JP2013238485A - エンコーダ及びそれを用いたアクチュエータ - Google Patents
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Abstract
【解決手段】磁気回路32,33は、相対運動方向に垂直方向に積層された磁極を有する永久磁石32と、この永久磁石32上に設けられた連続した凹凸形状のヨーク33とからなっている。ヨーク33は、歯型状ヨークで、磁性基板部材33aと、磁性基板部材33a上に一体形成された連続した凹凸形状部材33bからなっている。ヨーク33は、永久磁石32に接合されている。
【選択図】図5
Description
図1(a),(b)は、従来の位置検出装置の基本構造を示す模式図で、特許文献1に記載されている図である。多極着磁(図では2極着磁)された永久磁石2と、その背面に設置されるヨーク3とを備えた永久磁石ユニット1を磁界発生手段とし、永久磁石2の各磁極(N極2a及びS極2b)から発生する磁界(磁束)を横切って相対移動する磁気検出手段(例えば、ホール素子)4とから構成されるものである。
また、永久磁石2の背面側にヨーク3が配されているが、このヨーク3は、永久磁石2の背面側において各着磁領域間の磁束の通りを円滑にする役割を果たし、効率的な磁界形成を可能とするとともに、永久磁石2の背面側の磁束が周囲に悪影響を与えることがないようにシールドとしての機能も有する。
合成磁界は、近くに磁性体が存在しない場合、各磁極(N極2a及びS極2b)のほぼ中央位置にピーク値を有する。これらピーク値を示す位置をピーク位置P1,P2とする。また、N極2aとS極2bの境界部分には、磁束密度が直線的に変化する磁束密度直線変化領域Lが形成されており、磁気検出手段4は、この磁束密度直線変化領域L内において位置検出を行う。磁束密度直線変化領域L内において、磁気検出手段4が図中左右方向に移動すると、その位置によって磁束密度(磁界強度)が変化する。したがって、検出された磁界強度を電気信号に変換することで、その強度に基づいて位置を確定することができる。
図2は、従来の磁石回転子を示す構成図で、特許文献2に記載されている図である。測定をしたい回転軸14に歯車15を介して多回転する別の歯車11を設置して、その歯車11に磁石12を配して回転させることにより磁気センサ13の角度精度を見かけ上向上させる手法が開示されている。回転角度と検出される磁束密度との関係は一回転多周期の波形となる。
さらに、高透磁率を有する素材に対して切削加工等を施すことによって容易に形成することができるヨークに対して、単極の永久磁石を接合するだけで多極の磁気回路を形成するようにしたリニアエンコーダが提案されている(例えば、特許文献5参照)。
本発明は、どのようなヨークの形状パラメータを変更すれば理想正弦波に近い波形が得られるか、また、そのようなヨーク付の磁石がアクチュエータと兼用できる可能性があるかについて検証したところ、ヨーク形状を工夫することで任意の波形を作ることができることを見出した。特に、高精度のエンコーダには歪みの少ない正弦波状の磁束密度分布が必要であり、本発明のような構成を採ることにより、正弦波に近い波形を得ることができ、アクチュエータとして兼用できることを実現したものである。
本発明は、このような問題に鑑みてなされたもので、その目的とするところは、ヨーク形状を工夫するにより高精度で歪みの少ない正弦波状の磁束密度を有するエンコーダ及びそれを用いたアクチュエータを提供することにある。
また、請求項3に記載の発明は、請求項1又は2に記載の発明において、前記磁気回路が、前記相対運動方向に平行かつ前記永久磁石の着磁方向を含む面で切断した面において、前記凹凸形状の凸部が左右対称の形状で、かつ前記凸部と前記着磁方向に垂直な直線との交点を結ぶ線分の長さが、前記凸部の底部から頂部に行くに従って段階的又は連続的に変化する領域を有することを特徴とする。
また、請求項5に記載の発明は、請求項1乃至4のいずれかに記載の発明において、前記凹凸形状の凸部の底面の面積が、前記凸部の頂部の面積より大きいことを特徴とする。
また、請求項7に記載の発明は、請求項1乃至6のいずれかに記載の発明において、前記ヨークが、歯型状ヨークであることを特徴とする。
また、請求項8に記載の発明は、請求項7に記載の発明において、前記歯型状ヨークが、磁性基板部材と、該磁性基板部材上に一体形成された連続した凹凸形状部材からなることを特徴とする。
また、請求項10に記載の発明は、請求項9に記載の発明において、前記梯子状ヨークが、前記永久磁石上に設けられた連続した凹凸形状部材と、該凹凸形状部材と一体形成された側面板部材とからなることを特徴とする。
また、請求項12に記載の発明は、請求項1又は2に記載の発明において、前記磁気回路が、径方向に着磁された円筒型永久磁石と、該円筒型永久磁石の側面上に設けられた連続した凹凸形状のヨークとを有することを特徴とする。
また、請求項14に記載の発明は、請求項1乃至13のいずれかに記載の発明において、前記凹凸形状が、断面矩形、断面台形、断面逆台形、断面三角形、断面菱形、断面猪口型、断面半円型及びその組み合わせのいずれかを含むことを特徴とする。
また、請求項16に記載の発明は、請求項15に記載の発明において、前記ヨークが、前記永久磁石に接着剤を介して接合されていることを特徴とする。
また、請求項17に記載の発明は、請求項1乃至16のいずれかに記載の発明において、前記磁気センサが、ホール素子であることを特徴とする。
また、請求項19に記載の発明は、請求項1乃至17のいずれかに記載のエンコーダと、該エンコーダの前記永久磁石の着磁方向かつ前記永久磁石と対向するように設けられたヨークと、該ヨークを囲むように設けられたコイルとを備え、前記コイルの中心線と前記相対運動方向とが平行であることを特徴とするアクチュエータである。
図4(a),(b)は、本発明に係るエンコーダの基本構造を説明するための構成図で、図4(c)はヨーク直上の磁束密度分布を示す図である。図中符号31は磁気センサ(ホール素子あるいはMR素子、ピックアップコイル、磁気インピーダンス素子など磁束密度に比例して出力電圧が得られるセンサ)、32は永久磁石、33はヨーク、33aは磁性基板部材、33bは凹凸形状部材を示している。
このような構成により、容易に入手可能な長方形磁石32に形状を工夫したヨーク33を重ね合わせ、このヨーク33直上に配置したホール素子31を移動させると、図4(c)に示すように正弦波状の出力波形が得られる。
現状の歯車の歯の形状は、数学的な計算から求められる曲線となっている。この歯車に使われる数学的な曲線は、歯車を製造・利用する視点からは歯型曲線と呼ばれる。歯車を用いる場所に適切に応じた歯型曲線が使われる。ほとんどの製品はインボリュート曲線で作られている。
また、ヨーク33は、永久磁石32に重なるよう配置されている。つまり、永久磁石32の着磁方向は、この永久磁石32とヨーク33との接面に対し垂直方向である。さらに、ヨーク33は、永久磁石32に接着剤を介して接合されることも可能である。また、接着剤を用いて固定せずとも、磁石とヨークの磁力により保持は可能である。
なお、磁石及びヨークの設計形状や配置によって、端点における磁束の集中等が正弦波の歪みを招き、高精度の位置検出に影響を与えることがある。このような場合、ヨーク形状や磁石形状を幅方向や厚さ方向に、あるいは磁気センサからヨーク間のギャップ等も含めて、傾斜状にカスタマイズすることは広く行われており、本発明にも適用可能であることは言うまでもない。
本実施例2において、本発明に用いることができるヨーク形状の例を図15(b)に示している。この本実施例2では、ヨーク歯は矩形に台形を載せた形状としており、台形の上辺は0.4mm、下辺は0.5mmとし、矩形上辺及び下辺は0.5mm、台形の高さを0.25mm、矩形の長さが0.25mmとしている。ヨーク材質はSPCCとしている。磁石はネオジム磁石(残留磁束密度:1380mT、保磁力:1011kA/m、最大エネルギー積:370kJ/m3とし、磁石サイズは20.5mm×2mm×1mmとしている。
なお、磁石及びヨークの設計形状や配置によって、端点における磁束の集中等が正弦波の歪みを招き、高精度の位置検出に影響を与えることがある。このような場合、ヨーク形状や磁石形状を幅方向や厚さ方向に、あるいは磁気センサからヨーク間のギャップ等も含めて、傾斜状にカスタマイズすることは広く行われており、本発明にも適用可能であることは言うまでもない。
このような構成により、ヨーク形状を工夫することで、高精度で歪みの少ない正弦波状の磁束密度分布を有するエンコーダを実現することができる。
図30(a)乃至(e)は、他の各種のヨークの凹凸形状を示す図である。図30(a)は断面半円型、図30(b)は図30(a)の底面のない形状、図30(c)は断面半円溝型、図30(d)は図30(c)の変形例、図30(e)はお椀形を示している。
なお、磁石及びヨークの設計形状や配置によって、端点における磁束の集中等が正弦波の歪みを招き、高精度の位置検出に影響を与えることがある。このような場合、ヨーク形状や磁石形状を幅方向や厚さ方向に、あるいは磁気センサからヨーク間のギャップ等も含めて、傾斜状にカスタマイズすることは広く行われており、本発明にも適用可能であることは言うまでもない。
以上は、ラック歯車タイプの磁気回路について説明した。以下は、円筒歯車タイプの磁気回路について説明する。
本実施例4のエンコーダは、回転運動の相対運動をなす物体の一方に設けられた磁気センサ51,61と、この磁気センサ51,61と対面するように物体の他方に設けられた磁気回路52,53及び62,63とを備えている。
また、歯型状ヨーク53及び梯子状ヨーク63は、円筒磁石52及び62に接合されている。さらに、歯型状ヨーク53及び梯子状ヨーク63は、円筒磁石52及び62に接着剤を介して接合されることも可能である。
このような構成により、ヨーク形状を工夫することで、高精度で歪みの少ない正弦波状の磁束密度分布を有するエンコーダを実現することができる。
本実施例5のエンコーダは、回転運動の相対運動をなす物体の一方に設けられた磁気センサ71,81と、この磁気センサ71,81と対面するように物体の他方に設けられた磁気回路72,82及び73,83とを備えている。
また、歯型状ヨーク73及び梯子状ヨーク83は、永久磁石72及び82に接合されている。さらに、歯型状ヨーク73及び梯子状ヨーク83は、永久磁石72及び82に接着剤を介して接合されることも可能である。
このような構成により、ヨーク形状を工夫することで、高精度で歪みの少ない正弦波状の磁束密度分布を有するエンコーダを実現することができる。
図34(a),(b)は、本発明のエンコーダを用いたアクチュエータの構成図で、図34(a)は斜視図、図34(b)は側面図である。具体的には図4に示したエンコーダを用いたアクチュエータを示している。図中符号34はコイルで35はヨークであり、その他、図4及び図5に示す構成要素と同じ機能を有する構成要素には同一の符号を付してある。磁気回路32,33は、相対運動方向に垂直方向に積層された磁極を有する永久磁石32と、この永久磁石32上に設けられた連続した凹凸形状の歯型状ヨーク33とからなっている。この磁気回路32,33のヨーク33と接合されていない磁石表面の下方に配置されたヨーク35の外周を囲むようにしてコイル34が配置され、歯型状ヨーク33に対応するように磁気センサ31が取り付けられている。
このような構成により、コイル34に通電するとコイル内に生じた磁界と磁石32が反発あるいは吸引し、磁石32とヨーク33が、もしくはコイル34が移動する。コイル34に連動して磁気センサ31も移動する機構を備えれば、エンコーダとアクチュエータを兼ねることができる。通常、磁石の移動量を磁気センサ31で検出し所定の位置あるいは速度になるようコイルに流す電流量と方向を制御してアクチュエータとして機能することになる。
図36(a),(b)は、図34に示した他のコイルの配置構成を示す図である。磁石101に図36(a)に示すようにコイル対102を対向して設置し、コイル対102上に記載した矢印方向に電流を流すと、X軸方向へのローレンツ力が発生し、X軸方向への駆動が可能である。このコイル対と磁気センサ104が連動して駆動する、もしくは磁石とヨークが駆動する機構と備えれば、アクチュエータとエンコーダをひとつの磁石で兼ねた構成が可能である。
2 永久磁石
2a N極
2b S極
3 ヨーク
4 ホール素子
11,15 歯車
12 磁石
13 磁気センサ
14 回転軸
25 磁気回路
26 ヨーク
26a 突部
26b 基体部
27 永久磁石
31 磁気センサ(ホール素子)
32 永久磁石
33 ヨーク
33a 磁性基板部材
33b 凹凸形状部材
33c 側面板部材
34 コイル
35 コイル要素
36 対向ヨーク
42 永久磁石
43 棒状(棒)ヨーク
44 半球状(ダンゴ状)ヨーク
51,61,71,81 磁気センサ
52,62,72,82 円筒形永久磁石
53,73 歯型状ヨーク
63,83 梯子状ヨーク
102 コイル対
104 磁気センサ
132 永久磁石
133 梯子状ヨーク
134 コイル
135 ヨーク
Claims (20)
- 直線運動又は回転運動の相対運動をなす物体の一方に設けられた磁気センサと、該磁気センサと対面するように前記物体の他方に設けられた磁気回路とを備えたエンコーダにおいて、
前記磁気回路が、前記相対運動方向に垂直方向に着磁された永久磁石と、該永久磁石上に設けられた連続した凹凸形状のヨークとからなることを特徴とするエンコーダ。 - 前記永久磁石の着磁方向が、前記永久磁石と前記ヨークとの接面に対し垂直方向であることを特徴とする請求項1に記載のエンコーダ。
- 前記磁気回路が、前記相対運動方向に平行かつ前記永久磁石の着磁方向を含む面で切断した面において、前記凹凸形状の凸部が左右対称の形状で、かつ前記凸部と前記着磁方向に垂直な直線との交点を結ぶ線分の長さが、前記凸部の底部から頂部に行くに従って段階的又は連続的に変化する領域を有することを特徴とする請求項1又は2に記載のエンコーダ。
- 前記凸部と前記着磁方向に垂直な直線との交点を結ぶ線分の長さが、前記凸部の底部から頂部に行くに従って段階的又は連続的に減少する領域を有することを特徴とする請求項3に記載のエンコーダ。
- 前記凹凸形状の凸部の底面の面積が、前記凸部の頂部の面積より大きいことを特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載のエンコーダ
- 前記凹凸形状が、テーパー形状を有することを特徴とする請求項1乃至5のいずれかに記載のエンコーダ。
- 前記ヨークが、歯型状ヨークであることを特徴とする請求項1乃至6のいずれかに記載のエンコーダ。
- 前記歯型状ヨークが、磁性基板部材と、該磁性基板部材上に一体形成された連続した凹凸形状部材からなることを特徴とする請求項7に記載のエンコーダ。
- 前記ヨークが、梯子状ヨークであることを特徴とする請求項1乃至6のいずれかに記載のエンコーダ。
- 前記梯子状ヨークが、前記永久磁石上に設けられた連続した凹凸形状部材と、該凹凸形状部材と一体形成された側面板部材とからなることを特徴とする請求項9に記載のエンコーダ。
- 前記ヨークが、直接、前記永久磁石上に設けられていることを特徴とする請求項1乃至10のいずれかに記載のエンコーダ。
- 前記磁気回路が、径方向に着磁された円筒型永久磁石と、該円筒型永久磁石の側面上に設けられた連続した凹凸形状のヨークとを有することを特徴とする請求項1又は2に記載のエンコーダ。
- 前記磁気回路が、円筒の長さ方向に着磁された円筒型永久磁石と、該円筒型永久磁石の底面上に設けられた連続した凹凸形状のヨークとを有することを特徴とする請求項1又は2に記載のエンコーダ。
- 前記凹凸形状が、断面矩形、断面台形、断面逆台形、断面三角形、断面菱形、断面猪口型、断面半円型及びその組み合わせのいずれかを含むことを特徴とする請求項1乃至13のいずれかに記載のエンコーダ。
- 前記ヨークが、前記永久磁石に接合されていることを特徴とする請求項1乃至14のいずれかに記載のエンコーダ。
- 前記ヨークが、前記永久磁石に接着剤を介して接合されていることを特徴とする請求項15に記載のエンコーダ。
- 前記磁気センサが、ホール素子であることを特徴とする請求項1乃至16のいずれかに記載のエンコーダ。
- 請求項1乃至17のいずれかに記載のエンコーダを用いたことを特徴とするアクチュエータ。
- 請求項1乃至17のいずれかに記載のエンコーダと、該エンコーダの前記永久磁石の着磁方向かつ前記永久磁石と対向するように設けられたヨークと、該ヨークを囲むように設けられたコイルとを備え、前記コイルの中心線と前記相対運動方向とが平行であることを特徴とするアクチュエータ。
- 請求項1乃至17のいずれかに記載のエンコーダと、該エンコーダの前記永久磁石の着磁方向かつ前記永久磁石と対向するように設けられたコイルとを備え、該コイルの中心線と前記永久磁石の着磁方向とが平行であることを特徴とするアクチュエータ。
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