酸素過電圧が高く酸化溶解し難いため、酸化側では広い電位範囲内において測定用電極として使用可能である。しかしながら、金電極では、ハロゲンイオンやシアンなどを含有する溶液中では錯体を形成して溶解が生起し易く、測定可能の電位範囲は小さくなる。また、貴金属は水素過電圧が小さいために還元側の測定に使用し難い欠点もあり使用が限定される。
また、水銀電極では、水素過電圧が大きく還元側の測定には適するが、酸化側では溶解が生じるため酸化反応の測定には使用できない。SnO2およびIn22は、透明電極として使用され、測定可能の電位範囲も相当に広いが、還元側では、電極が錫やインジウムに還元される欠点がある。
一方、カーボン電極は、耐蝕性が強く、酸化側および還元側ともに電位窓が広いために幅広い電位における物質検出が可能であり、センサーなどの検出器として、最も広く利用されている(非特許文献2参照)。このため、炭素材料を電極に用いる技術が、微小電極構造を用いる高感度な電気化学測定が、重要となる。
また、電極に用いられるグラッシーカーボン,結晶性カーボンなどの炭素材料には一般的には細孔構造が存在する。細孔にイオン種などを吸着することにより、例えば、キャパシタ特性を向上させることが可能になる(非特許文献3参照)。この特性を用い、センシングにおいても、吸着特性が高い物質においては、応答電流を増加させ、高感度に検出を行うことが可能である(非特許文献4参照)。
特開平01−272958号公報
C.E. Chidsey et al. , "Micrometer-Spaced Platinum Interdigitated Array Electrode: Fabrication, Theory, and Initial Use", Anal. Chem. , vol.58, pp.601-607, 1986. 藤嶋昭,相澤益男,井上徹、「電気化学測定法(上)」、第4章、技報堂出版、1984. J. Chmiola et al. , "Anomalous Increase in Carbon Capacitance at Pore Sizes Less Than 1 Nanometer, Science, vol.313, pp.1760-1763, 2006. 平野伸二ら,「グラッシーカーボン電極への吸着濃縮を利用したアドリアマイシンの定量」、分析化学、vol.35,pp167-172,1986. K. Hayashi et al. , "Development of Nanoscale Interdigitated Array Electrode as Electrochemical Sensor Platform for Highly Sensitive Detection of Biomolecules", Journal of The Electrochemical Society, vol.155, no.9, pp.J240-J243, 2008. V. F. Gaylor et al. , "Use of a Wax-Impregnated Graphite Electrode in Polarography", Analytical chemistry, vol.29, no. 2, pp.224-228, 1957.
ところで、上述したように、μmオーダのパターンから構成される微小電極の応答挙動は、電極形状に依存し、電極サイズが減少するに従って応答が速くなるため、種々の電極形状や電極の微細化が検討されている。例えば、μmオーダで接近させた対となる2つの電極を用いてより高感度な検出を行うためには、目的物質を枯渇させることなく酸化還元サイクルを電極上に発生させることが重要である。例えば、ジェネレータ電極で反応した中間物質が拡散や輸送によってコレクター電極に到達する前に不活性化すると、十分な酸化還元サイクルが発生できず、高感度化がはかれない。
この高感度化の度合いは、(還元電流値)/(酸化電流値)×100であらわされる捕捉率が指標とされている。この値が高ければ、ジェネレータ電極で反応した中間物質が電気化学活性を保ったままコレクター電極に到達し、酸化還元サイクルによって見かけ上の電流値が増大する。捕捉率を高めるには、電極幅をより微小にし、電極間隔をより近づけることで、目的物質や中間物質の拡散距離を短くすることが有効である(非特許文献5参照)。
しかしながら、より微細な電極パターンの形成は容易ではなく、最先端の高度な製造技術が必要となる。また、電極パターンの微細化により、再現性よく寸法の揃った電極を得ることが難しくなる。当然ながら、電極パターンの微細化には限界がある。このように、電極パターンの微細化による高感度化は、容易ではないという問題がある。
また、炭素材料に一般的に存在する細孔構造は、キャパシタ特性や吸着性能に大きく影響する。また、望むイオン種以外の吸着による妨害も起こる。よって、これらの性質をうまく利用するには、細孔構造自体の精密制御が必要であるほか、妨害となるイオン種の吸着を制御する必要がある。このため、炭素材料は、取り扱いが容易ではないという問題がある。さらに、センサーに用い、繰り返し測定を行う場合は、劣化によって細孔構造が変化するため、定量精度の低下が大きな問題となる(非特許文献6参照)。
本発明は、以上のような問題点を解消するためになされたものであり、炭素材料からなる接近させた2つの電極を用いる電気化学的測定で、電極パターンをあまり微細化することなく、高感度化ができるようにすることを目的とする。
本発明に係る電気化学測定用カーボン電極の製造方法は、絶縁層の上に導電性カーボン層を形成する工程と、導電性カーボン層の上にグラフェンからなる炭素層を形成する工程と、導電性カーボン層および炭素層をパターニングし、交互に入り込んで対向配置された2つの櫛形電極を形成する工程とを少なくとも備える。
上記電気化学測定用カーボン電極の製造方法において、酸化グラフェン還元体からなる複数の小片を分散させて炭素層を形成すればよい。例えば、酸化グラフェンからなる複数の小片が分散した分散溶液を導電性カーボン層の上に塗布して導電性カーボン層の上に酸化グラフェンからなる複数の小片を分散させ、導電性カーボン層の上に分散させた酸化グラフェンからなる複数の小片を還元することで、酸化グラフェン還元体からなる複数の小片を分散させて炭素層を形成すればよい。
また、炭素層は、化学的気相成長法により金属基板上に形成したグラフェンを導電性カーボン層に転写することで形成してもよい。また、炭素層は、SiC基板を加熱することでSiC基板の表面に形成したグラフェンを導電性カーボン層に転写してもよい。
本発明に係る電気化学測定用カーボン電極は、導電性カーボン層と導電性カーボン層の上に形成されたグラフェンからなる炭素層とから構成され、絶縁層の上に形成されて交互に入り込んで対向配置された2つの櫛形電極を備える。
以上説明したように、本発明によれば、導電性カーボン層とグラフェンからなる炭素層とから構成したので、炭素材料からなる接近させた2つの電極を用いる電気化学的測定で、電極パターンをあまり微細化することなく、高感度化ができるようになるという優れた効果が得られる。
図1は、本発明の実施の形態における電気化学測定用カーボン電極の製造方法を説明するフローチャートである。 図2Aは、本発明の実施の形態における電気化学測定用カーボン電極の製造方法を説明するための各工程における電気化学測定用カーボン電極の構成を模式的に示す断面図である。 図2Bは、本発明の実施の形態における電気化学測定用カーボン電極の製造方法を説明するための各工程における電気化学測定用カーボン電極の構成を模式的に示す断面図である。 図2Cは、本発明の実施の形態における電気化学測定用カーボン電極の製造方法を説明するための各工程における電気化学測定用カーボン電極の構成を模式的に示す断面図である。 図2Dは、本発明の実施の形態における電気化学測定用カーボン電極の製造方法を説明するための各工程における電気化学測定用カーボン電極の構成を模式的に示す断面図である。 図2Eは、本発明の実施の形態における電気化学測定用カーボン電極の製造方法を説明するための各工程における電気化学測定用カーボン電極の構成を模式的に示す断面図である。 図2Eは本発明の実施の形態における電気化学測定用カーボン電極の製造方法を説明するための各工程における電気化学測定用カーボン電極の一部構成を示す平面図である。 図3は、電気化学測定用カーボン電極のチップの構成を示す構成図である。 図4は、電気化学測定用カーボン電極のチップの構成を示す斜視図である。
以下、本発明の実施の形態について図を参照して説明する。図1は、本発明の実施の形態における電気化学測定用カーボン電極の製造方法を説明するフローチャートである。この製造方法は、まず、ステップS101で、絶縁層の上に導電性カーボン層を形成する。絶縁層は、絶縁基板であればよい。また、Si基板などの半導体基板の上に形成されている絶縁層であってもよい。
次に、ステップS102で、グラフェンからなる炭素層を形成する。グラフェンは、よく知られているように、炭素原子がsp2結合しているシート状の構造体である。例えば、グラファイトは、多数のグラフェンのシートが積層されたものである。次に、ステップS103で、導電性カーボン層および炭素層をパターニングし、交互に入り込んで対向配置されて対となる2つの櫛形電極を形成する。
この製造方法によれば、電気化学測定で用いる櫛形電極が、導電性カーボン層と、導電性カーボン層の上に形成されたグラフェンからなる炭素層とから構成されて形成されるようになり、電極表面にグラフェンが配置された状態となる。これにより、より微細化するなど、櫛形電極の寸法などを変更することなく、炭素材料からなる電極で高感度化ができるようになる。また、細孔を持たないグラフェンが導電性カーボン層表面を覆うため、炭素材料に存在する細孔径や形状の制御、経時変化によるセンシングの不安定性を伴わず、グラフェンに対する吸着特性が高い物質においては、選択的な検出の高感度化ができるという効果が得られる。
以下、本実施の形態における製造方法について、図2A〜図2Fを用いてより詳細に説明する。図2A〜図2Eは、本発明の実施の形態における電気化学測定用カーボン電極の製造方法を説明するための各工程における電気化学測定用カーボン電極の構成を模式的に示す断面図である。また、図2Fは、電気化学測定用カーボン電極の一部構成を示す平面図である。
まず、図2Aに示すように、絶縁基板(絶縁層)201の上に導電性カーボン層202を形成する。例えば、絶縁基板201の上にスピンコート法、電解重合法、またはキャスト法により高分子薄膜を形成し、形成した高分子薄膜を加熱により炭化させることで、導電性カーボン層202が形成できる。
次に、図2Bに示すように、導電性カーボン層202の上にグラフェンからなる炭素層203を形成する。例えば、酸化グラフェンの小片が分散した分散溶液を塗布した後、ヒドラジン蒸気に暴露することにより酸化グラフェン膜を還元すれば、酸化グラフェン還元体からなる炭素層203が形成できる。酸化グラフェン還元体は、一部が酸化されているグラフェンも含まれている。ここでは、このような状態や、後述する〜4層程度積層された複数層グラフェンも含めて、グラフェンとする。
また、CVD法によって銅またはニッケルなどの触媒金属の基板上に作製したグラフェンを、導電性カーボン層202に転写することにより、炭素層203を形成してもよい。また、SiC基板を加熱することでSiC基板の表面に形成したグラフェンを導電性カーボン層202に転写することで、炭素層203を形成してもよい。
ここで、炭素層203の形成について、より詳細に説明する。はじめに、酸化グラフェンを用いる方法について例示すると、まず、導電性カーボン層202の上に、酸化グラフェンからなる複数の小片が分散した分散溶液を塗布し、導電性カーボン層202の上に酸化グラフェンからなる複数の小片を分散させる。次いで、導電性カーボン層202の上に分散させた酸化グラフェンからなる複数の小片を、ヒドラジン蒸気に暴露することにより還元すれば、酸化グラフェン還元体からなる複数の小片が分散した炭素層203が形成できる。また、このようにして櫛形電極を形成した後、後述するように負電荷を印加することによって、酸化グラフェン還元体の還元をさらに進行させるようにしてもよい。なお、酸化グラフェンからなる複数の小片は、後述する電極のパターンより小さい寸法とされているとよい。
次に、CVD法によりグラフェンを形成する方法について説明する。まず、触媒金属からなる金属基板上に、よく知られたCVDによりグラフェンを成長した後、金属基板の表面の金属を溶解させ、この後、形成されているグラフェンを、導電性カーボン層202に転写すれば、炭素層203が形成できる。
CuやNiの金属基板を触媒として、適切な圧力・温度下でCH4などのガスやエタノールなどの低分子アルコールを分解させることで、グラフェンのCVD成長が実施できる。使用する金属基板としては、表面に金属を電子線蒸着した絶縁体基板や半導体基板を用いればよい。また、金属箔を用いるようにしてもよい。安価かつ手軽に入手可能なものを選択する場合は、CuやNiなどの市販の金属箔が最適である。金属箔の厚さは、CuまたはNiにおいては、5μm〜100μm程度とすればよい。より望ましくは、厚さ20μmの金属箔を用いればよい。
また、絶縁体や半導体などのダミー基板上に金属層を電子線蒸着して用いる場合、成長条件や金属膜圧の条件最適化によりグラフェンのドメインサイズなどを制御できる。金属層を形成した基板をアセトンやイソプロピルアルコール(IPA)等の有機溶媒を用いて洗浄した後、CVD用の加熱炉に設置する。加熱炉には、2〜20sccmの流量のH2ガスを、グラフェンが成長した後に金属基板を加熱炉から取り出すまで連続して流しておく。sccmは流量の単位であり、0℃・1013hPaの流体が1分間に1cm3流れることを示す。
また、圧力53.3288Pa(400mTorr)程度下で、約30分かけて室温から800〜1000℃(望ましくは930℃)まで加熱し、この後、30分程度、金属基板表面をH2流量下で基板の上に形成されている金属層の表面をクリーニングする。次に、圧力66.661Pa(500mTorr)下で、CH4ガスを35sccm程度の流量で所定の時間(30秒から40分)流し、基板上の金属層表面にグラフェンの成長を行う。グラフェン成長時の圧力は、Arなどの不活性ガスを用いて圧力を調整することも可能である。最後に2時間ほどかけて100℃前後まで冷却し、CH4,H2雰囲気をArに置換した後、加熱炉から取り出す。以上の方法により、金属基板上に一原子層から数層のグラフェンを作製することができる。
次に、以上に説明したようにCVD法により成長したグラフェンを、導電性カーボン層202へ転写する方法について説明する。
グラフェンを成長させた金属基板を、希薄酸溶液(Fe(NO33およびFeCl2を0.05g/ml濃度で溶かした溶液)に浸漬し、数時間から12時間程度かけて金属を溶解し、グラフェンを単離する。この処理では、希硝酸を用いて短時間で金属を溶解させるようにしてもよいが、グラフェンの破断を防ぐため、長時間かけて行うほうがよい。単離したグラフェンは、目視で溶液中に存在するのが確認できる。なお、このようにして形成されるグラフェンは、〜4層程度積層された複数層グラフェンの場合もある。この溶液中のグラフェンの下に、導電性カーボン層202を形成した絶縁基板201を入れてピンセットなどで保持し、溶液中のグラフェンをすくい上げる。このことにより、導電性カーボン層202の上に、グラフェンまたは複数層グラフェンからなる炭素層203が形成できる。
また、CVD法により形成した1層のグラフェンを、導電性カーボン層202へ転写する方法について説明する。まず、金属基板上に成長したグラフェンの上に、ポリメチルメタクリレート(PMMA)などの樹脂を塗布し、170℃程度で加熱しPMMAを固化させる。次に、PMMA/グラフェン/金属基板を希薄酸溶液(例えばFe(NO33 およびFeCl2を0.05g/ml濃度で溶かした溶液もしくは希硝酸)中に浸漬し、数時間から12時間程度かけて金属を溶解する。この処理により、PMMAからなる樹脂層で支持されたグラフェンが得られる。
この樹脂層/グラフェンを、ピンセットなどを用いて溶液から取り出し、純水中に浸漬して酸を除去した後、導電性カーボン層202の上に載置する。また、酸を除去するために用いた純水中に導電性カーボン層202を形成した絶縁基板201を入れ、純水中の樹脂層/グラフェンを、導電性カーボン層202の上にすくい上げてもよい。
次いで、大気中で短時間の加熱を行い、水分を蒸発させた後に、樹脂層を除去すれば、導電性カーボン層202の上に炭素層203が形成できる。樹脂層の除去は、PMMAリムーバーを用い、PMMAを選択的に溶解させればよい。適切な、PMMAリムーバーとして、アセトンやN−メチル−2−ピロリドン(NMP)などがあり、室温(23℃)または50℃以下に加熱して用いればよい。なお、樹脂層を除去した後、導電性カーボン層202および炭素層203が形成された絶縁基板201をIPAに浸して洗浄し、この後、自然乾燥もしくは窒素乾燥を行うとよい。または、PMMAの除去は、水素雰囲気で350℃から450℃で加熱することでも行える。
また、炭素原料として気体を用いるCVDグラフェンの代わりにポリマーなどの固体原料から生成したグラフェンを用いてもよい。例えば、板厚300nmのNiやCo多結晶基板上にスピンコート法によりポリスチレンを塗布して厚さ2〜100nm程度の塗布膜を形成する。この基板を、1×10-4Pa程度の真空中で、10分で900℃まで加熱する。この後、500℃まで毎分20℃ずつ降温し、500℃より室温近くまで自然に冷却する。転写は上述のCVDグラフェンと同様に行えばよい。ポリスチレンの代わりにポリアニリンなど他のポリマーを用いてもよい。
また、炭素層は、SiC基板を加熱することでSiC基板の表面に形成したグラフェンを用いてもよい。例えば、真空中またはAr雰囲気中などで、SiCを1000℃以上の高温に加熱すると、SiCの表面で熱分解が起き、シリコン原子が蒸発して炭素原子が表面に残り、残った炭素原子が整ったSiC表面の原子配列に影響を受けてエピタキシャルにグラフェンが形成される。このようにして形成したグラフェンを、導電性カーボン層202の上に例えば転写すれば、炭素層203が形成できる。
以上のようにして、導電性カーボン層202の上に炭素層203を形成したら、図2Cに示すように、炭素層203の上にレジストパターン層204を形成する。レジストパターン層204は、後述する櫛形電極を形成する箇所にパターン部を備えている。例えば、波長365nmの紫外線に感光性を持つフォトレジストを塗布して塗布膜を形成し、形成した塗布膜に、上記パターンに対応して露光を行い、現像をすることで、レジストパターン層204が形成できる。
次に、レジストパターン層204をマスクとし、炭素層203および導電性カーボン層202を選択的にエッチング除去し、図2Dに示すように、交互に入り込んで対向配置されて対となる櫛形電極205,櫛形電極206を形成する。櫛形電極205,櫛形電極206の上層(表面)は、グラフェンからなる炭素層207が設けられた状態となる。例えば、レジストパターン層204をマスクとし、反応性イオンエッチングやアルゴンミリングなどにより、炭素層203および導電性カーボン層202を選択的にエッチングすればよい。
この後、有機溶媒を用いてレジストパターン層204を除去すれば、図2Eに示すように、上面に炭素層207を備えた状態で、櫛形電極205,櫛形電極206が形成できる。櫛形電極205および櫛形電極206は、図2Fの平面図に示すように、交互に入り込んで対向配置されている。
次に、実施例を用いてより詳細に説明する。
[実施例1]
以下、実施例1について説明する。はじめに、電極形成について説明する。まず、板厚0.5mmの石英基板を用意する。石英基板は絶縁材料からなる基板である。この石英基板の上に、高分子薄膜をスピンコート法により塗布し、高温処理を行い、高分子薄膜より導電性カーボン膜を形成する。例えば、表面抵抗100Ω以下、厚さ1.2−1.3μmの導電性カーボン膜を、石英基板の上に形成する。
次に、上述した導電性カーボンの上に酸化グラフェンの小片が分散した分散溶液を塗布する。酸化グラフェンは、例えばグラファイトを化学的に酸化することで形成したものである。より詳細に説明すると、まず、ボールミルで粉砕した天然グラファイト(1g)と濃硫酸(34.5ml)とを混合し、撹拌しながらこの混合物中に硝酸ナトリウム(0.75g)を加える。これらの混合物を氷冷下におき、さらに、過マンガン酸カリウム(4.5g)を徐々に加え、撹拌を2時間継続する。この後、混合物を室温に戻し、さらに、5日間撹拌を続ける。この結果、濃灰色の生成物が得られる。
次に、得られた生成物に、5%希硫酸(100ml)、過酸化水素水(3ml)を加え撹拌して液状とした後、これをさらに過剰量の硫酸(3%)/過酸化水素水(0.5%)混合溶液中に分散し、遠心分離により沈殿物を分取する。引き続き、沈殿物に純水を加えて分散し、遠心分離により沈殿物を分取する。これらのことにより、最終生成物として、濃褐色の油状物質として酸化グラフェンが得られる。
以上のようにして得られた酸化グラフェンを、純水に加えて撹拌することで、炭素材料(酸化グラフェン)が分散した分散溶液(均一分散水溶液)が得られる。この分散溶液中には、大きさが約1μmから100μm四方の様々な酸化グラフェンの小片が混在している。これに対し、例えば超音波処理を行うことにより、比較的大きな小片を粉砕することで、約1μm四方の小片のみが分散した分散溶液を得ることができる。また、遠心分離によって小片サイズを分離することにより、約5μm四方より小さい小片のみが分散した分散溶液を得ることができる。得られた分散水溶液は、茶褐色となる。
この分散溶液中の物質は、原子間力顕微鏡観察およびラマン分光分析から、単層〜3層の酸化グラフェンの小片(膜片)が主要成分であることが確認されている。ここで、分散溶液における酸化グラフェンの濃度は、0.01〜0.1wt%程度とすればよい。
この酸化グラフェン分散溶液(約0.1wt%水溶液)を、導電性カーボン層を形成してある石英基板に塗布する方法としては、例えば、スピンコート法、キャスト法があげられる。分散溶液中の酸化グラフェンの小片は、速やかに導電性カーボン層に吸着するため、余分な酸化グラフェン分散溶液を水洗により除去してもよい。この塗布により、分散されていた酸化グラフェン小片が導電性カーボン層の上に付着して固定され、導電性カーボン層の上には、単層〜3層程度の酸化グラフェンの小片からなる層が均一に形成できる。
次に、導電性カーボン層および酸化グラフェンの小片からなる層を形成した石英基板を、35%ヒドラジン水溶液および28%アンモニア水溶液を体積比7:10で混合して作製した溶液とともに密閉容器に封入する。これにより、酸化グラフェン層が、ヒドラジン/アンモニア蒸気に晒される状態となる。この状態を95℃で1時間静置することで、酸化グラフェンを還元することができる。この還元により、導電性カーボン層の上にグラフェンからなる炭素層が形成された状態が得られる。この場合、炭素層は、単層〜3層程度の酸化グラフェンを還元したグラフェンから構成されることになる。このようなグラフェンは、酸化グラフェン還元体と呼ばれるが、一部が酸化されているグラフェンも存在する。
上述したことにより作製した導電性カーボン膜の上に炭素層(グラフェン)が形成されている石英基板に、レジストを塗布し、層厚1μmのレジスト層を形成する。次に、レジスト層を形成した石英基板を、90℃・90秒の加熱条件によりプリベークする。この加熱は、例えば、オーブンを用いて行えばよい。上記加熱は、ホットプレートを用いて行ってもよい。
次に、プリベークしたレジスト層を、露光する。まず、上記石英基板を紫外線露光装置の露光室に搬入し、櫛形電極を形成する箇所以外に開口が形成される形状のパターンを露光する。この露光を行った後、現像処理を行い、レジストパターン層を形成する。形成したレジストパターン層は、長さ2mm,幅10mmの複数の櫛歯部が、交互に入り込んで対向配置されて対となる櫛形電極の形状のパターン部を有する。なお、対向配置される櫛歯間の間隔(電極間隔)は、0.5μmとした。
次に、酸素ガスを用いた反応性イオンエッチングによって、導電性カーボン層およびこの上に形成した炭素層を、上記レジストパターン層により選択的にエッチングし、電極パターンを形成する。
以上のように導電性カーボン層およびこの上に形成した炭素層をパターニングした後、石英基板を有機溶剤中に浸漬し、レジストパターン層を剥離する。この剥離により、導電性カーボン層およびこの上に形成した炭素層から構成される、1対の櫛形電極が形成できる。なお、
次いで、石英基板の上に、スピンコート法により紫外線感光レジストを塗布してレジスト層を形成し、90℃・90秒の加熱条件によりプリベークする。次に、プリベークしたレジスト層を、紫外線リソグラフィー技術でパターニングする。まず、上記石英基板を紫外線露光装置の露光室に搬入し、露光する。また、露光の後に現像を行い、レジストパターン層を形成する。このレジストパターン層により、上述した櫛形電極および石英基板上の他の領域に形成した参照電極の一部、対向電極の一部が、被覆された状態とする。この状態で、レジストパターン層を加熱硬化すれば、上述した被覆領域が熱硬化した樹脂により絶縁保護された状態となる。
上述のことにより、図3に示す電気化学測定用電極のチップ(電極チップ304)を形成した。電極チップ304は、櫛歯部で対向する2つの櫛形電極からなる作用電極301、対向電極302、および参照電極303を備える。ここで、櫛形電極である作用電極301に、0.1mol/Lのリン酸二水素カリウム水溶液中または0.1mol/Lのリン酸緩衝液中で、参照電極303を基準として−0.6V〜−0.8Vの負電位を印加し、100から300秒程度の還元処理を行えば、表面の炭素層を構成する還元グラフェンの還元をさらに進行させ、より完全なグラフェンに近い特性を付与することができる。
次に、電極チップ304を用いた測定について、図3を用いて説明する。電極チップ304は、櫛歯部で対向する2つの櫛形電極からなる作用電極301、対向電極302、および参照電極303を備える。各電極は、ポテンシオスタット305およびクーロメータ306に接続されている。また、ポテンシオスタット305およびクーロメータ306は、レコーダ307に接続されている。ポテンシオスタット305により、作用電極301と参照電極303との間の電圧が設定した値となるように、作用電極301と対向電極302に流れる電流を制御し、クーロメータ306で、作用電極301に流れる電流を測定する。
電極チップ304は、例えば、図4の斜視図に示すように、板厚0.5mmで12×20(mm)の基板300の上に、作用電極301、対向電極302、および参照電極303が配置されている。例えば、図4の斜視図に示すように、ビュレット401より、作用電極301の櫛歯部で対向する2つの櫛形電極の部分に試料を滴下する。また、作用電極301には、電極端子301aおよび電極端子301bが接続し、対向電極302には、電極端子302aが接続し、参照電極303には電極端子303aが接続している。
上述した電極チップを用い、酵素反応により得られる電気化学活性種の電気化学検出を行った。酵素にはアルカリフォスファターゼ(ALP)を用い、基質としてp−アミノフェニルホスフェート(pAPP)を反応させ、反応生成物であるp−アミノフェノール(pAP)の酸化還元反応を作用電極301上で検出した。リード線を介して各電極端子をバイポテンシオスタット(ポテンシオスタット305)に接続し、参照電極303を基準として、一方の作用電極301に電位を印加し、−0.3Vから0.3Vまで50mV/secの電位走査し、電極の応答電流を測定した。
作用電極301において、pAPの酸化還元反応を示す電流変化が観測された。ピーク電流値の大きさは、グラフェンからなる炭素層がない同形の導電性カーボン櫛形電極を用いた場合と比較して、約3倍に増加した。ここで、π共役分子であるpAPは、電極表面の炭素層とのπ電子相互作用により、電極表面に選択的に吸着濃縮される。
参照として、同じ電極チップを用い、フェリシアンイオンの検出を行った。参照電極303を基準として、一方の作用電極301に電位を印加し、0Vから0.6Vまで50mV/secの電位走査し、電極の応答電流を測定した。
作用電極301において、フェリシアンイオンの酸化還元反応を示す電流変化が観測された。ピーク電流値の大きさは、炭素層がない同形の導電性カーボン櫛形電極を用いた場合と比較し、約0.9倍に減少した。π共役分子ではないフェリシアンイオンは、電極表面の炭素層とのπ電子相互作用により、電極表面に選択的に吸着濃縮されることはないが、炭素層がない同形の導電性カーボン層にある細孔に少量吸着するため、炭素層がない同形の導電性カーボン電極を用いた場合の電流値のほうが大きくなる。
従って、この実施例1によれば、接近させた2つの電極を用いる電気化学的測定で、電極パターンをあまり微細化することなく、pAP検出の高感度化という優れた効果が得られることが示された。さらに、細孔を持たない炭素層で導電性カーボン層表面を覆うため、炭素材料に存在する細孔径や形状の制御、経時変化によるセンシングの不安定性を伴わず、グラフェンからなる炭素層に対する吸着特性が高いpAPにおいては、選択的な検出の高感度化ができるという効果が得られることが示された。
[実施例2]
次に、実施例2について説明する。はじめに、電極形成について説明する。実施例2においても、上述した実施例1と同様に、板厚0.5mmの石英基板上に導電性カーボン層を形成した。次に、この導電性カーボン層の上に、CVD法により作製したグラフェンを転写する。CVD法によるグラフェンの作製は、次のように行った。
市販のCu金属箔をアセトン等で洗浄した後、CVD加熱炉に設置した。このCVD加熱炉内に、まず、H2を導入し、圧力53.3288Pa(400mTorr)程度とし、30分程度かけて930℃の高温に加熱した後、30分ほどかけてH2流量下でCu金属箔表面をクリーニングする。次に、圧力66.661Pa(500mTorr)程度でCH4のガスを35sccmで30分流し、Cu金属箔表面にグラフェンの成長を行った。最後に2時間ほどかけて100℃前後まで冷却した。CH4,H2雰囲気をArに置換した後、グラフェンを成長したCu金属箔を加熱炉から取り出した。
次に、Cu金属箔表面に作製したグラフェンを、あらかじめ作製した導電性カーボン膜上に転写した。転写のためには、グラフェン/Cu金属箔からCu金属箔を除去する必要があるが、このプロセス時にグラフェンの破断を防ぐため、PMMAなどを用いてグラフェン支持層を作製するのが有効である。ここでは、グラフェン/Cu金属箔にPMMAを塗布し、加熱によりPMMAを硬化した。
次に、PMMA/グラフェン/Cu金属箔を、Fe(NO33およびFeCl2を0.05g/ml濃度で溶かした希酸の溶液に投入し、Cu金属箔を除去し、PMMA層で支持されたグラフェンを得た。このとき、グラフェンの破断を防ぐため、低濃度の酸を用いて、長時間かけてCu金属箔を除去するのが有効である。次に、得られたPMMA/グラフェンをピンセットで保持しつつ、純水に浸して希酸を除去した後、導電性カーボン膜を形成した基板上に設置し、水分を除去するために乾かした。
次に、50℃以下程度に温めたアセトンおよびNMPをPMMAリムーバーとして用い、この中にPMMA/グラフェン/導電性カーボン膜が形成されている基板を浸漬し、PMMAを除去した。この後、この基板をアセトンおよびNMPから取り出し、次いでIPAに浸漬して取り出した後、自然乾燥もしくは窒素乾燥を行った。このようにして、導電性カーボン膜の上にグラフェンを形成した。
次に、導電性カーボン膜の上にグラフェンが形成されている基板に、前述した実施例1と同様の方法で電極のパターニングおよび絶縁保護膜の形成を行い、図3に示す電気化学測定用電極のチップ(電極チップ304)を形成した。
この電極チップ304を用いて以下に示す測定を行った。
まず、ドーパミン塩酸塩(DA)の酸化還元反応を作用電極301上で検出した。リード線を介して各電極端子をバイポテンシオスタット(ポテンシオスタット305)に接続し、DA溶液中に含浸した。溶液を撹拌しながら一定時間、DAを電極に吸着させた後、撹拌をとめて溶液を5秒静止させた。この後、速やかに、参照電極303を基準とし、一方の作用電極301に1.0V、他方の作用電極301に0.3Vの電位を印加し、それぞれの電極の応答電流を測定した。
1.0Vを印加した作用電極301においては、DAの酸化反応を示す電流が観測され、0.3Vを印加した作用電極301においては、DAの還元反応を示す電流が観測された。電流値の大きさは、グラフェンがない同形の導電性カーボン櫛形電極を用いた場合と比較して、酸化反応の電流値は約3倍、還元反応の電流値は約2倍に増加した。ここで、π共役分子であるDAは、電極表面のグラフェンとのπ電子相互作用により、電極表面に選択的に吸着濃縮される。
参照として、同じ電極チップを用い、硫酸鉄アンモニウムの検出を同様にして行った。溶液を撹拌しながら一定時間、硫酸鉄アンモニウムを電極に吸着させた後、撹拌をとめて溶液を5秒静止させた。この後、速やかに、参照電極303を基準とし、一方の作用電極301に1.2V、他方の作用電極301に0Vの電位を印加し、各々の電極の応答電流を測定した。1.0Vを印加した作用電極301においては、硫酸鉄アンモニウムの酸化反応を示す電流が観測され、0.3Vを印加した作用電極301においては、硫酸鉄アンモニウムの還元反応を示す電流が観測された。
上述した電流値の大きさは、グラフェンがない同形の導電性カーボン櫛形電極を用いた場合と比較して、酸化反応、還元反応とも約0.9倍に減少した。π共役分子ではない硫酸鉄アンモニウムは、電極表面のグラフェンとのπ電子相互作用により、電極表面に選択的に吸着濃縮されることはない。これに対し、硫酸鉄アンモニウムは、グラフェンがない同形の導電性カーボン層にある細孔に少量吸着するため、グラフェンがない同形の導電性カーボン電極を用いた場合の電流値のほうが大きくなる。
従って、実施例2によれば、接近させた2つの電極を用いる電気化学的測定で、電極パターンをあまり微細化することなく、DA検出の高感度化という優れた効果が得られることが示された。さらに、細孔を持たないグラフェンで導電性カーボン層表面を覆うため、炭素材料に存在する細孔径や形状の制御、経時変化によるセンシングの不安定性を伴わず、グラフェンに対する吸着特性が高いDAにおいては、選択的な検出の高感度化ができるという効果が得られることが示された。
以上に説明したように、本発明によれば、導電性カーボン層とこの上に形成したグラフェンからなる炭素層との2層構造により交互に入り込んで対向配置された2つの櫛形電極を構成したので、炭素材料からなる接近させた2つの電極を用いる電気化学的測定で、電極パターンをあまり微細化することなく、高感度化ができるようになる。また、炭素材料に存在する細孔径や形状の制御、経時変化によるセンシングの不安定性を伴わず、高感度化が実現できる。
なお、本発明は以上に説明した実施の形態に限定されるものではなく、本発明の技術的思想内で、当分野において通常の知識を有する者により、多くの変形および組み合わせが実施可能であることは明白である。例えば、グラフェンの形成は、次に示すようにしてもよい。例えば、SiO2基板に高周波マグネトロンスパッタリング法により300nm厚のNi多結晶を堆積する。このNi薄膜上にスピンコート法によりポリスチレンを2〜100nm塗布する。この基板を1×10-4Pa程度の真空中で900℃に10分加熱する。この後、500℃まで毎分20℃ずつ降温し、500℃になったら室温近くまで自然に冷却する。これにより、Ni上に1〜数層のグラフェンを得ることができる。
転写は、上述のCVDグラフェンと同様に行えばよい。このときポリスチレンの代わりにポリアニリンなど他のポリマーを用いてもよい。またNi薄膜の代わりにCo薄膜を用いてもよい。
201…絶縁基板(絶縁層)、202…導電性カーボン層、203…炭素層、204…レジストパターン層、205,206…櫛形電極、207…炭素層。

Claims (6)

  1. 絶縁層の上に導電性カーボン層を形成する工程と、
    前記導電性カーボン層の上にグラフェンからなる炭素層を形成する工程と、
    前記導電性カーボン層および前記炭素層をパターニングし、交互に入り込んで対向配置された2つの櫛形電極を形成する工程と
    を少なくとも備えることを特徴とする電気化学測定用カーボン電極の製造方法。
  2. 請求項1記載の電気化学測定用カーボン電極の製造方法において、
    酸化グラフェン還元体からなる複数の小片を分散させて前記炭素層を形成することを特徴とする電気化学測定用カーボン電極の製造方法。
  3. 請求項2記載の電気化学測定用カーボン電極の製造方法において、
    酸化グラフェンからなる複数の小片が分散した分散溶液を前記導電性カーボン層の上に塗布して前記導電性カーボン層の上に酸化グラフェンからなる複数の小片を分散させる工程と、
    前記導電性カーボン層の上に分散させた酸化グラフェンからなる複数の小片を還元することで、酸化グラフェン還元体からなる複数の小片を分散させて前記炭素層を形成する工程と
    を備えることを特徴とする電気化学測定用カーボン電極の製造方法。
  4. 請求項1記載の電気化学測定用カーボン電極の製造方法において、
    前記炭素層は、化学的気相成長法により金属基板上に形成したグラフェンを前記導電性カーボン層に転写することで形成することを特徴とする電気化学測定用カーボン電極の製造方法。
  5. 請求項1記載の電気化学測定用カーボン電極の製造方法において、
    前記炭素層は、SiC基板を加熱することで前記SiC基板の表面に形成したグラフェンを前記導電性カーボン層に転写することで形成することを特徴とする電気化学測定用カーボン電極の製造方法。
  6. 導電性カーボン層と、前記導電性カーボン層の上に形成されたグラフェンからなる炭素層とから構成され、絶縁層の上に形成されて交互に入り込んで対向配置された2つの櫛形電極を備えることを特徴とする電気化学測定用カーボン電極。
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