JP6225433B2 - 乾燥炉及び乾燥方法 - Google Patents

乾燥炉及び乾燥方法 Download PDF

Info

Publication number
JP6225433B2
JP6225433B2 JP2013045582A JP2013045582A JP6225433B2 JP 6225433 B2 JP6225433 B2 JP 6225433B2 JP 2013045582 A JP2013045582 A JP 2013045582A JP 2013045582 A JP2013045582 A JP 2013045582A JP 6225433 B2 JP6225433 B2 JP 6225433B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
microwave
dried
drying
furnace
hot air
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Active
Application number
JP2013045582A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2014173772A (ja
Inventor
貴博 木下
貴博 木下
杉橋 敦史
敦史 杉橋
陽介 正木
陽介 正木
山崎 強
強 山崎
直史 寺本
直史 寺本
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Nippon Steel Corp
Original Assignee
Nippon Steel Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Nippon Steel Corp filed Critical Nippon Steel Corp
Priority to JP2013045582A priority Critical patent/JP6225433B2/ja
Publication of JP2014173772A publication Critical patent/JP2014173772A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP6225433B2 publication Critical patent/JP6225433B2/ja
Active legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Description

本発明は、熱風吹き付けとマイクロ波照射とを併用して被乾燥物を乾燥させる乾燥炉及び乾燥方法に関する。
電気炉による鋼材の製造が盛んになるにつれ、その主原料であるスクラップの需要は逼迫し、電気炉での高級鋼製造に対する要請から還元鉄の需要が増大しつつある。
還元鉄を製造する方法の一つとして、粉状の鉄鉱石や製鉄ダスト等の酸化鉄原料と、粉状の石炭やコークス等の炭材とを混合して、例えばペレットやブリケットのような塊成化物とし、この塊成化物を回転炉床炉等の還元炉に装入して高温に加熱することで酸化鉄原料を還元し、固体状の金属鉄を得る方法がある。このような方法において、酸化鉄原料と炭材とを含む塊成化物の水分含有率を調整することが、塊成化物の還元率を高める上で重要となる。
以上のような還元鉄の製造工程において、塊成化物等の水分含有率を調整するための装置として、金網状のコンベア上に装入された被乾燥物を熱風により乾燥させるトンネル状の炉がある(例えば、以下の特許文献1を参照。)。このような乾燥炉は、炉の上方から下方に向けて熱風を通過させることで、装入された被乾燥物を乾燥させる。
上記特許文献1に開示されているような乾燥炉は、熱風を上方から供給することによる熱風乾燥であるため、被乾燥物である小塊原料の下層部分(金網状のコンベアに近い部分)の乾燥が遅れ、下層部分に位置する小塊原料の乾燥が不十分になってしまう。小塊原料の乾燥が不足すると小塊原料の強度が不足し、次工程において小塊原料が粉化することで生産歩留まりの低減が生じてしまう。また、このような生産歩留まりの低減を防止するためには、小塊原料に混合する各種バインダーを余分に添加することが必要となり、製造コストが増加してしまうという問題がある。
また、小塊原料は石炭やコークス等の炭材を含有しているため、小塊原料を加熱しすぎると発火の恐れがあり、熱風の温度を上げて乾燥効率の改善を図ることは困難である。従って、発火防止の観点から、十分に乾燥される上層部分ではなく、水分の残留する下層部分の乾燥を選択的に改善することが求められている。
例えば特許文献2で示されるように、円筒ドラム内に攪拌翼を有し、熱風とマイクロ波を併用して生ごみを均一に乾燥させる装置がある。
しかしながら小塊原料の乾燥においては、重量物である小塊原料を搬送するためのコンベアが必要であり、上記特許文献2に開示されているような被乾燥物を攪拌翼で掻き揚げる装置構造では、小塊原料の搬送が行えず乾燥は不可能である。攪拌翼を相当な強度にすれば可能であるかもしれないが、そのような攪拌翼を有する乾燥機は設備費用が高額になるため現実的ではない。
また、上記のような熱風を利用する乾燥炉以外にも、ヒーターによる乾燥を補助するために被加工物の外部から乾燥室の自由空間内にマイクロ波を照射する乾燥炉が提案されている(例えば、以下の特許文献3を参照。)。
特開2005−113197号公報 特開2001−56178号公報 特開平6−347165号公報
上述のような還元鉄の製造工程では、被乾燥物である塊成化物の乾燥炉内での層厚は約250mmと厚い。そのため、上記特許文献3に記載されているように炉内の自由空間に対してマイクロ波を照射した場合、塊成化物層の上層部位にマイクロ波を作用させることは可能であるが、以下で詳述するように、本発明者らによる検討の結果、塊成化物の下層部位にマイクロ波を作用させることが出来ず、層方向の水分を均一に乾燥させることができないことが明らかとなった。
また、重量物である塊成化物を搬送するためのコンベアは金属製の網であり、塊成化物より小さい、すなわち20mm程度の網目であるため、コンベアの裏面から塊成化物の下層部位へ、工業加熱に用いられるマイクロ波として一般的な、周波数2.45GHzのマイクロ波を照射したとしても、金網によりマイクロ波が反射されてしまい、塊成化物の下層部位へマイクロ波を作用させることができない。
そこで、本発明は、上記問題に鑑みてなされたものであり、本発明の目的とするところは、マイクロ波を利用して乾燥炉内に装入された被乾燥物の、層方向の水分量の分布が均一となるように乾燥することが可能な、乾燥炉及び乾燥方法を提供することにある。
上記課題を解決するために、本発明のある観点によれば、酸化鉄原料と還元材とを含む塊状の被乾燥物水分を低減させる乾燥炉であって、前記被乾燥物を積層して搬送する網目状の金属コンベアと、前記被乾燥物に熱風を吹き付ける熱風乾燥装置と、マイクロ波を発振するマイクロ波発振器と、前記被乾燥物に対して前記マイクロ波を照射する導波管と、を有し、前記被乾燥物は、マイクロ波加熱が浸透する範囲より厚く積層されており、前記熱風乾燥装置は、前記被乾燥物に対して、前記被乾燥物の下方から前記金属コンベア越しに前記熱風を吹き付け、前記導波管は、前記被乾燥物に対して、前記被乾燥物の上方から前記マイクロ波を照射する乾燥炉が提供される。
前記導波管によるマイクロ波の照射範囲が前記乾燥炉の炉幅全域に及ぶように、前記導波管を複数備え、複数の前記導波管のうち少なくとも2つは、前記乾燥炉の炉幅方向の互いに異なる位置に配置されていることが好ましい。
前記複数の導波管は、前記導波管それぞれの加熱範囲が、前記複数の導波管全体として前記乾燥炉の炉幅方向全体を覆うような間隔で、前記炉幅方向に配置されることが好ましい。
前記導波管は、積層された前記被乾燥物への熱風の吹き付けが終了する搬送方向位置と、積層された前記被乾燥物への前記マイクロ波の照射が終了する搬送方向位置とが一致するように、搬送方向に配置されることが好ましい。
前記マイクロ波の照射直前の搬送方向位置に於いて、前記被乾燥物に残留している水分量が多い炉幅方向位置ほど、多くの本数の導波管が前記被乾燥物の搬送方向に直列に配置されていてもよい。
前記導波管の先端部には、誘電損失係数が0.02未満である無機材料セラミックスで形成されたセラミックスカバーが設けられていることが好ましい。
前記導波管の内部には防塵ガスが導入されており、前記導波管の内部に正圧がかかった状態となっていることが好ましい。
前記マイクロ波発振器と前記導波管との間に、前記マイクロ波発振器から発振された前記マイクロ波のインピーダンスと、前記乾燥炉内で反射し前記マイクロ波発振器に向かう前記マイクロ波のインピーダンスとの整合を行う自動整合器を更に備えることが好ましい。
前記無機材料セラミックスは、アルミナ、窒化ケイ素、サイアロン、窒化アルミニウム、窒化ホウ素及びこれらの混合物からなる群より選択されてもよい。
また、上記課題を解決するために、本発明の別の観点によれば、酸化鉄原料と還元材とを含む塊状の被乾燥物水分を低減させる乾燥炉における乾燥方法であって、網目状の金属コンベアを用いて、前記被乾燥物を積層して搬送する工程と、熱風乾燥装置を用いて前記被乾燥物に熱風を吹き付け、マイクロ波発振器を用いてマイクロ波を発振し、導波管を用いて前記被乾燥物に対して前記マイクロ波を照射する工程と、を含み、前記被乾燥物は、マイクロ波加熱が浸透する範囲より厚く積層されており、前記熱風乾燥装置は、前記被乾燥物に対して、前記被乾燥物の下方から前記金属コンベア越しに前記熱風を吹き付け、前記導波管は、前記被乾燥物に対して、前記被乾燥物の上方から前記マイクロ波を照射する乾燥方法が提供される。
以上説明したように本発明によれば、被乾燥物層に対して下方よりコンベア越しに熱風を吹き付け、被乾燥物層の上方に設けられたマイクロ波照射部材よりマイクロ波を照射することにより、乾燥炉内に装入された被乾燥物の水分を層方向に均一に乾燥することが可能となる。
一般的な還元鉄の製造方法の流れについて示した説明図である。 乾燥炉内における塊成化物の状態について説明するための説明図である。 マイクロ波を用いた加熱方法に関する検討結果を説明するための説明図である。 マイクロ波を用いた加熱方法に関する検討結果を説明するための説明図である。 マイクロ波を用いた加熱方法に関する検討結果を説明するための説明図である。 マイクロ波を用いた加熱方法に関する検討結果を説明するための説明図である。 マイクロ波を用いた加熱方法に関する検討結果を説明するための説明図である。 熱風を用いた加熱方法に関する検討結果を説明するための説明図である。 熱風を用いた加熱方法に関する検討結果を説明するための説明図である。 熱風を用いた加熱方法に関する検討結果を説明するための説明図である。 マイクロ波を用いた加熱方法に関する検討結果を説明するための説明図である。 マイクロ波を用いた加熱方法に関する検討結果を説明するための説明図である。 マイクロ波を用いた加熱方法に関する検討結果を説明するための説明図である。 マイクロ波を用いた加熱方法に関する検討結果を説明するための説明図である。 マイクロ波を用いた加熱方法に関する検討結果を説明するための説明図である。 本発明の実施形態に係るマイクロ波乾燥装置の構成を示した説明図である。 本発明の実施形態に係るマイクロ波乾燥装置の概略を示した説明図である。 同実施形態に係るマイクロ波を照射する導波管の変形例について示した説明図である。 同実施形態に係るマイクロ波を照射する導波管の変形例について示した説明図である。 同実施形態に係るマイクロ波を照射する導波管の変形例について示した説明図である。
以下に添付図面を参照しながら、本発明の好適な実施の形態について詳細に説明する。なお、本明細書及び図面において、実質的に同一の機能構成を有する構成要素については、同一の符号を付することにより重複説明を省略する。
(還元鉄の製造工程について)
本発明の実施形態に係る乾燥炉について説明するに先立ち、まず、図1を参照しながら、還元鉄の製造工程について、詳細に説明する。図1は、還元鉄の製造工程を説明するための説明図である。
まず、製鉄ダスト(酸化鉄粉)及び鉄鉱石、粉鉱石などの酸化鉄原料と、石炭、コークス、微粒カーボン等の還元材とは、予めホッパー1等に格納されている。酸化鉄原料及び還元材は、予め設定された配合比となるように配合されて、粉砕機2に装入される。
ボールミル等の振動ミルに代表される粉砕機2は、装入された酸化鉄原料及び還元材を、混合しながら所定の粒径まで粉砕する。粉砕後の酸化鉄原料及び還元材の粒径は、還元鉄の製造に用いられる回転炉床炉、流動床炉、シャフト炉等の固体還元炉に適した値とすることができる。粉砕後の酸化鉄原料及び還元材からなる混合物は、混練機3に運搬される。
混練機3は、粉砕機2により所定の粒径に粉砕された混合物を混練する。また、混練機3は、混合物の混練に際して、還元鉄の製造に用いる固体還元炉に適した水分量となるまで混合物に加水を行う調湿処理を施してもよい。混練機3の一例として、例えば、ミックスマーラー等を挙げることができる。混練機3によって混練された混合物は、成型機4に搬送される。
パンペレタイザー(皿型造粒機)、ダブルロール圧縮機(ブリケット製造機)、押し出し成型機等の成型機4は、酸化鉄原料及び還元材を含む混合物を成型し、例えばペレットのような塊成化物とする。ここで、塊成化物とは、ペレット、ブリケット、押し出し成型して裁断した成型品、粒度調整された塊状物等の粒状物・塊状物をいう。成型機4は、後述する乾燥・加熱還元後、例えば熱間にて溶解炉7に装入する際、炉内上昇ガス流で飛散しない程度の粒径以上の大きさとなるように、上記混合物を塊成化する。生成された塊成化物は、乾燥炉5へと装入される。
乾燥炉5は、塊成化物を乾燥して、後述する加熱還元工程に適した水分含有率(換言すれば、還元鉄の製造に用いる固体還元炉ごとに適した水分含有率:例えば、1%以下)となるようにする。所定の水分含有率となった塊成化物は、後述する固体還元炉6へと搬送される。
例えば回転炉床炉(Rotary Hearth Furnace:RHF)、流動床炉、シャフト炉等のような固体還元炉6は、装入された塊成化物を、LNGバーナーやCOGバーナー等の加熱雰囲気で加熱して還元させ、還元鉄とする。固体還元炉は、塊成化物を例えば1000〜1300℃程度まで加熱して塊成化物の還元処理を行い、還元鉄を製造する。製造された還元鉄は、溶解炉7に搬送される。溶解炉7では、固体還元炉6で製造された還元鉄を溶解し、溶銑を生成する。生成された溶銑は、脱硫/脱炭工程、二次精錬工程、連続鋳造工程、圧延工程等を経て、各種鉄鋼製品へと加工されることとなる。
(マイクロ波を用いた乾燥方法の概略)
以上のような還元鉄の製造工程において、通常、乾燥炉5は、熱風を用いて塊成化物を乾燥させるトンネル状の炉が用いられる。この乾燥炉5の内部には、通常、ブリケット等の塊成化物が例えば高さ250mm程度となるまで装入され、炉内を網目状の金属コンベアで搬送される。搬送される個々の塊成化物は、還元炉や溶解炉の型式等によって様々な大きさのものがあるが、例えば10φ〜20φ程度の概球形状のものや、30φ〜50φ×厚み25mm程度の大きさのものである。このような塊成化物が高さ250mm程度まで積層されることで、網目状コンベアには、約300kg/mの荷重がかかる。この搬送の過程で、熱風によって塊成化物中の水分が除去され、塊成化物の水分含有率が所望の値となるように制御される。また、先だって説明したように、塊成化物中に含まれる石炭成分の発火を防止するために、使用する熱風は約200℃以下とする制約がある。
本発明者らが乾燥炉内の水分の残存状況を調査した結果、図2に模式的に示したように、上方からの熱風による乾燥では、塊成化物層の上層部位は乾燥するものの、下層部位(網目状コンベアに近い部位)では水分の残留量が大きく、下層部位の塊成化物は、乾燥不良となっていることが多いことが明らかとなった。このような要因のために、塊成化物の平均乾燥化率は歩留まりが低下することとなり、乾燥度合いを高めるために、乾燥時間を長くしなければならなくなる。
そこで、本発明者らは、塊成化物層の熱風の風下側の乾燥を改善して、層方向を均一に乾燥する方法について検討を行った。検討における懸案事項は、例えば以下のようなものである。
すなわち、乾燥炉の床面は金属を用いた網目状のコンベアとなっているため、図3に模式的に示すように単にコンベアの下方からマイクロ波を照射した場合には、照射したマイクロ波がコンベアで反射されてしまい、塊成化物を加熱することはできない。また、コンベアの材質を、例えばテフロンやナイロンのようにマイクロ波の吸収が少ない材質に変更することも考えられるが、このような材質は約300kg/mという荷重に耐えることができない。また、マイクロ波を上方から照射する場合であっても、塊成化物層の上下を乾燥炉内で反転させることで以前は下層に位置していた塊成化物を加熱することができるかもしれないが、このような上下反転を実施してしまうと、塊成化物が互いに衝突することにより砕けてしまい、塊成化物が粉化してしまうという問題が生じうる。
また、図4に模式的に示すように、塊成化物層上方からマイクロ波を照射した場合、マイクロ波による加熱が及ぶ範囲は、せいぜい最表層から2層目までであるため、結局のところ塊成化物層の上層部位のみが加熱され、塊成化物層の下層部位の乾燥、水分量の分布の均一化には寄与しないことが、以下に述べる検討で明らかになった。
したがって、熱風とマイクロ波によって塊成化物層の全厚に渡って均一に加熱する手法を考案する必要がある。そのため、本発明者らは、まず始めにマイクロ波による塊成化物の加熱挙動を詳細に解析、実験した。本発明の実施形態に係る乾燥炉について説明するに先立ち、本発明者らによるマイクロ波加熱を利用した塊成化物の乾燥方法に対する各種の検討結果について、図5〜図15を参照しながら、具体的に説明する。
<マイクロ波による加熱が及ぶ範囲についての検討>
本発明者らは、マイクロ波による加熱が及ぶ範囲について検討するために、以下のような実験を行った。図5は、被乾燥物である塊成化物(ブリケット)に対してマイクロ波を上方から照射した場合について、マイクロ波加熱が及ぶ範囲を検証するための実験装置を模式的に示したものである。
図5に示したように、本発明者らは、金属製の容器(円筒容器)に40φ×20mm程度の未乾燥ブリケット(実際の操業で用いられるもの)を積層し、チャンバー内に配置した。円筒容器中では、図6に示したように、未乾燥ブリケットを6層にわたって積層した。この際、図6に示す金属製容器の中央部分に位置するブリケット1〜6に熱電対を挿入し、温度上昇の様子をモニターできるようにした。その上で、2.45GHzのマイクロ波を照射可能な3.0kWマイクロ波発振器と、チャンバーへの入射マイクロ波出力と反射マイクロ波出力とを計測可能なパワーモニタと、反射マイクロ波を低減させるための自動整合器(オートチューナ)とを導波管で接続し、自動整合器から出力されるマイクロ波を、導波管を介してチャンバーの上方から照射した。この実験において、マイクロ波の入射電力は880Wであり、マイクロ波の照射時間は5分とした。
温度の測定結果を図7に示す。図6に示した最上層に位置するブリケット6に挿入した熱電対では、明らかな温度上昇が確認され、上層から2層目に位置するブリケット5でも、ブリケット6程ではないものの温度上昇が確認された。しかしながら、さらに下層に位置するブリケットは、温度上昇が確認できなかった。この実験結果は、塊成化物の上方からマイクロ波を照射した場合には、マイクロ波による加熱が及ぶ範囲は、せいぜい最表層から2層目までであることを示している。
ところで、物質に吸収される単位体積あたりのマイクロ波のエネルギーPabsは、以下の式11のように表される。以下の式11を参照するとわかるように、加熱される物質(被加熱物質)に吸収される単位体積あたりのマイクロ波のエネルギーPabsは、被加熱物質の導電率、誘電率及び透磁率に依存していることがわかる。従って、下記式11で表されるPabsは、被加熱物質のマイクロ波の吸収効率に関係する量であるともいえる。
ここで、上記式11において、
σ :被加熱物質の導電率 [S/m]
f :マイクロ波の周波数 [Hz]
ε0:真空中の誘電率 [F/m]
ε”:被加熱物質の比誘電率の虚数部
μ0:真空中の透磁率 [H/m]
μ”:被加熱物質の比透磁率の虚数部
E :マイクロ波により形成される電界強度 [V/m]
H :マイクロ波により形成される磁界強度 [A/m]
π :円周率
である。
以下に、塊成化物の原料となる酸化鉄及び炭素材(還元材)と、一般的に使用される耐火炉材とについて、比誘電率の虚数部ε”の値をまとめて示す。
比誘電率の虚数部ε”
・代表的な耐火炉材であるアルミナ:0.004〜0.01
・粉状の炭素粉:10〜50
・酸化鉄:0.1〜10
上記より明らかなように、塊成化物の原料となる酸化鉄及び炭素材は、乾燥炉等において一般的に使用される耐火炉材に対して比誘電率の虚数部ε”の値が大きく、酸化物及び炭素材(還元材)にマイクロ波のエネルギーをより多く吸収させることが可能である。
しかしながら、図5に示したようなマイクロ波を炉内の自由空間に照射するという実験状況では、上方から照射されたマイクロ波が上層部位に位置する塊成化物に非常に良く吸収されてしまい、乾燥促進のために熱供給を必要とする下層部位にマイクロ波が浸透しないと考えられる。従って、炉天井部から炉内の空間に向かってマイクロ波を照射した場合には、下層部位に位置する塊成化物を加熱することはできない。
ところで、マイクロ波が誘電損失により物質に吸収されると、マイクロ波のエネルギーは熱に変換されて、結果的にマイクロ波を吸収した物質が加熱されることとなる。この際、マイクロ波がどのくらいまで物質の内部に浸透するかは、以下の式12で算出することが可能である。
ここで、上記式12において、
δ :マイクロ波の浸透深さ [cm]
λ :自由空間におけるマイクロ波の波長 [cm]
ε’ :物質の比誘電率(実部)
tan δ:物質の誘電正接
である。
また、上記式12のうちtan δは、物質の誘電率ε’及び誘電損失係数ε”を用いて、(ε”/ε’)で算出することが可能である。
本発明者らによる更なる実験の結果、ブリケットは30φ〜50φ×厚み25mmの塊状であり、各ブリケットの間に空隙を持っていること、及び、搬送中のブリケットでは各ブリケットの間の空隙の状態が変化するため、マイクロ波加熱範囲が拡大し、上記式12で求めた浸透深さδの10倍までの範囲が実効的な加熱範囲(以下、δeffとも表記する。)であることが明らかとなった。ブリケットの物性値から上記浸透深さδを算出すると、その大きさは、約0.5cm程度となるため、マイクロ波加熱による実効的な加熱範囲δeffは、約5cm程度となる。従って、側面からのマイクロ波照射では、操業で用いられる幅2〜2.5m程度、搬送距離20〜30m程度の乾燥炉の下層部全体を加熱することは出来ないことも明らかとなった。
図7においては、ブリケット1,2,3,4においても若干の温度上昇がみられるが、以上の検討により、これらの温度上昇はマイクロ波の直接の作用ではなく、上層ブリケットからの伝熱によるものであると言える。
塊成化物層の層方向の水分量を均一に乾燥するためには、塊成化物層の未乾燥部分に対して、選択的にマイクロ波を照射する必要がある。マイクロ波を塊成化物層の上方から照射することを前提とすれば、熱風単独による乾燥で、塊成化物層の上層に未乾燥部分が存在する分布を作り出す必要がある。そこで、本発明者らは、上記のような実験により得られた知見に基づいて更なる検討を行った結果、乾燥炉の下方よりコンベア越しに塊成化物層に熱風を吹き込み、塊成化物層の下層部位を乾燥状態とし、かつ、上層部位を未乾燥状態とする分布を作り出し、マイクロ波による加熱範囲内に未乾燥の塊成化原料が多く残存している状況を作り出す方法に想到したのである。
従来、塊成化物の乾燥において、塊成化物層の下方よりコンベア越しに熱風を吹き込む乾燥方法は、コンベアでの熱の損失が生じるため乾燥効率が悪く、熱風単独の乾燥では採用の利点も動機も存在しない。しかし、塊成化物層上方からのマイクロ波照射による乾燥と組み合わせることで、層方向の水分量の分布を均一に乾燥するにあたっては、コンベア越しの熱風乾燥は効果的な方法である。
そこで、図8に示す装置によって塊成化物層の下方からの熱風吹き込みによる乾燥挙動を調査した。金属製容器(円筒容器)の下部には、送風機とヒーターとによって作り出された熱風を吹き込む配管を接続し、さらに、乾燥炉5に設置されている金属製コンベアを模擬するため、底面をメッシュ構造とした。この実験において、熱風温度を120℃とし、熱風流量を30L/minとし、熱風乾燥時間は60分とした。円筒容器中では、図9に示したように、未乾燥ブリケットを6層にわたって積層した。
温度の測定結果を図10に示す。図9に示した最下層に位置するブリケット1から徐々に温度が上昇し、上層になるにつれて徐々に温度上昇が小さくなる傾向が見られた。
図11に模式的に示すように、ブリケットへ下方から熱風が吹き込まれている状況に対して塊成化物層の上方よりマイクロ波を照射すれば、以下の実験で示すように上方の未乾燥領域に対してマイクロ波による乾燥改善、塊成化物層の層方向の水分量の均一な乾燥が可能である。
そこで、図12に示す装置によって、塊成化物層の下方から熱風を吹き込み、塊成化物層の上方からマイクロ波を照射することで、層方向の水分量の均一化が行えることを確認した。この際、2.45GHzのマイクロ波を照射可能な3.0kWマイクロ波発振器と、チャンバーへの入射マイクロ波出力と反射マイクロ波出力とを計測可能なパワーモニタと、反射マイクロ波を低減させるための自動整合器(オートチューナ)とを導波管で接続し、自動整合器から出力されるマイクロ波を、導波管を介してチャンバーの上方から照射した。また、金属製容器の下部には送風機とヒーターによって作り出された熱風を吹き込む配管を接続し、さらに、乾燥炉5に設置されている金属製コンベアを模擬するため、底面をメッシュ構造とした。この実験において、熱風温度を120℃とし、熱風流量を30L/minとし、熱風乾燥時間は60分とした。また、マイクロ波の入射電力は880Wであり、マイクロ波の照射時間は熱風乾燥の末期5分間とした。
温度の測定結果を図14に示す。図13に示した最下層に位置するブリケット1から、ブリケット6まで温度上昇が見られた。
図15には、実験後の各ブリケットの水分量を示す。実験後の水分量は、各々のブリケットの温度上昇を反映した分布となっており、下方からの熱風単独乾燥では、ブリケット層の下層で良く乾燥が進行し、上方からのマイクロ波単独の乾燥では、ブリケット層の上層で良く乾燥が進行している。さらに、下方からの熱風乾燥と、上方からのマイクロ波乾燥を組み合わせて乾燥を行うことで、ブリケット層方向の水分量の分布が均一に近づくことが示された。
塊成化物を製造するにあたっては、コーンスターチ等のデンプン系糊剤をバインダーとして使用し、求められる強度を実現するが、デンプン系糊剤は、乾燥する程強度が高くなる。そのため、以下で説明するような方法により塊成化物全体の乾燥率を向上させることによって、バインダー量を変更することなく、塊成化物の圧潰強度を上昇させることができる。その結果、搬送中に砕けて使用できなくなる塊成化物の量を減少させることができ、歩留まりの向上を図ることができる。また、乾燥率を向上させることで、同じ強度を得るために添加すべきバインダーの量を減少させることが可能であるため、製造コストの削減を図ることも可能となる。
(使用するマイクロ波について)
続いて、本発明の実施形態に係る乾燥炉に用いられるマイクロ波について、簡単に説明する。
マイクロ波は、一般的には、波長1mm〜1m、周波数300MHz〜300GHzの電磁波をいう。以下で説明する本発明の実施形態では、電磁波の周波数は特に限定されず、例えば、IMSバンドである2.45GHz帯(2.40GHz〜2.50GHz)、5.8GHz帯(5.725GHz〜5.875GHz)、及び、24GHz帯(24.0GHz〜24.25GHz)に属する周波数、もしくはISMバンドではないが、発振器が安価な915MHz帯(902MHz〜928MHz)等を適宜選択することが可能である。しかしながら、マイクロ波の被加熱物内部への浸透は、上記式12で表わされるようにマイクロ波の波長に比例するため、上記のマイクロ波では、915MHz帯、2.45GHz帯の浸透深さδが大きく、したがって上層からより深いところまで原料ブリケットの加熱を行うことができる。また、915MHz、2.45GHzは装置が安価である点や、発振器1台で数十kWまでの大出力の放射が可能である点などから、kWクラスの大出力が求められる本発明の設備コストとしても、安価に導入することができる。このため、本発明に用いるマイクロ波装置としては、915MHz、もしくは2.45GHzのマイクロ波を発振可能なものが好ましい。
(実施形態)
続いて、図16〜図20を参照しながら、本発明の実施形態に係る乾燥炉について、詳細に説明する。
<マイクロ波乾燥装置の構成について>
まず、図16を参照しながら、本実施形態に係る乾燥炉の構成について、詳細に説明する。図16は、本実施形態に係る乾燥炉の構成を説明するための説明図である。
本実施形態に係る乾燥炉に対して設置されるマイクロ波乾燥装置は、粉体又は小塊状の原料(被乾燥物)を金属製の網目状コンベアで搬送する過程で、この原料の下方から網目状コンベアを介して熱風を吹き付けて当該熱風を原料の下方から上方へと通過させることにより、原料中に含まれる水分を低減させる熱風式のトンネル乾燥炉に対して利用されるものである。このマイクロ波乾燥装置は、被乾燥物である原料の上方から当該原料に対してマイクロ波を照射できるように、乾燥炉に対して設置される。
本実施形態に係るマイクロ波乾燥装置10は、マイクロ波発振器101と、サーキュレータ103と、自動整合器107とを主に備え、これらの機器が導波管により接続されている。乾燥炉内の原料の上方には、これらの機器に接続されており、原料層に対してマイクロ波を照射するためのマイクロ波照射導波管111(以下、単に、導波管111ともいう。)が設置されている。
マイクロ波発振器101は、周波数300MHz〜300GHzのマイクロ波を発振する機器である。このマイクロ波発振器101は、kWクラスの出力を有するマイクロ波を発振可能な機器であることが好ましい。このマイクロ波発振器101により、例えば915MHzや2.45GHz帯に属する周波数のマイクロ波が、被乾燥物である原料が積層している原料層に対してマイクロ波を照射するための導波管111へと出力されることとなる。このマイクロ波発振器101は、公知のものを適宜選択して使用することが可能である。
サーキュレータ103は、例えば磁石を利用したマイクロ波の進行制御を行うことで、サーキュレータに入力されるマイクロ波を、マイクロ波発振器101から出力された入射波と、後述する自動整合器107側から戻ってきた反射波とに分離する。サーキュレータ103は、分離した入射マイクロ波を後述する自動整合器107側へと導波するとともに、反射マイクロ波を、アイソレータ105の側へと導波する。これにより、反射マイクロ波は、アイソレータ105内に設けられたダミー負荷(例えば、水など)に吸収され、マイクロ波発振器101側に戻らないようにすることができる。このようなサーキュレータ103を設けることにより、本実施形態に係るマイクロ波乾燥装置10では、安定したマイクロ波の出力を行うことができる。このサーキュレータ103は、公知のものを適宜選択して使用することが可能である。
自動整合器107は、入射側のインピーダンスと、負荷側(すなわち、塊成化物からなる原料層側)のインピーダンスとの整合を取ることで負荷側からの反射波を低減し、反射波をほぼゼロとする機器である。この自動整合器107は、反射電界の位相及び強度を測定し、インピーダンス整合を自動で行うことで、上記のような反射波の低減を実現する。
本実施形態に係るマイクロ波乾燥装置10の乾燥対象は、乾燥炉5内を搬送されている塊成化物等の小塊原料である。そのため、移動している小塊原料の状況が変化し、負荷側のインピーダンスが変動する場合、マイクロ波の照射効率は変動することとなる。この場合には、マイクロ波を照射するための導波管111から、マイクロ波エネルギーを安定して効率良く原料層に照射するために、自動整合器107を設けて負荷側のインピーダンスにあわせた自動整合処理を行っても良い。
各機器を接続している導波管は、マイクロ波を導波して所望の箇所へと導く金属の中空管である。この導波管の形状については、マイクロ波の導波特性等を考慮して適宜決定すればよく、導波管自体についても、使用するマイクロ波の周波数や出力強度等に応じて、公知のものを適宜選択することができる。
<マイクロ波を照射するための導波管の構成について>
続いて、図17〜図20を参照しながら、本実施形態に係るマイクロ波を照射するための導波管の構成について、詳細に説明する。図17〜図20は、本実施形態に係るマイクロ波を照射するための導波管について示した説明図である。
図17に例示したように、本実施形態では、原料層の上方(原料層の厚み方向の上方)に設置される導波管111をマイクロ波照射部材として利用する。マイクロ波を照射するための導波管111の断面形状(原料層の搬送方向と平行な方向での断面形状)や断面の大きさは、所望の周波数及び強度を有するマイクロ波を導波することが可能な形状及び大きさとなるように適宜決定することが可能であり、例えば断面形状を矩形状(方形導波管)や円形状(円形導波管)とすることが好ましい。
乾燥炉5の内部では、原料層の下方から吹き込まれる熱風によって、原料層の上方が粉塵環境となっている。また、炉内は約80℃以上の温度を有し、約100%に近い湿度を有する高温多湿状態にあり、このような状況下で塊成化物が移動している。そのため、導波管111の内部に粉塵が侵入することによるアーキングの発生を防止するとともに、導波管111の内部への湿気の侵入を防止するために、乾燥空気や乾燥窒素や乾燥アルゴン等の防塵ガスを中空の導波管内部に導入して、導波管111に正圧がかかっている状態とすることが好ましい。
また、図18に例示したように、マイクロ波を照射するための導波管111の先端に対し、セラミックスカバーとして、セラミックスからなる防塵板112を設け、この防塵板の周囲からマイクロ波が放射されるようにすることが好ましい。ここで、防塵板の形状は、図18に示すように、導波管111の断面形状が矩形の場合には直方体状とし、導波管111の断面形状が円形の場合には円柱状とすることが好ましい。
防塵板112は、加熱源であるマイクロ波の吸収が少なく、高温多湿状態でも利用可能である無機材料セラミックスを用いて形成される。防塵板112に用いられる無機材料セラミックスは、マイクロ波の吸収特性に関与する誘電損失係数ε”が、0.02未満であることが好ましい。誘電損失係数ε”を0.02未満とすることで、マイクロ波吸収による無機材料セラミックスの自己発熱を抑制することが可能となる。
このような無機材料セラミックスの例として、アルミナ(Al)、窒化ケイ素(Si)、サイアロン(SiAlON、化学式:Si・Al)、窒化アルミニウム(AlN)、窒化ホウ素(BN)等がある。これらの無機材料セラミックスを単独で使用して防塵板112を製造してもよく、これらの無機材料セラミックスを混合して防塵板112を製造してもよい。
乾燥炉5の炉幅が広く、単一の導波管111のみでは塊成化物を乾燥炉5の炉幅方向に均一に加熱できない場合、塊成化物を乾燥炉5の炉幅方向に均一に加熱するため、例えば図19に示したように、複数本の導波管111のうち少なくとも2本は、乾燥炉の炉幅方向の互いに異なる位置に配置することが好ましい。
また、図19に示したように、各導波管111により加熱される範囲(加熱範囲)が乾燥炉5の炉幅方向全体を覆うような間隔で、導波管111を配置することが好ましい。この際に、各導波管111の加熱範囲が互いに重畳するように、導波管111の配置間隔を決定することが好ましい。
具体的には、塊成化原料の加熱効率は電界強度の2乗に比例するため、有限要素法等を用いた電磁場解析により各導波管111からのマイクロ波の電界強度を求め、各導波管111の中間部(炉幅方向に隣り合う導波管の間の中間部)の電界強度の時間平均が各導波管111直下の電界強度の時間平均の63%以上となるように、炉幅方向に隣り合うそれぞれの導波管111の炉幅方向距離を決定すれば、乾燥炉5の炉幅方向の加熱効率の変動が±20%以下となる。このような間隔で導波管111を配置するのが好ましい。なお、電磁場解析の方法については特に限定されるものではなく、公知のあらゆる方法を利用することが可能である。
複数の導波管の間隔が上記で決定される間隔よりも大きい場合は、炉幅方向に対して塊成化原料の加熱ムラができるため、原料の乾燥ムラにつながって好ましくない。しかしながら、マイクロ波により加熱が行われた部分については原料の乾燥が改善されるため、挿入した導波管の本数に応じて、原料全体としてみた平均値としての乾燥は改善される。
また、乾燥炉の特性として炉幅方向における原料層の厚みが異なる、あるいは熱風の風量に分布があり熱風乾燥の効率が炉幅方向で異なる場合も起こりうる。この際には、原料層が厚い炉幅方向位置、もしくは、風量が小さく乾燥効率が劣位で塊成化原料に残留している水分量の多い炉幅方向位置ほど、他の位置と比較して塊成化原料に残留している水分量が多くなると考えられる。そこで、原料層が厚い炉幅方向位置、もしくは、風量が小さく乾燥効率が劣位で塊成化原料に残留している水分量の多い炉幅方向位置等の塊成化原料に残留している水分量が多い炉幅方向位置ほど、多くの本数の導波管111を炉長方向に沿って直列に設置し、マイクロ波を照射することも有効である。
また、どのように各導波管111を配置するかについては、特に限定されるわけではなく、例えば、乾燥炉5の残留水分の偏り状況に関する知見等に基づき、この偏りを解消可能なように導波管の配設位置を決定すればよい。従って、例えば図20に示すように、炉幅方向の同一の領域に複数個の導波管111が配設されていてもよい。
乾燥炉5の炉長方向(原料層の搬送方向)に対して導波管111を設置する位置は、塊成化物の温度が最も高くなるような位置とするのが好ましい。熱風単独の乾燥において、熱風によって塊成化物に与えられる熱量は以下の式13のように表わされる。
ここで上記式13において、
Q:単位面積当たりの熱流[W/m
Ta:熱風温度[K]
Tb:塊成化物の表面温度[K]
h:熱伝達係数[W/mK]
ε:放射率
σ:ステファンボルツマン係数[W/m
である。
上記式13より明らかなように、塊成化物が熱風により加熱され、塊成化物の表面温度が熱風温度に近づくにつれ、塊成化物が得られる熱エネルギーは小さくなっていく。
一方、マイクロ波により塊成化物に与えられるエネルギーは式11により求められ、塊成化物、熱風の温度に依らない。したがって、熱風とマイクロ波を併用して塊成化物の加熱を行う場合、熱風により塊成化物に与えられる総熱量とマイクロ波により塊成化物に与えられる総エネルギーとがそれぞれ一定であることを前提とすると、熱風により塊成化物の温度上昇がまだ十分行われる乾燥炉の前段でマイクロ波を照射するよりは、塊成化物が熱風により十分加熱された状況で塊成化物に対してマイクロ波を照射した場合に、塊成化物が得られる熱風とマイクロ波のエネルギーの和が最も大きくなり、塊成化物の温度も最高となるため、乾燥が最も進行する。これは、熱風による塊成化物の温度上昇がまだ十分行われる位置において熱風による加熱とマイクロ波による加熱とを併用した場合には、マイクロ波による加熱によって塊成化物の温度が上昇してしまい、塊成化物が吸収する熱量がマイクロ波による加熱分だけ減少してしまうからである。
したがって、塊成化物の温度が最も高くなる乾燥炉5の炉長方向に対する導波管111の設置位置は、乾燥炉5の後段(炉長方向の後段)とし、塊成化物への熱風の吹き付けが終了する搬送方向位置と、塊成化物へのマイクロ波の照射が終了する搬送方向位置とが一致するようにすることが好ましい。このような位置に導波管111を設置することで、熱風によるエネルギーの供給とマイクロ波によるエネルギーの供給とが同時に終了することとなる。
以上、図16〜図20を参照しながら、本発明の実施形態に係る乾燥炉について、詳細に説明した。
以上、添付図面を参照しながら本発明の好適な実施形態について詳細に説明したが、本発明はかかる例に限定されない。本発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者であれば、特許請求の範囲に記載された技術的思想の範疇内において、各種の変更例または修正例に想到し得ることは明らかであり、これらについても、当然に本発明の技術的範囲に属するものと了解される。
10 マイクロ波乾燥装置
101 マイクロ波発振機
103 サーキュレータ
105 アイソレータ
107 自動整合器
111 導波管
112 防塵板

Claims (10)

  1. 酸化鉄原料と還元材とを含む塊状の被乾燥物水分を低減させる乾燥炉であって、
    前記被乾燥物を積層して搬送する網目状の金属コンベアと、
    前記被乾燥物に熱風を吹き付ける熱風乾燥装置と、
    イクロ波を発振するマイクロ波発振器と、
    記被乾燥物に対して前記マイクロ波を照射する導波管と、
    有し、
    前記被乾燥物は、マイクロ波加熱が浸透する範囲より厚く積層されており、
    前記熱風乾燥装置は、前記被乾燥物に対して、前記被乾燥物の下方から前記金属コンベア越しに前記熱風を吹き付け、
    前記導波管は、前記被乾燥物に対して、前記被乾燥物の上方から前記マイクロ波を照射する
    ことを特徴とする、乾燥炉。
  2. 前記導波管を複数備え、
    複数の前記導波管のうち少なくとも2つは、前記乾燥炉の炉幅方向の互いに異なる位置に配置されている
    ことを特徴とする、請求項1に記載の乾燥炉。
  3. 前記複数の導波管は、前記導波管それぞれの加熱範囲が、前記複数の導波管全体として前記乾燥炉の炉幅方向全体を覆うような間隔で、前記炉幅方向に配置される
    ことを特徴とする、請求項2に記載の乾燥炉。
  4. 前記導波管は、積層された前記被乾燥物への熱風の吹き付けが終了する搬送方向位置と、積層された前記被乾燥物への前記マイクロ波の照射が終了する搬送方向位置とが一致するように、搬送方向に配置される
    ことを特徴とする、請求項1〜3の何れか1項に記載の乾燥炉。
  5. 前記マイクロ波の照射直前の搬送方向位置において、前記被乾燥物に残留している水分量が多い炉幅方向位置ほど、多くの本数の導波管が前記被乾燥物の搬送方向に直列に配置される
    ことを特徴とする、請求項1〜4の何れか1項に記載の乾燥炉。
  6. 前記導波管の先端部には、誘電損失係数が0.02未満である無機材料セラミックスで形成されたセラミックスカバーが設けられる
    ことを特徴とする、請求項1〜5の何れか1項に記載の乾燥炉。
  7. 前記導波管の内部には防塵ガスが導入されており、前記導波管の内部に正圧がかかった状態となっている
    ことを特徴とする、請求項1〜6の何れか1項に記載の乾燥炉。
  8. 前記マイクロ波発振器と前記導波管との間に、前記マイクロ波発振器から発振された前記マイクロ波のインピーダンスと、前記乾燥炉内で反射し前記マイクロ波発振器に向かう前記マイクロ波のインピーダンスとの整合を行う自動整合器を更に備える
    ことを特徴とする、請求項1〜7のいずれか1項に記載の乾燥炉。
  9. 前記無機材料セラミックスは、アルミナ、窒化ケイ素、サイアロン、窒化アルミニウム、窒化ホウ素及びこれらの混合物からなる群より選択される
    ことを特徴とする、請求項6に記載の乾燥炉。
  10. 酸化鉄原料と還元材とを含む塊状の被乾燥物水分を低減させる乾燥炉における乾燥方法であって、
    網目状の金属コンベアを用いて、前記被乾燥物を積層して搬送する工程と、
    熱風乾燥装置を用いて前記被乾燥物に熱風を吹き付け、マイクロ波発振器を用いてマイクロ波を発振し、導波管を用いて前記被乾燥物に対して前記マイクロ波を照射する工程と、
    を含み、
    前記被乾燥物は、マイクロ波加熱が浸透する範囲より厚く積層されており、
    前記熱風乾燥装置は、前記被乾燥物に対して、前記被乾燥物の下方から前記金属コンベア越しに前記熱風を吹き付け、
    前記導波管は、前記被乾燥物に対して、前記被乾燥物の上方から前記マイクロ波を照射する
    ことを特徴とする、乾燥方法。
JP2013045582A 2013-03-07 2013-03-07 乾燥炉及び乾燥方法 Active JP6225433B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2013045582A JP6225433B2 (ja) 2013-03-07 2013-03-07 乾燥炉及び乾燥方法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2013045582A JP6225433B2 (ja) 2013-03-07 2013-03-07 乾燥炉及び乾燥方法

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2014173772A JP2014173772A (ja) 2014-09-22
JP6225433B2 true JP6225433B2 (ja) 2017-11-08

Family

ID=51695178

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2013045582A Active JP6225433B2 (ja) 2013-03-07 2013-03-07 乾燥炉及び乾燥方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP6225433B2 (ja)

Family Cites Families (9)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPH01109198U (ja) * 1988-01-18 1989-07-24
JPH02209202A (ja) * 1989-02-10 1990-08-20 Marunaka Kakoki Kk 単板の製造方法および装置
JPH0327277Y2 (ja) * 1990-03-13 1991-06-12
JPH0437634A (ja) * 1990-05-30 1992-02-07 Nitto Boseki Co Ltd 湿潤チヨップドストランドの乾燥方法および装置
JPH0814763A (ja) * 1994-06-29 1996-01-19 Nippon Steel Corp 焼結鉱製造方法
JP2001197861A (ja) * 2000-01-17 2001-07-24 Kumeta Seisakusho:Kk 外果皮を有した液果の乾燥方法、その装置、梅漬の乾燥方法およびブルーベリの乾燥方法
JP4113826B2 (ja) * 2003-10-07 2008-07-09 株式会社神戸製鋼所 コンベヤ式乾燥機
EP1934543A4 (en) * 2005-09-22 2013-05-15 Eastman Chem Co MICROWAVE REACTOR WITH SLOTTED ARRAY WAVEGUIDE
JP4572213B2 (ja) * 2007-04-25 2010-11-04 株式会社日立製作所 マイクロ波照射装置

Also Published As

Publication number Publication date
JP2014173772A (ja) 2014-09-22

Similar Documents

Publication Publication Date Title
AU2006339367B2 (en) Microwave drying of coal
AU2009213831B2 (en) Apparatus and method for comminution of mineral ore using microwave energy
JP6217397B2 (ja) マイクロ波乾燥装置及びマイクロ波乾燥方法
JP6320023B2 (ja) 黒鉛粉の製造装置及びその方法
US8034320B2 (en) Microwave treatment of magnetite iron ore pellets to convert magnetite to hematite
Peng et al. Microwave absorption characteristics of anthracite during pyrolysis
ES2910989T3 (es) Proceso y aparato para la reducción continua de mineral de hierro mediante el uso de biomasa
JP5831413B2 (ja) マイクロ波乾燥装置及びマイクロ波乾燥方法
JP6225433B2 (ja) 乾燥炉及び乾燥方法
JP2018505965A (ja) 焼結鉱製造装置及び製造方法
Gao Comparison of microwave drying and conventional drying of coal
JP5811017B2 (ja) 還元鉄の製造方法
JP5601138B2 (ja) 塊成化物の加熱方法
JP2013076560A (ja) マイクロ波乾燥装置及びマイクロ波乾燥方法
JP5737157B2 (ja) 塊成化物の加熱還元装置
JP5729277B2 (ja) 固体還元炉
WO1996000800A1 (fr) Procede de fabrication d'acier fritte
JP2013076561A (ja) マイクロ波乾燥装置及びマイクロ波乾燥方法
JP6311420B2 (ja) 還元鉄の製造方法及び固体還元炉
JP2013076562A (ja) マイクロ波乾燥装置及びマイクロ波乾燥方法
JP6094312B2 (ja) 還元鉄の製造方法および製造装置
JP5729278B2 (ja) 固体還元炉
JP2010149080A (ja) アスベストの無害化処理方法
JP6151169B2 (ja) フェロコークスの製造方法および製造装置
He et al. Optimization of microwave heating thickness for spent automobile catalyst

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20151106

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20160822

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20160830

A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20161005

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20170314

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20170912

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20170925

R151 Written notification of patent or utility model registration

Ref document number: 6225433

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R151

S533 Written request for registration of change of name

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R313533

R350 Written notification of registration of transfer

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R350