JP4264291B2 - 鋼の連続鋳造方法 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、鋼の連続鋳造方法に関し、特にプレス割れの少ないIF鋼板を製造することのできる鋼の連続鋳造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
溶融金属の連続鋳造においては、溶融金属を取鍋からタンディッシュに注入し、さらにタンディッシュから鋳型内に注入する。鋳型内おいて、溶融金属と鋳型との接触部において凝固シェルが成長し、凝固シェルは下方に引き抜かれつつさらに凝固が進行し、最終的に凝固が完了して鋳片となり、引き出される。
【0003】
タンディッシュ底面には鋳造ストランド数に等しい数の注入口が設けられ、各注入口から鋳型内に溶融金属が注入される。注入口にはストッパーあるいはスライディングノズルが設けられ、これらを開閉することによって溶融金属の注入制御が行われる。ストッパーを設ける場合には、タンディッシュ底面に注入ノズル(ストッパーノズル)を設け、注入ノズルの上方にストッパーを配置する。スライディングノズルを設ける場合には、図1に示すように、タンディッシュ1底面に上部ノズル2を配置し、その下方にスライディングノズル3を配置する。注入ノズル、上ノズル、スライディングノズルは、通常はいずれもアルミナグラファイト耐火物によって形成される。スラブ連続鋳造においては、タンディッシュの注入口下部に浸漬ノズル4を設ける。浸漬ノズル4の材質としては、アルミナグラファイト耐火物が用いられる。
【0004】
アルミナグラファイト耐火物製浸漬ノズルにおいては、溶融金属が流通するノズル内周部の溶融金属流通部に析出物が付着しやすいという性質を有している。付着する析出物の主成分はαAl23であり、脱酸生成物として溶融金属中に含まれているAl23がノズル内壁に析出して堆積するものと考えられる。浸漬ノズル内壁への析出物付着は、特にアルミキルド鋼の連続鋳造において顕著に観察される。浸漬ノズル内壁への析出物付着を防止するため、上ノズルやスライディングノズル、浸漬ノズル部分にアルゴンガスを吹き込む方法が採用されている。
【0005】
近年、自動車用外板や表面処理鋼版等には、優れた加工性を有するCが0.004%以下の極低炭素鋼が広く用いられている。特に、TiやNbなどの炭素、窒素を固定する元素を添加した極低炭素鋼はIF鋼(Interstitial soluted element Free鋼)と呼ばれ、連続鋳造によって製造される極低炭素鋼の中心となっている。
【0006】
連続鋳造においては、鋳型と凝固シェルとの間の潤滑を確保するため、連続鋳造パウダーが用いられる。極低炭素鋼の連続鋳造においては、高粘度パウダーが用いられることが多い。高粘度にするのは、極低炭素鋼は鋳造の際に凝固シェル先端の爪部が異常発達しがちであり、それに由来したパウダー巻き込みという問題を極力防止しようとするためである(例えば特許文献1)。
【0007】
特許文献2においては、極低炭素鋼の連続鋳造において1300℃の粘性が3poise以上のパウダーを用いることにより、鋳型内での溶鋼中へのパウダー巻き込みを減らし、さらに鋳型内電磁攪拌を行うことにより、高粘性パウダーであるにもかかわらず鋳型と鋳片界面へのパウダー流入を改善する技術が開示されている。パウダーの粘度を3poise以上とすることにより、冷延板では連鋳パウダーが原因となった線状疵の発生が低減するとともに、加工時の加工割れが低減し、成形性が向上するとしている。
【0008】
特許文献3においては、鋳造品種を限定せず、モールドパウダー巻き込みに起因するパウダー性欠陥の発生を防止するため、高い粘度のモールドパウダーを用い、浸漬ノズルへの吹き込みガス量を臨界値以下とする発明が開示されている。1200℃における粘度を1.2〜4poiseとし、浸漬ノズル内に吹き込むガス量を所定の値以下とすることによって薄鋼板のモールドパウダー性欠陥発生率が低減するとしている。ここで、ガス量の所定の値は、溶鋼のスループットQ(ton/min)が増大するほど増大し、パウダーの1200℃粘度が増大するほど増大する関数となっている。
【0009】
【特許文献1】
特開平10−263767号公報
【特許文献2】
特開2000−280051号公報
【特許文献3】
特開平10−193058号公報
【0010】
【発明が解決しようとする課題】
IF鋼をはじめとする超深絞り加工用材料に要求される特性として、r値や伸び等の機械的特性値が優れているだけでなく、清浄性、特に従来から要求されていた表面の清浄性に加え、プレス割れを防止するため、加工時の割れの起点となる鋳片内部の清浄性向上が求められている。従来から進められている高粘性パウダーの使用により、パウダー巻き込みが低減して鋳片品質の向上が図られているが、薄板の加工性の向上については更なる改善が要求されている。
【0011】
本発明は、プレス割れを防止し、薄板加工性のより一層の向上を実現することのできる鋼の連続鋳造方法を提供することを目的とする。
【0012】
【課題を解決するための手段】
即ち、本発明の要旨とするところは以下の通りである。
(1)タンディッシュから鋳型への溶鋼注入流中にアルゴンガスを吹き込み、タンディッシュ上ノズル及び/又はスライディングノズルへのアルゴンガス供給量をV1とし、浸漬ノズルへのアルゴンガス供給量をV2として、下記(2)式で得られる溶鋼注入流へのアルゴンガス吹き込み量VAr(リットル/分)を下記(1)式の範囲内とするとともに、
鋳造速度vC(m/分)を1.5〜2.0m/minの範囲とし、連続鋳造用パウダーとして1300℃での粘度η(poise)が14.7poise以上でさらに下記(3)式の範囲内であるパウダーを用いることを特徴とする鋼の連続鋳造方法。
1≦VAr≦0.3×η+0.5 (1)
Ar=0.2×V1+0.7×V2 (2)
C≦(0.0527×2×60×S×η)/(W×T) (3)
ただし、Wは鋳片幅(m)、Tは鋳片厚み(m)、Sは浸漬ノズルの吐出口断面積(m2)である。
(2)タンディッシュから鋳型への溶鋼注入流中にアルゴンガスを吹き込み、タンディッシュ上ノズル及び/又はスライディングノズルへのアルゴンガス供給量をV1とし、浸漬ノズルへのアルゴンガス供給量をV2として、下記(2)式で得られる溶鋼注入流へのアルゴンガス吹き込み量VAr(リットル/分)を下記(1)式の範囲内とするとともに、
鋳造速度vC(m/分)を1.5〜2.0m/minの範囲とし、連続鋳造用パウダーとして1300℃での粘度η(poise)が14.7poise以上であるとともに、下記(7)式によってv(m/秒)を求め、下記(8)式によってvd(m/秒)を求め、vとvdを対比し、vがvdよりも大きくなる粘度範囲内のパウダーを用いることを特徴とする鋼の連続鋳造方法。
1≦VAr≦0.3×η+0.5 (1)
Ar=0.2×V1+0.7×V2 (2)
v=0.0527η (7)
d=(W×T×vC)/(S×2×60) (8)
ただし、Wは鋳片幅(m)、Tは鋳片厚み(m)、Sは浸漬ノズルの吐出口断面積(m2)である。
【0013】
【発明の実施の形態】
IF鋼をはじめとする超深絞り加工用材料において、製品のプレス割れの原因を追及したところ、鋼板の内部、即ち鋳片の内部に取り込まれたパウダー起因の介在物がプレス割れの原因となっていることが多い。
【0014】
溶鋼中に巻き込まれたパウダー巻き込み介在物のうち、鋳型内の凝固シェル付近に巻き込まれたものは凝固シェル先端の爪部に捕捉され、表面疵の原因となる。一方、プレス割れの原因となるパウダー起因介在物は、まず鋳型内のメニスカス付近で溶融パウダー層から溶鋼中に巻き込まれ、巻き込まれたパウダーが鋳型内の溶鋼下降流に乗ってメニスカスの下方に運ばれ、最終的にシェルに捕捉されて鋳片内部の介在物となる。
【0015】
以下、図1に基づいて本発明の説明を行う。図1おいて、タンディッシュ1下部に設けられた注入ノズルは、上から上ノズル2,スライディングノズル3を経て浸漬ノズル4が接続され、浸漬ノズル4先端の吐出口8から鋳型5内に溶鋼を吐出する。鋳型5内には溶鋼10の表面メニスカス部に溶融パウダー層11が形成されている。
【0016】
前述の通り、タンディッシュの浸漬ノズル詰まり防止を目的として、浸漬ノズル4を通過する溶鋼中にアルゴンガスが吹き込まれる。図1においては、上ノズル1と浸漬ノズル4にガススリーブノズル6が配置され、外部からアルゴンガス配管7を経由してアルゴンガスが供給され、溶鋼注入流にアルゴンガスが吹き込まれる。吹き込まれたアルゴンガスは溶鋼とともに浸漬ノズル先端の吐出口8からアルゴン気泡12として鋳型内に吐出され、その大部分は浮上してメニスカスから離脱する。メニスカスに達したアルゴンガス気泡12は、メニスカス部の溶鋼10と溶融パウダー層11の界面を乱す原因となり、その結果として溶融パウダーが溶鋼中に巻き込まれてパウダー巻き込み介在物14となる。プレス割れの原因となるパウダー巻き込み介在物は、アルゴンガス気泡12に起因して溶鋼中に巻き込まれたものが主であることが明らかとなった。
【0017】
10kgの小型溶解炉を用い、溶鋼の表面に種々の粘度を有する溶融パウダー層を形成し、溶鋼中にアルゴンガスを種々の流量で吹き込み、浮上するアルゴン気泡による攪拌で溶鋼中に巻き込まれるパウダー系介在物の量と大きさについて調査した。その結果、溶鋼中に巻き込まれるパウダー系介在物の平均粒径は、パウダー粘度が高くなるほど大きくなることがわかった。また、溶鋼中に巻き込まれるパウダー系介在物の巻き込み個数は、アルゴンガス流量が増えるほど増大すること、パウダーの粘度が高いほど低減することが分かった。パウダーの粘度が高いほど巻き込み粒径が増加し、その結果浮上速度が増大して浮上しやすくなるので、結果としてパウダー粘度が高いほど巻き込み個数が低減するものと考えられる。
【0018】
パウダーの粘度が高くなるほど巻き込み介在物の粒径が大きくなる理由として、以下の点が考えられる。即ち、溶融パウダーの粘度が大きいと、溶融パウダー層と溶鋼との界面のせん断力が低下するため、界面におけるKelvin-Helmholtzの乱れの波長が大きくなる。その結果、パウダーの巻き込み粒径が大きくなるのである。
【0019】
以上の実験結果から、パウダーの1300℃粘度η(poise)、アルゴンガス流量VAr(リットル/分)と巻き込み個数N(個/kg)との間には、下記(4)式の関係が見られることが分かった。なお、アルゴンガス流量表示において、リットルはいずれもNリットル(標準状態表示)の意味である。
N=(10000/η)(VAr−0.5) (4)
【0020】
また、実機の鋳型メニスカス直下でパウダーが何個巻き込まれているかは実測できないが、実機におけるη、VArとプレス割れの関係を(4)式と対応させたところ、鋼板を加工したときのプレス割れを低減するためには、巻き込み個数Nが3000個/kg以下であればよいことがわかった。
【0021】
以上の結果を総合すると、連続鋳造用パウダーとして1300℃での粘度η(poise)のパウダーを用い、溶鋼注入流へのアルゴンガス吹き込み量VAr(リットル/分)を下記(1)式の範囲内とすることにより、鋼板でのプレス割れの少ない連続鋳造鋳片を製造できることが分かる。
Ar≦0.3×η+0.5 (1)
【0022】
ここにおいて、連続鋳造用パウダーとして1300℃での粘度η(poise)が8poise以上のパウダーを用いる。8poise以上のパウダーに限定する理由は、8poise未満の粘性であるとVAr<2.9リットル/分となり、このようなアルゴンガス流量でノズル閉塞を発生させずに操業することは極低炭素鋼の場合には難しい、もしくは連々鋳のチャージ/キャストを大幅に低下させざるを得なくなるからである。
【0023】
溶鋼注入流にアルゴンガスを吹き込む手段として、タンディッシュの上ノズル2やスライディングノズル3,浸漬ノズル4に図1に示すようなガスの流入口を設け、アルゴンガスを供給することが行われる。ここで、供給したアルゴンガスのすべてが溶鋼注入流中に吹き込まれるのではなく、一部はタンディッシュ内の溶鋼中を上昇し、他の一部は注入ノズルを構成する耐火物の隙間から外部に漏れ出る。通常用いられている連続鋳造装置においては、上ノズル2及び/又はスライディングノズル3へのアルゴンガス供給量をV1とし、浸漬ノズル4へのアルゴンガス供給量をV2とすると、V1の20%が溶鋼注入流中に吹き込まれ、V2の70%が溶鋼注入流中に吹き込まれる。従って、(1)式のVArを下記(2)式によって定めれば、アルゴンガスの供給量によって良好範囲を規定することが可能になる。
Ar=0.2×V1+0.7×V2 (2)
【0024】
溶鋼注入流中にアルゴンガスを吹き込む目的は浸漬ノズルの詰まりを防止するためであり、詰まり防止を実現するために必要最小限のアルゴンガス流量を確保する必要がある。通常の連続鋳造装置であって、浸漬ノズル4にアルミナグラファイト質耐火物を用い、IF鋼などの極低炭素鋼を鋳造する際においては、VArは最低でも1リットル/分以上確保する必要がある。従って、上ノズル2のみからアルゴンガスを吹き込むときはアルゴンガス供給量を5(=1/0.2)リットル/分、浸漬ノズル4のみからアルゴンガスを吹き込むときはアルゴンガス供給量を1.4(=1/0.7)リットル/分以上とする必要がある。
【0025】
鋳型内の溶鋼中に巻き込まれたパウダー巻き込み介在物14は、自身の浮力によって所定の浮上速度で浮上する。浮上速度v(m/sec)はストークスの式から定まり、下記(5)式のとおりパウダー巻き込み介在物粒径d(m)によって定まる関数である。
v=(2/9)×d2(ρl−ρp)g/μ (5)
ここで、ρlは溶鋼密度(kg/m3)、ρpは介在物密度(kg/m3)、gは重力加速度(m/s2)、μは溶鋼の粘度(Pa・s)である。
【0026】
一方、上述の通り、溶鋼中に巻き込む介在物粒径はパウダーの粘度が高いほど大きくなる。Kelvin-Helmholtzの乱れの波長の関数を実験結果に基づいてフィッティングすると、巻き込み介在物粒径d(μm)は1300℃パウダー粘度η(poise)を用いて下記(6)式のように定まる。
d=-0.563η2+61.455η+408.51 (6)
【0027】
以上の(5)式(6)式に基づいて、巻き込み介在物の浮上速度vは1300℃パウダー粘度η(poise)を用いて下記(7)式のように定まる。
v=0.0527η (7)
【0028】
鋳型内において、浸漬ノズル4の吐出口8から流出した溶鋼吐出流15は、図1に示すように鋳型短辺に衝突した後に上昇流16と下降流17とに分かれる。溶鋼中に巻き込まれたパウダー巻き込み介在物14が、吐出流15に捕まった上でさらに下降流17に乗ってメニスカスから下方まで運ばれると、その後凝固シェル12にトラップされ、鋳片内部の介在物となってプレス割れの原因となる。ここで、パウダー巻き込み介在物14の浮上速度vが溶鋼の下降速度vdより速ければ、巻き込み介在物は下降流に乗って下降せず、鋳型内容鋼表面に浮上分離することができる。ここで、溶鋼の下降速度vd(m/sec)は下記(8)式で表される。
d=(W×T×vC)/(S×2×60) (8)
ただし、Wは鋳片幅(m)、Tは鋳片厚み(m)、Sは浸漬ノズルの吐出口断面積(m2)、vCは鋳造速度(m/分)である。
【0029】
介在物が鋳片中にトラップされない条件であるv≧vdに上記(7)(8)式を代入し、vC(m/分)についての式に変形すると下記(3)式が得られる。
C≦(0.0527×2×60×S×η)/(W×T) (3)
【0030】
即ち、鋳造速度vCとして(3)式を満たす速度を選択して連続鋳造を行うことにより、プレス割れの少ない加工性の良好な鋼板を製造することが可能になる。また、(3)式の右辺から明らかなように、使用するパウダーの1300℃における粘度ηが高くなるほど、許容される鋳造速度の上限が高くなり、高速での連続鋳造が可能になる。
【0031】
本発明においては、溶鋼注入流へのアルゴンガス吹き込み量VArを上記(1)式の範囲内としてメニスカス部におけるパウダー巻き込み発生を防止し、さらに鋳造速度vCを上記(3)式の範囲内とすることによってメニスカス部の巻き込み介在物が鋳片内部に到達しないようにすることにより、鋳片内部の巻き込み介在物を極小とし、プレス割れの少ない極めて加工性の良好な製品を製造することが可能になる。
【0032】
本発明はさらに、鋳造品種としてIF鋼を鋳造する場合に特に良好な効果を発揮することができる。IF鋼においては特に良好な加工性が要求され、本発明が有するプレス割れ防止効果を発揮して優れた品質向上効果を得ることができるからである。
【0033】
本発明の連続鋳造方法においては、鋳型内電磁攪拌を同時に行うこととすると好ましい。本発明では、連続鋳造用パウダーとして1300℃での粘度η(poise)が8poise以上の高粘度パウダーを用いる。一般的に高粘度パウダーを使用すると、鋳型と凝固シェルとの間に流入する溶融パウダーの消費量が低減し、またパウダー流入に不均一が生じやすくなり、結果として割れ感受性の高い品種では鋳片の割れが発生しやすくなったり、凝固シェルが鋳型に焼き付いて凝固シェルが破れるに至ることがある。これに対し、極低炭素鋼ではオシレーションマーク部の爪が長く、この爪により、パウダーが凝固シェル・鋳型間に容易に引きずり込まれるため、高粘性でも均一にパウダーが流入する。また、鋳型内電磁攪拌を同時に行うことが好ましい。高粘度パウダーであってもパウダー消費量を確保でき、かつパウダー流入の不均一を解消することが可能になる。
【0034】
本発明で使用する1300℃での粘度η(poise)が8poise以上の高粘度パウダーについては、凝固温度の低いパウダーを用いることとするとよい。1300℃粘度が高粘度であり、同時に凝固温度が高いパウダーを用いると、上記のようにパウダー流入性が低下するが、高粘度かつ低凝固温度のパウダーを用いれば、パウダー消費量を適正化し、かつパウダー流入不均一を防止することが可能になる。
【0035】
【実施例】
転炉にて溶製した溶鋼300tonを、RHにて所定の成分濃度に調整したIF鋼(極低炭素鋼)の溶鋼を、タンディッシュ、浸漬ノズルを介して垂直曲げ型の連続鋳造機で鋳造した。溶鋼成分範囲を表1に示す。上ノズル2単独、あるいは上ノズル2と浸漬ノズル4から溶鋼注入流にアルゴンガス吹き込みを行った。鋳造速度、鋳片幅、鋳片厚み、浸漬ノズル吐出口8断面積、使用した連続鋳造パウダーの粘度、アルゴンガス供給量V1(上ノズル)、V2(浸漬ノズル)、(2)式から計算したアルゴンガス吹き込み量VAr、(1)式の右辺、(3)式の右辺を表2に示す。
【0036】
【表1】
Figure 0004264291
【0037】
【表2】
Figure 0004264291
【0038】
鋳型添加剤の粘度測定方法として、回転円筒法を用いた。測定対象の鋳型添加剤を700℃にて60分間脱炭処理した試料を黒鉛坩堝に挿入し1400℃にて10〜15分間予備溶解した後鉄坩堝に移し、縦型管状炉(エレマ炉)に入れ、E型粘度計のローターをスラグ中に浸漬し、1300℃で30分間安定させた後、ローターを回転させ粘性抵抗によるトルクを測定し、粘度を求める。なおE型粘度計は事前に標準粘度液にて較正しておく。
【0039】
巻き込み個数の測定については、鋳片から介在物の集積帯部位を切り出し、スライム法で溶解し、介在物を抽出し、パウダー系の介在物の個数をカウントする。
【0040】
プレス割れ指数については、製品となった0.8mm厚の鋼板を100mmφの球状のダイを用いて32mm張り出させたときの割れ発生枚数比率を評点化したものであり、割れ発生枚数比率0.2%未満を◎、0.2〜3%を○、3〜5%を△、5%以上を×とした。
【0041】
発明例No.3、6、9、12は、アルゴンガス吹き込み量VArが(1)式を満足するとともに鋳造速度vCが(3)式を満足しており、巻き込み個数、プレス割れ指数良好な結果となった。
【0042】
比較例No.1〜5はアルゴンガス吹き込み量VArが(1)式を満足せず、鋳造速度vCが(3)式を満足せず、巻き込み個数、プレス割れ指数ともに不良であった。
【0043】
【発明の効果】
本発明は、1300℃粘度が8poise以上の高粘度パウダーを使用しつつパウダーの粘度に応じて溶鋼注入流へのアルゴンガス吹き込み量を制御し、さらにパウダーの粘度に応じて鋳造速度を制御することにより、製品のプレス割れに影響する鋳片内部のパウダー起因巻き込み介在物を低減し、プレス割れの少ない加工性の良好な製品を製造することのできる連続鋳造方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明を適用する連続鋳造装置の部分断面図である。
【符号の説明】
1 タンディッシュ
2 上ノズル
3 スライディングノズル
4 浸漬ノズル
5 鋳型
6 ガススリーブノズル
7 アルゴンガス配管
8 吐出口
10 溶鋼
11 溶融パウダー層
12 凝固シェル
13 アルゴンガス気泡
14 パウダー巻き込み介在物
15 吐出流
16 上昇流
17 下降流

Claims (2)

  1. タンディッシュから鋳型への溶鋼注入流中にアルゴンガスを吹き込み、タンディッシュ上ノズル及び/又はスライディングノズルへのアルゴンガス供給量をV1とし、浸漬ノズルへのアルゴンガス供給量をV2として、下記(2)式で得られる溶鋼注入流へのアルゴンガス吹き込み量VAr(リットル/分)を下記(1)式の範囲内とするとともに、
    鋳造速度vC(m/分)を1.5〜2.0m/minの範囲とし、連続鋳造用パウダーとして1300℃での粘度η(poise)が14.7poise以上でさらに下記(3)式の範囲内であるパウダーを用いることを特徴とする鋼の連続鋳造方法。
    1≦VAr≦0.3×η+0.5 (1)
    Ar=0.2×V1+0.7×V2 (2)
    C≦(0.0527×2×60×S×η)/(W×T) (3)
    ただし、Wは鋳片幅(m)、Tは鋳片厚み(m)、Sは浸漬ノズルの吐出口断面積(m2)である。
  2. タンディッシュから鋳型への溶鋼注入流中にアルゴンガスを吹き込み、タンディッシュ上ノズル及び/又はスライディングノズルへのアルゴンガス供給量をV1とし、浸漬ノズルへのアルゴンガス供給量をV2として、下記(2)式で得られる溶鋼注入流へのアルゴンガス吹き込み量VAr(リットル/分)を下記(1)式の範囲内とするとともに、
    鋳造速度vC(m/分)を1.5〜2.0m/minの範囲とし、連続鋳造用パウダーとして1300℃での粘度η(poise)が14.7poise以上であるとともに、下記(7)式によってv(m/秒)を求め、下記(8)式によってvd(m/秒)を求め、vとvdを対比し、vがvdよりも大きくなる粘度範囲内のパウダーを用いることを特徴とする鋼の連続鋳造方法。
    1≦VAr≦0.3×η+0.5 (1)
    Ar=0.2×V1+0.7×V2 (2)
    v=0.0527η (7)
    d=(W×T×vC)/(S×2×60) (8)
    ただし、Wは鋳片幅(m)、Tは鋳片厚み(m)、Sは浸漬ノズルの吐出口断面積(m2)である。
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