本願発明は一般式(I)で表される化合物を提供し、併せて当該化合物を含有する重合性組成物、重合性液晶組成物、当該重合性液晶組成物を重合させることにより得られる重合体及び当該重合体を用いた光学異方体を提供する。
一般式(I)においてPは重合性基を表すが、下記の式(P−1)から式(P−18)
から選ばれる基を表すことが好ましく、これらの重合性基はラジカル重合、ラジカル付加重合、カチオン重合及びアニオン重合により重合する。特に重合方法として紫外線重合を行う場合には、式(P−1)、式(P−2)、式(P−3)、式(P−4)、式(P−5)、式(P−7)、式(P−11)、式(P−13)、式(P−15)又は式(P−18)が好ましく、式(P−1)、式(P−2)、式(P−7)、式(P−11)又は式(P−13)がより好ましく、式(P−1)、式(P−2)又は式(P−3)がさらに好ましく、式(P−1)又は式(P−2)が特に好ましい。
Sは各々独立してスペーサー基又は単結合を表すが、Sが複数存在する場合それらは同一であっても異なっていても良い。また、スペーサー基としては、1個の−CH2−又は隣接していない2個以上の−CH2−が各々独立して−O−、−COO−、−OCO−又は−OCO−O−に置き換えられても良い炭素原子数1から20のアルキレン基を表すことが好ましい。Sは原料の入手容易さ及び合成の容易さの観点から複数存在する場合は各々同一であっても異なっていても良く、各々独立して、1個の−CH2−又は隣接していない2個以上の−CH2−が各々独立して−O−、−COO−、−OCO−に置き換えられても良い炭素原子数1から10のアルキレン基又は単結合を表すことがより好ましく、複数存在する場合は各々同一であっても異なっていても良く各々独立して炭素原子数1から10のアルキレン基又は単結合を表すことがさらに好ましく、複数存在する場合は各々同一であっても異なっていても良く各々独立して炭素原子数1から8のアルキレン基を表すことが特に好ましい。
Xは各々独立して−O−、−S−、−OCH2−、−CH2O−、−CO−、−COO−、−OCO−、−CO−S−、−S−CO−、−O−CO−O−、−CO−NH−、−NH−CO−、−SCH2−、−CH2S−、−CF2O−、−OCF2−、−CF2S−、−SCF2−、−CH=CH−COO−、−CH=CH−OCO−、−COO−CH=CH−、−OCO−CH=CH−、−COO−CH2CH2−、−OCO−CH2CH2−、−CH2CH2−COO−、−CH2CH2−OCO−、−COO−CH2−、−OCO−CH2−、−CH2−COO−、−CH2−OCO−、−CH=CH−、−CF=CF−又は単結合を表すが、Xが複数存在する場合それらは同一であっても異なっていても良い。また、原料の入手容易さ及び合成の容易さの観点から、複数存在する場合は各々同一であっても異なっていても良く、各々独立して−O−、−S−、−OCH2−、−CH2O−、−COO−、−OCO−、−CO−S−、−S−CO−、−O−CO−O−、−CO−NH−、−NH−CO−、−COO−CH2CH2−、−OCO−CH2CH2−、−CH2CH2−COO−、−CH2CH2−OCO−又は単結合を表すことが好ましく、複数存在する場合は各々同一であっても異なっていても良く、各々独立して−O−、−OCH2−、−CH2O−、−COO−、−OCO−、−COO−CH2CH2−、−OCO−CH2CH2−、−CH2CH2−COO−、−CH2CH2−OCO−又は単結合を表すことがより好ましく、複数存在する場合は各々同一であっても異なっていても良く、各々独立して−O−、−COO−、−OCO−又は単結合を表すことが特に好ましい。
A1、A2、A3、A4及びA5は各々独立して無置換又は1つ以上のLによって置換されても良い1,4−フェニレン、ナフタレン−1,4−ジイル又はナフタレン−2,6−ジイルを表し、A5が複数存在する場合それらは同一であっても異なっていても良いが、A1、A2、A3及びA4のうち少なくとも1つは、保存安定性の観点から、1つ以上のLによって置換されている必要がある。A1、A2、A3、A4及びA5は原料の入手容易さ及び合成の容易さの観点から各々独立して無置換又は1つ以上のLによって置換されても良い1,4−フェニレン又はナフタレン−2,6−ジイルを表すことが好ましく、各々独立して下記の式(A−1)から式(A−10)
から選ばれる基を表すことがより好ましく、各々独立して式(A−1)から式(A−9)から選ばれる基を表すことがさらに好ましく、各々独立して式(A−1)から式(A−7)から選ばれる基を表すことが特に好ましい。
Lはフッ素原子、塩素原子、臭素原子又はヨウ素原子を表すが、合成の容易さの観点からフッ素原子、塩素原子又は臭素原子を表すことが好ましく、フッ素原子又は塩素原子を表すことが特に好ましい。
Z1、Z2、及び、Z3は各々独立して単結合、−O−、−S−、−OCH2−、−CH2O−、−COO−、−OCO−、−CO−、−CO−S−、−S−CO−、−O−CO−O−、−CO−NH−、−NH−CO−、−SCH2−、−CH2S−、−CF2O−、−OCF2−、−CF2S−、−SCF2−、−CH2CH2−、−CH2CF2−、−CF2CH2−、−CF2CF2−、−CH=CH−COO−、−CH=CH−OCO−、−COO−CH=CH−、−OCO−CH=CH−、−COO−CH2CH2−、−OCO−CH2CH2−、−CH2CH2−COO−、−CH2CH2−OCO−、−COO−CH2−、−OCO−CH2−、−CH2−COO−、−CH2−OCO−、−CH=CH−、−CF=CF−又は−C≡C−を表すが、化合物の液晶性、原料の入手容易さ及び合成の容易さの観点から、各々独立して単結合、−OCH2−、−CH2O−、−COO−、−OCO−、−CF2O−、−OCF2−、−CH2CH2−、−CF2CF2−、−CH=CH−COO−、−CH=CH−OCO−、−COO−CH=CH−、−OCO−CH=CH−、−COO−CH2CH2−、−OCO−CH2CH2−、−CH2CH2−COO−、−CH2CH2−OCO−、−CH=CH−、−CF=CF−又は−C≡C−を表すことが好ましく、各々独立して単結合、−OCH2−、−CH2O−、−COO−、−OCO−、−COO−CH2CH2−、−OCO−CH2CH2−、−CH2CH2−COO−、−CH2CH2−OCO−、−CH=CH−又は−C≡C−を表すことがさらに好ましく、各々独立して単結合、−COO−又は−OCO−を表すことが特に好ましい。
Rは水素原子、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子、ペンタフルオロスルフラニル基、シアノ基、ニトロ基、イソシアノ基、チオイソシアノ基、若しくは、1個の−CH2−又は隣接していない2個以上の−CH2−が各々独立して−O−、−S−、−CO−、−COO−、−OCO−、−CO−S−、−S−CO−、−O−CO−O−、−CO−NH−、−NH−CO−、−CH=CH−COO−、−CH=CH−OCO−、−COO−CH=CH−、−OCO−CH=CH−、−CH=CH−、−CF=CF−又は−C≡C−によって置換されても良い炭素原子数1から12の直鎖又は分岐アルキル基を表すが、液晶性及び合成の容易さの観点から水素原子、フッ素原子、塩素原子、シアノ基、若しくは、1個の−CH2−又は隣接していない2個以上の−CH2−が各々独立して−O−、−COO−、−OCO−、−O−CO−O−によって置換されても良い炭素原子数1から12の直鎖又は分岐アルキル基を表すことが好ましく、水素原子、フッ素原子、塩素原子、シアノ基、若しくは、炭素原子数1から12の直鎖アルキル基を表すことがより好ましく、炭素原子数1から12の直鎖アルキル基を表すことが特に好ましい。
lは0から8の整数を表すが、液晶性、原料の入手容易さ、合成の容易さ及び保存安定性の観点から0から4の整数を表すことが好ましく、0から2の整数を表すことがより好ましく、0又は1を表すことがさらに好ましく、1を表すことが特に好ましい。
m1、m2及びm3はそれぞれ独立して0又は1を表すが、m1+m2+m3は0又は1を表す。保存安定性及び配向性の観点から、m1+m2+m3は0が好ましい。
nは0、1又は2を表すが、保存安定性及び合成の容易さの観点から0又は1を表すことが好ましく、0を表すことが特に好ましい。
一般式(I)で表される化合物として具体的には、下記の式(I−1)から式(I−96)で表される化合物が好ましい。
本願発明の化合物は以下の製法で製造することができる。
(製法1)下記式(S−8)で表される化合物の製造
(式中、P、S、L、Rは各々独立して一般式(I)で定義されたものと同一のものを表し、rは各々独立して0から4の整数を表し、halogenはハロゲン原子又はハロゲン等価体を表す。)
式(S−1)で表される化合物を式(S−2)で表される化合物と反応させることにより式(S−3)で表される化合物を得ることができる。反応例として例えば金属触媒及び塩基存在下、クロスカップリングさせる方法が挙げられる。金属触媒としては例えば、アリルパラジウム(II)クロリド、[1,1’−ビス(ジフェニルホスフィノ)フェロセン]パラジウム(II)ジクロリド、酢酸パラジウム(II)、テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0)が挙げられる。塩基としては例えばトリエチルアミン等が使用可能である。反応条件としては例えばMetal−Catalyzed Cross−Coupling Reactions(Armin de Meijere、Francois Diedrich共著、Wiley−VCH)、Palladium Reagents and Catalysts:New Perspectives for the 21st Century(Jiro Tsuji著、Wiley & Sons,Ltd.)、Cross−Coupling Reactions:A Practical Guide(Topics in Current Chemistry)(S.L.Buchwald、K.Fugami、T.Hiyama、M.Kosugi、M.Miura、N.Miyaura、A.R.Muci、M.Nomura、E.Shirakawa、K.Tamao著、Springer)等の文献に記載の方法が挙げられる。
一般式(S−3)で表される化合物をホウ酸化することにより一般式(S−4)で表される化合物を得る。方法として例えば一般式(S−3)で表される化合物の芳香環上のプロトンを強塩基により引き抜き、ホウ酸エステルと反応させた後、加水分解する方法が挙げられる。強塩基としては例えばブチルリチウム、sec−ブチルリチウム、tert−ブチルリチウム、メチルリチウム等が挙げられる。プロトン引き抜きを促進させるために、テトラメチルエチレンジアミン等の添加剤を使用してもよい。ホウ酸エステルとしては例えばホウ酸トリイソプロピル、ホウ酸トリメチル等が挙げられる。又は、一般式(S−3)で表される化合物をハロゲン化した化合物からハロゲンリチウム交換反応によりリチオ化体へと誘導し、ホウ酸エステルと反応させた後、加水分解する方法が挙げられる。若しくは、一般式(S−3)で表される化合物をハロゲン化した化合物からグリニャール試薬へと誘導し、ホウ酸エステルと反応させた後、加水分解する方法が挙げられる。
式(S−4)で表される化合物を式(S−5)で表される化合物と反応させることにより式(S−6)で表される化合物を得ることができる。反応例として例えば金属触媒及び塩基存在下、クロスカップリングさせる方法が挙げられる。触媒及び塩基としては前記のものが使用可能である。
一般式(S−6)で表される化合物を一般式(S−7)で表される化合物と反応させることにより式(S−8)で表される化合物を得る。反応条件としては例えば、光延反応又は、一般式(S−7)で表される化合物をスルホン酸等と反応させスルホン酸エステルとするか、ハロゲン化試薬と反応させハロゲン化合物とした後、一般式(S−6)で表される化合物と塩基存在下反応させる方法が挙げられる。光延反応を用いる場合、アゾジカルボン酸としては例えばアゾジカルボン酸ジエチル、アゾジカルボン酸ジイソプロピル等が挙げられる。ホスフィンとしては例えばトリフェニルホスフィン等が挙げられる。また、シアノメチレントリブチルホスホラン等の角田試薬を用いてもよい。スルホン酸エステルを経由する場合、スルホン酸としてメタンスルホン酸、エタンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、p−トルエンスルホン酸等が挙げられる。塩基としては例えばトリエチルアミン、ピリジン、N−エチルジイソプロピルアミン等が使用可能である。
前記各工程において記載した以外の反応条件として、例えば実験化学講座(日本化学会編、丸善株式会社発行)、Organic Syntheses(A John Wiley & Sons,Inc.,Publication)、Beilstein Handbook of Organic Chemistry(Beilstein−Institut fuer Literatur der Organischen Chemie、Springer−Verlag Berlin and Heidelberg GmbH & Co.K)、Fiesers’ Reagents for Organic Synthesis(John Wiley & Sons,Inc.)等の文献に記載の条件又はSciFinder(Chemical Abstracts Service,American Chemical Society)又はReaxys(Elsevier Ltd.)等のオンライン検索サービスから提供される条件が挙げられる。
また、各工程において適宜反応溶媒を用いることができる。溶媒としては目的の化合物を与えるものであれば制限は無いが、例えばtert−ブチルアルコール、イソブチルアルコール、イソプロピルアルコール、イソペンチルアルコール、シクロヘキサノール、1−ブタノール、2−ブタノール、1−オクタノール、2−メトキシエタノール、エチレングリコール、ジエチレングリコール、メタノール、メチルシクロヘキサノール、エタノール、プロパノール、クロロホルム、四塩化炭素、ジクロロメタン、1,2−ジクロロエタン、1,2−ジクロロエチレン、1,1,2,2−テトラクロロエタン、トリクロロエチレン、1−クロロブタン、二硫化炭素、アセトン、アセトニトリル、ベンゾニトリル、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、ジメチルスルホキシド、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン、ジエチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノブチルエーテル、エチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、o−ジクロロベンゼン、キシレン、o−キシレン、p−キシレン、m−キシレン、クロロベンゼン、酢酸イソブチル、酢酸イソプロピル、酢酸イソアミル、酢酸エチル、酢酸ブチル、酢酸プロピル、酢酸ペンチル、酢酸メチル、酢酸2−メトキシエチル、ヘキサメチルリン酸トリアミド、トリス(ジメチルアミノ)ホスフィン、シクロヘキサノン、1,4−ジオキサン、ジクロロメタン、スチレン、テトラクロロエチレン、テトラヒドロフラン、ピリジン、1−メチル−2−ピロリジノン、1,1,1−トリクロロエタン、トルエン、ヘキサン、ペンタン、シクロヘキサン、シクロペンタン、ヘプタン、ベンゼン、メチルイソブチルケトン、tert−ブチルメチルエーテル、メチルエチルケトン、メチルシクロヘキサノン、メチルブチルケトン、ジエチルケトン、ガソリン、コールタールナフサ、石油エーテル、石油ナフサ、石油ベンジン、テレビン油、ミネラルスピリット等が挙げられる。有機溶媒及び水の二相系で反応を行う場合、相間移動触媒を添加することも可能である。相間移動触媒としては、例えば、ベンジルトリメチルアンモニウムクロリド、ポリオキシエチレン(20)ソルビタンモノラウラート[Tween 20]、ソルビタンモノオレアート[Span 80]等が挙げられる。
また、各工程において必要に応じて精製を行うことができる。精製方法としてはクロマトグラフィー、再結晶、蒸留、昇華、再沈殿、吸着、分液処理等が挙げられる。精製剤を用いる場合、精製剤としてシリカゲル、アルミナ、活性炭、活性白土、セライト、ゼオライト、メソポーラスシリカ、カーボンナノチューブ、カーボンナノホーン、備長炭、木炭、グラフェン、イオン交換樹脂、酸性白土、二酸化ケイ素、珪藻土、パーライト、セルロース、有機ポリマー、多孔質ゲル等が挙げられる。
(製法2)下記式(S−12)で表される化合物の製造
(式中、P、S、X、L、Rは各々独立して一般式(I)で定義されたものと同一のものを表し、rは各々独立して0から4の整数を表し、halogenはハロゲン原子又はハロゲン等価体を表す。)
式(S−4)で表される化合物を式(S−9)で表される化合物と反応させることにより式(S−10)で表される化合物を得ることができる。反応例として例えば金属触媒及び塩基存在下、クロスカップリングさせる方法が挙げられる。触媒及び塩基としては製法1記載のものが使用可能である。
一般式(S−10)で表される化合物を前記一般式(S−11)で表される化合物と反応させることにより一般式(S−12)で表される化合物を得る。反応条件としては例えば、縮合剤を用いる方法、又は一般式(S−11)で表される化合物を酸クロリド、混合酸無水物又はカルボン酸無水物とした後、一般式(S−10)で表される化合物と塩基存在下反応させる方法が挙げられる。縮合剤を用いる場合、縮合剤として例えばN,N’−ジシクロヘキシルカルボジイミド、N,N’−ジイソプロピルカルボジイミド、1−エチル−3−(3−ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド塩酸塩、N−[3−(ジメチルアミノ)プロピル]−N’−エチルカルボジイミド、N−[3−(ジメチルアミノ)プロピル]−N’−エチルカルボジイミドメチオジド、N−tert−ブチルーN’−エチルカルボジイミド、N−シクロヘキシル−N’−(2−モルホリノエチル)カルボジイミド メト−p−トルエンスルホナート、N,N’−ジ−tert−ブチルカルボジイミド、N,N’−ジ−p−トリルカルボジイミド、4−(4,6−ジメトキシ−1,3,5−トリアジン−2−イル)−4−メチルモルホリニウムクロリド等が挙げられる。塩基としては製法1記載のアミン等が使用可能である。
また、各工程において適宜反応溶媒を用いることができる。溶媒としては目的の化合物を与えるものであれば制限は無いが、例えば製法1記載のものが使用可能である。
また、各工程において必要に応じて精製を行うことができる。精製方法としてはクロマトグラフィー、再結晶、蒸留、昇華、再沈殿、吸着、分液処理等が挙げられる。精製剤を用いる場合、精製剤としてシリカゲル、アルミナ、活性炭、活性白土、セライト、ゼオライト、メソポーラスシリカ、カーボンナノチューブ、カーボンナノホーン、備長炭、木炭、グラフェン、イオン交換樹脂、酸性白土、二酸化ケイ素、珪藻土、パーライト、セルロース、有機ポリマー、多孔質ゲル等が挙げられる。
(製法3)下記式(S−22)で表される化合物の製造
(式中、P、S、L、Rは各々独立して一般式(I)で定義されたものと同一のものを表し、rは各々独立して0から4の整数、sは各々独立して0から3の整数を表し、halogenはハロゲン原子又はハロゲン等価体を表し、PGは保護基を表す。)
一般式(S−13)で表される化合物を例えばトリフルオロメタンスルホン酸無水物(Tf2O)と反応させることにより一般式(S−14)で表される化合物を得る。
式(S−14)で表される化合物を式(S−15)で表される化合物と反応させることにより式(S−16)で表される化合物を得ることができる。反応例として例えば金属触媒及び塩基存在下、クロスカップリングさせる方法が挙げられる。触媒及び塩基としては製法1記載のものが使用可能である。
一般式(S−17)で表される化合物のカルボキシル基を保護基(PG)により保護する。保護基(PG)としては、反応過程において一般式(S−18)で表される化合物を与え、脱保護工程に至るまで安定に保護しうるものであれば特に制限は無いが、例えば、GREENE’S PROTECTIVE GROUPS IN ORGANIC SYNTHESIS((Fourth Edition)、PETER G.M.WUTS、THEODORA W.GREENE共著、A John Wiley & Sons,Inc.,Publication)等に挙げられている保護基(PG)が好ましい。例えば、メチルエステル、エチルエステル、tert−ブチルエステル等が挙げられる。
一般式(S−18)で表される化合物を例えば塩基存在下一般式(S−19)で表される化合物と反応させることにより一般式(S−20)で表される化合物を得る。塩基としては例えば製法1記載のものが使用可能である。
一般式(S−20)で表される化合物の保護基(PG)を脱保護する。脱保護の反応条件としては、反応過程において一般式(S−21)で表される化合物を与えるものであれば特に制限は無いが、例えば、GREENE’S PROTECTIVE GROUPS IN ORGANIC SYNTHESIS((Fourth Edition)、PETER G.M.WUTS、THEODORA W.GREENE共著、A John Wiley & Sons,Inc.,Publication)に挙げられている反応条件が好ましい。
一般式(S−21)で表される化合物を一般式(S−16)で表される化合物と反応させることにより一般式(S−22)で表される化合物を得る。反応条件としては例えば、縮合剤を用いる方法、又は一般式(S−21)で表される化合物を酸クロリド、混合酸無水物又はカルボン酸無水物とした後、一般式(S−16)で表される化合物と塩基存在下反応させる方法が挙げられる。縮合剤を用いる場合、縮合剤として例えば製法2記載のものが使用可能である。塩基としては製法1記載のアミン等が使用可能である。
また、各工程において適宜反応溶媒を用いることができる。溶媒としては目的の化合物を与えるものであれば制限は無いが、例えば製法1記載のものが使用可能である。
また、各工程において必要に応じて精製を行うことができる。精製方法としてはクロマトグラフィー、再結晶、蒸留、昇華、再沈殿、吸着、分液処理等が挙げられる。精製剤を用いる場合、精製剤としてシリカゲル、アルミナ、活性炭、活性白土、セライト、ゼオライト、メソポーラスシリカ、カーボンナノチューブ、カーボンナノホーン、備長炭、木炭、グラフェン、イオン交換樹脂、酸性白土、二酸化ケイ素、珪藻土、パーライト、セルロース、有機ポリマー、多孔質ゲル等が挙げられる。
本願発明の化合物は、ネマチック液晶組成物、スメクチック液晶組成物、キラルスメクチック液晶組成物及びコレステリック液晶組成物に使用することが好ましい。本願発明の反応性化合物を用いる液晶組成物において本願発明以外の化合物を添加しても構わない。
本願発明の反応性化合物と混合して使用される他の反応性化合物としては、具体的には一般式(II)
(式中、P1及びP2は各々独立して一般式(I)におけるPと同じ意味を表し、S1及びS2は各々独立して単結合又は炭素原子数1〜20個のアルキレン基を表すが、1個の−CH2−又は隣接していない2個以上の−CH2−は−O−、−COO−、−OCO−、−OCOO−に置き換えられても良く、X1及びX2は各々独立して−O−、−S−、−OCH2−、−CH2O−、−CO−、−COO−、−OCO−、−CO−S−、−S−CO−、−O−CO−O−、−CO−NH−、−NH−CO−、−SCH2−、−CH2S−、−CF2O−、−OCF2−、−CF2S−、−SCF2−、−CH=CH−COO−、−CH=CH−OCO−、−COO−CH=CH−、−OCO−CH=CH−、−COO−CH2CH2−、−OCO−CH2CH2−、−CH2CH2−COO−、−CH2CH2−OCO−、−COO−CH2−、−OCO−CH2−、−CH2−COO−、−CH2−OCO−、−CH=CH−、−CF=CF−、−C≡C−又は単結合を表し、Z4は各々独立して単結合、−O−、−S−、−OCH2−、−CH2O−、−COO−、−OCO−、−CO−、−CO−S−、−S−CO−、−O−CO−O−、−CO−NH−、−NH−CO−、−SCH2−、−CH2S−、−CF2O−、−OCF2−、−CF2S−、−SCF2−、−CH2CH2−、−CH2CF2−、−CF2CH2−、−CF2CF2−、−CH=CH−COO−、−CH=CH−OCO−、−COO−CH=CH−、−OCO−CH=CH−、−COO−CH2CH2−、−OCO−CH2CH2−、−CH2CH2−COO−、−CH2CH2−OCO−、−COO−CH2−、−OCO−CH2−、−CH2−COO−、−CH2−OCO−、−CH=CH−、−CF=CF−又は−C≡C−を表し、A6及びA7は各々独立して、1,4−フェニレン基、1,4−シクロヘキシレン基、ピリジン−2,5−ジイル基、ピリミジン−2,5−ジイル基、ナフタレン−2,6−ジイル基、テトラヒドロナフタレン−2,6−ジイル基又は1,3−ジオキサン−2,5−ジイル基を表すが、A6及びA7は各々独立して無置換であるか又はハロゲン原子(フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子)、炭素原子数1から20のアルキル基、ハロゲン化アルキル基、アルコキシ基、ハロゲン化アルコキシ基、シアノ基又はニトロ基に置換されていても良く、n1は0、1、2又は3を表すが、n1が2又は3を表す場合、2個あるいは3個存在するA6及び、Z5は、それぞれ、同一であっても異なっていても良い。)で表される化合物が好ましく、一般式(II)のP1及びP2がアクリル基又はメタクリル基である場合が特に好ましい。具体的には、一般式(II−i)
(式中、R1及びR2は各々独立して水素又はメチル基を表し、S3及びS4は各々独立して炭素原子数2から18のアルキレン基、X3及びX4は各々独立して−O−、−COO−、−OCO−又は単結合を表し、Z5及びZ6は各々独立して−COO−又は−OCO−を表し、A8、A9及びA10は各々独立して無置換或いはフッ素原子、塩素原子又は炭素原子数1から4のアルキル基又はアルコキシ基によって置換された1,4−フェニレン基を表す。)で表される化合物が好ましく、下記式(II−i−1)から式(II−i−8)で表される化合物が特に好ましい。
(式中、R1及びR2は水素原子又はメチル基を表し、S3は一般式(II−i)におけるS3と同じ意味を表し、S4は一般式(II−i)におけるS4と同じ意味を表す。)上記式(II−i−1)から式(II−i−8)において、S3及びS4が各々独立して炭素原子数2から8のアルキレン基である化合物がさらに好ましい。
また、一般式(II−ii)
(式中、R1及びR2は水素原子又はメチル基を表し、S5及びS6は各々独立して炭素原子数2から18のアルキレン基、X5及びX6は各々独立して−O−、−COO−、−OCO−又は単結合を表し、Z7は−COO−又は−OCO−を表し、A11、A12及びA13は各々独立して無置換或いはフッ素原子、塩素原子又は炭素原子数1から4のアルキル基又はアルコキシ基によって置換された1,4−フェニレン基を表す。)で表される化合物が好ましく、下記式(II−ii−1)から式(II−ii−8)で表される化合物が特に好ましい。
(式中、R1及びR2は水素原子又はメチル基を表し、S5は一般式(II−ii)におけるS5と同じ意味を表し、S6は一般式(II−ii)におけるS6と同じ意味を表す。)上記式(II−ii−1)から式(II−ii−8)において、耐熱性及び耐久性の観点から、式(II−ii−2)、式(II−ii−5)、式(II−ii−6)、式(II−ii−7)及び式(II−ii−8)で表される化合物が好ましく、式(II−ii−2)で表される化合物がさらに好ましく、S5及びS6が各々独立して炭素原子数2から8のアルキレン基である化合物が特に好ましい。
この他、好ましい2官能重合性化合物としては下記一般式(II−iii−1)から式(II−iii−8)で表される化合物が挙げられる。
(式中、R1及びR2は水素原子又はメチル基を表し、S7及びS8は各々独立して炭素原子数2から18のアルキレン基を表す。)上記式(II−iii−1)から式(II−iii−8)において、式(II−iii−2)、式(II−iii−3)、式(II−iii−4)、式(II−iii−6)、式(II−iii−7)及び式(II−iii−8)で表される化合物が好ましく、S7及びS8が各々独立して炭素原子数2から8のアルキレン基である化合物が特に好ましい。
一般式(I)で表される単官能重合性化合物以外の好ましい単官能重合性化合物としては下記一般式(III−1)から式(III−9)で表される化合物が挙げられる。
(式中、P3は一般式(I)におけるPと同じ意味を表し、S9は単結合又は炭素原子数1から20個のアルキレン基を表すが、1個の−CH2−又は隣接していない2個以上の−CH2−は−O−、−COO−、−OCO−、−OCOO−に置き換えられても良く、X7は単結合、−O−、−COO−、−OCO−を表し、Z8は単結合、−COO−、−OCO−、−CH=CH−COO−、−OCO−CH=CH−、−CH=CH−、−CF=CF−又は−C≡C−を表し、A14は1,4−フェニレン基又はナフタレン−2,6−ジイル基を表すが、A14は無置換であるか又はハロゲン原子(フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子)、炭素原子数1から20のアルキル基、ハロゲン化アルキル基、アルコキシ基、ハロゲン化アルコキシ基、シアノ基又はニトロ基に置換されていても良く、L1はフッ素原子、塩素原子、1個の−CH2−又は隣接していない2個以上の−CH2−が各々独立して−O−、−COO−、−OCO−に置き換えられても良い炭素原子数1から10の直鎖状又は分岐状アルキル基を表し、rは0から4の整数を表し、R1は水素原子、フッ素原子、塩素原子、シアノ基、ニトロ基、1個の−CH2−又は隣接していない2個以上の−CH2−が各々独立して−O−、−COO−、−OCO−、−OCO−O−に置き換えられても良い炭素原子数1から20の直鎖状又は分岐状アルキル基を表す。)
本願発明の化合物を含有する重合性液晶組成物には、当該組成物の液晶性を大きく損なわない程度に、液晶性を示さない重合性化合物を添加することも可能である。具体的には、この技術分野で高分子形成性モノマーあるいは高分子形成性オリゴマーとして認識される化合物であれば特に制限なく使用可能である。具体例として例えば「光硬化技術データブック、材料編(モノマー,オリゴマー,光重合開始剤)」(市村國宏、加藤清視監修、テクノネット社)記載のものが挙げられる。
また、本願発明の化合物は光重合開始剤を使用しなくても重合させることが可能であるが、目的により光重合開始剤を添加しても構わない。その場合は光重合開始剤の濃度は、本願発明の化合物に対し0.1質量%から15質量%が好ましく、0.2質量%から10質量%がより好ましく、0.4質量%から8質量%がさらに好ましい。光重合開始剤としては、ベンゾインエーテル類、ベンゾフェノン類、アセトフェノン類、ベンジルケタール類、アシルフォスフィンオキサイド類等が挙げられる。光重合開始剤としては、具体的には2−メチル−1−(4−メチルチオフェニル)−2−モルホリノプロパン−1−オン(IRGACURE 907)等が挙げられる。また、1種類の重合開始剤を用いても良く、2種類以上の重合開始剤を併用して用いても良い。
また、本発明の重合性液晶組成物には、その保存安定性を向上させるために、安定剤を添加することもできる。使用できる安定剤としては、例えば、ヒドロキノン類、ヒドロキノンモノアルキルエーテル類、第三ブチルカテコール類、ピロガロール類、チオフェノール類、ニトロ化合物類、β−ナフチルアミン類、β−ナフトール類、ニトロソ化合物等が挙げられる。安定剤を使用する場合の添加量は、組成物に対して0.005質量%から1質量%の範囲が好ましく、0.02質量%から0.8質量%がより好ましく、0.03質量%から0.5質量%がさらに好ましい。また、1種類の安定剤を用いても良く、2種類以上の安定剤を併用して用いても良い。安定剤としては、具体的には式(IV−1)から式(IV−36)
(式中、nは0から20の整数を表す。)で表される化合物が好ましい。
また、本願発明の化合物を含有する重合性液晶組成物をフィルム類、光学素子類、機能性顔料類、医薬品類、化粧品類、コーティング剤類、合成樹脂類等の用途に利用する場合には、その目的に応じて金属、金属錯体、染料、顔料、色素、蛍光材料、燐光材料、界面活性剤、レベリング剤、チキソ剤、ゲル化剤、多糖類、紫外線吸収剤、赤外線吸収剤、抗酸化剤、イオン交換樹脂、酸化チタン等の金属酸化物等を添加することもできる。
本願発明の化合物を含有する重合性液晶組成物を重合することにより得られるポリマーは種々の用途に利用できる。例えば、本願発明の化合物を含有する重合性液晶組成物を、配向させずに重合することにより得られるポリマーは、光散乱板、偏光解消板、モアレ縞防止板として利用可能である。また、配向させた後に重合することにより得られるポリマーは、光学異方性を有しており有用である。このような光学異方体は、例えば、本願発明の化合物を含有する重合性液晶組成物を、布等でラビング処理した基板、有機薄膜を形成した基板又はSiO2を斜方蒸着した配向膜を有する基板に担持させるか、基板間に挟持させた後、当該重合性液晶組成物を重合することによって製造することができる。
重合性液晶組成物を基板上に担持させる際の方法としては、スピンコーティング、ダイコーティング、エクストルージョンコーティング、ロールコーティング、ワイヤーバーコーティング、グラビアコーティング、スプレーコーティング、ディッピング、プリント法等を挙げることができる。またコーティングの際、重合性液晶組成物に有機溶媒を添加しても良い。有機溶媒としては、炭化水素系溶媒、ハロゲン化炭化水素系溶媒、エーテル系溶媒、アルコール系溶媒、ケトン系溶媒、エステル系溶媒、非プロトン性溶媒等を使用することができるが、例えば炭化水素系溶媒としてはトルエン又はヘキサンを、ハロゲン化炭化水素系溶媒としては塩化メチレンを、エーテル系溶媒としてはテトラヒドロフラン、アセトキシ−2−エトキシエタン又はプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテートを、アルコール系溶媒としてはメタノール、エタノール又はイソプロパノールを、ケトン系溶媒としてはアセトン、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン、γ−ブチルラクトン又はN−メチルピロリジノン類を、エステル系溶媒としては酢酸エチル又はセロソルブを、非プロトン性溶媒としてはジメチルホルムアミド又はアセトニトリルを挙げることができる。これらは単独でも、組み合わせて用いても良く、その蒸気圧と重合性液晶組成物の溶解性を考慮し、適宜選択すれば良い。添加した有機溶媒を揮発させる方法としては、自然乾燥、加熱乾燥、減圧乾燥、減圧加熱乾燥を用いることができる。重合性液晶材料の塗布性をさらに向上させるためには、基板上にポリイミド薄膜等の中間層を設けることや、重合性液晶材料にレベリング剤を添加する事も有効である。基板上にポリイミド薄膜等の中間層を設ける方法は、重合性液晶材料を重合することにより得られるポリマーと基板との密着性を向上させるために有効である。
上記以外の配向処理としては、液晶材料の流動配向の利用、電場又は磁場の利用を挙げることができる。これらの配向手段は単独で用いても、また組み合わせて用いても良い。さらに、ラビングに代わる配向処理方法として、光配向法を用いることもできる。基板の形状としては、平板の他に、曲面を構成部分として有していても良い。基板を構成する材料は、有機材料、無機材料を問わずに用いることができる。基板の材料となる有機材料としては、例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリカーボネート、ポリイミド、ポリアミド、ポリメタクリル酸メチル、ポリスチレン、ポリ塩化ビニル、ポリテトラフルオロエチレン、ポリクロロトリフルオロエチレン、ポリアリレート、ポリスルホン、トリアセチルセルロース、セルロース、ポリエーテルエーテルケトン等が挙げられ、また、無機材料としては、例えば、シリコン、ガラス、方解石等が挙げられる。
本願発明の化合物を含有する重合性液晶組成物を重合させる際、迅速に重合が進行することが望ましいため、紫外線又は電子線等の活性エネルギー線を照射することにより重合させる方法が好ましい。紫外線を使用する場合、偏光光源を用いても良く、非偏光光源を用いても良い。また、液晶組成物を2枚の基板間に挟持させて状態で重合を行う場合、少なくとも照射面側の基板は活性エネルギー線に対して適当な透明性を有していなければならない。また、光照射時にマスクを用いて特定の部分のみを重合させた後、電場や磁場又は温度等の条件を変化させることにより、未重合部分の配向状態を変化させて、さらに活性エネルギー線を照射して重合させるという手段を用いても良い。また、照射時の温度は、本発明の重合性液晶組成物の液晶状態が保持される温度範囲内であることが好ましい。特に、光重合によって光学異方体を製造しようとする場合には、意図しない熱重合の誘起を避ける意味からも可能な限り室温に近い温度、即ち、典型的には25℃での温度で重合させることが好ましい。活性エネルギー線の強度は、0.1mW/cm2〜2W/cm2が好ましい。強度が0.1mW/cm2以下の場合、光重合を完了させるのに多大な時間が必要になり生産性が悪化してしまい、2W/cm2以上の場合、重合性液晶化合物又は重合性液晶組成物が劣化してしまう危険がある。
重合によって得られた当該光学異方体は、初期の特性変化を軽減し、安定的な特性発現を図ることを目的として熱処理を施すこともできる。熱処理の温度は50〜250℃の範囲であることが好ましく、熱処理時間は30秒〜12時間の範囲であることが好ましい。
このような方法によって製造される当該光学異方体は、基板から剥離して単体で用いても、剥離せずに用いても良い。また、得られた光学異方体を積層しても、他の基板に貼り合わせて用いてもよい。
以下、実施例を挙げて本発明を更に記述するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。また、以下の実施例及び比較例の組成物における「%」は『質量%』を意味する。
(実施例1)式(I−1)で表される化合物の製造
反応容器に式(I−1−1)で表される化合物20.0g(0.122モル)、式(I−1−2)で表される化合物21.3g(0.122モル)、炭酸カリウム25.3g(0.183モル)、テトラヒドロフラン100mL、水100mLを加えた。系内を窒素置換した後、テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0)1.41g(1.22ミリモル)を加え、7時間加熱還流させた。トルエンで希釈し、食塩水で洗浄した。カラムクロマトグラフィー(シリカゲル)により精製を行い、式(I−1−3)で表される化合物22.2g(0.104モル)を得た。
滴下ロートを備えた反応容器に式(I−1−3)で表される化合物22.2g(0.104モル)、テトラヒドロフラン150mLを加えた。sec−ブチルリチウム溶液(1.0モル/L)124mLを−70℃で滴下した。そのまま2時間撹拌した後、ホウ酸トリイソプロピル25.3g(0.135モル)を滴下した。そのまま2時間撹拌した後、10%塩酸300mLを0℃で滴下した。室温で1時間撹拌した後、食塩水で洗浄した。濃縮、乾燥させることにより式(I−1−4)で表される化合物25.7g(0.0995モル)を得た。
反応容器に式(I−1−4)で表される化合物25.7g(0.0995モル)、式(I−1−5)で表される化合物25.0g(0.0995モル)、炭酸カリウム20.6g(0.149モル)、テトラヒドロフラン150mL、水150mLを加えた。系内を窒素置換した後、テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0)1.15g(0.995ミリモル)を加え、10時間加熱還流させた。トルエンで希釈し、食塩水で洗浄した。カラムクロマトグラフィー(シリカゲル)及び再結晶により精製を行い、式(I−1−6)で表される化合物31.2g(0.0812モル)を得た。
滴下ロートを備えた反応容器に塩化アルミニウム12.6g(0.0943モル)、ジクロロメタン38mLを加えた。室温で塩化アセチル8.02g(0.102モル)を滴下した。室温で2時間撹拌した後、式(I−1−6)で表される化合物31.2g(0.0812モル)をジクロロメタン605mLに溶解させた溶液を氷冷しながら滴下した。室温で4時間撹拌した後、水に注いだ。ジクロロメタンで希釈し食塩水で洗浄した。硫酸ナトリウムで乾燥させた後、濃縮、乾燥させることにより式(I−1−7)で表される化合物22.8g(0.0535モル)を得た。
滴下ロートを備えた反応容器にギ酸364mL及び30%過酸化水素水24.3g(0.214モル)を加えた。室温で1時間撹拌した後、式(I−1−7)で表される化合物22.8g(0.0535モル)をジクロロメタン456mLに溶解させた溶液を滴下した。50℃で60時間加熱撹拌した後、亜硫酸水素ナトリウム水溶液を加えた。食塩水で洗浄した後、カラムクロマトグラフィー(シリカゲル)及び再結晶により精製を行い、式(I−1−8)で表される化合物17.4g(0.0392モル)を得た。
反応容器に式(I−1−8)で表される化合物17.4g(0.0392モル)、テトラヒドロフラン400mL、プロピルアミン23.2g(0.392モル)を加え室温で50時間撹拌した。溶媒を留去し酢酸エチルに溶解させた。5%塩酸、食塩水で洗浄した後、カラムクロマトグラフィー(シリカゲル)及び再結晶により精製を行い、式(I−1−9)で表される化合物15.7g(0.0392モル)を得た。
反応容器に式(I−1−9)で表される化合物15.7g(0.0392モル)、式(I−1−10)で表される化合物8.11g(0.0546モル)、炭酸セシウム20.5g(0.0630モル)、ジメチルスルホキシド168mLを加え、63℃で5時間加熱撹拌した。ジクロロメタンで希釈し、水、食塩水で洗浄した後、カラムクロマトグラフィー(シリカゲル)及び再結晶により精製を行い、式(I−1)で表される化合物12.6gを得た。
転移温度(昇温5℃/分):C 92 N >200 I
1H NMR(CDCl3)δ 0.98(t,3H),1.69(sex,2H),2,20(quin,2H),2.65(t,2H),4.13(t,2H),4.39(t,2H),5.84(dd,1H),6.14(dd,1H),6.42(dd,1H),6.99(d,2H),7.28(d,2H),7.39−7.55(m,10H)ppm.
13C NMR(CDCl3)δ 13.6,24.5,28.6,37.7,61.3,64.4,114.4,114.5,114.6,116.3,116.24,116.6,116.6,122.8,122.8,124.7,125.7,125.9,126.7,127.7,127.8,128.0,128.3,129.1,130.1,130.1,130.3,130.3,130.5,130.6,130.8,135.9,136.0,136.6,142.8,142.8,158.4,158.5,158.8,160.8,161.2,166.1ppm.
(実施例2)式(I−2)で表される化合物の製造
滴下ロートを備えた反応容器に式(I−2−1)で表される化合物20.0g(0.107モル)、ピリジン12.7g(0.161モル)、ジクロロメタン100mLを加えた。氷冷しながらトリフルオロメタンスルホン酸無水物36.4g(0.129モル)を滴下した。室温で10時間撹拌した後、塩酸、食塩水で洗浄した。カラムクロマトグラフィー(シリカゲル)により精製を行い、式(I−2−2)で表される化合物33.2g(0.104モル)を得た。
反応容器に式(I−2−2)で表される化合物33.2g(0.104モル)、式(I−2−3)で表される化合物14.6g(0.104モル)、炭酸カリウム21.6g(0.156モル)、テトラヒドロフラン150mL、水150mLを加えた。系内を窒素置換した後、テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0)1.20g(1.04ミリモル)を加え、9時間加熱還流させた。トルエンで希釈した後、塩酸、食塩水で洗浄し、カラムクロマトグラフィー(シリカゲル)により精製を行い、式(I−2−4)で表される化合物23.4g(0.0885モル)を得た。
滴下ロートを備えた反応容器に式(I−2−4)で表される化合物23.4g(0.0885モル)、テトラヒドロフラン120mLを加えた。sec−ブチルリチウム溶液(1.0モル/L)106mLを−70℃で滴下した。そのまま2時間撹拌した後、ホウ酸トリイソプロピル21.6g(0.115モル)を滴下した。そのまま2時間撹拌した後、10%塩酸300mLを0℃で滴下した。室温で1時間撹拌した後、食塩水で洗浄した。濃縮、乾燥させることにより式(I−2−5)で表される化合物22.9g(0.0744モル)を得た。
滴下ロートを備えた反応容器に塩化アルミニウム12.7g(0.0956モル)、ジクロロメタン40mLを加えた。室温で塩化アセチル8.13g(0.104モル)を滴下した。室温で2時間撹拌した後、式(I−1−5)で表される化合物20.0g(0.0797モル)をジクロロメタン100mLに溶解させた溶液を氷冷しながら滴下した。室温で4時間撹拌した後、水に注いだ。ジクロロメタンで希釈し食塩水で洗浄した。硫酸ナトリウムで乾燥させた後、濃縮、乾燥させることにより式(I−2−6)で表される化合物22.6g(0.0773モル)を得た。
滴下ロートを備えた反応容器にギ酸220mL及び30%過酸化水素水35.0g(0.309モル)を加えた。室温で1時間撹拌した後、式(I−2−6)で表される化合物22.6g(0.0773モル)をジクロロメタン100mLに溶解させた溶液を滴下した。50℃で60時間加熱撹拌した後、亜硫酸水素ナトリウム水溶液を加えた。食塩水で洗浄した後、カラムクロマトグラフィー(シリカゲル)により精製を行い、式(I−2−7)で表される化合物22.5g(0.0726モル)を得た。
反応容器に式(I−2−7)で表される化合物22.5g(0.0726モル)、テトラヒドロフラン150mL、プロピルアミン42.9g(0.726モル)を加え室温で50時間撹拌した。溶媒を留去し酢酸エチルに溶解させた。5%塩酸、食塩水で洗浄した後、カラムクロマトグラフィー(シリカゲル)により精製を行い、式(I−2−8)で表される化合物18.4g(0.0690モル)を得た。
反応容器に式(I−2−8)で表される化合物18.4g(0.0690モル)、3−クロロプロパノール8.48g(0.0897モル)、炭酸セシウム33.7g(0.103モル)、ジメチルスルホキシド180mLを加え、60℃で5時間加熱撹拌した。ジクロロメタンで希釈し、10%塩酸、食塩水で洗浄した後、カラムクロマトグラフィー(シリカゲル)により精製を行い、式(I−2−9)で表される化合物20.2g(0.0621モル)を得た。
反応容器に式(I−2−9)で表される化合物20.2g(0.0621モル)、式(I−2−5)で表される化合物19.1g(0.0621モル)、炭酸カリウム12.9g(0.0931モル)、テトラヒドロフラン100mL、水100mLを加えた。系内を窒素置換した後、テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0)0.72g(0.621ミリモル)を加え、9時間加熱還流させた。トルエンで希釈した後、塩酸、食塩水で洗浄し、カラムクロマトグラフィー(シリカゲル)及び再結晶により精製を行い、式(I−2−10)で表される化合物26.8g(0.0528モル)を得た。
滴下ロートを備えた反応容器に式(I−2−10)で表される化合物26.8g(0.0528モル)、ジイソプロピルエチルアミン10.2g(0.0792モル)、ジクロロメタン125mLを加えた。氷冷しながら塩化アクリロイル6.21g(0.0686モル)を滴下した。室温で5時間撹拌した後、5%塩酸、食塩水で洗浄し、カラムクロマトグラフィー(シリカゲル)及び再結晶により精製を行い、式(I−2)で表される化合物22.2gを得た。
転移温度(昇温5℃/分):C 113 S
1H NMR(CDCl3)δ 0.99(t,3H),1.75(sex,2H),2.21(quin,2H),2.78(t,2H),4.13(t,2H),4.40(t,2H),5.86(dd,1H),6.15(dd,1H),6.44(dd,1H),7.01(d,2H),7.38−7.60(m,9H),7.65(s,1H),7.74(dd,1H),7.87(dd,2H),8.06(s,1H)ppm.
13C NMR(CDCl3)δ 13.87,24.44,28.58,38.20,61.33,64.27,114.49,114.74,114.98,116.42,116.62,123.19,123.22,124.78,124.93,125.64,126.06,126.20,127.75,127.89,128.12,128.22,128.31,130.13,130.16,130.36,130.40,130.66,130.70,130.98,132.02,133.08,135.71,135.82,135.90,140.93,142.79,142.87,158.34,158.48,158.83,160.80,161.30,166.21ppm.
(実施例3)式(I−3)で表される化合物の製造
実施例1において式(I−1−1)で表される化合物を式(I−3−1)で表される化合物に、式(I−1−2)で表される化合物を式(I−3−2)で表される化合物に、式(I−1−10)で表される化合物を式(I−3−9)で表される化合物に置き換えた以外は同様の方法によって式(I−3)で表される化合物を得た。
IR:3060−3030,2975−2920,1725,1630,1200,1160,1130,750,690cm−1.
LRMS:600
(実施例4)式(I−4)で表される化合物の製造
滴下ロートを備えた反応容器に式(I−2−9)で表される化合物20.0g(0.0615モル)、パラトルエンスルホン酸ピリジニウム0.77g(3.1ミリモル)、ジクロロメタン100mLを加えた。氷冷しながら3,4−ジヒドロ−2H−ピラン5.69g(0.0677モル)を滴下した。室温で10時間撹拌した後、飽和重曹水、食塩水で洗浄し、カラムクロマトグラフィー(アルミナ)により精製を行い、式(I−4−1)で表される化合物23.9g(0.0584モル)を得た。
滴下ロートを備えた反応容器にマグネシウム1.85g(0.0760モル)、テトラヒドロフラン5mLを加え系内を窒素置換した。式(I−4−1)で表される化合物23.9g(0.0584モル)をテトラヒドロフラン100mLに溶解させた溶液を滴下し、グリニャール試薬を調製した。2時間撹拌した後、ホウ酸トリメチル7.89g(0.0760モル)を滴下した。2時間撹拌した後、塩化アンモニウム水溶液を滴下しさらに1時間撹拌した。水、食塩水で洗浄した後、溶媒を留去することにより式(I−4−2)で表される化合物19.7g(0.0526モル)を得た。
反応容器に式(I−4−2)で表される化合物19.7g(0.0526モル)、式(I−4−3)で表される化合物14.9g(0.0526モル)、炭酸カリウム10.9g(0.0789モル)、テトラヒドロフラン100mL、水100mLを加えた。系内を窒素置換した後、テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0)0.61g(0.526ミリモル)を加え、5時間加熱還流させた。トルエンで希釈した後、水、食塩水で洗浄し、カラムクロマトグラフィー(アルミナ)により精製を行い、式(I−4−4)で表される化合物21.7g(0.0447モル)を得た。
反応容器に式(I−4−4)で表される化合物21.7g(0.0447モル)、テトラヒドロフラン80mL、メタノール80mL、濃塩酸1mLを加え、室温で10時間撹拌した。酢酸エチルで希釈し食塩水で洗浄した後、カラムクロマトグラフィー(シリカゲル)及び再結晶により精製を行い、式(I−4−5)で表される化合物17.0g(0.0425モル)を得た。
反応容器に式(I−4−5)で表される化合物17.0g(0.0425モル)、式(I−4−6)で表される化合物8.05g(0.0467モル)、ヨウ化銅(I)0.16g(0.849ミリモル)、トリエチルアミン30mL、N,N−ジメチルホルムアミド90mLを加えた。系内を窒素置換した後、テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0)0.49g(0.425ミリモル)を加え、10時間加熱還流させた。酢酸エチルで希釈し、5%塩酸、食塩水で洗浄した。カラムクロマトグラフィー(シリカゲル)及び再結晶により精製を行い、式(I−4−7)で表される化合物16.7g(0.0340モル)を得た。
滴下ロートを備えた反応容器に式(I−4−7)で表される化合物16.7g(0.0340モル)、ジイソプロピルエチルアミン6.59g(0.0510モル)、ジクロロメタン100mLを加えた。氷冷しながら塩化アクリロイル4.00g(0.0442モル)を滴下した。室温で5時間撹拌した後、5%塩酸、食塩水で洗浄し、カラムクロマトグラフィー(シリカゲル)及び再結晶により精製を行い、式(I−4)で表される化合物13.0gを得た。
IR:3060−3030,2975−2920,1725,1630,1200,1160,1130,750,690cm−1.
LRMS:546
(実施例5)式(I−5)で表される化合物の製造
反応容器に式(I−5−1)で表される化合物20.0g(0.100モル)、式(I−5−2)で表される化合物13.8g(0.100モル)、炭酸カリウム20.7g(0.150モル)、テトラヒドロフラン120mL、水120mLを加えた。系内を窒素置換した後、テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0)1.16g(1.00ミリモル)を加え、5時間加熱還流させた。酢酸エチルで希釈した後、10%塩酸、食塩水で洗浄し、カラムクロマトグラフィー(シリカゲル)により精製を行い、式(I−5−3)で表される化合物17.5g(0.0820モル)を得た。
反応容器に式(I−5−4)で表される化合物20.0g(0.0934モル)、無水酢酸14.3g(0.140モル)、酢酸500mL、濃硫酸25mLを加え90℃で5時間加熱撹拌した。冷却した後、水に注ぎ、結晶を濾過、洗浄した。乾燥させることにより式(I−5−5)で表される化合物22.7g(0.0887モル)を得た。
滴下ロートを備えた反応容器に式(I−5−5)で表される化合物15.0g(0.0585モル)、式(I−5−3)で表される化合物12.5g(0.0585モル)、N,N−ジメチルアミノピリジン0.72g(5.85ミリモル)、ジクロロメタン100mLを加えた。氷冷しながらN,N−ジイソプロピルカルボジイミド8.86g(0.0702モル)を滴下した。室温で5時間撹拌した後、濾過し、カラムクロマトグラフィー(シリカゲル)及び再結晶により精製を行い、式(I−5−6)で表される化合物22.4g(0.0497モル)を得た。
反応容器に式(I−5−6)で表される化合物22.4g(0.0497モル)、テトラヒドロフラン100mL、プロピルアミン5.88g(0.0994モル)を加え、室温で10時間撹拌した。酢酸エチルで希釈し5%塩酸、食塩水で洗浄した後、カラムクロマトグラフィー(シリカゲル)及び再結晶により精製を行い、式(I−5−7)で表される化合物19.3g(0.0472モル)を得た。
滴下ロートを備えた反応容器に式(I−5−7)で表される化合物19.3g(0.0472モル)、式(I−5−8)で表される化合物8.85g(0.0614モル)、トリフェニルホスフィン14.9g(0.0567モル)、テトラヒドロフラン120mLを加えた。氷冷しながらアゾジカルボン酸ジイソプロピル11.5g(0.0567モル)を滴下した。室温で5時間撹拌した後、カラムクロマトグラフィー(シリカゲル)及び再結晶により精製を行い、式(I−5)で表される化合物20.2gを得た。
IR:3060−3030,2975−2920,1725,1630,1200,1160,1130,750,690cm−1.
LRMS:535
(実施例6)式(I−6)で表される化合物の製造
反応容器に式(I−6−1)で表される化合物25.0g(0.0831モル)、アクリル酸tert−ブチル11.7g(0.0914モル)、炭酸カリウム17.2g(0.125モル)、N,N−ジメチルアセトアミド200mLを加えた。系内を窒素置換した後、酢酸パラジウム(II)0.19g(0.831ミリモル)を加え、120℃で3時間加熱撹拌した。冷却しトルエンで希釈した後、5%塩酸、食塩水で洗浄した。カラムクロマトグラフィー(シリカゲル)により精製を行い式(I−6−2)で表される化合物21.3g(0.0706モル)を得た。
反応容器に式(I−6−2)で表される化合物21.3g(0.0706モル)、式(I−5−2)で表される化合物9.74g(0.0706モル)、炭酸カリウム14.6g(0.106モル)、テトラヒドロフラン120mL、水120mLを加えた。系内を窒素置換した後、テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0)0.82g(0.706ミリモル)を加え、5時間加熱還流させた。酢酸エチルで希釈した後、5%塩酸、食塩水で洗浄し、カラムクロマトグラフィー(シリカゲル)により精製を行い、式(I−6−3)で表される化合物17.8g(0.0565モル)を得た。
オートクレーブに式(I−6−3)で表される化合物17.8g(0.0565モル)、テトラヒドロフラン200mL、5%パラジウム炭素1.78gを加えた。水素圧0.5MPaで5時間撹拌した。触媒を濾過し溶媒を留去した後、カラムクロマトグラフィー(シリカゲル)により精製を行い式(I−6−4)で表される化合物17.0g(0.0537モル)を得た。
滴下ロートを備えた反応容器に式(I−6−4)で表される化合物17.0g(0.0537モル)、式(I−6−5)で表される化合物11.0g(0.0698モル)、トリフェニルホスフィン16.9g(0.0644モル)、テトラヒドロフラン200mLを加えた。氷冷しながらアゾジカルボン酸ジイソプロピル13.0g(0.0644モル)を滴下した。室温で5時間撹拌した後、カラムクロマトグラフィー(シリカゲル)により精製を行い、式(I−6−6)で表される化合物19.0g(0.0429モル)を得た。
反応容器に式(I−6−6)で表される化合物19.0g(0.0429モル)、ジクロロメタン80mL、トリフルオロ酢酸20mLを加えた。室温で10時間撹拌した後、食塩水で洗浄した。カラムクロマトグラフィー(シリカゲル)により精製を行うことにより式(I−6−7)で表される化合物14.9g(0.0386モル)を得た。
滴下ロートを備えた反応容器に式(I−1−4)で表される化合物20.0g(0.0775モル)、テトラヒドロフラン100mLを加えた。30%過酸化水素水20mLを滴下し、50℃で5時間加熱撹拌した。亜硫酸水素ナトリウム水溶液を加え撹拌した後、酢酸エチルで希釈し、食塩水で洗浄した。カラムクロマトグラフィー(シリカゲル)により精製を行い式(I−6−8)で表される化合物17.0g(0.0736モル)を得た。
滴下ロートを備えた反応容器に式(I−6−8)で表される化合物8.90g(0.0386モル)、式(I−6−7)で表される化合物14.9g(0.0386モル)、N,N−ジメチルアミノピリジン0.47g(3.86ミリモル)、ジクロロメタン100mLを加えた。氷冷しながらN,N−ジイソプロピルカルボジイミド5.85g(0.0464モル)を滴下した。室温で5時間撹拌した後、濾過し、カラムクロマトグラフィー(シリカゲル)及び再結晶により精製を行い、式(I−6)で表される化合物17.3gを得た。
IR:3060−3030,2975−2920,1725,1630,1200,1160,1130,750,690cm−1.
LRMS:598
(実施例7)式(I−7)で表される化合物の製造
実施例1において式(I−1−1)で表される化合物を式(I−7−1)で表される化合物に置き換えた以外は同様の方法によって式(I−7−3)で表される化合物を得た。
反応容器に式(I−7−3)で表される化合物15.0g(0.0551モル)、式(I−7−4)で表される化合物12.1g(0.0551モル)、炭酸カリウム11.4g(0.0827モル)、テトラヒドロフラン120mL、水120mLを加えた。系内を窒素置換した後、テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0)0.64g(0.551ミリモル)を加え、5時間加熱還流させた。酢酸エチルで希釈した後、5%塩酸、食塩水で洗浄し、カラムクロマトグラフィー(シリカゲル)及び再結晶により精製を行い、式(I−7−5)で表される化合物14.1g(0.0441モル)を得た。
滴下ロートを備えた反応容器に式(I−7−5)で表される化合物14.1g(0.0441モル)、式(I−7−6)で表される化合物12.9g(0.0441モル)、N,N−ジメチルアミノピリジン0.54g(4.41ミリモル)、ジクロロメタン100mLを加えた。氷冷しながらN,N−ジイソプロピルカルボジイミド6.68g(0.0529モル)を滴下した。室温で5時間撹拌した後、濾過し、カラムクロマトグラフィー(シリカゲル)及び再結晶により精製を行い、式(I−7)で表される化合物19.6gを得た。
IR:3060−3030,2975−2920,1725,1630,1200,1160,1130,750,690cm−1.
LRMS:594
(実施例8)式(I−8)で表される化合物の製造
反応容器に式(I−2−9)で表される化合物20.0g(0.0615モル)、式(I−5−2)で表される化合物8.48g(0.0615モル)、炭酸カリウム12.8g(0.0923モル)、テトラヒドロフラン120mL、水120mLを加えた。系内を窒素置換した後、テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0)0.71g(0.615ミリモル)を加え、5時間加熱還流させた。酢酸エチルで希釈した後、5%塩酸、食塩水で洗浄し、カラムクロマトグラフィー(シリカゲル)及び再結晶により精製を行い、式(I−8−1)で表される化合物16.6g(0.0492モル)を得た。
反応容器に式(I−8−2)で表される化合物20.0g(0.107モル)、プロピルブロミド19.7g(0.160モル)、炭酸セシウム52.3g(0.160モル)、ジメチルスルホキシド200mLを加えた。60℃で5時間加熱撹拌した後トルエンで希釈し、水、食塩水で洗浄した。カラムクロマトグラフィー(シリカゲル)により精製を行い式(I−8−3)で表される化合物22.0g(0.0962モル)を得た。
反応容器に式(I−8−3)で表される化合物11.3g(0.0492モル)、式(I−8−1)で表される化合物16.6g(0.0492モル)、炭酸セシウム24.0g(0.0738モル)、ジメチルスルホキシド100mLを加えた。60℃で5時間加熱撹拌した後トルエンで希釈し、水、食塩水で洗浄した。カラムクロマトグラフィー(シリカゲル)及び再結晶により精製を行い式(I−8−4)で表される化合物19.2g(0.0394モル)を得た。
滴下ロートを備えた反応容器に式(I−8−4)で表される化合物19.2g(0.0394モル)、ジイソプロピルエチルアミン7.63g(0.0590モル)、ジクロロメタン100mLを加えた。氷冷しながら塩化アクリロイル4.63g(0.0512モル)を滴下した。室温で5時間撹拌した後、5%塩酸、食塩水で洗浄し、カラムクロマトグラフィー(シリカゲル)及び再結晶により精製を行い、式(I−8)で表される化合物17.0gを得た。
IR:3060−3030,2975−2920,1725,1630,1200,1160,1130,750,690cm−1.
LRMS:540
(実施例9)式(I−9)で表される化合物の製造
実施例6において式(I−6−1)で表される化合物を式(I−9−1)で表される化合物に、式(I−5−2)で表される化合物を式(I−9−3)で表される化合物に置き換えた以外は同様の方法によって式(I−9−5)で表される化合物を得た。
滴下ロートを備えた反応容器に式(I−9−5)で表される化合物20.0g(0.0601モル)、パラトルエンスルホン酸ピリジニウム0.76g(3.00ミリモル)、ジクロロメタン100mLを加えた。氷冷しながら3,4−ジヒドロ−2H−ピラン6.57g(0.0781モル)を滴下した。室温で10時間撹拌した後、飽和重曹水、食塩水で洗浄し、カラムクロマトグラフィー(アルミナ)により精製を行い、式(I−9−6)で表される化合物23.8g(0.0571モル)を得た。
反応容器に式(I−9−6)で表される化合物23.8g(0.0571モル)、テトラヒドロフラン150mLを加えた。水素化リチウムアルミニウム8.67gを少量ずつ加えた後、室温で8時間撹拌した。水を加え濾過した後、溶媒を留去することにより式(I−9−7)で表される化合物15.8g(0.0457モル)を得た。
滴下ロートを備えた反応容器に式(I−9−7)で表される化合物15.8g(0.0457モル)、カリウムtert−ブトキシド7.69g(0.0685モル)、プロパノール100mLを加えた。プロピルブロミド8.43g(0.0685モル)を滴下し10時間加熱還流させた。トルエンで希釈し水、食塩水で洗浄した後、カラムクロマトグラフィー(アルミナ)により精製を行い、式(I−9−8)で表される化合物10.7g(0.0274モル)を得た。
反応容器に式(I−9−8)で表される化合物10.7g(0.0274モル)、テトラヒドロフラン70mL、メタノール70mL、濃塩酸1mLを加え、室温で10時間撹拌した。酢酸エチルで希釈し食塩水で洗浄した後、カラムクロマトグラフィー(シリカゲル)により精製を行い、式(I−9−9)で表される化合物7.93g(0.0260モル)を得た。
滴下ロートを備えた反応容器に式(I−9−9)で表される化合物7.93g(0.0260モル)、式(I−5−5)で表される化合物6.67g(0.0260モル)、N,N−ジメチルアミノピリジン0.32g(2.60ミリモル)、ジクロロメタン50mLを加えた。氷冷しながらN,N−ジイソプロピルカルボジイミド3.94g(0.0312モル)を滴下した。室温で5時間撹拌した後、濾過し、カラムクロマトグラフィー(シリカゲル)及び再結晶により精製を行い、式(I−9−10)で表される化合物11.3g(0.0208モル)を得た。
反応容器に式(I−9−10)で表される化合物11.3g(0.0208モル)、テトラヒドロフラン100mL、プロピルアミン2.46g(0.0417モル)を加え、室温で10時間撹拌した。酢酸エチルで希釈し5%塩酸、食塩水で洗浄した後、カラムクロマトグラフィー(シリカゲル)及び再結晶により精製を行い、式(I−9−11)で表される化合物9.91g(0.0198モル)を得た。
滴下ロートを備えた反応容器に式(I−9−11)で表される化合物9.91g(0.0198モル)、ジイソプロピルエチルアミン3.32g(0.0257モル)、ジクロロメタン50mLを加えた。氷冷しながら塩化アクリロイル2.33g(0.0257モル)を滴下した。室温で5時間撹拌した後、5%塩酸、食塩水で洗浄し、カラムクロマトグラフィー(シリカゲル)及び再結晶により精製を行い、式(I−9)で表される化合物8.78gを得た。
IR:3060−3030,2975−2920,1725,1630,1200,1160,1130,750,690cm−1.
LRMS:555
(実施例10)式(I−10)で表される化合物の製造
滴下ロートを備えた反応容器に式(I−10−1)で表される化合物20.0g(0.146モル)、パラトルエンスルホン酸ピリジニウム1.84g(7.32ミリモル)、ジクロロメタン100mLを加えた。氷冷しながら3,4−ジヒドロ−2H−ピラン14.8g(0.176モル)を滴下した。室温で10時間撹拌した後、飽和重曹水、食塩水で洗浄し、カラムクロマトグラフィー(アルミナ)により精製を行い、式(I−10−2)で表される化合物30.7g(0.139モル)を得た。
反応容器に式(I−10−2)で表される化合物30.7g(0.139モル)、式(I−10−3)で表される化合物21.6g(0.107モル)、炭酸セシウム52.3g(0.160モル)、ジメチルスルホキシド200mLを加えた。60℃で5時間加熱撹拌した後トルエンで希釈し、水、食塩水で洗浄した。カラムクロマトグラフィー(アルミナ)により精製を行い式(I−10−4)で表される化合物35.1g(0.0909モル)を得た。
反応容器に式(I−10−4)で表される化合物35.1g(0.0909モル)、メタノール200mL、15%水酸化ナトリウム水溶液48.5g(0.182モル)を加え、5時間加熱還流させた。塩化アンモニウム水溶液で中和し酢酸エチルで希釈した後、食塩水で洗浄した。カラムクロマトグラフィー(アルミナ)により精製を行い式(I−10−5)で表される化合物32.2g(0.0864モル)を得た。
滴下ロートを備えた反応容器に式(I−10−5)で表される化合物10.0g(0.0268モル)、式(I−1−9)で表される化合物10.8g(0.0268モル)、N,N−ジメチルアミノピリジン0.33g(2.68ミリモル)、ジクロロメタン50mLを加えた。氷冷しながらN,N−ジイソプロピルカルボジイミド4.07g(0.0322モル)を滴下した。室温で5時間撹拌した後、濾過し、カラムクロマトグラフィー(アルミナ)により精製を行い、式(I−10−6)で表される化合物17.2g(0.0228モル)を得た。
反応容器に式(I−10−6)で表される化合物17.2g(0.0228モル)、テトラヒドロフラン70mL、メタノール70mL、濃塩酸1mLを加え、室温で10時間撹拌した。酢酸エチルで希釈し食塩水で洗浄した後、カラムクロマトグラフィー(シリカゲル)及び再結晶により精製を行い、式(I−10−7)で表される化合物14.5g(0.0217モル)を得た。
滴下ロートを備えた反応容器に式(I−10−7)で表される化合物14.5g(0.0217モル)、3−エチル−3−オキセタンメタノール3.27g(0.0282モル)、トリフェニルホスフィン6.82g(0.0260モル)、テトラヒドロフラン100mLを加えた。氷冷しながらアゾジカルボン酸ジイソプロピル5.26g(0.0260モル)を滴下した。室温で5時間撹拌した後、カラムクロマトグラフィー(シリカゲル)及び再結晶により精製を行い、式(I−10)で表される化合物11.6gを得た。
LRMS:768
(実施例11)式(I−96)で表される化合物の製造
実施例9において式(I−9−11)で表される化合物を式(I−3−8)で表される化合物に置き換えた以外は同様の方法によって式(I−96)で表される化合物を得た。
IR:3060−3030,2975−2920,1725,1630,1200,1160,1130,750,690cm−1.
LRMS:500
実施例1から実施例11と同様の方法、公知の方法に準拠した方法を用いて、下記式(I−11)から式(I−95)で表される化合物を製造した。
(実施例12〜21、比較例1〜3)
実施例1から実施例11記載の式(I−1)から式(I−10)及び式(I−96)で表される化合物及び、特許文献1記載の化合物(R−1)、特許文献2記載の化合物(R−2)並びに特許文献3記載の化合物(R−3)を評価対象の化合物とした。
保存安定性を評価するために、評価対象の化合物の安定保存濃度を測定した。安定保存濃度は、母体液晶に評価対象となる化合物を5%から25%まで5%刻みで添加した組成物を各々調製し、調製した組成物を18.5℃で10週間放置した後に、結晶の析出が起こらない当該化合物の最大添加濃度と定義する。最大添加濃度が大きい化合物は安定保存濃度が大きく、長期間の保存によっても結晶の析出が発生しないことを意味する。
安定保存濃度を測定するために、下記化合物(X−1):20%、化合物(X−2):25%、化合物(X−3):25%及び化合物(X−4):30%からなる液晶組成物を母体液晶(X)とした。測定結果を表1に示す。
表より、実施例11から実施例21の本願発明の式(I−1)から式(I−10)及び式(I−96)で表される化合物はいずれも比較例1から比較例3の化合物(R−1)から化合物(R−3)と比較して、結晶の析出の起こらない最大添加濃度が高いことから、高い保存安定性を示すことがわかる。
(実施例22〜32、比較例4〜6)
配向膜用ポリイミド溶液を厚さ0.7mmのガラス基材にスピンコート法を用いて塗布し、100℃で10分乾燥した後、200℃で60分焼成することにより塗膜を得た。得られた塗膜をラビング処理した。ラビング処理は、市販のラビング装置を用いて行った。
母体液晶(X)に評価対象となる化合物を20%添加することにより調製した組成物各々に対し、光重合開始剤Irgacure907(BASF社製)を1%及び4−メトキシフェノールを0.1%添加した。この組成物をラビングしたガラス基材に70℃でスピンコート法により塗布した。得られた塗布膜の上に配向処理が施された樹脂金型をラビングしたガラス基材の配向方向と樹脂金型の配向方向が並行になるように配置した後、室温まで冷却した。次に樹脂金型をゆっくり取り外し、紫外線硬化型のエポキシアクリレート樹脂をスピンコート法で塗布した。その後、高圧水銀ランプを用いて、紫外線を40mW/cm2の強度で25秒間照射した。得られた重合体からガラス基材を取り外すことにより、レンチキュラーレンズを得た。(図1参照)
得られた重合体について、目視及び偏光顕微鏡観察によって配向状態を評価した。配向に欠陥が無く均一であれば◎、欠陥がごくわずかであれば〇、欠陥がやや多ければ△、欠陥が非常に多ければ×とした。
また、得られた重合体についてレンズ形状の均一性を評価した。隣接するレンズどうしの境界部分が目視及び顕微鏡観察によって明瞭で直線状であれば〇、わずかに明瞭でないか又は乱れが見られれば△、明瞭でないか又は乱れが多ければ×とした。評価結果を表2に示す。
表より、実施例22から実施例32の本願発明の式(I−1)から式(I−10)及び式(I−96)で表される化合物はいずれも比較例4から比較例6の化合物(R−1)から化合物(R−3)と比較して、配向性が高いか又は同程度であることがわかる。また、実施例22から実施例32の本願発明の式(I−1)から式(I−10)及び式(I−96)で表される化合物はいずれも比較例4から比較例6の化合物(R−1)から化合物(R−3)と比較して、レンズ形状の均一性が高いか又は同程度であることがわかる。比較例6の化合物(R−3)を含有する組成物を用いた光学異方体はレンズ形状の均一性が低かったが、重合性組成物が硬化する際に収縮が発生したためであると考えられる。
以上の結果から、実施例1から実施例11記載の本願発明である式(I−1)から式(I−10)及び式(I−96)で表される化合物は、重合性組成物を構成した場合に保存安定性が高く、本願発明の化合物を含有する組成物を用いた光学異方体は、配向欠陥が少なく、レンズ形状が均一であることがわかる。従って、本願発明の化合物は、重合性組成物の構成部材として有用である。また、本願発明の化合物を含有する重合性液晶組成物を用いた光学異方体は光学フィルム等の用途に有用である。