JP2006233346A - 熱可塑性樹脂強化用炭素繊維ストランド - Google Patents

熱可塑性樹脂強化用炭素繊維ストランド Download PDF

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尚光 村山
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Abstract

【課題】 熱可塑性樹脂マトリックスとの接着性に優れ、成型時に発生する分解ガスの量が少ない熱可塑性樹脂強化用炭素繊維ストランドを提供する。
【解決手段】 自己乳化型ポリプロピレン系樹脂が、炭素繊維に対し、0.1〜8.0質量%付与されてなる熱可塑性樹脂強化用炭素繊維ストランド。前記ストランドを熱可塑性樹脂に5〜70質量%配合してなる炭素繊維強化熱可塑性樹脂は、曲げ強度等の機械的強度に優れる。本発明の熱可塑性樹脂強化用炭素繊維ストランドは、特にポリプロピレンとの接着性に優れる。
【選択図】 なし

Description

本発明は、熱可塑性樹脂マトリックスとの接着性に優れる熱可塑性樹脂強化用炭素繊維ストランド及びその製造方法、並びに当該ストランドにより強化した炭素繊維強化熱可塑性樹脂に関する。
炭素繊維及び炭素繊維複合材料は、引張強度・引張弾性率が高く、耐熱性、耐薬品性、疲労特性、耐摩耗性に優れる、線膨張係数が小さく寸法安定性に優れる、電磁波シールド性、X線透過性に富むなどの優れた特長を有していることから、スポーツ・レジャー、航空・宇宙、一般産業用途に幅広く適用されている。従来は、エポキシ樹脂などの熱硬化性樹脂をマトリックスとすることが多かったが、最近、リサイクル性・高速成型性の観点から熱可塑性樹脂が注目されている。
熱可塑性樹脂をマトリックスとする炭素繊維複合材料は、コンパウンドペレットの射出成型、長繊維ペレットの長繊維射出成型、射出圧縮成型、押出成型、ランダムマットを使用したスタンピング成型などの成型方法で成型される場合が多いので、炭素繊維は比較的短い繊維形態で使用されることが多い。このため、炭素繊維複合材料の強度・弾性率等の機械的特性は、炭素繊維とマトリックスである熱可塑性樹脂との親和性・接着性に大きく影響を受ける。
炭素繊維強化熱可塑性樹脂複合材料のマトリックスとしては、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン共重合体(ABS)、ポリアミド(ナイロン6、ナイロン66など)、ポリアセタール、ポリカーボネート、ポリプロピレン、高密度ポリエチレン、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエーテルイミド、ポリスチレン、ポリエーテルスルホン、ポリフェニレンスルフィド、ポリエーテルケトン、ポリエーテルエーテルケトンなどが挙げられる。
これら熱可塑性樹脂のうち、ポリプロピレン樹脂は、安価であり、成型性、耐水性、耐薬品性(耐油性、耐溶剤性)、電気絶縁性などに優れた性質を有する。そのため、炭素繊維強化熱可塑性樹脂複合材料のマトリックスとして、今後飛躍的な成長が期待されている。しかしながら、ポリプロピレン樹脂は結晶性であり、且つ、極性基を持たないため、炭素繊維との親和性が低い。また樹脂自身の弾性率が比較的小さいこともあり、炭素繊維でポリプロピレン樹脂を強化しても、炭素繊維/ポリプロピレン樹脂複合材料の機械的特性を向上させることは難しい。
樹脂の強化に使用する炭素繊維は、多数本の極細フィラメントの束(ストランド)で構成されており、伸度が小さく機械的摩擦などによって毛羽が発生し易い。このため、炭素繊維ストランドの集束性を向上させて取扱性を改善し、且つ、マトリックスとの親和性を向上させるために、ストランドにサイジング剤を付与するのが一般的である。
ポリプロピレンをマトリックスとする複合材料に適したサイジング剤としては、例えば、極限粘度[η]が0.02〜1.3dl/gであり、1〜20質量%の不飽和ジカルボン酸類で変性されたポリプロピレン系樹脂又はその塩を必須成分とする水性エマルジョンからなるサイジング剤が提案されている(特許文献1参照)。特許文献1によれば、このサイジング剤の使用によりガラス繊維強化ポリプロピレン樹脂の機械的特性の向上を図れることが記載されている。
しかしながら、この特許文献1で開示されているサイジング剤を炭素繊維ストランドに適用しても、成型時に炭素繊維とマトリックス樹脂との界面で乳化剤等に由来する分解ガスが発生し、炭素繊維とマトリックス樹脂との接着を阻害するため、炭素繊維−熱可塑性樹脂複合材料の機械的特性は十分には向上しない。
成型時に発生する分解ガスは、成型温度が高温になるに従って量が増加するので、特に高温で成型した場合に高強度を示す炭素繊維−熱可塑性樹脂複合材料が得られる炭素繊維ストランドの開発が要望されている。
特開平6−107442号公報(特許請求の範囲)
本発明は、従来技術における問題点に着目してなされたものであり、高温で成型する場合であっても発生する分解ガスの量が少なく、熱可塑性樹脂との密着性に優れ、熱可塑性樹脂に対する補強効果の高い熱可塑性樹脂強化用炭素繊維ストランドを安価に提供することを目的とする。また、本発明は、前記ストランドの製造方法、前記ストランドにより強化した炭素繊維強化熱可塑性樹脂を提供することを目的とする。
上記目的を達成する本発明は、以下に記載のものである。
〔1〕 自己乳化型ポリプロピレン系樹脂が、炭素繊維に対し、0.1〜8.0質量%付与されてなる熱可塑性樹脂強化用炭素繊維ストランド。
〔2〕 自己乳化型ポリプロピレン系樹脂が、不飽和カルボン酸モノマーで変性されたモノマー単位を0.1〜20質量%含有し、前記モノマー単位のカルボキシル基の50〜100モル%が塩基性化合物で中和された樹脂である〔1〕に記載の熱可塑性樹脂強化用炭素繊維ストランド。
〔3〕 〔1〕に記載の熱可塑性樹脂強化用炭素繊維ストランドを熱可塑性樹脂に5〜70質量%配合してなる炭素繊維強化熱可塑性樹脂。
〔4〕 熱可塑性樹脂がポリプロピレンである〔3〕に記載の炭素繊維強化熱可塑性樹脂。
〔5〕 〔3〕又は〔4〕に記載の炭素繊維強化熱可塑性樹脂を成型した炭素繊維強化熱可塑性樹脂複合材料。
〔6〕 自己乳化型ポリプロピレン系樹脂を含む分散液に未サイジングの炭素繊維束を浸漬してサイジングすることを特徴とする〔1〕に記載の熱可塑性樹脂強化用炭素繊維ストランドの製造方法。
本発明の炭素繊維ストランドは、自己乳化型ポリプロピレン系樹脂により集束しているので、ポリプロピレン等の熱可塑性樹脂との接着性が高い。さらに、複合材料の成型時に発生する分解ガスの量が少ないため、炭素繊維ストランドと熱可塑性樹脂との密着性は大幅に改善される。本発明の炭素繊維ストランドを強化繊維として使用した炭素繊維強化熱可塑性樹脂は機械的強度が高く、特に成型温度を230〜260℃とした場合には高強度の炭素繊維−熱可塑性樹脂複合材料が得られる。
本発明の炭素繊維ストランドは、熱可塑性樹脂、特にポリプロピレン樹脂の強化材として好適に使用できる。
本発明の炭素繊維に付与される自己乳化型ポリプロピレン系樹脂は、分子内にカルボキシル基を有する酸変性ポリプロピレン系樹脂を塩基性化合物で中和して水溶性を付与した樹脂である。自己乳化型ポリプロピレン系樹脂は、乳化剤を使用しなくても水に乳化して分散する特徴を有しており、その25質量%濃度の分散液は、25℃で半透明又は乳濁状である。前記分散液の物性を以下に示す。
(a)比重 0.95〜1.10
(b)pH 7〜11
(c)粘度 50〜2000cp
自己乳化型ポリプロピレン系樹脂の原料となる酸変性プロピレン系樹脂は、例えば、ポリプロピレン樹脂、エチレン−プロピレン共重合体等のポリプロピレン系樹脂を不飽和カルボン酸でグラフト変性する方法や、エチレン、プロピレン等のα−オレフィンと不飽和カルボン酸とを共重合する方法等により製造することができる。
不飽和カルボン酸としては、アクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸などを挙げることができる。
酸変性ポリプロピレン系樹脂の不飽和カルボン酸による変性量としては、酸変性ポリプロピレン系樹脂全質量に対して不飽和カルボン酸モノマー単位の割合を0.1〜20質量%とすることが好ましく、1〜15質量%とすることがより好ましく、2〜10質量%が特に好ましい。不飽和カルボン酸モノマー単位の割合が0.1質量%未満では炭素繊維ストランドの熱可塑性樹脂マトリックスへの接着性が低下する傾向がある。また、20質量%を超えると、ポリプロピレン系樹脂の主鎖にグラフトせず接着阻害因子となるモノマーが増えたり、酸変性ポリプロピレン系樹脂中のポリプロピレン含量が相対的に減少するため炭素繊維とマトリックス樹脂との接着性が低下する傾向がある。
酸変性ポリプロピレン系樹脂としては、α−オレフィンに由来するモノマー単位100モル%中、プロピレンモノマー単位を50モル%以上含むものを自己乳化型ポリプロピレン系樹脂の原料として使用できる。プロピレンモノマー単位の割合が高いものほど炭素繊維ストランドの熱可塑性樹脂との接着性を高めて高強度の複合材料を得ることができる。従って、プロピレンモノマー単位の割合が80%以上のものが好ましく、95%以上のものが最も好ましい。
酸変性ポリプロピレン系樹脂の中和に用いる塩基性化合物としては、たとえば水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等のアルカリ金属塩;アルカリ土類金属塩;アンモニア;モノメチルアミン、ジメチルアミン、トリメチルアミン、トリエチルアミン、ジイソプロピルアミン、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン及びジメチルエタノールアミン、モルフォリン等のアミン類を挙げることができる。
自己乳化型ポリプロピレン系樹脂が側鎖に有するカルボキシル基100モル%に対する金属陽イオン又はアンモニウムイオンで中和されたカルボキシル基の割合は、50〜100モル%とすることが好ましく、70〜100モル%とすることがより好ましい。酸変性ポリプロピレン樹脂の酸価や分子量にもよるが、中和されたカルボキシル基の割合が50モル%未満では樹脂の自己乳化が困難である。但し、カルボキシル基の中和度が増すと炭素繊維とポリプロピレン樹脂との接着強度が低下するため、中和度は自己乳化が可能な範囲でできるだけ小さくするのが望ましい。
自己乳化型ポリプロピレン系樹脂の重量平均分子量は3,000〜80,000が好ましく、5,000〜50,000がより好ましい。重量平均分子量が3,000より小さいと、炭素繊維と熱可塑性樹脂マトリックスとの接着性や、炭素繊維ストランド自身の集束性が劣るものとなる傾向がある。また、80,000より大きいと自己乳化が難しくなる。
本発明の炭素繊維ストランドにおける自己乳化型ポリプロピレン系樹脂の付着量は、目的とする複合材料の成型法や用途等によって異なるが、炭素繊維に対し、0.1〜8質量%とすることが好ましく、0.5〜5質量%とすることがより好ましい。付着量が0.1質量%未満の場合は、成型加工時に炭素繊維ストランドの取扱性が劣るものとなる。一方、8質量%を超えると、マトリックス樹脂の炭素繊維ストランドへの含浸を阻害して、得られる複合材料の機械的特性が低下する傾向がある。
炭素繊維ストランドへの自己乳化型ポリプロピレン系樹脂の付与は、自己乳化型ポリプロピレン系樹脂の水分散体に炭素繊維ストランドを浸漬することにより行うことができる。
本発明の炭素繊維ストランドには自己乳化型ポリプロピレン系樹脂の他、本発明の効果を損なわない範囲内で、オレイン酸メチルやジオクチルセバケートなどの合成潤滑油、植物油、マッコーアルコールなどの高級アルコール、ポリエチレングリコール型非イオン界面活性剤や低度硫酸化油などの乳化剤、鉱物油、液状ポリプロピレン、液状ポリオレフィン共重合体等の成分が付着していてもよい。これらの成分の付着量は、炭素繊維に対し、50質量%以下が好ましい。液状ポリプロピレン、液状ポリオレフィン共重合体等の樹脂を炭素繊維ストランドに付与する際には、自己乳化型ポリプロピレン系樹脂を含むエマルジョンにこれらの樹脂を溶解、乳化、又は分散させたサイジング液を使用することができる。
以下、本発明の炭素繊維ストランドの製造方法の一例について説明する。
[原料炭素繊維]
本発明の原料炭素繊維は、ポリアクリロニトリル(PAN)系、石油・石炭ピッチ系、レーヨン系、リグニン系など、何れの炭素繊維も使用することができる。特に、PANを原料としたPAN系炭素繊維が、工業規模における生産性及び機械的特性に優れており好ましい。
PAN系炭素繊維ストランドは、直径6〜8μm程度のフィラメントが1000〜50000本程度の束形状をしたものであり、概略以下の四工程を経て製造される。まず最初の耐炎化工程では、アクリル繊維を200〜300℃の空気雰囲気中で加熱し、ニトリル基を閉環させ、アクリルポリマー中に酸素を導入して、高温下でも安定な構造にする。
炭素化工程では、不活性ガス雰囲気中1000℃以上の高温で焼成し、炭素含有率を90質量%以上まで高めた炭素繊維ストランドとする。
[表面処理工程]
表面処理工程では、炭素繊維表面にマトリックス樹脂との接着性を高めるための含酸素官能基を導入する。
炭素繊維の表面処理としては、液相における薬液酸化・電解酸化、気相酸化などが挙げられる。これら表面処理のうちでも、生産性、処理の均一性の観点から、液相における電解酸化処理が好ましい。電解酸化処理に用いられる電解液としては、硫酸、硝酸、塩酸等の無機酸や、水酸化ナトリウム、水酸化カリウムなどの無機水酸化物、硫酸アンモニウム、炭酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウム等の無機塩類などが挙げられる。
炭素繊維の表面処理を行う際の指標としては、X線光電子分光法(ESCA)を用いて測定できる炭素繊維の表面酸素濃度比(O/C)により管理するのが良く、O/Cが、0.05〜0.4となるように電解酸化処理するのが好ましい。
[サイジング液の調製]
サイジング液は、自己乳化型ポリプロピレン系樹脂の水分散体、即ち水中油型エマルジョンの形態で使用する。
自己乳化型ポリプロピレン系樹脂の水分散体は、例えば、以下のようにして調製できる。
オートクレーブに酸変性ポリプロピレン系樹脂、および、水を入れ、攪拌しながら加温して酸変性ポリプロピレン樹脂を溶融させる。攪拌を続けながらアンモニアなどの塩基性化合物を十分な量、具体的には酸変性ポリプロピレン系樹脂のカルボキシル基100モル%に対して50〜120モル%程度の塩基性化合物を添加して酸変性ポリプロピレン系樹脂の酸基を中和するとともに、水中に分散させる。
[サイジング工程]
サイジング工程では、炭素繊維ストランドの取扱性を改善するとともに、炭素繊維ストランドとマトリックス樹脂との親和性を良くするため、上記のようにして得た炭素繊維ストランドにサイジング剤として自己乳化型ポリプロピレン系樹脂を付与する。
炭素繊維ストランドへのサイジング法は、スプレー法、ローラー浸漬法、ローラー転写法などがある。これらサイジング法のうちでも、生産性、均一性に優れるローラー浸漬法が好ましい。炭素繊維ストランドをサイジング液に浸漬する際には、サイジング浴中に設けられた浸漬ローラーを介して、開繊と絞りを繰り返し、ストランドの中までサイジング液を含浸させることが肝要である。
サイジング液を炭素繊維ストランドに含浸させた後、続く乾燥処理によって水分を除去して、自己乳化型ポリプロピレン系樹脂を付与した炭素繊維ストランドを得る。炭素繊維に対する自己乳化型ポリプロピレン系樹脂の付着量の調整は、サイジング液の濃度調整や、絞りローラーの調整などによって行う。炭素繊維ストランドの乾燥は、例えば、熱風、熱板、ローラー、赤外線ヒーターなどを使用することができる。
本発明の炭素繊維ストランドは熱可塑性樹脂の強化繊維として好適である。熱可塑性樹脂としては、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン共重合体(ABS)、ポリアミド(ナイロン6、ナイロン66など)、ポリアセタール、ポリカーボネート、ポリプロピレン、高密度ポリエチレン、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエーテルイミド、ポリスチレン、ポリエーテルスルホン、ポリフェニレンスルフィド、ポリエーテルケトン、ポリエーテルエーテルケトンなどが挙げられるが、特にポリプロピレンが好ましい。
炭素繊維強化熱可塑性樹脂における本発明の炭素繊維ストランドの含有量は、炭素繊維の形態や、成型方法、用途等によって異なるが、コストパフォーマンスの観点から5〜70質量%の範囲が好ましく、20〜40質量%がより好ましい。
本発明の炭素繊維ストランドを炭素繊維強化熱可塑性樹脂複合材料の成型に用いる際には、短繊維コンパウンド、長繊維ペレット、ランダムマット、バルクモールディングコンパウンド、一方向強化プリプレグなどに加工して使用できる。
以下の実施例及び比較例に記載した条件によりサイジング剤の付着した炭素繊維ストランドを作製した。各サイジング剤の付着したストランドを用いて諸物性値を以下の方法により測定した。
[サイジング剤付着量、樹脂付着量の測定方法]
(1)サイジング剤の付着した炭素繊維を約50g採取し質量(W1)を測定した。
(2)炭素繊維を純水中で洗浄し、乳化剤を除去した。ただし、実施例1についてはこの工程をスキップした。
(3)炭素繊維とトルエン(300ml)を共栓付三角フラスコに入れ水流式冷却管を連結した。共栓付三角フラスコをマグネティックスターラー付ホットプレート上に置き、トルエンを環流させつつ30分間攪拌し、炭素繊維に付着したサイジング剤ポリマーを完全に溶出させた(比較例2の場合には、トルエンの代わりにアセトンを使用した)。
(4)トルエン溶液中から炭素繊維を取り出し、新たなトルエンを用意して、(2)〜(3)をさらに2回繰り返し実施し、炭素繊維に付着したサイジング剤ポリマーを完全に溶出させた。
(5)サイジング剤ポリマーを溶出させたトルエン溶液を、ロータリーエバポレーターに移し、トルエンを蒸発させて残さの質量(W2)を測定した。
(6)脱サイズ後の炭素繊維の乾燥質量(W3)を測定した。
サイジング剤付着量と樹脂付着量を次式(i)、(ii)により求めた。
サイジング剤付着量(%)=(W1−W3)/W3×100……(i)
樹脂付着量(%)=W2/W3×100……(ii)
[サイジング剤の耐熱性]
サイジング剤を105℃オーブン中で完全に乾燥させた。乾燥後のサイジング剤を質量既知のアルミパンに約10mg取り質量(W4)を測定した。アルミパンに入ったサイジング剤を熱天秤にセットし、空気中(流量100ml/分)、室温から350℃まで昇温し、200、250℃時点における質量(W5)を測定した。
昇温速度は、室温から200℃までは20℃/分、200℃〜350℃は10℃/分とした。質量減少率は次式(iii)により算出した。
質量減少率(%)=(W4−W5)/W4×100……(iii)
[炭素繊維強化ポリプロピレン成型物の曲げ強度]
サイジング剤を付与した炭素繊維(CF)ストランドをギロチンカッターで長さ6mmに切断して炭素繊維チョップドストランドに加工した。この炭素繊維チョップドストランドとポリプロピレン樹脂ペレット(ホモポリプロピレン汎用射出成型グレード、メルトフローレート13g/10分)とを、炭素繊維チョップドストランドの質量含有率が30質量%となるように、二軸混練押出機でコンパウンドし、3mmφ×3mm長のペレットに加工した。コンパウンド時は、オートフィーダーを使用せず、炭素繊維チョップドストランドを予め小分けしておき、単位時間毎に所定量を原料投入口に投入する方法を用いた。
次いで、コンパウンドペレットを200、220、240、250、260℃の各温度で射出成型し、150mm角×3.1mm厚の平板を作製した。平板から切り出した10mm幅×90mm長×3.1mm厚の試験片5本について、JIS K 7171に準拠して3点曲げ試験(スパン/厚さ比=20、試験速度5mm/分)を実施し、曲げ強度を測定した。
実施例1
ポリプロピレンを不飽和カルボン酸で変性し、アンモニアで中和した住友精化社製 自己乳化性ポリオレフィン「ザイクセン−AC」を純水で希釈し、濃度が30g/literとなるように調製した。次に、未サイジングの炭素繊維ストランド[東邦テナックス社製「ベスファイトSTS−24K N00」、直径7μm×24000フィラメント、繊度1.6g/m、引張強度4000MPa(408kgf/mm2)、引張弾性率238GPa(24.3ton/mm2)]を連続的に浸漬させ、フィラメント間に前記サイジング剤を含浸させた。
続いて、140℃の乾燥機に3分間通して水分を蒸発させた。得られた炭素繊維ストランドのサイジング剤付着量を測定したところ1.1質量%であった。
比較例1
界面活性剤で樹脂が乳化してある星光ポリマー社製「マレイン化ポリプロピレンディスパージョン RE−1168」を純水で希釈し、濃度が30g/literとなるように調製した。次に実施例1と同様にして炭素繊維ストランドにサイジングした。得られた炭素繊維ストランドのサイジング剤付着量は1.2質量%であった。
比較例2
ジャパンエポキシレジン社製ビスフェノールA型エポキシ樹脂「エピコート834」をエマルジョン化したサイジング剤を用いた以外は、実施例1と同様にサイジングして炭素繊維ストランドを作製した。得られた炭素繊維ストランドのサイジング剤付着量は1.2質量%であった。
実施例1及び比較例1、2で得られた炭素繊維ストランドの樹脂付着量と使用したサイジング剤の質量減少率を表1に、得られた炭素繊維ストランドを使用して製造した炭素繊維強化ポリプロピレン成型物の曲げ強度を図1に示す。
Figure 2006233346
図1に示すように、実施例1で得られた炭素繊維ストランドを使用した炭素繊維強化ポリプロピレン成型物は、高温で成型するほど炭素繊維ストランドとポリプロピレン樹脂マトリックスとの密着性が向上し、250℃をピークに230〜260℃で高い曲げ強度を示した。
比較例1の炭素繊維ストランドは、成型温度が高くなるほど分解ガスの発生量が増え、220℃より高温側では炭素繊維強化ポリプロピレン成型物の曲げ強度は低くなった。比較例1は、曲げ強度最大値の比較において、実施例1に劣る結果となった。
比較例2は、分解ガスの発生量は比較例1のおよそ半分であったが、エポキシ樹脂とポリプロピレン樹脂との親和性が低いため曲げ強度はいずれの成型温度においても低値に留まった。
実施例において製造した炭素繊維強化ポリプロピレン成型物の曲げ強度を示すグラフである。

Claims (6)

  1. 自己乳化型ポリプロピレン系樹脂が、炭素繊維に対し、0.1〜8.0質量%付与されてなる熱可塑性樹脂強化用炭素繊維ストランド。
  2. 自己乳化型ポリプロピレン系樹脂が、不飽和カルボン酸モノマーで変性されたモノマー単位を0.1〜20質量%含有し、前記モノマー単位のカルボキシル基の50〜100モル%が塩基性化合物で中和された樹脂である請求項1に記載の熱可塑性樹脂強化用炭素繊維ストランド。
  3. 請求項1に記載の熱可塑性樹脂強化用炭素繊維ストランドを熱可塑性樹脂に5〜70質量%配合してなる炭素繊維強化熱可塑性樹脂。
  4. 熱可塑性樹脂がポリプロピレンである請求項3に記載の炭素繊維強化熱可塑性樹脂。
  5. 請求項3又は4に記載の炭素繊維強化熱可塑性樹脂を成型した炭素繊維強化熱可塑性樹脂複合材料。
  6. 自己乳化型ポリプロピレン系樹脂を含む分散液に未サイジングの炭素繊維束を浸漬してサイジングすることを特徴とする請求項1に記載の熱可塑性樹脂強化用炭素繊維ストランドの製造方法。
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