JP6767748B2 - 容器詰めコーヒー飲料およびその製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は容器詰めコーヒー飲料およびその製造方法に関する。
コーヒーは焙煎されたコーヒー豆を抽出することによって調製される嗜好性飲料であり、その独特の苦味と中枢神経興奮作用に由来する爽快感と疲労回復効果により、茶と並んで古来より広く人々に飲用されている。他の飲料と同様、コーヒーも消費者の嗜好やニーズを的確に捉えるべく、様々な商品が開発され、提供されている。そのような中、近年、浅煎りコーヒー豆を使用したコーヒーショップが話題を集めており、その特徴的な香りから「サードウェーブコーヒー」と呼ばれている。
しかし、浅煎りコーヒーに関しては、浅煎りコーヒー豆抽出液に含まれる特定成分に着目したコーヒー飲料が報告されるのみであり(例えば、特許文献1および2参照)、容器詰めされた浅煎りコーヒー飲料についてはこれまで市販ないし報告はなされていない。
特開2014−183777号公報 特開2014−187928号公報
通常の容器詰めコーヒー飲料の製造工程では、微生物増殖抑制のために加熱殺菌処理が行われる。本発明者らは、浅煎りコーヒー豆抽出液を加熱殺菌処理して容器詰めコーヒー飲料を試験製造したところ、製造された飲料が強烈かつ不快な特有の酸味を呈し、飲料として不適切な香味を呈することを見出した。
本発明者らは鋭意検討を行い、浅煎りコーヒー豆抽出液に対して、1−メチルピロール含量が低減された深煎りコーヒー豆抽出液を併用することで浅煎りコーヒー豆抽出液に特有の香味を維持しつつ上記の強烈かつ不快な酸味を効果的に抑制できることを見出した。
すなわち、本発明は、浅煎りコーヒー豆抽出液に特有の香味が感じられ、飲料として許容される風味を有する容器詰めコーヒー飲料およびその製造方法を提供することを目的とする。
本発明によれば以下の発明が提供される。
(1)容器詰めコーヒー飲料の製造方法であって、L値が25以上の焙煎コーヒー豆のコーヒー抽出液(抽出液A)と、L値が25未満の焙煎コーヒー豆のコーヒー抽出液(抽出液B)とを混合する工程を含んでなり、かつ、抽出液Bが1−メチルピロール含量が低減された抽出液である、製造方法。
(2)抽出液Bが、L値が18.5未満のコーヒー豆のコーヒー抽出液である、上記(1)に記載の製造方法。
(3)1−メチルピロールの低減処理が、加熱処理、吸着処理および減圧処理からなる群から選択される、上記(1)または(2)に記載の製造方法。
(4)抽出液Bの1−メチルピロール含量が、1−メチルピロール低減未処理抽出液の1−メチルピロール含量の90%以下である、上記(1)〜(3)のいずれかに記載の製造方法。
(5)抽出液Aと抽出液Bとを固形分換算値で1:0.2〜1:5の配合比で混合する、上記(1)〜(4)のいずれかに記載の製造方法。
(6)製造されたコーヒー飲料の、1−メチルピロールに対するフルフラールのGC/MSのチャート面積比が2以上である、上記(1)〜(5)のいずれかに記載の製造方法。
(7)加熱殺菌処理工程をさらに含んでなる、上記(1)〜(6)のいずれかに記載の製造方法。
(8)飲料のL値が60以下であり、かつ、1−メチルピロールに対するフルフラールのGC/MSのチャート面積比が2以上である、容器詰めコーヒー飲料。
(9)1−メチルピロールに対するフルフラールのGC/MSのチャート面積比が3.5〜10.0の範囲内である、上記(8)に記載の容器詰めコーヒー飲料。
(10)着色成分を実質的に含まない、上記(8)または(9)に記載の容器詰めコーヒー飲料。
本発明によれば、浅煎りコーヒー豆抽出液に特有の香味が感じられ、飲料として許容される風味を有するコーヒー飲料を容器詰め飲料の形態で提供できる点で有利である。
発明の具体的説明
本発明の製造方法は、2種以上のコーヒー抽出液を混合することを特徴とする。2種以上のコーヒー抽出液のうち少なくとも一つのコーヒー抽出液はL値が25以上の焙煎コーヒー豆のコーヒー抽出液(抽出液A)であり、少なくとも一つのコーヒー抽出液はL値が25未満の焙煎コーヒー豆のコーヒー抽出液(抽出液B)である。
抽出液Aは浅煎りコーヒー豆を抽出して得られた抽出液であり、使用するコーヒー豆はL値が25以上(例えば、25〜40)の焙煎コーヒー豆である。抽出液Bは深煎りコーヒー豆を抽出して得られた抽出液であり、使用するコーヒー豆はL値が25未満(例えば、14以上25未満)のコーヒー豆であり、好ましくはL値が18.5未満(例えば、14以上18.5未満)のコーヒー豆である。ここで、L値は焙煎コーヒーの焙煎度の指標であり、例えば、日本電色工業社製の色差計により測定することができる。後述のように、本発明では焙煎度の異なるコーヒー豆を複数種混合してもよいが、この場合のコーヒー豆のL値は混合・粉砕した後、上記の方法で算出することができる。
本発明において、コーヒー抽出液を得るのに用いられるコーヒー豆の種類は特に限定されないが、例えば、ブラジル、コロンビア、タンザニア、モカ、キリマンジャロ、マンデリン、ブルーマウンテン、ベトナムが挙げられ、これらの1種または2種以上をブレンドして用いても良い。コーヒー豆種としては、例えば、アラビカ種、ロブスタ種があり、特に豆種は限定されないが、浅煎りコーヒーとして使用するものとしては優れた香気の観点からアラビカ種が好ましい。コーヒー豆は1種でもよいし、複数種をブレンドして用いても良い。コーヒー豆を焙煎により焙煎コーヒーとする方法については、本発明において規定されるL値を満たす限り特に限定されるものではなく、焙煎温度、焙煎環境についても限定されない。焙煎方法としては直火式、熱風式、半熱風式などが挙げられる。
本発明の製造方法では、抽出液Bは1−メチルピロールが低減された抽出液であることを特徴とする。後記実施例に示されるように、浅煎りコーヒー豆抽出液(抽出液A)に対して、1−メチルピロール含量が低減された深煎りコーヒー豆抽出液(抽出液B)を併用することで浅煎りコーヒー豆抽出液特有の香味を維持しつつ上記の強烈かつ不快な酸味を抑制することができる。
抽出液Bの1−メチルピロール含量は、抽出液Bを抽出液Aと併用したときに浅煎りコーヒー豆抽出液特有の香味を維持しつつ上記の強烈かつ不快な酸味を抑制できる程度に低減されている限り特に限定されないが、例えば、1−メチルピロール低減処理がなされていない抽出液B(本明細書中、「1−メチルピロール低減未処理抽出液」ということがある)の1−メチルピロール含量の90%以下(1−メチルピロール低減率が10%以上)にすることができ、好ましくは、1−メチルピロール低減未処理抽出液の1−メチルピロール含量の70%以下(1−メチルピロール低減率が30%以上)、より好ましくは50%以下(1−メチルピロール低減率が50%以上)、さらに好ましくは30%以下(1−メチルピロール低減率が70%以上)とすることができる。
抽出液Bの1−メチルピロール含量の低減方法は特に限定されないが、例えば、加熱処理、吸着処理および減圧処理が挙げられる。
1−メチルピロールを低減するための加熱処理に関し、加熱の程度と継続時間は1−メチルピロールの低減の程度や抽出液の量に応じて適宜設定できるが、例えば、コーヒー抽出液を75〜95℃で1〜2時間加熱することで実施することができる。コーヒー抽出液は噴霧乾燥(スプレードライ)により乾燥粉末にすることができるが、噴霧乾燥は通常100〜200℃の熱風の元で実施されるため、噴霧乾燥により得られたコーヒー抽出液の乾燥粉末は1−メチルピロール含量が低減されており、本発明では溶媒に溶解させるか、あるいは、そのままの状態で、抽出液Bとして使用することができる。
1−メチルピロールを低減するための減圧処理に関し、減圧の程度と継続時間は1−メチルピロールの低減の程度や抽出液の量に応じて適宜設定できるが、例えば、減圧時の圧力は0.1〜1mmHg(好ましくは0.2〜0.5mmHg)とすることができ、減圧の継続時間は10時間以上(好ましくは20時間以上)とすることができる。コーヒー抽出液は真空凍結乾燥(フリーズドライ)により乾燥粉末にすることができるが、凍結乾燥を真空下で実施することでコーヒー抽出液は減圧処理に付されるため、真空凍結乾燥により得られたコーヒー抽出液の乾燥粉末は1−メチルピロール含量が低減されており、本発明では溶媒に溶解させるか、あるいは、そのままの状態で、抽出液Bとして使用することができる。
1−メチルピロールを低減するための吸着処理はコーヒー抽出液を活性炭、イオン交換樹脂および活性白土からなる群から選択される1種または2種以上の吸着剤と接触させることで実施することができる。上記吸着剤のうち、活性炭は1−メチルピロールを選択に吸着できるため、好ましくは、活性炭を吸着剤として用いることができる。
本発明において、コーヒー抽出液は、一般的な方法(例えば、「最新・ソフトドリンクス」(光琳)を参照)により抽出することができる。コーヒー、例えば焙煎したコーヒー豆から各種方法により得られる抽出液(いわゆるレギュラーコーヒー)のほか、コーヒーから抽出した成分を含有する液体がすべて包含され、例えば、コーヒー焙煎豆の冷水、温水、熱水、加圧熱水による抽出液や、プロピレングリコール水溶液、ショ糖脂肪酸エステル等の食品添加物として許容されている界面活性剤の水溶液による抽出液、炭酸ガス等の臨界抽出により得られた抽出液、インスタントコーヒーの溶解液等も包含される。コーヒー抽出液は上述したいずれであってもよいが、コーヒー抽出液は、好ましい態様によれば、焙煎したコーヒー豆を熱水(例えば、コーヒー豆の10倍量)で抽出した後、冷却してコーヒー抽出液とすることが好ましい。また、コーヒー豆からの抽出方法については、特に限定されず、例えば、ボイリング式、エスプレッソ式、サイフォン式、ドリップ式(例えば、ペーパー、ネル)が挙げられる。100gの抽出液を調製するために用いられるコーヒーの焙煎豆量は、例えば、5〜50gとすることができ、好ましくは10〜20gである。
コーヒーの抽出は、例えば、焙煎コーヒー豆またはその粉砕物を水(20℃〜100℃)で5〜100分かけて抽出することにより実施できる。この場合、浅煎りコーヒー豆の風味をより引き立てるため、抽出液Aはブリックス値(Brix)が0.2〜3.0(好ましくは0.4〜2.0)の範囲になるよう抽出を行うことができる。また、浅煎りコーヒー豆特有の風味を阻害せず、製造された飲料の酸味増強を抑制するため、抽出液Bは抽出液Aのブリックス値(Brix)と同等になるよう、すなわち、ブリックス値が0.2〜3.0(好ましくは0.4〜2.0)の範囲になるよう抽出を行うことができる。なお、ブリックス値(Brix)は固形成分の含有割合の指標であり、対象組成物100g当たりの固形分質量(g)の割合で示される。
本発明の製造方法における抽出液Aおよび抽出液Bの抽出度合いや混合する際の液量は、製造されたコーヒー飲料に浅煎りコーヒー豆特有の香味が感じられ、飲料として許容される風味が認められる限り特に限定されない。敢えて例示をすれば、抽出液Aと抽出液Bを固形分換算値で1:0.2〜1:5(好ましくは1:0.5〜1:2)の配合比(質量比)となるよう抽出液Aおよび抽出液Bを準備し、両者を混合することで本発明を実施できる。固形分換算値は下記式により算出される。
Figure 0006767748
本発明の製造方法では本発明の効果が奏される限り、抽出液Aおよび抽出液Bは乾燥粉末を原料に使用して準備することができる。特に、本発明の製造方法で使用される抽出液Bは1−メチルピロールの低減処理のため抽出液Bは噴霧乾燥あるいは真空凍結乾燥により得られた乾燥粉末を原料に用いることができる。乾燥粉末を原料として抽出液Bを準備する場合には乾燥粉末を水に溶解させて抽出液Bとし、これを抽出液Aと混合することができ、あるいは、乾燥粉末をそのまま抽出液Aと混合してもよい。後者の場合、乾燥粉末を溶解させるための水を混合工程の前または後に、あるいは混合工程と同時に、添加することができ、このような態様も本発明の製造方法に包含されるものとする。
本発明の製造方法により製造された容器詰めコーヒー飲料の、1−メチルピロールに対するフルフラールのGC/MSのチャート面積比は2以上であり、好ましくは3.5以上である。また、本発明の製造方法により製造された容器詰めコーヒー飲料の、1−メチルピロールに対するフルフラールのGC/MSのチャート面積比は好ましくは10.0以下である。ガスクロマトグラフィー/マススペクトロメーター(GC/MS)による分析・測定の方法および条件は実施例1に記載されるとおりである。
本発明の製造方法により製造された容器詰めコーヒー飲料のL値(液色)はブラックコーヒーの場合、60以下(好ましくは55以下)とすることができ、また、25以上(好ましくは30以上、より好ましくは35以上)とすることができる。本発明の製造方法により製造された容器詰めコーヒー飲料が乳入りコーヒーの場合のL値は、牛乳や脱脂粉乳などの乳性分を添加していない場合のL値を指し、上記のようなブラックコーヒーと同様のL値を取ることができる。
本発明の製造方法により製造された容器詰めコーヒー飲料のpHはブラックコーヒーの場合、約5.6〜約6.4の範囲内とすることができ、乳入りコーヒーの場合、約6.2〜約7.0の範囲内とすることができる。pHの調整は後述するpH調整剤や酸味料を添加することにより行うことができる。
本発明の製造方法は2種以上のコーヒー抽出液を混合すること以外は通常の容器詰めコーヒー飲料の製造方法に従って実施することができる。
本発明の製造方法では、上述のコーヒー抽出液に加えて、乳、乳脂肪、乳化剤、砂糖などの糖類、食物繊維、pH調整剤、香料、甘味料、保存料、酸味料、酸化防止剤、増粘安定剤、強化剤などの食品素材および食品添加物を加えてもよい。乳化剤としては、例えば、ショ糖脂肪酸エステル、グリセリン脂肪酸エステルが挙げられる。添加時期はコーヒー抽出物の混合と同時であっても、その前後であってもよい。
本発明の製造方法では、PET容器、ボトル缶、または紙パックなどの容器に充填する工程を有していてもよい。PET容器、ボトル缶、または紙パックに充填する工程は、無菌状態で行うことが好ましい。また、PET容器、ボトル缶、または紙パックに充填する工程は、加熱殺菌(例えば、UHT殺菌)後に行うことが好ましい。加熱殺菌は、例えば、120℃で4分の加熱処理により行うことができる。
本発明の別の面によれば、L値が60以下であり、かつ、1−メチルピロールに対するフルフラールのGC/MSのチャート面積比が2以上である、容器詰めコーヒー飲料が提供される。
本発明の容器詰めコーヒー飲料のL値はブラックコーヒーの場合、60以下(好ましくは55以下)とすることができ、また、25以上(好ましくは30以上、より好ましくは35以上)とすることができる。また、本発明の容器詰めコーヒー飲料が乳入りコーヒーの場合のL値は、牛乳や脱脂粉乳などの乳性分を添加していない場合のL値を指し、上記のようなブラックコーヒーと同様のL値を取ることができる。
本発明の容器詰めコーヒー飲料の1−メチルピロールに対するフルフラールのGC/MSのチャート面積比は好ましくは3.5〜10.0とすることができる。
本発明の容器詰めコーヒー飲料の構成成分や製造手順は前記の製造方法に関する記載に従って決定することができる。
本発明の容器詰めコーヒー飲料は浅煎りコーヒー豆特有の香気が感じられる一方で、濃い液色を有する。この液色は深煎りコーヒー抽出液を併用することによりもたらされるものであり、色素や着色料などの着色成分の添加によらない。従って、本発明の容器詰めコーヒー飲料は着色成分を実質的に含まないものとすることができる。着色成分としては食品添加物として許容される着色成分が挙げられ、コーヒーの濃い液色を達成する着色成分としては、例えば、カラメル色素、炭末色素、植物性色素が挙げられる。
本発明によれば液色が濃い浅煎りコーヒー風味の容器詰めコーヒー飲料が提供される。容器詰めコーヒーのユーザーは一般的に濃い液色を好むといわれていることから、本発明の容器詰め飲料はこのようなユーザーの要求を満たすものであり、この点でも有利である。
以下の例に基づいて本発明をより具体的に説明するが、本発明はこれらの例に限定されるものではない。
実施例1:コーヒー飲料の調製並びにその分析および官能評価
(1)サンプル飲料の調製
2種のコーヒー豆抽出液(以下、2種のコーヒー豆抽出液をそれぞれ「Aパーツ」および「Bパーツ」という)を混合してサンプル飲料を調製した。なお、AパーツおよびBパーツはそれぞれ各抽出液中の可溶性固形分(Brix値)が同等(1.0Bx°)となるように抽出・加水し、これらを同量ずつ混合した後、120℃で4分の加熱殺菌処理に付した。
(i)試験例1(対照)
浅煎りコーヒー豆を粉砕して得られた粉末100gと40℃の水300mLを用いて、プレス式抽出でコーヒーを抽出し、得られた抽出液(以下「浅煎り豆抽出液I」という)をAパーツとして使用した。試験例1は対照としてBパーツは使用せずAパーツのみとした(1.0Bx°)。
(ii)試験例2
浅煎り豆抽出液IをAパーツとして使用した。浅煎りコーヒー豆を粉砕して得られた粉末100gと90℃の熱水1Lを用いて、ドリップ式抽出でコーヒーを抽出し、得られた抽出液(以下「浅煎り豆抽出液II」という)をBパーツとして使用した。AパーツとBパーツを100mLずつ混合したものを試験例2とした。
(iii)試験例3
浅煎り豆抽出液IをAパーツとして使用した。中煎りコーヒー豆を粉砕して得られた粉末100gと90℃の熱水1Lを用いて、ドリップ式抽出でコーヒーを抽出し、得られた抽出液(以下「中煎り豆抽出液」という)をBパーツとして使用した。AパーツとBパーツを100mLずつ混合したものを試験例3とした。
(iv)試験例4
浅煎り豆抽出液IをAパーツとして使用した。深煎りコーヒー豆を粉砕して得られた粉末100gと90℃の熱水1Lを用いて、ドリップ式抽出でコーヒーを抽出し、得られた抽出液(以下「深煎り豆抽出液」という)をBパーツとして使用した。AパーツとBパーツを100mLずつ混合したものを試験例4とした。
(v)試験例5
浅煎り豆抽出液IをAパーツとして使用した。深煎りコーヒー豆を原料にスプレードライ方式により製造されたインスタントコーヒー粉末(LAGEADO、COMPANHIA CACIQUE DE CAFE SOLUVEL社製)1gを90℃の熱水100mLに溶解して得られた抽出液(以下「加熱処理深煎り豆抽出液I」という)をBパーツとして使用した。AパーツとBパーツを100mLずつ混合したものを試験例5とした。
(vi)試験例6
浅煎り豆抽出液IをAパーツとして使用した。深煎りコーヒー豆を原料にスプレードライ方式により製造されたインスタントコーヒー粉末(イグアスSD、CIA. IGUACU DE CAFE SOLUVEL社製)1gを90℃の熱水100mLに溶解して得られた抽出液(以下「加熱処理深煎り豆抽出液II」という)をBパーツとして使用した。AパーツとBパーツを100mLずつ混合したものを試験例6とした。
なお、インスタントコーヒー粉末の製造(スプレードライ方式)に当たっては、コーヒー豆抽出液を粉末化する際に加熱処理が行われており、それにより、上記加熱処理深煎りコーヒー豆抽出液中においては1−メチルピロールが低減されている。
(2)コーヒー豆およびサンプル飲料のL値の測定
各サンプル飲料に使用されたコーヒー豆のL値については、日本電色社製の測色色差計(SpectroColorMeterSA2000)を用いて測定を行った。また、各サンプル飲料のL値については、コニカミノルタ社製の測色色差計(スペクトロフォトメーターCM-5)を用いて測定を行った。その結果は表3に示す。
(3)サンプル飲料のチャート面積比の測定
各サンプル飲料におけるフルフラールと1−メチルピロールのGC/MSのチャート面積比は以下の条件で測定を行って算出した。
[GC/MS分析条件]
対象試料を20mL容バイアルに10mL分注し、HS−GC/MSを用いて下記表1および表2の条件にて分析を行った。その中から、フルフラールはm/z96を代表イオンとして、1−メチルピロールはm/z81を代表イオンとしてピーク面積を算出した。
Figure 0006767748
Figure 0006767748
各サンプル飲料の分析結果は表3に示される通りであった。
Figure 0006767748
(4)サンプル飲料の官能評価
各サンプル飲料を官能評価に供した。具体的には、訓練されたパネラー5名により、酸味が緩和されたか、浅煎りコーヒー豆特有の香りが感じられるかの2項目について、以下の評価基準に従って官能評価を行った。
[酸味の評価]
〇:試験例1(対照)と比較して酸味が緩和されている
△:試験例1(対照)と比較して酸味が多少緩和されている
×:試験例1(対照)と比較して酸味が全く緩和されていない
[浅煎り香の評価]
〇:試験例1(対照)と比較して遜色ない程度に浅煎りコーヒー豆特有の香りが感じられる
△:試験例1(対照)と比較して劣りはするものの浅煎りコーヒー豆特有の香りが多少感じられる
×:試験例1(対照)と比較して浅煎りコーヒー豆特有の香り大きく損なわれている
官能評価の結果を表4に示す。
Figure 0006767748
(5)考察
表3および表4の結果から分かるように、浅煎りコーヒー豆抽出液のみ使用する場合のサンプル飲料は、浅煎りコーヒー豆特有の香りは感じられるが、サンプル飲料のL値が66.9と高く(すなわち、液色が薄く)、酸味が強く感じられた(試験例2)。浅煎りコーヒー豆抽出液とともに中煎りコーヒー豆抽出液を併用する場合は、サンプル飲料の酸味は多少緩和されるものの、サンプル飲料のL値は62.4と依然として高く、浅煎りコーヒー豆特有の香りが失われた(試験例3)。浅煎りコーヒー豆抽出液とともに深煎りコーヒー豆抽出液を併用する場合は、サンプル飲料の酸味は緩和され、サンプル飲料のL値も60以下(すなわち、適度な液色)となったが、浅煎りコーヒー豆特有の香りが失われた(試験例4)。
一方、試験例4の深煎りコーヒー豆抽出液として、加熱処理深煎りコーヒー豆抽出液を使用したところ、サンプル飲料の酸味が緩和されるとともに、サンプル飲料のL値は60以下となり、かつ、浅煎りコーヒー豆特有の香りも感じられた(試験例5および6)。インスタントコーヒー粉末の製造(スプレードライ方式)に当たっては、コーヒー豆抽出液を粉末化する際に加熱処理が行われており、それにより、試験例5および6で使用した加熱処理深煎りコーヒー豆抽出液中においては1−メチルピロールが低減されている。以下の理論に拘束される訳ではないが、試験例5および6で調製されたコーヒー飲料においては1−メチルピロールが低減されており、しかも使用した加熱処理深煎りコーヒー豆抽出液により酸味が緩和されているため、浅煎り香が強く感じられたものと考えられる。
以上のことから、浅煎りコーヒー豆抽出液と1−メチルピロール低減処理された深煎りコーヒー豆抽出液とを併用することにより、浅煎りコーヒー豆特有の香りを維持しながら酸味を抑制できること、さらには、適度な液色を実現できることが確認された。
(6)市販品の分析および官能評価
市販されている容器詰めコーヒー(9種)について、上記(2)および(3)に従って各飲料のL値と、フルフラールと1−メチルピロールのGC/MSのチャート面積比を測定するとともに、上記(4)に従って各飲料の浅煎り香について官能評価を実施した。その結果、市販の容器詰めコーヒー飲料のL値は28〜43の範囲内であり、フルフラールと1−メチルピロールのGC/MSのチャート面積比はいずれも1.0以下であった。また、市販の容器詰めコーヒー飲料については浅煎り香は全く認められなかった(評価:×)。なお、いずれの容器詰めコーヒー飲料も浅煎りコーヒー豆を原料と使用していないため酸味について官能評価を実施しなかった。
以上のとおり、浅煎りコーヒー豆抽出液と1−メチルピロールが低減された深煎りコーヒー豆抽出液とを併用してなる本発明のコーヒー飲料は、市販の容器詰めコーヒーと明確に区別できる飲料であることが確認された。

Claims (6)

  1. 容器詰めコーヒー飲料の製造方法であって、L値が25未満の焙煎コーヒー豆のコーヒー抽出液を噴霧乾燥処理して抽出液Bを得る工程と、L値が25以上の焙煎コーヒー豆のコーヒー抽出液(抽出液A)と前記抽出液Bとを混合する工程を含んでなり、抽出液Aが噴霧乾燥未処理のコーヒー抽出液であり、かつ、抽出液Bが1−メチルピロール含量が低減された抽出液である、製造方法。
  2. L値が25未満の焙煎コーヒー豆が、L値が18.5未満の焙煎コーヒー豆である、請求項1に記載の製造方法。
  3. 抽出液Bの1−メチルピロール含量が、噴霧乾燥未処理抽出液の1−メチルピロール含量の90%以下である、請求項1または2に記載の製造方法。
  4. 抽出液Aと抽出液Bとを固形分換算値で1:0.2〜1:5の配合比で混合する、請求項1〜のいずれか一項に記載の製造方法。
  5. 製造されたコーヒー飲料の、1−メチルピロールに対するフルフラールのGC/MSのチャート面積比が2以上である、請求項1〜のいずれか一項に記載の製造方法。
  6. 加熱殺菌処理工程をさらに含んでなる、請求項1〜のいずれか一項に記載の製造方法。
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