JP6278727B2 - 共沈物の製造方法およびリチウム含有複合酸化物の製造方法 - Google Patents

共沈物の製造方法およびリチウム含有複合酸化物の製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、リチウムイオン二次電池の正極活物質の製造に使用する共沈物の製造方法、および、この製造方法により得られた共沈物を使用するリチウム含有複合酸化物の製造方法に関する。
リチウムイオン二次電池の正極には、リチウムと遷移金属とを含有するリチウム含有複合酸化物からなる正極活物質が使用されている。該リチウム含有複合酸化物の製造方法として、リチウム化合物と遷移金属を含有する化合物(以下、遷移金属含有化合物と略す)とを混合し、焼成して製造する方法が知られている。(例えば非特許文献1および2)。
リチウム含有複合酸化物には複数の遷移金属が含まれており、遷移金属含有化合物にも複数の遷移金属が含まれている。このような複数の遷移金属を含有する遷移金属含有化合物は、共沈殿により得られる共沈物が広く用いられている。
上記した方法でリチウム含有複合酸化物を製造する場合、リチウム含有複合酸化物の直径(以下、粒子径と略す)および粒子径分布(以下、これらを合わせて粉体特性という)は共沈物の粉体特性に影響を受ける。
近年、リチウムイオン二次電池の電池特性の向上が求められており、改善の一つとして、リチウム含有複合酸化物の粉体特性の制御が注目されている。そのため、共沈物においても、その粉体制御の重要性が高まっている。
従来、遷移金属を含有する水酸化物を主に含む共沈物の粉体特性を制御する方法は検討されている(例えば、特許文献1、2)。しかし、遷移金属を含有する炭酸化合物を主に含む共沈物については、粉体特性の制御方法は十分に検討されていなかった。また、水酸化物と炭酸化合物とは、その反応機構が異なるため、水酸化物についての粉体特性を制御する方法を炭酸化合物の製造に適用することはできなかった。
特開2008−147068号公報 特開2012−256435号公報
J.Power Sources 177 (2008) 177 内藤牧男ら著 「電池の未来を拓く粉体技術」日刊工業新聞社出版 2010年
本発明は、上記問題に鑑みなされたものであり、リチウム含有複合酸化物の製造に使用し、遷移金属を含有する炭酸化合物を主に含む共沈物の製造方法であって、得られる共沈物の粉体特性を制御できる製造方法の提供を目的とする。
本発明者らは、共沈物の製造において、イオン性界面活性剤を含む混合液中で遷移金属イオンと炭酸イオンとを反応させて炭酸化合物を含む共沈物を得ることで、上記課題を解決できることを見出し、本発明を完成した。
本発明の共沈物の製造方法(以下、本製造方法という)は、2種以上の遷移金属を含有する共沈物の製造方法であって、
反応槽に水、イオン性界面活性剤、水溶液(A)および水溶液(B)を供給し、混合し、
イオン性界面活性剤を含む混合液中で、混合液のpHを7〜9の所定のpHに保持して、炭酸イオンと2種以上の遷移金属イオンとを反応させることを特徴とする。
水溶液(A):Ni、CoおよびMnからなる群から選ばれる2種以上の遷移金属の金属イオンを含む水溶液。
水溶液(B):炭酸イオンを含む水溶液。
本製造方法によれば、得られる共沈物の粒子径分布を狭くできる。そのため、この共沈物とリチウム化合物とを混合し、焼成して得られるリチウム含有複合酸化物の粒子径分布を狭くできる。
本製造方法の共沈物を製造する工程の概略フローチャートである。 本製造方法において初期溶液を用いて共沈物を製造する工程の概略フローチャートである。 本製造方法において初期溶液を使用し、イオン性界面活性剤を初期溶液および混合液に供給して共沈物を製造する工程の概略フローチャートである。
本製造方法は、2種以上の遷移金属を含有する共沈物を製造する方法である。
本製造方法では、反応槽に水、イオン性界面活性剤、水溶液(A)および水溶液(B)を供給し、混合する。これにより、イオン性界面活性剤を含む混合液中で、炭酸イオンと2種以上の遷移金属イオンとを反応させ、共沈殿させて、2種以上の遷移金属を含む共沈物を得る。
なお、水溶液(A)は、Ni、Co、およびMnからなる群から選ばれる2種以上の遷移金属の金属イオンを含む水溶液である。また、水溶液(B)は、炭酸イオンを含む水溶液である。
本製造方法は、混合液のpHを7〜9の範囲で所定のpHに保持して共沈殿させて、共沈物を得る。混合液を上記pHの範囲で行うので、得られた共沈物は、2種以上の遷移金属を含む1種の炭酸化合物や、1種以上の遷移金属を含む2種以上の炭酸化合物が含まれる。
本製造方法は、混合液中にイオン性界面活性剤を含む。そのため、この反応槽で得られた共沈物は平均粒子径よりも極端に大きな粒子(粗大粒子という)の生成を抑制できる。粗大粒子は、共沈物同士が混合液中で凝集することで生成すると考えられる。発明者らが鋭意検討した結果、混合液中にイオン性界面活性剤を存在させることにより、共沈物同士の凝集を抑制できることを見出した。その結果、本製造方法を行うことにより、粗大粒子の生成を抑制できることを見出した。
また、イオン性界面活性剤の作用は明らかではないが、作用の一例として、混合液中でイオン性界面活性剤が共沈物の表面を部分的に覆い、共沈物の表面に電荷を帯びさせることが挙げられる。共沈物の表面が電荷を帯びると、混合液中で共沈物間が静電反発し、共沈物同士の凝集が抑制されると考えられる。
本製造方法は、図1に示すとおり、イオン性界面活性剤、水溶液(A)、水溶液(B)および水を供給する順序は限定されない。反応槽へこれらを同時に供給してもよく、別々に供給してもよい。なお、反応槽には、共沈反応の妨げにならない範囲で、上記した以外の他の成分を供給してもよい。
本製造方法は、図2および図3に示すとおり、水とイオン性界面活性剤を含む反応槽に、水溶液(A)および水溶液(B)を供給することが好ましい。反応槽に予めイオン性界面活性剤を含有することにより、反応初期の共沈物の凝集を効率よく抑制できる。イオン性界面活性剤は、初期溶液に含有していれば、反応中に供給をしない場合でもよく(図2)、反応中にさらにイオン性界面活性剤を供給してもよい(図3)。
本明細書において、水溶液(A)および水溶液(B)を供給する前に、反応槽に予め含まれる溶液を初期溶液という。
本製造方法は、反応槽中の混合液の体積がほぼ一定となるように、反応槽へ少なくとも水溶液(A)および水溶液(B)の供給と、反応槽からの混合液の抜き出しとを行うことが好ましい。これにより、反応槽に連続して水溶液(A)および水溶液(B)を供給できるので、反応槽の容積に関係なく、共沈物を大量に生産できる。
反応槽の混合液の体積をほぼ一定とする場合、図1や図3に示すとおり、水溶液(A)および水溶液(B)の供給に合わせて、反応槽へイオン性界面活性剤等を供給してもよい。これにより、反応槽中のイオン性界面活性剤の濃度が低くならないようにできる。
本製造方法において、反応槽中の混合液の体積がほぼ一定とは、反応槽中の混合液の体積の変動が設定値に対して70〜130%の範囲内で維持している状態をいう。前記体積の変動は、反応槽中の混合液の体積が設定値となった後の値を意味する。混合液の体積の変動は、設定値に対して80〜120%の範囲が好ましく、85〜115%の範囲がより好ましい。混合液の体積の変動が所定の範囲内にあることは、反応槽中の混合液の液面の高さを観察し、設定値に対する液面の高さの変動を見ることで確認できる。また、反応槽中の混合液の体積の変動は、単位時間当たりに反応槽に加える種々の溶液の合計量と、単位時間当たりに反応槽から抜き出す溶液の量とを調整することにより、前記した所定の範囲内に維持できる。
水溶液(A)および水溶液(B)を供給し、反応が進行すると、混合液中に共沈物が含まれ、混合液は懸濁液となる。反応槽から混合液を抜き出す方法としては、前記懸濁液を抜き出す方法(以下、オーバーフロー法という)と、前記懸濁液をろ布などを通した溶液(以下、上澄み液という)を抜き出す方法(以下、濃縮法という)とが挙げられる。
オーバーフロー法は、共沈物が所定の時間だけ反応槽に滞留し、その後抜き出される。反応槽中に滞留している間は、共沈物は粒子成長し、抜き出されると粒子成長は止まる。各共沈物が反応槽に滞留する時間は、水溶液(A)および水溶液(B)を供給し始めてから経過した時間(反応時間)に関わらず、ほとんど一定である。
一方で、オーバーフロー法では、混合液中の共沈物の濃度(以下、固形分濃度という)が低い。そのため、共沈物の核発生と粒子成長が交互に起こり、さらに粒子成長が速い。その結果、オーバーフロー法は粒子径分布が広くなりやすい。
オーバーフロー法の場合、混合液中のイオン性界面活性剤の濃度がほぼ一定に維持されていることが好ましい。すなわち、初期溶液にイオン性界面活性剤を含む場合であっても、図1や図3のように、水溶液(A)および水溶液(B)の供給に合わせてイオン性界面活性剤を供給することが好ましい。
濃縮法は、上澄み液のみ抜き出されるため、共沈物は反応を終えるまで反応槽中に滞留する。従って、共沈物が反応槽に滞留する時間は、反応時間に応じて異なる。すなわち、反応初期に生じた共沈物の滞留時間は長く、反応終期に生じた共沈物の滞留時間は短い。従って、濃縮法では、共沈物の粒子径は滞留時間の違いによる分布ができ、さらに、分布が広くなりやすい。
濃縮法では、反応槽中の混合液中の固形分濃度が高いため、各共沈物が粒子成長する速さは遅い。そのため、反応槽内での長時間滞留した共沈物同士が凝集すると、粗大粒子が発生しやすい。
濃縮法の場合、粗大粒子の発生を抑制するには、イオン性界面活性剤の作用により反応初期に生じた共沈物同士の凝集を抑制することが好適である。そのため、図2や図3に示すように初期溶液にイオン性界面活性剤を含むことが好ましい。
初期溶液にイオン性界面活性剤を含む場合、初期溶液に含まれるイオン性界面活性剤の濃度は、初期溶液の全質量に対して、0.01〜1%が好ましい。この範囲にあれば、共沈物の凝集を抑制できる。その結果、共沈物の粒子径分布を狭くできる。初期溶液中のイオン性界面活性剤の濃度は、0.05〜0.5%がより好ましく、0.1〜0.25%が特に好ましい。
初期溶液には、本発明の効果を妨げない範囲で、イオン性界面活性剤以外に後述する他の成分を含有してもよい。他の成分の濃度は合計で、初期溶液の全質量に対して、0〜20%が好ましく、0〜10%がより好ましく、0〜1%が特に好ましい。
本製造方法において、混合液の温度は、20〜70℃が好ましく、30〜50℃がより好ましい。この温度範囲で反応を行えば、効率よく所望の組成を有する共沈物を析出できる。反応槽中の混合液の温度が低くなると、副生成物の硫酸ナトリウムなどが析出し、所望の組成の共沈物が得られないおそれがある。反応槽をヒーターなどで覆い、必要に応じて加熱することで、反応槽中の混合液の温度を上記した温度に一定にできる。
本製造方法において、混合液のpHは、液温25℃基準で7〜9の範囲の所定のpHに保持する。混合液のpHがこの範囲であれば、所望の組成を有する共沈物が得られる。また、所定のpHに維持することで、反応の反応速度(または粒子成長の速さ)を一定に保つことができ、共沈物間の組成や粒子径のばらつきを小さくできる。なお、混合液のpHは、水溶液(B)の供給量を調整することにより制御できる。
本製造方法において、水溶液(A)および水溶液(B)を供給する時、反応槽中の初期溶液および混合液を撹拌することが好ましい。撹拌により反応槽内全体で遷移金属(M)のイオンおよび炭酸イオンの濃度を均一にできる。これにより、反応が均一に進行し、粒子径分布を狭くできる。撹拌装置としては、例えば、スリーワンモータ等が挙げられる。撹拌翼としては、例えば、アンカー型、プロペラ型、パドル型等の撹拌翼が挙げられる。
本製造方法は、不活性ガス雰囲気下で行うことが好ましい。本製造方法で得られる共沈物は酸化されやすいため、不活性ガス雰囲気下で行うことにより、共沈物の酸化を防止できる。不活性ガスとしては、アルゴンガスまたは窒素ガスが挙げられる。
反応槽に水溶液(A)および水溶液(B)を単位時間あたりに供給する量(供給速度)を制御することにより、共沈反応の反応速度を制御できる。供給速度は、それぞれ独立に0.2〜7.5g/(min・L)が好ましい。供給速度をこの範囲にすれば、反応槽に供給した遷移金属の金属イオンのほとんどを反応に関与させることができ、製造効率を高くできる。
水溶液(A)および水溶液(B)のそれぞれの供給速度は、前記範囲にあれば、互いに等しくても、異なっていてもよい。前述のとおり、水溶液(B)は反応槽中の混合液のpHを調整する働きもする。そのため、供給速度は、水溶液(A)および(B)でそれぞれ独立して調整することが好ましい。
反応槽から溶液を抜き出す速さは特に限定されない。上記したとおり、反応槽の溶液の体積がほぼ一定となるように、反応槽に溶液を供給する速さに応じて調整することが好ましい。
以下に、本製造方法に使用するイオン性界面活性剤、水溶液(A)および水溶液(B)を説明する。
(イオン性界面活性剤)
本製造方法において、イオン性界面活性剤としては、アニオン性界面活性剤、カチオン性界面活性剤、および両性界面活性剤が挙げられる。また、イオン性界面活性剤には、単分子の界面活性剤と高分子の界面活性剤が含まれる。
イオン性界面活性剤としては、共沈物の凝集を抑制する作用が優れているため、アニオン性界面活性剤がより好ましい。共沈物の分散性に優れ、反応中に発泡が少ないことから、カルボン酸基を有するアニオン性界面活性剤がさらに好ましい。共沈物の分散性に優れる点で、高分子のアニオン性界面活性剤が特に好ましい。
カチオン性界面活性剤としては、アルキルピリジニウム塩、アルキルイミダゾール型、アルキルアミノ酸型等が挙げられる。
単分子のアニオン性界面活性剤としては、以下の物が挙げられる。
クエン酸、オクタン酸、デカン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、ペルフルオロノナン酸、N‐ラウロイルサルコシン、ココイルグルタミン酸等およびこれらのアルカリ塩等のカルボン酸基を有するアニオン性界面活性剤。
1‐ヘキサンスルホン酸、1‐オクタンスルホン酸、1‐デカンスルホン酸、1‐ドデカンスルホン酸、ペルフルオロブタンスルホン酸、炭素数4〜18のアルキル基を有する直鎖アルキルベンゼンスルホン酸、トルエンスルホン酸、クメンスルホン酸、オクチルベンゼンスルホン酸、ナフタレンスルホン酸、ナフタレンジスルホン酸、ナフタレントリスルホン酸、ブチルナフタレンスルホン酸等およびこれらのアルカリ塩。
ラウリル硫酸、ミリスチル硫酸、炭素数4〜18のアルキル基を有するポリオキシエチレンアルキルフェノールスルホン酸等およびこれらのアルカリ塩。
炭素数4〜18のアルキル基を有するアルキルリン酸、炭素数4〜18のアルキル基を有するポリオキシエチレンアルキルエーテルリン酸、炭素数4〜18のアルキル基を有するポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテルリン酸等およびこれらのアルカリ塩。
高分子のアニオン性界面活性剤としては、アニオン性基含有重合体が挙げられる。高分子のアニオン性界面活性剤の分子量は、1000〜20000が好ましく、2000〜10000がより好ましい。
アニオン性基含有重合体に使用するモノマー成分としては、アクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、無水マレイン酸、イタコン酸、マレイン酸半エステル、イタコン酸半エステル等のカルボキシル基含有モノマー、スチレンスルホン酸、アリルスルホン酸、メタアリルスルホン酸、2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸等のスルホン基含有モノマー、アシッドホスホオキシエチル(メタ)アクリレート等のリン酸基含有モノマーまたはこれらのアルカリ塩などが挙げられる。
アニオン性基含有重合体は、ポリアクリル酸または、上記したモノマー成分を2種以上使用するアニオン性基含有共重合体が好ましい。アニオン性基含有共重合体は、上記したモノマー成分から選ばれる2種を使用する共重合体がより好ましい。アニオン性基含有重合体としては、共沈物の凝集抑制能が特に優れるため、ポリアクリル酸または、アクリル酸およびマレイン酸からなる共重合体が特に好ましい。
(水溶液(A))
本製造方法で得られる共沈物は、リチウムイオン二次電池の正極活物質の製造に使用する。そのため、共沈物は正極活物質に含まれる遷移金属を含有することが好ましい。このような遷移金属としては、Ni、CoおよびMnが挙げられる。また、共沈物に含まれるNi、CoおよびMn以外の他の金属元素(M)としては、W、Zr、Mo、Mg、Ca、Sr、BaおよびAlが好ましく挙げられる。
水溶液(A)は、Ni、CoおよびMnからなる群から選ばれる2種以上の遷移金属の金属イオンを含む水溶液である。水溶液(A)は、NiイオンまたはCoイオンの少なくとも1つとMnイオンとを含むことがより好ましい。上述のとおり、水溶液(A)には、金属元素(M)のイオンを含んでもよい。
水溶液(A)に含まれるNi、CoおよびMnのモル比は、この共沈物を使用して製造する正極活物質の組成に合わせて適宜調整される。本製造方法においては、得られた正極活物質が高い放電容量を示すことから、水溶液(A)に含まれるNi、CoおよびMnのモル比は、これら3成分の合量(X)に対して、以下の関係を満たすことが好ましい。
Ni/X=0.1〜0.7、Co/X=0〜0.4、Mn/X=0.2〜0.8
リチウムイオン二次電池の初期放電容量および初期放電電圧が高い正極活物質に使用するリチウム含有複合酸化物を製造するため、水溶液(A)に含まれるNi、CoおよびMnのモル比は下記条件を満たすことが好ましい。
Ni/X=0.35〜0.6、Co/X=0〜0.13、Mn/X=0.33〜0.65
さらに、Mn/Xは上記と同様の理由で0.34〜0.5が得に好ましい。
水溶液(A)に金属元素(M)を含有する場合、金属元素(M)の含有量は、Ni、CoおよびMnの合計量(X)に対して、モル比で以下の関係を満たすことが好ましい。
M/X=0〜0.05
リチウムイオン二次電池の初期放電容量および初期放電電圧が高い正極活物質に使用するリチウム含有複合酸化物の製造するために、M/Xは、0.001〜0.05であることがより好ましく、0.001〜0.02であることがさらに好ましい。
水溶液(A)は、Ni、CoまたはMnを含む金属塩(1)を水へ溶解して調整することが好ましい。金属塩(1)としては、硫酸塩、硝酸塩等が挙げられ、水への溶解性の点から、硫酸塩が好ましい。
水溶液(A)に溶解する好適なNiの硫酸塩、Coの硫酸塩およびMnの硫酸塩としては、硫酸マンガン(II)・五水和物、硫酸マンガン(II)アンモニウム・六水和物、硫酸ニッケル(II)・六水和物、硫酸ニッケル(II)・七水和物、硫酸ニッケル(II)アンモニウム・六水和物、硫酸コバルト(II)・七水和物、硫酸コバルト(II)アンモニウム・六水和物等が挙げられる。
水溶液(A)の濃度は、溶解する金属塩(1)の合計量で0.1〜3mol/kgが好ましい。金属塩(1)が硫酸塩である場合、水溶液(A)の濃度がこの範囲であれば、水に硫酸塩(1)を充分に溶解でき、また、溶液濃度が薄過ぎないため、効率よく共沈物を製造できる。溶液濃度が薄いと、溶媒の水を大量に使用し、生産性が低下するおそれがある。硫酸塩の濃度は、生産性を保ちつつ、安定して共沈物を成長させる観点から、0.5〜2.5mol/kgがより好ましい。
水溶液(A)は、供給する金属イオンを全て含む水溶液として調整してもよく、供給する金属イオンごとに水溶液を調整してもよい。成分ごとに水溶液を調整する場合、それぞれの水溶液の平均濃度が前記範囲にあればよい。また、成分ごとに水溶液を調整する場合、反応槽へ同時に別々に供給してもよく、水溶液を混合してから混合液に供給してもよい。
成分ごとに水溶液を調整して水溶液(A)とする場合には、共沈物に含まれる金属成分が所望の組成となるように水溶液の間で濃度を調整する。一方、全ての成分からなる水溶液(A)とする場合には、共沈物に含まれる金属成分が所望の組成となるように各水溶液中のNi、CoおよびMnの含有量を調整する。
水溶液(A)に金属元素(M)のイオンを含む場合、Ni、CoおよびMnの金属塩(1)以外に、金属元素(M)を含む金属塩(2)も溶解して水溶液(A)を調整することが好ましい。金属塩(2)としては、硫酸塩、硝酸塩等が挙げられる。水への溶解性の点から、金属塩(2)としては、金属元素(M)の硫酸塩が好ましい。金属元素(M)の硫酸塩としては、具体的に、Wの硫酸塩、Zrの硫酸塩、Moの硫酸塩、Mgの硫酸塩、Caの硫酸塩、Srの硫酸塩、Baの硫酸塩、Alの硫酸塩等が挙げられる。
水溶液(A)には、上述した遷移金属の金属イオンや金属元素(M)のイオン以外に、これらの溶解度を調整するなどの目的のため、後述する他の成分を含有してもよい。
(水溶液(B))
本製造方法において、水溶液(B)は、炭酸イオンを含有する。また、本製造方法において、水溶液(B)は、混合液のpHを調整する働きをする。水溶液(B)には、炭酸イオン源以外に後述する他の成分を含有してもよい。
水溶液(B)は、アルカリ金属を含む炭酸塩または炭酸水素塩(以下、これらを炭酸イオン源という)を溶解して調整することが好ましい。この水溶液(B)を反応槽に供給すれば、混合液のpHを7〜9に維持できる。アルカリ金属としては、NaまたはKが好ましい。このような炭酸塩または炭酸水素塩としては、炭酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸カリウム、および炭酸水素カリウムからなる群から選ばれる1以上が好ましい。取扱いの容易性の観点から、炭酸ナトリウムまたは炭酸カリウムがより好ましい。
水溶液(B)に溶解する炭酸イオンの濃度は、0.1〜2mol/kgが好ましい。この範囲であれば、水に炭酸イオン源を充分に溶解でき、さらに共沈反応を効率よく進行できる。前記濃度は、0.5〜2mol/kgがより好ましい。
炭酸イオン源として複数の成分を含有する場合、成分ごとに水溶液を調整して水溶液(B)としてもよく、全ての成分からなる水溶液(B)としてもよい。成分ごとに水溶液を調整する場合には、それぞれの水溶液の平均濃度が前記範囲にあればよい。また、成分ごとに水溶液を調整する場合、混合液への供給は別々にしてもよい。
(他の成分)
水溶液(A)、水溶液(B)または初期溶液に含有してもよい他の成分としては、水溶性アルコールなどが挙げられる。水溶性アルコールとしては、例えば、1〜3価のアルコールが挙げられる。1価のアルコールとしては、メタノール、エタノール、1−プロパノール、2−プロパノール等が挙げられる。2価のアルコールとしては、アルコールエチレングリコール、プロピレングリコール、ジエチレングリコール、ジプロピレングリコール、ポリエチレングリコール、ブタンジオール等が挙げられ、3価のアルコールとしては、グリセリン等が挙げられる。
他の成分の濃度は合計で、水溶液(A)、水溶液(B)または初期溶液のそれぞれの全質量に対して、0〜20%が好ましく、0〜10%がより好ましく、0〜1%がさらに好ましい。他の成分の濃度の合計が20%以下であれば、環境面、取扱い性、および製造コストの点で優れている。製造コストの観点から、他の成分を含まないことが特に好ましい。
本製造方法においては、イオン性界面活性剤、水溶液(A)、および水溶液(B)以外にも、例えば、アンモニアまたはアンモニウム塩を含有する水溶液を供給してもよい。アンモニアまたはアンモニウム塩を含有する水溶液は、混合液のpHの調整や、混合液中の遷移金属イオンおよび金属(M)のイオンの溶解度を調整する作用が考えられる。該アンモニウム塩としては、塩化アンモニウム、硫酸アンモニウム、硝酸アンモニウム等が挙げられる。
反応槽へ水溶液(A)および水溶液(B)の供給を止めると反応が終了する。反応終了後は、混合液から公知の方法により共沈物を分離できる。分離方法としては、例えば、濾過、または遠心分離が挙げられる。濾過は、加圧濾過機、減圧濾過機等を用いて行える。遠心分離は、遠心分級機、フィルタープレス、スクリュープレス、回転型脱水機等を用いて行える。
分離された共沈物を洗浄および乾燥することが好ましい。共沈物を洗浄することにより、共沈物の表面に吸着している不純物イオンなどを除去できる。共沈物の洗浄方法としては、例えば、加圧濾過と蒸留水への分散を繰り返す方法等が挙げられる。
共沈物を乾燥する場合の乾燥温度は、60〜200℃が好ましい。乾燥温度がこの範囲にあれば、得られた共沈物を短時間で乾燥でき、乾燥中の炭酸塩の酸化を抑制できる。乾燥温度は、80〜130℃がより好ましい。また、乾燥時間は、1〜300時間が好ましく、5〜120時間がより好ましい。
本製造方法により得られる共沈物の平均粒子径(D50)は、1〜12μmが好ましい。平均粒子径がこの範囲にあれば、取扱いが容易であるため好ましい。共沈物のD50は、2〜10μmがより好ましく、3〜8μmがさらに好ましい。
本明細書において、共沈物のD50は、体積基準で粒度分布を求め、全体積を100%とした累積カーブにおいて、累積体積が50%となる粒子径をさす。体積基準の粒度分布は、レーザー回折・散乱式粒度分布測定装置を用いて測定した頻度分布および累積体積分布曲線から算出できる。粒子径の測定は、粒子を水媒体中に分散させて測定する。
本製造方法によれば、粗大粒子の発生を抑制できる。これは、得られる共沈物のD99とD10の比(D99/D10)を算出することにより確認できる。D99およびD10は、D50と同様の方法で測定して得られる累積体積分布曲線において、累積体積がそれぞれ99%と10%となる粒子径である。共沈物のD99/D10は、4.5以下が好ましく、3.8以下がより好ましく、3.5以下が特に好ましい。
(組成)
本製造方法で得られる共沈物は、NiまたはCoの少なくとも1つと、Mnとを含有することが好ましい。共沈物中の金属元素(X)の合計量に対するNi、Co、およびMnの含有量は、モル比で下記条件を満たすことが好ましい。
Ni/X=0.1〜0.7、Co/X=0〜0.4、Mn/X=0.2〜0.8
リチウムイオン二次電池の初期放電容量および初期放電電圧が高い正極活物質に使用するリチウム含有複合酸化物を製造するために、共沈物中の金属元素(X)の合計量に対するNi、Co、およびMnの含有量は、モル比で下記条件を満たすことが好ましい。
Ni/X=0.35〜0.6、Co/X=0〜0.13、Mn/X=0.33〜0.65
Mn/Xは上記と同様の理由で0.34〜0.5が得に好ましい。
共沈物は金属元素(M)を含有してもよい。金属元素(M)としては、水溶液(A)に含まれる物と同様の金属が挙出られる。共沈物が金属元素(M)を含有する場合、共沈物に含まれる金属元素(X)の合計量に対する金属元素(M)の含有量は、モル比で下記条件を満たすことが好ましい。
M/X=0〜0.05
リチウムイオン二次電池の初期放電容量および初期放電電圧が高い正極活物質に使用するリチウム含有複合酸化物の製造するために、共沈物中の金属元素(X)の合計量に対し、金属元素(M)は合量で、モル比(M/X)が0.001〜0.05であることがより好ましく、0.001〜0.02であることがさらに好ましい。
本製造方法により得られた共沈物は、リチウムイオン二次電池の正極活物質に好適なリチウム含有複合酸化物の製造の原料として好適である。
該リチウム含有複合酸化物は、本製造方法により得られる共沈物と、リチウム化合物とを混合し、焼成して得られることが好ましい。
該リチウム化合物としては、水酸化リチウム、硝酸リチウムもしくは炭酸リチウムまたはこれらの混合物が好ましい。製造効率の観点から、水酸化リチウムもしくは炭酸リチウムまたはこれらの混合物がより好ましい。
共沈物とリチウム化合物との混合は、例えば、混合機を使用して行える。混合が不十分な場合、焼成後の正極活物質の粒子間で、リチウムと遷移金属の合計量の比がばらつくおそれがある。混合機としては、シェーカーミキサー、レーディゲミキサー、ジュリアミキサー、Vブレンダー等を使用できる。
前記焼成は、酸素雰囲気下で、焼成温度を800〜1000℃として行うことが好ましい。酸素雰囲気下であれば、焼成により、効率よく共沈物をリチウム含有複合酸化物とでき、未酸化反応の共沈物を低減できる。焼成温度がこの範囲にあれば、粒子内で結晶構造が揃ったリチウム含有複合酸化物が得られる。焼成温度は、800〜950℃がより好ましい。
リチウム含有複合酸化物の平均粒子径(D50)は3〜7μmが好ましい。リチウム含有複合酸化物のD50は、4〜7μmがより好ましく、5〜6μmがさらに好ましい。D50は、共沈物と同様の方法で測定した値である。
リチウム含有複合酸化物は、D99とD10の比(D99/D10)が.5以下が好ましく、3.8以下がより好ましく、3.5以下が特に好ましい。D99およびD10は、共沈物のD99とD10と同様の方法で測定して得られる。
50とD99/D10が上記条件を満たすリチウム含有複合酸化物を有するリチウムイオン二次電池は、信頼性に優れる。
リチウム含有複合酸化物の比表面積は、0.4〜20m/gが好ましい。リチウム含有複合酸化物の比表面積がこの範囲にあれば、放電容量が高く、緻密な正極電極層を形成できる。比表面積は、炭酸化合物と同様の方法で測定した値である。リチウム含有複合酸化物の比表面積は、3〜10m/gがより好ましい。
リチウム含有複合酸化物のタップ密度は、1.0/cm以上が好ましい。タップ密度が高ければ、単位体積中に充填できるリチウム含有複合酸化物の量を多くでき、高容量で、高エネルギー密度を有するリチウムイオン二次電池が得られる。
リチウム含有複合酸化物は、下記式(1)で表される化合物が好ましい。なお、下記式(1)は、充放電や活性化処理といった化合物からLiの出し入れを行っていない状態での組成である。なお、活性化処理とは、リチウム含有複合酸化物に電位を印加する電気化学反応または、強酸に浸して化学反応により、酸化リチウム、リチウムまたはこれらの両方をリチウム含有複合酸化物から取り除く処理をいう。
リチウム含有複合酸化物は、下記式(1)で表される化合物が好ましい。
LiNiCoMn・・・(1)
式(1)において、1.1≦x≦1.7、0.1≦a≦0.7、0≦b≦0.4、0.2≦c≦0.8、0≦d≦0.05であり、a+b+c+d=1である。また、Mは、W、Zr、Mo、Mg、Ca、Sr、BaおよびAlからなる群から選ばれる1以上の金属である。
本発明を、実施例を用いて具体的に説明する。本発明は、以下の実施例に限定して解釈されない。例1〜4が本発明の実施例であり、例5と6が比較例である。
(例1)
硫酸ニッケル(II)・六水和物(305g、1.16モル)、硫酸コバルト(II)・七水和物(72g、0.26モル)および硫酸マンガン(II)・五水和物(383g、1.59モル)を蒸留水に溶解し、水溶液中の遷移金属イオン濃度が1.5mol/kgの水溶液(A)を2kg調製した。
炭酸ナトリウム(0.92kg、8.7モル)を蒸留水4.88kgに溶解し、水溶液中の炭酸イオン濃度が1.5mol/kgの水溶液(B)を5.8kg調製した。
蒸留水とアクリル酸とマレイン酸共重合体からなるアニオン性界面活性剤(ライオン社製、商品名:Polity A550)を混合し、初期溶液の全質量に対するアニオン性界面活性剤の濃度が1%の初期溶液を調整した。
初期溶液を、バッフル付きガラス製反応槽に1.9L加え、マントルヒータで30℃に加熱した。次に、初期溶液をパドル型の撹拌翼で撹拌しながら、反応槽へ水溶液(A)および水溶液(B)を連続的に供給し、混合して、炭酸イオンと2種以上の遷移金属イオンとを反応させ、共沈物を得た。
水溶液(A)は5.0g/minの速度で供給し、水溶液(B)は混合液のpHが8に保つように供給した。このとき、混合液の体積がほぼ一定になるように、反応槽からろ布をとおして、混合液の上澄み液を抜き出した。
反応終了後に、反応槽中の共沈物を含む混合液から、加圧ろ過により共沈物を分離した。分離した共沈物を蒸留水へ分散し加圧ろ過を行う操作を繰り返して共沈物を洗浄した。洗浄は、加圧ろ過のろ液の電気伝導度が20mS/mとなった時点で終了した。洗浄後の共沈物を120℃で15時間乾燥した。
乾燥後の共沈物に含まれる元素の組成分析を行った。組成分析は誘導結合プラズマ発光分析装置(SIIナノテクノロジー社製、装置名:SPS3100H)を使用して行った。共沈物に含まれる金属元素(X)の総量に対するNi、CoおよびMnは、モル比で、Ni/X=0.39、Co/X=0.09、Mn/X=0.52であった。
共沈物の粒子径(D99、D50、およびD10)を測定した。粒子径の測定は、共沈物を水中に加えて、超音波を用いて分散した分散液を用いて行った。レーザー回折/散乱式粒子径分布測定装置(日機装株式会社製、装置名:MT−3300EX)を使用して測定し、頻度分布及び累積体積分布曲線を得た。結果を表1に示す。
(例2)
初期溶液の全質量に対するアニオン性界面活性剤の濃度が0.1%とする以外は例1と同様にして共沈物を得た。得られた共沈物について、例1と同様に、組成分析および粒子径を測定した。共沈物の組成は例1と同様であった。粒子径の結果を表1に示す。
(例3)
初期溶液の全質量に対するアニオン性界面活性剤の濃度を0.01%とする以外は例1と同様にして共沈物を得た。得られた共沈物について、例1と同様に、組成分析および粒子径を測定した。共沈物の組成は例1と同様であった。粒子径の結果を表1に示す。
(例4)
初期溶液に含まれるアニオン性界面活性剤としてクエン酸ナトリウムを使用し、初期溶液の全質量に対するアニオン性界面活性剤の濃度を1%となるように調整する以外は例1と同様にして共沈物を得た。得られた共沈物について、例1と同様に、組成分析および粒子径を測定した。共沈物の組成は例1と同様であった。粒子径の結果を表1に示す。
(例5)
初期溶液にイオン性界面活性剤を含有しないこと以外は例1と同様にして共沈物を得た。得られた共沈物について、例1と同様に、組成分析および粒子径を測定した。共沈物の組成は例1と同様であった。粒子径の結果を表1に示す。
(例6)
初期溶液に非イオン性界面活性剤(日信化学工業社製、商品名:サーフィノール)を含み、初期溶液の全質量に対する非イオン性界面活性剤の濃度が1%となるように調整する以外は例1と同様にして共沈物を得た。得られた共沈物について、例1と同様に、組成分析および粒子径を測定した。共沈物の組成は例1と同様であった。結果を表1に示す。
Figure 0006278727
表1に示したとおり、本製造方法で得られた例1〜4の共沈物は、D50が小さく、D99/D10が小さい。すなわち、粒径制御と粗大粒子の発生を抑制とを実現できている。
一方で、イオン性界面活性剤を含有しない例5と初期溶液に非イオン性界面活性剤を含有した例6は、D50とD99/D10の両方が大きい。これは、共沈反応において共沈物の過剰な成長と、共沈物の粗大粒子が発生していることを示している。
以上から、イオン性界面活性剤を含む混合液中で、炭酸イオンと2種以上の遷移金属イオンとを反応させることで、共沈物の過剰な凝集を抑制し、共沈物の粉体特性を制御できる。
本発明の製造方法で得られた共沈物は、リチウムイオン二次電池の正極活物質の製造に好適に使用できる。共沈物の粒子径や粒子径分布を制御できるので、この共沈物を使用して得られる正極活物質の粒子径や粒子径分布を適切な範囲に制御できる。

Claims (7)

  1. 2種以上の遷移金属を含有する共沈物の製造方法であって、反応槽に水溶液(A)、水溶液(B)、イオン性界面活性剤および水を供給し、混合し、混合液のpHを7〜9の範囲に保持して、2種以上の遷移金属イオンと炭酸イオンとを反応させ、反応槽の混合液の体積がほぼ一定になるように、反応槽へ少なくとも前記水溶液(A)および前記水溶液(B)を供給すると同時に、反応槽から混合液をオーバーフローさせて抜き出す工程を行うことを特徴とする共沈物の製造方法。
    水溶液(A):Ni、CoおよびMnからなる群から選ばれる2種以上の遷移金属の金属イオンを含む水溶液。
    水溶液(B):炭酸イオンを含む水溶液。
  2. 反応槽に水とイオン性界面活性剤を供給して初期溶液とし、pHを7〜9の範囲に保持しながら該初期溶液に少なくとも前記水溶液(A)および前記水溶液(B)を供給する請求項1に記載の共沈物の製造方法。
  3. 初期溶液中のイオン性界面活性剤の濃度が、前記初期溶液の全質量に対して、0.01〜1%である請求項2に記載の共沈物の製造方法。
  4. 前記水溶液(A)および前記水溶液(B)の供給速度がそれぞれ独立に、0.2〜7.5g/(min・L)である請求項1〜3のいずれか1項に記載の共沈物の製造方法。
  5. イオン性界面活性剤が、アニオン性界面活性剤である請求項1〜のいずれか1項に記載の共沈物の製造方法。
  6. 水溶液(A)に含まれるNi、CoおよびMnのモル比が、これら3成分の合量(X)に対して、下記関係を満たす請求項1〜のいずれか1項に記載の共沈物の製造方法。
    Ni/X=0.1〜0.7、Co/X=0〜0.4、Mn/X=0.2〜0.8
  7. 水溶液(B)は、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸水素ナトリウムおよび炭酸水素カリウムからなる群から選ばれる1種以上を含む水溶液である請求項1〜のいずれか1項に記載の共沈物の製造方法。
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