JP6100536B2 - 電極の製造方法 - Google Patents
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Description
正極および負極として用いられるシート状の電極は、アルミニウムあるいは銅を圧延した箔(ベース)の表面に、正極あるいは負極としての活物質の層を形成したものである。
このような湿式塗布法では、溶剤を蒸発させる工程が必須のため局所排気を必要とし、設備が大がかりになるだけでなく、湿式のため調合の際の粘度調整が活物質などの粉体材料の湿度の影響などを受けるため塗膜の安定性も十分でなかったことから、活物質、導電助材および結着材をベース上に粉体塗装する乾式塗布法が開発されている(特許文献1参照)。
これらの活物質、導電助剤および結着材の粉末は、静電塗装にあたって加振器で加振されるとともに、電解印加用電極によりベースに対して正負逆に帯電され、静電気力によりベースに吸着される。そして、乾燥炉で過熱されることで、結着材が溶融されて活物質および導電助剤がベース上に固定される。
なお、特許文献1には、予め活物質に結着材を溶融付着させて複合粉末としておき、これをベース上に粉体塗装することも記載されている。
一方、特許文献1に記載された複合粉末による粉体塗装では複合粉末による粉体塗装を行うためには、スプレードライ法などによる複合粉末を製造するための前工程として、溶剤に溶かしたPVDF(ポリフッ化ビニリデン)を活物質にスプレーした後に乾燥して溶剤を蒸発させる必要があり、既存の湿式塗布法と同様の問題があり採用が難しい。
このようなことから、特許文献1に記載されたような乾式塗布法は実用化が困難とされ、前述した従来の湿式塗布法に依存しているのが現状であった。
すなわち、図7に示すように、ベース71に静電塗装を行って活物質層72を形成する場合、その主成分である活物質73の平均粒径に対し、結着材74の平均粒径が大きい(平均粒径比が大きい、例えば0.7超)であると、静電塗布後の加熱工程で結着材74の粒子が溶け流れて活物質73の粒子間に入り込み、所定の密着強度を得る為には後述する混合粉末の結着材74が15重量%以上となるように配合する必要がでてくる。
このために、本発明は次の通りの構成を備える。
前記結着材の粉末の前記活物質の粉末に対する平均粒径比が0.7以下であり、
前記混合粉末を前記ベースの表面に塗布する前に、前記活物質の粉末に前記結着材の粉末を結合させておくことを特徴とする。
このような攪拌機を用いる場合、各粉末に十分な摩擦帯電が生じる程度に回転羽根の回転速度を高めるように調整する。具体的には、撹拌の結果を観察し、前記活物質の粉末に前記結着材の粉末が結合した状態が得られるように調整を行う。
これにより、製造工程が簡単でベースに対する活物質層の密着強度が確保できる電極の製造方法を実現することができる。
結着材の粉末を活物質の粉末に対して平均粒径比0.7以下にする手段としては、既存の破砕機および分級機を用いるものとする。
混合粉末を加熱して融着させる手段としては、加熱炉を通す方法のほか、加熱を伴うロールプレスを利用することができる。プレスを行うようにすれば、活物質層における各粒子の間隔を詰めて強度を高めることにも好適である。
このような本発明では、リチウムイオン電池などに用いられる電極に好適な活物質層を形成することができる。
なお、活物質層には、活物質および結着材のほかに導電助剤が含まれていてもよく、このような導電助剤の好適な成分比率としては概ね5重量%である。
図1には、本発明に基づいて電極を製造する電極製造装置1が示されている。
電極製造装置1は、ベース71の表面に活物質73および結着材74を含む活物質層72を有する電極70(図3参照)を製造するものであり、作成部2、塗装部3、融着部4および巻取部5を備えている。
作成部2は、架台21の上部に活物質タンク22および結着材タンク23を備え、各々の下方に撹拌機24および定量供給機25を備え、架台21の下部から塗装部3に至る空気輸送機26を備えている。
なお、詳細は後述するが、活物質73の粒径に対し、結着材74の粒径は小さいものとされている。
撹拌機24は、回転羽根の回転速度が調整可能とされ、この回転羽根は混合粉末75の各粒子(活物質73の粒子および結着材74の粒子)にそれぞれ所期の摩擦帯電が得られるように回転速度を調整される。
空気輸送機26は、定量供給機25から送り出された混合粉末75を、外部から供給される空気流により搬送し、塗装部3へ供給する。
塗装部3は、架台31の上部に巻出機32を備え、架台31の上部から下部にかけて巻出機32から送り出されたベース71を搬送するローラ群33を備えている。架台31の内部には垂直に張られたベース71を包囲する塗装ブース34が設置され、塗装ブース34には集塵機36および静電塗装用の電極35が設置されている。
ローラ群33は、巻出機32から引き出されたベース71を案内し、架台31内で縦方向に送り、後工程である融着部4へ送り出すように構成されている。
塗装ブース34の下部には、作成部2の空気輸送機26により混合粉末75を含んだ空気が供給される。
塗装ブース34の下部に供給された混合粉末75を含む空気は、電極35とベース71との間を通る際に混合粉末75が帯電され、帯電した混合粉末75はベース71の表面に静電吸着されて活物質層72を形成する。
集塵機36は、塗装ブース34の上部に設置され、塗装ブース34内の搬送用の空気を吸引し、集塵したうえで外部へと排出する。
表面に活物質層72が形成されたベース71は、連続して融着部4へと送られる。
融着部4は、塗装部3から連続的に送られるベース71を加熱する加熱装置41と、加熱された活物質層72を圧迫してベース71に定着させるロールプレス42とを備えている。
このような融着を経て、表面に活物質層72が融着されたベース71が電極70(図3参照)とされる。
巻取部5は、巻取機51を有し、融着部4で形成された電極70をコイル状に巻き取ることができる。
本実施形態において、混合粉末75として混合される活物質73および結着材74は、活物質73が85〜95重量%、結着材74が15〜5重量%とされる。これは、電極70とした際に好適な電気的特性が得られ、かつ付着強度が好適となる範囲である。
活物質73に用いる黒鉛の平均粒径は一般に5〜30μm程度とされる。一方、結着材74に用いるPVDFの平均粒径は一般に150〜200μmである。このため、結着材74として用いる際には、予め粉砕機で数μmから数十μm程度にまで粉砕し、前述した平均粒径比となるように調整しておく。
結着材74の平均粒径比が活物質73に対して0.2のとき、結着材74の下限は5重量%でよい。しかし、平均粒径比が大きくなるにつれ、活物質73の間に入り込みにくくなるため、同じ活物質73に対してより多くの結着材74が必要となる。このために、平均粒径比が大きくなるに従って好ましい結着材74の下限は高くなり、平均粒径比0.7のとき結着材74は10重量%を確保することが望ましい(図4の下の曲線)。
更に好ましくは、平均粒径比が0.2のとき結着材74が8重量%以上で、平均粒径比が0.7のとき結着材74が15重量%以上である(図4の上の曲線)。
図5に示すように、混合粉末75における結着材74の比率(横軸)が高まると、活物質73の比率が相対的に低下するので、放電容量(縦軸)が小さくなる傾向にある。
実際には、混合粉末75中の活物質73の粒子および結着材74の粒子における摩擦帯電の状況は測定が困難である。従って、幾つかの条件設定のもとで実際に電極70を製造し、その活物質層72の密着強度を評価することが望ましい。
なお、回転数が1700rpmを超えると、活物質に割れが生じることがあるので、この回転速度以下で使用することが望ましい。
これにより、製造工程が簡単でベース71に対する活物質層72の密着強度が確保された電極70を製造することができる。
例えば、活物質73としては、正極用のマンガン酸リチウムのほか、ニッケル酸リチウムあるいはコバルト酸リチウム等、他の金属酸化物を用いてもよい。また、活物質73には導電助剤を添加してもよいが、導電助剤としては黒鉛に限らず、他の導電材料であってもよい。
電極製造装置1において、作成部2、塗装部3、融着部4および巻取部5の各部要素は適宜変更してもよく、追加的な他の要素を含んでいてもよい。
前述した実施形態では、電極製造装置1の作成部2に撹拌機24を設置し、混合粉末75を生成する際に、攪拌による摩擦帯電を利用して活物質73の粉末に結着材74の粉末を結合させていた。
これに対し、活物質73の粉末に結着材74の粉末をメカノケミカル的に結合させる処理を行ってもよい。
このような参考形態によれば、メカノフュージョン装置において、活物質73の粉末と結着材74の粉末とをメカノケミカル的に結合させ、混合粉末75として生成することができる。
2…作成部
21…架台
22…活物質タンク
23…結着材タンク
24…撹拌機
25…定量供給機
26…空気輸送機
3…塗装部
31…架台
32…巻出機
33…ローラ群
34…塗装ブース
35…電極
36…集塵機
4…融着部
41…加熱装置
42…ロールプレス
5…巻取部
51…巻取機
70…電極
71…ベース
72…活物質層
73…活物質
74…結着材
75…混合粉末
Claims (2)
- ベースの表面に活物質および結着材を含む活物質層を有する電極を製造するために、前記活物質の粉末および前記結着材の粉末を混合して混合粉末を作成し、前記混合粉末を前記ベースの表面に静電塗装し、塗装された前記混合粉末を加熱して融着させる電極の製造方法であって、
前記結着材の粉末の前記活物質の粉末に対する平均粒径比が0.7以下であり、
前記混合粉末を前記ベースの表面に塗布する前に、前記活物質の粉末と前記結着材の粉末とを、回転羽根を有する攪拌機に導入し、攪拌により前記混合粉末を生成するとともに、前記混合粉末中の前記活物質の粉末と前記結着材の粉末とを摩擦帯電により結合させる処理を行うことを特徴とする電極の製造方法。 - 請求項1に記載した電極の製造方法において、
前記混合粉末は前記活物質が85〜95重量%、前記結着材が15〜5重量%であることを特徴とする電極の製造方法。
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