JP6075130B2 - 有機溶媒滴下装置 - Google Patents

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Description

本発明は、セルロース微細繊維を含有するシートの製造装置に配置される有機溶媒滴下装置に関する。
繊維の集合体である繊維シートを湿式抄紙法により不織布状、紙状に構成する装置が知られている。この繊維シートの製造装置は、繊維を含む分散液から分散媒を搾水してウェブを生成する搾水セクションと、ウェブを乾燥させて繊維シートを生成する乾燥セクションと、繊維シートを巻き取る巻取セクションと、を備えている(例えば、特許文献1、2参照)。
搾水セクションには、メッシュ状のワイヤー(以下「ファブリックシート」という。)が設けられている。搾水セクションでは、ファブリックシートを走行させつつファブリックシートの上面に分散液を吐出し、ファブリックシートの空孔を通して下部から吸引装置により吸引しながら分散媒を分離することにより、分散液から分散媒を搾水してウェブを生成している。
ところで、近年、繊維シートの開発では、繊維シートの空孔径の縮小および空孔率の増加が望まれている。
例えば、電池やキャパシタ等の蓄電デバイスは、正極と負極との間で電解質を移動させることにより蓄電性能を発揮するものである。この蓄電デバイスにおいて正負極間の短絡を防止するために、繊維シートからなるセパレータが正負極間に配置されている。
ここで、蓄電デバイスの蓄電性能を向上させるためには、正負極間の短絡を防止しつつ、電解質の移動を容易化することが必要である。正負極間の短絡を防止するために、セパレータを構成する繊維シートには、空孔径の縮小が望まれている。また、電解質の移動を容易化するために、セパレータを構成する繊維シートには、空孔率の増加が望まれている。
また、例えば、空気中の粒子や液体中の粒子を捕集するフィルターは、通気性や通液性を制御するために、目的に応じた空孔径や空孔率の制御が望まれている。
繊維シートの空孔径の縮小および空孔率の増加の制御は、微細繊維で繊維シートを抄造することで達成される。微細繊維としては、例えば、セルロース微細繊維等が使用される。繊維シートの抄紙工程で、繊維シートを有機溶媒と混合することにより、空孔径の縮小および空孔率の制御が可能となる。抄紙工程において、有機溶剤を用いる方法として、セルロース不職布を製造する工程において、セルロース繊維を有機溶媒中に浸漬、あるいはスプレーする方法(特許文献2)等が報告されている。しかし、例えば、有機溶媒中に浸漬させる方法では大量の有機溶媒を使用するため製造コストが増大し好ましくない。また、有機溶媒をシャワー状に供給する方法では、有機溶媒の粒子が小さいと空気中でミストとなって拡散するため、シートに供給されずにロスになる有機溶媒があるため非効率となり、さらに爆発・引火の危険性、人体への健康被害が懸念される。従って、有機溶媒の使用量を低減し、かつ、製造工場で使用しても爆発・引火の危険性がなく、人体への健康被害の少ない方法の開発が望まれている。
特開2012−132103号公報 特開2008−274525号公報
そこで本発明は、セルロース微細繊維を含有するシートを効率的、かつ安全に空孔率の高いシートにする、セルロース微細繊維を含有するシートの製造装置に設置される有機溶媒滴下装置の提供を課題とする。
上記の課題を解決するため、本発明者らは、上記の課題を解決するために鋭意検討した結果、セルロース微細繊維を抄紙する工程において、本発明の有機溶媒滴下装置を用いることにより、有機溶媒の使用量が低減でき、効率的にセルロース微細繊維含有シートを製造できることを見出し、下記発明を完成した。
本発明の有機溶媒滴下装置は、搾水プロセスで搾水した含水ウェブに上部から有機溶媒を滴下させる装置であり、有機溶媒の排出口(以下「吐出ノズル」)は少なくとも1つ以上である。2つ以上の吐出ノズルを設置する場合には、含水ウェブの走行方向と垂直な方向に均一に等間隔になるように配置し、含水ウェブに滴下ムラが生じないようにする。滴下ムラが生じるようであれば、吐出ノズルの数を増やして、滴下ムラが生じないようにする。
吐出ノズルは、注射針のような細い管が用いられる。有機溶媒滴下装置の概略図を図1に示す。溶媒容器1から送液用ポンプ3により配管を通じて溶媒2が移送される。移送された溶媒2は例えば図1のように16個に分岐させる場合には、分岐装置6で2つに分岐させ、さらに分岐装置8で8つに分岐させ、吐出ノズル10へ移送され先端から有機溶媒2が含水ウェブ上面へ吐出される。
すなわち、本発明は以下の態様を有する。
(1)セルロース微細繊維を含有するシートを抄紙する工程において、水分を含有するセルロース微細繊維を含むシートに対して有機溶媒を滴下することを特徴とする有機溶媒滴下装置。
(2)前記有機溶媒滴下装置が、少なくとも1つ以上の有機溶媒を排出するための吐出ノズルを有することを特徴とする(1)項に記載の有機溶媒滴下装置。
(3)前記有機溶媒滴下装置の吐出ノズルおよび有機溶媒用配管にに導電処理が施されていることを特徴とする(1)項又は(2)項に記載の有機溶媒滴下装置。
(4)前記有機溶媒滴下装置内に、有機溶媒を移送させるためのポンプが設置されており、前記ポンプは圧縮空気の力を利用して有機溶媒を移送させることを特徴とする(1)項〜(3)項のいずれか1項に記載の有機溶媒滴下装置。
(5)前記有機溶媒の滴下量が、パルプ1質量部(乾燥重量)に対して0.1〜100質量部であることを特徴とする(1)項〜(4)項のいずれか1項に記載の有機溶媒滴下装置。
本発明の有機溶媒滴下装置をセルロース微細繊維含有シートの製造工程で用いることにより、有機溶媒の使用量を極めて低減でき、セルロース微細繊維含有シートの空孔率を容易に制御することができる。また、製造工程内で使用するにあたり、有機溶媒による爆発・引火の危険性が極めて低く、人体への健康被害も少ない。
本発明の、セルロース微細繊維含有シートの製造装置に設置される有機溶媒滴下装置の概略図である。 本発明の、セルロース微細繊維含有シートの製造装置の概略図である。
以下に、本発明の実施形態における有機溶媒滴下装置について、図面を参照して説明する。
(セルロース微細繊維含有シート)
本実施形態は、微細繊維を含む分散液から繊維シートを抄造し、そのシートの多孔化度を高めるために使用される有機溶媒滴下装置に関するものである。繊維シートは、微細繊維の集合体(不織布状、紙状)で構成される。微細繊維として、パルプを機械的に粉砕して微細化したセルロース微細繊維(NFCe)を使用することができる。
具体的には、原料として植物由来のセルロースや、動物由来のセルロース、バクテリア由来のセルロース等が挙げられ、より具体的には、例えば、木本性植物(針葉樹、広葉樹)、草本性植物を用いることができる。木本性植物をクラフト法、サルファイト法、ソーダ法、ポリサルファイド法などで蒸解した化学パルプ繊維;レファイナー、グラインダーなどの機械力によってパルプ化した機械パルプ繊維;薬品による前処理の後、機械力によってパルプ化したセミケミカルパルプ繊維;或いは古紙パルプ繊維などを例示でき、それぞれ未晒(漂白前)もしくは晒(漂白後)の状態で使用することができる。また、草本類から製造される非木材繊維としては、例えば綿、マニラ麻、亜麻、ワラ、竹、パガス、ケナフなどを木材パルプと同様の方法でパルプ化した繊維が挙げられる。
前記パルプとして使用される樹種は、ベイマツ、アカマツ、クロマツ、トドマツ、エゾマツ、ベニマツ、カラマツ、モミ、ツガ、スギ、ヒノキ、シラベ、トウヒ、ヒバ、ダグラスファー、ヘムロック、ホワイトファー、スプルース、バルサムファー、シーダ、パイン、メルクシマツ、ラジアータパイン等の針葉樹、ブナ、カバ、ハンノキ、ナラ、タブ、シイ、シラカバ、ハコヤナギ、ポプラ、タモ、ドロヤナギ、ユーカリ、マングローブ、ラワン等の広葉樹が挙げられる。また、麻類、三椏、竹、ワラをパルプ化して用いることも可能である。
そして、前記パルプをグラインダー(石臼型粉砕機)、高圧ホモジナイザーや超高圧ホモジナイザー、高圧衝突型粉砕機、ディスク型リファイナー、コニカルリファイナー、超音波ホモジナイザーなどの機械的作用を利用する湿式粉砕で繊維を微細化可能である。
また、アセチル化などの化学修飾、TEMPO(2,2,6,6―テトラメチルピペリジン−1−オキシラジカル)触媒酸化、オゾン処理、酵素処理などの化学処理を施してから微細化しても良い。
分散液は、水もしくは有機溶媒、または水と有機溶媒との混合液等からなる分散媒に、微細繊維を分散させて調製する。
セルロース微細繊維は、通常製紙用途で用いるパルプ繊維よりもはるかに幅の狭いセルロース繊維あるいは棒状粒子である。セルロース微細繊維は結晶状態のセルロース分子の集合体であり、その結晶構造はI型(平行鎖)である。セルロース微細繊維の幅は透過型電子顕微鏡(SEM)で観察して2nm〜1000nmが好ましく、より好ましくは2nm〜500nm、さらに好ましくは4nm〜100nmである。繊維の幅が2nm未満であると、セルロース分子として水に溶解しているため、微細繊維としての物性(強度や剛性、寸法安定性)が発現しなくなる。1000nmを超えると微細繊維とは言えず、通常のパルプに含まれる繊維にすぎないため、微細繊維としての物性(強度や剛性、寸法安定性)が得られない。また、セルロース微細繊維の複合体に透明性が求められる用途であると、微細繊維の幅は50nm以下が好ましい。
また、本実施形態におけるセルロース微細繊維の繊維長(JAPAN TAPPI 紙パルプ試験方法No.52:2000に準じて測定した長さ加重平均繊維長)は、1〜1000μmが好ましく、10〜600μmがさらに好ましく、50〜300μmが特に好ましい。繊維長を繊維の幅で除した値であるアスペクト比は100〜30000が好ましく、500〜15000がさらに好ましく、1000〜10000が特に好ましい。
(有機溶媒滴下装置)
本発明の有機溶媒滴下装置を図1に示す。溶媒容器1内の有機溶媒は送液用ポンプ3により、分岐装置6へ移送され、さらに分岐装置8へ移送される。分岐の数を多くするために、分岐装置6と分岐装置8の間にさらに分岐装置を設置しても良い。分岐装置8へ移送された有機溶媒は、吐出ノズル10(有機溶媒の排出口)から排出される。分岐装置8は少なくとも1個以上複数個を設置することができる。また、分岐装置8には、分岐装置1個当たりに少なくとも1本以上複数本の吐出ノズル10を接続することができる。分岐装置8に3本以上の吐出ノズル10を接続する場合は、分岐装置8に接続される各吐出ノズル10の間隔は等間隔に配置してもよいし、異なる間隔で配置しても良いが、等間隔で配置することが、有機溶媒が含水ウェブ(水分を含有するセルロース微細繊維)に効率的に添加できるため望ましい。また、有機溶媒は、含水ウェブの走行方向に対して上部から滴下させることが望ましいが、滴下の角度は有機溶媒が含水ウェブに均一に添加できる角度であれば特に制限されない。含水ウェブに対して垂直に滴下させることが最も望ましい。
(有機溶媒滴下量の制御)
有機溶媒の滴下量は送り調整弁4、戻り調整弁5、微調整弁7と吐出量調整弁9を調製することで制御することができる。各吐出ノズル10で滴下量を微調整する場合には、各ノズルに装備されている吐出量調整弁9で滴下量を調節することができる。
各吐出ノズルの滴下量を一定にするためには、分岐装置6から分岐装置8までの各配管の長さや、分岐装置8から吐出ノズルまでの各配管の長さをほぼ同等にすることで各吐出ノズルの先端での滴下量が一定することが可能となる。
(有機溶媒用配管)
本発明の有機溶媒装置の吐出ノズルおよび有機溶媒用配管は、帯電防止のため金属製(導電性)にするか、樹脂製にする場合には配管内に導電性の金属線を通した配管を用いることが望ましい。
(有機溶媒を移送するためのポンプ)
本発明の有機溶媒装置にて使用するポンプは、電力でモーターを回転させて移送するポンプではなく、圧縮空気の力を利用して移送させるポンプである。電気を使用する場合、接続端子で火花が散ると、最悪の場合、揮発した溶剤に引火して爆発が起こる可能性がある。
(シートの製造装置)
本発明でいうシートの製造装置とは、図2に示すようなセルロース微細繊維を含有するシートを連続的に製造する装置である。シートの製造プロセスについて次に説明する。
セルロース微細繊維を含む分散液をファブリックシート上に均一に吐出させ、下部から吸引装置によって搾水を行い、含水ウェブを得る。
図2に示すように、本発明の有機溶媒滴下装置34から含水ウェブに対して有機溶媒を滴下する。有機溶媒を、セルロース微細繊維を含有するシートの上面から下面へ浸透させ、一部の水と有機溶媒を置換させるために、ファブリックシートの下部から吸引装置によって吸引を行う。一部の水と有機溶媒が置換されたセルロース微細繊維を含有するシートは乾燥プロセスにて、シリンダ状のドラム型乾燥機にて拘束されながら乾燥される。通常、溶媒置換されていない含水ウェブを乾燥すると、水の蒸発に伴い微細繊維間に収縮力が働き空孔率の小さい、つまり密度の高いシートとなる。一方、溶媒置換された含水ウェブでは、微細繊維間に働く収縮力が小さくなり結果として乾燥前に近い状態の繊維ネットワークが保持された空孔率の高いシートが形成される。
(防爆対策)
有機溶媒滴下装置周辺は、安全を確保するために適切な防爆対策を施す必要がある。有機溶媒は常温、常圧下でも揮発しやすく、その蒸気が人体に入ると健康被害を及ぼすほか、各種有機溶媒が固有に持つ爆発濃度範囲に入ったときに、着火源(火花)があると、最悪の場合爆発が起こる可能性がある。そのため、有機溶媒の気体濃度を爆発下限値以下に保持できるよう、有機溶媒発生源周辺を区画で囲い(局所排気区画)、排気装置で区画内の気体を常に排出する局所排気装置が通常設置される。局所排気区画内では、静電気による火花が散らないよう、帯電防止対策が通常施される。具体的には、帯電しやすい絶縁性物質は極力使用せずに導電性の物質を使用し、各装置の接地を必ず行い、局所排気区画内の湿度を一定以上に保つ。
乾燥設備については、電気式抵抗を熱源としたものは火花が散る可能性があるため局所排気区画内では使用できない。そのため、蒸気を熱源とした蒸気式ドライヤを使用する必要がある。
用いる有機溶媒としては、例えば、メタノール、エタノール、2−プロパノール、エチレングリコール系化合物、ジプロピレングリコールメチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、エチレングリコールモノ−t−ブチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテルなどのグリコールエーテル類;ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジブチルエーテル、テトラエチレングリコールジメチルエーテル、トリエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、エチレングリコールジエチルエーテル、エチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールイソプロピルメチルエーテルなどのグライム類;1,2−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオールなどの2価アルコール類;ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノメチルエーテルアセテートなどが挙げられる。水への溶解性に優れ、沸点と表面張力と分子量のバランスが良いエチレングリコール系化合物、ジエチレングリコールジメチルエーテルやジエチレングリコールイソプロピルメチルエーテルが、多孔性が得られやすいため特に好ましい。これらの有機溶媒は2種以上併用することもできる。
セルロース微細繊維含有シートの抄紙工程において、本発明の有機溶媒滴下装置を用いることにより、従来から用いられている浸漬法、スプレーによる噴霧法、シャワーによる供給法等と比較し、有機溶媒の使用量を低減することが可能となり、製造コストの低減が可能となる。また、セルロース微細繊維(含水ウェブ)に対して添加する有機溶媒量の精密な制御ができるため、空孔率、空孔径の制御が容易となる。さらに、有機溶媒の使用量を低減できるため、シャワーによる供給法等と比較し、爆発・引火の危険性や、有機溶媒による人体への安全性を低減することができる。また接触式の塗布法である、グラビアコーター、マイクログラビアロールコーター、バーコーター、ブレードコーター、サイズプレスコーター、ゲートロールコーター、ロッドコーター、コンマコーターでも有機溶媒をシートに供給可能であるが、含水ウェブは強度的に弱く、コーターヘッドに接触すると含水ウェブにスジが入ったりムラが発生したりするおそれがあるため非接触である本発明の方式が望ましい。
前記の方法でセルロース微細繊維含有シートを抄紙することにより、例えば、繊維シートの薄膜化、空孔率の増加、空孔径の縮小が可能になり、この繊維シートを蓄電デバイスのセパレータに採用すれば、蓄電デバイスの蓄電性能を向上させることができる。また、目的に応じた空孔率の増加、空孔径を有するセルロース微細繊維含有シートを製造することにより、セルロース微細繊維含有シートを用いたフィルター、吸着材、吸収材などの用途への応用も可能となる。
以下に実施例および比較例を示して本発明をより詳細に説明する。なお、以下の例における「%」は「質量%」のことである。
針葉樹晒クラフトパルプ(王子ホールディングス社製、水分50%、JIS P8121に準じて測定されるカナダ標準濾水度(CSF)は550ml)を濃度4.0%になるように水を加え、ディスインテグレーターで離解して、パルプ分散液を得た。このパルプ分散液を長径250mmのグラインダー部を有する増幸産業社製のマスコロイダーを用いて、処理回数3回で解繊処理を行って微細化した。得られた解繊液の上澄み濃度は3.25%であった。また、上澄み中の微細繊維の幅は60〜700nmの範囲にあり、平均繊維幅は140nmであった。
上記解繊液の上澄みの濃度が約3質量%になるように水を加えて希釈し、ホモミキサーで攪拌して微細繊維分散液を得た。微細繊維含有濃度を測定したところ、3.1質量%であった。
図2に示す製造装置を用いて微細繊維含有シートを作製した。すなわち、上記微細分散液を傾斜部Aに溜め、抄紙用ワイヤー12を送出リール16から乾燥セクション20に向けて走行させるとともに、吸引手段14により水平部12a上の微細繊維分散液中の水分を吸引して抄紙用ワイヤー11に微細繊維分散液を付着させた。吸引手段14により抄紙用ワイヤー12上の微細繊維分散液中の水分を吸引し、含水ウェブBを得た。
次に、含水ウェブBへの有機溶剤の滴下は図1に示す有機溶媒滴下装置を用いて、「滴下方式」で下記の方法で実施した。含水ウェブBの幅方向に均間隔で配置された複数の有機溶剤排出口を有する滴下装置を用いて、含水ウェブBへジエチレングリコールジメチルエーテル(DEGDME、東邦化学社製、商品名:「ハイソルブMDM」、分子量134、沸点162℃、表面張力28N/m)を含水ウェブの固形分100部に対して200部を含水ウェブに対して垂直に滴下させた。
次に、抄紙用ワイヤー上の含水ウェブBを第一ドライヤー21の外周面に接触させて含水ウェブBに残留していた水分を蒸発させ、さらに含水ウェブBを第二ドライヤー22の外周面に接触させて含水ウェブBに残留していた水分をさらに蒸発させ、微細繊維含有多孔化シートを得た。得られた微細繊維含有多孔化シートの密度をJIS P8118:1998に準じて測定した。結果を表1に示す。
実施例1において、ジエチレングリコールジメチルエーテル(DEGDME)を含水ウェブの固形分100部に対して300部を滴下させた以外は全て実施例1と同様の方法で試験した。結果を表1に示す。
実施例1において、ジエチレングリコールジメチルエーテル(DEGDME)を含水ウェブの固形分100部に対して500部を滴下させた以外は全て実施例1と同様の方法で試験した。結果を表1に示す。
<比較例1>
実施例1において、滴下方式でなくジエチレングリコールジメチルエーテル(DEGDME)を満たした含浸浴槽に含水ウェブBを通過させた以外は全て実施例1と同様の方法で試験した。結果を表1に示す。
<比較例2>
実施例1において、滴下方式でなくグラビアロールコーターを用いてジエチレングリコールジメチルエーテル(DEGDME)を含水ウェブBに塗布した以外は全て実施例1と同様の方法で試験した。結果を表1に示す。
Figure 0006075130
表1に示すように、滴下方式で有機溶媒を含水ウェブに滴下させた試験(実施例1〜3)では、溶媒の使用量が少ないにも関わらず密度が制御可能であり、従って、空孔度(多孔化度)の制御が可能であり、シートの表面が良好なセルロースシートを得ることができた。
これに対し、含浸浴槽を用いた含水ウェブBに有機溶媒を含浸させた比較例1では、空孔度が高いシートは得られたが、実施例1〜3と比較して溶媒の使用量が多くセルロースシートの生産性が低下した。また得られるシートの空孔度が一定になるよう含浸浴槽の溶媒濃度を一定に保つために溶媒を少しずつ含浸浴槽へ添加させる必要があり、有機溶媒を添加の制御が困難であった。
グラビアロールコーターを用いて含水ウェブBに有機溶媒を塗布した比較例2では、含水ウェブとグラビアロールコーターが直接接触し、実施例1〜3と比較し、アレやスジが発生し、セルロースシートの品質(表面性)が低下した。
本発明の有機溶媒滴下装置をセルロース微細繊維含有シートの抄紙工程で用いることにより、有機溶媒の使用量を低減でき、セルロース微細繊維含有シートの生産性を向上させることが可能となる。また、有機溶媒の使用量が削減でき、爆発や引火の危険性を低減でき、人体への安全性が確保されるため、実用的である。
1.溶媒容器
2.有機溶媒
3.送液用ポンプ
4.送り調整弁
5.戻り調整弁
6.分岐装置
7.微調整弁
8.分岐装置
9.吐出量調整弁
10.吐出ノズル
11.溶媒液滴
12 抄紙用ワイヤー
12a 水平部
13 供給タンク
13a 攪拌機
14 吸引手段
15 脱水セクション
16 送出リール
17 ガイドロール
18 ダイコーター
18a 開口部
18b ヘッド
20 乾燥セクション
21 第1ドライヤー
22 第2ドライヤー
23 含水ウェブ用ガイドロール
24 フェルト布
25 フェルト布用ガイドロール
26 局所排気区画
30 巻取セクション
31a,31b 分離ローラ
32 巻取りリール
33 回収リール
34有機溶媒滴下装置
A 微細繊維分散液
B 含水ウェブ
C 微細繊維含有シート

Claims (5)

  1. セルロース微細繊維を含有するシートを抄紙する工程において、水分を含有するセルロース微細繊維を含むシートに対して有機溶媒を滴下することを特徴とする有機溶媒滴下装置。
  2. 前記有機溶媒滴下装置が、少なくとも1つ以上の有機溶媒を排出するための吐出ノズルを有しており、各前記吐出ノズルから有機溶媒が滴下されることを特徴とする請求項1に記載の有機溶媒滴下装置。
  3. 前記有機溶媒滴下装置の吐出ノズルおよび有機溶媒用配管に導電処理が施されていることを特徴とする請求項1又は2に記載の有機溶媒滴下装置。
  4. 前記有機溶媒滴下装置内に、有機溶媒を移送させるためのポンプが設置されており、前記ポンプは圧縮空気の力を利用して有機溶媒を移送させることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の有機溶媒滴下装置。
  5. 前記有機溶媒の滴下量が、パルプ1質量部(乾燥重量)に対して0.1〜100質量部であることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の有機溶媒滴下装置。
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