JP6211761B2 - 炭素繊維束の製造方法およびその製造方法により得られる炭素繊維束 - Google Patents

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本発明は炭素繊維束の製造方法に関し、さらに詳しくは含浸性及び開繊性に優れ、複合材料の補強用に適した炭素繊維束の製造方法およびその製造方法により得られる炭素繊維束、そしてその炭素繊維束を用いた複合材料に関する。
炭素繊維は、樹脂の強度を高め、同時に樹脂が炭素繊維の脆弱破壊を緩衝するため、樹脂との複合材料として多くの応用が行われている材料の一つである。しかしこの炭素繊維は通常、多数本のフィラメントで構成されている繊維束で用いられており、伸度が小さいために機械的摩擦などによって毛羽が発生したり、フィラメント繊維が切断されやすいという問題があった。そこで炭素繊維を用いる際には、炭素繊維束の収束性・取扱性を向上させ、かつ繊維と樹脂との接着性を向上させるため、サイズ剤を炭素繊維の表面に付与することが一般的に行われている。サイズ剤を用いることにより、毛羽や繊維の切断が減少し、炭素繊維の有する補強効果を最大限に利用できるためである。
例えば特許文献1では、エポキシ樹脂系のサイズ剤を用いて界面接着強度を向上させる手法が開示されている。しかし、炭素繊維束が補強すべきマトリックス樹脂が熱硬化性樹脂の場合ならまだしも、熱可塑性樹脂を用いる場合には、一般に樹脂とサイズ剤の相溶性が悪く高い接着強度が得られないという問題があった。
そこで相溶性を高めるべく、熱可塑性樹脂系のサイズ剤を用いてサイジングをする方法が考えられる。しかし従来のサイズ剤を使用した場合、界面接着強度こそ向上するものの炭素繊維束の風合いが硬くなりやすく、取扱性および加工性が著しく低下し、最終的に得られる複合体の物性としては不十分なものであった。例えば特許文献2では、熱可塑性樹脂のポリプロピレンをマトリックス樹脂とする場合に、酸変性ポリオレフィン系サイズ剤を付与する方法が開示されている。しかし、界面接着強度の向上こそ見られるものの、特にカットや開繊する際の加工性については不十分であった。
一方、ランダムマットのように炭素繊維束を分繊、切断してランダムに塗布し、樹脂と含浸させようとするときには、通常は繊維1本1本にサイズ剤が均等付与されていることが重要である。そこで例えば特許文献3では、水溶性のサイズ剤を用いることによりサイズ剤を均等付与している。しかしこのような水溶性のサイズ剤では、繊維束の硬さが柔らかくなりすぎ、繊維束ストランドの拡幅(ストランド幅を拡げること)や開繊(分繊すること)の工程において、繊維束の形態を十分に保持できないという問題があった。また、サイズ剤が水に溶ける性質を持つ樹脂に限定され、炭素繊維束に要求される様々な物性を満足させることが困難であるとの問題があった。
炭素繊維複合材料、特に繊維束が拡幅、開繊して用いられるランダムマットに適した炭素繊維束に関し、その表面処理方法の開発が待たれていたのである。
特開平7−197381号公報 特開2006−124847号公報 特開昭60−221346号公報
本発明は、含浸性及び取扱性が向上し作業性に優れる複合体用に最適な補強用の炭素繊維束の製造方法を提供することにある。
本発明の補強用炭素繊維束の製造方法は、繊維表面にサイズ剤を付与し加熱乾燥する炭素繊維束の製造方法であって、繊維表面に付与されたサイズ剤が積算50%粒子径D50が0.25μm未満の微小粒子と、0.3μm以上の小粒子が併存する2種類の樹脂成分のサイズ剤であり、小粒子の積算10%粒子径D10が0.05μm以上であり、加熱乾燥温度が小粒子の融点以上であることを特徴とする。
さらには、付与するサイズ剤が2種類以上であることや、微小粒子の積算90%粒子径D90が0.35μm未満であること、小粒子が熱可塑性樹脂であること、微小粒子が熱可塑性樹脂であることが好ましい。さらには、小粒子や微小粒子となる熱可塑性樹脂がポリアミド系樹脂であることが好ましい。
また、加熱乾燥工程における炭素繊維束の幅が6〜30mmであることが好ましい。
本発明の炭素繊維束は、上記本発明の炭素繊維束の製造方法により得られる炭素繊維束である。そしてこの炭素繊維束と熱可塑性樹脂からなる複合材料である。さらには、炭素繊維束が長繊維であることや、炭素繊維束が不連続繊維であることが好ましい。
本発明によれば、含浸性及び取扱性が向上し作業性に優れる複合体用に最適な補強用の炭素繊維束が提供される。
本発明の炭素繊維束の製造方法は、繊維表面にサイズ剤を付与し加熱乾燥する方法である。そしてこの時、繊維表面に付与されたサイズ剤が微小粒子と小粒子を含有するものであり、加熱乾燥温度が小粒子の融点以上であることを必須とする。また本発明において微小粒子とは積算50%粒子径D50が0.25μm未満の微小粒子であり、小粒子とは積算50%粒子径D50が0.25μm以上の小粒子であることが必要である。このような微小粒子と小粒子の2種類の粒子を使用することにより、本発明の製造方法においては、繊維束へのサイズ剤の含浸性と、含浸、乾燥後の繊維束の風合いのバランスを最適化することができたのである。
なお本発明においてはその粒子径の数値としては、特に断りがない限り通常は体積分率で50%の粒子径D50の値を採用している。より具体的にはこの粒子径はレーザー回折型粒度分布測定装置で測定したD50の方法で測定したものであり、粒子の体積分での50%が含まれる粒子径を意味する。ただし場合により、D10及びD90を用いることがあり、それぞれD10は体積分率で小さい方から10%の粒子径、D90は体積分率で小さい方から90%の粒子径を意味する。
本発明の炭素繊維束の製造方法では、上記のように炭素繊維束の表面に微小粒子と小粒子を付着させることが必要である。ここで本発明の製造方法にて用いられる炭素繊維としては、ポリアクリロニトリル(PAN)系、石油・石炭ピッチ系、レーヨン系、リグニン系など、何れの炭素繊維であっても良いが、工業規模における生産性及び機械特性の観点からは、PANを原料としたPAN系炭素繊維であることが好ましい。使用する炭素繊維の平均直径としては、5〜10μmのものが好ましい。また長繊維からなるものばかりでなく、短繊維(不連続繊維)から構成された繊維束であることも好ましい。短繊維である場合には、100mm以下であることが好ましく、特には5〜80mmの範囲であることが好ましい。
また炭素繊維束を構成するモノフィラメントの本数としては特に制限は無いが500本以上であることが通常であり、1000本以上であることが好ましい。繊維束を構成するモノフィラメントの本数が少ない場合、炭素繊維束の柔軟性が増すことでハンドリング性が向上するものの、炭素繊維の生産性が著しく低下する。一方、60000本を超えると、炭素繊維前駆体繊維の耐炎化または不融化処理を十分に完了させにくく、最終的に得られる炭素繊維の機械物性が低下する傾向にあるため、一般的には60000本以下が好ましい。さらに繊維束を構成するモノフィラメント本数のより好ましい範囲としては3000〜40000本、さらには5000〜30000本の範囲である。
また、炭素繊維束とサイズ剤との親和性を高める目的で、サイジング処理前の炭素繊維束の炭素繊維表面に含酸素官能基を導入した炭素繊維であることも好ましい。
本発明の炭素繊維束の製造方法は、上記のような炭素繊維の表面にサイズ剤を付与し、加熱乾燥する製造方法である。この時、本発明に用いられるサイズ剤としては、少なくとも2成分を含有しており、微小粒子として粒子径D50が0.25μm未満である成分と、小粒子として粒子径D50が0.25μm以上の比較的大きい成分をサイズ剤中に含有していることを必須としている。この時2種類の成分は一液のサイズ剤に含まれて繊維に処理しても良いし、2液以上のサイズ剤に分けて処理を行ってもよい。しかしこれらの微小粒子及び小粒子の各成分の特徴を活かすためには、サイズ剤の付与方法が各成分ごとに2段以上の多段で処理するものであることが好ましい。しかし、工程上のことを考慮すると、サイズ剤は2種類以上の成分を一液のサイズ剤に含ませて繊維に処理することが好ましい。
本発明で用いられる微小粒子は、構成する樹脂の粒子径がD50で0.25μm未満であるものである。逆にこの微小粒子成分のD50が0.25μm以上になると、ストランド内部までサイズ剤が浸透しにくくなり、含浸性が低下するからである。さらにこのような微小粒子成分としては、微小粒子の積算90%粒子径D90が0.35μm未満であることが好ましい。さらにはD90は0.3μm未満であることが好ましい。またD10は0.15μm以下であることが好ましい。この微小粒子成分は共重合樹脂であることが好ましく、共重合比を変化することにより、融点など諸物性を制御することも可能となる。本発明の製造方法においては、炭素繊維束の製造プロセスにおける乾燥・熱処理工程において、微小粒子成分の融点を下げることにより、繊維へのサイズ剤樹脂の濡れ性をさらに向上させることができる。
また、本発明におけるサイズ剤の微小粒子成分は、微小なサイズであるために炭素繊維束の内部に含浸しやすいことに加え、炭素繊維束に対し複合化されるマトリックス樹脂とも、相溶しやすい。そのためこのサイズ剤を用いた炭素繊維束はマトリックス樹脂と複合することにより、優れた炭素繊維補強樹脂複合体となる。さらには、マトリックス樹脂と微小粒子成分の溶解度パラメータが近いことが好ましい。あるいは、微小粒子を構成する共重合成分の一成分がマトリックス樹脂と同種の成分であることが好ましい。
また、微小粒子成分の融点としては、複合体を構成するマトリックス樹脂の融点よりも低いことが好ましい。あるいは具体的には、微小粒子成分の融点もしくは軟化点としては50℃〜200℃の範囲であることが好ましく、特には80℃〜150℃の範囲であることが好ましい。
このような本発明に用いられるサイズ剤の微小粒子成分の具体的な例としては、エポキシ樹脂、ウレタン樹脂、塩化ビニル樹脂、塩化ビニリデン樹脂、酢酸ビニル樹脂、ポリビニルアルコール樹脂、ポリスチレン樹脂、アクリロニトリル−スチレン樹脂(AS樹脂)、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン樹脂(ABS樹脂)、アクリル樹脂、メタクリル樹脂、ポリオレフィン樹脂、ポリアミド樹脂、ポリアセタール樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリエチレンテレフタレート樹脂、ポリエチレンナフタレート樹脂、ボリブチレンテレフタレート樹脂、ポリアリレート樹脂、ポリフェニレンエーテル樹脂、ポリフェニレンスルフィド樹脂、ポリスルホン樹脂、ポリエーテルスルホン樹脂、ポリエーテルエーテルケトン樹脂、ポリ乳酸樹脂、ポリイミド樹脂、ポリビニルピロリドンなどが挙げられる。これらに示したものの共重合体や変性体、それらを含むものを2つ以上混合して使用してもよい。特にこれらに示したものが、一般的な水中の分散体として得ることができる場合、もしくは水中に溶解した水溶液を得ることができる場合に、本発明は好適に適用できる。さらに好適には、主成分として、ポリオレフィン樹脂やポリアミド樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリエステル系樹脂を挙げることができる。これらの樹脂を用いる場合には、例えばポリオレフィン樹脂の場合はポリプロピレンなどのポリオレフィン系樹脂に対して高い相溶性が得られ、ポリアミド、ポリカーボネート、ポリエステル系樹脂の場合は極性の高い樹脂に対して高い接着性が得られる。
本発明の炭素繊維の製造方法では、上記の微小粒子に加えて、小粒子の成分として粒子径D50が0.25μm以上の比較的大きいサイズ剤成分が含有されていることが必要である。さらにはD50としては0.60μm以下であることが好ましい。またD10としては、0.05μm以上0.25μm以下であることが好ましく、さらにはD10が0.1μm以上0.20μm以下であることが好ましい。また、D90としては、0.25μm以上1.5μm以下であることが好ましく、さらにはD90については0.30μm以上1.2μm以下であることが好ましい。
また、この本発明の炭素繊維束の製造方法に用いるサイズ剤の小粒子成分の粒径としては、使用する炭素繊維径の半分程度以下であることが好ましい。例えば、7μmの炭素繊維を用いる場合であれば、3.5μm以下、10μmの炭素繊維を用いる場合であれば、5.0μm以下であることが好ましい。さらにより好ましくは、繊維直径10μm以下の炭素繊維に対して、D50で0.25μm〜1.5μmであることが最適である。
このような、本発明に用いられるサイズ剤の小粒子成分を具体的に例示すると、エポキシ樹脂、ウレタン樹脂、塩化ビニル樹脂、塩化ビニリデン樹脂、酢酸ビニル樹脂、ポリスチレン樹脂、アクリロニトリル−スチレン樹脂(AS樹脂)、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン樹脂(ABS樹脂)、アクリル樹脂、メタクリル樹脂、ポリオレフィン樹脂、ポリアミド樹脂、ポリアセタール樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリエチレンテレフタレート樹脂、ポリエチレンナフタレート樹脂、ボリブチレンテレフタレート樹脂、ポリアリレート樹脂、ポリフェニレンエーテル樹脂、ポリフェニレンスルフィド樹脂、ポリスルホン樹脂、ポリエーテルスルホン樹脂、ポリエーテルエーテルケトン樹脂、ポリ乳酸樹脂、ポリイミド樹脂などが挙げられる。
もちろんこれらに示したものの共重合体や変性体、それらを含むものを2つ以上混合して使用してもよい。特にこれらに示したものが、一般的な水中の分散体として得ることができる場合、本発明に好ましく適用することができる。
さらに好ましくは、微小粒子成分に対してアロイを形成する樹脂を小粒子成分のサイズ剤として選定することが好ましい。例えば、ポリアミド樹脂を微小粒子成分とする場合に好適な小粒子成分は、ポリアミド樹脂、ポリフェニレンエーテル樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリオレフィン樹脂、アクリルニトリルースチレン樹脂(AS樹脂)、アクリルニトリル−ブタジエン−スチレン樹脂(ABS樹脂)を用いることが好ましい。同様に、微小粒子成分としてのポリカーボネート樹脂に対しては、小粒子成分はポリカーボネート樹脂、ポリオレフィン樹脂、ポリエステル系樹脂、アクリルニトリルースチレン樹脂(AS樹脂)、アクリルニトリル−ブタジエン−スチレン樹脂(ABS樹脂)などが好ましく列挙される。
本発明の炭素繊維束の製造方法においては、上記のように炭素繊維束の表面に微小粒子と小粒子とを付着させる。
ここで本発明の製造方法においては、小粒子成分は微小粒子成分よりも大きいのであるが、このサイズ剤に用いる小粒子成分が小さすぎる場合、大きな径の粒子が不足し、すなわち繊維束の収束性を担う部分が欠落し、求められる繊維束の風合いを確保することが困難となる。つまり、本発明で用いられるサイズ剤においては、微小粒子成分と小粒子成分の粒子径に差があることが重要であり、同じ径とした場合には、本発明の効果を得ることができないのである。
逆に本発明の製造方法にて用いられる小粒子が大きい場合であるが、微小粒子より大きければ、ある程度までであれば大きい粒子であったとしても小粒子はその効果を発揮する。ただしあまり粒径が大きすぎると、使用する繊維に対して粒径が大きくなりすぎ、後の工程で繊維上に粒子として残存させることが困難となる。また、繊維表面への均一付着性も低下する傾向にある。小粒子が大きすぎる場合には、例え本発明のように微小粒子が併存したとしても、十分な繊維束への付着量を確保することが困難となる傾向にある。
本発明の製造方法においては、最初に述べたように微小粒子成分の粒子径が小さいことによって、ストランド中の炭素繊維全体をより細かく濡らすことができる。そしてこの効果によって、後のマトリックス樹脂との成形における、樹脂含浸性が向上するのである。また、このように微小粒子成分の粒子径が小さいことは、ストランドの長手方向の90°(繊維の並ぶ方向)におけるストランドの丸まりを押さえることにも有効である。これは、ストランドの表面、裏面、内部とも粒子径が大きい場合よりも、粒子径が小さい場合には繊維表面に均一に付着させられており、特に炭素繊維束が扁平な場合に、その表裏のサイズ剤樹脂の熱膨張差が小さくなるためであると考えられる。
一方、本発明では粒子径D50が0.25μm以上の小粒子が併存することが必要であるが、このように比較的大きい小粒子を用いることにより、炭素繊維束ストランドの収束状態を高くすることが可能となり、取扱性が向上する。特に、ランダムマットのような形態をとるコンポジットを作製するために有効である。炭素繊維束ストランドの拡幅や開繊、ランダム塗布に有利な繊維束(糸)の風合いを得ることが可能となる。
本発明の炭素繊維束の製造方法においては、以上の2成分のサイズ剤を用いることで、それぞれの成分の効果を最大限に活かすことが可能となった。仮に微小粒子成分のみでサイジングした場合では、少ない付着量でランダムマットに適したストランドの風合いを出すことが困難であり、加工性や取扱性に劣ることとなる。逆に、もし小粒子成分のみでサイジングした場合では、炭素繊維表面にサイズ剤樹脂成分が十分均一に付与されにくく、コンポジットを成形する際に内部へのマトリックス樹脂の含浸程度が劣ることとなる。
そして、本発明の炭素繊維束の製造方法における、炭素繊維の表面へのサイズ剤の付着量としては、0.1〜3重量%の範囲であることが好ましい。また、サイズ剤としてはエマルジョンであることが好ましい。より好ましくはサイズ剤の付着量としては、0.2〜2.0重量%の範囲であることが好ましく、さらに好ましくは0.3〜1.5重量%の範囲であることが好ましい。あまりに低い付着量であると、炭素繊維1本1本の表面をサイズ剤で覆うことができないだけでなく、繊維と繊維をまとめた状態の繊維束の収束性が低くなり、取扱性に劣る傾向にある。一方で、あまりに多い付着量であると、硬く収束した板状の繊維束となり、加工性が劣る傾向にある。
また、このような本発明の製造方法に用いるサイズ剤に用いる微小粒子成分や小粒子成分となる樹脂の共通的な特徴としては、熱可塑性樹脂であることが好ましい。熱可塑性樹脂である場合には、コンポジット化した後でも再加熱などによりコンポジットの成形性が悪化しにくいことにより、リサイクル可能となる利点がある。
さらにはサイズ剤樹脂としては、後に複合体に用いるマトリックス樹脂と同じ物質を用いることが好ましい。これは、相溶性が高いことにより含浸性が向上し、高い物性の複合体を形成することが可能となる。
またこのサイズ剤の各成分としては、共重合樹脂であることが好ましい。共重合成分を選択することにより、本発明で重要な要素である融点のコントロールが行いやすく、また要求される物性も確保しやすい利点があるからである。特に好ましいサイズ剤としては、ポリアミド二元もしくはポリアミド三元共重合樹脂を挙げることができる。特にはナイロン6、ナイロン66、ナイロン12、ナイロン11などからなるポリアミド二元もしくはポリアミド三元共重合体であることが好ましい。
本発明においては、このようなサイズ剤樹脂を採用することにより、繊維束の収束性をコントロールし、かつ繊維と樹脂の接着性が高くなる効果をより発揮することが可能となった。
また、本発明の製造方法に用いられるサイズ剤としては、界面活性剤を含有することが好ましい。界面活性剤を添加することにより、サイズ剤中の各樹脂成分はさらに十分に分散したものとなり、より均一に繊維表面に付着したものとなる。用いられる界面活性剤としては、特に限定はなく、サイズ剤と水とからなる分散液が調製できれば良い。具体的にはノニオン性界面活性剤、アニオン性界面活性剤、カチオン性界面活性剤および両性界面活性剤が挙げられる。このうち、分散粒子の粒子径の観点からノニオン性界面活性剤またはアニオン性界面活性剤を用いるのが好ましく、ノニオン性界面活性剤がより好ましい。ノニオン性界面活性剤の好ましい具体例として、下記式(1)で表されるポリオキシアルキレンアルキルエーテルが挙げられる。
2m+1−O−(X−O)−H (1)
(m;8〜22の整数、n;2〜20の整数、X;炭素数1〜5のアルキレン基)
Xで表されるアルキレン基の炭素数は2〜5が好ましく、ポリオキシエチレンアルキルエーテルとしては、例えば、ポリオキシエチレンラウリルエーテル、ポリオキシエチレンセチルエーテル、ポリオキシエチレンオイレルエーテル等が挙げられる。これらの化合物は、1種単独または2種以上を混合して用いることができる。本発明においては、界面活性剤はサイズ剤を構成する樹脂の水分散体を得ることができればよく、用いる界面活性剤の量をなるべく低く抑えることが好ましい。本発明の開繊された炭素繊維束に含まれる界面活性剤の含有量は、好ましくはサイズ剤中の樹脂固形分100重量部に対し、0.01〜30重量部である。より好ましくは、樹脂固形分100重量部に対し、0.01〜8重量部程度である。あまり多すぎるとマトリックス樹脂と炭素繊維の界面における阻害物となり、界面接着強度が低下する。また、使用する界面活性剤は空気中において、105℃から280℃の間で分解揮発することが好ましい。280℃以下で揮発や分解が起こらないものを使用すると、界面やサイズ剤の上に残存物があることによって、コンポジットにしたときに本来の物性が発現しにくい傾向にある。また、溶媒よりも低い温度で界面活性剤が揮発もしくは分解を開始してしまう場合は、徐々に炭素繊維束上のサイズ剤の表面張力が高くなる傾向となり、結果として繊維束上で樹脂粒子の凝集などが懸念される。
本発明の補強用炭素繊維は取扱性に優れるばかりではなく、より短い時間でマトリックス樹脂の含浸を行うことが可能となり、成形体の生産性向上に大きく寄与するものである。さらに得られた複合体は十分にマトリックス樹脂が含浸されており、強度斑の少ない高品位なものとなる。
本発明においては、このようなサイジング液が付着した炭素繊維束を乾燥することにより、サイジング液中のサイズ剤により繊維束が収束し、ストランドの丸まりを抑制し、風合いを制御でき、かつ含浸性のよい優れた炭素繊維束を得ることができたのである。
本発明における炭素繊維束をサイジングする際は、微小粒子成分のみからなるサイズ剤、もしくは小粒子成分のみからなるサイズ剤を順不同でサイジングし、それぞれの工程で乾燥するか、もしくは両方のサイズ剤を混合したサイズ剤を用いてサイジングし、乾燥を行ってもよい。製造工程上では、微小粒子成分と小粒子成分のサイズ剤を混合したサイズ剤を用いてサイジングし、乾燥を行う方が、設備上は有利である。
また、本発明の製造方法にて用いられるこのサイジング液は水系の分散液として用いられることが好ましい。サイズ剤と水とからなるこのサイジング液(分散液)は、均一な分散液であることが好ましく、各成分の具体的な好ましい量比としては、サイジング液の溶媒100重量部に対して、微小粒子成分が0.01〜10重量部、小粒子成分が0.01〜6重量部であることが好ましい。さらにはサイジング液の溶媒100重量部に対して、微小粒子成分が0.1〜8重量部、特には0.2〜5重量部であることが好ましく、小粒子成分は0.1〜3重量部、特には0.2〜2重量部であることが好ましい。
なお、得られた炭素繊維束の収束度の良好性については、微小粒子成分と小粒子成分それぞれの付着量が影響する。微小粒子成分がある程度の濃度であれば、収束性が良好であるし、逆に微小粒子成分があまりなくても小粒子成分が少ない濃度でもあれば、良好な状態を保つことが可能である。具体的には微小粒子成分が小粒子成分よりも重量比で多いことが好ましい。
また、繊維束のストランドの丸まりについても、微小粒子成分が多めであるほうが丸まりが抑制されるために、ストランドとして生産にも有利であり、使用する際の拡繊工程や開繊工程にも有利である。逆に、小粒子成分が多くありすぎると、ストランドの表面もしくは裏面に多量のサイズ剤が偏析することによって、その樹脂の熱膨張差によってストランドの端部が丸まる傾向が強くなる。
繊維束に対し、上記のようなサイズ剤が全体に付着することにより、マトリックス樹脂と複合化した炭素繊維複合材料としては、空隙の少ない物性に優れた複合材料とすることができる。この複合材料の空隙率としては、超音波探傷法(C−scan)による含浸率を測定することにより得ることが可能である。
これは本発明によって、繊維表面に樹脂が存在することにより、その後に含浸しようとするマトリックス樹脂を引き込む(相溶性がよくなる)効果が生じ、超音波探傷法(C−scan)による内部の未含浸部分としての空孔(ボイド)を減らすことができ、結果的に高い数値となる。ここで、炭素繊維束ストランド中の繊維一本一本にサイジング成分が付着していれば、より顕著に高い効果が得られることになる。そのためには、本発明においてもより均一にサイズ剤が付着することが好ましく、そのためにはなるべく小さい粒子径のサイズ剤、すなわち微小粒子が併用されることが必要である。つまり、本発明においては微小粒子成分が存在することで、繊維全体に対する濡れを大きくすることができるのである。そしてそのためには微小粒子と小粒子の比率としては、微小粒子成分が多いことが好ましい。
このような本発明の製造方法により得られるサイズ剤が付与された炭素繊維束の状態は、炭素繊維束を電子顕微鏡などを用いて観察することで、確認することができる。たとえば本発明の炭素繊維束については、低加速電圧での電子顕微鏡で炭素繊維表面を観察することで微小粒子が表面に付着している様子を確認でき、また同様の手法によって繊維と繊維の間に小粒子が融着している様子を確認することができる。本発明の製造方法によって、繊維表面に微小粒子成分が均一付着することで含浸性向上の効果が得られ、繊維間に小粒子成分が融着状態にあることで収束性が向上するという高い効果が得られるのである。
本発明の炭素繊維束の製造方法において、炭素繊維束の表面にサイズ剤を付与する方法としては、通常通りサイズ剤成分を含有するサイジング液を調液し、炭素繊維束表面にサイジング液を均一に塗布する方法が採用できる。サイジング液としては溶剤を含まない水系の溶液であることが好ましく、付与の具体的方法としては、例えばスプレー法、ローラー浸漬法、ローラー転写法などが挙げられ、これらを単独もしくは組み合わせて使用する方法も採用できる。また生産性、均一性の観点からは、これらサイジング法のうち、ローラー浸漬法が好ましい。より具体的には炭素繊維ストランドを水性エマルジョンあるいは溶液に浸漬する際に、エマルジョン浴中に設けられた浸漬ローラーを介して、開繊と絞りを繰り返し、ストランドの中まで水性エマルジョンあるいは溶液を含浸させることが好ましい。炭素繊維束に対するサイジング液の付着量の調整は、サイジング液の濃度調整や、絞りローラーの調整などによって行うことができる。
本発明の炭素繊維束の製造方法においては、繊維束表面にサイジング液を付与した後に炭素繊維束を加熱乾燥させることが必要である。加熱乾燥処理によって、サイジング液を付与した炭素繊維束から水分を除去する。また加熱乾燥処理の前後の工程にて、熱処理以外に風乾、遠心分離などの工程を補助的に行うのも好ましい方法である。
本発明の炭素繊維束の製造方法では、この乾燥処理工程にて熱処理を採用することにより、サイジング処理後の炭素繊維束から水分を除去することに加え、サイジング液によって炭素繊維の表面を均一に濡らし、剤成分を分散させることができる。熱処理の加熱手段としては、例えば、熱風、熱板、加熱ローラー、赤外線ヒーターなどを使用することができる。このとき、得られる炭素繊維束の水分量を所望の範囲とするため、熱処理温度や熱処理時間を制御することが好ましい。通常熱処理温度としては120℃〜250℃程度が好ましく使用される。そのため、本発明の補強用炭素繊維束の製造方法に用いるサイズ剤としては、具体的には微小粒子成分も小粒子成分も熱重量分析(TG/DTA)でこの乾燥熱処理工程の温度における熱重量減少率が5%以下であることが好ましい。より具体的には200℃における熱重量減少率が5%以下であることが特に好ましい。逆に、本発明の炭素繊維束の製造方法においては、乾燥・熱処理温度を、このサイズ剤の熱重量減少率5%以内になるように制御することも好ましい態様である。しかしサイズ剤の熱重量減少率が大きすぎる場合には、後の複合材料の成形において、加熱時に問題が生じる。そのため、本発明に用いるサイズ剤の熱重量減少率としては、250℃における熱重量減少率が3%以下であることがさらに好ましく、特には300℃における熱重量減少率が3%以下であることが好ましい。
一方、特にサイズ剤を含有するサイジング液が水性エマルジョンであった場合には、この加熱乾燥工程の物温としては105℃〜300℃の範囲内にて水分を除去するのが好ましい。この温度域であれば、多くのサイジング液中の樹脂、ひいては炭素繊維束を劣化させることなく、目的の炭素繊維束を得ることができる。さらに熱処理温度としては、使用するサイジング液中の剤の熱分解温度より低い温度であることが好ましい。また、乾燥工程を経た炭素繊維束に対して、さらに別の熱処理を与えてもよい。
本発明の製造方法における加熱乾燥温度としては、上記条件を加味すると120℃〜300℃の範囲が特に好ましい。また乾燥時間としては30秒〜600秒であることが好ましい。乾燥温度が300℃より高いとサイズ剤自身が劣化したり、逆に乾燥温度が低すぎるとサイズ剤の溶融が起こらずに炭素繊維上で粒として残るにとどまり、ストランドの収束性が低く、後の工程でサイズ剤が効果を持たなくなる可能性がある。
このような本発明の製造方法にて得られる補強用の炭素繊維束は、長繊維で用いる場合はそのまま、短繊維で用いる場合には所定の長さに切断して使用する。切断工程は、サイズ剤付与の前に行うことも可能ではあるが、生産効率的にはサイズ剤付与の後に行うことが好ましい。
もう一つの本発明である炭素繊維束を用いた複合材料は、本発明の製造方法にて得られる炭素繊維束と熱可塑性樹脂とからなる複合材料である。樹脂が熱可塑性樹脂であることにより、本発明の炭素繊維束は極めて高い性能を発揮することが可能となる。一般に炭素繊維補強複合体のマトリックス樹脂として熱可塑性樹脂を用いる場合には、樹脂とサイズ剤の相溶性が悪いという問題があったが、本発明の炭素繊維束は、ストランド内部にまで広がり、十分に濡れたサイズ剤微小粒子成分の効果と、加工取扱性が向上するために付与された小粒子成分によるストランドの風合い向上効果によって、マトリックス樹脂に対する含浸性が極めて高く、得られる複合体は高い物性を有するのである。
特に熱可塑性樹脂として物性に優れたエンジニアリングプラスチック(例えばポリアミドやポリエステル、ポリカーボネートなど)を用いた場合、成形は熱可塑性樹脂の融点と分解温度の間で行われるため、熱可塑性樹脂は高粘度であり、含浸させることは困難である。しかし、本発明の補強用炭素繊維束を用いることにより、マトリックス樹脂の十分な含浸を行うことが可能となったのである。
本発明の複合材料に用いられるマトリックス樹脂としては、熱可塑性樹脂であれば特に限定されないが、特にはポリアミド系樹脂が好ましい。ポリアミド系樹脂の具体例としては、−[NH(CHCO]−、−[NH(CHNHCO(CHCO]−、−[NH(CHNHCO(CHCO]−、−[NH(CH10CO]−、−[NH(CH11CO]−、および−[NH(CHNHCO−D−CO]−(式中Dは炭素数3〜4の不飽和炭化水素を示す)からなる群より選ばれた少なくとも1種を構造単位とするポリアミド樹脂が好ましく用いられる。それらの具体例としては6−ナイロン、66−ナイロン、610−ナイロン、11−ナイロン、12−ナイロン、6/66共重合ナイロン、6/610共重合ナイロン、6/11共重合ナイロン、6/12共重合ナイロン、6/66/11共重合ナイロン、6/66/12共重合ナイロン、6/66/11/12共重合ナイロン、6/66/610/11/12共重合ナイロンおよびダイマー酸系ポリアミド樹脂等が挙げられる。これらの重合体または共重合体は、単独であっても2種以上の混合物であってもよい。
また上記の樹脂には無機フィラーを配合することも好ましい。無機フィラーとして、タルク、珪酸カルシウム、珪酸カルシウム、ワラストナイト、モンモリロナイトや各種の無機ナノフィラーを挙げることができる。また上記樹脂には、必要に応じて、耐熱安定剤、帯電防止剤、耐候安定剤、耐光安定剤、老化防止剤、酸化防止剤、軟化剤、分散剤、充填剤、着色剤、滑剤など、従来から樹脂の改質のために配合されている他の添加剤を、配合することができる。
より具体的には樹脂補強用の炭素繊維束が短繊維である場合には、そのような補強用短繊維と粒状物、フィルム状物、溶融樹脂の形状を有する樹脂からなる混合物を用いて複合体とすることが好ましい。なお、ここで樹脂が粒状物であった場合としては、繊維状、粉末状、針状物のような様々な形態をとっても良い。また、補強用炭素繊維束が長繊維である場合には通常の公知の方法にて複合体を形成すれば足りる。
補強用の炭素繊維束を用いた複合体の形状としては、例えば、後に詳述するランダムマットや、一軸配向炭素繊維複合材料、炭素繊維織物補強複合材料などが挙げられる。
また、複合材料には、本発明の目的を損なわない範囲で各種の添加剤を含んでも良い。添加剤として例えば、界面活性剤が挙げられる。また、開繊されたまたは開繊されない炭素繊維束以外に含まれている物として、炭素繊維単糸、1種類以上の熱可塑性樹脂を併用しても良い。
このような補強用炭素繊維束を用いた複合体としては、例えば好適な例としてランダムマットを挙げることができる。
ランダムマットを構成する強化繊維は不連続であり、平均繊維長2〜100mm以下である。ランダムマットはある程度長い強化繊維を含んで強化機能が発現できる事を特長とし、好ましくは強化繊維の繊維長が3mm以上60mm以下である。また後述する好ましい強化繊維のカット方法を採用することで、ランダムマットを構成する強化繊維の長さは固定長とすることができる。また本発明の炭素繊維束は取扱性に優れるため、後に述べる等方性材料を製造する際の繊維束の拡幅工程や小幅繊維束に分ける分繊工程等を採用することにより、炭素繊維束を以下で述べる好ましい範囲とすることが容易となる。そして以下の式(1)で定義する臨界単糸数以上で構成される炭素繊維束(A)が存在し、等方性材料(マット)中の繊維全量に対するこの炭素繊維束(A)の割合が30Vol%以上90Vol%未満である等方性材料であることが好ましい。
臨界単糸数=600/D (1)
(ここでDは強化繊維の平均繊維径(μm)である)
マット中には、炭素繊維束(A)以外の強化繊維として、単糸の状態または臨界単糸数未満で構成される繊維束が存在することも好ましい。
ランダムマットとしては、上記(1)式の平均繊維径に依存して定義される臨界単糸数以上で構成される強化繊維束の存在量を、30Vol%以上90Vol%未満に調整することが好ましい。強化のために含有される繊維の開繊程度を、このようにコントロールすることにより、特定本数以上の強化用の繊維からなる炭素繊維束と、それ以外の開繊された繊維を、特定の比率で含むようにコントロールすることが好ましい。
補強用の炭素繊維をランダムに配置されるためには、炭素繊維束としては、開繊させたものであることが好ましい。ランダムマットとしては、炭素繊維束を短繊維としたものと、樹脂、好ましくは熱可塑性樹脂とから構成され、炭素繊維が実質的に面内ランダムに配向しているものであることが好ましい。
開繊された強化繊維束を得るためには、本発明の強化繊維束を開繊拡幅処理工程に供すれば良い。開繊拡幅処理工程としては特に限定されるものではないが、好ましくは丸棒で繊維をしごく方法、気流を用いる方法、超音波等で繊維を振動させる方法等を挙げることが出来る。強化繊維束に空気を吹き付けることで繊維束を開繊させる方法では、開繊の程度を空気の圧力等により適宜コントロールすることができる。これらの開繊拡幅処理工程に供する繊維は連続繊維でも不連続繊維でもよい。しかし十分な開繊性を確保するためには繊維束の表面に不付着する微小粒子及び小粒子の付着量や物性にも左右される。
つまりこのようなランダムマットでは、先に述べたサイズ剤の粒子径や付着量が重要であり、そのコントロールを行うことにより、適切な炭素繊維束の状態を得ることが可能となる。このランダムマットにする工程では、炭素繊維束をカットする直前においてストランドを拡繊するためには、収束度(風合い値)を調節することが好ましい。そしてこの風合い値は、微小粒子成分と小粒子成分の種類や量比でコントロールすることが可能である。このランダムマットとして、特に適切なマット形態を得るための好ましい風合い値としては、70g〜200gであることが好ましく、より好ましくは90g〜190g、さらに好ましい風合い値は100g〜180gである。なお、この風合い値は約10mm(8〜12mm)の拡幅前の炭素繊維束について測定したときの値である。なお、このような風合い値は、後に述べる実施例からも分かるように、微小粒子成分よりも小粒子成分の影響をより強く受ける傾向にある。
本発明の製造方法にて得られた炭素繊維束は、以上のようにサイズ剤の粒子径や付着量を最適化することにより、ランダムマットに適切な炭素繊維束となるのである。そしてこの炭素繊維束を用いたランダムマットは、ストランド丸まりや含浸の項目に加え、風合い値が好ましい範囲にコントロールされ、この炭素繊維束を用いたランダムマットは物性の高い複合材料に最適なものとなるのである。
ランダムマットにおける熱可塑性樹脂の存在量が、炭素繊維100重量部に対し、10〜500重量部であることが好ましい。より好ましくは20〜400重量部である。
ランダムマットにおいて、熱可塑性樹脂が、粒状物、フィルム状物、又は溶融樹脂であることが好ましい。ここで樹脂が粒状物であった場合としては、繊維状、粉末状、針状物のような様々な形態をとっても良い。また、ランダムマットの目付け(g/m)は、25〜10000が好ましく、より好ましくは30〜5000である。
このような本発明の炭素繊維束を用いたランダムマットは、例えば次のような具体的な工程を経て製造することが可能である。
1.上記の炭素繊維束をカットする工程(カット工程)、
2.カットされた炭素繊維を管内に導入し、空気により搬送し散布する工程(散布工程)、
3.炭素繊維を定着させ、強化繊維マットを得る工程(定着工程)、
4.強化繊維マットに熱可塑性樹脂を添加してランダムマットを得る工程(熱可塑性樹脂添加工程)
熱可塑性樹脂添加工程は前述する1〜3の工程と同時に行っても良く、例えば、2の散布工程で、粉末状の熱可塑性樹脂を散布してもよい。または、強化繊維マットのみを作製した場合は、マットにシート状やフィルム状などの熱可塑性樹脂を搭載または積層し、本発明のランダムマットとすることができ、この場合のシート状又はフィルム状の熱可塑性樹脂は溶融状態であっても良い。
さらには、熱可塑性樹脂マトリックス中の炭素繊維の開繊程度をコントロールして、前述している臨界単糸数以上からなる炭素繊維束を、30〜90Vol%で含むランダムマットとすることも好ましい。本発明の製造方法によれば、開繊率を適切にコントロールすることが可能であり、種々の用途、目的に適したランダムマットを提供することができる。
例えば、炭素繊維束を20mmにカットし、炭素繊維投入口直径20mm、かつ吹き出し口直径55mm、かつ管の長さが投入口から吹き出し口まで400mmであるテーパ管内に導入し、テーバ管に導入される圧縮空気圧力が0.25MPaであるようにして圧縮空気を流すことで吹き付けることでランダムマットを得ることができる。
適切なランダムマットを作製することにより、より緻密に炭素繊維と熱可塑性樹脂を密着させ、高い物性を達成することが可能となる。特に一旦ランダムマットをマトリックス樹脂の融点以上の温度に加熱し、融点以下の金型にてプレス成形(コールドプレス)する工程に特に効果的である。
なぜなら、本願発明の補強用炭素繊維束は、従来のものと異なり繊維束中に含浸に寄与できる繊維を濡らしうる微小粒子成分を含むために、従来と同様の温度および圧力での成形でも含浸性において優れた効果を生じるのである。さらに、小粒子成分の制御によって、繊維の収束性、風合いを加工取扱性に適したものとすることが可能となることで、前述のランダムマット化において繊維の拡幅・分繊・ランダム塗布を促す優れた効果を生じる。さらに、小粒子が繊維間を点接着している状態によって繊維間に適度な隙間を与え、マトリックス樹脂の含浸を促すことにも機能する。
また、上記のランダムマット以外にも、得られた炭素繊維束は長繊維として複合体を形成することもできる。
例えば本発明で得られた炭素繊維束を引き揃え、溶融した熱可塑性樹脂と接触させることにより炭素繊維束と熱可塑性樹脂とが複合されてなる一軸配向炭素繊維複合材料を得ることができる。この際に用いられる熱可塑性樹脂は特に限定されないが、ポリアミド樹脂が好ましい。一軸配向炭素繊維複合材料は、複数の一軸配向炭素繊維複合材料を積層してなるものとしてもよい。ポリアミド樹脂は上記のものが同様に好ましく挙げられる。
一軸配向炭素繊維複合材料層を製造する方法はとくに限定はなく、例えばプルトリュージョン法などで得ることができる。プルトリュージョン法による場合は炭素繊維が熱可塑性樹脂により含浸されているものが好適に得られる。熱可塑性樹脂による含浸を抑えたもの、すなわち半含浸の層とした場合は、例えば熱可塑性樹脂からなるシート上に炭素繊維の一方向に引き揃えて、必要によりプレスしつつ加熱する方法等で好ましく得ることができる。
複合材料の形状は円柱状、あるいは角柱状であることが好ましい。炭素繊維束を熱可塑性樹脂で固めたストランドを得て、これを切断することにより炭素繊維と熱可塑性樹脂からなる長繊維ペレットを得ることもできる。角柱状の場合、高さ(厚み)を薄くすることでシート状とすることもできる。シート状としたときの好ましい厚みは40〜3000μmである。
このような炭素繊維束を用いた複合体は、従来の補強用繊維を用いた場合と異なり、含浸性が高くなる利点を有するのである。そして本発明の炭素繊維束を使用した複合材料は、機械強度に優れた炭素繊維強化熱可塑性樹脂複合材料となる。特に、複合材料成形時に熱溶融した場合、熱可塑性樹脂を速やかに繊維ストランド内部にまで含浸させることができるため、成型工程時間の短縮化を図ることが可能となり、特に好ましい。
上述の複合材料には、本発明の目的を損なわない範囲で、無機フィラー等の各種の添加剤を含んでも良い。無機フィラーとしては、タルク、珪酸カルシウム、ワラストナイト、モンモリロナイトや各種の無機ナノフィラーを挙げることができる。また、必要に応じて、耐熱安定剤、帯電防止剤、耐候安定剤、耐光安定剤、老化防止剤、酸化防止剤、軟化剤、分散剤、充填剤、着色剤、滑剤など、従来から熱可塑性樹脂に配合されている他の添加剤を、配合することもできる。また、強化繊維束以外に含まれている強化繊維として、強化繊維単糸、1種類以上の熱可塑性樹脂が挙げられる。
以下、実施例により本発明をさらに詳細に説明するが、下記実施例は本発明を制限するものではない。なお、本発明の実施例は、下記に示す方法で評価した。
<サイズ剤の付着量>
サイズ剤の付着量は、サイジング処理を行った5.0mの炭素繊維束を2本採取し、これらをアルミナ坩堝に入れ、窒素雰囲気に置換可能な炉で、常温から450℃に昇温した炉で温度が450℃に達してから60分間焼成し、重量減少した分をサイズ剤の付着分として以下の式(2)によって計算されたものの平均である。
サイズ剤の付着量=(a−b)/b×100 [%] (2)
a:焼成処理前の炭素繊維束重量[g]
b:焼成処理後の炭素繊維束重量[g]
<成形板の厚み>
成形した複合体の板の厚みをマイクロメーターを用いて、8点測定したときの平均値を計算し、成形板の厚みとした。
<融点の測定>
示差走査熱量計(セイコー電子工業株式会社製、DSC220)(温度範囲−150〜725℃)を用いて、昇温速度10℃/分で30℃から測定したときの、結晶融解吸熱ピークの検出値を融点とした。
<粒径>
レーザー回折型粒度分布測定装置(株式会社堀場製作所製、レーザー回折/散乱式粒度分布測定装置、「LA−950」)による粒子径測定でのD10(累積10%粒子径)、D50(累積50%粒子径)およびD90(累積90%粒子径)の値を粒径とした。なお、平均粒子径としてはD50の値を採用した。
<分解温度の測定>
空気中において、示差熱熱重量同時測定装置(セイコー電子工業株式会社製:TG/DTA320(温度範囲;室温〜1500℃)を用いて、昇温速度10℃/分で30℃から400℃まで測定したときの、重量減少が5%のときの温度を分解温度とした。
<繊維体積含有率(Vf)>
15mm角にカットした炭素繊維複合材料成形板の水中での密度を測定し、次にアルミナ製るつぼに入れて550℃に加熱したマッフル炉に30分入れ、マトリックス樹脂を分解させ、分解前後の重量を測定することで、繊維体積含有率を測定した。
<風合い値>
炭素繊維束の風合い値(硬度)は、JIS L−1096 E法(ハンドルオメータ法)に準じ、HANDLE−O−Meter(大栄科学精機製作所製「HOM−200」)を使用して、試験片幅1.5cm×10cm(L)の炭素繊維束を3本採取し、スリット幅を15mmとして試験台に炭素繊維束をのせ、ブレードにて溝の一定深さ(8mm)まで試験片を押し込むときに発生する抵抗力(g)を測定することで、硬度を測定した。この値を、炭素繊維束の風合い値とした。
<超音波探傷法(C−scan)による含浸率>
超音波探傷法による測定装置(日本クラウトクレーマー株式会社製、SDS−WIN)を用いて、本発明中の成形板に対して、一軸配向炭素繊維複合体には34dB、ランダムマットには35.5dBの超音波を用いて得られる2次元マッピング像から、含浸度合が前表面積中の70%以上である割合を、含浸率とした。
<ストランド丸まりの評価>
ストランドの丸まりについて、サイズ剤乾燥後から巻き取り工程(ワインダー手前)までの間で、以下の指標に基づいて4段階の評価を行った。
◎:全く丸まりが確認されないレベル
○:端のみに丸まりが見られるが、問題なく巻き取りできるレベル
△:丸まりによって巻き取り時に端部が折れてしまうレベル
×:完全な棒状に丸まってしまい、扁平形状を保っていないレベル
[実施例1]
(小粒子成分を含むエマルジョン溶液(a1)の調整)
サイズ剤の小粒子成分として、粒径D50が0.3μm(各D10/D50/D90=0.12μm/0.3μm/0.45μm)、融点(結晶融解吸熱ピーク)130℃のナイロン6/ナイロン66/ナイロン12(重量比;45/15/40wt%)三元共重合体ポリアミド樹脂を準備した。
この三元共重合ポリアミド樹脂120g、水179.6gおよび水酸化ナトリウム0.4gを、撹拌機を取り付けたオートクレーブ中に加え、回転数500rpmの状態を保持して150℃まで昇温させ、150℃になった状態で30分間反応を行った。反応終了後、そのまま50℃まで冷却して、ポリアミド樹脂水性分散液を取り出した。得られたポリアミド樹脂水性分散液の樹脂濃度は、水性分散液100重量部に対して40重量部であった。
この得られたポリアミド樹脂水性分散液75gと、別途、25重量%に調整したエチレン−アクリル酸共重合体(アクリル酸変性量 20重量%)のアンモニウム塩水溶液(アンモニアによる中和度0.75)12.0gとを混合し、ポリアミド樹脂組成物を含有するサイズ剤用のエマルジョン溶液(a1)を調製した。
(微小粒子成分を含むエマルジョン溶液(b1)の調整))
サイズ剤の微小粒子成分として、粒径D50が0.1μm(各D10/D50/D90=0.07μm/0.1μm/0.2μm)のポリアミド樹脂を含有するナイロン系水性エマルジョン溶液(b1)(樹脂濃度25wt%)を準備した。
ここで微粒子となる熱可塑性樹脂粒子は、ダイマー酸(重合脂肪酸、ツノダイム395、築野食品工業社製、ダイマー酸含有率94%)とエチレンジアミン、アゼライン酸、ピペラジンを原料としたポリアミド樹脂(ダイマー酸がジカルボン酸成分全体の90モル%)を、イソプロピルアルコール、テトラヒドロフラン、トリエチルアミン、トルエンおよび蒸留水と共に乳化装置に仕込み、130℃で60分、400rpmで撹拌し、更に170重量部の蒸留水を加えた後、80℃に加熱した湯浴につけながら減圧し、イソプロピルアルコール、テトラヒドロフラン、トルエン、水の混合媒体を留去したものであり、最終的にはナイロン系水性エマルジョン溶液(b1)(樹脂濃度25wt%)として用いた。
(サイジング液の調整)
得られた小粒子成分を含有するエマルジョン溶液(a1)と、微小粒子成分を含有するエマルジョン溶液(b1)とを混合しサイジング液とした。
すなわち、微小粒子成分、小粒子成分がそれぞれ、エマルジョン1000重量部に対してそれぞれ15重量部、12重量部となるように添加し、分散するまで攪拌し、その他の成分を含め全固形分量としては28重量部(その他の成分、1重量部)となるサイジング液(サイズ剤用のエマルジョン溶液)を調製した。
(炭素繊維束の作成)
得られたサイズ剤用のエマルジョン溶液を、サイジング浴内で攪拌しながら、未サイジングの炭素繊維ストランド(東邦テナックス株式会社製、「テナックスSTS−24K N00」、直径7μm×24000フィラメント、繊度1.6g/m、引張強度4000MPa(408kgf/mm)、引張弾性率238GPa(24.3ton/mm))を連続的に浸漬させ、フィラメント間に炭素繊維用サイズ剤用のエマルジョン溶液を含浸させた。
これを170℃の乾燥炉に約120秒間通したあと、150℃の乾燥炉に約120秒間通し、乾燥・熱処理し、幅約10mmの炭素繊維束を得た。
得られた炭素繊維束中の全サイズ剤の付着量は、炭素繊維100重量部に対して、0.95重量部であった。微小粒子成分は0.50重量部、小粒子成分は0.40重量部(その他固形分、0.5重量部)となる。また、この炭素繊維束の風合い値を測定したところ、176であった。また、ストランドの丸まり程度を評価すると、「○:端のみに丸まりが見られるが、問題なくワインドできるレベル」であった。
(複合体(一軸配向炭素繊維複合体)の作製)
続いて、実施例1で得られた炭素繊維束を丸棒でしごきながら、一方向に引き揃えて、シート状として、シートの上下に、炭素繊維100体積部に対してポリアミド6樹脂100体積部となる様にポリアミド6フィルム(ユニチカ株式会社製「エンブレム」25μm厚みのフィルム、融点230℃)を乗せ、260℃のホットプレスにて2.5MPaの圧力をかけて一軸配向炭素繊維複合材料シートを得た。一軸配向炭素繊維複合材料シートの炭素繊維目付は、100g/mで、これを一方向に18枚重ね、260℃に加熱したプレス装置にて、3.0MPaの圧力下にて15分間加熱し、徐冷することで成形板(炭素繊維複合体)を得た。
実施例1で得られた炭素繊維束を用いた成形板の厚みは1.73mmであり、繊維体積含有率(Vf)は49%であった。また、超音波探傷法の2次元マッピング(C−scan)による測定から得られた含浸率は92であった。
結果は表1に記した。
(複合体(ランダムマット)の作製)
実施例1で得られた炭素繊維束を用いて、等方性炭素繊維複合材料(ランダムマット)を作製した。すなわち、該炭素繊維束を16mmにカットしたもの、およびPA6樹脂パウダー(ナイロン6樹脂パウダー、ユニチカ株式会社製「A1030FP」、融点230℃)を、炭素繊維の供給量を450g/min、PA6樹脂パウダーの供給量を480g/minにセットしてテーパー管内に導入し、PA6樹脂パウダーとともにテーパー管出口の下部に設置したテーブル上に散布した。散布された炭素繊維およびPA6樹脂パウダーを、テーブル下部よりブロワにて吸引し、定着させて、厚み5mm程度の未成形段階の良好な炭素繊維ランダムマットを得た。
得られた炭素繊維ランダムマットを、予備プレス工程として260℃に加熱したプレス装置にて、3MPaにて5分間加熱し、目付け2800g/m、厚み1.98mmの複合材とした。
この実施例1で得られた炭素繊維束を用いた中間基材(ランダムマット炭素繊維複合体)の繊維体積含有率(Vf)は42Vol%であった。また、超音波探傷法の2次元マッピング(C−scan)による測定から得られた含浸率は89であり、良好なランダムマット炭素繊維複合体を得た。結果は表1に併せて記した。
さらにここで得られた中間基材1枚を300℃となるまで昇温し、厚さ1.6mmである金型にて、金型温度130℃のコールドプレスを行い、成形品(複合材料)を得た。金型の隅の部分までマトリックス樹脂と補強用繊維がランダムに配置され、均一性の高い成形品(複合材料)を得ることができた。またコールドプレスによる物性の低下も見られず、耐久性も高い複合体であった。
[実施例2]
(小粒子成分を含むエマルジョン溶液(a2)の調整)
サイズ剤の小粒子成分として、粒径D50が0.35μm(各D10/D50/D90=0.12μm/0.35μm/0.5μm)、融点(結晶融解吸熱ピーク)115℃のナイロン6/ナイロン66/ナイロン12(重量比;25/20/55wt%)三元共重合体ポリアミド樹脂を準備した。
このポリアミド樹脂を、実施例1と同様にして、水性分散液100重量部に対して40重量部であるポリアミド樹脂組成物を含有するサイズ剤用のエマルジョン溶液(a2)を調製した。
(サイジング液の調整)
上記にて得られた小粒子成分を含有するエマルジョン溶液(a2)と、実施例1にて用いた微小粒子成分を含有するエマルジョン溶液(b1)とを混合しサイジング液とした。
なお、実施例1とは比率を変更し、微小粒子成分、小粒子成分がそれぞれ、エマルジョン1000重量部に対してそれぞれ30重量部、7重量部となるように添加し、分散するまで攪拌し、全固形分量としてはその他の成分も併せて37.5重量部となるサイジング液(サイズ剤用のエマルジョン溶液)を調製した。
(炭素繊維束の作成)
得られたサイズ剤用のエマルジョン溶液を、実施例1と同様にして炭素繊維ストランドに浸漬させ、170℃の乾燥炉に約120秒間通したあと、150℃の乾燥炉に約120秒間通し、乾燥・熱処理し、幅約10mmの炭素繊維束を得た。
得られた炭素繊維束中の全サイズ剤の付着量は、炭素繊維100重量部に対して、1.25重量部であった。微小粒子成分微小粒子成分は1.0重量部、小粒子成分は0.22重量部(その他固形分、0.03重量部)となった。また、この炭素繊維束の風合い値を測定したところ、141であった。また、ストランドの丸まり程度を評価すると、「◎:全く丸まりが確認されないレベル」であった。
(複合体(一軸配向炭素繊維複合体及びランダムマット)の作製)
得られた炭素繊維束を用いて、実施例1と同様に2種の複合体(一軸配向炭素繊維複合体及びランダムマット)を作製した。さらにここで得られたランダムマットを用いて実施例1と同様にコールドプレスを行い、成形品(複合材料)を得た。金型の隅の部分までマトリックス樹脂と補強用繊維がランダムに配置され、均一性の高い成形品(複合材料)を得ることができた。またコールドプレスによる物性の低下も見られず、耐久性も高い複合体であった。
得られた炭素繊維束を用いた一軸配向炭素繊維複合体及びランダムマットの結果は表1に併せて記した。
[実施例3]
(微小粒子成分を含むエマルジョン溶液(b2)の調整)
サイズ剤の微小粒子成分として、粒径D50が0.07μm(各D10/D50/D90=0.05μm/0.07μm/0.09μm)のポリアミド樹脂を含有するナイロン系水性エマルジョン溶液(b2)(樹脂濃度20wt%)を準備した。
ここで微粒子となる熱可塑性樹脂粒子は、ダイマー酸(重合脂肪酸、ツノダイム395、築野食品工業社製、ダイマー酸含有率94%)とエチレンジアミンを原料としたポリアミド樹脂(ダイマー酸がジカルボン酸成分全体の100モル%)を、イソプロピルアルコール、テトラヒドロフラン、N,N−ジメチルエタノールアミンおよび蒸留水と共に乳化装置に仕込み、120℃で60分、300rpmで撹拌し、更に120重量部の蒸留水を加えた後、80℃に加熱した湯浴につけながら減圧し、イソプロピルアルコール、テトラヒドロフラン、水の混合媒体を留去したものであり、最終的にはナイロン系水性エマルジョン溶液(b2)(樹脂濃度20wt%)として用いた。
(サイジング液の調整)
実施例1にて用いた、小粒子成分を含有するエマルジョン溶液(a1)と、上記にて得られた、微小粒子成分を含有するエマルジョン溶液(b2)とを混合しサイジング液とした。
ただし、実施例1とは比率を変更し、微小粒子成分、小粒子成分がそれぞれ、エマルジョン1000重量部に対してそれぞれ30重量部、12重量部となるように添加し、分散するまで攪拌し、全固形分量としては43重量部(その他の成分、1重量部)となるサイジング液(サイズ剤用のエマルジョン溶液)を調製した。
(炭素繊維束の作成)
得られたサイズ剤用のエマルジョン溶液を、実施例1と同様にして炭素繊維ストランドに浸漬させ、170℃の乾燥炉に約120秒間通したあと、150℃の乾燥炉に約120秒間通し、乾燥・熱処理し、幅約10mmの炭素繊維束を得た。
得られた炭素繊維束中の全サイズ剤の付着量は、炭素繊維100重量部に対して、1.45重量部であった。微小粒子成分は1.0重量部、小粒子成分小粒子成分は0.41重量部(その他固形分、0.04重量部)となった。また、この炭素繊維束の風合い値を測定したところ、170であった。また、ストランドの丸まり程度を評価すると、「○:端のみに丸まりが見られるが、問題なく巻き取りできるレベル」であった。
(複合体(一軸配向炭素繊維複合体及びランダムマット)の作製)
得られた炭素繊維束を用いて、実施例1と同様に2種の複合体(一軸配向炭素繊維複合体及びランダムマット)を作製した。さらにここで得られたランダムマットを用いて実施例1と同様にコールドプレスを行い、成形品(複合材料)を得た。金型の隅の部分までマトリックス樹脂と補強用繊維がランダムに配置され、均一性の高い成形品(複合材料)を得ることができた。またコールドプレスによる物性の低下も見られず、耐久性も高い複合体であった。
得られた炭素繊維束を用いた一軸配向炭素繊維複合体及びランダムマットの結果は表1に併せて記した。
[実施例4]
(サイジング液の調整)
実施例2にて用いた小粒子成分を含有するエマルジョン溶液(a2)と、実施例3で用いた微小粒子成分を含有するエマルジョン溶液(b2)とを混合しサイジング液とした。
ただし、上記実施例とは比率を変更し、微小粒子成分、小粒子成分が、エマルジョン1000重量部に対してそれぞれ15重量部、7重量部となるように添加し、分散するまで攪拌し、全固形分量としてはその他の成分も併せて22.5重量部となるサイジング液(サイズ剤用のエマルジョン溶液)を調製した。
(炭素繊維束の作成)
得られたサイズ剤用のエマルジョン溶液を、実施例1と同様にして炭素繊維ストランドに浸漬させ、170℃の乾燥炉に約120秒間通したあと、150℃の乾燥炉に約120秒間通し、乾燥・熱処理し、幅約9mmの炭素繊維束を得た。
得られた炭素繊維束中の全サイズ剤の付着量は、炭素繊維100重量部に対して、0.75重量部であった。微小粒子成分は0.5重量部、小粒子成分は0.22重量部(その他固形分、0.03重量部)であった。また、この炭素繊維束の風合い値を測定したところ、111であった。また、ストランドの丸まり程度を評価すると、「◎:全く丸まりが確認されないレベル」であった。
(複合体(一軸配向炭素繊維複合体及びランダムマット)の作製)
得られた炭素繊維束を用いて、実施例1と同様に2種の複合体(一軸配向炭素繊維複合体及びランダムマット)を作製した。さらにここで得られたランダムマットを用いて実施例1と同様にコールドプレスを行い、成形品(複合材料)を得た。金型の隅の部分までマトリックス樹脂と補強用繊維がランダムに配置され、均一性の高い成形品(複合材料)を得ることができた。またコールドプレスによる物性の低下も見られず、耐久性も高い複合体であった。
得られた炭素繊維束を用いた一軸配向炭素繊維複合体及びランダムマットの結果は表1に併せて記した。
[実施例5]
(微小粒子成分を含むエマルジョン溶液(b3)の調整)
サイズ剤の微小粒子成分として、粒径D50が0.15μm(各D10/D50/D90=0.08μm/0.15μm/0.2μm)のビニルエステル樹脂水性分散体(b3)を準備した。
(サイジング液の調整)
実施例1にて用いた小粒子成分を含有するエマルジョン溶液(a1)と、上記の微小粒子成分を含有するエマルジョン溶液(b3)とを混合しサイジング液とした。
ただし、上記実施例とは比率を変更し、微小粒子成分、小粒子成分がそれぞれ、エマルジョン1000重量部に対してそれぞれ8重量部、12重量部となるように添加し、分散するまで攪拌し、全固形分量としてはその他の成分も併せて21重量部となるサイジング液(サイズ剤用のエマルジョン溶液)を調製した。
(炭素繊維束の作成)
得られたサイズ剤用のエマルジョン溶液を、実施例1と同様にして炭素繊維ストランドに浸漬させ、170℃の乾燥炉に約120秒間通したあと、150℃の乾燥炉に約120秒間通し、乾燥・熱処理し、幅約8mmの炭素繊維束を得た。
得られた炭素繊維束中の全サイズ剤の付着量は、炭素繊維100重量部に対して、0.70重量部であった。微小粒子成分は0.25重量部、小粒子成分は0.41重量部(その他固形分、0.04重量部)であった。また、この炭素繊維束の風合い値を測定したところ、152であった。また、ストランドの丸まり程度を評価すると、「△:丸まりによって巻き取り時に端部が折れてしまうレベル」であった。
(複合体(一軸配向炭素繊維複合体及びランダムマット)の作製)
得られた炭素繊維束を用いて、実施例1と同様に2種の複合体(一軸配向炭素繊維複合体及びランダムマット)を作製した。さらにここで得られたランダムマットを用いて実施例1と同様にコールドプレスを行い、成形品(複合材料)を得た。金型の隅の部分までマトリックス樹脂と補強用繊維がランダムに配置され、均一性の高い成形品(複合材料)を得ることができた。またコールドプレスによる物性の低下も見られず、耐久性も高い複合体であった。
得られた炭素繊維束を用いた一軸配向炭素繊維複合体及びランダムマットの結果は表1に併せて記した。
[比較例1]
(サイジング液の調整)
実施例2にて用いた微小粒子成分を含有するエマルジョン溶液(b2)のみを用い、小粒子成分を含有するエマルジョン溶液は用いずにサイジング液とした。微小粒子成分は、エマルジョン1000重量部に対して13重量部であった。
(炭素繊維束の作成)
得られたサイズ剤用のエマルジョン溶液を、実施例1と同様にして炭素繊維ストランドに浸漬させ、170℃の乾燥炉に約120秒間通したあと、150℃の乾燥炉に約120秒間通し、乾燥・熱処理し、幅約9mmの炭素繊維束を得た。
得られた炭素繊維束中の全サイズ剤の付着量は、炭素繊維100重量部に対して、0.5重量部であった。また、この炭素繊維束の風合い値を測定したところ、42との低いものであった。しかしストランドの丸まり程度を評価すると、「◎:全く丸まりが確認されないレベル」であった。
(複合体(一軸配向炭素繊維複合体及びランダムマット)の作製)
得られた炭素繊維束を用いて、実施例1と同様に2種の複合体(一軸配向炭素繊維複合体及びランダムマット)を作製した。
得られた一方向性成形板(一軸配向炭素繊維複合体)の厚みは1.72mmであり、繊維体積含有率(Vf)は48%であった。また、超音波探傷法の2次元マッピング(C−scan)による測定から得られた含浸率は80であり、含浸性のよい一方向性成形板(一軸配向炭素繊維複合体)を得た。
一方、実施例1と同様の条件で得られた等方性炭素繊維複合材料(ランダムマット)の厚みは2.05mm、繊維体積含有率(Vf)41Vol%であり、複合材料中の炭素繊維はよく開繊されており、最終的な塗布状態は束状になっていなかった。超音波探傷法の2次元マッピング(C−scan)による測定から得られた含浸率は67であった。しかし炭素繊維束の風合いが低いために、マットの繊維形態が変化して体積が大きくなり、成形性の悪いランダムマット(複合材料成形板)であった。
[比較例2]
(サイジング液の調整)
実施例1にて用いた小粒子成分を含有するエマルジョン溶液(a1)のみを用い、微小粒子成分を含有するエマルジョン溶液は用いずにサイジング液とした。微小粒子成分は、エマルジョン1000重量部に対して12重量部であった。
(炭素繊維束の作成)
得られたサイズ剤用のエマルジョン溶液を、実施例1と同様にして炭素繊維ストランドに浸漬させ、170℃の乾燥炉に約120秒間通したあと、150℃の乾燥炉に約120秒間通し、乾燥・熱処理し、幅約6mmの炭素繊維束を得た。
得られた炭素繊維束中の全サイズ剤の付着量は、炭素繊維100重量部に対して、0.45重量部であった。また、この炭素繊維束の風合い値を測定したところ、134であった。しかしストランドの丸まり程度を評価すると、「×:完全な棒状に丸まってしまい、扁平形状を保っていないレベル」であった。
(複合体(一軸配向炭素繊維複合体及びランダムマット)の作製)
得られた炭素繊維束を用いて、実施例1と同様に2種の複合体(一軸配向炭素繊維複合体及びランダムマット)を作製した。
得られた一方向性成形板(一軸配向炭素繊維複合体)の厚みは1.76mmであり、繊維体積含有率(Vf)は48%であった。また、超音波探傷法の2次元マッピング(C−scan)による測定から得られた含浸率は68であり、得られた一方向性成形板(一軸配向炭素繊維複合体)の含浸性は劣るものだった。
一方、実施例1と同様の条件で得られた等方性炭素繊維複合材料(ランダムマット)の厚みは1.94mm、繊維体積含有率(Vf)40Vol%であり、複合材料中の炭素繊維は束状になっていた。
また、超音波探傷法の2次元マッピング(C−scan)による測定から得られた含浸率は65であった。この低い含浸率は、炭素繊維束ストランド内部の各フィラメントへのサイズ剤の付着が良好でないために、繊維束内部のフィラメント間への含浸性が困難となったのであると考えられる。
続いて、得られた炭素繊維束を用いて、実施例1と同様にして一方向性成形板を得た。成形板の厚みは1.76mmであり、繊維体積含有率(Vf)は48%であった。また、超音波探傷法の2次元マッピング(C−scan)による測定から得られた含浸率は68であり、比較的含浸性のよい一方向性複合材料成形板を得た。
次に、得られた炭素繊維束を用いて、実施例1と同様の条件で、等方性炭素繊維複合材料(ランダムマット)を作製した。成形板の厚みは1.94mm、繊維体積含有率(Vf)40Vol%の、塗布状態が束状になっている炭素繊維ランダムマット複合材料成型板(ランダムマット炭素繊維複合体)を得た。また、超音波探傷法の2次元マッピング(C−scan)による測定から得られた含浸率は65であった。ストランド内部のフィラメントへのサイズ剤の付着が良好でないために、内部のフィラメントへの含浸性が困難なランダムマット複合材料成形板となった。
Figure 0006211761

Claims (11)

  1. 繊維表面にサイズ剤を付与し加熱乾燥する炭素繊維束の製造方法であって、繊維表面に付与されたサイズ剤が積算50%粒子径D50が0.25μm未満の微小粒子と、0.3μm以上の小粒子が併存する2種類の樹脂成分のサイズ剤であり、小粒子の積算10%粒子径D10が0.05μm以上であり、加熱乾燥温度が小粒子の融点以上であることを特徴とする炭素繊維束の製造方法。
  2. サイズ剤の付与方法が2段階以上である請求項1記載の炭素繊維束の製造方法。
  3. 微小粒子の積算90%粒子径D90が0.35μm未満である請求項1または2記載の炭素繊維束の製造方法。
  4. 小粒子が熱可塑性樹脂である請求項1〜3のいずれか1項記載の炭素繊維束の製造方法。
  5. 微小粒子が熱可塑性樹脂である請求項1〜4のいずれか1項記載の炭素繊維束の製造方法。
  6. 熱可塑性樹脂がポリアミド系樹脂である請求項4または5記載の炭素繊維束の製造方法。
  7. 加熱乾燥工程における炭素繊維束の幅が6〜30mmである請求項1〜6のいずれか1項記載の炭素繊維束の製造方法。
  8. 請求項1〜7のいずれか1項記載の炭素繊維束の製造方法により得られる炭素繊維束。
  9. 請求項8記載の炭素繊維束と熱可塑性樹脂からなる複合材料。
  10. 炭素繊維束が長繊維である請求項9記載の複合材料。
  11. 炭素繊維束が不連続繊維である請求項9記載の複合材料。
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