ところで、上記したような静電容量型センサは、各翼部と各固定電極との間に電圧が印加されることによって、静電容量の変化量から各物理量が検出される。センサを使用する場合には、検出に先立ち各翼部と各固定電極との間に、例えば第1翼部と第2翼部とで逆位相となるパルス波の交流電圧が印加され振動質量体が初期状態とされる。各翼部と各固定電極との間に電圧が印加されると、振動質量体は、第1翼部と第1固定電極との間の静電気力と、第2翼部と第2固定電極との間の静電気力との2つの静電気力の差に応じて回転トルクが生じる。そのため、検出を開始する初期状態としては、振動質量体が静電気力の差に起因した回転トルクによって回転(振動)した状態から所定の範囲内の位置に振動が収まった安定した状態となる必要がある。
しかしながら、上記した特許文献1には、各翼部に形成する貫通孔を異なる穴径で形成することが記載されているが、貫通孔の穴径を異なる態様としたことで上記した初期状態の静電気力がどのようになるのかについては何ら記載されていない。そのため、振動質量体に作用するモーメントのみ着目し各貫通孔を形成する場合には、起動時に振動質量体に作用する静電気力がどのようになるのかが不確定である。結果として、振動質量体の振動が安定した状態へ移行するのに必要な時間が最適化されず、起動時間が不要に長くなってしまうことが問題となる。
本願に開示される技術は、上記の課題に鑑み提案されたものである。起動時間の短縮を図ることができる静電容量型センサを提供することを目的とする。
本願に開示される技術に係る静電容量型センサは、基板と、基板に対して固定される支承部に設けられるトーションバーと、トーションバーの延設方向を回転軸線として回転可能に設けられ基板と離間し基板平面に対向する位置に設けられる平板状の振動質量体と、振動質量体の回転軸線を間に挟んだ位置の各々に設けられる第1及び第2翼部と、基板上に設けられ第1翼部に対向し、第1翼部との間の第1静電容量の変化量が出力される第1固定電極と、基板上に設けられ第2翼部に対向し、第2翼部との間の第2静電容量の変化量が出力される第2固定電極と、第1翼部に設けられ平板状の振動質量体の2つの主面の間を貫通する複数の第1貫通孔と、を備え、第1貫通孔は、第1静電容量が第2静電容量と略同一の静電容量となる穴径を有する。
当該静電容量型センサでは、トーションバーに対して回転可能に設けられる振動質量体に対し、回転軸線を間に挟んだ位置の各々に第1翼部と第2翼部とが設けられる。静電容量型センサは、基板上の第1固定電極と第1翼部との間の第1静電容量と、基板上の第2固定電極と第2翼部との間の第2静電容量との各静電容量の変化量を出力することによって物理量(例えば、加速度)が検出される。第1翼部は、平板状の振動質量体の2つの主面の間を貫通する複数の第1貫通孔が設けられる。
振動質量体は、第1貫通孔が第1翼部に設けられ第2翼部より軽量となり、翼部間の質量に差が生じることによって、各翼部に対して異なるモーメントが生じる。振動質量体は、各翼部に異なるモーメントが働くことによって、センサに作用する物理量に応じて回転する。ここで、第1貫通孔を第1翼部に形成したことによって、第1静電容量と第2静電容量とに差異が生じる場合がある。その結果、第1翼部と第1固定電極との間の静電気力と、第2翼部と第2固定電極との間の静電気力との2つの静電気力の差に応じて振動質量体に回転トルクが生じセンサの起動時間が長くなる。
そこで、当該静電容量型センサでは、第1翼部に形成される第1貫通孔の穴径を調整することで、第1静電容量が第2静電容量と略同一となるように構成する。第1静電容量は、第1固定電極と第1翼部を構成する振動質量体の平面とを結ぶ電気力線による平行平板容量分が主たる構成要素である。この平行平板容量分の他に、第1貫通孔の内側面と第1固定電極とを結ぶ電気力線の廻り込みによる容量分も静電容量として寄与する。第1翼部に開孔される第1貫通孔による平板面積の減少に伴う平行平板容量分の減少分が、第1貫通孔の内側面による廻り込みの容量分で補われることとなる。第1貫通孔の穴径を調整することにより、平行平板容量分の減少分と略同一の容量分を廻り込みの容量分で補うことができる。これにより、第1静電容量と第2静電容量とを略同一の静電容量とすることができる。このような構成では、起動時において各翼部に作用する静電気力を同一なものとすることができ、振動質量体の振動が安定した状態へ移行するのに必要な時間を最適化することができる。その結果、静電容量型センサの起動時間の短縮を図ることが可能となる。
尚、廻り込みによる容量分は、第1貫通孔の内側面と第1固定電極とを結ぶ電気力線に応じて生ずるところ、電気力線は第1貫通孔の内側面の浅い位置において強く奥に入るに従い小さくなる。従って、廻り込みによる容量分は、主に、開孔近傍の内壁面の周縁において発せられる電気力線によるものが支配的となる。従って、貫通孔の開孔により減少する平行平板の容量分の減少分は貫通孔の開孔面積に比例するところ、貫通孔の廻り込みによる容量分の増分は、開孔の穴径や円周長等に比例することとなる。廻り込みによる容量分での補填は、貫通孔の開孔が小径な場合において有効であることとなる。
本願に開示される技術に係る静電容量型センサにおいて、第2翼部に設けられ振動質量体の2つの主面の間を貫通し、第1貫通孔と異なる全面積で形成される複数の第2貫通孔を備え、第1及び第2貫通孔の各々は、第1静電容量と第2静電容量とが略同一の静電容量となる全面積の大きさで形成される構成としてもよい。なお、ここでいう全面積とは、平板状の振動質量体を平面に対して垂直な方向から見た場合における第1貫通孔と第2貫通孔との各々の開孔部の面積を合計した大きさをいう。
当該静電容量型センサでは、第1貫通孔に加え、第2翼部に第2貫通孔が形成される。第2翼部は、振動質量体の2つの主面の間を貫通し、第1貫通孔と異なる全面積となる複数の第2貫通孔が設けられる。振動質量体は、第1及び第2貫通孔の全面積が互いに異なることによって、各翼部に異なるモーメントが生じる。この第1及び第2翼部の各々に作用するモーメントの差は、例えば、第1及び第2翼部に互いに異なる穴径の第1及び第2貫通孔を設けた場合に、穴径の差によって各翼部の質量に差が生じることに起因する。また、例えば、振動質量体を窒素等の媒体が充填されたケース内に収納した場合に、各貫通孔内を流れる媒体によって生じる減衰トルクの差に起因する。
そして、振動質量体は、各翼部に異なるモーメントが働くことによって、センサに作用する物理量に応じて回転する。ここで、両貫通孔の全面積が異なる場合としては、貫通孔の穴径が異なる、あるいは貫通孔の間隔(ピッチ)が異なる等の場合が想定される。この場合においても、第1静電容量と第2静電容量とに差異が生じると起動時間が長くなる。
そこで、当該静電容量型センサでは、第2翼部に開孔される第2貫通孔は、第1翼部での第1貫通孔の場合と同様に、開孔による平行平板容量分の減少を廻り込みの容量分で補う穴径で構成されるものとする。また、第1及び第2翼部の各々で、平行平板容量分の減少を廻り込みの容量分で完全に補うことの他、第1翼部での平行平板容量分の減少分と廻り込みの容量分での補填分との和が、第2翼部での平行平板容量分の減少分と廻り込みの容量分での補填分との和と略同一となる全面積で構成すればよい。これにより、第1静電容量と第2静電容量とが略同一となる貫通孔が形成される。このような構成では、起動時において各翼部に作用する静電気力を同一なものとすることができ起動時間の短縮を図ることが可能となる。
また、本願に開示される技術に係る静電容量型センサにおいて、第2固定電極は、第1貫通孔に対応する開孔あるいはスリットが形成される構成としてもよい。
当該静電容量型センサでは、第1静電容量と第2静電容量との差を補償するために、第2固定電極に開孔あるいはスリットが形成される。第1翼部に第1貫通孔が形成される場合には、第1静電容量が第1翼部と第1固定電極との平行平板容量分と廻り込みの容量分とで構成される。これに対し、第2翼部と第2固定電極とが、第1翼部及び第1固定電極と同様の構成であるため、第2固定電極に対して開孔あるいはスリットを設ける。これにより、第2静電容量についても、平行平板容量分と廻り込みの容量分とで構成される。この時、第2固定電極に形成される開孔あるいはスリットを第1貫通孔に対応して形成してやれば、平行平板容量分の減少分と廻り込みの容量分での補填分との和を第1翼部と第2翼部とで略同一に調整することができる。その結果、両静電容量を同一とすることが容易となり起動時の短縮を容易に図ることができる。
また、本願に開示される技術に係る静電容量型センサにおいて、第1貫通孔は、第2貫通孔に比べて小さい全面積で形成され、第1固定電極は、第1貫通孔と第2貫通孔との全面積の差に基づいた大きさの開孔あるいはスリットが形成される構成としてもよい。
当該静電容量型センサでは、第1静電容量と第2静電容量との差を補償するために、第1固定電極に開孔あるいはスリットが形成される。詳述すると、第1貫通孔は、第2貫通孔に比べて小さい全面積で形成される。例えば、第1貫通孔の穴径が第2貫通孔に比べて小さい場合には、第1翼部が第1固定電極と対向する面の面積が、第2翼部が第2固定電極と対向する面の面積に比べて相対的に大きくなり平行平板の容量分が大きくなる。更に、貫通孔による廻り込みの容量分の増分と平行平板の容量分の減少との関係は前述したとおり、穴径が大きいほど減少分が支配的になるので、穴径が大きい第2貫通孔が開孔されている第2翼部においては、廻り込みの容量分による補填はより不十分なものとなる。この点からも第1静電容量の方が大きな値となる可能性がある。その結果、第1静電容量が第2静電容量に比べて増大する可能性が高くなる。そこで、当該センサでは、静電容量が相対的に増大する可能性が高い第1固定電極に両貫通孔の全面積の差に基づいた大きさの開孔あるいはスリットが形成される。これにより、第1静電容量において平行平板の容量分を減少させ廻り込みの容量分を増大させて、両静電容量を同一とすることが容易となる。
また、本願に開示される技術に係る静電容量型センサにおいて、第1翼部と第2翼部とは、略同一形状で構成され、第1固定電極と第2固定電極とは、略同一形状で構成され、前記回転軸線から同一距離となる前記基板上に設けられる構成としてもよい。
このような構成では、振動質量体の回転にともなって第1静電容量と第2静電容量とに生じる静電容量の変化量が同態様となり、例えば、全差動回路を用いて第1及び第2静電容量の変化量から任意の物理量を高精度に検出できる処理回路が構成できる。
また、本願に開示される技術に係る静電容量型センサにおいて、第1翼部及び第1固定電極と、第2翼部及び第2固定電極との各々の間に電圧を印加しない状態において、第1翼部と第2翼部とに生じるモーメントによって振動質量体が傾いた場合の第1静電容量と第2静電容量との変化量を加味した大きさの穴径が設定される構成としてもよい。
第1翼部に第1貫通孔を形成した場合、あるいは両翼部に全面積が異なる第1及び第2貫通孔を形成した場合には、各翼部と各固定電極のそれぞれの間に電圧を印加しない状態では各翼部の質量の差によって異なるモーメントが生じて振動質量体が傾く虞がある。そこで、当該静電容量型センサでは、振動質量体が傾いた場合の第1静電容量と第2静電容量との変化量を加味した上で、両静電容量が同一となるような大きさの穴径及び全面積で各貫通孔が形成される。これにより、第1静電容量と第2静電容量と高精度に一致させることが可能となり、起動時の短縮をより確実に図ることができる。
本願に開示される技術によれば、起動時間の短縮を図ることができる静電容量型センサを提供することができる。
(第1実施形態)
以下、本発明を具体化した一実施形態について添付図面を参照しながら説明する。なお、添付図面は、説明の便宜上、実際の寸法・縮尺とは異なって図示されている部分がある。
図1は、MEMS(Micro Electro Mechanical Systems)技術を用いて製造した本実施形態に係る静電容量型センサの概略構成を示している。同図1に示すように、静電容量型センサ(以下、「センサ」という)10は、振動質量体11と、基板12(図2参照)とを備えている。振動質量体11は、平面視略長方形の板状に形成されている。なお、以下の説明では、図1に矢印で示すように、振動質量体11の長辺に沿った方向をX方向、X方向に対して直角で振動質量体11の短辺に沿った方向をY方向、X方向とY方向との両方に直角となる方向(振動質量体11の平板面に対して垂直な方向)をZ方向と称し、説明する。
センサ10は、振動質量体11の外縁を取り囲むように枠部13が形成されている。枠部13は、平面視形状が長方形枠状に形成され、内壁が内側に設けられた振動質量体11の外周部分と離間している。図2に示すように、枠部13は、Z方向の基端部が基板12と一体形成され、Z方向に沿って基板12から延設されている。枠部13のZ方向の先端面13Aは、振動質量体11の上面11A(図2における上側の面)とZ方向における位置が同一となっている。
基板12は、平板状のコア基板21のZ方向の上面を覆うように絶縁層22が形成されている。絶縁層22の上には、パッド23、第1固定電極25及び第2固定電極26が形成されている。パッド23は、基板12の中央部に形成され、上面に支承部14が設けられている。支承部14は、基板12上に立設しZ方向に延びる直方体形状をなし、基端部がパッド23と電気的に接続されている。第1及び第2固定電極25,26は、基板12の中央部の支承部14に対してX方向で対称な位置に形成されている。
図1に示すように、支承部14は、Y方向における側面14Aの各々に一対のトーションバー15が形成されている。トーションバー15は、Y方向に沿って、換言すれば側面14Aに対して垂直な方向に沿って形成された棒状をなす。また、トーションバー15は、Z方向に対して直交する方向に沿った平面で切断した断面形状が、長辺がY方向に沿った長方形状をなす。トーションバー15は、Y方向の一端部が側面14Aと一体形成され、他端部が振動質量体11と一体形成されている。
振動質量体11は、X方向における中央部であって、Y方向における両端部の各々に形成された回転支点部18がトーションバー15を介して支承部14に支持されている。これにより、振動質量体11は、トーションバー15を介して支承部14に対して回転可能に支持されている。振動質量体11は、トーションバー15のX方向の中央部を通りY方向に沿った回転軸線を中心に回転する。振動質量体11は、回転軸線に対してX方向の一方側(図1において左側)に第1翼部31が形成され、他方側(図1において右側)に第2翼部32が形成されている。第1及び第2翼部31,32は、回転軸線を中心として互いに異なるZ方向に回転する。ちなみに、支承部14は、トーションバー15のX方向の両側部分における側面14Aに延設部14Bがそれぞれ形成されている。各延設部14Bは、Y方向に沿って複数に分岐した棒状に形成されている。この延設部14Bは、例えば、振動質量体11が回転する際に空気や媒体等との摩擦による減衰トルクを生じさせる抵抗部分としての機能や後述する犠牲層をエッチングする際のエッチング液の導入口(導入量)の調整部分として機能するものである。なお、延設部14Bは、各回転支点部18から支承部14に向かってY方向に延設された構成としてもよい。また、センサ10は、延設部14Bを設けない構成としてもよい。
第1及び第2翼部31,32は、平面視における外縁の形状が同一形状をなす一方で、第1翼部31には第1貫通孔34が形成されている。詳述すると、第1翼部31は、長辺がY方向に沿った平面視略長方形状をなす。また、第1固定電極25は、第1翼部31にZ方向において対向し長辺がY方向に沿った平面視略長方形状に形成されている。第1翼部31は、第1固定電極25とZ方向において対向する領域内に複数の第1貫通孔34がマトリックスス状に形成されている。第1貫通孔34は、第1翼部31のZ方向で対向する2つの主面を貫通し、振動質量体11の平面方向で切断した断面形状が円形をなす。また、第2翼部32は、長辺がY方向に沿った平面視略長方形状をなす。第2固定電極26は、第2翼部32にZ方向において対向し長辺がY方向に沿った平面視略長方形状に形成されている。従って、第1及び第2固定電極25,26は、同一形状をなし、基板12の平面視において回転軸線からX方向に同一距離となる位置に形成されている。
図2に示すように、第1貫通孔34は、第1幅L1の大きさの穴径で形成されている。なお、第1貫通孔34の形状・個数等は一例であり、適宜変更してもよい。例えば、第1貫通孔34は、断面形状が四角形でもよい。また、第1貫通孔34は、例えば、X方向、あるいはY方向に沿ったスリットとして構成してもよい。この場合、第1貫通孔34の形状に応じて穴径を適宜設定する。
ちなみに、図1に示すように、第1及び第2翼部31,32には、X方向の外側の端部であって、Y方向の両端部にX方向の外側へ突出して形成された凸部19が設けられている。この凸部19は、振動質量体11の各翼部31,32が基板12側に回転し基板12の底部と接触する際に、各翼部31,32が基板12の底部と接触する面積を低減する部分として機能するものである。なお、センサ10は、凸部19を設けない構成としてもよい。
上述したように構成されたセンサ10は、振動質量体11の回転にともなう第1翼部31と第1固定電極25との間の静電容量(以下、「第1静電容量」という)C1と、第2翼部32と第2固定電極26との間の静電容量(以下、「第2静電容量」という)C2に基づいて加速度が検出される。詳述すると、振動質量体11は、第1及び第2翼部31,32が、回転支点部18、トーションバー15及び支承部14を介して基板12と電気的に接続されている。第1翼部31は、第1固定電極25とZ方向で対向し第1静電容量C1のコンデンサが構成される。また、第2翼部32は、第2固定電極26とZ方向で対向し第2静電容量C2のコンデンが構成される。
第1及び第2静電容量C1,C2は、センサ10に対しZ方向に作用する加速度に応じて振動質量体11が回転すると、第1翼部31と第1固定電極25との間の距離D1(図2参照)及び第2翼部32と第2固定電極26との間の距離D2の変動にともなって第1及び第2静電容量C1,C2が変化する。例えば、図2において、振動質量体11が時計回りに回転すると、距離D1が増大するのにともなって静電容量C1が減少する一方で、距離D2が減少するのにともなって第2静電容量C2が増大する。センサ10は、例えば、第1及び第2翼部31,32と第1及び第2固定電極25,26との各々の間に、逆位相のパルス波の交流電圧が印加される。そして、センサ10は、振動質量体11の回転にともなって変化する第1及び第2静電容量C1,C2の変化量が図示しない処理回路(例えば、全差動回路等)に配線を介して出力され加速度が検出される。
次に、第1貫通孔34を形成する条件について説明する。
まず、第1翼部31は、第2翼部32と略同一形状で形成され、且つ第1貫通孔34が第1翼部31のみに形成されていることから第2翼部32に比べて軽量となり、第1及び第2翼部31,32間の質量に差が生じる。このため、第2翼部32に対してトーションバー15からの距離に基づいて作用するモーメントは、第1翼部31に対してトーションバー15からの距離に基づいて作用するモーメントに比べて大きくなる。従って、センサ10に作用するZ方向に沿った加速度に応じて、第1翼部31が基板12から離れる方向に回転し、第2翼部32が基板12へ近づく方向に回転、即ち、図2における時計回り方向に回転する。
そして、加速度の検出に先立ち、第1及び第2翼部31,32と第1及び第2固定電極25,26との間にパルス波の交流電圧が印加され振動質量体11が初期状態とされる。各翼部31,32と各固定電極25,26との間に交流電圧が印加されると、振動質量体11は、第1静電容量C1に基づく静電気力と第2静電容量C2に基づく静電気力との2つの静電気力の差に応じて回転トルクが生じ振動が発生する。検出を開始する初期状態としては、振動質量体11の振動が所定の範囲内の位置に収まった安定した状態となる必要があるため、起動時間が長くなってしまう。
そこで、本実施形態のセンサ10では、第1翼部31に形成される第1貫通孔34の穴径(第1幅L1)を調整することで、第1静電容量C1が第2静電容量C2と同一、あるいは略同一となるように構成されている。ここで、図2中に一点鎖線で示すように、例えば、第1固定電極25から第1翼部31に向かって生じる電気力線において、第1静電容量C1は、第1固定電極25と第1翼部31を構成する振動質量体11の平面とを結ぶ電気力線41による平行平板容量分が主たる構成要素である。この平行平板容量分となる電気力線41の他に、第1貫通孔34の内側面と第1固定電極25とを結ぶ電気力線42の廻り込みによる容量分も静電容量として寄与する。第1翼部31に開孔される第1貫通孔34による平板面積の減少に伴う平行平板容量分(電気力線41)の減少分が、第1貫通孔34の内側面による廻り込みの容量分(電気力線42)で補われることとなる。第1貫通孔34の第1幅L1を調整することにより、平行平板容量分の減少分と略同一の容量分を廻り込みの容量分で補うことができる。これにより、第1静電容量C1と第2静電容量C2とを略同一の静電容量とすることができる。
このような構成では、起動時において各翼部31,32に作用する静電気力を同一、あるいは略同一なものとすることができる。従って、好適には静電容量が一致することとなり起動時に振動質量体11に生じる振動がなくなる。その結果、起動時間の短縮を図ることが可能となる。なお、両静電容量C1,C2を同一、あるいは略同一とする為の第1幅L1の条件は、第1貫通孔34の形状や各翼部31,32と各固定電極25,26との距離D1,D2や各固定電極25,26と各翼部31,32とが対向する面積などを変更しシミュレーション等を実施することにより決定できる。
また、上記したように、第2翼部32の質量は、第1翼部31に比べて大きいため、第2翼部32に作用するモーメントが第1翼部31に比べて大きくなっている。このため、起動のための電圧が印加されない状態では、第1翼部31が基板12から離れる方向に回転し第2翼部32が基板12に近づく方向に回転して、極めて微少ではあるが振動質量体11が時計回り方向に傾いた状態となる場合がある。そこで、本実施形態のセンサ10では、振動質量体11が傾くことで第1静電容量C1と第2静電容量C2とが変化した変化量を加味した上で、両静電容量C1,C2が同一となる大きさの穴径で第1貫通孔34が形成されている。これにより、第1静電容量C1と第2静電容量C2と高精度に一致させることが可能となり、起動時の短縮をより確実に図ることができる。
更に、本実施形態のセンサ10では、第1及び第2翼部31,32が同一形状で構成されている。また、第1及び第2固定電極25,26は、同一形状で構成され、X方向において回転軸線から同一距離に形成されている。そして、第1及び第2翼部31,32と第1及び第2固定電極25,26との各々の間に、逆位相のパルス波の交流電圧が印加される。従って、振動質量体11の回転にともなって第1静電容量C1と第2静電容量C2とに生じる静電容量の変化量が同態様となる。このような構成では、シングルエンド回路に比べて高精度な検出可能な全差動回路を用いることができ、第1及び第2静電容量C1,C2の変化量から加速度を高精度に検出できる処理回路が構成できる。なお、ここでいうシングルエンド回路とは、差動増幅回路の出力端子が1つである回路であり、全差動回路とは、出力端子が2つであり対称性を有する回路である。
次に、センサ10の製造方法の一例について説明する。
まず、図3に示すコア基板200を準備する。コア基板200は、例えば単結晶シリコンからなるウェハである。センサ10は、コア基板200上に多数のセンサ素子を形成し、その後にダイシングを行って複数のセンサ10に個片化することにより製造される。
コア基板200の表面に絶縁層210を形成する。絶縁層210は、例えば、窒化シリコン(SiNx)や、二酸化シリコンの膜の上に窒化シリコンを積層した膜を熱酸化法や堆積法を用いて形成する。次いで、絶縁層210の表面に、例えばフォトリソグラフィー技術を用いて任意にパターニングされた第1固定電極211、第2固定電極212、パッド213及びこれらを接続する配線(図示略)を形成する。各固定電極211,212等は、ポリシリコンなど、後述する犠牲層215のエッチングに対して耐性がある材料を用いる。なお、LSI技術で一般的に用いられるアルミニウムを第1固定電極211等に用いる場合は、例えば、当該アルミニウムの上に窒化シリコン膜を積層したりして犠牲層215のエッチングに対して耐性を上げることが好ましい。また、絶縁層210、第1固定電極211、第2固定電極212、パッド213及び配線(図示略)を複数層で形成してもよい。
次いで、図4に示すように、絶縁層210、第1固定電極211、第2固定電極212及びパッド213を覆うように犠牲層215を形成する。犠牲層215は、例えば化学気相成長(CVD:Chemical Vapor Deposition)法により二酸化シリコンを成膜して形成する。次いで、図5に示すように、犠牲層215に対しパッド213の表面の一部が露出するようにホール216Aを形成する。また、犠牲層215に対し枠部13の位置に応じたホール216Bを形成する。ホール216A,216Bは、例えばフォトリソグラフィー技術を用いて形成する。
次いで、図6に示すように、犠牲層215の上に電極層217を形成する。ホール216A,216B内には電極層217の一部が充填される。電極層217は、例えばCVD法によりポリシリコンを成膜して形成する。次いで、図7に示すように、電極層217に対してエッチングを施し、第1貫通孔219が形成された第1翼部220と、第2翼部222と、枠部224と、支承部225とを形成する。電極層217に対するエッチングは、例えば、フォトリソグラフィー技術を用いて任意のパターニングで形成されたレジスト(図示略)を電極層217の上に形成し、そのレジストの開孔部から露出する領域に対しDeep−RIE(Reactive Ion Etching)法を用いて異方性エッチングをする。なお、図示しないがトーションバー15は、例えば、上記した第1及び第2翼部220,222と同一工程にて形成される。
次いで、図8に示すように、犠牲層215をエッチングする。犠牲層215のエッチングは、例えば、第1翼部220に形成された第1貫通孔219や枠部224と第2翼部222との間の隙間や上記した延設部14B間の隙間等からエッチング液(例えばバッファードフッ酸(BHF))を導入してエッチングする。このようにして、図1に示すセンサ10が形成される。
以上、上記した第1実施形態によれば、以下の効果を奏する。
(1)振動質量体11の第1翼部31は、第2翼部32と略同一形状で形成され、且つ第1貫通孔34が第1翼部31に形成されていることから第2翼部32に比べて軽量となり、第1及び第2翼部31,32間の質量に差が生じる。従って、第1翼部31と第2翼部32とには異なるモーメントが発生するため、センサ10に作用する加速度に応じて振動質量体11が回転する。その一方で、センサ10は、第1翼部31と第1固定電極25との間の第1静電容量C1と、第2翼部32と第2固定電極26との間の第2静電容量C2とが同一となる穴径(第1幅L1)で第1貫通孔34が形成されている。このような構成では、起動時において各翼部31,32に作用する静電気力を同一なものとすることができ、起動時に振動質量体11に生じる回転トルクをなくして起動時間の短縮を図ることが可能となる。
(2)また、第1貫通孔34は、電圧を印加していない状態での振動質量体11の傾きを加味した上で両静電容量C1,C2が同一となる大きさの穴径で形成されている。これにより、第1静電容量C1と第2静電容量C2と高精度に一致させることが可能となり、起動時の短縮をより確実に図ることができる。
(第2実施形態)
次に、図9及び図10を参照して第2実施形態について説明する。なお、第1実施形態と同様の構成のものについては同一符号を付し、その説明を適宜省略する。第2実施形態に係る振動質量体11は、第2翼部32にも貫通孔(第2貫通孔35)が形成されている構成が第1実施形態と相違する。
図9に示すように、センサ10Aは、第1及び第2翼部31,32が略同一形状をなす一方で穴径が異なる第1及び第2貫通孔34,35が各々に形成されている。第2翼部32は、第2固定電極26とZ方向において対向する領域内に複数の第2貫通孔35がマトリックス状に形成されている。第2貫通孔35は、第2翼部32のZ方向で対向する2つの主面を貫通し、振動質量体11の平面方向で切断した断面形状が円形をなす。
第2貫通孔35は、第1貫通孔34と同数だけ形成されている。また、図10に示すように、第2貫通孔35は、第1貫通孔34の第1幅L1よりも大きい第2幅L2の大きさの穴径で形成されている。従って、振動質量体11は、第1貫通孔34の全面積が第2貫通孔35の全面積に比べて小さくなっている。ここでいう全面積とは、平板状の振動質量体11を平面に対して垂直な方向から見た場合における第1貫通孔34と第2貫通孔35との各々の開孔部の面積を合計した大きさをいう。なお、第1及び第2貫通孔34,35の形状・個数等は一例であり、適宜変更してもよい。例えば、振動質量体11は、第1及び第2貫通孔34,35の各々を形成する間隔(ピッチ)が互いに異なる構成としもよく、互いの全面積が異なれば第1及び第2貫通孔34,35を他の構成に適宜変更してもよい。
次に、第1及び第2貫通孔34,35の全面積に係る条件について説明する。
まず、第1翼部31は、第2翼部32と略同一形状で形成され且つ第1貫通孔34が第2貫通孔35に比べて全面積が小さくなっていることから、第2翼部32に比べて質量が大きくなる。このため、第1翼部31に対してトーションバー15からの距離に基づいて作用するモーメントは、第2翼部32に対してトーションバー15からの距離に基づいて作用するモーメントに比べて大きくなる。従って、センサ10に作用するZ方向に沿った加速度に応じて、第1翼部31が基板12へ近づく方向に回転し、第2翼部32が基板12から離れる方向に回転、即ち、図10における反時計回り方向に回転する。
そして、加速度の検出に先立ち、第1及び第2翼部31,32と第1及び第2固定電極25,26との間にパルス波の交流電圧が印加され振動質量体11が初期状態とされる。各翼部31,32と各固定電極25,26との間に交流電圧が印加されると、振動質量体11は、第1静電容量C1に基づく静電気力と第2静電容量C2に基づく静電気力との2つの静電気力の差に応じて回転トルクが生じ振動が発生する。検出を開始する初期状態としては、振動質量体11の振動が所定の範囲内の位置に収まった安定した状態となる必要があるため、起動時間が長くなってしまう。
そこで、本実施形態のセンサ10Aでは、第2翼部32に開孔される第2貫通孔35が、第1実施形態の第1貫通孔34の場合と同様に、開孔による平行平板容量分(電気力線41)の減少を廻り込みの容量分(電気力線42)で補う穴径(第2幅L2)で構成されている。また、第1及び第2翼部31,32の各々で、平行平板容量分の減少を廻り込みの容量分で完全に補うことの他、第1翼部31での平行平板容量分の減少分と廻り込みの容量分での補填分との和が、第2翼部32での平行平板容量分の減少分と廻り込みの容量分での補填分との和と同一、あるいは略同一となる全面積で構成されている。これにより、第1静電容量C1と第2静電容量C2とが同一となる各貫通孔34,35が形成される。このような構成では、起動時において各翼部31,32に作用する静電気力を同一、あるいは略同一なものとすることができる。従って、好適には静電容量が一致することとなり起動時に振動質量体11に生じる振動がなくなる。その結果、起動時間の短縮を図ることが可能となる。なお、センサ10Aは、電圧が印加されない状態での振動質量体11の傾きを考慮して第1及び第2貫通孔34,35の穴径及び全面積が形成されることが好ましい。また、第1及び第2貫通孔34,35の全面積の条件は、各貫通孔34,35の第1及び第2幅L1,L2などを変更しシミュレーション等を実施することにより決定できる。
以上、上記した第2実施形態によれば、以下の効果を奏する。
(1)センサ10は、第1翼部31に形成される第1貫通孔34の穴径の第1幅L1と、第2翼部32に形成される第2貫通孔35の穴径の第2幅L2が異なる。第1及び第2貫通孔34,35は、全面積が互いに異なる。第2貫通孔35は、第1貫通孔34と同様に、開孔による平行平板容量分(電気力線41)の減少を廻り込みの容量分(電気力線42)で補う穴径で構成されている。そして、各貫通孔34,35は、第1静電容量C1と第2静電容量C2とが同一となるように、第1及び第2翼部31,32での平行平板容量分の減少分と廻り込みの容量分での補填分との和が互いに同一になる全面積の大きさで構成されている。このような構成では、起動時において各翼部31,32に作用する静電気力を同一なものとすることができ、起動時に振動質量体11に生じる回転トルクをなくして起動時間の短縮を図ることが可能となる。
尚、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲内での種々の改良、変更が可能であることは言うまでもない。
例えば、上記各実施形態では、センサ10,10Aを加速度が検出可能な静電容量型のセンサとして構成したが、他の物理量(例えば角速度)が検出可能な構成としてもよい。
また、例えば、第1及び第2固定電極25,26に第1及び第2貫通孔34,35の穴径及び全面積の差に応じたスリットを各固定電極25,26に形成してもよい。例えば、図11に示すように、センサ10Bには、第2固定電極26にスリット301が形成されている。スリット301は、任意のX方向の幅でY方向に沿って第2固定電極26のY方向の両端部を結ぶように形成されている。また、スリット301は、X方向において所定の間隔を間に設けて複数形成されている。なお、スリット301の形状・個数・位置等は一例であり、適宜変更してもよい。例えば、スリット301に替えて第2固定電極26に複数の開孔(貫通孔)を形成してもよい。
ここで、センサ10Bでは、第1翼部31のみに第1貫通孔34が形成されており、第2静電容量C2が第1静電容量C1に比べて相対的に増大する可能性が高くなる。そこで、センサ10Bは、第1静電容量C1と第2静電容量C2との差を補償するために、第2固定電極26にスリット301が形成されている。第1翼部31に第1貫通孔34が形成される場合には、第1静電容量C1が第1翼部31と第1固定電極25との平行平板容量分と廻り込みの容量分とで構成される。これに対し、第2翼部32と第2固定電極26とが、第1翼部31と第1固定電極25と同様の構成であるため、第2固定電極26に対してスリット301が設けられている。これにより、第2静電容量C2についても、平行平板容量分と廻り込みの容量分とで構成される。この時、第2固定電極26に形成されるスリット301を第1貫通孔34の穴径(第1幅L1)等に対応して形成してやれば、平行平板容量分の減少分と廻り込みの容量分での補填分との和を第1翼部31と第2翼部32とで同一に調整できる。その結果、両静電容量C1,C2を同一とすることが容易となり起動時の短縮を容易に図ることができる。
なお、上記した第2実施形態のセンサ10Aにおいて、第1固定電極25にスリット301を設けた構成としてもよい。詳述すると、センサ10Aでは、第1貫通孔34の穴径が第2貫通孔に比べて小さく、第1翼部31が第1固定電極25と対向する面の面積が、第2翼部32が第2固定電極26と対向する面の面積に比べて相対的に大きくなり平行平板の容量分が大きくなる。更に、各貫通孔34,35による廻り込みの容量分の増分と平行平板の容量分の減少との関係は前述したとおり、穴径(第1及び第2幅L1,L2)が大きいほど減少分が支配的になるので、穴径が大きい第2貫通孔35が開孔されている第2翼部32においては、廻り込みの容量分による補填はより不十分なものとなる。この点からも第1静電容量の方が大きな値となる可能性がある。その結果、第1静電容量C1が第2静電容量C2に比べて増大する可能性が高くなる。このような構成のセンサ10Aにスリット301を設ける場合には、静電容量が相対的に増大する可能性が高い第1固定電極25に対し第1貫通孔34と第2貫通孔35との全面積の差に基づいた大きさのスリット301等を形成することが好ましい。このような構成においても上記した効果と同様の効果を得ることができる。
また、上記各実施形態では、第1及び第2翼部31,32を、平面視における外縁の形状が同一形状となるように構成したが、これに限定されない。例えば、図12のセンサ10Cのように、第1翼部31のX方向の幅を第2翼部32に比べて大きくしてもよい。この場合、第2翼部32にのみ第2貫通孔35が形成されている。つまり、センサ10Cでは、貫通孔が形成されずに質量が相対的に大きくなる第1翼部31を第2翼部32に比べて大きくなるように構成している。このような構成では、第1翼部31に作用するモーメントを第2翼部32に比べてより大きくし、センサ10Cに作用する同一の加速度に対する振動質量体11の回転方向への変化量がより大きくなることによって、感度を向上させることができる。
なお、この場合、電圧を印加していない状態での振動質量体11の傾きがより大きくなることが予想されるため、この傾きを加味して第2貫通孔35を形成することが好ましい。また、第1固定電極25の回転軸線からの距離と、第2固定電極26の回転軸線からの距離を同一とすることが好ましい。
また、上記実施形態では、特に言及していないが、振動質量体11を、窒素等の媒体が充填されたケース内に収納する構成としてもよい。この場合には、各貫通孔34,35内を流れる媒体によって生じる減衰トルクの大きさや差を含めて各貫通孔34,35の穴径や全面積を設定することが好ましい。
また、各部材の形状・構成等は一例であり、適宜変更してもよい。例えば、支承部14を複数備える構成としてもよい。また、例えば、振動質量体11の回転にともなって枠部13内で空気や媒体が圧縮されないように、枠部13に対し通気用の貫通孔が形成された構成、あるいは枠部13を一部が切り欠かれた構成等にしてもよい。
ちなみに、センサ10,10A,10B,10Cは、静電容量型センサの一例として、振動質量体11は、振動質量体の一例として、基板12は、基板の一例として、支承部14は、支承部の一例として、トーションバー15は、トーションバーの一例として、第1固定電極25,211は、第1固定電極の一例として、第2固定電極26,212は、第2固定電極の一例として、第1翼部31,220は、第1翼部の一例として、第2翼部32,222は、第2翼部の一例として、第1貫通孔34,219は、第1貫通孔の一例として、第2貫通孔35は、第2貫通孔の一例として、第1静電容量C1は、第1静電容量型の一例として、第2静電容量C2は、第2静電容量の一例として挙げられる。