JP6240986B2 - 車体前部構造 - Google Patents
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Description
また、上述した従来の車体前部構造では、バンパービームに入力される荷重が小さいときには、バンパービーム自体が変形することによって入力荷重のエネルギーを吸収する。このため、バンパービームの変形強度はある程度小さくする必要があるが、その変形強度は、小荷重の入力に対して車体前部のラジエータ等の機能部品を保護し得る範囲でなければならない。そして、バンパービームを支持するクラッシュボックスについても、変形強度は同様に車体前部の機能部品を保護し得る範囲でなければならない。
しかしながら、前部骨格部材に取り付けられるバンパービームとクラッシュボックスの材質や形状のみによって、各種の荷重入力の形態に適した変形強度に設定することは実際上難しい。
この出願の一の発明に係る車体前部構造は、車両の前部骨格部材(例えば、実施形態のフロントサイドフレーム3、及び、補助サイドフレーム5)と、車両の前部に車幅方向に沿って配置されるバンパービーム(例えば、実施形態のバンパービーム9)と、前記バンパービームの後面に固定され、後端部が前記前部骨格部材の前端部に結合されるクラッシュボックス(例えば、実施形態のクラッシュボックス10)と、を備えた車体前部構造において、前記バンパービームの後面と前記クラッシュボックスの側面との間に形成される角部にコーナー補強部材(例えば、実施形態のコーナー補強部材15)が配置され、該コーナー補強部材が前記バンパービームの後面と前記クラッシュボックスの側面とに面で当接して接合され、前記バンパービームは、車幅方向の端部に開口(例えば、実施形態の開口20)を有するとともに、該開口が蓋部材(例えば、実施形態の蓋部材21)によって閉塞され、前記蓋部材は、前記クラッシュボックス内に向かって延出する延長部(例えば、実施形態の延長部21b)を有するとともに、前記延長部が前記クラッシュボックスとともに前記前部骨格部材に結合されていることを特徴とする。
また、バンパービームに入力される荷重が大きい場合には、バンパービームの変形とともに、バンパービームからクラッシュボックスの前面に直接荷重が入力されるとともに、コーナー補強部材からクラッシュボックスの側面にその側面を押圧するように荷重が入力される。このため、クラッシュボックスは、コーナー補強部材の側面の押圧が契機となって車両前後方向に圧壊し易くなる。この結果、バンパビームに入力された入力荷重のエネルギーがクラッシュボックスの圧壊によって効率良く吸収される。また、上述のようにクラッシュボックスは、コーナー補強部材による側面の押圧が契機となって圧壊を開始するため、クラッシュボックスが圧壊する直前の耐荷重のピークは低く抑えられる。
また、この場合、バンパービームの車幅方向の一端側に大きなオフセット荷重が入力されると、一端側のクラッシュボックスに荷重が入力されてそのクラッシュボックスが圧壊するとともに、バンパービームの他端側の前方変位が他端側の蓋部材の延長部を通して車両の前部骨格部材によって拘束される。これにより、他端側のクラッシュボックスにも荷重が入力され易くなり、車幅方向の広い範囲で入力荷重のエネルギーを効率良く吸収することが可能になる。
この場合、前方からバンパービームに大きな荷重が入力されてクラッシュボックスが車体前後方向に圧潰しようとするときに、蓋部材の延長部が波形状の変形許容部で容易に変形するようになる。これにより、蓋部材の延長部がクラッシュボックスの圧壊の妨げにならないため、クラッシュボックスを設計通りの荷重範囲で圧潰させ易くなる。
この場合、バンパービームの車幅方向の一端側に大きなオフセット荷重が入力されると、その荷重は、車幅方向の一端側のクラッシュボックスを介してフロントサイドフレームと補助サイドフレームに伝達されるようになる。このとき、クラッシュボックスから上面視が略三角形状の補強ブロックにも荷重が伝達されるが、その荷重は補強ブロックの荷重伝達壁を通してフロントサイドフレームの脆弱部の近傍に作用する。このため、バンパービームを通した荷重入力が進行すると、クラッシュボックスが車体前後方向に圧潰した後にフロントサイドフレームが脆弱部を中心として中折れし易くなる。これにより、フロントサイドフレームと補助サイドフレームの変形によって入力荷重のエネルギーを効率良く吸収することが可能になる。
この場合、コーナー補強部材は、傾斜壁を有する多角形状の部材であるため、容易に製造することができるうえ、傾斜壁の肉厚を変更することによって、クラッシュボックスの圧壊のタイミング等を容易に設定調整することができる。
この場合、バンパービームの後面に接合される第1側壁と、クラッシュボックスの側面に接合される第2側壁の間が断面略円弧状の弧状壁によって連結されているため、バンパービームの後面とクラッシュボックスの側面の間の角部に溶接ビード等の***物があっても、コーナー補強部材をバンパービームの裏面とクラッシュボックスの側面とに容易に接合することができる。また、第1側壁と第2側壁の連接部分の応力集中を、断面略円弧状の弧状壁によって緩和することができる。また、第1側壁と第2側壁にはそれぞれ延長フランジが延設されているため、バンパービームやクラッシュボックスに対し、延長フランジを利用してコーナー補強部材を容易に接合することができるとともに、バンパービームやクラッシュボックスに対するコーナー補強部材の接合面積を増大させることができる。さらに、コーナー補強部材を金属の押し出しによって容易に製造することも可能になる。
この場合、バンパービームの車幅方向の一端側に大きなオフセット荷重が入力されると、一端側のクラッシュボックスに荷重が入力されてそのクラッシュボックスが圧壊するとともに、バンパービームの他端側の前方変位が他端側の蓋部材の延長部を通して車両の前部骨格部材によって拘束される。これにより、他端側のクラッシュボックスにも荷重が入力され易くなり、車幅方向の広い範囲で入力荷重のエネルギーを効率良く吸収することが可能になる。
図1は、この実施形態に係る車両1の前部側の骨格部を模式的に示す図である。
同図中の符号2は、車室の前方に配置されるエンジンルームである。エンジンルーム2の車幅方向の両側には、車室の前部下方から前方に延出するフロントサイドフレーム3が配置されている。左右の各フロントサイドフレーム3の後部は、図示しないエクステンションを介して車両左右の強度部材であるサイドシルに連結されている。
なお、左右のフロントサイドフレーム3の前縁部は、機能部品であるラジエータ6の下方側の支持部を兼ねるクロスメンバ7によって相互に連結されている。また、この実施形態においては、フロントサイドフレーム3と補助サイドフレーム5は車両の前部骨格部材を構成しいる。
図2は、車両1の左前部の骨格部を左後部上方側から見た図であり、図3は、図2のIII−III線に沿った断面を示す図である。また、図4は、バンパーユニット8を車両の左前部上方側から見た図であり、図5は、図4のV−V線に沿った断面を示す図である。
これらの図にも示すように、バンパーユニット8は、車幅方向に延出するバンパービーム9と、バンパービーム9の左右の端部の後面側に一体に取り付けられた一対のクラッシュボックス10と、を備えている。クラッシュボックス10は、規定以上の荷重が入力されたときに、車体前後方向に圧壊することによって入力荷重のエネルギーを吸収する。左右の各クラッシュボックス10の後面には、連結プレート11が結合されており、その連結プレート11がフロントサイドフレーム3の補助サイドフレーム5の前端部に跨って結合されるようになっている。
バンパービーム9は、車体の前面形状に沿って車幅方向の両縁部が後方側に緩やかに湾曲し、その両縁部の後面にクラッシュボックス10の前端部が結合されている。バンパービーム9の後面とクラッシュボックス10の車幅方向内側の側面とは略直角をなすように形成されている。バンパービーム9の後面とクラッシュボックス10の側面の間の角部には、外側面の水平断面が略直角三角形状であるコーナー補強部材15が配置されている。コーナー補強部材15は、バンパービーム9の後面とクラッシュボックス10の側面とに面で当接して溶接等によって接合されている。
バンパービーム9の前方から荷重が入力されると、その荷重は、バンパービーム9の後面を通してクラッシュボックス10の前端面に直接支持されるとともに、剛性の高いコーナー補強部材15を介してクラッシュボックス10の内側側面にも支持される。
バンパービーム9の前方から入力される荷重が小さい場合には、バンパービーム9に入力された荷重は、クラッシュボックス10の前端面に直接支持されるとともに、コーナー補強部材15を介してクラッシュボックス10の内側側面でも支持される。このため、図9に示すように、バンパービーム9に入力された荷重は、クラッシュボックス10の前端面と内側側面によって受け止められ、これらの付近の応力が若干高まるものの、クラッシュボックス10の圧壊が開始されるほどの応力の高まりは生じない。
また、このときクラッシュボックス10は、車体前後方向に圧壊しないものの、前端面と内側側面とで荷重を受けて僅かに変形するため、クラッシュボックス10の広範囲の変形によって入力荷重のエネルキーを効率良く吸収することができる。
バンパービーム9に入力される荷重が大きい場合には、バンパービーム9が変形しつつ、バンパービーム9からクラッシュボックス10の前端面に直接荷重が入力されるとともに、図10に示すように、コーナー補強部材15の傾斜壁15cからクラッシュボックス10の内側面に、その内側側面を押圧するように荷重が入力される。特に、バンパービーム9の幅方向の中央領域に大きな荷重が入力された場合には、コーナー補強部材15が傾斜して傾斜壁15cを内側面に喰い込ませるようにクラッシュボックスの内側面を強く押圧するようになる。
図12に示すように、本実施形態に係る車両においては、クラッシュボックス10が圧壊する直前の耐荷重のピークが低く抑えられるため、荷重の入力時に、望まないタイミングでエアバッグ装置の加速度センサの検出値が上限値を超えるのを防止することができ、クラッシュボックス10を潰れ残りなく変形させることができる。
したがって、この実施形態に係る車両前部構造を採用した場合には、いずれの荷重入力の形態においても、荷重入力の形態に適した各部の変形挙動を得ることができる。
さらに、この実施形態の場合、第1側壁15aと第2側壁15bにそれぞれ延長フランジ15a−1,15b−1が延設されているため、延長フランジ15a−1,15b−1を用いて、コーナー補強部材15をバンパービーム9のとクラッシュボックス10に容易に接合することができる。バンパービーム9やクラッシュボックス10に対するコーナー補強部材15の接合面積も増大させることができる。さらに、コーナー補強部材15をこのような形状にした場合には、アルミ押し出し等の金属の押し出しによってコーナー補強部材15を容易に製造することができる。
図13に示すコーナー補強部材115は、外側面の水平断面が略四角形状に形成され、内部に対角同士を連結するように傾斜壁115cが設けられている。
また、図14に示すコーナー補強部材215は、外側面の水平断面が略三角形状に形成され、傾斜壁15cとその対角を結ぶように補強リブ215eが設けられている。この場合、補強リブ215eによってコーナー補強部材215の剛性が効率良く高められる。
3…フロントサイドフレーム(前部骨格部材)
5…補助サイドフレーム(前部骨格部材)
9…バンパービーム
10…クラッシュボックス
12…脆弱部
13…補強ブロック
13a…荷重伝達壁
15,115,215…コーナー補強部材
15a…第1側壁
15a−1…延長フランジ
15b…第2側壁
15b−1…延長フランジ
15c,115c…傾斜壁
15d…円弧壁
16…横壁
17…中空部
18…縦壁
19…中空部
20…開口
21…蓋部材
21b…延長部
21b−2…変形許容部
Claims (6)
- 車両の前部骨格部材と、
車両の前部に車幅方向に沿って配置されるバンパービームと、
前記バンパービームの後面に固定され、後端部が前記前部骨格部材の前端部に結合されるクラッシュボックスと、を備えた車体前部構造において、
前記バンパービームの後面と前記クラッシュボックスの側面との間に形成される角部にコーナー補強部材が配置され、該コーナー補強部材が前記バンパービームの後面と前記クラッシュボックスの側面とに面で当接して接合され、
前記バンパービームは、車幅方向の端部に開口を有するとともに、該開口が蓋部材によって閉塞され、
前記蓋部材は、前記クラッシュボックス内に向かって延出する延長部を有するとともに、前記延長部が前記クラッシュボックスとともに前記前部骨格部材に結合されていることを特徴とする車体前部構造。 - 前記蓋部材の前記延長部には、波形状の変形許容部が形成されていることを特徴とする請求項1に記載の車体前部構造。
- 車両の前部骨格部材と、
車両の前部に車幅方向に沿って配置されるバンパービームと、
前記バンパービームの後面に固定され、後端部が前記前部骨格部材の前端部に結合されるクラッシュボックスと、を備えた車体前部構造において、
前記バンパービームの後面と前記クラッシュボックスの側面との間に形成される角部にコーナー補強部材が配置され、該コーナー補強部材が前記バンパービームの後面と前記クラッシュボックスの側面とに面で当接して接合され、
前記前部骨格部材は、車室の前部から前方に延出するフロントサイドフレームと、車体のフロントピラーから車体前方側に延出して前端部が前記フロントサイドフレームの車幅方向外側に配置される補助サイドフレームと、を有し、
前記フロントサイドフレームの側面の前端部から離間した位置には脆弱部が設けられ、
前記クラッシュボックスは、前記フロントサイドフレームの前端部と前記補助サイドフレームの前端部とに跨って結合され、
前記補助サイドフレームの前端部と前記バンパービームの後面と前記フロントサイドフレームの側面には、上面視が略三角形状の補強ブロックが接合され、
前記補強ブロックは、前記補助サイドフレームの前端部から前記フロントサイドフレームの前記脆弱部の近傍に向かって斜めに延出する荷重伝達壁を有することを特徴とする車体前部構造。 - 前記コーナー補強部材は、外側面の水平断面が多角形状の部材であり、前記バンパービームの後面と前記クラッシュボックスの側面を斜めに結ぶように延出する傾斜壁を少なくとも有していることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の車体前部構造。
- 前記コーナー補強部材は、前記バンパービームの後面に接合される第1側壁と、前記クラッシュボックスの側面に接合される第2側壁と、前記第1側壁と前記第2側壁を斜め結合する前記傾斜壁と、によって略三角形状の中空断面が形成され、
前記第1側壁と前記第2側壁の間が断面略円弧状の弧状壁によって連結され、
前記第1側壁と前記第2側壁の前記弧状壁と逆側の端部には、前記バンパービームの後面と前記クラッシュボックスの側面とにそれぞれ接合される延長フランジが延設されていることを特徴とする請求項4に記載の車体前部構造。 - 前記バンパービームは、車体前後方向と上下方向に沿う断面が、横壁で仕切られた複数の中空部を有し、
前記クラッシュボックスは、車幅方向と上下方向に沿う断面が、縦壁で仕切られた複数の中空部を有していることを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載の車体前部構造。
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