JP2014120200A - 電池システムおよび、リチウム濃度分布の推定方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】 リチウムイオン二次電池の温度が低下したときにおいて、活物質内のリチウム濃度分布を精度良く推定する。
【解決手段】 電池システムは、リチウムイオン二次電池(1)の温度を検出する温度センサ(203)と、リチウムイオン二次電池に含まれる球状の活物質モデル(141b,142b)内におけるリチウム濃度分布を算出するコントローラ(300)とを有する。コントローラは、活物質モデルを径方向において複数の領域に分割した状態において、拡散方程式を用いて、各領域のリチウム濃度を示すリチウム濃度分布を算出する。コントローラは、温度センサによる検出温度が閾値よりも低いときにおける領域の分割数(Ninc)を、検出温度が閾値よりも高いときにおける領域の分割数(Nref)よりも大きくする。
【選択図】 図15
【解決手段】 電池システムは、リチウムイオン二次電池(1)の温度を検出する温度センサ(203)と、リチウムイオン二次電池に含まれる球状の活物質モデル(141b,142b)内におけるリチウム濃度分布を算出するコントローラ(300)とを有する。コントローラは、活物質モデルを径方向において複数の領域に分割した状態において、拡散方程式を用いて、各領域のリチウム濃度を示すリチウム濃度分布を算出する。コントローラは、温度センサによる検出温度が閾値よりも低いときにおける領域の分割数(Ninc)を、検出温度が閾値よりも高いときにおける領域の分割数(Nref)よりも大きくする。
【選択図】 図15
Description
本発明は、リチウムイオン二次電池の活物質内におけるリチウム濃度分布を推定する技術に関する。
特許文献1では、電池モデルを規定することにより、リチウムイオン二次電池に含まれる活物質モデル内のリチウム濃度分布を算出している。具体的には、球体と見なした活物質モデルの径方向において、活物質モデルをN個に分割しておき、拡散方程式(拡散モデル式)を用いることにより、活物質モデル内における各分割領域のリチウム濃度、言い換えれば、活物質モデル内のリチウム濃度分布を算出している。
特許文献1では、活物質モデルを分割するときの数Nを一義的に設定している。ここで、リチウムイオン二次電池の温度が低下したときには、拡散方程式で用いられる拡散係数が低下し、活物質モデル内におけるリチウムの拡散が制限されやすい。このとき、活物質モデルを分割するときの数Nを一義的に設定してしまうと、活物質モデル内におけるリチウム濃度分布を把握しにくくなる。
本願第1の発明である電池システムは、リチウムイオン二次電池の温度を検出する温度センサと、リチウムイオン二次電池に含まれる球状の活物質モデル内におけるリチウム濃度分布を算出するコントローラとを有する。コントローラは、活物質モデルを径方向において複数の領域に分割した状態において、拡散方程式を用いて、各領域のリチウム濃度を示すリチウム濃度分布を算出する。また、コントローラは、温度センサによる検出温度が閾値よりも低いときにおける領域の分割数を、検出温度が閾値よりも高いときにおける領域の分割数よりも大きくする。
活物質モデルの分割数を増やせば、活物質モデルを細分化させることができ、細分化された各領域のリチウム濃度を算出することができる。これに伴い、活物質モデルの内部におけるリチウム濃度分布を把握しやすくなる。ここで、リチウムイオン二次電池の温度が閾値よりも高いときには、拡散方程式で用いられる拡散係数が大きくなりやすく、活物質モデルの分割数を増やしてしまうと、拡散方程式の安定性を確保できなくなってしまう。
そこで、本願第1の発明では、リチウムイオン二次電池の温度が閾値よりも低いときには、リチウムイオン二次電池の温度が閾値よりも高いときに用いられる分割数よりも大きな分割数を設定している。上述したように、リチウムイオン二次電池の温度が低下すると、活物質モデル内におけるリチウムの拡散が制限されやすくなるため、活物質モデルの分割数を増やすことにより、活物質モデル内のリチウム濃度分布を把握しやすくなる。
活物質モデルの内部におけるリチウム濃度分布を算出すれば、このリチウム濃度分布に基づいて、活物質モデルの界面におけるリチウム濃度を算出することができる。リチウムイオン二次電池の内部抵抗を規定する反応抵抗および拡散抵抗は、活物質モデルの界面におけるリチウム濃度に依存するため、界面のリチウム濃度を算出することにより、リチウムイオン二次電池の反応抵抗および拡散抵抗をそれぞれ特定することができる。
反応抵抗および拡散抵抗を特定できれば、これらの抵抗成分を合わせることにより、リチウムイオン二次電池の内部抵抗を特定することができる。本願第1の発明によれば、上述したように、活物質モデル内におけるリチウム濃度分布を把握しやすくなるため、このリチウム濃度分布から界面のリチウム濃度を算出するときに、界面のリチウム濃度を精度良く推定することができる。界面のリチウム濃度を精度良く推定することができれば、界面のリチウム濃度に依存する反応抵抗や拡散抵抗も精度良く推定することができる。これに伴い、反応抵抗および拡散抵抗を含む、リチウムイオン二次電池の内部抵抗も精度良く推定することができる。
リチウムイオン二次電池の内部抵抗を特定できれば、リチウムイオン二次電池の開回路電圧を算出することができる。すなわち、リチウムイオン二次電池の閉回路電圧から、内部抵抗に伴う電圧変化量を減算することにより、リチウムイオン二次電池の開回路電圧を算出することができる。ここで、開回路電圧およびSOC(State of Charge)は、対応関係にあるため、この対応関係を用いれば、開回路電圧に対応したSOCを特定することができる。
上述したように、本願第1の発明によれば、リチウムイオン二次電池の内部抵抗を精度良く推定することができるため、リチウムイオン二次電池の開回路電圧も精度良く算出することができる。これに伴い、開回路電圧と対応関係にあるSOCの推定精度も向上させることができる。
拡散方程式を用いて、活物質モデル内のリチウム濃度分布を算出するときには、活物質モデルの中心および界面における境界条件を設定することができる。このように境界条件を設定すれば、拡散方程式を用いることにより、活物質モデルに含まれる各領域のリチウム濃度を算出することができる。
検出温度と比較される閾値は、拡散方程式で用いられる拡散係数に基づいて、適宜設定することができる。拡散係数が大きくなるほど、拡散方程式の安定性を確保するために、活物質モデルの分割数を増やすことができない。一方、拡散係数が低下すれば、活物質モデルの分割数を増やしても、拡散方程式の安定性を確保することができる。この点に基づいて、閾値を適宜設定することができる。ここで、検出温度が閾値よりも低いときに拡散方程式で用いられる拡散係数は、検出温度が閾値よりも高いときに拡散方程式で用いられる拡散係数よりも小さくなる。
検出温度と比較される閾値には、第1閾値と、第1閾値よりも高い第2閾値とを含めることができる。ここで、リチウムイオン二次電池のSOCが、0%および100%から離れた所定範囲に含まれるときには、検出温度が第2閾値よりも低いときにおける分割数を、検出温度が第2閾値よりも高いときにおける分割数よりも大きくすることができる。一方、リチウムイオン二次電池のSOCが所定範囲から外れているときには、検出温度が第1閾値よりも低いときにおける分割数を、検出温度が第1閾値よりも高いときにおける分割数よりも大きくすることができる。
拡散方程式で用いられる拡散係数は、リチウムイオン二次電池のSOCにも依存する。具体的には、リチウムイオン二次電池のSOCが0%および100%に近づくほど、拡散係数が上昇する。また、リチウムイオン二次電池のSOCが所定範囲に含まれているときには、拡散係数が上昇しにくくなっている。言い換えれば、SOCが所定範囲に含まれているときの拡散係数は、SOCが所定範囲から外れているときの拡散係数よりも小さくなる。このため、SOCが所定範囲に含まれている場合には、検出温度と比較される閾値を高温側にシフトさせても、拡散方程式の安定性を確保することができる。
そこで、リチウムイオン二次電池のSOCが所定範囲に含まれるときには、第2閾値を基準として、分割数を変更するようにしている。一方、リチウムイオン二次電池のSOCが所定範囲から外れるときには、第1閾値を基準として分割数を変更することができる。リチウムイオン二次電池のSOCが所定範囲に含まれるときには、分割数を切り替える基準を、第1閾値から第2閾値に変更することにより、拡散方程式の安定性を確保しながら、活物質モデルの分割数を増やすことができる条件(温度範囲)を広げることができる。
本願第2の発明は、リチウムイオン二次電池に含まれる球状の活物質モデルの内部におけるリチウム濃度分布を推定する推定方法である。ここで、活物質モデルを径方向において複数の領域に分割した状態において、拡散方程式を用いて、各領域のリチウム濃度を示すリチウム濃度分布を算出することができる。リチウム濃度分布を算出するとき、リチウムイオン二次電池の温度を検出して、この検出温度が閾値よりも低いときにおける領域の分割数を、検出温度が閾値よりも高いときにおける領域の分割数よりも大きくする。本願第2の発明においても、本願第1の発明と同様の効果を得ることができる。
以下、本発明の実施例について説明する。
図1は、本実施例の電池システムの構成を示す図である。図1に示す電池システムは、車両に搭載することができる。車両としては、HV(Hybrid Vehicle)、PHV(Plug-in Hybrid Vehicle)およびEV(Electric Vehicle)がある。
HVは、車両を走行させるための動力源として、後述する組電池に加えて、内燃機関又は燃料電池といった他の動力源を備えている。PHVでは、HVにおいて、外部電源からの電力を用いて組電池を充電できる。EVは、車両の動力源として、後述する組電池だけを備えており、外部電源からの電力供給を用いて、組電池を充電することができる。外部電源とは、車両の外部において、車両とは別に設けられた電源(例えば、商用電源)である。
組電池100は、直列に接続された複数の二次電池1を有する。二次電池1としては、リチウムイオン二次電池を用いることができる。二次電池1の数は、組電池100の要求出力などに基づいて、適宜設定することができる。組電池100には、並列に接続された複数の二次電池1を含めることもできる。監視ユニット(電圧センサ)201は、組電池100の端子間電圧を検出したり、各二次電池1の端子間電圧Vbを検出したりする。監視ユニット201は、検出結果をコントローラ300に出力する。
電流センサ202は、組電池100に流れる電流Ibを検出し、検出結果をコントローラ300に出力する。ここで、放電電流Ibを正の値とし、充電電流Ibを負の値としている。温度センサ203は、組電池100の温度Tbを検出し、検出結果をコントローラ300に出力する。複数の温度センサ203を用いることにより、互いに異なる位置に配置された二次電池1の温度Tbを検出しやすくなる。
コントローラ300は、メモリ300aを有しており、メモリ300aは、コントローラ300が所定処理(例えば、本実施例で説明する処理)を行うための各種の情報を記憶している。本実施例では、メモリ300aが、コントローラ300に内蔵されているが、コントローラ300の外部にメモリ300aを設けることもできる。
組電池100の正極端子と接続された正極ラインPLには、システムメインリレーSMR−Bが設けられている。システムメインリレーSMR−Bは、コントローラ300からの制御信号を受けることにより、オンおよびオフの間で切り替わる。組電池100の負極端子と接続された負極ラインNLには、システムメインリレーSMR−Gが設けられている。システムメインリレーSMR−Gは、コントローラ300からの制御信号を受けることにより、オンおよびオフの間で切り替わる。
システムメインリレーSMR−Gには、システムメインリレーSMR−Pおよび電流制限抵抗204が並列に接続されている。システムメインリレーSMR−Pおよび電流制限抵抗204は、直列に接続されている。システムメインリレーSMR−Pは、コントローラ300からの制御信号を受けることにより、オンおよびオフの間で切り替わる。
電流制限抵抗204は、組電池100を負荷(具体的には、インバータ205)と接続するときに、コンデンサ205に突入電流が流れることを抑制するために用いられる。コンデンサ205は、正極ラインPLおよび負極ラインNLに接続されており、正極ラインPLおよび負極ラインNLの間における電圧変動を平滑化するために用いられる。
組電池100をインバータ206と接続するとき、コントローラ300は、まず、システムメインリレーSMR−Bをオフからオンに切り替えるとともに、システムメインリレーSMR−Pをオフからオンに切り替える。これにより、電流制限抵抗204に電流が流れることになる。
次に、コントローラ300は、システムメインリレーSMR−Gをオフからオンに切り替えるとともに、システムメインリレーSMR−Pをオンからオフに切り替える。これにより、組電池100およびインバータ205の接続が完了し、図1に示す電池システムは、起動状態(Ready-On)となる。コントローラ300には、車両のイグニッションスイッチのオン/オフに関する情報が入力され、コントローラ300は、イグニッションスイッチがオフからオンに切り替わることに応じて、図1に示す電池システムを起動する。
一方、イグニッションスイッチがオンからオフに切り替わったとき、コントローラ300は、システムメインリレーSMR−B,SMR−Gをオンからオフに切り替える。これにより、組電池100およびインバータ206の接続が遮断され、図1に示す電池システムは、停止状態(Ready-Off)となる。
インバータ206は、組電池100からの直流電力を交流電力に変換し、交流電力をモータ・ジェネレータ207に出力する。モータ・ジェネレータ207としては、例えば、三相交流モータを用いることができる。モータ・ジェネレータ207は、インバータ206からの交流電力を受けて、車両を走行させるための運動エネルギを生成する。モータ・ジェネレータ207によって生成された運動エネルギは、車輪に伝達され、車両を走行させることができる。
車両を減速させたり、停止させたりするとき、モータ・ジェネレータ207は、車両の制動時に発生する運動エネルギを電気エネルギ(交流電力)に変換する。インバータ206は、モータ・ジェネレータ207が生成した交流電力を直流電力に変換し、直流電力を組電池100に出力する。これにより、組電池100は、回生電力を蓄えることができる。
本実施例では、組電池100をインバータ206に接続しているが、これに限るものではない。具体的には、組電池100およびインバータ206の間の電流経路に、昇圧回路を設けることができる。昇圧回路を用いることにより、組電池100の出力電圧を昇圧することができる。また、昇圧回路は、インバータ206から組電池100への出力電圧を降圧することができる。
図2に示すように、監視ユニット201は、組電池100を構成する二次電池1の数だけ、電圧監視IC(Integrated Circuit)201aを有しており、各電圧監視IC201aは、各二次電池1に並列に接続されている。電圧監視IC201aは、二次電池1の電圧Vbを検出し、検出結果をコントローラ300に出力する。また、各二次電池1には、均等化回路208が並列に接続されており、均等化回路208は、複数の二次電池1における電圧又はSOC(State of Charge)を均等化させるために用いられる。SOCは、満充電容量に対する、現在の充電容量の割合を示す。均等化回路208の動作は、コントローラ300によって制御される。
例えば、コントローラ300は、電圧監視IC201aの出力に基づいて、特定の二次電池1の電圧が他の二次電池1の電圧よりも高いと判別したとき、特定の二次電池1に対応した均等化回路208だけを動作させることにより、特定の二次電池1だけを放電させる。これにより、特定の二次電池1の電圧だけが低下し、他の二次電池1の電圧に揃えることができる。
均等化回路208の具体的な構成(一例)について、図3を用いて説明する。図3は、二次電池1および均等化回路208の構成を示す回路図である。
均等化回路208は、抵抗208aおよびスイッチ素子208bを有する。スイッチ素子208bは、コントローラ300からの制御信号を受けて、オンおよびオフの間で切り替わる。スイッチ素子208bがオフからオンに切り替われば、二次電池1から抵抗208aに電流が流れることになり、二次電池1を放電させることができる。これにより、各二次電池1の電圧を調整して、複数の二次電池1における電圧を均等化させることができる。
本実施例では、各二次電池1に対して均等化回路208や電圧監視IC201aを設けているが、これに限るものではない。例えば、組電池100を構成する複数の二次電池1を、複数の電池ブロックに分けたとき、各電池ブロックに対して、均等化回路208や電圧監視IC201aを設けることができる。各電池ブロックは、直列に接続された複数の二次電池1によって構成されており、複数の電池ブロックが直列に接続されることにより、組電池100が構成される。電圧監視IC201aは、対応する電池ブロックの電圧を検出し、均等化回路208は、対応する電池ブロックを放電させる。なお、各電池ブロックには、並列に接続された複数の二次電池1を含めることもできる。
均等化処理を精度良く行うためには、二次電池1のOCV(Open Circuit Voltage、開回路電圧)に基づいて、均等化処理を行うことが好ましい。組電池100を構成する複数の二次電池1においては、SOCにバラツキが発生することがある。二次電池1の満充電容量は、二次電池1の劣化が進行することに応じて低下し、複数の二次電池1における劣化のバラツキに応じて、満充電容量のバラツキが発生してしまう。また、二次電池1の充電容量は、自己放電などによって低下することがあるが、充電容量の低下量は、複数の二次電池1において互いに異なることがある。この結果、複数の二次電池1において、SOCのバラツキが発生してしまう。
SOCのバラツキが発生したときには、複数の二次電池1を同等の状態で使用し続けるために、SOCのバラツキを低減させることが好ましい。複数の二次電池1を互いに異なる状態で使用し続けると、特定の二次電池1だけが劣化しやすくなってしまうことがある。ここで、二次電池1のSOCは、二次電池1のOCVと対応関係があるため、SOCのバラツキを低減させるためには、OCVのバラツキを低減させればよい。このため、複数の二次電池1におけるOCVを取得し、これらのOCVに基づいて、均等化処理を行えば、SOCのバラツキを低減させることができる。
次に、本実施例で用いられる電池モデルについて説明する。図4は、二次電池1の構成を示す概略図である。図4に示す座標軸xは、電極の厚み方向における位置を示す。
二次電池1は、正極141と、負極142と、セパレータ143とを有する。セパレータ143は、正極141および負極142の間に位置しており、電解液を含んでいる。正極141は、アルミニウムなどで構成された集電板141aを有しており、集電板141aは、二次電池1の正極端子11と電気的に接続されている。負極142は、銅などで構成された集電板142aを有しており、集電板142aは、二次電池1の負極端子12と電気的に接続されている。
負極142および正極141のそれぞれは、球状の活物質142b,141bの集合体で構成されている。二次電池1を放電するとき、負極142の活物質142bの界面上では、リチウムイオンLi+および電子e-を放出する化学反応が行われる。また、正極141の活物質141bの界面上では、リチウムイオンLi+および電子e-を吸収する化学反応が行われる。負極142および正極141の間でのリチウムイオンLi+の授受によって、二次電池1の充放電が行われ、充電電流Ib(Ib<0)または放電電流Ib(Ib>0)が生じる。
本実施例に用いられる基礎的な電池モデル式は、以下の式(1)〜(11)からなる基礎方程式で表される。図5は、電池モデル式で用いられる変数および定数の一覧表を示す。
以下に説明するモデル式中の変数および定数に関して、添字eは電解液中の値であることを示し、sは活物質中の値であることを示す。添字jは、正極および負極を区別するものであり、jが1であるときには正極における値を示し、jが2であるときには負極における値を示す。正極および負極における変数又は定数を包括的に表記する場合には、添字jを省略する。また、時間の関数であることを示す(t)の表記、電池温度の依存性を示す(T)の表記、あるいは、局所SOCθの依存性を示す(θ)等について、明細書中では表記を省略することもある。変数又は定数に付された記号♯は、平均値を表わす。
上記式(1),(2)は、電極(活物質)における電気化学反応を示す式であり、バトラー・ボルマーの式と呼ばれる。
電解液中のリチウムイオン濃度保存則に関する式として、下記式(3)が成立する。活物質内のリチウム濃度保存則に関する式として、下記式(4)の拡散方程式と、下記式(5),(6)に示す境界条件式が適用される。下記式(5)は、活物質の中心部における境界条件を示し、下記式(6)は、活物質の電解液との界面(以下、単に「界面」ともいう)における境界条件を示す。
活物質の界面における局所的なリチウム濃度分布(濃度分布)である局所SOCθjは、下記式(7)で定義される。下記式(7)中のcsejは、下記式(8)に示されるように、正極および負極の活物質界面におけるリチウム濃度を示している。csj,maxは、活物質内での限界リチウム濃度を示している。
電解液中の電荷保存則に関する式として、下記式(9)が成立し、活物質中の電荷保存則に関する式として、下記式(10)が成立する。活物質界面での電気化学反応式として、電流密度I(t)と、反応電流密度jj Liとの関係を示す下記式(11)が成立する。
上記式(1)〜(11)の基礎方程式で表される電池モデル式は、以下に説明するように、簡易化することができる。電池モデル式の簡易化により、演算負荷を低減したり、演算時間を短縮したりすることができる。
負極142および正極141のそれぞれにおける電気化学反応を一様なものと仮定する。すなわち、各電極142,141において、x方向における反応が均一に生じるものと仮定する。また、各電極142,141に含まれる複数の活物質142b,141bでの反応が均一と仮定するので、各電極142,141の活物質142b,141bを、1個の活物質モデルとして取り扱う。これにより、図4に示す二次電池1の構造は、図6に示す構造にモデリングすることができる。
図6に示す電池モデルでは、活物質モデル141b(j=1)および活物質モデル142b(j=2)の表面における電極反応をモデリングすることができる。また、図6に示す電池モデルでは、活物質モデル141b,142bの内部におけるリチウムの拡散(径方向)と、電解液中のリチウムイオンの拡散(濃度分布)とをモデリングすることができる。さらに、図6に示す電池モデルの各部位において、電位分布や温度分布をモデリングすることができる。
図7に示すように、各活物質モデル141b,142bの内部におけるリチウム濃度csは、活物質モデル141b,142bの半径方向の座標r上での関数として表すことができる。rは、活物質モデル141b,142bの中心から各点までの距離であり、rsは、活物質モデル141b,142bの半径である。ここで、活物質モデル141b,142bの周方向における位置依存性は、無いものと仮定している。
図7に示す活物質モデル141b,142bは、界面での電気化学反応に伴う、活物質の内部におけるリチウム拡散現象を推定するために用いられる。活物質モデル141b,142bの径方向にN分割(N:2以上の自然数)された各領域(k=1〜N)について、リチウム濃度cs,k(t)が、後述する拡散方程式に従って推定される。ここで、N分割された複数の領域におけるリチウム濃度cs,k(t)によって、活物質内のリチウム濃度分布が得られる。
図6に示す電池モデルによれば、基礎方程式(1)〜(6),(8)は、下記式(1’)〜(6’),(8’)で表すことができる。
上記式(3’)では、電解液の濃度を時間に対して不変と仮定することによって、cej(t)が一定値であると仮定する。また、活物質モデル141b,142bに対しては、拡散方程式(4)〜(6)が極座標方向の分布のみを考慮して、拡散方程式(4’)〜(6’)に変形される。上記式(8’)において、活物質の界面におけるリチウム濃度csejは、図7に示したN分割領域のうちの最外周の領域におけるリチウム濃度csj(t)に対応する。
電界液中の電荷保存則に関する上記式(9)は、上記式(3’)を用いて、下記式(12)に簡易化される。すなわち、電解液の電位φejは、xの二次関数として近似される。過電圧ηj♯の算出に用いる電解液中の平均電位φej♯は、下記式(12)を電極厚さLjで積分した下記式(13)によって求められる。
負極142については、下記式(12)に基づいて、下記式(14)が成立する。このため、電解液平均電位φe2♯と、負極142およびセパレータ143の境界における電解液電位との電位差は、下記式(15)で表される。正極141については、電解液平均電位φe1♯と、正極141およびセパレータ143の境界における電解液電位との電位差は、下記式(16)で表される。
活物質中の電荷保存則に関する上記式(10)についても、下記式(17)に簡易化することができる。すなわち、活物質の電位φsjについても、xの二次関数として近似される。過電圧ηj♯の算出に用いる活物質中の平均電位φsj♯は、下記式(17)を電極厚さLjで積分した下記式(18)によって求められる。このため、正極141に関して、活物質平均電位φs1♯と、活物質モデル141bおよび集電板141aの境界における活物質電位との電位差は、下記式(19)で示される。同様に、負極142については、下記式(20)が成立する。
図8は、二次電池1の端子電圧V(t)と、上述したように求めた各平均電位との関係を示す。図8において、セパレータ143では、反応電流密度jj Liが0であるため、セパレータ143での電圧降下は、電流密度I(t)に比例し、Ls/κs eff・I(t)となる。
また、各電極中における電気化学反応を一様と仮定したことにより、極板の単位面積当たりの電流密度I(t)と反応電流密度(リチウム生成量)jj Liとの間には、下記式(21)が成立する。
図8に示す電位関係および上記式(21)に基づいて、電池電圧V(t)については、下記式(22)が成立する。下記式(22)は、図8に示す式(23)の電位関係式を前提とする。
次に、平均過電圧η♯(t)を算出する。jj Liを一定にするとともに、バトラー・ボルマーの関係式において、充放電効率を同一として、αajおよびαcjを0.5とすると、下記式(24)が成立する。下記式(24)を逆変換することにより、平均過電圧η♯(t)は、下記式(25)により求められる。
図8を用いて平均電位φs1、φs2を求め、求めた値を上記式(22)に代入する。また、上記式(25)から求めた平均過電圧η1♯(t)、η2♯(t)を上記式(23)に代入する。この結果、上記式(1’),(21)および上記式(2’)に基づいて、電気化学反応モデル式に従った電圧−電流関係モデル式(M1a)が導出される。
リチウム濃度保存則(拡散方程式)である上記式(4’)および境界条件式(5’),(6’)によって、活物質モデル141b,142bについての活物質拡散モデル式(M2a)が求められる。
モデル式(M1a)の右辺第1項は、活物質表面での反応物質(リチウム)濃度により決定される開回路電圧(OCV)を示し、右辺第2項は、過電圧(η1♯−η2♯)を示し、右辺第3項は、二次電池に電流が流れることによる電圧降下を示す。すなわち、二次電池10の直流純抵抗が,式(M2a)中のRd(T)で表わされる。
式(M2a)において、反応物質であるリチウムの拡散速度を規定するパラメータとして用いられる拡散係数Ds1、Ds2は温度依存性を有する。したがって、拡散係数Ds1、Ds2は、例えば、図9に示すマップを用いて設定することができる。図9に示すマップは、予め取得しておくことができる。図9において、横軸の電池温度Tbは、温度センサ203を用いて取得された温度である。図9に示すように、拡散係数Ds1、Ds2は、電池温度Tbの低下に応じて低下する。言い換えれば、拡散係数Ds1、Ds2は、電池温度Tbの上昇に応じて上昇する。
拡散係数Ds1、Ds2について、温度Tbの依存性だけでなく、局所SOCθの依存性を考慮してもよい。ここで、拡散係数Ds1、Ds2および局所SOCθは、図10に示す関係を有する。図10において、縦軸は局所SOCθであり、横軸は拡散係数Ds1、Ds2である。図10に示すように、局所SOCθが0%に近づくほど、拡散係数Ds1、Ds2が上昇するとともに、局所SOCθが100%に近づくほど、拡散係数Ds1、Ds2が上昇する。一方、局所SOCθが0%および100%の間では、拡散係数Ds1、Ds2が低下する。この場合、電池温度Tb、局所SOCθおよび拡散係数Ds1、Ds2の関係を示すマップを予め用意しておけば、電池温度Tbおよび局所SOCθに対応した拡散係数Ds1、Ds2を特定することができる。
式(M1a)に含まれる開回路電圧U1は、図11Aに示すように、局所SOCθの上昇に応じて低下する。また、開回路電圧U2は、図11Bに示すように、局所SOCθの上昇に応じて上昇する。図11Aおよび図11Bに示すマップを予め用意しておけば、局所SOCθに対応した開回路電圧U1,U2を特定することができる。
式(M1a)に含まれる交換電流密度i01、i02は、局所SOCθおよび電池温度Tbの依存性を有する。したがって、交換電流密度i01、i02、局所SOCθおよび電池温度Tbの関係を示すマップを予め用意しておけば、局所SOCθおよび電池温度Tbから、交換電流密度i01、i02を特定することができる。
直流純抵抗Rdは、温度の依存性を有する。したがって、直流純抵抗Rdおよび電池温度Tbの関係を示すマップを予め用意しておけば、電池温度Tbから直流純抵抗Rdを特定することができる。なお、上述したマップについては、二次電池1に関する周知の交流インピーダンス測定等の実験結果に基づいて作成することができる。
図6に示す電池モデルは、さらに簡略化することができる。具体的には、電極142,141の活物質として、共通の活物質モデルを用いることができる。図6に示す活物質モデル141b,142bを、1つの活物質モデルとして扱うことにより、下記式(26)に示すような式の置き換えができる。下記式(26)では、正極141および負極142の区別を示す添字jが省略される。
モデル式(M1a),(M2a)は、下記式(M1b),(M2b)で表すことができる。また、1つの活物質モデルを用いた電池モデルでは、電流密度I(t)および反応電流密度jj Liの関係式として、上記式(21)の代わりに、下記式(21’)が適用される。
上記式(M1a)中のarcsinh項を一次近似(線形近似)することにより、下記式(M1c)が得られる。このように線形近似することにより、演算負荷を低減したり、演算時間を短縮したりすることができる。
上記式(M1c)では、線形近似の結果、右辺第2項も、電流密度I(t)および反応抵抗Rrの積で示される。反応抵抗Rrは、上記式(27)に示されるように、局所SOCθおよび電池温度Tbに依存する交換電流密度i01,i02から算出される。したがって、上記式(M1c)を用いるときには、局所SOCθ、電池温度Tbおよび交換電流密度i01,i02の関係を示すマップを予め用意しておけばよい。上記式(M1c)および上記式(27)によれば、上記式(28)が得られる。
上記式(M1b)における右辺第2項のarcsinh項を線形近似すれば、下記式(M1d)が得られる。
上記式(M1b)は、下記式(M1e)として表すことができる。
上記式(M1e)は、一次近似(線形近似)することにより、下記式(M1f)で表される。
次に、上述した電池モデル式を用いて二次電池の状態を推定する構成について説明する。図12は、コントローラ300の内部構成を示す概略図である。電池状態推定部310は、拡散推定部311と、開回路電圧推定部312と、電流推定部313と、パラメータ設定部314と、境界条件設定部315とを有する。図12に示す構成において、電池状態推定部310は、上記式(M1f)および上記式(M2b)を用いることにより、電流密度I(t)を算出する。
本実施例では、上記式(M1f)を用いて電流密度I(t)を算出しているが、これに限るものではない。具体的には、上記式(M1a)〜上記式(M1e)のいずれかと、上記式(M2a)又は上記式(M2b)との任意の組み合わせに基づいて、電流密度I(t)を算出することができる。
拡散推定部311は、上記式(M2b)を用い、境界条件設定部315で設定された境界条件に基づいて、活物質内部でのリチウム濃度分布を算出する。境界条件は、上記式(5’)又は上記式(6’)に基づいて設定される。拡散推定部311は、上記式(7)を用い、算出したリチウム濃度分布に基づいて局所SOCθを算出する。拡散推定部311は、局所SOCθに関する情報を開回路電圧推定部312に出力する。
開回路電圧推定部312は、拡散推定部311が算出した局所SOCθに基づいて、各電極142,141の開回路電圧U1,U2を特定する。具体的には、開回路電圧推定部312は、図11Aおよび図11Bに示すマップを用いることにより、開回路電圧U1,U2を特定することができる。開回路電圧推定部312は、開回路電圧U1,U2に基づいて、二次電池1の開回路電圧を算出することができる。二次電池1の開回路電圧は、開回路電圧U1から開回路電圧U2を減算することによって得られる。
パラメータ設定部314は、電池温度Tbおよび局所SOCθに応じて、電池モデル式で用いられるパラメータを設定する。電池温度Tbとしては、温度センサ203による検出温度Tbを用いる。局所SOCθは、拡散推定部311から取得される。パラメータ設定部314で設定されるパラメータとしては、上記式(M2b)中の拡散定数Ds、上記式(M1f)中の電流密度i0および直流抵抗Rdがある。
電流推定部313は、下記式(M3a)を用いて、電流密度I(t)を算出(推定)する。下記式(M3a)は、上記式(M1f)を変形した式である。下記式(M3a)において、開回路電圧U(θ,t)は、開回路電圧推定部312で推定された開回路電圧U(θ)である。電圧V(t)は、監視ユニット201を用いて取得した電池電圧Vbである。Rd(t)およびi0(θ,T,t)は、パラメータ設定部314で設定された値である。
なお、上記式(M1a)〜上記式(M1e)のいずれかの式を用いる場合であっても、上述した式(M3a)と同様の方法によって、電流密度I(t)を算出することができる。
境界条件設定部315は、上記式(21)又は上記式(21’)を用いて、電流推定部313によって算出された電流密度I(t)から反応電流密度(リチウム生成量)jj Liを算出する。そして、境界条件設定部315は、上記式(6’)を用いて、上記式(M2b)における境界条件を更新する。
次に、電池状態推定部310の処理について、図13に示すフローチャートを用いて説明する。図13に示す処理は、所定の周期で実行される。
電池状態量推定部310は、ステップS101において、監視ユニット201の出力に基づいて、二次電池1の電圧(電池電圧)Vbを取得する。また、電池状態量推定部310は、ステップS102において、温度センサ203の出力に基づいて、二次電池1の温度(電池温度)Tbを取得する。
ステップS103において、電池状態推定部310(拡散推定部311)は、上記式(M2b)を用いた前回の演算時におけるリチウム濃度分布に基づき、局所SOCθを算出する。ステップS104において、電池状態推定部310(開回路電圧推定部312)は、ステップS103で得られた局所SOCθから、開回路電圧U(θ)を算出する。
ステップS105において、電池状態推定部310(電流推定部313)は、上記式(M1f)を用いて、電流密度Im(t)を算出(推定)する。推定電流密度Im(t)は、電池電圧Vbと、ステップS103で得られた開回路電圧U(θ)と、パラメータ設定部314で設定されたパラメータ値とを、上記式(M3a)に代入することによって得られる。
ステップS106において、電池状態推定部310(境界条件設定部315)は、ステップS105で得られた推定電流密度I(t)から反応電流密度(リチウム生成量)jj Liを算出する。また、電池状態推定部310(境界条件設定部315)は、算出した反応電流密度を用いて、上記式(M2b)の活物質界面における境界条件(活物質界面)を設定する。
ステップS107において、電池状態推定部310(拡散推定部311)は、上記式(M2b)を用いて、活物質モデルの内部におけるリチウム濃度分布を算出し、各領域におけるリチウム濃度の推定値を更新する。ここで、最外周の分割領域におけるリチウム濃度(更新値)は、図13に示す処理を次回行うときに、ステップS103における局所SOCθの算出に用いられる。
図13に示す処理によれば、電池電圧Vbを入力として、電池電流(電池電流密度I(t))を推定し、これに基づいて二次電池1の内部状態を推定することができる。
本実施例では、活物質モデル141b,142bの内部におけるリチウム濃度分布を算出するときに、二次電池1の温度TbおよびSOCに応じて、活物質モデル141b,142bを径方向に分割する数(分割数)Nを変更している。具体的には、図9および図10に示す関係を考慮して、拡散係数Dsが低下するときには、分割数Nを増加させている。
図14は、二次電池1の温度TbおよびSOCに応じた分割数Nの設定内容を示している。図14において、横軸は電池温度Tbを示し、縦軸は、二次電池1のSOCを示す。電池温度Tbは、温度センサ203を用いて取得することができる。また、二次電池1のSOCとしては、リチウム濃度分布の推定処理を行う前(例えば、直前)に推定したSOCを用いることができる。
図14に示す第1閾値Tb_th1は、図9に示す関係に基づいて設定している。電池温度Tbが第1閾値Tb_th1よりも高いときには、図9に示すように、拡散係数Dsが上昇しやすくなる。この場合には、分割数Nとして、基準値Nrefを設定している。一方、電池温度Tbが第1閾値Tb_th1よりも低いときには、図9に示すように、拡散係数Dsが低下しやすくなる。この場合には、分割数Nとして、基準値Nrefよりも大きい値Nincを設定している。第1閾値Tb_th1は、電池温度Tbに応じた拡散係数Dsの挙動に基づいて、適宜設定することができる。
また、電池温度Tbが第1閾値Tb_th1よりも高くても、二次電池1のSOCが第1閾値SOC_th1および第2閾値SOC_th2の間にあるときには、電池温度Tbが第2閾値Tb_th2に到達するまでは、分割数Nとして、分割数Nincを設定している。ここで、第2閾値SOC_th2は、第1閾値SOC_th1よりも高い値である。図10に示すように、二次電池1のSOCが第1閾値SOC_th1および第2閾値SOC_th2の間にあるときには、拡散係数Dsが低下しやすくなる。
これに伴い、電池温度Tbが第1閾値Tb_th1よりも高くても、分割数Nとして、基準値Nrefよりも大きい値Nincを設定している。ただし、電池温度Tbが第2閾値Tb_th2よりも高くなると、拡散係数Dsが上昇しやすくなるため、電池温度Tbが第2閾値Tb_th2に到達するまでは、分割数Nとして、分割数Nincを設定している。また、電池温度Tbが第2閾値Tb_th2よりも高いときには、分割数Nとして、基準値Nrefを設定している。
分割数Nrefは、拡散モデル式(M2a),(M2b)の安定条件に基づいて適宜設定することができる。図9を用いて説明したように、拡散係数Dsは、電池温度Tbに依存しており、電池温度Tbが高くなるほど、拡散係数Dsが大きくなる。また、図10を用いて説明したように、拡散係数Dsは、二次電池1のSOCに依存しており、二次電池1のSOCが0%又は100%に近づくほど、拡散係数Dsが大きくなる。
拡散係数Dsが上昇したとき、分割数Nの値によっては、拡散モデル式(M2a),(M2b)の解が不安定となってしまい、リチウム濃度分布を特定しにくくなってしまう。すなわち、拡散係数Dsが上昇した状態において、分割数Nの値を増加させてしまうと、拡散モデル式(M2a),(M2b)の解が不安定となってしまい、リチウム濃度分布を特定しにくくなってしまう。そこで、拡散モデル式(M2a),(M2b)の安定性を考慮して、分割数Nrefを設定している。
分割数Nincは、分割数Nrefよりも大きければよく、分割数Nincの具体的な値は、適宜設定することができる。ここで、分割数Nincを大きくしすぎると、リチウム濃度分布を算出するときの演算負荷が高くなってしまうため、この点を考慮して、分割数Nincを設定することができる。
図9に示すように、電池温度Tbが低下するほど、拡散係数Dsが小さくなる。また、図10に示すように、二次電池1のSOCが0%又は100%から離れるほど、拡散係数Dsが小さくなる。このように、拡散係数Dsが低下した状態では、分割数Nを増加させても、拡散モデル式(M2a),(M2b)の安定性を確保することができる。そこで、本実施例では、拡散係数Dsを考慮して、分割数Nを増加させるようにしている。
分割数Nを増加させると、活物質モデル141b,142bの内部におけるリチウム濃度分布を把握しやすくなる。すなわち、分割数Nを増加させれば、活物質モデル141b,142bの内部を細分化させることができ、細分化された各領域において、拡散モデル式(M2a),(M2b)を用いてリチウム濃度を推定することができる。これにより、活物質モデル141b,142bの内部におけるリチウム濃度分布を精度良く把握することができる。
活物質モデル141b,142bの内部におけるリチウム濃度分布を精度良く把握できれば、活物質モデル141b,142bの表面(界面)におけるリチウム濃度を精度良く算出することができる。二次電池1の内部抵抗には、反応抵抗および拡散抵抗が含まれる。反応抵抗は、活物質モデル141b,142bの界面において、リチウムイオンおよび電子を吸収する化学反応や、リチウムイオンおよび電子を放出する化学反応が行われるときの抵抗である。拡散抵抗は、活物質モデル141b,142bの内部において、リチウムが拡散するときの抵抗である。
反応抵抗は、活物質モデル141b,142bの界面におけるリチウム濃度に依存する。このため、反応抵抗およびリチウム濃度(界面)の対応関係を示すマップを実験などによって予め求めておけば、リチウム濃度(界面)に応じた反応抵抗を特定することができる。上述したように、活物質モデル141b,142bの界面におけるリチウム濃度を精度良く推定できれば、反応抵抗も精度良く推定することができる。
一方、拡散抵抗は、リチウム濃度(界面)と、活物質モデル141b,142bの内部におけるリチウム平均濃度との差(リチウム濃度差)に依存する。このため、拡散抵抗およびリチウム濃度差の対応関係を示すマップを実験などによって予め求めておけば、リチウム濃度差に応じた拡散抵抗を特定することができる。上述したように、活物質モデル141b,142bの界面におけるリチウム濃度を精度良く推定できれば、拡散抵抗も精度良く推定することができる。
ここで、下記式(29)を用いることにより、リチウム濃度分布に基づいて、リチウム平均濃度csaveを算出することができる。
上記式(29)に示すリチウム濃度cs1,k(t)(k=1〜N)は、図7に示したように、活物質モデル141b,142bを径方向にN分割した各領域のリチウム濃度であり、拡散モデル式(M2a),(M2b)により推定される。また、ΔVkは、各分割領域の体積を示し、Vは活物質全体の体積を示す。また、正極および負極における活物質モデルを共通化した場合には、共通化された活物質モデル内の各領域のリチウム濃度cs,k(t)(k=1〜N)の平均値を、上記式(29)と同様に求めることによって、リチウム平均濃度csave(t)を求めることができる。
上述したように、反応抵抗および拡散抵抗を推定すれば、二次電池1の内部抵抗を算出することができる。分割数Nを増加させれば、反応抵抗および拡散抵抗を精度良く推定することができるため、二次電池1の内部抵抗も精度良く推定することができる。二次電池1の温度が低下するほど、二次電池1の内部抵抗が上昇することが知られている。このため、二次電池1の温度が低下するほど、二次電池1の内部抵抗を精度良く推定する必要がある。
二次電池1の内部抵抗やSOCを推定する処理について、図15に示すフローチャートを用いて説明する。図15に示す処理は、コントローラ300によって実行され、所定の周期で行われる。
ステップS201において、コントローラ300は、温度センサ203の出力に基づいて、二次電池1の温度Tbを取得(測定)する。ステップS202において、コントローラ300は、前回推定した二次電池1のSOCが、第1閾値SOC_th1および第2閾値SOC_th2の範囲内に含まれているか否かを判別する。ここで、二次電池1のSOCが、第1閾値SOC_th1および第2閾値SOC_th2の範囲内に含まれているとき、コントローラ300は、ステップS203の処理を行う。
一方、二次電池1のSOCが、第1閾値SOC_th1および第2閾値SOC_th2の範囲外であるとき、コントローラ300は、ステップS206の処理を行う。具体的には、二次電池1のSOCが第1閾値SOC_th1よりも低い場合又は、二次電池1のSOCが第2閾値SOC_th2よりも高い場合には、コントローラ300は、ステップS206の処理を行う。
ステップS203において、コントローラ300は、ステップS201の処理で取得した電池温度Tbが第2閾値Tb_th2よりも低いか否かを判別する。ここで、電池温度Tbが第2閾値Tb_th2よりも低いとき、コントローラ300は、ステップS204の処理を行い、電池温度Tbが第2閾値Tb_th2よりも高いとき、コントローラ300は、ステップS205の処理を行う。
ステップS204において、コントローラ300は、リチウム濃度分布を算出するときの分割数Nとして、分割数Nincを設定する。ステップS205において、コントローラ300は、リチウム濃度分布を算出するときの分割数Nとして、分割数Nrefを設定する。
ステップS202の処理からステップS206の処理に進んだとき、コントローラ300は、ステップS201の処理で取得した電池温度Tbが第1閾値Tb_th1よりも低いか否かを判別する。ここで、電池温度Tbが第1閾値Tb_th1よりも低いとき、コントローラ300は、ステップS207の処理を行い、電池温度Tbが第1閾値Tb_th1よりも高いとき、コントローラ300は、ステップS208の処理を行う。
ステップS207において、コントローラ300は、リチウム濃度分布を算出するときの分割数Nとして、分割数Nincを設定する。ステップS208において、コントローラ300は、リチウム濃度分布を算出するときの分割数Nとして、分割数Nrefを設定する。
ステップS209において、コントローラ300は、ステップS204,S205,S207,S208のいずれかで設定された分割数N(Nref又はNinc)の下で、拡散モデル式(M2a),(M2b)を用いて、活物質モデル141b,142bの内部におけるリチウム濃度分布を算出したり、活物質モデル141b,142bの界面におけるリチウム濃度を算出したりする。
ステップS210において、コントローラ300は、ステップS209の算出結果に基づいて、二次電池1の内部抵抗を推定する。二次電池1の内部抵抗を推定する方法は、上述したとおりである。ステップS211において、コントローラ300は、二次電池1の内部抵抗に基づいて、二次電池1のSOCを推定する。SOCの推定方法は、上述したとおりである。
図15に示す処理によれば、図16に示すように、二次電池1のSOCおよび電池温度Tbに応じて、リチウム濃度分布を算出するときの分割数Nが、分割数Nrefおよび分割数Nincの間で切り替わる。このように分割数Nを切り替えることにより、拡散モデル式(M2a),(M2b)の安定性を確保しつつ、分割数Nを増加させることに伴うリチウム濃度分布の推定精度を向上させることができる。
分割数Nを分割数Nrefに設定したときのリチウム濃度分布と、分割数Nを分割数Nincに設定したときのリチウム濃度分布は、拡散モデル式(M2a),(M2b)を用いてそれぞれ算出することができる。一方、分割数Nincに設定したときのリチウム濃度分布は、分割数Nrefに設定したときのリチウム濃度分布に基づいて算出することもできる。
例えば、図17には、活物質モデル141b,142bを3つの領域D0〜D2に分割した場合において、各領域D0〜D2におけるリチウム濃度C3[0]〜C3[2]を示している。図17に示す例では、分割数Nrefとして、「3」を設定している。領域D0は、活物質モデル141b,142bの中心を含んでいる。領域D1は、領域D0と隣接しており、領域D0よりも活物質モデル141b,142bの界面側に位置している。また、領域D2は、領域D1と隣接しており、活物質モデル141b,142bの界面を含んでいる。
図17では、各領域D0〜D2の体積が互いに等しくなるように、活物質モデル141b,142bを3つの領域D0〜D2に分割している。各領域D0〜D2の体積が等しいため、活物質モデル141b,142bの半径方向における各領域D0〜D2の幅は、互いに異なっている。各領域D0〜D2のリチウム濃度C3[0]〜C3[2]は、拡散モデル式(M2a),(M2b)に基づいて算出することができる。
図17に示す状態から分割数Nを増加させるときには、例えば、図18に示すように、活物質モデル141b,142bを分割することができる。図18では、活物質モデル141b,142bを5つの領域D0〜D4に分割している。図18に示す例では、分割数Nincとして、「5」を設定している。
領域D0は、活物質モデル141b,142bの中心を含んでいる。領域D1は、領域D0と隣接しており、領域D0よりも活物質モデル141b,142bの界面側に位置している。領域D2は、領域D1と隣接しており、領域D1よりも活物質モデル141b,142bの界面側に位置している。領域D3は、領域D2と隣接しており、領域D2よりも活物質モデル141b,142bの界面側に位置している。領域D4は、領域D3と隣接しており、活物質モデル141b,142bの界面を含んでいる。
各領域D0〜D4の体積は互いに等しくなっている。各領域D0〜D4の体積が等しいため、活物質モデル141b,142bの半径方向における各領域D0〜D4の幅は、互いに異なっている。各領域D0〜D4のリチウム濃度C5[0]〜C5[4]を算出するときには、図17に示すリチウム濃度C3[0]〜C3[2]を用いることができる。
具体的には、下記式(30)に基づいて、各領域D0〜D4のリチウム濃度C5[0]〜C5[4]を算出することができる。
上記式(30)によれば、リチウム濃度C3[0]〜C3[2]をリチウム濃度C5[0]〜C5[4]に変換することができる。一方、上記式(30)を変形すれば、リチウム濃度C5[0]〜C5[4]をリチウム濃度C3[0]〜C3[2]に変換することもできる。これにより、拡散モデル式(M2a),(M2b)に基づいて、まず、リチウム濃度C5[0]〜C5[4]を算出したときには、リチウム濃度C5[0]〜C5[4]からリチウム濃度C3[0]〜C3[2]に変換することができる。
図17および図18に示す例によれば、分割数Nを「3(Nref)」および「5(Ninc)」の間で切り替えているが、これに限るものではない。すなわち、上述したように、分割数Nref,Nincは、適宜設定することができ、分割数Nincが分割数Nrefよりも大きければよい。分割数Nref,Nincを適宜設定したとしても、上記式(30)と同様の変換式を用いることにより、分割数Nrefを設定したときの各領域のリチウム濃度と、分割数Nincを設定したときの各領域のリチウム濃度とを互いに変換することができる。
上記式(30)を用いれば、リチウム濃度C3[0]〜C3[2]およびリチウム濃度C5[0]〜C5[4]の間の変換処理を容易に行うことができる。すなわち、分割数Nを3に設定したときと、分割数Nを5に設定したときのそれぞれにおいて、拡散モデル式(M2a),(M2b)を用いて、リチウム濃度を算出する場合に比べて、リチウム濃度を算出するときの演算負荷を低減することができる。
本実施例では、上述したように、二次電池1の温度が低下したとき、具体的には、電池温度Tbが第1閾値Tb_th1よりも低いとき、分割数Nを増加させることにより、二次電池1の内部抵抗を精度良く推定することができる。二次電池1の内部抵抗を算出することができれば、二次電池1のSOCを推定することができる。具体的には、SOCおよびOCVは、対応関係にあるため、この対応関係を実験などによって予め求めておけば、二次電池1のOCVを特定することにより、このOCVに対応したSOCを特定することができる。
二次電池1のOCVは、下記式(31)に基づいて算出することができる。
CCV(Closed Circuit Voltage)は、二次電池1の通電時において、監視ユニット201によって検出された二次電池1の電圧値である。Iは、二次電池1に流れる電流値であり、電流値Iは、電流センサ202によって検出することができる。Rは、二次電池1の内部抵抗である。
二次電池1の内部抵抗Rは、上述したように、反応抵抗および拡散抵抗から算出することができる。このため、電圧値CCVおよび電流値Iを検出すれば、二次電池1のOCVを算出することができる。二次電池1のOCVを算出すれば、SOCおよびOCVの対応関係を用いて、OCVに対応したSOCを特定することができる。上述したように、二次電池1の内部抵抗Rを精度良く推定することができれば、二次電池1のOCVやSOCを精度良く推定することができる。
二次電池1のSOCを推定できれば、上述したように、複数の二次電池1におけるSOCのバラツキに基づいて、均等化処理を行うことができる。上述したように、二次電池1が低温状態にあるときのSOCの推定精度を向上させれば、均等化処理を精度良く行うことができる。
また、二次電池1のSOCを推定すれば、下記式(32)に基づいて、二次電池1の満充電容量FCCを算出することができる。
上記式(32)において、ΣIは、二次電池1の充電又は放電を行っている間の電流積算値であり、充電又は放電を行っている間、電流センサ202によって検出された電流値を積算することによって得られる。SOC_sは、充電又は放電を開始したときの二次電池1のSOCであり、SOC_eは、充電又は放電を終了したときの二次電池1のSOCである。上述したように、二次電池1が低温状態にあるときのSOCの推定精度を向上させれば、満充電容量FCCの推定精度を向上させることができる。
なお、本実施例によれば、二次電池1のSOCおよび電池温度Tbに基づいて、分割数Nを分割数Nref,Nincの間で切り替えているが、これに限るものではない。具体的には、二次電池1のSOCおよび電池温度Tbの一方だけに基づいて、分割数Nを分割数Nref,Nincの間で切り替えることもできる。
図14を用いて説明したように、電池温度Tbが第1閾値Tb_th1よりも低いときには、二次電池1のSOCに関わらず、分割数Nが分割数Nincに設定される。このため、例えば、電池温度Tbだけに基づいて、分割数Nを設定することができる。同様に、電池温度Tbが第2閾値Tb_th2よりも高いときには、二次電池1のSOCに関わらず、分割数Nが分割数Nincに設定される。このため、例えば、電池温度Tbだけに基づいて、分割数Nを設定することができる。
また、本実施例では、二次電池1のSOCおよび電池温度Tbに基づいて、分割数Nを、2つの分割数Nref,Nincの間で切り替えているが、これに限るものではない。具体的には、分割数Nを、3つ以上の分割数の間で切り替えることができる。ここで、3つ以上の分割数の間で切り替えるときには、電池温度Tbが低下するほど、分割数Nを増やすことができる。
1:二次電池、100:組電池、201:監視ユニット、201a:電圧監視IC、
202:電流センサ、203:温度センサ、204:電流制限抵抗、
205:コンデンサ、206:インバータ、207:モータ・ジェネレータ、
208:均等化回路、208a:抵抗、208b:スイッチ素子、
300:コントローラ、300a:メモリ、
141:正極、141a:集電板、141b:活物質、142:負極、
142a:集電板、142b:活物質、143:セパレータ、11:正極端子、
12:負極端子310:電池状態推定部、311:拡散推定部、
312:開回路電圧推定部、313:電流推定部、314:パラメータ設定部、
315:境界条件設定部
202:電流センサ、203:温度センサ、204:電流制限抵抗、
205:コンデンサ、206:インバータ、207:モータ・ジェネレータ、
208:均等化回路、208a:抵抗、208b:スイッチ素子、
300:コントローラ、300a:メモリ、
141:正極、141a:集電板、141b:活物質、142:負極、
142a:集電板、142b:活物質、143:セパレータ、11:正極端子、
12:負極端子310:電池状態推定部、311:拡散推定部、
312:開回路電圧推定部、313:電流推定部、314:パラメータ設定部、
315:境界条件設定部
Claims (8)
- リチウムイオン二次電池の温度を検出する温度センサと、
前記リチウムイオン二次電池に含まれる球状の活物質モデルを径方向において複数の領域に分割した状態において、拡散方程式を用いて、前記各領域のリチウム濃度を示すリチウム濃度分布を算出するコントローラと、を有し、
前記コントローラは、前記温度センサによる検出温度が閾値よりも低いときにおける前記領域の分割数を、前記検出温度が前記閾値よりも高いときにおける前記領域の分割数よりも大きくすることを特徴とする電池システム。 - 前記コントローラは、
前記リチウム濃度分布に基づいて、前記活物質モデルの界面におけるリチウム濃度を算出し、
前記界面のリチウム濃度に対応した反応抵抗および拡散抵抗を特定することにより、前記リチウムイオン二次電池の内部抵抗を算出することを特徴とする請求項1に記載の電池システム。 - 前記コントローラは、
算出した前記内部抵抗を用いて、前記リチウムイオン二次電池の開回路電圧を算出し、
開回路電圧およびSOCの対応関係を用いて、算出した開回路電圧に対応するSOCを特定することを特徴とする請求項2に記載の電池システム。 - 前記コントローラは、前記活物質モデルの中心および界面における境界条件を設定し、前記拡散方程式を用いることにより、前記リチウム濃度分布を算出することを特徴とする請求項1から3のいずれか1つに記載の電池システム。
- 前記検出温度が前記閾値よりも低いときに前記拡散方程式で用いられる拡散係数は、前記検出温度が前記閾値よりも高いときに前記拡散方程式で用いられる拡散係数よりも小さいことを特徴とする請求項1から4のいずれか1つに記載の電池システム。
- 前記閾値は、第1閾値と、前記第1閾値よりも高い第2閾値とを含んでおり、
前記コントローラは、
前記リチウムイオン二次電池のSOCが、0%および100%から離れた所定範囲に含まれるとき、前記検出温度が前記第2閾値よりも低いときにおける前記分割数を、前記検出温度が前記第2閾値よりも高いときにおける前記分割数よりも大きくし、
前記リチウムイオン二次電池のSOCが前記所定範囲から外れているとき、前記検出温度が前記第1閾値よりも低いときにおける前記分割数を、前記検出温度が前記第1閾値よりも高いときにおける前記分割数よりも大きくすることを特徴とする請求項1から5のいずれか1つに記載の電池システム。 - 前記リチウムイオン二次電池のSOCが前記所定範囲に含まれるときに前記拡散方程式で用いられる拡散係数は、前記リチウムイオン二次電池のSOCが前記所定範囲から外れているときに前記拡散方程式で用いられる拡散係数よりも小さいことを特徴とする請求項6に記載の電池システム。
- リチウムイオン二次電池に含まれる球状の活物質モデルの内部におけるリチウム濃度分布を推定する推定方法であって、
前記活物質モデルを径方向において複数の領域に分割した状態において、拡散方程式を用いて、前記各領域のリチウム濃度を示す前記リチウム濃度分布を算出し、
前記リチウムイオン二次電池の温度を検出して、この検出温度が閾値よりも低いときにおける前記領域の分割数を、前記検出温度が前記閾値よりも高いときにおける前記領域の分割数よりも大きくすることを特徴とする推定方法。
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