JP6126568B2 - 鞍乗り型車両のエンジン支持構造 - Google Patents
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Description
本発明は、上述した事情に鑑みてなされたものであり、鞍乗り型車両のエンジン支持構造において、車体フレームを適度に弾性変形させて、乗員の乗り心地を良好にできるようにすることを目的とする。
本発明によれば、エンジンは、クランクケース部の前部を支持する前部ハンガと、ピボットフレームに設けられクランクケース部の後部を支持する後部ハンガとを剛性が高い高剛性ハンガとして車体フレームの下部に支持されるとともに、車体フレームの枠体に沿って高剛性ハンガの間に設けられる低剛性ハンガによって車体フレームに支持される。これにより、高剛性ハンガである前部ハンガ及び後部ハンガでクランクケース部を車体フレームの下部に支持することで、車体フレームの枠体の下部の剛性をクランクケース部によって効果的に増加させることができるとともにクランクケース部を良好に支持でき、枠体における前後の高剛性ハンガの間の部分は、低剛性ハンガでエンジンに支持されるため、低剛性ハンガによってエンジンを支持しつつ、低剛性ハンガの部分では車体フレームを適度に弾性変形させることができる。このため、外部からの荷重に対して車体フレームを適度に弾性変形させて、乗員の乗り心地を良好にできる。
本発明によれば、側面視で前上ハンガと後部ハンガとの間において左右のピボットフレームの上部を連結する上部クロス部材に設けられ、クランクケース部の上部を支持する第2の低剛性ハンガが設けられる。これにより、クランクケース部の上部は、上部クロス部材の第2の低剛性ハンガにより支持され、メインフレームでクランクケース部の上部を支持する必要がないため、メインフレームを適度に弾性変形させることができる。また、第2の低剛性ハンガによってクランクケース部の支持を補強できるとともに、ピボットフレームの上部の周辺部の剛性を適度な大きさにすることができる。
本発明によれば、メインフレームには、エンジンを支持するエンジンハンガが設けられていないため、湾曲した形状により適度に弾性変形が可能となったメインフレームをエンジンで拘束せずに効果的に撓ませることができ、乗員の乗り心地を良好にできる。
また、前記ピボットフレーム(15L,15R)は、左右の前記ピボットフレーム(15L,15R)の下部を連結する下部クロス部材(23)を備えるとともに、当該下部クロス部材(23)の後方にスイングアーム(12)を支持するリンクロッド支持部(81)を備え、側面視で前記枠体(80L,80R)に沿って前記前下ハンガ(92)と前記後部ハンガ(15c)との間において、前記リンクロッド支持部(81)に支持されるとともに前記下部クロス部材(23)を跨いで配置され前記クランクケース部(51)の下部を支持する第3の低剛性ハンガ(94)が設けられることを特徴とする。
本発明によれば、側面視で前下ハンガと後部ハンガとの間において、下部クロス部材の後方のリンクロッド支持部に支持されるとともに下部クロス部材を跨いで配置されクランクケース部の下部を支持する第3の低剛性ハンガが設けられる。これにより、下部クロス部材の後方のリンクロッド支持部から下部クロス部材を跨いでクランクケース部の下部を支持する前後に長い第3の低剛性ハンガでクランクケース部の下部を支持するため、第3の低剛性ハンガによってクランクケース部の支持を補強できるとともに、ピボットフレームの下部の周辺部の剛性を適度な大きさにすることができる。
本発明によれば、ロアフレームは、メインフレーム、ダウンフレーム及びピボットフレームよりも断面積が小さいパイプ状フレームであるため、ロアフレームを適度に弾性変形させることができ、乗員の乗り心地を良好にできる。
高剛性ハンガによる3点支持によってクランクケース部を良好に支持できるとともに、第1の低剛性ハンガによってシリンダ部が大きく揺れることを防止しつつ、ダウンフレームを適度に弾性変形させることができる。
また、第2の低剛性ハンガによってクランクケース部の支持を補強できるとともに、ピボットフレームの上部の周辺部の剛性を適度な大きさにすることができる。
また、メインフレームをエンジンで拘束せずに効果的に撓ませることができ、乗員の乗り心地を良好にできる。
さらに、第3の低剛性ハンガによってクランクケース部の支持を補強できるとともに、ピボットフレームの下部の周辺部の剛性を適度な大きさにすることができる。
また、ロアフレームを適度に弾性変形させることができ、乗員の乗り心地を良好にできる。
図1は、本発明の実施の第1の実施の形態に係る自動二輪車の左側面図である。図2は、車体カバー及び補記類を取り外した状態の自動二輪車の左側面図である。図3は、エンジンの支持構造を示す右側面図である。
自動二輪車1は、車体フレームFにパワーユニットとしてのエンジン10が支持され、前輪2を支持する左右一対のフロントフォーク11,11が車体フレームFの前端に操舵可能に支持され、後輪3を支持するスイングアーム12が車体フレームFの後部側に設けられた車両である。自動二輪車1は、乗員が跨るようにして着座するシート5が車体フレームFの前後の中央部の上方に設けられた鞍乗り型の車両である。
また、車体フレームFは、ピボットフレーム15L,15Rの上部の後部から後上がりに車両後端部まで延びる左右一対のシートフレーム18L,18Rと、ピボットフレーム15L,15Rの上下の中間部の後部から後上がりに延びてシートフレーム18L,18Rの後部に接続される左右一対のサブフレーム19L,19Rと、シートフレーム18L,18Rとサブフレーム19L,19Rとをトラス状に上下に連結する複数の連結フレーム20a,20b,20cとを備える。
また、車体フレームFは、メインフレーム14L,14Rを左右に連結するとともにダウンフレーム16の後面側に連結されるスティフナフレーム26を備える。詳細には、スティフナフレーム26は、メインフレーム14L,14Rから前下方に延びる前方延出部26a,26aと、ダウンフレーム16の後面近傍を通って前方延出部26a,26aの前端を車幅方向に繋ぐ車幅方向延在部26b(図9)とを備える1本のパイプ材である。
スイングアーム12には、スイングアーム12の前部と下部クロス部材23側とを連結するリンク部材34が連結される。リアサスペンション35の下端は、リンク部材34に連結される。リアサスペンション35の上端は、上部クロス部材22から前下方に延びるサスペンションステー36(図3)に連結される。
車体カバー38は、ヘッドパイプ13の周辺部を前方及び側方から覆うフロントカバー39と、フロントカバー39の前面の上縁から上方に延びるフロントスクリーン40と、ロアフレーム17L,17Rを下方から覆うアンダーカバー41と、シートフレーム18L,18R及びサブフレーム19L,19Rを側方から覆うリアカバー42とを備える。フロントフェンダー43は、フロントフォーク11,11に設けられる。車体フレームFの後端部には、リアフェンダー44が設けられる。
運転者が足を載せるステップ45,45は、ピボットフレーム15L,15Rの下部に設けられる。メインスタンド46は、下部クロス部材23に取り付けられる。
シリンダ部52は、クランクケース部51側から順に、ピストン(不図示)が収容されるシリンダブロック53と、シリンダヘッド54と、シリンダヘッドカバー55とを備える。シリンダブロック53は、車幅方向に横並びで配列される2つのシリンダを備える。エンジン10は、シリンダブロック53のシリンダ軸線Cが鉛直方向に対しやや前傾しているエンジンである。シリンダ軸線Cは、ダウンフレーム16よりも大きく前傾している。
クランクケース部51の後部には変速機が内蔵されている。変速機の出力軸56は、クランクケース部51の後部から左外側方に突出し、出力軸56の軸端にはドライブスプロケット57が固定される。エンジン10の出力は、ドライブスプロケット57と後輪3のドリブンスプロケット58との間に巻き掛けられるドライブチェーン59によって後輪3に伝達される。
排気管60,60は、シリンダヘッド54の各気筒の前面の排気ポートから前下方に引き出された後、右側方に屈曲し、エンジン10の右側部の下部の外側方を通って後方に延びる。排気管60,60は後部で一本に合流し、その後端は、後輪3の右側方に配置されたマフラー61に接続される。マフラー61は後上がりに配置されており、後端の排気口61aは、後輪3の上面よりも上方に位置する。マフラー61の上部は、右側のサブフレーム19Rに支持される。
図3〜図5に示すように、クランクケース部51は、クランク軸50を支持するケース状のケース本体65と、ケース本体65の下面に連結されて下方に膨出するオイルパン66と、ケース本体65の右側面に連結されてエンジン10のクラッチ等(不図示)等を覆う一側側面カバー67と、ケース本体65の左側面に連結されてエンジン10の発電機等(不図示)等を覆う他側側面カバー68とを備える。一側側面カバー67及び他側側面カバー68は、上面視においてメインフレーム14L,14Rよりも車幅方向の外側に膨出している。
前記排気管60,60は、ダウンフレーム16の左右の両側のシリンダヘッド54の前面からそれぞれ下方に引き出される。
また、シリンダ部固定部76は、シリンダ軸線Cに略直交するように前方から締結されるボルト76a,76a(図4)によって車体フレームFに締結される。
車体フレームFは、鉄鋼材料で構成されるパイプ材及び板材を、溶接及び締結によって結合して形成される。なお、車体フレームFは一部または全部をアルミニウム合金で構成しても良い。
図3及び図6〜図9を参照し、メインフレーム14L,14Rは、ヘッドパイプ13の後面の上部から延びて後方側ほど互いの間隔が車幅方向に広くなる前部14aと、前部14aの後端から延びて後方側ほど互いの間隔が車幅方向に狭くなり、後端がピボットフレーム15L,15Rの上部に接続される後部14bとをそれぞれ備える。メインフレーム14L,14Rは、軸方向の断面が上下に長い楕円状のパイプ材である。
スイングアーム12の前端部は、ケース本体65の後中間固定部73を車幅方向の両外側から挟むように配置され、さらに、ピボット支持孔部15c,15cは、スイングアーム12の前端部を車幅方向の両外側から挟むように配置される。
リンク部材34は、スイングアーム12とリアサスペンション35の下端とを接続する三角リンク34aと、三角リンク34aとリンク部材接続部81とを連結する左右一対のロッド部材34b,34bとを備える。ロッド部材34b,34bの前端は、リンク部材接続部81を車幅方向に貫通するロッド連結ボルト81aによってリンク部材接続部81に連結される。
ロアフレーム17L,17Rは、ダウンフレーム16の下端部から後下方に延びるとともに後方側ほど互いの間隔が車幅方向に広くなる後下方延出部17aと、後下方延出部17aの後端から水平に後方へ延びてピボットフレーム15L,15Rの下端に接続される水平部17bとをそれぞれ備える。ロアフレーム17L,17Rは、断面略円形のパイプ材である。ロアフレーム17L,17Rの軸方向の断面積は、メインフレーム14L,14R、ダウンフレーム16、及び、ピボットフレーム15L,15Rのそれぞれの軸方向の断面積よりも小さい。
また、車体フレームFには、後下固定部74を支持する後下ハンガ部94(第3の低剛性ハンガ)と、後上固定部75を支持する後上ハンガ部95(第2の低剛性ハンガ)と、シリンダ部固定部76を支持するシリンダ部ハンガ部96(第1の低剛性ハンガ)とが設けられる。
詳細には、前上ハンガ部91、前下ハンガ部92及びピボット支持孔部15cは、それぞれ、エンジン10を高剛性で車体フレームFに支持する高剛性ハンガである。他方、後下ハンガ部94、後上ハンガ部95及びシリンダ部ハンガ部96は、それぞれ、上記高剛性ハンガよりも低い剛性でエンジン10を車体フレームFに支持する低剛性ハンガである。
すなわち、前上ハンガ部91では、ハンガプレート97L,97Rの前後長が短いとともに、ハンガプレート97L,97Rで左右から前上固定部71を挟み、さらに屈曲形状により剛性が高められているため、前上固定部71を高剛性で支持することができる。
ケース本体65の前下固定部72は、ハンガプレート99,99の間に配置され、ボルト72aが締結されることでハンガプレート99,99間に固定される。
すなわち、前下ハンガ部92では、ハンガプレート99,99の上下長が短いとともに、ハンガプレート99,99で左右から前下固定部72を挟み、さらに屈曲形状により剛性が高められているため、前下固定部72を高剛性で支持することができる。
ケース本体65の後中間固定部73は、ピボット支持孔部15c,15cの間に配置され、ピボット軸32が締結されることでピボット支持孔部15c,15c間に固定される。
左側のハンガアーム100Lは、サスペンションステー36と左側のピボットフレーム15Lとの間に配置され、ピボットフレーム15Lに対して車幅方向に離間して設けられる。右側のハンガアーム100Rは、サスペンションステー36と右側のピボットフレーム15Rとの間に配置され、ピボットフレーム15Rに対して車幅方向に離間して設けられる。
左側のハンガアーム100Lは、ボルト75aが挿通される孔(不図示)を前端部に備える。
上アーム部101及び下アーム部102の先端部は、図3の側面視において枠体80L,80Rの内側の空間に位置しており、この先端部の内側面には、ナット部101a,102aがそれぞれ設けられる。下アーム部102のナット部102aは、上アーム部101のナット部101aよりも後方且つ下方に位置する。
詳細には、支持板104は、上アーム部101に連結される上連結部104aと、下アーム部102に連結される下連結部104bと、ボルト75aが連結されるボルト連結部104cと、ボルト連結部104cと上連結部104aとを繋ぐ板部104dと、ボルト連結部104cと下連結部104bとを繋ぐ板部104eとを備える。ボルト連結部104cはL字の屈曲部に形成されている。側面視において板部104d,104eは、上連結部104a、下連結部104b及びボルト連結部104cよりも細く形成されている。また、側面視における板部104d,104eの幅は、上アーム部101及び下アーム部102の幅よりも小さい。このため、板部104d,104eの剛性が小さくなり、支持板104は車幅方向に適度に弾性変形することができる。
ケース本体65の後上固定部75は、支持板104のボルト連結部104cと左側のハンガアーム100Lとの間に配置され、ボルト75aが締結されることでハンガアーム100L,100R間に固定される。支持板104及びハンガアーム100Lと後上固定部75との間には、円筒状のカラー75b,75bが介装される。
下ハンガプレート106,106の前端部は、図3の側面視において、枠体80L,80Rの内側まで延びており、この前端部にはボルト74aが挿通される。
後下ハンガ部94では、下ハンガプレート106,106が、リンク部材接続部81からピボットフレーム15L,15Rの下部を前後に跨いで側面視で枠体80L,80Rの内側まで延びており、下ハンガプレート106,106が前後に長い。このため、後下ハンガ部94の剛性を適度に小さくできる。
支持板部108は、ダウンフレーム16を跨いで車幅方向に延びている。すなわち、支持板部108は、固定板部107が固定されたダウンフレーム16の右側面とは反対側の左側面を越えて車幅方向に延出する車幅方向延出部108aを備える。
シリンダ部ハンガ部96は、固定板部107に車幅方向に挿通されるボルト109によってダウンフレーム16の右側面に締結される。また、シリンダ部ハンガ部96は、支持板部108の車幅方向延出部108aに前方から挿通されるボルト76a,76aによってシリンダヘッド54の前面のシリンダ部固定部76に締結される。
メインフレーム14L,14Rは、エンジン10に直接的に連結されておらず、エンジンハンガを備えていない。
枠体80L,80Rの上部、すなわち、枠体80L,80R上において前上ハンガ部91とピボット支持孔部15cとの間の区間には、低剛性ハンガであるシリンダ部ハンガ部96及び後上ハンガ部95が設けられており、高剛性ハンガは設けられていない。このため、低剛性なシリンダ部ハンガ部96及び後上ハンガ部95でエンジン10の支持を補強できるとともに、枠体80L,80Rの上部の剛性を小さくすることができる。このように、枠体80L,80Rの剛性を適度に小さくすることで、前輪2や後輪3側から車体フレームFに入力される路面からの荷重を枠体80L,80Rの弾性変形により分散させることができ、乗員の乗り心地を向上できる。特に、前後に長いとともに乗員に近いメインフレーム14L,14Rにエンジンハンガが設けられていないため、メインフレーム14L,14Rを適度に弾性変形させて乗り心地を効果的に向上できる。
また、低剛性の後上ハンガ部95は、上部クロス部材22に設けられるため、ピボットフレーム15L,15Rの上部を含む上部クロス部材22の周辺部及びメインフレーム14L,14Rを適度に弾性変形させることができる。後上ハンガ部95は、側面視では、前上ハンガ部91とピボット支持孔部15cとの間に位置する。
本第1の実施の形態では、右側のロアフレーム17R及び右側のハンガアーム100Rの支持板104が締結により固定されており着脱可能である。このため、エンジン10を枠体80L,80R内に右側方から組み込み、その後、ロアフレーム17R及び支持板104を組み付けでき、組み付けの作業性が良い。
ロアフレーム17Rは、前端部の外側面に挿通される一対のフレーム固定ボルト110,111によって、ダウンフレーム16の下端に設けられた前端接続部112に締結される。
ロアフレーム17Rは、後端部の外側面に挿通される一対のフレーム固定ボルト113,114によって、ピボットフレーム15Rの下端に設けられた後端接続部115に締結される。
ピボットフレーム15Rの後端接続部115は、ピボットフレーム15Rの下端の前面から前方に延びる中空のパイプ部116と、パイプ部116の車幅方向の内側壁116aが前方に延出した内側延出壁117とを備える。
後端接続部115には、後端接続部115の前面と下部クロス部材23の内側壁116a及び内側延出壁117とに跨って設けられる補強部材118が接続されている。
パイプ部116は、後側のフレーム固定ボルト113が挿通される円筒状のカラー119を備える。内側延出壁117は、前側のフレーム固定ボルト114が挿通される円筒状のカラー120を備える。
カラー120は、補強部材118の側壁118aを車幅方向に貫通して設けられ、この貫通部で側壁118aに溶接されている。カラー120の外端120aは、内側延出壁117の外面に突き当てられている。カラー120の内端は、側壁118aよりも車幅方向内側に位置し、この内端には、フレーム固定ボルト114に締結されるナット114aが当接する。
外側板部材122は、パイプ部121の後端よりも後方に延出する外側延出壁122aを備える。外側延出壁122aは、パイプ部116の外側壁116bに外側から当接する。パイプ部121の車幅方向の内側壁121aは、パイプ部116の内側延出壁117に外側から当接する。
内側カラー123には、フレーム固定ボルト114が挿通される。内側カラー123の内端123aは、パイプ部121の内側壁121aの内面に突き当てられている。内側カラー123の外端123bは、パイプ部121の車幅方向の外側壁121bの孔121cを貫通し、外側板部材122の内面に突き当てられる。
フレーム固定ボルト114は、外側板部材122に形成された孔122cを介して内側カラー123及びカラー120に挿通され、ナット114aによって固定される。
本第1の実施の形態では、内側カラー123の外端123bがパイプ部121を貫通して外側板部材122に突き当てられているため、フレーム固定ボルト114の締結の軸力は、内側カラー123によって受けられ、パイプ部121の外側壁121bは、フレーム固定ボルト114の軸力によって潰されることがない。このため、ロアフレーム17Rを高精度に且つ強固にピボットフレーム15Rへ固定することができる。
また、ピボットフレーム15L,15Rは、左右のピボットフレーム15L,15Rの下部を連結する下部クロス部材23を備えるとともに、下部クロス部材23の後方にスイングアーム12を支持するリンク部材接続部81を備え、側面視で前下ハンガ部92とピボット支持孔部15cとの間において、リンク部材接続部81に支持されるとともに下部クロス部材23を跨いで配置されクランクケース部51の下部を支持する第3の低剛性ハンガとしての後下ハンガ部94が設けられる。これにより、下部クロス部材23の後方のリンク部材接続部81から下部クロス部材23を跨いでクランクケース部51の下部を支持する前後に長い後下ハンガ部94でクランクケース部51の下部を支持するため、後下ハンガ部94によってクランクケース部51の支持を補強できるとともに、ピボットフレーム15L,15Rの下部の周辺部の剛性を適度な大きさにすることができる。このため、乗員の乗り心地を良好にできる。
以下、図12を参照して、本発明を適用した第2の実施の形態について説明する。この第2の実施の形態において、上記第1の実施の形態と同様に構成される部分については、同符号を付して説明を省略する。
本第2の実施の形態は、ハンガアーム100Rに固定されて後上固定部75を支持する支持板204の形状が、上記第1の実施の形態の支持板104と異なっている。
支持板204は、上アーム部101に連結される上連結部204aと、下アーム部102に連結される下連結部204bと、ボルト75aが連結されるボルト連結部204cと、上連結部204aと下連結部204bとを繋ぐ板部204dと、下連結部204bとボルト連結部204cとを繋ぐ板部204eとを備える。
側面視において板部204d,204eは、上連結部204a、下連結部204b及びボルト連結部204cよりも細く形成されている。また、側面視における板部204d,204eの幅は、上アーム部101及び下アーム部102の幅よりも小さい。このため、板部204d,204eの剛性が小さくなり、支持板204は車幅方向に適度に弾性変形することができる。また、ボルト連結部204cは、実質的に、下アーム部102の先端部を支点として1枚の板部204eによって支持されている。このため、支持板204の剛性が小さくなり、支持板204は車幅方向に適度に弾性変形することができる。
上記第1及び第2の実施の形態では、前部ハンガとして前上ハンガ部91及び前下ハンガ部92が設けられるものとして説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、前部ハンガは、前上ハンガ部91または前下ハンガ部92の少なくともいずれかが設けられていれば良い。
また、上記第1及び第2の実施の形態では、ハンガアーム100L,100Rは、側面視でサスペンション連結ボルト35aよりも後方のピボットフレーム15L,15Rの後部から枠体80L,80Rの内側まで延びるものとして説明したが、ハンガアーム100L,100Rは、サスペンション連結ボルト35aとの位置関係に係わらずピボットフレーム15L,15Rの後部から延びていれば良い。
10 エンジン
12 スイングアーム
13 ヘッドパイプ
14L,14R メインフレーム
15c ピボット支持孔部(後部ハンガ、高剛性ハンガ)
15L,15R ピボットフレーム
16 ダウンフレーム
17L,17R ロアフレーム
22 上部クロス部材(クロス部材)
23 下部クロス部材(クロス部材)
50 クランク軸
51 クランクケース部
52 シリンダ部
80L,80R 枠体
81 リンク部材接続部(リンクロッド支持部)
91 前上ハンガ部(前部ハンガ、高剛性ハンガ、前上ハンガ)
92 前下ハンガ部(前部ハンガ、高剛性ハンガ、前下ハンガ)
94 後下ハンガ部(第3の低剛性ハンガ、低剛性ハンガ)
95 後上ハンガ部(第2の低剛性ハンガ、低剛性ハンガ)
96 シリンダ部ハンガ部(第1の低剛性ハンガ、低剛性ハンガ)
F 車体フレーム
Claims (5)
- ヘッドパイプ(13)、当該ヘッドパイプ(13)から後方に延びる左右一対のメインフレーム(14L,14R)、当該メインフレーム(14L,14R)の後部から下方に延びる左右一対のピボットフレーム(15L,15R)、前記ヘッドパイプ(13)から下方に延びるダウンフレーム(16)、及び、当該ダウンフレーム(16)の下端から後方に延びて左右一対の前記ピボットフレーム(15L,15R)の下端に接続される左右一対のロアフレーム(17L,17R)によって側面視で枠体(80L,80R)が形成されるとともに、左右の前記ピボットフレーム(15L,15R)がクロス部材(22,23)によって連結される車体フレーム(F)と、クランク軸(50)を支持するクランクケース部(51)、及び、当該クランクケース部(51)から上方に延出するシリンダ部(52)を備えるエンジン(10)とを備える鞍乗り型車両のエンジン支持構造において、
前記エンジン(10)は、前記クランクケース部(51)の前部を支持する前部ハンガ(91,92)と、前記ピボットフレーム(15L,15R)に設けられ前記クランクケース部(51)の後部を支持する後部ハンガ(15c)とを剛性が高い高剛性ハンガとして前記車体フレーム(F)の下部に支持されるとともに、前記車体フレーム(F)の前記枠体(80L,80R)に沿って前記高剛性ハンガ(91,92,15c)の間に設けられる低剛性ハンガ(94,95,96)によって前記車体フレーム(F)に支持され、
前記前部ハンガは、前記ダウンフレーム(16)に設けられ前記クランクケース部(51)の前上部を支持する前上ハンガ(91)と、前記ロアフレーム(17L,17R)に設けられ前記クランクケース部(51)の前下部を支持する前下ハンガ(92)とを備え、前記高剛性ハンガは、前記前上ハンガ(91)、前記前下ハンガ(92)及び前記後部ハンガ(15c)の3点で構成され、
側面視で前記枠体(80L,80R)に沿って前記前上ハンガ(91)と前記後部ハンガ(15c)との間において前記ダウンフレーム(16)に設けられ前記シリンダ部(52)の前部を支持する第1の低剛性ハンガ(96)が設けられ、
前記シリンダ部(52)のシリンダ軸線(C)は、鉛直方向に対して前傾しており、
前記前上ハンガ(91)は、前記ダウンフレーム(16)の下部に設けられ、
前記第1の低剛性ハンガ(96)は、前記ダウンフレーム(16)の上部に設けられることを特徴とする鞍乗り型車両のエンジン支持構造。 - 側面視で前記枠体(80L,80R)に沿って前記前上ハンガ(91)と前記後部ハンガ(15c)との間において左右の前記ピボットフレーム(15L,15R)の上部を連結する上部クロス部材(22)に設けられ、前記クランクケース部(51)の上部を支持する第2の低剛性ハンガ(95)が設けられることを特徴とする請求項1記載の鞍乗り型車両のエンジン支持構造。
- 前記メインフレーム(14L,14R)は、前記ヘッドパイプ(13)から左右の外方に湾曲しつつ後方に向かって延出し、前記メインフレーム(14L,14R)には、前記エンジン(10)を支持するエンジンハンガが設けられていないことを特徴とする請求項2記載の鞍乗り型車両のエンジン支持構造。
- 前記ピボットフレーム(15L,15R)は、左右の前記ピボットフレーム(15L,15R)の下部を連結する下部クロス部材(23)を備えるとともに、当該下部クロス部材(23)の後方にスイングアーム(12)を支持するリンクロッド支持部(81)を備え、
側面視で前記枠体(80L,80R)に沿って前記前下ハンガ(92)と前記後部ハンガ(15c)との間において、前記リンクロッド支持部(81)に支持されるとともに前記下部クロス部材(23)を跨いで配置され前記クランクケース部(51)の下部を支持する第3の低剛性ハンガ(94)が設けられることを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載の鞍乗り型車両のエンジン支持構造。 - 前記ロアフレーム(17L,17R)は、前記メインフレーム(14L,14R)、前記ダウンフレーム(16)及び前記ピボットフレーム(15L,15R)よりも断面積が小さいパイプ状フレームであることを特徴とする請求項4記載の鞍乗り型車両のエンジン支持構造。
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