JP6325055B2 - コーヒー飲料の製造方法 - Google Patents
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Description
本発明は、香気量に優れたコーヒー飲料を製造する方法に関する。
コーヒー豆は焙煎することにより、熱によって生豆に含まれる風味成分や香気成分が化学変化し、コーヒー独特の味や香りを生じるようになる。このような風味成分や香気成分は、コーヒー飲料の製造過程において失われることが多いことが知られている。特に香気成分は揮発しやすい成分が多いため、例えば、コーヒー豆の粉砕工程や抽出工程において、約40〜50%が大気中に放出され得る(非特許文献1)。このため、コーヒー飲料において失われた風味成分や香気成分を補うため、香料等が添加されることがある。
一般的に知られているドリップ抽出法では、始めから高温の熱湯とコーヒー豆とが接触するため、低沸点の成分が抽出直後に揮散したり、酸化したりすることによって、本来保持していた風味成分や香気成分が失われることがある。
近年では、スペシャルティコーヒーが流行しており、コーヒーの専門店が増加している。コーヒーが本来的に有する味や香りをより追求する消費者が増えている傾向を示すものである。このような専門店では、ドリップ抽出法の問題点を改善できる一つの方策として、水出しコーヒーやダッチコーヒーを提供していることがある。このようなウォータードリップ法では、常温や低温の水を用いて、低沸点の成分をコーヒー飲料に閉じ込めることが可能となるが、抽出器の特殊性や長時間の抽出時間の観点から、工業的生産には不適当である。
上記の問題を解決し、味や香りに優れたコーヒー飲料の製造方法として、コーヒー豆を10〜30℃の低温にて第1抽出および回収を行い、引き続き30〜65℃の中温にて第2抽出および回収を行い、さらに続いて65〜130℃の高温にて第3抽出および回収を行った後、第1〜第3の抽出液を混合する3温度帯の3段階抽出法が知られている(特許文献1)。
R.J.Clarkら、 COFFEE, Volume 2: Technology, 208頁, ELSEVIER APPLIED SCIENCE (1987)
しかしながら、上記特許文献1の方法でも、大気中に失われる香気成分は多く、更に味や香りをコーヒーの抽出液に閉じ込める方法が強く求められている。したがって、本発明は、コーヒーの製造工程で失われる成分を香料等で補うことなく、本来の味や香りを活かしたコーヒー飲料の製造方法を提供することを目的とする。
本発明者らは前記課題を解決すべく鋭意検討を重ねた結果、少なくとも2つの異なる抽出工程を用いて、焙煎コーヒー豆に水または温水を加えて抽出し、この少なくとも2つの異なる抽出工程から得られる抽出液を混合することで、抽出したコーヒー中の総香気量が顕著に増加することを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は、下記に掲げるコーヒー飲料の製造方法を提供する。
項1.
焙煎コーヒー豆に対して水または温水を加えて抽出し、コーヒー飲料を製造する方法であって、
第1の焙煎コーヒー豆に10℃以上60℃以下の低温水または中温水を1段階または2段階以上で加水して接触処理し、抽出液を回収する、第1抽出工程、
第2の焙煎コーヒー豆に30℃以上130℃以下の低温水、中温水、または高温水を1段階または2段階以上で加水して接触処理し、抽出液を回収する、第2抽出工程、および、
該第1抽出工程で得られる第1抽出液および該第2抽出工程で得られる第2抽出液を混合する工程
を含み、
ここで、該第1抽出工程と該第2抽出工程とは、少なくともの1つの段階の加水温度で異なるものである、
コーヒー飲料を製造する方法。
項2.
上記第1抽出工程が、焙煎コーヒー豆に10℃以上30℃以下の低温水を少なくとも1段階加水して接触処理し、さらに、30℃超過60℃以下の中温水を少なくとも1段階加水して接触処理して抽出液を回収することを含み、
前記第2抽出工程が、焙煎コーヒー豆に、30℃以上60℃以下の低温水または中温水を少なくとも1段階加水して接触処理し、さらに、60℃超過130℃以下の高温水を少なくとも1段階加水して接触処理して抽出液を回収することを含む、
項1記載のコーヒー飲料を製造する方法。
項3.
上記第1抽出工程と第2抽出工程とが異なる抽出器で行われる、項1または2記載のコーヒー飲料を製造する方法。
項4.
上記第1抽出工程における焙煎コーヒー豆と加水量の合計との比が、前記焙煎コーヒー豆の乾燥重量1部に対して、重量1〜30部である、項1〜3のいずれか1項記載のコーヒー飲料を製造する方法。
項5.
上記第2抽出工程における焙煎コーヒー豆と加水量の合計との比が、前記焙煎コーヒー豆の乾燥重量1部に対して、重量1〜30部である、項1〜4のいずれか1項記載のコーヒー飲料を製造する方法。
項6.
コーヒー飲料の香気を改善する方法であって、
第1の焙煎コーヒー豆に10℃以上60℃以下の低温水または中温水を1段階または2段階以上加水して接触処理し、抽出液を回収する、第1抽出工程、
第2の焙煎コーヒー豆に30℃以上130℃以下の低温水、中温水、または高温水を1段階または2段階以上加水して接触処理し、抽出液を回収する、第2抽出工程、および、
該第1抽出工程で得られる第1抽出液および該第2抽出工程で得られる第2抽出液を混合する工程
を含み、
該香気の改善が、該コーヒー抽出液における総香気量の増加によりもたらされる、コーヒー飲料の香気を改善する方法。
項1.
焙煎コーヒー豆に対して水または温水を加えて抽出し、コーヒー飲料を製造する方法であって、
第1の焙煎コーヒー豆に10℃以上60℃以下の低温水または中温水を1段階または2段階以上で加水して接触処理し、抽出液を回収する、第1抽出工程、
第2の焙煎コーヒー豆に30℃以上130℃以下の低温水、中温水、または高温水を1段階または2段階以上で加水して接触処理し、抽出液を回収する、第2抽出工程、および、
該第1抽出工程で得られる第1抽出液および該第2抽出工程で得られる第2抽出液を混合する工程
を含み、
ここで、該第1抽出工程と該第2抽出工程とは、少なくともの1つの段階の加水温度で異なるものである、
コーヒー飲料を製造する方法。
項2.
上記第1抽出工程が、焙煎コーヒー豆に10℃以上30℃以下の低温水を少なくとも1段階加水して接触処理し、さらに、30℃超過60℃以下の中温水を少なくとも1段階加水して接触処理して抽出液を回収することを含み、
前記第2抽出工程が、焙煎コーヒー豆に、30℃以上60℃以下の低温水または中温水を少なくとも1段階加水して接触処理し、さらに、60℃超過130℃以下の高温水を少なくとも1段階加水して接触処理して抽出液を回収することを含む、
項1記載のコーヒー飲料を製造する方法。
項3.
上記第1抽出工程と第2抽出工程とが異なる抽出器で行われる、項1または2記載のコーヒー飲料を製造する方法。
項4.
上記第1抽出工程における焙煎コーヒー豆と加水量の合計との比が、前記焙煎コーヒー豆の乾燥重量1部に対して、重量1〜30部である、項1〜3のいずれか1項記載のコーヒー飲料を製造する方法。
項5.
上記第2抽出工程における焙煎コーヒー豆と加水量の合計との比が、前記焙煎コーヒー豆の乾燥重量1部に対して、重量1〜30部である、項1〜4のいずれか1項記載のコーヒー飲料を製造する方法。
項6.
コーヒー飲料の香気を改善する方法であって、
第1の焙煎コーヒー豆に10℃以上60℃以下の低温水または中温水を1段階または2段階以上加水して接触処理し、抽出液を回収する、第1抽出工程、
第2の焙煎コーヒー豆に30℃以上130℃以下の低温水、中温水、または高温水を1段階または2段階以上加水して接触処理し、抽出液を回収する、第2抽出工程、および、
該第1抽出工程で得られる第1抽出液および該第2抽出工程で得られる第2抽出液を混合する工程
を含み、
該香気の改善が、該コーヒー抽出液における総香気量の増加によりもたらされる、コーヒー飲料の香気を改善する方法。
本発明により、味や香りに優れたコーヒー飲料の製造方法を提供することができる。特に、本発明により総香気量が増大されたコーヒー飲料の製造方法が提供される。
[コーヒー飲料を製造する方法]
本発明は、焙煎コーヒー豆に対して水または温水を加えて抽出し、コーヒー飲料を製造する方法であって、少なくとも2つの異なる抽出工程を用いて、焙煎コーヒー豆に水または温水を加えて抽出し、これらの少なくとも2つの異なる抽出工程から得られる抽出液を混合する工程を含むコーヒー飲料を製造する方法に関する。
本発明は、焙煎コーヒー豆に対して水または温水を加えて抽出し、コーヒー飲料を製造する方法であって、少なくとも2つの異なる抽出工程を用いて、焙煎コーヒー豆に水または温水を加えて抽出し、これらの少なくとも2つの異なる抽出工程から得られる抽出液を混合する工程を含むコーヒー飲料を製造する方法に関する。
本明細書において、少なくとも2つの異なる抽出工程は、それぞれ、第1の焙煎コーヒー豆を用いた第1抽出工程および第2の焙煎コーヒー豆を用いた第2抽出工程という。第1抽出工程および第2抽出工程は、それぞれ、1温度の1段階加水抽出または複数温度の複数段階加水抽出のいずれでも採用できるが、第1抽出工程および第2抽出工程が、その加水温度または加水段階において、全く同じ加水抽出条件を採用することはないものとする。
第1抽出工程および第2抽出工程は、限定はされないが、異なる2つの抽出器を用いて行うことが好ましい。但し、第1抽出工程または第2抽出工程のいずれか一方を先に行い、引き続き同じ抽出器で、第2抽出工程または第1抽出工程を行うこともできる。なお、抽出工程は、さらなる追加の同様の工程を含んでも良い。
[焙煎コーヒー豆]
本明細書で用いられる第1の焙煎コーヒー豆および第2の焙煎コーヒー豆は、その品種、産地、焙煎方法、焙煎度において、全く同じものであっても異なるものであっても良い。いずれも、出発原料としては、未抽出の焙煎コーヒー豆であることが好ましい。
コーヒー豆の品種は、特に制限されるものではなく、例えば、アラビカ種、ロブスタ種、アラブスタ種、リベリカ種等のものが挙げられる。コーヒー豆の品種は、アラビカ種またはロブスタ種をさらに細分化して、例えば、ティピカ種、スマトラ種、ムンドノーボ種、アカイア種、ケント種、マラゴジペ種、ブルボン種、カツーラ種、カツアイ種、アマレロ種、コニロン種、ウガンダ種等が挙げられる。コーヒー豆は、複数の種類をブレンドした豆を用いてもよい。
本明細書で用いられる第1の焙煎コーヒー豆および第2の焙煎コーヒー豆は、その品種、産地、焙煎方法、焙煎度において、全く同じものであっても異なるものであっても良い。いずれも、出発原料としては、未抽出の焙煎コーヒー豆であることが好ましい。
コーヒー豆の品種は、特に制限されるものではなく、例えば、アラビカ種、ロブスタ種、アラブスタ種、リベリカ種等のものが挙げられる。コーヒー豆の品種は、アラビカ種またはロブスタ種をさらに細分化して、例えば、ティピカ種、スマトラ種、ムンドノーボ種、アカイア種、ケント種、マラゴジペ種、ブルボン種、カツーラ種、カツアイ種、アマレロ種、コニロン種、ウガンダ種等が挙げられる。コーヒー豆は、複数の種類をブレンドした豆を用いてもよい。
コーヒー豆の産地は、特に制限されるものではなく、例えば、ブラジル、ベトナム、コロンビア、インド、ホンジュラス、ペルー、メキシコ、グアテマラ、コスタリカ、タンザニア、ケニア、イエメン、エチオピア、インドネシア、ジャマイカ、ハワイ等が挙げられる。
コーヒー豆の焙煎は、公知の方法および装置で行うことができ、焙煎の程度は、目的とするコーヒー飲料に応じて適宜調節することができる。ただし、焙り豆本来の香りを十分抽出するためには、焙煎後の保存期間は短いほどよい。
本明細書において、「焙煎」とは、コーヒー豆を煎ることをいい、具体的には乾燥状態でコーヒー豆を高温で加熱することをいう。焙煎の条件は、コーヒー豆の品種や状態、求める焙煎度合いによって適宜変更され得るが、例えば、焙煎温度は100℃〜400℃とすることができ、110℃〜350℃とすることが好ましく、120℃〜300℃とすることがより好ましく、130℃〜280℃とすることが更に好ましく、150℃〜250℃とすることが特に好ましい。また、焙煎時間は、例えば、1分〜120分とすることができ、2分〜90分とすることが好ましく、3分〜60分とすることがより好ましく、3分〜30分とすることが更に好ましく、3分〜20分とすることが特に好ましい。その他、特殊な焙煎方法として、スチーム焙煎や赤外線焙煎、マイクロ波焙煎等によってコーヒー豆を焙煎することも可能である。
焙煎コーヒー豆のL値は、特に制限されるものではなく、例えば、14〜40とすることができる。本発明の効果を顕著に奏する観点から、焙煎コーヒー豆のL値は、14以上とすることが好ましく、14.5以上とすることがより好ましく、15以上とすることが更に好ましく、15.5以上とすることが特に好ましく、16以上とすることが最も好ましい。また、本発明の効果を顕著に奏する観点から、焙煎コーヒー豆のL値は、40以下とすることが好ましく、35以下とすることがより好ましく、30以下とすることが更に好ましく、27以下とすることが特に好ましく、25以下とすることが最も好ましい。また、本発明の効果を顕著に奏する観点から、焙煎コーヒー豆のL値は、14〜40とすることが好ましく、14.5〜35とすることがより好ましく、15〜30とすることが更に好ましく、15.5〜27とすることが特に好ましく、16〜25とすることが最も好ましい。本明細書において、L値とは、コーヒー豆の焙煎の程度を色(明度)で評価するための値であり、黒を0、白を100として、色差計で測定することができる。色差計としては、日本電色工業(株)色差計モデルZE−6000を用いることができる。
本発明の焙煎コーヒー豆は、1種単独でも、2種以上が混合されたものでもよい。2種以上の焙煎コーヒー豆の混合物である場合、豆品種や産地の異なるコーヒー豆だけでなく、焙煎度の異なるコーヒー豆の組み合わせであってもよい。焙煎度の異なるコーヒー豆の混合物である場合、L値が上記範囲外のものが含まれていても差し支えないが、L値の平均値が上記範囲内であることが好ましい。L値の平均値は、焙煎コーヒー豆のL値に、当該焙煎コーヒー豆の含有質量比を乗じた値の総和として求められる。
本発明において用いられる焙煎コーヒー豆の量は、抽出器の種類や容量、製品の種類等によって適宜変更されるが、例えば、20g以上とすることができ、50g以上であることが好ましく、80g以上であることがより好ましく、100g以上であることが更に好ましい。また、本発明において用いられる焙煎コーヒー豆の量は、例えば、2000kg以下とすることができ、1500kg以下であることが好ましく、1000kg以下であることがより好ましく、500kg以下であることが更に好ましい。また、本発明において用いられる焙煎コーヒー豆の量は、例えば、20g〜2000kgとすることができ、50g〜1500kgとすることが好ましく、80g〜1000kgとすることがより好ましく、100g〜500kgとすることが更に好ましい。
焙煎されたコーヒー豆は、製品の種類等によって、適切な大きさに粉砕して用いることができる。粉砕は、汎用の粉砕機を用いて行うことができ、高速回転式、ジェット式、ローラー式、シリンダー式、円板式、衝撃式等の粉砕機を用いて行われる。
焙煎コーヒー豆の粉砕の程度は、特に限定されず、例えば、粗挽き、中挽き、細挽き、中細挽き等を用いることができる。焙煎コーヒー豆の平均粒径の測定は特に限定されないが、例えば、網目を備えた金属メッシュにより規定することが可能である。平均粒径が小さすぎると目詰まりが発生することの観点から、JIS標準のメッシュにおいて5〜200番により平均粒径を規定することが好ましい。
[焙煎コーヒー豆と水との接触処理]
焙煎コーヒーの抽出に用いられる水は、特に制限されず、天然水、地下水、水道水、蒸留水、イオン交換水等が挙げられる。また、コーヒーの抽出に用いられる水は、硬水であってもよく、軟水であってもよい。
焙煎コーヒーの抽出に用いられる水は、特に制限されず、天然水、地下水、水道水、蒸留水、イオン交換水等が挙げられる。また、コーヒーの抽出に用いられる水は、硬水であってもよく、軟水であってもよい。
また、本明細書において、接触処理とは、焙煎コーヒー豆に、低温水、中温水、または高温水が加わっている状態を指す。焙煎コーヒー豆に低温水、中温水、または高温水が加わっている状態により、焙煎コーヒー豆に含まれる香気成分や風味成分が抽出される。
なお、本明細書において、低温水とは、30℃以下の水を意味し、中温水とは、30℃超過60℃以下の温水をいい、高温水とは、60℃超過130℃以下の温水をいう。
[その他の条件等]
本明細書において、「加水」とは、焙煎コーヒー豆に、低温水、中温水、または高温水を加えることを指す。本明細書において、「回収」とは、抽出器から液を回収することを指す。接触処理、加水、または回収の速度、あるいはその他の条件は、工業的にコーヒー抽出液を生産する過程で、通常用いる条件に準じる。
本明細書において、「加水」とは、焙煎コーヒー豆に、低温水、中温水、または高温水を加えることを指す。本明細書において、「回収」とは、抽出器から液を回収することを指す。接触処理、加水、または回収の速度、あるいはその他の条件は、工業的にコーヒー抽出液を生産する過程で、通常用いる条件に準じる。
[第1抽出工程]
第1抽出工程は、低温水または中温水と焙煎コーヒー豆との接触処理を含む。
第1抽出工程は、低温水または中温水と焙煎コーヒー豆との接触処理を含む。
低温水または中温水と焙煎コーヒー豆との接触処理は、同じ温度の1段階加水で達成することもできるが、好ましくは、少なくとも2つの異なる温度による2または3段階以上の加水を含むことで達成することができる。加水の際には、同じ温度を数回に分けて行うこともできる。異なる温度で2または3段階以上の加水を行うことが好ましい。例えば、10℃以上30℃以下の範囲の1または2以上の温度で加水を1回または2回以上に分けて行い、さらに、30℃超過60℃以下のいずれかの温度で加水を1回または2回以上行うことができる。ここで、1段階で複数回加水する場合には、2回目の加水から回収を同時にしながら行っても良い。以下のような1段階加水の態様(態様1−1)、2段階加水の態様(態様1−2)または3段階加水の態様(態様1−3)があり得る。
態様1−1:第1の加水による1段階加水のみを行う。すなわち、第1の加水として、10℃以上60℃以下の範囲のいずれかの温度の低温水または中温水を焙煎コーヒー豆に少なくとも1回加え、接触処理を行う。
態様1−1のより具体的な例としては、限定はされないが、25℃以上30℃以下の範囲に含まれる1つの温度の低温水を1回または複数回加水し、一定時間焙煎コーヒー豆との接触を行った後抽出液を回収する例が挙げられる。あるいは、30℃以上60℃以下の範囲に含まれる1つの温度の低温水または中温水を1回または複数回加水し、一定時間焙煎コーヒー豆との接触を行った後に抽出液を回収する例などが挙げられる。
態様1−2:第1の加水後、第2の加水を行う。すなわち、第1の加水として、10℃以上30℃以下の低温水を焙煎コーヒー豆に加え、接触処理を行う。その後、一定時間後または連続して、第2の加水を行う。第2の加水では、30℃以上60℃以下の低温水または中温水を加えることができる。限定はされないが、30℃超過60℃以下の中温水を用いることも好ましい。第2の加水は第1の加水とは異なる温度の水を用いる。第1の加水後または第2の加水と同時に、抽出液の回収を開始することができる。
態様1−2のより具体的な例としては、限定はされないが、25℃以上30℃以下の範囲に含まれる1つの温度の低温水を1回または複数回加水する第1の加水後、抽出液を回収しながら、40℃以上60℃以下の範囲に含まれる1つの温度の中温水を加水する第2の加水を行う例などがある。
態様1−3:第1、第2、および第3の加水を行う。すなわち、例えば、第1の加水として、10℃以上30℃以下の低温水を焙煎コーヒー豆に加え、接触処理を行う。その後、一定時間後または連続して、第2の加水を行う。第2の加水では、30℃超過60℃以下の中温水を加える。第2の加水後または第2の加水と同時に、抽出液の回収を開始することができる。さらに、第3の加水として、第2の加水とは異なる温度の40℃以上60℃以下の中温水を加える。第3の加水後または第3の加水と同時に、抽出液の回収を開始することもできる。
態様1−3のより具体的な例としては、限定はされないが、25℃〜30℃の範囲に含まれる1つの温度の低温水を1回または複数回加水する第1の加水後、抽出液を回収しながら、30℃以上60℃以下の範囲に含まれる1つの温度の低温水または中温水を加水する第2の加水を行い、さらに、抽出液の回収を継続しながら、50℃以上60℃以下の範囲であって、第2の加水とは異なる温度の中温水を加水する第3の加水を行う例などがある。
第1抽出工程の第1の加水によって、コーヒー豆が有する香りを変化させることなく溶出することができる。第1抽出工程の第1の加水温度は、態様1−1の場合には、本発明の効果を顕著に奏する観点から、25℃以上60℃以下とすることが好ましく、30℃以上60℃以下とすることがより好ましく、30℃以上50℃以下とすることが最も好ましい。第1抽出工程の第1の加水温度は、態様1−2または態様1−3の場合には、10℃以上30℃以下とすることが好ましく、20℃以上30℃以下とすることがより好ましく、25℃以上30℃以下とすることが特に好ましい。
第1抽出工程の第2の加水温度は、本発明の効果を顕著に奏する観点から、態様1−2の場合には、30℃以上60℃以下であって、第1の加水とは異なる温度とすることが好ましく、30℃超過60℃以下がより好ましく、40℃以上60℃以下とすることがさらに好ましく、50℃以上60℃以下であることが特に好ましい。第1抽出工程の第2の加水温度は、本発明の効果を顕著に奏する観点から、態様1−3の場合には、30℃以上60℃以下であって、第1の加水とは異なる温度とすることが好ましく、30℃超過60℃以下とすることがより好ましく、40℃以上60℃以下とすることがさらに好ましく、50℃以上60℃以下であることが特に好ましい。
第1抽出工程の第3の加水温度は、本発明の効果を顕著に奏する観点から、40℃以上60℃以下とすることが好ましく、45℃以上60℃以下とすることがより好ましく、50℃以上60℃以下であることが特に好ましい。第1、第2および第3の加水は、それぞれ、異なる温度である。
第1抽出工程における焙煎コーヒー豆と第1の加水における低温水または中温水との比は、焙煎コーヒー豆の種類や量等により適宜調節されるが、焙煎コーヒー豆の乾燥重量1部に対して、低温水または中温水重量1〜15部とすることができる。焙煎コーヒー豆と第1の加水における低温水または中温水との比は、本発明の効果を顕著に奏する観点から、態様別に変更することがより好ましい。例えば、態様1−1の場合、焙煎コーヒー豆の乾燥重量1部に対して、低温水または中温水重量1〜15部とすることが好ましく、2〜15部とすることがより好ましく、5〜15部とすることがさらに好ましく、10〜15部とすることが最も好ましい。例えば、態様1−2または態様1−3の場合、焙煎コーヒー豆の乾燥重量1部に対して、低温水または中温水重量1〜14部とすることが好ましく、1〜10部とすることがより好ましく、2〜8部とすることがさらに好ましく、2〜5部とすることが最も好ましい。
第1抽出工程における焙煎コーヒー豆と第2の加水による低温水または中温水との比は、焙煎コーヒー豆の種類や量等により適宜調節されるが、焙煎コーヒー豆の乾燥重量1部に対して、低温水または中温水重量1〜14部とすることができる。焙煎コーヒー豆と第2の加水における中温水との比は、本発明の効果を顕著に奏する観点から、態様別に変更することがより好ましい。例えば、態様1−2の場合、焙煎コーヒー豆の乾燥重量1部に対して、第2の加水における低温水または中温水重量1〜14部とすることが好ましく、2〜14部とすることがより好ましく、4〜13部とすることがさらに好ましく、8〜10部とすることが最も好ましい。態様1−3の場合、焙煎コーヒー豆の乾燥重量1部に対して、低温水または中温水重量1〜14部とすることが好ましく、1〜10部とすることがより好ましく、2〜8部とすることがさらに好ましく、2〜5部とすることが最も好ましい。
第1抽出工程における焙煎コーヒー豆と第3の加水による中温水との比は、焙煎コーヒー豆の種類や量等により適宜調節されるが、焙煎コーヒー豆の乾燥重量1部に対して、中温水重量1〜14部とすることができる。焙煎コーヒー豆と中温水との比は、本発明の効果を顕著に奏する観点から、焙煎コーヒー豆の乾燥重量1部に対して、中温水重量2〜14部とすることが好ましく、3〜10部とすることがより好ましく、5〜10部とすることがさらに好ましい。
第1抽出工程における焙煎コーヒー豆と加水量の合計の比は、焙煎コーヒー豆の乾燥重量1部に対して、加水重量1〜30部とすることができる。焙煎コーヒー豆と加水量合計の比は、本発明の効果を顕著に奏する観点から、焙煎コーヒー豆の乾燥重量1部に対して、加水重量5〜30部とすることが好ましく、10〜20部とすることがより好ましい。
第1抽出工程における第1の加水、第2の加水、または第3の加水によって低温水または中温水を用いたコーヒー豆と接触処理時間は、焙煎コーヒー豆の種類や量等により適宜調節され限定はされないが、それぞれ、例えば、1〜120分とすることができ、1〜100分が好ましく、1〜80分がより好ましいく、1〜60分が更に好ましい。
第1抽出工程では、低温水または中温水で接触処理することにより、成分をバランスよく抽出し、過剰な溶出を制御することができる。また、低温水で接触処理した後に続けて中温水を加水する2段階加水または3段階加水の方法によれば、焙煎コーヒー豆の温度は徐々に高まり、種々の香気成分や風味成分がよりバランス良く抽出されることが期待される。
第1抽出工程では、低温水または中温水を加水して接触処理した後に抽出液を回収して第1の抽出液を得る。回収は、2段階加水または3段階加水の場合には、第1加水の終了後、第2加水の開始時に同時に行うことが好ましい。
抽出および抽出液の回収は、汎用の抽出器を用いて行うことができるが、ピストンフロー方式の抽出器が好ましい。ピストンフローで水や温水を供給することで、加水温度、加水量、抽出液の温度並びに回収量を正確にコントロールすることが可能である。
第1の抽出液の回収液量(重量)は、焙煎コーヒー豆の種類や量等により適宜調節され制限されないが、例えば、焙煎コーヒー豆の乾燥重量1部に対して、回収重量1〜30部とすることができ、2〜30部とすることが好ましく、3〜30部とすることがより好ましく、5〜20部とすることがさらに好ましい。
第1抽出工程において、低温水または中温水の加水方法は、特に制限されない。加水方法は、例えば、焙煎コーヒー豆に対して1つまたは複数のノズルから水または温水を連続的または断続的に直接加水することも可能であり、焙煎コーヒー豆に対して1つまたは複数のノズルから水または温水を連続的または断続的に噴霧して加水することも可能である。
[第2抽出工程]
第2抽出工程は、低温水、中温水、または高温水と焙煎コーヒー豆との接触処理を含む。
第2抽出工程は、低温水、中温水、または高温水と焙煎コーヒー豆との接触処理を含む。
第2抽出工程で用いられる焙煎コーヒー豆は、第1抽出工程で使用する焙煎コーヒー豆とは別に調製する焙煎コーヒー豆である。すなわち、第1抽出工程で使用した焙煎コーヒー豆をその後第2抽出工程にそのまま供するものではないこととする。
低温水、中温水、または高温水と焙煎コーヒー豆との接触処理は、同じ温度の1段階加水で達成することもできるが、好ましくは、少なくとも2つの異なる温度による2または3段階以上の加水を含むことで達成することができる。加水は、同じ温度を数回に分けておこなうこともできる。異なる温度で2または3段階以上の加水を行うことがより好ましい。例えば、30℃以上60℃以下の範囲の1または2以上の温度で加水を1回または2回以上に分けて行い、さらに、60℃超過130℃以下のいずれかの温度で加水を1回または2回以上行うことができる。例えば以下のような1段階加水の態様(態様2−1)、2段階加水の態様(態様2−2)または3段階加水の態様(態様2−3)があり得る。
態様2−1:第1の加水による1段階加水のみを行う。すなわち、第1の加水として、30℃以上130℃以下の範囲のいずれかの温度の低温水、中温水、または高温水を焙煎コーヒー豆に少なくとも1回加え、接触処理を行う。
態様2−1のより具体的な例としては、限定はされないが、60℃〜130℃の範囲に含まれる1つの温度の中温水または高温水を1回または複数回加水し、一定時間焙煎コーヒー豆との接触を行った後抽出液を回収する例、80℃〜100℃の範囲の1つの温度の高温水を加水し、一定時間焙煎コーヒー豆との接触を行った後に抽出液を回収する例などが挙げられる。
態様2−2:第1の加水後、第2の加水を行う。すなわち、第1の加水として、30℃以上60℃以下の低温水または中温水を焙煎コーヒー豆に少なくとも1回加え、接触処理を行う。その後、一定時間後または連続して、第2の加水を行う。第2の加水では、60℃以上130℃以下の中温水または高温水を加える。限定はされないが、60℃超過130℃以下の高温水を用いることも好ましい。第2の加水は、第1の加水とは異なる温度の水を用いる。第1の加水後または第2の加水と同時に、抽出液の回収を開始することができる。
態様2−2のより具体的な例としては、限定はされないが、30℃以上60℃以下の範囲に含まれる1つの温度の低温水または中温水を1回または複数回加水する第1の加水後、抽出液を回収しながら、60℃超過130℃以下の範囲に含まれる1つの高温水を加水する第2の加水を行う例などがある。
態様2−3:第1、第2、および第3の加水を行う。例えば、第1の加水として、30℃以上60℃以下の低温水または中温水を焙煎コーヒー豆に加え、接触処理を行う。その後、一定時間後または連続して、第2の加水を行う。第2の加水では、30℃以上60℃以下であって、第1の加水とは異なる温度の低温水または中温水を加えることが好ましいが、60℃以上80℃以下の中温水または高温水を加えることもできる。第2の加水後または第2の加水と同時に、抽出液の回収を開始することができる。さらに、第3の加水として、60℃以上130℃以下の中温水または高温水であって、第2の加水とは異なる温度の温水を加える。第3の加水後または第3の加水と同時に、抽出液の回収を開始することもできる。
態様2−3のより具体的な例としては、限定はされないが、30℃以上60℃以下の低温水または中温水を加水する第1の加水後、抽出液を回収しながら、30℃超過60℃以下の中温水を加水する第2の加水を行い、さらに、抽出液の回収を継続しながら、60℃超過130℃以下の高温水を加水する第3の加水を行う例などがある。
第2抽出工程の第1の加水によって、コーヒー豆からの風味を引き出すことができる。第2抽出工程の第1の加水温度は、態様2−1の場合には、本発明の効果を顕著に奏する観点から、40℃以上130℃以下であることが好ましく、60℃以上130℃以下であることがさらに好ましく、80℃〜100℃であることがより好ましい。第2抽出工程の第1の加水温度は、態様2−2または態様2−3の場合には、30℃以上60℃以下であることが好ましく、35℃以上60℃以下であることがより好ましい。
第2抽出工程の第2の加水温度は、本発明の効果を顕著に奏する観点から、態様2−2の場合には、60℃以上130℃以下であって、第1の加水とは異なる温度とし、60℃超過130℃以下がより好ましく、60℃以上130℃以下とすることがさらに好ましく、50℃以上100℃以下であることが特に好ましく、60℃以上95℃以下であることが最も好ましい。第2抽出工程の第2の加水温度は、本発明の効果を顕著に奏する観点から、態様2−3の場合には、30℃以上60℃以下で第1の加水とは異なる温度とすることが好ましく、30℃超過60℃以下とすることがより好ましく、40℃以上60℃以下とすることがさらに好ましく、50℃以上60℃以下であることが特に好ましい。
第2抽出工程の第3の加水温度は、本発明の効果を顕著に奏する観点から、60℃以上130℃以下とすることが好ましく、60℃以上100℃以下とすることがより好ましく、80℃以上95℃以下であることが特に好ましい。第1、第2および第3の加水は、それぞれ異なる温度である。
第2抽出工程における焙煎コーヒー豆と第1の加水による低温水、中温水、または高温水との比は、焙煎コーヒー豆の種類や量等により適宜調節されるが、焙煎コーヒー豆の乾燥重量1部に対して、低温水、中温水、または高温水重量1〜15部とすることができる。焙煎コーヒー豆と第1の加水における低温水、中温水、または高温水との比は、本発明の効果を顕著に奏する観点から、態様別に変更することがより好ましい。例えば、態様2−1の場合、焙煎コーヒー豆の乾燥重量1部に対して、低温水、中温水、または高温水重量1〜14部とすることが好ましく、2〜14部とすることがより好ましく、4〜13部とすることがさらに好ましく、8〜10部とすることが最も好ましい。例えば、態様2−2または態様2−3の場合、焙煎コーヒー豆の乾燥重量1部に対して、低温水、中温水、または高温水重量1〜14部とすることが好ましく、1〜10部とすることがより好ましく、2〜8部とすることがさらに好ましく、2〜5部とすることが最も好ましい。
第2抽出工程における焙煎コーヒー豆と第2の加水による低温水、中温水、または高温水との比は、焙煎コーヒー豆の種類や量等により適宜調節されるが、焙煎コーヒー豆の乾燥重量1部に対して、低温水、中温水、または高温水重量1〜14部とすることができる。焙煎コーヒー豆と第2の加水における低温水、中温水、または高温水との比は、本発明の効果を顕著に奏する観点から、態様別に変更することがより好ましい。例えば、態様2−2の場合、焙煎コーヒー豆の乾燥重量1部に対して、第2の加水における低温水、中温水、または高温水重量1〜14部とすることが好ましく、2〜14部とすることがより好ましく、4〜13部とすることがさらに好ましく、8〜10部とすることが最も好ましい。態様2−3の場合、焙煎コーヒー豆の乾燥重量1部に対して、低温水、中温水、または高温水重量1〜14部とすることが好ましく、1〜10部とすることがより好ましく、2〜8部とすることがさらに好ましく、2〜5部とすることが最も好ましい。
第2抽出工程における焙煎コーヒー豆と第3の加水による中温水または高温水との比は、焙煎コーヒー豆の種類や量等により適宜調節されるが、焙煎コーヒー豆の乾燥重量1部に対して、中温水重量1〜14部とすることができる。焙煎コーヒー豆と中温水との比は、本発明の効果を顕著に奏する観点から、焙煎コーヒー豆の乾燥重量1部に対して、中温水または高温水重量2〜14部とすることが好ましく、3〜10部とすることがより好ましく、5〜10部とすることがさらに好ましい。
第2抽出工程における焙煎コーヒー豆と加水量の合計の比は、焙煎コーヒー豆の乾燥重量1部に対して、加水重量1〜30部とすることができる。焙煎コーヒー豆と加水量合計の比は、本発明の効果を顕著に奏する観点から、焙煎コーヒー豆の乾燥重量1部に対して、加水重量5〜30部とすることが好ましく、10〜20部とすることがより好ましい。
第2抽出工程における第1の加水、第2の加水、または第3の加水によって低温水、中温水、または高温水を用いた焙煎コーヒー豆と接触処理時間は、焙煎コーヒー豆の種類や量等により適宜調節され限定はされないが、例えば、1〜120分とすることができ、1〜100分が好ましく、1〜80分がより好ましいく、1〜60分が更に好ましい。
第2抽出工程では、低温水、中温水、または高温水で接触処理することにより、濃厚感を与える成分を抽出することができる。95℃以上で抽出するためには抽出器を加圧する手段を取ることもできる。加圧下に100℃以上の抽出温度とした場合、常圧のみで抽出を行う場合とは異なる独特の風味の抽出液を得ることもできる。低温水または中温水で接触処理した後に続けて高温水を加水する2段階加水または3段階加水の方法によれば、焙煎コーヒー豆の温度は徐々に高まり、種々の香気成分や風味成分がよりバランス良く抽出されることが期待される。
第2抽出工程では、低温水、中温水、または高温水を加水して接触処理した後に抽出液を回収して第2の抽出液を得る。回収は、2段階加水または3段階加水の場合には、第1加水の終了後、第2加水の開始時に同時に行うことが好ましい。
抽出および抽出液の回収は、汎用の抽出器を用いて行うことができるが、ピストンフロー方式の抽出器が好ましい。ピストンフローで水や温水を供給することで、加水温度、加水量、抽出液の温度並びに回収量を正確にコントロールすることが可能である。
第2の抽出液の回収液量(重量)は、焙煎コーヒー豆の種類や量等により適宜調節され制限されないが、例えば、焙煎コーヒー豆の乾燥重量1部に対して、回収重量1〜30部とすることができ、2〜30部とすることが好ましく、3〜30部とすることがより好ましく、3〜20部とすることがさらに好ましい。
第2抽出工程において、低温水、中温水、または高温水の加水方法は、特に制限されない。加水方法は、例えば、焙煎コーヒー豆に対して1つまたは複数のノズルから水または温水を連続的または断続的に直接加水することも可能であり、焙煎コーヒー豆に対して1つまたは複数のノズルから水または温水を連続的または断続的に噴霧して加水することも可能である。
本発明のコーヒー飲料を製造する方法は、第1抽出工程で得た第1抽出液および第2抽出工程で得た第2抽出液を混合してコーヒー抽出液とする混合工程をさらに含む。
第1抽出液を得る第1抽出工程の態様と第2抽出液を得る第2抽出工程の態様とは任意に組み合わせることができる。すなわち、例えば、第1抽出工程の態様1−1で得た第1抽出液を、第2抽出工程の態様2−1で得た第2抽出液または第2抽出工程の態様2−2で得た第2抽出液または第2抽出工程の態様2−3で得た第2抽出液と組み合わせることが可能である。同様にして、第1抽出工程の態様1−2で得た第1抽出液を、第2抽出工程の態様2−1で得た第2抽出液または第2抽出工程の態様2−2で得た第2抽出液または第2抽出工程の態様2−3で得た第2抽出液と組み合わせることが可能である。さらには、第1抽出工程の態様1−3で得た第1抽出液を、第2抽出工程の態様2−1で得た第2抽出液または第2抽出工程の態様2−2で得た第2抽出液または第2抽出工程の態様2−3で得た第2抽出液と組み合わせることが可能である。
第1抽出液の抽出液量と第2抽出液の抽出液量とを混合する重量比率は、焙煎コーヒー豆の種類や量等により適宜調節され制限されないが、総香気量を増大させる観点から、例えば1:0.1〜10とすることができ、1:0.1〜8とすることができ、1:0.2〜6が好ましく、1:0.3〜4がより好ましく、1:0.5〜2が更に好ましい。
第1抽出液および第2抽出液の混合により、香気成分を効率よくコーヒー飲料に含めることが期待でき、更に生産効率を向上させることができる。このような混合抽出液に、さらに任意に別のコーヒー抽出液を加えることもできる。
本発明において、コーヒー飲料を製造する際には、公知の方法により、加熱工程を含めることができる。限定はされないが、コーヒー本来の風味成分や香気成分の揮散を抑制することの観点から、加熱工程はレトルト殺菌によりなされることが好ましい。
コーヒー飲料は、缶コーヒー製品、ペットボトル製品、または紙カップに充填された製品等、公知の方法により、製品化される。また、噴霧乾燥、真空乾燥、凍結乾燥等の公知の乾燥方法により、粉末状のコーヒー製品とすることも可能である。また、濃縮若しくは、デキストリン、アラビアガム等の公知の賦形剤を添加することにより、ペースト状製品とすることも可能である。本発明によるコーヒー飲料は、コーヒー本来の風味成分や香気成分の揮散を抑制することの観点から、容器詰めコーヒー飲料として提供されることが好ましい。
また、コーヒー飲料の製品化においては、香料、牛乳、クリーム、砂糖、乳化剤、シロップ等の公知の成分を添加することが可能である。
コーヒー飲料の製品化においては、無糖コーヒー、加糖コーヒー、ミルクコーヒー、カフェオレ、カフェラテ、エスプレッソ、カプチーノ、キャラメルコーヒー等のコーヒー飲料製品、コーヒー風味のアイスクリーム、ソフトクリームまたはシャーベット等の冷菓製品、コーヒー風味のキャンディ、ゼリー、クラッカー、ビスケット、ケーキ、チョコレート、煎餅、饅頭、パン、チップス等の菓子製品とすることも可能である。本発明によるコーヒー飲料は、コーヒー本来の風味成分や香気成分の揮散を抑制することの観点から、容器詰めブラックコーヒー飲料として提供されることが好ましい。また、本発明によるコーヒー飲料は、コーヒー本来の風味成分や香気成分の揮散を抑制することの観点から、香料無添加として提供されることが好ましい。
[コーヒー飲料の香気を改善する方法]
本発明は、
第1の焙煎コーヒー豆に10℃以上60℃以下の低温水または中温水を1段階または2段階以上加水して接触処理し、抽出液を回収する、第1抽出工程、
第2の焙煎コーヒー豆に30℃以上130℃以下の低温水、中温水、または高温水を1段階または2段階以上加水して接触処理し、抽出液を回収する、第2抽出工程、および、
該第1抽出工程で得られる第1抽出液および該第2抽出工程で得られる第2抽出液を混合する工程
を含むコーヒー飲料の香気を改善する方法に関する。
コーヒー飲料の香気を改善する方法における第1抽出工程での条件および第2抽出工程での条件、およびその他の条件は、上記のコーヒー飲料を製造する方法に準じる。
本発明は、
第1の焙煎コーヒー豆に10℃以上60℃以下の低温水または中温水を1段階または2段階以上加水して接触処理し、抽出液を回収する、第1抽出工程、
第2の焙煎コーヒー豆に30℃以上130℃以下の低温水、中温水、または高温水を1段階または2段階以上加水して接触処理し、抽出液を回収する、第2抽出工程、および、
該第1抽出工程で得られる第1抽出液および該第2抽出工程で得られる第2抽出液を混合する工程
を含むコーヒー飲料の香気を改善する方法に関する。
コーヒー飲料の香気を改善する方法における第1抽出工程での条件および第2抽出工程での条件、およびその他の条件は、上記のコーヒー飲料を製造する方法に準じる。
コーヒー飲料の香気は、総香気量を測定することで評価することができる。総香気量の測定方法は限定されないが、例えば、ガスクロマトグラフィー法を用いて以下の条件で測定することができる。
(1)試料の採取
試料10mlをバイアル瓶に採取し、密栓した。密栓したバイアル瓶を、オートサンプラーTurbo Matrix40(Perkin Elmer製)にて80℃で30分間加温した後サンプリングし、ガスクロマトフィーにて分析を行う。
(2)測定条件
測定装置:GC−2010 PLUS(島津製作所製)
カラム:InertCap WAX 0.32mm×60m
キャリヤーガス:ヘリウム
ガス流量:3ml/min
カラム温度:35℃・2min→45℃・0min(2℃/minにて昇温)→100℃・3min(12℃/minにて昇温)→180℃・2min(12℃/minにて昇温)→225℃・4min(20℃/minにて昇温)
検出器:FID
香気成分は低沸点であり、測定において短い保持時間に認められるピークが該当する。評価の結果は、保持時間が0分〜30分のピークの強度をデータ処理装置により積算し、総ピーク強度として示すことができる。
試料10mlをバイアル瓶に採取し、密栓した。密栓したバイアル瓶を、オートサンプラーTurbo Matrix40(Perkin Elmer製)にて80℃で30分間加温した後サンプリングし、ガスクロマトフィーにて分析を行う。
(2)測定条件
測定装置:GC−2010 PLUS(島津製作所製)
カラム:InertCap WAX 0.32mm×60m
キャリヤーガス:ヘリウム
ガス流量:3ml/min
カラム温度:35℃・2min→45℃・0min(2℃/minにて昇温)→100℃・3min(12℃/minにて昇温)→180℃・2min(12℃/minにて昇温)→225℃・4min(20℃/minにて昇温)
検出器:FID
香気成分は低沸点であり、測定において短い保持時間に認められるピークが該当する。評価の結果は、保持時間が0分〜30分のピークの強度をデータ処理装置により積算し、総ピーク強度として示すことができる。
本明細書において、コーヒー飲料の香気が改善するとは、限定はされないが、総香気量が少なくとも5%増加することをいう。さらに、限定はされないが、従来の工業的な抽出法(例えば95℃の温水と接触処理)と比較した場合に、総香気量が、10%以上増加することが好ましく、50%増加することがさらに好ましく、60%増加することがより好ましく、70%増加することが更に好ましく、80%増加することが更により好ましく、90%増加することが特に好ましく、100%増加することが最も好ましい。
また、コーヒー飲料の香気は、コーヒーの香りとして特徴的な各々の香気成分を測定することで評価することができる。このような香気成分は、特に限定されないが、例えば、2−メチルフラン、アセトアルデヒド、またはアセトン等が挙げられる。各々の香気成分の測定方法は限定されないが、例えば、上記ガスクロマトグラフィー法を用いた条件で各々の香気成分のピーク面積から算出することが可能である。
香気成分として2−メチルフランを測定する場合は、従来の工業的な抽出法(例えば95℃の温水と5分間接触処理)と比較した場合に、総香気量に占める2−メチルフランの含有率が少なくとも、1%増加することが好ましく、2%増加することが好ましく、5%増加することがより好ましく、8%増加することが更に好ましく、10%増加することが特に好ましい。
香気成分としてアセトアルデヒド、またはアセトンを測定する場合は、従来の工業的な抽出法(例えば95℃の温水と5分間接触処理)と比較した場合に、総香気量に占めるアセトアルデヒド、またはアセトンの含有率が少なくとも、1%低下することが好ましく、2%低下することが好ましく、5%低下することがより好ましく、8%低下することが更に好ましく、10%低下することが特に好ましい。
次に、実施例により本発明を具体的に説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。なお、本実施例では、第1抽出工程および第2抽出工程は、それぞれ別々に第1の抽出器および第2の抽出器で行った。
[実施例1]
(1)評価試料の作成
[実施例:1−1]
第1抽出工程
焙煎したコーヒー豆(ブラジル100%、L値=17)の平均粒径1.6mmの粉砕物300gを容量4000ml、ステンレス製の抽出器に仕込み、25℃の低温水1200gを加水して、10分間接触処理を行った。低温水で接触処理されている焙煎コーヒー豆に更に50℃の中温水3500gを加水して、35分間接触処理を行った。中温水の加水と同時に抽出液を抽出器より連続的に回収した。回収したすべての液を第1の抽出液とした。
(1)評価試料の作成
[実施例:1−1]
第1抽出工程
焙煎したコーヒー豆(ブラジル100%、L値=17)の平均粒径1.6mmの粉砕物300gを容量4000ml、ステンレス製の抽出器に仕込み、25℃の低温水1200gを加水して、10分間接触処理を行った。低温水で接触処理されている焙煎コーヒー豆に更に50℃の中温水3500gを加水して、35分間接触処理を行った。中温水の加水と同時に抽出液を抽出器より連続的に回収した。回収したすべての液を第1の抽出液とした。
第2抽出工程
焙煎したコーヒー豆(ブラジル100%、L値=17)の平均粒径1.6mmの粉砕物300gを容量4000ml、ステンレス製の抽出器に仕込み、35℃の中温水1200gを加水して、10分間接触処理を行った。中温水で接触処理されている焙煎コーヒー豆に更に80℃の高温水3500gを加水して、35分間接触処理を行った。高温水の加水と同時に抽出液を抽出器より連続的に回収した。回収したすべての液を第2の抽出液とした。
焙煎したコーヒー豆(ブラジル100%、L値=17)の平均粒径1.6mmの粉砕物300gを容量4000ml、ステンレス製の抽出器に仕込み、35℃の中温水1200gを加水して、10分間接触処理を行った。中温水で接触処理されている焙煎コーヒー豆に更に80℃の高温水3500gを加水して、35分間接触処理を行った。高温水の加水と同時に抽出液を抽出器より連続的に回収した。回収したすべての液を第2の抽出液とした。
第1の抽出液および第2の抽出液をすべて同一の容器に入れて混合し、密閉容器に収納した後加熱殺菌を行い、冷却してコーヒー抽出液である混合抽出液としての(実施例)の評価試料とした。
[実施例:1−2]
第2抽出工程において、95℃の高温水を用いたこと以外は、実施例1−1と同様の条件で評価試料を得た。
第2抽出工程において、95℃の高温水を用いたこと以外は、実施例1−1と同様の条件で評価試料を得た。
[実施例:1−3]
第2抽出工程において、60℃の中温水を用いたこと以外は、実施例1−1と同様の条件で評価試料を得た。
第2抽出工程において、60℃の中温水を用いたこと以外は、実施例1−1と同様の条件で評価試料を得た。
[実施例:1−4]
第2抽出工程において、60℃の中温水および95℃の高温水を用いたこと以外は、実施例1−1と同様の条件で評価試料を得た。
第2抽出工程において、60℃の中温水および95℃の高温水を用いたこと以外は、実施例1−1と同様の条件で評価試料を得た。
[実施例:1−5]
第1抽出工程において、60℃の中温水を用いたこと以外は、実施例1−1と同様の条件で評価試料を得た。
第1抽出工程において、60℃の中温水を用いたこと以外は、実施例1−1と同様の条件で評価試料を得た。
[実施例:1−6]
第1抽出工程において、60℃の中温水を用いたこと以外は、実施例1−2と同様の条件で評価試料を得た。
第1抽出工程において、60℃の中温水を用いたこと以外は、実施例1−2と同様の条件で評価試料を得た。
[実施例:1−7]
第1抽出工程において、60℃の中温水を用いたこと以外は、実施例1−3と同様の条件で評価試料を得た。
第1抽出工程において、60℃の中温水を用いたこと以外は、実施例1−3と同様の条件で評価試料を得た。
[実施例:1−8]
第1抽出工程において、60℃の中温水を用いたこと以外は、実施例1−4と同様の条件で評価試料を得た。
第1抽出工程において、60℃の中温水を用いたこと以外は、実施例1−4と同様の条件で評価試料を得た。
[比較例:コントロールA]
焙煎したコーヒー豆の粉砕物300gを抽出器に仕込み、30℃の低温水900gを加水して、10分間接触処理を行った(焙煎コーヒー豆の種類や、L値、平均粒径は実施例1−1と同様)。直ちに抽出液を抽出器より回収し、第1の抽出液とした。第1の抽出液を回収した後の焙煎コーヒー豆に更に90℃の高温水900gを加水して、10分間接触処理を行った。直ちに抽出液を抽出器より回収し、第2の抽出液とした。抽出中のコーヒー豆と温水の混合物の温度は約50℃であった。第2の抽出液を回収した後の焙煎コーヒー豆にさらに90℃の高温水2100gを加水して、20分間接触処理を行った。直ちに抽出液を抽出器より回収して第3の抽出液とした。
焙煎したコーヒー豆の粉砕物300gを抽出器に仕込み、30℃の低温水900gを加水して、10分間接触処理を行った(焙煎コーヒー豆の種類や、L値、平均粒径は実施例1−1と同様)。直ちに抽出液を抽出器より回収し、第1の抽出液とした。第1の抽出液を回収した後の焙煎コーヒー豆に更に90℃の高温水900gを加水して、10分間接触処理を行った。直ちに抽出液を抽出器より回収し、第2の抽出液とした。抽出中のコーヒー豆と温水の混合物の温度は約50℃であった。第2の抽出液を回収した後の焙煎コーヒー豆にさらに90℃の高温水2100gを加水して、20分間接触処理を行った。直ちに抽出液を抽出器より回収して第3の抽出液とした。
第1の抽出液、第2の抽出液、および第3の抽出液は分離することなく同一の容器に採取し、密閉容器に収納した後加熱殺菌を行い、冷却してコーヒー抽出液である混合抽出液としての(コントロールA)の評価試料とした。コントロールAの条件は、焙煎コーヒー豆に3種類の温度帯の水または温水を接触処理させ、温度帯毎に3回の抽出を行った比較例である。
[比較例:コントロールB]
焙煎したコーヒー豆の粉砕物300gを抽出器に仕込み、95℃の高温水3000gを加水して、30分間接触処理を行った(焙煎コーヒー豆の種類や、L値、平均粒径は実施例1−1と同様)。抽出液を抽出器より取り出して容器に採取し、密閉容器に収納した後加熱殺菌を行い、冷却してコーヒー抽出液(コントロールB)の評価試料とした。コントロールBの条件は、従来の工業的な抽出法に基づく比較例である。
焙煎したコーヒー豆の粉砕物300gを抽出器に仕込み、95℃の高温水3000gを加水して、30分間接触処理を行った(焙煎コーヒー豆の種類や、L値、平均粒径は実施例1−1と同様)。抽出液を抽出器より取り出して容器に採取し、密閉容器に収納した後加熱殺菌を行い、冷却してコーヒー抽出液(コントロールB)の評価試料とした。コントロールBの条件は、従来の工業的な抽出法に基づく比較例である。
(2)総香気量の評価
実施例の評価試料と比較例の評価試料(コントロールAおよびB)について、ガスクロマトグラフィー法を用いて香気成分の総量を測定することにより比較を行った。各実施例および比較例の評価試料は、Brix値を1.2に調製して用いた。
実施例の評価試料と比較例の評価試料(コントロールAおよびB)について、ガスクロマトグラフィー法を用いて香気成分の総量を測定することにより比較を行った。各実施例および比較例の評価試料は、Brix値を1.2に調製して用いた。
[試料の採取条件]
上述の(実施例)評価試料10mlをバイアル瓶に採取し、密栓した。密栓したバイアル瓶を、オートサンプラーTurbo Matrix40(Perkin Elmer製)にて80℃で30分間加温した後サンプリングし、ガスクロマトフィーにて分析を行った。
上述の(実施例)評価試料10mlをバイアル瓶に採取し、密栓した。密栓したバイアル瓶を、オートサンプラーTurbo Matrix40(Perkin Elmer製)にて80℃で30分間加温した後サンプリングし、ガスクロマトフィーにて分析を行った。
[測定条件]
測定装置:GC−2010 PLUS(島津製作所製)
カラム:InertCap WAX 0.32mm×60m
キャリヤーガス:ヘリウム
ガス流量:3ml/min
カラム温度:35℃・2min→45℃・0min(2℃/minにて昇温)→100℃・3min(12℃/minにて昇温)→180℃・2min(12℃/minにて昇温)→225℃・4min(20℃/minにて昇温)
検出器:FID
測定装置:GC−2010 PLUS(島津製作所製)
カラム:InertCap WAX 0.32mm×60m
キャリヤーガス:ヘリウム
ガス流量:3ml/min
カラム温度:35℃・2min→45℃・0min(2℃/minにて昇温)→100℃・3min(12℃/minにて昇温)→180℃・2min(12℃/minにて昇温)→225℃・4min(20℃/minにて昇温)
検出器:FID
香気成分は低沸点であり、測定において短い保持時間に認められるピークがこれに該当する。評価の結果は、保持時間が0分〜30分のピークの強度をデータ処理装置により積算し、総ピーク強度とした。表1において、各評価試料の総香気量を、コントロールAを100%として、相対的に%で示した。
[実施例2]
(1)評価試料の作成
[実施例2−1]
第1抽出工程
焙煎したコーヒー豆(ブラジル100%、L値=17)の平均粒径1.6mmの粉砕物300gを容量4000ml、ステンレス製の抽出器に仕込み、25℃の低温水1200gを加水して、10分間接触処理を行った。低温水で接触処理されている焙煎コーヒー豆に更に30℃の低温水1200gを加水して、10分間接触処理を行った。次に60℃の中温水2500gを加水して、25分間接触処理を行った。30℃の低温水の加水と同時に抽出液を抽出器より連続的に回収した。回収したすべての液を第1の抽出液とした。
(1)評価試料の作成
[実施例2−1]
第1抽出工程
焙煎したコーヒー豆(ブラジル100%、L値=17)の平均粒径1.6mmの粉砕物300gを容量4000ml、ステンレス製の抽出器に仕込み、25℃の低温水1200gを加水して、10分間接触処理を行った。低温水で接触処理されている焙煎コーヒー豆に更に30℃の低温水1200gを加水して、10分間接触処理を行った。次に60℃の中温水2500gを加水して、25分間接触処理を行った。30℃の低温水の加水と同時に抽出液を抽出器より連続的に回収した。回収したすべての液を第1の抽出液とした。
第2抽出工程
焙煎したコーヒー豆(ブラジル100%、L値=17)の平均粒径1.6mmの粉砕物300gを容量4000ml、ステンレス製の抽出器に仕込み、30℃の低温水1200gを加水して、10分間接触処理を行った。さらに、30℃の低温水1200gを加水して、10分間接触処理を行った。中温水で接触処理されている焙煎コーヒー豆に更に80℃の高温水2500gを加水して、25分間接触処理を行った。2回目の30℃の低温水の加水と同時に抽出液を抽出器より連続的に回収した。回収したすべての液を第2の抽出液とした。
焙煎したコーヒー豆(ブラジル100%、L値=17)の平均粒径1.6mmの粉砕物300gを容量4000ml、ステンレス製の抽出器に仕込み、30℃の低温水1200gを加水して、10分間接触処理を行った。さらに、30℃の低温水1200gを加水して、10分間接触処理を行った。中温水で接触処理されている焙煎コーヒー豆に更に80℃の高温水2500gを加水して、25分間接触処理を行った。2回目の30℃の低温水の加水と同時に抽出液を抽出器より連続的に回収した。回収したすべての液を第2の抽出液とした。
第1の抽出液および第2の抽出液をすべて同一の容器に入れて混合し、密閉容器に収納した後加熱殺菌を行い、冷却してコーヒー抽出液である混合抽出液を評価試料とした。
[実施例2−2〜実施例2−60]
第1抽出工程および第2抽出工程の処理温度を以下の表2の通りにした以外は、実施例2−1と同様の条件で評価試料を得た。
第1抽出工程および第2抽出工程の処理温度を以下の表2の通りにした以外は、実施例2−1と同様の条件で評価試料を得た。
さらに、実施例1と同様にして総香気量を測定し、表2において、各評価試料のコントロールA(100%)に対する総香気量の相対値(%)およびいくつかの実施例において、コントロールB(100%)に対する総香気量の相対値(%)を求めた。
表に示すように、実施例の条件では、比較例の条件(コントロールAまたはコントロールB)に対して、得られたコーヒー抽出液における総香気量が顕著に増加しており、優れた風味を有していることが確認された。すなわち、この結果により、焙煎コーヒー豆に1つの温度帯の水または温水を接触処理させ、回収を行う方法と比較して、あるいは、焙煎コーヒー豆に3種類の温度帯の水または温水を接触処理させ、温度帯毎に3段階抽出液の回収を行うことと比較して、2段階または3段階の加水を含む第1抽出工程および2段階または3段階の加水を含む第2抽出工程によって得られる第1の抽出液と第2の抽出液とを混合した方法では、総香気量が増加することが確認された。
(2)香気成分の評価
実施例2の試料のうち、いくつかの試料について、総香気量測定と同じガスクロマトグラフィー法の結果から、2−メチルフラン、アセトアルデヒド、またはアセトンについて、各香気成分のピーク面積をGC−2010 PLUSに付属の制御ソフトウエアにて算出した。実施例2における各香気成分のピーク面積が、比較例の条件(コントロールAまたはコントロールB:それぞれを100%とする)と比べて、どの程度増減しているかを求めた。その結果を表3に示す。
実施例2の試料のうち、いくつかの試料について、総香気量測定と同じガスクロマトグラフィー法の結果から、2−メチルフラン、アセトアルデヒド、またはアセトンについて、各香気成分のピーク面積をGC−2010 PLUSに付属の制御ソフトウエアにて算出した。実施例2における各香気成分のピーク面積が、比較例の条件(コントロールAまたはコントロールB:それぞれを100%とする)と比べて、どの程度増減しているかを求めた。その結果を表3に示す。
表3に示すように、実施例2では、比較例の条件(コントロールA)に対して、得られたコーヒー抽出液における2−メチルフランの面積割合が増加し、且つアセトアルデヒドおよび/またはアセトンの面積割合が低下する明らかな傾向が確認された。また、実施例2では、比較例の条件(コントロールB)に対して、得られたコーヒー抽出液における2−メチルフランの面積割合が顕著に増加し、且つアセトアルデヒドおよび/またはアセトンの面積割合が顕著に低下することが確認された。本発明を用いることにより、コーヒー抽出液における香気成分のバランスが変化し、香気に優れたコーヒー飲料を提供することが可能となる。
(3)官能評価
実施例2−3および実施例2−47の試料と比較例の評価試料(条件:コントロールA)について、専門パネラーによる官能評価により比較を行った。
試料については、具体的には、上記の実施例および比較例(コントロールA)で得られたコーヒー抽出液の評価試料を缶容器に充填密封し、加熱殺菌(レトルト殺菌)後、10℃以下に冷却してから評価を行った。
その結果を表4および表5に示す。
実施例2−3および実施例2−47の試料と比較例の評価試料(条件:コントロールA)について、専門パネラーによる官能評価により比較を行った。
試料については、具体的には、上記の実施例および比較例(コントロールA)で得られたコーヒー抽出液の評価試料を缶容器に充填密封し、加熱殺菌(レトルト殺菌)後、10℃以下に冷却してから評価を行った。
その結果を表4および表5に示す。
表4および表5に示すように、実施例2−3および実施例2−47のいずれかが、それぞれ比較例よりも好みであるとした専門パネラーが多いことが確認された。
Claims (6)
- 焙煎コーヒー豆に対して水または温水を加えて抽出し、コーヒー飲料を製造する方法であって、
第1の未抽出の焙煎コーヒー豆に25℃以上30℃以下の低温水を少なくとも1段階加水して接触処理し、さらに、30℃超過60℃以下の中温水を少なくとも1段階加水して接触処理して抽出液を回収する、第1抽出工程であって、該接触処理時間のそれぞれが、10〜35分であり、該第1抽出工程における焙煎コーヒー豆と加水量の合計との比が、前記焙煎コーヒー豆の乾燥重量1部に対して、重量10〜20部である第1抽出工程、
第2の未抽出の焙煎コーヒー豆に30℃以上60℃以下の低温水または中温水を少なくとも1段階加水して接触処理し、さらに、60℃超過130℃以下の高温水を少なくとも1段階加水して接触処理して抽出液を回収する、第2抽出工程であって、該接触時間のそれぞれが、10〜35分であり、該第2抽出工程における焙煎コーヒー豆と加水量の合計との比が、前記焙煎コーヒー豆の乾燥重量1部に対して、重量10〜20部である第2抽出工程、および
該第1抽出工程で得られる第1抽出液および該第2抽出工程で得られる第2抽出液を混合する工程
を含み、
該第1抽出工程と第2抽出工程とが異なる抽出器で行われ、
該第1抽出工程での未抽出の焙煎コーヒー豆および該第2抽出工程での未抽出の焙煎コーヒー豆が同じ種類のコーヒー豆である、
コーヒー飲料を製造する方法。 - 請求項1記載のコーヒー飲料を製造する方法であって、
前記第1の抽出工程が、2段階加水の態様であり、第1の加水として、第1の未抽出の焙煎コーヒー豆に、25℃以上30℃以下の範囲に含まれる1つの温度の低温水を加水する第1の加水後、30℃超過60℃以下の範囲に含まれる1つの温度の中温水を加水する第2の加水を行うことを含む、
コーヒー飲料を製造する方法。 - 請求項1または2記載のコーヒー飲料を製造する方法であって、
前記第2の抽出工程が、2段階加水の態様であり、第1の加水として、第2の未抽出の焙煎コーヒー豆に、30℃以上60℃以下の範囲に含まれる1つの温度の低温水または中温水を加水する第1の加水後、60℃超過130℃以下の範囲に含まれる1つの温度の高温水を加水する第2の加水を行うことを含む、
コーヒー飲料を製造する方法。 - 請求項1記載のコーヒー飲料を製造する方法であって、
前記第1の抽出工程が、3段階加水の態様であり、第1の加水として、第1の未抽出の焙煎コーヒー豆に、25℃以上30℃以下の範囲に含まれる1つの温度の低温水を加水する第1の加水、30℃超過60℃以下の範囲に含まれる1つの温度の中温水を加水する第2の加水、および第2の加水とは異なる温度の40℃以上60℃以下の中温水を加水する第3の加水を行うことを含む、
コーヒー飲料を製造する方法。 - 請求項1、2または4記載のコーヒー飲料を製造する方法であって、
前記第2の抽出工程が、3段階加水の態様であり、第1の加水として、第2の未抽出の焙煎コーヒー豆に、30℃以上60℃以下の範囲に含まれる1つの温度の低温水または中温水を加水する第1の加水、第1の加水とは異なる温度の30℃超過60℃以下の範囲に含まれる1つの温度の中温水を加水する第2の加水、および60℃超過130℃以下の高温水を加水する第3の加水を行うことを含む、
コーヒー飲料を製造する方法。 - コーヒー飲料の香気を改善する方法であって、
第1の未抽出の焙煎コーヒー豆に25℃以上30℃以下の低温水を少なくとも1段階加水して接触処理し、さらに、30℃超過60℃以下の中温水を少なくとも1段階加水して接触処理して抽出液を回収する、第1抽出工程であって、該接触処理時間のそれぞれが、10〜35分であり、該第1抽出工程における焙煎コーヒー豆と加水量の合計との比が、前記焙煎コーヒー豆の乾燥重量1部に対して、重量10〜20部である第1抽出工程、
第2の未抽出の焙煎コーヒー豆に30℃以上60℃以下の低温水または中温水を少なくとも1段階加水して接触処理し、さらに、60℃超過130℃以下の高温水を少なくとも1段階加水して接触処理して抽出液を回収する、第2抽出工程であって、該接触時間のそれぞれが、10〜35分であり、該第2抽出工程における焙煎コーヒー豆と加水量の合計との比が、前記焙煎コーヒー豆の乾燥重量1部に対して、重量10〜20部である第2抽出工程、および、
該第1抽出工程で得られる第1抽出液および該第2抽出工程で得られる第2抽出液を混合する工程
を含み、
該第1抽出工程と第2抽出工程とが異なる抽出器で行われ、
該第1抽出工程での未抽出の焙煎コーヒー豆および該第2抽出工程での未抽出の焙煎コーヒー豆が同じ種類のコーヒー豆である、
該香気の改善が、該コーヒー抽出液における総香気量の増加によりもたらされる、コーヒー飲料の香気を改善する方法。
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