JP6094598B2 - 電池システム - Google Patents

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Description

本発明は、二次電池の劣化状態や充電状態を推定する電池システムに関する。
特許文献1では、電解液中のリチウムイオン濃度の偏りの変化に応じて評価値を算出し、評価値に基づいて、二次電池の出力を制御している。ここで、評価値は、二次電池の劣化を評価する値である。
二次電池を放電すると、電解液中のリチウムイオンが負極から正極に向かって移動することにより、電解液中において、リチウムイオン濃度の偏りが発生する。このリチウムイオン濃度の偏りが二次電池の劣化の要因と考え、特許文献1では、電極間におけるリチウムイオン濃度の偏りに応じた評価値を算出している。
特開2009−123435号公報
二次電池を充放電したときには、電極間におけるリチウムイオン濃度の偏りが発生するだけではない。具体的には、正極および負極が互いに対向する平面内において、リチウムイオン濃度の偏りが発生したり、正極および負極の間に存在するリチウムイオン濃度が変化したりする。電極の平面内におけるリチウムイオン濃度の偏りや、電極間のリチウムイオン濃度の変化も、二次電池の劣化に影響を与えてしまう。
本発明の電池システムは、充放電を行う二次電池と、二次電池の劣化状態又は充電状態を推定するコントローラと、を有する。ここで、コントローラは、劣化状態又は充電状態を推定するとき、正極および負極の間における平均イオン濃度を用いる。この平均イオン濃度は、二次電池に流れる電流に応じて変化する。
二次電池に流れる電流によっては、正極および負極の間における平均イオン濃度、言い換えれば、正極および負極の間に存在するイオンの量が変化する。例えば、二次電池の放電状態によっては、正極および負極の間から電解液が漏れてしまい、結果として、電極間の平均イオン濃度が低下してしまう。
このように、電極間の平均イオン濃度が変化すると、二次電池の劣化状態や充電状態に影響を与えてしまう。そこで、本発明では、二次電池の劣化状態や充電状態を推定するときに、電極間の平均イオン濃度を考慮している。これにより、平均イオン濃度を反映させた状態で、劣化状態や充電状態を把握することができる。
電極間の平均イオン濃度は、二次電池の面圧を変数として含む演算式を用いて算出することができる。電極間の平均イオン濃度は、二次電池の面圧に依存するため、二次電池の面圧を把握できれば、電極間の平均イオン濃度を算出することができる。
例えば、面圧のバラツキによって、正極および負極の間から電解液が漏れてしまい、平均イオン濃度を低下させてしまう。このため、二次電池の面圧を把握すれば、電極間の平均イオン濃度を算出することができる。二次電池の面圧は、圧力センサを用いて検出することができる。また、二次電池の面圧は、二次電池に流れる電流に依存するため、二次電池の電流から面圧を推定することもできる。二次電池の電流は、電流センサを用いて検出することができる。
二次電池の劣化状態又は充電状態は、平均イオン濃度だけではなく、正極および負極の間におけるイオン濃度偏りにも依存する。このため、電極間の平均イオン濃度だけでなく、電極間のイオン濃度偏りも把握することにより、劣化状態や充電状態の推定精度を向上させることができる。
ここで、電極間のイオン濃度偏りは、二次電池に流れる電流に応じて変化する。このため、電流センサを用いて、二次電池に流れる電流を検出すれば、電極間のイオン濃度偏りを算出することができる。具体的には、電流値を変数として含む演算式に、電流センサの検出値を代入することにより、電極間のイオン濃度偏りを算出することができる。
二次電池の劣化状態は、平均イオン濃度だけではなく、正極および負極が対向する平面内(電極面内)におけるイオン濃度偏りにも依存する。このため、電極間の平均イオン濃度だけでなく、電極面内のイオン濃度偏りも把握することにより、劣化状態の推定精度を向上させることができる。
電極面内のイオン濃度偏りは、二次電池の面圧に依存する。具体的には、面圧のバラツキによって、電極面内において、イオン濃度の偏りが発生しやすくなる。このため、二次電池の面圧を把握すれば、電極面内のイオン濃度偏りを算出することができる。具体的には、面圧を変数として含む演算式を用いることにより、イオン濃度の偏りを算出することができる。
一方、電極間の平均イオン濃度、電極間のイオン濃度偏りおよび、電極面内のイオン濃度偏りを把握すれば、劣化状態の推定精度を更に向上させることができる。二次電池の劣化状態を推定したときであって、推定した劣化状態を規定するパラメータが閾値よりも大きいとき、二次電池の出力又は入力を制限することができる。
これにより、劣化状態を規定するパラメータの上昇を抑制でき、二次電池の寿命を向上させることができる。また、上述したように、劣化状態の推定精度を向上させることができれば、二次電池の入出力を過度に制限することを抑制でき、二次電池の入出力性能を向上させることができる。また、二次電池の入出力を過度に緩和することも抑制でき、二次電池の劣化が進行しすぎてしまうことを抑制できる。結果として、二次電池の寿命を向上させることができる。
活物質内の平均イオン濃度を算出すれば、二次電池の充電状態を推定することができる。すなわち、活物質内の平均イオン濃度および充電状態の対応関係を求めておけば、活物質内の平均イオン濃度を算出することにより、二次電池の充電状態を特定することができる。活物質内の平均イオン濃度は、活物質内のイオン濃度分布から算出することができる。
活物質内のイオン濃度分布は、活物質の界面における境界条件を設定した上で、拡散方程式を用いて算出することができる。ここで、境界条件は、電流密度に依存するため、電流密度を算出すれば、境界条件を特定することができる。電流密度は、電池モデル式を用いて、二次電池の電圧と、濃度過電圧とから算出することができる。
二次電池の電圧は、電圧センサを用いて検出することができる。濃度過電圧は、電極間の平均イオン濃度と、電極間のイオン濃度偏りに依存する。このため、上述したように、電極間における平均イオン濃度およびイオン濃度偏りを算出すれば、濃度過電圧を把握することができる。
電池システムの構成を示す図である。 二次電池の構成を示す概略図である。 電極間におけるイオン濃度偏りを説明する図である。 電極面内におけるイオン濃度偏りを説明する図である。 電極間における平均イオン濃度を説明する図である。 電極間のイオン濃度偏りを算出する処理を示すフローチャートである。 電極面内のイオン濃度偏りを算出する処理を示すフローチャートである。 電極間の平均イオン濃度を算出する処理を示すフローチャートである。 劣化値を算出する処理を示すフローチャートである。 二次電池の出力を制御する処理を示すフローチャートである。 二次電池の出力を制御するときにおいて、劣化値および出力電力の変化を示す図である。 二次電池の入力を制御する処理を示すフローチャートである。 二次電池の入力を制御するときにおいて、劣化値および入力電力の変化を示す図である。 電池モデル式で用いられる変数等の一覧を示す図である。 電池モデルを説明する概念図である。 極座標で示された活物質モデルを示す概念図である。 二次電池の端子電圧と各種平均電位との関係を示す図である。 拡散係数の温度依存性を説明する図である。 開放電圧(正極)および局所SOCの関係を示す図である。 開放電圧(負極)および局所SOCの関係を示す図である。 コントローラの内部に設けられた電池状態推定部の構成を示す概略図である。 SOCおよびリチウム平均濃度の関係を示す図である。 SOCを推定する処理を示すフローチャートである。
以下、本発明の実施例について説明する。
図1は、本実施例である電池システムの構成を示す図である。図1に示す電池システムは、車両に搭載することができる。車両としては、HV(Hybrid Vehicle)、PHV(Plug-in Hybrid Vehicle)およびEV(Electric Vehicle)がある。なお、二次電池を充放電するシステムであれば、本発明を適用することができる。
HVは、車両を走行させるための動力源として、後述する組電池に加えて、内燃機関又は燃料電池といった他の動力源を備えている。PHVでは、HVにおいて、外部電源からの電力を用いて組電池を充電できる。EVは、車両の動力源として、組電池だけを備えており、外部電源からの電力供給を受けて、組電池を充電することができる。外部電源とは、車両の外部において、車両とは別に設けられた電源(例えば、商用電源)である。
組電池100は、電気的に直列に接続された複数の二次電池1を有する。単電池としての二次電池1には、ニッケル水素電池やリチウムイオン電池などがある。二次電池1の数は、組電池100の要求出力などに基づいて、適宜設定することができる。
本実施例の組電池100では、すべての二次電池1が電気的に直列に接続されているが、これに限るものではない。すなわち、組電池100には、電気的に並列に接続された複数の二次電池1を含めることもできる。監視ユニット201は、組電池100の端子間電圧を検出したり、各二次電池1の電圧Vbを検出したりし、検出結果をコントローラ300に出力する。
組電池100を構成する複数の二次電池1が、複数の電池ブロックに分けられているとき、監視ユニット201は、各電池ブロックの電圧を検出することもできる。電池ブロックは、電気的に直列に接続された複数の二次電池1によって構成されており、複数の電池ブロックが電気的に直列に接続されることにより、組電池100が構成される。
電流センサ202は、組電池100に流れる電流Ibを検出し、検出結果をコントローラ300に出力する。本実施例では、放電電流Ibを正の値(Ib>0)とし、充電電流Ibを負の値(Ib<0)としている。本実施例では、組電池100の正極端子と接続された正極ラインPLに、電流センサ202を設けているが、これに限るものではない。すなわち、電流センサ202は、電流Ibを検出することができればよい。例えば、組電池100の負極端子と接続された負極ラインNLに、電流センサ202を設けることができる。また、複数の電流センサ202を設けることもできる。
温度センサ203は、組電池100(二次電池1)の温度Tbを検出し、検出結果をコントローラ300に出力する。温度センサ203の数は、適宜設定することができる。ここで、複数の温度センサ203を用いれば、互いに異なる位置に配置された複数の二次電池1の温度Tbを検出することができる。
コントローラ300は、メモリ300aを有しており、メモリ300aは、コントローラ300が所定処理(例えば、本実施例で説明する処理)を行うための各種の情報を記憶している。本実施例では、メモリ300aが、コントローラ300に内蔵されているが、コントローラ300の外部にメモリ300aを設けることもできる。
正極ラインPLには、システムメインリレーSMR−Bが設けられている。システムメインリレーSMR−Bは、コントローラ300からの制御信号を受けることにより、オンおよびオフの間で切り替わる。負極ラインNLには、システムメインリレーSMR−Gが設けられている。システムメインリレーSMR−Gは、コントローラ300からの制御信号を受けることにより、オンおよびオフの間で切り替わる。
システムメインリレーSMR−Gには、システムメインリレーSMR−Pおよび電流制限抵抗204が電気的に並列に接続されている。システムメインリレーSMR−Pおよび電流制限抵抗204は、電気的に直列に接続されている。システムメインリレーSMR−Pは、コントローラ300からの制御信号を受けることにより、オンおよびオフの間で切り替わる。電流制限抵抗204は、組電池100を負荷(具体的には、インバータ205)と接続するときに、突入電流が流れることを抑制するために用いられる。
組電池100をインバータ205と接続するとき、コントローラ300は、まず、システムメインリレーSMR−Bをオフからオンに切り替えるとともに、システムメインリレーSMR−Pをオフからオンに切り替える。これにより、電流制限抵抗204に電流が流れることになる。
次に、コントローラ300は、システムメインリレーSMR−Gをオフからオンに切り替えるとともに、システムメインリレーSMR−Pをオンからオフに切り替える。これにより、組電池100およびインバータ205の接続が完了し、図1に示す電池システムは、起動状態(Ready-On)となる。コントローラ300には、車両のイグニッションスイッチに関する情報が入力され、コントローラ300は、イグニッションスイッチがオフからオンに切り替わることに応じて、図1に示す電池システムを起動する。
一方、イグニッションスイッチがオンからオフに切り替わったとき、コントローラ300は、システムメインリレーSMR−B,SMR−Gをオンからオフに切り替える。これにより、組電池100およびインバータ205の接続が遮断され、図1に示す電池システムは、停止状態(Ready-Off)となる。
インバータ205は、組電池100からの直流電力を交流電力に変換し、交流電力をモータ・ジェネレータ206に出力する。モータ・ジェネレータ206としては、例えば、三相交流モータを用いることができる。モータ・ジェネレータ206は、インバータ205からの交流電力を受けて、車両を走行させるための運動エネルギを生成する。モータ・ジェネレータ206によって生成された運動エネルギは、車輪に伝達され、車両を走行させることができる。
車両を減速させたり、停止させたりするとき、モータ・ジェネレータ206は、車両の制動時に発生する運動エネルギを電気エネルギ(交流電力)に変換する。インバータ205は、モータ・ジェネレータ206が生成した交流電力を直流電力に変換し、直流電力を組電池100に出力する。これにより、組電池100は、回生電力を蓄えることができる。
本実施例では、組電池100をインバータ205に接続しているが、これに限るものではない。具体的には、組電池100およびインバータ205を接続する電流経路において、昇圧回路を設けることができる。昇圧回路は、組電池100の出力電圧を昇圧し、昇圧後の電力をインバータ205に出力することができる。また、昇圧回路は、インバータ205の出力電圧を降圧し、降圧後の電力を組電池100に出力することができる。
次に、二次電池1の構成について、図2を用いて説明する。図2では、二次電池1の一例として、リチウムイオン二次電池を用いている。図2に示す座標軸xは、電極の厚み方向における位置を示す。
二次電池1は、正極141と、負極142と、セパレータ143とを有する。セパレータ143は、正極141および負極142の間に位置しており、電解液を含んでいる。なお、電解液の代わりに、固体電解質を用いることもできる。すなわち、正極141および負極142の間に、固体電解質の層を設けることができる。
正極141は、アルミニウムなどで形成された集電板141aを有しており、集電板141aは、二次電池1の正極端子11と電気的に接続されている。負極142は、銅などで形成された集電板142aを有しており、集電板142aは、二次電池1の負極端子12と電気的に接続されている。
負極142および正極141のそれぞれは、球状の活物質142b,141bの集合体を有する。図2に示すように、二次電池1を放電するとき、負極142の活物質142bの界面上では、リチウムイオンLi+および電子e-を放出する化学反応が行われる。また、正極141の活物質141bの界面上では、リチウムイオンLi+および電子e-を吸収する化学反応が行われる。
一方、二次電池1を充電するとき、負極142の活物質142bの界面上では、リチウムイオンLi+および電子e-を吸収する化学反応が行われる。また、正極141の活物質141bの界面上では、リチウムイオンLi+および電子e-を放出する化学反応が行われる。このように、負極142および正極141の間でのリチウムイオンLi+の授受によって、二次電池1の充放電が行われ、充電電流Ib(Ib<0)または放電電流Ib(Ib>0)が生じる。
電解液中のリチウムイオン濃度に関しては、3つの状態が発生する。以下に説明する3つの状態は、二次電池1の性能(言い換えれば、劣化状態)に影響を与える。このため、二次電池1の性能を把握するためには、以下に説明する3つの状態を考慮することが好ましい。
第1の状態は、正極141および負極142の間におけるリチウムイオン濃度の偏りである。上述したように、二次電池1を充放電すると、一方の電極から他方の電極に向かって、リチウムイオンが電解液中を移動する。そして、二次電池1の充放電に応じて、リチウムイオンが正極141の側に偏ったり、負極142の側に偏ったりする。具体的には、二次電池1を放電すれば、リチウムイオンが正極141の側に偏る。また、二次電池1を充電すれば、リチウムイオンが負極142の側に偏る。
図3は、正極141および負極142の間におけるリチウムイオン濃度の偏り(一例)を示す。図3に示す矢印は、リチウムイオン濃度の偏りが発生する方向を示している。すなわち、図3に示す矢印は、正極141および負極142がセパレータ143(電解液)を挟む方向を示している。図3に示す例では、リチウムイオン濃度が負極142の側に偏った状態を示している。
すなわち、負極142の側におけるリチウムイオン濃度は、正極141の側におけるリチウムイオン濃度よりも高くなっている。なお、正極141の側にリチウムイオン濃度が偏ることもある。この場合には、正極141の側におけるリチウムイオン濃度が、負極142の側におけるリチウムイオン濃度よりも高くなる。
第2の状態は、電極の平面内におけるリチウムイオン濃度の偏りである。二次電池1を充放電したときには、正極141又は負極142の側にリチウムイオン濃度が偏るだけでなく、電極の平面内においても、リチウムイオン濃度が偏ることがある。ここで、電極の平面とは、正極141および負極142が互いに対向する平面(電極面という)である。
図4は、電極面内におけるリチウムイオン濃度の偏り(一例)を示す。図4に示す矢印は、リチウムイオン濃度の偏りが発生する方向を示している。電極面は、図4に示す紙面と直交する面であり、図4に示す矢印は、電極面を規定する1つの方向を示している。図4の矢印で示す方向と、この方向と直交する方向とによって、電極面が規定される。
図4に示す例では、正極141や負極142の両端にリチウムイオン濃度が偏った状態を示している。正極141や負極142の両端とは、図4の矢印で示す方向に関して、正極141や負極142の両端である。二次電池1を放電したときには、図4に示すように、リチウムイオン濃度が偏ることがある。ここで、正極141や負極142の両端におけるリチウムイオン濃度は、正極141や負極142の中央におけるリチウムイオン濃度よりも高くなる。
一方、二次電池1を充電したとき、リチウムイオン濃度の偏りは、図4に示す挙動と逆の挙動を示す。すなわち、二次電池1を充電したとき、正極141や負極142の中央にリチウムイオン濃度が偏ることもある。ここで、正極141や負極142の中央におけるリチウムイオン濃度は、正極141や負極142の両端におけるリチウムイオン濃度よりも高くなる。
第3の状態は、電解液中のリチウムイオン濃度の変化である。電極面内において、圧力のバラツキが発生すると、正極141および負極142の間から電解液が押し出されてしまうことがある。具体的には、二次電池1を放電したときには、正極141および負極142の間から電解液が押し出されてしまうことがある。
電解液が押し出されることにより、正極141および負極142の間に存在するリチウムイオンが減少する。言い換えれば、二次電池1の充放電に寄与するリチウムイオンが減少する。このようにリチウムイオンが減少すれば、正極141および負極142の間に位置するリチウムイオン濃度の平均値が低下する。上述したように、正極141および負極142の間において、リチウムイオン濃度が偏ることがあるが、このような偏りを考慮して、リチウムイオン濃度の平均値が用いられる。ここで、リチウムイオン濃度の平均値を、平均イオン濃度という。
二次電池1を充電又は放電するときのレート(電流値)が高くなるほど、電極面内において、圧力のバラツキが発生しやすくなる。ここで、図5は、平均イオン濃度が低下する状態(一例)を示している。電極面内に圧力のバラツキが発生すると、図5に示すように、正極141および負極142の間から電解液が漏れてしまう。図5に示す状態は、二次電池1を放電したときに発生する。
一方、二次電池1を充電したときには、図5に示す挙動と逆の挙動が発生する。二次電池1の充電によって、電極面内における圧力のバラツキが発生すると、正極141および負極142の間に電解液が浸入する。これに伴い、平均イオン濃度が上昇する。
上述した第1の状態に関して、正極および負極の間におけるリチウムイオン濃度の偏りを、電極間のイオン濃度偏りという。電極間のイオン濃度偏りは、下記式(1)に基づいて算出することができる。
上記式(1)において、dCeは、電極間のイオン濃度偏りを示し、tは、時間を示す。Δtは、イオン濃度偏りを算出する周期(サイクルタイム)を示す。上記式(1)に示すように、サイクルタイムΔtが経過した後のイオン濃度偏りdCe(t+Δt)は、時間t(前回)のイオン濃度偏りdCe(t)に基づいて算出される。
サイクルタイムΔtは、適宜設定することができる。ここで、サイクルタイムΔtを短くするほど、イオン濃度偏りdCeを精度良く把握することができる。ただし、サイクルタイムΔtが短くなるほど、演算負荷が増加してしまう。このため、イオン濃度偏りdCeの精度や演算負荷などを考慮して、サイクルタイムΔtの値を適宜設定することができる。
上記式(1)に示すdCerelaxationは、サイクルタイムΔtの間において、イオン濃度の偏りを緩和させる項(緩和項)である。緩和項dCerelaxationは、時間t(前回)におけるイオン濃度偏りdCe(t)から減算される。このため、緩和項dCerelaxationが増加するほど、イオン濃度偏りdCe(t+Δt)が減少することになる。すなわち、電極間のイオン濃度偏りdCeが抑制される。
上記式(1)に示すdCegenerationは、サイクルタイムΔtの間において、イオン濃度の偏りを発生させる項(発生項)である。発生項dCegenerationは、時間t(前回)におけるイオン濃度偏りdCe(t)に対して加算される。このため、発生項dCegenerationが増加するほど、イオン濃度偏りdCe(t+Δt)が増加することになる。すなわち、電極間のリチウムイオン濃度が偏りやすくなる。
上述したように、電極間のイオン濃度偏りとしては、リチウムイオン濃度が正極141の側に偏る状態と、リチウムイオン濃度が負極142の側に偏る状態とが発生する。このため、リチウムイオン濃度が正極141の側に偏る状態と、リチウムイオン濃度が負極142の側に偏る状態とに関して、イオン濃度偏りdCeをそれぞれ算出することができる。これにより、二次電池1の放電が積極的に行われたときのイオン濃度偏りdCeを把握したり、二次電池1の充電が積極的に行われたときのイオン濃度偏りdCeを把握したりすることができる。
緩和項dCerelaxationは、例えば、下記式(2)に基づいて算出することができる。なお、緩和項dCerelaxationの算出式は、下記式(2)に限るものではなく、電極間のイオン濃度偏りの緩和を特定できる式であればよい。
上記式(2)において、dCe(t)は、時間t(前回)のイオン濃度偏りを示し、Δtは、上述したサイクルタイムを示す。上記式(2)によれば、緩和項dCerelaxationは、イオン濃度偏りdCe(t)およびサイクルタイムΔtに依存している。
また、αは、緩和係数を示す。緩和係数αは、二次電池1のSOC(State of Charge)や温度Tbなどに依存する。このため、緩和係数αおよびSOCの対応関係(マップ)を、実験などによって予め求めておけば、SOCを推定することにより、このSOCに対応する緩和係数αを特定することができる。なお、SOCとは、満充電容量に対する、現在の充電容量の割合を示す。
また、緩和係数αおよび電池温度Tbの対応関係(マップ)を、実験などによって予め求めておけば、電池温度Tbを検出することにより、検出温度Tbに対応する緩和係数αを特定することができる。ここで、SOCおよび電池温度Tbと、緩和係数αとの対応関係(マップ)を、実験などによって予め求めておくこともできる。この場合には、SOCを推定するとともに、電池温度Tbを検出することにより、SOCおよび電池温度Tbに対応した緩和係数αを特定することができる。緩和係数αを特定するためのマップは、メモリ300aに記憶しておくことができる。
発生項dCegenerationは、例えば、下記式(3)に基づいて算出することができる。なお、発生項dCegenerationの算出式は、下記式(3)に限るものではなく、電極間のイオン濃度偏りの発生を特定できる式であればよい。
上記式(3)において、Ib(t)は、時間tにおいて、二次電池1に流れる電流値を示し、Δtは、上述したサイクルタイムを示す。電流値Ib(t)としては、電流センサ202によって検出された値(絶対値)が用いられる。上記式(3)によれば、発生項dCegenerationは、電流値Ib(t)およびサイクルタイムΔtに依存している。
βは、発生係数を示す。発生係数βは、二次電池1のSOCや温度Tbなどに依存する。このため、SOCおよび電池温度Tbの少なくとも一方と、発生係数βとの対応関係(マップ)を、実験などによって予め求めておくことができる。このマップを用いれば、SOCを推定したり、電池温度Tbを検出したりすることにより、SOCおよび電池温度Tbの少なくとも一方に対応する発生係数βを特定することができる。発生係数βを特定するためのマップは、メモリ300aに記憶しておくことができる。
上述した第2の状態に関して、電極面内におけるリチウムイオン濃度の偏りは、下記式(4)に基づいて算出することができる。
上記式(4)において、ΔCeは、電極面内のイオン濃度偏りを示す。tは時間を示す。Δtは、イオン濃度偏りΔCeを算出する周期(サイクルタイム)を示し、上記式(1)で説明したサイクルタイムと同じである。上記式(4)に示すように、サイクルタイムΔtが経過した後のイオン濃度偏りΔCe(t+Δt)は、時間t(前回)のイオン濃度偏りΔCe(t)に基づいて算出される。
上記式(4)に示すΔCerelaxationは、サイクルタイムΔtの間において、イオン濃度の偏りを緩和させる項(緩和項)である。緩和項ΔCerelaxationは、時間t(前回)におけるイオン濃度偏りΔCe(t)から減算される。このため、緩和項dCerelaxationが増加するほど、イオン濃度偏りΔCe(t+Δt)が減少することになる。すなわち、電極面内におけるリチウムイオン濃度の偏りが抑制される。
上記式(4)に示すΔCegenerationは、サイクルタイムΔtの間において、イオン濃度の偏りを発生させる項(発生項)である。発生項dCegenerationは、時間t(前回)におけるイオン濃度偏りΔCe(t)に対して加算される。このため、発生項dCegenerationが増加するほど、イオン濃度偏りΔCe(t+Δt)が増加することになる。すなわち、電極面内におけるリチウムイオン濃度が偏りやすくなる。
上述したように、電極面内のイオン濃度偏りとしては、正極141や負極142の両端にリチウムイオン濃度が偏る状態(図4参照)と、正極141や負極142の中央にリチウムイオン濃度が偏る状態とが発生する。このような2つの状態に関して、イオン濃度偏りΔCeをそれぞれ算出することができる。これにより、二次電池1の放電が積極的に行われたときのイオン濃度偏りΔCeを把握したり、二次電池1の充電が積極的に行われたときのイオン濃度偏りΔCeを把握したりすることができる。
緩和項ΔCerelaxationは、例えば、下記式(5)に基づいて算出することができる。なお、緩和項の算出式は、下記式(5)に限るものではなく、電極面内のイオン濃度偏りの緩和を特定できる式であればよい。
上記式(5)において、ΔCe(t)は、時間t(前回)のイオン濃度偏りを示し、Δtは、上述したサイクルタイムを示す。上記式(5)によれば、緩和項ΔCerelaxationは、イオン濃度偏りΔCe(t)およびサイクルタイムΔtに依存している。
また、α’は、緩和係数を示す。緩和係数α’は、二次電池1のSOCや温度Tbなどに依存する。このため、SOCおよび電池温度Tbの少なくとも一方と、緩和係数α’との対応関係(マップ)を、実験などによって予め求めておくことができる。これにより、SOCを推定したり、電池温度Tbを検出したりすることにより、SOCおよび電池温度Tbの少なくとも一方に対応する緩和係数α’を特定することができる。ここで、緩和係数α’の特定に用いられるマップは、メモリ300aに記憶しておくことができる。
発生項ΔCegenerationは、例えば、下記式(6)に基づいて算出することができる。なお、発生項ΔCegenerationの算出式は、下記式(6)に限るものではなく、電極面内のイオン濃度偏りの発生を特定できる式であればよい。
上記式(6)において、ΔCeは、時間t(前回)のイオン濃度偏りを示し、Pは、二次電池1の面圧を示し、Δtは、サイクルタイムを示す。上記式(6)によれば、発生項ΔCegenerationは、イオン濃度偏りΔCe、サイクルタイムΔtおよび面圧Pに依存する。
面圧Pは、実際に測定することもできるし、実験などによって予め求められたマップを用いて推定することもできる。面圧Pを実際に測定するときには、二次電池1の外装を構成する電池ケースの外部又は内部に圧力センサを配置しておけばよい。コントローラ300は、圧力センサの出力に基づいて、面圧Pを検出することができる。
一方、面圧Pは、二次電池1に流れる電流値Ib、二次電池1のSOCや温度Tbなどに依存する。このため、電流値Ib、SOCおよび電池温度Tbの少なくとも1つと、面圧Pとの対応関係を示すマップを予め作成しておくことができる。これにより、電流値Ibを検出したり、SOCを推定したり、電池温度Tbを検出したりすることにより、電流値Ib、SOCおよび電池温度Tbの少なくとも1つに対応する面圧Pを特定することができる。面圧Pを特定するためのマップは、メモリ300aに記憶しておくことができる。
β’は、発生係数を示す。発生係数β’は、二次電池1のSOCや温度Tbなどに依存する。このため、SOCおよび電池温度Tbの少なくとも一方と、発生係数β’との対応関係を示すマップを予め求めておくことができる。これにより、SOCを推定したり、電池温度Tbを検出したりすることにより、SOCおよび電池温度Tbの少なくとも一方に対応する発生係数β’を特定することができる。
上述した第3の状態に関して、電極間の平均イオン濃度は、下記式(7)に基づいて算出することができる。
上記式(7)において、Ceaveは、平均イオン濃度を示し、tは時間を示す。Δtは。平均イオン濃度Ceaveを算出する周期(サイクルタイム)を示し、上記式(1)で説明したサイクルタイムΔtと同一である。上記式(7)に示すように、サイクルタイムΔtが経過した後の平均イオン濃度Ceave(t+Δt)は、時間t(前回)の平均イオン濃度Ceave(t)に基づいて算出される。
上記式(7)に示すCeave relaxationは、サイクルタイムΔtの間において、平均イオン濃度Ceaveを減少させる項(減少項)である。減少項Ceave relaxationは、時間t(前回)の平均イオン濃度Ceave(t)から減算される。このため、減少項Ceave relaxationが大きくなるほど、平均イオン濃度Ceave(t+Δt)が減少することになる。
上記式(7)に示すCeave generationは、サイクルタイムΔtの間において、平均イオン濃度Ceaveを増加させる項(増加項)である。増加項Ceave generationは、時間t(前回)の平均イオン濃度Ceave(t)に対して加算される。このため、増加項Ceave generationが大きくなるほど、平均イオン濃度Ceave(t+Δt)が増加することになる。
減少項Ceave relaxationは、例えば、下記式(8)に基づいて算出することができる。なお、減少項Ceave relaxationの算出式は、下記式(8)に限るものではなく、電極間の平均イオン濃度Ceaveの減少を特定できる式であればよい。
上記式(8)において、Ceave(t)は、時間t(前回)の平均イオン濃度を示し、Δtは、サイクルタイムを示す。上記式(8)によれば、減少項Ceave relaxationは、平均イオン濃度Ceave(t)およびサイクルタイムΔtに依存する。
また、α”は、減少係数を示す。減少係数α”は、二次電池1のSOCや温度Tbなどに依存する。このため、SOCおよび電池温度Tbの少なくとも一方と、減少係数α”との対応関係(マップ)を、実験などによって予め求めておくことができる。これにより、SOCを推定したり、電池温度Tbを検出したりすることにより、SOCおよび電池温度Tbの少なくとも一方に対応する減少係数α”を特定することができる。ここで、減少係数α”の特定に用いられるマップは、メモリ300aに記憶しておくことができる。
増加項Ceave generationは、例えば、下記式(9)に基づいて算出することができる。なお、増加項Ceave generationの算出式は、下記式(9)に限るものではなく、電極間の平均イオン濃度Ceaveの増加を特定できる式であればよい。
上記式(9)において、Ceaveは、時間t(前回)の平均イオン濃度を示し、Δtは、サイクルタイムを示す。Pは、二次電池1の面圧を示し、上記式(6)で説明したように、面圧Pは、実際に測定することもできるし、実験などによって予め求められたマップを用いて推定することもできる。上記式(9)によれば、増加項Ceave generationは、平均イオン濃度Ceave、サイクルタイムΔtおよび面圧Pに依存する。
β”は、増加係数を示す。増加係数β”は、二次電池1のSOCや温度Tbなどに依存する。このため、SOCおよび電池温度Tbの少なくとも一方と、増加係数β”との対応関係を示すマップを予め求めておくことができる。これにより、SOCを推定したり、電池温度Tbを検出したりすることにより、SOCおよび電池温度Tbの少なくとも一方に対応する増加係数β”を特定することができる。増加係数β”の特定に用いられるマップは、メモリ300aに記憶しておくことができる。
上述したように、イオン濃度偏りdCe,ΔCeや平均イオン濃度Ceaveを算出したときには、この算出値に基づいて、二次電池1の劣化値Dを算出することができる。劣化値Dは、二次電池1の劣化状態を特定するパラメータである。ここで、二次電池1の劣化が進行するほど、劣化値Dが増加する。
劣化値Dは、イオン濃度偏りdCe,ΔCeおよび平均イオン濃度Ceaveの少なくとも1つを用いて算出することができる。例えば、下記式(10)〜(15)のいずれか1つを用いて、劣化値Dを算出することができる。
上記式(10)〜(15)のそれぞれにおいて、D(t)は、時間tにおける劣化値Dを示す。上記式(10)は、平均イオン濃度Ceaveから劣化値Dを算出する式である。上記式(10)に示す変換係数k1は、平均イオン濃度Ceaveを劣化値Dに変換するための値である。
上記式(11)は、電極面内のイオン濃度偏りΔCeから劣化値Dを算出する式である。上記式(11)に示す変換係数k2は、電極面内のイオン濃度偏りΔCeを劣化値Dに変換するための値である。上記式(12)は、電極間のイオン濃度偏りdCeから劣化値Dを算出する式である。上記式(12)に示す変換係数k3は、電極間のイオン濃度偏りdCeを劣化値Dに変換するための値である。
上記式(13)は、平均イオン濃度Ceaveおよびイオン濃度偏りΔCeから劣化値Dを算出する式である。上記式(13)に示す変換係数k1,k2は、上記式(10),(11)で説明した変換係数に相当する。上記式(14)は、平均イオン濃度Ceaveおよびイオン濃度偏りdCeから劣化値Dを算出する式である。上記式(14)に示す変換係数k1,k3は、上記式(10),(12)で説明した変換係数に相当する。
上記式(15)は、平均イオン濃度Ceaveおよびイオン濃度偏りΔCe,dCeから劣化値Dを算出する式である。上記式(15)に示す変換係数k1,k2,k3は、上記式(10)〜(12)で説明した変換係数に相当する。
一般的に、平均イオン濃度Ceaveやイオン濃度偏りΔCeが変化するときの時間は、イオン濃度偏りdCeが変化するときの時間よりも長くなる。このため、二次電池1の長期的な性能(劣化)を予測するときには、平均イオン濃度Ceaveおよびイオン濃度偏りΔCeの少なくとも一方だけを用いて、劣化値Dを算出することができる。
また、二次電池1の短期的な性能(劣化)を予測するときには、イオン濃度偏りdCeだけを用いて、劣化値Dを算出することができる。このように、二次電池1の性能(劣化)を予測するときの期間を考慮して、平均イオン濃度Ceaveおよびイオン濃度偏りΔCe,dCeを適宜選択することにより、劣化値Dを算出することができる。
次に、電極間のイオン濃度偏りdCeを算出する処理について、図6に示すフローチャートを用いて説明する。ここで、図6に示す処理は、上述したサイクルタイムΔtで周期的に行われる。また、図6に示す処理は、コントローラ300によって実行される。
ステップS101において、コントローラ300は、電流センサ202の出力に基づいて、二次電池1の電流値Ibを検出する。ステップS202において、コントローラ300は、二次電池1のSOCを算出する。SOCを算出する方法としては、公知の方法を適宜用いることができる。
例えば、二次電池1を充放電したときの電流値Ibを積算することにより、二次電池1のSOCを算出することができる。一方、二次電池1のOCV(Open Circuit Voltage)を測定することにより、二次電池1のSOCを特定することができる。OCVおよびSOCは、対応関係にあるため、この対応関係を予め求めておくことができる。OCVを測定すれば、OCVに対応したSOCを特定することができる。
ステップS103において、コントローラ300は、温度センサ203の出力に基づいて、二次電池1の温度Tbを検出する。ステップS104において、コントローラ300は、SOCおよび電池温度Tbに基づいて、緩和係数αを特定する。コントローラ300は、メモリ300aに記憶されたマップを用いることにより、SOCおよび電池温度Tbに対応する緩和係数αを特定することができる。ここで、SOCとしては、ステップS102の処理で算出された値が用いられ、電池温度Tbとしては、ステップS103の処理で検出された値が用いられる。
ステップS105において、コントローラ300は、時間t(前回)のイオン濃度偏りdCe(t)を特定する。本実施例では、サイクルタイムΔtが経過するたびに、イオン濃度偏りdCeが算出され、このイオン濃度偏りdCeは、メモリ300aに記憶される。このため、コントローラ300は、時間t(前回)のイオン濃度偏りdCe(t)をメモリ300aから読み出すことができる。
ステップS106において、コントローラ300は、緩和項dCerelaxationを算出する。具体的には、コントローラ300は、上記式(2)に基づいて、緩和項dCerelaxationを算出することができる。ここで、上記式(2)で用いられる緩和係数αとしては、ステップS104の処理で特定された値が用いられる。また、上記式(2)で用いられるイオン濃度偏りdCe(t)としては、ステップS105の処理で特定された値が用いられる。
ステップS107において、コントローラ300は、発生係数βを特定する。具体的には、コントローラ300は、メモリ300aに記憶されたマップを用いることにより、SOCおよび電池温度Tbに対応する発生係数βを特定する。ここで、SOCとしては、ステップS102の処理で算出された値が用いられ、電池温度Tbとしては、ステップS103の処理で検出された値が用いられる。
ステップS108において、コントローラ300は、発生項dCegenerationを算出する。具体的には、コントローラ300は、上記式(3)に基づいて、発生項dCegenerationを算出する。ここで、上記式(3)で用いられる電流値Ibとしては、ステップS101の処理で検出された値が用いられる。また、上記式(3)で用いられる発生項βとしては、ステップS107の処理で特定された値が用いられる。
ステップS109において、コントローラ300は、今回のイオン濃度偏りdCe(t+Δt)を算出する。具体的には、コントローラ300は、上記式(1)に基づいて、イオン濃度偏りdCe(t+Δt)を算出することができる。ここで、上記式(1)で用いられるイオン濃度偏りdCe(t)としては、ステップS105の処理で特定された値が用いられる。また、緩和項dCerelaxationとしては、ステップS106の処理で算出された値が用いられ、発生項dCegenerationとしては、ステップS108の処理で算出された値が用いられる。
ステップS110において、コントローラ300は、ステップS109の処理で算出されたイオン濃度偏りdCe(t+Δt)をメモリ300aに記憶する。ここで、メモリ300aに記憶されたイオン濃度偏りdCe(t+Δt)は、次回の処理において、イオン濃度偏りdCeを算出するときに用いられる。すなわち、メモリ300aに記憶されたイオン濃度偏りdCe(t+Δt)は、次回におけるステップS105の処理で用いられる。
次に、電極面内のイオン濃度偏りΔCeを算出する処理について、図7に示すフローチャートを用いて説明する。図7に示す処理は、サイクルタイムΔtが経過するたびに行われる。また、図7に示す処理は、コントローラ300によって実行される。
ステップS201からステップS203までの処理は、図6に示すステップS101からステップS103までの処理と同じである。ステップS204において、コントローラ300は、二次電池1の面圧Pを算出する。面圧Pの算出方法は、上述したとおりである。
本実施例では、面圧Pを算出するために、ステップS201,S203の処理で検出された値(電流値Ibおよび電池温度Tb)と、ステップS202の処理で算出されたSOCとが用いられる。なお、圧力センサを用いて、面圧Pを測定することもできる。この場合には、ステップS201の処理を省略することができる。
ステップS205において、コントローラ300は、SOCおよび電池温度Tbに基づいて、緩和係数α’を特定する。コントローラ300は、メモリ300aに記憶されたマップを用いることにより、SOCおよび電池温度Tbに対応する緩和係数α’を特定することができる。ここで、SOCとしては、ステップS202の処理で算出された値が用いられ、電池温度Tbとしては、ステップS203の処理で検出された値が用いられる。
ステップS206において、コントローラ300は、時間t(前回)のイオン濃度偏りΔCe(t)を特定する。本実施例では、サイクルタイムΔtが経過するたびに、イオン濃度偏りΔCeが算出され、このイオン濃度偏りΔCeは、メモリ300aに記憶される。このため、コントローラ300は、時間t(前回)のイオン濃度偏りΔCe(t)をメモリ300aから読み出すことができる。
ステップS207において、コントローラ300は、緩和項ΔCerelaxationを算出する。具体的には、コントローラ300は、上記式(5)に基づいて、緩和項ΔCerelaxationを算出することができる。ここで、上記式(5)で用いられる緩和係数α’としては、ステップS205の処理で特定された値が用いられる。また、上記式(5)で用いられるイオン濃度偏りΔCe(t)としては、ステップS206の処理で特定された値が用いられる。
ステップS208において、コントローラ300は、発生係数β’を特定する。具体的には、コントローラ300は、メモリ300aに記憶されたマップを用いることにより、SOCおよび電池温度Tbに対応する発生係数β’を特定する。ここで、SOCとしては、ステップS202の処理で算出された値が用いられ、電池温度Tbとしては、ステップS203の処理で検出された値が用いられる。
ステップS209において、コントローラ300は、発生項ΔCegenerationを算出する。具体的には、コントローラ300は、上記式(6)に基づいて、発生項ΔCegenerationを算出する。ここで、上記式(6)で用いられる面圧Pとしては、ステップS204の処理で算出された値が用いられる。上記式(6)で用いられるイオン濃度偏りΔCe(t)としては、ステップS206の処理で特定された値が用いられる。上記式(6)で用いられる発生係数β’としては、ステップS208の処理で特定された値が用いられる。
ステップS210において、コントローラ300は、今回のイオン濃度偏りΔCe(t+Δt)を算出する。具体的には、コントローラ300は、上記式(4)に基づいて、イオン濃度偏りΔCe(t+Δt)を算出することができる。ここで、上記式(4)で用いられるイオン濃度偏りΔCe(t)としては、ステップS206の処理で特定された値が用いられる。また、緩和項ΔCerelaxationとしては、ステップS207の処理で算出された値が用いられ、発生項ΔCegenerationとしては、ステップS209の処理で算出された値が用いられる。
ステップS211において、コントローラ300は、ステップS210の処理で算出されたイオン濃度偏りΔCe(t+Δt)をメモリ300aに記憶する。ここで、メモリ300aに記憶されたイオン濃度偏りΔCe(t+Δt)は、次回の処理において、イオン濃度偏りΔCeを算出するときに用いられる。すなわち、メモリ300aに記憶されたイオン濃度偏りΔCe(t+Δt)は、次回におけるステップS206の処理で用いられる。
次に、電極間の平均イオン濃度Ceaveを算出する処理について、図8に示すフローチャートを用いて説明する。図8に示す処理は、サイクルタイムΔtが経過するたびに行われる。また、図8に示す処理は、コントローラ300によって実行される。
ステップS301からステップS304までの処理は、図7に示すステップS201からステップS204までの処理と同じである。ステップS305において、コントローラ300は、SOCおよび電池温度Tbに基づいて、減少係数α”を特定する。
コントローラ300は、メモリ300aに記憶されたマップを用いることにより、SOCおよび電池温度Tbに対応する減少係数α”を特定することができる。ここで、SOCとしては、ステップS302の処理で算出された値が用いられ、電池温度Tbとしては、ステップS303の処理で検出された値が用いられる。
ステップS306において、コントローラ300は、時間t(前回)の平均イオン濃度Ceave(t)を特定する。本実施例では、サイクルタイムΔtが経過するたびに、平均イオン濃度Ceaveが算出され、この平均イオン濃度Ceaveは、メモリ300aに記憶される。このため、コントローラ300は、時間t(前回)の平均イオン濃度Ceave(t)をメモリ300aから読み出すことができる。
ステップS307において、コントローラ300は、減少項Ceave relaxationを算出する。具体的には、コントローラ300は、上記式(8)に基づいて、減少項Ceave relaxationを算出することができる。ここで、上記式(8)で用いられる減少係数α”としては、ステップS305の処理で特定された値が用いられる。また、上記式(8)で用いられる平均イオン濃度Ceave(t)としては、ステップS306の処理で特定された値が用いられる。
ステップS308において、コントローラ300は、増加係数β”を特定する。具体的には、コントローラ300は、メモリ300aに記憶されたマップを用いることにより、SOCおよび電池温度Tbに対応する増加係数β”を特定する。ここで、SOCとしては、ステップS302の処理で算出された値が用いられ、電池温度Tbとしては、ステップS303の処理で検出された値が用いられる。
ステップS309において、コントローラ300は、増加項Ceave generationを算出する。具体的には、コントローラ300は、上記式(9)に基づいて、増加項Ceave generationを算出する。ここで、上記式(9)で用いられる面圧Pとしては、ステップS304の処理で算出された値が用いられる。上記式(9)で用いられる平均イオン濃度Ceave(t)としては、ステップS306の処理で特定された値が用いられる。上記式(9)で用いられる増加係数β”としては、ステップS308の処理で特定された値が用いられる。
ステップS310において、コントローラ300は、今回の平均イオン濃度Ceave(t+Δt)を算出する。具体的には、コントローラ300は、上記式(7)に基づいて、平均イオン濃度Ceave(t+Δt)を算出することができる。ここで、上記式(7)で用いられる平均イオン濃度Ceave(t)としては、ステップS306の処理で特定された値が用いられる。また、減少項Ceave relaxationとしては、ステップS307の処理で算出された値が用いられ、増加項Ceave generationとしては、ステップS309の処理で算出された値が用いられる。
ステップS311において、コントローラ300は、ステップS310の処理で算出された平均イオン濃度Ceave(t+Δt)をメモリ300aに記憶する。ここで、メモリ300aに記憶された平均イオン濃度Ceave(t+Δt)は、次回の処理において、平均イオン濃度Ceaveを算出するときに用いられる。すなわち、メモリ300aに記憶された平均イオン濃度Ceave(t+Δt)は、次回におけるステップS306の処理で用いられる。
次に、劣化値Dを算出する処理について、図9に示すフローチャートを用いて説明する。図9に示す処理は、サイクルタイムΔtが経過するたびに行われる。また、図9に示す処理は、コントローラ300によって実行される。
ステップS401において、コントローラ300は、電極間のイオン濃度偏りdCe(t)を算出する。ステップS401の処理は、図6に示す処理に相当する。ステップS402において、コントローラ300は、電極面内のイオン濃度偏りΔCe(t)を算出する。ステップS402の処理は、図7に示す処理に相当する。
ステップS403において、コントローラ300は、電極間の平均イオン濃度Ce(t)を算出する。ステップS403の処理は、図8に示す処理に相当する。ステップS404において、コントローラ300は、ステップS401からステップS403の処理で算出されたイオン濃度偏りdCe(t),ΔCe(t)および平均イオン濃度Ceave(t)に基づいて、劣化値D(t)を算出する。具体的には、コントローラ300は、上記式(13)に基づいて、劣化値D(t)を算出する。
劣化値D(t)を算出した後、コントローラ300は、劣化値D(t)に基づいて、二次電池1の入出力を制御することができる。ここで、二次電池1の出力を制御する処理について、図10に示すフローチャートを用いて説明する。図10に示す処理は、コントローラ300によって実行される。
ステップS501において、コントローラ300は、現在の二次電池1における劣化値D(t)を算出する。ステップS501の処理は、図9に示す処理に相当する。ステップS502において、コントローラ300は、現在の時間tにおける閾値Glim(t)を特定する。
ここで、閾値Glim(t)について、図11を用いて説明する。図11に示す縦軸は、劣化値Dおよび二次電池1の出力電力をそれぞれ示す。また、図11に示す横軸は、時間を示す。GMAXは、二次電池1で許容される劣化値Dの最大値を示す。言い換えれば、劣化値GMAXは、二次電池1の内部抵抗が、許容される最大値であるときの劣化値Dを示す。
二次電池1の寿命に到達したときに、劣化値Dが劣化値GMAXに到達するように、二次電池1の充放電を制御することができる。二次電池1の寿命は、時間tMAXとして規定することができる。時間tMAXは、二次電池1を初めて使用したときからの経過時間を示す。このため、経過時間が時間tMAXに到達したときに、二次電池1が寿命となる。
最大値G(t)は、時間tにおいて、許容される劣化値Dの最大値である。最大値G(t)は、劣化値GMAXおよび時間tMAXに基づいて決定される。図11では、時間0であるときの劣化値Dと、時間tMAXであるときの劣化値GMAXとを結ぶ直線(一点鎖線)に基づいて、最大値G(t)が決定される。図11に示す一点鎖線によれば、時間tおよび最大値G(t)は、比例関係にある。
本実施例では、図11に示す一点鎖線(直線)に基づいて、最大値G(t)を決定しているが、これに限るものではない。すなわち、図11の一点鎖線で示す軌跡は、二次電池1の使用状態などを考慮して、適宜設定することができる。具体的には、最大値G(t)を特定する一点鎖線は、直線ではなく、曲線であってもよい。
閾値Glim(t)は、最大値G(t)よりも所定量ΔGだけ小さい値である。最大値G(t)を基準として、二次電池1の出力を制御することができるが、この場合には、制御遅れなどによって、劣化値D(t)が最大値G(t)よりも大きくなってしまうおそれがある。そこで、本実施例では、最大値G(t)よりも小さい閾値Glim(t)を基準として、二次電池1の出力を制御している。これにより、劣化値D(t)が閾値Glim(t)よりも大きくなってしまっても、劣化値D(t)が最大値G(t)に到達することを抑制できる。
ここで、最大値G(t)および閾値Glim(t)の差分ΔGは、適宜設定することができる。なお、最大値G(t)を基準として、二次電池1の出力を制御してもよい。
上述したように、閾値Glim(t)は、最大値G(t)に基づいて予め設定される。このため、閾値Glim(t)に関する情報は、メモリ300aに記憶しておくことができる。コントローラ300は、現在の時間tを計測すれば、この計測時間tに対応した閾値Glim(t)を特定することができる。ここで、現在の時間tは、二次電池1を初めて使用してからの経過時間であり、タイマを用いて計測することができる。ステップS502の処理では、上述したように閾値Glim(t)が特定される。
ステップS503において、コントローラ300は、ステップS501の処理で算出された劣化値D(t)が、ステップS502の処理で特定された閾値Glim(t)よりも大きいか否かを判別する。劣化値D(t)が閾値Glim(t)よりも大きければ、コントローラ300は、ステップS504の処理を行う。一方、劣化値D(t)が閾値Glim(t)よりも小さければ、コントローラ300は、ステップS509の処理を行う。
ここで、劣化値D(t)が閾値Glim(t)よりも大きいとき、コントローラ300は、二次電池1の出力を制限する必要があると判別し、ステップS504以降の処理を行う。二次電池1の出力を制限することにより、劣化値D(t)を閾値Glim(t)よりも低下させることができる。
二次電池1の出力を制限すると、劣化値D(t)を低下させることができる。上述したように、劣化値D(t)は、平均イオン濃度Ceaveおよびイオン濃度偏りdCe,ΔCeに基づいて算出される。ここで、二次電池1の出力を制限すれば、平均イオン濃度Ceaveの減少を抑制したり、イオン濃度偏りdCe,ΔCeを抑制したりすることができる。これにより、劣化値D(t)を低下させることができる。
ステップS504において、コントローラ300は、現在の時間tにおける最大値G(t)を特定する。上述したように、最大値G(t)は、劣化値GMAXおよび時間tMAXに基づいて、予め設定される。このため、最大値G(t)に関する情報は、メモリ300aに記憶しておくことができる。すなわち、二次電池1を初めて使用してからの経過時間tと、最大値G(t)との対応関係をメモリ300aに記憶しておくことができる。これにより、コントローラ300は、現在までの時間tを計測すれば、現在の時間tに対応した最大値G(t)を特定することができる。
ステップS505において、コントローラ300は、時間tで許容される最大の出力電力Wout,max(t)を算出する。出力電力Wout,max(t)は、下記式(16)に基づいて算出される。
上記式(16)において、Wout,MAXは、二次電池1を放電するときに得られる最大の電力値である。出力電力Wout,MAXは、二次電池1の出力特性に基づいて予め設定される。ここで、出力電力Wout,MAXに関する情報は、メモリ300aに記憶しておくことができる。Wlimitは、二次電池1の出力を制限するときの電力量である。上記式(16)から分かるように、二次電池1の出力を制限するとき、出力電力Wout,max(t)は、制限電力量Wlimitの分だけ、出力電力Wout,MAXよりも低くなる。
制限電力量Wlimitは、例えば、下記式(17)に基づいて算出することができる。
上記式(17)において、D(t)は、時間tにおける劣化値を示し、Glimit(t)は、時間tにおける閾値(劣化値)を示す。kは、重み付け係数を示し、適宜設定することができる。重み付け係数kは、メモリ300aに記憶しておくことができる。
上記式(17)によれば、閾値Glimit(t)および劣化値D(t)の差分に応じて、制限電力量Wlimitが決定される。このように制限電力量Wlimitを決定すれば、二次電池1の出力を制限する処理において、閾値Glimit(t)および劣化値D(t)の差分を反映させることができる。すなわち、劣化値D(t)および閾値Glimit(t)の差分が大きくなるほど、制限電力量Wlimitが増加して、二次電池1の出力が制限されやすくなる。言い換えれば、劣化値D(t)および閾値Glimit(t)の差分が小さくなるほど、制限電力量Wlimitが減少して、二次電池1の出力が制限されにくくなる。
ステップS506において、コントローラ300は、二次電池1に要求される出力電力Wout(t)を特定する。例えば、車両のアクセルペダルが押し込まれるほど、要求される出力電力Wout(t)が上昇する。ステップS507において、コントローラ300は、ステップS506の処理で特定された出力電力Wout(t)が、ステップS505の処理で算出された出力電力Wout,max(t)よりも高いか否かを判別する。
出力電力Wout(t)が出力電力Wout,max(t)よりも高いとき、コントローラ300は、ステップS508の処理を行う。一方、出力電力Wout(t)が出力電力Wout,max(t)よりも低いとき、コントローラ300は、ステップS509の処理を行う。ステップS508において、コントローラ300は、二次電池1の実際の出力電力Wout(t)を出力電力Wout,max(t)に設定する。
ステップS507の処理からステップS508の処理に進むときには、要求される出力電力Wout(t)が出力電力Wout,max(t)よりも高くなっている。このため、ステップS508の処理において、二次電池1の実際の出力電力Wout(t)を出力電力Wout,max(t)に設定すれば、実際の出力電力Wout(t)は、要求される出力電力Wout(t)よりも低くなる。すなわち、二次電池1の出力が制限されることになる。
ステップS509において、コントローラ300は、二次電池1の実際の出力電力Wout(t)として、要求された出力電力Wout(t)を設定する。ステップS507の処理からステップS509の処理に進むとき、要求される出力電力Wout(t)は、出力電力Wout,max(t)よりも低くなっている。出力電力Wout,max(t)は、劣化値D(t)を考慮した最大の出力電力である。
このため、要求される出力電力Wout(t)が出力電力Wout,max(t)よりも低ければ、二次電池1の実際の出力電力Wout(t)として、要求される出力電力Wout(t)を設定することができる。このように、ステップS509の処理では、二次電池1の出力が制限されない。
ここで、ステップS503の処理からステップS509の処理に進んだときにも、二次電池1の出力は制限されない。ステップS503の処理からステップS509の処理に進むときには、劣化値D(t)が閾値Glimit(t)に到達していない。このため、劣化値D(t)の増加を許容することができ、二次電池1の出力を制限する必要も無い。
図11は、図10に示す処理を行ったときにおいて、劣化値D(t)の変化と、出力電力Wout,max(t)の変化とを示す図(一例)である。図11に示すように、劣化値D(t)が閾値Glimit(t)よりも大きくなると、出力電力Wout,max(t)は、出力電力Wout,MAXよりも低くなり、二次電池1の出力が制限される。
上述したように、二次電池1の出力を制限すれば、劣化値D(t)を低下させることができる。劣化値D(t)が閾値Glimit(t)よりも小さくなれば、二次電池1の出力制限が解除される。すなわち、出力電力Wout,max(t)は、出力電力Wout,MAXに設定される。これにより、二次電池1の劣化を監視しながら、二次電池1の出力を制御することができる。
本実施例によれば、平均イオン濃度Ceave(t)に基づいて、劣化値D(t)を特定することができる。平均イオン濃度Ceave(t)が変化すれば、二次電池1の充放電に寄与するリチウムイオンの量も変化し、二次電池1の入出力性能(言い換えれば、劣化)に影響を与えやすい。そこで、平均イオン濃度Ceave(t)に基づいて、劣化値D(t)を特定することにより、二次電池1の劣化状態を把握しやすくなる。
ここで、平均イオン濃度Ceave(t)に加えて、イオン濃度偏りdCe又はイオン濃度偏りΔCeを考慮して、劣化値D(t)を特定すれば、二次電池1の劣化状態をより把握しやすくなる。すなわち、二次電池1の劣化状態の推定精度を向上させることができる。
また、平均イオン濃度Ceave(t)に加えて、イオン濃度偏りdCeおよびイオン濃度偏りΔCeを考慮して、劣化値D(t)を特定すれば、二次電池1の劣化状態をより把握しやすくなる。すなわち、二次電池1の劣化状態の推定精度を更に向上させることができる。
二次電池1の劣化状態の推定精度を向上させることができれば、劣化状態に応じた出力制御を行うことができる。すなわち、二次電池1の出力を過度に制限してしまったり、二次電池1の出力を過度に緩和してしまったりすることを抑制できる。過度の出力制限を抑制すれば、二次電池1の出力性能を向上させることができる。また、過度の出力緩和を抑制すれば、二次電池1の劣化が進行しすぎてしまうことを抑制でき、二次電池1の寿命を向上させることができる。
また、本実施例によれば、劣化値D(t)を閾値Glimit(t)に沿って変化させることができる。これにより、二次電池1の寿命となる時間tMAXまで、二次電池1を使用し続けることができる。
図10に示す処理では、劣化値D(t)および閾値Glimit(t)の大小関係に基づいて、二次電池1の出力を制御しているが、これに限るものではない。具体的には、劣化値D(t)および閾値Glimit(t)の大小関係に基づいて、二次電池1の入力を制御することもできる。
図12は、二次電池1の入力を制御するときの処理を示すフローチャートである。図12に示す処理は、コントローラ300によって実行される。
ステップS601からステップS604までの処理は、図10に示すステップS501からステップS504までの処理と同様である。ここで、劣化値D(t)は、二次電池1を積極的に充電したときのイオン濃度偏りdCe,ΔCeおよび平均イオン濃度Ceaveに基づいて算出することができる。また、劣化値D(t)は、イオン濃度偏りdCe,ΔCeおよび平均イオン濃度Ceaveの少なくとも1つを用いて算出することができる。
ステップS605において、コントローラ300は、時間tにおいて許容される最大の入力電力Win,max(t)を算出する。入力電力Win,max(t)は、下記式(18)に基づいて算出される。
上記式(18)において、Win,MAXは、二次電池1を充電するときに得られる最大の電力値である。Wlimitは、二次電池1の入力を制限するときの電力量である。上記式(18)から分かるように、二次電池1の入力を制限するとき、入力電力Win,max(t)は、制限電力量Wlimitの分だけ、入力電力Win,MAXよりも低くなる。制限電力量Wlimitは、上記式(17)と同様に、閾値Glimit(t)および劣化値D(t)の差分に応じて決定することができる。
このように制限電力量Wlimitを決定すれば、二次電池1の入力を制限する処理において、閾値Glimit(t)および劣化値D(t)の差分を反映させることができる。すなわち、劣化値D(t)および閾値Glimit(t)の差分が増加するほど、制限電力量Wlimitが増加して、二次電池1の入力が制限されやすくなる。また、劣化値D(t)および閾値Glimit(t)の差分が増加するほど、制限電力量Wlimitが減少して、二次電池1の入力が制限されにくくなる。
ステップS606において、コントローラ300は、二次電池1に入力される電力Win(t)を特定する。ステップS607において、コントローラ300は、ステップS606の処理で特定された入力電力Win(t)が、ステップS605の処理で算出された入力電力Win,max(t)よりも高いか否かを判別する。
入力電力Win(t)が入力電力Win,max(t)よりも高いとき、コントローラ300は、ステップS608の処理を行う。一方、入力電力Win(t)が入力電力Win,max(t)よりも低いとき、コントローラ300は、ステップS609の処理を行う。ステップS608において、コントローラ300は、二次電池1の実際の入力電力Win(t)を入力電力Win,max(t)に設定する。
ステップS607の処理からステップS608の処理に進むときには、入力電力Win(t)が許容最大入力Win,max(t)よりも高くなっている。このため、ステップS608の処理において、二次電池1の実際の入力電力Win(t)を入力電力Win,max(t)に設定すれば、実際の入力電力Win(t)は、入力しようとする電力Win(t)よりも低くなる。すなわち、二次電池1の入力が制限されることになる。
ステップS609において、コントローラ300は、二次電池1の実際の入力電力Win(t)として、入力しようとする電力Win(t)を設定する。ステップS607の処理からステップS609の処理に進むとき、入力しようとする電力Win(t)は、入力電力Wout,max(t)よりも低くなっている。入力電力Wout,max(t)は、劣化値D(t)を考慮した最大の入力電力である。
このため、入力しようとする電力Win(t)が入力電力Win,max(t)よりも低ければ、二次電池1の実際の入力電力Wout(t)として、入力しようとする電力Wout(t)を設定することができる。このように、ステップS609の処理では、二次電池1の入力が制限されない。
ここで、ステップS603の処理からステップS609の処理に進んだときにも、二次電池1の入力は制限されない。ステップS603の処理からステップS609の処理に進むときには、劣化値D(t)が閾値Glimit(t)に到達していない。このため、劣化値D(t)の増加を許容することができ、二次電池1の入力を制限する必要も無い。
図13は、図12に示す処理を行ったときにおいて、劣化値D(t)の変化と、入力電力Win,max(t)の変化とを示す図(一例)である。図13に示すように、劣化値D(t)が閾値Glimit(t)よりも大きくなると、入力電力Win,max(t)は、入力電力Win,MAXよりも低くなり、二次電池1の入力が制限される。
二次電池1の入力を制限すると、劣化値D(t)を低下させることができる。上述したように、劣化値D(t)は、平均イオン濃度Ceおよびイオン濃度偏りdCe,ΔCeに基づいて算出される。ここで、二次電池1の入力を制限すれば、平均イオン濃度Ceの変化を抑制したり、イオン濃度偏りdCe,ΔCeを抑制したりすることができる。これにより、劣化値D(t)を低下させることができる。
劣化値D(t)が閾値Glimit(t)よりも小さくなれば、二次電池1の入力制限が解除される。すなわち、入力電力Win,max(t)は、入力電力Win,MAXに設定される。これにより、二次電池1の劣化を監視しながら、二次電池1の入力を制御することができる。
図12に示す処理を行えば、二次電池1の劣化状態を精度良く把握しながら、二次電池1の入力を制御することができる。具体的には、過度の入力制限を抑制することができ、二次電池1の入力性能を向上させることができる。また、過度の入力緩和を抑制することができ、二次電池1の劣化が進行しすぎてしまうことを抑制できる。結果として、二次電池1の寿命を向上させることができる。
本発明の実施例2について説明する。本実施例では、後述する電池モデル式を用いることにより、二次電池1の内部状態やSOCを推定している。本実施例において、実施例1で説明した構成と同じ構成については、同一の符号を用い、詳細な説明は省略する。
まず、本実施例に用いられる電池モデルについて説明する。基礎的な電池モデル式は、以下の式(19)〜(29)からなる基礎方程式で表される。図14は、電池モデル式で用いられる変数および定数の一覧表を示す。
以下に説明するモデル式中の変数および定数に関して、添字eは電解液中の値であることを示し、sは活物質中の値であることを示す。添字jは、正極および負極を区別するものであり、jが1であるときには正極における値を示し、jが2であるときには負極における値を示す。正極および負極における変数又は定数を包括的に表記する場合には、添字jを省略する。また、時間の関数であることを示す(t)の表記、電池温度の依存性を示す(T)の表記、あるいは、局所SOCθの依存性を示す(θ)等について、明細書中では表記を省略することもある。変数又は定数に付された記号♯は、平均値を表わす。
上記式(19),(20)は、電極(活物質)における電気化学反応を示す式であり、バトラー・ボルマーの式と呼ばれる。
電解液中のリチウムイオン濃度保存則に関する式として、下記式(21)が成立する。活物質内のリチウム濃度保存則に関する式として、下記式(22)の拡散方程式と、下記式(23),(24)に示す境界条件式が適用される。下記式(23)は、活物質の中心部における境界条件を示し、下記式(24)は、活物質のうち、電解液と接触する界面(以下、単に「界面」ともいう)における境界条件を示す。
活物質の界面における局所的なリチウム濃度分布(濃度分布)である局所SOCθjは、下記式(25)で定義される。下記式(25)中のcsejは、下記式(26)に示されるように、正極および負極の活物質界面におけるリチウム濃度を示している。csj,maxは、活物質内での限界リチウム濃度を示している。
電解液中の電荷保存則に関する式として、下記式(27)が成立し、活物質中の電荷保存則に関する式として、下記式(28)が成立する。活物質界面での電気化学反応式として、電流密度I(t)と、反応電流密度jj Liとの関係を示す下記式(29)が成立する。
上記式(19)〜(29)の基礎方程式で表される電池モデル式は、以下に説明するように、簡易化することができる。電池モデル式の簡易化により、演算負荷を低減したり、演算時間を短縮したりすることができる。
負極142および正極141のそれぞれにおける電気化学反応を一様なものと仮定する。すなわち、各電極142,141において、x方向における反応が均一に生じるものと仮定する。また、各電極142,141に含まれる複数の活物質142b,141bでの反応が均一と仮定するので、各電極142,141の活物質142b,141bを、1個の活物質モデルとして取り扱う。これにより、図2に示す二次電池1の構造は、図15に示す構造にモデリングすることができる。
図15に示す電池モデルでは、活物質モデル141b(j=1)および活物質モデル142b(j=2)の表面における電極反応をモデリングすることができる。また、図15に示す電池モデルでは、活物質モデル141b,142bの内部におけるリチウムの拡散(径方向)と、電解液中のリチウムイオンの拡散(濃度分布)とをモデリングすることができる。さらに、図15に示す電池モデルの各部位において、電位分布や温度分布をモデリングすることができる。
図16に示すように、各活物質モデル141b,142bの内部におけるリチウム濃度csは、活物質モデル141b,142bの半径方向の座標r(r:活物質モデルの中心からの距離、rs:活物質の半径)上での関数として表すことができる。ここで、活物質モデル141b,142bの周方向における位置の依存性は、無いものと仮定している。図16に示す活物質モデル141b,142bは、界面での電気化学反応に伴う、活物質の内部におけるリチウム拡散現象を推定するために用いられる。活物質モデル141b,142bの径方向にN分割(N:2以上の自然数)された各領域(k=1〜N)について、リチウム濃度cs,k(t)が、後述する拡散方程式に従って推定される。
図15に示す電池モデルによれば、基礎方程式(19)〜(24),(26)は、下記式(19’)〜(24’),(26’)で表すことができる。
上記式(21’)では、電解液中のリチウム濃度を時間に対して不変と仮定することによって、cej(t)が一定値であると仮定する。また、活物質モデル141b,142bに対しては、拡散方程式(22)〜(24)が極座標方向の分布のみを考慮して、拡散方程式(22’)〜(24’)に変形される。上記式(26’)において、活物質の界面におけるリチウム濃度csejは、図16に示したN分割領域のうちの最外周の領域におけるリチウム濃度csi(t)に対応する。
電解液中の電荷保存則に関する上記式(27)は、上記式(21’)を用いて、下記式(30)に簡易化される。すなわち、電解液の電位φejは、xの二次関数として近似される。過電圧ηj♯の算出に用いる電解液中の平均電位φej♯は、下記式(30)を電極厚さLjで積分した下記式(31)によって求められる。
負極142については、下記式(30)に基づいて、下記式(32)が成立する。このため、電解液の平均電位φe2♯と、負極142およびセパレータ143の境界における電解液の電位との差(電位差)は、下記式(33)で表される。正極141については、電解液の平均電位φe1♯と、正極141およびセパレータ143の境界における電解液の電位との差(電位差)は、下記式(34)で表される。
活物質中の電荷保存則に関する上記式(28)についても、下記式(35)に簡易化することができる。すなわち、活物質の電位φsjについても、xの二次関数として近似される。過電圧ηj♯の算出に用いる活物質中の平均電位φsj♯は、下記式(35)を電極厚さLjで積分した下記式(36)によって求められる。このため、正極141に関して、活物質の平均電位φs1♯と、活物質モデル141bおよび集電板141aの境界における活物質の電位との差(電位差)は、下記式(37)で示される。同様に、負極142については、下記式(38)が成立する。
図17は、二次電池1の端子電圧V(t)と、上述したように求めた各平均電位との関係を示す。図17において、セパレータ143では、反応電流密度jj Liが0であるため、セパレータ143での電圧降下は、電流密度I(t)に比例し、Ls/κs eff・I(t)となる。
また、各電極中における電気化学反応を一様と仮定したことにより、極板の単位面積当たりの電流密度I(t)と反応電流密度(リチウム生成量)jj Liとの間には、下記式(39)が成立する。
図17に示す電位関係および上記式(39)に基づいて、電池電圧V(t)については、下記式(40)が成立する。下記式(40)は、図17に示す下記式(41)の電位関係式を前提とする。
次に、平均過電圧η♯(t)を算出する。jj Liを一定にするとともに、バトラー・ボルマーの関係式において、充放電効率を同一として、αajおよびαcjを0.5とすると、下記式(42)が成立する。下記式(42)を逆変換することにより、平均過電圧η♯(t)は、下記式(43)により求められる。
図17を用いて平均電位φs1、φs2を求め、求めた値を上記式(40)に代入する。また、上記式(43)から求めた平均過電圧η1♯(t)、η2♯(t)を上記式(41)に代入する。この結果、上記式(19’),(39)および上記式(20’)に基づいて、電気化学反応モデル式に従った電圧−電流関係モデル式(M1a)が導出される。
リチウム濃度保存則(拡散方程式)である上記式(22’)および境界条件式(23’),(24’)によって、活物質モデル141b,142bについての活物質拡散モデル式(M2a)が求められる。
モデル式(M1a)の右辺第1項は、活物質表面での反応物質(リチウム)濃度により決定される開放電圧(OCV)を示し、右辺第2項は、過電圧(η1♯−η2♯)を示し、右辺第3項は、二次電池1に電流が流れることによる電圧降下を示す。すなわち、二次電池1の直流純抵抗が、上記式(M2a)中のRd(T)で表わされる。
上記式(M2a)において、反応物質であるリチウムの拡散速度を規定するパラメータとして用いられる拡散係数Ds1、Ds2は温度依存性を有する。したがって、拡散係数Ds1、Ds2は、例えば、図18に示すマップを用いて設定することができる。図18に示すマップは、予め取得しておくことができる。図18において、横軸の電池温度Tbは、温度センサ203を用いて検出された温度である。図18に示すように、拡散係数Ds1、Ds2は、電池温度Tbの低下に応じて低下する。言い換えれば、拡散係数Ds1、Ds2は、電池温度Tbの上昇に応じて上昇する。
拡散係数Ds1、Ds2について、電池温度Tbの依存性だけでなく、局所SOCθの依存性を考慮してもよい。この場合、電池温度Tb、局所SOCθおよび拡散係数Ds1、Ds2の対応関係を示すマップを予め用意しておけばよい。
上記式(M1a)に含まれる開放電圧U1は、図19Aに示すように、局所SOCθの上昇に応じて低下する。また、開放電圧U2は、図19Bに示すように、局所SOCθの上昇に応じて上昇する。図19Aおよび図19Bに示すマップを予め用意しておけば、局所SOCθに対応した開放電圧U1,U2を特定することができる。
上記式(M1a)に含まれる交換電流密度i01、i02は、局所SOCθおよび電池温度Tbの依存性を有する。したがって、交換電流密度i01、i02、局所SOCθおよび電池温度Tbの対応関係を示すマップを予め用意しておけば、局所SOCθおよび電池温度Tbから、交換電流密度i01、i02を特定することができる。
直流純抵抗Rdは、温度Tbの依存性を有する。したがって、直流純抵抗Rdおよび電池温度Tbの対応関係を示すマップを予め用意しておけば、電池温度Tbから直流純抵抗Rdを特定することができる。なお、上述したマップについては、二次電池1に関する周知の交流インピーダンス測定等の実験結果に基づいて作成することができる。
図15に示す電池モデルは、さらに簡略化することができる。具体的には、電極142,141の活物質として、共通の活物質モデルを用いることができる。図15に示す活物質モデル141b,142bを、1つの活物質モデルとして扱うことにより、下記式(44)に示すような式の置き換えができる。下記式(44)では、正極141および負極142の区別を示す添字jが省略される。
モデル式(M1a),(M2a)は、下記式(M1b),(M2b)で表すことができる。また、1つの活物質モデルを用いた電池モデルでは、電流密度I(t)および反応電流密度jj Liの関係式として、上記式(39)の代わりに、下記式(39’)が適用される。
上記式(M1a)中のarcsinh項を一次近似(線形近似)することにより、下記式(M1c)が得られる。このように線形近似することにより、演算負荷を低減したり、演算時間を短縮したりすることができる。
上記式(M1c)では、線形近似の結果、右辺第2項も、電流密度I(t)および反応抵抗Rrの積で示される。反応抵抗Rrは、上記式(45)に示されるように、局所SOCθおよび電池温度Tbに依存する交換電流密度i01,i02から算出される。したがって、上記式(M1c)を用いるときには、局所SOCθ、電池温度Tbおよび交換電流密度i01,i02の対応関係を示すマップを予め用意しておけばよい。上記式(M1c)および上記式(45)によれば、上記式(46)が得られる。
上記式(M1b)における右辺第2項のarcsinh項を線形近似すれば、下記式(M1d)が得られる。
次に、上述した電池モデル式を用いて二次電池1の状態を推定する構成について説明する。図20は、コントローラ300の内部構成を示す概略図である。電池状態推定部310は、拡散推定部311と、開放電圧推定部312と、電流推定部313と、パラメータ設定部314と、境界条件設定部315とを有する。図20に示す構成において、電池状態推定部310は、上記式(M1d)および上記式(M2b)を用いることにより、電流密度I(t)を算出する。
本実施例では、上記式(M1d)を用いて電流密度I(t)を算出しているが、これに限るものではない。具体的には、上記式(M1a)〜上記式(M1d)のいずれかと、上記式(M2a)又は上記式(M2b)との任意の組み合わせに基づいて、電流密度I(t)を算出することができる。
拡散推定部311は、上記式(M2b)を用い、境界条件設定部315で設定された境界条件に基づいて、活物質内部でのリチウム濃度分布を算出する。境界条件は、上記式(23’)又は上記式(24’)に基づいて設定される。拡散推定部311は、上記式(25)を用い、算出したリチウム濃度分布に基づいて局所SOCθを算出する。拡散推定部311は、局所SOCθに関する情報を開放電圧推定部312に出力する。
開放電圧推定部312は、拡散推定部311が算出した局所SOCθに基づいて、各電極142,141の開放電圧U1,U2を特定する。具体的には、開放電圧推定部312は、図19Aおよび図19Bに示すマップを用いることにより、開放電圧U1,U2を特定することができる。開放電圧推定部312は、開放電圧U1,U2に基づいて、二次電池1の開放電圧を算出することができる。二次電池1の開放電圧は、開放電圧U1から開放電圧U2を減算することによって得られる。
パラメータ設定部314は、電池温度Tbおよび局所SOCθに応じて、電池モデル式で用いられるパラメータを設定する。電池温度Tbとしては、温度センサ203による検出温度Tbを用いる。局所SOCθは、拡散推定部311から取得される。パラメータ設定部314で設定されるパラメータとしては、上記式(M2b)中の拡散定数Ds、上記式(M1f)中の電流密度i0および直流抵抗Rdがある。
電流推定部313は、下記式(M3a)を用いて、電流密度I(t)を算出(推定)する。下記式(M3a)は、上記式(M1d)を変形した式である。下記式(M3a)において、開放電圧U(θ,t)は、開放電圧推定部312で推定された開放電圧U(θ)である。電圧V(t)は、監視ユニット201を用いて取得した電池電圧Vbである。Rd(t)およびi(θ,T,t)は、パラメータ設定部314で設定された値である。
なお、上記式(M1a)〜上記式(M1d)のいずれかの式を用いる場合であっても、上述した式(M3a)と同様の方法によって、電流密度I(t)を算出することができる。
境界条件設定部315は、上記式(39)又は上記式(39’)を用いて、電流推定部313によって算出された電流密度I(t)から反応電流密度(リチウム生成量)jj Liを算出する。そして、境界条件設定部315は、上記式(24’)を用いて、上記式(M2b)における境界条件を更新する。境界条件を更新すれば、上記式(M2a),(M2b)に基づいて、活物質モデル内のリチウム濃度分布を算出することができる。
活物質モデル内のリチウム濃度分布を算出すれば、下記式(47)に基づいて、リチウム平均濃度csaveを算出することができる。
上記式(47)に示すリチウム濃度csj,k(t)(k=1〜N)は、図16に示したように、活物質モデル141b,142bを径方向にN分割した各領域のリチウム濃度であり、拡散モデル式(M2a),(M2b)により推定される。また、ΔVkは、各分割領域の体積を示し、Vは活物質全体の体積を示す。また、正極および負極における活物質モデルを共通化した場合には、共通化された活物質モデル内の各領域のリチウム濃度cs,k(t)(k=1〜N)の平均値を、上記式(47)と同様に求めることによって、リチウム平均濃度csave(t)を求めることができる。
図21には、正極活物質内のリチウム平均濃度csaveと、SOCeとの関係を示す。図21に示すように、正極活物質内のリチウム平均濃度csaveが上昇するほど、SOCが低下する。言い換えれば、正極活物質内のリチウム平均濃度csaveが低下するほど、SOCが上昇する。ここで、SOCが100[%]であるときのリチウム平均濃度Cfと、SOCが0[%]であるときのリチウム平均濃度COとを予め求めておくことができる。
そして、図21に示すように、線形補間すれば、リチウム平均濃度csaveおよびSOCeの関係を特定することができる。これにより、リチウム平均濃度csaveを算出すれば、図21に示す関係を用いて、リチウム平均濃度csaveに対応するSOCeを特定することができる。具体的には、下記式(48)に基づいて、二次電池1のSOCeを算出することができる。
ここで、二次電池1では、濃度過電圧による電圧降下が発生する。濃度過電圧は、正極141および負極142の間に位置する電解液中の不均一な濃度分布(濃度勾配)に起因する。濃度過電圧による電圧降下を考慮すると、上記式(M1a)〜(M1d)は、下記式(M1a’)〜(M1d’)に置き換えることができる。
また、上記式(M3a)は、下記式(M3a’)に置き換えることができる。
上述した濃度過電圧Δφは、下記式(49)によって表すことができる。
上記式(49)は、下記式(50)に変換することができる。また、下記式(50)から、下記式(51)を導き出すことができる。
上記式(51)から、下記式(52)を導き出すことができる。
上記式(52)は、下記式(53)に示すように変形することができる。
上記式(53)を線形近似することにより、下記式(54)に示すように変形することができる。
上記式(53),(54)に示すΔcは、実施例1で説明したイオン濃度偏りdCe(t)に相当する。このため、実施例1で説明したように、イオン濃度偏りdCe(t)を算出すれば、このイオン濃度偏りdCe(t)の値を、上記式(53),(54)に示すΔcに代入すればよい。
また、上記式(53),(54)に示すcは、実施例1で説明した平均イオン濃度Ceave(t)に相当する。このため、実施例1で説明したように、平均イオン濃度Ceave(t)を算出すれば、この平均イオン濃度Ceave(t)の値を、上記式(53),(54)に示すcに代入すればよい。これにより、上記式(53),(54)に基づいて、濃度過電圧Δφを算出することができる。
実施例1で説明したように、イオン濃度偏りdCe(t)や平均イオン濃度Ceave(t)は、サイクルタイムΔtで更新される。このため、イオン濃度偏りdCe(t)および平均イオン濃度Ceave(t)に基づいて、濃度過電圧Δφを算出すれば、現在の二次電池1における濃度過電圧Δφを精度良く推定することができる。
また、濃度過電圧Δφを精度良く推定できれば、上記式(M1a’)〜(M1d’)や上記式(M3a’)を用いることにより、濃度過電圧Δφを考慮した電流密度I(t)を算出することができる。上述したように上記式(M2b)の境界条件を更新して、活物質モデル内のリチウム濃度分布を算出すれば、リチウム平均濃度csaveを算出することができる。そして、リチウム平均濃度csaveから二次電池1のSOCを算出することができる。このように、二次電池1のSOCが算出されるため、濃度過電圧Δφを精度良く推定することにより、SOCの推定精度も向上させることができる。
次に、二次電池1のSOCを算出する処理について、図22に示すフローチャートを用いて説明する。図22に示す処理は、サイクルタイムΔtが経過するたびに行われ、コントローラ300(電池状態推定部310を含む)によって実行される。
ステップS701において、コントローラ300(電池状態推定部310)は、監視ユニット201の出力に基づいて、二次電池1の電圧(電池電圧)Vbを検出する。ステップS702において、コントローラ300(電池状態推定部310)は、温度センサ203の出力に基づいて、二次電池1の温度(電池温度)Tbを検出する。
ステップS703において、コントローラ300(拡散推定部311)は、上記式(M2b)を用いた前回の演算時におけるリチウム濃度分布に基づき、局所SOCθを算出する。ステップS704において、コントローラ300(開放電圧推定部312)は、ステップS703の処理で算出された局所SOCθから、開放電圧U(θ)を算出する。
ステップS705において、コントローラ300は、上記式(53)又は上記式(54)に基づいて、濃度過電圧Δφを算出する。濃度過電圧Δφを算出するときには、実施例1で説明したように、イオン濃度偏りdCe(t)および平均イオン濃度Ceave(t)を算出しておく。ここで、図6で説明した処理によって、イオン濃度偏りdCe(t)が算出される。また、図8で説明した処理によって、平均イオン濃度Ceave(t)が算出される。
ステップS706において、コントローラ300(電流推定部313)は、上記式(M1a’)〜(M1d’)や上記式(M3a’)を用いて、電流密度Im(t)を算出(推定)する。例えば、電池電圧Vbと、ステップS704の処理で算出された開放電圧U(θ)と、ステップS705の処理で算出された濃度過電圧Δφと、パラメータ設定部314で設定されたパラメータ値とを、上記式(M3a’)に代入することにより、電流密度Im(t)が算出される。
ステップS707において、コントローラ300(境界条件設定部315)は、ステップS706の処理で算出された電流密度I(t)から反応電流密度(リチウム生成量)jj Liを算出する。また、コントローラ300(境界条件設定部315)は、算出した反応電流密度を用いて、上記式(M2b)の活物質界面における境界条件(活物質界面)を設定する。
ステップS708において、コントローラ300(拡散推定部311)は、上記式(M2b)を用いて、活物質モデルの内部におけるリチウム濃度分布を算出し、各領域におけるリチウム濃度の推定値を更新する。ここで、最外周の分割領域におけるリチウム濃度(更新値)は、図22に示す処理を次回行うときに、ステップS703の処理における局所SOCθの算出に用いられる。
ステップS709において、コントローラ300は、正極活物質内のリチウム平均濃度csaveを算出する。上述したように、リチウム平均濃度csaveは、ステップS708の処理で算出されたリチウム濃度分布から算出される。ステップS710において、コントローラ300は、二次電池1のSOCを算出する。具体的には、コントローラ300は、図21に示す対応関係を用いて、ステップS709の処理で算出されたリチウム平均濃度csaveに対応するSOCeを算出する。
なお、図22に示す処理では、サイクルタイムΔtが経過するたびに、イオン濃度偏りdCe(t)および平均イオン濃度Ceave(t)を算出しているが、これに限るものではない。実施例1で説明したように、平均イオン濃度Ceave(t)が変化する時間は、イオン濃度偏りdCe(t)が変化する時間よりも長くなることがある。
この場合には、サイクルタイムΔtよりも長い所定期間において、平均イオン濃度Ceave(t)を固定値とすることができる。具体的には、所定期間で用いられる平均イオン濃度Ceave(t)は、所定期間を計測し始める直前に算出された平均イオン濃度Ceave(t)を用いることができる。所定期間としては、例えば、車両の走行を開始して、走行を終了するまでの期間とすることができる。

Claims (11)

  1. 充放電を行う二次電池と、
    前記二次電池の劣化状態又は充電状態を推定するコントローラと、を有し、
    前記コントローラは、
    前記二次電池に流れる電流に応じて変化する、正極および負極の間におけるイオン濃度偏りを算出し、
    前記劣化状態又は前記充電状態を推定するとき、前記二次電池に流れる電流に応じて変化する、前記正極および前記負極の間における平均イオン濃度および前記イオン濃度偏りを用いることを特徴とする電池システム。
  2. 前記二次電池に流れる電流を検出する電流センサを有しており、
    前記コントローラは、電流値を変数として含む演算式に、前記電流センサの検出値を代入して、前記イオン濃度偏りを算出することを特徴とする請求項に記載の電池システム。
  3. 充放電を行う二次電池と、
    前記二次電池の劣化状態を推定するコントローラと、を有し、
    前記コントローラは、
    前記二次電池に流れる電流に応じて変化する、正極および負極が対向する平面内におけるイオン濃度偏りを算出し、
    前記劣化状態を推定するとき、前記二次電池に流れる電流に応じて変化する、前記正極および前記負極の間における平均イオン濃度および前記イオン濃度偏りを用いることを特徴とする電池システム。
  4. 前記コントローラは、
    圧力センサを用いて前記二次電池の面圧を検出し、
    前記面圧を変数として含む演算式を用いて、前記イオン濃度偏りを算出することを特徴とする請求項に記載の電池システム。
  5. 前記コントローラは、
    前記二次電池に流れる電流から前記二次電池の面圧を推定し、
    前記面圧を変数として含む演算式を用いて、前記イオン濃度偏りを算出することを特徴とする請求項に記載の電池システム。
  6. 充放電を行う二次電池と、
    前記二次電池の劣化状態を推定するコントローラと、を有し、
    前記コントローラは、
    前記二次電池に流れる電流に応じて変化する、正極および負極の間における第1イオン濃度偏りを算出し、
    前記二次電池に流れる電流に応じて変化する、前記正極および前記負極が対向する平面内における第2イオン濃度偏りを算出し、
    前記劣化状態を推定するとき、前記二次電池に流れる電流に応じて変化する、前記正極および前記負極の間における平均イオン濃度、前記第1イオン濃度偏りおよび前記第2イオン濃度偏りを用いることを特徴とする電池システム。
  7. 前記コントローラは、
    圧力センサを用いて前記二次電池の面圧を検出する、又は、前記二次電池に流れる電流から前記面圧を推定し、
    前記面圧を変数として含む演算式を用いて、前記第1イオン濃度偏りおよび前記第2イオン濃度偏りをそれぞれ算出することを特徴とする請求項に記載の電池システム。
  8. 充放電を行う二次電池と、
    前記二次電池の劣化状態を推定するコントローラと、を有し、
    前記コントローラは、
    前記劣化状態を推定するとき、前記二次電池に流れる電流に応じて変化する、正極および負極の間における平均イオン濃度を用い、
    前記劣化状態を推定したときであって、推定した前記劣化状態を規定するパラメータが閾値よりも大きいとき、前記二次電池の出力又は入力を制限することを特徴とする電池システム。
  9. 前記コントローラは、
    圧力センサを用いて前記二次電池の面圧を検出し、
    前記面圧を変数として含む演算式を用いて、前記平均イオン濃度を算出することを特徴とする請求項1から8のいずれか1つに記載の電池システム。
  10. 前記コントローラは、
    前記二次電池に流れる電流から前記二次電池の面圧を推定し、
    前記面圧を変数として含む演算式を用いて、前記平均イオン濃度を算出することを特徴とする請求項1から8のいずれか1つに記載の電池システム。
  11. 充放電を行う二次電池と、
    前記二次電池の電圧を検出する電圧センサと、
    前記二次電池の充電状態を推定するコントローラと、を有し、
    前記コントローラは、
    前記二次電池に流れる電流に応じて変化する、正極および負極の間における平均イオン濃度と、前記正極および前記負極の間におけるイオン濃度偏りとを用いて、前記二次電池の濃度過電圧を算出し、
    電池モデル式を用いて、前記電圧センサの検出値および前記濃度過電圧から算出される電流密度に基づいて、前記二次電池の活物質の界面における境界条件を設定し、
    前記境界条件が設定された拡散方程式を用いて、前記活物質内のイオン濃度分布を算出し、
    前記活物質内のイオン濃度分布を用いて、前記活物質内の平均イオン濃度を算出し、
    前記活物質内の平均イオン濃度および充電状態の対応関係を用いて、算出した前記活物質内の平均イオン濃度に対応する充電状態を特定することを特徴とする電池システム。
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