(モータシステムおよびモータ)
図1は本発明の実施形態によるモータを含むモータシステムを示している。図1において、モータシステム201は、本発明の実施形態によるモータ210と、制御装置220とを備えている。さらに、モータ210は、モータ本体211と、回転検出装置1とを備えている。
モータ本体211はシャフト213を備えている。モータ本体211は、軸線Aを回転軸とし、シャフト213を当該回転軸周りに回転させることにより、回転力を出力する。なお、本実施形態においてモータ本体211は、動力源として電気を使用する電動式モータであるが、モータ本体はこれに限定されるものではなく、例えば、油圧式モータ、エア式モータ、蒸気式モータ等の他の動力源を使用したモータであってもよい。
回転検出装置1は、モータ本体211の回転力を出力する負荷装置側の反対側に配置され、シャフト213に連結されている。そして、回転検出装置1は、シャフト213の回転位置(回転角度)および回転数を検出することにより、モータ本体211の回転量xを検出し、その回転量xを表す位置データを出力する。なお、回転検出装置1は、モータ本体211の回転量xに加え、モータ本体211の回転速度vおよびモータ本体211の回転加速度aの少なくとも一方を検出することもできるが、本実施形態では回転量xのみを検出する場合を例にあげる。
制御装置220は、不図示の上位制御装置から上位制御指令を取得し、かかる上位制御指令に応じてモータ本体211を制御する。制御装置220は、回転検出装置1から出力される位置データを取得し、かかる位置データに基づいて、モータ本体211の回転が上位制御指令に応じた回転となるように、モータ本体211の回転を制御する。モータ本体211として電動式モータが使用される本実施形態では、制御装置220は、位置データに基づいて、モータ本体211に制御信号として印加する電流又は電圧等を制御することにより、モータ本体211の回転を制御する。なお、モータ本体211が、油圧式、エア式、蒸気式などの他の動力源を使用する場合には、制御装置220は、それらの動力源の供給を制御することにより、モータ本体211の回転を制御することが可能である。
図2はモータ210の構成を示している。図2に示すように、モータ210は、モータ本体211と回転検出装置1とを備え、モータ本体211の反負荷側に回転検出装置1が取り付けられている。モータ本体211は、シャフト213と、フレーム215と、ブラケット216と、軸受217A、217Bと、固定子218と、回転子219とを備えている。
フレーム215は、筒状に形成されており、内周面に固定子218の外周が固着され、一端側で軸受217Aを保持している。ブラケット216は、略円盤状に形成され、外周部がフレーム215の他方端に取り付けられ、内周部で軸受217Bを保持している。これら軸受217A、217Bによって、シャフト213が軸線A周りを回転可能となるように保持されている。
固定子218は、固定子コアと固定子巻線とを備えており、フレーム215に固定されている。かかる固定子218の内周側には空隙を介して回転子219が対向配置され、固定子218の固定子巻線に電流を流すことにより固定子218の内側に回転磁界が発生する。回転子219は、回転子コアおよび複数の永久磁石を備え、固定子218の内側に生じた回転磁界と回転子219の永久磁石が発生する磁界との相互作用により回転子219が回転し、この回転子219の回転に伴ってシャフト213が軸線A周りに回転する。
(回転検出装置)
図3は回転検出装置1を示している。図3において、回転検出装置1は、シャフト213の回転状態、例えば回転数および回転方向を検出することができる装置である。
回転検出装置1のハウジング2は、ベース部233、バックヨーク234および蓋部材235を備えている。ベース部233は中央部にシャフト213を挿通する開孔を有し、負荷側がブラケット216に取り付けられている。バックヨーク234は、金属などの磁性材料からなる円筒状の部材であり、ベース部233の反負荷側の外周部に一端が取り付けられている。バックヨーク234によって、回転検出装置1における耐磁気ノイズ性の向上が図られ、これにより、モータ本体211からの漏れ磁束等に起因する回転検出装置1の誤動作を抑制することができる。蓋部材235は、バックヨーク234の他端に取り付けられている。
ハウジング2内、すなわち、ベース部233、バックヨーク234および蓋部材235によって形成される空間内には、第1の支持体11および第2の支持体12が収容されている。例えば、ハウジング2は有蓋円筒状に形成され、第1の支持体11および第2の支持体12はそれぞれ円盤状に形成されている。ハウジング2内において、第1の支持体11および第2の支持体12は、軸線Aがそれぞれの中心を貫くようにして位置が定められ、軸線方向に互いに離間するように配置されている。第1の支持体11の面11Aは、軸線Aに対して垂直であり、第2の支持体12に臨んでいる。また、第2の支持体12の面12Aは、軸線Aに対して垂直であり、第1の支持体11に臨んでいる。また、第1の支持体11は軸線Aを回転軸として回転することができる。一方、第2の支持体12はハウジング2に固定されている。また、ハウジング2内には、ベース部233の開孔を介してシャフト213が進入している。シャフト213の端部はハウジング2内において第1の支持体11に例えばボルト236により固定されている。これにより、シャフト213が回転すると、これに伴って、第1の支持体11がハウジング2内で回転する。
図4は、回転検出装置1の第1の支持体11および第1の支持体11に設けられた4つの磁石を図3中の矢示IV−IV方向から見た図である。図4に示すように、第1の支持体11には4つの磁界形成部としての磁石21、22、23、24が設けられている。各磁石21、22、23、24は、例えば矩形板状に焼結された永久磁石であり、第1の支持体11と第2の支持体12との間の領域に磁界を形成する。磁石21、22、23、24は、第1の支持体11の面11A上において、軸線Aの周囲に周方向にそれぞれ離間しており、例えば周方向に等しい間隔で固定されている。本実施形態では、磁石21、22、23、24は、軸線Aを中心として中心角90度ごとに配置されている。磁石21、22、23、24は、周方向に極性が交互に異なるように配置されている。例えば、磁石21、22、23、24は、第2の支持体12に臨む側の極性がそれぞれN極、S極、N極、S極となるように配置されている。また、図4中の二点鎖線は、軸線A上の点を中心とし、4つの磁石21、22、23、24のそれぞれと重なり合う円周Rを示している。第1の支持体11が回転すると、磁石21、22、23、24の回転の軌跡が円周Rと一致する。
また、図4に示すように、磁石21の中心と重なり合う円周R上の点に接する接線の方向(以下、単に「接線方向」という。)における磁石21の寸法D1は所定の値に設定されている。同様に、各磁石22、23、24の接線方向の寸法も、磁石21の寸法D1と同じ値に設定されている。なお、各磁石21ないし24の寸法の詳細については後述する。
図5は、回転検出装置1の第2の支持体12、第2の支持体12に設けられた3つの磁界検出部、および各磁界検出部の各端部を覆う磁性部材を図3中の矢示V−V方向から見た図である。図6は、図5に示す構造体から磁性部材を取り除いた状態を示している。図7は、図5中の第2の支持体12の一部、1つの磁界検出部、当該磁界検出部を覆う一対の磁性部材等を拡大して示している。
図6に示すように、第2の支持体12には3つの磁界検出部31、32、33が設けられている。各磁界検出部31、32、33は、ワイヤ状、棒状または長板状の磁性素子35の周囲にコイル36を巻回することにより形成されており、磁石21、22、23、24により形成された磁界を検出する。磁界検出部31、32、33は、第2の支持体12の面12A上において、軸線Aの周囲に周方向にそれぞれ離間しており、例えば周方向に等しい間隔で固定されている。本実施形態では、磁界検出部31、32、33は、軸線Aを中心として中心角120度ごとに配置されている。また、磁界検出部31は、磁性素子35の長さ方向が円周Rの接線(軸線A上の点および磁性素子35の長さ方向中間の点を通る直線と円周Rとが交わる点に接する接線)と平行となるように位置が定められている。同様に、各磁界検出部32、33も、磁性素子35の長さ方向が円周Rの接線と平行となるように位置が定められている。さらに、各磁界検出部31、32、33は、磁性素子35の一端部および他端部が円周Rと重なるように位置が定められている。また、各磁界検出部31、32、33は、磁性素子35の一端と軸線Aとの間の距離と、磁性素子35の他端と軸線Aとの間の距離とが互いに等しくなるように配置されている。
各磁界検出部31、32、33は磁性素子35として複合磁気ワイヤを採用している。一般に、複合磁気ワイヤは、細いワイヤ状の強磁性体である。複合磁気ワイヤは、その外周部は比較的小さな外部磁界の付与によって磁化の方向が変化するのに対し、中心部は比較的大きな外部磁界を付与しなければ磁化の方向が変化しないといった独特な磁気特性を有する一軸異方性の複合磁性体である。複合磁気ワイヤの長さ方向と平行な一の方向に、複合磁気ワイヤの中心部の磁化の方向を反転させるのに十分な比較的大きな外部磁界を付与すると、複合磁気ワイヤの中心部の磁化の方向と外周部の磁化の方向とが同じ方向に揃う。その後、複合磁気ワイヤの長さ方向と平行であり、上記一の方向とは逆である他の方向に、複合磁気ワイヤの外周部の磁化の方向だけを反転させることができる程度の比較的小さな外部磁界を付与すると、複合磁気ワイヤの中心部の磁化の方向は変化せず、外周部の磁化の方向だけが反転する。この結果、複合磁気ワイヤは、その中心部と外周部とで磁化の方向が異なる状態となり、この状態は外部磁界を取り除いても維持される。
ここで、中心部が上記一の方向に磁化され、外周部が上記他の方向に磁化された状態の複合磁気ワイヤに、上記一の方向に外部磁界を付与する。このとき、外部磁界の強さを始めは小さくし、その後、外部磁界の強さを徐々に増加させる。すると、外部磁界の強さがある強度を超えたときに、大バルクハウゼン効果が生じ、複合磁気ワイヤの外周部の磁化の方向が上記他の方向から上記一の方向へ急激に反転する。そして、複合磁気ワイヤの磁化方向の急激な反転により生じる起電力により、例えば正の方向に鋭く立ち上がるパルス状の電気信号が、複合磁気ワイヤに巻回されたコイルから出力される。
また、中心部および外周部がいずれも上記一の方向に磁化された状態の複合磁気ワイヤに、上記他の方向に外部磁界を付与する。このときも、外部磁界の強さを始めは小さくし、その後、外部磁界の強さを徐々に増加させる。すると、外部磁界の強さがある強度を超えたときに、複合磁気ワイヤの外周部の磁化の方向が上記一の方向から上記他の方向へ急激に反転する。そして、複合磁気ワイヤの磁化方向の急激な反転により生じる起電力により、例えば負の方向に鋭く立ち上がるパルス状の電気信号が、複合磁気ワイヤに巻回されたコイルから出力される。
このような複合磁気ワイヤを磁性素子35として採用している各磁界検出部31、32、33において、磁性素子35に外部磁界が付与され、これにより磁性素子35の外周部の磁化方向が変化すると、当該磁性素子35に巻回されたコイル36からパルス状の電気信号(以下、これを「検出パルス」という。)が出力される。回転検出装置1において、磁性素子35に付与される外部磁界に相当するものは、磁石21と磁石22とにより形成される磁界、磁石22と磁石23とにより形成される磁界、磁石23と磁石24とにより形成される磁界、および磁石24と磁石21とにより形成される磁界である。いずれか1つの磁性素子35に着目すると、第1の支持体11が回転することにより、これら4つの磁界が当該磁性素子35に順次付与される。また、これら4つの磁界は、磁性素子35の中心部および外周部の双方の磁化方向を変化させることができるような大きな磁界ではなく、磁性素子35の外周部の磁化方向のみを変化させることができる程度の大きさの磁界である。当該磁性素子35と磁石21、22、23、24との位置関係から、当該磁性素子35に付与される磁界が切り替わるごとに、当該磁性素子35の外周部の磁化方向が変化し、これに伴い当該磁性素子35に巻回されたコイル36から検出パルスが出力される。
また、上記したように、磁石21、22、23、24は90度間隔で配置されているのに対し、磁界検出部31、32、33は120度間隔で配置されている。したがって、第1の支持体11が回転する間に、磁界検出部31、32、33から検出パルスが出力されるタイミングが重なり合うことがない。磁界検出部31、32、33からそれぞれ異なるタイミングで出力される検出パルスを用いて所定の処理を行うことにより、シャフト213の回転数および回転方向を検出することができる。
また、図5に示すように、磁界検出部31の一端部および他端部は磁性部材41、42によりそれぞれ覆われている。また、磁界検出部32の一端部および他端部は磁性部材43、44によりそれぞれ覆われている。さらに、磁界検出部33の一端部および他端部は磁性部材45、46によりそれぞれ覆われている。
ここで、磁性部材41、42について具体的に説明する。図7に示すように、磁性部材41、42は、例えば鉄等の磁性材料により形成され、第2の支持体12の面12A上に配置され、第2の支持体12に固定されている。また、磁界検出部31と磁性部材41、42とは互いに接触していない。また、磁性部材41は他の磁性部材42ないし46のいずれとも接触しておらず、磁性部材42は他の磁性部材41および43ないし46のいずれとも接触していない。
磁性部材41は平板部41Aと側板部41Bとから形成されている。平板部41Aは磁界検出部31の一端部の上方において、第1の支持体11の面11Aまたは第2の支持体12の面12Aと平行に拡がっている。平板部41Aは、磁界検出部31の長さ方向一端部において第1の支持体11に臨む部分を覆っている。さらに、平板部41Aは磁界検出部31の長さ方向一端部に対応する位置から第2の支持体12の内周側および外周側に向けてそれぞれ拡がり、第2の支持体12において磁界検出部31の長さ方向一端部よりも内周側および外周側の領域をもそれぞれ広く覆っている。
側板部41Bは、平板部41Aの周方向一端部を第2の支持体12に向けて折り曲げることにより形成されている。側板部41Bは、第2の支持体12の面12Aおよび平板部41Aに対して垂直に形成され、磁界検出部31の長さ方向一端部の端面(図7中の左端面)を覆っている。また、側板部41Bの下端部が第2の支持体12に固定されており、これにより磁性部材41全体が第2の支持体12に固定されている。
磁性部材42は、基準線Bを基準に磁性部材41と線対称の形状を有している。磁性部材42は、磁性部材41と同様に、平板部42Aと側板部42Bとから形成されている。平板部42Aは、磁界検出部31の長さ方向他端部において第1の支持体11に臨む部分を覆っている。さらに、平板部42Aは磁界検出部31の長さ方向他端部に対応する位置から第2の支持体12の内周側および外周側に向けてそれぞれ拡がり、第2の支持体12において磁界検出部31の長さ方向他端部よりも内周側および外周側の領域をもそれぞれ広く覆っている。側板部42Bは、磁界検出部31の長さ方向他端部の端面(図7中の右端面)を覆っている。また、側板部42Bの下端部が第2の支持体12に固定されており、これにより磁性部材42全体が第2の支持体12に固定されている。
また、磁性部材41と磁性部材42とは、磁界検出部31の長さ方向中間部に向けて互いに接近する方向に伸長し、磁性部材41の対向端面41Cと磁性部材42の対向端面42Cとは、磁界検出部31の長さ方向中間部において間隙S1を介して互いに対向している。対向端面41C、42Cは、軸線Aに対して垂直でかつ磁界検出部31の長さ方向に対して垂直な方向にそれぞれ伸長している。また、対向端面41C、42Cは、第2の支持体12の内周側から磁界検出部31の長さ方向中間部に対応する位置を通過して第2の支持体12の外周側へ互いの離間距離を一定に保ちつつ伸長している。詳細は後述するが、図7に示すように、対向端面41Cと対向端面42Cとの間隙S1の距離D2は所定の値に設定されている。
また、磁性部材41において軸線A側に向いた内周側端面41Dは、磁界検出部31の長さ方向と平行な方向に伸長している。同様に、磁性部材42において軸線A側に向いた内周側端面42Dは、磁界検出部31の長さ方向と平行な方向に伸長している。一方、磁性部材41の外周側端面41Eおよび磁性部材42の外周側端面42Eは、第2の支持体12の周縁に沿って円弧状に伸張している。
また、図7に示すように、磁界検出部31において第1の支持体11に臨む部分のうち、大部分が磁性部材41、42により覆われており、第1の支持体11に向かって露出している部分はわずかである。磁界検出部31において第1の支持体11に臨む部分のうち、磁性部材41および磁性部材42により覆われている部分の面積の方が露出している部分の面積よりも大きい。
磁性部材43、44の構成および磁性部材43、44と磁界検出部32との位置関係等は、磁性部材41、42の構成および磁性部材41、42と磁界検出部31との位置関係等と同じである。また、磁性部材45、46の構成および磁性部材45、46と磁界検出部33との位置関係等も、磁性部材41、42の構成および磁性部材41、42と磁界検出部31との位置関係等と同じである。なお、例えば、周方向に互いに隣り合う磁性部材41の側板部41Bと、磁性部材46の側板部46Bとの間隙S2の距離D3は、距離D2より小さく設定されている。なお、互いに隣り合う他の側板部(42Bと43B、44Bと45B)についても同様である。
また、図5に示すように、磁性部材41ないし46のうち周方向に互いに隣り合う各対の磁性部材(41と42、42と43、43と44、44と45、45と46、46と41)は互いに接近し、これにより形成された磁性部材41ないし46の連続的な配列が、第2の支持体12との間に磁界検出部31、32、33を介在させつつ、第2の支持体12の面12A内の外周側上方を略全周に亘って覆っている。すなわち、磁性部材41ないし46の平板部41Aないし46Aの表面を含む平面において、磁性部材41ないし46のうち互いに隣り合う各対の磁性部材間の間隙S1、S2に対応する領域の面積は、各磁性部材41ないし46の平板部41Aないし46Aの表面の面積と比較して大幅に小さい。このような磁性部材41ないし46の連続的な配列により、磁石21、22、23、24と磁界検出部31、32、33との間に生じる磁力を制御し、また当該磁力を周方向に均一化することができ、これにより、第1の支持体11の回転に伴って発生するコギングを抑えることができる。
次に、図4および図8を参照しながら、各磁石21、22、23、24の形状(寸法)について詳細に説明する。図8は回転検出装置1の動作を示しており、図3中の矢示VIII−VIII方向から見た回転検出装置1であるが、説明の便宜上、ハウジング2、シャフト213および第1の支持体11を図示していない。なお、各磁石21、22、23、24の形状(寸法)は、それぞれ同一であるため、ここでは、磁石21に着目して具体的に説明する。
磁石21は、接線方向に長い直方体形状に形成されている。すなわち、磁石21は、第2の支持体12側から見て、接線方向に長い長方形状を成している。具体的には、磁石21の接線方向の寸法D1は、磁石21の径方向の寸法D4よりも大きく、且つ、隣り合う磁性部材41、42の対向端面41C、42C同士の間隙S1の距離D2よりも大きく設定されている。
次に、磁石21の接線方向の寸法D1について、例えば磁界検出部31および磁性部材41との位置関係から更に詳細に説明する。上記したように、磁界検出部31、磁性素子35の長さ方向一端部および他端部が円周Rと重なるように位置が定められている。この磁性素子35の一端部および他端部と円周Rとが重なった交点を重合点P1と呼ぶこととする(図6参照)。なお、必ずしも磁性素子35は、円周Rと重なる位置に設けられていなくてもよい。例えば、各磁界検出部31、32、33の磁性素子35が、円周Rの内側または外側に配置されていてもよい。すなわち、大バルクハウゼン効果を生じさせる外部磁界が円周R上を移動する各磁石21、22、23、24によって付与され得る位置に、各磁性素子35が配置されていればよい。このとき、仮想的に磁性素子35の一端部および他端部と円周Rとが重なった場合における交点が重合点P1となる。
また、上記したように、第1の支持体11の回転に伴って各磁石21、22、23、24は円周R上を移動する。すなわち、各磁石21、22、23、24は、磁界検出部31の磁性素子35の一端側および他端側の重合点P1のそれぞれに臨むことが可能なように配置されている。
磁石21の接線方向の寸法D1は、例えば、磁界検出部31の一端側の重合点P1と、磁石21の接線方向の中央部に含まれる中心点P2とが一致した場合において、この中心点P2から磁性部材41の側板部41Bの端面と同一位置までの距離の2倍となる長さとなるように形成されている。なお、より好ましくは、例えば、磁石21の接線方向の寸法D1を、上記のように重合点P1と中心点P2とを一致させ、この中心点P2から、磁性部材41の側板部41Bと磁性部材46の側板部46Bとの間隙S2の距離D3の円周方向中間部と同一位置までの距離の2倍となる長さとなるように形成する。なお、磁界検出部31の一端側の重合点P1と、磁石21の中心点P2とが一致しているときには、磁界検出部31の他端側の重合点P1と、磁石22の中心点P2とが一致している。
なお、他の磁性部材42、43、44、45、46が有する各重合点P1を基準に各磁石21、22、23、24の接線方向の寸法D1を設定してもよい。また、第2の支持体12側から見たときの磁石21の面積は、磁界検出部31、32、33から検出パルスを出力させるために必要な磁場強度を解析することで決定される。そして、この解析結果と、磁石21の接線方向の寸法D1とから、磁石21の径方向の寸法D4が決定される。
次に、図8および図12を参照しながら、回転検出装置1の基本的な動作について説明する。ここでは、磁界検出部31に着目し、この動作について具体的に説明する。図12は回転検出装置1の動作を示しており、図3中の矢示VIII−VIII方向から見た回転検出装置1であるが、説明の便宜上、ハウジング2、シャフト213および第1の支持体11を図示していない。
例えば磁界検出部31の磁性素子35がその他端部から一端部に向いた方向に磁化された状態であるときに、第1の支持体11が反時計回りに回転したとする。これにより、図8に示すように、N極の磁石21が磁界検出部31の一端部に接近し、かつS極の磁石22が磁界検出部31の他端部に接近すると、磁石21から磁石22に向かう磁界により、磁界検出部31の磁性素子35の外周部の磁化方向が反転する。この結果、当該磁性素子35の磁化方向がその一端部から他端部に向いた方向となる。そして、当該磁性素子35の磁化方向の反転により、当該磁性素子35に巻回されたコイル36から例えば正の方向に鋭く立ち上がる検出パルスが出力される。
引き続き、第1の支持体11の反時計回りの回転が継続し、図12に示すように、S極の磁石24が磁界検出部31の一端部に接近し、かつN極の磁石21が磁界検出部31の他端部に接近すると、磁石21から磁石24に向かう磁界により、磁界検出部31の磁性素子35の外周部の磁化方向が反転する。この結果、当該磁性素子35の磁化方向がその他端部から一端部に向いた方向となる。そして、当該磁性素子35の磁化方向の反転により、当該磁性素子35に巻回されたコイル36から例えば負の方向に鋭く立ち上がる検出パルスが出力される。
引き続き、第1の支持体11が回転を続け、N極の磁石23が磁界検出部31の一端側に接近し、かつS極の磁石24が磁界検出部31の他端部に接近したときには、磁石23から磁石24に向かう磁界により、磁界検出部31の磁性素子35の磁化方向がその一端部から他端部に向いた方向となり、コイル36から例えば正の方向に鋭く立ち上がる検出パルスが出力される。さらに、第1の支持体11が回転を続け、S極の磁石22が磁界検出部31の一端側に接近し、かつN極の磁石23が磁界検出部31の他端部に接近したときには、磁石23から磁石22に向かう磁界により、磁界検出部31の磁性素子35の磁化方向がその他端部から一端部に向いた方向となり、コイル36から例えば負の方向に鋭く立ち上がる検出パルスが出力される。磁界検出部32、33も磁界検出部31と同様に動作する。
次に、図8ないし図12を参照しながら、磁性部材41、42の磁界検出部31に対する磁界誘導機能について具体的に説明する。図9および図11は回転検出装置1における磁界の経路を示している。図10は回転検出装置1の動作を示しており、図3中の矢示VIII−VIII方向から見た回転検出装置1であるが、説明の便宜上、ハウジング2、シャフト213および第1の支持体11を図示していない。
図8に示すように、第1の支持体11が例えば反時計回りに回転し、N極の磁石21が磁界検出部31の一端部に接近し、かつS極の磁石22が磁界検出部31の他端部に接近したとする。このとき、図9に示すように、磁石21から磁石22に向かう磁束の大部分は、まず、磁石21から、磁界検出部31の一端部ではなく、磁性部材41に進入する。磁性部材41に進入した磁束は、磁性部材42側に向かって磁性部材41の平板部41A中を進行し、磁性部材41と磁性部材42との間隙S1から、磁界検出部31の中間部においてやや一端部寄りの部分に進入する。磁界検出部31に進入した磁束は、磁界検出部31中をその他端側へ向かって進行し、磁界検出部31の中間部においてやや他端部寄りの部分に到達する。この部分に到達した磁束は、磁界検出部31から離脱して磁性部材42に進入する。磁性部材42に進入した磁束は、磁石22に向かって磁性部材42の平板部42A中を進行し、磁性部材42から磁石22に到達する。
このように、磁石21から磁石22に向かう磁界が磁性部材41、42により誘導され、図9中の黒い実線の矢示で示すような磁路が形成される。この結果、当該磁界の大部分が磁界検出部31の中間部に付与されるので、磁界検出部31の中間部の磁束密度が、磁界検出部31の一端部または他端部の磁束密度と比較して高くなる。
また、磁界検出部31の一端部および他端部において第1の支持体11に臨む部分を含む広い領域が磁性部材41、42の平板部41A、42Aにより覆われており、さらに、磁界検出部31の一端面(左端面)および他端面(右端面)が磁性部材41、42の側板部41B、42Bにより覆われている。これにより、磁界検出部31の周囲であって磁性部材41、42により覆われた内側の空間には、図9中の黒い破線の矢印で示すように、磁界検出部31の一端側から他端側に向かう磁界が形成される。なお、磁石21から磁石22に向かう磁束のうち、その大部分は図9中の黒い実線の矢印で示す磁路を進行するので、図9中の黒い破線の矢印で示した磁界の強度は、図9中の黒い実線の矢印で示した磁界の強度よりも小さい。したがって、図9中の黒い破線の矢印で示した磁界が磁界検出部31に付与されることにより、磁界検出部31の中間部の磁束密度が一端部または他端部の磁束密度よりも高い状態が保持されたまま、磁界検出部31の磁束密度が全体的に増加する。
以上のような磁界が磁界検出部31に付与されることにより、磁界検出部31の磁性素子35の外周部は、図9中の白い矢印が示す方向、すなわち磁性素子35の一端部から他端部に向かう方向に磁化される。したがって、当該磁性素子35の外周部の磁化方向が当該磁性素子35の他端部から一端部に向いた方向であった場合には、当該磁性素子35の外周部の磁化方向が反転し、当該磁性素子35に巻回されたコイル36から例えば正の方向に鋭く立ち上がった検出パルスが出力される。
続いて、図10に示すように、第1の支持体11が反時計回りにさらに45度回転し、N極の磁石21が磁界検出部31の中間部に接近したときには、図11に示すように、磁石21から磁石24に向かう磁束の大部分は、磁石21から磁性部材41に進入し、磁石21から磁石22に向かう磁束の大部分は、磁石21から磁性部材42に進入する。磁性部材41に進入した磁束は、磁石24側に向かって磁性部材41中を進行し、磁性部材42に進入した磁束は、磁石22側に向かって磁性部材42中を進行する。これにより、磁束が磁界検出部31に進入することを抑制することができる。また、図10に示すように、磁性部材41と磁性部材46とは間隙S2を介して互いに離間しているので、磁性部材41を進行した磁束の大部分は磁性部材46へ進入しない。同様に、磁性部材42と磁性部材43とは間隙S2を介して互いに離間しているので、磁性部材42を進行した磁束の大部分は磁性部材43へ進入しない。
ここで、磁石21の接線方向の寸法D1は、磁性部材41と磁性部材42との間の距離D2よりも大きくなるように設定されている。したがって、磁石21が磁界検出部31の中間部に接近したときには、磁石21と各磁性部材41、42との間の距離のそれぞれが、磁石21と磁界検出部31との間の距離よりも確実に短くなり、磁石21から磁石24、22にそれぞれ向かう磁束の大部分が磁性部材41、42に進入することが保証される。また、磁界検出部31の一端部および他端部において第1の支持体11に臨む部分を含む広い領域が磁性部材41、42の平板部41A、42Aにより覆われており、さらに、磁界検出部31の一端面(左端面)および他端面(右端面)が磁性部材41、42の側板部41B、42Bにより覆われている。これにより、磁石21が磁界検出部31の中間部に接近したときには、磁石21から磁石24、22に向かう磁界が、磁性部材41、42により、磁界検出部31を避けるように誘導される。この結果、当該磁界における磁束の大部分は磁界検出部31には進入せず、磁界検出部31の磁性素子35の外周部の磁化方向は変化しない。図11中の白い矢印が示す方向は、図9中の白い矢印が示す方向と同じであり、これは磁性素子35の磁化方向が変化していないことを示している。よって、当該磁性素子35に巻回されたコイル36から検出パルスが出力されることはない。
続いて、図12に示すように、第1の支持体11が反時計回りにさらに45度回転し、S極の磁石24が磁界検出部31の一端部に接近し、かつN極の磁石21が磁界検出部31の他端部に接近したときには、磁石21から磁石24に向かう磁界は、磁性部材41、42により誘導され、図9中の黒い実線の矢印および黒い破線の矢印で示す磁界の経路と同様の経路を逆方向に辿る。
このような磁界が磁界検出部31に付与されることにより、磁界検出部31の磁性素子35の外周部は、磁性素子35の他端部から一端部に向かう方向に磁化される。したがって、当該磁性素子35の外周部の磁化方向が当該磁性素子35の一端部から他端部に向いた方向であった場合には、当該磁性素子35の外周部の磁化方向が反転し、当該磁性素子35に巻回されたコイル36から例えば負の方向に鋭く立ち上がった検出パルスが出力される。
以上より、磁性部材41、42の磁界誘導機能によれば、互いに極性の異なる磁石が磁界検出部31の一端部および他端部にそれぞれ接近したときには、これらの磁石により形成される磁束が、磁界検出部31の一端部および他端部よりも中間部を通過するように磁界を誘導することができる。また、磁石が磁界検出部31の中間部に接近したときには、この磁石により形成される磁束が磁界検出部31に進入するのを抑制することができる。
これにより、互いに極性の異なる一対の磁石が磁界検出部31の一端部および他端部にそれぞれ接近したときには、磁界検出部31の磁性素子35の主に中間部の磁束密度を高くすることができる。一方、磁石が磁界検出部31の中間部に接近したときには、磁界検出部31の磁性素子35の磁束密度をその全体に亘って低くすることができる。したがって、互いに極性の異なる磁石が磁界検出部31の一端部および他端部にそれぞれ接近したときに限り、磁界検出部31の磁性素子35の磁束密度を高くすることができる。それゆえ、互いに極性の異なる磁石が磁界検出部31の一端部および他端部にそれぞれ接近したときに限り、磁性素子35の磁化方向を変化させることができる。すなわち、互いに極性の異なる磁石が磁界検出部31の一端部および他端部にそれぞれ接近していない期間に、磁界検出部31の磁性素子35の磁化方向が変化するのを防止することができる。
さらに、磁性部材41、42は磁界誘導機能の性能を高めることができる構成的特徴をいくつか備えている。これらについて図13を参照しながら説明する。図13中の矢印は、磁石21、22が磁界検出部31の一端部および他端部にそれぞれ接近したときの磁性部材41、42に形成される磁界を模式的に示している。
まず、磁性部材41、42において軸線A側に向いた内周側端面41D、42Dは、磁界検出部31の長さ方向と平行な方向にそれぞれ伸長している。これにより、磁石21、22が磁界検出部31の一端部および他端部にそれぞれ接近したとき、磁性部材41、42中をそれぞれ進行する磁束は、磁界検出部31の長さ方向とほぼ平行な方向に進行する。これにより、磁性部材41、42中をそれぞれ進行する磁束が進行途中に磁界検出部31から離れる方向(特に、内周側端面41D、42Dから磁性部材41、42の外部に向かう方向)に拡散するのを抑制することができる。
次に、磁性部材41、42の対向端面41C、42Cは、軸線Aに対して垂直でかつ磁界検出部31の長さ方向に対して垂直な方向にそれぞれ伸長している。これにより、磁石21、22が磁界検出部31の一端部および他端部にそれぞれ接近したとき、磁性部材41、42中をそれぞれ進行する磁束は、磁界検出部31の長さ方向とほぼ平行な方向に進行する。これにより、磁性部材41、42中をそれぞれ進行する磁束が進行途中に磁界検出部31から離れる方向(特に、対向端面41Cから磁性部材41の外部に向かう方向)に拡散するのを抑制することができる。
これらの構成的特徴によれば、磁石21、22が磁界検出部31の一端部および他端部にそれぞれ接近したときに、磁石21から磁石22に向かう磁界を磁性部材41、42により磁界検出部31へ誘導する効果を高めることができ、磁界検出部31を磁束密度の高い安定した状態にすることができる。
以上、磁性部材41、42の磁界検出部31に対する磁界誘導機能について説明したが、磁性部材43、44の磁界検出部32に対する磁界誘導機能、および磁性部材45、46の磁界検出部33に対する磁界誘導機能も、磁性部材41、42の磁界検出部31に対する磁界誘導機能と同様である。磁性部材41ないし46の磁界誘導機能により、磁界検出部31、32、33がそれぞれ有する磁性素子35の磁化方向の予測困難な変化を防止し、シャフト213の回転の検出精度を良くすることができる。
一方、モータ本体211からは漏れ磁束が生じる。この漏れ磁束は、概ね、軸線Aから放射状に進行する。このため、この漏れ磁束と、磁界検出部31、32、33の磁化方向との互いの位置関係は、ねじれの位置の関係または交差する位置関係となる。したがって、モータ本体211から発生する漏れ磁束が、磁石21、22、23、24により形成された磁界を磁界検出部31、32、33によって検出する動作に与える影響を抑制することができる。よって、当該漏れ磁束により、磁界検出部31、32、33が誤動作することを防止することができる。さらに、この結果、磁界検出部31、32、33をモータ本体211に接近させることができるので、回転検出装置1およびモータ本体211からなるモータ210を小型化することができる。
また、磁界検出部31、32、33を設けることによって、回路基板上に実装される多回転検出用のMR素子やホール素子が不要になる。そのため、それらの実装スペースを基板上に確保する必要がなくなり、回路基板の省スペース化および設計の自由度を高めることができる。
次に、図14ないし図17を参照しながら、本実施形態に係るモータ210が有する回転検出装置1によるコギングの抑制作用について説明する。図14ないし図17は回転検出装置1において磁石21と磁性部材41、42(間隙S1)との位置関係を示している。ここでは、磁石21、磁界検出部31および磁性部材41、42に着目して具体的に説明する。また、第1の支持体11は、磁界検出部31の一端部から他端部に向かう方向に回転するものとする(図8において反時計回り)。
図14に示すように、第1の支持体11の回転により、磁石21の全体が、磁性部材41の平板部41Aに対面する位置に臨んでいる場合、磁石21により形成される磁束の略全ては、対面する磁性部材41に向かっている(図14中の矢印参照)。すなわち、磁石21により形成される磁力線は、回転方向(または接線方向)において同一方向に向いた線形状態となっている。これは磁気的に安定した状態であり、第1の支持体11の回転にかかるトルクは一定となっている。
続いて、図15に示すように、第1の支持体11の回転が進み、磁石21の他端部が、磁性部材41と磁性部材42との間隙S1に臨み始めると、磁石21により形成される磁束のうち、その他端部の磁束は、第1の支持体11の回転方向とは逆方向(一端側に向かう方向)に位置する磁性部材41に向かうこととなる(図15中の矢印参照)。すなわち、間隙S1上を通過し始めの磁石21の他端部は、第1の支持体11の回転方向とは逆向きの非線形な磁力線を形成する。この回転方向とは逆向きの磁力線は、通常、第1の支持体11を回転方向とは逆方向に戻そうとする力(コギングトルク)として作用する。ところが、磁石21は、接線方向に長く形成されているため、相対的に見て、磁石21においてコギングトルクを発生させる部分(他端部)は非常に小さく、磁石21の大部分が磁性部材41の平板部41Aに対面した状態となっている。したがって、磁石21による磁束密度分布が周方向に均一化された状態となっている。すなわち、磁石21により形成される磁力線は略線形状態を維持している。これにより、磁気的に安定した状態を維持することができるため、相対的にコギングトルクを低減することができる。
磁石21は、磁性部材41と磁性部材42との間隙S1よりも長く形成されているため、第1の支持体11が反時計回りにさらに回転すると、図16に示すように、磁石21は、磁性部材41と磁性部材42との間隙S1を跨ぐように臨むこととなる。この状態で、磁石21により形成される磁束は、磁性部材41および磁性部材42に略均等に分散している(図16中の矢印参照)。すなわち、磁石21により形成される磁力線は略線形状態を維持している。これにより、第1の支持体11の回転にかかるトルクを一定にすることができるため、コギングの発生が抑制される。なお、この状態で、磁性部材41、42をそれぞれ進行する磁束は左右対称となるため、磁性部材41、42により覆われた磁界検出部31の周囲において、磁石21から磁石22へ向かう磁界と、磁石21から磁石24へ向かう磁界とが互いに打ち消し合い、磁界が略零になる。
図17に示すように、さらに第1の支持体11の回転が進み、磁性部材41と磁性部材42との間隙S1に臨む磁石21の一端部が、第2の磁性部材の一端部に接近し始めると、磁石21の一端部により形成される磁束は、第1の支持体11の回転方向(他端側に向かう方向)に位置する磁性部材42に向かうこととなる(図17中の矢印参照)。すなわち、間隙S1上を通過する磁石21の一端部は、第1の支持体11の回転方向と同じ向きの非線形な磁力線を形成する。この非線形な磁力線(磁石21の一端部の磁束)は、通常、第1の支持体11を回転方向に送ろうとする力として作用する。ところが、上記したように磁石21は、接線方向に長く形成されているため、相対的に見て、磁石21において第1の支持体11の回転方向に向かう力を発生させる部分は非常に小さく、磁石21の大部分が磁性部材42の平板部42Aに対面した状態となっている。したがって、磁石21による磁束密度分布は周方向に均一化された状態となっている。すなわち、磁石21により形成される磁力線は略線形状態を維持している。これにより、第1の支持体11の回転にかかるトルク変動を低減することができる。
なお、他の磁性部材43、44、45、46に対する他の磁石22、23、24のコギングトルクの低減作用についても同様である。
以上の実施形態に係るモータ210が有する回転検出装置1によれば、例えば、磁石214は、その接線方向の寸法D1が径方向の寸法D4よりも大きく、且つ、磁性部材41と磁性部材42の間隙S1の距離D2よりも大きく設定されている。このため、例えば、磁石21が間隙S1に臨む際にコギングトルクを発生させる部分は非常に小さく、磁石21の大部分が磁性部材41に上に臨んでいる。したがって、相対的に見ると、磁石21による磁束密度分布が周方向に均一化されており、磁気的に安定した状態となっている。これにより、相対的に、第1の支持体11の回転にかかるトルク変動、すなわちコギングトルクを低減することができ、コギングが抑制されることでシャフト213の回転を精度良く検出することができる。
また、上述した実施形態に係る各磁石21、22、23、24の接線方向の寸法D1は、最小の寸法であり、各磁石21、22、23、24の接線方向の寸法D1は、上述した実施形態に係る長さ以上、第1の支持体11の全周(全円周)の1/4の円弧における弦の長さ以下の範囲で任意に設定することができる。
例えば、図18に示すように、第1の支持体70自体を、軸線Aを中心として中心角90度に分割した4つの磁片70a、70b、70c、70dから成る円盤状の磁石により形成してもよい。また、例えば、図19に示すように、第1の支持体71自体を、軸線Aを中心として中心角90度に分割した4つの磁片71a、71b、71c、71dから成るリング状の磁石により形成してもよい。また、磁石を電磁石により形成することも可能である。
各磁石21、22、23、24の接線方向の長さを、以上のような範囲内で設定することにより、コギングの抑制が可能となると共に、各磁界検出部31、32、33の磁性素子35を所定方向に磁化するために必要なエネルギー(磁束密度)を磁性素子35に与えることができる。よって、磁性素子35の磁化の方向の予測困難な変化を防止して被検出物の回転の検出精度を良くすることができる。
(回転量の検出)
次に、図2、図3、図20および図21を参照しながら、モータ本体211の回転量xの検出について説明する。図20は、回転検出装置1においてモータ本体211の回転量xを検出する信号処理に関する構成を示している。図21は第1の支持体11に配置された反射ディスクを示している。
回転検出装置1は、シャフト213の回転数および回転位置(絶対位置)をそれぞれ検出し、これらシャフト213の回転数および回転位置に基づいて、モータ本体211の回転量xを検出する。
図20に示すように、シャフト213の回転数は、第1の支持体11の面11Aに設けられた磁石21、22、23、24と、第2の支持体12の面12Aに設けられた磁界検出部31、32、33と、磁界検出部31、32、33のそれぞれの端部を覆う磁性部材41ないし46と、第2の支持体12に設けられた回転数検出部255(図5参照)とにより検出される。以下、磁石21、22、23、24と、磁界検出部31、32、33と、磁性部材41ないし46と、回転数検出部255とを備え、シャフト213の回転数を検出する構成を回転数検出ユニット237(図2参照)という。
また、図20に示すように、シャフト213の回転位置は、第1の支持体11に設けられた反射ディスク242(図3参照)と、ハウジング2のベース部233に設けられた光検出部232(図3参照)とにより検出される。以下、反射ディスク242と、光検出部232とを備え、シャフト213の回転位置を検出する構成を回転位置検出ユニット238(図2参照)という。
これより、回転数検出ユニット237における回転数検出部255、並びに回転位置検出ユニット238における反射ディスク242および光検出部232について説明する。
まず、回転数検出ユニット237における回転数検出部255について説明する。回転数検出部255は例えばパッケージ化された集積回路である。図5に示すように、回転数検出部255は、第2の支持体12の面12A上に配置されている。回転数検出部255は、磁界検出部31、32、33のそれぞれと接近または隣接した位置となるように、面12Aの中央付近に配置されている。
回転数検出部255は、図20に示すように、電源切替部270と、波形整形部271と、多回転検出部272と、多回転記憶部273とを備えている。回転数検出部255は、外部から電源電圧Vccが供給されない場合であっても、磁界検出部31、32、33から出力される検出パルスから生成される電力に基づいてシャフト213の回転数を検出することができる。
電源切替部270は、外部から電源電圧Vccが供給される場合、波形整形部271、多回転検出部272および多回転記憶部273へ電源電圧Vccを供給する。一方、外部から電源電圧Vccが供給されない場合、電源切替部270は、磁界検出部31、32、33から出力される検出パルスから生成した電圧を、波形整形部271、多回転検出部272および多回転記憶部273へ供給する。
ここで、磁界検出部31、32、33から出力される検出パルスには、正の方向に立ち上がる検出パルスと、負の方向に立ち上がる検出パルスがある。電源切替部270は、これらの検出パルスのうち、正の方向に立ち上がる検出パルスから電圧を生成し、この電圧を波形整形部271、多回転検出部272および多回転記憶部273に供給する。なお、全波整流器等を用い、磁界検出部31、32、33から出力される、負の方向に立ち上がる検出パルスを当該電圧生成に利用することもできる。
波形整形部271は、磁界検出部31、32、33から出力される検出パルスのうち、正の方向に立ち上がる検出パルスを選択し、選択した検出パルスの波形を矩形波となるように整形し、波形整形した検出パルスを多回転検出部272へ出力する。多回転検出部272は波形整形部271から出力された検出パルスに基づき、シャフト213の回転数を検出する。
具体的には、多回転検出部272は、波形整形部271から出力された検出パルスが、磁界検出部31、32、33のうちどの磁界検出部から出力された検出パルスによるものかを判定し、その結果を多回転記憶部273へ記憶する。例えば、多回転検出部272は、磁界検出部31に対応する検出パルスの場合には「00」のデータを、磁界検出部32に対応する検出パルスの場合には「01」のデータを、磁界検出部33に対応する検出パルスの場合には「10」のデータを、多回転記憶部273へ記憶する。そして、多回転検出部272は、多回転記憶部273に記憶されたデータに基づき、シャフト213の回転数を検出する。多回転検出部272は、シャフト213の回転数を示す情報を位置データ生成部262に出力する。
回転数検出部255は、外部から電源電圧Vccが供給されない場合でも、消費電力を自己発電できるため、バックアップ用電源(例えば、バッテリ)を省略することができる。
次に、回転位置検出ユニット238における反射ディスク242および光検出部232について説明する。図3に示すように、第1の支持体11において、磁石21、22、23、24が固定された面11Aの反対側の面11Bには、反射ディスク242が固定されている。反射ディスク242は第1の支持体11と共に回転する。図21に示すように、反射ディスク242は円盤状に形成され、その中心部に孔が形成されている。反射ディスク242は、その中心が軸線Aと一致するように面11B上に配置されている。反射ディスク242には、複数の反射スリットを有するスリットアレイ243が反射パターンとして形成されている。
また、図3に示すように、光検出部232は、ハウジング2のベース部233において、第1の支持体11の面11Bに臨む面に固定されている。光検出部232は、図20に示すように、光センサ260と、1回転絶対値検出部261と、位置データ生成部262とを備えている。
光センサ260は、発光部と受光部とを備えており、第1の支持体11に設けられた反射ディスク242に対して発光部から光を照射する。光センサ260は、スリットアレイ243による反射光を受光部で受光し、受光状態に応じた信号を出力する。スリットアレイ243が有する複数の反射スリットは、反射ディスク242の周方向でアブソリュートパターンを有するように、反射ディスク242の全周に配置されている。アブソリュートパターンとは、光検出部232の受光部が対向する角度内における反射スリットの位置や割合等が、反射ディスク242の1回転内で一義に定まるようなパターンである。光センサ260は、反射ディスク242への光の照射に対して反射ディスク242の複数の反射スリットから反射される光を受光して反射ディスク242の周方向の位置に応じた信号を出力する。
1回転絶対値検出部261は、光センサ260から出力される信号に基づいて、第1の支持体11の絶対位置、すなわちシャフト213の回転位置を検出し、シャフト213の回転位置を示す情報を位置データ生成部262へ出力する。
位置データ生成部262は、1回転絶対値検出部261から出力されるシャフト213の回転位置を示す情報と、回転数検出部255の多回転検出部272から出力されるシャフト213の回転数を示す情報とを取得する。そして、位置データ生成部262は、取得した情報に基づいて、モータ本体211の回転量xを算出する。具体的には、位置データ生成部262は、例えば、シャフト213の回転数とシャフト213の回転位置(回転角度)とを合わせることによりモータ本体211の回転量xを算出する。さらに、位置データ生成部262は、算出した回転量xを表す位置データを制御装置220に出力する。
なお、位置データ生成部262は、外部から電源電圧Vccが供給されている場合、1回転絶対値検出部261から出力されるシャフト213の回転位置を示す情報のみに基づいてモータ本体211の回転量xを算出することもできる。一方、外部からの電源電圧Vccが停止した後、外部からの電源電圧Vccの供給が開始された場合、1回転絶対値検出部261から出力されるシャフト213の回転位置を示す情報と、多回転検出部272から出力されるシャフト213の回転数を示す情報とに基づいてモータ本体11の回転量xを算出する。
また、多回転検出部272において、シャフト213の回転数を検出せずに、多回転記憶部273に記憶されたデータを位置データ生成部262へ出力するようにしてもよい。この場合、位置データ生成部262は、多回転記憶部273に記憶されたデータとシャフト213の回転位置とに基づいて、シャフト213の回転数を演算する。
モータ本体211の回転量xを検出する信号処理について以上のような構成を有する回転検出装置1においては、回転位置(1回転絶対値)の検出を光学的構成によって行うことから、モータ本体211からの漏れ磁束に対する影響を受けず、精度よく回転位置の検出を行うことができる。
また、図2に示すように、第1の支持体11の一方側に回転数検出ユニット237が形成され、その反対側に回転位置検出ユニット238が形成される。これにより、第1の支持体11を回転数検出と回転位置検出とに共用することができ、省スペース化および小型化を図ることができる。しかも、第1の支持体11によって回転数検出ユニット237と回転位置検出ユニット238とを分離することができるため、光検出部232や他の回路に対する磁石21、22、23、24の磁束による影響を抑制することができる。
また、磁界検出部31、32、33の検出結果を記憶する多回転記憶部273を磁界検出部31、32、33に隣接させて配置することにより、磁界検出部31、32、33の検出結果を伝える際の電力を低減させることができる。また、電源切替部270を磁界検出部31、32、33に隣接させて配置することにより、磁界検出部31、32、33からの電力供給を効率的に行うことができる。
なお、上述した実施形態に係る回転検出装置1では、各磁性部材41ないし46に側板部41Bないし46Bを形成する場合を例にあげたが、図22に示す回転検出装置50のように、側板部を省略した磁性部材51、52を有する構成を採用することもできる。この場合磁石21、22が磁界検出部31の一端部および他端部に接近したときに、磁界検出部31の一端面から進入する磁界、または磁界検出部31の他端面から進出する磁界が形成されにくい。この結果、磁石21、22が磁界検出部31の一端部および他端部に接近したときには、磁性素子35の一端部および他端部の磁束密度が増加せず、磁石21、22が磁界検出部31の一端部および他端部に接近していない場合と同程度である。
磁性素子35の磁化方向の反転を確実に生じさせ、出力レベルが高く安定した検出パルスを得るためには、磁石21、22が磁界検出部31の一端部および他端部に接近したときに磁性素子35の磁束密度が全体的に高くなることが望ましい。この観点から、各磁性部材に側板部を設けることが好ましい。
また、上述した実施形態に係る回転検出装置1では、第1の支持体11には90度間隔に4つの磁石21、22、23、24を設け、第2の支持体12には120度間隔に3つの磁界検出部を設けたが本発明はこれに限らない。磁石の個数は2個以上であればよく、磁石の配置間隔は限定されず、磁界検出部の個数は限定されず、磁界検出部の配置間隔も限定されない。もっとも、上述したように、第1の支持体が回転する間に各磁界検出部から検出パルスが出力されるタイミングが重なり合うことのないように、磁石の配置間隔および磁界検出部の配置間隔を設定することが望ましい。図23は、本発明の回転検出装置の他の実施形態として、第1の支持体に2つの磁石61、62を設け、第2の支持体63に1つの磁界検出部64を設け、磁界検出部64の一端部および他端部を磁性部材65、66でそれぞれ覆った回転検出装置60を示している。
この場合、各磁石21、22、23、24の接線方向の寸法D1は、上述した実施形態に係る長さ以上、第1の支持体11の全周(全円周)の1/2の円弧における弦の長さ以下の範囲で任意に設定することができる。例えば、図24に示すように、第1の支持体72自体を、軸線Aを中心として中心角180度に分割した2つの磁片72a、72bから成る円盤状(またはリング状(図示せず))の磁石により形成してもよい。
また、上述した実施形態に係る回転検出装置1では、各磁界検出部31、32、33の磁性素子35として複合磁性ワイヤを採用する場合を例にあげたが、他のバルクハウゼン素子を採用することも可能である。
また、上述した実施形態に係る回転検出装置1では、磁性部材41ないし46等を形成する磁性材料として鉄を例にあげたが、本発明はこれに限らず、他の磁性体ないし強磁性体、例えば、パーマロイ、電磁鋼板等を用いてもよい。
また、各磁性部材41ないし46の形状は、種々の変形が可能である。例えば、図25に示す磁性部材101、102のように、対向端面101C(102C)と内周側端面101D(102D)とが交わる角部を一部取り除き、対向端面101C(102C)と内周側端面101D(102D)との間に傾斜面101F(102F)を形成してもよい。また、図26に示す磁性部材111、112のように、対向端面111C、112Cに段部111F、112Fをそれぞれ形成し、対向端面111Cと対向端面112Cとの間の距離を部分的に変化させてもよい。具体的には、磁界検出部31の中間部と対応する部分では、対向端面111Cと対向端面112Cとの間を大きくする。一方、磁石21、22、23、24が通過する領域に対応する部分(円周Rに対応する部分)では、対向端面111Cと対向端面112Cとの間を小さくする。また、図27に示す磁性部材121、122のように、磁界検出部31の中間部に対応する部分において対向端面121Cと対向端面122Cとが最も接近するように、対向端面121Cおよび対向端面122Cとをそれぞれ円弧状に形成してもよい。また、図28に示す磁性部材131、132のように、対向端面131Cおよび対向端面132Cにおいて、磁石21、22、23、24が通過する領域に対応する部分(円周Rに対応する部分)に、クランク状に屈曲したクランク部131F、132Fをそれぞれ形成してもよい。
また、上述した実施形態に係る回転検出装置1では、第1の支持体11およびこれに設けられた磁石21、22、23、24を回転させる場合を例にあげたが、第2の支持体12とこれに設けられた磁界検出部31、32、33を回転させる構成を採用することもできる。
(第1の変形例)
次に、図29ないし図35を参照しながら、上述した実施形態に係るモータ210が有する回転検出装置1の第1の変形例について説明する。図29ないし図34は本実施形態の第1の変形例によるモータ210の回転検出装置1において、各磁石の平面形状の例を示している。図35は本実施形態の第1の変形例によるモータ210の回転検出装置1において磁石の他端部が間隙S1に臨み始めた状態を示している。なお、上述した実施形態に係る回転検出装置1と同一の構成については、同一の符号を付し、その説明を省略する。
本実施形態の第1の変形例では、第2の支持体12に臨む側の面(以下、「平面」という。)において、各磁石の径方向の寸法が、円周Rの接線方向の中央部よりも一端部および他端部(以下、「両端部」という。)で小さくなるように形成されている。各磁石の平面形状は、種々の変形が可能である。
例えば、図29に示すように、各磁石73a、73b、73c、73dの平面形状が、接線方向に向かって長径を有する楕円形状に形成されていてもよい。また、図30に示すように、各磁石74a、74b、74c、74dの平面形状が、接線方向の両端部がそれぞれ鋭角に形成された略楕円形状に形成されていてもよい。また、図31に示すように、各磁石75a、75b、75c、75dの平面形状が、接線方向に細長い菱形状に形成されていてもよい。また、図32に示すように、各磁石76a、76b、76c、76dの平面形状が、接線方向に細長く、両端部にそれぞれ鋭角が位置するような六角形状に形成されていてもよい。さらに、図33に示すように、各磁石77a、77b、77c、77dの平面形状が、接線方向に細長く、両端部にそれぞれ鋭角が位置するような台形状に形成されていてもよい。また、例えば、図34に示すように、各磁石78a、78b、78c、78dの平面形状が、接線方向に細長い矩形状の本体部79と、本体部79より径方向の寸法が小さく本体部79の接線方向両端面からそれぞれ突出する狭幅部80と、から構成されていてもよい。
以上の実施形態の第1の変形例に係るモータ210が有する回転検出装置1によれば、第2の支持体12に臨む側の面において(または第2の支持体12側から見て)、各磁石73a〜78a、73b〜78b、73c〜78c、73d〜78dの円周Rの接線方向の中央部領域における面積よりも、接線方向の両端部領域における面積の方が小さくなるように形成されている。磁力の強さは面積に比例するため、各磁石73a〜78a、73b〜78b、73c〜78c、73d〜78dは、その磁力が両端部において弱くなるように形成されている。したがって、図35に示すように、例えば、磁界検出部31の一端部から他端部に向かう方向に第1の支持体11の回転が進み、磁石73aの他端部が、磁性部材41と磁性部材42との間隙S1に臨み始めた時に、第1の支持体11の回転方向とは逆方向に位置する磁性部材41に向かう磁石73aの他端部の磁束密度を低くすることができる。なお、図35では、磁石21の両端部の磁束密度が、磁石21の中央部の磁束密度よりも低い状態であることを破線の矢印で示している。これにより、コギングトルクの発生を有効に抑制することができる。
なお、他の磁性部材43、44、45、46に対する他の磁石のコギングトルクの低減作用についても同様である。
(第2の変形例)
次に、図36を参照しながら、上述した実施形態に係るモータ210が有する回転検出装置1の第2の変形例について説明する。図36は本実施形態の第2の変形例によるモータ210の回転検出装置1において磁石の他端部が間隙S1に臨み始めた状態を示している。なお、上述した実施形態に係る回転検出装置1と同一の構成については、同一の符号を付し、その説明を省略する。
本実施形態の第2の変形例に係る回転検出装置1では、上述した実施形態と同様に、4つの磁石81a、81b、81c、81dが第1の支持体11上に配設されている。各磁石81a、81b、81c、81dの形状は、それぞれ同一であるため、ここでは、磁石81aに着目して具体的に説明する。図36に示すように、磁石81aは、その第2の支持体12との離間距離が円周Rの接線方向の中央部よりも両端部で大きくなるように形成されている。すなわち、例えば、磁石81aは、第2の支持体12に臨む側から第1の支持体11に向かって傾斜(一端側および他端側に向かってそれぞれ上傾)し、台形状に形成されている。
以上の実施形態の第2の変形例に係るモータ210が有する回転検出装置1によれば、磁力の強さは距離の2乗に反比例するため、各磁石81a、81b、81c、81dは、その磁力が両端部において弱くなるように形成されている。したがって、図36に示すように、例えば、磁界検出部31の一端部から他端部に向かう方向に第1の支持体11の回転が進み、磁石21の他端部が、磁性部材41と磁性部材42との間隙S1に臨み始めた時に、第1の支持体11の回転方向とは逆方向に位置する磁性部材41に向かう磁石81aの他端部の磁束密度を低くすることができる。なお、図36では、磁石81aの両端部の磁束密度が、その中央部の磁束密度よりも低い状態であることを破線の矢印で示している。これにより、コギングトルクの発生を有効に抑制することができる。
なお、他の磁性部材43、44、45、46に対する他の磁石81b、81c、81dのコギングトルクの低減作用についても同様である。また、本実施形態の第2の変形例の構成を、上述した第1の変形例に適用してもよい。
なお、上述した実施形態および各変形例に係る各磁石21、22、23、24等は、焼結磁石を用いたが、砕いた磁石(磁石粉)をゴムやプラスチックに練り込んで形成したボンド磁石を用いてもよい。この場合、ボンド磁石の円周Rの接線方向の中央部において磁石粉濃度を高くし、接線方向の両端部において磁石粉濃度を低くするように形成してもよい。すなわち、各ボンド磁石は、円周Rの接線方向の中央部よりも両端部において磁力が小さくなっている。これにより、磁束密度分布を周方向に均一化した状態を維持することができるため、コギングトルクの発生を有効に抑制することができる。
なお、本発明は、請求の範囲および明細書全体から読み取ることのできる発明の要旨または思想に反しない範囲で適宜変更可能であり、そのような変更を伴うモータもまた本発明の技術思想に含まれる。