JP5783253B2 - 微細繊維および微細繊維含有シートの製造方法 - Google Patents
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Description
(1)微細繊維の製造方法において、少なくとも
(a)繊維原料に静電的および/または立体的な官能性を持つ置換基を導入して、置換基導入繊維を得る工程と
(b)置換基導入繊維を機械処理する工程と
(c)工程(b)で得られた置換基導入微細繊維より、導入置換基の一部或いは全部を脱離させて、置換基脱離微細繊維を得る工程を有する微細繊維の製造方法。
(3)微細繊維の平均幅が2〜1000nmであることを特徴とする(1)、(2)のいずれか一項に記載の微細繊維の製造方法。
(4)前記繊維原料がヒドロキシル基または/およびアミノ基を有する(1)〜(3)のいずれか一項に記載の微細繊維の製造方法。
(5)前記繊維原料がセルロースを含む(1)〜(4)のいずれか一項に記載の微細繊維の製造方法。
(6)前記繊維原料がキチンまたは/およびキトサンを含む(1)〜(5)のいずれか一項に記載の微細繊維の製造方法。
(7)(1)〜(6)のいずれか一項に記載の製造方法により得られる微細繊維を含むスラリーを調製し、抄紙法または塗工法によりシートを得る工程を有する、微細繊維含有シートの製造方法。
本発明の微細繊維を得る製造方法は、少なくとも
(a)繊維原料に静電的および/または立体的な官能性を持つ置換基を導入して、置換基導入繊維を得る工程と
(b)置換基導入繊維を機械処理する工程と
(c)工程(b)で得られた置換基導入微細繊維より、導入置換基の一部或いは全部を脱離させて、置換基脱離微細繊維を得る工程
を有する。
以下、上記3工程について詳細説明する。
繊維原料に静電的および/または立体的な官能性を持つ置換基を導入する工程(a)としては特に限定されないが、乾燥状態あるいは湿潤状態の繊維原料に、該繊維原料と反応するような化合物を混合することにより、繊維原料に上記置換基を導入することが可能である。導入時の反応を促進するため、加熱する方法が特に有効である。置換基の導入における加熱処理温度は特に限定されないが、該繊維原料の熱分解や加水分解等が起こりにくい温度帯であることが好ましく、例えば、繊維原料としてセルロースを含む繊維原料を選択した場合は熱分解温度の観点から、250℃以下であることが好ましく、セルロースの加水分解を抑える観点から、100〜170℃で加熱処理することが好ましい。
これらのうち、リン酸基導入の効率が高く、工業的に適用しやすい観点から、リン酸、リン酸のナトリウム塩、リン酸のカリウム塩、リン酸のアンモニウム塩が好ましく、リン酸二水素ナトリウム、リン酸水素二ナトリウムがより好ましいが、特に限定されない。
工程(b)は工程(a)で得られた置換基導入繊維を、解繊処理装置を用いて微細化(解繊)処理して、置換基導入微細繊維を得る工程である。
(1)観察画像内の任意箇所に一本の直線Xを引き、該直線Xに対し、20本以上の繊維が交差する。
(2)同じ画像内で該直線と垂直に交差する直線Yを引き、該直線Yに対し、20本以上の繊維が交差する。
上記条件を満足する観察画像に対し、直線X、直線Yと交錯する繊維の幅を目視で読み取る。こうして少なくとも重なっていない表面部分の画像を3組以上観察し、各々の画像に対して、直線X、直線Yと交錯する繊維の幅を読み取る。このように少なくとも20本×2×3=120本の繊維幅を読み取る。本発明における繊維幅はこのように読み取った繊維幅の平均値である。
工程(c)は、工程(b)で得られた置換基導入微細繊維の置換基の一部或いは全部を脱離させて、置換基脱離微細繊維を得る工程である。置換基の脱離方法としては特に限定されないが、加熱加水分解処理や酵素処理等の生物学的処理が挙げられ、より処理が簡便となる加熱加水分解処理が好ましい。加熱温度は特に限定されないが、50℃以上が好ましく、90℃以上がより好ましい。ただし、置換基の脱離における加熱温度は繊維原料の分解が抑えられる温度を選択することが好ましく、特に限定されないが、例えば繊維原料としてセルロースを用いた場合は250℃以下、さらに好ましくは200℃以下である。また、加熱の際には適宜、酸または塩基などの添加剤を加えてもよい。
本発明においては、特に限定されないが、工程(c)の後に、その他の処理工程として、脱塩工程を有すると微細繊維の純度が高まる点で好ましい。脱塩工程としては特に限定されず、濾過方式による洗浄、透析、イオン交換などが挙げられるが、処理が簡便であるイオン交換処理が好ましく、強酸性イオン交換樹脂と強塩基性イオン交換樹脂を交互にまたは併用するのがより好ましい。
前記方法により、置換基を離脱した微細繊維の溶液中における分散性は、置換基を導入する前の微細繊維と比較すると向上しているが、凝集が起こる場合は、置換基離脱後に微細繊維を再分散させるための再分散工程を追加しても良いが、特に限定されない。微細繊維を再分散させるための方法としては、例えば、微細繊維を含む分散媒(水溶液や有機溶媒)に界面活性剤、有機溶剤等の成分を添加する等の方法が挙げられるが、微細繊維の分散性を向上させるための方法であれば特に限定なく用いることができる。再分散工程では、微細繊維を含む分散媒を攪拌することもでき、攪拌条件は、微細繊維の分散性を良好にする方法であれば特に限定されない。
前記のようにして得られた置換基脱離後の微細繊維を用いて、シートを作製することができる。シートの作製方法としては、特に限定するものではないが、抄紙法、塗工法等が好ましく使用できる。得られたシートに樹脂を含浸して微細繊維含有複合体とすることができる。
置換基脱離後の微細繊維含有スラリーを通常の抄紙で用いられる長網式、円網式、傾斜式等の連続抄紙機のほか、これらを組み合わせた多層抄き合わせ抄紙機、さらに手抄き等公知の抄紙方法で抄紙され、一般の紙と同様の方法でシート化することが可能である。つまり、微細繊維含有スラリーをワイヤー上で濾過、脱水して湿紙状態のシートを得た後、プレス、乾燥することでシートを得ることが可能である。スラリーの濃度は特に限定されないが、0.05〜5質量%が好ましく、濃度が低すぎると濾過に膨大な時間がかかり、逆に濃度が高すぎると均一なシートが得られないため好ましくない。スラリーを濾過、脱水する場合、濾過時の濾布としては特に限定されないが、微細繊維は通過せず、かつ濾過速度が遅くなりすぎないことが重要である。このような濾布としては特に限定されないが、有機ポリマーからなるシート、織物、多孔膜が好ましい。有機ポリマーとしては特に限定されないが、ポリエチレンテレフタレートやポリエチレン、ポリプロピレン、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)等のような非セルロース系の有機ポリマーが好ましい。具体的には孔径0.1〜20μm、例えば1μmのポリテトラフルオロエチレンの多孔膜、孔径0.1〜20μm、例えば1μmのポリエチレンテレフタレートやポリエチレンの織物等が挙げられるが、特に限定されない。
塗工法は、置換基脱離後の微細繊維含有スラリーを基材上に塗工し、これを乾燥して形成された微細繊維含有層を基材から剥離することにより、シートを得る方法である。塗工装置と長尺の基材を用いることで、シートを連続的に生産することができる。基材の質は、特に限定されないが、微細繊維含有スラリーに対する濡れ性が高いものの方が乾燥時のシートの収縮等を抑制することができて良いが、乾燥後に形成されたシートが容易に剥離できるものを選択することが好ましい。中でも樹脂板または金属板が好ましいが、特に限定されない。その中で、適当なものを単独、または積層して使用するのが好適である。例えばアクリル板、ポリエチレンテレフタレート板、塩化ビニル板、ポリスチレン板、ポリ塩化ビニリデン板等の樹脂板や、アルミ板、亜鉛版、銅版、鉄板等の金属板および、それらの表面を酸化処理したもの、ステンレス板、真ちゅう板等を用いることができるが、特に限定されない。微細繊維含有スラリーを基材上に塗工するには、上記基材に所定のスラリー量を塗工することが可能な各種コーターを使用すれば良い。特に限定されないが、例えば、ロールコーター、グラビアコーター、ダイコーター、カーテンコーター、スプレーコーター、ブレードコーター、ロッドコーター、エアドクターコーター等が使用できるが、中でもダイコーター、カーテンコーター、スプレーコーター、エアドクターコーター等の塗工方式によるものが均一な塗工には有効である。また、乾燥には、特に限定されないが、熱風乾燥や赤外線乾燥、真空乾燥等が有効である。基材に長尺の巻き取り状のものを使用してコーター塗工、乾燥してシートを形成することにより、連続的にシート製造が可能となる。基材上で形成したシートは基材と共に巻き取り、使用の際に基材から剥離して使用しても良いし、基材の巻取り前にシートを剥離し、基材とシートそれぞれを巻き取りとしても良い。
微細繊維に静電的および/または立体的な官能性を持つ置換基を導入することにより、微細繊維同士が静電反発し、微細繊維を微細化(解繊)しやすいが、置換基を有するため、繊維の経時黄変、加熱黄変の問題がある。また、微細繊維の保水性が良好なため、微細繊維含有スラリーを脱水、乾燥して、微細繊維を含有する集合体、例えば微細繊維含有シートを得るためには、脱水や乾燥効率が劣る。
静電的および/または立体的な官能性を持つ置換基を一旦導入し、微細化(解繊)した後に、置換基の一部或いは全部離脱することによって得られた微細繊維は、経時黄変と加熱黄変が著しく改善される。また、微細繊維含有スラリーの脱水性がよく、微細繊維含有シートを容易に得ることが可能である。
<繊維原料への置換基導入>
リン酸二水素ナトリウム二水和物66.43g、リン酸水素二ナトリウム49.47gを135.50gの水に溶解させ、リン酸系化合物の水溶液(以下、「リン酸化試薬A」という。)を得た。このリン酸化試薬AのpHは25℃で6.0であった。
広葉樹晒クラフトパルプ(王子製紙社製、水分80%、JIS P8121に準じて測定されるカナダ標準濾水度(CSF)560ml)を絶乾質量で120g分取し、前記リン酸化試薬A251.40g(乾燥パルプ100質量部に対してリン元素量として20質量部)を加え、105℃の送風乾燥機(ヤマト科学株式会社 DKM400)で15分に一度混練し、質量が恒量となるまで乾燥させた。ついで150℃の送風乾燥機で1時間加熱処理して、置換基(リン酸基)導入セルロース繊維を得た。
脱水洗浄後に得られたセルロース繊維にイオン交換水を添加し、0.5質量%のスラリーを調製した。このスラリーを、解繊処理装置(エムテクニック社製、クレアミックス−2.2S)を用いて、21500回転/分の条件で30分間解繊処理した後、イオン交換水を添加してスラリー固形分濃度0.2質量%に調整し、冷却高速遠心分離機(コクサン社、H−2000B)を用いて、12000G×10分の条件で遠心分離し、得られた上澄み液を回収し、微細セルロース繊維含有スラリーを得た。
得られた微細セルロース繊維含有スラリーをSUS304製耐圧容器に300mL分取し、オートクレーブで120℃、2時間加熱加水分解処理を行った後、下記記載([イオン交換樹脂を用いた微細セルロース繊維含有スラリーの処理])の方法によって脱塩を行い、置換基脱離微細セルロース繊維を得た。得られた置換基脱離微細セルロース繊維含有スラリーの置換基量を下記記載([セルロース表面の置換基量測定])の方法に準じて測定した。なお、置換基脱離微細セルロース繊維の平均幅は2〜1000nmであった。
オートクレーブでの加熱時間を4時間とした以外は実施例1と同様にして置換基脱離微細セルロース繊維含有スラリーを得た。得られた置換基脱離微細セルロース繊維含有スラリーの置換基量を下記記載([セルロース表面の置換基量測定])の方法に準じて測定した。なお、置換基脱離微細セルロース繊維の平均幅は2〜1000nmであった。
<繊維原料への置換基導入>
針葉樹クラフトパルプ(王子製紙社製、水分80%、JIS P8121に準じて測定されるカナダ標準濾水度(CSF)708ml)を絶乾質量で120g分取し、前記リン酸化試薬A251.40g(乾燥パルプ100質量部に対してリン元素量として20質量部)を加え、蒸気加温ジャケット容器を備えた二軸混練ニーダーの容器に入れ、混合しながら、ジャケットに蒸気を導入し、固形分99%となるまで乾燥させた。得られた乾燥物を150℃の送風乾燥機で1時間加熱処理して、置換基(リン酸基)導入セルロース繊維を得た。
次いで、リン酸基導入セルロース繊維3gを分取し、300mlのイオン交換水を加え、攪拌洗浄後、脱水した。脱水後のセルロース繊維を300mlのイオン交換水で希釈し、攪拌しながら、1Nの水酸化ナトリウム水溶液5mlを少しずつ添加し、pHが12〜13のセルロース繊維含有スラリーを得た。その後、このスラリーを脱水し、300mlのイオン交換水を加えて再度脱水洗浄を行った。この脱水洗浄をさらに1回繰り返した。
洗浄脱水後に得られたセルロース繊維にイオン交換水を添加後、攪拌し、0.5質量%のスラリーにした。このパルプスラリーを、解繊処理装置(エムテクニック社製、クレアミックス−2.2S)を用いて、21500回転/分の条件で30分間解繊処理した後、イオン交換水を添加してスラリー固形分濃度0.2質量%に調整し、冷却高速遠心分離機(コクサン社、H−2000B)を用いて、1000G×10分の条件で遠心分離し、得られた上澄み液を回収し、微細セルロース繊維含有スラリーを得た。
得られた微細セルロース繊維含有スラリーをSUS304製耐圧容器に1000ml分取し、マグネチックスターラー付属のオイルバスにて160℃、2時間加熱加水分解処理し、凝集させた後、目開き250μmのメッシュ上に受け、上からイオン交換水を注ぎ、洗浄したのち、ホモディスパーにて8000rpm×3分間で再分散させ、置換基脱離微細セルロース繊維含有スラリーを得た。
得られた置換基脱離微細セルロース繊維含有スラリーの置換基量を下記記載([セルロース表面の置換基量測定])の方法に準じて測定した。なお、置換基脱離微細セルロース繊維の平均幅は2〜1000nmであった。
<繊維原料への置換基導入>
広葉樹クラフトパルプ(LBKP)を105℃で3時間乾燥させて水分3質量%以下の乾燥パルプを得た。次いで、2gの無水マレイン酸をアセトン4gに溶解させて得られた無水マレイン酸/アセトン溶液を前記乾燥パルプ4gに滴下してからかき混ぜ、乾燥パルプに無水マレイン酸/アセトン溶液を染込ませた。これを40℃で30分乾燥させてアセトンを揮発させてからオートクレーブに充填し、150℃のオーブンにオートクレーブごと入れて2時間処理した。
次いで、0.8質量%の水酸化ナトリウム水溶液250mLに乾燥パルプを分散し、スラリーを攪拌しながらパルプをアルカリ処理した。パルプスラリーのpHは12.5程度であった。その後、pHが8以下になるまで、アルカリ処理後のパルプを水で洗浄し、置換基(マレイン酸基)導入セルロース繊維を得た。
得られたマレイン酸基導入セルロース繊維にイオン交換水を添加し、固形分濃度0.5質量%のスラリーを調製した。そのスラリーを、解繊処理装置(エムテクニック社製、クレアミックス−2.2S)を用いて、21500回転/分の条件で30分間解繊処理して、最後に冷却/高速遠心機(コクサン社製、H−2000B)を用いて12000G×10分間の条件で遠心分離してから上澄みを回収し、微細セルロース繊維含有スラリーを得た。
得られた微細セルロース繊維含有スラリーをSUS304製耐圧容器に300ml分取し、オートクレーブで120℃、4時間加熱加水分解処理を行った後、下記記載([イオン交換樹脂を用いた微細セルロース繊維含有スラリーの処理])の方法によって脱塩を行い、置換基脱離微細セルロース繊維を得た。
得られた置換基脱離微細セルロース繊維含有スラリーの置換基量を下記記載([セルロース表面の置換基量測定])の方法に準じて測定した。なお、置換基脱離微細セルロース繊維の平均幅は2〜1000nmであった。
オートクレーブでの加熱工程を省いた以外は、実施例1と同様にして微細セルロース繊維含有スラリーを得た。
得られた微細セルロース繊維含有スラリーの置換基量を下記記載([セルロース表面の置換基量測定])の方法に準じて測定した。
オートクレーブでの加熱工程を省いた以外は、実施例4と同様にして微細セルロース繊維含有スラリーを得た。
得られた微細セルロース繊維含有スラリーの置換基量を下記記載([セルロース表面の置換基量測定])の方法に準じて測定した。
上記実施例1〜4および比較例1〜2の微細セルロース繊維含有スラリーについて、置換基量を以下に記載の方法([セルロース表面の置換基量測定])により測定した。測定結果を表1に示す
絶乾質量で0.04g程度の固形分を含む微細セルロース繊維含有スラリーを分取し、イオン交換水を用いて50g程度に希釈した。この溶液のマグネチックスターラーを用いて撹拌しながら、0.01Nの水酸化ナトリウム水溶液を加えていったときの電気伝導度の値の変化を測定し、その値が極小となる時の0.01N水酸化ナトリウム水溶液の滴下量を滴定終点における滴下量とした。
この時、セルロース表面の置換基量XはX(mmol/g)=0.01(mol/l)×V(ml)/W(g)で表される。ここで、V:0.01N水酸化ナトリウム水溶液の滴下量(ml)、W:微細セルロース繊維含有スラリーが含む固形分(g)である。
イオン交換樹脂を用いた微細セルロース繊維含有スラリーの処理においては、微細セルロース繊維含有スラリーに体積で1/10のイオン交換樹脂を加え、1時間振とう処理を行った後、目開き90μmのメッシュ上に注ぎ、樹脂とスラリーを分離する処理を計3回行った。1回目はコンディショニング済みの強酸性イオン交換樹脂(例えば、アンバージェット1024;オルガノ株式会社)を用いて行った。2回目はコンディショニング済みの強塩基性イオン交換樹脂(例えば、アンバージェット4400;オルガノ株式会社)を用いて行った。3回目は1回目と同様に処理を行った。
実施例1で得られた置換基脱離微細セルロース繊維含有スラリーにイオン交換水を加え、0.1%に希釈したスラリー168gの減圧濾過を行った。濾過器としてはアドバンテック社製KG−90を用い、ガラスフィルターの上にアドバンテック社製の1.0μm孔径のPTFE製メンブランフィルターを載せた。有効濾過面積は48cm2であった。減圧度−0.09MPa(絶対真空度10kPa)にて減圧濾過したところ、PTFE製メンブランフィルターの上にセルロース繊維の堆積物が得られた。このセルロース堆積物を120℃に加熱したシリンダードライヤーで0.15MPaの圧力で10分間プレス乾燥してシートを得た。
実施例2で得られた置換基脱離微細セルロース繊維含有スラリーを用いた以外は実施例5と同様にしてシートを得た。
実施例4で得られた置換基脱離微細セルロース繊維含有スラリーを用いた以外は実施例5と同様にしてシートを得た。
比較例1で得られた微細セルロース繊維含有スラリーを用いた以外は実施例5と同様にしてシートを得た。
比較例2で得られた微細セルロース繊維含有スラリーを用いた以外は実施例5と同様にしてシートを得た。
上記実施例5〜7および比較例3〜4の微細セルロース繊維含有スラリーについて、セルロース堆積物を得るまでの濾過時間を測定し、またシートの黄色度を以下に記載の方法により測定した。測定結果を表2に纏めた。また、シートの全光線透過率も測定し、結果を表2に示した。
JIS規格K7136に準拠し、村上色彩技術研究所製ヘーズメーター(HM−150)を用いて全光線透過率を測定した。
得られたシートを200℃、真空下で4時間加熱した後、ASTM規格に準拠し、E313黄色インデックスをGretagMacbeth社製ハンディ分光光度計(Spectro Eye)を用いて測定した。数値が小さい方が、黄変の程度が小さい。
実施例3で得られた脱塩上澄みにイオン交換水を加え、0.1%に希釈した後、168gを分取し、減圧濾過を行った。濾過器としてはアドバンテック社製KG−90を用い、ガラスフィルターの上にアドバンテック社製の1.0μm孔径のPTFE製メンブランフィルターを載せた。有効濾過面積は48cm2であった。減圧度−0.09MPa(絶対真空度10kPa)にて減圧濾過したところ、PTFE製メンブランフィルターの上にセルロース繊維の堆積物が得られた。このセルロース堆積物に3.76mlのエチレングリコールモノt−ブチルエーテルを注ぎ、再び減圧濾過して堆積物を得た。この堆積物を120℃に加熱したシリンダードライヤーにて0.15MPaの圧力で5分間プレス乾燥した後、さらに130℃の送風乾燥機で2分間乾燥させ、多孔性のシートを得た。
実施例3のオイルバスにおける加熱加水分解処理工程以降の工程を行わないスラリーを用い、実施例8と同様に多孔性のシートを得た。
上記実施例8と比較例5の多孔性シートについて、セルロース堆積物を得るまでの濾過時間を測定し、また多孔性シートの黄色度を以下に記載の方法により測定した。測定結果を表3に纏めた。また、パラフィン含浸を行った多孔性シートの全光線透過率も測定し、その結果も表3に示した。
減圧下で流動パラフィンを多孔性シートに浸透させた後、JIS規格K7136に準拠し、村上色彩技術研究所製ヘーズメーター(HM−150)を用いて全光線透過率を測定した。
得られたシートを200℃、真空下で4時間加熱した後、ASTM規格に準拠し、E313黄色インデックスをGretagMacbeth社製ハンディ分光光度計(Spectro Eye)を用いて測定した。数値が小さい方が、黄変の程度が小さい。
Claims (6)
- 微細繊維の製造方法において、少なくとも
(a)ヒドロキシル基または/およびアミノ基を有する微細繊維原料にエステル結合または/およびアミド結合を介して置換基を導入して、置換基導入繊維を得る工程と
(b)置換基導入繊維を機械処理する工程と
(c)工程(b)で得られた置換基導入微細繊維より、導入置換基を一部或いは全部を脱離させて、置換基脱離微細繊維を得る工程
を有する微細繊維の製造方法。 - 置換基はリン酸由来の基および/またはカルボン酸由来の基であることを特徴とする請求項1記載の微細繊維の製造方法。
- 微細繊維の平均幅が2〜1000nmであることを特徴とする請求項1〜2のいずれか一項に記載の微細繊維の製造方法。
- 前記繊維原料がセルロースを含む請求項1〜3いずれか一項に記載の微細繊維の製造方法。
- 前記繊維原料がキチンまたは/およびキトサンを含む請求項1〜4いずれか一項に記載の微細繊維の製造方法。
- 請求項1〜5のいずれか一項に記載の製造方法により得られる微細繊維を含むスラリーを調製し、抄紙法または塗工法によりシートを得る工程を有する、微細繊維含有シートの製造方法。
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