JP4668017B2 - ブラシレスdcモータの制御装置 - Google Patents

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Description

本発明は、ブラシレスDCモータの制御装置に関する。
従来、例えばブラシレスDCモータを制御するための電圧指令値にロータの回転には寄与しない程度の高調波電圧を印加し、この高調波電圧によって各相に流れる相電流から、ロータの位置を示すロータ角度つまり所定の基準回転位置からのロータの磁極の回転角度を検出すると共に、界磁方向に応じた磁極検出用電圧を電圧指令値に印加してロータの磁極の向きを判別する制御装置が知られている(例えば、特許文献1参照)。
この制御装置では、磁極検出用電圧によって界磁方向に磁界を発生させた場合に、発生した磁界の方向と界磁方向が同一方向である飽和状態と、発生した磁界の方向と界磁方向が反対方向である非飽和状態とにおいて各相に流れる相電流の状態が変化することに基づき、ロータの磁極の向きを判別するようになっている。
特開2005−151714号公報
ところで、上記従来技術の一例に係る制御装置では、磁極検出用電圧を電圧指令値に印加してロータの磁極の向きを判別する磁極判別の処理の実行時には、ロータの磁石温度が不変であることが前提であって、ロータの磁石温度が変化する状態は考慮していない。しかしながら、ロータの磁石温度が増大することに伴い、永久磁石の磁束密度は低下傾向に変化することから、ロータの磁石温度の変化を無視した状態では磁極判別処理の判別精度が低下して、磁極の向きが誤判別されてしまったり、判別自体が不能となってしまう虞がある。
また、ブラシレスDCモータのステータに通電される電流が過剰に増大すると、この過大な電流によって発生する磁界により、ロータの永久磁石の磁力が低下する減磁が発生する場合ある。ロータの永久磁石は磁石温度が増大することに伴い、減磁され易くなることから、減磁作用が所定の許容範囲以内となる上限電流は、ロータの磁石温度が増大することに伴い、低下傾向に変化することになる。このため、ロータの磁石温度の変化を無視した状態で磁極判別処理を実行すると、磁石温度が相対的に高くなった場合に磁極判別処理の実行時にステータに通電される電流が許容範囲以内の上限電流を超えてしまい、永久磁石が過剰に減磁されてしまう虞がある。
本発明は上記事情に鑑みてなされたもので、磁極判別処理の実行時にロータの永久磁石が過剰に減磁されてしまうことを防止しつつ、判別精度を向上させることが可能なブラシレスDCモータの制御装置を提供することを目的とする。
上記課題を解決して係る目的を達成するために、請求項1に記載の本発明のブラシレスDCモータの制御装置は、永久磁石式のロータ(例えば、実施の形態でのロータ2)を備えたブラシレスDCモータのステータ巻線(例えば、実施の形態での電機子3,4,5)に高調波電圧(例えば、実施の形態での検査用電圧(Hd^,Hq^))を印加し、該高周波電圧により発生したモータ電流から前記ロータの位置を検出する位置検出手段(例えば、実施の形態での角度検出部25)を備えるブラシレスDCモータの制御装置であって、前記ロータの界磁方向に応じた磁極検出用電圧を前記ステータ巻線に印加して前記ロータの磁極の向きを判別する磁極判別手段(例えば、実施の形態での角度検出部25)と、前記磁極判別手段による磁極判別処理の実行時に、前記ロータの磁石温度(例えば、実施の形態での磁石温度TM)が増大することに伴い、界磁軸電流を増大させる磁極判別電流変更手段(例えば、実施の形態での磁極判別電流指令部29、ステップS06)と、前記磁石温度が所定閾温度(例えば、実施の形態での第1閾温度T1)を超えた場合に、前記磁極判別手段による磁極判別処理の実行を禁止し、強制転流により前記ブラシレスDCモータを起動させる起動手段(例えば、実施の形態でのステップS02)とを備え、前記磁極判別電流変更手段は、前記磁石温度が前記所定閾温度よりも低い第2閾温度(例えば、実施の形態での第2閾温度T2)以上の場合に、前記界磁軸電流を増大させており、前記所定閾温度は、前記磁極判別処理の実行時に前記ステータ巻線に通電される電流により前記ロータの磁石が減磁される場合に対応する磁石温度であることを特徴としている。
上記構成のブラシレスDCモータの制御装置によれば、磁極判別電流変更手段は、ロータの磁石温度が増大することに伴い、界磁軸電流が増大するように設定することから、ロータの磁石温度が増大することに伴い、永久磁石の磁束密度が低下傾向に変化した場合であっても、磁極判別処理の判別精度が低下してしまうことを防止することができる。
上記構成のブラシレスDCモータの制御装置によれば、起動手段は、磁石温度が所定閾温度を超えた場合には、強制転流つまりロータの磁極位置には関わらずにステータ巻線への通電を順次転流させることによりブラシレスDCモータを起動することから、ステータに対する磁極判別用の界磁電流の通電を不要とし、ステータに通電される電流が相対的に高温状態のブラシレスDCモータに対する所定の許容範囲以内の上限電流を超えてしまうことで永久磁石が過剰に減磁されてしまうことを防止しつつ、ブラシレスDCモータを的確に起動することができる。
さらに、請求項に記載の本発明のブラシレスDCモータの制御装置では、前記ロータは車両の駆動軸および内燃機関のクランク軸に連結され、前記ブラシレスDCモータは車両を走行駆動可能かつ前記内燃機関を始動可能であり、前記磁極判別電流変更手段は、前記磁石温度が所定閾温度(例えば、実施の形態での第1閾温度T1)未満の場合に、前記ブラシレスDCモータを起動して該ブラシレスDCモータにより前記内燃機関を始動させる際の前記磁極判別手段による磁極判別処理の実行時に、前記ロータの磁石温度が増大することに伴い、界磁軸電流が増大するように設定するものであことを特徴としている。
上記構成のブラシレスDCモータの制御装置によれば、磁極判別電流変更手段は、ロータの磁石温度が増大することに伴い、界磁軸電流が増大するように設定することから、ロータの磁石温度が増大することに伴い、永久磁石の磁束密度が低下傾向に変化した場合であっても、磁極判別処理の判別精度が低下してしまうことを防止することができる。
さらに、起動手段は、磁石温度が所定閾温度を超えた場合には、強制転流つまりロータの磁極位置には関わらずにステータ巻線への通電を順次転流させることによりブラシレスDCモータを起動することから、ステータに対する磁極判別用の界磁電流の通電を不要とし、ステータに通電される電流が相対的に高温状態のブラシレスDCモータに対する所定の許容範囲以内の上限電流を超えてしまうことで永久磁石が過剰に減磁されてしまうことを防止しつつ、内燃機関を的確に始動させることができる。
さらに、請求項に記載の本発明のブラシレスDCモータの制御装置では前記磁石温度が所定閾温度(例えば、実施の形態での第1閾温度T1)を超えた場合に、車両に搭載された始動装置により前記内燃機関を始動させる始動手段(例えば、実施の形態でのステップS02)を備えることを特徴としている。
上記構成のブラシレスDCモータの制御装置によれば、磁極判別電流変更手段は、ロータの磁石温度が増大することに伴い、界磁軸電流が増大するように設定することから、ロータの磁石温度が増大することに伴い、永久磁石の磁束密度が低下傾向に変化した場合であっても、磁極判別処理の判別精度が低下してしまうことを防止することができる。
さらに始動手段は、磁石温度が所定閾温度を超えた場合には、ブラシレスDCモータにより内燃機関を始動させずに、車両に搭載された他の始動装置により内燃機関を始動させることから、ブラシレスDCモータを起動する際のステータに対する磁極判別用の界磁電流の通電を不要とし、ステータに通電される電流が相対的に高温状態のブラシレスDCモータに対する所定の許容範囲以内の上限電流を超えてしまうことで永久磁石が過剰に減磁されてしまうことを防止しつつ、内燃機関を的確に始動させることができる。
請求項1に記載の本発明のブラシレスDCモータの制御装置によれば、ロータの磁石温度が増大することに伴い、永久磁石の磁束密度が低下傾向に変化した場合であっても、磁極判別処理の判別精度が低下してしまうことを防止することができる。
さらにステータに対する磁極判別用の界磁電流の通電を不要とし、ステータに通電される電流が相対的に高温状態のブラシレスDCモータに対する所定の許容範囲以内の上限電流を超えてしまうことで永久磁石が過剰に減磁されてしまうことを防止しつつ、ブラシレスDCモータを的確に起動することができる。
さらに、請求項および請求項に記載の本発明のブラシレスDCモータの制御装置によれば、ブラシレスDCモータを起動する際のステータに対する磁極判別用の界磁電流の通電を不要とし、ステータに通電される電流が相対的に高温状態のブラシレスDCモータに対する所定の許容範囲以内の上限電流を超えてしまうことで永久磁石が過剰に減磁されてしまうことを防止しつつ、内燃機関を的確に始動させることができる。
以下、本発明のブラシレスDCモータの制御装置の実施形態について添付図面を参照しながら説明する。
(ロータ位置検出の原理)
先ず、以下に、ロータ位置検出の原理について説明する。なお、以下の説明では、数式等において文字(例えば、θ)の上にハット記号(^)を付与したものは、文字の右横にハット記号(^)を付与したもの(θ^)と同等である。
図1(a)に示すように、ブラシレスDCモータ1に突極型のロータ2を備えた場合、ロータ2とU相,V相,W相の各電機子3、4、5間のギャップの磁気抵抗は周期的に変化し、この変化はロータ2が1回転する間に2回、すなわちロータ2が半回転する間に1周期分変化する。そして、ギャップの磁気抵抗は、ロータ2が図中Aの位置となったときに最大となり、ロータ2が図中Bの位置となったときに最小となる。
そして、ギャップの磁気抵抗の1周期あたりの平均値が「0.5」であると仮定すると、U相,V相,W相の各相における磁気抵抗Ru、Rv、Rwは、以下の(1)式〜(3)式で示される。
Figure 0004668017
Figure 0004668017
Figure 0004668017
ここで、U相からみたギャップの磁気抵抗Rguは、以下の(4)式により求めることができる。
Figure 0004668017
このため、U相が単位巻線であると仮定すると、U相の自己インダクタンスLuは以下の(5)式により求めることができる。
Figure 0004668017
また、U相,W相間の相互インダクタンスMuwと、U相,V相間の相互インダクタンスMuvは、磁気回路の構成より、それぞれ以下の(6)式、(7)式により求めることができる。
Figure 0004668017
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V相,W相についても、同様にして自己インダクタンスと相互インダクタンスを求めることができ、これらにより、突極性を有するブラシレスDCモータ1の電圧方程式は、各相の自己インダクタンスの直流分をlとし、このlの変動分をΔl、各相間の相互インダクタンスの直流分をmとすると、以下の(8)式で表すことができる。
Figure 0004668017
ここで、Vu,Vv,VwはそれぞれU相,V相,W相の電機子に印加される電圧、Iu,Iv,IwはそれぞれU相,V相,W相の各電機子3、4、5に流れる電流、rはU相,V相,W相の各電機子3、4、5の電気抵抗、ωはロータ2の電気角速度、Keは誘起電圧定数である。
更に、電気角速度ωがほぼ「0」で、誘起電圧やロータ2の角速度変化による影響が小さく、抵抗rによる電圧降下が無視できる程度である場合には、上記(8)式は、以下の(9)式により近似することができる。
Figure 0004668017
ここで、上記(9)式を相間電流、相関電圧による式に変形すると、以下の(10)式が得られる。
Figure 0004668017
また、上記(10)式のインダクタンス行列は正則であるので、上記(10)式を以下の(11)式、(12)式の形に変形することができる。
Figure 0004668017
Figure 0004668017
また、ブラシレスDCモータ1をいわゆるdq座標系で扱う場合は、ロータ角度(つまり所定の基準回転位置からのロータ2の磁極の回転角度)の推定値(θ^)を用いて、以下の(13)式、(14)式で表される3相/dq変換を上記(11)式に施すと、ロータ角度の推定値(θ^)と実際値(θ)が等しい(θ^=θ)場合、以下の(15)式が得られる。なお、下記(15)式において、各インダクタンスLd,Lqは、以下の(16)式、(17)式で記述される。
Figure 0004668017
Figure 0004668017
Figure 0004668017
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Figure 0004668017
ここで、上記(11)式におけるロータ角度(θ)が、ロータ角度の実際値から(θe)だけずれた推定値である場合には、この推定値を用いて3相/dq変換されたId^,Iq^,Vd^,Vq^と、ロータ角度の実際値を用いて変換されたId,Iq,Vd,Vqとの間に、以下の(18)式、(19)式の関係が成り立つ。
Figure 0004668017
Figure 0004668017
但し、θeはロータ角度の実際値と推定値の位相差とする。従って、以下の(20)式の関係式が導かれる。
Figure 0004668017
そして、上記(8)式の場合と同様に、電気角速度ωがほぼ「0」で、誘起電圧およびロータ2の角度変化による影響が小さく、抵抗rによる電圧降下も無視できる程度である場合は、上記(20)式は、以下の(21)式で近似することができる。
Figure 0004668017
また、上記(21)式における微分期間(dt)を制御サイクルの長さ(Δt)とし、適宜の制御サイクルにおいて、ブラシレスDCモータ1のロータ角度の推定値(θ^)に基づいて3相/dq変換処理を行ったときの、この制御サイクルにおけるd軸電圧とq軸電圧を{Vd(1),Vq(1)}とし、d軸実電流とq軸実電流の変化量を{ΔId(1),ΔIq(1)}とすると、上記(21)式は以下の(22)式の形で表される。
Figure 0004668017
同様に、次の制御サイクルにおけるd軸電圧とq軸電圧を{Vd(2),Vq(2)}とし、d軸実電流とq軸実電流の変化量を{ΔId(2),ΔIq(2)}とすると、上記(21)式は以下の(23)式の形で表される。
Figure 0004668017
そして、所定周期中にn個の制御サイクルが含まれるものとし、これに応じて基本電圧列データが以下の(24)式に示すようにn個のデータにより設定され、変調用係数をs(k)(k=1,2,…,所定周期の時系列番号)とすると、検査用電圧は以下の(25)式の形で表される。
Figure 0004668017
Figure 0004668017
但し、Hdq^(x)は検査用電圧の重畳を開始してからx番目の制御サイクルにおける検査用電圧の出力レベル、iは検査用電圧の1周期における制御サイクルの時系列番号(i=1,2,…,n)、kは検査用電圧の周期の時系列番号(k=1,2,…)、Hd^(x)は検査用電圧の重畳を開始してからx番目の制御サイクルにおける検査用電圧の出力レベルのd軸成分、Hq^(x)は検査用電圧の重畳を開始してからx番目の制御サイクルにおける検査用電圧の出力レベルのq軸成分とした。
一方、ブラシレスDCモータ1に対する通電制御では、d軸指令電流(Id_c)とd軸実電流(Id_s)との偏差を小さくするようにして、d軸フィードバック電圧(Vd_fb)を、例えば以下の(26)式により算出し、同様に、q軸指令電圧(Iq_c)とq軸実電流(Iq_s)との偏差を小さくするようにして、q軸フィードバック電圧(Vq_fb)を以下の(27)式により算出する。
Figure 0004668017
Figure 0004668017
この場合、制御サイクル間における検査用電圧(Hdq)の差分電圧を以下の(28)式のように設定し、以下の(29)式、(30)式の演算により次の制御サイクルのd軸電圧とq軸電圧{Vd^(2),Vq^(2)}を設定することによって、前回の制御サイクルにおけるd軸電圧に対する今回の制御サイクルにおけるd軸フィードバック電圧の差分電圧(dVd_fb)及び前回の制御サイクルにおけるq軸電圧に対する今回の制御サイクルにおけるq軸電圧の差分電圧(dVq_fb)を成分とする電圧ベクトルの方向を、今回の制御サイクルにおける前回の制御サイクルからのd軸検査用電圧の差分電圧(k1)及びq軸検査用電圧の差分電圧(k2)を成分とする電圧ベクトルの方向に制限することができる。
但し、Vd_oldは前回の制御サイクルにおけるd軸電圧、Vq_oldは前回の制御サイクルにおけるq軸電圧とした。
Figure 0004668017
Figure 0004668017
Figure 0004668017
このため、上記(22)式と(23)式を辺々減算すると、以下の(31)式が得られる。
Figure 0004668017
そして、上記(31)式を変形して以下の(32)式が得られ、所定周期中のn個の制御サイクルのそれぞれに対する(32)式をまとめると、以下の(33)式が得られる。
Figure 0004668017
Figure 0004668017
上記(33)式において、n>1であるとき、行列Cは、ゼロベクトルでない独立な電圧ベクトル{dV(i),dV(j)、1≦i≦n,1≦j≦n,i≠j}が2個以上あれば列フルランクであり、ブラシレスDCモータ1のロータ角度の実際値(θ)と推定値(θ^)との位相差(θe=θ−θ^)の2倍角の正弦値に応じた正弦参照値(Vs^)と、位相差(θe)の2倍角の余弦値に応じた余弦参照値(Vc^)の最小2乗推定値が以下の(34)式により算出できる。
Figure 0004668017
そして、正弦余弦値(Vs^)と余弦参照値(Vc^)とから、例えば以下の(35)式により位相差(θe)を算出して、ロータ角度の実際値(θ=θ^+θe)を算出することができる。
Figure 0004668017
ここで、行列Cは基本電圧列パターンの関数であり、この成分が一定となるため、上記(34)式における行列D^の成分を予め算出しておくことができる。また、上記(34)式における係数s’(k)は、以下の(36)式のように表されるが、√{(dHd(i))2+(dHq(i))2}は、基本電圧列パターンのデータと変調用係数とにより算出することができる。
Figure 0004668017
このため、所定周期内での各制御サイクルにおける、検出電流の変化量から算出される検出電流の2階差分(ddIdq^)と、d軸フィードバック電圧及びq軸フィードバック電圧に基づく変調用係数{s(k)}の補正値{s’(k)}と、予め算出された行列Dの成分とを用いた簡易な演算処理により、ブラシレスDCモータ1のロータ角度を算出することができる。
また、このようにd軸フィードバック電圧とq軸フィードバック電圧を制限することにより、検査用電圧を重畳する際に、d軸電流及びq軸電流のフィードバック制御に対する干渉が生じることを抑制することができる。このため、例えば干渉を抑制するために電流フィードバック系にローパスフィルタを適用する処理が不要となり、ローパスフィルタを適用した場合にロータ角度検出の応答性が悪化することを防止することができる。
(装置構成)
次に、ブラシレスDCモータ1を制御するブラシレスDCモータの制御装置10について説明する。
この実施形態によるブラシレスDCモータの制御装置10(以下、単に、モータ制御装置10と呼ぶ)は、例えばハイブリッド車両に内燃機関と共に駆動源として搭載されるブラシレスDCモータ1(以下、単に、モータ1と呼ぶ)を駆動制御するものであって、このモータ1は、内燃機関と直列に直結され、界磁に利用する永久磁石を有するロータ2と、このロータ2を回転させる回転磁界を発生する3相(U相,V相,W相)の各電機子3,4,5とを備えて構成されている。
図2に示したモータ制御装置10は、図1に示した突極型のモータ1の電機子3、4、5に流れる電流をフィードバック制御するフィードバック回路であって、モータ1をロータ2の界磁極の磁束方向であるq軸上にあるq軸電機子と、q軸と直交するd軸上にあるd軸電機子とを有するdq座標系による等価回路に変換して扱う。
これにより、モータ制御装置10は、制御部11から与えられるd軸指令電流(Id_c)とq軸指令電流(Iq_c)とに応じて、d軸電機子に流れる電流(以下、d軸電流と呼ぶ)と、q軸電機子に流れる電流(以下、q軸電流と呼ぶ)とをフィードバック制御する。
具体的には、モータ制御装置10は、d軸電機子への印加電圧(以下、d軸電圧(Vd)と呼ぶ)とq軸電機子への印加電圧(以下、q軸電圧(Vq)と呼ぶ)とを、モータ1のU相,V相,W相の3相の電機子3,4,5に印加する駆動電圧の指令電圧(Vu_c,Vv_c,Vw_c)に変換するdq−3相変換部20と、検査用電圧(Hd^,Hq^)を生成する検査用電圧重畳部21と、指令電圧(Vu_c,Vv_c,Vw_c)に応じた駆動電圧(Vu,Vv,Vw)がモータ1のU相,V相,W相の各相の電機子3,4,5にそれぞれ印加されるように複数のスイッチング素子をブリッジ接続したインバータ回路により構成されたパワードライブユニット(PDU)22とを備える。
更に、モータ制御装置10は、モータ1のU相の電機子3に流れる電流を検出するU相電流センサ23と、モータ1のW相の電機子5に流れる電流を検出するW相電流センサ24と、U相電流センサ23の検出電流値(Iu_s)とW相電流センサ24の検出電流値(Iw_s)とに応じてd軸電流の検出値であるd軸実電流(Id_s)とq軸電流の検出値であるq軸実電流(Iq_s)とを算出する3相−dq変換部26と、モータ1のロータ角度(θ)を検出する角度検出部25と、d軸とq軸との間で干渉し合う速度起電力成分を相殺してd軸及びq軸を独立して制御するために、d軸及びq軸に対する各干渉成分を相殺するd軸補償項及びq軸補償項を算出する非干渉演算部27と、ロータ2に具備される永久磁石の温度(磁石温度)TMを検出するモータ温度検出部28と、磁極判別電流指令部29とを備える。
さらに、磁極判別電流指令部29は、例えば図3に示すように、駆動方式選定部41と、磁極判別電流指令値演算部42とを備えて構成されている。
モータ制御装置10は、d軸指令電流(Id_c)からd軸実電流(Id_s)を第1演算器31で減算し、この減算結果に第1のPI演算部32でPI(比例積分)処理を施し、第1加算器33でd軸補償項を加算して、d軸指令電流(Id_c)とd軸実電流(Id_s)の偏差に応じたd軸フィードバック電圧(Vd_fb)を生成する。また、モータ制御装置10は、同様にして、q軸指令電流(Iq_c)からq軸実電流(Iq_s)を第2演算器34で減算し、この減算結果に第2のPI演算部35でPI処理を施し、第2加算器36でq軸補償項を加算して、q軸指令電流(Iq_c)とq軸実電流(Iq_s)との偏差に応じたq軸フィードバック電圧(Vq_fb)を生成する。
そして、モータ制御装置10は、d軸フィードバック電圧(Vd_fb)とq軸フィードバック電圧(Vq_fb)とに、第3加算器37及び第4加算器38において後述する検査用電圧(Hd^)及び検査用電圧(Hq^)を加算し、d軸電圧(Vd)及びq軸電圧(Vq)としてdq−3相変換部20に入力する。これにより、バッテリを直流電源とするパワードライブユニット22を介して、d軸指令電流(Id_c)とd軸実電流(Id_s)との偏差、及び、q軸指令電流(Iq_c)とq軸実電流(Iq_s)との偏差を小さくする3相電圧(Vu,Vv,Vw)がモータ1の電機子3,4,5に印加されて、モータ1の電機子3,4,5に流れる各電流がフィードバック制御される。
ここで、dq−3相変換部20においてd軸電圧(Vd)とq軸電圧(Vq)を3相の電圧指令(Vu_c,Vv_c,Vw_c)に変換する際には、モータ1のロータ角度(θ)が必要となる。また、3相−dq変換部26においてU相電流センサ23の検出電流値(Iu_s)とW相電流センサ24の検出電流値(Iw_s)をd軸実電流(Id_s)とq軸実電流(Iq_s)に変換する際にも、モータ1のロータ角度(θ)が必要となる。
そこで、モータ制御装置10は、レゾルバ等の位置検出センサを用いずに、第3加算器37において検査用電圧重畳部21によりd軸電圧(Vd_fb)に検査用電圧(Hd^)を重畳し、また、第4加算器38において検査用電圧重畳部21によりq軸電圧(Vq_fb)に検査用電圧(Hq^)を重畳したときに、モータ1のロータ角度の推定値(θ^)に基づいて3相−dq変換部26により算出されたd軸実電流(Id_s^)及びq軸実電流(Iq_s^)を用いて、モータ1のロータ角度(θ)を検出する。従って、上述のように、dq−3相変換部20へは、d軸電圧(Vd_fb)に検査用電圧(Hd^)が重畳されたd軸電圧(Vd)と、q軸電圧(Vq_fb)に検査用電圧(Hq^)が重畳されたq軸電圧(Vq)とが入力される。
(ロータ角度の検出処理)
次に、モータ制御装置10におけるロータ角度(θ)の検出処理の詳細について説明する。なお、モータ1のロータ角度の推定値(θ^)の初期値は「0」とする。
まず、検査用電圧重畳部21は、図4(a)に示したように、モータ制御装置10の制御サイクル(Δt)のn周期分を1周期とする検査用電圧Hdq^(Hd^,Hq^)を、以下の(37)式により生成する。
Figure 0004668017
但し、Hdq^(x)は検査用電圧の重畳を開始してからx番目の制御サイクルにおける検査用電圧の出力レベル、iは検査用電圧の1周期における制御サイクルの時系列番号(i=1,2,…,n)、kは検査用電圧の周期の時系列番号(k=1,2,…)、Hd^(x)は検査用電圧の重畳を開始してからx番目の制御サイクルにおける検査用電圧の出力レベルのd軸成分、Hq^(x)は検査用電圧の重畳を開始してからx番目の制御サイクルにおける検査用電圧の出力レベルのq軸成分、s(k)は時系列番号kの周期における変調信号(s)の値(変調用係数に相当)、dhdq^(x)は検査用電圧の重畳を開始してからx番目の制御サイクルにおける基本電圧列データ、dhd^(x)は検査用電圧の重畳を開始してからx番目の制御サイクルにおける基本電圧列データのd軸成分、dhq^(x)は検査用電圧の重畳を開始してからx番目の制御サイクルにおける基本電圧列データのq軸成分とする。
なお、基本電圧列データ[dhdq^={dhdq^(1),dhdq^(2),…,dhdq^(n)}]のデータは、予めメモリ(図示しない)に記憶されている。また、変調信号(s)のデータ{s(1),s(2),…}は、予めメモリに記憶してもよく、信号処理でよく使用されるM系列等の手法を用いて生成してもよい。更に、基本電圧列データ[dhdq^={dhdq^(1),dhdq^(2),…,dhdq^(n)}]は、以下の(38)式に示したように、1周期における平均が0となるように設定されている。
Figure 0004668017
この場合、上記(37)式に示したように、変調信号(s)は検査用電圧(Hdq^)の1周期毎に変更されるため、検査用電圧(Hdq^)の1周期(T)における電圧レベルの平均は「0」となる。そして、これにより、d軸電圧(Vd)及びq軸電圧(Vq)のレベルが次第に高くなって、モータ1の電機子電流のフィードバック制御系に影響を及ぼすことが抑制される。
そして、角度検出部25は、検査用電圧重畳部21により検査用電圧(Hd^,Hq^)が重畳されたときに、各制御サイクル{t(1)〜t(n)}において、モータ1のロータ角度の推定値(θ^)に基づいて3相−dq変換部26により算出されるd軸実電流及びq軸実電流を用いてモータ1のロータ角度を検出する。
ここで、検査用電圧(Hd^,Hq^)のk番目の制御サイクルT(k)の制御サイクルt(i)におけるd軸実電流の2階差分とq軸実電流の2階差分を、以下の(39)式に示したようにそれぞれ「ddId^(i+k・n)」,「ddIq^(i+k・n)」とする。
Figure 0004668017
また、検査用電圧(Hd^,Hq^)のk番目の周期T(k)の制御サイクルt(i)における変化量{dHd^(i+k・n),dHq(i+k・n)}は、上記(37)式により、以下の(40)式、(41)式で表される。
Figure 0004668017
Figure 0004668017
そして、第3加算器37と第4加算器38は、第1演算器31及び第1のPI演算部35により上記(26)式によって算出されるd軸フィードバック電圧(Vd_fb)の前回の制御サイクルにおけるd軸電圧(Vd)に対する差分電圧(dVd_fb)と、第2演算器34及び第2のPI演算部35により上記(27)式によって算出されるq軸フィードバック電圧(Vq_fb)の前回の制御サイクルにおけるq軸電圧(Vq)に対する差分電圧(Vq_fb)とを成分とする電圧ベクトルの方向を、検査用電圧の差分電圧{dHd^(i+k・n),dHq^(i+k・n)}を成分とする電圧ベクトルの方向に制限するため、以下の(42)式、(43)式の演算により算出したd軸電圧(Vd)とq軸電圧(Vq)をdq−3相変換部20に出力する。
但し、k1はdHd^(i+k・n)、k2はdHd^(i+k・n)1、Vd_oldは前回の制御サイクルにおけるd軸電圧、Vq_oldは前回の制御サイクルにおけるq軸電圧とする。
Figure 0004668017
Figure 0004668017
このため、前述の(32)式における行列c^(1)に対応する行列c^(i+k・n)は、以下の(44)式により表される。
Figure 0004668017
そして、図4(a)のTs{k−1番目の周期T(k−1)の制御サイクルt(i)〜k番目の周期T(k)の制御サイクルt(i)}において、前述の(32)式をまとめると、以下の(45)式の形で表すことができ、更に(45)式を変形して以下の(46)式、(47)式を得ることができる。
Figure 0004668017
Figure 0004668017
Figure 0004668017
ここで、図4(b)は、制御サイクルt(i−2)〜t(i+2)における検査用電圧(Hdq)と検出電流(Idq)の推移を示した時系列グラフである。制御サイクル期間t(i)における検出電流の変化量{dIdq^(i)}と制御サイクル期間t(i+1)における検出電流の変化量{dIdq^(i+1)}から、上記(39)式における検出電流の2階差分{ddIdq^(i)}を算出することができる。
一方、基本電圧列データ(dhdq^)に応じて算出される上記(44)式の行列c^(i)の成分は一定となる。従って、上記(46)式における行列C^の成分も一定となり、行列Cに基づいて算出される上記(47)式の行列D^の成分も一定となる。そのため、上記(47)式の行列D^の成分は、基本電圧列データ(dhdq^)により予め算出することができる。そこで、モータ制御装置10のメモリには、このようにして算出された行列D^の成分のデータが予め記憶されており、角度検出部25は、メモリに記憶された行列D^の成分のデータを用いて上記(47)式の演算を実行する。
この場合、角度検出部25は、行列D^の成分と各制御期間における検出電流の2階差分(ddIdq^)及び変調信号(s)を上記(31)式により補正したs’との簡易な演算によりロータ角度の実際値(θ)と推定値(θ^)との位相差(θe=θ−θ^)の2倍角に応じた正弦参照値(Vs^=L1sin2θe)と余弦参照値(Vc^=L1cos2θe)を算出することができる。そのため、正弦参照値(Vs^)と余弦参照値(Vc^)の算出時間を短縮することができる。
また、このように、d軸フィードバック電圧(Vd_fb)とq軸フィードバック電圧(Vq_fb)を成分とする電圧の方向を、検査用電圧の変化量{dHd^(i+k・n),dHq^(i+k・n)}を成分とする電圧ベクトル方向に制限した場合、検査用電圧の重畳による電流フィードバック系への干渉を少なくするために、電流フィードバックにローパスフィルタを施す必要がなくなる。そのため、電流フィードバック系の応答性を良好に維持することができる。
そして、角度検出部25は、以下の(48)式によりモータ1のロータ角度の実際値(θ)と推定値(θ^)との位相差(θe)を算出して、ロータ角度(θ=θ^+θe)を検出する。
Figure 0004668017
また、以下の(49)式又は(50)式によるオブザーバの追従演算によって、ロータ角度の推定値(θ^)を、推定誤差(θe)が0に収束するように修正して、ロータ角度を検出することもできる。
Figure 0004668017
Figure 0004668017
また、上記(49)式、(50)式のoffsetの値を変更することによって、検出されるロータ角度の位相を強制的にずらして、検出誤差を減少させることができる。
なお、上記(50)式における√(Vs^2+Vc^2)の演算に要する時間が増大ずる場合には、以下の(51)式により近似してもよい。
Figure 0004668017
また、本実施の形態では、検査用電圧重畳部21は、上記(37)式により、前回の制御サイクルにおける検査用電圧{Hdq(i−1+k・n)}に、基本電圧列データ{dhdq^(i−1)}と変調信号{s(k)}との乗算値を加算して、今回の制御サイクルにおける検査用電圧{Hdq^(i+k・n)}を算出したが、予め変調信号{s(k}の値が設定されている場合には、基本電圧列データも既知であるので、検査用電圧(Hdq^)を予め算出することができる。
この場合は、以下の(52)式、(53)式により、d軸電圧(Vd)とq軸電圧(Vq)を算出することができる。
Figure 0004668017
Figure 0004668017
そして、以下の(54)式、(55)式により、前回の制御サイクルに対する今回の制御サイクルのd軸電圧の差分電圧(Vd(i+k・n)−Vd_old)とq軸電圧の差分電圧(Vq(i+k・n)−Vq_old)を成分とする電圧ベクトルの方向を、前回の制御サイクルに対する今回の検査用電圧の差分電圧(k1,k2)の方向に制限することができる。
Figure 0004668017
Figure 0004668017
但し、Vd_oldは前回の制御サイクルにおけるd軸電圧、Vq_oldは前回の制御サイクルにおけるq軸電圧とする。そのため、この場合は、第3加算器37と第4加算器38は、d軸電圧(Vd)とq軸電圧(Vq)を、以下の(56)式により算出して、電流フィードバックの結果を検査用電圧の差分電圧(k1,k2)の方向に制限することができる。
Figure 0004668017
(磁極判別処理)
さらに、ロータ2の回転に伴うインダクタンス変動は、ロータ角度(θ)の1/2周期なので、上述の処理により算出されるロータ角度(θ)の演算値は、電気角0〜180[度]、または電気角180〜360[度]の両領域で同値となる。従って、モータ1の始動時に初期のロータ角度(θ)を電気角0〜360[度]の範囲で検出するには、ロータ2の磁極の向きを判別する磁極判別処理を実行し、ロータ角度(θ)の演算値が、電気角0〜180[度]、または電気角180〜360[度]のどちらの領域での値かを判定する必要がある。
例えば、ある位置にロータ2を固定して、この時にq軸電機子に電流を流してq軸方向(ロータ2の磁石の磁束方向)に磁界を生じさせると、以下に示す2通りの事象の発生が考えられる。
(1)「電流により生じた磁界の向き=磁石により生じる磁界の向き」の場合、磁界が飽和状態となるため、U相,V相,W相の各相の自己インダクタンス直流分lの変動分Δlが大きくなる。
(2)「電流により生じた磁界の向き≠磁石により生じる磁界の向き」の場合、磁界が非飽和状態となるため、U相,V相,W相の各相の自己インダクタンス直流分lの変動分Δlが小さくなる。
この現象は、ある位置にロータ2を固定して、この時にq軸電機子に正方向と負方向の電流を流してq軸方向(ロータ2の磁石の磁束方向)に磁界を生じさせる場合にも同様であって、
(1)「正方向電流により生じた磁界の向き=磁石により生じる磁界の向き」の場合、磁界が飽和状態となるため、U相,V相,W相の各相の自己インダクタンス直流分lの変動分Δlが大きくなる。
(2)「負方向電流により生じた磁界の向き≠磁石により生じる磁界の向き」の場合、磁界が非飽和状態となるため、U相,V相,W相の各相の自己インダクタンス直流分lの変動分Δlが小さくなる。
従って、U相,V相,W相の各相の自己インダクタンス直流分lの変動分Δlの値により変化する前述の(34)式で算出される余弦参照値(Vc^)を、正方向電流に基づくΔlと負方向電流に基づくΔlのそれぞれから算出して大きさを比較することで、ロータ2が電気角0〜180[度]、または電気角180〜360[度]のどちらの領域に存在するかを判断することができる。
具体的には、例えば正方向電流に基づくΔl値により算出される余弦参照値(Vc^)をVc1、負方向電流に基づくΔl値により算出される余弦参照値(Vc^)をVc2とすると、磁極判別計算結果「A=Vc1−Vc2」と定義した場合、磁極判別計算結果Aの正負により、ロータ2が電気角0〜180[度]、または電気角180〜360[度]のどちらの領域に存在するかを判断することができる。例えば図5に示すように、実際のロータ角度(θ)=75[度]であっても、実際のロータ角度(θ)=255[度]であっても、両方ともロータ角度(θ)の演算値は75[度]と算出されるので、磁極判別計算結果Aの正負により、例えば磁極判別計算結果Aが負の場合はロータ角度(θ)=75[度]、例えば磁極判別計算結果Aが正の場合はロータ角度(θ)=255[度]と判定する。
磁極判別電流指令部29は、上述した磁極判別処理においてq軸方向(ロータ2の磁石の磁束方向)に磁界を生じさせるためにq軸電機子に通電される電流に対する磁極判別電流指令をモータ温度検出部28により検出される磁石温度TMに応じて設定すると共に、イグニッションスイッチがオン状態に設定された車両の始動時あるいは車両のアイドル停止状態からの復帰時等での内燃機関の始動時において、磁極判別処理の実行の要否および内燃機関の駆動方法を磁石温度TMに応じて設定する。
例えば、磁極判別電流指令部29の駆動方式選定部41は、磁石温度TMが所定の第1閾温度T1以上となる高温状態の場合には、イグニッションスイッチがオン状態に設定された車両の始動時あるいは車両のアイドル停止状態からの復帰時等での内燃機関の始動時において、磁極判別処理の実行を禁止すると共に、強制転流つまりロータ2の磁極位置には関わらずに各電機子3、4、5への通電を順次転流させることによりモータ1を起動して、あるいは、車両に搭載された他の始動装置9により、内燃機関を始動させることを指示するスタータ駆動指令を制御部11に出力する。
一方、磁石温度TMが所定の第1閾温度T1未満となる場合には、駆動方式選定部41は、磁極判別処理の実行を指示すると共に、検知されたロータ2の磁極の向きおよびロータ角度(θ)に応じてモータ1を駆動するための駆動指令を磁極判別電流指令値演算部42に出力する。
磁極判別電流指令値演算部42は、磁極判別処理においてq軸電機子に通電される電流に対する磁極判別電流指令を磁石温度TMに応じて設定しており、例えば磁石温度TMが所定の第1閾温度T1よりも低い所定の第2閾温度T2以上となる場合には、この磁石温度TMの増大に伴い、界磁軸電流が増大するように設定するために、q軸指令電流(Iq_c)に加算される所定の補正電流指令値I1を設定し、この補正電流指令値I1を磁極判別電流指令として第2演算器34に出力する。これにより、第2演算器34では、q軸指令電流Iq_cに補正電流指令値I1が加算された値(Iq_c+I1)が、新たにq軸指令電流Iq_cとして設定される。
一方、磁石温度TMが所定の第1閾温度T1よりも低い所定の第2閾温度T2未満となる場合には、磁極判別電流指令値演算部42は、補正電流指令値I1をゼロとし、第2演算器34において、制御部11から入力されるq軸指令電流Iq_cが補正されないように設定する。
なお、イグニッションスイッチがオン状態に設定された車両の始動時あるいは車両のアイドル停止状態からの復帰時等でのモータ1の始動時に実行される一連の処理では、先ず、初期のロータ角度(θ)が角度検出部25により検出され、ロータ2の初期位置候補として設定される。
次に、設定された初期位置候補に応じた界磁軸方向の一方および他方に向かう各方向に沿って順次磁界を発生させるための界磁軸電圧(つまり検査用電圧(Hq^))が検査用電圧重畳部21によりq軸電機子に印加(つまりq軸フィードバック電圧(Vq_fb)に加算)される。
そして、角度検出部25によりロータ角度(θ)が検出されると共に、上記数式(34)に基づいて算出される正方向電流に基づくΔl値により算出される余弦参照値(Vc^)=Vc1、および、負方向電流に基づくΔl値により算出される余弦参照値(Vc^)=Vc2に基づき、磁極判別計算結果「A=Vc1−Vc2」が算出され、この磁極判別計算結果Aの正負により、ロータ2の磁極の向きが、電気角0〜180[度]または電気角180〜360[度]の何れの領域での値に対応するかが検知される。
そして、検知された磁極の向きおよびこの時点で角度検出部25により検出されるロータ角度(θ)に応じてモータ1を駆動するための駆動指令が、d軸指令電流(Id_c)およびq軸指令電流(Iq_c)として制御部11から出力される。
上述した実施形態によるモータ制御装置10は上記構成を備えており、次に、このモータ制御装置10の動作、特に、イグニッションスイッチがオン状態に設定された車両の始動時あるいは車両のアイドル停止状態からの復帰時等において実行される内燃機関始動処理について添付図面を参照しながら説明する。
先ず、図6に示すステップS01においては、磁石温度TMが所定の第1閾温度T1未満であるか否かを判定する。
この判定結果が「YES」の場合には、後述するステップS03に進む。
一方、この判定結果が「NO」の場合には、ステップS02に進む。
そして、ステップS02においては、ロータの永久磁石が高温状態であって磁極判別処理を実行した場合に永久磁石が減磁されてしまう虞があると判断して、磁極判別処理の実行を禁止し、強制転流つまりロータ2の磁極位置には関わらずに各電機子3、4、5への通電を順次転流させることによりモータ1を起動して、あるいは、車両に搭載された他の始動装置9により、内燃機関を始動させ、一連の処理を終了する。
また、ステップS03においては、磁極判別処理として、初期位置候補(つまり、角度検出部25により検出された初期のロータ角度(θ))に応じた界磁軸方向の一方および他方に向かう各方向に沿って順次磁界を発生させるための界磁軸電圧(つまり検査用電圧(Hq^))をq軸電機子に印加(つまりq軸フィードバック電圧(Vq_fb)に加算)する。
そして、ステップS04においては、磁石温度TMが所定の第1閾温度T1よりも小さい所定の第2閾温度T2未満であるか否かを判定する。
この判定結果が「NO」の場合には、後述するステップS06に進む。
一方、この判定結果が「YES」の場合には、ステップS05に進む。
そして、ステップS05においては、制御部11から出力されるq軸指令電流(Iq_c)を変更せずに、ステップS07に進む。
また、ステップS06においては、制御部11から出力されるq軸指令電流Iq_cに所定の補正電流指令値I1を加算して得た値(Iq_c+I1)を、新たにq軸指令電流Iq_cとして設定し、ステップS07に進む。
そして、ステップS07においては、角度検出部25によりロータ角度(θ)が検出されると共に、上記数式(34)に基づいて算出される正方向電流に基づくΔl値により算出される余弦参照値(Vc^)=Vc1、および、負方向電流に基づくΔl値により算出される余弦参照値(Vc^)=Vc2に基づき、磁極判別計算結果「A=Vc1−Vc2」が算出され、この磁極判別計算結果Aの正負により、ロータ2の磁極の向きが、電気角0〜180[度]または電気角180〜360[度]の何れの領域での値に対応するかが検知される。
そして、ステップS08においては、ロータ角度(θ)および磁極の向きに応じてモータ1を駆動するための駆動指令を出力し、モータ1を始動させると共に、このモータ1の駆動力によって内燃機関を始動させ、一連の処理を終了する。
上述したように、本実施形態によるブラシレスDCモータの制御装置10によれば、磁極判別電流指令部29は、ロータ2の磁石温度TMが増大することに伴い、界磁軸電流が増大するように設定することから、ロータ2の磁石温度TMが増大することに伴い、永久磁石の磁束密度が低下傾向に変化した場合であっても、磁極判別処理の判別精度が低下してしまうことを防止することができる。
さらに、イグニッションスイッチがオン状態に設定された車両の始動時あるいは車両のアイドル停止状態からの復帰時等での内燃機関の始動時において、磁極判別電流指令部29は、磁石温度TMが所定の第1閾温度T1以上となる場合には、磁極判別処理の実行を禁止し、強制転流つまりロータ2の磁極位置には関わらずに各電機子3、4、5への通電を順次転流させることによりモータ1を起動して、あるいは、車両に搭載された他の始動装置9により、内燃機関を始動させることから、各電機子3、4、5に対する磁極判別用の界磁電流の通電を不要とし、各電機子3、4、5に通電される電流が相対的に高温状態のモータ1に対する所定の許容範囲以内の上限電流を超えてしまうことでロータ2の永久磁石が過剰に減磁されてしまうことを防止しつつ、内燃機関を的確に始動させることができる。
なお、上述した実施の形態においては、モータ温度検出部28により検出される磁石温度TMが磁極判別電流指令部29に入力されるとしたが、これに限定されず、例えば磁極判別電流指令部29において磁石温度TMを推定してもよい。
この上述した実施の形態の第1変形例において、磁極判別電流指令部29は、例えば図7に示すように、車両状態センサ51により検出される車両状態、例えばエンジン水温、エンジン油温、各電機子3、4、5のコイル温度、モータ回転数NM、誘起電圧等の各検出値およびタイマ53から出力される時間情報に基づき、適宜の推定処理により磁石温度TMを推定する温度推定部52と、駆動方式選定部41と、磁極判別電流指令値演算部42とを備えて構成される。
なお、上述した実施の形態においては、磁極判別電流指令値演算部42は、磁石温度TMが所定の第1閾温度T1よりも低い所定の第2閾温度T2以上となる場合には、磁石温度TMが増大することに伴い、界磁軸電流が増大するように、q軸指令電流(Iq_c)に加算される所定の補正電流指令値I1を設定するとしたが、これに限定されず、磁石温度TMが増大することに伴い、界磁軸電流が増加傾向に変化するように設定してもよい。
この上述した実施の形態の第2変形例においては、例えば図8に示すように、上述した実施の形態でのステップS04の判定結果が「NO」の場合には、ステップS11に進み、このステップS11においては、予め設定された所定のマップに対するマップ検索あるいは所定の演算式による演算により、磁石温度TMに応じて変化する補正電流指令値I1を算出して、ステップS06に進む。この予め設定された所定のマップあるいは所定の演算式においては、磁石温度TMが増大することに伴い、補正電流指令値I1が増大傾向に変化するように設定されている。
本発明の実施形態に係るブラシレスDCモータの構成図及び等価回路を示す図である。 本発明の実施形態に係るブラシレスDCモータの制御装置の構成図である。 図2に示す磁極判別電流指令部の構成図である。 本発明の実施形態に係るブラシレスDCモータの制御装置における検査用電圧の周期と検査用電圧及びdq軸電流の推移を示した図である。 本発明の実施形態に係るブラシレスDCモータの制御装置において算出される磁極判別計算結果Aの正負とロータ角度(θ)の演算値との関係を示した図である。 本発明の実施形態に係るブラシレスDCモータの制御装置の動作、特に、内燃機関始動処理を示すフローチャートである。 本発明の実施形態の第1変形例に係る磁極判別電流指令部の構成図である。 本発明の実施形態の第2変形例に係るブラシレスDCモータの制御装置の動作、特に、内燃機関始動処理を示すフローチャートである。
符号の説明
1 ブラシレスDCモータ
2 ロータ
3,4,5 電機子(ステータ巻線)
10 ブラシレスDCモータの制御装置
25 角度検出部(位置検出手段、磁極判別手段)
29 磁極判別電流指令部(磁極判別電流変更手段)
ステップS02 起動手段、始動手段
ステップS06 磁極判別電流変更手段

Claims (3)

  1. 永久磁石式のロータを備えたブラシレスDCモータのステータ巻線に高調波電圧を印加し、該高周波電圧により発生したモータ電流から前記ロータの位置を検出する位置検出手段を備えるブラシレスDCモータの制御装置であって、
    前記ロータの界磁方向に応じた磁極検出用電圧を前記ステータ巻線に印加して前記ロータの磁極の向きを判別する磁極判別手段と、
    前記磁極判別手段による磁極判別処理の実行時に、前記ロータの磁石温度が増大することに伴い、界磁軸電流を増大させる磁極判別電流変更手段と
    前記磁石温度が所定閾温度を超えた場合に、前記磁極判別手段による磁極判別処理の実行を禁止し、強制転流により前記ブラシレスDCモータを起動させる起動手段とを備え
    前記磁極判別電流変更手段は、前記磁石温度が前記所定閾温度よりも低い第2閾温度以上の場合に、前記界磁軸電流を増大させており、
    前記所定閾温度は、前記磁極判別処理の実行時に前記ステータ巻線に通電される電流により前記ロータの磁石が減磁される場合に対応する磁石温度であることを特徴とするブラシレスDCモータの制御装置。
  2. 前記ロータは車両の駆動軸および内燃機関のクランク軸に連結され、前記ブラシレスDCモータは車両を走行駆動可能かつ前記内燃機関を始動可能であり、
    前記磁極判別電流変更手段は、前記磁石温度が所定閾温度未満の場合に、前記ブラシレスDCモータを起動して該ブラシレスDCモータにより前記内燃機関を始動させる際の前記磁極判別手段による磁極判別処理の実行時に、前記ロータの磁石温度が増大することに伴い、界磁軸電流が増大するように設定することを特徴とする請求項1に記載のブラシレスDCモータの制御装置。
  3. 前記磁石温度が所定閾温度を超えた場合に、車両に搭載された始動装置により前記内燃機関を始動させる始動手段を備えることを特徴とする請求項に記載のブラシレスDCモータの制御装置。
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