JP5737157B2 - 塊成化物の加熱還元装置 - Google Patents

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本発明は、塊成化物の加熱還元装置に関する。
電気炉による鋼材の製造が盛んになるにつれ、その主原料であるスクラップの需要は逼迫し、電気炉での高級鋼製造に対する要請から還元鉄の需要が増大しつつある。
還元鉄を製造するプロセスの一つとして、粉状の鉄鉱石と、粉状の石炭やコークス等の炭材とを混合して、例えばペレットやブリケットのような塊成化物とし、この塊成化物を回転炉床炉に装入して高温に加熱することで、鉄鉱石中の酸化鉄を還元して固体状金属鉄を得る方法がある(例えば、以下の特許文献1〜4を参照。)。
上述のような方法において、回転炉床の加熱には一般的にバーナーが用いられ、還元鉄の原料である塊成化物は、バーナー及び回転炉床炉の炉壁からの輻射熱によって、外部から伝熱的に加熱される。そのため、炉床上で原料が重なった部位では、裏面側の加熱が不足することとなって、塊成化物全体として不均一な還元となり、平均還元率が低下することとなる。
ここで、鉄酸化物と炭素質物質からなる原料の還元反応等に必要な熱は、まず、炉床上部に位置する空間部でのバーナー燃焼による輻射加熱によって原料層上面に供給された後、原料層内の伝導伝熱によって原料層の下部へと供給されることとなる。従って、生産性を増大させるために原料層の厚みを厚くすると、原料層の下部への伝熱が遅れることとなって層下部の還元速度が低下し、滞留時間が長くなるにもかかわらず、生産性が低下する結果となる。
また、近年では、塊成化物の加熱を、バーナーではなく、マイクロ波の照射により行う技術も提案されるようになってきている(以下の特許文献5を参照。)。
特開平11−248359号公報 特開平11−310382号公報 特開2004−315852号公報 特開2011−112340号公報 特開2008−214715号公報
村瀬陽一、高島宏、中野英樹、越地耕二、周英明、窪田哲男、「電子レンジキャビティ内における電磁界分布」、信学技報、社団法人 電子情報通信学会、1996年2月、MW95−201、67−72ページ
しかしながら、上記特許文献5に記載の方法では、同文献に記載されているように、照射すべきマイクロ波の電力量は、塊成塊1トンあたり100〜200kWhとする必要がある。しかしながら、マイクロ波発振装置の出力は、一般的に100kW/台程度が工業的に使用可能な上限であって、マイクロ波単独で、1日に数十トンもの大量の生産量を要求される塊成化物の加熱・還元処理を行うことは、極めて困難である。
そのため、本発明者らは、操業コストの増加を抑制しながら、塊成化物の加熱ムラの発生を更に抑制可能な方法について鋭意検討を行った結果、バーナーによる加熱とマイクロ波による加熱とを併用することに想到した。
本発明者らは、バーナーによる加熱とマイクロ波による加熱とを併用するために鋭意検討を行った結果、固体還元炉に装入される塊成化物の主たる原料は、マイクロ波を効率良く吸収可能であることが明らかとなった。しかしながら、更なる検討を進めた結果、以下で説明するように、固体還元炉の内部環境に起因して、固体還元炉の自由空間にマイクロ波を拡散放射させた場合には加熱対象外である固体還元炉の天井や側壁部にもマイクロ波が吸収されてしまい、塊成化物の加熱に使用されるマイクロ波のエネルギー効率が低下してしまうことが明らかとなった。
以上のような理由から、本発明者らは、塊成化物を加熱・還元する際にマイクロ波による加熱をバーナーによる加熱と併用する場合には、塊成化物へのマイクロ波の照射方法が重要であることに想到した。
そこで、本発明は、上記問題に鑑みてなされたものであり、本発明の目的とするところは、塊成化物に対してマイクロ波を効率良く照射することが可能な、塊成化物の加熱還元装置を提供することにある。
上記課題を解決するために、本発明のある観点によれば、酸化鉄原料と還元材とを混合して成形した塊成化物を、バーナー及び炉壁からの輻射熱により加熱する固体還元炉と、前記固体還元炉の後段に金属壁を用いて形成されており、前記固体還元炉により処理された前記塊成化物をマイクロ波により加熱するマイクロ波加熱室と、を備え、前記マイクロ波加熱室は、当該マイクロ波加熱室の内部に挿入された、前記マイクロ波を導波する1又は複数の導波管を有する塊成化物の加熱還元装置が提供される。
前記マイクロ波加熱室の天井の高さは、前記固体還元炉の天井の高さよりも低いことが好ましい。
前記マイクロ波加熱室では、当該マイクロ波加熱室の幅方向に隣り合う一方の前記導波管のE面と、もう一方の前記導波管のH面と、が対向するように、前記幅方向に沿って複数の前記導波管が配設されてもよい。
前記マイクロ波加熱室は、複数の前記導波管を有しており、当該複数の導波管は、当該マイクロ波加熱室の幅方向に沿って列状に1組として配設され、更に前記塊成化物の進行方向に沿って複数組配設され、互いに隣り合う2組の前記導波管の配置は、千鳥配置となっていてもよい。
前記マイクロ波加熱室は、複数の前記導波管を有しており、当該複数の導波管は、当該マイクロ波加熱室の幅方向に沿って列状に、等間隔に配設されていてもよい。
前記マイクロ波加熱室には、不活性ガスが導入されていてもよい。
以上説明したように本発明によれば、固体還元炉の後段に金属壁で形成されたマイクロ波加熱室を設け、固体還元炉による処理後の塊成化物に対してマイクロ波加熱室においてマイクロ波を照射するため、塊成化物に対してマイクロ波を効率良く照射することが可能となる。
一般的な還元鉄の製造方法の流れについて示した説明図である。 固体還元炉の一例である回転炉床炉を説明するための説明図である。 本発明の第1の実施形態に係るマイクロ波照射装置の構成を示した説明図である。 同実施形態に係る塊成化物の加熱還元装置について示した説明図である。 同実施形態に係る塊成化物の加熱還元装置が有するマイクロ波加熱室について示した説明図である。 マイクロ波照射口から照射されるマイクロ波の電界強度について示した説明図である。 同実施形態に係る塊成化物の加熱還元装置が有するマイクロ波加熱室について示した説明図である。 同実施形態に係る塊成化物の加熱還元装置が有するマイクロ波加熱室について示した説明図である。
以下に添付図面を参照しながら、本発明の好適な実施の形態について詳細に説明する。なお、本明細書及び図面において、実質的に同一の機能構成を有する構成要素については、同一の符号を付することにより重複説明を省略する。
(還元鉄の製造工程について)
本発明の実施形態に係る塊成化物の加熱還元装置について説明するに先立ち、まず、図1を参照しながら、一般的な還元鉄の製造工程について、詳細に説明する。図1は、一般的な還元鉄の製造工程を説明するための説明図である。
まず、製鉄ダスト(酸化鉄粉)及び鉄鉱石、粉鉱石などの酸化鉄原料と、石炭、コークス、微粒カーボン等の還元材とは、予めホッパー1等に格納されている。酸化鉄原料及び還元材は、予め設定された配合比となるように配合されて、粉砕機2に装入される。
ボールミル等の振動ミルに代表される粉砕機2は、装入された酸化鉄原料及び還元材を、混合しながら所定の粒径まで粉砕する。粉砕後の酸化鉄原料及び還元材の粒径は、還元鉄の製造に用いられる回転炉床炉、流動床炉、シャフト炉等の固体還元炉に適した値とすることができる。粉砕後の酸化鉄原料及び還元材からなる混合物は、混練機3に運搬される。
混練機3は、粉砕機2により所定の粒径に粉砕された混合物を混練する。また、混練機3は、混合物の混練に際して、還元鉄の製造に用いる固体還元炉に適した水分量となるまで混合物に加水を行う調湿処理を施してもよい。混練機3の一例として、例えば、ミックスマーラー等を挙げることができる。混練機3によって混練された混合物は、成型機4に搬送される。
パンペレタイザー(皿型造粒機)、ダブルロール圧縮機(ブリケット製造機)、押し出し成型機等の成型機4は、酸化鉄原料及び還元材を含む混合物を成型し、例えばペレットのような塊成化物とする。ここで、塊成化物とは、ペレット、ブリケット、押し出し成型して裁断した成型品、粒度調整された塊状物等の粒状物・塊状物をいう。成型機4は、後述する乾燥・加熱還元後、例えば熱間にて溶解炉7に装入する際、炉内上昇ガス流で飛散しない程度の粒径以上の大きさとなるように、上記混合物を塊成化する。生成された塊成化物は、乾燥炉5へと装入される。
乾燥炉5は、塊成化物を乾燥して、後述する加熱還元工程に適した水分含有率(換言すれば、還元鉄の製造に用いる固体還元炉ごとに適した水分含有率:例えば、1%以下)となるようにする。所定の水分含有率となった塊成化物は、後述する固体還元炉6へと搬送される。
例えば回転炉床炉(Rotary Hearth Furnace:RHF)、流動床炉、シャフト炉等のような固体還元炉6は、装入された塊成化物を、LNGバーナーやCOGバーナー等の加熱雰囲気で加熱および還元し、還元鉄とする。固体還元炉は、塊成化物を例えば1000〜1300℃程度まで加熱して塊成化物の還元処理を行い、還元鉄を製造する。製造された還元鉄は、溶解炉7に搬送される。溶解炉7では、固体還元炉6で製造された還元鉄を溶解し、溶銑を生成する。生成された溶銑は、脱硫/脱炭工程、二次精錬工程、連続鋳造工程、圧延工程等を経て、各種鉄鋼製品へと加工されることとなる。
以下では、固体還元炉の一例として回転炉床炉を例にとって、説明を行うものとする。しかしながら、本発明の実施形態に係る塊成化物の加熱還元装置における固体還元炉が、回転炉床炉に限定されるわけではない。
(回転炉床炉について)
続いて、図2を参照しながら、還元鉄の製造方法で用いられる固体還元炉の一例である回転炉床炉について、詳細に説明する。図2は、固体還元炉の一例である回転炉床炉を説明するための説明図である。
回転炉床炉21は、例えば図2上段に示したように略円柱状の形状を有しており、例えば回転炉床炉21の上面等に設けられた装入口から塊成化物が装入される。装入された塊成化物は、炉内を周方向に沿って移動しながら加熱・還元されて還元鉄となり、炉内から取り出される。
回転炉床炉21を周方向に沿って展開した場合の模式図を、図2下段に示す。
回転炉床炉21の内部には、回転炉床炉21内を周方向に沿って移動可能な回転炉床25が設けられている。装入口27から装入されたブリケットBは、回転炉床25上に展開される。ブリケットBは、熱間レベラー29によって平坦にならされ、炉内を回転炉床25の移動に伴って移動していく。ブリケットBは、移動の過程で、炉壁又は炉上のバーナー31によって生じた高温燃焼ガスの輻射熱により加熱され、ブリケットB中の還元材により酸化鉄原料が還元される。還元された酸化鉄原料である還元鉄は、ディスチャージャー33により回転炉床炉21の内部から払い出されることとなる。
回転炉床炉21内を移動するブリケットBは、高温燃焼ガスの輻射熱によりブリケットBの外側から内部に向かって温度が上昇していき、ブリケットの還元反応は、ブリケットの外周から中心部に向かって進行する。この際、ブリケットBの内部では、ブリケット中に含まれる酸化鉄成分(FeOやFe等)がブリケット中に含まれる還元材(炭素C)により還元され、還元鉄(Fe)となっていく。
ここで、回転炉床炉21の内部は、図2下段に示したように、仕切り壁(又は、たれ壁)35と呼ばれる、炉の天井から突出形成された壁により、複数のゾーンに区分されていることが多い。回転炉床炉21では、ゾーン毎に、バーナーの熱量や、気体雰囲気や、空気比や、2次空気量等の制御が行われ、還元鉄が製造される。仕切り壁35の高さ(回転炉床炉21の天井位置から仕切り壁35の下端までの高さ)は、回転炉床炉21の大きさ等に応じて適宜設定されるものであるが、例えば、回転炉床炉21の高さに対して2/3程度となるくらいまで、炉天井から突出形成される。従って、仕切り壁35の底面(炉床と対向する底面)と炉床との間の離隔距離は、回転炉床炉21の高さに対して、1/3程度となる。
ブリケットの装入口27の近傍に位置する第1のゾーンおよび第1のゾーンに隣接するゾーンである第2のゾーンは、回転炉床炉21に装入されたブリケットBの昇温を主目的とするゾーンである。また、第2のゾーンに連続する第3のゾーン以降は、ブリケットBの還元を主目的とするゾーンである。ここで、第1のゾーンおよび第2のゾーンを総称して、加熱・還元の最初期と称することとし、第3のゾーン以降を還元期と称することとする。
バーナー31によって生じた高温燃焼ガスにより、加熱・還元の最初期における塊成化物の温度は、1200℃程度まで昇温し、還元期以降は、1200〜1300℃程度を保持することとなる。
(バーナー加熱とマイクロ波加熱との併用について)
本発明者らは、先に説明したように、操業コストの増加を抑制しながら、塊成化物の加熱ムラの発生を更に抑制可能な方法について鋭意検討を行った結果、バーナーによる加熱とマイクロ波による加熱とを併用することに想到した。
本発明者らは、バーナーによる加熱とマイクロ波による加熱とを併用するために鋭意検討を行った結果、固体還元炉に装入される塊成化物の主たる原料は、マイクロ波を効率良く吸収可能であることが明らかとなった。以下、この点について、式を参照しながら詳細に説明する。
物質に吸収される単位体積あたりのマイクロ波のエネルギーPabsは、以下の式11のように表される。以下の式11を参照するとわかるように、加熱される物質(被加熱物質)に吸収される単位体積あたりのマイクロ波のエネルギーPabsは、被加熱物質の導電率、誘電率及び透磁率に依存していることがわかる。従って、下記式11で表されるPabsは、被加熱物質のマイクロ波の吸収効率に関係する量であるともいえる。
Figure 0005737157
ここで、上記式11において、
σ :被加熱物質の導電率 [S/m]
f :マイクロ波の周波数 [Hz]
ε:真空中の誘電率 [F/m]
ε”:被加熱物質の比誘電率の虚数部
μ:真空中の透磁率 [H/m]
μ”:被加熱物質の比透磁率の虚数部
E :マイクロ波により形成される電界強度 [V/m]
H :マイクロ波により形成される磁界強度 [A/m]
π :円周率
である。
以下に、塊成化物の原料となる酸化鉄及び炭素材(還元材)と、一般的に使用される耐火炉材とについて、比誘電率の虚数部ε”の値をまとめて示す。
比誘電率の虚数部ε”
・代表的な耐火炉材であるアルミナ:0.004〜0.01
・粉状の炭素粉:10〜50
・酸化鉄:0.1〜10
上記より明らかなように、塊成化物の原料となる酸化鉄及び炭素材は、乾燥炉等において一般的に使用される耐火炉材に対して比誘電率の虚数部ε”の値が大きく、酸化物及び炭素材(還元材)にマイクロ波のエネルギーをより多く吸収させることが可能である。また、酸化鉄及び炭素粉の値に比べ、代表的な耐火炉材であるアルミナの値は、1000分の1程度の小さな値となっており、耐火炉材は、マイクロ波のエネルギーを多く吸収しないことがわかる。従って、塊成化物が挿入された炉内でマイクロ波を照射した場合、耐火炉材で被覆されている炉壁等へのエネルギー供給は少なく、炉内温度の上昇を抑制したまま原料である塊成化物の温度のみを、効率よく上昇させることが可能となる。
しかしながら、本発明者らが更なる検討を進めた結果、粉塵や、原料から発生した有機ガスの蒸気、金属粒子等といったヒュームが固体還元炉の内部に存在しており、これら粉塵やヒュームが固体還元炉の天井や炉壁に付着することで、本来はマイクロ波吸収特性の低い固体還元炉内の耐火材内張りが、塊成化物原料と同等のマイクロ波吸収特性を有してしまうことが明らかとなった。
従って、固体還元炉の自由空間にマイクロ波を拡散放射させた場合には、加熱対象外である固体還元炉の天井や炉壁にもマイクロ波が吸収されてしまい、塊成化物の加熱に使用されるマイクロ波のエネルギー効率が低下してしまうことが明らかとなった。
以上のような観点から本発明者らが鋭意検討を行った結果、以下で説明するような本発明の実施形態に係る塊成化物の加熱還元装置及び塊成化物の加熱還元方法に想到した。
(使用するマイクロ波について)
続いて、本発明の実施形態に係る塊成化物の加熱還元装置に用いられるマイクロ波について、簡単に説明する。
マイクロ波は、一般的には、波長1mm〜1m、周波数300MHz〜300GHzの電磁波をいう。しかしながら、本実施形態に係る塊成化物の加熱還元装置で着目しているように、マイクロ波を加熱手段として用いる(いわゆるマイクロ波加熱を行う)場合には、マイクロ波とは、いわゆるISM(Industry−Science−Medical)バンドに属する周波数帯域の電磁波を指す。
以下で説明する本発明の実施形態では、IMSバンドに属する周波数を有する電磁波であれば特に限定されず、例えば、2.45GHz帯(2.40GHz〜2.50GHz)、5.8GHz帯(5.725GHz〜5.875GHz)、及び、24GHz帯(24.0GHz〜24.25GHz)に属する周波数等を適宜選択することが可能である。しかしながら、マイクロ波の被加熱物内部への浸透はマイクロ波の波長に比例するため、上記ISMバンドのマイクロ波では、2.45GHz帯の浸透深さが一番大きくなり、数少ない導波管の本数で、固体還元炉全幅にわたって塊成化物の加熱を行うことができる。また、2.45GHzは電子レンジやその他のマイクロ波加熱に広く用いられており装置が安価である点や、発振機1台で数十kWまでの大出力の放射が可能である点などから、kWクラスの大出力が求められる本発明の設備コストとしても、他の2種の周波数の装置よりも安価に導入することができる。このため、本発明に用いるISMバンドのマイクロ波装置としては、2.45GHzのマイクロ波を発振可能なものが好ましい。
(マイクロ波乾燥装置の構成について)
次に、図3を参照しながら、本発明の実施形態に係るマイクロ波照射装置の構成について、詳細に説明する。図3は、本発明の実施形態に係るマイクロ波照射装置の構成を説明するための説明図である。
本発明の実施形態に係るマイクロ波照射装置100は、酸化鉄原料と還元材とを混合して成形した塊成化物を、バーナー及び炉壁からの輻射熱により加熱して還元鉄を製造する固体還元炉、及び、当該固体還元炉の後段に設けられたマイクロ波加熱室で加熱・還元する加熱還元装置に対して利用されるものである。
本発明の実施形態に係るマイクロ波照射装置100は、図3に示したように、マイクロ波発振機101と、サーキュレータ103と、自動整合器107と、マイクロ波照射部材109と、を主に備え、これらの機器が導波管111により接続されている。なお、図3では、マイクロ波照射部材109や導波管111等といった各部材を支持する支持機構は、図示していない。
マイクロ波発振機101は、例えばISMバンドに属する周波数を有するマイクロ波を発振する機器である。このマイクロ波発振機101は、kWクラスの出力を有するマイクロ波を発振可能な機器であることが好ましい。このマイクロ波発振機101により、例えば2.45GHz帯に属する周波数のマイクロ波が、後述するサーキュレータ103へと出力されることとなる。このマイクロ波発振機101は、公知のものを適宜選択して使用することが可能である。
サーキュレータ103は、例えば磁石を利用したマイクロ波の進行制御を行うことで、サーキュレータ103に入力されるマイクロ波を、マイクロ波発振機101から出力された入射波と、後述する自動整合器107側から戻ってきた反射波とに分離する。サーキュレータ103は、分離した入射マイクロ波を後述する自動整合器107側へと導波するとともに、反射マイクロ波を、アイソレータ105の側へと導波する。これにより、反射マイクロ波は、アイソレータ105内に設けられたダミー負荷(例えば、水など)に吸収され、マイクロ波発振機101側に戻らないようにすることができる。このようなサーキュレータ103を設けることにより、本発明の実施形態に係るマイクロ波照射装置100では、安定したマイクロ波の出力を行うことができる。このサーキュレータ103は、公知のものを適宜選択して使用することが可能である。
自動整合器107は、入射側のインピーダンスと、負荷側(すなわち、塊成化物からなる原料層側)のインピーダンスとの整合を取ることで負荷側からの反射波を低減し、反射波をほぼゼロとする機器である。この自動整合器107は、反射電界の位相及び強度を測定し、インピーダンス整合を自動で行うことで、上記のような反射波の低減を実現する。自動整合器107を設けて負荷側のインピーダンスにあわせた自動整合処理を実現することで、後述するマイクロ波照射部材109から、マイクロ波エネルギーを、安定して効率良く塊成化物に照射することが可能となる。
マイクロ波照射部材109は、固体還元炉6の後段に設けられたマイクロ波加熱室40に装入された塊成化物に対して、マイクロ波を照射する部材である。このマイクロ波照射部材109には、マイクロ波照射部材109の先端からマイクロ波加熱室40内に存在する粉塵等が逆流してこないように、窒素、アルゴン等の不活性ガスが所定の流量・流速となるように供給されていてもよい。この場合、マイクロ波照射部材109内に供給される不活性ガスは、マイクロ波加熱室40の内部の温度低下を防止するために、加熱されたガスとすることが好ましい。また、マイクロ波照射部材109と自動整合器107とを連結する導波管111には、マイクロ波加熱室内に存在する粉塵等が自動整合器107に流入しないように、防塵ガラスが設けられる。
このようなマイクロ波照射部材109としては、公知のあらゆるものを利用することが可能であるが、以下では、マイクロ波照射部材109として断面矩形状の導波管を用いる場合を例に挙げて、説明を行うものとする。
導波管111は、マイクロ波を導波して所望の箇所へと導く管である。この導波管111の形状については、マイクロ波の導波特性等を考慮して適宜決定すればよく、導波管111自体についても、使用するマイクロ波の周波数や出力強度等に応じて、公知のものを適宜選択することができる。
(第1の実施形態)
<塊成化物の加熱還元装置の構成について>
以下では、図4〜図8を参照しながら、本発明の第1の実施形態に係る塊成化物の加熱還元装置について、詳細に説明する。図4は、本実施形態に係る塊成化物の加熱還元装置について示した説明図である。図5、図7及び図8は、本実施形態に係る塊成化物の加熱還元装置が有するマイクロ波加熱室について示した説明図である。図6は、マイクロ波照射口から照射されるマイクロ波の電界強度について示した説明図である。
本実施形態に係る塊成化物の加熱還元装置(以下、単に加熱還元装置とも称する。)10は、図4に示したように、塊成化物をバーナー及び炉壁からの輻射熱により加熱することで還元する固体還元炉6と、固体還元炉6の後段(固体還元炉6の炉床進行方向下流側)に設けられたマイクロ波加熱室40と、を備える。
ここで、本実施形態に係る加熱還元装置10が備える固体還元炉6としては、図2で説明したような回転炉床炉や、流動床炉や、シャフト炉等を利用することが可能である。これらの固体還元炉6により加熱還元処理がなされた塊成化物や還元鉄は、後述するマイクロ波加熱室40に払い出され、マイクロ波による加熱・還元処理が行われる。
本実施形態に係るマイクロ波加熱室40は、固体還元炉6の後段に、当該固体還元炉6に継続して設けられるものである。このマイクロ波加熱室40の内部空間は、マイクロ波を吸収する高温状態の耐火物や、マイクロ波を吸収する粉塵やヒューム等の付着した耐火物が存在しない、反射壁として機能する金属壁で囲まれた空間となっている。固体還元炉6から取り出された直後の塊成化物は、原料温度が還元反応の進行に求められる800℃以上の状態を保っている。そのため、マイクロ波加熱室40に設けられた導波管109から塊成化物に照射されるマイクロ波による加熱エネルギーは、速やかに還元反応を進行させることに消費されることとなる。その結果、塊成化物のうち未だ還元反応が進行しておらず金属化されていない部分の還元反応を促進することが可能となる。
なお、マイクロ波加熱室40の内壁面として用いられる金属壁は、金属壁の更に外周にマイクロ波加熱室40の強度を担保する強度部材が配設されるのであれば、マイクロ波の反射部材(すなわち、導体)として機能することが可能な任意の金属を使用することが可能である。金属壁の周囲に、この金属壁を冷却するための冷却機構(例えば、水冷配管や空冷配管等)を配設してもよい。なお、金属壁を冷却するための冷却機構が配設されない場合には、マイクロ波加熱室40の内壁面として用いられる金属として、ステンレス系の金属板を用いることが好ましい。また、金属壁を冷却するための冷却機構が配設される場合には、マイクロ波加熱室40の内壁面として用いられる金属として、ステンレス系の金属板の他に、アルミ系の金属板や、銅系の金属板も使用することが可能である。
また、本実施形態に係るマイクロ波加熱室40に、加熱室内に混入した粉塵やヒューム等を加熱室内から取り除くための排気機構を設けてもよい。
このマイクロ波加熱室40には、図4に示したように、塊成化物の進行方向に沿って、1又は複数のマイクロ波照射部材(導波管)109が挿入されている。以下では、マイクロ波照射部材である導波管109が、マイクロ波加熱室40の天井から挿入された場合について詳細に説明するが、導波管109は、マイクロ波加熱室40の側壁から加熱室内に向かって挿入されていてもよく、マイクロ波加熱室40の天井及び側壁の双方から挿入されていてもよい。
また、マイクロ波加熱室40の内部には、装入された塊成化物の再酸化を防止するために、窒素、アルゴン等の不活性ガスが導入される。不活性ガスの導入量等については、マイクロ波加熱室40の大きさ等に応じて、適宜設定すればよい。また、マイクロ波加熱室40の内部に供給される窒素、アルゴン等の不活性ガスは、マイクロ波加熱室40及び塊成化物の温度低下を防止するために、加熱されたガスとすることが好ましい。
マイクロ波加熱室40の天井高さ(図4における高さh1)は、固体還元炉6の高さ(図4における高さh2)よりも低いことが好ましく、塊成化物の搬送に支障の出ない範囲で出来る限り低くすることが更に好ましい。上記式11から明らかなように、単位体積あたりの物質へのマイクロ波吸収エネルギーは電界強度Eの2乗に比例しているため、電界強度Eが大きければ大きい程、物質へのマイクロ波吸収が大きくなる。そのため、マイクロ波加熱室40の高さh1を低くするほど、マイクロ波加熱室内の空間では、マイクロ波があまり広がらず、単位体積当たりの電界強度Eが高くなっていく。その結果、このマイクロ波加熱室40では、塊成化物に対して効率良くマイクロ波のエネルギーを吸収させることができる。
この際、導波管109の先端とマイクロ波加熱室40の底面との間の離隔距離が小さくなりすぎると、導波管先端からのマイクロ波放射ができなくなる可能性がある。そのため、例えば図4に示したように、導波管先端とマイクロ波加熱室40の底面との間の離隔距離h3を、加熱源として利用するマイクロ波の波長λの4分の1以上とすることが好ましい。
また、本実施形態に係るマイクロ波加熱室40では、例えば図5に示したように、マイクロ波加熱室40の幅方向に沿って、複数の導波管109が配設されていてもよい。マイクロ波加熱室40の幅方向に沿って複数の導波管109を配設することで、幅方向全体にわたって塊成化物を均一に加熱することが可能となる。なお、幅方向に沿って複数の導波管109を配設する場合には、複数の導波管109を幅方向に沿って等間隔に配設することが好ましい。幅方向に沿って複数の導波管109を等間隔に配設することで、幅方向全体にわたって塊成化物を更に均一に加熱することが可能となる。
図5に示したように、本実施形態に係るマイクロ波加熱室40では、加熱室の幅方向に沿って複数(例えば5個)の導波管109が等間隔に配設され、各導波管109は、深さLだけ、マイクロ波加熱室40の内部に挿入されている。各導波管109の加熱室底面側の端部は開口部となっており、この開口部がマイクロ波照射口として機能して、加熱室40の床面上を搬送される塊成化物に対して、マイクロ波が照射されることとなる。
ここで、マイクロ波加熱室40の内部には、塊成化物原料に起因する粉化粉塵や、金属粒子や有機ガス蒸気(ヒューム)が存在している場合があるため、これらの粉塵やヒュームが導波管109の内部に侵入すると、アーク放電が発生する可能性が高くなる。このような粉塵やヒューム等(以下、粉塵等ともいう。)の導波管内部への侵入を防止するために、導波管109の先端部(炉内に設けられた端部)に防塵板としてAl、ガラス、ガラスファイバ等の耐火セラミックスを貼り付けて、導波管の先端を閉塞することが考えられる。しかしながら、このように先端部が閉塞された導波管を長期間使用すると、加熱室内の粉塵等が防塵板表面に付着してしまう。一方で、導波管の先端部はマイクロ波の電界強度が強い状態であるため、粉塵等の汚れが付着した防塵板表面でマイクロ波の吸収が発生し、防塵板が加熱により溶損してしまう可能性がある。
そこで、本実施形態に係るマイクロ波加熱室40では、防塵板への炉内粉塵等の付着・積層によるマイクロ波吸収発生を抑制するために、導波管109の先端に上記のような防塵板は敷設せず、導波管109の先端は、開口端としている。更に、導波管の開口端から粉塵等の侵入を防止するために、導波管109の内部には、先述のように、窒素、アルゴン等の不活性ガスを防塵ガスとして流し、導波管先端から適度なガス流が加熱室内に向けて噴射されるようにしている。
各導波管109の開口部から放射されるマイクロ波の電界強度は、図5下段に示したように、所定の広がりを持って分布している。ここで、前述のように、塊成化物原料に吸収されるマイクロ波の量は、電界強度Eの2乗に比例する。塊成化物原料をなるべく幅方向に均一に加熱するためには、各導波管109から放射されるマイクロ波の電界強度分布Eの和の幅方向の変動が、2倍を超えない程度であることが好ましい。
ここで、各導波管109から放射されるマイクロ波の電界強度分布Eの和を考えるにあたって、図6に示したような正規化された電界強度分布を考える。図6に示したグラフ図は、塊成化物表面での電界強度の2乗の和の分布を示したものであり、縦軸は、正規化された電界強度の2乗の和に対応し、横軸は、加熱室の幅方向位置を表している。実効的には、着目する導波管109から2つ離れた場所に位置する導波管109からの電界強度の影響はさほど大きくないため、着目する導波管109と、この導波管109に隣接する導波管109との和を考慮すればよい。このようにして電界強度Eの和を考えると、各導波管109から放射されるマイクロ波の電界強度Eの和は、図6に実線で示したような分布となる。
加熱室の幅方向に沿って、電界強度Eの和の変動が2倍を超えない(換言すれば、電界強度Eの変動が±25%以下)であるためには、隣り合う導波管109の中間位置(図6における位置a)の電界強度(時間平均強度)が、導波管109の直下(図6における位置b)の電界強度の50%以上であればよい。このような条件が満たされることで、例えば図6に示したように、電界強度Eの和の分布は、強度0.75の位置を中心として、±25%以下の範囲に電界強度が存在することとなる。本実施形態に係るマイクロ波加熱室40では、この条件を満足するように、幅方向に隣り合う導波管109の離隔距離を決定する。
幅方向に隣り合う導波管109の離隔距離は、実際のマイクロ波加熱室40の寸法や、導波管109の寸法等に応じて、事前の実験により決定することができる。また、幅方向に隣り合う導波管109の離隔距離は、実際のマイクロ波加熱室40の寸法や、導波管109の寸法等を利用して、離隔距離をパラメータとして変化させながら、上記非特許文献1に示したような公知の有限要素法に基づく電界強度シミュレーションを行うことで、決定することができる。すなわち、隣り合う導波管109の離隔距離を変えながら、以下の式12で表されるヘルムホルツ方程式を有限要素法により解析し、上記のような条件を満足する離隔距離を決定すればよい。
Figure 0005737157
ここで、幅方向に沿って設けられる導波管109の個数は、図5及び図6に示した例では5個となっているが、本実施形態に係るマイクロ波加熱室40に設けられる導波管109の個数は、上記の例に限定されるわけではない。マイクロ波加熱室40の幅方向に沿って設けられる導波管109の個数は、マイクロ波加熱室や導波管のサイズや、上記離隔距離等に応じて、適宜決定すればよい。
なお、マイクロ波加熱室40の幅は、固体還元炉6との整合性(すなわち、塊成化物を効率良くマイクロ波加熱室40に装入することが可能か否か等)を考慮して、適宜決定すればよい。また、マイクロ波加熱室40の天井の高さ(図4における高さh1)や、導波管109の挿入深さ(図5における長さL)についても、固体還元炉6との整合性を考慮して、適宜決定することが可能である。例えば、天井の高さh1及び挿入深さLをパラメータとして変化させながら、上記式12を利用した公知の有限要素法に基づく電界強度シミュレーションを実施して、マイクロ波加熱室40の側壁方向に回り込むマイクロ波のエネルギーが少なくなるような高さh1や挿入深さLに決定すればよい。
ここで、マイクロ波加熱室40の幅方向に沿って複数の導波管109を配設する場合、図4における天井の高さh1を低くするほど、マイクロ波の電界強度Eの幅方向の分布において隣り合う導波管109の中間位置の電界強度が小さくなり、幅方向の電解強度Eの和の分布の変動が大きくなる。従って、天井の高さh1の値を決定する際には、マイクロ波加熱室40の幅方向に沿って設けられる導波管109の個数や、マイクロ波加熱室や導波管のサイズや、上記離隔距離等に応じて、電界強度Eの和の幅方向の分布を考慮しつつ決定することが好ましい。
なお、図5では、導波管109の挿入深さLが幅方向に沿って一定である場合について図示しているが、マイクロ波加熱室40における導波管109の挿入深さLは、かかる場合に限定されるわけではない。例えば、導波管109の挿入深さを幅方向の各位置で変更して、導波管109の端部の包絡線がアーチ形状を形成するようにしてもよい。また、導波管109の挿入深さを幅方向の各位置で一定とし、マイクロ波加熱室40の天井形状自体をアーチ形状としてもよい。
ここで、断面矩形状の導波管では、矩形状の断面を考えた場合に、長辺に対応する面と短辺に対応する面の2種類の面を考えることができる。ここで、長辺に対応する面は、E面(電界面)と呼ばれており、短辺に対応する面は、H面(磁界面)と呼ばれている。断面矩形状の方形導波管から放射されたマイクロ波は、E面の法線方向に広がり易いという性質を有している。
ここで、図5等に示したように、各導波管109のE面は加熱室の幅方向に対して平行となり、H面は塊成化物の進行方向に対して平行となるように、複数の導波管109を配設してもよいし、各導波管109のH面は加熱室の幅方向に対して平行となり、E面は塊成化物の進行方向に対して平行となるように、複数の導波管109を配設してもよい。また、本実施形態に係るマイクロ波加熱室40では、例えば図7に示したように、幅方向に沿って互いに隣り合う導波管109の向きが直交するように(換言すれば、隣り合う一方の導波管109のE面と、もう一方の導波管109のH面と、が対向するように)、導波管109を配設してもよい。
図7に示したようにE面とH面とを交互に配置することで、各導波管109から放射されるマイクロ波における干渉発生を抑制することができる。各導波管109から放射されるマイクロ波に干渉が発生した場合、干渉によって電界強度が高くなる部分と低くなる部分とが発生するため、加熱ムラが大きく発生する可能性が高くなる。従って、図7に示したように導波管109を配置して干渉の発生を抑制することにより、加熱ムラの発生を抑制することが可能となる。
なお、図7に示したように、導波管109の向きが直交するように導波管109を配置する場合であっても、図6と同様にして各導波管109から放射される電界強度Eの分布を考慮し、電界強度Eの2乗の和の幅方向の変動が2倍を超えないように、幅方向に沿った導波管109の間隔を決定することができる。
また、導波管109をマイクロ波加熱室40の幅方向及び塊成化物進行方向に沿って配置する場合に、複数の導波管109を、塊成化物進行方向及び幅方向に沿って格子状に配設してもよいし、図8に示したように、千鳥配置となるように配設してもよい。導波管109を千鳥配置にすることで、マイクロ波加熱室40の内部を移動する塊成化物を更に均一に加熱することが可能となる。
なお、図8に示した例では、幅方向に隣り合う導波管109のH面同士が対向するように配設されている場合について図示しているが、幅方向に設けられた複数の導波管109の向きが図7に示したように直交している場合であっても、同様に千鳥配置とすることが可能である。
以上、図4〜図8を参照しながら、本実施形態に係るマイクロ波加熱室40を含む加熱還元装置10について、詳細に説明した。
以上説明したように、本実施形態に係る塊成化物の加熱還元装置10では、塊成化物をバーナー及び炉壁からの輻射熱により加熱する固体還元炉の後段に、金属壁を用いて形成されており、固体還元炉により処理された塊成化物をマイクロ波により加熱するマイクロ波加熱室40を設け、固体還元炉により処理された塊成化物をマイクロ波加熱室40に装入し、マイクロ波加熱室40の内部に挿入された1又は複数の導波管によりマイクロ波を導波し、装入された塊成化物に対して導波したマイクロ波を照射する。これにより、塊成化物の近傍からマイクロ波を照射することが可能となるため、塊成化物に対して効率良くマイクロ波を照射することができる。その結果、固体還元炉における加熱還元処理においても金属化されていない部分に対して、マイクロ波を利用して更に処理することが可能となり、加熱還元装置10全体における加熱効率を更に向上させることが可能となる。
以上、添付図面を参照しながら本発明の好適な実施形態について詳細に説明したが、本発明はかかる例に限定されない。本発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者であれば、特許請求の範囲に記載された技術的思想の範疇内において、各種の変更例または修正例に想到し得ることは明らかであり、これらについても、当然に本発明の技術的範囲に属するものと了解される。
例えば、鉄鉱石や製鉄ダスト等の酸化鉄粉と、炭材等の還元材とを混合した塊成化物を加熱して、固体状金属鉄を得る固体還元の機能のみを有する固体還元炉のみならず、固体還元の機能と、金属鉄とスラグの分離の機能と、を併せ持つ炉についても、本発明の技術的範囲に属するものである。
10 塊成化物の加熱還元装置
40 マイクロ波加熱室
100 マイクロ波照射装置
101 マイクロ波発振機
103 サーキュレータ
105 アイソレータ
107 自動整合器
109 マイクロ波照射部材(導波管)

Claims (6)

  1. 酸化鉄原料と還元材とを混合して成形した塊成化物を、バーナー及び炉壁からの輻射熱により加熱する固体還元炉と、
    前記固体還元炉の後段に金属壁を用いて形成されており、前記固体還元炉により処理された前記塊成化物をマイクロ波により加熱するマイクロ波加熱室と、
    を備え、
    前記マイクロ波加熱室は、当該マイクロ波加熱室の内部に挿入された、前記マイクロ波を導波する1又は複数の導波管を有する
    ことを特徴とする、塊成化物の加熱還元装置。
  2. 前記マイクロ波加熱室の天井の高さは、前記固体還元炉の天井の高さよりも低い
    ことを特徴とする、請求項1に記載の塊成化物の加熱還元装置。
  3. 前記マイクロ波加熱室では、当該マイクロ波加熱室の幅方向に隣り合う一方の前記導波管のE面と、もう一方の前記導波管のH面と、が対向するように、前記幅方向に沿って複数の前記導波管が配設される
    ことを特徴とする、請求項1又は2に記載の塊成化物の加熱還元装置。
  4. 前記マイクロ波加熱室は、複数の前記導波管を有しており、
    当該複数の導波管は、当該マイクロ波加熱室の幅方向に沿って列状に1組として配設され、更に前記塊成化物の進行方向に沿って複数組配設され、
    互いに隣り合う2組の前記導波管の配置は、千鳥配置となっている
    ことを特徴とする、請求項1〜3の何れか1項に記載の塊成化物の加熱還元装置。
  5. 前記マイクロ波加熱室は、複数の前記導波管を有しており、
    当該複数の導波管は、当該マイクロ波加熱室の幅方向に沿って列状に、等間隔に配設されている
    ことを特徴とする、請求項1〜4の何れか1項に記載の塊成化物の加熱還元装置。
  6. 前記マイクロ波加熱室には、不活性ガスが導入される
    ことを特徴とする、請求項1〜5の何れか1項に記載の塊成化物の加熱還元装置。
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