JP6206767B2 - モータ制御装置及び発電機制御装置 - Google Patents

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Description

本発明は、モータ制御装置及び発電機制御装置に関する。
従来から、3相モータの制御方式として、直接トルク制御(DTC:Direct Torque Control)が提案されている。直接トルク制御の一例では、3相電流iが検出される。3相電流iが、2相電流iαβに変換される。2相電流iαβと、指令2相電圧vαβ *とから、式(A−1)〜(A−4)を用いて、3相モータの電機子鎖交磁束と、電機子鎖交磁束の位相と、モータトルクとが推定される。つまり、推定磁束ψαβと、推定磁束ψαβの位相θSと、推定トルクTとが求められる。α軸推定磁束ψαは、推定磁束ψαβのα軸成分である。β軸推定磁束ψβは、推定磁束ψαβのβ軸成分である。α軸電流iαは、2相電流iαβのα軸成分である。β軸電流iβは、2相電流iαβのβ軸成分である。指令α軸電圧vα *は、指令2相電圧vαβ *のα軸成分である。指令β軸電圧vβ *は、指令2相電圧vαβ *のβ軸成分である。ψα|t=0は、時刻t=0におけるψαの値(ψαの初期値)である。ψβ|t=0は、時刻t=0におけるψβの値(ψβの初期値)である。Raは、3相モータの電機子巻線の一相当たりの抵抗値である。Pnは、モータの極対数である。
Figure 0006206767
次に、推定トルクTと、指令トルクT*との誤差(トルク誤差ΔT=T*−T)が求められる。トルク誤差ΔTと、位相θSと、電機子鎖交磁束の振幅の目標値(指令磁束)|ψS *|とから、電機子鎖交磁束の指令磁束ベクトルψαβ *が求められる。指令磁束|ψS *|は、指令磁束|ψS *|と指令トルクT*の関係を表すテーブルデータを用いて、指令トルクT*に応じて特定される。テーブルデータは、予め準備される。
推定磁束ψαβが指令磁束ベクトルψαβ *に一致するように、式(A−5)及び(A−6)を用いて、指令2相電圧vαβ *が求められる。ψα *は、指令磁束ベクトルψαβ *のα軸成分である。ψβ *は、指令磁束ベクトルψαβ *のβ軸成分である。
Figure 0006206767
指令2相電圧vαβ *は、指令3相電圧vuvw *(vu *、vv *及びvw *)に変換される。インバータによって、指令3相電圧vuvw *に対応する電圧ベクトルが生成される。この電圧ベクトルが、3相モータに印加される。
上述のモータ制御方式では、指令磁束演算器(RFVC: Reference Flux Vector Calculator)を用いて指令磁束ベクトルを特定する。このため、上述のモータ制御方式を、RFVC DTC(Reference Flux Vector Calculation Direct Torque Control)と称することができる。
特許文献1及び非特許文献1には、直接トルク制御を用いたモータ制御装置の例が記載されている。
特開2009−33876号公報
井上、他3名,「直接トルク制御による埋込磁石同期モータのトルクリプル低減と弱め磁束制御(Torque ripple reduction, and flux-weakening control for interior permanent magnet synchronous motor based on direct torque control)」,平成18年電気学会全国大会講演論文集,電気学会,平成18年3月,第4分冊,4−106,p.166
本発明者らは、モータパラメータ(永久磁石が作る磁束等)の変動に伴う制御精度の低下を抑制することを検討した。
すなわち、本開示は、
3相モータの電機子鎖交磁束及びモータトルクがそれぞれ指令磁束及び指令トルクに追従するように、インバータを用いて前記3相モータに電圧ベクトルを印加するモータ制御装置であって、
前記電機子鎖交磁束を推定する磁束推定部と、
(a)推定された前記電機子鎖交磁束と前記3相モータを流れるモータ電流との第1内積、又は、(b)前記3相モータの永久磁石の推定された磁石磁束と前記モータ電流との第2内積、を用いたフィードバック制御を実行することによって前記指令磁束を補正する指令磁束特定部と、
を備えたモータ制御装置を提供する。
上記の技術によれば、指令磁束が適切に補正される。従って、モータパラメータの変動、モータ電流の検出誤差等によるモータ電流又は電力損失の増加を抑制できる。
3相モータ、インバータ及びモータ制御装置のブロック図 dq座標系を説明するための図 αβ座標系を説明するための図 第1の実施形態に係るモータ制御装置のブロック図 指令磁束ベクトルの特定方法を説明するためのブロック図 磁束振幅指令補正量演算部の内部構成を説明するためのブロック図 磁束振幅指令補正量演算部の内部構成を説明するための別のブロック図 磁束振幅指令補正量演算部の内部構成を説明するためのさらに別のブロック図 従来のモータ制御装置を用いた場合における磁束ベクトルと電流ベクトルとを説明するための図 従来のモータ制御装置を用いた場合における磁石磁束のパラメータ誤差と電流との関係を説明するための図 第1の実施形態における磁束ベクトルと電流ベクトルとを説明するための図 第1の実施形態の効果を確かめるための実験結果を示す図 第1の実施形態の変形例に係るモータ制御装置のブロック図 第2の実施形態に係るモータ制御装置のブロック図 磁束振幅指令補正量演算部の内部構成を説明するためのブロック図 第2の実施形態の効果を説明するための図 第3の実施形態に係るモータ制御装置のブロック図 磁束振幅指令補正量演算部の内部構成を説明するためのブロック図 第4の実施形態に係る発電機制御装置のブロック図
本開示の第1態様は、
3相モータの電機子鎖交磁束及びモータトルクがそれぞれ指令磁束及び指令トルクに追従するように、インバータを用いて前記3相モータに電圧ベクトルを印加するモータ制御装置であって、
前記電機子鎖交磁束を推定する磁束推定部と、
(a)推定された前記電機子鎖交磁束と前記3相モータを流れるモータ電流との第1内積、又は、(b)前記3相モータの永久磁石の推定された磁石磁束と前記モータ電流との第2内積、を用いたフィードバック制御を実行することによって前記指令磁束を補正する指令磁束特定部と、
を備えたモータ制御装置を提供する。
第1態様における第1内積及び第2内積は、指令磁束を補正をするための有効な指標である。第1態様に係るモータ制御装置は、その第1内積又は第2内積を用いて指令磁束を補正する。従って、温度上昇等によってモータパラメータが変動したり、モータ電流の検出誤差が生じたりしても、これらに伴うモータ電流又は電力損失の増加が抑制される。
本開示の第2態様は、第1態様に加え、
前記指令磁束特定部は、
(j)前記第1内積と、前記3相モータのインダクタンス及び前記モータ電流から特定された参照値との偏差がゼロに近づくように、
(k)前記第1内積と、前記指令トルクから特定された参照値との偏差がゼロに近づくように、
(l)前記第2内積と、与えられた参照値との偏差がゼロに近づくように、又は、
(m)前記第1内積又は前記第2内積と、弱め磁束制御用の制限電圧と前記電圧ベクトルを表す指令電圧の振幅との偏差から特定された参照値と、の偏差がゼロに近づくように、前記フィードバック制御を実行するモータ制御装置を提供する。
(j)によれば、モータ電流に応じて指令磁束が補正される。(k)によれば、トルクに応じて指令磁束が補正される。(l)によれば、簡便に指令磁束が補正される。(m)によれば、弱め磁束制御に適合するように指令磁束が補正される。
本開示の第3態様は、第2態様に加え、
前記指令磁束特定部は、
(J)前記第1内積と、前記3相モータのインダクタンスと前記モータ電流の振幅の2乗との積と、の偏差がゼロに近づくように、
(K)前記第1内積と、定数と前記指令トルクの2乗との積と、の偏差がゼロに近づくように、
(L)前記第2内積がゼロに近づくように、又は、
(M)前記第1内積又は前記第2内積と、弱め磁束制御用の制限電圧と前記電圧ベクトルを表す指令電圧の振幅との偏差を入力とする第2フィードバック制御の出力と、の偏差がゼロに近づくように、前記フィードバック制御を実行するモータ制御装置を提供する。
(J)〜(L)によれば、高い精度で最大トルク/電流(MTPA:Maximum Torque Per Ampere)制御を実行できる。(M)によれば、高い精度で弱め磁束制御を実行できる。
本開示の第4態様は、第1〜第3態様のいずれか1つに加え、
前記指令磁束特定部は、前記3相モータのインダクタンスの値として、d軸インダクタンスの値、d軸インダクタンスよりも大きくq軸インダクタンスよりも小さい値、又はd軸インダクタンスよりも小さくq軸インダクタンスよりも大きい値を用いるモータ制御装置を提供する。
第4態様によれば、d軸インダクタンスとq軸インダクタンスが異なる3相モータに適合するように、指令磁束を補正できる。つまり、第4態様のモータ制御装置は、埋込磁石同期モータ等の磁気的突極性を有するモータの制御に有利である。
本開示の第5態様は、第1〜第4態様のいずれか1つに加え、
前記指令磁束特定部は、前記第1内積又は前記第2内積から特定された補正量を前記指令磁束に加算することによって前記指令磁束を補正するモータ制御装置を提供する。
第5態様のモータ制御装置は、簡便に構成されうる。
本開示の第6態様は、第5態様に加え、
弱め磁束制御用の制限電圧を振幅とする前記電圧ベクトルが前記3相モータに印加されるときに前記3相モータに印加されるべき磁束ベクトルの振幅を制限磁束と定義し、前記制限磁束から前記指令磁束を引いた値を第2補正量と定義したとき、
前記指令磁束特定部は、前記補正量が前記第2補正量よりも大きいときに、前記補正量に代えて前記第2補正量を用いるモータ制御装置を提供する。
第6態様のモータ制御装置は、好適に弱め磁束制御を実行できる。
本開示の第7態様は、第6態様に加え、
前記指令磁束特定部は、前記制限磁束として、前記制限電圧を前記3相モータの回転数で割った値を用いるモータ制御装置を提供する。
第7態様のモータ制御装置は、簡便に構成されうる。
本開示の第8態様は、
3相モータの永久磁石の磁石磁束として与えられた指令磁束を参照し、前記3相モータのモータトルクが指令トルクに追従するように、インバータを用いて前記3相モータに電圧ベクトルを印加するモータ制御装置であって、
前記磁石磁束を推定する磁束推定部と、
推定された前記磁石磁束と前記3相モータを流れるモータ電流との内積を用いたフィードバック制御を実行することによって前記指令磁束を補正する指令磁束特定部と、
を備えたモータ制御装置を提供する。
第8態様によれば、第1の態様の効果と同様の効果が得られる。
本開示の第9態様は、第8態様に加え、
前記指令磁束特定部は、
(p)前記内積と、与えられた参照値との偏差がゼロに近づくように、又は、
(q)前記内積と、弱め磁束制御用の制限電圧と前記電圧ベクトルを表す指令電圧の振幅との偏差から特定された参照値と、の偏差がゼロに近づくように、前記フィードバック制御を実行するモータ制御装置を提供する。
(p)によれば、簡便に指令磁束が補正される。(q)によれば、弱め磁束制御に適合するように指令磁束が補正される。
本開示の第10態様は、第9態様に加え、
前記指令磁束特定部は、
(P)前記内積がゼロに近づくように、又は、
(Q)前記内積と、弱め磁束制御用の制限電圧と前記電圧ベクトルを表す指令電圧の振幅との偏差を入力とする第2フィードバック制御の出力と、の偏差がゼロに近づくように、前記フィードバック制御を実行するモータ制御装置を提供する。
(P)によれば、高い精度で最大トルク/電流制御を実行できる。(Q)によれば、高い精度で弱め磁束制御を実行できる。
本開示の第11態様は、第8〜第10態様のいずれか1つに加え、
前記指令磁束特定部は、前記内積から特定された補正量を前記指令磁束に加算することによって前記指令磁束を補正するモータ制御装置を提供する。
第11態様のモータ制御装置は、簡便に構成されうる。
本開示の第12態様は、第11態様に加え、
弱め磁束制御用の制限電圧を振幅とする前記電圧ベクトルが前記3相モータに印加されるときに前記3相モータに印加されるべき磁束ベクトルの振幅を制限磁束と定義し、前記磁束ベクトルにおける前記磁石磁束の成分を制限磁石磁束と定義し、前記制限磁石磁束から前記指令磁束を引いた値を第2補正量と定義したとき、
前記指令磁束特定部は、前記補正量が前記第2補正量よりも大きいときに、前記補正量に代えて前記第2補正量を用いるモータ制御装置を提供する。
第12態様のモータ制御装置は、好適に弱め磁束制御を実行できる。
本開示の第13態様は、第12態様に加え、
前記指令磁束特定部は、前記制限磁束として、前記制限電圧を前記3相モータの回転数で割った値を用い、前記磁束ベクトルにおける前記モータ電流に由来する成分として、前記3相モータのインダクタンスと前記モータ電流の振幅との積を用い、前記制限磁石磁束として、前記制限磁束の2乗から前記モータ電流に由来する前記成分の2乗を引いた値の平方根を用いるモータ制御装置を提供する。
第13態様のモータ制御装置は、簡便に構成されうる。
本開示の第14態様は、第8〜第13態様のいずれか1つに加え、
前記指令磁束特定部は、前記3相モータのインダクタンスの値として、d軸インダクタンスの値、d軸インダクタンスよりも大きくq軸インダクタンスよりも小さい値、又はd軸インダクタンスよりも小さくq軸インダクタンスよりも大きい値を用いるモータ制御装置を提供する。
第14態様によれば、d軸インダクタンスとq軸インダクタンスが異なる3相モータに適合するように、指令磁束を補正できる。
本開示の第15態様は、
3相モータの電機子鎖交磁束及びモータトルクがそれぞれ指令磁束及び指令トルクに追従するように、インバータを用いて前記3相モータに電圧ベクトルを印加するモータ制御装置であって、
前記3相モータの無効電力を特定し、前記無効電力を用いたフィードバック制御を実行することによって前記指令磁束を補正する指令磁束特定部を備えたモータ制御装置を提供する。
第15態様によれば、第1態様の効果と同様の効果が得られる。
本開示の第16態様は、第15態様に加え、
前記指令磁束特定部は、前記3相モータを流れるモータ電流と前記電圧ベクトルを表す指令電圧とを用いて前記無効電力を特定するモータ制御装置を提供する。
本開示の第17態様は、第15態様に加え、
当該モータ制御装置は、前記電機子鎖交磁束を推定する磁束推定部を備え、
前記指令磁束特定部は、推定した前記電機子鎖交磁束と前記3相モータを流れるモータ電流との内積に、前記3相モータの回転数を乗じることによって前記無効電力を特定するモータ制御装置を提供する。
本開示の第18態様は、第15〜第17態様のいずれか1つに加え、
前記指令磁束特定部は、前記無効電力から特定された補正量を前記指令磁束に加算することによって前記指令磁束を補正するモータ制御装置を提供する。
第15態様〜第18態様のモータ制御装置は、簡便に構成されうる。
本開示の第19態様は、
3相発電機の電機子鎖交磁束及び発電機トルクがそれぞれ指令磁束及び指令トルクに追従するように、コンバータを用いて前記3相発電機に電圧ベクトルを印加する発電機制御装置であって、
前記電機子鎖交磁束を推定する磁束推定部と、
(a)推定された前記電機子鎖交磁束と前記3相発電機を流れる発電機電流との第1内積、又は、(b)前記3相発電機の永久磁石の推定された磁石磁束と前記発電機電流との第2内積、を用いたフィードバック制御を実行することによって前記指令磁束を補正する指令磁束特定部と、
を備えた発電機制御装置を提供する。
第19態様によれば、第1態様の効果と同様の効果が得られる。
本開示の第20態様は、
3相モータの電機子鎖交磁束及びモータトルクがそれぞれ指令磁束及び指令トルクに追従するように、インバータを用いて前記3相モータに電圧ベクトルを印加するモータ制御方法であって、
前記電機子鎖交磁束を推定するステップと、
(a)推定された前記電機子鎖交磁束と前記3相モータを流れるモータ電流との第1内積、又は、(b)前記3相モータの永久磁石の推定された磁石磁束と前記モータ電流との第2内積、を用いたフィードバック制御を実行することによって前記指令磁束を補正するステップと、
を含むモータ制御方法を提供する。
本開示の第21態様は、
3相モータの永久磁石の磁石磁束として与えられた指令磁束を参照し、前記3相モータのモータトルクが指令トルクに追従するように、インバータを用いて前記3相モータに電圧ベクトルを印加するモータ制御方法であって、
前記磁石磁束を推定するステップと、
推定された前記磁石磁束と前記3相モータを流れるモータ電流との内積を用いたフィードバック制御を実行することによって前記指令磁束を補正するステップと、
を含むモータ制御方法を提供する。
本開示の第22態様は、
3相モータの電機子鎖交磁束及びモータトルクがそれぞれ指令磁束及び指令トルクに追従するように、インバータを用いて前記3相モータに電圧ベクトルを印加するモータ制御方法であって、
前記3相モータの無効電力を特定し、前記無効電力を用いたフィードバック制御を実行することによって前記指令磁束を補正するステップを含むモータ制御方法を提供する。
本開示の第23態様は、
3相発電機の電機子鎖交磁束及び発電機トルクがそれぞれ指令磁束及び指令トルクに追従するように、コンバータを用いて前記3相発電機に電圧ベクトルを印加する発電機制御方法であって、
前記電機子鎖交磁束を推定するステップと、
(a)推定された前記電機子鎖交磁束と前記3相発電機を流れる発電機電流との第1内積、又は、(b)前記3相発電機の永久磁石の推定された磁石磁束と前記発電機電流との第2内積、を用いたフィードバック制御を実行することによって前記指令磁束を補正するステップと、
を含む発電機制御方法を提供する。
第20〜第23態様によれば、第1の態様の効果と同様の効果が得られる。
以下、本開示の各実施形態を図面に基づいて説明する。
図1に示すように、本開示の各実施形態に係るモータ制御装置3,103,203,303は、インバータ(電圧変換回路)2及び3相モータ1に接続されうる。
(3相モータ1)
3相モータ1は、回転子と、固定子とを有している。回転子は、永久磁石を備えている。固定子は、3相分の電機子巻線を有している。3相モータ1のU相に対応する電機子巻線をU相巻線と称することがある。3相モータ1のV相に対応する電機子巻線をV相巻線と称することがある。3相モータ1のW相に対応する電機子巻線をW相巻線と称することがある。3相モータ1は、磁気的突極性を有するモータであってもよく、磁気的突極性を有さないモータであってもよい。具体的に、3相モータ1は、永久磁石同期モータ、埋込磁石同期モータ等である。
(インバータ2)
インバータ2は、具体的にはPWM(Pulse Width Modulation)インバータである。より具体的には、インバータ2は、直流電源と変換回路とを有している。直流電源は、直流電圧を出力する。変換回路は、PWM制御によって、直流電圧を電圧ベクトル(3相交流電圧)に変換する。インバータ2は、電圧ベクトルを3相モータ1に印加する。
以下では、dq座標系に基づいてモータ制御装置を説明することがある。また、αβ座標系に基づいてモータ制御装置を説明することもある。dq座標系及びαβ座標系は、二次元の直交座標系である。dq座標系及びαβ座標系について、図2A及び2Bを用いて説明する。
図2Aに示すdq座標系は、回転座標系である。d軸及びq軸は、永久磁石1mが作る磁束の回転速度(回転数)と同じ速度で回転する。反時計回り方向が、位相の進み方向である。永久磁石1mは、3相モータ1の回転子に設けられた永久磁石を表す。d軸は、永久磁石1mが作る磁束の方向に延びる軸として設定されている。q軸は、d軸を進み方向に90度回転させた軸として設定されている。U軸は、U相巻線に対応する。V軸は、V相巻線に対応する。W軸は、W相巻線に対応する。U軸、V軸及びW軸は、回転子が回転しても、回転しない。つまり、U軸、V軸及びW軸は、固定軸である。角度(位相)θは、U軸からみたd軸の進み角である。角度θは、回転子位置又は磁極位置とも称される。回転数ωは、回転子の回転数を表す。本明細書では、特に断りが無い限り、角度は電気角を意味する。d軸とq軸との間の角度、角度θ及び回転数ωは、電気角に基づいた値である。
図2Bに示すαβ座標系は、固定座標系である。α軸及びβ軸は、固定軸である。反時計回り方向が、位相の進み方向である。α軸は、U軸と同一方向に延びる軸として設定されている。β軸は、α軸を進み方向に90度回転させた軸として設定されている。
図1に示すように、モータ制御装置3,103,203,303は、3相モータ1を流れる3相電流iを検出する。モータ制御装置3,103,203,303には、指令トルクT*が入力される。モータ制御装置3,103,203,303は、3相電流iと指令トルクT*とを用いて、インバータ2を介して3相モータ1を制御する。以下、各実施形態のモータ制御装置を順に説明する。
(第1の実施形態)
図3に示すように、モータ制御装置3は、電流センサ5、3相2相座標変換部22、磁束・トルク推定部23、減算部24、第1の磁束振幅指令演算部25、第2の磁束振幅指令演算部(加算部)31、磁束振幅指令補正量演算部32(以下、補正量演算部32と称することがある)、磁束指令演算部26、電圧指令演算部29及び2相3相座標変換部30を備えている。
モータ制御装置3の一部又は全部の要素は、DSP(Digital Signal Processor)又はマイクロコンピュータにおいて実行される制御アプリケーションによって提供されうる。DSP又はマイクロコンピュータは、コア、メモリ、A/D変換回路及び通信ポート等の周辺装置を含んでいてもよい。また、モータ制御装置3の一部又は全部の要素は、論理回路によって構成されていてもよい。
(モータ制御装置3による制御の概要)
以下、モータ制御装置3の動作の概要を説明する。電流センサ5によって、U相電流iu及びV相電流ivが検出される。U相電流iuは、3相電流iのU相成分である。V相電流ivは、3相電流iのV相成分である。3相2相座標変換部22によって、U相電流iu及びV相電流ivが、2相電流iαβに変換される。磁束・トルク推定部23によって、2相電流iαβと、指令2相電圧vαβ *とから、推定磁束ψαβと、推定磁束ψαβの位相θsと、推定トルクTとが求められる。つまり、磁束・トルク推定部23によって、モータトルク及び電機子鎖交磁束が推定される。補正量演算部32によって、2相電流iαβと推定磁束ψαβとから、磁束振幅指令補正量ΔψS(以下、補正量ΔψSと称することがある)が特定される。減算部24によって、推定トルクTと指令トルクT*との差(トルク誤差ΔT:T*−T)が求められる。第1の磁束振幅指令演算部25によって、指令トルクT*から、第1の指令磁束|ψS *|が特定される。第2の磁束振幅指令演算部31によって、第1の指令磁束|ψS *|と、補正量ΔψSとの和(第2の指令磁束|ψS **|=|ψS *|+ΔψS)が特定される。磁束指令演算部26によって、第2の指令磁束|ψS **|と、位相θsと、トルク誤差ΔTとから、指令磁束ベクトルψαβ *が特定される。電圧指令演算部29によって、指令磁束ベクトルψαβ *と、推定磁束ψαβと、2相電流iαβとから、指令2相電圧vαβ *が特定される。2相3相座標変換部30によって、指令2相電圧vαβ *が、指令3相電圧vuvw *に変換される。指令3相電圧vuvw *は、インバータ2に参照される。このような制御によって、3相モータ1は、電機子鎖交磁束の振幅及びモータトルクがそれぞれ第2の指令磁束|ψS **|及び指令トルクT*に追従するように制御される。
本明細書では、2相電流iαβは、実際に3相モータ1を流れる電流ではなく、情報として伝達される電流値を意味する。同様に、指令2相電圧vαβ *、推定磁束ψαβ、補正量ΔψS、位相θs、推定トルクT、指令トルクT*、第1の指令磁束|ψS *|、第2の指令磁束|ψS **|、指令磁束ベクトルψαβ *及び指令3相電圧vuvw *も、情報として伝達される値を意味する。
次に、モータ制御装置3の詳細を説明する。
(電流センサ5)
電流センサ5は、3相電流iを検出する。本実施形態では、電流センサ5は、U相電流iu及びV相電流ivを検出する。電流センサ5は、U相電流iu及びV相電流ivを出力する。
(3相2相座標変換部22)
3相2相座標変換部22は、3相電流iを2相電流iαβに変換する。本実施形態では、3相2相座標変換部22は、U相電流iu及びV相電流ivを、α軸電流iα及びβ軸電流iβに変換する。α軸電流iα及びβ軸電流iβは、磁束・トルク推定部23、電圧指令演算部29及び補正量演算部32に与えられる。
なお、U相及びV相の2相以外の組み合わせの2相の電流を測定するように電流センサ5が設けられていてもよい。この場合も、測定された電流に基づいてα軸電流iα及びβ軸電流iβが特定されるように、3相2相座標変換部22が構成されうる。
(磁束・トルク推定部23)
磁束・トルク推定部23は、2相電流iαβと、指令2相電圧vαβ *とから、モータトルク及び電機子鎖交磁束を推定する。本実施形態では、磁束・トルク推定部23は、式(1−1)、(1−2)、(1−3)及び(1−4)を用いて、推定磁束ψαβ(推定磁束ψα,ψβ)、推定磁束ψαβの位相θs及び推定トルクTを求める。式(1−1)及び(1−2)におけるRaは、3相モータ1の1相当たりの巻線抵抗である。右辺の積分は、基準時刻(t=0)から現時点までの時間積分を表す。ψα|t=0は、t=0における推定磁束ψαの値(初期値)である。ψβ|t=0は、t=0における推定磁束ψβの値(初期値)である。式(1−4)におけるPnは、3相モータ1の極対数である。推定磁束ψαβは、電圧指令演算部29及び補正量演算部32に与えられる。位相θsは、磁束指令演算部26に与えられる。推定トルクTは、減算部24に与えられる。
Figure 0006206767
なお、推定磁束ψαβ及び推定トルクTを、単一の推定部で求めることは必須でない。推定磁束ψαβを求める推定部として磁束推定部を設け、推定トルクTを求める推定部としてトルク推定部を設けてもよい。磁束推定部は、2相電流iαβと、指令2相電圧vαβ *とから、推定磁束ψαβを求めるように構成できる。つまり、磁束推定部は、3相モータ1を流れる電流と、電圧ベクトルとに基づいて、電機子鎖交磁束を推定するように構成できる。トルク推定部は、推定磁束ψαβと、2相電流iαβとから推定トルクTを求めるように構成できる。つまり、トルク推定部は、推定された電機子鎖交磁束と、3相モータ1を流れる電流とに基づいて、モータトルクを推定するように構成できる。
また、磁束・トルク推定部23は、指令2相電圧vαβ *に代えて、3相モータ1に印加されている電圧の検出値を3相2相変換させて得た2相電圧を用いて、推定磁束を求めてもよい。
(減算部24)
減算部24は、推定トルクTと指令トルクT*との差(トルク誤差ΔT:T*−T)を求める。減算部24としては、公知の演算子を用いればよい。
(第1の磁束振幅指令演算部25)
第1の磁束振幅指令演算部25は、指令トルクT*から指令磁束としての第1の指令磁束|ψS *|を特定する。第1の指令磁束|ψS *|はスカラーである。本実施形態の第1の指令磁束|ψS *|は、モータ電流を最小とするためのものである。モータトルクを目標値としつつ、モータ電流の値に対するモータトルクの値の比率が最大となるように、3相モータを制御する制御は、最大トルク/電流(MTPA:Maximum Torque Per Ampere)制御として知られてる。本実施形態では、第1の磁束振幅指令演算部25は、テーブルを用いて指令トルクT*から第1の指令磁束|ψS *|を特定するように構成されている。第1の磁束振幅指令演算部25は、演算によって第1の指令磁束|ψS *|を特定するように構成されていてもよい。
最大トルク/電流制御を実行する場合の第1の指令磁束|ψS *|の特定方法は、以下の説明によって当業者に理解される。3相モータ1として磁気的突極性を有さないモータを用いる場合、電機子鎖交磁束の振幅|ψS|及びモータトルクTは、式(1−5)及び(1−6)で概算される。|ψa0|は、3相モータ1における永久磁石1mが作る磁石磁束の振幅として与えられた定数である。以下の説明では、|ψa0|を磁束パラメータと称することがある。Lは、3相モータ1の電機子巻線の一相当たりのインダクタンスである。iqはq軸電流である。Pnは、モータの極対数である。式(1−5)及び(1−6)から、式(1−7)が導かれる。Tを指令トルクT*に、|ψS|を第1の指令磁束|ψS *|にそれぞれ置き換えることで、指令トルクT*と第1の指令磁束|ψS *|との関係式が導かれる。この関係式を用いれば、指令トルクT*から第1の指令磁束|ψS *|を求めることができる。当然ながら、変換テーブルを作成することもできる。
Figure 0006206767
3相モータ1として磁気的突極性を有するモータを用いる場合、電機子鎖交磁束の振幅|ψS|及びモータトルクTは、式(1−8)及び(1−9)で概算される。Ldは、d軸インダクタンスである。Lqは、q軸インダクタンスである。idはd軸電流である。d軸電流id及びq軸電流iqは、式(1−10)の関係を概ね満たす。式(1−8)、(1−9)及び(1−10)によって、変数id,iqを用いることなくモータトルクTから電機子鎖交磁束の振幅|ψS|を特定可能な変換テーブルが得られる。Tを指令トルクT*に、|ψS|を第1の指令磁束|ψS *|にそれぞれ置き換えれば、指令トルクT*から第1の指令磁束|ψS *|を特定することができる。
Figure 0006206767
(第2の磁束振幅指令演算部31)
上述のように指令トルクT*から第1の指令磁束|ψS *|を特定する場合、第1の指令磁束|ψS *|は磁束パラメータ|ψa0|に依存する。磁束パラメータ|ψa0|は定数であるが、実際のモータの永久磁石が作る磁石磁束ψa1は熱等によって磁束パラメータ|ψa0|からずれることがある。この場合には、第1の指令磁束|ψS *|が、モータ電流を最小とするための値からずれる。本実施形態では、この影響を緩和するために、第2の磁束振幅指令演算部31を設けている。すなわち、第2の磁束振幅指令演算部31は、第1の指令磁束|ψS *|を第2の指令磁束|ψS **|に修正する。本実施形態では、第2の磁束振幅指令演算部31は、第1の指令磁束|ψS *|と、補正量ΔψSとから、磁束指令演算部26に与えるべき第2の指令磁束|ψS **|を特定する加算部である。つまり、第2の指令磁束|ψS **|は、第1の指令磁束|ψS *|と補正量ΔψSとの和である。第2の指令磁束|ψS **|はスカラーである。補正量ΔψSは、補正量演算部32によって特定された補正量である。補正量演算部32及び補正量ΔψSの詳細については後述する。なお、補正量演算部32から補正係数KSが出力され、第2の磁束振幅指令演算部31において第1の指令磁束|ψS *|と補正係数KSとの積を特定し、その積を第2の指令磁束|ψS **|とする構成も採用されうる。
(磁束指令演算部26)
磁束指令演算部26は、第2の指令磁束|ψS **|と、位相θsと、トルク誤差ΔTとから、電機子鎖交磁束が追従するべき指令磁束ベクトルψαβ *を特定する。本実施形態における磁束指令演算部26は、図4に示すブロック図に従って、指令磁束ベクトルψαβ *を特定する。具体的に、磁束指令演算部26は、PI制御部38と、加算部36と、ベクトル生成部37とを有している。PI制御部38は、ΔTをゼロに収束させるための比例積分制御によって、位相補正量ΔθS *を特定する。加算部36は、位相θSと位相補正量ΔθS *との合計(θS *:θS+ΔθS *)を求める。ベクトル生成部37は、第2の指令磁束|ψS **|と合計θS *とから、指令磁束ベクトルψαβ *を特定する。具体的に、ベクトル生成部37は、式(1−11)及び(1−12)を用いて指令磁束ベクトルψαβ *を求める。指令磁束ベクトルψαβ *は、電圧指令演算部29に与えられる。
Figure 0006206767
(電圧指令演算部29)
電圧指令演算部29は、指令磁束ベクトルψαβ *と推定磁束ψαβとの差と、2相電流iαβとから、指令2相電圧vαβ *(指令α軸電圧vα *及び指令β軸電圧vβ *)を特定する。本実施形態では、電圧指令演算部29は、式(1−13)を用いて、指令2相電圧vαβ *を求める。式(1−13)におけるTsは、制御周期(サンプリング周期)である。なお、3相モータ1が高速回転しているときは、巻線抵抗Raに基づく電圧降下が非常に小さい。このため、電圧指令演算部29は、式(1−13)の右辺第2項を無視して、指令磁束ベクトルψαβ *と推定磁束ψαβとの差から、指令2相電圧vαβ *を特定するように構成されていてもよい。指令2相電圧vαβ *は、2相3相座標変換部30に与えられる。
Figure 0006206767
(2相3相座標変換部30)
2相3相座標変換部30は、指令2相電圧vαβ *を、指令3相電圧vuvw *に変換する。その後、指令3相電圧vuvw *に対応する電圧ベクトルが、インバータ2によって生成され、3相モータ1に印加される。
(補正量演算部32)
補正量演算部32は、推定磁束ψαβと、2相電流iαβとから、第2の磁束振幅指令演算部(加算部)31に与えるべき補正量ΔψSを特定する。補正量ΔψSはスカラーである。本実施形態では、補正量演算部32は、第2の指令磁束|ψS **|が磁束指令演算部26に与えられたときに3相モータ1を流れる電流が、第2の指令磁束|ψS **|に代えて第1の指令磁束|ψS *|が磁束指令演算部26に与えられたときに3相モータ1を流れる電流を下回るように構成されている。補正量ΔψSは、推定磁束ψαβと、2相電流iαβとの内積を用いたフィードバック制御によって特定される。
図5Aのブロック図に、補正量演算部32aを示す。補正量演算部32aは、補正量演算部32の一例である。補正量演算部32aは、内積演算部33と、内積指令演算部34aと、制御部(積分器)35とを有している。内積演算部33は、推定磁束ψαβと2相電流iαβとの第1内積を演算する。内積指令演算部34aは、2相電流iαβから、参照値Aを演算する。積分器35は、第1内積と参照値Aとの差がゼロに収束するように、補正量ΔψSを生成する。
補正量演算部32a全体の動作は、式(1−14)によって表現できる。ψαα+ψββは、第1内積である。L(iα 2+iβ 2)は、参照値Aである。C(s)は、積分器35の動作を表す数式である。C(s)は、式(1−15)で表される。kiは積分ゲインである。sは、ラプラス演算子である。
Figure 0006206767
第1の磁束振幅指令演算部25、補正量演算部32a及び第2の磁束振幅指令演算部31をまとめて指令磁束特定部Aと称することができる。指令磁束特定部Aは、第1内積ψαα+ψββと、3相モータ1のインダクタンスL及びモータ電流から特定された参照値Aとの偏差がゼロに近づくように、フィードバック制御を実行する。本実施形態では、指令磁束特定部Aは、第1内積ψαα+ψββと、3相モータ1のインダクタンスとモータ電流の振幅の2乗との積L(iα 2+iβ 2)と、の偏差がゼロに近づくように、フィードバック制御を実行する。
また、指令磁束特定部Aは、第1内積ψαα+ψββから特定された補正量ΔψSを指令磁束|ψS *|に加算することによって指令磁束|ψS *|を補正する。これにより、第2の指令磁束|ψS **|が得られる。
補正量演算部32として、図5Bに示す補正量演算部32bを用いることもできる。補正量演算部32bは、内積演算部33と、内積指令演算部34bと、積分器35とを有している。内積演算部33は、推定磁束ψαβと2相電流iαβとの第1内積を演算する。内積指令演算部34bは、指令トルクT*から、参照値Bを演算する。積分器35は、第1内積と参照値Bとの差がゼロに収束するように、補正量ΔψSを生成する。
補正量演算部32b全体の動作は、式(1−16)によって表現できる。K・T*2は、参照値Bである。Kは、インダクタンスLとトルク定数(トルク/電流)の関係から定まる定数である。
Figure 0006206767
第1の磁束振幅指令演算部25、補正量演算部32b及び第2の磁束振幅指令演算部31をまとめて指令磁束特定部Bと称することができる。指令磁束特定部Bは、第1内積ψαα+ψββと、指令トルクT*2から特定された参照値Bとの偏差がゼロに近づくように、フィードバック制御を実行する。本実施形態では、指令磁束特定部Bは、第1内積ψαα+ψββと、定数と指令トルクの2乗との積K・T*2と、の偏差がゼロに近づくように、フィードバック制御を実行する。
指令磁束特定部Bもまた、第1内積ψαα+ψββから特定された補正量ΔψSを指令磁束|ψS *|に加算することによって指令磁束|ψS *|を補正する。これにより、第2の指令磁束|ψS **|が得られる。
補正量演算部32として、図5Cに示す補正量演算部32cを用いることもできる。補正量演算部32cは、内積演算部33と、内積指令演算部34cと、積分器35と、磁石磁束推定部39を有している。磁石磁束推定部39は、推定磁束ψαβと、2相電流iαβとから、磁石磁束を推定する(推定磁石磁束ψa1を求める)。磁石磁束は、3相モータ1の永久磁石1mが作る磁石磁束である。内積演算部33は、推定磁石磁束ψa1と、2相電流iαβとの第2内積を演算する。内積指令演算部34cは、参照値C(ゼロ)を出力する。積分器35は、第2内積と参照値Cとの差がゼロに収束するように(第2内積がゼロに収束するように)、補正量ΔψSを生成する。
補正量演算部32c全体の動作は、式(1−17)によって表現できる。ψa1_αα+ψa1_ββは、第2内積である。ψa1_αは、推定磁石磁束ψa1のα軸成分である。ψa1_βは、推定磁石磁束ψa1のβ軸成分である。ψa1_α及びψa1_βは、式(1−18)によって演算される。Lとiαとの積は、α軸電流iαが作る磁束である。Lとiβとの積は、β軸電流iαが作る磁束である。式(1−18)は、2相電流iαβが作る磁束を推定磁束ψαβから引くことによって、推定磁石磁束ψa1を求めるための式である。
Figure 0006206767
第1の磁束振幅指令演算部25、補正量演算部32c及び第2の磁束振幅指令演算部31をまとめて指令磁束特定部Cと称することができる。指令磁束特定部Cは、第2内積ψa1_αα+ψa1_ββと、与えられた参照値Cとの偏差がゼロに近づくように、フィードバック制御を実行する。本実施形態では、指令磁束特定部Cは、第2内積ψa1_αα+ψa1_ββがゼロに近づくように、フィードバック制御を実行する。
指令磁束特定部Cは、第2内積ψa1_αα+ψa1_ββから特定された補正量ΔψSを指令磁束|ψS *|に加算することによって指令磁束|ψS *|を補正する。これにより、第2の指令磁束|ψS **|が得られる。
なお、本実施形態では、補正量演算部32は、式(1−14)及び(1−15)、(1−16)及び(1−15)、又は、(1−17)、(1−18)及び(1−15)が格納された演算部である。ただし、補正量演算部32は、これらの式に対応するテーブルを用いるものであってもよい。
(本実施形態の効果について)
本実施形態の効果について説明する。以下の説明では、3相モータ1が磁気的突極性を有しない永久磁石同期モータであり、3相モータ1のd軸インダクタンスLdとq軸インダクタンスLqとが同じであり、リラクタンストルクが発生しないものとする。
本実施形態では、第1の磁束振幅指令演算部25は、最大トルク/電流制御用に構成されている。従って、第1の磁束振幅指令演算部25は、最小限のモータ電流でモータトルクが指令トルクT*に追従するように、第1の指令磁束|ψS *|を生成しようとする。具体的には、第1の磁束振幅指令演算部25は、指令トルクT*に応じた大きさを有し、d軸成分が存在せずq軸成分のみが存在する電流が流れるように、第1の指令磁束|ψS *|を生成しようとする。
図6のdq座標系のベクトル図を用いると、このことは以下のように説明される。すなわち、第1の磁束振幅指令演算部25は、第1の磁束振幅指令|ψS *|として、磁束ベクトルψa0と磁束ベクトルLia0との合成ベクトルの振幅を出力する。磁束ベクトルψa0は、磁束パラメータ|ψa0|を振幅とする磁束ベクトルである。磁束パラメータ|ψa0|は、上述のとおり、指令トルクT*から第1の磁束振幅指令|ψS *|が決定される際に第1の磁束振幅指令演算部25よって用いられるパラメータである。磁束ベクトルLia0は、電流ベクトルia0によって発生する磁束ベクトルである。電流ベクトルia0は、指令トルクT*に応じた大きさを有し、q軸の正方向に向かうベクトルである。電流ベクトルia0は、モータ電流を表す。なお、図示は省略しているが、図6では、横軸がd軸であり、縦軸がq軸である。
上記のような第1の磁束振幅指令|ψS *|に従って指令磁束ベクトルψαβ *を生成すれば、d軸成分が存在せずq軸成分のみが存在する電流を流すことができるようにも思われる。しかし、実際の磁石磁束は、熱等によって変動する。このため、実際の磁石磁束の振幅は、磁束パラメータ|ψa0|からずれることがある。このような場合であっても、第1の磁束振幅指令演算部25は、磁束パラメータ|ψa0|に由来する第1の磁束振幅指令|ψS *|を出力する。このため、第1の磁束振幅指令|ψS *|が磁束指令演算部26に直接入力されると、モータ電流にd軸成分が現れることになる。
この現象を、図6を用いて説明する。実際のモータの永久磁石が作る磁石磁束ベクトルψa1の振幅は、磁石磁束ベクトルψa0の振幅(磁束パラメータ|ψa0|)よりも大きくなることがある。この場合であっても、先に説明した合成ベクトルの終点は変わらない。磁石磁束ベクトルψa1の終点から合成ベクトルの終点に延びるベクトルが、磁束ベクトルLia1として生成されるように、モータ制御装置3が動作する。図6から明らかであるように、磁束ベクトルLia1の振幅は、磁束ベクトルLia0の振幅よりも大きい。すなわち、電流ベクトルia0の振幅よりも大きな振幅を有する電流ベクトルia1が生成される。このことは、モータ電流が増加することを意味する。
上述のように、第1の磁束振幅指令|ψS *|が磁束指令演算部26に直接入力される場合、モータ電流が最小となり難い。本発明者らは、この場合に、磁石磁束ベクトルの振幅の|ψa1|と磁束パラメータ|ψa0|とのずれが、モータ電流にどの程度影響するのかを、計算機シミュレーションによって分析した。結果を図7に示す。図7の横軸は、推定磁石磁束の振幅|ψa1|に対する磁束パラメータ|ψa0|の比|ψa0|/|ψa1|を表す。縦軸は、d軸電流id及び電流ベクトルの振幅|ia1|を表す。図7から、|ψa0|/|ψa1|=1のときは、d軸電流idがゼロであることが分かる。このことは、モータ電流が最小限に抑制されていることを意味する。これに対し、|ψa0|/|ψa1|≠1のときは、d軸電流がゼロではないことが分かる。このことは、モータ電流が最小限に抑制されていないことを意味する。
本実施形態では、第1の磁束振幅指令|ψS *|が補正されることによって、上記のずれに由来するd軸電流がゼロに近づく。この点について、図8のベクトル図を用いて説明する。
指令磁束特定部A〜Cは、図8に示すように、|ψS *|を|ψS *|+Δψsに補正する。こうすると、電流ベクトルによって発生する磁束ベクトルが、Lia1ではなくLia2となる。つまり、電流ベクトルがia1ではなくia2となり、d軸電流が減少する。詳細には、d軸電流が実質的にゼロとなる。
図8から把握されるように、磁束ベクトルψa1と電流ベクトルia2とが直交するように、第1の磁束振幅指令|ψS *|を補正すれば、電流ベクトルia2の振幅が最小となる(d軸電流がゼロとなる)。換言すると、磁束ベクトルψa1と電流ベクトルia2との内積がゼロとなるように第1の磁束振幅指令|ψS *|を補正すれば、電流ベクトルia2の振幅が最小となる。
式(1−17)は、このような考えに基づいて導かれたものである。式(1−14)及び式(1−16)も同様である。
上述のように、モータ制御装置3は、磁石磁束ベクトルψa1の振幅の|ψa1|と磁束パラメータ|ψa0|とのずれに由来する制御精度の低下を補償する。ただし、モータ制御装置3は、他の原因の制御精度の低下も補償できる。従って、モータ制御装置3は、磁束パラメータ|ψa0|を用いた演算を行わないものであってもよい。
本実施形態に係るモータ制御装置3が奏する効果を検証する目的で、実測実験を行った。実測実験では、第1の磁束振幅指令|ψS *|として、適切な磁束振幅指令よりも10%小さい指令を用いた。「適切な磁束振幅指令」は、第1の磁束振幅指令演算部25が、磁束パラメータ|ψa0|ではなく正確な磁石磁束ベクトルψa1の振幅の|ψa1|を用いて第1の磁束振幅指令を演算したときに出力する指令を指す。結果を図9に示す。図9の横軸は時間である。縦軸は、検出された電流ベクトルの振幅|ia|である。第1の磁束振幅指令|ψS *|の補正を開始した時点Aから、モータ電流が大きく減少していることが分かる。
(磁気的突極性を有する3相モータの制御について)
3相モータ1が磁気的突極性を有する場合、3相モータ1のd軸インダクタンスLdとq軸インダクタンスLqとが相違する。この場合にも、式(1−14)を用いた制御のような、インダクタンスLを用いた制御が可能である。また、この場合にも、式(1−16)を用いた制御のような、インダクタンスLに依存する定数Kを用いた制御が可能である。具体的には、インダクタンスLとして、d軸インダクタンスとq軸インダクタンスとの間の値を用いればよい。また、磁気的突極性が大きくない場合は、L=Ldと取り扱っても差し支えがない。つまり、指令磁束特定部A及びBを、インダクタンスの値として、d軸インダクタンスの値、d軸インダクタンスよりも大きくq軸インダクタンスよりも小さい値、又はd軸インダクタンスよりも小さくq軸インダクタンスよりも大きい値を用いるように構成すればよい。
特許第4972135号は、上記のようにインダクタンスLを設定する上で参考になる。特許第4972135号には、dm−qm座標系に関する技術が記載されている。dm−qm座標系は、埋込磁石構造の永久磁石同期モータ等の磁気的突極性を有するモータを、磁気的突極性を有していない永久磁石同期モータと同様に扱うことを可能とする。具体的に、dm−qm座標系を用い、dm軸電流(制御座標系ではγ軸電流)をゼロにすることによって、最大トルク制御(最大トルク/電流制御)を行うことができる。より具体的には、3相モータ1が磁気的突極性を有する場合、図6〜8を用いて説明したd軸電流をdm軸電流に、磁石磁束ψaを拡張鎖交磁束ベクトルΦexmに、インダクタンスLを仮想インダクタンスLmに、それぞれ置き換えればよい。dm軸電流、拡張鎖交磁束ベクトルΦexm及び仮想インダクタンスLmの詳細については、特許第4972135号(数式36及び段落0182〜0183等)を参照されたい。インダクタンスLの代わりに仮想インダクタンスLmを用いれば、式(1−14)は、磁気的突極性を有するモータに適合した式となる。仮想インダクタンスLmを考慮して定数Kを変更すれば、式(1−16)は、磁気的突極性を有するモータに適合した式となる。インダクタンスLの代わりに仮想インダクタンスLmを用いれば、式(1−18)は、磁気的突極性を有するモータに適合した式となり、磁石磁束ψa1(ψa1_α,ψa1_β)の代わりに拡張鎖交磁束ベクトルΦexmが計算される。この拡張鎖交磁束ベクトルΦexmを磁石磁束ψa1(ψa1_α,ψa1_β)の代わりに用いれば、式(1−17)は、磁気的突極性を有するモータに適合した式となる。すなわち、インダクタンスLの代わりに仮想インダクタンスLmを用いれば、式(1−14)、(1−16)又は(1−17)から、磁気的突極性を有するモータに適合したΔψSが得られる。このΔψSを用いれば、dm軸電流がゼロとなり、電流が最小となる。すなわち、本開示に係るモータ制御装置は、磁気的突極性を有する埋込磁石構造の永久磁石同期モータにも好適に利用可能である。なお、Lmは、Ld≦Lm<Lqを満たす。
式(1−17)を用いた制御では、モータ電流を最小とするために、参照値Cをゼロとし、第2内積ψa1_αα+ψa1_ββがゼロに近づくようにフィードバック制御を行う。銅損と鉄損との合計を最小とするべき場合には、参照値Cをゼロ以外の値とすればよい。最適な参照値Cは、例えば、参照値Cを振って計算機シミュレーションを行うことによって特定できる。他の目的でモータ制御装置3を動作させる場合も、同様にして最適な参照値Cを特定することができる。式(1−14)又は式(1−16)を用いた制御を援用する場合も同様である。
モータ制御装置3における演算で用いる座標系は、特に限定されない。例えば、電機子鎖交磁束の推定磁束は、αβ座標系に基づいたもの(ψαβ)であってもよく、dq座標系に基づいたものであってもよく、γδ座標系に基づいたものであってもよく、dm−qm座標系に基づいたものであってもよい。磁石磁束等についても同様である。
本実施形態においてモータ制御装置について説明した事項は、モータ制御方法にも適用できる。この点は、後述の変形例及び実施形態についても同様である。
(第1の変形例)
内積ではなく無効電力を用いたフィードバック制御を実行することによって3相モータ1を制御することもできる。すなわち、指令磁束特定部は、3相モータ1の無効電力を特定し、無効電力を用いたフィードバック制御を実行することによって指令磁束を補正するように構成されていてもよい。なお、無効電力の次元には内積の次元が含まれている。すなわち、無効電力は内積を含む物理量である。このことから明らかであるように、内積を用いた制御の技術的意義と無効電力を用いた制御の技術的意義とは共通している。
一例では、指令磁束特定部は、3相モータ1を流れるモータ電流(2相電流iαβ)と電圧ベクトルを表す指令電圧(指令2相電圧vαβ *)とを用いて無効電力を特定するように構成される。別例では、指令磁束特定部は、推定した電機子鎖交磁束(推定磁束ψαβ)と3相モータ1を流れるモータ電流との内積に、3相モータ1の回転数ωを乗じることによって無効電力を特定するように構成される。
第1の変形例に係るモータ制御装置は、モータ制御装置3と同様に構成される。従って、先の実施形態と同様、第1の変形例における指令磁束特定部は、無効電力から特定された補正量を指令磁束に加算することによって指令磁束を補正する。
(第2の変形例)
モータ制御の方式には、RFVC DTC以外の方式もある。例えば、スイッチングテーブルを用いた直接トルク制御方式も知られている。この制御方式を採用する場合にも、上述の制御と同様の制御を実行できる。その制御について、図10を用いて説明する。なお、第2の変形例では、先に説明した実施形態と同様の部分については同一符号を付し、説明を省略する。
図10に示すモータ制御装置103は、磁束指令演算部26、電圧指令演算部29及び2相3相座標変換部30を有さない。モータ制御装置103は、磁束・トルク推定部23に代えて、磁束・トルク推定部23bを有している。モータ制御装置103は、電圧センサ41、3相2相座標変換部42、減算部43及び磁束・トルク制御部44を有している。モータ制御装置103のその他の構成要素は、モータ制御装置3の構成要素と同じである。
(電圧センサ41)
電圧センサ41は、3相電圧vuvw(vu,vv,vw)を検出する。
(3相2相座標変換部42)
3相2相座標変換部42は、3相電圧vuvwを2相電圧vαβに変換する。
(磁束・トルク推定部23b)
磁束・トルク推定部23bは、2相電流iαβと、2相電圧vαβとから、モータトルク及び電機子鎖交磁束を推定する。具体的に、磁束・トルク推定部23bは、推定磁束ψαβ、推定磁束ψαβの振幅|ψαβ|、推定磁束ψαβの位相θs及び推定トルクTを求める。指令2相電圧vαβ *に代えて2相電圧vαβを用いる点と、推定磁束ψαβの振幅|ψαβ|を生成及び出力する点とを除けば、磁束・トルク推定部23bは磁束・トルク推定部23と同様に動作する。
(減算部43)
減算部43は、第2の指令磁束|ψS **|と推定磁束ψαβの振幅|ψαβ|との偏差Δψ=|ψS **|−|ψαβ|を求める。減算部43としては、公知の演算子を用いればよい。
(磁束・トルク制御部44)
磁束・トルク制御部44は、偏差Δψと、トルク誤差ΔTと、推定磁束ψαβの位相θsとから、スイッチング信号S1〜S6を生成する。スイッチングテーブルを用いた直接トルク制御方式は公知であるため、当業者であれば磁束・トルク制御部44を適切に構成できる。磁束・トルク制御部44の具体的な構成は、公知文献(星、他2名:「埋込型永久磁石同期電動機用直接トルク制御器へのトルク応答高速化磁束指令値入力法」、平成16年電気学会産業応用部門大会論文集、1−15、pp.I−183〜188等)等に記載されている。
モータ制御装置103は、モータ制御装置3と同様の効果を奏する。
(第2の実施形態)
以下、第2の実施形態のモータ制御装置203について、図11を参照しながら説明する。なお、第2の実施形態では、第1の実施形態と同様の部分については同一符号を付し、説明を省略する。
モータ制御装置203は、磁束・トルク推定部23、磁束指令演算部26、電圧指令演算部29、第2の磁束振幅指令演算部31及び補正量演算部32に代えて、磁束・トルク推定部50、磁束指令演算部26b、電圧指令演算部29b、磁束振幅指令演算部31b及び磁束振幅指令補正量演算部51(以下、補正量演算部51と称することがある)を有している。モータ制御装置203は、第1の磁束振幅指令演算部25を有さない。モータ制御装置203のその他の構成要素は、モータ制御装置3の構成要素と同じである。モータ制御装置203には、第1の指令磁束|ψa0 *|が入力される。第1の指令磁束|ψa0 *|は、3相モータ1の永久磁石1mの磁石磁束として与えられた定数である。第1の指令磁束|ψa0 *|はスカラーである。第1の指令磁束|ψa0 *|は、磁束パラメータ|ψa0|に対応する。本実施形態では、第1の指令磁束|ψa0 *|は、磁束パラメータ|ψa0|と同じである。
(磁束・トルク推定部50)
磁束・トルク推定部50は、2相電流iαβと、指令2相電圧vαβ *とから、モータトルク及び磁石磁束を推定する。具体的に、磁束・トルク推定器50は、式(2−1)、(2−2)、(2−3)及び(2−4)を用いて、推定磁石磁束ψm(推定磁石磁束ψ,ψ)、推定磁石磁束ψmの位相θs及び推定トルクTを求める。なお、推定磁石磁束ψmは、先に説明した推定磁石磁束ψa1と同じものを表す。
Figure 0006206767
(磁束振幅指令演算部31b)
磁束振幅指令演算部31bは、第1の指令磁束|ψa0 *|を第2の指令磁束|ψm *|に修正する。第2の指令磁束|ψm *|はスカラーである。本実施形態では、磁束振幅指令演算部31bは、加算部である。つまり、第2の指令磁束|ψm *|は、第1の指令磁束|ψa0 *|と補正量ΔψSとの和である。補正量ΔψSは、補正量演算部51によって特定された補正量である。補正量演算部51及び補正量ΔψSの詳細については後述する。
(磁束指令演算部26b)
磁束指令演算部26bは、第2の指令磁束|ψm *|と、位相θsと、トルク誤差ΔTとから、指令磁束ベクトルψm *を特定する。本実施形態における磁束指令演算部26bは、第2の指令磁束|ψS **|に代えて第2の指令磁束|ψm *|を用いる点以外は、磁束指令演算部26と同様にして、指令磁束ベクトルψm *を特定する。また、本実施形態の磁束指令演算部26bは、位相補正量ΔθS *を出力する。
(電圧指令演算部29b)
電圧指令演算部29bは、指令磁束ベクトルψm *と推定磁石磁束ψmとの差と、2相電流iαβと、位相補正量ΔθS *とから、指令2相電圧vαβ *を特定する。本実施形態では、電圧指令演算部29bは、式(2−5a)及び式(2−5b)を用いて、指令2相電圧vαβ *を特定する。
Figure 0006206767
(補正量演算部51)
補正量演算部51は、推定磁石磁束ψmと、2相電流iαβとから、磁束振幅指令演算部(加算部)31bに与えるべき補正量ΔψSを特定する。補正量ΔψSは、推定磁石磁束ψmと、2相電流iαβとの内積を用いたフィードバック制御によって特定される。
図12に、補正量演算部51のブロック図を示す。補正量演算部51は、内積演算部33と、内積指令演算部34cと、積分器(制御部)35とを有している。内積演算部33は、推定磁石磁束ψmと2相電流iαβとの内積を演算する。内積指令演算部34cは、参照値D(ゼロ)を出力する。積分器35は、内積と参照値Dとの差がゼロに収束するように(内積がゼロに収束するように)、補正量ΔψSを生成する。つまり、補正量演算部51は、推定磁石磁束ψmと、2相電流iαβとから、補正量ΔψSを特定する。
補正量演算部51全体の動作は、式(2−6)によって表現できる。ψα+ψβは、内積である。C(s)は、積分器35の動作を表す数式である。C(s)は、式(1−15)で表される。
Figure 0006206767
磁束振幅指令演算部31b及び補正量演算部51をまとめて指令磁束特定部Dと称することができる。指令磁束特定部Dは、内積ψα+ψβと、与えられた参照値Dとの偏差がゼロに近づくように、フィードバック制御を実行する。本実施形態では、指令磁束特定部Dは、内積ψα+ψβがゼロに近づくように、フィードバック制御を実行する。なお、式(1−17)、(1−18)及び(2−6)から理解されるように、第2の実施形態の内積は、第1の実施形態の第2内積に対応する。
指令磁束特定部Dは、内積ψα+ψβから特定された補正量ΔψSを指令磁束|ψa0 *|に加算することによって指令磁束|ψa0 *|を補正する。これにより、第2の指令磁束|ψm *|が得られる。
第1の実施形態では、第1の磁束振幅指令演算部25が最大トルク/電流(MTPA:Maximum Torque Per Ampere)制御を担当し、補正量演算部32は、その制御の精度を高めるための補正量を特定及び出力する。これに対し、第2の実施形態では、補正量演算部51が単独で最大トルク/電流制御を担当する。しかし、補正量演算部51は、この制御に際して、推定磁石磁束ψmを用いる。推定磁石磁束ψmは、3相モータ1の外部から与えられた定数ではなく、3相モータ1の永久磁石1mが作る実際の磁石磁束を推定したものである。従って、第2の実施形態においても、高い精度で最大トルク/電流を実行することができる。なお、先の実施形態で説明したとおり、実際のモータの永久磁石が作る磁石磁束は熱等によって変動するので、定数である第1の指令磁束|ψa0 *|を直接的に磁束指令演算部26bに入力する場合、高い精度で最大トルク/電流制御を実行することが難しい。
図13を用いて、本実施形態の効果を説明する。図13は、シミュレーション結果を表す図である。図13の横軸は、第1の指令磁束|ψa0 *|に対する第2の指令磁束|ψm *|の比|ψm *|/|ψa0 *|を表す。縦軸は、推定磁石磁束ψmと2相電流iαβとの内積ψm・iαβ及び2相電流iαβの振幅|iαβ|に対する推定トルクTの比T/|iαβ|を表す。図13から、内積ψm・iαβがゼロであるときに、比T/|iαβ|が最大になることが理解される。
なお、先の実施形態と同様、本実施形態の制御は、磁気的突極性を有するモータにも、磁気的突極性を有しないモータにも適用可能である。
(第3の実施形態)
以下、第3の実施形態のモータ制御装置303について、図14を参照しながら説明する。なお、第3の実施形態では、第1及び第2の実施形態と同様の部分については同一符号を付し、説明を省略する。
モータ制御装置303は、補正量演算部51に代えて、補正量演算部51bを有している。また、モータ制御装置303は、弱め磁束制御部52を有している。モータ制御装置303のその他の構成要素は、モータ制御装置203の構成要素と同じである。
(弱め磁束制御部52)
弱め磁束制御部52は、制限電圧Vomと指令2相電圧vαβ *の振幅|vαβ *|とから、内積指令r*を特定する。制限電圧Vomは、弱め磁束制御において3相モータ1に印加される電圧(電圧ベクトルの大きさ)の上限値を規定する。内積指令r*は、内積ψα+ψβが収束するべき値である。具体的に、弱め磁束制御部52は、式(3−1)を用いて内積指令r*を算出する。Cfw(s)は、制限電圧Vomと振幅|vαβ *|とを一致させるための制御部である。この制御部は、例えば、PI制御器である。
Figure 0006206767
式(3−1)から理解されるように、制限電圧Vomが振幅|vαβ *|よりも小さい場合は、内積指令r*としてCfw(s)(Vom−|vαβ *|)が出力される。制限電圧Vomが振幅|vαβ *|以上である場合は、内積指令r*としてゼロが出力される。
(補正量演算部51b)
補正量演算部51bは、推定磁石磁束ψmと、2相電流iαβと、内積指令r*とから、補正量ΔψSを特定する。
図15のブロック図に、補正量演算部51bに示す。補正量演算部51bは、内積演算部33と、積分部(制御部)35とを有している。内積演算部33は、推定磁石磁束ψmと2相電流iαβとの内積ψα+ψβを演算する。積分器35は、内積ψα+ψβと内積指令r*との差がゼロに収束するように、補正量ΔψSを生成する。
磁束振幅指令演算部31b、補正量演算部51b及び弱め磁束制御部52をまとめて指令磁束特定部Eと称することができる。指令磁束特定部Eは、内積ψα+ψβと、弱め磁束制御用の制限電圧Vomと電圧ベクトルを表す指令電圧vαβ *の振幅|vαβ *|との偏差から特定された参照値Eと、の偏差がゼロに近づくように、フィードバック制御を実行する。本実施形態では、指令磁束特定部Eは、内積ψα+ψβと、内積指令r*と、の偏差がゼロに近づくように、フィードバック制御を実行する。内積指令r*は、弱め磁束制御用の制限電圧Vomと電圧ベクトルを表す指令電圧vαβ *の振幅|vαβ *|との偏差を入力とする第2フィードバック制御の出力である。
指令磁束特定部Eは、内積ψα+ψβから特定された補正量ΔψSを指令磁束|ψa0 *|に加算することによって指令磁束|ψa0 *|を補正する。これにより、第2の指令磁束|ψm *|が得られる。
本実施形態によれば、指令2相電圧vαβ *の振幅|vαβ *|が制限電圧Vom以下に抑制されるように、補正量ΔψSが演算される。この補正量ΔψSは、推定磁石磁束ψmを用いて特定される。推定磁石磁束ψmは、3相モータ1の外部から与えられた定数ではなく、3相モータ1の永久磁石1mが作る実際の磁石磁束を推定したものである。従って、本実施形態によれば、高い精度で弱め磁束制御を実行することができる。
(第3の変形例)
なお、図3に示すモータ制御装置3に弱め磁束制御部52と同様の弱め磁束制御部を設け、補正量演算部32aの演算内容を変更することによって、本実施形態の弱め磁束制御と同様の弱め磁束制御を行うこともできる。具体的には、式(3−2)に従って内積指令r*を出力するように、弱め磁束制御部を新設すればよい。また、図5Aに示す内積指令演算部34aの出力の代わりに内積指令r*が用いられるように、補正量演算部32aの構成を変更すればよい。
Figure 0006206767
(第4の変形例)
また、式(3−3)に従って内積指令r*を出力するように弱め磁束制御部を新設し、内積指令演算部34bの出力の代わりに内積指令r*が用いられるように、図5Bに示す補正量演算部32bの構成を変更してもよい。
Figure 0006206767
(第5の変形例)
また、弱め磁束制御部52と同じく式(3−1)を用いた弱め磁束制御部を新設し、内積指令演算部34cの出力の代わりに内積指令r*が用いられるように、図5Cに示す補正量演算部32cの構成を変更してもよい。
第3の変形例、第4の変形例又は第5の変形例に関し、第1の磁束振幅指令演算部25、変更された補正量演算部32a,32b又は32c、第2の磁束振幅指令演算部31及び新設された弱め磁束制御部をまとめて指令磁束特定部Fと称することができる。指令磁束特定部Fは、第1内積ψαα+ψββ又は第2内積ψa1_αα+ψa1_ββと、弱め磁束制御用の制限電圧と電圧ベクトルを表す指令電圧の振幅との偏差から特定された参照値F(内積指令r*)と、の偏差がゼロに近づくように、フィードバック制御を実行する。第3の変形例、第4の変形例又は第5の変形例では、第1内積ψαα+ψββ又は第2内積ψa1_αα+ψa1_ββと、弱め磁束制御用の制限電圧と電圧ベクトルを表す指令電圧の振幅との偏差を入力とする第2フィードバック制御の出力(内積指令r*)と、の偏差がゼロに近づくように、フィードバック制御を実行する。
指令磁束特定部Fは、第1内積ψαα+ψββ又は第2内積ψa1_αα+ψa1_ββから特定された補正量ΔψSを指令磁束|ψS *|に加算することによって指令磁束|ψS *|を補正する。これにより、第2の指令磁束|ψS **|が得られる。
(第6の変形例)
図11に示すモータ制御装置203を、第3の実施形態とは別の態様の弱め磁束制御ができるように変更することもできる。具体的には、補正量Δψsが式(3−4)のΔψamaxを超える場合に、磁束振幅指令演算部31bにΔψsではなくΔψamaxを入力させる補正量制限部(図示省略)を設ければよい。制限磁石磁束ψamaxは式(3−5)で演算される。
Figure 0006206767
このようにすれば、磁束指令演算部26bへの入力が制限磁石磁束ψamax以下に抑制される。これにより、2相電圧指令の振幅|vαβ *|が制限電圧Vom以下に抑制される。つまり、弱め磁束制御を実行できる。
磁束振幅指令演算部31b、補正量演算部51及び補正量制限部をまとめて指令磁束特定部Gと称することができる。指令磁束特定部Gは、補正量ΔψSが第2補正量Δψamaxよりも大きいときに、補正量ΔψSに代えて第2補正量Δψamaxを用いる。第2補正量Δψamaxは、制限磁石磁束ψamaxから指令磁束|ψa0 *|を引いた値である。制限磁石磁束ψamaxは、弱め磁束制御用の制限電圧Vomを振幅とする電圧ベクトルが3相モータ1に印加されるときに3相モータ1に印加されるべき磁束ベクトルにおける磁石磁束の成分である。本実施形態では、指令磁束特定部Gは、磁束ベクトルの振幅である制限磁束ψmaxとして、制限電圧を3相モータの回転数で割った値Vom/ωを用い、磁束ベクトルにおけるモータ電流に由来する成分として、3相モータのインダクタンスとモータ電流の振幅との積L(iα 2+iβ 21/2を用い、制限磁石磁束として、制限磁束の2乗(Vom/ω)2からモータ電流に由来する成分の2乗L2(iα 2+iβ 2)を引いた値の平方根を用いる。
(第7の変形例)
図3に示すモータ制御装置3を、第1の変形例、第2の変形例及び第3の変形例とは別の態様の弱め磁束制御ができるように変更することもできる。具体的には、磁束振幅補正量Δψsが式(3−6)のΔψsmaxを超える場合に、第2の磁束振幅指令演算部31にΔψsではなくΔψsmaxを入力させる補正量制限部(図示省略)を設ければよい。制限磁束ψmaxは式(3−7)で演算される。
Figure 0006206767
このようにすれば、磁束指令演算部26への入力が制限磁束ψmax以下に抑制される。これにより、2相電圧指令の振幅|vαβ *|が制限電圧Vom以下に抑制される。つまり、弱め磁束制御を実行できる。
第1の磁束振幅指令演算部25、磁束振幅指令演算部31、補正量演算部32及び補正量制限部をまとめて指令磁束特定部Hと称することができる。指令磁束特定部Hは、補正量ΔψSが第2補正量Δψsmaxよりも大きいときに、補正量ΔψSに代えて第2補正量Δψsmaxを用いる。第2補正量Δψsmaxは、制限磁束ψmaxから指令磁束|ψS *|を引いた値である。制限磁束ψmaxは、弱め磁束制御用の制限電圧Vomを振幅とする電圧ベクトルが3相モータ1に印加されるときに3相モータ1に印加されるべき磁束ベクトルの振幅である。本実施形態では、指令磁束特定部Hは、制限磁束ψmaxとして、制限電圧を3相モータ1の回転数で割った値Vom/ωを用いる。
(第4の実施形態)
以下、第4の実施形態の発電機制御装置について説明する。図16に示す発電機制御装置403は、コンバータ(電圧変換回路)2b及び3相発電機1bに接続されうる。発電機制御装置403の構成要素は、モータ制御装置3の構成要素と同じである。
3相発電機1bは、3相永久磁石同期発電機である。3相永久磁石同期発電機としては、埋込磁石同期発電機が挙げられる。3相発電機1bは、3相モータ1の構成と同様の構成を有している。また、コンバータ2bは、インバータ2と同様の構成を有している。コンバータ2bは、PWMコンバータである。
3相発電機1bは、例えばタービンに接続される。タービンとしては、小型ガスタービンが挙げられる。タービンが回転すると、タービンのトルクが、3相発電機1bの回転子に伝達される。これにより、回転子が回転する。回転子の回転によって、電圧が誘起される。3相発電機1bはコンバータ2bに接続されており、そのコンバータ2bは指令3相電圧vuvw *を参照しているので、誘起電圧は、指令3相電圧vuvw *に追従する。コンバータ2bはまた、PWM変調によって、誘起電圧を直流電圧に変換する。直流電圧(直流電圧に由来する直流電力)は、電圧出力部4bから出力される。
先に説明した実施形態では、電源(不図示)から供給された電力が、3相モータ1でトルク(回転力)に変換される。これに対し、本実施形態では、3相発電機1bに加えられたトルクが、電力に変換される。両方の場合において、制御の態様は実質的に同じである。従って、モータ制御装置3について説明した事項は、発電機制御装置403にも適用できる。モータ制御装置103,203,303について説明した事項も同様である。ただし、モータ制御装置3,103,203,303の説明を発電機制御装置403の説明に援用する際には、用語の読み替えを行うべきことに留意されたい。このような読み替えは、当業者にとって自明であるため詳細には述べないが、例えば、モータ及びインバータを、発電機及びコンバータに、それぞれ読み替えるべきである。また、発電機制御装置403について説明した事項は、発電機制御方法にも適用できる。
1 3相モータ
1b 3相発電機
1m 永久磁石
2 インバータ
2b コンバータ
3,103,203,303 モータ制御装置
4b 電圧出力部
5 電流センサ
22 3相2相座標変換部
23,23b,50 磁束・トルク推定部
24 減算部
25 第1の磁束振幅指令演算部
26,26b 磁束指令演算部
29,29b 電圧指令演算部
30 2相3相座標変換部
31,31b (第2の)磁束振幅指令演算部
32,32a,32b,32c,51,51b 磁束振幅指令補正量演算部
33 内積演算部
34a,34b,34c 内積指令演算部
35 制御部
36 加算部
37 ベクトル生成部
38 PI制御部
39 磁石磁束推定部
41 電圧センサ
42 3相2相座標変換部
43 減算部
44 磁束・トルク制御部
52 弱め磁束制御部
403 発電機制御装置

Claims (19)

  1. 3相モータの電機子鎖交磁束及びモータトルクがそれぞれ指令磁束及び指令トルクに追従するように、インバータを用いて前記3相モータに電圧ベクトルを印加するモータ制御装置であって、
    前記電機子鎖交磁束を推定する磁束推定部と、
    (a)推定された前記電機子鎖交磁束と前記3相モータを流れるモータ電流との第1内積、又は、(b)前記3相モータの永久磁石の推定された磁石磁束と前記モータ電流との第2内積、を用いたフィードバック制御を実行することによって前記指令磁束を補正する指令磁束特定部と、
    を備えたモータ制御装置。
  2. 前記指令磁束特定部は、
    (j)前記第1内積と、前記3相モータのインダクタンス及び前記モータ電流から特定された参照値との偏差がゼロに近づくように、
    (k)前記第1内積と、前記指令トルクから特定された参照値との偏差がゼロに近づくように、
    (l)前記第2内積と、与えられた参照値との偏差がゼロに近づくように、又は、
    (m)前記第1内積又は前記第2内積と、弱め磁束制御用の制限電圧と前記電圧ベクトルを表す指令電圧の振幅との偏差から特定された参照値と、の偏差がゼロに近づくように、前記フィードバック制御を実行する、請求項1に記載のモータ制御装置。
  3. 前記指令磁束特定部は、
    (J)前記第1内積と、前記3相モータのインダクタンスと前記モータ電流の振幅の2乗との積と、の偏差がゼロに近づくように、
    (K)前記第1内積と、定数と前記指令トルクの2乗との積と、の偏差がゼロに近づくように、
    (L)前記第2内積がゼロに近づくように、又は、
    (M)前記第1内積又は前記第2内積と、弱め磁束制御用の制限電圧と前記電圧ベクトルを表す指令電圧の振幅との偏差を入力とする第2フィードバック制御の出力と、の偏差がゼロに近づくように、前記フィードバック制御を実行する、請求項2に記載のモータ制御装置。
  4. 前記指令磁束特定部は、前記3相モータのインダクタンスの値として、d軸インダクタンスの値、d軸インダクタンスよりも大きくq軸インダクタンスよりも小さい値、又はd軸インダクタンスよりも小さくq軸インダクタンスよりも大きい値を用いる、請求項1〜3のいずれか1項に記載のモータ制御装置。
  5. 前記指令磁束特定部は、前記第1内積又は前記第2内積から特定された補正量を前記指令磁束に加算することによって前記指令磁束を補正する、請求項1〜4のいずれか1項に記載のモータ制御装置。
  6. 弱め磁束制御用の制限電圧を振幅とする前記電圧ベクトルが前記3相モータに印加されるときに前記3相モータに印加されるべき磁束ベクトルの振幅を制限磁束と定義し、前記制限磁束から前記指令磁束を引いた値を第2補正量と定義したとき、
    前記指令磁束特定部は、前記補正量が前記第2補正量よりも大きいときに、前記補正量に代えて前記第2補正量を用いる、請求項5に記載のモータ制御装置。
  7. 前記指令磁束特定部は、前記制限磁束として、前記制限電圧を前記3相モータの回転数で割った値を用いる、請求項6に記載のモータ制御装置。
  8. 3相モータの永久磁石の磁石磁束として与えられた指令磁束を参照し、前記3相モータのモータトルクが指令トルクに追従するように、インバータを用いて前記3相モータに電圧ベクトルを印加するモータ制御装置であって、
    前記磁石磁束を推定する磁束推定部と、
    推定された前記磁石磁束と前記3相モータを流れるモータ電流との内積を用いたフィードバック制御を実行することによって前記指令磁束を補正する指令磁束特定部と、
    を備えたモータ制御装置。
  9. 前記指令磁束特定部は、
    (p)前記内積と、与えられた参照値との偏差がゼロに近づくように、又は、
    (q)前記内積と、弱め磁束制御用の制限電圧と前記電圧ベクトルを表す指令電圧の振幅との偏差から特定された参照値と、の偏差がゼロに近づくように、前記フィードバック制御を実行する、請求項8に記載のモータ制御装置。
  10. 前記指令磁束特定部は、
    (P)前記内積がゼロに近づくように、又は、
    (Q)前記内積と、弱め磁束制御用の制限電圧と前記電圧ベクトルを表す指令電圧の振幅との偏差を入力とする第2フィードバック制御の出力と、の偏差がゼロに近づくように、前記フィードバック制御を実行する、請求項9に記載のモータ制御装置。
  11. 前記指令磁束特定部は、前記内積から特定された補正量を前記指令磁束に加算することによって前記指令磁束を補正する、請求項8〜10のいずれか1項に記載のモータ制御装置。
  12. 弱め磁束制御用の制限電圧を振幅とする前記電圧ベクトルが前記3相モータに印加されるときに前記3相モータに印加されるべき磁束ベクトルの振幅を制限磁束と定義し、前記磁束ベクトルにおける前記磁石磁束の成分を制限磁石磁束と定義し、前記制限磁石磁束から前記指令磁束を引いた値を第2補正量と定義したとき、
    前記指令磁束特定部は、前記補正量が前記第2補正量よりも大きいときに、前記補正量に代えて前記第2補正量を用いる、請求項11に記載のモータ制御装置。
  13. 前記指令磁束特定部は、前記制限磁束として、前記制限電圧を前記3相モータの回転数で割った値を用い、前記磁束ベクトルにおける前記モータ電流に由来する成分として、前記3相モータのインダクタンスと前記モータ電流の振幅との積を用い、前記制限磁石磁束として、前記制限磁束の2乗から前記モータ電流に由来する前記成分の2乗を引いた値の平方根を用いる、請求項12に記載のモータ制御装置。
  14. 前記指令磁束特定部は、前記3相モータのインダクタンスの値として、d軸インダクタンスの値、d軸インダクタンスよりも大きくq軸インダクタンスよりも小さい値、又はd軸インダクタンスよりも小さくq軸インダクタンスよりも大きい値を用いる、請求項8〜13のいずれか1項に記載のモータ制御装置。
  15. 3相モータの電機子鎖交磁束及びモータトルクがそれぞれ指令磁束及び指令トルクに追従するように、インバータを用いて前記3相モータに電圧ベクトルを印加するモータ制御装置であって、
    前記3相モータの無効電力を特定し、前記無効電力を用いたフィードバック制御を実行することによって前記指令磁束を補正する指令磁束特定部を備えたモータ制御装置。
  16. 前記指令磁束特定部は、前記3相モータを流れるモータ電流と前記電圧ベクトルを表す指令電圧とを用いて前記無効電力を特定する、請求項15に記載のモータ制御装置。
  17. 当該モータ制御装置は、前記電機子鎖交磁束を推定する磁束推定部を備え、
    前記指令磁束特定部は、推定した前記電機子鎖交磁束と前記3相モータを流れるモータ電流との内積に、前記3相モータの回転数を乗じることによって前記無効電力を特定する、請求項15に記載のモータ制御装置。
  18. 前記指令磁束特定部は、前記無効電力から特定された補正量を前記指令磁束に加算することによって前記指令磁束を補正する、請求項15〜17のいずれか1項に記載のモータ制御装置。
  19. 3相発電機の電機子鎖交磁束及び発電機トルクがそれぞれ指令磁束及び指令トルクに追従するように、コンバータを用いて前記3相発電機に電圧ベクトルを印加する発電機制御装置であって、
    前記電機子鎖交磁束を推定する磁束推定部と、
    (a)推定された前記電機子鎖交磁束と前記3相発電機を流れる発電機電流との第1内積、又は、(b)前記3相発電機の永久磁石の推定された磁石磁束と前記発電機電流との第2内積、を用いたフィードバック制御を実行することによって前記指令磁束を補正する指令磁束特定部と、
    を備えた発電機制御装置。
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