JP6209403B2 - 電気絶縁樹脂とそれを用いた高電圧機器 - Google Patents

電気絶縁樹脂とそれを用いた高電圧機器 Download PDF

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本発明は、電気絶縁樹脂と、電気絶縁樹脂を用いた高電圧機器に関する。
タービン発電機、モータ、遮断器、変圧器、及び高電圧素子などに代表される高電圧機器には、電気絶縁樹脂(以下、単に「絶縁樹脂」とも称する)が用いられる。近年、電気絶縁樹脂の高機能化と高性能化を目指して、様々な添加物を樹脂中に混在させる手法が取られており、その中でも特に、小さな微粒子(ナノ粒子)を充填材として用い、新たな効果を狙う手法が発展してきている。
特許文献1には、一次粒子の平均粒径が2〜50nmで表面処理した疎水性の超微粒子シリカ粉末を平均粒径1〜20μmで最大粒径50μm以下の全シリカフィラー中に10〜50重量%含有するシリカフィラーを含む絶縁樹脂ペーストが開示されている。特許文献2には、平均粒径が1μm以上、20μm以下のシリカ粉末及び一次粒子の平均粒子径が2〜50nmの疎水性超微粒子シリカ粉末からなり、全シリカフィラー中の疎水性超微粒子シリカ粉末は10〜50重量%であるシリカフィラーを含む絶縁樹脂ペーストが開示されている。
また、特許文献3には、表面に疎水基を有する粒子径が200nm以下の微粒子と樹脂成分とを含み、この微粒子がデンドライト状の構造を形成することで機械的強度を向上させた樹脂材料が開示されている。特許文献3には、疎水性微粒子の添加量は、樹脂成分の質量基準で、特に2.5〜6質量%が好ましいことが記載されている。
特開平6−25512号公報 特開平5−59158号公報 特開2012−57121号公報
特許文献1と特許文献2に記載の絶縁樹脂ペーストは、平均粒子径が1〜20μmの親水性のシリカ粉末と、一次粒子の平均粒子径が2〜50nmの疎水性の超微粒子シリカ粉末を含む。我々の新たな検討によれば、親水性の孤立粒子は、電気トリーの進展を阻害して樹脂の絶縁破壊寿命を向上させることが明らかになった。しかし、平均粒子径が1〜20μmと大きいシリカの微粒子は、樹脂中で重力の影響を受けて沈降し、電気トリーの進展を阻害する効果が少ない。このため、特許文献1と特許文献2に記載されているような平均粒子径が1〜20μmの親水性のシリカの微粒子を含む樹脂は、絶縁破壊寿命が短いという課題を持つ。
特許文献3では、表面に疎水基を有する微粒子(ナノサイズ粒子)がデンドライト状の構造を形成することで、樹脂材料の機械的強度を向上させている。一方、我々の新たな知見によれば、表面を疎水化したナノサイズ粒子は、主として機械的強度を向上できるものの、電気的特性、特に絶縁破壊寿命を大きく向上できないことが判明した。
高電圧機器に用いる絶縁樹脂に要求されるのは、機械的強度と電気的特性の両立である。例えば、電気的特性(絶縁破壊寿命など)を向上させるだけでは、絶縁樹脂を薄くした場合などに機械的応力によって絶縁樹脂が破壊する可能性があり、実用的とはいえない。また、機械的強度を向上させても電気的特性を向上できなければ、絶縁樹脂として実用的ではない。
本発明の目的は、機械的強度と絶縁破壊寿命の向上を両立できる電気絶縁樹脂と、それを用いた高電圧機器を提供することである。
本発明による電気絶縁樹脂は、次のような特徴を有する。樹脂と、平均粒子径が200nm以下であり表面に疎水基を持つ微粒子と、平均粒子径が200nm以下であり表面に親水基を持つ微粒子とを含み、前記疎水基を持つ微粒子と前記親水基を持つ微粒子のうち、一方は、前記樹脂の内部で線状に凝集して網目状骨格構造を形成し、他方は、前記樹脂の内部に分散して存在する。
本発明によると、機械的強度と絶縁破壊寿命の向上を両立できる電気絶縁樹脂と、それを用いた高電圧機器を提供することができる。
本発明の実施例による絶縁樹脂に含まれる親水性のシリカの表面構造の化学構造式を示す図。 本発明の実施例による絶縁樹脂に含まれる疎水性のシリカの表面構造の化学構造式を示す図。 SEMで観察した実施例1の絶縁樹脂の断面を表す模式図。 SEMで観察した、充填材に疎水性のシリカだけを用いて作製した絶縁樹脂の断面を表す模式図。 実施例2で作製した絶縁樹脂の3点曲げ破壊強度と長期絶縁破壊寿命の測定結果を示すグラフ。 親水性の微粒子が網目状骨格構造を形成し、疎水性の微粒子が均一に分散している絶縁樹脂の断面を表す模式図。 実施例10によるタービン発電機の構成図。
本発明による電気絶縁樹脂(以下、単に「絶縁樹脂」とも称する)は、母材となる樹脂(母材樹脂)と、微細充填材として、表面に疎水基を有する微粒子(以下、「疎水性の微粒子」と称する)と、表面に親水基を有する微粒子(以下、「親水性の微粒子」と称する)とを含む。疎水性の微粒子と親水性の微粒子は、平均粒子径が200nm以下であり、絶縁樹脂中で、一方の微粒子が集団で網目状骨格構造を形成し、他方の微粒子が孤立して分散している。微粒子の集団から形成される網目状骨格構造とは、微粒子が線状に凝集して形成され、線状に凝集した微粒子からなる骨格構造が網目状に形成された構造であり、特許文献3に記載のデンドライト状の構造と同じ構造である。上述したように、特許文献3では、疎水性の微粒子がデンドライト状の構造を形成することで、樹脂材料の機械的強度を向上させている。我々の新たな知見によれば、疎水性の微粒子と親水性の微粒子(極性のある状態の微粒子)を同時に用いることで、絶縁樹脂の機械的強度だけではなく、絶縁破壊寿命をも大幅に向上できることが分かった。このため、本発明による電気絶縁樹脂は、機械的強度と絶縁破壊寿命の向上が両立でき、薄くして高電圧機器に用いることができる。従って、本発明による高電圧機器は、小型化することができる。
本発明による絶縁樹脂は、樹脂中で、疎水性の微粒子が網目状骨格構造を形成し、親水性の微粒子が孤立分散する構成と、親水性の微粒子が網目状骨格構造を形成し、疎水性の微粒子が孤立分散する構成という2つの構成のうち、いずれか一方の構成を取ることができる。どちらの構成を取るかは、樹脂が極性を持つか否かにより決定される。
多種の微粒子を含む樹脂において、微粒子の平均粒子径が200nm以下の場合には、微粒子の沈降と熱運動とが均衡するために、微粒子の沈降速度は、きわめて遅くなるかほぼ無視できる。このような場合では、重力よりも、微粒子同士の間、樹脂同士の間、及び微粒子と樹脂との間に働く力の方が大きくなる。
極性を持つ樹脂は、その骨格中にOH、COOH、COOR、C=O、R−O−R等の極性基を持つ。極性を持つ樹脂中では、疎水性の微粒子は、互いに近づき合って集合体を形成しようとする。しかしながら、せん断場において微粒子を混合すると、疎水性の微粒子の集合体は引き延ばされ、線状の構造(網目状骨格構造)となって残留する。従って、極性を持つ樹脂中では、疎水性の微粒子が網目状骨格構造を形成し、親水性の微粒子が孤立分散する。
極性を持たない樹脂(非極性の樹脂または極性の低い樹脂)は、その骨格がC−C結合だけで構成されている樹脂、極性基を持たない樹脂、またはポリテトラフルオロエチレン等のように対称性が高くCとの結合性が高い樹脂である。極性を持たない樹脂中では、親水性の微粒子は、互いに近づき合って集合体を形成しようとする。しかしながら、せん断場において微粒子を混合すると、親水性の微粒子の集合体は引き延ばされ、線状の構造(網目状骨格構造)となって残留する。従って、極性を持たない樹脂中では、親水性の微粒子が網目状骨格構造を形成し、疎水性の微粒子が孤立分散する。
微粒子は、平均粒子径が200nmを超えると、作用する重力が大きくなって沈降するので、樹脂中で網目状骨格構造の形成や孤立分散を期待することができない。このため、微粒子の平均粒子径は、200nm以下であるのが望ましい。一方、微粒子の平均粒子径が小さすぎると、樹脂は、粘度が上がってハンドリング性が低下する。このため、微粒子の平均粒子径は、1nm以上であるのが望ましい。
以下、樹脂が極性を持ち、樹脂中で、疎水性の微粒子が網目状骨格構造を形成し、親水性の微粒子が孤立分散する構成について説明する。ただし、以下の説明は、極性を持たない樹脂中で、親水性の微粒子が網目状骨格構造を形成し、疎水性の微粒子が孤立分散する構成にも適用することができる。
極性を持つ微粒子(すなわち親水性の微粒子)は、特に樹脂が極性を持つ場合には樹脂との相互作用が強くなり、十分なせん断力の下で撹拌すればほぼ均一に樹脂中に分散する。一方で、疎水性の微粒子同士の間には「疎水性相互作用」と呼ばれる見かけ上の力が働くため、疎水性の微粒子は、互いに近づく傾向が現れる。たとえ微粒子同士が近づいたとしても、平均粒子径が200nm以下の微粒子は、ブラウン運動を起こす上に重力の影響が少ないために沈降しない。このため、樹脂中では、疎水性の微粒子の集団が網目状に形成される。このようにして、疎水性の微粒子の集団から形成される網目状骨格構造と、孤立して分散した親水性の微粒子とが樹脂の内部に共存することになる。すなわち、樹脂が極性を持つ場合には、本発明による絶縁樹脂の内部では、疎水性の微粒子の集団が網目状骨格構造を形成し、親水性の微粒子が孤立して分散している。
我々の新たな検討によれば、網目状骨格構造は、硬化後の樹脂の破壊靱性や破壊強度を増大させる役目を果たし、また、孤立した微粒子は、電気トリーの進展を阻害して絶縁破壊寿命を向上させることが明らかになった。
絶縁樹脂の内部において、疎水性の微粒子と親水性の微粒子の割合(重量比)は、1:9〜5:5が望ましい。疎水性の微粒子は、樹脂の粘度を上げてハンドリング性を低下させやすいので、親水性の微粒子の量以下の量で用いるのが望ましいからである。
また、疎水性の微粒子と親水性の微粒子の添加量の合計は、樹脂全体の重量に対して、1wt%以上15wt%以下とするのが望ましい。疎水性の微粒子と親水性の微粒子の添加量が1wt%より少ないと機械的強度と絶縁破壊寿命の向上という効果を得るのが困難であり、15wt%より多いと、樹脂の粘度が上がりハンドリング性が低下するからである。更に望ましくは、疎水性の微粒子と親水性の微粒子の添加量の合計は、樹脂全体の重量に対して、3wt%以上15wt%以下である。例えば、疎水性の微粒子が2wt%で親水性の微粒子が3wt%というごく少量を樹脂に添加してもよく、最大でも計15wt%程度まで添加しても十分な効果を発揮することが判明している。
以下、本発明の実施例による電気絶縁樹脂と高電圧機器を説明する。実施例1〜9では、電気絶縁樹脂の実施例について説明し、実施例10では、高電圧機器の実施例について説明する。以下の実施例では、主に、疎水性の微粒子の集団が網目状骨格構造を形成し、親水性の微粒子が孤立して分散している電気絶縁樹脂について説明する。
本実施例による電気絶縁樹脂について説明する。本実施例による絶縁樹脂は、親水性の微粒子として親水性のシリカ粒子を含み、疎水性の微粒子として疎水性のシリカ粒子を含む。疎水性のシリカ粒子は、シリカ粒子の表面のヒドロキシル基をメチル基に置換して疎水化することで得られる。親水性のシリカ粒子は、表面処理をしないシリカ粒子である。樹脂の原料には、ビスフェノールA型エポキシプレポリマー、酸無水物硬化剤、及び反応促進剤を混合した液を用いる。
図1は、本実施例による絶縁樹脂に含まれる親水性のシリカ110の表面構造の化学構造式を示す図である。親水性のシリカ110は、表面にヒドロキシル基(OH基)が露出している。図1に示すように、表面処理されていないシリカの表面には多くのOH基が存在しており、かつOH基は分極してOが負電荷、Hが正電荷を持っている。シランカップリング剤を用いると、シリカの表面のOH基をアルキル基に置換することが可能である。
図2は、本実施例による絶縁樹脂に含まれる疎水性のシリカ111の表面構造の化学構造式を示す図であり、図1に示した親水性のシリカ110において、表面のOH基をメチル基に変えた構造を示す。図2に示す疎水性のシリカ111では、表面に露出するCやHは、分極をあまり起こさないために、電荷をほとんど持っていない。このような特性は、分子軌道計算や各種の実験により明らかになっている。
なお、本実施例に用いた親水性のシリカ110と疎水性のシリカ111は、平均一次粒子径が16nmであり、モノシランを酸素炎中で反応させて得た。親水性のシリカ110と疎水性のシリカ111は、樹脂全体の重量の3wt%ずつ混合させた。絶縁樹脂の作製プロセスとしては、次に述べる手順を採用した。以下の手順は、3点曲げ破壊強度及び長期課電劣化寿命(長期絶縁破壊寿命)を測定する試験片として用いる絶縁樹脂を作製するための手順である。
(1)ビスフェノールA型エポキシプレポリマーと酸無水物硬化剤(例えば、フタル酸無水物)をプラネタリーミキサーで混合し、硬化前樹脂液を作製する。
(2)硬化前樹脂液に親水性のシリカ110と疎水性のシリカ111を加え、プラネタリーミキサーで撹拌して混合する。
(3)(2)の硬化前樹脂液を一軸回転翼撹拌機で更に混合する。
(4)(3)の硬化前樹脂液に反応促進剤(例えば、アミン系化合物)を更に添加する。
(5)(4)の硬化前樹脂液を80℃に予熱した金型に流し入れ、80℃で5時間加熱し、更に130℃で8時間加熱する。
(6)(5)の加熱後、3時間かけて室温まで徐冷し、硬化した樹脂を金型から取り外す。
このようにして作製した絶縁樹脂の断面を、走査型電子顕微鏡(SEM)で観察した。
図3は、SEMで観察した本実施例の絶縁樹脂の断面を表す模式図である。図3に示すように、樹脂の内部には、疎水性のシリカ111の集団からなる網目状骨格構造100が形成され、親水性のシリカ110が孤立して存在している。網目状骨格構造100は、線状に凝集した疎水性のシリカ111からなる骨格構造が、網目状に形成された構造である。親水性のシリカ110は、沈降せずに、樹脂の内部で分散している。
図4は、SEMで観察した、充填材に疎水性のシリカ111だけを用いて作製した絶縁樹脂の断面を表す模式図である。図4に示す絶縁樹脂は、比較のために、充填材として、親水性のシリカ110を用いず、疎水性のシリカ111だけを用いて作製したものである。樹脂の内部には、疎水性のシリカ111の集団からなる網目状骨格構造100が形成されている。
図3と図4に示すように、疎水性のシリカ111は、線状に凝集して網目状骨格構造100を形成する。この理由として次のことが考えられる。すなわち、比較的極性の高いエポキシ樹脂の中で、疎水性のシリカ111は、分散が起こりにくく、凝集は起こすものの、プラネタリーミキサーの撹拌により引っ張り応力が働き、繊維状のネットワーク構造(網目状骨格構造100)を形成する。また、シリカ粒子は、サイズが小さいためにブラウン運動の力が働き、沈降することはない。樹脂は、このような構造が内部に形成されたまま硬化することで、強度が高くなる。図4に示した比較例の場合では、絶縁樹脂の曲げ強度は、充填材であるシリカ粒子を添加しないで作製した絶縁樹脂と比較して、約30%向上した。しかし、図4に示した場合では、絶縁樹脂の長期絶縁破壊寿命は、シリカ粒子を添加せずに作製した絶縁樹脂と比較して、20%程度の延長が見られただけにすぎず、長期絶縁破壊寿命を向上する効果は不十分であった。
本実施例の絶縁樹脂では、図3に示すように、樹脂の内部で、疎水性のシリカ111が線状に凝集した集団が形成され、親水性のシリカ110が孤立している。すなわち、樹脂の内部では、疎水性のシリカ111の集団から形成される網目状骨格構造100と、孤立して分散している親水性のシリカ110とが共存している。我々の新たな検討によれば、網目状骨格構造100は、硬化後の樹脂の破壊靱性や破壊強度を増大させる役目を果たし、また親水性の孤立微粒子(親水性のシリカ110)は、電気トリーの進展を阻害して樹脂の絶縁破壊寿命を向上させることが明らかになった。図3に示した本実施例の場合では、充填材であるシリカ粒子を添加しないで作製した絶縁樹脂と比較して、絶縁樹脂の曲げ強度は45%向上し、絶縁樹脂の長期絶縁破壊寿命は100%向上した。すなわち、本実施例の絶縁樹脂では、長期絶縁破壊寿命が2倍になることが分かった。
以上のように、本実施例の絶縁樹脂は、絶縁特性(長期絶縁破壊寿命)と機械的強度(曲げ強度)の両方を向上することができ、この結果、高電圧機器を小型化できることが分かった。
なお、親水性のシリカ110と疎水性のシリカ111の平均粒子径は、本実施例では16nmであるが、この値に限らず、200nm以下であれば、絶縁樹脂の長期絶縁破壊寿命と機械的強度の向上という効果が得られる。また、親水性のシリカ110と疎水性のシリカ111は、本実施例では樹脂全体の重量の3wt%ずつ混合させたが、この値に限らない。ただし、上述したように、疎水性のシリカ111と親水性のシリカ110の重量比は、1:9〜5:5が望ましく、疎水性のシリカ111と親水性のシリカ110の添加量の合計は、樹脂全体の重量に対して1wt%以上15wt%以下が望ましい。
本実施例では、実施例1のように、充填材として疎水性のシリカ111と親水性のシリカ110とを添加して作製した絶縁樹脂について、添加した疎水性のシリカ111の割合と絶縁樹脂の性能との関係について調べた。絶縁樹脂の性能として、3点曲げ破壊強度(機械的強度)と長期絶縁破壊寿命(長期課電劣化寿命)を測定した。測定結果を図5に示す。なお、添加した親水性のシリカ110と疎水性のシリカ111の総重量は、樹脂全体の重量に対して6wt%である。
図5は、本実施例で作製した絶縁樹脂の3点曲げ破壊強度と長期絶縁破壊寿命の測定結果を示すグラフである。図5のグラフにおいて、横軸は、親水性のシリカ110と疎水性のシリカ111の総重量に対する疎水性のシリカ111の重量の比率を表し、左の縦軸は、絶縁樹脂の曲げ強度を表し、右の縦軸は、絶縁樹脂の長期絶縁破壊寿命の向上率を表す。曲げ強度と長期絶縁破壊寿命は、充填材であるシリカ粒子を添加しないで作製した絶縁樹脂と比較した結果を示している。
図5から分かるように、長期絶縁破壊寿命は、疎水性のシリカ111の重量比率が0.1〜0.5の場合(疎水性のシリカ111と親水性のシリカ110との割合が1:9〜5:5の場合)では、向上率が30%以上になっている。疎水性のシリカ111の重量比率がほぼ0.5の場合(疎水性のシリカ111と親水性のシリカ110との割合がほぼ5:5の場合)に、長期絶縁破壊寿命の向上率はピーク(100%)となり、長期絶縁破壊寿命は約2倍となる。
また、曲げ強度は、疎水性のシリカ111の重量比率が0.1〜0.5の場合に1.2倍以上になり、疎水性のシリカ111の重量比率が0.3〜0.4の場合に最大となる。
これらの結果から、疎水性のシリカ111の重量比率が0.1〜0.5(0.1以上0.5以下)の場合(疎水性のシリカ111と親水性のシリカ110との割合が1:9〜5:5の場合)に、長期絶縁破壊寿命と曲げ強度の向上率がともに大きくなることが分かる。特に、疎水性のシリカ111の重量比率が0.3〜0.5の場合に、長期絶縁破壊寿命と曲げ強度の向上率がともに大きくなる。
なお、疎水性のシリカ111の重量比率が0.5を超えても、長期絶縁破壊寿命と曲げ強度の向上率が大きくなる場合がある。しかし、先に述べたように、疎水性のシリカ111は、樹脂の粘度を上げてハンドリング性を低下させやすいので、親水性のシリカ110の量以下の量で用いるのが望ましい。従って、疎水性のシリカ111の重量比率は、0.5以下とするのが望ましい。
長期絶縁破壊寿命と曲げ強度は、ともに、疎水性のシリカ111の添加量が増えていくに従い、ピークを迎えて減少していく。特に、曲げ強度は、疎水性のシリカ111の重量比率が0.6を超えると急速に悪化する。この理由は、疎水性のシリカ111の重量比率が0.6を超えると、網目状骨格構造100の形成が著しくなり、親水性のシリカ110の分散が阻害されるためと考えられる。網目状骨格構造100の形成によって親水性のシリカ110の分散が阻害されるのを防ぐためには、絶縁樹脂の作製時に適切な溶媒を用いることによって、網目状骨格構造100の形成を遅らせることが一案として考えられる。
なお、親水性のシリカ110と疎水性のシリカ111の添加量の合計は、本実施例では樹脂全体の重量に対して6wt%であるが、この値に限らない。ただし、上述したように、親水性のシリカ110と疎水性のシリカ111の添加量の合計は、樹脂全体の重量に対して1wt%以上15wt%以下が望ましい。
本実施例では、本発明の電気絶縁樹脂に用いる樹脂(母材樹脂)について説明する。樹脂は、熱硬化性樹脂でも熱可塑性樹脂でもよく、極性を持つ樹脂でも極性を持たない樹脂でもよい。ただし、極性を持つ熱硬化性樹脂は、機械的強度と絶縁特性の向上という効果をより発揮しやすいので好ましい。この理由として、多くの酸化物系充填材は、極性を持っており、表面を処理しなくても極性を持つ樹脂の内部に分散しやすい特性を持っていることが挙げられる。また、熱硬化性樹脂は、樹脂内部にできた構造を保持しやすく、熱可塑性樹脂と比較して、温度に対して安定的に性能を発揮することができるためである。
実施例1において熱硬化性樹脂として不飽和ポリエステル、ポリフェノール、及びノボラック樹脂を用いても、実施例1と同様に機械的強度と絶縁特性が向上することが判明している。また、これに限らず、極性を持つ樹脂については、実施例1に述べた効果が期待できる。
極性を持つ樹脂の例として、熱硬化性の樹脂は、エポキシ、不飽和ポリエステル、ポリフェノール、ノボラック、ABS、ポリアセタール、及びこれらの複合材が挙げられ、熱可塑性の樹脂は、ポリアミド、ポリ塩化ビニル、ポリ酢酸ビニル、及びこれらの複合材が挙げられる。極性を持たない樹脂の例として、ポリテトラフルオロエチレン、ポリエチレン、ポリプロピレン、及びこれらの複合材が挙げられる。好ましくは、熱硬化性の樹脂は、エポキシ樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、ノボラック樹脂、及びこれらの複合材である。
樹脂の種類は、用いられる環境や要求されるコストによって変える必要が生じる。本実施例による絶縁樹脂は、環境やコストに応じて母材樹脂を変えることで、機械的強度と絶縁特性を向上することが可能である。
本実施例では、本発明による電気絶縁樹脂に微細充填材として用いる微粒子について説明する。微粒子としては、無機化合物、有機化合物、または有機無機複合体を用いることができる。無機化合物の例としては、シリカ、シリコーンなどのケイ素化合物、アルミナ、酸化チタンなどの無機酸化物、及び窒化アルミニウムなどの無機窒化物などが挙げられる。有機化合物の例としては、スチレンブタジエンゴム、ニトリルゴムなどの有機エラストマーなどの有機化合物が挙げられる。有機無機複合体の例としては、雲母などの無機鉱物の表面を有機塩で修飾した有機クレイなどが挙げられる。これらの微粒子のうち、シリカ、アルミナ、層状シリケート化合物、またはこれらの組み合わせからなる微粒子を用いるのが望ましい。例えば、疎水性の微粒子としては、スチレンブタジエンゴム、表面疎水化シリカ、表面疎水化アルミナ、及び表面疎水化層状シリケートを用いることができ、親水性の微粒子としては、アルミナ、シリカ、その他の金属酸化物粒子、及び表面極性化エラストマーを用いることができる。
微細充填材として、実施例1、2のようにシリカではなく、例えば、アルミナ、層状シリケート化合物、またはこれらの組み合わせを用いても、実施例1、2と同様の効果を得ることができる。特に、疎水性の表面処理をしたアルミナと表面処理をしていないアルミナとを混合させて使うことで、絶縁破壊寿命が顕著に向上する。また、疎水性の表面処理をした層状シリケート化合物と表面処理をしていない(親水性の)層状シリケート化合物とを混合させて使うことで、絶縁破壊寿命と機械的強度がともに顕著に向上する。
シリカは、ごくありふれた物質であり、コストが低く、純度を高くすることが容易であり、形状の自由度が高く、表面処理剤が豊富であるため、粒子径などの望む性能が得られやすい。従って、樹脂性状の制御に最も適している。一方、アルミナは、シリカに比較して薬品に侵されにくい特徴を有しており、腐食性環境下で用いるのに適している。また、層状シリケート化合物は、ナノメートルサイズの厚さの薄層に分離するため、樹脂内部にカードハウス型構造を形成し、絶縁樹脂の強度と絶縁破壊寿命を向上させる効果がある。
本実施例では、本発明による電気絶縁樹脂に微細充填材として用いる微粒子について、更に説明する。本発明による電気絶縁樹脂に微細充填材として用いる微粒子は、表面が親水性の場合(表面に親水基を有する場合)には、表面に疎水化処理を実施して疎水性の微粒子として用いることができる。また、表面が疎水性の場合(表面に疎水基を有する場合)には、表面に親水化処理を実施して親水性の微粒子として用いることができる。
微粒子の表面には、主に、それぞれの微粒子に特有の基が存在する。例えば、シリカの表面には、通常は、親水基であるヒドロキシル基が露出している。このため、通常のシリカは親水性である。このヒドロキシル基を疎水基で置換することで、シリカ粒子の疎水化ができる。疎水基としては、好ましくはメチル基及びエチル基などのアルキル基が挙げられる。
このようにして、親水性の微粒子と、疎水性の微粒子とを得ることができる。本実施例による電気絶縁樹脂では、上記のように、微細充填材として、親水性の微粒子の表面に疎水化処理を実施して疎水性の微粒子として用いたり、疎水性の微粒子の表面に親水化処理を実施して親水性の微粒子として用いたりすることにより、実施例1、2で述べたのと同様の効果を得ることができる。
図3に示したように、極性を持つ樹脂の内部では、親水性の微粒子110は、十分なせん断応力をかけることにより、樹脂の液中に均一に分散させることができる。一方、疎水性の微粒子111は、せん断力をかけても一部で互いに連結し、その結果、網目状骨格構造100を樹脂の内部に形成する。
また、極性を持たない樹脂の内部では、逆の現象が起き、親水性の微粒子110が網目状骨格構造100を形成するのに対し、疎水性の微粒子111は均一に分散する。すなわち、実施例1において、疎水性のシリカ111が形成していた網目状骨格構造100に類似した構造は、親水性のシリカ110のような極性を持つ微粒子によっても形成され得る。
図6は、親水性の微粒子が網目状骨格構造を形成し、疎水性の微粒子が均一に分散している絶縁樹脂の断面を表す模式図である。図6に示すように、樹脂の内部には、親水性のシリカ110の集団からなる網目状骨格構造100が形成され、疎水性のシリカ111が孤立して存在している。疎水性のシリカ111は、沈降せずに、樹脂の内部で分散している。
図3と図6に示したような構造が形成されるのは、エネルギー的に安定となるために、疎水性の粒子同士は互いに近づきやすく、極性を持つ(親水性の)粒子同士は互いに近づきやすいからである。非経験的分子軌道計算によると、安定となるこのエネルギーは、最大で約マイナス10kcal/1ペア(ここで、ペアとは極性基同士の相互作用エネルギーであり、負の値であるから発熱反応である)となった。典型的な極性樹脂であるエポキシ樹脂の場合について試算すると、このエネルギーが存在するために、網目状骨格構造は、疎水性の微粒子が形成したものであっても親水性の微粒子が形成したものであっても、180℃程度までは安定に存在できることが判明した。
なお、疎水性の微粒子が網目状骨格構造を形成し親水性の微粒子が分散する構造と、親水性の微粒子が網目状骨格構造を形成し疎水性の微粒子が分散する構造のうち、どちらが良いかは、絶縁樹脂の用途による。なお、熱硬化性樹脂として広く用いられるものとしては、エポキシ樹脂が挙げられ、この樹脂は、極性樹脂としての性質を持つものが多い。エポキシ樹脂が極性を持つ原因は、分子骨格内部のカルボキシル基とヒドロキシル基による。
以上説明したように、本実施例による電気絶縁樹脂は、樹脂(母材樹脂)が極性を持つか持たないかに関わらず、実施例1、2で述べたように、機械的強度と絶縁特性を向上することができる。
本実施例による電気絶縁樹脂は、平均粒子径が5μmを超えるいわゆるマイクロ粒子からなる充填材を更に含んだ絶縁樹脂である。本発明による電気絶縁樹脂には、平均粒子径が200nm以下の微細充填材の他に、平均粒子径が5μmを越える無機充填材または有機充填材を加えてもよい。このようなマイクロ粒子を、微細充填材とともに絶縁樹脂に添加することにより、絶縁樹脂の物性を更に制御しやすくすることができる。マイクロ粒子からなる充填材としては、例えば、シリカ、アルミナ、及びエラストマーのうち少なくとも1つからなる充填材を用いることができる。
例えば、高電圧機器に用いる絶縁樹脂の線膨張率は、絶縁樹脂とともに用いる金属の線膨張率に近い値にする必要がある。絶縁樹脂の線膨張率は、樹脂に含まれる樹脂成分と充填材の体積加重平均で、ほぼ決定される。一方、ナノサイズの充填材(微細充填材)は、樹脂の粘度を増大させてハンドリング性を低下させてしまうため、線膨張率を有意に変化させるほどに添加量を増やすことができない。そこで、ナノサイズの充填材とマイクロ粒子をともに樹脂に添加することで、微細充填材(微粒子)により機械的強度と絶縁特性を向上できるとともに、線膨張率のように体積分率で変わる物性が制御可能となり、線膨張率を有意に変化させることができる。
平均粒子径が5μmを越える大きなサイズの充填材は、硬化前の樹脂の粘度を、ナノサイズの充填材のようには上昇させない。このため、平均粒子径が5μmを越えるマイクロ粒子の充填材は、樹脂全体の重量に対して75wt%程度まで添加することができる。マイクロ粒子の充填材は、絶縁樹脂の線膨張率のような物性の制御量に応じた量を添加するが、75wt%を超えると樹脂の粘度を増大させてハンドリング性を低下させてしまうからである。
このように、本実施例による電気絶縁樹脂では、平均粒子径が5μmを越える充填材を樹脂に添加することにより、絶縁樹脂の物性を制御することができる。この結果、例えば、絶縁樹脂の線膨張率をともに用いる金属の線膨張率に近い値にすることができ、絶縁樹脂のコストを抑制できるという効果が得られる。
本実施例による電気絶縁樹脂は、エラストマー粒子を更に含んだ絶縁樹脂である。実施例1〜6で述べた電気絶縁樹脂には、更にエラストマー粒子を加えてもよい。加えるエラストマー粒子の量は、樹脂のハンドリング性を考慮すると、樹脂全体の重量に対して3〜5wt%(3wt%以上5wt%以下)である。エラストマー粒子を加えることにより、次のような効果が得られる。
エラストマー粒子には、樹脂の破壊靱性を向上させクラック耐性を向上させる効果があり、樹脂を割れにくくすることができるが、樹脂の機械的強度を低下させるという短所を持つ。本実施例による絶縁樹脂では、上述したように網目状骨格構造により機械的強度が向上できるので、エラストマー粒子を添加して破壊靱性を向上させても、機械的強度が低下しない。従って、本実施例による絶縁樹脂では、破壊靱性、絶縁特性、及び機械的強度がともに向上できる。
絶縁樹脂に添加するエラストマー粒子の例としては、ニトリルブタジエンゴム、ブタジエゴム、シリコーンゴム、または市販されているコアシェル型靱性向上用ゴム材料が挙げられる。
実施例1〜7で述べた電気絶縁樹脂に微細充填材として用いる微粒子は、表面の修飾基(疎水基と親水基)として以下に列挙するもののうち1つまたは複数を有していても、実施例1〜7と同様の効果を奏する。例えば、アルキル基、アルコキシ基、エポキシ基、フェニル基、ビニル基、ハロゲン類、ハロゲン化アルキル基、有機酸類、酸無水物類、無機酸類、フェノール類、共役ポリエン類、ポリエーテル類、ポリフェノール類、脂肪族多環構造、及び芳香族類である。
また、エポキシ樹脂としては、以下に示すものがあり、これらは単独でまたは2種類以上を混合して用いることができる。例えば、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、水添ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、臭素化ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールS型エポキシ樹脂、ビフェニル型エポキシ樹脂、ナフタレン型エポキシ樹脂、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、オルソクレゾールノボラック型エポキシ樹脂、脂環式エポキシ樹脂、及びトリグリシジルイソシアヌレート型エポキシ樹脂などである。
実施例1〜8で述べた電気絶縁樹脂は、機械的強度の向上と絶縁特性の向上の両立が可能であり、タービン発電機、モータ、遮断器、変圧器、及び高電圧素子などの高電圧機器に用いた場合、高電圧機器を小型化することが可能である。実施例1〜8の絶縁樹脂は、機械的強度が向上しているために薄くして高電圧機器に用いることができる。この結果、エネルギー密度を大きくすることにより、高電圧機器を小型化できる。単に、絶縁樹脂の機械的強度のみまたは絶縁特性のみの向上では、高電圧機器の小型化は不可能である。しかし、実施例1〜8の絶縁樹脂では、機械的強度と絶縁特性の向上を両立することが可能なので、高電圧機器を小型化できるという効果を奏する。
本発明の実施例による高電圧機器について説明する。本実施例による高電圧機器には、例えば、タービン発電機、モータ、遮断器、変圧器、及び高電圧素子などが含まれ、実施例1〜9のうちいずれか1つで述べた電気絶縁樹脂が用いられる。以下では、高電圧機器の一例として、タービン発電機について説明する。
図7は、本実施例によるタービン発電機の構成図である。タービン発電機は、固定子枠1、固定子鉄心2、固定子巻線3、回転子鉄心4、回転子巻線5、リテニングリング6、回転軸7、軸受装置8、ファン9、エンドブラケット10、冷却器11、集電装置12、及びターミナル13を備える。電気絶縁樹脂は、主に、固定子鉄心2と固定子巻線3とを絶縁する絶縁層に使われている。実施例1〜9のうちいずれか1つで述べた電気絶縁樹脂を絶縁層に用いることで、本実施例によるタービン発電機は、従来よりも小型化することが可能である。
なお、本発明は、上記の実施例に限定されるものではなく、様々な変形例を含む。例えば、上記の実施例は、本発明を分かりやすく説明するために詳細に説明したものであり、本発明は、必ずしも説明した全ての構成を備える態様に限定されるものではない。
1…固定子枠、2…固定子鉄心、3…固定子巻線、4…回転子鉄心、5…回転子巻線、6…リテニングリング、7…回転軸、8…軸受装置、9…ファン、10…エンドブラケット、11…冷却器、12…集電装置、13…ターミナル、100…網目状骨格構造、110…親水性のシリカ、111…疎水性のシリカ。

Claims (6)

  1. 樹脂と、平均粒子径が200nm以下であり表面に疎水基を持つ微粒子と、平均粒子径が200nm以下であり表面に親水基を持つ微粒子とを含み、
    記親水基を持つ微粒子は、前記樹脂の内部で線状に凝集して網目状骨格構造を形成し、前記疎水基を持つ微粒子は、前記樹脂の内部に分散して存在
    前記疎水基を持つ微粒子と前記親水基を持つ微粒子は、シリカ、アルミナ、層状シリケート化合物、またはこれらの組み合わせからなる、
    ことを特徴とする電気絶縁樹脂。
  2. 前記疎水基を持つ微粒子と前記親水基を持つ微粒子との総重量に対する、前記疎水基を持つ微粒子の重量の比率は、0.1〜0.5である請求項1記載の電気絶縁樹脂。
  3. 平均粒子径が5μmを超える粒子からなる充填材を更に含む請求項1記載の電気絶縁樹脂。
  4. エラストマー粒子を更に含む請求項1記載の電気絶縁樹脂。
  5. 前記エラストマー粒子の量は、前記樹脂の全体の重量に対して3〜5wt%である請求項記載の電気絶縁樹脂。
  6. 請求項1記載の電気絶縁樹脂を用いた高電圧機器。
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