JP2012149355A - 微細植物繊維の製造方法ならびに微細植物繊維含有シート - Google Patents

微細植物繊維の製造方法ならびに微細植物繊維含有シート Download PDF

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Abstract

【課題】生産効率が良好な微細植物繊維の製造方法および高強度を有する微細植物繊維含有紙シートを提供する。
【解決手段】微細植物繊維の製造において、カナダ標準濾水度(JIS P8121)20ml以下を有する0.1〜4質量%のパルプ懸濁液を予め準備し、該懸濁液を用いて、重さ加重平均繊維長が0.30mm〜0.80mm、平均繊維幅が25μm以下になるように高速回転式分散機による微細化を行い、微細植物繊維を得る方法ならびに該微細植物繊維を含有する紙シート。
【選択図】なし

Description

本発明は微細植物繊維の製造方法ならびに微細植物繊維含有シートに関する。
昨今、地球規模の環境問題に対する意識の高まりから、再生可能な循環型資源であるバイオマス資源の利用が注目されている。バイオマス資源の一つである植物繊維は多くの可能性を秘めているものの、性能が満たされていない場合が多々あるため、利用を期待されている自動車・住宅・家電部材などの大きな市場への展開は進んでいない。一方、紙シートは古くからある循環利用型の材料であるが、長い歴史の中では軽量化、強度向上は進んでいるものの、その向上の度合いは決して大きくなく強度を生かした紙製品以外への展開は進んでいないのが実情である。
パルプ繊維を抄紙する際に、パルプを叩解してパルプ繊維間結合を強めることは、製紙技術の誕生以来行なわれている。叩解によってパルプ繊維に付与される性質はいくつかあるが、中でも繊維間結合に重要な影響を与える繊維のフィブリル化が挙げられる。フィブリル化は、一般的に、パルプ繊維に部分的に生ずる微細繊維(ミクロフィブリル)が繊維表面積の増大と繊維間の結合ネットワークの形成に寄与し、パルプ繊維間結合を強めると考えられている。しかしながら叩解時のフィブリル化と同時に生じる他の現象として、パルプ繊維の切断という短繊維化現象が発生し、紙力強度の低下を引き起こす。このため、紙力増強を行う方法としては、微細繊維化パルプをつくり、抄紙前のパルプスラリーに添加して紙力を増強する方法があるが、微細植物繊維スラリーを得るには、多大のエネルギーを必要とするなど、簡便の製造方法が強く求められている。
例えば、特許文献1にはパルプ水懸濁液を媒体攪拌ミルまたは振動式ミルにより微細化処理を行う方法が開示されているが、この方法は微細化するまでに時間がかかり、多大のエネルギーが必要である。
特許文献2、3には予め叩解処理したパルプスラリーを高圧ホモジナイザーでさらに微細化処理する方法が提案されているが、最終工程の高圧式ホモジナイザー処理時は圧力によって高速に加速されたパルプスラリー液が衝突して微細化するため、微細化の過程でスラリー粘度が急激に上昇し、配管などが詰まるおそれがあり、効率的ではない。また、過剰の力で処理されているため、短繊維化されやすく、シートの強度アップ効果が得られにくい。
特許文献4には、セルロース繊維を酸化した後、第一段階において高速回転式分散機で機械的処理し、第二段階において高圧式ホモジナイザーなどの高圧分散機で機械的処理を行って、微細酸化セルロース繊維分散液を得る製造方法が開示されている。この方法は前記同様、高圧分散機で処理中に配管詰まりや短繊維化の問題がある。
特開平8−188980号公報 特許第2967804号公報 特許第4302794号公報 特開2009−161893号
本発明はパルプスラリーに添加して紙力を増強する微細植物繊維を効率よく得る方法とその紙シートを提供することを課題とする。
本発明は以下の発明を含有する。
(1)微細植物繊維の製造方法において、カナダ標準濾水度(JIS P8121)20ml以下を有する0.1〜4質量%のパルプ懸濁液を予め準備し、該懸濁液を用いて、重さ加重平均繊維長が0.30mm〜0.80mm、平均繊維幅が25μm以下になるように高速回転式分散機による微細化を行うことを特徴とする微細植物繊維の製造方法。
(2)予め準備するパルプ懸濁液は、カナダ標準濾水度(JIS P8121)3〜15mlを有し、0.3〜3質量%範囲のものである(1)の微細植物繊維の製造方法。
(3)カナダ標準濾水度(JIS P8121)20ml以下を有する0.1〜4質量%のパルプ懸濁液を予め準備し、該懸濁液を用いて、重さ加重平均繊維長が0.30mm〜0.80mm、平均繊維幅が25μm以下になるように高速回転式分散機により微細化した微細植物繊維を含有する紙シート。
本発明によれば、微細植物繊維が効率よく製造でき、かつ得られた微細植物繊維含有紙シートは高強度を有する。
以下、本発明について詳細に説明する。
(微細植物繊維用原料)
本発明の微細植物繊維用原料としては特に限定されないが、針葉樹、広葉樹をクラフト法、サルファイト法、ソーダ法、ポリサルファイド法などで蒸解した化学パルプ繊維、レファイナー、グラインダーなどの機械力によってパルプ化した機械パルプ繊維、薬品による前処理の後、機械力によってパルプ化したセミケミカルパルプ繊維、或いは古紙パルプ繊維などを例示でき、それぞれ未晒(漂白前)もしくは晒(漂白後)の状態で使用することができる。草本類から製造される非木材繊維としては、例えば綿、マニラ麻、亜麻、藁、竹、パガス、ケナフなどを木材パルプと同様の方法でパルプ化した繊維が挙げられる。
パルプとして使用される樹種は、アカマツ、クロマツ、トドマツ、エゾマツ、ベニマツ、カラマツ、モミ、ツガ、スギ、ヒノキ、カラマツ、シラベ、トウヒ、ヒバ、ダグラスファー、ヘムロック、ホワイトファー、スプルース、バルサムファー、シーダ、パイン、メルクシマツ、ラジアータパイン等の針葉樹、ブナ、カバ、ハンノキ、ナラ、タブ、シイ、シラカバ、ハコヤナギ、ポプラ、タモ、ドロヤナギ、ユーカリ、マングローブ、ラワン等の広葉樹が挙げられる。また、麻類、三椏、竹、ワラをパルプ化して用いることも可能である。
(パルプ懸濁液の準備)
前記パルプ繊維を用いて、前処理としての予備叩解を行なうに際しては、製紙用で従来から慣用されている一般的な叩解機が使用でき、例えば、ビーター、ジョルダン、コニカルリファイナー、シングルディスクリファイナー、ダブルディスクリファイナー等のいずれの叩解機も使用できる。予備叩解時のパルプスラリー濃度は3〜20%の範囲が好ましい。さらに好ましくは4〜10%である。3%未満ではパルプ繊維の分散濃度が低く、叩解効率が低下する。一方、20%を超えると、叩解途中でスラリーの粘度上昇があり、同様に叩解効率が低下する。使用する分散媒は水、有機溶媒、或いはその混合体のいずれも可能であるが、水の方が好ましい。
上記したパルプ叩解機の処理効率は非常に高いため、予備叩解処理においてはJIS P8121のカナダ標準濾水度(以下CSFと称す)をできるだけ小さくしておくことが好ましく、長繊維パルプ、短繊維パルプいずれの場合もCSFが20ml以下になるように叩解を行い、パルプ懸濁液を得る。該パルプ懸濁液のCSFは15ml以下が好ましく、10ml以下はさらに好ましい。CSFが5ml以下になると測定誤差が大きくなり、その場合はパルプ懸濁液の濃度を薄めて(例えば0.1%に薄めて)、変則CSFを測定することが可能である。0.1%の変則CSFは30〜600mlの範囲が好ましく、さらに好ましくは50〜500mlである。
(微細化)
CSFが20ml以下に叩解されたパルプ懸濁液の濃度を0.1〜4質量%、好ましくは0.2〜3.5質量%、さらに好ましくは0.3〜3質量%、最も好ましくは0.4〜2質量%になるように調製した後、重さ加重平均繊維長が0.30mm以上0.80mm以下、かつ平均繊維幅が25μm以下になるように高速回転式分散機によって微細化処理を行い、微細植物繊維を得る。好ましくは重さ加重平均繊維長が0.40mm以上0.70mm以下、平均繊維幅20μm以下、さらに好ましくは重さ加重平均繊維長が0.45mm以上0.65mm以下、平均繊維幅が20μm以下になるように微細化を行う。重さ加重平均繊維長が0.30mmより小さい場合には、パルプ自体が短いため、得られた微細植物繊維を含有する紙シートの強度は小さいものとなる。0.80mmを超え、あるいは平均繊維幅が25μmを超えると、植物繊維の微細化が不十分なため、微細化した植物繊維を含有する紙シートは通常の紙と同等の強度しか得られない。重さ加重平均繊維長が同じ場合は平均繊維幅が小さいほど微細化した植物繊維を含有する紙シートの強度が得られやすいが、平均繊維幅を小さくするには多大なエネルギーが必要となる。エネルギー効率と紙シートの強度バランスから、本発明の平均繊維幅は0.05〜25μmが好ましく、1〜20μmがさらに好ましく、5〜20μmが最も好ましい。本発明の重さ加重平均繊維長と平均繊維幅は、カヤーニ(KAJAANI)社製の繊維長測定機(FS−200)を用いて測定した値である。
回転体を有する高速回転式分散機による微細化処理は、機械的処理として、攪拌手段となる1又は2以上の回転体を有する高速回転式分散機を用い、前記回転体の翼先端部の周速(以下「周速」と称す)が10m/s以上で処理する方法である。周速は12m/s以上が好ましく、15m/s以上がより好ましく、20m/s以上が特に好ましい。周速の上限は特に限定しないが、経済性や分散機の機械強度から100m/s以下が好ましい。
高速回転式分散機は、高速回転するローターによりパルプ懸濁液に運動エネルギーが加えられ、スクリーンスリット部を懸濁液が高速で通過するが、それと同時に断続的にジェット流が生成され、速度界面のせん断力によりパルプ繊維の微細化が促進される。このときパルプ繊維には繊維を長さ方向に切断するような引張力は殆どかからないため繊維の切断は起こりにくく、高圧ホモジナイザーなどのような高圧式分散機と異なり、短繊維化されにくい特徴を有する。また、微細化された植物繊維の回収率も高い。回転体は、各種形状の攪拌羽根、槽自体が回転するもの等の公知公用のものが挙げられる。
高速回転式分散機は、回転体と固定部の間の空隙に処理対象となるパルプ懸濁液を通過させて分散させるタイプのもの、一定方向に回転する内側回転体と内側回転体の外側を逆に回転する外側回転体とを有し、内側回転体と外側回転体の間の空隙に処理対象を通過させて分散させるタイプのものがあるが、本発明においては微細化の効率から後者のタイプのものが好ましい。高速回転式分散機としては例えば、エム・テクニック社のクレアミックス、大平洋機工(株)のマイルダー、櫛歯型高速回転式分散機(キャビトロン)、高速回転式分散機(シャープフローミル)、プライミクス(株)のTKロボミックス、薄膜旋回型高速回転式分散機(フィルミックス)等を挙げることができる。
このように高速回転させながら狭い空隙を通すことにより、高いせん断速度(単位s−1)を発生させることができるため、単に高速回転(例えば、空隙が大きくせん断速度が低い一般市販のホモミキサーなど)させた場合と比べて、微細化処理が効果的に行える。上記空隙の大きさは5mm以下が好ましく、より好ましくは3mm以下、更に好ましくは2mm以下である。
微細化の処理時間は前記周速、1回のパルプ懸濁液の処理量や処理槽の容量等との関連において適宜設定することができる。例えば、回転体の周速が18m/s、処理槽の容量が1L、濃度0.5質量%のパルプ懸濁液が500gの場合は、処理時間が5〜150分程度である。
(微細植物繊維含有紙シート)
本発明の微細植物繊維含有紙シートは前記微細化した微細植物繊維を10質量%以上100質量%以下含有する。パルプ成分としては、微細植物繊維100質量%含有する以外は一般製紙用パルプを配合することができる。
本発明の微細植物繊維は、通常の大きさを有する製紙用パルプにおける繊維間結合をより強固にすることができる。その添加量は10質量%以上が有効である。30質量%以上がより好ましく、50質量%以上が最も好ましい。添加量が10質量%未満の場合は繊維間結合を補強するのには不十分である。
本発明において、前記微細植物繊維を含有する紙シートの製造方法は特に限定しないが、例えば下記の方法で製造することが可能である。
(A)微細植物繊維含有原料パルプスラリーを通常の抄紙方法で抄紙してシート化する方法
(B)微細植物繊維含有原料パルプスラリーを基材上に塗工し、これを乾燥して形成された微細繊維層を基材から剥離してシート化する方法
などが挙げられる。
(A)の方法は微細植物繊維含有原料パルプスラリーを通常の抄紙で用いられる長網式、円網式、傾斜式等の連続抄紙機のほか、これらを組み合わせた多層抄き合わせ抄紙機、さらに手抄き等公知の抄紙方法で抄紙され、一般の紙と同様の方法でシート化することが可能である。つまり、微細植物繊維含有原料パルプスラリーをワイヤー上で脱水して湿紙状態のシートを得た後、プレス、乾燥することで紙シートを得ることが可能である。勿論、必要に応じて、マシンカレンダーまたはスーパーカレンダーにより表面を平滑化させ、高密度化させて強度を向上させることも可能である。
本発明において、微細植物繊維含有原料パルプスラリーは一般の製紙用パルプスラリーより粘度が高く、適宜に薄めて粘度を調整し、抄紙に用いることが好ましい。また、微細植物繊維含有原料パルプスラリーを濾過する場合、濾過時の濾布としては微細化した植物繊維は通過せずかつ濾過速度が遅くなり過ぎない濾布を選んで抄紙工程に用いることが好ましい。このような濾布としては、有機ポリマーからなるシート、織物、多孔膜、紙基材などが挙げられる。濾布の孔径は0.1〜20μm程度が好ましい。
(B)の方法は、微細植物繊維含有原料パルプスラリーを基材上に塗工し、これを乾燥して形成された微細植物繊維含有層を基材から剥離することにより、微細植物繊維からなる紙シートを得る方法である。塗工装置と長尺の基板を用いることで、微細植物繊維から成る紙シートを連続的に生産することができる。基材の材質は、微細植物繊維含有原料パルプスラリーに対する濡れ性が高いものの方が乾燥時の紙シートの収縮等を抑制することができて良いが、乾燥後に形成された紙シートが容易に剥離できるものを選択しなければならない。中でも樹脂板または金属板の中で、適当なものを単独、または積層して使用するのが好適である。例えばアクリル板、テフロン(登録商標)板、ポリエチレンテレフタレート板、塩化ビニル板、ポリスチレン板、ポリ塩化ビニリデン板等の樹脂板や、アルミ板、亜鉛板、銅板、鉄板等の金属板および、それらの表面を酸化処理したもの、ステンレス板、真ちゅう板等を用いることができる。微細植物繊維含有原料パルプスラリーを基材上に塗工するには、上記基材に所定のスラリー量を塗布することが可能な各種コーターを使用すれば良い。例えば、ロールコーター、グラビアコーター、ダイコーター、カーテンコーター、スプレーコーター、ブレードコーター、ロッドコーター、エアドクターコーター等が使用できるが、中でもダイコーター、カーテンコーター、スプレーコーター、エアドクターコーター等の塗工方式によるものが均一な塗布には有効である。また、乾燥には熱風乾燥や赤外線乾燥、真空乾燥等が有効である。基板に長尺の巻き取り板を使用してコーターで微細植物繊維含有紙シートを形成することにより、連続的なシート製造が可能となり、基板上で形成した微細植物繊維含有紙シートは基板と共に巻き取り、使用時に基板から剥離して使用しても良いし、基板の巻取り前に微細植物繊維含有紙シートを剥離し、基板と紙シートそれぞれを巻き取りとしても良い。
(A)、(B)の製造方法に関わらず、微細植物繊維含有紙シートの坪量は特に限定するものではないが、10〜500g/mが好適である。さらに好ましくは20〜300g/mである。10g/m以下では微細植物繊維含有紙シートの製造過程において紙シートが切れやすく、500g/m以上では(A)、(B)の製造方法に関係なく生産効率が低下する。
微細植物繊維含有紙シートの強度をさらに向上させるには、紙力剤を添加することが好ましい。例えば尿素ホルムアルデヒド樹脂、メラミンホルムアルデヒド樹脂、ポリアミドポリアミンエピクロルヒドリン樹脂、植物性ガム、ラテックス、ポリエチレンイミン、グリオキサル、ガム、マンノガラクタンポリエチレンイミン、ポリアクリルアミド樹脂、ポリビニルアルコール、澱粉、カルボキシメチルセルロース、グアーガム、尿素樹脂等の紙力増強剤が挙げられる。
紙力剤の添加方法は特に限定しないが、添加量は微細植物繊維を含む全パルプ100質量部に対して、0.1〜10質量部を含有することが好ましい。さらに好ましくは0.5〜5質量部を含有する。0.1質量部未満では紙力アップ効果が小さく、10質量部を超えると紙シートが硬くなりやすく、またコストアップにもなる。
その他、微細植物繊維含有懸濁液である原料パルプスラリーを抄紙或いは基材に塗工してシートを作製する際には、目的、必要に応じて、填料、pH調整剤、消泡剤、増粘剤等を添加することが可能である。
(A)、(B)の製造方法で得られた湿紙状態の微細植物繊維含有紙シートを十分にプレスすることでより高密度な紙シートを得ることが可能であり、結果的に高強度の微細植物繊維含有紙シートを得ることが可能となる。プレス後、一般的な乾燥設備により乾燥される。その後、マシンカレンダーまたはスーパーカレンダーにより密度を向上させ、さらに高強度にすることも可能である。微細植物繊維含有紙シート密度(JIS P8118:1998に準じて規定)は0.85〜1.10g/cmの範囲が好ましく、0.90〜1.00g/cmの範囲がさらに好ましい。
本発明の微細植物繊維含有紙シートの引張強度(JIS−P8113に準じて測定)の縦横比が3.0以上、かつ縦方向の強度と横方向の強度の相乗平均が80MPa以上であることが好ましい。上記の強度があれば本発明の紙シートの一用途として、樹脂などとの複合材を作製した場合、複合材は高強度を有する。
微細植物繊維含有紙シートの引張強度の縦横比が3.0未満、或いは縦方向の引張強度と横方向の引張強度の相乗平均が80MPaに満たない場合は、得られた微細植物繊維含有紙シートの強度が不十分で、樹脂などとの複合材の強度も不十分となる虞がある。本発明の製造方法で得られた微細植物繊維を用いて紙シートを作製する場合は、該紙シートの引張強度の縦横比は3.0〜6.0が好ましく、3.0〜4.0が特に好ましい。生産効率とコストの面から、縦方向の強度と横方向の強度の相乗平均は80〜300MPaが好ましく、80〜200MPaの範囲が特に好ましい。
本発明の紙シートは従来の紙に比べて非常に高強度を有するため、該紙シートに熱可塑性あるいは熱硬化性樹脂を含浸させて複合材料として使用することは重要用途の一つである。具体的には、自動車、住宅、家電、家具等の構造部材等に利用可能であるがこれらに限定されるものではない。
以下に実施例及び比較例を挙げて本発明をより具体的に説明するが、勿論、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。また、例中の「部」及び「%」は特に断らない限り、それぞれ「質量部」及び「質量%」のことである。
<パルプ原料懸濁液1>
針葉樹晒クラフトパルプ(NBKP)をダブルディスクリファイナーにてCSFが18mlになるまで叩解し、5%の懸濁液を得た。
<パルプ原料懸濁液2>
針葉樹晒クラフトパルプ(NBKP)をダブルディスクリファイナーにてCSFが12mlになるまで叩解し、4.5%の懸濁液を得た。
<パルプ原料懸濁液3>
針葉樹晒クラフトパルプ(NBKP)をダブルディスクリファイナーにてCSFが7mlになるまで叩解し、4.5%の懸濁液を得た。
<パルプ原料懸濁液4>
広葉樹晒クラフトパルプ(LBKP)をダブルディスクリファイナーにてCSFが12mlになるまで叩解し、4.5%の懸濁液を得た。
<パルプ原料懸濁液5>
針葉樹晒クラフトパルプ(NBKP)をダブルディスクリファイナーにてCSFが300mlになるまで叩解し、5%の懸濁液を得た。
<パルプ原料懸濁液6>
針葉樹晒クラフトパルプ(NBKP)をダブルディスクリファイナーにてCSFが100mlになるまで叩解し、5%の懸濁液を得た。
<パルプ原料懸濁液7>
針葉樹晒クラフトパルプ(NBKP)をダブルディスクリファイナーにてCSFが30mlになるまで叩解し、5%の懸濁液を得た。
<実施例1>
パルプ原料懸濁液1を0.5%になるように調製し、エムテクニック社製クレアミックス2.2Sにて30分間、機械力による解繊処理を行い、微細植物繊維含有懸濁液を得た。このときの重さ加重平均繊維長は0.62mm、平均繊維幅は19.3μmであった。
このようにして調製した原料を、紙シートの仕上がり坪量が75g/mになるように原料を調製し、焼結サイズが30〜50μmのブフナーロート型ステンレスエッチングスクリーン(アドバンテック株式会社製KGS−90)上に2.5重織プラスチックワイヤーLL70−E(日本フィルコン社製)を載せた濾過瓶上に流延し、アスピレーターで吸引しながら濾過を行った。湿紙状態の紙シートを70℃のシリンダードライヤーで0.2MPaに加圧しながら乾燥し、密度0.91g/cm(JIS P8118:1998に準じて規定)の紙シートを得た。
<実施例2>
機械力による解繊処理を60分間としたほかは実施例1と同様にして紙シートを作製した。機械力による解繊処理後の微細植物繊維含有懸濁液の重さ加重平均繊維長は0.61mm、平均繊維幅は19.4μmであった。
<実施例3>
機械力による解繊処理を90分としたほかは実施例1と同様にして紙シートを作製した。機械力による解繊処理後の微細植物繊維含有懸濁液の重さ加重平均繊維長は0.60mm、平均繊維幅は18.5μmであった。
<実施例4>
機械力による解繊処理を120分とし、処理濃度を1%としたほかは実施例1と同様にして紙シートを作製した。機械力による解繊処理後の微細植物繊維含有懸濁液の重さ加重平均繊維長は0.57mm、平均繊維幅は18.5μmであった。
<実施例5>
機械力による解繊処理を120分とし、処理濃度を2%としたほかは実施例1と同様にして紙シートを作製した。機械力による解繊処理後の微細植物繊維含有懸濁液の重さ加重平均繊維長は0.57mm、平均繊維幅は18.7μmであった。
<実施例6>
機械力による解繊処理を120分とし、処理濃度を3%としたほかは実施例1と同様にして紙シートを作製した。機械力による解繊処理後の微細植物繊維含有懸濁液の重さ加重平均繊維長は0.59mm、平均繊維幅は19.2μmであった。
<実施例7>
パルプ原料懸濁液1をパルプ原料懸濁液4に変更したほかは実施例1と同様にして紙シートを作製した。機械力による解繊処理後の微細植物繊維含有懸濁液の重さ加重平均繊維長は0.35mm、平均繊維幅は13.5μmであった。
<実施例8>
実施例1で得られた微細植物繊維含有懸濁液70質量部にパルプ原料懸濁液5を30質量部添加し、0.5%に薄めた後、均一に攪拌した。このようにして調製した原料を、紙シートの仕上がり坪量が75g/mになるように原料を調製し、焼結サイズが30〜50μmのブフナーロート型ステンレスエッチングスクリーン(アドバンテック株式会社製KGS−90)上に2.5重織プラスチックワイヤーLL70−E(日本フィルコン社製)を載せた濾過瓶上に流延し、アスピレーターで吸引しながら濾過を行った。湿紙状態の紙シートを70℃のシリンダードライヤーで0.2MPaに加圧しながら乾燥し、紙シートを得た。
<実施例9>
実施例1で得られた微細植物繊維含有懸濁液70質量部にパルプ原料懸濁液5を30質量部添加し、さらにロジンサイズ剤(荒川化学社製、サイズパインE)0.5質量部、硫酸アルミニウム0.1質量部、紙力増強剤としてポリアミドポリアミンエピクロルヒドリン樹脂(WS−4024 星光PMC社製、)1.5質量部を添加し、0.5%に薄めた後に均一に攪拌した。このようにして調製した原料を実施例8と同様の方法で紙シートを得た。
<比較例1>
パルプ原料懸濁液1をパルプ原料懸濁液5に変更したほかは実施例1と同様にして紙シートを作製した。機械力による解繊処理後の微細植物繊維含有懸濁液の重さ加重平均繊維長は0.90mm、平均繊維幅は21.0μmであった。
<比較例2>
パルプ原料懸濁液1をパルプ原料懸濁液6に変更したほかは実施例1と同様にして紙シートを作製した。機械力による解繊処理後の微細植物繊維含有懸濁液の重さ加重平均繊維長は0.86mm、平均繊維幅は21.2μmであった。
<比較例3>
パルプ原料懸濁液1をパルプ原料懸濁液7に変更したほかは実施例1と同様にして紙シートを作製した。機械力による解繊処理後の微細植物繊維含有懸濁液の重さ加重平均繊維長は0.83mm、平均繊維幅は21.0μmであった。
<比較例4>
パルプ原料懸濁液1を4.5%になるように調製し、エムテクニック社製クレアミックス2.2Sにて30分間、機械力による解繊処理を行ったが、解繊処理中に繊維による詰まりが発生し、解繊処理ができなかった。
<比較例5>
パルプ原料懸濁液6を用いて、更なる機械力による解繊処理を行わずに、実施例1と同様の方法で紙シートを作製した。パルプ原料懸濁液5の重さ加重平均繊維長は1.10mm、平均繊維幅は25.2μmであった。
<比較例6>
パルプ原料懸濁液1を0.5%になるように調製し、高圧ホモジナイザー(スギノマシン社製、商品名:アルティマイザー)で1000kg/mの圧力で解繊処理(5回循環処理)を行い、微細植物繊維含有懸濁液を得た。このときの重さ加重平均繊維長は0.35mm、平均繊維幅は19.1μmであった。
このようにして調製した原料を、実施例1と同様の方法で紙シートを作製した。
[評価方法]
シートの引張強度
JIS P 8113に準じて測定し、単位面積当たりの強度をMPa単位で表記した。
Figure 2012149355
表1から明らかなように、実施例1〜7の製造方法によって微細植物繊維が効率よく得られ、また、実施例1〜9で得られた微細植物繊維含有紙シートの強度が良好であった。

Claims (3)

  1. 微細植物繊維の製造方法において、カナダ標準濾水度(JIS P8121)20ml以下を有する0.1〜4質量%のパルプ懸濁液を予め準備し、該懸濁液を用いて、重さ加重平均繊維長が0.30mm〜0.80mm、平均繊維幅が25μm以下になるように高速回転式分散機による微細化を行うことを特徴とする微細植物繊維の製造方法。
  2. 予め準備するパルプ懸濁液は、カナダ標準濾水度(JIS P8121)3〜15mlを有し、0.3〜3質量%範囲のものである請求項1記載の微細植物繊維の製造方法。
  3. カナダ標準濾水度(JIS P8121)20ml以下を有する0.1〜4質量%のパルプ懸濁液を予め準備し、該懸濁液を用いて、重さ加重平均繊維長が0.30mm〜0.80mm、平均繊維幅が25μm以下になるように高速回転式分散機により微細化した微細植物繊維を含有する紙シート。
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