JP2022116385A - 回転検出器及びそれを備えたモータ - Google Patents

回転検出器及びそれを備えたモータ Download PDF

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Akio Agehara
晃太 来嶋
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Abstract

【課題】簡便な構成でモータの回転軸の回転量を検出可能な回転検出器を提供する。【解決手段】ロータリーエンコーダ100は磁気式エンコーダ120を備えている。磁気式エンコーダ120は、磁気検出素子90と、回転軸32に回転一体に取付けられ、磁束通過部70a,70bを有する磁気遮蔽板70と、磁気検出素子90に対して相対位置が変化せず、それぞれS極とN極を有する磁石80a,80bと、を備えている。磁気検出素子90に含まれるウィーガントワイヤ90aは、所定以上の磁界が印加されると大バルクハウゼン効果を発現するように構成されている。軸方向から見て、磁気検出素子90と磁気遮蔽板70と磁石80a,80bとは互いに間隔をあけてこの順に配置されている。【選択図】図1

Description

本発明は、回転検出器及びそれを備えたモータに関する。
従来、モータの回転軸の回転速度や回転角度を検出する回転検出器としてエンコーダが広く用いられている。また、エンコーダで検出された回転速度あるいは回転角度を目標値に近づけるように駆動制御を行うサーボモータが産業用途で広く用いられている。
ところで、近年、機器の省電力化の観点から、外部電源を使用せずにエンコーダを駆動させる要請が高まりつつある。
このような、いわゆる、バッテリーレスエンコーダを実現する手法として、大バルクハウゼン効果により磁化反転する磁性体を有する磁気検出素子を用いたエンコーダが、従来、知られている(例えば、特許文献1~3参照)。磁気検出素子は、内部を流れる磁束の向きが変化すると、その両端に電圧が誘起されるセンサ素子であり、誘起された電圧によりエンコーダが駆動される。
独国特許発明第10259223号明細書 特許第5769879号公報 特許第5964117号公報
ところで、特許文献1~3に開示される従来の構成では、固定配置された磁気検出素子に対して磁石を回転させることで、磁気検出素子の内部を流れる磁束の向きを変化させていた。
しかし、この場合、磁石の形状・磁極数、また、回転方向を検出するために追加されるセンサの配置を工夫する必要があり、設計コストの増大や設計自由度の減少を招いていた。
本発明はかかる点に鑑みてなされたもので、その目的は、簡便な構成でモータの回転軸の回転量を検出可能な回転検出器及びそれを備えたモータを実現することにある。
上記の目的を達成するために、本発明に係る回転検出器は、モータの回転軸の回転量を検出する回転検出器であって、磁性体と誘導コイルとで構成された磁気検出素子と、前記回転軸に回転一体に取付けられ、磁束通過部を有する磁気遮蔽板と、前記磁気検出素子に対して相対位置が変化せず、互いに異なる極性の複数の磁極を有する磁石と、を少なくとも備え、前記磁性体は、所定以上の磁界が印加されると大バルクハウゼン効果を発現するように構成されており、所定の方向から見て、前記磁気検出素子と前記磁気遮蔽板と前記磁石とは互いに間隔をあけてこの順に配置されていることを特徴とする。
この構成によれば、回転検出器内で大きな制約を受けずに磁石や磁気検出素子を配置でき、回転検出器の設計自由度が向上し、設計コストを低減できる。
本発明に係るモータは、回転軸を有する回転子と、前記回転子と同軸にかつ前記回転子と所定の間隔をあけて設けられた固定子と、前記回転軸に取付けられた前記回転検出器と、を少なくとも備えたことを特徴とする。
この構成によれば、モータの設計コストを低減できる。さらに、モータの回転状態を確実に制御することができる。
本発明の回転検出器によれば、回転検出器の設計自由度が向上し、設計コストを低減できる。本発明のモータによれば、モータの設計コストを低減できる。
本発明の実施形態1に係るモータの断面模式図である。 信号処理回路の機能ブロックの概略構成図である。 別の磁気式エンコーダの断面模式図である。 回転軸の回転に伴う磁気式エンコーダ内での磁束の流れを示す模式図である。 回転軸の回転角度と磁気検出素子の出力電圧との関係を示す模式図である。 回転軸の回転角度と磁気検出素子の出力電圧との関係を示す他の模式図である。 変形例1に係る第1の磁気式エンコーダ内での磁束の流れを示す模式図である。 変形例1に係る第2の磁気式エンコーダ内での磁束の流れを示す模式図である。 変形例1に係る第3の磁気式エンコーダ内での磁束の流れを示す模式図である。 本発明の実施形態2に係る磁気遮蔽板と磁気検出素子との配置関係を示す模式図である。 変形例2に係る磁気遮蔽板と磁石との配置関係を示す模式図である。 変形例2に係る別の磁気遮蔽板と磁石との配置関係を示す模式図である。 変形例3に係る第1の磁石の磁極配列を示す模式図である。 変形例3に係る第2の磁石の磁極配列を示す模式図である。 変形例3に係る第3の磁石の磁極配列を示す模式図である。 変形例4に係る磁気式エンコーダを上から見た模式図である。 変形例4に係る別の磁気式エンコーダを上から見た模式図である。 本発明の実施形態3に係る磁気式エンコーダを上から見た模式図である。 実施形態3に係る磁気式エンコーダの斜視図である。 回転軸の回転角度と磁気検出素子の出力電圧との関係を示す図である。 実施形態3に係る別の磁気式エンコーダを上から見た模式図である。 図16に示す磁気式エンコーダにおける回転軸の回転角度と磁気検出素子の出力電圧との関係を示す図である。 実施形態3に係るロータリーエンコーダの断面模式図である。 実施形態3に係る別のロータリーエンコーダの断面模式図である。 変形例5に係る第1の磁気式エンコーダを上から見た模式図である。 図19に示す磁気式エンコーダにおける回転軸の回転角度と磁気検出素子の出力電圧との関係を示す図である。 変形例5に係る第2の磁気式エンコーダを上から見た模式図である。 図21に示す磁気式エンコーダにおける回転軸の回転角度と磁気検出素子の出力電圧との関係を示す図である。 変形例5に係る第3の磁気式エンコーダを上から見た模式図である。 図23に示す磁気式エンコーダにおける回転軸の回転角度と磁気検出素子の出力電圧との関係を示す図である。 変形例5に係る第4の磁気式エンコーダを上から見た模式図である。 図25に示す磁気式エンコーダにおける回転軸の回転角度と磁気検出素子の出力電圧との関係を示す図である。 変形例6に係る第1の磁気式エンコーダを上から見た模式図である。 図27に示す磁気式エンコーダにおける回転軸の回転角度と磁気検出素子の出力電圧との関係を示す図である。 変形例6に係る第2の磁気式エンコーダを上から見た模式図である。 図29に示す磁気式エンコーダにおける回転軸の回転角度と磁気検出素子の出力電圧との関係を示す図である。 変形例6に係る第3の磁気式エンコーダを上から見た模式図である。 図31に示す磁気式エンコーダにおける回転軸の回転角度と磁気検出素子の出力電圧との関係を示す図である。 変形例7に係る磁気式エンコーダを上から見た模式図である。 図33に示す磁気式エンコーダにおける回転軸の回転角度と磁気検出素子の出力電圧との関係を示す図である。 変形例7に係る別の磁気式エンコーダを上から見た模式図である。 図35に示す磁気式エンコーダにおける回転軸の回転角度と磁気検出素子の出力電圧との関係を示す図である。 変形例8に係る第1の磁気式エンコーダの斜視図である。 変形例8に係る第2の磁気式エンコーダの斜視図である。 変形例8に係る第3の磁気式エンコーダの斜視図である。 変形例8に係る第4の磁気式エンコーダの斜視図である。 本発明の実施形態4に係る磁気式エンコーダを上から見た模式図である。 図41Aに示す磁気式エンコーダの動作状態を示す模式図である。 実施形態4に係るロータリーエンコーダの断面模式図である。 実施形態4に係る別のロータリーエンコーダの断面模式図である。 変形例9に係る磁気式エンコーダを上から見た模式図である。 図43に示す磁気式エンコーダにおける回転軸の回転角度と磁気検出素子の出力電圧との関係を示す図である。 変形例9に係る別の磁気式エンコーダを上から見た模式図である。 図45に示す磁気式エンコーダにおける回転軸の回転角度と磁気検出素子の出力電圧との関係を示す図である。 変形例10に係る第1の磁気式エンコーダを上から見た模式図である。 図47Aに示す磁気式エンコーダの動作状態を示す模式図である。 変形例10に係る第2の磁気式エンコーダを上から見た模式図である。 変形例10に係るロータリーエンコーダの断面模式図である。 変形例10に係る別のロータリーエンコーダの断面模式図である。 変形例10に係る第3の磁気式エンコーダを上から見た模式図である。 図50に示す磁気式エンコーダにおける回転軸の回転角度と磁気検出素子の出力電圧との関係を示す図である。 変形例11に係る第1の磁気式エンコーダを上から見た模式図である。 図52に示す磁気式エンコーダにおける回転軸の回転角度と磁気検出素子の出力電圧との関係を示す図である。 変形例11に係る第2の磁気式エンコーダを上から見た模式図である。 図54に示す磁気式エンコーダにおける回転軸の回転角度と磁気検出素子の出力電圧との関係を示す図である。 変形例11に係る第3の磁気式エンコーダを上から見た模式図である。 図56に示す磁気式エンコーダにおける回転軸の回転角度と磁気検出素子の出力電圧との関係を示す図である。 変形例11に係る第4の磁気式エンコーダを上から見た模式図である。 図58に示す磁気式エンコーダにおける回転軸の回転角度と磁気検出素子の出力電圧との関係を示す図である。 変形例11に係る第5の磁気式エンコーダを上から見た模式図である。 図60に示す磁気式エンコーダにおける回転軸の回転角度と磁気検出素子の出力電圧との関係を示す図である。 変形例11に係る第6の磁気式エンコーダを上から見た模式図である。 図62に示す磁気式エンコーダにおける回転軸の回転角度と磁気検出素子の出力電圧との関係を示す図である。
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。以下の好ましい実施形態の説明は、本質的に例示に過ぎず、本発明、その適用物或いはその用途を制限することを意図するものでは全くない。
(実施形態1)
[モータの構成]
図1は、本実施形態に係るモータの断面模式図を示す。なお、図1は、モータ300の構造を模式的に図示しているものであって、実際の形状や寸法とは異なっている。
モータ300は、モータケース10と一対のブラケット21,22と回転子30と固定子40と一対の軸受51,52とロータリーエンコーダ100とを備えている。なお、以降の説明において、モータケース10の半径方向を径方向と、モータケース10の円周方向を周方向と、回転子30に設けられた回転軸32の軸線方向を軸方向と、それぞれ呼ぶことがある。なお、モータケース10の半径方向は磁気遮蔽板70や回転板130の半径方向と同じである。また、軸方向において、ロータリーエンコーダ100が設けられた側を上または上側と、その反対側を下または下側とそれぞれ呼ぶことがある。また、モータ300の各部品や部材において、モータケース10の内部に面した位置にある面を内面と、モータケース10の外部に面した位置にある面を外面とそれぞれ呼ぶことがある。
モータケース10は、両端が開口された筒状の金属部材であり、内部に回転子30と固定子40と一対の軸受51,52とが収容されている。なお、モータケース10とブラケット21,22との当接部分には、Oリング等の弾性体が設けられるようにしてもよい。このようにすることで、モータケース10内の気密を保つことができる。
一対のブラケット21,22はモータケース10の両端の開口をそれぞれ覆うように設けられた平板状の金属部材であり、具体的には鉄製の部材である。
回転子30はモータケース10の内部に収容されており、回転子コア31の軸心に回転軸32を有している。また、回転子コア31には、その外周に沿って図示しない複数の磁石が配置されており、互いに隣り合う磁石は磁極の極性が異なっている。モータ300は、回転子コア31の内部に複数の磁石が埋め込まれた、いわゆるIPMモータである。
回転軸32は、ブラケット21を貫通して、モータケース10の外部に突出するように設けられている。また、回転軸32のブラケット21から突出した部分に回転軸32の回転に応じて回転駆動される負荷(図示せず)が連結される。
固定子40は、モータケース10の内部に収容され、かつ回転子30の径方向外側に回転子30と所定の間隔をあけて設けられている。固定子40は、モータケース10の内側面に固定されたヨーク41と、ヨーク41の周方向に沿って所定の間隔をあけて設けられた複数の突極(図示せず)と、複数の突極のそれぞれに巻回された複数のコイル42とで構成されている。
一対の軸受51,52は、一対のブラケット21,22の内面にそれぞれ取付けられ、回転軸32を回転可能に支持している。
ロータリーエンコーダ100は、ブラケット22の上面から外部に突出した回転軸32に取り付けられており、光学式エンコーダ110と磁気式エンコーダ120とを有している。ロータリーエンコーダ100の構成については後で詳述する。
エンコーダケース150は、有底筒状の部品であり、ロータリーエンコーダ100を囲むように、ブラケット22の上面に取付け固定されている。なお、エンコーダケース150の外部からの磁界の影響を防ぐため、エンコーダケース150は、強磁性体金属、例えば、鉄の板材から形成される。エンコーダケース150は、ロータリーエンコーダ100を機械的に保護するとともに、これらにオイルや水分等の液体が付着するのを防止する役割を果たしている。また、エンコーダケース150の内部には、エンコーダフレーム155に支持された回路基板140が設けられている。また、エンコーダフレーム155は、後で述べる回転板130の径方向外側に、回転板130を囲むように設けられている。エンコーダフレーム155の下端部はブラケット22に取り付けられ、上端部に回路基板140が取り付けられている。
次に、モータ300の動作及びその制御について説明する。
固定子40に設けられた複数のコイル42は所定の配置関係にある3組に分けられており、それぞれのコイル42の組に互いに電気角で120°の位相差を有する3相の電流が流れて励磁され、固定子40に回転磁界が発生する。この回転磁界と、回転子30に設けられた磁石が発生する磁界との間で相互作用を生じてトルクが発生し、回転軸32が軸受51,52に支持されて回転する。
モータ制御部310は、ロータリーエンコーダ100と複数のコイル42のそれぞれとに電気的に接続されている。ロータリーエンコーダ100で検出された回転軸32の回転位置及び回転量に基づいて、複数のコイル42に流れる電流の位相や電流量を補正することで、モータ300の回転状態を所望の状態に制御することができる。また、回転軸32に連結された負荷(図示せず)の移動量や軌跡を所望の値に制御できる。
ここで、「回転量」とは、回転軸32が何回転したかを表わす「回転数」と、後で述べる磁気検出素子90と磁石80a,80bとの配置に応じて所定の原点位置から回転軸32が回転した角度範囲とを含む情報をいう。また、「回転位置」とは、所定の原点位置から回転軸32が回転した角度のことをいい、本実施形態では、1回転以内に原点位置から回転軸32が回転した角度をいう。なお、原点位置の情報は、光学式エンコーダの反射パターンに対応して設定された情報がエンコーダ又は制御機器に記録されている。また、磁気式エンコーダ120に設けられた磁気検出素子90の検出信号から大まかに知ることができる。光学式エンコーダの反射パターンに対応して設定された情報がエンコーダ又は制御機器に記録されている。
[ロータリーエンコーダ及び磁気式エンコーダの構成]
図1に示すように、ロータリーエンコーダ100は、光学式エンコーダ110と磁気式エンコーダ120と回路基板140と信号処理回路200とを有している。また、ロータリーエンコーダ100は、決められた原点位置を基準として回転位置や回転量を検出するアブソリュートエンコーダである。アブソリュートエンコーダは、一回転内の分解能に応じたすべての回転位置が識別可能である為、原点位置からの回転角が容易に検出できる。
光学式エンコーダ110は回転軸32の回転位置を検出する。なお、光学式エンコーダ110が回転軸32の回転量も併せて検出するようにしてもよい。磁気式エンコーダ120は、磁気検出素子90での検出信号に基づいて回転軸32の回転量を検出する。なお、以降の説明において、光学式エンコーダ110を回転位置検出器110と、ロータリーエンコーダ100を回転検出器120とそれぞれ呼ぶことがある。
光学式エンコーダ110は、受発光素子111と回転板130と回転板130の上面に配置されたスリット板112とを有する反射形エンコーダである。なお、回転板130は、回転軸32に回転一体に取り付けられている。また、回転板130は磁気式エンコーダ120と共有され、磁束を通過させる材質、例えば、アルミニウム等の非磁性体金属や樹脂等からなる。
受発光素子111は回路基板140の下面に取り付けられており、スリット板112には、受発光素子111からの光を反射するための反射パターン112aが設けられている。反射パターン112aは円環状であり、受発光素子111からの光を反射するための複数のマスクパターン(図示せず)が周方向に沿って設けられている。このため、受発光素子111が発光すると、その光が回転板130の回転に応じて受発光素子111に向けて周期的に反射され、受発光素子111は時間的に変調された受光信号を発生する。この受光信号を回路基板140に取り付けられた信号処理回路200で演算処理することにより、回転板130、ひいては回転軸32の回転位置が検出される。
磁気式エンコーダ120は、2つの磁石80a,80bと磁気遮蔽板70と磁気検出素子90とを有している。また、磁気式エンコーダ120は光学式エンコーダ110と回転板130を共有している。
2つの磁石80a,80bは、径方向に互いに間隔をあけてブラケット22の外面に取付け固定されている。2つの磁石80a,80bは、周方向に沿った磁極の向きが互いに異なるように配置されている。また、2つの磁石80a,80bは、磁気遮蔽板70の外周近くに、回転軸32と径方向に間隔をあけて固定配置されている。
磁気遮蔽板70は、鉄等の磁気を遮蔽する材料からなる円板状の部材であり、回転板130の下面に取付けられて、回転軸32に回転一体に構成されている。また、磁気遮蔽板70は、磁石80a,80bと軸方向に間隔をあけて配置されている。
磁気遮蔽板70には、その外周部分を一部切り欠くことで磁束通過部70b(図4参照)が形成されている。また、軸方向に関し、回転軸32を挟んで磁束通過部70bと反対側に磁気遮蔽板70を厚さ方向、つまり、軸方向に貫通する磁束通過部70a(図4参照)が形成されている。磁気遮蔽板70は、回転軸32及び回転板130とともに回転する場合、磁束通過部70a,70bが、それぞれ、磁石80a,80bと磁気検出素子90との間を通過するように回転板130に取付けられている。
磁気検出素子90は、ウィーガントワイヤ90aとその周りに設けられた誘導コイル90bとで構成される。ウィーガントワイヤ90aは、軸心と外側で透磁率が異なる磁性体であり、所定値以上の磁界が磁気検出素子90の長手方向に沿って誘導コイル90bの内部に印加されると大バルクハウゼン効果を発現し、磁化方向が磁気検出素子90の長手方向の一方に向かうように揃う。また、磁気検出素子90の長手方向に沿って誘導コイル90bの内部に流れる磁束の向きが変化すると、ウィーガントワイヤ90aの磁化方向が跳躍的に反転して誘導コイル90bの両端に電圧パルスが誘起されるように構成されている。
磁気検出素子90は、回路基板140に実装され、軸方向に関し、磁気遮蔽板70を挟んで磁石80a,80bと反対側に固定配置されている。また、磁気検出素子90は、磁気遮蔽板70の外周近くに、回転軸32と径方向に所定の間隔をあけて固定配置されている。また、磁気検出素子90の長手方向、つまり、磁気検出素子の一端と他端とを結ぶ方向は、磁石80a,80bのそれぞれの長手方向に略等しい。なお、また、2つの磁石80a,80b及び磁気検出素子90はそれぞれ固定配置されている。つまり、2つの磁石80a,80bは磁気検出素子90に対して相対位置が変化せずにエンコーダケース150の内部に配置されている。
図2は、信号処理回路の機能ブロック構成の概略構成図であり、信号処理回路200は、光学式エンコーダ110及び磁気式エンコーダ120のそれぞれの検出信号に基づいて、回転軸32の回転位置及び回転量を算出する。信号処理回路200は、回路基板140の上面に取り付けられており、受発光素子111や磁気検出素子90と電気的に接続されている。
図2に示すように、信号処理回路200は、受発光素子111からの受光信号を受け取ってこれを演算処理する光学信号処理回路210と、磁気検出素子90の検出信号を受け取ってこれを演算処理する磁気信号処理回路220と、光学信号処理回路210から出力される信号と磁気信号処理回路220から出力される信号とを処理して信号処理回路200の外部に回転位置と回転量を出力するためのインターフェース部であるI/O部224を有している。なお、本願明細書では、光学信号処理回路210の内部構成については図示及び説明を省略する。
信号処理回路200は、ロータリーエンコーダ100の外部に設けられた電源230に電気的に接続されており、通常の動作時には、受発光素子111や光学信号処理回路210及び磁気信号処理回路220のそれぞれの駆動電力は電源230から供給される。
一方、また、電源230から信号処理回路200に電力が供給されない、いわゆる無給電状態となったときには、光学信号処理回路210及び受発光素子111は動作しないが、磁気信号処理回路220は、磁気検出素子90から供給された電力で駆動される。つまり、磁気式エンコーダ120は、磁気検出素子90から供給された電力で駆動される。
光学信号処理回路210は、受発光素子111からの受光信号に基づいて、回転軸32の回転位置を算出する。磁気信号処理回路220は、磁気検出素子90の検出信号に基づいて、回転軸32の回転量を算出する。なお、光学式エンコーダ110が回転軸32の回転位置と回転量の両方を検出する場合は、光学信号処理回路210に図示しない記憶部を設け、これに回転量の情報を記憶するようにしてもよい。
信号処理回路200で算出された回転軸32の回転位置及び回転量に基づいて、前述したように、モータ300に流れる電流の位相や電流量が補正され、モータ300の回転状態が所望の状態に制御される。
また、図2に示すように、磁気信号処理回路220は、電圧変換部221と信号処理部222と記憶部223とを少なくとも有している。なお、これら以外の機能ブロック、例えば、光学信号処理装置210とデータをやり取りする通信部(図示せず)等が設けられていてもよい。
後で詳述するように、磁気遮蔽板70の回転に応じて、磁石80a,80bで発生した磁束が磁気検出素子90に流れると、磁気検出素子90の誘導コイル90bの両端に電圧パルスが誘起される。磁気検出素子90から出力された電圧パルスは、電圧変換部221に入力されて、所定の電圧に変換される。具体的には、電圧パルスはそれぞれ整流された後、電圧の極性に応じて、それぞれ設けられた図示しないコンデンサに入力される。こうして、コンデンサに電荷が蓄積され、コンデンサの容量に応じた電圧が次段に出力される。なお、電圧変換の手法は、特にこれに限定されず、種々の手法を適用しうる。また、電圧パルスの極性判別方法及び極性に応じた信号の分別手法も適宜、種々の手法を適用しうる。
電圧変換部221の出力信号は信号処理部222に入力され、磁気検出素子90で発生した電圧パルスの発生回数に応じて、回転軸32の回転量が算出される。また、信号処理部222の出力信号は、記憶部223に保存される。なお、記憶部223は、通常、不揮発性メモリにより構成される。
なお、前述した一連の信号処理を実行するにあたって、信号処理部222、及び記憶部223の駆動電力は、電圧変換部221から供給される。具体的には、磁気検出素子90から出力された電圧パルスに応じて電荷が蓄積されたコンデンサが駆動電源となる。つまり、磁気式エンコーダ120は、外部電源からの電力供給無しで駆動可能に構成されたバッテリレスのエンコーダである。
なお、電圧変換部221、信号処理部222、記憶部223及びI/O部224は、それぞれ回路基板100に実装された単一の電子部品または電子部品の組み合わせで構成されるか、あるいは、IC(集積回路)及び/またはLSI(大規模集積回路)の組み合わせで構成される。
また、記憶部223に保存された回転量の情報を読み出して、光学式エンコーダ110で算出された回転位置の情報と合成することにより、回転軸32の多回転情報を得ることができる。この合成はI/O部224にて行われる。例えば、ある時点における原点位置からの回転位置をθとし、モータ300の起動時からの回転軸32の回転数をnとすると、回転軸32の積算回転角度に相当する多回転情報Sは、式(1)に示す形で表現できる。
S=θ+2πn ・・・(1)
多回転情報Sを記憶部223に保存するようにしてもよい。モータ300がロボットアームの関節軸に用いられるサーボモータである場合は、多回転情報Sに基づいてロボットアームの先端の移動量を算出できる。なお、光学式エンコーダ110が回転軸32の回転位置と回転量の両方を検出する場合は、多回転情報Sは光学式エンコーダ110の検出結果のみから算出してもよい。
なお、ロータリーエンコーダ100、特に磁気式エンコーダ120の配置は、図1に示した例に特に限定されない。
図3は、別の磁気式エンコーダの断面模式図を示す。図3に示す磁気式エンコーダ60は、以下の点で図1に示す構成と異なる。
まず、磁気遮蔽板70がボス160に取り付けられている。ボス160はビスねじ(図示せず)により回転軸32に回転一体に取り付けられている。従って、この場合も、磁気遮蔽板70は回転軸32の回転とともに回転する。磁気検出素子90及び信号処理回路200が回路基板140の下面に取り付けられている。
磁気式エンコーダ60をこのように構成しても、回転量を前述したように検出することができる。
なお、図3において、光学式エンコーダ110の図示を省略しているが、例えば、磁気遮蔽板70の上方に、前述のスリット板112が配置された回転板130を回転軸32に取り付け、かつ、回路基板140の下面に受発光素子111を取り付けることで、光学式エンコーダ110を構成してもよい。
[ロータリーエンコーダの回転量検出動作]
図4~5Bを用いてロータリーエンコーダの回転量検出動作について説明する。図4は、回転軸の回転に伴う磁気式エンコーダ内での磁束の流れを、図5A、図5Bは、回転軸の回転角度と磁気検出素子の出力電圧との関係をそれぞれ模式的に示す。
なお、図4において、(a)図は、上から見た磁気式エンコーダ60の内部配置を、(b)図は、下から見た磁気式エンコーダ60の内部配置を、(c)図は、(b)図に示す状態から磁気遮蔽板70が180度回転した場合の内部配置をそれぞれ示している。また、説明の便宜上、図4,5A,5B及び以降に説明する実施形態2及び変形例1に示す各図面は、図3に示す磁気式エンコーダ60の構成に基づいて図示している。また、磁気式エンコーダ60において、磁石80a,80bと磁気遮蔽板70と磁気検出素子90とボス160以外の構成部品の図示を省略している。
図4の(a),(b)図に示すように、磁気遮蔽板70が回転して、磁束通過部70aが磁石80aと磁気検出素子90との間、具体的には、軸方向から見て、磁束通過部70aが磁石80a及び磁気検出素子90と互いに重なり合う位置に移動した場合を考える。
磁束通過部70aは、磁気遮蔽板70の外周側に設けられ、磁気遮蔽板70と軸方向に貫通する開口として構成されている。また、図4の(a),(b)図に示す位置において、磁束通過部70aは、磁石80aがその下方に位置する一方、磁石80bが磁気遮蔽板70の下方に位置するように磁気遮蔽板70での位置が規定されている。このため、磁石80aで発生した磁束は、N極から、磁束通過部70aを通じて磁気検出素子90の内部を流れ、S極に到達する。つまり、磁気検出素子90の一端から他端に向けて磁束が流れる。従って、磁気検出素子90の誘導コイル90bの両端にパルス状の電圧が誘起され、このときに発生する電圧パルスを正の電圧パルスとする。
磁気遮蔽板70が、図4の(a),(b)図に示す位置から、例えば、時計回り方向に回転すると、磁石80a,80bと磁気検出素子90との間には、磁気遮蔽板70が配置されることとなり、磁石80a,80bで発生した磁束は、磁気遮蔽板70で遮蔽され、磁気検出素子90の内部を流れなくなる。この場合、磁気検出素子90の誘導コイル90bの両端には電圧が誘起されない。
磁気遮蔽板70がさらに時計回り方向に回転すると、図4の(c)図に示すように、回転軸32を挟んで、径方向に磁束通過部70aと対向して配置された磁束通過部70bが、軸方向から見て磁石80b及び磁気検出素子90と互いに重なり合う位置に移動する。なお、磁束通過部70bは、磁気遮蔽板70の外周から内側に向かって形成された切り欠きとして構成されている。また、図4の(c)図に示す位置において、磁束通過部70bは、磁石80bがその下方に位置する一方、磁石80aが磁気遮蔽板70の下方に位置するように磁気遮蔽板70での位置が規定されている。
前述したように、磁石80aと磁石80bは、周方向に沿った磁極の向きが互いに異なるように配置されている。このため、図4の(c)図に示す場合には、磁気検出素子90の他端から一端に向けて磁束が流れる。従って、磁気検出素子90の誘導コイル90bの両端には、図4の(b)図で発生した電圧と逆極性の電圧パルス、つまり、負の電圧パルスが誘起される。
このように、回転軸32とともに磁気遮蔽板70が回転し、磁束通過部70a,70bが磁石80a,80bと磁気検出素子90との間をそれぞれ通過すると、磁気検出素子90に極性の異なる電圧が誘起される。従って、図5Aに示すように、回転軸32が360度回転する間に、磁気検出素子90から正負両方の電圧パルスが出力される。なお、図5Aにおいて、期間Aは、前後を含めて、磁束通過部70aが図4の(b)図に示す位置を通過する期間に対応し、期間Bは、前後を含めて、磁束通過部70bが図4の(c)図に示す位置を通過する期間に対応している。また、図5Bに示すように、磁気検出素子90から出力される電圧パルスの幅t1、t2は、磁気検出素子90及び磁気信号処理回路220に由来し、磁気遮蔽版70の回転速度にはあまり影響されない。
[効果等]
以上説明したように、本実施形態に係るロータリーエンコーダ(回転検出器)100は、磁気式エンコーダ60または磁気式エンコーダ120を有しており、モータ300の回転軸32の回転量を検出する。また、磁気式エンコーダ60,120は、磁性体であるウィーガントワイヤ90aと誘導コイル90bとで構成された磁気検出素子90と、回転軸32に回転一体に取付けられ、磁束通過部70a,70bを有する磁気遮蔽板70と、2つの磁石80a,80bと、を少なくとも備えている。
2つの磁石80a,80bは、磁気検出素子90に対して相対位置が変化せず、また、互いに異なる極性の磁極を有している。つまり、2つの磁石80a,80bは、N極とS極とをそれぞれ有している。
ウィーガントワイヤ90aは、所定以上の磁界が印加されると大バルクハウゼン効果を発現するように構成されている。
所定の方向、この場合は軸方向から見て、磁気検出素子90と磁気遮蔽板70と2つの磁石80a,80bとは互いに間隔をあけてこの順に配置されている。
本実施形態によれば、磁石80a,80bと磁気検出素子90との間に、磁束通過部70a,70bを有し、回転軸32とともに回転可能に構成された磁気遮蔽板70を設けることで、磁石80a,80bと磁気検出素子90との配置関係に大きな制約を受けない。このことにより、ロータリーエンコーダ100の設計自由度が向上し、設計コストや部品コストを低減できる。
また、磁気検出素子90に誘起された電圧により、磁気的エンコーダ60,120を駆動することができる。つまり、ロータリーエンコーダ100を駆動する電源230から何らかの理由で電力が供給されない場合にも、磁気式エンコーダ60,120を駆動することができる。また、回転軸32が1回転する間に、磁気検出素子90で複数回の電圧パルスが発生するため、磁気式エンコーダ60,120を駆動するのに必要な発電量を得るのに高価な磁石を用いずに済む。このことにより、磁気式エンコーダ60,120、ひいてはロータリーエンコーダ100のコストを低減できる。
なお、電源230からロータリーエンコーダ100に電力が供給されない場合として、停電や電源230がバッテリーの場合はその消耗等が挙げられる。また、モータ300が連結された設備を移動させる場合も、モータ300を含めて電力供給を停止するため、ロータリーエンコーダ100に電力が供給されない。
また、前述したように、ウィーガントワイヤ90aは、所定以上の磁界が加わることで大バルクハウゼン効果を発現してその磁化方向が反転し、誘導コイル90bの両端に電圧パルスが誘起される。このとき、磁化方向の反転速度は、ウィーガントワイヤ90aの磁気的性質に依存し、回転軸32の回転速度には依存しない。
従って、磁気検出素子90をウィーガントワイヤ90aと誘導コイル90bとで構成することで、回転軸32の回転速度に依存せず、磁気検出素子90で発生する電圧パルスの大きさを所定の値とすることができる。例えば、回転速度に依存した電磁誘導のみでは十分な発電量が得られない程度の低速回転においても、磁気式エンコーダ60,120を駆動するのに十分な電力が磁気検出素子90から得られる。
磁気検出素子90の両端は、軸方向と直交する平面内に位置している。また、磁気遮蔽板70は、軸方向と直交する平面内に位置する板状の部材である。2つの磁石80a,80bの磁極のそれぞれは、軸方向と直交する平面内に配列されている。
このようにすることで、磁石80a,80bでそれぞれ発生し、軸方向で上方に向かう磁束が、磁気遮蔽板70の磁束通過部70a,70bを通過して、磁気検出素子90の内部に確実に流れるようになる。このことにより、回転量を確実に検出できるとともに、磁気式エンコーダ60,120を駆動するのに十分な電力が磁気検出素子90から得られる。
なお、磁気遮蔽板70は、磁石80a,80bで発生し、軸方向に流れる磁束の通過と遮断を制御するための部材である。よって、磁気遮蔽板70は、必ずしも軸方向と直交する平面内に位置する必要はなく、軸方向と交差する平面内に位置していればよい。
また、回転板130の材質を磁気遮蔽板70に用いられる材料よりも軽量なもの、例えば、磁気遮蔽板70を鉄系材料とする場合に、回転板130をアルミ板とすることで、モータ300の負荷を低減できる。
また、回転軸32の回転に応じて、磁束通過部70a,70bが、磁石80a,80b及び磁気検出素子90と軸方向から見て互いに重なる位置にそれぞれ移動した場合、磁石80a,80bで発生した磁束が、磁束通過部70a,70bを通じて磁気検出素子90に流れる。この場合、磁気検出素子90の両端に電圧が誘起される。一方、磁束通過部70a,70bがこれ以外の位置にある場合、磁石80a,80bのそれぞれと磁気検出素子90との間には磁気遮蔽板70が存在するため、磁石80a,80bで発生した磁束は、磁気遮蔽板70で遮蔽されて磁気検出素子90に到達せず、磁気検出素子90の両端に電圧は誘起されない。
従って、磁気検出素子90の両端に発生した電圧をモニターし、電圧パルスの発生回数をカウントすることで、回転軸32の回転量を検出することが可能となる。
磁束通過部70a,70bは、外周方向に所定の間隔をあけて磁気遮蔽板70に形成されている。互いに隣り合う磁束通過部70a,70bがそれぞれ磁気検出素子90及び磁石80a,80bと軸方向から見て互いに重なる位置に移動した場合、一方の磁束通過部70aを通過して磁気検出素子90に流れる磁束の向きと、他方の磁束通過部70bを通過して磁気検出素子90に流れる磁束の向きとは互いに異なる。
ロータリーエンコーダ100の磁気式エンコーダ60,120をこのように構成することで、互いに隣り合う磁束通過部70a,70bがそれぞれ磁気検出素子90と磁石80a,80bとの間を通過した場合には、磁気検出素子90の両端には、互いに異なる極性の電圧パルスが発生する。このことにより、例えば、回転軸32が時計回り方向に回転し続ける場合には、磁気検出素子90の両端に発生した電圧パルスの極性と発生回数とに基づいて、回転軸32の回転量を検出することができる。また、回転軸32が1回転する間に、磁気検出素子90に複数回、電圧が誘起されるが、1回転分の誘起電圧で磁気式エンコーダ60,120を駆動するのに十分な電力を得ることができる。
2つの磁石80a,80bは、磁気遮蔽板70の外周近くに、径方向、つまり、磁気遮蔽板70の半径方向に沿って所定の間隔をあけて配置されており、互いに隣り合う磁石80a,80bにおいて、周方向、つまり、磁気遮蔽板70の外周方向に沿った磁極の向きが互いに異なる。
2つの磁石80a,80bをこのように配置することで、例えば、磁束通過部70a,70bがそれぞれ磁気検出素子90と磁石80a,80bとの間を通過した場合に、一方の磁石から発生した磁束のみが磁束通過部を通過するようにできる。また、2つの磁石80a,80bにおいて、磁気遮蔽板70の外周方向に沿った磁極の向きが互いに異なっているため、回転軸32が時計回り方向に回転し続ける場合には、磁気検出素子90の両端に発生した電圧パルスの極性が周期的に変化し、当該極性と発生回数とに基づいて、回転軸32の回転量を検出することができる。
磁束通過部70a,70bは、磁気遮蔽板70の外周から内側に向かうように形成された切り欠き及び磁気遮蔽板70を軸方向に貫通する開口の少なくともいずれかであることが好ましい。
このようにすることで、磁束通過部70a,70bを簡便に形成することができる。また、磁石80a,80bで発生した磁束を確実に通過させることができる。
ロータリーエンコーダ100は、磁気信号処理回路220を有している。磁気信号処理回路220は、磁気検出素子90の両端に発生した電圧を整流し、所定の電圧に変換する電圧変換部221と、所定の電圧の発生回数に応じて回転軸32の回転量を算出する信号処理部222と、信号処理部222で算出された回転量を保存する記憶部223と、光学信号処理回路210から出力される信号と磁気信号処理回路220から出力される信号とを処理して信号処理回路200の回転位置と回転量を外部に出力するI/O部224と、を備えている。この場合、信号処理部222と記憶部223の駆動電力は、電圧変換部221から供給される。
ロータリーエンコーダ100の磁気式エンコーダ60,120をこのように構成することで、磁気遮蔽板70の回転に応じて磁気検出素子90の両端に発生した電圧に基づいて、回転軸32の回転量を検出することができる。また、当該回転量を記憶することで、モータ300の回転制御にフィードバックすることができる。さらに、磁気検出素子90の両端に発生した電圧を変換する電圧変換部221から信号処理部222、及び記憶部223に駆動電力が供給されることで、電源230からロータリーエンコーダ100に電力が供給されない場合にも磁気式エンコーダ60,120を駆動することができる。
本実施形態のロータリーエンコーダ100は、回転軸32の回転位置を検出する光学式エンコーダ(光学式回転検出器)110をさらに備えている。
ロータリーエンコーダ100は外部に設けられた電源230に接続されており、電源230からロータリーエンコーダ100に電力が供給される場合は、ロータリーエンコーダ100は、回転軸32の回転量を検出するとともに光学式エンコーダ110により回転軸32の回転位置を検出する。
電源230からロータリーエンコーダ100に電力が供給されない場合は、電圧変換部221から信号処理部222、及び記憶部223に駆動電力を供給することで、ロータリーエンコーダ100は回転軸32の回転量を検出する。
ロータリーエンコーダ100をこのように構成することで、回転軸32に関する多回転情報Sを得ることができる。また、多回転情報Sに基づいて、モータ300の回転状態を所望の状態に制御できる。
さらに、電源230からロータリーエンコーダ100に電力が供給されない場合であっても、磁気検出素子90で発生した電圧パルスに基づいて電圧変換部221から信号処理部222、及び記憶部223に駆動電力を供給することで、磁気式エンコーダ60,120により回転軸32の回転量を検出できる。このことにより、電力供給が再開された場合に、光学式エンコーダ110で検出された回転位置と、それまでに検出されて記憶部223に保存された回転量とに基づいて、多回転情報Sを正しい値に補正することができる。
本実施形態に係るモータ300は、回転軸32を有する回転子30と、回転子30と同軸にかつ回転子30と径方向に所定の間隔をあけて設けられた固定子40と、回転軸32に取付けられたロータリーエンコーダ100と、を少なくとも備えている。
本実施形態によれば、ロータリーエンコーダ100、ひいてはモータ300のコストを低減できる。また、モータ300の回転状態を確実に制御することができる。
<変形例1>
図6~8は、本変形例に係る磁気式エンコーダ内での磁束の流れの模式図をそれぞれ示す。
なお、以降に示す図面を説明するにあたって、実施形態1と同様の箇所については同一の符号を付して詳細な説明を省略する。また、磁石81a~83bと磁気遮蔽板70と磁気検出素子90とボス160以外の構成部品の図示を省略しているのは、図3と同様である。また、図6~8のそれぞれにおいて、(a)図は、下から見た磁気式エンコーダ60の内部配置を、(b)図は、上から見た磁気式エンコーダ60の内部配置を、(c)図は、(b)図に示す状態から磁気遮蔽板70が180度回転した場合の内部配置をそれぞれ示している。
まず、図6に示す構成は、磁束通過部70c,70dがそれぞれ開口である点で、実施形態1に示す構成と異なる。また、磁束通過部70c,70dは、回転軸32を挟んで径方向に非対称に配置されている。具体的には、磁束通過部70cは磁束通過部70dよりも回転軸32に近い場所に位置し、かつその長手方向の長さは、磁束通過部70dの長手方向の長さよりも長い。
また、2つの磁石81a,81bは、軸方向から見て、磁気遮蔽板70の外周方向に沿って所定の間隔をあけて配置されている。また、2つの磁石81a,81bにおいて対向する磁極の極性は互いに異なっている。
図6の(b)図に示すように、磁束通過部70dが磁気検出素子90と磁石81a,81bとの間を通過する場合、磁束は、磁石81bのN極から磁束通過部70dを通過して、磁気検出素子90の一端に流れ込み、さらに磁気検出素子90の内部を通過して、磁気検出素子90の他端から磁石81aのS極に流れ込む。一方、図6の(c)図に示すように、磁束通過部70cが磁気検出素子90と磁石81a,81bとの間を通過する場合、磁束は、磁石81aのN極から磁束通過部70cを通過して、磁気検出素子90の他端に流れ込み、さらに磁気検出素子90の内部を通過して、磁気検出素子90の一端から磁石81bのS極に流れ込む。
図6に示す構成によれば、実施形態1に示す構成が奏するのと同様の効果を奏することができる。また、実施形態1に示す構成に比べて、2つの磁石81a,81bの間隔をあけて配置できるため、磁石81a,81bの実装配置が容易となる。
次に、図7に示す構成は、磁束通過部70e,70e,70fが磁気遮蔽板70の外周方向に沿って所定の間隔を開けて設けられた3つの切り欠きである点で、実施形態1に示す構成と異なる。また、磁束通過部70fは、他の2つの磁束通過部70eよりも周方向に広く形成されている。また、軸方向から見て、磁束通過部70fの中心と一方の磁束通過部70eの中心とがなす角度は、磁束通過部70fの中心と他方の磁束通過部70eの中心とがなす角度に略等しい。また、2つの磁石82a,82bの配置は、図6に示す構成と同様だが、図6に示す位置よりも回転軸32に近い側に2つの磁石82a,82bが配置されている。また、2つの磁石82a,82bはそれぞれ、長手方向が径方向となっている。また、磁気検出素子90も図6に示す位置よりも回転軸32に近い側に配置されている。
図7の(b)図に示すように、2つの磁束通過部70eが磁気検出素子90の両端をそれぞれ通過する場合、磁束は、磁石82aのN極から一方の磁束通過部70eを通過して、磁気検出素子90の他端に流れ込み、さらに磁気検出素子90の内部を通過して、磁気検出素子90の一端から及び他方の磁束通過部70eへ、さらに磁石82bのS極に流れ込む。一方、図7の(c)図に示すように、磁束通過部70fが磁気検出素子90と磁石82a,82bとの間を通過する場合、磁束は、磁石82bのN極から磁束通過部70fを通過して、磁気検出素子90の一端に流れ込み、さらに磁気検出素子90の内部を通過して、磁気検出素子90の他端から磁石82aのS極に流れ込む。
図7に示す構成によれば、実施形態1に示す構成が奏するのと同様の効果を奏することができる。また、図6に示す構成と同様に、2つの磁石82a,82bの間隔をあけて配置できるため、磁石82a,82bの実装配置が容易となる。
なお、図8に示すように、磁気遮蔽板70に磁束通過部70gを1箇所設け、かつ磁気検出素子90を回転軸32と同軸に配置するようにしてもよい。この場合も、磁束通過部70gが磁石83a,83bと磁気検出素子90との間を通過する際に、磁気検出素子90の両端に電圧パルスが誘起され、その発生回数に基づいて回転軸32の回転量を検出することができる。
(実施形態2)
図9は、本実施形態に係る磁気遮蔽板と磁気検出素子との配置関係を模式的に示している。また、説明の便宜上、磁気式エンコーダ60における磁気遮蔽板70と磁気検出素子90以外の構成部品の図示を省略しており、かつ磁気検出素子90は一部のみを図示している。
図9に示す構成は、磁気検出素子90が磁気遮蔽板70の外周方向に沿って複数配置されている点で、実施形態1に示す構成と異なる。なお、図示しないが、磁気遮蔽板70を挟んで磁気検出素子90と反対側に2つの磁石が固定配置されている。図示しない2つの磁石の配置は、図3に示すのと同様である。すなわち、2つの磁石は、径方向に互いに間隔をあけてブラケット22の外面に取付け固定され、また、周方向に沿った磁極の向きが互いに異なるように配置されている。また、1つの磁気検出素子90の長手方向は、2つの磁石の長手方向に略等しい。
また、磁気検出素子90の配置個数及び周方向での配置間隔に応じて、磁気遮蔽板70に複数の磁束通過部70h,70iが形成されており、互いに隣り合う磁束通過部70h,70iのうち、一方の磁束通過部70iは、磁気遮蔽板70の外周から内側に向かうように形成された切り欠きであり、他方の磁束通過部70hは、磁束通過部よりも径方向で内側に形成された開口である。
切り欠きとして構成された磁束通過部70iが磁石と磁気検出素子90との間を通過する場合、径方向で外側に位置する磁石で発生した磁束が磁気検出素子90の内部に流れて、磁気検出素子90の両端に電圧パルスが発生する。一方、開口として構成された磁束通過部70hが磁石と磁気検出素子90との間を通過する場合、径方向で内側に位置する磁石で発生した磁束が磁気検出素子90の内部に流れて、磁気検出素子90の両端に、前述した電圧パルスと逆の極性を有する別の電圧パルスが発生する。
本実施形態によれば、実施形態1に示す構成が奏するのと同様の効果を奏することができる。また、回転軸32の回転量だけでなく磁気検出素子90で発生した電圧パルスの極性に基づいて回転方向の変化も検出することができる。
回転軸32が時計回り方向から反時計回り方向に回転方向を変えるような場合、磁気式エンコーダ60に含まれる磁気検出素子90が1つのみでは、回転方向の変化を検出することができなかった。
一方、本実施形態によれば、磁気遮蔽板70の外周方向に沿って磁気検出素子90を複数配置することで、回転軸32の回転量だけでなく回転方向の変化も検出することができる。なお、回転方向を精度良く判定するためには、互いに隣り合う磁気検出素子90は、周方向に180度離れた位置を避けて配置されるのが好ましい。
また、本実施形態によれば、回転軸32が1回転する間に、複数の磁気検出素子90のそれぞれで電圧パルスが発生するため、検出されたデータの冗長性が確保される。さらに、磁気式エンコーダ60を駆動する電力の安定性を高められる。
なお、互いに極性の異なる磁極の組が、磁気検出素子90の個数よりも多くなるように磁気式エンコーダ60は設計される。
このようにすることで、1つの磁気検出素子90に関して、回転軸32が1回転する間に極性の異なる電圧パルスをそれぞれ発生させることができ、回転方向の変化を容易に検出できる。
<変形例2>
図10Aは、本変形例に係る磁気遮蔽板と磁石との配置関係の模式図を、図10Bは、別の磁気遮蔽板と磁石との配置関係の模式図をそれぞれ示す。また、磁気式エンコーダ60において、磁気遮蔽板71,72と磁石80a,80bと回転板130以外の構成部品の図示を省略している。また、磁石80a,80bは一部のみを図示している。なお、磁石80a,80bは、図2に示すのと同様である。
図10Aに示すように、磁気遮蔽板71を環状に形成し、かつ互いに内径が異なる部分と互いに外径が異なる部分と交互に設けることで、磁束通過部71a,71bが形成されるようにしてもよい。この場合、回転板130の表面に磁気遮蔽板71が固定配置され、回転板130が回転軸32に回転一体に連結される。回転軸32とともに回転板130が回転することで、磁束通過部71a,71bが磁石80a,80bと磁気検出素子90との間をそれぞれ通過するように移動する。磁束通過部71aが磁石80a,80bと図示しない磁気検出素子90との間を通過する際、磁石80aで発生した磁束は磁気遮蔽板71に遮蔽される。同様に、磁束通過部71bが磁石80a,80bと図示しない磁気検出素子90との間を通過する際、磁石80bで発生した磁束は磁気遮蔽板71に遮蔽される。
また、図10Bに示すように、平面視で四角形の磁性体からなる板材を、周方向に所定の間隔をあけて回転板130に貼り付けることで、略環状の磁気遮蔽板72が構成されるようにしてもよい。この場合、互いに隣り合う板材を径方向に所定の間隔だけずらして配置することで磁束通過部72a,72bが構成される。なお、磁性体からなる板材は、四角形以外の形状でもよく、例えば、楕円形でもよい。
図10A,10Bに示す磁気遮蔽板71,72を磁気式エンコーダ60,120に適用した場合も、実施形態1,2に示す構成が奏するのと同様の効果を奏することができる。また、本実施形態によれば、磁気検出素子90への磁束の流れを遮蔽する磁性体を使用する量を減らすことができ、磁気式エンコーダ120、ひいてはロータリーエンコーダ130のコストを低減できる。
また、本変形例によれば、磁気遮蔽板71,72のトータルの質量を実施形態1等に示す構成に比べて減らすことができ、モータ300の負荷を低減できる。
また、図10Bに示す磁気遮蔽板72は、同じ形状の板材を適宜、回転板130に貼り付けて構成されるため、設計が容易となり、磁気遮蔽板72の設計工数や設計コストが低減できる。
<変形例3>
図11A~11Cは、本変形例に係る磁石の磁極配列の模式図をそれぞれ示す。なお、説明の便宜上、図11B,11Cにおいて、磁極の一部のみを図示し、他は省略している。
図11Aに示すように、1つの磁石84にN極、S極の磁極対を2つ形成するようにしてもよい。例えば、図4に示す2つの磁石80a,80bを、図11Aに示す磁石84に置き換えてもよい。また、これに限らず、磁石が互いに極性の異なる磁極を複数組有するようにしてもよい。
また、図10A,10Bでは、一対の磁石80a,80bを磁気遮蔽板70の外周方向に沿って複数配置する例を示したが、図11Bに示すように、磁石85を環状に形成するとともに、回転軸32と同軸に配置するようにしてもよい。この場合、磁石85において、互いに極性の異なる磁極が径方向に沿って交互に配列される。
また、図11Bに示す構造に対して、図11Cに示すように、半径方向に沿って配列された複数の磁極をさらに有するように磁石86を構成してもよい。この場合、径方向で互いに隣り合う磁極は、極性が互いに異なるように配列される。なお、磁石85,86は、回転軸32と同軸に配置される。
磁気遮蔽板70に形成された磁束通過部の形状や配置に応じて、図11A~11Cに示す形状の磁石を適宜、磁気式エンコーダ60,120に適用するようにしてもよい。これらの場合も実施形態1,2に示す構成が奏するのと同様の効果を奏することができる。また、配置される磁石の個数を減らせるため、磁気式エンコーダ60,120、ひいてはロータリーエンコーダ100の組立工数や組立コストを低減できる。
なお、単極に着磁された複数の磁石を用いて、図11A~図11Cに示す磁石84~86を構成するようにしてもよい。その場合、それぞれの磁石が互いに間隔をあけて配置されていてもよい。
<変形例4>
図12Aは、本変形例に係る磁気式エンコーダを上から見た模式図を、図12Bは、別の磁気式エンコーダを上から見た模式図をそれぞれ示す。なお、説明の便宜上、図12A,12Bにおいて、磁石80a,80b,86と磁気遮蔽板70と磁気検出素子90以外の部品の図示を省略する。
図12A,12Bに示す本変形例の構成では、磁石80aのN極と磁石80bのS極とが、つまり互いに極性の異なる磁極が径方向に沿って配列されている。同様に、磁石80aのS極と磁石80bのN極とが径方向に沿って配列されている。磁石86は、周方向に沿ってN極とS極とが交互に配置されるとともに、径方向でS極とN極とが隣り合って配置されている。さらに、磁気検出素子90の両端が径方向に沿って配置されている。
磁石80a,80b,86の磁極及び磁気検出素子90をこのように配置することで、磁気検出素子90の一端から他端に向けて確実に磁束が流れるようにすることができる。これについてさらに説明する。
前述したように、ウィーガントワイヤ90aは、その長手方向に所定以上の磁界が加わることで磁化方向が反転する。一方、実施形態1や実施形態2に示す例では、磁気検出素子90の両端を結ぶ線、言い換えると、ウィーガントワイヤ90aの長手方向は回転板130の外周の接線方向と平行となるように配置されている。
このような場合、磁石で発生した磁束は、回転軸32の回転とともにその向きを変えつつ、磁気検出素子90の内部に流れ込む。しかし、磁気検出素子90のサイズや磁極間の距離によっては、磁束通過部が磁気検出素子90の下方を通過する期間に、磁気検出素子90の内部の磁界がウィーガントワイヤ90aの磁化方向を反転させるのに必要な強度に達しないことがある。この場合、磁気検出素子90で電圧パルスが発生せず、回転量が正しく検出されないおそれがある。
一方、本変形例によれば、ウィーガントワイヤ90aの長手方向と磁束の向きとが回転軸32の回転中も常におおむね一致する。このことにより、磁束通過部70gが磁気検出素子90の下方を通過する期間に、確実にウィーガントワイヤ90aの磁化方向を反転させて、磁気検出素子90で電圧パルスを発生させることができる。よって、検出抜けが起こらずに回転軸32の回転量を確実に検出することができる。
なお、本変形例では、磁気検出素子90が1個配置される例を示したが、変形例2に示すように、複数個の磁気検出素子90が配置されていてもよい。これに応じて、磁石や磁束通過部の配置や形状や個数が適宜変更されることは言うまでもない。
(実施形態3)
図13は、本実施形態に係る磁気式エンコーダを上から見た模式図を、図14は、斜視図をそれぞれ示す。また、図15は、回転軸の回転角度と磁気検出素子の出力電圧との関係を示す。
なお、説明の便宜上、図13~15において、磁気検出素子90と磁気遮蔽板73と磁石87a,87b以外の構成部品の図示を省略する。
本実施形態に示す磁気式エンコーダ120は、以下の点で実施形態1に示す構成と異なる。
まず、磁気検出素子90は、径方向に関し、磁気遮蔽板73よりも回転軸32(図示せず)に近い側に配置されている。径方向から見て、磁気検出素子90と磁気遮蔽板73と磁石87aまたは磁石87bとは互いに間隔をあけてこの順に配置されている。
次に、磁気検出素子90は、その両端を結ぶ線が軸方向と平行となるように配置されている。さらに、2つの磁石87a,87bが周方向に沿って90度以上離れて配置されており、それぞれのS極とN極は、軸方向と平行に配列されている。また、2つの磁石87a,87bにおいて、磁極の配列はそれぞれ反対となっている。また、磁気遮蔽板73は、回転軸32を囲むように設けられ、軸方向に延びる円筒状であり、磁気遮蔽板73が軸方向に切り欠かれることで、1箇所の磁束通過部73a設けられている。
また、磁気遮蔽板73は、図示しない部材によって回転軸32に回転一体に取り付けられている。回転軸32の回転とともに、図14に示すように、磁気遮蔽板73が回転することで、磁束通過部73aが磁気検出素子90と87a,87bとの間を通過することは、実施形態1や2に示すのと同様である。
ただし、本実施形態では、ウィーガントワイヤ90aの長手方向は軸方向と平行であり、この方向に流れる磁束によってウィーガントワイヤ90aが磁化され、磁気検出素子90で電圧パルスが発生する。その結果、図15に示すように、回転軸32が1回転する間に、磁気検出素子90には、正極性の電圧パルスと負極性の電圧パルスがそれぞれ1回ずつ発生する。これは、実施形態1に示すのと同様である。また、電圧パルスの発生回数に基づいて、磁気信号処理回路220で回転軸32の回転量が算出されるのも実施形態1に示すのと同様である。
図16は、本実施形態に係る別の磁気式エンコーダを上から見た模式図を、図17は、図16に示す磁気式エンコーダにおける回転軸の回転角度と磁気検出素子の出力電圧との関係を示す。
図16に示す磁気式エンコーダ120は、磁気遮蔽板73に2箇所の磁束通過部73a,73bが形成されている点で図13,14に示す磁気式エンコーダ120と異なる。磁束通過部73a,73bは周方向に沿って180度離れてそれぞれ設けられている。
磁気式エンコーダ120をこのように構成してもよく、この場合、図17に示すように、回転軸32が1回転する間に、磁気検出素子90には、正極性の電圧パルスと負極性の電圧パルスがそれぞれ2回ずつ発生する。このことにより、回転量を確実に検出できるとともに磁気式エンコーダを駆動するのに十分な電力を確保できる。また、回転方向の変化を検出できる。また、磁石87a,87bや磁気検出素子90の配置の自由度が高められ、ロータリーエンコーダ100の設計コストが増加するのを抑制できる。
なお、本実施形態に示す磁気式エンコーダ120をロータリーエンコーダ100に組み込むにあたって、その配置は複数考えられ、例えば、図18Aに示すように、モータ300に近い側に磁気式エンコーダ120を、その上方に光学式エンコーダ110をそれぞれ配置してもよく、図18Bに示すように、モータ300に近い側に光学式エンコーダ110を、その上方に磁気式エンコーダ120をそれぞれ配置してもよい。なお、図18A,18Bに示す構成において、反射パターン112aを磁気遮蔽板73の径方向内側に配置するようにしてもよい。なお、図18A,18Bに示す例では、磁気検出素子90と信号処理回路200とは配線170を介して電気的に接続されている。
本実施形態の磁気式エンコーダ120は、磁気検出素子120と磁気遮蔽板73と磁石87a,87bとが径方向に沿って配置されている。このことにより、径方向に関するこれら部品の配置の自由度が高められ、磁気式エンコーダ120を含むロータリーエンコーダ100のサイズを径方向に小さくすることが可能となる。一方、実施形態1に示す磁気式エンコーダ120は、磁気検出素子90と磁気遮蔽板70と磁石80a,80bとが軸方向に沿って配置されている。このことにより、軸方向に関するこれら部品の配置の自由度が高められ、磁気式エンコーダを含むロータリーエンコーダのサイズを軸方向に小さくすることが可能となる。これは実施形態2に示す配置関係を磁気式エンコーダ120に適用した場合にも同様である。
モータ300の種類や用途によっては、ロータリーエンコーダ100のサイズを軸方向に小型化したい場合や径方向に小型化したい場合等、複数の要請がある。以降に示す変形例を含め、本願明細書に開示されたロータリーエンコーダ100は、このような要請を満たすことができる。
<変形例5>
図19,21,23,25は、本変形例に係る磁気式エンコーダを上から見た模式図をそれぞれ示し、図20,22,24,26は、図19,21,23,25に示す磁気式エンコーダにおける回転軸の回転角度と磁気検出素子の出力電圧との関係をそれぞれ示す。なお、図20,22において、上側のグラフは磁気検出素子90の出力電圧を、下側のグラフは磁気検出素子91の出力電圧をそれぞれ示している。また、図24,26において、上側のグラフは磁気検出素子90の出力電圧を、中央のグラフは磁気検出素子91の出力電圧を、下側のグラフは磁気検出素子92の出力電圧をそれぞれ示している。なお、説明の便宜上、図19,21,23,25において、磁気検出素子90~92と磁気遮蔽板73と磁石87a~87f以外の構成部品の図示を省略する。
本変形例に係る構成は、磁気検出素子90,91または磁気検出素子90~92が周方向に沿って互いに間隔をあけて複数配置されている点で、実施形態3に示す構成と異なる。また、1つの磁気検出素子に対し、磁気遮蔽板73を挟んで一対の磁石が反対側に配置されている。対となる2つの磁石は周方向に互いに間隔をあけて配置されている。従って、図19,21に示す例では、2個の磁気検出素子90,91及び4個の磁石87a~87dが配置され、図23,25に示す例では、3個の磁気検出素子90~92及び6個の磁石87a~87fが配置されている。また、対となる2つの磁石、例えば、磁石87a,87bは軸方向に沿った磁極の配列が互いに逆方向である。なお、図19,23に示す例では、磁気遮蔽板に1個所の磁束通過部73aが、図21,25に示す例では、磁気遮蔽板に2個所の磁束通過部73a,73bが周方向に180度離れて、それぞれ設けられている。
磁気遮蔽板73が回転して、磁束通過部が1つの磁気検出素子の近傍を通過するとき、対となる2つの磁石の一方で発生した磁束が、磁気検出素子の内部を通過し、磁気検出素子に電圧パルスが発生する。また、この後に、他方の磁石で発生した磁束が、磁気検出素子の内部を通過し、磁気検出素子に電圧パルスが発生する。2つの磁石は、軸方向に関し磁極の配列が逆であるため、磁気検出素子に流れる磁束の向きも逆となる。
このため、1つの磁気検出素子において、回転軸32が1回転する間に、互いに極性の異なる1組の電圧パルスが磁束通過部の整数倍だけ発生する。
本変形例によれば、変形例1に示したのと同様に、回転軸32の回転量だけでなく回転方向の変化も検出することができる。また、回転軸32が1回転する間に、複数の磁気検出素子90~92のそれぞれで電圧パルスが発生するため、検出されたデータの冗長性が確保される。さらに、磁気式エンコーダ120を駆動する電力の安定性を高められる。また、磁気検出素子及び磁束通過部の個数を増やすことで、回転量のうち、原点位置から回転軸が回転した角度範囲の情報を細かく取得することができ、モータ300の回転状態をより精密に制御できる。また、ロータリーエンコーダ100を駆動する電源230が停止した後に再度復帰した場合、多回転情報Sを精度良く補正することができる。
なお、1つの磁気検出素子に関し、2つの磁石を互いに磁極の配列方向が逆になるように配置することで、回転軸32が1回転する間に極性の異なる電圧パルスを当該磁気検出素子にそれぞれ発生させることができ、回転方向の変化を容易に検出できる。
<変形例6>
図27,29,31は、本変形例に係る磁気式エンコーダを上から見た模式図をそれぞれ示し、図28,30,32は、図27,29,31に示す磁気式エンコーダにおける回転軸の回転角度と磁気検出素子の出力電圧との関係をそれぞれ示す。なお、図30,32において、上側のグラフは磁気検出素子90の出力電圧を、中央のグラフは磁気検出素子91の出力電圧を、下側のグラフは磁気検出素子92の出力電圧をそれぞれ示している。なお、説明の便宜上、図27,29,31において、磁気検出素子90~92と磁気遮蔽板74と磁石87a~87c及び磁石87g以外の構成部品の図示を省略する。
本変形例に係る構成は、磁気遮蔽板741,742が、回転軸32(図示せず)と同軸にかつ径方向に間隔をあけて複数設けられて磁気遮蔽板74を構成している点で実施形態3に示す構成と異なる。なお、これらの磁気遮蔽板741,742は、回転軸32に回転一体に取り付けられているため、回転軸32の回転中も、それぞれに設けられた磁束通過部741a,742a間の相対位置は変わらない。また、磁束通過部741a,741b,742a,742b間の相対位置も変わらない。
磁気検出素子90~92は、径方向に関し、磁気遮蔽板741と磁気遮蔽板742との間に配置されるとともに、磁気遮蔽板741よりも回転軸32に近い側に配置されている。磁気検出素子の個数は、図27,29,31に示す例でそれぞれ1個、3個、3個である。また、磁気検出素子が複数個ある場合、互いに隣り合う磁気検出素子は、周方向に沿って120度離れて配置されている。
また、図27及び図29に示す例では、磁気遮蔽板741,742に磁束通過部741a,742aがそれぞれ形成されている。磁気遮蔽板741に形成された磁束通過部741aと磁気遮蔽板742に形成された磁束通過部742aは、周方向に沿って所定の角度、この場合は180度だけ離れて配置されている。
図31に示す例では、磁気遮蔽板741に磁束通過部741a,741bがそれぞれ形成され、磁気遮蔽板742に磁束通過部742a,742bがそれぞれ形成されている。
磁気遮蔽板741に形成された磁束通過部741a,741bは、周方向に沿って180度だけ離れて配置されている。磁気遮蔽板742に形成された磁束通過部742a,742bは、周方向に沿って180度だけ離れて配置されている。磁気遮蔽板741,742にそれぞれ形成された磁束通過部741a,742aは、周方向に沿って90度だけ離れて配置されている。磁束通過部741b,742bは、周方向に沿って90度だけ離れて配置されている。
また、径方向で見て、磁石87gは磁気遮蔽板142の内側、具体的には回転軸32の近くに位置し、磁石87a~87cは磁気遮蔽板141の外側に位置する。図29及び図31に示す例では、磁石87a~87cは、軸方向に沿った磁極の配列が互いに同方向である。
なお、磁気検出素子の配置、個数に応じて、磁気遮蔽板141の外側に位置する磁石の配置、個数が決定される。例えば、図27に示す例では、磁気検出素子90が1個で、これに対し、磁気遮蔽板141を挟んで径方向で反対側に1個の磁石87aが配置される。また、磁石87aと磁気検出素子90と磁石87gとは、上から見て径方向に沿って一直線上に配置される。図29,31に示す例では、磁気遮蔽板141の径方向外側に位置し、互いに隣り合う磁石、例えば、磁石87aと磁石87bは、周方向に沿って120度離れて配置されている。
回転軸32の回転とともに、1つの磁気検出素子の近傍を1つの磁束通過部が通過するときは、1つの磁石で発生した磁束が、磁気検出素子の内部に流れて電圧パルスが発生する。また、径方向で磁気検出素子の内側に位置する磁束通過部を通過する磁束の向きは、外側に位置する磁束通過部を通過する磁束の向きと反対である。このため、回転軸32が1回転する間に、1つの磁気検出素子には、極性の異なる電圧パルスが磁束通過部の個数に応じてそれぞれ発生する。具体的には、それぞれの磁気遮蔽板141,142に1箇所ずつ磁束通過部が設けられる場合は、回転軸32が1回転する間に、1つの磁気検出素子に極性の異なる電圧パルスが1回ずつ発生し、2箇所ずつ設けられる場合には、1つの磁気検出素子に極性の異なる電圧パルスが2回ずつ発生する。また、回転軸32が1回転する間に発生する極性の異なる電圧パルスの組は、磁気検出素子や磁束通過部の個数に応じて増加する。例えば、図29、31に示すように、磁気検出素子が3個、磁束通過部の個数が計4個の場合、図30、32に示すように、回転軸32が1回転する間に極性の異なる電圧パルスがそれぞれ6回ずつ発生する。但し、電圧パルスが発生するタイミングは複数の磁束通過部間の配置関係によって異なる。
本変形例によれば、複数の磁気遮蔽板を同軸に配置し、磁気検出素子及び磁石をこれに応じて配置することで、磁気検出素子の内部に確実に磁束が流れ、電圧パルスが発生する。また、この電圧パルスの発生回数に基づいて回転量を検出できる。
また、複数の磁気検出素子及び磁束通過部を配置し、また、これらの配置関係を本変形例に示すように規定することで、変形例5に示す構成が奏するのと同様の効果を奏することができる。
<変形例7>
図33,35は、本変形例に係る磁気式エンコーダを上から見た模式図をそれぞれ示し、図34,36は、図33,35に示す磁気式エンコーダにおける回転軸の回転角度と磁気検出素子の出力電圧との関係をそれぞれ示す。なお、図34において、上側のグラフは磁気検出素子90の出力電圧を、下側のグラフは磁気検出素子91の出力電圧をそれぞれ示している。また、図36において、上側のグラフは磁気検出素子90の出力電圧を、中央のグラフは磁気検出素子91の出力電圧を、下側のグラフは磁気検出素子92の出力電圧をそれぞれ示している。なお、説明の便宜上、図33,35において、磁気検出素子90~92と磁気遮蔽板75と磁石87a,87b及び磁石87h~87k以外の構成部品の図示を省略する。
本変形例に係る構成は、磁気遮蔽板が、軸方向に互いに間隔をあけて複数の磁気遮蔽板751,752、さらに磁気遮蔽板753が設けられて磁気遮蔽板75が構成されている点で実施形態3に示す構成と異なる。なお、これらの磁気遮蔽板は、回転軸32に回転一体に取り付けられているため、回転軸32の回転中もそれぞれに設けられた磁束通過部間の相対位置は変わらない。例えば、図33に示す例では、磁気遮蔽板751,752のそれぞれに設けられた磁束通過部751a,752a間の相対位置は変わらない。図35に示す例では、磁気遮蔽板751~753のそれぞれに設けられた磁束通過部751a~753a間の相対位置は変わらない。
磁気検出素子は、複数の磁気遮蔽板のそれぞれに対して設けられている。例えば、図33に示す例では、磁気検出素子90,91は、磁気遮蔽板751,752にそれぞれ対応して設けられている。図35に示す例では、磁気検出素子90~92は、磁気遮蔽板751~753にそれぞれ対応して設けられている。また、磁気検出素子90~92は、径方向に関し、対応する磁気遮蔽板よりも回転軸32に近い側に配置されている。
複数の磁気遮蔽板のそれぞれに対応して1箇所ずつ磁束通過部が形成されている。複数の磁気遮蔽板のうち、互いに異なる磁気遮蔽板にそれぞれ形成された磁束通過部は、周方向に沿って所定の角度だけ離れて配置されている。例えば、図33に示す例では、磁気遮蔽板751,752にそれぞれ形成された磁束通過部751a,752aは、周方向に沿って90度だけ離れて配置されている。図35に示す例では、磁気遮蔽板751~753にそれぞれ形成された磁束通過部751a~753aは、周方向に沿って60度だけ離れて配置されている。また、磁気検出素子90~92は、径方向に関し、対応する磁気遮蔽板よりも回転軸32に近い側に配置されている。
また、一対の磁石が複数の磁気遮蔽板の径方向外側に互いに間隔をあけて配置されている。例えば、磁気遮蔽板751の径方向外側に設けられた2つの磁石87a,87bは周方向に沿って180度だけ離れて配置されている。また、これら2つの磁石87a,87bは、軸方向に沿った磁極の配列が互いに逆方向である。このような関係は、磁気遮蔽板752の径方向外側に設けられた2つの磁石87h,87iや磁気遮蔽板753の径方向外側に設けられた2つの磁石87j,87kにもあてはまる。
さらに、2つまたは3つの磁石が軸方向に沿って並んで配置されている。例えば、図33に示す例では、磁石87a,87hが軸方向に沿って並んで配置されており、磁石87b,87iが軸方向に沿って並んで配置されている。図35に示す例では、磁石87a,87h,87jが軸方向に沿って並んで配置されており、磁石87b,87i,87kが軸方向に沿って並んで配置されている。軸方向に並ぶ磁石は、軸方向に沿った磁極の配列が同じ方向である。
磁気検出素子と磁気遮蔽板と磁石とをこのように配置することで、回転軸32が1回転する間に1つの磁気検出素子において、正極性及び負極性の電あるパルスがそれぞれ1回ずつ発生する。なお、電圧パルスが発生するタイミングが複数の磁束通過部間の配置関係によって異なることは、変形例6に示すのと同様である。
本変形例によれば、複数の磁気遮蔽板を軸方向に並べて配置し、磁気検出素子及び磁石をこれに応じて配置することで、変形例6に示すのと同様に、磁気検出素子の内部に確実に磁束が流れ、電圧パルスが発生する。また、この電圧パルスの発生回数に基づいて回転量を検出できる。
また、複数の磁気検出素子及び磁束通過部を配置し、また、これらの配置関係を本変形例に示すように規定することで、変形例5,6に示した構成が奏するのと同様の効果を奏することができる。
また、モータ300のサイズの制約が径方向に厳しい一方、軸方向には緩やかである場合、本変形例に示す磁気式エンコーダ120を含むロータリーエンコーダ100を用いることで、モータ300のサイズを大きくすることなく、前述の効果を奏することができる。
<変形例8>
図37~40は、本変形例に係る磁気式エンコーダの斜視図をそれぞれ示す。なお、説明の便宜上、図37~40において、磁気検出素子90と磁気遮蔽板73,75と磁石88a~88f以外の構成部品の図示を省略する。
実施形態3及び変形例5~7に示した磁石87a~87kは、いずれもN極とS極の2極を有し、軸方向に延びる棒状の磁石であり、1つの磁石の軸方向の長さは1つの磁気検出素子の軸方向の長さとほぼ同じになるように構成されている。しかし、磁石のサイズや配置は特にこれに限定されず、例えば、本変形例に示す構成であってもよい。
図37に示すように、磁気検出素子90よりも軸方向に短い一組の磁石を軸方向に並べ、一方の磁石のS極またはN極から他方の磁石のN極またはS極に向けて磁束が流れるようにしてもよい。この磁束が磁気検出素子90の内部に流れることで電圧パルスが発生する。このようにすることで、磁気検出素子90に加えられる磁束量を増加させることができる。このことにより、電圧パルスの発生抜けが減少し、回転量の検出信頼性が向上する。なお、図37に示す例では、磁石88a,88cの組、また、磁石88b,88dの組が前述した関係に当てはまる。磁石88a,88cの組は、磁石88b,88dの組と周方向に沿って180度離れて配置されている。
また、磁気検出素子よりも軸方向に短い磁石を径方向で対向させるようにしてもよい。例えば、図38に示すように、2つの磁石88e,88fを径方向で対向させる一方、軸方向に外れた位置に配置してもよい。このようにすることで、磁石の配置スペースを削減でき、磁気式エンコーダ120を小型化できる。なお、この場合、2つの磁石88e,88fのそれぞれで発生した磁束は磁束通過部73aを通って磁気検出素子90の内部に流れる。
また、実施形態3及び変形例5~7に示した磁束通過部は、いずれも磁気遮蔽板を上端から下端まで軸方向に切り欠くことで形成されている。しかし、磁束通過部の形状は特にこれに限定されず、例えば、本変形例に示す形状であってもよい。
図39に示すように、磁気遮蔽板73が上端及び下端のそれぞれから軸方向に沿って途中まで切り欠かれることで、磁束通過部73c,73dが形成されてもよい。この場合、磁束通過部73c,73dは軸方向に離間して配置される。また、図40に示すように、軸方向に2つの磁気遮蔽板751,752を並べ、磁気遮蔽板751に形成された磁束通過部751aと磁気遮蔽板752に形成された磁束通過部752aとが周方向に沿って所定の角度だけ離れて配置されていてもよい。なお、図39に示す例では、磁石88a~88dの配置や個数は図37に示すのと同様である。このようにすることで、磁気検出素子90に加えられる磁束量を増加させることができる。このことにより、電圧パルスの発生抜けが減少し、回転量の検出信頼性が向上する。また、磁気検出素子90に流れる磁束の経路も図37に示すのと同様である。また、図40に示す例では、磁石88e,88fの配置や個数は図38に示すのと同様である。このようにすることで、磁石の配置スペースを削減でき、磁気式エンコーダ120を小型化できる。また、磁気検出素子90に流れる磁束の経路も図38に示すのと同様である。この場合、1つの磁石で発生した磁束は1つの磁束通過部を通って1つの磁気検出素子の内部に流れる。例えば、磁石88fで発生した磁束が磁束通過部751aを通って磁気検出器90の内部に流れ、電圧パルスが発生する。
(実施形態4)
図41Aは、本実施形態に係る磁気式エンコーダを上から見た模式図を、図41Bは、磁気式エンコーダの動作状態を示す模式図をそれぞれ示す。なお、説明の便宜上、図41A,41Bにおいて、磁気検出素子90と磁気遮蔽板76と磁石89a,89b以外の構成部品の図示を省略する。また、本実施形態及び後で述べる変形例9~11では、磁気検出素子の軸方向下側に磁石が配置されるため、以降に示す各図面において、磁気検出素子をウィーガントワイヤと誘導コイルのみで図示する。
本実施形態に示す磁気式エンコーダ120は、以下の点で実施形態1や実施形態3に示す磁気式エンコーダ120と異なる。
まず、磁気遮蔽板76は、軸方向と交差する平面内に位置する円環状でかつ板状の第2の部分762と、これに連続して、回転軸32を囲むように設けられ、軸方向に延びる円筒状の第1の部分761とを有している。第1の部分761は第2の部分762の外周縁から軸方向に延びている。
第1及び第2の部分761,762に磁束通過部761a,762aがそれぞれ設けられている。第1の部分761では、一部が軸方向に沿って上端から下端まで切り欠かれることで磁束通過部761aが形成されている。第2の部分762では、周方向に沿って約1/4の部分が切り欠かれることで磁束通過部762aが形成されている。また、第1の部分761に形成された磁束通過部761aと第2の部分762に形成された磁束通過部762aとは、周方向に沿って所定の角度、この場合は180度だけ離れて配置されている。
また、2つの棒状の磁石89a,89bが配置されており、磁石89aは、第1の部分761を挟んで磁気検出素子90と反対側、つまり、磁気遮蔽板76の径方向外側に配置されている。磁石89bは、第2の部分762を挟んで磁気検出素子90と反対側、つまり、磁気遮蔽板76の軸方向下側に配置されている。また、上から見て、磁石89bは、第1の部分761の径方向内側に配置されている。また、上から見て、2つの磁石89a,89bは互いに平行となるようにかつそれぞれの磁極が軸方向と直交する平面内に位置するように配置されている。ただし、それぞれの磁石において、磁極の配列方向は逆向きである。
磁気検出素子90は、実施形態1,2と同様に、その両端が軸方向と直交する平面内に配置されており、その長手方向は磁石89a,89bの磁極の配列方向とほぼ平行である。
回転軸32(図示せず)が回転すると、図41Bに示すように、磁石89bで発生した磁束が第2の部分762に設けられた磁束通過部762aを通過して、磁気検出素子90の内部に流れ、電圧パルスが発生する。このとき、磁石89aで発生した磁束は、第1の部分761で遮蔽され、磁気検出素子90に到達しない。さらに回転軸32が回転すると、磁石89a,89bでそれぞれ発生した磁束は第1の部分761及び第2の部分762に遮蔽されて、磁気検出素子90に磁束が流れず、電圧パルスは発生しない。さらに回転軸32が回転すると、今度は、磁石89aで発生した磁束が第1の部分761に設けられた磁束通過部761aを通過して、磁気検出素子90の内部に流れ、電圧パルスが発生する。この電圧パルスは、前に発生した電圧パルスと逆の極性である。このとき、磁石89bで発生した磁束は、第2の部分762で遮蔽され、磁気検出素子90に到達しない。
このような動作を繰り返すことにより、磁気検出素子90に周期的に電圧パルスが発生する。この電圧パルスの発生回数に基づいて、回転軸32の回転量が検出される。
本実施形態の磁気式エンコーダ120は、磁気検出素子90と磁気遮蔽板76の第2の部分と磁石89bとが軸方向に沿って互いに間隔をあけて配置されるとともに、磁気検出素子90と磁気遮蔽板76の第1の部分761と磁石89aとが径方向に沿って互いに間隔をあけて配置されている。
このことにより、径方向及び軸方向に関するこれらの部品の配置の自由度が高められ、磁気式エンコーダ120を含むロータリーエンコーダ100のサイズを径方向及び軸方向に小さくすることが可能となる。ただし、実施形態1,2に示す磁気式エンコーダ120に比べて、軸方向に関するこれらの部品の配置の自由度は小さくなる。また、実施形態3に示す磁気式エンコーダ120に比べて、径方向に関するこれらの部品の配置の自由度は小さくなる。
本実施形態の磁気式エンコーダ120を含むロータリーエンコーダ100は、ロータリーエンコーダ100のサイズを軸方向にも径方向にもある程度小型化したい場合に有用である。
なお、本実施形態に示す磁気式エンコーダ120をロータリーエンコーダ100に組み込むにあたって、その配置は複数考えられ、例えば、図42Aに示すように、モータ300に近い側に磁気式エンコーダ120を、その上方に光学式エンコーダ110をそれぞれ配置してもよく、図42Bに示すように、モータ300に近い側に光学式エンコーダ110を、その上方に磁気式エンコーダ120をそれぞれ配置してもよい。なお、図42A,42Bに示す構成において、反射パターン112aを磁気遮蔽板76の第1の部分761の径方向内側に配置するようにしてもよい。また、図42Bに示す構成では、磁石89bは、磁気遮蔽板76の軸方向上側に配置される。また、磁気検出素子90と信号処理回路200とは配線170を介して電気的に接続されている。
<変形例9>
図43は、本変形例に係る磁気式エンコーダを上から見た模式図を示し、図44は、回転軸の回転角度と磁気検出素子の出力電圧との関係をそれぞれ示す。また、図45は、本変形例に係る別の磁気式エンコーダを上から見た模式図を示し、図46は、図45に示す磁気式エンコーダにおける回転軸の回転角度と磁気検出素子の出力電圧との関係をそれぞれ示す。なお、図44において、上側のグラフは磁気検出素子90の出力電圧を、下側のグラフは磁気検出素子91の出力電圧をそれぞれ示している。また、説明の便宜上、図43,45において、磁気検出素子90,91と磁気遮蔽板76と磁石83a,83b,89a,89b以外の構成部品の図示を省略する。
図43に示す磁気式エンコーダ120は、磁気検出素子が2つ設けられている点で実施形態4に示すエンコーダと異なる。また、磁気検出素子90,91のそれぞれに対して、一対の磁石89a,89bが配置されている。一方の磁石89aは、第1の部分761を挟んで磁気検出素子90と反対側に配置されている。他方の磁石89bは、第2の部分762を挟んで磁気検出素子90と反対側に配置されている。磁気検出素子91に対応する磁石89a,89bの配置関係もこれと同様である。また、上から見て、磁石89bは、第1の部分761の径方向内側に配置されている。また、上から見て、対となる2つの磁石89a,89bは互いに平行となるようにかつそれぞれの磁極が軸方向と直交する平面内に位置するように配置されている。ただし、それぞれの磁石において、磁極の配列方向は逆向きである。
磁気式エンコーダ120をこのように構成してもよく、この場合、図44に示すように、回転軸が1回転する間に、磁気検出素子90,91には、正極性の電圧パルスと負極性の電圧パルスがそれぞれ1回ずつ発生する。このことにより、回転量を確実に検出できるとともに磁気式エンコーダ120を駆動するのに十分な電力を確保できる。また、磁石89a,89bや磁気検出素子90,91の配置の自由度が高められ、ロータリーエンコーダ100の設計コストが増加するのを抑制できる。
また、複数の磁気検出素子及び磁束通過部を配置し、また、これらの配置関係を本変形例に示すように規定することで、変形例5に示す構成が奏するのと同様の効果を奏することができる。
なお、図45に示すように、磁気遮蔽板73を実施形態3に示すような形状としてもよい。この場合、磁気検出素子90は、軸方向から見て、回転軸32の近くに配置される。また、2つの磁石83a,83bは互いに平行となるようにかつそれぞれの磁極が軸方向と直交する平面内に位置するように配置されている。ただし、それぞれの磁石において、磁極の配列方向は逆向きである。また、上から見て、2つの磁石83a,83bは磁気遮蔽板73の径方向外側に配置される。また、周方向に沿って180度離れて配置される。この場合、一方の磁石で発生した磁束が磁気検出素子90を流れるときは、他方の磁石で発生した磁束は磁気遮蔽板73で遮蔽される。よって、図46に示すように、回転軸32が1回転する間に、磁気検出素子90に正極性及び負極性の電圧パルスがそれぞれ1回ずつ発生し、この発生回数に基づいて、回転軸32の回転量が検出される。
<変形例10>
図47Aは、本変形例に係る磁気式エンコーダを上から見た模式図を、図47Bは、磁気式エンコーダの動作状態を示す模式図をそれぞれ示す。また、図48,50は、本変形例に係る別の磁気式エンコーダを上から見た模式図をそれぞれ示す。図49Aは、本変形例に係るロータリーエンコーダの側面図を、図49Bは、別のロータリーエンコーダの側面図をそれぞれ示す。図51は、図50に示す磁気式エンコーダにおける回転軸の回転角度と磁気検出素子の出力電圧との関係を示す。
なお、説明の便宜上、図47A,48,50において、磁気検出素子90,91と磁気遮蔽板77と磁石89c~89e以外の構成部品の図示を省略する。また、図49A,49Bにおいて、磁気式エンコーダ120の構成は、図48に示すのと同様である。
本変形例に示す磁気式エンコーダ120は、以下の点で実施形態4や変形例9に示す磁気式エンコーダ120と異なる。
まず、磁気遮蔽板77は、軸方向と交差する平面内に位置する円環状でかつ板状の第2の部分772と、これに連続して、回転軸32を囲むように設けられ、軸方向に延びる円筒状の第1の部分771とを有している。第1の部分771は第2の部分772の内周縁から軸方向に延びている。また、磁石89dまたは磁石89eが磁気遮蔽板77の第1の部分771の径方向内側に、磁石89cが磁気遮蔽板77の第1の部分771の径方向外側にそれぞれ配置されている。
磁気式エンコーダ120をこのように構成してもよく、図47Aや図48に示す構成では、回転軸32が1回転する間に、磁気検出素子90には、正極性の電圧パルスと負極性の電圧パルスがそれぞれ1回ずつ発生する。このことにより、回転量を確実に検出できるとともに磁気式エンコーダ120を駆動するのに十分な電力を確保できる。また、磁石や磁気検出素子の配置の自由度が高められ、ロータリーエンコーダ100の設計コストが増加するのを抑制できる。
また、図50に示すように、磁気遮蔽板77の第1の部分を挟んで2つの磁気検出素子90,91を径方向に対向して配置するようにしてもよい。この場合、磁気検出素子90,91のそれぞれに対して、軸方向に間隔をあけて磁石89cが配置される。
このようにすることで、図51に示すように、回転軸32が1回転する間に、磁気検出素子90,91のそれぞれに、正極性の電圧パルスと負極性の電圧パルスがそれぞれ1回ずつ発生する。このことにより、変形例5や変形例9に示す構成が奏するのと同様の効果を奏することができる。
また、図48,50に示すように、第1の部分771の径方向内側に位置する磁石89eを円環状としてもよい。この場合、磁極は、互いに隣り合う磁極の極性が異なるように、周方向に沿って複数配列される。このようにすることで、磁石89eと第1の部分771との間隔を小さくでき、磁気式エンコーダ120、ひいてはロータリーエンコーダ100を径方向に小型化できる。
なお、本変形例に示す磁気式エンコーダ120をロータリーエンコーダ100に組み込むにあたって、その配置は複数考えられ、例えば、図49Aに示すように、モータ300に近い側に磁気式エンコーダ120を、その上方に光学式エンコーダ110をそれぞれ配置してもよく、図49Bに示すように、モータ300に近い側に光学式エンコーダ110を、その上方に磁気式エンコーダ120をそれぞれ配置してもよい。なお、図49A,49Bに示す構成において、反射パターン112aを磁気遮蔽板77の第1の部分771の径方向内側に配置するようにしてもよい。また、磁気検出素子90と信号処理回路200とは配線170を介して電気的に接続されている。
<変形例11>
図52,54,56,58,60,62は、本変形例に係る磁気式エンコーダを上から見た模式図をそれぞれ示し、図53,55,57,59,61,63は、図52,54,56,58,60,62に示す磁気式エンコーダにおける回転軸の回転角度と磁気検出素子の出力電圧との関係をそれぞれ示す。なお図53,55,57,59,61,63において、上側のグラフは磁気検出素子90の出力電圧を、中央のグラフは磁気検出素子91の出力電圧を、下側のグラフは磁気検出素子92の出力電圧をそれぞれ示している。なお、説明の便宜上、図52,54,56,58,60,62において、磁気検出素子90~92と磁気遮蔽板76,77と磁石89a~89c,89e以外の構成部品の図示を省略する。
本変形例に係る構成は、磁気検出素子90~92が、周方向に互いに間隔をあけて3つ設けられている点で実施形態4や変形例9,10に示す構成と異なる。なお、本変形例において、互いに隣り合う磁気検出素子は周方向に120度離れて配置されている。
また、図52,54,56に示す構成では、1つの磁気検出素子に対し、磁気遮蔽板76の第1の部分761を挟んで径方向外側に磁石89aが配置され、第2の部分762を挟んで軸方向下側に磁石89bが配置されている。図58,60,62に示す構成では、1つの磁気検出素子に対し、磁気遮蔽板77の第1の部分771を挟んで径方向内側に磁石89eが配置され、第2の部分772を挟んで軸方向下側に磁石89cが配置されている。また、磁石89eは図48,50に示すのと同様に円環状で、互いに隣り合う磁極の極性が異なるように周方向に沿って複数の磁極が配列される。
また、図52,58に示す構成では、磁気遮蔽板76の第1の部分761及び第2の部分762に磁束通過部761a,762aがそれぞれ設けられ、これらは、上から見て、径方向で対向して、つまり、周方向に沿って180度離れて配置されている。
このことにより、図53,59に示すように、回転軸32が1回転する間に、磁気検出素子90~92のそれぞれに、正極性の電圧パルスと負極性の電圧パルスが1回ずつ発生する。
図54に示す構成では、磁気遮蔽板76の第1の部分761に2つの磁束通過部761a,761bが設けられ、第2の部分762に2つの磁束通過部762a,762bが設けられている。上から見て、2つの磁束通過部761a,761bは径方向で対向して配置されている。また、2つの磁束通過部762a,762bは径方向で対向して配置されている。また、第1の部分761に設けられた磁束通過部とこれに近接する第2の部分762に設けられた磁束通過部とは、周方向に沿って90度離れて配置されている。また、図60に示す構成では、磁気遮蔽板77の第1の部分771に2つの磁束通過部771a,771bが設けられ、第2の部分772に2つの磁束通過部772a,772bが設けられている。上から見て、2つの磁束通過部771a,771bは径方向で対向して配置されている。また、2つの磁束通過部772a,772bは径方向で対向して配置されている。また、第1の部分771に設けられた磁束通過部とこれに近接する第2の部分772に設けられた磁束通過部とは、周方向に沿って90度離れて配置されている。
このようにすることで、図55,61に示すように、回転軸32が1回転する間に、磁気検出素子90~92のそれぞれに、正極性の電圧パルスと負極性の電圧パルスがそれぞれ2回ずつ発生する。
図56に示す構成では、磁気遮蔽板76の第1の部分761に4つの磁束通過部761a~761dが設けられている。第2の部分762に4つの磁束通過部762a~762dが設けられている。上から見て、4つの磁束通過部761a~761dは周方向に沿って90度ずつ離れて配置されている。また、4つの磁束通過部762a~762dは周方向に沿って90度ずつ離れて配置されている。また、第1の部分761に設けられた磁束通過部とこれに近接する第2の部分762に設けられた磁束通過部とは、周方向に沿って45度離れて配置されている。また、図62に示す構成では、磁気遮蔽板77の第1の部分771に4つの磁束通過部771a~771dが設けられている。第2の部分772に4つの磁束通過部772a~772dが設けられている。上から見て、4つの磁束通過部771a~771dは周方向に沿って90度ずつ離れて配置されている。また、4つの磁束通過部772a~772dは周方向に沿って90度ずつ離れて配置されている。また、第1の部分771に設けられた磁束通過部とこれに近接する第2の部分772に設けられた磁束通過部とは、周方向に沿って45度離れて配置されている。
このようにすることで、図57,63に示すように、回転軸32が1回転する間に、磁気検出素子90~92のそれぞれに、正極性の電圧パルスと負極性の電圧パルスがそれぞれ4回ずつ発生する。
本変形例によれば、実施形態4や変形例9,10に示す構成が奏するのと同様の効果を奏することができる。つまり、回転量を確実に検出できるとともに磁気式エンコーダ120を駆動するのに十分な電力を確保できる。また、磁石や磁気検出素子の配置の自由度が高められ、ロータリーエンコーダ100の設計コストが増加するのを抑制できる。
また、3つの磁気検出素子90~92を配置することで、変形例5に示す構成が奏するのと同様の効果をさらに高められる。つまり、回転軸32の回転量だけでなく回転方向の変化も検出することができる。また、回転軸32が1回転する間に、磁気検出素子90~92のそれぞれで電圧パルスが発生するため、検出されたデータの冗長性が確保される。さらに、磁気式エンコーダ120を駆動する電力の安定性を高められる。また、磁気検出素子の個数を増やすことで、回転量のうち、原点位置から回転軸32が回転した角度範囲の情報を細かく取得することができ、モータ300の回転状態をより精密に制御できる。また、ロータリーエンコーダ100を駆動する電源230が停止した後に、再度復帰した場合、多回転情報Sを精度良く補正することができる。
また、磁束通過部の個数を増やすことで、回転量のうち、原点位置から回転軸32が回転した角度範囲の情報を細かく取得することができ、モータ300の回転状態をより精密に制御できる。また、ロータリーエンコーダ100を駆動する電源230が停止した後に、再度復帰した場合、多回転情報Sを精度良く補正することができる。
(その他の実施形態)
なお、変形例1~11を含む実施形態1~4に示す各構成要素を適宜組み合わせて、新たな実施形態とすることもできる。
また、図1に示すモータケース10は有底筒状であってもよい。その場合、例えば、ブラケット21,22のいずれかが省略される。ブラケット22が省略される場合、ロータリーエンコーダ100はモータケース10の底壁に取り付けられる。この場合も、回転子30や固定子40からの磁束がロータリーエンコーダ100に漏れないように、エンコーダケース150やモータケース10に磁気遮蔽用の対策を施す必要がある。
また、光学式エンコーダ110を反射形エンコーダとしたが、透過形エンコーダとしてもよい。例えば、受光素子を回路基板140の下面に、発光素子をブラケット22の上面にそれぞれ配置し、また、スリット板112に透過パターンが設けられてもよい。この場合、受光素子と発光素子との間に光を遮る部材、具体的には磁気遮蔽板を配置しないようにする必要がある。また、回転板130を発光素子からの光を透過させる材質にするか、透過パターンの直下で回転板130を除去する必要がある。なお、発光素子を回路基板140の下面に、受光素子をブラケット22の上面にそれぞれ配置してもよい。この場合、信号処理回路200と受光素子の出力端子とを配線等を用いて電気的に接続する必要がある。
また、図1では、IPMモータを例に取って説明したが、本願明細書に示すロータリーエンコーダ100が他の種類のモータにも適用可能であることは言うまでもない。
また、本願明細書に示す磁気式エンコーダ120のうち、磁気検出素子と磁気遮蔽板と磁石との組み合わせは、回転軸32の回転に応じて電力を発生させる発電機構として利用することもできる。前述したように、何らかの理由でロータリーエンコーダ100を駆動する電源230から電力が供給されなくなった場合、光学式エンコーダ110を駆動する電力の供給源として当該発電機構を利用することも可能である。
本発明の回転検出器は、簡便な構成で回転軸の回転量を検出できるため、サーボモータのロータリーエンコーダに適用する上で有用である。
10 モータケース
21,22 ブラケット
30 回転子
31 回転子コア
32 回転軸
40 固定子
41 ヨーク
42 コイル
51,52 軸受
60 磁気式エンコーダ
70~77 磁気遮蔽板
741,742 磁気遮蔽板(同軸配置)
751~753 磁気遮蔽板(軸方向配置)
761,771 磁気遮蔽板の第1の部分(円筒状の部分)
762,772 磁気遮蔽板の第1の部分(板状の部分)
70a~70i 磁束通過部
71a~72b 磁束通過部
73a,73b 磁束通過部
741a~762d 磁束通過部
80a~89e 磁石
90~92 磁気検出素子
90a~92a ウィーガントワイヤ(磁性体)
90b~92b 誘導コイル
100 ロータリーエンコーダ(回転検出器)
110 光学式エンコーダ(回転位置検出器)
120 磁気式エンコーダ
130 回転板
140 回路基板
150 エンコーダケース
155 エンコーダフレーム
160 ボス
170 配線
200 信号処理回路
210 光学信号処理回路
220 磁気信号処理回路
221 電圧変換部
222 信号処理部
223 記憶部
224 I/O部
230 電源
300 モータ
310 モータ制御部

Claims (20)

  1. モータの回転軸の回転量を検出する回転検出器であって、
    磁性体と誘導コイルとで構成された磁気検出素子と、
    前記回転軸に回転一体に取付けられ、磁束通過部を有する磁気遮蔽板と、
    前記磁気検出素子に対して相対位置が変化せず、互いに異なる極性の複数の磁極を有する磁石と、を少なくとも備え、
    前記磁性体は、所定以上の磁界が印加されると大バルクハウゼン効果を発現するように構成されており、
    所定の方向から見て、前記磁気検出素子と前記磁気遮蔽板と前記磁石とは互いに間隔をあけてこの順に配置されていることを特徴とする回転検出器。
  2. 請求項1に記載の回転検出器において、
    前記磁気検出素子の両端は、前記回転軸の軸線方向である軸方向と直交する平面内に位置していることを特徴とする回転検出器。
  3. 請求項2に記載の回転検出器において、
    前記磁気遮蔽板は、前記軸方向と交差する平面内に位置する板状の部分を有していることを特徴とする回転検出器。
  4. 請求項3に記載の回転検出器において、
    前記複数の磁極は、前記軸方向と直交する平面内に配列されていることを特徴とする回転検出器。
  5. 請求項4に記載の回転検出器において、
    前記複数の磁極のうち互いに極性の異なる少なくとも1組の磁極が、前記モータの半径方向である径方向に沿って配列されていることを特徴とする回転検出器。
  6. 請求項5に記載の回転検出器において、
    前記磁気検出素子の両端が、前記径方向に沿って配置されていることを特徴とする回転検出器。
  7. 請求項3ないし6のいずれか1項に記載の回転検出器において、
    前記磁気検出素子は、前記軸方向と直交する平面内に複数配置され、
    前記複数の磁極のうち互いに極性の異なる磁極の組は、前記磁気検出素子の個数よりも多いことを特徴とする回転検出器。
  8. 請求項3ないし7のいずれか1項に記載の回転検出器において、
    前記磁気遮蔽板は、前記板状の部分に連続して、前記回転軸を囲むように設けられ、前記軸方向に延びる円筒状の部分をさらに有し、
    前記磁束通過部は、前記円筒状の部分を前記軸方向に切り欠いた部分を含み、
    前記板状の部分に形成された磁束通過部と前記円筒状の部分に形成された磁束通過部とは、前記回転軸の外周方向である周方向に沿って所定の角度だけ離れて配置されており、
    前記磁石は、
    前記モータの半径方向である径方向から見て、前記磁気遮蔽板を挟んで前記磁気検出素子と反対側に配置された一の磁石と、
    前記軸方向から見て、前記磁気遮蔽板を挟んで前記磁気検出素子と反対側に配置された他の磁石と、を少なくとも含むことを特徴とする回転検出器。
  9. 請求項1に記載の回転検出器において、
    前記磁気検出素子は、前記モータの半径方向である径方向に関し、前記磁気遮蔽板よりも前記回転軸に近い側に配置され、
    前記磁気検出素子は、その両端を結ぶ線が前記回転軸の軸線方向である軸方向と平行となるように配置されていることを特徴とする回転検出器。
  10. 請求項9に記載の回転検出器において、
    前記複数の磁石のうち互いに極性の異なる少なくとも1組の磁極は、前記軸方向と平行に配列されていることを特徴とする回転検出器。
  11. 請求項10に記載の回転検出器において、
    前記磁気遮蔽板は、前記回転軸を囲むように設けられ、前記軸方向に延びる円筒状であり、
    前記磁束通過部は、前記磁気遮蔽板を前記軸方向に切り欠いた部分を含むことを特徴とする回転検出器。
  12. 請求項11に記載の回転検出器において、
    前記磁気遮蔽板は、前記回転軸と同軸にかつ前記径方向に間隔をあけて複数設けられており、
    前記磁気検出素子は、前記径方向に関し、複数の前記磁気遮蔽板のうちの少なくとも1つの磁気遮蔽板よりも前記回転軸に近い側に配置され、
    複数の前記磁気遮蔽板のそれぞれに前記磁束通過部が形成されており、
    複数の前記磁気遮蔽板のうち、互いに異なる磁気遮蔽板にそれぞれ形成された磁束通過部は、前記回転軸の外周方向である周方向に沿って所定の角度だけ離れて配置されていることを特徴とする回転検出器。
  13. 請求項11に記載の回転検出器において、
    前記磁気遮蔽板は、前記軸方向に互いに間隔をあけて複数設けられており、
    前記磁気検出素子は、複数の前記磁気遮蔽板のそれぞれに対して設けられ、かつ前記径方向に関し、前記磁気遮蔽板よりも前記回転軸に近い側に配置され、
    複数の前記磁気遮蔽板のそれぞれに前記磁束通過部が形成されており、
    複数の前記磁気遮蔽板のうち、互いに異なる磁気遮蔽板にそれぞれ形成された磁束通過部は、前記回転軸の外周方向である周方向に沿って所定の角度だけ離れて配置されていることを特徴とする回転検出器。
  14. 請求項9ないし13のいずれか1項に記載の回転検出器において、
    前記磁気検出素子は互いに間隔をあけて複数配置されており、
    前記複数の磁極のうち互いに極性の異なる磁極の組は、前記磁気検出素子の個数よりも多いことを特徴とする回転検出器。
  15. 請求項1ないし14のいずれか1項に記載の回転検出器において、
    前記回転軸の回転に応じて、前記磁束通過部が前記磁石及び前記磁気検出素子と前記所定の方向から見て互いに重なる位置に移動した場合に、前記磁石で発生した磁束が、前記磁束通過部を通じて前記磁気検出素子の一端から他端に向けて流れることで、前記磁気検出素子に電圧パルスが発生することを特徴とする回転検出器。
  16. 請求項15に記載の回転検出器において、
    前記磁気検出素子に発生した電圧パルスを整流し、所定の電圧に変換する電圧変換部と、
    前記電圧パルスの発生回数に応じて前記回転軸の回転量を算出する信号処理部と、
    前記信号処理部で算出された前記回転量を保存する記憶部と、
    前記回転量に応じた信号を外部に出力するI/O部と、をさらに備えることを特徴とする回転検出器。
  17. 請求項16に記載の回転検出器において、
    前記磁気検出素子は複数設けられており、
    前記信号処理部は、互いに異なる前記磁気検出素子でそれぞれ発生した電圧パルスの極性に基づいて、前記回転軸の回転方向を判定することを特徴とする回転検出器。
  18. 請求項16または17に記載の回転検出器において、
    前記回転軸の回転位置を検出する光学式回転検出器をさらに備えたことを特徴とする回転検出器。
  19. 請求項18に記載の回転検出器において、
    前記回転検出器は電源に接続されており、
    前記電源から前記回転検出器に電力が供給される場合は、前記回転検出器は、前記回転軸の回転量を検出するとともに前記光学式回転検出器により前記回転軸の回転位置を検出し、
    前記電源から前記回転検出器に電力が供給されない場合は、前記回転検出器は、前記電圧変換部から前記信号処理部、及び前記記憶部に駆動電力を供給することで、前記回転軸の回転量を検出することを特徴とする回転検出器。
  20. 回転軸を有する回転子と、
    前記回転子と同軸にかつ前記回転子と所定の間隔をあけて設けられた固定子と、
    前記回転軸に取付けられた請求項1ないし19のいずれか1項に記載の回転検出器と、を少なくとも備えたことを特徴とするモータ。
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