JP6077946B2 - Itoナノ粒子及びその製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、大環状π共役化合物を配位子に有するITOナノ粒子に関するものであり、より詳しくは、大環状π共役化合物がナノ粒子に対して平面方向で配位していることを特徴とする、ITOナノ粒子、及びその製造方法に関するものである。
一般にスズドープ酸化インジウム(以下ITOと略す)のナノ粒子の製造方法としては、CVD法や噴霧熱分解法などの気相法と、化学的な還元反応を利用した湿式法が知られているが、従来の湿式法によって製造したITOナノ粒子は凝集性が強く、単分散粒子が得られ難いため、凝集が少ない高純度のナノ粒子は、その多くが気相法によって製造されていた。一方、気相法によって得たITOナノ粒子は単分散性に優れるが、製造コストが高く、かつ粒度制御が難しいと云う問題がある。そこで、分散性に優れたITOナノ粒子の湿式製造方法が試みられている。
ITOナノ粒子の湿式製造方法に関しては、いくつかの手法が提案されている。例えばインジウムと少量のスズの塩を含む水溶液をアルカリと反応させて、インジウムとスズの水酸化物を共沈させ、不要な塩を取り除いた後に、大気中で加熱焼成して酸化物にすることにより製造する方法、また、共沈の代わりにこれらの混合物を用いる方法(例えば特許文献1、2参照。)も提案されている。通常、ナノ粒子に高い分散安定性を付与するためには、例えば分散剤を用いる方法や、バインダー、PH調整剤を添加する方法(例えば特許文献3参照。)が提案されているが、添加物割合が増え、ITOナノ粒子分散液の純度が低下することが懸念される。
そこで、分散剤や特殊な分散処理を必要とせず、高い分散性を付与するために、ITOナノ粒子の表面を、少量の有機物層が配位した、有機物配位ITOナノ粒子の製造法(例えば特許文献4、非特許文献1参照。)が近年提案されている。
特開昭62−7627号公報(例えば特許請求の範囲参照。) 特開平07−070481号公報(例えば特許請求の範囲参照。) 特開平09−156025号広報(例えば特許請求の範囲参照。) 特開2011−12233号公報(例えば特許請求の範囲参照。) 特開2006−80346号公報(例えば特許請求の範囲参照。)
J.Am.Chem.Soc.2009,131,17736−17737
特許文献4や非特許文献1に記載の方法は、粒子の表面を少量の有機物が配位することで、単分散ナノ粒子を製造するものであるが、特許文献4ではエチレングリコール等のアルコール類を、非特許文献1では長鎖アミン類であるオレイルアミンを、それぞれ配位子として用いるため、ナノ粒子全体の体積に対する配位子の体積割合が多くなってしまい、ナノ粒子同士の粒子間距離が離れてしまうという課題があった。これに対して大環状π共役化合物のような平面型配位子を粒子に対し平面方向で配位させることで、配位子の体積割合が減少し、粒子間距離が近接化することが期待されるが、このような平面型分子を平面配位させるナノ粒子に関する報告は、これまでに見られていない。
なお、特許文献5では、大環状π共役化合物であるポルフィリン誘導体を金属ナノ粒子の配位子として用いることが報告されているが、この配位子は、ポルフィリン類に付加したリンカー部が金属ナノ粒子に結合する構造のものであり、平面方向でナノ粒子に配位するものではない。
本発明者らは、上記課題を解決するために鋭意検討した結果、特定の化合物が配位子とし、該化合物が特定方向に配位したITOナノ粒子が、分散性が優れ、より簡便に製造可能であることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち本発明は、ITO粒子の表面に、大環状π共役化合物が配位子として配位子しており、かつ該化合物が粒子に対して平面方向に配位しているITOナノ粒子及びその製造方法に関するものである。
以下、本発明について詳細に説明する。
本発明のITOナノ粒子は、配位子として大環状π共役化合物を有することを特徴とするものであり、大環状π共役化合物が分散溶媒と溶媒和するため、特殊な分散剤または特殊な操作を必要とすることなく、単に分散溶媒中に該ITOナノ粒子を添加するのみで、単分散性に優れる分散液を得ることができる。一般的に、ナノ粒子の配位子として用いる有機物には、高分子や鎖長の長い低分子を使用することで、分散性を向上させるものが知られているが、本発明のITOナノ粒子においては、大環状π共役化合物がITOナノ粒子に対して多座配位することで、長鎖長の付与や高分子化を行わずとも、優れた分散性を発現するナノ粒子を製造することが可能である。
また、本発明のITOナノ粒子は、大環状π共役化合物が平面方向でナノ粒子に配位することを特徴とするものである。ここでいう大環状π共役化合物は、例えばポルフィリンやフタロシアニンのように、同一平面内に4つ以上の環状構造物を含む化合物、及びその誘導体のことをいい、1種類の化合物だけでなく、2種類以上の大環状π共役化合物を組み合わせて使用することもできる。
これらの大環状π共役化合物は、π電子が共役することで、大きな平面を有する化合物となる。このπ共役により、平面同士がπ−π相互作用によって積層しやすいだけでなく、ITOナノ粒子に平面配位することで、π共役軌道がITOナノ粒子の金属軌道と混成し、新たな軌道を形成することができる。すなわち、ITOナノ粒子の表面に平面配位することで、大環状π共役化合物のπ軌道とナノ粒子の金属軌道との間に軌道の相互作用が発生し、ナノ粒子に特異的な電気特性を付与することが可能となる。
大環状π共役化合物の一例としては、例えば以下の一般式(1)〜(4)が挙げられる。
Figure 0006077946
(式中、R〜R48はそれぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子、アミノ基、カルボキシル基、チオール基、ヒドロキシル基、炭素数1〜10の直鎖、分岐または環状アルキル基;末端にアミノ基、カルボキシル基、チオール基、ヒドロキシル基より選ばれるいずれかの官能基を有する炭素数1〜10の直鎖、分岐または環状のアルキル基;炭素鎖中に、酸素原子、硫黄原子、カルボニル基、エステル基、アミド基、イミノ基を含有する炭素数1〜10の直鎖、分岐または環状のアルキル基を表す。)
一般式(1)〜(4)で表される化合物の具体例としては、特に限定はなく、例えば、以下の化合物を挙げることができ、
Figure 0006077946
Figure 0006077946
Figure 0006077946
Figure 0006077946
その中でもITOナノ粒子に安定して配位可能であることから、例示化合物1−4、例示化合物1−7、例示化合物1−11、例示化合物1−14、例示化合物2−3、例示化合物2−5、例示化合物2−9、例示化合物2−12、例示化合物3−3、例示化合物3−4、例示化合物3−5、例示化合物3−9、例示化合物3−11、例示化合物3−12、例示化合物4−4、例示化合物4−5、例示化合物4−8、例示化合物4−10を用いることが特に好ましい。
本発明のITOナノ粒子は、大環状π共役化合物の割合及び分散液の透明性の観点から透過型電子顕微鏡により測定される平均粒子径が3〜60nmが好ましく、さらに好ましくは4〜50nm、特に好ましくは5〜40nmである。
本発明のITOナノ粒子の平均粒子径については、該ITOナノ粒子を適当な溶媒に分散させた、濃度0.01重量%以下の低濃度分散液を用意し、これをコロジオン膜展張したカーボンコーティング銅メッシュに滴下して溶媒を揮発させ、透過型顕微鏡で観察する方法により測定を行う。そして、ITOナノ粒子の平均粒子径の測定には、倍率10万倍で観察された像の写真を撮影し、300個以上の粒子の粒子径を測定し、平均化することで、平均粒子径を求める。
本発明のITOナノ粒子は、配位子である大環状π共役化合物の含量が、ナノ粒子の分散性及びITO純度の観点から、粒子全体の重量の1〜20重量%が好ましく、より好ましくは2〜18重量%、さらに好ましくは3〜15重量%である。
大環状π共役化合物の配位量の具体的な測定方法として、示差熱熱重量同時測定装置(TG/DTA)による大環状π共役化合物の配位量の測定方法を示す。
ITOナノ粒子分散液を0.5μmフィルタで濾過した後、90℃、減圧下で乾固することでITOナノ粒子紛体を調製し、示差熱熱重量同時測定装置(TG/DTA)(エスアイアイ・ナノテクノロジー社製、(商品名)TG/DTA6200等)により、窒素雰囲気中、100℃で60分保持した後、10℃毎分で500℃まで昇温、その後500℃で180分間保持し、100℃から500℃の範囲における重量の減少値を大環状π共役化合物の配位量とする。
本発明のITOナノ粒子は、大環状π共役化合物がITOナノ粒子の表面を覆う形で配位したものであるため、該大環状π共役化合物が分散溶媒と溶媒和することで、本発明のITOナノ粒子は溶媒に対する高い分散性を発現する。
該ITOナノ粒子を適当な分散溶媒に対して0.01重量%の濃度で分散させた際に、該分散液の溶液ヘイズが5%以下であることが好ましい。この際の溶液ヘイズは、日本電色工業社製ヘーズメーター(商品名NDH−5000)により、厚み10mmの液体用セルを用いて、JIS K 7136を準拠し測定する。なお使用する分散溶媒としては、該ITOナノ粒子が分散可能なものであれば特に制限はなく、例えば、水、メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロピルアルコール、ブタノール、ヘキサノール、ヘプタノール、オクタノール、デカノール、シクロヘキサノール、及びテルピネオール等のアルコール類、エチレングリコール、及びプロピレングリコール等のグリコール類、アセトン、メチルエチルケトン、及びジエチルケトン等のケトン類、酢酸エチル、酢酸ブチル、及び酢酸ベンジル等のエステル類、メトキシエタノール、及びエトキシエタノール等のエーテルアルコール類、ジオキサン、及びテトラヒドロフラン等のエーテル類、N,N−ジメチルホルムアミド等のアミド類、エタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン等のアミン類、ベンゼン、トルエン、キシレン、トリメチルベンゼン、及びドデシルベンゼン等の芳香族炭化水素類、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、ノナン、デカン、ウンデカン、ドデカン、トリデカン、テトラデカン、ペンタデカン、ヘキサデカン、オクタデカン、ノナデカン、エイコサン、及びトリメチルペンタン等の長鎖アルカン、シクロヘキサン、シクロヘプタン、および、シクロオクタン等の環状アルカン等の常温で液体の溶媒を適宜選択して使用すればよい。
またこの他の分散性評価としては、例えば上記の分散液を遠心分離し、ITOナノ粒子が沈降しないことで確認することも可能である。この際の評価条件としては、回転半径10.1cmのアングルロータを取り付けた遠心機(コクサン(株)製、(商品名)H−201F)を使用し、該分散液を3,000rpm、30分間の遠心分離をした際に、ITOナノ粒子の沈降層と、透明な上澄みとに分離するか否かを、目視により判定する。
本発明のITOナノ粒子は、2段階の配位子交換を行うことで製造することができる。より詳細には、炭素数6〜24の直鎖または分岐の、アルコール類またはアミン類を配位子として有するITOナノ粒子前駆体として製造し、配位子交換によって、中間体であるカルボン酸化合物を配位子として有するITOナノ粒子(ITOナノ粒子中間体)製造する。次いで、このカルボン酸をさらに配位子交換することで、大環状π共役化合物を配位子として有するITOナノ粒子(環状化合物配位ITOナノ粒子)を製造することができる。
最初に、ITOナノ粒子前駆体の製造方法について説明する。
ITOナノ粒子前駆体の製造方法としては、例えば炭素数6〜24の直鎖または分岐の、アルコール類またはアミン類を用いる前出の非特許文献1にある、1工程での合成手法等の公知の製造方法を挙げることができる。
用いる炭素数6〜24の直鎖または分岐の、アルコール類またはアミン類としては、ITOナノ粒子に対し単座配位、多座配位のいずれの形態を有するものでもよく、例えばヘキサノール、オクタノール、2−エチルヘキサノール、デカノール、ラウリルアルコール、ミリスチルアルコール、ヘキサデカノール、オレイルアルコール、テトラコサノール、ヘキシルアミン、オクチルアミン、デシルアミン、ウンデシルアミン、ドデシルアミン、トリデシルアミン、テトラデシルアミン、ペンタデシルアミン、ヘキサデシルアミン、ヘプタデシルアミン、ステアリルアミン、ノナデシルアミン、オレイルアミン、ヘキサメチレンジアミン等を挙げることができる。
ITOナノ粒子中間体は、ITOナノ粒子前駆体を、カルボン酸化合物で配位子交換することにより製造することができる。なお、ここでいうカルボン酸化合物とは、カルボキシル基を少なくとも1つ以上有する、分子量350以下の低分子化合物のことである。すなわち、モノカルボン酸だけでなく、ジカルボン酸、トリカルボン酸、テトラカルボン酸、その他カルボン酸誘導体を含むものである。また、1種類だけでなく、2種類以上のカルボン酸化合物を組み合わせて使用することもできる。カルボン酸化合物の例としては、例えば、ギ酸、酢酸、プロピオン酸、酪酸、吉草酸、カプロン酸、エナント酸、カプリル酸、ペラルゴン酸、カプリン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、マルガリン酸、ステアリン酸などの飽和モノカルボン酸、オレイン酸、リノール酸、リノレン酸、アラキドン酸、エイコサペンタエン酸などの不飽和モノカルボン酸、安息香酸、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、サリチル酸、没食子酸、メリト酸、ケイ皮酸などの芳香族カルボン酸、シュウ酸、マロン酸、酒石酸、コハク酸、イタコン酸、グルタル酸、アジピン酸、α−ケトグルタル酸、リンゴ酸、オキサロ酢酸、フマル酸、マレイン酸などのジカルボン酸、クエン酸、イソクエン酸、オキサロコハク酸、アコニット酸などのトリカルボン酸、エチレンテトラカルボン酸、メソーブタン−1,2,3,4−テトラカルボン酸などのテトラカルボン酸などが挙げられる。また、上記のカルボン酸化合物の中でも特にシュウ酸、マロン酸、コハク酸より選ばれるカルボン酸化合物1種類以上を配位子とすることで、特に高い分散性を有するITOナノ粒子を得ることができる。これは、シュウ酸、マロン酸、コハク酸がいずれもITOナノ粒子への配位が容易な構造であり、かつ水等の汎用溶媒に対し、高い溶解性を示す化合物であるためである。
ITOナノ粒子中間体を製造する配位子交換反応においては、溶媒を用いることが好ましく、使用する溶媒としては、配位子とするカルボン酸化合物を溶解するものであれば特に制限はなく、例えば、水、メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロピルアルコール、ブタノール、ヘキサノール、ヘプタノール、オクタノール、デカノール、シクロヘキサノール、及びテルピネオール等のアルコール類、エチレングリコール、及びプロピレングリコール等のグリコール類、アセトン、メチルエチルケトン、及びジエチルケトン等のケトン類、酢酸エチル、酢酸ブチル、及び酢酸ベンジル等のエステル類、メトキシエタノール、及びエトキシエタノール等のエーテルアルコール類、ジオキサン、及びテトラヒドロフラン等のエーテル類、N,N−ジメチルホルムアミド、エタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン等の酸アミド、アミン類、ベンゼン、トルエン、キシレン、トリメチルベンゼン、及びドデシルベンゼン等の芳香族炭化水素類、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、ノナン、デカン、ウンデカン、ドデカン、トリデカン、テトラデカン、ペンタデカン、ヘキサデカン、オクタデカン、ノナデカン、エイコサン、及びトリメチルペンタン等の長鎖アルカン、シクロヘキサン、シクロヘプタン、および、シクロオクタン等の環状アルカン等のような、常温で液体の溶媒を適宜選択して使用すればよい。
カルボン酸化合物の量は、速やかに配位子交換反応を進行させるため、ITOナノ粒子前駆体に対し、大過剰のカルボン酸化合物を用いることが好ましい。ここでいう大過剰とは、ITOナノ粒子前駆体中の、インジウムとスズの合計モル数に対し、3倍以上のモル数のカルボン酸化合物を使用することをいう。
ITOナノ粒子中間体を得る際の温度は、使用する溶媒の特性によって設定することができ、より配位子交換反応を迅速に進行させるために、60℃以上、更には70℃以上が好ましい。また反応時間については、反応温度に応じて適宜設定することができ、5時間以上が好ましく、交換反応の進行具合を確認しながら決定することができる。反応の進行具合の確認方法としては、例えば反応液を遠心分離してITOナノ粒子を単離し、このITOナノ粒子の1H NMRスペクトルもしくは13C NMRスペクトルから、交換前の配位子であるアルコール類もしくはアミン類と、交換後の配位子であるカルボン酸化合物との比率を算出することにより、ITOナノ粒子前駆体からITOナノ粒子中間体への交換比率を算出することが可能である。この際の、交換後の配位子であるカルボン酸化合物の割合が、交換前の配位子であるアルコール類もしくはアミン類の8倍以上となったとことで、配位子交換反応が進行したものと判断した。
配位子交換によって得られたITOナノ粒子中間体は、ITOナノ粒子前駆体から、配位子部分のみが交換されたものであり、ITOナノ粒子自身の形状はほとんど変化しない。ITOナノ粒子の外観については、TEM像を観察することで確認することができ、配位子交換後のITOナノ粒子中間体の平均粒子径は、配位子交換前のITOナノ粒子前駆体と比較して、±10%以内である。
なお、反応の際の雰囲気は無酸素条件下であることが好ましく、窒素気流中であることが特に好ましい。
そして、得られたITOナノ粒子中間体を精製、例えば遠沈精製することにより、より不純物濃度の低い、ITOナノ粒子中間体を得ることができる。この際の遠沈精製とは、遠心分離装置を用いて、得られた反応液又は分散液をITOナノ粒子と上澄み液に分離し、上澄み液を除去後、沈降したITOナノ粒子沈殿物に分散溶媒を添加して再分散させ、更に必要に応じてITOナノ粒子中間体が沈降する沈殿溶媒を添加し、遠心分離を繰り返すことで、ITOナノ粒子中間体の洗浄を行う方法をである。
使用する分散溶媒については、ITOナノ粒子中間体が十分に分散、沈降する分散溶媒であれば、特に制限はなく、例えば、水;メタノール、エタノール、1−プロパノール、2−プロピルアルコール、ブタノール、ヘキサノール、ヘプタノール、オクタノール、デカノール、シクロヘキサノール、エキネン、及びテルピネオール等のアルコール類;酢酸エチル、酢酸ブチル、及び酢酸ベンジル等のエステル類;メトキシエタノール、及びエトキシエタノール等のエーテルアルコール類;N,N−ジメチルホルムアミド、エタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン等の酸アミド、アミン類などが挙げられ、中でも分散性の高さと実用性から、水、メタノール、エタノール、2−プロパノール、N,N−ジメチルホルムアミドを使用することが好ましい。
また、該沈殿溶媒としては、特に制限はなく、例えばトルエン、キシレン、メシチレン、ベンゼン、ジクロロベンゼン、ニトロベンゼンなどの芳香族炭化水素類;n−ヘプタン、n−ヘキサン、n−オクタン、シクロヘキサン、デカヒドロナフタレンなどの脂肪族炭化水素類;アセトン、メチルエチルケトン、ジエチルケトン、アセチルアセトン、メチルイソブチルケトン、シクロペンタノン、シクロヘキサノン、N−メチルピロリドンなどのケトン類;ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、ジオキサン、メトキシエタノール、エトキシエタノールなどのエーテル類;ジクロロメタン、クロロホルム、1,2−ジクロロエタンなどの塩化脂肪族炭化水素類;酢酸エチル、酢酸ブチル、酢酸アミルなどの酢酸エステル類などが挙げられ、中でも沈降性の高さと実用性から、クロロホルム、ジクロロメタン、アセトン、メチルエチルケトンを使用することが好ましい。
また、遠心分離精製の際、ITOナノ粒子と上澄みの分離が可能な条件であれば、遠心分離装置の条件にも、特に制約はなく、例えば回転半径10.1cmのアングルロータを取り付けた遠心機(コクサン(株)製、(商品名)H−201F)を使用し、該分散液を10,000rpm、30分間の遠心分離することで、分離することが可能である。
得られたITOナノ粒子中間体を配位子交換し、目的物である、大環状π共役化合物配位ITOナノ粒子を製造することができる。より詳細には、ITOナノ粒子中間体と、大環状π共役化合物とを、溶媒中にて、温度60℃以上、更に70℃以上で、時間10時間以上加熱攪拌することで、配位子交換を行うことが好ましく、交換反応の進行具合を確認しながら決定することできる。
反応進行度合いの確認方法として、レーザーラマン分光法による確認する。反応液を遠心分離してITOナノ粒子を単離し、これを分散溶媒に分散させた分散液に励起波長785nmのレーザー光を照射し、近赤外〜可視域の光の散乱を測定することで、大環状π共役化合物特有のピークを確認することができる。なお、中間体の配位子であるカルボン酸化合物は同領域に特有のピークを示さないため、ピークの有無によって、反応の進行を確認することが可能である。ピーク形状に変化が見られなくなった時点で、配位子交換反応が十分に進行したものと判断した。
用いる大環状π共役化合物の量は、速やかに配位子交換反応を進行させるために、ITOナノ粒子中間体に対し、大過剰の大環状π共役化合物を用いることが好ましい。ここでいう大過剰とは、ITOナノ粒子中間体中の、インジウムとスズの合計モル数に対し、50分の1倍以上のモル数の大環状π共役化合物を使用することをいう。
大環状π共役化合物配位子ITOナノ粒子を製造する配位子交換反応において使用する溶媒としては、配位子とする大環状π共役化合物を溶解するものであれば特に制限はなく、例えば、水、メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロピルアルコール、ブタノール、ヘキサノール、ヘプタノール、オクタノール、デカノール、シクロヘキサノール、及びテルピネオール等のアルコール類、エチレングリコール、及びプロピレングリコール等のグリコール類、アセトン、メチルエチルケトン、及びジエチルケトン等のケトン類、酢酸エチル、酢酸ブチル、及び酢酸ベンジル等のエステル類、メトキシエタノール、及びエトキシエタノール等のエーテルアルコール類、ジオキサン、及びテトラヒドロフラン等のエーテル類、N,N−ジメチルホルムアミド、エタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン等の酸アミド、アミン類、ベンゼン、トルエン、キシレン、トリメチルベンゼン、及びドデシルベンゼン等の芳香族炭化水素類、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、ノナン、デカン、ウンデカン、ドデカン、トリデカン、テトラデカン、ペンタデカン、ヘキサデカン、オクタデカン、ノナデカン、エイコサン、及びトリメチルペンタン等の長鎖アルカン、シクロヘキサン、シクロヘプタン、および、シクロオクタン等の環状アルカン等の常温で液体の溶媒を適宜選択して使用すればよい。
配位子交換によって得られた、目的物である大環状π共役化合物配位ITOナノ粒子は、ITOナノ粒子中間体から、配位子部分のみが交換されたものであり、ITOナノ粒子自身の形状はほとんど変化しない。ITOナノ粒子の外観については、TEM像を観察することで確認することができ、配位子交換後の大環状π共役化合物配位ITOナノ粒子の平均粒子径は、配位子交換前のITOナノ粒子中間体と比較して、±10%以内である。
なお、反応の際の雰囲気は無酸素条件下であることが好ましく、特に窒素気流中であることが好ましい。
そして、得られた大環状π共役化合物配位ITOナノ粒子を精製、例えば遠沈精製することにより、より不純物濃度の低い、ITOナノ粒子を得ることができる。この際の遠沈精製とは、遠心分離装置を用いて、得られた反応液又は分散液をITOナノ粒子と上澄み液に分離し、上澄み液を除去後、沈降したITOナノ粒子沈殿物に分散溶媒を添加して再分散させ、更に必要に応じてITOナノ粒子が沈降する沈殿溶媒を添加し、遠心分離を繰り返すことで、ITOナノ粒子の洗浄を行う方法である。
使用する分散溶媒については、大環状π共役化合物配位ITOナノ粒子が十分に分散、沈降する分散溶媒であれば、特に制限はなく、例えば水;メタノール、エタノール、1−プロパノール、2−プロピルアルコール、ブタノール、ヘキサノール、ヘプタノール、オクタノール、デカノール、シクロヘキサノール、エキネン、及びテルピネオール等のアルコール類;酢酸エチル、酢酸ブチル、及び酢酸ベンジル等のエステル類;メトキシエタノール、及びエトキシエタノール等のエーテルアルコール類;N,N−ジメチルホルムアミド、エタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン等の酸アミド、アミン類などが挙げられ、中でも分散性の高さと実用性から、水、メタノール、エタノール、2−プロパノール、N,N−ジメチルホルムアミドを使用することが好ましい。
また、該沈殿溶媒としては、特に制限はなく、例えばトルエン、キシレン、メシチレン、ベンゼン、ジクロロベンゼン、ニトロベンゼンなどの芳香族炭化水素類;n−ヘプタン、n−ヘキサン、n−オクタン、シクロヘキサン、デカヒドロナフタレンなどの脂肪族炭化水素類;アセトン、メチルエチルケトン、ジエチルケトン、アセチルアセトン、メチルイソブチルケトン、シクロペンタノン、シクロヘキサノン、N−メチルピロリドンなどのケトン類;ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、ジオキサン、メトキシエタノール、エトキシエタノールなどのエーテル類;ジクロロメタン、クロロホルム、1,2−ジクロロエタンなどの塩化脂肪族炭化水素類;酢酸エチル、酢酸ブチル、酢酸アミルなどの酢酸エステル類などが挙げられ、中でも沈降性の高さと実用性から、クロロホルム、ジクロロメタン、アセトン、メチルエチルケトンを使用することが好ましい。
また、遠心分離精製の際、ITOナノ粒子と上澄みの分離が可能な条件であれば、遠心分離装置の条件にも、特に制約はない。例えば回転半径10.1cmのアングルロータを取り付けた遠心機(コクサン(株)製、(商品名)H−201F)を使用し、該分散液を10,000rpm、30分間の遠心分離することで、分離することが可能である。
本発明の大環状π共役化合物を配位子として有するITOナノ粒子は、その配位子である大環状π共役化合物が平面方向で、ITOナノ粒子に配位してなるものである。これらの大環状π共役化合物は、大きな平面を有する化合物であり、この平面上でπ電子が共役することが知られている。このπ共役により、平面同士がπ−π相互作用によって積層しやすいだけでなく、ITOナノ粒子に平面配位することで、π共役軌道がナノ粒子の金属軌道と混成し、新たな軌道を形成することができる。すなわち、ITOナノ粒子の表面に平面配位することで、大環状π共役化合物のπ軌道とナノ粒子の金属軌道との間に軌道の相互作用が発生し、ITOナノ粒子に特異的な電気特性を付与することが可能となる。大環状π共役化合物が平面配位しているか否かは、ITOナノ粒子を適当な分散溶媒に分散させた分散液の、300〜800nmにおける吸収スペクトルの変化により、確認することができる。一般的に大環状π共役化合物は、300〜500nm付近のSoret帯と、500〜800nm付近のQ帯と呼ばれる特徴的な吸収ピークを有している。これに対し、大環状π共役化合物が平面配位したITOナノ粒子では、大環状π共役化合物のπ軌道と金属軌道が相互作用することにより、Soret帯がブロード化し、かつQ帯が消失、若しくは著しく減少する現象が確認される。このことから、配位子である大環状π共役化合物が、ITOナノ粒子の表面に、平面方向で配位していることを確認することができる。
本発明は、大環状π共役化合物を配位子に有するITOナノ粒子に関するものであり、より詳しくは、大環状π共役化合物がITOナノ粒子に対して平面方向で配位していることを特徴とする、ITOナノ粒子、及びその製造方法に関するものである。大環状π共役化合物が平面方向で配位することで、従来のITOナノ粒子では得られなかった、特異的な電気特性を発現することが期待されること、また本発明のITOナノ粒子が簡便な手法で量産可能であることから、産業に大きく貢献することができる。
以下に本発明を実施例により、詳細に説明するが、本発明はこれら実施例によりなんら制限されるものではない。
<ITOナノ粒子の精製>
得られたITOナノ粒子分散液は、遠心機(コクサン(株)製、(商品名)H−201F)を使用し、遠心分離を繰り返すことにより精製を行った。
<ITOナノ粒子の紛体作製>
ITOナノ粒子の水分散液を0.5μmフィルタで濾過した後、90℃減圧中で乾固させ、ITOナノ粒子紛体を得た。
<ITOナノ粒子の平均粒子径の算出>
ITOナノ粒子を水、アルコール等の溶媒に分散させた、濃度0.01%以下の分散液を用意し、これをコロジオン膜展張したカーボンコーティング銅メッシュに落として溶媒を揮発させ、このサンプルを透過型顕微鏡で観察した。また得られた像から、ITOナノ粒子の粒子径を読み取り、300個以上のITOナノ粒子について平均した値を平均粒子径とした。
<ITOナノ粒子中の配位子の配位量分析>
上記ITOナノ粒子紛体を用い、熱重量減少測定により分析した。測定には示差熱熱重量同時測定装置(エスアイアイ・ナノテクノロジー社製、(商品名)EXSTAR TG/DTA6200)を使用した。該ITOナノ粒子紛体を窒素雰囲気中、100℃で60分保持した後、10℃毎分で500℃まで昇温、その後500℃で180分間保持し、100℃から500℃の範囲における重量の減少値を、加熱分解した配位子の配位量として算出した。
<ITOナノ粒子前駆体からITOナノ粒子中間体への配位子交換反応進行確認>
反応液を3mL抜出し、遠心分離を実施してITOナノ粒子を単離した。沈降性が悪い場合は、反応液と等量のジクロロメタン等のハロゲン系溶媒を添加し、遠心分離を実施した。得られたITOナノ粒子を重水に分散させ、核磁気共鳴装置(日本電子社製、(商品名)JMN−EC400)を用い、1H NMRもしくは13C NMRを測定した。得られたスペクトルより、交換前の配位子と、交換後の配位子との比率を算出し、比率が8倍以上をもって反応が進行したものと判断した。
<ITOナノ粒子中間体から大環状π共役化合物配位ITOナノ粒子への配位子交換反応進行確認>
反応液を1mL抜出し、遠心分離を実施してITOナノ粒子を単離した。沈降性が悪い場合は、反応液と等量のジクロロメタン等のハロゲン系溶媒を添加し、遠心分離を実施した。得られたITOナノ粒子を水、アルコール等の溶媒に分散させ、得られた分散液のレーザーラマンスペクトルを測定した。大環状π共役化合物特有のピークが発現すること、及びピーク形状に変化が生じなったことで、配位子交換反応の進行を確認した。
<大環状π共役化合物の平面配位確認>
水、アルコール等の溶媒に、大環状π共役化合物配位ITOナノ粒子を0.001重量%分散させた分散液を光路長10mmの溶液セルにとり、分光光度計((株)日立ハイテクノロジー製、(商品名)U−4100)を用いて、波長領域300〜800nmにおける吸収スペクトルを測定した。得られた吸収スペクトルのSoret帯のブロード化、及びQ帯の減少により、大環状π共役化合物の共役π軌道とITOナノ粒子の金属軌道が混成、すなわち大環状π共役化合物がITOナノ粒子に平面配位したことを確認した。
<ITOナノ粒子分散液の溶液ヘイズ>
水、アルコール等の溶媒に対して固形分濃度0.01重量%の割合で、大環状π共役化合物配位ITOナノ粒子を分散させた分散液を、厚さ10mmの溶液セルにとり、ヘーズメーター(日本電色工業(株)製、(商品名)NDH−5000)を用い、JIS K 7136に準拠して溶液ヘイズの測定を行った。
<ITOナノ粒子前駆体の製造例1(オレイルアミン配位ITOナノ粒子)>
100mlフラスコ中に酢酸インジウム(III)315mg、2−エチルヘキサン酸スズ(II)39μl、オレイルアミン3.3ml、1−吉草酸380μl、n−ジオクチルエーテル9mlを仕込み、真空中80℃で1時間加熱し、その後常圧に戻して窒素雰囲気中150℃で1時間加熱し、次いで窒素雰囲気中270℃で2時間加熱還流し、オレイルアミンの配位したITOナノ粒子前駆体の粗分散液を得た。該粗分散液を、沈殿溶媒にエタノール、分散溶媒にヘキサンを用いて5回遠心分離精製を繰り返し、オレイルアミンの配位したITOナノ粒子前駆体を得た。
得られたITOナノ粒子前駆体の一部をヘキサン分散させた希薄分散液を作成し、TEM観察したところ、オレイルアミンの配位したITOナノ粒子前駆体の平均粒子径は13.3nmであった。
<ITOナノ粒子前駆体の製造例2(ヘキサデシルアミン配位ITOナノ粒子)>
100mlフラスコ中に2−エチルヘキサン酸インジウム(III)1176mg、酢酸スズ(II)51mg、ヘキサデシルアミン4.5ml、n−オクタン酸700μl、n−ジオクチルエーテル25mlを仕込み、真空中70℃で3時間加熱し、その後常圧に戻して窒素雰囲気中270℃で3時間加熱還流し、ヘキサデシルアミンの配位したITOナノ粒子前駆体の粗分散液を得た。該粗分散液を、沈殿溶媒にエタノール、分散溶媒にクロロホルムを用いて5回遠心分離精製を繰り返し、ヘキサデシルアミンの配位したITOナノ粒子前駆体を得た。
得られたITOナノ粒子前駆体の一部をクロロホルムに分散させた希薄分散液を作成し、TEM観察したところ、ヘキサデシルアミンの配位したITOナノ粒子前駆体の平均粒子径は10.5nmであった。
<ITOナノ粒子前駆体の製造例3(1−ヘキサデカノール配位ITOナノ粒子)>
100mlフラスコ中に2−エチルヘキサン酸インジウム(III)1176mg、2−エチルヘキサン酸スズ(II)139μl、1−ヘキサデカノール4.8g、n−オクタン酸800μl、1−オクタデセン20mlを仕込み、真空中80℃で1時間加熱し、その後常圧に戻して窒素雰囲気中150℃で1時間加熱し、次いで窒素雰囲気中250℃で4時間加熱還流し、1−ヘキサデカノールの配位したITOナノ粒子前駆体の粗分散液を得た。該粗分散液を、沈殿溶媒にエキネン、分散溶媒にクロロホルムを用いて5回遠心分離精製を繰り返し、1−ヘキサデカノールの配位したITOナノ粒子前駆体を得た。
得られたITOナノ粒子前駆体の一部をクロロホルムに分散させた希薄分散液を作成し、TEM観察したところ、1−ヘキサデカノールの配位したITOナノ粒子前駆体の平均粒子径は8.9nmであった。
<ITOナノ粒子前駆体の製造例4(オレイルアルコール配位ITOナノ粒子)>
100mlフラスコ中に酢酸インジウム(III)315mg、酢酸スズ(II)36mg、オレイルアルコール2.5ml、1−ペンタン酸300μl、1−オクタデセン10mlを仕込み、真空中70℃で1時間加熱し、その後常圧に戻して窒素雰囲気中170℃で2時間加熱し、次いで窒素雰囲気中280℃で1.5時間加熱還流し、オレイルアルコールの配位したITOナノ粒子前駆体の粗分散液を得た。該粗分散液を、沈殿溶媒にメタノール、分散溶媒にヘキサンを用いて5回遠心分離精製を繰り返し、オレイルアルコールの配位したITOナノ粒子前駆体を得た。
得られたITOナノ粒子前駆体の一部をヘキサンに分散させた希薄分散液を作成し、TEM観察したところ、オレイルアルコールの配位したITOナノ粒子前駆体の平均粒子径は7.1nmであった。
実施例1(例示化合物1−14配位ITOナノ粒子)
100mlフラスコ中に製造例1で得られた、オレイルアミンの配位したITOナノ粒子前駆体(仕込みIn+Sn=1.2mmol)、シュウ酸0.5g、イソプロパノール30mlを仕込み、窒素雰囲気中80℃7時間加熱攪拌して、シュウ酸を配位子として有するITOナノ粒子中間体の粗分散液を得た。
該粗分散液を、沈殿溶媒にジクロロメタン、分散溶媒にイソプロパノールを用いて3回遠心分離精製を繰り返し、シュウ酸を配位子として有するITOナノ粒子中間体の沈殿物を得た。得られたITOナノ粒子中間体を重水に分散させて13C NMRを測定したところ、交換前の配位子であったオレイルアミンに比べ、交換後の配位子であるシュウ酸が9.2倍含有されており、オレイルアミンからシュウ酸へ、配位子交換が進行していることが確認された。
次いで、得られたシュウ酸を配位子として有するITOナノ粒子中間体と、例示化合物1−14の大環状π共役化合物52mg、イソプロパノール30mlを100mlフラスコ中に仕込み、窒素雰囲気中80℃50時間加熱攪拌して、例示化合物1−14の大環状π共役化合物を配位子として有するITOナノ粒子の粗分散液を得た。
該粗分散液を、沈殿溶媒にジクロロメタン、分散溶媒にイソプロパノールを用いて3回遠心分離精製を繰り返し、例示化合物1−14の配位したITOナノ粒子の沈殿物を得た。
次いで、得られたITOナノ粒子沈殿物をイソプロパノールに分散させ、TEM観察したところ、例示化合物1−14の配位したITOナノ粒子の平均粒子径は13.2nmであり、反応前駆体であるオレイルアミンの配位したITOナノ粒子の13.3nmからほとんど変化しておらず、配位子のみが交換されたものと考えられる。
また同分散液を用いてレーザーラマンスペクトルを測定したところ、例示化合物1−14と同等のピークが観察され、本ITOナノ粒子が例示化合物1−14を配位子として有するものであることが確認された。さらに同分散液の300〜800nmにおける吸収スペクトルを測定したところ、400〜500nmに見られたSoret帯がブロード化し、かつ500〜600nmに見られたQ帯がほぼ確認されなくなったことから、該ITOナノ粒子は、大環状π共役化合物である例示化合物1−14がITOナノ粒子表面に平面配位したものであることが確認された。
次いで、得られたITOナノ粒子の一部を乾固させてITOナノ粒子紛体とし、熱重量減少を測定したところ、配位子である例示化合物1−14が6.8重量%配位したものであることが確認された。
また、得られたITOナノ粒子に水を添加し、水100重量%に対して、例示化合物1−14の配位したITOナノ粒子0.01重量%を含む分散液を得た。この分散液の溶液ヘイズを測定したところ、2.2%であり、さらに、同分散液を回転半径10.1cmにて、3,000回転、30分遠心分離したが、ITOナノ粒子の沈降は確認されなかった。すなわち、例示化合物1−14の配位したITOナノ粒子が、水に対して十分に高い分散性を示すことが確認された。
実施例2(例示化合物2−3配位ITOナノ粒子)
100mlフラスコ中に製造例1で得られた、オレイルアミンの配位したITOナノ粒子中間体(仕込みIn+Sn=1.2mmol)、シュウ酸0.5g、イソプロパノール30mlを仕込み、窒素雰囲気中80℃7時間加熱攪拌して、シュウ酸を配位子として有するITOナノ粒子中間体の粗分散液を得た。
該粗分散液を、沈殿溶媒にジクロロメタン、分散溶媒にイソプロパノールを用いて3回遠心分離精製を繰り返し、シュウ酸を配位子として有するITOナノ粒子中間体の沈殿物を得た。得られたITOナノ粒子中間体を重水に分散させて13C NMRを測定したところ、交換前の配位子であったオレイルアミンに比べ、交換後の配位子であるシュウ酸が9.2倍含有されており、オレイルアミンからシュウ酸へ、配位子交換が進行していることが確認された。
次いで、得られたシュウ酸を配位子として有するITOナノ粒子と、例示化合物2−3の大環状π共役化合物79mg、イソプロパノール30mlを100mlフラスコ中に仕込み、窒素雰囲気中80℃50時間加熱攪拌して、例示化合物2−3の大環状π共役化合物を配位子として有するITOナノ粒子の粗分散液を得た。
該粗分散液を、沈殿溶媒にジクロロメタン、分散溶媒にイソプロパノールを用いて3回遠心分離精製を繰り返し、例示化合物2−3の配位したITOナノ粒子の沈殿物を得た。
次いで、得られたITOナノ粒子沈殿物をイソプロパノールに分散させ、TEM観察したところ、例示化合物2−3の配位したITOナノ粒子の平均粒子径は13.3nmであり、反応前駆体であるオレイルアミンの配位したITOナノ粒子の13.3nmからほとんど変化しておらず、配位子のみが交換され配位したものと考えられる。
また同分散液を用いてレーザーラマンスペクトルを測定したところ、例示化合物2−3と同等のピークが観察され、本ITOナノ粒子が例示化合物2−3を配位子として有するものであることが確認された。さらに同分散液の300〜800nmにおける吸収スペクトルを測定したところ、400〜450nmに見られたSoret帯がブロード化し、かつ500〜600nmに見られたQ帯がほぼ確認されなくなったことから、該ITOナノ粒子は、大環状π共役化合物である例示化合物2−3がITOナノ粒子表面に平面配位したものであることが確認された。
次いで、得られたITOナノ粒子の一部を乾固させてナノ粒子紛体とし、熱重量減少を測定したところ、配位子である例示化合物2−3が6.3重量%配位したものであることが確認された。
また、得られたITOナノ粒子に水を添加し、水100重量%に対して、例示化合物2−3の配位したITO粒子0.01重量%を含む分散液を得た。この分散液の溶液ヘイズを測定したところ、3.5%であり、さらに、同分散液を回転半径10.1cmにて、3,000回転、30分遠心分離したが、ITOナノ粒子の沈降は確認されなかった。すなわち、例示化合物2−3の配位したITOナノ粒子が、水に対して十分に高い分散性を示すことが確認された。
実施例3(例示化合物2−5配位ITOナノ粒子)
100mlフラスコ中に製造例1で得られた、オレイルアミンの配位したITOナノ粒子中間体(仕込みIn+Sn=1.2mmol)、シュウ酸0.4g、N,N−ジメチルホルムアミド30mlを仕込み、窒素雰囲気中80℃7時間加熱攪拌して、シュウ酸を配位子として有するITOナノ粒子中間体の粗分散液を得た。
該粗分散液を、沈殿溶媒にジクロロメタン、分散溶媒にN,N−ジメチルホルムアミドを用いて3回遠心分離精製を繰り返し、シュウ酸を配位子として有するITOナノ粒子中間体の沈殿物を得た。得られたITOナノ粒子中間体を重水に分散させて13C NMRを測定したところ、交換前の配位子であったオレイルアミンに比べ、交換後の配位子であるシュウ酸が9.3倍含有されており、オレイルアミンからシュウ酸へ、配位子交換が進行していることが確認された。
次いで、得られたシュウ酸を配位子として有するITOナノ粒子と、例示化合物2−5の大環状π共役化合物52mg、N,N−ジメチルホルムアミド30mlを100mlフラスコ中に仕込み、窒素雰囲気中100℃30時間加熱攪拌して、例示化合物2−5の大環状π共役化合物を配位子として有するITOナノ粒子の粗分散液を得た。
該粗分散液を、N,N−ジメチルホルムアミドを用いて3回遠心分離精製を繰り返し、例示化合物2−5の配位したITOナノ粒子の沈殿物を得た。
次いで、得られたITOナノ粒子沈殿物をN,N−ジメチルホルムアミドに分散させ、TEM観察したところ、例示化合物2−5の配位したITOナノ粒子の平均粒子径は13.1nmであり、反応前駆体であるオレイルアミンの配位したITOナノ粒子の13.3nmからほとんど変化しておらず、配位子のみが交換されたものと考えられる。
また同分散液を用いてレーザーラマンスペクトルを測定したところ、例示化合物2−5と同等のピークが観察され、本ITOナノ粒子が例示化合物2−5を配位子として有するものであることが確認された。さらに同分散液の300〜800nmにおける吸収スペクトルを測定したところ、400〜500nmに見られたSoret帯がブロード化し、かつ500〜600nmに見られたQ帯がほぼ確認されなくなったことから、該ITOナノ粒子は、大環状π共役化合物である例示化合物2−5がITOナノ粒子表面に平面配位したものであることが確認された。
次いで、得られたITOナノ粒子の一部を乾固させてITOナノ粒子紛体とし、熱重量減少を測定したところ、配位子である例示化合物2−5が5.8重量%配位したものであることが確認された。
また、得られたITOナノ粒子に水を添加し、水100重量%に対して、例示化合物2−5の配位したITOナノ粒子0.01重量%を含む分散液を得た。この分散液の溶液ヘイズを測定したところ、1.4%であり、さらに、同分散液を回転半径10.1cmにて、3,000回転、30分遠心分離したが、ITOナノ粒子の沈降は確認されなかった。すなわち、例示化合物2−5の配位したITOナノ粒子が、水に対して十分に高い分散性を示すことが確認された。
実施例4(例示化合物2−5配位ITOナノ粒子)
100mlフラスコ中に製造例2で得られた、ヘキサデシルアミンの配位したITOナノ粒子中間体(仕込みIn+Sn=2.4mmol)、クエン酸2.9g、エタノール80mlを仕込み、窒素雰囲気中70℃10時間加熱攪拌して、クエン酸を配位子として有するITOナノ粒子中間体の粗分散液を得た。
該粗分散液を、沈殿溶媒にジクロロメタン、分散溶媒にエタノールを用いて3回遠心分離精製を繰り返し、クエン酸を配位子として有するITOナノ粒子中間体の沈殿物を得た。得られたITOナノ粒子中間体を重水に分散させて1H NMRを測定したところ、交換前の配位子であったヘキサデシルアミンに比べ、交換後の配位子であるクエン酸が9.6倍含有されており、ヘキサデシルアミンからクエン酸へ、配位子交換が進行していることが確認された。
次いで、得られたクエン酸を配位子として有するITOナノ粒子と、例示化合物2−5の大環状π共役化合物129mg、エタノール80mlを100mlフラスコ中に仕込み、窒素雰囲気中70℃120時間加熱攪拌して、例示化合物2−5の大環状π共役化合物を配位子として有するITOナノ粒子の粗分散液を得た。
該粗分散液を、沈殿溶媒にジクロロメタン、分散溶媒にエタノールを用いて3回遠心分離精製を繰り返し、例示化合物2−5ITOナノ粒子の沈殿物を得た。
次いで、得られたITOナノ粒子沈殿物をエタノールに分散させ、TEM観察したところ、例示化合物2−5ITOナノ粒子の平均粒子径は10.5nmであり、反応前駆体であるヘキサデシルアミンITOナノ粒子の10.5nmからほとんど変化しておらず、配位子のみが交換されたものと考えられる。
また同分散液を用いてレーザーラマンスペクトルを測定したところ、例示化合物2−5と同等のピークが観察され、本ITOナノ粒子が例示化合物2−5を配位子として有するものであることが確認された。さらに同分散液の300〜800nmにおける吸収スペクトルを測定したところ、400〜500nmに見られたSoret帯がブロード化し、かつ500〜600nmに見られたQ帯がほぼ確認されなくなったことから、該ITOナノ粒子は、大環状π共役化合物である例示化合物2−5がITOナノ粒子表面に平面配位したものであることが確認された。
次いで、得られたITOナノ粒子の一部を乾固させてITOナノ粒子紛体とし、熱重量減少を測定したところ、配位子である例示化合物2−5が6.5重量%配位したものであることが確認された。
また、得られたITOナノ粒子に水を添加し、水100重量%に対して、例示化合物2−5の配位したITOナノ粒子0.01重量%を含む分散液を得た。この分散液の溶液ヘイズを測定したところ、1.9%であり、さらに、同分散液を回転半径10.1cmにて、3,000回転、30分遠心分離したが、ITOナノ粒子の沈降は確認されなかった。すなわち、例示化合物2−5の配位したITOナノ粒子が、水に対して十分に高い分散性を示すことが確認された。
実施例5(例示化合物2−9配位ITOナノ粒子)
100mlフラスコ中に製造例2で得られた、ヘキサデシルアミンの配位したITOナノ粒子中間体(仕込みIn+Sn=2.4mmol)、クエン酸2.9g、N,N−ジメチルホルムアミド80mlを仕込み、窒素雰囲気中90℃10時間加熱攪拌して、クエン酸を配位子として有するITOナノ粒子中間体の粗分散液を得た。
該粗分散液を、沈殿溶媒にジクロロメタン、分散溶媒にN,N−ジメチルホルムアミドを用いて3回遠心分離精製を繰り返し、クエン酸を配位子として有するITOナノ粒子中間体の沈殿物を得た。得られたITOナノ粒子中間体を重水に分散させて1H NMRを測定したところ、交換前の配位子であったヘキサデシルアミンに比べ、交換後の配位子であるクエン酸が9.8倍含有されており、ヘキサデシルアミンからクエン酸へ、配位子交換が進行していることが確認された。
次いで、得られたクエン酸を配位子として有するITOナノ粒子と、例示化合物2−9の大環状π共役化合物129mg、N,N−ジメチルホルムアミド80mlを100mlフラスコ中に仕込み、窒素雰囲気中90℃100時間加熱攪拌して、例示化合物2−9の大環状π共役化合物を配位子として有するITOナノ粒子の粗分散液を得た。
該粗分散液を、沈殿溶媒にジクロロメタン、分散溶媒にN,N−ジメチルホルムアミドを用いて3回遠心分離精製を繰り返し、例示化合物2−9の配位したITOナノ粒子の沈殿物を得た。
次いで、得られたITOナノ粒子沈殿物をN,N−ジメチルホルムアミドに分散させ、TEM観察したところ、例示化合物2−9の配位したITOナノ粒子の平均粒子径は10.5nmであり、反応前駆体であるヘキサデシルアミンの配位したITOナノ粒子の10.5nmからほとんど変化しておらず、配位子のみが交換されたものと考えられる。
また同分散液を用いてレーザーラマンスペクトルを測定したところ、例示化合物2−9と同等のピークが観察され、本ITOナノ粒子が例示化合物2−9を配位子として有するものであることが確認された。さらに同分散液の300〜800nmにおける吸収スペクトルを測定したところ、400〜500nmに見られたSoret帯がブロード化し、かつ500〜600nmに見られたQ帯がほぼ確認されなくなったことから、該ITOナノ粒子は、大環状π共役化合物である例示化合物2−9がITOナノ粒子表面に平面配位したものであることが確認された。
次いで、得られたITOナノ粒子の一部を乾固させてITOナノ粒子紛体とし、熱重量減少を測定したところ、配位子である例示化合物2−9が6.6重量%配位したものであることが確認された。
また、得られたITOナノ粒子に水を添加し、水100重量%に対して、例示化合物2−5の配位したITOナノ粒子0.01重量%を含む分散液を得た。この分散液の溶液ヘイズを測定したところ、2.6%であり、さらに、同分散液を回転半径10.1cmにて、3,000回転、30分遠心分離したが、ITOナノ粒子の沈降は確認されなかった。すなわち、例示化合物2−9の配位したITOナノ粒子が、水に対して十分に高い分散性を示すことが確認された。
実施例6(例示化合物3−3配位ITOナノ粒子)
100mlフラスコ中に製造例2で得られた、ヘキサデシルアミンの配位したITOナノ粒子中間体(仕込みIn+Sn=2.4mmol)、クエン酸2.9g、メタノール80mlを仕込み、窒素雰囲気中60℃15時間加熱攪拌して、クエン酸を配位子として有するITOナノ粒子中間体の粗分散液を得た。
該粗分散液を、沈殿溶媒にジクロロメタン、分散溶媒にメタノールを用いて3回遠心分離精製を繰り返し、クエン酸を配位子として有するITOナノ粒子中間体の沈殿物を得た。得られたITOナノ粒子中間体を重水に分散させて1H NMRを測定したところ、交換前の配位子であったヘキサデシルアミンに比べ、交換後の配位子であるクエン酸が9.6倍含有されており、ヘキサデシルアミンからクエン酸へ、配位子交換が進行していることが確認された。
次いで、得られたクエン酸を配位子として有するITOナノ粒子と、例示化合物3−3の大環状π共役化合物202mg、メタノール80mlを100mlフラスコ中に仕込み、窒素雰囲気中60℃150時間加熱攪拌して、例示化合物3−3の大環状π共役化合物を配位子として有するITOナノ粒子の粗分散液を得た。
該粗分散液を、沈殿溶媒にジクロロメタン、分散溶媒にメタノールを用いて3回遠心分離精製を繰り返し、例示化合物3−3の配位したITOナノ粒子の沈殿物を得た。
次いで、得られたITOナノ粒子沈殿物をメタノールに分散させ、TEM観察したところ、例示化合物3−3の配位したITOナノ粒子の平均粒子径は10.4nmであり、反応前駆体であるヘキサデシルアミンの配位したITOナノ粒子の10.5nmからほとんど変化しておらず、配位子のみが交換されたものと考えられる。
また同分散液を用いてレーザーラマンスペクトルを測定したところ、例示化合物3−3と同等のピークが観察され、本ITOナノ粒子が例示化合物3−3を配位配位子として有するものであることが確認された。さらに同分散液の300〜800nmにおける吸収スペクトルを測定したところ、400〜450nmに見られたSoret帯がブロード化し、かつ500〜600nmに見られたQ帯がほぼ確認されなくなったことから、該ITOナノ粒子は、大環状π共役化合物である例示化合物3−3がITOナノ粒子表面に平面配位したものであることが確認された。
次いで、得られたITOナノ粒子の一部を乾固させてITOナノ粒子紛体とし、熱重量減少を測定したところ、配位子である例示化合物3−3が8.0重量%配位したものであることが確認された。
また、得られたITOナノ粒子に水を添加し、水100重量%に対して、例示化合物3−3の配位したITOナノ粒子0.01重量%を含む分散液を得た。この分散液の溶液ヘイズを測定したところ、0.8%であり、さらに、同分散液を回転半径10.1cmにて、3,000回転、30分遠心分離したが、ナノ粒子の沈降は確認されなかった。すなわち、例示化合物3−3の配位したITOナノ粒子が、水に対して十分に高い分散性を示すことが確認された。
実施例7(例示化合物1−14配位ITOナノ粒子)
100mlフラスコ中に製造例3で得られた、1−ヘキサデカノールの配位したITOナノ粒子中間体(仕込みIn+Sn=2.6mmol)、マロン酸1.6g、N,N−ジメチルホルムアミド80mlを仕込み、窒素雰囲気中100℃8時間加熱攪拌して、マロン酸を配位子として有するITOナノ粒子中間体の粗分散液を得た。
該粗分散液を、沈殿溶媒にジクロロメタン、分散溶媒にN,N−ジメチルホルムアミドを用いて3回遠心分離精製を繰り返し、マロン酸を配位子として有するITOナノ粒子中間体の沈殿物を得た。得られたITOナノ粒子中間体を重水に分散させて1H NMRを測定したところ、交換前の配位子であった1−ヘキサデカノールに比べ、交換後の配位子であるマロン酸が8.2倍含有されており、1−ヘキサデカノールからマロン酸へ、配位子交換が進行していることが確認された。
次いで、得られたマロン酸を配位子として有するITOナノ粒子と、例示化合物1−14の大環状π共役化合物151mg、N,N−ジメチルホルムアミド80mlを100mlフラスコ中に仕込み、窒素雰囲気中100℃80時間加熱攪拌して、例示化合物1−14の大環状π共役化合物を配位子として有するITOナノ粒子の粗分散液を得た。
該粗分散液を、N,N−ジメチルホルムアミドを用いて3回遠心分離精製を繰り返し、例示化合物1−14の配位したITOナノ粒子の沈殿物を得た。
次いで、得られたITOナノ粒子沈殿物をN,N−ジメチルホルムアミドに分散させ、TEM観察したところ、例示化合物1−14の配位したITOナノ粒子の平均粒子径は8.9nmであり、反応前駆体である1−ヘキサデカノール保護ITOナノ粒子の8.9nmからほとんど変化しておらず、配位子のみが交換されたものと考えられる。
また同分散液を用いてレーザーラマンスペクトルを測定したところ、例示化合物1−14と同等のピークが観察され、本ITOナノ粒子が例示化合物1−14を配位子として有するものであることが確認された。さらに同分散液の300〜800nmにおける吸収スペクトルを測定したところ、400〜500nmに見られたSoret帯がブロード化し、かつ500〜600nmに見られたQ帯がほぼ確認されなくなったことから、該ITOナノ粒子は、大環状π共役化合物である例示化合物1−14がITOナノ粒子表面に平面配位したものであることが確認された。
次いで、得られたITOナノ粒子の一部を乾固させてナノ粒子紛体とし、熱重量減少を測定したところ、配位子である例示化合物1−14が9.8重量%配位したものであることが確認された。
また、得られたITOナノ粒子に水を添加し、水100重量%に対して、例示化合物1−14の配位したITOナノ粒子0.01重量%を含む分散液を得た。この分散液の溶液ヘイズを測定したところ、2.1%であり、さらに、同分散液を回転半径10.1cmにて、3,000回転、30分遠心分離したが、ITOナノ粒子の沈降は確認されなかった。すなわち、例示化合物1−14の配位したITOナノ粒子が、水に対して十分に高い分散性を示すことが確認された。
実施例8(例示化合物2−12配位ITOナノ粒子)
100mlフラスコ中に製造例3で得られた、1−ヘキサデカノールの配位したITOナノ粒子中間体(仕込みIn+Sn=2.6mmol)、マロン酸1.2g、N,N−ジメチルホルムアミド80mlを仕込み、窒素雰囲気中90℃8時間加熱攪拌して、マロン酸を配位子として有するITOナノ粒子中間体の粗分散液を得た。
該粗分散液を、N,N−ジメチルホルムアミドを用いて3回遠心分離精製を繰り返し、マロン酸を配位子として有するITOナノ粒子中間体の沈殿物を得た。得られたITOナノ粒子中間体を重水に分散させて1H NMRを測定したところ、交換前の配位子であった1−ヘキサデカノールに比べ、交換後の配位子であるマロン酸が8.6倍含有されており、1−ヘキサデカノールからマロン酸へ、配位子交換が進行していることが確認された。
次いで、得られたマロン酸を配位子として有するITOナノ粒子と、例示化合物2−12の大環状π共役化合物268mg、N,N−ジメチルホルムアミド80mlを100mlフラスコ中に仕込み、窒素雰囲気中90℃80時間加熱攪拌して、例示化合物2−12の大環状π共役化合物を配位子として有するITOナノ粒子の粗分散液を得た。
該粗分散液を、N,N−ジメチルホルムアミドを用いて3回遠心分離精製を繰り返し、例示化合物2−12の配位したITOナノ粒子の沈殿物を得た。
次いで、得られたITOナノ粒子沈殿物をN,N−ジメチルホルムアミドに分散させ、TEM観察したところ、例示化合物2−12の配位したITOナノ粒子の平均粒子径は8.7nmであり、反応前駆体である1−ヘキサデカノールの配位したITOナノ粒子の8.9nmからほとんど変化しておらず、配位子のみが交換されたものと考えられる。
また同分散液を用いてレーザーラマンスペクトルを測定したところ、例示化合物2−12と同等のピークが観察され、本ITOナノ粒子が例示化合物2−12を配位子として有するものであることが確認された。さらに同分散液の300〜800nmにおける吸収スペクトルを測定したところ、400〜500nmに見られたSoret帯がブロード化し、かつ500〜600nmに見られたQ帯がほぼ確認されなくなったことから、該ITOナノ粒子は、大環状π共役化合物である例示化合物2−12がITOナノ粒子表面に平面配位したものであることが確認された。
次いで、得られたITOナノ粒子の一部を乾固させてナノ粒子紛体とし、熱重量減少を測定したところ、配位子である例示化合物2−12が6.9重量%配位したものであることが確認された。
また、得られたITOナノ粒子に水を添加し、水100重量%に対して、例示化合物2−12の配位したITOナノ粒子0.01重量%を含む分散液を得た。この分散液の溶液ヘイズを測定したところ、3.9%であり、さらに、同分散液を回転半径10.1cmにて、3,000回転、30分遠心分離したが、ITOナノ粒子の沈降は確認されなかった。すなわち、例示化合物2−12の配位したITOナノ粒子が、水に対して十分に高い分散性を示すことが確認された。
実施例9(例示化合物3−5配位ITOナノ粒子)
100mlフラスコ中に製造例3で得られた、1−ヘキサデカノールの配位したITOナノ粒子中間体(仕込みIn+Sn=2.6mmol)、マロン酸1.5g、イソプロパノール80mlを仕込み、窒素雰囲気中70℃5時間加熱攪拌して、マロン酸を配位子として有するITOナノ粒子中間体の粗分散液を得た。
該粗分散液を、イソプロパノールを用いて3回遠心分離精製を繰り返し、マロン酸を配位子として有するITOナノ粒子中間体の沈殿物を得た。得られたITOナノ粒子中間体を重水に分散させて1H NMRを測定したところ、交換前の配位子であった1−ヘキサデカノールに比べ、交換後の配位子であるマロン酸が8.0倍含有されており、1−ヘキサデカノールからマロン酸へ、配位子交換が進行していることが確認された。
次いで、得られたマロン酸を配位子として有するITOナノ粒子と、例示化合物3−5の大環状π共役化合物278mg、イソプロパノール80mlを100mlフラスコ中に仕込み、窒素雰囲気中70℃150時間加熱攪拌して、例示化合物3−5の大環状π共役化合物を配位子として有するITOナノ粒子の粗分散液を得た。
該粗分散液を、沈殿溶媒にジクロロメタン、分散溶媒にイソプロパノールを用いて3回遠心分離精製を繰り返し、例示化合物3−5の配位したITOナノ粒子の沈殿物を得た。
次いで、得られたITOナノ粒子沈殿物をイソプロパノールに分散させ、TEM観察したところ、例示化合物3−5の配位したITOナノ粒子の平均粒子径は8.9nmであり、反応前駆体である1−ヘキサデカノールの配位したITOナノ粒子の8.9nmからほとんど変化しておらず、配位子のみが交換されたものと考えられる。
また同分散液を用いてレーザーラマンスペクトルを測定したところ、例示化合物3−5と同等のピークが観察され、本ITOナノ粒子が例示化合物3−5を配位子として有するものであることが確認された。さらに同分散液の300〜800nmにおける吸収スペクトルを測定したところ、400〜450nmに見られたSoret帯がブロード化し、かつ500〜600nmに見られたQ帯がほぼ確認されなくなったことから、該ITOナノ粒子は、大環状π共役化合物である例示化合物3−5がITOナノ粒子表面に平面配位したものであることが確認された。
次いで、得られたITOナノ粒子の一部を乾固させてナノ粒子紛体とし、熱重量減少を測定したところ、配位子である例示化合物3−5が7.0重量%配位したものであることが確認された。
また、得られたITOナノ粒子に水を添加し、水100重量%に対して、例示化合物3−5の配位したITOナノ粒子0.01重量%を含む分散液を得た。この分散液の溶液ヘイズを測定したところ、1.5%であり、さらに、同分散液を回転半径10.1cmにて、3,000回転、30分遠心分離したが、ITOナノ粒子の沈降は確認されなかった。すなわち、例示化合物3−5の配位したITOナノ粒子が、水に対して十分に高い分散性を示すことが確認された。
実施例10(例示化合物3−3配位ITOナノ粒子)
100mlフラスコ中に製造例4で得られた、オレイルアルコールの配位したITOナノ粒子中間体(仕込みIn+Sn=1.2mmol)、クエン酸1.0g、N,N−ジメチルホルムアミド50mlを仕込み、窒素雰囲気中80℃15時間加熱攪拌して、クエン酸を配位子として有するITOナノ粒子中間体の粗分散液を得た。
該粗分散液を、N,N−ジメチルホルムアミドを用いて3回遠心分離精製を繰り返し、クエン酸を配位子として有するITOナノ粒子中間体の沈殿物を得た。得られたITOナノ粒子中間体を重水に分散させて1H NMRを測定したところ、交換前の配位子であったオレイルアルコールに比べ、交換後の配位子であるクエン酸が8.8倍含有されており、オレイルアルコールからクエン酸へ、配位子交換が進行していることが確認された。
次いで、得られたクエン酸を配位子として有するITOナノ粒子と、例示化合物3−3の大環状π共役化合物101mg、N,N−ジメチルホルムアミド50mlを100mlフラスコ中に仕込み、窒素雰囲気中100℃80時間加熱攪拌して、例示化合物3−3の大環状π共役化合物を配位子として有するITOナノ粒子の粗分散液を得た。
該粗分散液を、沈殿溶媒にジクロロメタン、分散溶媒にN,N−ジメチルホルムアミドを用いて3回遠心分離精製を繰り返し、例示化合物3−3の配位したITOナノ粒子の沈殿物を得た。
次いで、得られたITOナノ粒子沈殿物をN,N−ジメチルホルムアミドに分散させ、TEM観察したところ、例示化合物3−3の配位したITOナノ粒子の平均粒子径は7.0nmであり、反応前駆体であるオレイルアルコールの配位したITOナノ粒子の7.1nmからほとんど変化しておらず、配位子のみが交換されたものと考えられる。
また同分散液を用いてレーザーラマンスペクトルを測定したところ、例示化合物3−3と同等のピークが観察され、本ITOナノ粒子が例示化合物3−3を配位子として有するものであることが確認された。さらに同分散液の300〜800nmにおける吸収スペクトルを測定したところ、400〜450nmに見られたSoret帯がブロード化し、かつ500〜600nmに見られたQ帯がほぼ確認されなくなったことから、該ITOナノ粒子は、大環状π共役化合物である例示化合物3−3がITOナノ粒子表面に平面配位したものであることが確認された。
次いで、得られたITOナノ粒子の一部を乾固させてITOナノ粒子紛体とし、熱重量減少を測定したところ、配位子である例示化合物3−3が8.5重量%配位したものであることが確認された。
また、得られたITOナノ粒子に水を添加し、水100重量%に対して、例示化合物3−3の配位したITOナノ粒子0.01重量%を含む分散液を得た。この分散液の溶液ヘイズを測定したところ、0.9%であり、さらに、同分散液を回転半径10.1cmにて、3,000回転、30分遠心分離したが、ITOナノ粒子の沈降は確認されなかった。すなわち、例示化合物3−3の配位したITOナノ粒子が、水に対して十分に高い分散性を示すことが確認された。
実施例11(例示化合物4−4配位ITOナノ粒子)
100mlフラスコ中に製造例4で得られた、オレイルアルコールの配位したITOナノ粒子中間体(仕込みIn+Sn=1.2mmol)、クエン酸1.0g、イソプロパノール50mlを仕込み、窒素雰囲気中70℃12時間加熱攪拌して、クエン酸を配位子として有するITOナノ粒子中間体の粗分散液を得た。
該粗分散液を、イソプロパノールを用いて3回遠心分離精製を繰り返し、クエン酸を配位子として有するITOナノ粒子中間体の沈殿物を得た。得られたITOナノ粒子中間体を重水に分散させて1H NMRを測定したところ、交換前の配位子であったオレイルアルコールに比べ、交換後の配位子であるクエン酸が9.0倍含有されており、オレイルアルコールからクエン酸へ、配位子交換が進行していることが確認された。
次いで、得られたクエン酸を配位子として有するITOナノ粒子と、例示化合物4−4の大環状π共役化合物86mg、イソプロパノール50mlを100mlフラスコ中に仕込み、窒素雰囲気中70℃90時間加熱攪拌して、例示化合物4−4の大環状π共役化合物を配位子として有するITOナノ粒子の粗分散液を得た。
該粗分散液を、沈殿溶媒にジクロロメタン、分散溶媒にイソプロパノールを用いて3回遠心分離精製を繰り返し、例示化合物4−4の配位したITOナノ粒子の沈殿物を得た。
次いで、得られたITOナノ粒子沈殿物をイソプロパノールに分散させ、TEM観察したところ、例示化合物4−4の配位したITOナノ粒子の平均粒子径は7.0nmであり、反応前駆体であるオレイルアルコールの配位したITOナノ粒子の7.1nmからほとんど変化しておらず、配位子のみが交換されたものと考えられる。
また同分散液を用いてレーザーラマンスペクトルを測定したところ、例示化合物4−4と同等のピークが観察され、本ITOナノ粒子が例示化合物4−4を配位子として有するものであることが確認された。さらに同分散液の300〜800nmにおける吸収スペクトルを測定したところ、300〜400nmに見られたSoret帯がブロード化し、かつ600〜700nmに見られたQ帯がほぼ確認されなくなったことから、該ITOナノ粒子は、大環状π共役化合物である例示化合物4−4がITOナノ粒子表面に平面配位したものであることが確認された。
次いで、得られたITOナノ粒子の一部を乾固させてナノ粒子紛体とし、熱重量減少を測定したところ、配位子である例示化合物4−4が8.9重量%配位したものであることが確認された。
また、得られたITOナノ粒子に水を添加し、水100重量%に対して、例示化合物4−4の配位したITOナノ粒子0.01重量%を含む分散液を得た。この分散液の溶液ヘイズを測定したところ、3.8%であり、さらに、同分散液を回転半径10.1cmにて、3,000回転、30分遠心分離したが、ITOナノ粒子の沈降は確認されなかった。すなわち、例示化合物4−4の配位したITOナノ粒子が、水に対して十分に高い分散性を示すことが確認された。
実施例12(例示化合物3−9配位ITOナノ粒子)
100mlフラスコ中に製造例4で得られた、オレイルアルコールの配位したITOナノ粒子中間体(仕込みIn+Sn=1.2mmol)、クエン酸1.0g、N,N−ジメチルホルムアミド50mlを仕込み、窒素雰囲気中80℃12時間加熱攪拌して、クエン酸を配位配位子として有するITOナノ粒子中間体の粗分散液を得た。
該粗分散液を、N,N−ジメチルホルムアミドを用いて3回遠心分離精製を繰り返し、クエン酸を配位子として有するITOナノ粒子中間体の沈殿物を得た。得られたITOナノ粒子中間体を重水に分散させて1H NMRを測定したところ、交換前の配位子であったオレイルアルコールに比べ、交換後の配位子であるクエン酸が9.2倍含有されており、オレイルアルコールからクエン酸へ、配位子交換が進行していることが確認された。
次いで、得られたクエン酸を配位子として有するITOナノ粒子と、例示化合物3−9の大環状π共役化合物111mg、N,N−ジメチルホルムアミド50mlを100mlフラスコ中に仕込み、窒素雰囲気中100℃90時間加熱攪拌して、例示化合物3−9の大環状π共役化合物を配位子として有するITOナノ粒子の粗分散液を得た。
該粗分散液を、N,N−ジメチルホルムアミドを用いて3回遠心分離精製を繰り返し、例示化合物3−9の配位したITOナノ粒子の沈殿物を得た。
次いで、得られたITOナノ粒子沈殿物をN,N−ジメチルホルムアミドに分散させ、TEM観察したところ、例示化合物3−9の配位したITOナノ粒子の平均粒子径は7.1nmであり、反応前駆体であるオレイルアルコールの配位したITOナノ粒子の7.1nmからほとんど変化しておらず、配位子のみが交換されたものと考えられる。
また同分散液を用いてレーザーラマンスペクトルを測定したところ、例示化合物3−9と同等のピークが観察され、本ITOナノ粒子が例示化合物3−9を配位子として有するものであることが確認された。さらに同分散液の300〜800nmにおける吸収スペクトルを測定したところ、400〜450nmに見られたSoret帯がブロード化し、かつ500〜600nmに見られたQ帯がほぼ確認されなくなったことから、該ITOナノ粒子は、大環状π共役化合物である例示化合物3−9がITOナノ粒子表面に平面配位したものであることが確認された。
次いで、得られたITOナノ粒子の一部を乾固させてナノ粒子紛体とし、熱重量減少を測定したところ、配位子である例示化合物3−9が7.7重量%配位したものであることが確認された。
また、得られたITOナノ粒子に水を添加し、水100重量%に対して、例示化合物3−9の配位したITOナノ粒子0.01重量%を含む分散液を得た。この分散液の溶液ヘイズを測定したところ、3.5%であり、さらに、同分散液を回転半径10.1cmにて、3,000回転、30分遠心分離したが、ITOナノ粒子の沈降は確認されなかった。すなわち、例示化合物3−9の配位したITOナノ粒子が、水に対して十分に高い分散性を示すことが確認された。
比較例1
配位子であるヘキサデシルアミン4.5mlの代わりに例示化合物2−3を9.8g使用し、その他は製造例2と同様の手法で、2段階の配位子交換でない方法で例示化合物2−3配位ITOナノ粒子の合成を試みた。得られた反応液に100mlのエタノールを添加して遠心分離を実施したが、沈殿は見られず大環状π共役化合物が配位したITOナノ粒子は得られなかった。
比較例2
100mlフラスコ中に製造例1で得られた、オレイルアミンの配位したITOナノ粒子(仕込みIn+Sn=1.2mmol)、例示化合物2−5 52mg、イソプロパノール30mlを仕込み、窒素雰囲気中80℃7時間加熱攪拌して、例示化合物2−5配位ITOナノ粒子の合成を試みた(前駆体であるオレイルアミン配位ITOナノ粒子から、中間体であるカルボン酸配位ITOナノ粒子を経ずに、直接大環状π共役化合物への配位子交換を行う方法)。得られた反応液に、200mLのジクロロメタンを添加して遠心分離を実施したが、ITOナノ粒子の沈殿は見られず大環状π共役化合物が配位したITOナノ粒子は得られなかった。
Figure 0006077946
本発明は、大環状π共役化合物を配位子に有するITOナノ粒子に関するものであり、より詳しくは、大環状π共役化合物がITOナノ粒子に対して平面方向で配位していることを特徴とする、大環状π共役化合物配位ITOナノ粒子、及びその製造方法に関するものである。大環状π共役化合物がITOナノ粒子に対して平面方向で配位することで、従来のITOナノ粒子では得られなかった、特異的な電気特性を発現することが期待されること、また本発明のITOナノ粒子が簡便な手法で量産可能であることから、産業に大きく貢献することができる。

Claims (1)

  1. 炭素数6〜24の直鎖または分岐の、アルコール類またはアミン類を配位子として有するITOナノ粒子を前駆体として、配位子交換によって、中間体であるカルボン酸化合物を配位子として有するITOナノ粒子を製造し、次いで配位子交換によって、一般式(1)〜(4)である大環状π共役化合物を配位させることを特徴とする、ITOナノ粒子の製造方法。
    Figure 0006077946
    (式中、R 〜R 48 はそれぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子、アミノ基、カルボキシル基、チオール基、ヒドロキシル基、炭素数1〜10の直鎖、分岐または環状アルキル基;末端にアミノ基、カルボキシル基、チオール基、ヒドロキシル基より選ばれるいずれかの官能基を有する炭素数1〜10の直鎖、分岐または環状のアルキル基;炭素鎖中に、酸素原子、硫黄原子、カルボニル基、エステル基、アミド基、イミノ基を含有する炭素数1〜10の直鎖、分岐または環状のアルキル基を表す。)
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