JP6192604B2 - 取鍋操業方法 - Google Patents

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Description

本発明は、スラグの流出を抑制しつつ取鍋内の溶鋼を出湯させる取鍋操業方法に関する。
従来より、製鋼工程においては、上注ぎ法や下注ぎ法などの造塊法を利用して取鍋内の溶鋼を鋳型に出湯し、鋳型内で溶鋼を凝固させる造塊法が行われている。上注ぎ法は、取鍋から注入された溶鋼を、真空チャンバー上部に設置された中間鍋に受け、中間鍋から真空チャンバー内の鋳型に溶鋼を供給する造塊法である。
また、下注ぎ法は、予め定盤上に台盤を配置し、台盤上に鋳型を配置した装置構成となっている。そして、該定盤から台盤にかけて湯道用の貫通孔を形成しておき、該貫通孔の内壁には耐火煉瓦を内張りして丸孔状湯道を形成する。そして、下注ぎ法では、この丸孔状湯道を通った溶鋼が湯道の先端口から鋳型内に吐出されることで、上注ぎ法と同様に鋳型に溶鋼が供給される。
上述した上注ぎ法でも下注ぎ法でも、取鍋内の溶鋼は、取鍋の底部に形成された出湯口から出湯される。また、連続鋳造設備などでも、取鍋内の溶鋼をタンディッシュに出湯する取鍋操業が行われている。このような取鍋からの溶鋼の出湯が行われると、その度に取鍋内の溶鋼の湯面が低下する。
そして、溶鋼の湯面が所定の湯面高さまで低下すると、湯面に浮遊するスラグが溶鋼に巻き込まれて混入し、出湯口から出湯される可能性が高くなる。このスラグは、溶鋼の精錬段階で発生するものであり、溶鋼の表面(湯面)に浮遊状態となっており、次工程に排出されると鋳塊品質に悪影響を及ぼす可能性がある。そのため、スラグを浮遊させたまま出湯を完了させた後、残ったスラグを回収容器などに排出する。
ところで、この排出されるスラグにも、鉄源が多く混合されている。そのため、鋳造などの生産性や採算性を向上させるためには、出湯時のスラグの流出を抑制しつつも取鍋内の溶鋼を可能な限り最後まで鋳型などに出湯するようにし、回収容器に排出されるスラグ中の有価な鉄源(残鋼)を低減するのが好ましい。
そのため、このようにスラグの流出を抑制しつつ取鍋内の溶鋼を出湯させる技術としては、次の特許文献1〜4に示すような技術が既に開発されている。
例えば、特許文献1には、取鍋の溶鋼をタンディッシュに出湯する際に取鍋スラグがタンディッシュに流出することを防止するため、取鍋からの溶鋼注入が終了する前段階で、取鍋を注入ノズル側に1〜10°傾動させ、注入ノズルから不活性ガスを1〜300L/minで吹き込みつつ出湯を行う取鍋の操業方法が開示されている。
また、特許文献2には、取鍋底を出湯口に向けて勾配を有する形状に形成すると共に、出湯口を下方に向けて凸面状に湾曲した形状に形成し、この出湯口に溶鋼を集めるようにして注入終了後の取鍋の残鋼量を減少させる技術が知られている。
さらに、特許文献3には、200〜300tonの取鍋の底面に、取鍋に装入される溶鋼が衝突する湯当たり部を設け、さらに取鍋を傾斜しつつ出湯を行う技術が開示されている。この特許文献3の湯当たり部は、他の底部よりも105〜120mm高く形成されており、半径が800〜900mmの円形部とされており、円形部端部から注入孔端部までの距離が1000〜1200mmとなるように形成されている。特許文献3では、このような湯当たり部を設けた上で、取鍋を1〜2°傾斜させることで、スラグの流出を抑制しつつ出湯を行うことができるとしている。
さらにまた、特許文献4には、取鍋からタンディッシュに溶鋼を注入する際に、取鍋の形状から導かれる特定の関係式を満足する傾動角度に取鍋を傾動することで、操業に支障をきたすことなく、取鍋の溶鋼残存量を可及的に低減できることが開示されている。具体的には、この特許文献4の関係式は、取鍋を傾動させる傾動角度を、取鍋の上端開口部の面積、取鍋の底部の面積、取鍋の平均高さ、取鍋の直径(半径)、取鍋の注入口の中心から内壁までの距離、取鍋の半径などを用いて示したものとなっている。
特開平8−117934号公報 特表2002−500956号公報 特開2011−36827号公報 特開2009−202194号公報
上述した特許文献1〜4の技術は、いずれも取鍋を所定の傾動角度まで傾動させたり、取鍋の内底壁に所定角度の勾配を設けたりして、出湯する溶鋼へのスラグ流出を防止している。しかし、出湯する溶鋼にスラグが流出するかどうかは、取鍋からの溶鋼の出湯速度やスラグの粘度といった操業条件にも影響されるし、取鍋の内底壁において取鍋の中心から出湯口がどの程度外側に形成されるかといった取鍋の形状にも影響される。ところが、特許文献1〜特許文献4の技術は、いずれもこのような操業条件や取鍋形状の影響を考慮しておらず、溶鋼へのスラグ流出を効果的に抑制するものとなっていなかった。
加えて、特許文献1の技術では、湯面が低い状態で溶鋼に不活性ガスを吹き込むことで、溶鋼とスラグが混合されてかえってスラグの流出が助長される可能性がある。
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであって、操業条件や取鍋形状が変更された場合にも、出湯する溶鋼に取鍋内のスラグが流出することを防止して、取鍋内の残鋼量を確実に低減することが可能となる取鍋操業方法を提供することを目的とする。
上記課題を解決するため、本発明の取鍋操業方法は以下の技術的手段を講じている。
即ち、底部に出湯口が形成された取鍋から当該出湯口を介して溶鋼を出湯するにおいて、前記取鍋の内底壁の勾配角度であって出湯口の周囲の内底壁が水平方向に対して為す勾配角度がθ1であるに際しては、前記取鍋の出湯口が下がる方向に向かって、前記取鍋を式(1)を満足する傾斜角度θ2で傾動させることを特徴とする。
本発明の取鍋操業方法によれば、操業条件や取鍋形状が変更された場合にも、出湯する溶鋼に取鍋内のスラグが流出することを防止して、取鍋内の残鋼量を確実に低減することが可能となる。
本実施形態の取鍋操業方法が行われる造塊装置を示した模式図である。 本実施形態の取鍋操業方法を示した模式図である。 出湯口が取鍋中心からR=836mmの取鍋で、0.05Pa・sの粘度の溶鋼を出湯させた際の評価結果を、取鍋の傾斜角度及び溶鋼の流出速度についてまとめた図である。 出湯口が取鍋中心からR=836mmの取鍋で、0.13Pa・sの粘度の溶鋼を出湯させた際の評価結果を、取鍋の傾斜角度及び溶鋼の流出速度についてまとめた図である。 出湯口が取鍋中心からR=836mmの取鍋で、0.86Pa・sの粘度の溶鋼を出湯させた際の評価結果を、取鍋の傾斜角度及び溶鋼の流出速度についてまとめた図である。 出湯口が取鍋中心からR=836mmの取鍋で、溶鋼を出湯速度0.359m/sで出湯させた際の評価結果を、取鍋の傾斜角度及びスラグの粘度についてまとめた図である。 溶鋼を出湯速度0.359m/sで出湯させた際の評価結果を、取鍋の傾斜角度及びノズル中心からの距離についてまとめた図である。
以下、図を参照しながら、本実施形態による取鍋操業方法について説明する。
まず、図1を参照して、本実施形態の取鍋操業方法が適用される造塊装置1(下注ぎ造塊装置)について説明する。なお、図1は下注ぎ造塊を行う造塊装置1の概略構成を示したものであるが、本実施形態の取鍋操業方法は、図1とは装置構成が異なる上注ぎ造塊装置や連続鋳造装置における取鍋3にも適用可能である。
図1に示すように、造塊装置1は、取鍋3内の溶鋼が注入される注入管4と、この注入管4を介して取鍋3の溶鋼が装入される鋳型2と、鋳型2が上面に載置される定盤5とを備えている。
具体的には、注入管4は定盤5の中央側から上方に向かって立つように設けられた塔状の部材であり、この注入管4の内部には溶鋼が通る湯道6が上下方向に沿って形成されている。この注入管4の湯道6は、耐火煉瓦を内張りして円形の断面となるように形成されており、この湯道6を通じて取鍋3の溶鋼を取り込むことができるようになっている。
定盤5は、注入管4及び鋳型2の下側に形成された平板状の部材であり、注入管4及び鋳型2を下方から支持可能となっている。定盤5の内部には、溶鋼が通る湯道6が、注入管4の下側と、鋳型2の下側との2点間を結ぶように形成されていて、注入管4に注入された溶鋼を鋳型2内に送ることができるようになっている。鋳型2は、溶鋼を鋳込むことができるように鋳鉄で形成された容器である。鋳型2の上側は上方に向かって開口しており、また鋳型2の下側には定盤5の湯道6から溶鋼を注入可能な下注入口7(溶鋼吐出口)が形成されている。
上述したような造塊装置1にて造塊を行うにあたっては、まず、取鍋3を注入管4の上方にクレーンで配置する。その後、取鍋3の底部の出湯口に設けられたスライドバルブ10を開状態とすることで、出湯口9を介して、取鍋3内の溶鋼を注入管4の湯道6に導き入れ、定盤5の湯道6を経由して鋳型2に送る。このようにして鋳型2に達した溶鋼は、鋳型2の下注入口7から鋳型2内に入り込み、鋳型2内の上部の押湯部まで達し、適切な量の押湯となったところで溶鋼の流入は停止される。その後、鋳型2内で冷却されてインゴット等の鋳塊となる。このような造塊方法においては、例えば船舶用部品などに用いられる大型鍛造品等の素材のように鋳鍛鋼品用の鋼塊を製造することができる。
ところで、上述した造塊装置1で造塊を行う際には、取鍋3の底部に形成された出湯口9から取鍋3内の溶鋼を適宜出湯する必要がある。このような溶鋼の出湯が行われると、取鍋3内の湯面が下がり、やがて湯面に浮遊するスラグと出湯口の距離が小さくなって、出湯口9から出湯する溶鋼の流れに浮遊するスラグが巻き込まれる可能性が高くなる。
一般の取鍋操業方法では、取鍋内にスラグを残したまま出湯を完了させ、残ったスラグを回収容器などに排出している。
しかし、この排出されるスラグには、鉄源も多く混入しており、鋳造などの生産性や採算性を高くするためには、回収容器に排出されるスラグ中から有価な鉄源(残鋼)をできる限り低減するのが好ましい。
そこで、本発明の取鍋操業方法では、底部に出湯口9が形成された取鍋3から当該出湯口9を介して溶鋼を出湯するにおいて、取鍋3の内底壁11の勾配角度がθ1であるに際
しては、取鍋3の出湯口9が下方に下がるように、取鍋3を式(1)を満足する傾斜角度θ2で傾動させている。
なお、上述した式(1)に用いられるθ1は、取鍋3の内底壁11の勾配角度を示すものであり、実際には出湯口9の周囲の内底壁11が水平方向に対して為す勾配角度を意味している。このような取鍋3の内底壁11の勾配は、取鍋3を施工する際に予め内底壁11を傾けた状態に施工することで付与することができる。
また、θ2は、取鍋3を傾動させる角度を示すものである。このθ2は、実際にクレーンなどで吊り上げて取鍋3を傾ける際の角度であり、例えば傾動後の取鍋3の角度から傾動前の取鍋3の角度を差し引くことで求めることができる。
本発明の取鍋操業方法では、これら2つの角度の和を、取鍋半径R、出湯口位置までの距離L、スラグ粘度P、溶鋼の流出速度Vにより決定される下限値f(P,V,L,R)及び上限値g(P,V,L,R)の間に保持することで、出湯口9からのスラグの流出抑制と溶鋼の効率的な出湯とを双方可能としている。これらの下限値及び上限値に溶鋼表面のスラグの粘度P、出湯口9からの溶鋼の流出速度V、取鍋3中心から出湯口9の中心までの距離L、取鍋3の内底壁11の半径Rから導かれる数値を用いる理由は、次の通りである。
例えば、出湯口9の位置を取鍋3の中心に近くしすぎると、取鍋3を大きく傾動させた際に、取鍋3の傾動により低くなった側(取鍋3の内底壁11における出湯口9より外側の部分)に大量の溶鋼が偏って集まり、大量の残鋼が生じてしまう可能性がある。とはいえ、出湯口9の位置を取鍋3の中心から遠くしすぎれば、溶鋼がかえって出湯口9に集まらず、残鋼量が増えてしまう。それゆえ、上述2つの角度の和は、取鍋3中心から出湯口9の中心までの距離L及び取鍋3の内底壁11の半径Rより導かれる上限値及び下限値の間に規定されるのが好ましい。
また、出湯口9から出湯する溶鋼の流出速度を大きくしすぎる場合には、流出する溶鋼の流れに湯面に浮遊するスラグが引き込まれ、スラグが出湯口9から鋳型2側に流出してしまう可能性がある。ところが、出湯口9から出湯する溶鋼の流出速度を小さくしすぎると、スラグ流出の可能性は低くなるが、取鍋3から溶鋼が流出するのに長大な時間が必要となり、取鍋3操業の効率が低下してしまう。それゆえ、上述した2つの角度の和は、出湯口9から出湯する溶鋼の流出速度より導かれる上限値及び下限値の間に規定されるのが好ましい。
さらに、溶鋼の湯面に形成されるスラグの粘度も、スラグの流出のされやすさに大きな影響を及ぼす。このようなスラグの粘度は、溶鋼の組成や鋼種により大きく変動し、それに伴い上述したθ1+θ2の上限値及び下限値も大きく変化する。それゆえ、上述した2つ
の角度の和は、スラグの粘度より導かれる上限値及び下限値の間に規定されるのが好ましい。
以上のことから、本発明の取鍋操業方法では、2つの角度の和の上限値及び下限値に、式(1)に示すように、取鍋半径R、出湯口9の位置までの距離L、スラグ粘度P、溶鋼の流出速度Vにより決定される値を用いているのである。
なお、式(1)に用いられるRは、取鍋3の内底壁11の半径を示しており、また距離Lは、取鍋3の内底壁11の中心から出湯口9の中心までの距離を示している。また、粘度Pは、溶鋼の表面に浮遊するスラグの粘度を示している。そして、溶鋼の流出速度Vは、取鍋3内から流出する溶鋼の量を、出湯口9の開口面積で除したものである。この流出速度Vの下限値は、取鍋3内の溶鋼が凝固して出湯口9のノズルが詰まることがないような値であって、溶鋼の出湯効率が著しく低くならないような値に設定されている。また、流出速度Vの上限値は、出湯口9からの溶鋼が短時間で流出するような場合でも、スラグと溶鋼との区別が十分に可能となるような値に設定されている。
また、式(1)の関係では、「θ1」が0°、つまり取鍋3の内底壁11に勾配を付けず、取鍋3を傾斜させるのみでも、本発明の作用効果は得られる。加えて、「θ2」が0°、つまり取鍋3を傾斜させずに、取鍋3の内底壁11に勾配を付けるのみでも、本発明の作用効果は得られる。
さらに、本発明の取鍋操業方法は、式(1)の関係を満足するように、取鍋3を最初から傾斜させたままで操業を行っても良いが、最初は取鍋3を水平に保持しておいて、残った溶鋼を一度に排出する直前に取鍋3を傾動させ、このときに式(1)の関係を満足するような操業を行っても良い。この「残った溶鋼を一度に排出する直前」とは、例えば、取鍋3に残される溶鋼の相当高さが200mm以内になった場合を挙げることができる。
なお、上述した式(1)の関係はさまざまなサイズの取鍋3に対して成立するが、特に受鋼可能な溶鋼の重量が10〜300tの取鍋3に対して上述した関係が成立することを、本発明の発明者らは確認している。
また、取鍋3の内底壁11に勾配をつけて施工しようとしても、勾配の大きさが1〜2°と小さい場合には施工が困難になる場合がある。このような場合は、内底壁の勾配を1〜2°より大きくして施工を確実に行い、勾配角度を大きくした分だけ取鍋3を傾動する際の傾動角度を小さくするといった操業を行うと良い。
さらに、取鍋3で溶鋼を受鋼する際に、受鋼した溶鋼が取鍋3内の1点(湯当たり部の1点)に集中して注がれると、取鍋3の内底壁11が溶損しやすくなって取鍋3の破損が起きやすくなったり、取鍋3の容積が大きくなって式(1)の関係が成立しにくくなったりする可能性がある。このような場合は、受鋼した溶鋼が取鍋3の内底壁11の1点に集中しないように、取鍋3の傾動角度を優先的に変化させる操業を行うのが好ましい。
次に、本発明の取鍋操業方法が備える作用効果を、実施例及び比較例を用いて、さらに詳しく説明する。
実施例及び比較例は、取鍋3から溶鋼を下注ぎ造塊法によって鋳型2内に鋳込む際に、取鍋3の傾動角度θ(=θ2)[deg.]、出湯口9からの溶鋼の流出速度V[m/s]、スラグの粘度P[Pa・s]、取鍋3の中心から出湯口9の中心までの距離L[m]、取鍋3の底部の半径R[m]などの条件を変更しつつ操業を行って、取鍋3に残った鉄源の量(残鋼量)及び鋳込み作業の作業性を評価したものである。
なお、実施例及び比較例に用いた溶鋼は、100tの電気炉(交流式アーク炉)でスクラップを1次精錬し、1次精錬で溶解されたスクラップ由来の溶湯を、取鍋3へ傾注したものである。
この取鍋3に傾注された溶鋼に対しては、LF(Ladle Furnace)法により脱ガス処理を2次精錬として行った。具体的には、取鍋3を蓋で覆い、取鍋3内を70Pa程度の真空状態にした後、底吹き用プラグからArガスを吹込み、20分間真空脱水素処理を行った。
このようにして2次精錬を行った溶鋼を、下注ぎ造塊法により鋳型2に出湯した。すなわち、取鍋3から湯道6を通じて鋳型2内に溶鋼を鋳込み、鋳塊を完全凝固させ、完全凝
固した鋳塊を脱型し、鍛造などの下工程に移行させた。
このような出湯の操作を行い、取鍋3内の溶鋼の相当高さが小さくなった段階で、取鍋3内に残る溶鋼の量である「残鋼量」と、出湯の操業の作業性を示す「作業性」とを評価した。
なお、「残鋼量」は、取鍋3内に残った溶鋼をすべて一度に排出する際に、取鍋3内に残っている溶鋼の量を示したものである。具体的には、本実施形態では、取鍋3に残った溶鋼の量を判断するのに、「残鋼相当高さ」を用いている。この「残鋼相当高さ」は、サイズが異なる取鍋3に対しても同じ評価が可能となるように、残鋼量を溶鋼密度と取鍋3の断面積とで除したものである。
また、「作業性」は、取鍋3から出湯する溶鋼の流出速度Vが、0.25[m/s]≦V≦4.0[m/s]を満足するかどうかで評価した。すなわち、溶鋼の流出速度Vが0.25[m/s]以下の場合は、残鋼の排出に時間がかかりすぎるので、「作業性」が×の評価となる。
一方、実施例及び比較例における操業条件については、取鍋3から取鍋3の傾動角度θについては、θの値を0°,1°,2°,4°,6°,8°,10°,12°の8水準で変化させた。また、出湯口9からの溶鋼の流出速度Vについては、Vの値を0.179m/s,0.359m/s,0.478m/s,1.196 m/s,2.391m/s,3.587 m/sの6水準で変化させ、スラグの粘度Pについては、Pの値を0.05Pa・s,0.13Pa・s,0.86Pa・sの3水準で変化させた。さらに、取鍋3の中心から出湯口9の中心までの距離Lについては、Lの値を460mm,600mm,200mmの3水準で変化させた。なお、取鍋3の底部の半径Rについては、1672mmとした。
上述した実験の結果を表1及び図3〜図7に示す。
表1及び図3の結果を見ると、実験No.1〜実験No.36は、いずれもスラグの粘度が0.05Pa・sであると共に、取鍋3の半径Rが836mm(表1では2Rとして示されているので、1672mm
)となる実験結果を示している。図3に示すように、これら実験No.1〜実験No.37の結果を、横軸に取鍋3の傾斜角度θ、縦軸に取鍋3からの溶鋼の流出速度Vをとったグラフ上に示すと、判定結果が合格(残鋼量及び作業性とも合格(○)の評価となったもの)である○の実験結果は、いずれも図中に示される直線で囲まれた領域内に含まれており、領域外の結果は不合格を示す×の結果となっている。
このような判定結果が合格となる領域(図中にグレーで示す領域、以降「合格領域G」という)は、スラグの粘度が0.13Pa・sである実験No.38〜実験No.54の結果をプロットした図4でも、スラグの粘度が0.86Pa・sである実験No.55〜実験No.69の結果をプロットした図5でも同様に見られ、合格領域Gの内外で判定結果の合格・不合格が別れる結果となった。
図3〜図5を見れば明らかなように、上述した合格領域Gは、スラグの粘度や取鍋3の形状などが変化しても、取鍋3からの溶鋼の流出速度が0.25≦V≦4.0の範囲に必ず含まれる。このことから、判定結果を合格とするためには、取鍋3からの溶鋼の流出速度を0.25≦V≦4.0の範囲に維持する必要があることが分かる。
なお、図中の合格領域Gを区切る境界線の内、合格領域の左側を区切る境界線GL、言い換えれば傾斜角度θの下限値を示す境界線GLは、スラグの粘度や取鍋3の形状が変化すると直線の位置や傾きも変化する。また、図中の合格領域Gの右側を区切る境界線GR、言い換えれば傾斜角度θの上限値を示す境界線GRも、下限値を示す境界線GLと同様に直線の位置や傾きが変化する。このことから、傾斜角度θの上限値及び下限値は、取鍋3からの溶鋼の流出速度Vの変数となっていることが分かる。
一方、操業条件として流出速度Vを0.359m/sで一定とすると共に取鍋3の半径Rを836mmで一定とした場合には、図6に示すような結果が得られる。
図6に示すように、横軸に取鍋3の傾斜角度θ、縦軸にスラグの粘度Pをとったグラフ上に、実験No.9〜実験No.15、実験No.38〜実験No.44、実験No.55〜実験No.60、実験No.70〜実験No.80の結果を示すと、傾斜角度θの上限値及び下限値を示す境界線GR、GLは、流出速度Vの場合と同様に直線の位置や傾きが変化したものとなっている。このことから、傾斜角度θの上限値及び下限値は、スラグの粘度Pの変数ともなっていると判断される。
さらに、操業条件として流出速度Vを0.359m/sで一定とした場合には、図7に示すような結果が得られる。図7に示すように、横軸に取鍋3の傾斜角度θ、縦軸に出湯口9の相対位置(取鍋3の底部の中心から出湯口9の中心までの距離を、取鍋3の底部の径Rで除した値)をとったグラフ上に、流出速度Vが0.359m/sの各実験結果を示すと、傾斜角度θの上限値及び下限値を示す境界線GR、GLは、流出速度Vやスラグの粘度Pの場合と同様に直線の位置や傾きが変化する。
つまり、上述した図3〜図7の結果から総合的に判断すれば、傾斜角度θの上限値及び下限値は、流出速度V、スラグの粘度P、出湯口9の相対位置L/Rの変数として表現される。それゆえ、表1の結果を最小二乗法などを用いて処理すれば、式(1)に示すような傾斜角度θの下限値f(P,V,L,R)及び上限値g(P,V,L,R)を上述した変数の関係式として導き出すことが可能となる。
なお、上述した実施例は、取鍋3を傾斜させた例(θ=θ2)を記載するものであるが、取鍋3の内底壁11に勾配を付けた場合(θ=θ1)であっても、同様な結果が得られることを本発明の発明者らは確認している。
また、上述して実施例は下注ぎ造塊法での例を記載するものであるが、上注ぎ造塊法であっても結果は同様である。
以上、今回開示された実施形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。特に、今回開示された実施形態において、明示的に開示されていない事項、例えば、運転条件や操業条件、各種パラメータ、構成物の寸法、重量、体積などは、当業者が通常実施する範囲を逸脱するものではなく、通常の当業者であれば、容易に想定することが可能な値を採用している。
1 造塊装置
2 鋳型
3 取鍋
4 注入管
5 定盤
6 湯道
7 下注入口
9 出湯口(チェンジノズル)
10 スライドバルブ
11 内底壁
θ 取鍋の内底壁の勾配角度
θ2 取鍋の傾動角度
G 合格領域
GL 傾斜角度の下限値を示す境界線
GR 傾斜角度の上限値を示す境界線
L 取鍋の中心から出湯口の中心までの距離
P スラグの粘度
R 取鍋の底部の半径
V 出湯口からの溶鋼の流出速度

Claims (1)

  1. 底部に出湯口が形成された取鍋から当該出湯口を介して溶鋼を出湯するにおいて、
    前記取鍋の内底壁の勾配角度であって出湯口の周囲の内底壁が水平方向に対して為す勾配角度がθ1であるに際しては、前記取鍋の出湯口が下がる方向に向かって、前記取鍋を式(1)を満足する傾斜角度θ2で傾動させる
    ことを特徴とする取鍋操業方法。
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