JP2020023770A - サイジング剤付着炭素繊維束およびその製造方法 - Google Patents

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裕貴 鈴木
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Abstract

【課題】マトリクス樹脂との接着性と、繊維束内へのマトリクス樹脂の含浸性を満足し、さらに優れた取扱性を有するサイジング剤付着炭素繊維束を提供すること。【解決手段】炭素繊維表面にサイジング剤が付着した炭素繊維束であって、該サイジング剤付着炭素繊維束の風合いが10mg/tex以上であり、水の濡れ上がり時間が3.0sec以下であるサイジング剤付着炭素繊維束。前記サイジング剤は、高分子の主鎖結合中にエステル結合、ウレタン結合、カーボネート結合のうち少なくともいずれか1種の結合を有する高分子を含むサイジング剤であることが好ましく、主鎖結合中にエステル結合を有する高分子を含むサイジング剤であることがより好ましい。また、サイジング剤が、ガラス転移温度が100℃以下のサイジング剤であることも好ましい。【選択図】なし

Description

本発明は、取扱性に優れ、かつ、マトリクス樹脂の含浸性およびマトリクス樹脂との接着性に優れるサイジング剤付着炭素繊維束およびその製造方法に関するものである。
炭素繊維によってマトリクス樹脂が強化された炭素繊維複合材料は、軽量でありながら強度、剛性、寸法安定性等に優れることから、事務機器用途、自動車用途、コンピューター用途(ICトレイ、ノートパソコンの筐体(ハウジング)など)等の一般産業分野に広く展開され、その需要は年々増加しつつある。しかしこの複合材料に用いられる炭素繊維は、マトリクス樹脂と化学組成や分子構造が異なるため、親和性や接着性の向上が大きな課題となっている。
また、中でも炭素繊維が、マトリクス樹脂中で複数のフィラメント(単糸)が集合した繊維束の形態で使用される場合には、上記の繊維とマトリクス樹脂との親和性、接着性などの界面の問題に加えて、取扱性の面でも様々な問題があった。例えば、繊維束をカットする工程や開繊する工程での安定性や、マトリクス樹脂を含浸する工程における加工性等の問題である。繊維束の状態が安定しない場合には、繊維基材の内層部に樹脂を含浸させる際に含浸の度合いが大きく異なることとなり、安定した複合材料の物性を得ることが出来ないのである。
従来、繊維とマトリクス樹脂との親和性を高める目的で、さまざまサイジング剤が検討されている。例えば特許文献1ではエポキシエマルジョン系サイジング剤を繊維に付着させることで、繊維とマトリクス樹脂との界面接着性を向上させて、複合材料の強度を改善する方法が開示されている。あるいは特許文献2では熱可塑性樹脂のポリプロピレンをマトリクスとする場合に、アミノ基含有ポリオレフィン系サイジング剤で処理する方法が開示されている。
しかしこれらの方法では、界面接着強度こそ向上するものの、マトリクス樹脂の含浸性に関しては乏しく、また、取扱性も不十分であるという問題があった。
特に、複合材料のマトリクス樹脂が高粘度の熱可塑性樹脂である場合、この問題が顕著であった。そのため、取扱性に優れ、かつ、マトリクス樹脂の含浸性およびマトリクス樹脂との接着性に優れた炭素繊維束が求められている。
特開平4−170435号公報 国際公開第2011/030544号
本発明の目的は、マトリクス樹脂との接着性と、繊維束内へのマトリクス樹脂の含浸性を満足し、さらに優れた取扱性を有するサイジング剤付着炭素繊維束を提供することにある。
本発明のサイジング剤付着炭素繊維束は、炭素繊維表面にサイジング剤が付着した炭素繊維束であって、該サイジング剤付着炭素繊維束の風合いが10mg/tex以上であり、水の濡れ上がり時間が3.0sec以下であるサイジング剤付着炭素繊維束である。本発明において、前記サイジング剤は、高分子の主鎖結合中にエステル結合、ウレタン結合、カーボネート結合のうち少なくともいずれか1種の結合を有する高分子を含むサイジング剤であることが好ましく、主鎖結合中にエステル結合を有する高分子を含むサイジング剤であることがより好ましい。また、サイジング剤が、ガラス転移温度が100℃以下のサイジング剤であることも好ましい。
また、本発明のサイジング剤付着炭素繊維束の製造方法は、炭素繊維束にサイジング剤溶液を塗布するサイジング剤溶液塗布工程と、サイジング剤溶液が塗布された炭素繊維束を乾燥させる乾燥工程を有するサイジング剤付着炭素繊維束の製造方法であって、前記炭素繊維束を乾燥させる乾燥工程において、室温から100℃までの温度域において、2.0℃/sec以上の昇温速度で炭素繊維束を昇温するサイジング剤付着炭素繊維束の製造方法である。本発明において、前記乾燥工程では、炭素繊維束を垂直流の熱風乾燥方式で乾燥させることが好ましく、また、炭素繊維束を100℃以上の温度で60sec以上保持することも好ましい。炭素繊維束にサイジング剤を塗布するサイジング剤溶液塗布工程においては、サイジング浴入口における炭素繊維束の張力を15mN/tex以上とすることも好ましい。
本発明のサイジング剤付着炭素繊維束は、優れた取扱性を有し、また、マトリクス樹脂との接着性に優れ、繊維束内へのマトリクス樹脂の含浸性も高いため、機械特性に優れた複合材料を得ることができる。
本発明のサイジング剤付着炭素繊維束の製造方法によれば、マトリクス樹脂との接着性と、繊維束内へのマトリクス樹脂の含浸性を満足し、さらに優れた取扱性を有するサイジング剤付着炭素繊維束を得ることができる。
本発明のサイジング剤付着炭素繊維束は、炭素繊維表面にサイジング剤が付着した炭素繊維束であって、該サイジング剤付着炭素繊維束の風合いが10mg/tex以上であり、水の濡れ上がり時間が3.0sec以下であるサイジング剤付着炭素繊維束である。
サイジング剤付着炭素繊維束の風合いを10mg/tex以上とすることで、炭素繊維間の集束性が適切に保たれ、後加工時に取扱性の高い炭素繊維束となる。風合いが10mg/texより低いと、繊維束を解舒する際に糸の絡み合いが生じ、安定した解舒が困難となると共に、マット等に加工する際、嵩密度が低くなりハンドリングが困難となる。炭素繊維束の風合いは、10mg/tex以上60mg/tex以下とすることが好ましく、20mg/tex以上であることがより好ましく、25mg/tex以上50mg/tex以下であることがさらに好ましい。風合いがかかる範囲であると、加工時の取扱性に優れるとともに、炭素繊維束中の単糸間距離が適切な距離に保持され、マトリクス樹脂を含浸させる際、樹脂の流路が確保されマトリクス樹脂の含浸性が向上するという効果が得られる。風合いが高すぎる場合、炭素繊維束中の単糸間距離が狭まりやすい傾向があり、マトリクス樹脂の含浸性が低下する場合がある。
また、サイジング剤付着炭素繊維束の水の濡れ上がり時間を3.0sec以下とすることでマトリクス樹脂、特に、エポキシ樹脂、ビニルエステル樹脂、ポリプロピレン等のポリオレフィン、ポリアミド等のマトリクス樹脂の含浸時の含浸速度を向上することが出来る。水の濡れ上がり時間が3.0secよりも大きい場合、マトリクス樹脂を含浸させるためには、高温、高圧が必要となり、経済的に不利となる。水の濡れ上がり時間は、0.01〜2.0secであることがより好ましく、0.1〜1.0secであることがさらに好ましい。
このようなサイジング剤付着炭素繊維束を得るためのサイジング剤としては、高分子の主鎖結合中にエステル結合、ウレタン結合、カーボネート結合のうち少なくともいずれか1種の結合を有する高分子を含むサイジング剤を用いることが好ましい。
このようなサイジング剤を用いることで、サイジング剤付着炭素繊維束に柔軟性を付与し、優れた取扱性を付与するとともに、結合中のカルボニル基の効果により炭素繊維表面に適切な極性が付与され、マトリクス樹脂の含浸性が向上する。
このようなサイジング剤としては、高分子の主鎖結合中にエステル結合を有する高分子を含むサイジング剤が好ましい。エステル結合を有する高分子を含むサイジング剤を用いることでエステル結合中のカルボニル基の効果により炭素繊維表面に適切な極性が付与されマトリクス樹脂の含浸性が向上するとともに、適度な集束性および取扱性を付与することが出来る。
また、高分子の主鎖結合中にウレタン結合を有する高分子を含むサイジング剤が好ましい。ウレタン結合を有する高分子を含むサイジング剤を用いることでウレタン結合中のカルボニル基の効果により炭素繊維表面に適切な極性が付与されマトリクス樹脂の含浸性が向上するとともに、サイジング剤付着炭素繊維に柔軟性を付与し、加工時に糸道に対する追従性の高い炭素繊維束とすることが出来るまた、柔軟なウレタン構造により、擦過時の応力を緩和し毛羽の発生を抑制することが可能となる。
また、高分子の主鎖結合中にウレタン結合およびエステル結合を有する高分子を含むサイジング剤が好ましい。このようなサイジング剤を用いることでウレタン結合およびエステル結合中のカルボニル基の効果により炭素繊維表面に適切な極性が付与されマトリクス樹脂の含浸性が向上するとともに、柔軟性と集束性を両立させることが出来る。また、このような高分子化合物としてはガラス転移温度が100℃以下であることが好ましい。ガラス転移温度が100℃以下であることで、サイジング剤を炭素繊維に塗布した後の乾燥工程において、サイジング剤が炭素繊維表面に均一に濡れ拡がり、サイジング剤の付着斑の少ないサイジング剤付着炭素繊維束を得ることが出来る。
このような特徴を有する高分子としては、ポリエステル、エステル型ポリウレタン、エステル・エーテル型ポリウレタン等が挙げられる。これらの高分子の具体例としては、例えば商品名「Z−561」(互応化学工業(株)製水溶性ポリエステル)、「Z−687」(互応化学工業(株)製水溶性ポリエステル)、「ペスレジンA−640」(高松油脂(株)製ポリエステル樹脂水分散体)、「ペスレジンA−645GH」(高松油脂(株)製ポリエステル樹脂水分散体)、「スーパーフレックス126」(第一工業製薬(株)製エステル・エーテル系ポリウレタン水分散体)、「スーパーフレックス150」(第一工業製薬(株)製エステル・エーテル系ポリウレタン水分散体)、「スーパーフレックス300」(第一工業製薬(株)製エステル・エーテル系ポリウレタン水分散体)、「スーパーフレックス620」(第一工業製薬(株)製エステル系ポリウレタン水分散体)、「ディスパコールU54」(住友バイエルウレタン(株)製エステル系ポリウレタン)等が挙げられる。
サイジング剤の付着量としては、サイジング剤付着炭素繊維の重量に対し、0.1重量%〜10重量%であることが好ましい。サイジング剤付着量がこの範囲であると、繊維表面に均一にサイジングしやすくなり、毛羽立ち等を抑制することができるとともに、取り扱いに際し適切な集束性を付与することが出来る。さらに好ましくは0.2重量%〜5重量%であり、さらに好ましくは0.2重量%〜2重量%である。サイジング剤の付着量はサイジング剤液中の不揮発分の濃度を調整することで調整できる。
本発明のサイジング剤付着炭素繊維束は、特に制限されるものではないが、複数のフィラメント(単糸)が集合した繊維束として使用される場合に、特に顕著な効果が得られる。繊維束を構成するフィラメントの構成本数としては、本発明では、10本以上であれば繊維束状態と定義されるが、100本以上であることが好ましく、さらには1,000〜100,000本であることが好ましい。さらに、生産性の観点などから3,000〜80,000本であることが好ましく、さらには6,000本〜50,000本の範囲であることが好ましい。繊維束を構成するフィラメントの本数が少ない方と、繊維束の柔軟性が増してハンドリング性が向上する傾向がある一方、強化繊維の生産性が低下する傾向にある。一方、本数が多い場合には繊維束の生産が困難になる場合があり、また、サイジング剤などの表面処理剤によって十分に処理されにくい傾向になる。
繊維束の全体形状としては扁平繊維束であることが好ましい。繊維束が扁平繊維束であると、繊維束の内部にまで塗布したサイジング剤、及びその後の複合材料とした時に用いるマトリクス樹脂が、より拡散しやすくなる。
また、繊維束の中心までサイジング剤や、マトリクス樹脂が浸透するまでにかかる時間は、繊維束の厚みの2乗に比例するため、短時間で含浸を完了させるためには繊維束を拡幅し、繊維束の厚みを薄くすることが好ましい。繊維束の厚みのとしては200μm以下であることが好ましい。また、ハンドリング性と成形性の観点からは繊維束の厚みとしては10μm以上であることが好ましい。さらには繊維束の厚みとしては30〜150μmの範囲が好ましく、特に50〜120μmの範囲がより好ましい。
このような繊維束の幅としては5mm以上であることが好ましく、10〜100mmの範囲であることが特に好ましい。繊維束の扁平率(繊維束の幅/厚み)としては10倍以上、特には50〜400倍の範囲にあることが好ましい。また繊維束の長さとしては1〜100mmの範囲であることが好ましい。さらには5〜50mmの範囲であることが好ましい。
本発明で用いる繊維(単糸)の平均直径としては、0.001〜100μmの範囲が好ましく、3〜20μmの範囲がより好ましい。さらに好ましい平均直径の範囲としては4〜15μm、特に好ましい範囲は、5〜10μmである。繊維径が小さすぎると、繊維成分が嵩高くなり、繊維の体積分率を高くしにくくなる傾向がある。一方、繊維径が大きすぎると、高い強度を有する繊維を得にくくなる傾向がある。繊維径が上記の範囲であると、機械強度に優れた複合材料を得ることができる。
サイジング剤を炭素繊維束に付着させる方法としては、特に制限はないが、サイジング剤分散液を繊維に付着させる方法(サイジング処理)が好ましい。サイジング剤を溶解する溶媒としては、特に制限はないが、水であることが好ましい。また、界面活性剤を用いて乳化させ、サイジング剤水分散液を調整し、サイジングする方法も好ましい。
サイジング剤水分散液を調整する場合、界面活性剤は、特に制限されるものではなく、アニオン系、カチオン系、ノニオン系界面活性剤等を用いることができる。中でもノニオン系界面活性剤が、乳化性能および分散液の安定性の観点から好ましい。
ノニオン系界面活性剤としては、ポリエチレングリコール型(高級アルコールエチレンオキサイド付加物、アルキルフェノールエチレンオキサイド付加物、脂肪酸エチレンオキサイド付加物、ポリプロピレングリコールエチレンオキサイド付加物等)、多価アルコール型(グリセリンの脂肪酸エステル、ソルビトール脂肪酸エステル、脂肪酸アルカノールアミド等)等の界面活性剤が挙げられる。
乳化方法としては、撹拌翼を具備したバッチを用いる方法、ボールミルを用いる方法、振とう器を用いる方法、ガウリンホモジナイザ等の高せん断乳化機を用いる方法等が挙げられる。
また、前記界面活性剤は、サイジング剤成分を乳化できれば特に制限はないが、通常0.1〜30質量%程度添加すればよい。
サイジング処理する方法の例としては、サイジング剤液に繊維束を接触させる方法が挙げられる。具体的には、サイジング剤液中にロールの一部を浸漬させ表面転写した後、このロールに繊維束を接触させてサイジング剤水溶液を付着させるタッチロール式、繊維束を直接サイジング剤液に浸漬させ、その後必要に応じてニップロールを通過させてサイジング剤液の付着量を制御する浸漬方式等が挙げられる。
サイジング剤液に繊維束を接触させる工程において、サイジングバス入口における炭素繊維束の張力が15mN/tex以上であることが好ましく、20〜100mN/texであることがより好ましい。15mN/texより低い張力でサイジングを行うと、炭素繊維束中の単糸間距離が長くなり、サイジング剤付着炭素繊維束の集束性が低くなり、取り扱いが困難となる。
また、繊維束から溶媒を除去する方法に関しては、サイジング剤付着炭素繊維束を室温から100℃までの間、2.0℃/sec以上の速度で昇温することが好ましく、より好ましくは3.0℃/sec以上であり、さらに好ましくは4.0℃/sec以上の速度で昇温することが好ましい。昇温速度の上限は特に限定されないが、100℃/sec以下であることが好ましい。このような速度でサイジング剤付着炭素繊維束を乾燥させることで、溶媒の除去と共に、サイジング剤成分の炭素繊維束上での濡れ拡がりを促進し、炭素繊維をサイジング剤によって均一に被覆することが可能となり、サイジング剤付着炭素繊維束の水の濡れ上がり時間を3.0sec以下とすることが可能となると共に、均一に被覆したサイジング剤にて繊維間を集束することにより、風合いを10mg/tex以上とすることが出来る。
このような速度での乾燥を行う上で乾燥方式は熱処理が好ましく、熱処理の加熱手段としては、熱風を使用することが好ましい。特に炭素繊維束に対し垂直に熱風を吹き付ける垂直流の熱風乾燥機を使用することで、サイジング剤付着炭素繊維束の室温から100℃までの昇温速度をより早めることが出来る。
さらに、乾燥工程においては、水を除去後、サイジング剤付着炭素繊維束の温度を100℃以上で60sec以上保持することが好ましい。このような保持時間を確保することで、サイジング剤が十分に軟化し炭素繊維上に均一に濡れ広がることで繊維間の集束性が向上する。
本発明のサイジング剤付着炭素繊維束に用いられる炭素繊維としては特に制限が無く、ピッチ系、レーヨン系、PAN系、単層カーボンナノチューブ、多層カーボンナノチューブ、カーボンナノファイバー等何れの炭素繊維も使用できるが、操作性、工程通過性、及び機械強度等を鑑みるとアクリロニトリル(PAN)系が好ましい。炭素繊維の繊度、強度等の特性も特に制限が無く、公知の何れの炭素繊維も制限無く使用できる。PAN系の炭素繊維は、例えば、以下の方法により製造することができる。
<前駆体繊維>
炭素繊維の前駆体繊維としては、アクリロニトリルを好ましくは90質量%以上、より好ましくは95質量%以上含有し、その他の単量体を10質量%以下含有する単量体を単独又は共重合した紡糸溶液を紡糸して製造するアクリル系前駆体繊維が好ましい。その他の単量体としてはイタコン酸、(メタ)アクリル酸エステル等が例示される。紡糸後の原料繊維を、水洗、乾燥、延伸、オイリング処理することにより、前駆体繊維が得られる。前駆体繊維のフィラメント数は、製造効率の面では1000本以上が好ましく、12000本以上がより好ましく、24000本以上がさらに好ましい。
<耐炎化処理>
得られた前駆体繊維を、加熱空気中200〜300℃で10〜100分間加熱し耐炎化処理する。耐炎化処理では、前駆体繊維を延伸倍率0.90〜1.20の範囲で繊維を延伸処理することが好ましい。
<炭素化処理>
耐炎化処理した前駆体繊維を、300〜2000℃で炭素化することで炭素繊維が得られる。より引張強度の高い緻密な内部構造をもつ炭素繊維束を得るためには、300℃〜1000℃で低温炭素化した後、1000〜2000℃で高温炭素化する二段階の炭素化工程を経て、炭素化処理を行うことが好ましい。より高い弾性率が求められる場合は、さらに2000〜3000℃の高温で黒鉛化処理を行ってもよい。
<表面酸化処理>
上記で得られた炭素繊維は、サイジング剤及びマトリクスとなる樹脂との濡れ性を改善するために、表面処理を行うことが好ましい。表面処理は、従来公知のいずれの方法でも行うことができるが、装置が簡便であり、工程での管理が容易であることから、工業的には電解酸化を用いることが一般的である。
表面処理の電気量は、炭素繊維1gに対して10〜150クーロンになる範囲とすることが好ましい。電気量をこの範囲で調節すると、繊維としての力学的特性に優れ、かつ、樹脂との接着性の向上した炭素繊維を得ることができる。
電解液としては、例えば、硝酸、硫酸、硫酸アンモニウムや炭酸水素ナトリウムなどが挙げられる。電解液の電解質濃度は0.1規定以上が好ましく、0.1〜1規定がより好ましい。
<サイジング処理>
このようにして得られた炭素繊維に、上記の方法でサイジング処理を行う。サイジング液におけるサイジング剤の濃度は、0.1〜25質量%が好ましい。炭素繊維へのサイジング剤溶液の付与方法は、特に限定されないが、ローラーサイジング法、ローラー浸漬法、スプレー法およびその他公知の方法を用いることができる。中でも、一束あたりの単繊維数が多い炭素繊維束についても、サイジング剤溶液を均一に付与しやすい、ローラー浸漬法が好ましく用いられる。サイジング剤溶液の液温は、溶媒蒸発によるサイジング剤濃度変動を抑えるため10〜50℃の範囲が好ましい。また、サイジング剤溶液を付与した後に、余剰のサイジング剤を絞り取る絞り量の調整することでも、サイジング剤の付着量を調整できる。
<乾燥処理>
サイジング処理後の炭素繊維は、サイジング処理時の分散媒であった水等を蒸散させるため乾燥処理が施され、サイジング剤付着炭素繊維が得られる。乾燥には垂直流式の熱風乾燥機を用いることが好ましい。乾燥温度は特に限定されるものではないが、分散媒として水を用いる場合は100〜180℃とすることが好ましい。また、乾燥工程の後、200℃以上の熱処理工程を経てもよい。
上記のような本発明のサイジング剤付着炭素繊維は、マトリクス樹脂との接着性に優れ、繊維束内へのマトリクス樹脂の含浸性も高いため、機械特性に優れた複合材料を得ることができる。
本発明のもう一つの形態である複合材料は上記の本発明のサイジング剤付着炭素繊維とマトリクス樹脂からなる複合材料である。本発明のサイジング剤付着炭素繊維を用い、マトリクス樹脂と組み合わせ、例えば、オートクレーブ成形、プレス成形、樹脂トランスファー成形、フィラメントワインディング成形など、公知の手段・方法により複合材料が得られる。
サイジング剤付着炭素繊維は、繊維束として用いてもよく、シート状の強化繊維材料として用いることもできる。シート状の材料とは、繊維を一方向にシート状に引き揃えたもの、繊維材料を織編物や不織布等の布帛に成形したもの、多軸織物等が挙げられる。繊維は連続繊維として用いてもよく、不連続繊維としてもよい。不連続繊維を用いる場合、開繊処理を完全に行い単糸形態となった繊維と、不完全に開繊された繊維束形態の強化繊維の混合物であってもよい。また、繊維の配向は、同一方向に引き揃えられていてもよく、ランダムな方向に配向したランダムマットも好適に用いられる。
さらに本発明のサイジング剤付着炭素繊維は、繊維がランダムに配向しているランダムマットに特に好ましく用いることができる。マトリクス樹脂は、熱可塑性高分子であることが好ましい。
ここでランダムマットとは、マット面内において、強化繊維が特定の方向に配向しておらず、無作為な方向に分散して配置されているものである。マット面内とは幅、長さ方向である平面のことを意味し、厚さ方向を含む三次元方向とは異なる。通常マット形状にした場合、ある程度の長さを有する繊維は平面に平行となっており、ランダムな配向は得られにくい。本発明ではマット面内での強化繊維のランダム配向が重要なのである。このランダムマットは強化繊維のみからなる形態以外に、マトリクス樹脂が含まれるものであっても良い。そしてランダムマットの繊維形態をとる場合、繊維の繊維長としては2〜100mmの不連続繊維であることが好ましく、ランダムマットを構成する繊維の目付としては25〜10000g/mとすることが好ましい。さらには繊維長を3〜60mmの不連続繊維とし、目付を25〜3000g/mとすることが好ましい。
このように補強用の強化繊維をランダムに配置するためには、使用する繊維束は、一旦適度に開繊させたものであることが好ましい。そしてランダムマットとしては繊維束だけからなるものでも良いが、そのような開繊された繊維束を短繊維にカットしたものと、樹脂、好ましくは熱可塑性樹脂とから構成され、強化繊維が実質的に面内ランダムに配向しているものであることが好ましい。あるいは完全に単繊維状態に開繊された強化繊維を用いる形態とすることも可能であるが、その表面において繊維束状態が残存していることが、好ましい。
本発明のサイジング剤付着炭素繊維を構成要素とするこのようなランダムマットは、複合材料の強化材として最適に用いられる。さらにはランダムマットと共に、複合材料の強化材として一軸配向繊維、織物などの各種の強化繊維の形態を併用することも好ましい。ランダムマットとしては、繊維束の開繊程度をコントロールし、強化繊維が特定本数以上で存在する不完全な開繊の繊維束と、十分に開繊された繊維とを、特定の割合で含むランダムマットであることが好ましい。場合によっては完全に単繊維に開繊した強化繊維を用いることも可能である。そして本発明では適切な開繊率のランダムマットを作製することにより、強化繊維と熱可塑性樹脂をより緻密に密着させ、高い物性を達成することが可能となる。
このようなランダムマットを作製する上では、サイジング剤付着炭素繊維束の嵩密度が70g/cm以上150g/cm以下であることが好ましい。このような嵩密度を有するサイジング剤付着炭素繊維束を用いることでコンポジットとした際の物性に優れるランダムマットを作製することが出来る。また、嵩密度を120g/cm以上150g/cm以下とすることで、ランダムマット内のモノフィラメント数が多くなり、コンポジット中の炭素繊維の物性発現率を向上させることが出来る。また、嵩密度は80g/cm以上110g/cm以下とすることで、ランダムマット内に炭素繊維束を残すことが可能となり、コンポジット中の炭素繊維含有量を高くすることが可能となり、結果として物性の優れたコンポジットを得ることが出来る。
マトリクス樹脂としては、熱硬化性樹脂又は熱可塑性樹脂が用いられる。熱硬化性マトリクス樹脂の具体例として、エポキシ樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、フェノール樹脂、ビニルエステル樹脂、シアン酸エステル樹脂、ウレタンアクリレート樹脂、フェノキシ樹脂、アルキド樹脂、ウレタン樹脂、マレイミド樹脂とシアン酸エステル樹脂の予備重合樹脂、ビスマレイミド樹脂、アセチレン末端を有するポリイミド樹脂及びポリイソイミド樹脂、ナジック酸末端を有するポリイミド樹脂等を挙げることができる。これらは1種又は2種以上の混合物として用いることもできる。中でも、耐熱性、弾性率、耐薬品性に優れたエポキシ樹脂やビニルエステル樹脂が、特に好ましい。これらの熱硬化性樹脂には、硬化剤、硬化促進剤以外に、通常用いられる着色剤や各種添加剤等が含まれていてもよい。
熱可塑性樹脂としては、例えば、ポリプロピレン、ポリスルホン、ポリエーテルスルホン、ポリエーテルケトン、ポリエーテルエーテルケトン、ポリアミド、芳香族ポリエステル、芳香族ポリカーボネート、ポリエーテルイミド、ポリアリーレンオキシド、熱可塑性ポリイミド、ポリアミドイミド、ポリアセタール、ポリフェニレンオキシド、ポリフェニレンスルフィド、ポリアリレート、ポリアクリロニトリル、ポリベンズイミダゾール、ポリスチレン等が挙げられる。これらの樹脂は単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
本発明において、マトリクス樹脂は、水素結合生成能を有する構造を持つことが好ましい。水素結合生成能を有する構造としては、官能基として、アミノ基、カルボキシル基、ヒドロキシル基、カルバモイル基、メルカプト基、リン酸基等を有する構造が挙げられる。また、マトリクス樹脂が有する結合様式として、アミド結合、エステル結合、ウレタン結合が挙げられる。このようなマトリクス樹脂としては、例えば、ポリアミド樹脂、ポリエステル樹脂、ポリウレタン樹脂、エポキシ樹脂、ポリカーボネート樹脂や、側鎖などに上記の官能基が導入された変性樹脂などが挙げられる。より好ましくはポリアミド樹脂である。ポリアミド樹脂においてはポリアミド主鎖のアミド結合とサイジング剤塗布炭素繊維束表面の極性基およびもしくは、主鎖結合が有する極性との間で強固な水素結合を生成し、高い接着性を発現することが出来る。
ここで複合材料中の強化繊維の含有量としては、10〜90体積%の範囲であることが好ましく、15〜60体積%の範囲であることがより好ましく、20〜45体積%の範囲であることがさらに好ましい。本発明のサイジング剤付着炭素繊維を含有するこのような複合材料は、複合化させるマトリクス樹脂の含浸が容易に行われ、また強度ムラ等が少ない高品位なものとなる。
このような強化繊維を含有する複合材料には、本来の目的を損なわない範囲で各種の添加剤を含んでも良い。また、強化繊維以外に含まれているものとして、その他の強化繊維単糸、1種以上の熱可塑性樹脂が挙げられる。
上記のような本発明の複合材料は、マトリクス樹脂との接着性に優れ、繊維束内へのマトリクス樹脂の含浸性も高いため、機械特性に優れた複合材料を得ることが出来る。
以下、実施例により本発明をさらに詳細に説明するが、下記実施例は本発明を制限するものではない。なお、本発明の実施例は、下記に示す方法で評価した。
(1)風合いの評価
大栄科学精器製作所製ハンドロメーター(型式:HOM−2)を用いて以下の条件で測定を実施した。
測定サンプル:20cm長のサイジング剤付着炭素繊維束
スリット幅:15mm
測定温度:20℃
サンプルをサンプル中央部がスリット上になるように試料台にのせた。このとき、スリットの幅方向がサンプルの長さ方向となるようにした。次に、厚さ2mm、長さ200mmの金属プレートでこのサンプルをスリット間に深さ10mmまで10mm/secの速さで垂直に押し込み、このとき金属プレートにかかる最大荷重を測定した。測定は異なるサンプルについて5回行い、その平均値を測定値とした。
(2)水の濡れ上がり時間の測定
レスカ製動的濡れ性試験機(型式:WET−6100)を用いて以下の条件で測定を実施した。
測定サンプル:4cm長のサイジング剤付着炭素繊維束
測定温度:25℃
測定方法:ウィルヘルミィ法
サンプルの下端3mmが浸かるまで、サンプルの長さ方向に1mm/secの速さで水に浸漬した。その後、サンプルの下端3mmが浸かった状態で60秒間保持した。検出器に係る応力の変化を、浸漬開始時点から、60秒の保持が完了するまで測定した。浸漬開始時点の応力を0として、60秒の保持が完了するまでに検出器が検出した最大応力の2/3の応力に達するまでの時間を濡れ上がり時間とした。5回の測定を行い、その平均値を測定値とした。
(3)サイジング剤付着量の評価
サイジング剤の付着量は、処理を行った1.0mのサイジング剤付着炭素繊維束を2本採取し、これらを窒素雰囲気下10℃/分で550℃に昇温後、同温度で10分間焼成し、重量減少した分をサイジング剤の付着量として次式で算出した。
サイジング剤の付着量=(a−b)/b×100 [%]
a:焼成処理前の繊維重量 [g]
b:焼成処理後の繊維重量 [g]
(4)嵩密度の評価
300mLのメスシリンダーに、20mm長にカットしたサイジング剤付着炭素繊維束を30g充填し、上下に20回転した後の体積を求め、この体積とサイジング剤付着炭素繊維束との質量から嵩密度を算出した。
測定した嵩密度に関しては、70以上150以下のものを十分に集束されているものと判定した。
(5)含浸性評価
15cm×15cmのSUS板上に炭素繊維束を繊維目付が650g/mとなるように配置し、耐熱テープで固定したものを2組用意する。片方の繊維束上にポリアミド6の粉末9gを均一にまぶす。その後、もう一組の繊維束固定SUS板にて挟み、小型ハンドプレス機にて設定温度300℃、設定圧力0.1MPaの条件にて20分ホットプレスを行う。得られたサンプルの断面を蛍光顕微鏡にて観察し、繊維束内へのポリアミド6樹脂の含浸距離を算出した。算出した含浸距離に関しては、100μm以上であれば含浸性が十分であり、150μm以上であることがより好ましい。
〈サイジング剤水溶液の作製〉
各実施例、および各比較例でサイジング剤成分として用いた材料と成分は以下の通りである。
(I)スーパーフレックス620(第一工業製薬(株)製:エステル系ポリウレタン、ガラス転移温度43℃)
(II)スーパーフレックス126(第一工業製薬(株)製:エステル・エーテル系ポリウレタン、ガラス転移温度72℃)
(III)スーパーフレックス300(第一工業製薬(株)製:エステル・エーテル系ポリウレタン、ガラス転移温度−42℃)
(IV) プラスコート Z−561(互応化学工業(株)製:水溶性ポリエステル樹脂、ガラス転移温度64℃)
(V)ペスレジン A−640(高松油脂(株)製:熱可塑性飽和ポリエステル樹脂、ガラス転移温度64℃)
(VI)ディスパコール U−54(住化バイエルウレタン(株)製:エステル系ポリウレタン、ガラス転移温度―50度)
(VII)ポリアミド
70Lのオートクレーブにε―カプロラクタム17.5kg、アジピン酸ヘキサメチレンアンモニウム塩の50%水溶液を6kgを仕込み、重合槽内を窒素置換したのち、密閉して180℃まで昇温し、次いで撹拌しながら重合槽内を1.7MPaに調圧しながら、重合槽内温度を240℃まで昇温した。重合温度が240℃に達して2時間後に重合槽内の圧力を約2時間かけて常圧に放圧した。放圧後、窒素気流下で1時間重合した後、2時間減圧重合を行った。窒素を導入して常圧に復圧後、撹拌機を止めて、ストランドとして抜き出しペレット化し、沸水を用いて未反応モノマーを抽出除去して乾燥し、二元共重合体ポリアミド粒子を得た。このときの共重合比はナイロン6/ナイロン66=85/15(重量比)であった。
このようにして得られたナイロン6/ナイロン66二元共重合ポリアミド樹脂120g、水179.6gおよび水酸化ナトリウム0.4gを、撹拌機を取り付けたオートクレーブ中に加え、回転数500rpmの状態を保持して240℃まで昇温させ、240℃になった状態で30分間反応を行った。反応終了後、そのまま50℃まで冷却して、ポリアミド樹脂分散液を取り出した。得られたポリアミド樹脂水性分散液の樹脂濃度は、水性分散液100重量部に対して40重量部であった。
[実施例1]
ポリアクリロニトリル繊維を、空気中250℃で耐炎化処理を行った後、窒素ガス雰囲気下、最高温度650℃で低温炭素化させた。その後、窒素雰囲気下1300℃で高温炭素化させて製造した炭素繊維を、10wt%の硫酸アンモニウム水溶液を用い電解酸化により表面処理を行い、未サイジング処理炭素繊維束(引張強度:5100MPa、引張弾性率:245GPa、フィラメント数:24000本)を得た。次に、(I)の材料をサイジング剤成分として調整したサイジング剤水溶液の浴に、得られた未サイジング処理炭素繊維束を連続的に浸漬させ、繊維束中のフィラメント間にサイジング剤水溶液を浸透させた。これを垂直流方式の熱風乾燥機を用い、サイジング剤付着炭素繊維束を室温から100℃まで4.38℃/secの速度で昇温し、さらに100℃以上で72sec保持することで乾燥させ、付着量0.68wt%、風合い21mg/tex、水の濡れ上がり時間0.21secであるサイジング剤付着炭素繊維束を得た。嵩密度、含浸距離の測定結果を表1に示す。
[実施例2]
サイジング剤成分を(II)に変更した以外は、実施例1と同様にして、付着量0.71wt%、風合い48mg/tex、水の濡れ上がり時間0.68secであるサイジング剤付着炭素繊維束を得た。嵩密度、含浸距離の測定結果を表1に示す。
[実施例3]
サイジング剤成分を(III)に変更した以外は、実施例1と同様にして、付着量0.73wt%、風合い33mg/tex、水の濡れ上がり時間0.25secであるサイジング剤付着炭素繊維束を得た。嵩密度、含浸距離の測定結果を表1に示す。
[実施例4]
サイジング剤成分を(IV)に変更した以外は、実施例1と同様にして、付着量0.71wt%、風合い31mg/tex、水の濡れ上がり時間0.33secであるサイジング剤付着炭素繊維束を得た。嵩密度、含浸距離の測定結果を表1に示す。
[実施例5]
サイジング剤成分を(V)に変更した以外は、実施例1と同様にして、付着量0.67wt%、風合い28mg/tex、水の濡れ上がり時間0.29secであるサイジング剤付着炭素繊維束を得た。嵩密度、含浸距離の測定結果を表1に示す。
[実施例6]
サイジング剤成分を(VI)に変更した以外は、実施例1と同様にして、付着量0.78wt%、風合い63mg/tex、水の濡れ上がり時間1.29secであるサイジング剤付着炭素繊維束を得た。嵩密度、含浸距離の測定結果を表1に示す。
[実施例7]
サイジング剤成分を(II)に変更し、サイジング剤溶液中の不揮発分濃度を2倍とした以外は、実施例1と同様にして、付着量1.52wt%、風合い67mg/tex、水の濡れ上がり時間1.59secであるサイジング剤付着炭素繊維束を得た。嵩密度、含浸距離の測定結果を表1に示す。
[実施例8]
室温から100℃までの昇温速度を2.94℃/secに変更した以外は、実施例1と同様にして、付着量0.72wt%、風合い13mg/tex、水の濡れ上がり時間0.13secであるサイジング剤付着炭素繊維束を得た。嵩密度、含浸距離の測定結果を表1に示す。
Figure 2020023770
[比較例1]
ポリアクリロニトリル繊維を、空気中250℃で耐炎化処理を行った後、窒素ガス雰囲気下、最高温度650℃で低温炭素化させた。その後、窒素雰囲気下1300℃で高温炭素化させて製造した炭素繊維を、10wt%の硫酸アンモニウム水溶液を用い電解酸化により表面処理を行い、未サイジング処理炭素繊維束(引張強度:5100MPa、引張弾性率:245GPa、フィラメント数:24000本)を得た。次に、(I)の材料をサイジング剤成分として調整したサイジング剤水溶液の浴に、得られた未サイジング処理炭素繊維束を連続的に浸漬させ、繊維束中のフィラメント間にサイジング剤水溶液を浸透させた。これを平行流方式の熱風乾燥機を用い、サイジング剤付着炭素繊維束を室温から100℃まで1.50℃/secの速度で昇温し、さらに100℃以上で25sec保持することで乾燥させ、付着量0.69wt%、風合い7mg/tex、水の濡れ上がり時間0.12secであるサイジング剤付着炭素繊維束を得た。嵩密度、含浸距離の測定結果を表2に示す。
[比較例2]
サイジング剤成分を(III)に変更した以外は、比較例1と同様にして、付着量0.69wt%、風合い6mg/tex、水の濡れ上がり時間0.17secであるサイジング剤付着炭素繊維束を得た。嵩密度、含浸距離の測定結果を表2に示す。
[比較例3]
サイジング剤成分を(VII)に変更した以外は、実施例1と同様にして、付着量0.44wt%、風合い81mg/tex、水の濡れ上がり時間3.19secであるサイジング剤付着炭素繊維束を得た。嵩密度、含浸距離の測定結果を表2に示す。
実施例1〜8で得られたサイジング剤付着炭素繊維は、優れた取扱性を有するとともに、良好な含浸性を有する。
Figure 2020023770

Claims (8)

  1. 炭素繊維束にサイジング剤を塗布したサイジング剤付着炭素繊維束であって、風合いが10mg/tex以上であり、水の濡れ上がり時間が3.0sec以下であることを特徴とするサイジング剤付着炭素繊維束。
  2. 前記サイジング剤が、高分子の主鎖結合中にエステル結合、ウレタン結合、カーボネート結合のうち少なくともいずれか1種の結合を有する高分子を含むサイジング剤である請求項1に記載のサイジング剤付着炭素繊維束。
  3. サイジング剤が主鎖結合中にエステル結合を有する高分子を含むサイジング剤である請求項1または2に記載のサイジング剤付着炭素繊維束。
  4. サイジング剤が、ガラス転移温度が100℃以下のサイジング剤である請求項1〜3のいずれか1項に記載のサイジング剤付着炭素繊維束。
  5. 炭素繊維束にサイジング剤溶液を塗布するサイジング剤溶液塗布工程と、サイジング剤溶液が塗布された炭素繊維束を乾燥させる乾燥工程を有するサイジング剤付着炭素繊維束の製造方法であって、前記炭素繊維束を乾燥させる乾燥工程において、室温から100℃までの温度域において、2.0℃/sec以上の昇温速度で炭素繊維束を昇温させることを特徴とするサイジング剤付着炭素繊維束の製造方法。
  6. 前記乾燥工程において、炭素繊維束を垂直流の熱風乾燥方式で乾燥させる請求項5記載のサイジング剤付着炭素繊維束の製造方法。
  7. 前記乾燥工程において、炭素繊維束を100℃以上の温度で60sec以上保持する請求項5または6に記載のサイジング剤付着炭素繊維束の製造方法。
  8. 炭素繊維束にサイジング剤を塗布するサイジング剤溶液塗布工程において、サイジング浴入口における炭素繊維束の張力が15mN/tex以上である請求項5〜7のいずれか1項に記載のサイジング剤付着炭素繊維束の製造方法。
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