以下、本発明の一実施形態を図1〜図16に基づいて説明する。図1には、一実施形態に係る画像形成装置としての複合機2000の概略構成が示されている。
この複合機2000は、複写機、プリンタ、及びファクシミリの機能を有し、本体装置1001、読取装置1002、及び自動原稿給紙装置1003などを備えている。
本体装置1001は、4色(ブラック、シアン、マゼンタ、イエロー)を重ね合わせてフルカラーの画像を形成するタンデム方式の多色カラープリンタであり、光走査装置2010、4つの感光体ドラム(2030a、2030b、2030c、2030d)、4つのクリーニングユニット(2031a、2031b、2031c、2031d)、4つの帯電装置(2032a、2032b、2032c、2032d)、4つの現像ローラ(2033a、2033b、2033c、2033d)、中間転写ベルト2040、転写ローラ2042、定着ローラ2050、給紙コロ2054、排紙ローラ2058、給紙トレイ2060、排紙トレイ2070、通信制御装置2080、及び上記各部を統括的に制御するプリンタ制御装置2090などを備えている。
読取装置1002は、本体装置1001の上側に配置され、原稿を読み取る。すなわち、読取装置1002は、いわゆるスキャナ装置である。ここで読み取られた原稿の画像情報は、本体装置1001のプリンタ制御装置2090に送られる。
自動原稿給紙装置1003は、読取装置1002の上側に配置され、セットされた原稿を読取装置1002に向けて送り出す。この自動原稿給紙装置1003は、一般にADF(Auto Document Feeder)と呼ばれている。
通信制御装置2080は、ネットワークなどを介した上位装置(例えばパソコン)との双方向の通信、及び公衆回線を介したデータ通信を制御する。
プリンタ制御装置2090は、CPU、該CPUにて解読可能なコードで記述されたプログラム及び該プログラムを実行する際に用いられる各種データが格納されているROM、作業用のメモリであるRAM、アナログ信号をデジタル信号に変換するA/D変換回路などを有している。そして、プリンタ制御装置2090は、読取装置1002からの画像情報あるいは通信制御装置2080を介した画像情報を光走査装置2010に送る。
感光体ドラム2030a、帯電装置2032a、現像ローラ2033a、及びクリーニングユニット2031aは、組として使用され、ブラックの画像を形成する画像形成ステーション(以下では、便宜上「Kステーション」ともいう)を構成する。
感光体ドラム2030b、帯電装置2032b、現像ローラ2033b、及びクリーニングユニット2031bは、組として使用され、マゼンタの画像を形成する画像形成ステーション(以下では、便宜上「Mステーション」ともいう)を構成する。
感光体ドラム2030c、帯電装置2032c、現像ローラ2033c、及びクリーニングユニット2031cは、組として使用され、シアンの画像を形成する画像形成ステーション(以下では、便宜上「Cステーション」ともいう)を構成する。
感光体ドラム2030d、帯電装置2032d、現像ローラ2033d、及びクリーニングユニット2031dは、組として使用され、イエローの画像を形成する画像形成ステーション(以下では、便宜上「Yステーション」ともいう)を構成する。
各感光体ドラムはいずれも、その表面に感光層が形成されている。ここでは、各感光体ドラムの表面がそれぞれ被走査面である。各感光体ドラムは、不図示の回転機構により、図1における面内で矢印方向に回転する。
各帯電装置は、対応する感光体ドラムの表面をそれぞれ均一に帯電させる。
光走査装置2010は、プリンタ制御装置2090からの多色の画像情報(ブラック画像情報、シアン画像情報、マゼンタ画像情報、イエロー画像情報)に基づいて色毎に変調された光により、対応する帯電された感光体ドラムの表面をそれぞれ走査する。これにより、画像情報に対応した潜像が各感光体ドラムの表面にそれぞれ形成される。すなわち、ここでは、各感光体ドラムが像担持体である。ここで形成された潜像は、感光体ドラムの回転に伴って対応する現像装置の方向に移動する。なお、この光走査装置2010の構成については後述する。
ところで、各感光体ドラムにおいて、光によって走査される領域は「走査領域」と呼ばれ、該走査領域のなかで画像情報が書き込まれる領域は、「有効走査領域」、「画像形成領域」、「有効画像領域」などと呼ばれている。また、各感光体ドラムにおける回転軸に平行な方向は「主走査方向」と呼ばれ、感光体ドラムの回転方向は「副走査方向」と呼ばれている。
各現像ローラは、回転に伴って、対応するトナーカートリッジ(図示省略)からのトナーが、その表面に薄く均一に塗布される。そして、各現像ローラの表面のトナーは、対応する感光体ドラムの表面に接すると、該表面における光が照射された部分にだけ移行し、そこに付着する。すなわち、各現像ローラは、対応する感光体ドラムの表面に形成された潜像にトナーを付着させて顕像化させる。ここでトナーが付着した像(トナー画像)は、感光体ドラムの回転に伴って中間転写ベルト2040の方向に移動する。
イエロー、マゼンタ、シアン、ブラックの各トナー画像は、所定のタイミングで中間転写ベルト2040上に順次転写され、重ね合わされてカラー画像が形成される。
給紙トレイ2060には記録紙が格納されている。この給紙トレイ2060の近傍には給紙コロ2054が配置されており、該給紙コロ2054は、記録紙を給紙トレイ2060から1枚ずつ取り出す。該記録紙は、所定のタイミングで中間転写ベルト2040と転写ローラ2042との間隙に向けて送り出される。これにより、中間転写ベルト2040上のカラー画像が記録紙に転写される。カラー画像が転写された記録紙は、定着ローラ2050に送られる。
定着ローラ2050では、熱と圧力とが記録紙に加えられ、これによってトナーが記録紙上に定着される。トナーが定着された記録紙は、排紙ローラ2058を介して排紙トレイ2070に送られ、排紙トレイ2070上に順次積み重ねられる。
各クリーニングユニットは、対応する感光体ドラムの表面に残ったトナー(残留トナー)を除去する。残留トナーが除去された感光体ドラムの表面は、再度対応する帯電装置に対向する位置に戻る。
次に、前記光走査装置2010の構成について説明する。
光走査装置2010は、一例として図2〜図5に示されるように、2つの光源(2200A、2200B)、4つのカップリングレンズ(2201a、2201b、2201c、2201d)、4つの開口板(2202a、2202b、2202c、2202d)、4つのシリンドリカルレンズ(2204a、2204b、2204c、2204d)、光偏向器2104、4つの走査レンズ(2105a、2105b、2105c、2105d)、8枚の折り返しミラー(2106A、2106B、2107a、2107b、2107c、2107d、2108a、2108d)、同期検知ミラー11、同期検知センサ12、開口板13、及び不図示の走査制御装置などを備えている。そして、これらは、光学ハウジング2300の所定位置に組み付けられている。
なお、ここでは、XYZ3次元直交座標系において、各感光体ドラムの長手方向(回転軸方向)に沿った方向をY軸方向、光偏向器2104の回転軸に沿った方向をZ軸方向として説明する。また、以下では、便宜上、各光学部材において、主走査方向に対応する方向を「主走査対応方向」と略述し、副走査方向に対応する方向を「副走査対応方向」と略述する。
光源2200Aと光源2200Bは、X軸方向に関して離れた位置に配置されている。各光源は、いずれも2つの発光部を有しており、少なくともZ軸方向に関して離間している2つの光束を射出する。
ここでは、光源2200Aから射出される2つの光束のうち、+Z側の光束を「光束La」といい、−Z側の光束を「光束Lb」という。また、光源2200Bから射出される2つの光束のうち、+Z側の光束を「光束Ld」といい、−Z側の光束を「光束Lc」という。
カップリングレンズ2201aは、光源2200Aから射出された光束Laの光路上に配置され、該光束を略平行光束とする。カップリングレンズ2201bは、光源2200Aから射出された光束Lbの光路上に配置され、該光束を略平行光束とする。カップリングレンズ2201cは、光源2200Bから射出された光束Lcの光路上に配置され、該光束を略平行光束とする。カップリングレンズ2201dは、光源2200Bから射出された光束Ldの光路上に配置され、該光束を略平行光束とする。
開口板2202aは、開口部を有し、カップリングレンズ2201aを介した光束Laを整形する。開口板2202bは、開口部を有し、カップリングレンズ2201bを介した光束Lbを整形する。開口板2202cは、開口部を有し、カップリングレンズ2201cを介した光束Lcを整形する。開口板2202dは、開口部を有し、カップリングレンズ2201dを介した光束Ldを整形する。なお、4つの開口板を区別する必要がないときは、それらを総称して「開口板2202」と表記する。
シリンドリカルレンズ2204aは、開口板2202aの開口部を通過した光束Laの光路上に配置され、該光束をZ軸方向に関して集光する。シリンドリカルレンズ2204bは、開口板2202bの開口部を通過した光束Lbの光路上に配置され、該光束をZ軸方向に関して集光する。シリンドリカルレンズ2204cは、開口板2202cの開口部を通過した光束Lcの光路上に配置され、該光束をZ軸方向に関して集光する。シリンドリカルレンズ2204dは、開口板2202dの開口部を通過した光束Ldの光路上に配置され、該光束をZ軸方向に関して集光する。
各光源と光偏向器2104との間の光路上に配置されている光学系は、「偏向器前光学系」とも呼ばれている。
光偏向器2104は、2段構造の回転多面鏡を有している。各回転多面鏡には4つの鏡面がそれぞれ形成されており、各鏡面が偏向反射面である。そして、1段目(下段)の回転多面鏡では、シリンドリカルレンズ2204bを介した光束Lb及びシリンドリカルレンズ2204cを介した光束Lcがそれぞれ偏向され、2段目(上段)の回転多面鏡では、シリンドリカルレンズ2204aを介した光束La及びシリンドリカルレンズ2204dを介した光束Ldがそれぞれ偏向されるように配置されている。各回転多面鏡の内接円半径は16mmである。各回転多面鏡は、時計回りに回転する。
ここでは、光束La及び光束Lbは光偏向器2104の+X側に偏向され、光束Lc及び光束Ldは光偏向器2104の−X側に偏向される。
走査レンズ2105a及び走査レンズ2105bは、光偏向器2104の+X側に配置され、走査レンズ2105c及び走査レンズ2105dは、光偏向器2104の−X側に配置されている。
そして、走査レンズ2105aと走査レンズ2105bはZ軸方向に積層され、走査レンズ2105aは2段目の回転多面鏡に対向し、走査レンズ2105bは1段目の回転多面鏡に対向している。また、走査レンズ2105cと走査レンズ2105dはZ軸方向に積層され、走査レンズ2105cは1段目の回転多面鏡に対向し、走査レンズ2105dは2段目の回転多面鏡に対向している。
光偏向器2104で偏向された光束Laは、走査レンズ2105a、折り返しミラー2106A、折り返しミラー2107a、及び折り返しミラー2108aを介して、感光体ドラム2030aに照射される。
光偏向器2104で偏向された光束Lbは、走査レンズ2105b、折り返しミラー2106A、及び折り返しミラー2107bを介して、感光体ドラム2030bに照射される。
光偏向器2104で偏向された光束Lcは、走査レンズ2105c、折り返しミラー2106B、及び折り返しミラー2107cを介して、感光体ドラム2030cに照射される。
光偏向器2104で偏向された光束Ldは、走査レンズ2105d、折り返しミラー2106B、折り返しミラー2107d、及び折り返しミラー2108dを介して、感光体ドラム2030dに照射される。
各感光体ドラム上の光スポットは、対応する回転多面鏡の回転に伴って該感光体ドラムの長手方向に移動する。このときの光スポットの移動方向は主走査方向である。
光偏向器2104と各感光体ドラムとの間の光路上に配置されている光学系は、「走査光学系」とも呼ばれている。
開口板13は、開口部を有し、走査レンズ2105aと同期検知ミラー11との間に配置されている。開口板13の開口部を通過した光束は、同期検知ミラー11で反射され、同期検知センサ12で受光される。
同期検知センサ12で受光される光束は、書き込み開始前の所定のタイミングで光偏向器2104で偏向された光束である。同期検知センサ12は、受光光量に応じた信号を走査制御装置に出力する。走査制御装置は、同期検知センサ12の出力信号に基づいて、各感光体ドラムへの書き込み開始タイミングを求める。
図6に示されるように、Z軸方向に直交する平面に正射影したとき、光源から射出され、光偏向器2104に入射する光束の進行方向とX軸方向とのなす角をθinと表記する。ここでは、θin=55°となるように設定されている。
また、Z軸方向に直交する平面に正射影したとき、偏向器前光学系における開口板の開口部を通過した光束の幅をdinと表記する(図7参照)。この光束が光偏向器2104に入射する。ここでは、din=4mmとなるように設定されている。dinは、1つの偏向反射面の幅(主走査対応方向に関する長さ)よりも小さい。
各回転多面鏡において、4つの偏向反射面を区別する必要があるときは、図8に示されるように、反時計まわりに面1、面2、面3、面4とする。
ここで、光源2200Aから射出され、光偏向器2104に入射する光束(以下では、「入射光束」と略述する)と、光偏向器2104で偏向され、同期検知センサ12に向かう光束(以下では、「同期光束」と略述する)について説明する。ここでは、回転多面鏡の面1で反射された光束が、同期検知センサ12に向かうものとする。
図9には、面1で反射された光束が、同期検知センサ12に向かうタイミングでの、入射光束及び同期光束が示されている。このとき、入射光束の全てが回転多面鏡の面1に入射するのではない。そこで、Z軸方向に直交する平面に正射影したとき、同期光束の幅dpは、入射光束の幅dinよりも小さくなる。すなわち、このとき、光偏向器2104では、入射光束の一側端部が除かれて同期光束となる。なお、以下では、入射光束の一部が除かれることを「ケラレ」るともいう。
次に、光偏向器2104で偏向され、対応する感光体ドラムの有効走査領域に向かう光束(以下では、「走査光束」と略述する)について説明する。
図10には、走査光束が有効走査領域における書き込み開始位置に向かうタイミングでの、入射光束及び走査光束が示されている。このとき、入射光束の全てが回転多面鏡の面1に入射するのではない。そこで、主走査対応方向に関して、書き込み開始位置に向かう走査光束の幅dsは、入射光束の幅dinよりも小さくなる。すなわち、このとき、光偏向器2104では、入射光束の一部が「ケラレ」ることとなる。また、書き込み開始位置に向かう走査光束の進行方向とX軸方向とのなす角θsは36°である。
図11には、走査光束が有効走査領域の中央位置に向かうタイミングでの、入射光束及び走査光束が示されている。このとき、入射光束の全てが回転多面鏡の面1に入射する。そこで、主走査対応方向に関して、有効走査領域の中央位置に向かう走査光束の幅dcは、入射光束の幅dinと同じである。すなわち、このとき、光偏向器2104では、入射光束の「ケラレ」はない。
図12には、走査光束が有効走査領域における書き込み終了位置に向かうタイミングでの、入射光束及び走査光束が示されている。このとき、入射光束の全てが回転多面鏡の面1に入射するのではなく、入射光束の一部は面2に入射する。そこで、主走査対応方向に関して、書き込み終了位置に向かう走査光束の幅deは、入射光束の幅dinよりも小さくなる。すなわち、このとき、光偏向器2104では、入射光束の一部が「ケラレ」ることとなる。また、書き込み終了位置に向かう走査光束の進行方向とX軸方向とのなす角θeは−36°である。
|θs|+|θe|は、いわゆる走査画角に対応する角度であり、ここでは72°である。また、|θs|及び|θe|は、「走査半画角」と呼ばれている。
ここでは、感光体ドラムの有効走査領域における書き込み開始位置は、該有効走査領域の一側端部であり、感光体ドラムの有効走査領域における書き込み終了位置は、該有効走査領域の他側端部である。
なお、光源2200Bから射出された光束についても、入射光束と走査光束の関係が上述した光源2200Aから射出された光束の場合と同じように設定されている。
ところで、回転多面鏡にレーザ光を入射させる方式として、アンダーフィルドタイプとオーバーフィルドタイプがある。以下では、便宜上、アンダーフィルドタイプを「UFタイプ」、オーバーフィルドタイプを「OFタイプ」ともいう。
UFタイプでは、主走査対応方向に関して、1つの偏向反射面の幅よりも入射光束の幅が小さい(例えば、特開2005−92129号公報参照)。この場合、入射光束のすべてが1つの偏向反射面で反射される。
OFタイプでは、主走査対応方向に関して、1つの偏向反射面の幅よりも入射光束の幅が大きい(例えば、特開平10−206778号公報参照)。この場合、入射光束は複数の偏向反射面の入射し、入射光束における周辺の光はケラレる。
従来のUFタイプの光走査装置では、画像形成の高速化や画素密度の高密度化に対応するには、主走査対応方向に関して、1つの偏向反射面の幅を大きくする必要があるため、回転多面鏡における鏡面の数を少なくするか、回転軸に直交する面に正射影したときの回転多面鏡の内接円半径を大きくする必要があった。
しかしながら、回転多面鏡における鏡面の数を少なくすると、該回転多面鏡の回転数を大きくしなければならない不都合があった。また、回転多面鏡の内接円半径を大きくすると、回転多面鏡の風損が増加し、消費電力が増加するという不都合があった。なお、光源における発光部の数を増やし1つの偏向反射面で偏向されるビーム数を多くすることが考えられるが、発光部の数の増加とともに光源の駆動回路も大型化し、高コスト化を招く。
従来のOFタイプの光走査装置では、画像形成の高速化や画素密度の高密度化に対応するには、鏡面の数が10以上の回転多面鏡を用いる必要があるため、走査画角が小さくなり、光走査装置の大型化を招くという不都合があった。また、入射光束の一部が常に利用されないため、光利用効率が低いという不都合があった。
光走査装置の小型化及び低価格化を図るのには、回転多面鏡を小さくするのが有効である。また、潜像の高解像度化には、走査光学系に入射する光束の幅を大きくすること、及び走査光学系の焦点距離を短くすることが有利である。なお、走査光学系の焦点距離を短くすると走査角度が大きくなり、回転多面鏡で光を偏向する際の角度(偏向角)も大きくする必要がある。そこで、光走査装置の小型化、低価格化、及び潜像の高解像度化のためには、回転多面鏡は、より幅の広い光束を、より大きな偏向角で偏向するのが好ましい。
本実施形態では、光偏向器2104で偏向された光束が有効走査領域を走査する際、書き込み開始位置に向かうタイミング及び書き込み終了位置に向かうタイミングでのみ、入射光束の一部が光偏向器2104で「ケラレ」るように設定されている。このタイプを「端部OFタイプ」という。
端部OFタイプの光走査装置では、従来のUFタイプの光走査装置よりも、回転多面鏡を小型化することができる。この場合、消費電力を増加させることなく、回転多面鏡を高速で回転させることが可能となる。また、発光部の数を増加させる必要はなく、光源の駆動回路の大型化を避けることができる。そのため、高コスト化を招くことなく、画像形成の高速化や画素密度の高密度化に対応することができる。
例えば、内接円半径が18mmで6鏡面を有する回転多面鏡に代えて、内接円半径が16mmで7鏡面を有する回転多面鏡を用いることができる。この場合、風損が同じであれば、走査速度を約1.5(≒(18/16)2×(7/6))倍にすることが可能である。
なお、回転多面鏡の回転速度が同じでよければ、回転多面鏡の小型化により、回転多面鏡の耐久性を向上させるとともに、発熱量を低減させることができる。
また、端部OFタイプの光走査装置では、従来のOFタイプの光走査装置よりも、走査画角を大きくすることができる。そのため、大型化を招くことなく、画像形成の高速化や画素密度の高密度化に対応することができる。
ところで、回転多面鏡における複数の偏向反射面は、製造過程において、偏向反射面の幅方向に沿って個別に研磨される。例えば、面4→面3→面2→面1の順で研磨されると、面1と面4の境界部に面1から面4側に張り出したバリ(張り出し部)が存在する場合がある(図13参照)。なお、バリの長さは数十μm程度であるが、図13では、わかりやすくするため、バリを誇張して図示している。
この場合、面1における面4側の端部に入射した入射光束の一部はバリで反射される。そこで、同期光束の光量はバリがない場合よりも増加する(図14参照)。
本実施形態では、バリで反射された光束が遮光されるように開口板13の開口部が設定されている(図15参照)。これにより、同期光束の光量がばらつくのを抑制している。
また、この場合、回転多面鏡の回転方向が重要である。本実施形態では、各回転多面鏡は、時計回りに回転されているが、仮に各回転多面鏡が反時計回りに回転されると、一例として図16に示されるように、同期光束の光量はバリがない場合よりも減少する。
従来の光走査装置では、回転多面鏡のバリについては全く考慮されていなかった。
以上説明したように、本実施形態に係る光走査装置2010によると、2つの光源(2200A、2200B)、4つの偏向器前光学系、光偏向器2104、4つ走査光学系、同期検知センサ12、開口板13、及び走査制御装置などを備えている。
また、光偏向器2104の回転軸に直交する平面に正射影したとき、光偏向器2104に入射する光束の幅dinは、光偏向器2104の1つの偏向反射面の幅よりも小さい。
また、光偏向器2104で偏向された光束が同期検知センサ12に向かうタイミングでは、入射光束の一部が光偏向器2104で「ケラレ」るように設定されている。
また、光偏向器2104で偏向された光束が有効走査領域を走査する際、書き込み開始位置に向かうタイミング及び書き込み終了位置に向かうタイミングでは、入射光束の一部が光偏向器2104で「ケラレ」、有効走査領域の中央部に向かうタイミングでは、入射光束の全てが光偏向器2104で偏向されるように設定されている。この場合は、光走査装置の小型化、低価格化、及び潜像の高解像度化を図ることができる。
また、面1と面4の境界部に面1から面4側に張り出したバリが存在する場合、回転多面鏡は、光源からの光束が入射される順が面4から面1となるように回転しているため、同期光束の光量がバリがないときよりも減少するのを防止することができる。そして、バリで反射された光束が遮光されるように開口板13の開口部が設定されているため、同期光束の光量がばらつくのを抑制することができる。
そこで、画像品質の低下を招くことなく、光走査装置の小型化を図ることが可能である。
そして、複合機2000は、光走査装置2010を備えているため、結果として、画像品質を低下させることなく、小型化を図ることができる。
なお、上記実施形態において、前記開口板13に代えて、一例として図17に示されるように、走査レンズ2105aの入射側の光学面におけるバリで反射された光が入射する部分に、遮光部材14Aを取り付けても良い。
また、上記実施形態において、前記開口板13に代えて、一例として図18に示されるように、走査レンズ2105aの射出側の光学面におけるバリで反射された光が射出される部分に、遮光部材14Bを取り付けても良い。
また、上記実施形態において、前記開口板13に代えて、一例として図19に示されるように、走査レンズ2105aの入射側の光学面におけるバリで反射された光が入射する部分に、入射光を反射する突起部15Aを付加しても良い。
また、上記実施形態において、前記開口板13に代えて、一例として図20に示されるように、走査レンズ2105aの射出側の光学面におけるバリで反射された光が射出される部分に、入射光を反射する突起部15Bを付加しても良い。
また、上記実施形態において、前記開口板13に代えて、一例として図21に示されるように、走査レンズ2105aの入射側の光学面におけるバリで反射された光が入射する部分に、入射光を屈折させる突起部16Aを付加しても良い。
また、上記実施形態において、前記開口板13に代えて、一例として図22に示されるように、走査レンズ2105aの射出側の光学面におけるバリで反射された光が射出される部分に、入射光を屈折させる突起部16Bを付加しても良い。
また、上記実施形態において、前記開口板13に代えて、一例として図23に示されるように、走査レンズ2105aの入射側の光学面におけるバリで反射された光が入射する部分に、入射光を散乱させる突起部17Aを付加しても良い。
また、上記実施形態において、前記開口板13に代えて、一例として図24に示されるように、走査レンズ2105aの射出側の光学面におけるバリで反射された光が射出される部分に、入射光を散乱させる突起部17Bを付加しても良い。
また、上記実施形態では、入射光束の進行方向と同期光束の進行方向とのなす角度が鋭角の場合について説明したが、これに限定されるものではなく、一例として図25に示されるように、入射光束の進行方向と同期光束の進行方向とのなす角度が鈍角であっても良い。この場合、一例として図26に示されるように、面1と面2の境界部に面1から面2側に張り出したバリが存在すると、光源からの光束が入射される順が面1から面2となるように反時計まわりに回転多面鏡を回転させることにより、同期光束の光量がバリがないときよりも減少するのを防止することができる。そして、一例として図27に示されるように、バリで反射された光束が遮光されるように開口板13の開口部を設定することにより、同期光束の光量がばらつくのを抑制することができる。なお、この場合に、回転多面鏡の回転方向が時計まわりであると、同期光束の光量がバリがないときよりも減少する。
また、上記実施形態では、dinが4mmの場合について説明したがこれに限定されるものではない。
また、上記実施形態では、θinが55°の場合について説明したがこれに限定されるものではない。
また、上記実施形態では、θpが45°の場合について説明したがこれに限定されるものではない。
また、上記実施形態では、各回転多面鏡に4面の鏡面が形成されている場合について説明したがこれに限定されるものではない。
また、上記実施形態において、光源にモノリシックな端面発光レーザアレイや面発光レーザアレイ(VCSELアレイ)を用いても良い。
また、上記実施形態では、それぞれ2つの発光部を有する2つの光源が用いられる場合について説明したが、これに限定されるものではない。例えば、それぞれ1つの発光部を有する4つの光源を用いても良い。また、それぞれ1つの発光部を有する2つの光源を用い、各光源から射出された光束を2分割しても良い。
また、上記実施形態では、画像形成装置として複合機の場合について説明したが、これに限定されるものではない。画像形成装置が、単独の複写機、プリンタ、及びファクシミリ装置であっても良い。
また、レーザ光によって発色する媒体(例えば、用紙)に直接、レーザ光を照射する画像形成装置であっても良い。
また、像担持体として銀塩フィルムを用いた画像形成装置であっても良い。この場合には、光走査により銀塩フィルム上に潜像が形成され、この潜像は通常の銀塩写真プロセスにおける現像処理と同等の処理で可視化することができる。そして、通常の銀塩写真プロセスにおける焼付け処理と同等の処理で印画紙に転写することができる。このような画像形成装置は光製版装置や、CTスキャン画像等を描画する光描画装置として実施できる。