JP6174151B2 - モルタル用水性樹脂分散体、モルタル組成物及びモルタル硬化物 - Google Patents

モルタル用水性樹脂分散体、モルタル組成物及びモルタル硬化物 Download PDF

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Description

本発明は、モルタルの耐硫酸性を改善するモルタル用水性樹脂分散体、モルタル組成物及びモルタル硬化物に関する。
下水道施設では、気相部のコンクリート表面に存在する微生物が下水由来の硫化水素から硫酸を生成するため、アルカリ性材料を適用したコンクリートの硫酸による腐食が問題となっている。現在、この問題の対策として、有機系樹脂によってコンクリートと硫酸の接触を防ぐ防食被覆工法が採用されている。このような工法の他、コンクリートや断面修復モルタル自体に耐硫酸性を持たせることができれば、コンクリート構造物の耐久性の向上や、場合によっては防食被覆の省略が可能になるものと期待されている。
モルタルの性能向上を目的として、当該モルタルに有機ポリマー(ラテックスなど水性樹脂分散体、粉末ディスパージョンなど)を混入する方法が提案されている。
また、特許文献1〜3では、モルタルの曲げ強度、圧縮強度、接着強度の向上を目的として、アルコキシシラン基含有重合性単量体を含む重合性単量体混合物を重合して得られるセメント質基材用混和剤、水性樹脂分散体、セメントモルタル用エマルジョンが提案されている。また。特許文献4では、セメント系組成物の曲げ強度、圧縮強度、耐水性、耐候性、コンクリートや鉄筋などの接着性の向上を目的として、乳化重合して得られる共重合体ラテックスにアルコキシシラン化合物を吸収させた後、アルコキシシラン化合物の縮合反応を進行させて得られる共重合体ラテックスが提案されている。
特開平8−91900号公報 特開2008−174641号公報 特開2007−204333号公報 特開平3−279244号公報
ここで、アクリル系ポリマー単体を使用する場合、未使用の場合と比べて耐硫酸性の改善はみられるものの、モルタル中の有機ポリマー量はセメントに対し10質量%と少ないため、耐硫酸性に与える影響は少ないと考えられている。そのため、有機ポリマーによるモルタルの耐硫酸性を特に向上させる旨の報告はなく、モルタルの主な検討は、セメントなど無機材料の配合比率、施工厚みなどを中心に進められている。特許文献1〜4に記載の技術でも、曲げ強度、圧縮強度、接着強度の向上が目的であり、耐硫酸性については検討されていない。しかしながら、有機ポリマーを混入したモルタルが、優れた耐硫酸性を発揮できれば、コンクリート構造物の耐久性向上が期待できる。
本発明は、上記の従来技術が有する課題に鑑みてなされたものであり、優れた耐硫酸性及び接着性を発現できるモルタル用水性樹脂分散体、組成物及び硬化物を提供することを目的とする。
本発明者は、上記課題を解決すべく鋭意研究を重ねた結果、アルコキシシラン基含有重合性単量体、カルボン酸基含有重合性単量体を含む重合性単量体混合物を重合して得られる水性樹脂分散体が、モルタルの耐硫酸性を著しく改善することを見出し、本発明をなすに至った。
すなわち本発明は、以下のとおりである。
[1]
アルコキシシラン基含有重合性単量体(a)0.1質量%以上5.0質量%以下と、カルボン酸基含有重合性単量体(b)0.5質量%以上3.0質量%以下と、当該(a)成分及び当該(b)成分と共重合する他の重合性単量体(c)と、を重合して得られ、かつ、計算ガラス転移温度が−20℃以上20℃以下である重合体(A)と、
ノニオン性界面活性剤と、
を含む、モルタル用水性樹脂分散体。
[2]
前記(A)成分が、下記式(1)で表される化合物によって変性された重合体である、[1]に記載のモルタル用水性樹脂分散体。
(式中、nは、0以上3以下の整数である。Rは、水素、炭素数1以上16以下のアルキル基、炭素数6以上10以下のアリール基又は炭素数5以上6以下のシクロアルキル基を表す。n個のRは、同一であってもよいし、異なっていてもよい。Rは、炭素数1以上8以下のアルコキシ基、アセトキシ基又は水酸基を表す。(4−n)個のRは、同一であってもよいし、異なっていてもよい。)
[3]
前記式(1)において、nが1以上3以下の整数である、[2]に記載のモルタル用水性樹脂分散体。
[4]
[1]〜[3]のいずれかに記載のモルタル用水性樹脂分散体を含む、セメント用耐硫酸性改質剤。
[5]
[1]〜[3]のいずれかに記載のモルタル用水性樹脂分散体と、セメントとを含む、組成物。
[6]
充填材と、添加剤と、をさらに含む、[5]に記載の組成物。
[7]
前記セメントがアルミナセメントである、[5]又は[6]に記載の組成物。
[8]
[5]〜[7]のいずれかに記載の組成物を硬化する工程を含む、硬化物の製造方法。
[9]
[5]〜[7]のいずれかに記載の組成物を硬化して得られる、硬化物。
[10]
アルコキシシラン基含有重合性単量体(a)0.1質量%以上5.0質量%以下と、カルボン酸基含有重合性単量体(b)0.5質量%以上3.0質量%以下と、当該(a)成分及び当該(b)成分と共重合する他の重合性単量体(c)と、を重合して得られ、かつ、計算ガラス転移温度が−20℃以上20℃以下である重合体(A)と、ノニオン性界面活性剤と、を含む、水性樹脂分散体と、
セメントと、
を共存させる、セメントの耐硫酸性改質方法。
本発明によれば、優れた耐硫酸性及び接着性を発現できるモルタル用水性樹脂分散体、組成物及び硬化物を提供することができる。
以下、本発明を実施するための形態(以下、単に「本実施形態」という。)について詳細に説明する。以下の本実施形態は、本発明を説明するための例示であり、本発明を以下の内容に限定する趣旨ではない。本発明はその要旨の範囲内で適宜に変形して実施できる。
本実施形態のモルタル用水性樹脂分散体は、アルコキシシラン基含有重合性単量体(a)0.1質量%以上5.0質量%以下と、カルボン酸基含有重合性単量体(b)0.5質量%以上3.0質量%以下と、当該(a)成分及び当該(b)成分と共重合する他の重合性単量体(c)と、を重合して得られ、かつ、計算ガラス転移温度が−20℃以上20℃以下である重合体(A)と、ノニオン性界面活性剤と、を含む。このように構成されているため、本実施形態のモルタル用水性樹脂分散体は、優れた耐硫酸性及び接着性を発現することができる。なお、本実施形態における「モルタル」とは、セメントと砂(細骨材)とを水で練り混ぜて作る建築材料を意味する。また、本実施形態における「水性樹脂分散体」とは、樹脂が水中で分散状態を維持しているものを意味する。水性樹脂分散体としては、特に限定されないが、具体的には、アクリル系ラテックス、スチレン−ブタジエン系ラテックス、塩化ビニリデン系ラテックス、エチレン−酢酸ビニル系エマルジョン、シリコーンエマルジョン、ウレタンディスパージョン等を挙げることができる。
本実施形態におけるアルコキシシラン基含有重合性単量体(a)としては、特に限定されず、例えば、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリス(β−メトキシエトキシ)シラン、ビニルメチルジメトキシシラン、γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、γ−メタクリロキシプロピルメチルジメトキシシラン、γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、γ−アクリロキシプロピルトリメトキシシラン、γ−アクリロキシプロピルメチルジメトキシシラン、γ−メタクリロキシプロピルトリエトキシシラン、γ−メタクリロキシプロピルメチルジエトキシシラン等が挙げられる。これらは1種単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。これらの中でも好ましくは、γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、γ−メタクリロキシプロピルメチルジメトキシシラン、γ−メタクリロキシプロピルトリエトキシシラン、γ−メタクリロキシプロピルメチルジエトキシシランである。これらの中でより好ましくは、γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、γ−メタクリロキシプロピルトリエトキシシランである。さらに、(A)成分の重合に用いられる単量体総量中におけるアルコキシシラン基含有重合性単量体(a)の割合は、重合安定性及び無機物との接着性の観点から、0.1質量%以上5.0質量%以下であり、好ましくは0.1質量%以上2.0質量%以下である。
本実施形態におけるカルボン酸基含有重合性単量体(b)としては、特に限定されず、例えば、アクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸、イタコン酸、マレイン酸、無水マレイン酸等が挙げられる。これらは、1種単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。これらの中でも、アクリル酸、メタクリル酸が好ましい。(A)成分の重合に用いられる単量体総量中におけるカルボン酸基含有重合性単量体(b)の割合は、0.5質量%以上3.0質量%以下である。3.0質量%を超えるとモルタルの耐硫酸性が著しく低下する。また、0.5質量%未満であるとモルタルの接着性を損ねる。すなわち、上記0.5質量%以上3.0質量%以下の範囲にあることでモルタルの耐硫酸性、接着性が優れたものとなる。同様の観点から、上記割合は好ましくは0.5質量%以上2.0質量%以下である。
本実施形態における(a)成分及び(b)成分と共重合可能な他の重合性単量体(c)としては、特に限定されず、例えば、(メタ)アクリル酸エステル、ヒドロキシル基含有重合性単量体、これら以外の重合性単量体等が挙げられる。
本実施形態における(メタ)アクリル酸エステルの具体例としては、特に限定されず、例えば、炭素数1〜18のアルキル基を有する(メタ)アクリル酸アルキルエステル、1〜100のエチレンオキサイド基を有する(ポリ)オキシエチレンモノ(メタ)アクリレート、1〜100のプロピレンオキサイド基を有する(ポリ)オキシプロピレンモノ(メタ)アクリレート、炭素数1〜18のアルキル基を有する(メタ)アクリル酸ヒドロキシアルキルエステル、エチレンオキサイド基の数が1〜100個の(ポリ)オキシエチレンジ(メタ)アクリレート等が挙げられる。
本実施形態における炭素数1〜18のアルキル基を有する(メタ)アクリル酸アルキルエステルの具体例としては、特に限定されず、例えば、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸n−ブチル、(メタ)アクリル酸イソブチル、(メタ)アクリル酸tert−ブチル、(メタ)アクリル酸2−エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸ドデシル、(メタ)アクリル酸シクロヘキシル等が挙げられる。
本実施形態におけるヒドロキシル基含有重合性単量体としては、特に限定されず、例えば、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、カプロラクトン変性(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコール(メタ)アクリレート等が挙げられる。これらは1種単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。これらの中でも好ましくは、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレートである。
本実施形態における(c)成分において、上記した(メタ)アクリル酸エステル、ヒドロキシル基含有重合性単量体以外の重合性単量体としては、これら以外の重合性単量体であり、かつ(a)成分及び(b)成分と重合可能なものであれば特に限定されない。その具体例としては、例えば、スチレン、ビニルトルエン等の芳香族単量体;酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、パーチサック酸ビニル等のビニルエステル類;(メタ)アクリロニトリル等のシアン化ビニル類;塩化ビニル、塩化ビニリデン等のハロゲン化ビニル類;エチレン、ブタジエン等のオレフィン類等が挙げられる。さらに、種々の官能性単量体としては、例えば、(メタ)アクリルアミド、ビニルピロリドン、(メタ)アクリル酸グリシジル、N−メチロールアクリルアミド、N−ブトキシメチルアクリルアミド、ジビニルベンゼン等も挙げられる。(c)成分は、上記したもの1種単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
本実施形態のモルタル用水性樹脂分散体は、計算ガラス転移温度が−20℃以上20℃以下である。20℃を超えると、耐硫酸性が著しく低下する。−20℃未満では、モルタルの耐水性が低下する。本実施形態において、「計算ガラス転移温度」とは、単量体のホモ重合体のガラス転移温度と共重合比率より、次式によって決定されるものである。なお、アルコキシシラン基含有重合性単量体(a)は、架橋性があること、使用量が少ないことから計算ガラスTgの計算には含めない。また、TgやWの値は、後述する実施例に記載の方法により測定することができる。
1/Tg=W1/Tg1+W2/Tg2+・・・
(Tg:単量体1、2・・・よりなる共重合体の計算ガラス転移温度(K);W1、W2・・・:単量体1、単量体2、・・・の共重合体中の質量分率(W1+W2+・・・=1);Tg1、Tg2・・・:単量体1、単量体2、・・・のホモ重合体のガラス転移温度(K))
上記の式に使用するホモ重合体のTg(K)は、例えば、ポリマーハンドブック(Jhon Willey & Sons)に記載されている。本実施形態に使用される数値を以下に例示する。カッコ内の値がホモ重合体のTgを示す。
ポリスチレン(373K)、ポリメタクリル酸メチル(373K)、ポリアクリル酸ブチル(228K)、ポリアクリル酸2−エチルヘキシル(218K)、ポリアクリル酸(360K)、ポリメタクリル酸(417K)、ポリアクリロニトリル(369K)、ポリアクリル酸2−ヒドロキシエチル(258K)、ポリメタクリル酸2−ヒドロキシエチル(328K)。
本実施形態のモルタル用水性樹脂分散体は、(a)成分、(b)成分及び(c)成分を、共重合させることで得られる。共重合としては、特に限定されないが、乳化重合が好ましく、ラジカル乳化重合がより好ましい。乳化重合等による重合を行う場合、界面活性剤を用いることが好ましい。
本実施形態のモルタル用水性樹脂分散体は、ノニオン性界面活性剤を重合体100質量部に対して1.0質量部以上10.0質量部以下で含むことが好ましく、さらに好ましくは2.0質量部以上5.0質量部以下である。この範囲であると、セメントとの混和安定性に優れる傾向にあり、更にモルタルの耐水性を十分に確保できる傾向にある。
本実施形態におけるノニオン系界面活性剤としては、特に限定されず、例えば、ポリオキシエチレンアルキルエーテルや、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル、ソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレン−ポリオキシプロピレンブロックコポリマー、又は前述の骨格と重合性の不飽和二重結合を分子中に有する反応性ノニオン性界面活性剤等が挙げられる。
本実施形態におけるノニオン系界面活性剤以外の界面活性剤としては、特に限定されず、例えば、アニオン性界面活性剤、カチオン性界面活性剤、両性界面活性剤、高分子界面活性剤等が挙げられる。
本実施形態におけるアニオン性界面活性剤としては、特に限定されず、例えば、ラウリル硫酸ナトリウム等の脂肪酸塩や、高級アルコール硫酸エステル塩、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム等のアルキルベンゼンスルホン酸塩、ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸塩、ポリオキシエチレン多環フェニルエーテル硫酸塩、ポリオキシノニルフェニルエーテルスルホン酸塩、ポリオキシエチレン−ポリオキシプロピレングリコールエーテル硫酸塩、スルホン酸基又は硫酸エステル基と重合性の不飽和二重結合を分子中に有する、いわゆる反応性アニオン性界面活性剤等が挙げられる。
本実施形態におけるカチオン性界面活性剤としては、特に限定されず、例えば、アルキルアミン塩、第四級アンモニウム塩等が挙げられる。
本実施形態における両性界面活性剤としては、特に限定されず、例えば、アルキルベタイン、アルキルアミンオキサイド等が挙げられる。
本実施形態における高分子界面活性剤としては、特に限定されず、例えば、(変性)ポリビニルアルコール等が挙げられる。
上記した種々の界面活性剤は、1種単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
本実施形態における(A)成分は、無機物との接着性を向上させる観点から、Si含有化合物によってシリコーン変性されていることが好ましい。同様の観点から、変性に用いられるSi含有化合物としては、下記の一般式(1)で表される化合物がより好ましい。
(一般式(1)中、nは、0以上3以下の整数である。Rは、水素、炭素数1以上16以下のアルキル基、炭素数6以上10以下のアリール基、又は炭素数5以上6以下のシクロアルキル基を表す。なお、n個のRは、同一であってもよいし、異なっていてもよい。Rは、炭素数1以上8以下のアルコキシ基、アセトキシ基、又は水酸基を表す。(4−n)個のRは、同一であってもよいし、異なっていてもよい。)
一般式(1)におけるRとしては、メチル基、フェニル基が好ましい。Rとしては、それぞれ独立して、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、ブトキシ基、メトキシエトキシ基、水酸基が好ましい。
本実施形態では、モルタル用水性樹脂分散体の重合安定性の観点から、上記式(1)において、nが1以上3以下の整数であることが好ましい。
本実施形態におけるSi含有化合物としては、一般式(1)においてn=0であるシラン化合物(I)及び一般式(1)においてn=1であるシラン化合物(II)の少なくとも1種を含むことがより好ましく、(A)成分の水分散体を得る際の重合安定性の観点から、シラン化合物(II)を含むことがさらに好ましい。
上記シラン化合物(I)の一般式(1)におけるRとしては、それぞれ独立して、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、ブトキシ基、メトキシエトキシ基、水酸基であることが好ましい。シラン化合物(I)の好ましい具体例としては、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン等が挙げられる。
上記シラン化合物(II)の一般式(1)におけるRとしては、メチル基、フェニル基が好ましく、Rとしては、それぞれ独立して、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、ブトキシ基、メトキシエトキシ基、水酸基が好ましい。シラン化合物(II)の好ましい具体例としては、メチルトリメトシキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、フェニルトリエトキシシラン、イソブチルトリメトキシシラン等が挙げられる。
本実施形態におけるモルタル用水性樹脂分散体を用いて塗膜を形成する際、特に当該塗膜の柔軟性が要求される場合には、Si含有化合物として、環状シラン化合物及び一般式(1)においてn=2であるシラン化合物(III)の少なくとも1種を含むことが好ましい。より好ましくは、環状シラン及びシラン化合物(III)の少なくとも1種と、シラン化合物(I)及びシラン化合物(II)の少なくとも1種と、を含むことであり、さらに好ましくは、環状シラン化合物及びシラン化合物(III)の少なくとも1種と、シラン化合物(II)と、を含むことである。特に、環状シラン化合物及びシラン化合物(III)のいずれか1種と、シラン化合物(II)とを併用することにより、重合体である(A)成分の架橋密度を低く制御することができる傾向にあり、その結果、本実施形態のモルタル用水性樹脂分散体を含むモルタル組成物を硬化した硬化物の機械特性を一層向上させることができる傾向にある。
本実施形態における環状シラン化合物の具体例としては、特に限定されず、例えば、オクタメチルシクロテトラシロキサン、オクタフェニルシクロシロキサン、ヘキサメチルシクロトリシロキサン、デカメチルシクロペンタシロキサン等が挙げられる。
シラン化合物(III)の具体例としては、特に限定されず、例えば、ジメチルジメトキシシラン、ジフェニルジメトキシシラン、ジメチルジエトキシシラン、ジフェニルジエトキシシラン、メチルフェニルジメトキシシラン等が挙げられる。
さらに、Si含有化合物としては、加水分解基を有する線状シロキサン、アルコシシシランオリゴマー、及び一般式(1)においてn=3であるシラン化合物(IV)からなる群より選ばれる少なくとも1種を更に含んでもよい。
本実施形態における加水分解基を有する線状シロキサンの具体例としては、特に限定されず、例えば、下記の一般式(i)、(ii)、(iii)で表される化合物が挙げられる。
(上記一般式(i)〜(iii)中、Rは、それぞれ独立して、水素、炭素数1以上16以下のアルキル基、炭素数6以上10以下のアリール基、炭素数5以上6以下のシクロアルキル基、炭素数1以上10以下のアクリル酸アルキル基、又は炭素数1以上10以下のメタクリル酸アルキル基を表す。Rは、それぞれ独立して、炭素数1以上8以下のアルコキシ基、アセトキシ基、水酸基、エポキシ基、アルキレンオキサイド基、又はポリアルキレンオキサイド基を表す。mは、1以上999以下の整数である。)
シラン化合物(IV)におけるRとしては、特に限定されないが、メチル基、フェニル基が好ましい。シラン化合物(IV)におけるRとしては、特に限定されないが、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、ブトキシ基、メトキシエトキシ基、水酸基が好ましい。
本実施形態におけるシラン化合物(IV)の好ましい具体例としては、トリフェニルエトキシシラン、トリメチルメトキシシラン等が挙げられる。
本実施形態におけるSi含有化合物は、上記したシラン化合物以外の他のシラン化合物として、例えば、メチルクロロシラン、メチルジクロロシラン、ジメチルジクロロシラン、トリメチルクロロシラン、フェニルトリクロロシラン、ジフェニルクロロシラン等のクロロシラン化合物を更に含むことができる。
本実施形態において、Si含有化合物によって変性された水性樹脂分散体を用いることで、無機物との接着性を一層改善することができる傾向にある。Si含有化合物によって変性された水性樹脂分散体の存在は、29Si−NMR(29Si核磁気共鳴スペクトル)及び/又はH−NMR(プロトン核磁気共鳴スペクトル)によって確認することができる。例えば、シラン化合物(II)の縮合物は、通常、29Si−NMRのケミカルシフトにおいて−40〜−80ppmにシグナルが現れる。
本実施形態において、Si含有化合物は、前記重合体(A)100質量部に対して0.1質量部以上10.0質量部以下であることが好ましい。上記範囲である場合、より安定な水性樹脂分散体が得られる傾向にある。
本実施形態における(A)成分の製造方法としては、上述したように、乳化重合法が好適に採用できる。乳化重合の反応条件等については、特に限定されないが、好ましい方法としては、水中にて、界面活性剤及び重合開始剤等の存在下で、pHが4以下であり、通常60〜90℃で、重合性単量体を乳化重合する方法等が挙げられる。乳化重合では、この乳化重合工程を1回又は複数段回繰り返し行う方法が挙げられる。
本実施形態における乳化重合の重合方法としては、特に限定されず、例えば、単量体を一括して仕込む単量体一括仕込み法;単量体を連続的に滴下する単量体滴下法;単量体と水と乳化剤とを予め混合乳化しておき、これらを滴下するプレエマルジョン法;あるいは、これらを組み合わせた方法等が挙げられる。重合開始剤の使用方法については、特に限定されるものではない。また、上記したSi含有化合物を用いる場合、その使用方法としては、加水分解性シランの縮合反応と不飽和単量体のラジカル重合を同時に、或いは加水分解性シランの縮合反応を先行させた後に不飽和単量体のラジカル重合を進行させる、乳化重合方法;不飽和単量体のラジカル重合を進行させた後に加水分解性シランの縮合反応を進行させる方法等が用いられる。
本実施形態における重合開始剤としては、特に限定されず、一般に用いられるラジカル開始剤を用いることができる。ラジカル重合開始剤は、熱又は還元性物質等によってラジカルを生成して重合性単量体の付加重合を起こさせるものである。ラジカル重合開始剤としては、特に限定されず、例えば、水溶性又は油溶性の過硫酸塩、過酸化物、アゾビス化合物等が挙げられる。具体的には、過硫酸カリウム、過硫酸ナトリウム、過硫酸アンモニウム、過酸化水素、tert−ブチルハイドロパーオキサイド、tert−ブチルパーオキシベンゾエート、2,2−アゾビスイソブチロニトリル、2,2−アゾビス(2−ジアミノプロパン)ハイドロクロライド、2,2−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)等が挙げられる。これらの中でも、水溶性であるものが好ましい。なお、重合速度の促進や低温での反応を一層望む場合には、重亜硫酸ナトリウム、塩化第一鉄、アスコルビン酸、ホルムアルデヒドスルホキシレート塩等の還元剤を、ラジカル重合開始剤と組み合わせて用いることが好ましい。
本実施形態における乳化重合に際して、必要に応じて分子量調整剤を使用することができる。分子量調整剤としては、特に限定されず、例えば、ドデシルメルカプタン、ブチルメルカプタン等が挙げられる。分子量調整剤の使用割合は、特に限定されないが、単量体総量の2質量%以下であることが好ましい。
本実施形態においては、長期の分散安定性を一層向上させる観点から、上記重合後のpHを5〜10の範囲に制御することが好ましい。具体的には、アンモニア、ジメチルアミノエタノール等のアミン類等のような塩基性有機化合物;水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等のアルカリ金属塩等のような塩基性無機化合物等といった、塩基性物質を、重合後に用いることにより、pHを5〜10の範囲に調整することがより好ましい。
本実施形態における乳化重合が終了した後に用いられうる成膜時の硬化用触媒としては、特に限定されないが、例えば、ジブチル錫ジラウレート、ジオクチル錫ジラウレート、ジブチル錫ジアセテート、オクチル酸錫、ラウリン酸錫、オクチル酸鉄、オクチル酸鉛、テトラブチルチタネート等の有機酸の金属塩、n−ヘキシルアミン、1,8−ジアザビシクロ[5,4,0]−7−ウンデセン等のアミン化合物を添加することができる。なお、これらの硬化用触媒が水溶性でない場合には、その使用に際して、乳化剤と水を用いてエマルジョン化しておくことが好ましい。
本実施形態のモルタル用水性樹脂分散体は、上記した成分以外にも、その効果の範囲内において、通常、水性樹脂分散体等に添加配合される他の成分を更に含有してもよい。このような他の成分としては、特に限定されず、例えば、増粘剤、成膜助剤、凍結防止剤、消泡剤、染料、防腐剤等が挙げられる。これらの他の成分は、1種単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
本実施形態における増粘剤としては、特に限定されず、例えば、ポリビニルアルコール(部分鹸化ポリ酢酸ビニル等を含む)、メチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ポリビニルピロリドン等の高分子分散安定剤等、その他ポリエーテル系、ポリカルボン酸系増粘剤等が挙げられる。
本実施形態における成膜助剤としては、特に限定されず、例えば、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールジブチルエーテル、エチレングリコールモノ2−エチルヘキシルエーテル、2,2,4−トリメチル−1,3−ブタンジオールイソブチレート、グルタル酸ジイソプロピル、プロピレングリコールn−ブチルエーテル、ジプロピレングリコールn−ブチルエーテル、トリプロピレングリコールn−ブチルエーテル、ジプロピレングリコールメチルエーテル、トリプロピレングリコールメチルエーテル、等が挙げられる。成膜助剤は、Tgの高い水性樹脂分散体を可塑化し無機材料との接着性を向上させるため使用することができる。
本実施形態における凍結防止剤としては、特に限定されず、例えば、プロピレングリコール、エチレングルコール等が挙げられる。
本実施形態のモルタル用水性樹脂分散体では、水性樹脂分散体の平均粒子径は、特に限定されず、好ましくは30nm以上500nm以下である。水性樹脂分散体の平均粒子径は後述する実施例に記載の方法によって測定することができる。
本実施形態のモルタル用水性樹脂分散体の固形分含有量は、特に限定されないが、好ましくは30質量%以上65質量%以下である。
本実施形態のモルタル用水性樹脂分散体は、セメント用耐硫酸性改質剤として用いることができる。すなわち、本実施形態のセメント用耐硫酸性改質剤は、本実施形態のモルタル用水性樹脂分散体を含む。本実施形態のモルタル用水性樹脂分散体と、セメントとを混合することにより、セメントの機械特性を向上させつつ、耐硫酸性を改善することができる。
本実施形態の組成物は、上記した本実施形態のモルタル用水性樹脂分散体と、セメントとを含む。本実施形態の組成物は、セメント組成物として好適に使用することができ、優れた耐硫酸性及び接着性を発現することができる。
本実施形態の組成物は、さらに充填剤と、添加剤と、を含むことができる。この場合、本実施形態の組成物はモルタル組成物として好適に使用することができ、優れた耐硫酸性及び接着性を発現することができる。
本実施形態のセメント組成物及びモルタル組成物に用いられるセメントとしては、特に限定されず、例えば、JIS R5210(ポルトランドセメント)、R5211(高炉セメント)、R5212(シリカセメント)、R5213(フライアッシュセメント)に規定されている、普通ポルトランドセメント、早強ポルトランドセメント、超早強ポルトランドセメント、中庸熱ポルトランドセメント、耐硫酸塩ポルトランドセメント、高炉セメント、シリカセメント、フライアッシュセメントが使用できる。また、「セメントの常識」(社団法人セメント協会、1994年3月発行)に記載されている、特殊セメント、白色ポルトランドセメント、セメント系固化材、アルミナセメント、超速硬セメント、コロイドセメント、湯井セメント、地熱井セメント、膨張セメント、その他特殊セメント等種々のセメントも使用できる。本実施形態におけるセメントは、より高い耐硫酸性を得る観点から、耐硫酸塩ポルトランドセメント、アルミナセメントを含むことが好ましく、アルミナセメントを含むことがより好ましい。
本実施形態のモルタル組成物に用いられる充填剤としては、特に限定されず、一般的には、セメントモルタルに用いられる砂、珪砂、寒水砂、天然及び人工軽量骨材等が使用できる。また、無機又は有機の顔料等も用いることができる。例えば、上記無機顔料としては、マグネシウム、カルシウム、亜鉛、バリウム、チタン、アルミニウム、アンチモン、鉛などの各種金属酸化物、水酸化物、硫化物、炭酸塩、硫酸塩または珪酸化合物などが挙げられる。具体的には、例えば、炭酸カルシウム、カオリン、タルク、二酸化チタン、水酸化アルミニウム、シリカ、石膏、バライト粉、アルミナホワイト、サチンホワイトなどである。有機顔料ではポリスチレン、ポリエチレン、ポリ塩化ビニルなどの固体高分子微粉末などが挙げられる。
本実施形態のモルタル組成物に用いられる添加剤としては、特に限定されず、例えば、減水剤及び流動化剤(ポリカルボン酸系、メラミンスルホン酸系、ナフタリンスルホン酸系、リグニンスルホン酸系など)、収縮低減剤(グリコールエーテル系、ポリエーテル系等)、耐寒剤(塩化カルシウム、珪酸塩等)、防水剤(ステアリン酸、シリコン系等)、防錆剤(リン酸塩、亜硝酸塩等)、粘度調整剤(メチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ポリビニルアルコール等)、凝結調整剤(リン酸塩等)、さらに膨張剤(エトリンガイト系、石灰系等)、着色剤(酸化鉄、酸化クロム等)、消泡剤(シリコン系、鉱油系等)、補強材(鋼繊維、ガラス繊維、合成繊維等)、界面活性剤(アニオン、ノニオン、カチオン系等)、増粘剤、レベリング剤、成膜助剤、溶剤、可塑剤、分散剤、耐水化剤、潤滑剤等が挙げられる。
本実施形態の硬化物は、上記した本実施形態の組成物を硬化して得られる。このように構成されているため、本実施形態の硬化物は、優れた耐硫酸性及び接着性を発現することができる。すなわち、本実施形態の硬化物の製造方法は、本実施形態の組成物を硬化する工程を含む。なお、本実施形態の硬化物は、典型的には、本実施形態のモルタル組成物を硬化して得られるモルタル硬化物とすることができ、当該モルタル硬化物は優れた耐硫酸性及び接着性を発現することができる。すなわち、本実施形態のモルタル硬化物の製造方法は、本実施形態のモルタル組成物を硬化する工程を含む。本実施形態における硬化の手段としては、特に限定されるものでなく、例えば、木枠等で作られた枠にモルタル組成物を投入してもよい。また、養生条件も特に限定されるものでなく、室温での養生、加温下での養生、蒸気中での養生、水中での養生、これらの組み合わせによる養生等が挙げられる。
本実施形態に係るセメントの耐硫酸性改質方法は、アルコキシシラン基含有重合性単量体(a)0.1質量%以上5.0質量%以下と、カルボン酸基含有重合性単量体(b)0.5質量%以上3.0質量%以下と、当該(a)成分及び当該(b)成分と共重合する他の重合性単量体(c)と、を重合して得られ、かつ、計算ガラス転移温度が−20℃以上20℃以下である重合体(A)と、ノニオン性界面活性剤と、を含む、水性樹脂分散体と、セメントと、を共存させる工程を含む。このように構成されているため、本実施形態に係るセメントの耐硫酸性改質方法によれば、優れた耐硫酸性及び接着性を両立することができる。なお、本実施形態に係るセメントの耐硫酸性改質方法は、モルタルにも好ましく適用できる。すなわち、本実施形態に係るモルタルの耐硫酸性改質方法によれば、優れた耐硫酸性及び接着性を両立することができる。また、上記共存させる工程の態様としては、特に限定されないが、混合する工程とすることが好ましい。
次に実施例及び比較例により本実施形態を詳細に説明するが、本実施形態はこれらの例によって何ら限定されるものでない。なお、特に断りがない限り、実施例及び比較例中の「部」及び「%」は、質量基準に基づくものである。
[試験方法]
<平均粒子径>
レーザー回折式の粒度分布計(リーズ・アンド・ノースラップ社製、マイクロトラック粒度分布計「UPA150」)にて測定した体積平均粒子径を、モルタル用水性樹脂分散体の平均粒子径とした。
<固形分率>
アルミ皿にモルタル用水性樹脂分散体1gを正確に秤量し、恒温乾燥機で105℃にて3時間乾燥させ、シリカゲルを入れたデシケーター中で30分間放冷した後に精秤した。乾燥後質量を乾燥前質量で除した割合を固形分率(%)とした。
<普通セメント使用モルタル(P/C=10%)の配合>
普通セメント(太平洋セメント社製、普通ポルトランドセメント)250.0質量部、6号硅砂250.0質量部、固形分率45.0質量%の下記例で作製した水性樹脂分散体55.6質量部と、水適量とを加え、手練でフロー値(JIS R5201の11.(フロー試験))が170±5mmとなるように調整した。なお、P/Cは、ポリマー/セメント比を示し、Pは水性樹脂分散体の固形分を、Cはセメントの質量を、それぞれ示す。本実施例では、P=25.02、C=250.0であったため、P/C=25.02/250.0=10%が得られた。
<普通セメント使用モルタルの耐硫酸性>
試験体の作製方法は、JIS A1132:2006に準拠した。試験体の形状は、直径7.5cm、高さ15cmの円柱形とし、試験体の個数は3個とした。成形1日後に脱型し、材齢28日まで20±2℃の水道水中で水中養生した。
試験体を5%硫酸水溶液に28日間浸漬した。試験液は、7日毎に全量取り替えた。浸漬終了後、硫酸水溶液から取り出した試験体は、蛇口を完全に開放した水道水の水圧で全面を均等に1分間洗浄した。その後、表面の水分を拭き取り、速やかに質量測定を行い、下式により質量変化率を算出した。なお、初期値の質量測定は、水中養生後に行った。また、硫酸水溶液の基準量は、試験体1個あたり4.4Lとした。
質量変化率(%)=100×(浸漬後の質量の測定値(g)−初期値(g))/初期値(g)
<アルミナセメント使用モルタル(P/C=10%)の配合>
アルミナセメント(AGCセラミックス社製、アサヒフォンジュ)200.0質量部、高炉スラグ(日鉄住金高炉セメント社製、エスメント)50.0質量部、6号硅砂250.0質量部、固形分率45.0質量%の下記例で作製した水性樹脂分散体55.6質量部と、水適量とを加え、手練でフロー値(JIS R5201の11.(フロー試験))が170±5mmとなるように調整した。なお、P/Cは、ポリマー/セメント比を示し、Pは水性樹脂分散体の固形分を、Cはセメントの質量を、それぞれ示す。本実施例では、P=25.02、C=250.0(アルミナセメント+高炉スラグ=200.0+50.0)であったため、P/C=25.02/250.0=10%が得られた。
<アルミナセメント使用モルタルの耐硫酸性>
試験体の作製方法は、JIS A1132:2006に準拠した。試験体の形状は、直径7.5cm、高さ15cmの円柱形とし、試験体の個数は3個とした。成形1日後に脱型し、材齢28日まで20±2℃の水道水中で水中養生した。
試験体を5%硫酸水溶液に112日間浸漬した。試験液は、7日毎に全量取り替えた。浸漬終了後、硫酸水溶液から取り出した試験体は、蛇口を完全に開放した水道水の水圧で全面を均等に1分間洗浄した。その後、表面の水分を拭き取り、速やかに質量測定を行い、下式により質量変化率を算出した。なお、初期値の質量測定は、水中養生後に行った。また、硫酸水溶液の基準量は、試験体1個あたり4.4Lとした。
質量変化率(%)=100×(浸漬後の質量の測定値(g)−初期値(g))/初期値(g)
<アルミナセメント使用モルタルの硫酸浸透深さ>
耐硫酸試験に供した試験体を、ダイヤモンドカッター等で半分に切断し、切断面にフェノールフタレイン1%溶液を噴霧した。試験体の赤く発色した部分の直径方向の長さをノギスで5箇所測定し、その平均値を試験体の幅の初期値(75mm)から差し引いた値の1/2を算出した。これを3つの試験体について求め、その平均値を硫酸浸漬深さとした。
<接着強さ>
JIS A5371:2004の付属書2に規定する普通平板の呼び300(寸法300×300×60mm)の表面の脆弱層、汚れ、付着物を取り除くべく、JIS R6255:2006に規定する研磨ディスクを使用して研磨した。研磨後、20℃65%RHにて7日間養生した後、上記モルタルを塗り付け厚さ10mmで塗り付けた。材齢28日まで20℃65%RHにて養生した後、接着性を測定した。
接着性の評価の際、試験面にエポキシ樹脂系接着剤(コニシ社製、ボンドクイックセット)を用いて鋼製引張用ジグ(40×40mmの接着面を有するもの)を軽くすり付けるようにして接着させ、接着剤が硬化するまで粘着テープ等を用いて動かないように固定した。
接着剤硬化後、鋼製引張用ジグの周囲に沿って電動カッターを用いて、コンクリートまで切り込んだ。鋼製引張用ジグに建研式接着力試験器(オックスジャッキ社製、LPT−1500)を取り付け、一定速度を保ちながら、引張力を加えて最大引張荷重を求めた。接着強さは、下式によって計算し、小数点以下1桁の位を丸めて示した。なお、1箇所あたりの試験数は3個とした。
接着強さ(N/mm)=最大引張荷重(N)/1600(mm
<計算ガラス転移温度>
計算ガラス転移温度(表1中では「計算Tg」と表記)は、単量体のホモ重合体のガラス転移温度及び共重合比率に基づき、次式によって算出した。
1/Tg=W1/Tg1+W2/Tg2+・・・
(Tg:単量体1、2・・・よりなる共重合体の計算ガラス転移温度(K);W1、W2・・・:単量体1、単量体2、・・・の共重合体中の質量分率(W1+W2+・・・=1);Tg1、Tg2・・・:単量体1、単量体2、・・・のホモ重合体のガラス転移温度(K))
上記において、ホモ重合体のガラス転移温度は次の値を採用した。
ポリスチレン(373K)、ポリメタクリル酸メチル(373K)、ポリアクリル酸2−エチルヘキシル(218K)、ポリメタクリル酸(417K)。
<重合安定性>
重合安定性は、目視により凝集物の有無を確認し、凝集物がない場合を良好と判断した。
<水性樹脂分散体1>
攪拌機、還流冷却器、滴下槽及び温度計を取り付けた反応容器に、水477.3質量部、「ラテムルE−118B」(花王社製;ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸ナトリウム塩)7.7質量部を投入し、反応容器中の温度を80℃に昇温させて、過硫酸アンモニウムの2%水溶液を15質量部添加した。その5分後に、メタクリル酸メチル495.0質量部、アクリル酸2−エチルヘキシル490.0質量部、メタクリル酸10.0質量部、γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン5.0質量部、「ラテムルE−118B」38.5質量部、「エマルゲン150」(花王社製;ポリオキシエチレンラウリルエーテル)の20%水溶液200.0質量部、過硫酸アンモニウムの2%水溶液100.0質量部、水350.0質量部の乳化混合液を、240分かけて反応容器に流入させた。流入中は反応容器の温度を80℃に維持した。流入終了後、反応容器の温度を80℃にて60分間維持した後冷却し、15質量%水酸化ナトリウム水溶液でpH8.0に調整した後、「SNデフォーマー381」(サンノプコ社製;消泡剤)10.0質量部と水で固形分率45.0質量%に調整した。得られたモルタル用水性樹脂分散体の平均粒子径131nmであった。凝集物などの発生もなく、重合安定性良好であった。
<水性樹脂分散体2>
攪拌機、還流冷却器、滴下槽及び温度計を取り付けた反応容器に、水477.3質量部、「ラテムルE−118B」(花王社製;ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸ナトリウム塩)7.7質量部を投入し、反応容器中の温度を80℃に昇温させて、過硫酸アンモニウムの2%水溶液を15質量部添加した。その5分後に、スチレン380.0質量部、メタクリル酸メチル175.0質量部、アクリル酸2−エチルヘキシル430.0質量部、メタクリル酸10.0質量部、γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン5.0質量部、「ラテムルE−118B」38.5質量部、「エマルゲン150」(花王社製;ポリオキシエチレンラウリルエーテル)の20%水溶液200.0質量部、過硫酸アンモニウムの2%水溶液100.0質量部、水350.0質量部の乳化混合液を、240分かけて反応容器に流入させた。流入中は反応容器の温度を80℃に維持した。流入終了後、反応容器の温度を80℃にて60分間維持した後冷却し、15質量%水酸化ナトリウム水溶液でpH8.0に調整した後、「SNデフォーマー381」(サンノプコ社製;消泡剤)10.0質量部と水で固形分率45.0質量%に調整した。得られたモルタル用水性樹脂分散体の平均粒子径130nmであった。凝集物などの発生もなく、重合安定性良好であった。
<水性樹脂分散体3>
攪拌機、還流冷却器、滴下槽及び温度計を取り付けた反応容器に、水477.3質量部、「ラテムルE−118B」(花王社製;ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸ナトリウム塩)7.7質量部を投入し、反応容器中の温度を80℃に昇温させて、過硫酸アンモニウムの2%水溶液を15質量部添加した。その5分後に、メタクリル酸メチル425.0質量部、アクリル酸2−エチルヘキシル560.0質量部、メタクリル酸10.0質量部、γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン5.0質量部、「ラテムルE−118B」38.5質量部、「エマルゲン150」(花王社製;ポリオキシエチレンラウリルエーテル)の20%水溶液200.0質量部、過硫酸アンモニウムの2%水溶液100.0質量部、水350.0質量部の乳化混合液を、240分かけて反応容器に流入させた。流入中は反応容器の温度を80℃に維持した。流入終了後、反応容器の温度を80℃にて60分間維持した後冷却し、15質量%水酸化ナトリウム水溶液でpH8.0に調整した後、「SNデフォーマー381」(サンノプコ社製;消泡剤)10.0質量部と水で固形分率45.0質量%に調整した。得られたモルタル用水性樹脂分散体の平均粒子径129nmであった。凝集物などの発生もなく、重合安定性良好であった。
<水性樹脂分散体4>
攪拌機、還流冷却器、滴下槽及び温度計を取り付けた反応容器に、水477.3質量部、「ラテムルE−118B」(花王社製;ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸ナトリウム塩)7.7質量部を投入し、反応容器中の温度を80℃に昇温させて、過硫酸アンモニウムの2%水溶液を15質量部添加した。その5分後に、メタクリル酸メチル495.0質量部、アクリル酸2−エチルヘキシル490.0質量部、メタクリル酸10.0質量部、γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン5.0質量部、メチルトリメトキシシラン10.0質量部、ジメチルジメトキシシラン10.0質量部、「ラテムルE−118B」38.5質量部、「エマルゲン150」(花王社製;ポリオキシエチレンラウリルエーテル)の20%水溶液200.0質量部、過硫酸アンモニウムの2%水溶液100.0質量部、水350.0質量部の乳化混合液を、240分かけて反応容器に流入させた。流入中は反応容器の温度を80℃に維持した。流入終了後、反応容器の温度を80℃にて60分間維持した後冷却し、15質量%水酸化ナトリウム水溶液でpH8.0に調整した後、「SNデフォーマー381」(サンノプコ社製;消泡剤)10.0質量部と水で固形分率45.0質量%に調整した。得られたモルタル用水性樹脂分散体の平均粒子径133nmであった。凝集物などの発生もなく、重合安定性良好であった。
<水性樹脂分散体5>
攪拌機、還流冷却器、滴下槽及び温度計を取り付けた反応容器に、水477.3質量部、「ラテムルE−118B」(花王社製;ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸ナトリウム塩)7.7質量部を投入し、反応容器中の温度を80℃に昇温させて、過硫酸アンモニウムの2%水溶液を15質量部添加した。その5分後に、メタクリル酸メチル495.0質量部、アクリル酸2−エチルヘキシル490.0質量部、メタクリル酸10.0質量部、γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン5.0質量部、メチルトリメトキシシラン10.0質量部、ジメチルジメトキシシラン10.0質量部、「ラテムルE−118B」38.5質量部、「エマルゲン150」(花王社製;ポリオキシエチレンラウリルエーテル)の20%水溶液200.0質量部、過硫酸アンモニウムの2%水溶液100.0質量部、水480.0質量部の乳化混合液を、240分かけて反応容器に流入させた。流入中は反応容器の温度を80℃に維持した。流入終了後、反応容器の温度を80℃にて60分間維持した後冷却し、25質量%水酸化アンモニウム水でpH8.0に調整した後、「SNデフォーマー381」(サンノプコ社製;消泡剤)10.0質量部と水で固形分率45.0質量%に調整した。得られたモルタル用水性樹脂分散体の平均粒子径131nmであった。凝集物などの発生もなく、重合安定性良好であった。
<水性樹脂分散体6>
攪拌機、還流冷却器、滴下槽及び温度計を取り付けた反応容器に、水477.3質量部、「ラテムルE−118B」(花王社製;ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸ナトリウム塩)7.7質量部を投入し、反応容器中の温度を80℃に昇温させて、過硫酸アンモニウムの2%水溶液を15質量部添加した。その5分後に、メタクリル酸メチル490.0質量部、アクリル酸2−エチルヘキシル490.0質量部、メタクリル酸10.0質量部、γ−メタクリロキシプロピルメチルジメトキシシラン10.0質量部、「ラテムルE−118B」38.5質量部、「エマルゲン150」(花王社製;ポリオキシエチレンラウリルエーテル)の20%水溶液200.0質量部、過硫酸アンモニウムの2%水溶液100.0質量部、水350.0質量部の乳化混合液を、240分かけて反応容器に流入させた。流入中は反応容器の温度を80℃に維持した。流入終了後、反応容器の温度を80℃にて60分間維持した後冷却し、15質量%水酸化ナトリウム水溶液でpH8.0に調整した後、「SNデフォーマー381」(サンノプコ社製;消泡剤)10.0質量部と水で固形分率45.0質量%に調整した。得られたモルタル用水性樹脂分散体の平均粒子径132nmであった。凝集物などの発生もなく、重合安定性良好であった。
<水性樹脂分散体7>
攪拌機、還流冷却器、滴下槽及び温度計を取り付けた反応容器に、水477.3質量部、「ラテムルE−118B」(花王社製;ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸ナトリウム塩)7.7質量部を投入し、反応容器中の温度を80℃に昇温させて、過硫酸アンモニウムの2%水溶液を15質量部添加した。その5分後に、メタクリル酸メチル500.0質量部、アクリル酸2−エチルヘキシル490.0質量部、メタクリル酸10.0質量部、「ラテムルE−118B」38.5質量部、「エマルゲン150」(花王社製;ポリオキシエチレンラウリルエーテル)の20%水溶液200.0質量部、過硫酸アンモニウムの2%水溶液100.0質量部、水350.0質量部の乳化混合液を、240分かけて反応容器に流入させた。流入中は反応容器の温度を80℃に維持した。流入終了後、反応容器の温度を80℃にて60分間維持した後冷却し、15質量%水酸化ナトリウム水溶液でpH8.0に調整した後、「SNデフォーマー381」(サンノプコ社製;消泡剤)10.0質量部と水で固形分率45.0質量%に調整した。得られたモルタル用水性樹脂分散体の平均粒子径132nmであった。凝集物などの発生もなく、重合安定性良好であった。
<水性樹脂分散体8>
攪拌機、還流冷却器、滴下槽及び温度計を取り付けた反応容器に、水477.3質量部、「ラテムルE−118B」(花王社製;ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸ナトリウム塩)7.7質量部を投入し、反応容器中の温度を80℃に昇温させて、過硫酸アンモニウムの2%水溶液を15質量部添加した。その5分後に、スチレン380.0質量部、メタクリル酸メチル180.0質量部、アクリル酸2−エチルヘキシル430.0質量部、メタクリル酸10.0質量部、「ラテムルE−118B」38.5質量部、「エマルゲン150」(花王社製;ポリオキシエチレンラウリルエーテル)の20%水溶液200.0質量部、過硫酸アンモニウムの2%水溶液100.0質量部、水350.0質量部の乳化混合液を、240分かけて反応容器に流入させた。流入中は反応容器の温度を80℃に維持した。流入終了後、反応容器の温度を80℃にて60分間維持した後冷却し、15質量%水酸化ナトリウム水溶液でpH8.0に調整した後、「SNデフォーマー381」(サンノプコ社製;消泡剤)10.0質量部と水で固形分率45.0質量%に調整した。得られたモルタル用水性樹脂分散体の平均粒子径129nmであった。凝集物などの発生もなく、重合安定性良好であった。
<水性樹脂分散体9>
攪拌機、還流冷却器、滴下槽及び温度計を取り付けた反応容器に、水477.3質量部、「ラテムルE−118B」(花王社製;ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸ナトリウム塩)7.7質量部を投入し、反応容器中の温度を80℃に昇温させて、過硫酸アンモニウムの2%水溶液を15質量部添加した。その5分後に、メタクリル酸メチル650.0質量部、アクリル酸2−エチルヘキシル335.0質量部、メタクリル酸15.0質量部、「ラテムルE−118B」38.5質量部、「エマルゲン150」(花王社製;ポリオキシエチレンラウリルエーテル)の20%水溶液200.0質量部、過硫酸アンモニウムの2%水溶液100.0質量部、水350.0質量部の乳化混合液を、240分かけて反応容器に流入させた。流入中は反応容器の温度を80℃に維持した。流入終了後、反応容器の温度を80℃にて60分間維持した後冷却し、15質量%水酸化ナトリウム水溶液でpH8.0に調整した後、「SNデフォーマー381」(サンノプコ社製;消泡剤)10.0質量部と水で固形分率45.0質量%に調整した。得られたモルタル用水性樹脂分散体の平均粒子径132nmであった。凝集物などの発生もなく、重合安定性良好であった。
<水性樹脂分散体10>
攪拌機、還流冷却器、滴下槽及び温度計を取り付けた反応容器に、水477.3質量部、「ラテムルE−118B」(花王社製;ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸ナトリウム塩)7.7質量部を投入し、反応容器中の温度を80℃に昇温させて、過硫酸アンモニウムの2%水溶液を15質量部添加した。その5分後に、メタクリル酸メチル495.0質量部、アクリル酸2−エチルヘキシル490.0質量部、メタクリル酸10.0質量部、メチルトリメトキシシラン10.0質量部、ジメチルジメトキシシラン10.0質量部、「ラテムルE−118B」38.5質量部、「エマルゲン150」(花王社製;ポリオキシエチレンラウリルエーテル)の20%水溶液200.0質量部、過硫酸アンモニウムの2%水溶液100.0質量部、水350.0質量部の乳化混合液を、240分かけて反応容器に流入させた。流入中は反応容器の温度を80℃に維持した。流入終了後、反応容器の温度を80℃にて60分間維持した後冷却し、15質量%水酸化ナトリウム水溶液でpH8.0に調整した後、「SNデフォーマー381」(サンノプコ社製;消泡剤)10.0質量部と水で固形分率45.0質量%に調整した。得られたモルタル用水性樹脂分散体の平均粒子径133nmであった。凝集物などの発生もなく、重合安定性良好であった。
<実施例1>
水性樹脂分散体1を使用して、上記配合、試験によりモルタルの物性を評価した。結果を表1に示す。
<実施例2>
水性樹脂分散体2を使用して、上記配合、試験によりモルタルの物性を評価した。結果を表1に示す。
<実施例3>
水性樹脂分散体3を使用して、上記配合、試験によりモルタルの物性を評価した。結果を表1に示す。
<実施例4>
水性樹脂分散体4を使用して、上記配合、試験によりモルタルの物性を評価した。結果を表1に示す。
<実施例5>
水性樹脂分散体5を使用して、上記配合、試験によりモルタルの物性を評価した。結果を表1に示す。
<実施例6>
水性樹脂分散体6を使用して、上記配合、試験によりモルタルの物性を評価した。結果を表1に示す。
<比較例1>
水性樹脂分散体7を使用して、上記配合、試験によりモルタルの物性を評価した。結果を表1に示す。
<比較例2>
水性樹脂分散体8を使用して、上記配合、試験によりモルタルの物性を評価した。結果を表1に示す。
<比較例3>
水性樹脂分散体9を使用して、上記配合、試験によりモルタルの物性を評価した。結果を表1に示す。
<比較例4>
水性樹脂分散体10を使用して、上記配合、試験によりモルタルの物性を評価した。結果を表1に示す。
<比較例5>
55.6質量部の水性樹脂分散体7に、γ−メタクリロキシプロプルメチルジメトキシシランを0.25質量部加えたものを使用して、上記配合、試験によりモルタルの物性を評価した。結果を表1に示す。
実施例1〜6及び比較例1〜5の評価結果を表1に示す。なお、表1中の「phm(per hundred monomer)」はモノマーの総量を100質量部としたときの質量部を示す。
本出願は、2013年8月16日出願の日本特許出願(特願2013−169238号)に基づくものであり、その内容はここに参照として取り込まれる。
本発明のモルタル用水性樹脂分散体は、耐硫酸セメント、耐硫酸モルタル、耐硫酸コンクリートといった用途に好適に利用することができる。

Claims (10)

  1. アルコキシシラン基含有重合性単量体(a)0.1質量%以上5.0質量%以下と、カルボン酸基含有重合性単量体(b)0.5質量%以上3.0質量%以下と、当該(a)成分及び当該(b)成分と共重合する他の重合性単量体(c)と、を重合して得られ、かつ、計算ガラス転移温度が−20℃以上20℃以下である重合体(A)と、
    ノニオン性界面活性剤と、
    を含み、
    前記カルボン酸基含有重合性単量体(b)が、アクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸、イタコン酸、マレイン酸、無水マレイン酸からなる群より選択される少なくとも1種を含む、モルタル用水性樹脂分散体。
  2. 前記(A)成分が、下記式(1)で表される化合物によって変性された重合体である、請求項1に記載のモルタル用水性樹脂分散体。
    (式中、nは、0以上3以下の整数である。R1は、水素、炭素数1以上16以下のアルキル基、炭素数6以上10以下のアリール基又は炭素数5以上6以下のシクロアルキル基を表す。n個のR1は、同一であってもよいし、異なっていてもよい。R2は、炭素数1以上8以下のアルコキシ基、アセトキシ基又は水酸基を表す。(4−n)個のR2は、同一であってもよいし、異なっていてもよい。)
  3. 前記式(1)において、nが1以上3以下の整数である、請求項2に記載のモルタル用水性樹脂分散体。
  4. 請求項1〜3のいずれか1項に記載のモルタル用水性樹脂分散体を含む、セメント用耐硫酸性改質剤。
  5. 請求項1〜3のいずれか1項に記載のモルタル用水性樹脂分散体と、セメントとを含む、組成物。
  6. 充填材と、添加剤と、をさらに含む、請求項5に記載の組成物。
  7. 前記セメントがアルミナセメントである、請求項5又6に記載の組成物。
  8. 請求項5〜7のいずれか1項に記載の組成物を硬化する工程を含む、硬化物の製造方法。
  9. 請求項5〜7のいずれか1項に記載の組成物を硬化して得られる、硬化物。
  10. アルコキシシラン基含有重合性単量体(a)0.1質量%以上5.0質量%以下と、カルボン酸基含有重合性単量体(b)0.5質量%以上3.0質量%以下と、当該(a)成分及び当該(b)成分と共重合する他の重合性単量体(c)と、を重合して得られ、かつ、計算ガラス転移温度が−20℃以上20℃以下である重合体(A)と、ノニオン性界面活性剤と、を含む、水性樹脂分散体と、
    セメントと、
    を共存させる、セメントの耐硫酸性改質方法であって、
    前記カルボン酸基含有重合性単量体(b)が、アクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸、イタコン酸、マレイン酸、無水マレイン酸からなる群より選択される少なくとも1種を含む、セメントの耐硫酸性改質方法。
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