JP6218976B2 - 同期機制御装置および同期機の永久磁石温度推定方法 - Google Patents

同期機制御装置および同期機の永久磁石温度推定方法 Download PDF

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Description

本発明は、界磁として永久磁石を有する同期機の制御装置である同期機制御装置および同期機の永久磁石温度推定方法に関するものである。
周知のように、界磁として永久磁石を有する同期機をインバータ等の電力変換手段を有する同期機制御装置にて制御する際、同期機の電機子巻線への通電や同期機自身の鉄損等に起因する温度上昇に伴って、界磁の永久磁石の磁化の強さ、すなわち、磁束が減少する「減磁」と呼ばれる現象が発生する。さらに、許容温度を超えると、その後、温度が常温に下がっても、磁束が減磁発生前の状態に戻らない「不可逆減磁」と呼ばれる現象が発生することも周知である。
このため、界磁として永久磁石を有する同期機を制御する際、少なくとも永久磁石の温度を不可逆減磁が発生する許容温度以下に抑制するように制御する必要がある。また、減磁によってトルクが低下することも想定される。しかしながら、同期機の構造上のスペースの問題、あるいは周囲をケースで防護している等の理由により、温度検出器を永久磁石に直接取り付けることは困難である。
さらに、界磁として永久磁石を有する同期電動機の多くは、回転子側の内部に永久磁石を有することが多い。従って、このような構成は、温度検出器を取りつけることへのさらなる大きな障害要因となっている。
そのため、主に、永久磁石の温度を許容温度以下に抑制できるように、何らかの方法で永久磁石の温度、あるいは永久磁石の温度と相関のある磁束を間接的に測定、あるいは推定する技術が求められている。
このような課題の解決を図った同期機制御装置の一例として、以下のようなステップを順次実施して、回転子磁石部の減磁状態を判定するようにした従来装置がある(例えば、特許文献1参照)。
ステップST1:回転速度および電流・電圧を測定する。
ステップST3:回転速度および電流・電圧の前記測定値に基づいて、巻線の温度を推定する。
ステップST4:巻線温度の推定値に基づいて、巻線の抵抗を推定する。
ステップST5:巻線温度の推定値に基づいて、回転子磁石部の温度を推定する。
ステップST6:巻線温度の推定値に基づいて、誘起電圧の正常値を推定する。
ステップST7:巻線抵抗の推定値に基づいて、誘起電圧の実際の値を推定する。
ステップST8:ステップST6およびステップST7において推定した誘起電圧係数の正常値と実際の値を比較して、その差が所定の閾値を超えているときに減磁が生じていると判断する。
また、同様な制御装置の他の例として、以下のような制御を行うことにより、回転数と鉄損と機械損の和から永久磁石の温度を推定するようにした従来の装置がある(例えば、特許文献2参照)。
・負荷から切り離されて無通電状態で回転する状態の回転子の回転数を検出する。
・検出された回転数に基づいて、回転子の磁石温度を推定する。
・推定された磁石温度に基づいて、同期機(永久磁石電動機)に対する電流指令を補正するための補正量を求め、補正量に基づいて同期機を駆動する。
特開2005−192325号公報 国際公開WO2013/108877号 特許第4672236号公報 特許第5291184号公報
しかしながら、従来技術には、以下のような課題がある。
特許文献1に示された永久磁石電動機の減磁検出方法においては、電機子巻線の温度上昇と回転子永久磁石の温度上昇との比をあらかじめ実験により求めておき、電機子巻線の温度に基づいて永久磁石の温度を推定している。
しかしながら、電機子巻線と永久磁石とでは、熱時定数が大きく異なり、さらに、電動機の運転条件や冷却性能等、他の要因も温度上昇に影響を与える。このため、電機子巻線の温度上昇に対する回転子永久磁石の温度上昇を一義的に求めることは難しく、様々な条件に対して、電機子巻線の温度に基づいて、磁石温度を精度よく推測することは容易ではないといった課題があった。
一方、特許文献2に示された従来装置は、負荷から切り離されて無通電状態で磁石温度を推定するものである。従って、特許文献2に係る従来装置は、磁石温度が上昇し易い通電(有負荷)状態での磁石温度推定が困難であるといった課題があった。
本発明は、前記のような課題を解決するためになされたものであり、界磁として永久磁石を有する同期機を駆動しながら、永久磁石に直接温度検出器を取り付けることなく、変化する電流(負荷)条件下で、永久磁石の温度を高い精度で推定することが可能な同期機制御装置および同期機の永久磁石温度推定方法を得ることを目的としている。
本発明に係る同期機制御装置は、界磁として永久磁石を有する同期機と、永久磁石にかかる応力を推定する応力推定器と、応力推定器により推定された応力に基づいて電機子鎖交磁束の応力減磁分を演算し、同期機の回転子位置、同期機の駆動制御に用いられる電流指令と電圧指令、および電機子鎖交磁束の応力減磁分に基づいて、電機子鎖交磁束を推定し、推定した電機子鎖交磁束から電機子鎖交磁束の応力減磁分を考慮した補正後の永久磁石温度推定値を出力する第1磁石温度推定器とを備えるものである。
また、本発明に係る同期機の永久磁石温度推定方法は、界磁として永久磁石を有する同期機の永久磁石温度推定方法であって、永久磁石にかかる応力を推定する第1ステップと、第1ステップにより推定された応力に基づいて電機子鎖交磁束の応力減磁分を演算する第2ステップと、同期機の回転子位置、同期機の駆動制御に用いられる電流指令と電圧指令、および電機子鎖交磁束の応力減磁分に基づいて、電機子鎖交磁束を推定し、推定した電機子鎖交磁束から電機子鎖交磁束の応力減磁分を考慮した補正後の永久磁石温度推定値を出力する第3ステップとを有するものである。
本発明によれば、永久磁石にかかる応力の推定値に基づいて応力減磁分を演算し、電機子鎖交磁束の推定値に基づいて推定された永久磁石の温度を、応力減磁分を考慮して補正し、補正後の永久磁石温度推定値を得る構成を備えている。この結果、永久磁石の温度変化に伴う減磁と永久磁石にかかる応力による減磁とを分離でき、界磁として永久磁石を有する同期機を駆動しながら、永久磁石に直接温度検出器を取り付けることなく、変化する電流(負荷)条件下で、永久磁石の温度を高い精度で推定することが可能な同期機制御装置および同期機の永久磁石温度推定方法を得ることができる。
本発明の実施の形態1に係る同期機制御装置を駆動する駆動システムのハードウエア構成を示す図である。 本発明の実施の形態1に係る同期機制御装置の全体構成図である。 本発明の実施の形態1に係る同期機制御装置の、図2とは異なる全体構成図である。 本発明の実施の形態1に係る同期機制御装置における磁石温度推定器の一例を示す構成図である。 本発明の実施の形態1に係る磁石温度推定器を構成する第1の磁束マップの概念図である。 本発明の実施の形態1に係る磁石温度推定器を構成する磁束変化マップ62の概念図である。 本発明の実施の形態1において、複数のd−q軸上の電流Id、Iqの条件下での磁石温度上昇10℃に対するd軸磁束Φdの減磁割合の一例を示す図である。 本発明の実施の形態1に係る同期機制御装置における磁石温度推定器の一例を示す構成図である。 本発明の実施の形態1に係る磁石温度推定器を構成する第2の磁束マップの概念図である。 本発明の実施の形態1に係る永久磁石31を有する同期機1の回転子30が、ある回転数で回転しているときの構造解析結果における応力分布を表すコンター図である。 本発明の実施の形態1における永久磁石に圧縮応力を印加したときの実験結果として、印加した圧縮応力に対する磁束密度Brの変化率を表した図である。 本発明の実施の形態1に係る同期機制御装置における永久磁石の応力推定器の一例を示す構成図である。 本発明の実施の形態1に係る同期機制御装置における磁石温度補正器8の一例を示す構成図である。 本発明の実施の形態2に係る同期機制御装置の全体構成図である。 本発明の実施の形態2に係る同期機制御装置における永久磁石の応力推定器の一例を示す構成図である。 本発明の実施の形態3に係る同期機制御装置の全体構成図である。 本発明の実施の形態4に係る同期機制御装置の全体構成図である。 本発明の実施の形態5に係る同期機制御装置の全体構成図である。 本発明の実施の形態6に係る同期機制御装置の全体構成図である。 本発明の実施の形態6に係る同期機制御装置における磁石温度推定器の一例を示す構成図である。 本発明の実施の形態6に係る同期機制御装置における磁石温度推定器の一例を示す構成図である。
以下、本発明の同期機制御装置および同期機の永久磁石温度推定方法の好適な実施の形態につき、図面を用いて説明する。
実施の形態1.
図1は、本発明の実施の形態1に係る同期機制御装置を駆動する駆動システムのハードウエア構成を示す図である。図1において、この駆動システムは、同期機制御装置100に加えてさらに上位のシステム200、および電源23を備える。同期機制御装置100は、ハードウエアとして、永久磁石同期機1、電力変換器2、電流検出器3、位置検出器4、プロセッサ101、および記憶装置102を備える。
記憶装置102は、図示していないが、ランダムアクセスメモリ等の揮発性記憶装置と、フラッシュメモリ等の不揮発性の補助記憶装置とを具備する。また、記憶装置102は、図示していないが、ランダムアクセスメモリ等の揮発性記憶装置と、不揮発性の補助記憶装置の代わりにハードディスク等の補助記憶装置とを具備してもよい。
プロセッサ101は、記憶装置102から入力されたプログラムを実行する。記憶装置102が補助記憶装置と揮発性記憶装置とを具備するため、プロセッサ101に、補助記憶装置から揮発性記憶装置を介してプログラムが入力される。また、プロセッサ101は、演算結果等のデータを記憶装置102の揮発性記憶装置に出力してもよいし、揮発性記憶装置を介して補助記憶装置に前記データを保存してもよい。
図1でのハードウエアの構成要素間におけるデータ等の入出力については、後述する。
図2は、本発明の実施の形態1に係る同期機制御装置の全体構成図である。同期機制御装置は、永久磁石同期機1、電力変換器2、電流検出器3、位置検出器4、電流制御器5、磁石温度推定器6、応力推定器7、磁石温度補正器8、座標変換器21a、21b、および加減算器22を備える。また、磁石温度推定器6と磁石温度補正器8とを合わせたものを磁石温度演算器50とする。本実施の形態1における同期機制御装置は、図2に図示しない上位のシステムから、電流指令座標上の電流指令、あるいはさらにその上位のシステムからトルク指令が与えられることを想定している。
ここで、電流指令座標は、後述する回転直交二軸座標(d−q軸)のことであり、以下の説明では、電流指令座標上のことを、「d−q軸上」と略記し、それぞれの軸の電流指令は、Id*、Iq*に相当する。
該上位のシステムの一例として、電気自動車(EV)、または内燃機関とモータの両方を備えるハイブリッド自動車の車両、さらには鉄道車両のような電気車を駆動する用途に本発明が適用される場合には、ドライバー(操縦者)からのアクセル(ノッチ)やブレーキの入力量と車速や種々の入力量に応じて、電流指令あるいはトルク指令を決定する車両制御装置などが挙げられる。また、その他の用途として、ファクトリーオートメーション(FA)、昇降機用途においても、電流指令を種々の要因に基づいて生成する上位のシステムがある。
また、本発明の同期機制御装置において推定する、同期機1の界磁を形成する永久磁石の温度推定値Tmagを、上位のシステムに伝達して、この温度推定値を上位のシステムの制御に利用してもよい。ただし、本発明において、電流指令を与える上位のシステムは、限定されないため、上位のシステムの説明は、上述した例示にとどめる。
図2の電流制御器5、磁石温度推定器6、応力推定器7、磁石温度補正器8、座標変換器21a、21b、および加減算器22は、記憶装置102に記憶されたプログラムを実行するプロセッサ101、または図示していないシステムLSI等の処理回路により実現される。
また、複数のプロセッサ101および複数の記憶装置102が連携して上記機能を実行してもよいし、複数の処理回路が連携して上記機能を実行してもよい。また、複数のプロセッサ101および複数の記憶装置102と、複数の処理回路との組み合わせにより連携して上記機能を実行してもよい。
図2に示した本実施の形態1における同期機1は、界磁として永久磁石を有するものである。以下、本実施の形態1に係る、同期機1を駆動する同期機制御装置の構成および構成要素の機能について、詳細に説明する。
まず、本実施の形態1において同期機1を駆動するために必要な構成について、電力変換器2の出力側から順に、電力変換器2の入力側となる電圧指令の生成までの流れを説明する。
本実施の形態1における電力変換器2は、電源23から供給される電力を多相交流電力へ変換し、多相交流電圧を出力する。より具体的には、電力変換器2は、同期機1の電機子巻線と接続されており、周知のPWM(パルス幅変調)インバータをはじめとする変換動作を行う。
座標変換器21bは、電流制御器5により得られる電圧指令(厳密には、電流制御器5から出力される電圧指令)を、位置検出器4で得られる同期機1の回転子位置θに基づいて座標変換することで、多相交流電圧指令を生成する。そして、電力変換器2は、座標変換器21bによって生成された多相交流電圧指令に基づいて、同期機1に多相電圧を出力し、同期機1を駆動する。
その結果、同期機1の電機子巻線に出力電流が発生する。この電機子巻線に発生する出力電流を、以下、電機子電流と表記する。
なお、本実施の形態1の電源23に関しては、直流電圧を出力する電源あるいはバッテリなどの電池、または、単相あるいは三相の交流電源から周知のコンバータによって直流電圧を得るものを含めて、電源23と称している。
同期機1の出力電流である電機子電流は、電流センサをはじめとする電流検出器3によって検出される。なお、電流検出器3は、同期機1が三相回転機の場合、同期機1の三相の電機子電流iu、iv、iwの内、全相の電機子電流を検出する構成、あるいは、1つの相(例えばw相)の電機子電流iwについては、検出した2つの相の電機子電流iu、ivを用いて、三相平衡状態のiw=−iu−ivの関係から求めるようにして、2つの相の電機子電流を検出する構成、のいずれを採用することもできる。
さらに、各相の電機子電流を直接検出する方法以外に、周知の技術である、電源23と電力変換器2との間を流れるDCリンク電流に基づいて電機子電流を検出する方法を採用することもできる。
図2における位置検出器4は、周知のレゾルバやエンコーダ等を用いて同期機1の回転子位置θを検出する例を示している。ただし、位置検出器4は、この構成に限定されず、周知の適応オブザーバ等を適用して、電圧指令や電機子電流等を用いて演算により回転子位置θを推定する構成とすることも可能である。ここで、同期機1の回転子位置θとは、一般的に、u相電機子巻線を基準に取った軸に対する永久磁石のN極方向の角度を指す。
また、同期機1の回転速度(電気角周波数ωとする)で回転する回転直交二軸座標をd−q軸と定義し、慣例同様、d軸は、永久磁石のN極方向、すなわち、界磁磁束方向と定め、q軸は、d軸に対して90°進んだ直交方向と定める。以下の説明も、この座標軸の定義に従う。
図3は、本発明の実施の形態1に係る同期機制御装置の、図2とは異なる全体構成図である。具体的には、図3に示した同期機制御装置は、先の図2における位置検出器4の代わりに、推定演算により回転子位置θを得る位置検出器4aを備えている。位置検出器4aの構成は、例えば、特許文献3、4に示されている構成で実現可能であることから、詳細は省略する。
なお、図2と図3の差異は、位置検出器4、4aに係る箇所のみであり、その他の構成は、同一である。
後述の実施の形態においても、図2の周知のレゾルバやエンコーダ等を用いて同期機1の回転子位置θを検出する例に基づいて説明する。しかしながら、これらの実施の形態においても、図3の周知の適応オブザーバ等を適用して、電圧指令や電機子電流等から回転子位置θを推定する方式を採用できることは言うまでもない。
座標変換器21aは、下式(1)の演算により、回転子位置θに基づいて、同期機1の電機子電流iu、iv、iwを、d−q軸上の電流Id、Iqへ変換する。
Figure 0006218976
電流制御器5は、d−q軸上の電流Id、Iqを、所望の電流指令Id*、Iq*に一致させるように、d−q軸上の電圧指令Vd*、Vq*を出力する。具体的には、電流制御器5は、d−q軸上の電流指令Id*、Iq*と、d−q軸上の電流Id、Iqとの偏差に基づいて、下式(2)の比例積分制御(PI制御)を行い、d−q軸上の電圧指令(電流フィードバック制御指令)Vd*、Vq*を生成する。
Figure 0006218976
ここで、Kpdは、電流制御d軸比例ゲイン、Kidは、電流制御d軸積分ゲイン、Kpqは、電流制御q軸比例ゲイン、Kiqは、電流制御q軸積分ゲイン、sは、ラプラス演算子を意味している。なお、ラプラス演算子sの逆数1/sは、1回の時間積分を意味する。
なお、電流制御器5は、インダクタンス値、抵抗値などのモータパラメータと回転速度ωとを用いて電圧フィードフォワード項を演算し、電流フィードバック制御指令に加算する周知の電圧非干渉制御を適用して、d−q軸上の電圧指令Vd*、Vq*を求めてもよい。
電流制御器5は、電圧フィードフォワード制御を行うためには、図2(図3)の電流制御器5の入力として記載されていない回転速度ωを得る必要がある。この場合、電流制御器5は、位置検出器4(または4a)で検出された回転子位置θに対して微分演算を行うことで、回転速度ωを得ることができる。
電流制御器5から出力されるd−q軸上の電圧指令Vd*、Vq*は、座標変換器21bにおいて、下式(3)の演算により、回転子位置θに基づいて電圧指令vu*、vv*、vw*に変換された上で、電力変換器2に出力される。
Figure 0006218976
電力変換器2は、上述した通り、電圧指令vu*、vv*、vw*に基づいて、周知のPWM(パルス幅変調)方式等により、同期機1に電圧vu、vv、vwを出力する。以上が、実施の形態1において同期機1を駆動するために必要な構成である。
次に、同期機1の界磁を形成する永久磁石の温度推定に必要な構成である磁石温度推定器6、応力推定器7、磁石温度補正器8について説明する。
図4は、本発明の実施の形態1に係る同期機制御装置における磁石温度推定器6の一例を示す構成図である。図4に示すように、本実施の形態1における磁石温度推定器6は、磁束推定器60、第1の磁束マップ61、磁束変化マップ62、および磁石温度換算部63を備えて構成されている。
磁石温度換算部63は、d−q軸上の電流指令Id*、Iq*で同期機1を駆動した時に、磁束推定器60で推定されるd軸磁束推定値Φdeと、第1の磁束マップ61と、磁束変化マップ62と、に基づいて、補正前の同期機1の永久磁石温度推定値Tmag0を出力する。
ここで、Tmag0を「補正前」の同期機1の永久磁石温度推定値とした理由は、以下のとおりである。すなわち、本発明の実施の形態1による同期機制御装置における特徴の1つである後述の応力推定器7、および磁石温度補正器8により、Tmag0に対して補正を施し、補正後の同期機1の永久磁石温度推定値Tmagを求めて、同期機1の永久磁石温度推定値の精度を向上させるためである。
磁束推定器60は、位置検出器4(または4a)で検出した回転子位置θに基づいて演算した回転速度ω、d−q軸上の電圧指令Vd*、Vq*、d−q軸上の電流指令Id*、Iq*(Id*、Iq*の代わりにd−q軸上の電流Id、Iqを用いてもよい)に基づいて、電機子鎖交磁束Φに係る状態量を推定する。
なお,電機子鎖交磁束Φとは、永久磁石磁束Φmと、電機子電流が生成する磁束(電機子反作用磁束)Φaとの合成磁束を指す。
電機子鎖交磁束Φに係る状態量を推定する好適な一手法としては、d−q軸上の電圧Vd、Vqと、電機子鎖交磁束Φのd軸成分Φd(以下、d軸磁束と表記)、電機子鎖交磁束Φのq軸成分Φq(以下、q軸磁束と表記)との関係式である下式(4)の演算によって、Φd、Φqを求めるものがある。
Figure 0006218976
また、必要に応じて、下式(5)の演算によって、電機子鎖交磁束Φの絶対値|Φ|を求める方法がある。
Figure 0006218976
ここで、Ldは、d軸方向のインダクタンス(以下、d軸インダクタンスと表記)、Lqは、q軸方向のインダクタンス(以下、q軸インダクタンスと表記)、Rは、抵抗である。なお、抵抗Rは、同期機1の電機子巻線の抵抗が主であり、同期機1と電力変換器2との間の配線抵抗の影響が無視できないぐらい大きい場合には、この配線抵抗も考慮した抵抗値とする。
なお、ラプラス演算子sは、1回の時間微分を意味するが、定常状態では、微分項を考慮しなくてもよい。
本実施の形態1における図2、図3の構成では、d−q軸上の電圧Vd、Vqの実際の値が不明である。このため、磁束推定器60は、d−q軸上の電圧Vd、Vqの代わりに、d−q軸上の電圧指令Vd*、Vq*を用いて、下式(6)の演算により、電機子鎖交磁束Φの推定値Φeのd軸成分Φde(以下、d軸磁束推定値と表記)、電機子鎖交磁束Φの推定値Φeのq軸成分Φqe(以下、q軸磁束推定値と表記)を求める。
Figure 0006218976
また、磁束推定器60は、必要に応じて、下式(7)の演算によって、電機子鎖交磁束Φの推定値Φeの絶対値|Φe|を求める。
Figure 0006218976
その際、同期機1の駆動開始前(停止状態)においては、q軸電圧指令Vq*が0であり、Φde=0となる。このことから、同期機1の駆動開始におけるΦdeの初期値として、所定の永久磁石磁束の値(Φm0とする)を与えておく。
図4の磁束推定器60への入力の中に、位置検出器4(または4a)で検出した回転子位置θが含まれている。これは、回転子位置θを用いて微分演算を行うことで、回転速度ωを得る処理を磁束推定器60の処理の中に含めていることを想定したものである。従って、回転速度ωを得る処理を別の構成部で行うならば、必ずしも磁束推定器60の入力として回転子位置θを含める必要はない。
また、上式(6)の演算において、電流の変化が緩やかであると仮定して、上式(4)におけるラプラス演算子sを含む項は、無視してもよい。
図5は、本発明の実施の形態1に係る磁石温度推定器を構成する第1の磁束マップ61の概念図である。この第1の磁束マップ61は、同期機1を全運転領域で駆動するために必要なd−q軸上の電流指令Id*、Iq*の範囲全てにおいて、同期機1の永久磁石が温度T1の状態におけるd−q軸上の電流指令Id*、Iq*と、電機子鎖交磁束Φのd軸成分(Φd1とする)との相関を、実機実験的あるいは周知の磁界解析のツールなどを用いて求めてマッピングしたものである。
なお、図5では、d軸電流指令Id*の範囲を−100[A]〜0[A]、q軸電流指令Iq*の範囲を−100[A]〜+100[A]と想定しており、以降の図も同様の想定としている。
また、相関マッピングの際には、電流指令Id*、Iq*の代わりに、d−q軸上の電流Id、Iqに対する関連付けでもよく、以下のマッピングにおいても、同様である。
第1の磁束マップ61を用いることで、d−q軸上の電流指令Id*、Iq*は、同期機1の永久磁石が温度T1の条件下における電機子鎖交磁束Φのd軸成分Φd1へ換算される。
なお、マッピングした電流指令条件と同期機1の駆動時に与えられた電流指令とが一致しない場合には、第1の磁束マップ61に基づいて線形補間や近似の手法を用いて、換算値の推定値を出力することができる。なお、その他のマップに対しても、同様の手法を用いることで、推定値を出力することができる。
図6は、本発明の実施の形態1に係る磁石温度推定器を構成する磁束変化マップ62の概念図である。この磁束変化マップ62は、同期機1を全運転領域で駆動するために必要なd−q軸上の電流指令Id*、Iq*の範囲全てにおいて、d−q軸上の電流指令Id*、Iq*が一定であるとの前提で、同期機1の永久磁石が温度T1から温度T1とは異なる温度T2までΔT0分変化した時の、d−q軸上の電流指令Id*、Iq*と電機子鎖交磁束Φのd軸成分の変化量(ΔΦd0とする)との相関を、実機実験的あるいは周知の磁界解析のツールなどを用いて求めてマッピングしたものである。
磁束変化マップ62を用いることで、d−q軸上の電流指令Id*、Iq*は、同期機1の永久磁石が温度T1から温度T1とは異なる温度T2までΔT0分変化した時の電機子鎖交磁束Φのd軸成分の変化量ΔΦd0へ換算される。
なお、温度T1、T2は、同期機1の駆動によって変化し得る(同期機1の界磁を形成する)永久磁石の温度変化範囲の上限および下限に設定することが望ましい。なお、本発明においては、温度T1、T2の大小関係は問わない。
磁石温度換算部63は、d−q軸上の電流指令Id*、Iq*で同期機1を駆動した時に、磁束推定器60で推定された、温度T1の時のd軸磁束推定値Φdeと、第1の磁束マップ61から得られた電機子鎖交磁束Φのd軸成分Φd1と、磁束変化マップ62から得られた電機子鎖交磁束Φのd軸成分の変化量ΔΦd0とから、下式(8)に基づいて、補正前の同期機1の永久磁石温度推定値Tmag0を生成する。
Figure 0006218976
以上の図4に示した構成を備えることで、磁石温度推定器6は、d−q軸上の電流指令Id*、Iq*で同期機1を駆動した時における補正前の同期機1の永久磁石温度推定値Tmag0を求めることができる。
なお、図4の構成では、d軸磁束推定値Φdeを用いて補正前の同期機1の永久磁石温度推定値Tmag0を求める方式を示した。しかしながら、磁石温度推定器6は、d軸磁束推定値Φdeの代わりに電機子鎖交磁束Φの推定値Φeの絶対値|Φe|を用いて、補正前の同期機1の永久磁石温度推定値Tmag0を求めることも可能である。
この場合、特に図示しないが、第1の磁束マップ61aは、同期機1を全運転領域で駆動するために必要なd−q軸上の電流指令Id*、Iq*の範囲全てにおいて、同期機1の永久磁石が温度T1の状態におけるd−q軸上の電流指令Id*、Iq*と電機子鎖交磁束Φの絶対値(|Φ1|とする)との相関を、実機実験的あるいは周知の磁界解析のツールなどを用いて求めてマッピングしておく。
この第1の磁束マップ61aを用いることで、d−q軸上の電流指令Id*、Iq*は、同期機1の永久磁石が温度T1の条件下における電機子鎖交磁束Φの絶対値|Φ1|へ換算される。
また、特に図示しないが磁束変化マップ62aは、同期機1を全運転領域で駆動するために必要なd−q軸上の電流指令Id*、Iq*の範囲全てにおいて、d−q軸上の電流指令Id*、Iq*が一定であるとの前提で、同期機1の永久磁石が温度T1から温度T2までΔT0分変化した時のd−q軸上の電流指令Id*、Iq*と電機子鎖交磁束Φの絶対値の変化量(|ΔΦ0|とする)との相関を、実機実験的あるいは周知の磁界解析のツールなどを用いて求めてマッピングしておく。
この磁束変化マップ62aを用いることで、d−q軸上の電流指令Id*、Iq*は、同期機1の永久磁石が温度T1から温度T2までΔT0分変化した時の電機子鎖交磁束Φの絶対値の変化量|ΔΦ0|へ換算される。
これらの換算値を用いれば、磁石温度推定器6は、d−q軸上の電流指令Id*、Iq*で同期機1を駆動した時に、磁束推定器60で推定する電機子鎖交磁束推定値Φeの絶対値|Φe|と、第1の磁束マップ61aから得られる電機子鎖交磁束Φの絶対値|Φ1|と、磁束変化マップ62aから得られる電機子鎖交磁束Φの絶対値の変化量|ΔΦ0|とから、同様に補正前の同期機1の永久磁石温度推定値Tmag0を求めることができる。
次に、上述した方法によって、同期機1の永久磁石温度を推定する原理について説明する。d−q軸上の電流Id、Iqと、d軸磁束Φd、q軸磁束Φqとの関係式は、d軸インダクタンスLd、q軸インダクタンスLq、永久磁石磁束Φmを用いて表すと、下式(9)となる。
Figure 0006218976
仮に、d軸電流Idおよびd軸インダクタンスLdがともに一定であるとした時、永久磁石の温度変化により、永久磁石磁束Φmが変化すると、この変化は、d軸磁束Φdにあらわれる。したがって、所定のd−q軸上の電流Id、Iq条件下におけるd軸磁束Φdと永久磁石の温度Tmとの相関が分かれば、永久磁石の温度Tmを推定できる。
ただし、永久磁石磁束Φm、すなわち、d軸磁束Φdと永久磁石の温度Tmとの相関は、電機子電流の大きさに依存して変化する同期機1の磁気飽和状態によって異なる。
例えば、モータに組み込まれていない単体の状態で、磁石温度上昇10℃に対して1%の割合で減磁する特性を有する永久磁石が、同期機1の界磁として組み込まれた場合を考える。この場合に、磁気飽和が緩和されている状態(q軸電流Iqの絶対値が小さい、軽負荷条件など)では、単体の状態と同様に、温度上昇10℃に対して概ね1%の割合で、d軸磁束Φdの減磁が発生する。
ただし、q軸電流の絶対値が大きい磁気飽和状態では、温度上昇10℃に対して0.6〜1.0%の割合で減磁が発生する。このように、磁石温度変化に対するd軸磁束Φdの変化は、電流条件に対しては一様ではない。また、この変化量は、q軸電流Iqのみではなく、d軸電流Idにも依存する。
図7は、本発明の実施の形態1において、複数のd−q軸上の電流Id、Iqの条件下での磁石温度上昇10℃に対するd軸磁束Φdの減磁割合の一例を示す図である。
また、実際には、永久磁石の温度変化により、永久磁石磁束Φmが変化して磁気飽和状態も僅かに変わる。このため、d−q軸上の電流Id、Iqが一定の条件下においても、永久磁石の温度が変わると、d軸インダクタンスLd、q軸インダクタンスLqの値にも変化が生じる。
よって、永久磁石の温度Tmが変化すると、d軸インダクタンスLd、永久磁石磁束Φmともに変化し、さらに、磁石温度変化に対するd軸インダクタンスLd、永久磁石磁束Φmの変化の大きさは、d−q軸電流Id、Iq(すなわち、負荷条件)によって異なる。
すなわち、上式(6)からd軸磁束推定値Φdeを求めた際、d軸インダクタンスLdとd軸電流Idとに起因する電機子反作用磁束(Ld・Id)と永久磁石磁束Φmとに分離することは困難である。従って、永久磁石温度Tmと永久磁石磁束Φmとの直接的な相関を求めることは容易ではない。
このことから、永久磁石の温度を精度よく推定するためには、永久磁石の温度Tmとd軸磁束Φdとの相関を、様々なd−q軸上の電流Id、Iq条件毎に把握する必要がある。
そこで、本実施の形態1における磁石温度推定器6は、上述したように、磁束推定器60、第1の磁束マップ61、磁束変化マップ62、および磁石温度換算部63とで構成されている。そして、磁石温度推定器6は、d−q軸上の電流指令Id*、Iq*で同期機1を駆動した時に、磁束推定器60で推定されたd軸磁束推定値Φdeと、第1の磁束マップ61と、磁束変化マップ62と、に基づいて、補正前の同期機1の永久磁石温度推定値Tmag0を出力する構成とした。
本実施の形態1において、界磁磁束と同一方向であるd軸磁束推定値Φdeに基づいて永久磁石温度推定を行うと、上式(9)からわかるように、磁石温度変化に対する磁束変化が、d軸側に表れる。このため、磁石温度変化に対する磁束変化の感度を向上させることができ、永久磁石の温度推定精度が向上する。
ただし、上式(5)と上式(9)との関係からわかるように、永久磁石の温度変化に起因する変化は、電機子鎖交磁束の絶対値|Φ|にも現れる。このため、上述した通り、電機子鎖交磁束のd軸成分の代わりに、絶対値|Φ|を用いて永久磁石の温度を推定できることは言うまでもない。
なお、先の図4に示した磁石温度推定器6の代わりに、以下に示す磁石温度推定器6aを用いてもよい。
図8は、本発明の実施の形態1に係る同期機制御装置における磁石温度推定器6aの一例を示す構成図である。図8に示すように、本実施の形態1における磁石温度推定器6aは、磁束推定器60、第1の磁束マップ61、第2に磁束マップ64、および磁石温度換算部63aを備えて構成されている。
磁石温度換算部63aは、d−q軸上の電流指令Id*、Iq*で同期機1を駆動した時に、磁束推定器60で推定されるd軸磁束推定値Φdeと、第1の磁束マップ61と、第2の磁束マップ64と、に基づいて、補正前の同期機1の永久磁石温度推定値Tmag0を出力する。なお、第1の磁束マップ61については、先の図5に示したものと同じ構成である。
先の図4の構成を備えた磁石温度推定器6においては、「同期機1の永久磁石が温度T1の状態におけるd−q軸上の電流指令Id*、Iq*と、電機子鎖交磁束Φのd軸成分Φd1との相関」と「同期機1の永久磁石が温度T1からT2までΔT0分変化した時の、d−q軸上の電流指令Id*、Iq*と、電機子鎖交磁束Φのd軸成分の変化量ΔΦd0との相関」との2つの相関情報から、永久磁石の温度を精度よく推定するために必要な、様々なd−q軸上の電流Id、Iq条件での永久磁石の温度Tmとd軸磁束Φdとの相関を求めていた。
それに対して、図8の構成を備えた磁石温度推定器6aにおいては、「同期機1の永久磁石が温度T1の状態におけるd−q軸上の電流指令Id*、Iq*と、電機子鎖交磁束Φのd軸成分Φd1との相関」と「同期機1の永久磁石が温度T2の状態におけるd−q軸上の電流指令Id*、Iq*と、電機子鎖交磁束Φのd軸成分(Φd2とする)との相関」との2つの相関情報から、様々なd−q軸上の電流Id、Iq条件での永久磁石の温度Tmとd軸磁束Φdとの相関を求めている点で、先の図4の構成を備える磁石温度推定器6とは異なる。
図9は、本発明の実施の形態1に係る磁石温度推定器6aを構成する第2の磁束マップ64の概念図である。この第2の磁束マップ64は、同期機1を全運転領域で駆動するために必要なd−q軸上の電流指令Id*、Iq*の範囲全てにおいて、同期機1の永久磁石が温度T2の状態におけるd−q軸上の電流指令Id*、Iq*と電機子鎖交磁束Φのd軸成分Φd2との相関を、実機実験的あるいは周知の磁界解析のツールなどを用いて求めてマッピングしたものである。
第2の磁束マップ64を用いることで、d−q軸上の電流指令Id*、Iq*は、同期機1の永久磁石が温度T2の条件下における電機子鎖交磁束Φのd軸成分Φd2へ換算される。
磁石温度換算部63aは、d−q軸上の電流指令Id*、Iq*で同期機1を駆動した時に、磁束推定器60で推定されたd軸磁束推定値Φdeと、第1の磁束マップ61から得られた電機子鎖交磁束Φのd軸成分Φd1と、第2の磁束マップ64から得られた電機子鎖交磁束Φのd軸成分Φd2とから、下式(10)に基づいて、補正前の同期機1の永久磁石温度推定値Tmag0を生成する。
Figure 0006218976
以上の図8に示した構成を備えることで、磁石温度推定器6aは、d−q軸上の電流指令Id*、Iq*で同期機1を駆動した時における補正前の同期機1の永久磁石温度推定値Tmag0を求めることができる。
また、この図8の構成においても、d軸磁束推定値Φdeの代わりに、電機子鎖交磁束Φの推定値Φeの絶対値|Φe|を用いて、補正前の同期機1の永久磁石温度推定値Tmag0を求めることができることは言うまでもない。
さらに、温度T1、T2とは異なる温度の条件下における、d−q軸上の電流指令Id*、Iq*と、電機子鎖交磁束Φのd軸成分との相関を示す磁束マップを有するような構成としてもよい。なお、磁束マップを求める温度条件が増えれば、同期機1の永久磁石温度推定精度が向上することは言うまでもない。しかしながら、マップ数が多大となると、マップの作成に大きな労力を必要とするため、マップ数は、必要最低限にとどめる。
上述した図4あるいは図8の構成においては、磁石温度推定器6(または6a)は、d軸磁束Φdと永久磁石の温度Tmとの相関が同期機1の磁気飽和状態によって異なる点を踏まえ、磁石温度変化に対するd軸磁束Φdの変化の電機子電流依存性を考慮した上で、補正前の同期機1の永久磁石温度推定値Tmag0を出力している。
しかしながら、実際の界磁として永久磁石を有する同期機1においては、永久磁石にかかる応力により減磁が発生する。このため、同一の電機子電流条件下においても、永久磁石にかかる応力の大きさにより、d軸磁束Φdと永久磁石の温度Tmとの相関がずれる可能性がある。
そこで、本発明においては、同期機1の永久磁石温度推定値の精度を向上させるために、応力推定器7と磁石温度補正器8とを備えている。そして、磁石温度補正器8は、磁石温度推定器6(または6a)により推定された補正前の同期機1の永久磁石温度推定値Tmag0に対して、応力推定器7において推定される永久磁石にかかる応力に基づいて、応力減磁分を演算し、応力減磁分を温度補正量に換算して補正する。
次に、同期機1の回転によって永久磁石に発生する応力の推定方法と、永久磁石に応力を印加した時の磁束密度の変化について、具体的に説明する。
図10は、本発明の実施の形態1に係る永久磁石31を有する同期機1の回転子30が、ある回転数で回転しているときの構造解析結果における応力分布を表すコンター図である。同期機1の回転子30が回転すると、遠心力により、永久磁石31に応力が発生する。なお、図10に示した構造解析において、回転子30は、解析の時間短縮のために、部分モデルとしている。永久磁石31は、回転子30のスロット32内に保持され、遠心力で弓型に変形する。この結果、外周側に引張応力が発生し、内周側に圧縮応力が発生する。
図11は、本発明の実施の形態1における永久磁石に圧縮応力を印加したときの実験結果として、印加した圧縮応力に対する磁束密度Brの変化率を表した図である。図11に示すように、永久磁石に応力を印加すると、応力が増加するにつれて、磁束密度Brの変化率が低下する。つまり、永久磁石に応力が加わると、減磁が発生することになる。この図11に示した解析結果の場合、応力を50MPa印加すると、約0.2%減磁する。
図12は、本発明の実施の形態1に係る同期機制御装置における永久磁石31の応力推定器7の一例を示す構成図である。図12に示す応力推定器7は、第1の応力推定部70により、位置検出器4(または4a)により検出された同期機1の回転子位置θから回転速度ωを算出し、構造解析により求めた永久磁石31に発生する応力と、回転速度ωとの関係である構造解析データ71を参照することによって、永久磁石に印加される応力の値σを推定する。
なお、構造解析データ71は、先の図10に示す構造解析から求めた回転速度と応力との関係を表す計算式、あるいは、各回転数に対応した応力値のマップとすることができる。
図13は、本発明の実施の形態1に係る同期機制御装置における磁石温度補正器8の一例を示す構成図である。図13に示す磁石温度補正器8は、磁束推定部80、および磁石温度換算部81を備えて構成されている。
磁束推定部80は、永久磁石の加圧実験により求めた応力σと、残留磁化Brとの関係から、応力減磁による電機子鎖交磁束の変化量Δφdeを導き出す。そして、磁石温度換算部81は、応力減磁による電機子鎖交磁束の変化量Δφdeを温度補正量に換算して、永久磁石温度推定値Tmag0を補正し、補正後の永久磁石温度推定値Tmagを出力する。
なお、出力された永久磁石温度推定値Tmagは、本実施の形態1では記述しない上位のシステムに伝達されることで、この推定値を上位のシステムの制御に利用してもよい。
具体的には、永久磁石温度推定値Tmagを上位のシステムにフィードバックし、d−q軸上の電流指令を補正する例を、後述の実施の形態4で説明し、永久磁石温度推定値Tmagを用いてトルク指令に制限をかける例を、後述の実施の形態5で説明する。以上が、実施の形態1における同期機制御装置の説明である。
以上のように、実施の形態1によれば、電流指令(同期機の磁気飽和状態)に応じて異なる磁石温度変化に対する電機子鎖交磁束の変化を正確に把握しながら磁石温度を推定している。これにより、永久磁石に直接温度検出器を取り付けることなく、あらゆる電流(負荷)条件で永久磁石の温度を精度よく推定できる効果がある。
さらに、永久磁石温度変化による熱減磁と、永久磁石にかかる応力による減磁とを分離できるように、温度推定誤差となり得る永久磁石にかかる応力によって発生する減磁分を補正している。これにより、磁石温度推定精度が向上する効果も得られる。
実施の形態2.
次に、本発明の実施の形態2に係る同期機制御装置について説明する。
図14は、本発明の実施の形態2に係る同期機制御装置の全体構成図である。
本実施の形態2による同期機制御装置は、図14に示すように、先の図2に示す実施の形態1に係る同期機制御装置の応力推定器7に対して、磁石温度推定器6により推定された永久磁石の温度Tmag0と、電流指令Id*、Iq*とを入力として取り込む構成として、応力推定器7aとしたものである。
図15は、本発明の実施の形態2に係る同期機制御装置における永久磁石31の応力推定器7aの一例を示す構成図である。応力推定器7aは、図15に示すように、同期機1の回転子位置θから回転速度ωを算出し、構造解析の結果から永久磁石に印加される応力σ1を推定する第1の応力推定部70と、磁石温度推定器6により推定された永久磁石の温度Tmag0に基づいて永久磁石にかかる応力σ2を推定する第2の応力推定部72と、電流指令により発生するトルクから永久磁石にかかる応力σ3を推定する第3の応力推定部73と、各応力推定部からの出力σ1〜σ3を合算して、永久磁石にかかる応力σを演算する磁石応力演算部74から構成されている。
なお、図15においては、先の実施の形態1における図12で記載した構造解析データ71については、表記を省略している。また、その他の構成に関する動作は、先の実施の形態1における図2と同じなので、同一符号を付して、説明を省略する。以上が、実施の形態2における同期機制御装置の説明である。
以上のように、実施の形態2によれば、永久磁石にかかる応力を推定する際、同期機の回転子の回転速度から推定される応力だけでなく、永久磁石の温度変化により発生する寸法変化に起因する熱応力と、駆動電流により発生するトルクに起因する応力も考慮している。この結果、永久磁石にかかる応力の推定精度を、更に向上させることができる効果が得られる。
実施の形態3.
次に、本発明の実施の形態3に係る同期機制御装置について説明する。
図16は、本発明の実施の形態3に係る同期機制御装置の全体構成図である。
本実施の形態3による同期機制御装置は、図16に示すように、磁石温度補正器8によって補正された永久磁石温度推定値Tmagを、応力推定器7bに入力することで、永久磁石の温度変化に伴う寸法変化に起因して発生する応力σ(熱応力)を推定する。そして、磁石温度補正器8は、その応力σを使って補正前の永久磁石温度Tmag0を補正することで、再帰的な温度補正を行うものである。なお、その他の構成に関する動作は、先の実施の形態1の図2と同じなので、同一符号を付して、説明を省略する。
応力推定器7bは、例えば、先の図10に示したスロット32により永久磁石31の寸法変化が妨げられたとき、その内部に発生する応力σを、材料の線膨張係数に基づいた寸法変化を考慮した構造解析などにより推定する。以上が、実施の形態3における同期機制御装置の説明である。
以上のように、実施の形態3によれば、永久磁石温度を推定する際、永久磁石の温度変化による熱減磁と、永久磁石にかかる温度依存性に係る熱応力による減磁とを分離できるように、温度推定誤差となり得る永久磁石にかかる応力によって発生する減磁分を補正している。この結果、永久磁石の温度推定精度を向上させることができる効果が得られる。
さらに、実施の形態3によれば、永久磁石の温度変化に伴う寸法変化で発生する応力σ(熱応力)を推定して、再帰的に永久磁石の温度補正を行っている。この結果、さらに正確な温度推定が可能となる。
実施の形態4.
次に、本発明の実施の形態4に係る同期機制御装置について説明する。
図17は、本発明の実施の形態4に係る同期機制御装置の全体構成図である。
本実施の形態4による同期機制御装置は、図17に示すように、磁石温度補正器8により補正された永久磁石温度推定値Tmagに応じて、d−q軸上の電流指令を補正する電流指令補正器9をさらに備えた構成となっている。
図17のd−q軸上の電流指令において、便宜上、電流指令補正器9の入力側である補正前の電流指令をId0*、Iq0*、電流指令補正器9の出力側である補正後の電流指令をId*、Iq*としている。
以下、新たに追加した電流指令補正器9の構成を中心に説明し、他の同一部分については、適宜説明を省略する。
同期機1の永久磁石の温度Tmを推定する目的の1つに、減磁によるトルク変化分を補正する点がある。同期機1の永久磁石に減磁が発生すると、永久磁石に起因して発生するトルクが変化する。そこで、本実施の形態4では、不可逆減磁に至らない許容温度範囲内において、電流指令Id*とIq*を補正し、同期機1のトルク出力を調整し、トルク変化分を補正するような構成としている。
同期機1が出力するトルクτは、下式(11)で算出される。ただし、Pmは、同期機1の極対数である。
Figure 0006218976
上式(11)において、電流指令Id*とIq*を適切に変化させると、同期機1が出力するトルクが変化することは自明である。そこで、電流指令補正器9は、補正された永久磁石温度推定値Tmagに応じて、電流指令Id*とIq*とを調整する。
永久磁石温の温度変化によりΦmが変化すると、上式(11)のトルクτが変化してしまう。そこで、電流指令補正器9は、永久磁石温度推定値Tmagに基づき、トルク変化分を補うように、電流指令Id*、Iq*を調整する。以上が、実施の形態4における同期機制御装置の説明である。
以上のように、実施の形態4によれば、同期機の界磁を形成する永久磁石の温度上昇時に電流指令を補正している。この結果、熱減磁に伴うトルク変化分を補正でき、トルク精度を向上させることができる効果がある。
実施の形態5.
次に、本発明の実施の形態5に係る同期機制御装置について説明する。
図18は、本発明の実施の形態5に係る同期機制御装置の全体構成図である。
本実施の形態5による同期機制御装置は、図18に示すように、磁石温度補正器8により補正された永久磁石温度推定値Tmagに応じて、同期機1に対するトルク指令を制限するトルク指令制限器10と、制限されたトルク指令に基づいて電流指令を生成する電流指令生成器11とをさらに備えた構成となっている。
図18の同期機1に対するトルク指令において、便宜上、トルク指令制限器10の入力側における制限前のトルク指令をτ0*、トルク指令制限器10の出力側における制限後のトルク指令をτ*としている。
以下、新たに追加したトルク指令制限器10、および電流指令生成器11の構成を中心に説明し、他の同一部分については、適宜説明を省略する。
本実施の形態5では、トルク指令制限器10において、同期機1に対するトルク指令を、補正された永久磁石温度推定値Tmagに応じて制限し、電機子電流(実効値)を小さくすることで、さらなる温度上昇を抑制するような構成としている。
トルク指令制限器10は、先の実施の形態1に示したような上位のシステムにおける制限前のトルク指令τ0*を、補正された永久磁石温度推定値Tmagに応じて制限し、制限後のトルク指令τ*として出力する。
永久磁石温度推定値Tmagとトルク指令制限値との相関は、鉄損と関係がある同期機1の回転速度などの駆動条件、同期機1の熱容量や冷却性能に応じて設定する。
トルク指令制限器10は、例えば、永久磁石温度推定値Tmagがある域値を超えると、永久磁石温度が不可逆減磁に至る温度に漸近したと判断して、トルク指令を下げる、極端には、トルク指令制限器10は、「0」にするなどの処理を施した上で、制限後のトルク指令τ*を出力するといった形態にする。また、トルク指令制限器10は、永久磁石温度推定値Tmagが上昇するに従い、トルク指令の制限値を段階的に逓減するような形態としてもよい。
また、図18における電流指令生成器11は、制限後のトルク指令をτ*に基づいて、制御指令であるd−q軸上の電流指令Id*、Iq*を生成する。本発明のような界磁として永久磁石を有する同期機1の場合、同一のトルクを発生させることの可能なd軸電流Idとq軸電流Iqとの組み合わせが無数に存在することが知られている。そこで、電流指令生成器11は、制限後のトルク指令τ*に対し、所望の条件(例えば、効率最大条件、電流最小条件など)に合致する適切なd−q軸上の電流指令Id*、Iq*を出力すればよい。ただし、より効果的に同期機1の温度上昇を抑制し、不可逆減磁を防止するためには、同一トルクに対する電流が最小となる条件となるように、電流指令Id*、Iq*を選択すれば、より好適となる。
また、同期機1の種々のトルクに対応するd−q軸上の電流指令Id*、Iq*の最適値を事前に測定してマップ化しておき、運転中に、制限後のトルク指令τ*を、該マップを随時参照して、τ*に応じたd−q軸上の電流指令Id*、Iq*を得る方法でもよい。以上が、実施の形態5における同期機制御装置の説明である。
以上のように、実施の形態5によれば、同期機の界磁を形成する永久磁石の温度上昇時にトルク指令を制限している。この結果、磁石温度上昇を引き起こす電機子電流(実効値)を小さくでき、永久磁石の不可逆減磁を防止することができる効果がある。
実施の形態6.
次に、本発明の実施の形態6に係る同期機制御装置について説明する。
図19は、本発明の実施の形態6に係る同期機制御装置の全体構成図である。
本実施の形態6による同期機制御装置は、図19に示すように、応力推定器7によって推定される永久磁石にかかる応力σを、磁石温度推定器6bに入力することで、永久磁石の温度Tmagを推定する。つまり、磁石温度推定器6bは、先の実施の形態1における図2に示す磁石温度推定器6と磁石温度補正器8の両方の機能を合わせ持ち、それら2つを合わせた磁石温度演算器50と同じ役割を果たす。
図20は、本発明の実施の形態6に係る同期機制御装置における磁石温度推定器6bの一例を示す構成図である。図20に示すように、磁石温度推定器6bは、磁束推定器60a、第1の磁束マップ61、磁束変化マップ62、および磁石温度換算部63を備えて構成されている。そして、磁石温度換算部63は、d−q軸上の電流指令Id*、Iq*で同期機1を駆動した時に、磁束推定器60aで推定されたd軸磁束推定値Φdeと、第1の磁束マップ61と、磁束変化マップ62と、に基づいて、同期機1の永久磁石温度推定値Tmagを出力する。
磁束推定器60aは、位置検出器4で検出された回転子位置θに基づいて演算した回転速度ω、d−q軸上の電圧指令Vd*、Vq*、d−q軸上の電流指令Id*、Iq*(Id*、Iq*の代わりに、d−q軸上の電流Id、Iqを用いてもよい)、それに応力推定器7で推定した永久磁石に印加される応力σに基づいて、電機子鎖交磁束Φに係る状態量を推定する。
先の実施の形態1では、図13に示すように、磁石温度補正器8の中に磁束推定部80を有し、熱減磁を考慮して推定された永久磁石温度Tmag0に対し、応力減磁による電機子鎖交磁束の変化量Δφdeに基づいた補正を行っていた。これに対して、本実施の形態6では、図20に示すように、磁石温度推定器6bの中の磁束推定器60aで、応力減磁も考慮して、直接、d軸磁束推定値Φdeを推定する。
なお、図20に示した磁石温度推定器6bの代わりに、以下に示す磁石温度推定器6cを用いてもよい。
図21は、本発明の実施の形態6に係る同期機制御装置における磁石温度推定器6cの一例を示す構成図である。図21に示すように、磁石温度推定器6cは、磁束推定器60a、第1の磁束マップ61、第2に磁束マップ64、および磁石温度換算部63aを備えて構成されている。そして、磁石温度換算部63aは、d−q軸上の電流指令Id*、Iq*で同期機1を駆動した時に、磁束推定器60aで推定されたd軸磁束推定値Φdeと、第1の磁束マップ61と、第2の磁束マップ64と、に基づいて、補正前の同期機1の永久磁石温度推定値Tmagを出力する。
なお、その他の構成に関する動作は、図13に関する部分を除いて先の実施の形態1と同じであり、同一符号を付して説明を省略する。ただし、上式(8)および上式(10)の出力は、Tmag0でなくTmagとなる。以上が、実施の形態6における同期機制御装置の説明である。
以上のように、実施の形態6によれば、永久磁石温度を推定する際、永久磁石にかかる応力によって発生する応力減磁分も考慮するので、磁石温度推定精度が向上する。
なお、上述した実施の形態2から6の位置検出器4に代えて、先の実施の形態1の図3で説明した位置検出器4aを用いて、回転子位置θを推定演算してもよい。
また、上述したそれぞれの実施の形態において、磁石温度推定器6b、6c、および磁石温度演算器50は、第1磁石温度推定器に相当し、磁石温度推定器6、6aは、第2磁石温度推定器に相当する。

Claims (14)

  1. 界磁として永久磁石を有する同期機と、
    前記永久磁石にかかる応力を推定する応力推定器と、
    前記応力推定器により推定された前記応力に基づいて電機子鎖交磁束の応力減磁分を演算し、前記同期機の回転子位置、前記同期機の駆動制御に用いられる電流指令と電圧指令、および前記電機子鎖交磁束の応力減磁分に基づいて、電機子鎖交磁束を推定し、推定した前記電機子鎖交磁束から前記電機子鎖交磁束の応力減磁分を考慮した補正後の永久磁石温度推定値を出力する第1磁石温度推定器と
    を備える同期機制御装置。
  2. 前記第1磁石温度推定器は、
    前記同期機の回転子位置、および前記同期機の駆動制御に用いられる電流指令と電圧指令に基づいて、電機子鎖交磁束を推定し、推定した前記電機子鎖交磁束から前記同期機の前記永久磁石の温度を推定する第2磁石温度推定器と、
    前記応力推定器により推定された前記永久磁石にかかる応力に基づいて電機子鎖交磁束の応力減磁分を演算し、前記電機子鎖交磁束の応力減磁分を温度補正量に換算し、前記第2磁石温度推定器により推定された前記永久磁石の温度に対して前記温度補正量による補正を施し、前記補正後の永久磁石温度推定値を出力する磁石温度補正器と
    を有する請求項1に記載の同期機制御装置。
  3. 前記第2磁石温度推定器は、
    前記永久磁石の温度が第1の温度の条件下における、前記電流指令と、前記電機子鎖交磁束との相関である第1の磁束マップと、
    前記永久磁石の温度が第1の温度から第2の温度まで変化した時の、前記電流指令と、前記電機子鎖交磁束の変化量との相関である磁束変化マップと
    をあらかじめ記憶しておき、前記第1の磁束マップおよび前記磁束変化マップを用いて、推定した前記電機子鎖交磁束に応じた前記永久磁石の温度を推定する
    請求項2に記載の同期機制御装置。
  4. 前記第2磁石温度推定器は、
    前記永久磁石の温度が第1の温度の条件下における、前記電流指令と、前記電機子鎖交磁束との相関である第1の磁束マップと、
    前記永久磁石の温度が第2の温度の条件下における、前記電流指令と、前記電機子鎖交磁束との相関である第2の磁束マップと
    をあらかじめ記憶しておき、前記第1の磁束マップおよび前記第2の磁束マップを用いて、推定した前記電機子鎖交磁束に応じた前記永久磁石の温度を推定する
    請求項2に記載の同期機制御装置。
  5. 前記応力推定器は、前記同期機の前記回転子位置に基づいて前記同期機の回転速度を算出し、算出した前記回転速度に基づいて前記永久磁石にかかる応力を推定する
    請求項2から4のいずれか1項に記載の同期機制御装置。
  6. 前記応力推定器は、
    前記同期機の前記回転子位置に基づいて前記同期機の回転速度を算出し、算出した前記回転速度に基づいて前記永久磁石にかかる応力を第1の応力として推定し、
    前記第2磁石温度推定器により推定された前記永久磁石の温度に基づいて永久磁石にかかる応力を第2の応力として推定し、
    前記電流指令により発生するトルクから前記永久磁石にかかる応力を第3の応力として推定し、
    前記第1の応力、前記第2の応力、前記第3の応力を合算することで前記永久磁石にかかる応力を推定する
    請求項2から4のいずれか1項に記載の同期機制御装置。
  7. 前記応力推定器は、前記磁石温度補正器により補正された前記補正後の永久磁石温度推定値に基づいて前記永久磁石にかかる応力を推定する
    請求項2から4のいずれか1項に記載の同期機制御装置。
  8. 前記磁石温度補正器により補正された前記補正後の永久磁石温度推定値に応じて前記電流指令を補正する電流指令補正器
    をさらに備える請求項2から7のいずれか1項に記載の同期機制御装置。
  9. 前記磁石温度補正器により補正された前記補正後の永久磁石温度推定値に応じて前記同期機に対するトルク指令を制限するトルク指令制限器と、
    前記トルク指令制限器によって制限された前記トルク指令に基づいて前記電流指令を生成する電流指令生成器と
    をさらに備える請求項2から8のいずれか1項に記載の同期機制御装置。
  10. 前記第1磁石温度推定器は、
    前記永久磁石の温度が第1の温度の条件下における、前記電流指令と、前記電機子鎖交磁束との相関である第1の磁束マップと、
    前記永久磁石の温度が第1の温度から第2の温度まで変化した時の、前記電流指令と、前記電機子鎖交磁束の変化量との相関である磁束変化マップと
    をあらかじめ記憶しておき、前記第1の磁束マップおよび前記磁束変化マップを用いて、推定した前記電機子鎖交磁束に応じた前記補正後の永久磁石温度推定値を出力する
    請求項1に記載の同期機制御装置。
  11. 前記第1磁石温度推定器は、
    前記永久磁石の温度が第1の温度の条件下における、前記電流指令と、前記電機子鎖交磁束との相関である第1の磁束マップと、
    前記永久磁石の温度が第2の温度の条件下における、前記電流指令と、前記電機子鎖交磁束との相関である第2の磁束マップと
    をあらかじめ記憶しておき、前記第1の磁束マップおよび前記第2の磁束マップを用いて、推定した前記電機子鎖交磁束に応じた前記補正後の永久磁石温度推定値を出力する
    請求項1に記載の同期機制御装置。
  12. 前記応力推定器は、前記同期機の前記回転子位置に基づいて前記同期機の回転速度を算出し、算出した前記回転速度に基づいて前記永久磁石にかかる応力を推定する
    請求項1、10、11のいずれか1項に記載の同期機制御装置。
  13. 界磁として永久磁石を有する同期機の永久磁石温度推定方法であって、
    前記永久磁石にかかる応力を推定する第1ステップと、
    前記第1ステップにより推定された前記応力に基づいて電機子鎖交磁束の応力減磁分を演算する第2ステップと、
    前記同期機の回転子位置、前記同期機の駆動制御に用いられる電流指令と電圧指令、および前記電機子鎖交磁束の応力減磁分に基づいて、電機子鎖交磁束を推定し、推定した前記電機子鎖交磁束から前記電機子鎖交磁束の応力減磁分を考慮した補正後の永久磁石温度推定値を出力する第3ステップと
    を有する同期機の永久磁石温度推定方法。
  14. 前記第3ステップは、前記同期機の回転子位置、および前記同期機の駆動制御に用いられる電流指令と電圧指令に基づいて、電機子鎖交磁束を推定する第4ステップと、
    前記第4ステップにより推定された前記電機子鎖交磁束から前記同期機の永久磁石温度を推定する第5ステップと、
    前記第2ステップにより演算された前記電機子鎖交磁束の応力減磁分を温度補正量に換算し、前記第5ステップにより推定された前記永久磁石温度に対して前記温度補正量による補正を施し、前記補正後の永久磁石温度推定値を出力する第6ステップと
    を有する請求項13に記載の同期機の永久磁石温度推定方法。
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