JP6005436B2 - 軽水炉用弁 - Google Patents

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Description

本発明の実施形態は軽水炉に使用される軽水炉用弁に関する。
従来、軽水炉用弁の弁箱や弁体の弁座部には、耐摩耗性および耐エロージョン性の付与を目的として、Co基合金からなる肉盛部が設けられている。しかし、Co基合金からなる肉盛部は軽水炉の高温高圧水に接していることから、表面からCoが炉水中に溶出しやすい。また、軽水炉用弁の開閉時の摺動によってCo基合金が摩耗し、この摩耗分が炉水中に混入しやすい。これらのCoは炉心中に入りCo60となり、配管、タービン、その他の機器に循環付着して、軽水炉プラント定検作業中の被爆量が下らない原因になると考えられている。
炉水中に入るCo量を低減するために、Coを含有しないコバルトフリー材の使用が検討されている。例えば、弁箱側の弁座部の肉盛部および弁体側の弁座部の肉盛部の組合せとして、Cr−Ni−Fe系のFe基析出型合金とCr−Nb−Mo−Ni系のNi基合金との組合せが検討されている(例えば、特許文献1参照)。しかし、このようなものについては、肉盛部の溶接後の析出硬化熱処理が非常に難しい。
また、弁箱側の弁座部の肉盛部および弁体側の弁座部の肉盛部の組合せとして、Co基合金とNi基合金との組合せが検討されている(例えば、特許文献2参照)。このようなものによれば、一方の弁座部がコバルトフリー材であるNi基合金からなることから、Coの溶出を抑制しやすい。しかし、Co基合金とNi基合金との組合せについては、Ni基合金の硬度が必ずしも十分に小さくないことから、Co基合金の摺動摩耗を十分に抑制できず、この摩耗分が炉水中に混入しやすい。
さらに、既にプラントに設置されている軽水炉用弁の場合、弁箱側の弁座部の肉盛部を交換するには弁箱を含めた軽水炉用弁全体の一式交換が必要となる。一式交換の場合、軽水炉用弁とこれに接続された配管との切断および溶接等の大作業が必要となるおそれがある。このため、大作業を必要とせずに、被爆量を低減させて安全性を向上させることが求められている。
特開昭62−1837号公報 特開平8−247302号公報
本発明の実施形態は、上記課題を解決するためになされたものであって、炉水中に溶出するCo量を低減して安全性を向上させるとともに、耐摩耗性等も良好な軽水炉用弁の提供を目的とする。
実施形態の軽水炉用弁は、弁箱と前記弁箱内に配置された弁体とを有する。前記弁箱は、その弁座表面にCo基合金からなる肉盛部を有する。前記弁体は、その弁座表面に、質量百分率表示で、Cr:23.0〜26.0%、Mo:1.8〜2.2%、Si:3.1〜3.5%、C:1.10〜1.35%、Ni:3.7〜5.0%、Mn:4.0〜5.0%、残部が主としてFeからなる化学組成を有するFe基合金からなり、かつビッカース硬度Hvが380〜400である肉盛部を有する。
実施形態の軽水炉用弁は、弁箱側の弁座部分および弁体側の弁座部分から選ばれる一方の弁座部分の表面にCo基合金からなる肉盛部を有するとともに、他方の弁座部分の表面に所定の組成およびビッカース硬度Hvを有するFe基合金からなる肉盛部を有する。このような肉盛部の組み合わせによれば、炉水中に溶出するCoを低減して安全性を向上できるとともに、耐摩耗性等も良好にできる。
軽水炉用弁の一実施形態を示す一部断面図。 軽水炉用弁における弁箱と弁体とを拡大して示す断面図。 摺動試験における摺動回数と漏洩量との関係を示す図。 摺動試験における摺動回数と摩擦係数との関係を示す図。 耐エロージョン試験における試験時間と減重量との結果を示す図。
以下、軽水炉用弁の実施形態について図面を参照して説明する。
図1は、軽水炉用弁の第1の実施形態を示す一部断面図である。
軽水炉用弁10は、例えば、弁箱11、弁体12、弁棒13、弁蓋14、ハンドル15、およびモータ16等を有する。弁体12は、弁箱11の内部に摺動可能に配置されている。弁体12には、弁棒13を介してハンドル15やモータ16が接続されている。この軽水炉用弁10では、ハンドル15やモータ16によって弁棒13を介して弁体12を上下に移動させることで、弁箱11内の流路の開閉が可能となっている。
図2は、弁箱11および弁体12を拡大して示す断面図である。弁箱11の上下一対の環状の弁座部分の表面には、それぞれ弁箱シートとしての肉盛部111が環状に設けられている。ここで、本実施形態の軽水炉用弁10では、環状部材112の内面に肉盛部111を設けて、この肉盛部111が設けられた環状部材112を弁箱11の内部に固定する構造としている。このような構造によれば、弁箱11の内部に直に肉盛部111を設ける場合に比べて、肉盛部111の形成が容易となることから、弁箱11の生産性を良好にできる。なお、肉盛部111は、必ずしも環状部材112に形成されている必要はなく、弁箱11の内部に直に形成されていてもよい。また、弁箱11の弁座部分に対向する弁体12の弁座部分の表面には、それぞれ弁体シートとしての環状の肉盛部121が設けられている。
本実施形態の軽水炉用弁10では、弁箱11の肉盛部111は、Co基合金から構成されている。また、本実施形態の軽水炉用弁10では、弁体12の肉盛部121は、質量百分率表示で、Cr:23.0〜26.0%、Mo:1.8〜2.2%、Si:3.1〜3.5%、C:1.10〜1.35%、Ni:3.7〜5.0%、Mn:4.0〜5.0%、残部が主としてFeからなる化学組成を有するFe基合金からなり、かつビッカース硬度Hvが380〜400のものから構成されている。
本実施形態の軽水炉用弁10では、弁箱11の肉盛部111と、弁体12の肉盛部121との組合せを、Co基合金と、所定の化学組成およびビッカース硬度Hvを有するFe基合金との組合せとすることで、弁開閉時に主としてFe基合金側を摩耗させて、Co基合金の摩耗を抑制できる。これにより、Co基合金の摩耗分が炉水中に混入することを抑制でき、軽水炉プラント定検作業中等の被爆量を低減して安全性を向上できる。また、このような組合せによれば、従来のCo基合金どうしの組合せと同様に耐摩耗性等を良好にできる。
さらに、このような組合せによれば、既に軽水炉プラントに設置されている軽水炉用弁についても、容易に改修を行うことができる。すなわち、既に軽水炉プラントに設置されている軽水炉用弁における弁箱の肉盛部と弁体の肉盛部とがCo基合金どうしの組合せである場合、弁箱の肉盛部はそのままにして、弁体の肉盛部のみを所定の化学組成およびビッカース硬度Hvを有するFe基合金に変更すればよい。
弁箱を交換する場合、弁箱の両側に溶接等によって接続された配管を切断して切り離す必要があるために多大な作業が必要となる。弁箱の構成を従来の構成のままにすることで、このような多大な作業を不要とすることができる。また、弁体は、一般的に点検等のために定期的に弁箱から取り外されることから、このような点検等に合わせて弁体の肉盛部を改修することで、改修のための特別な分解等の作業を不要にすることができる。
以下、Fe基合金の主要化学成分について説明する。
Crは、耐食性を維持するために必要な成分である。一方、含有量が過度に多くなると耐摩耗性の低下が生じるおそれがある。従って、Cr含有量は、23.0〜26.0%の範囲とする。
Siは、硬さや耐摩耗性向上のために添加される。一方、含有量が過度に多くなると溶接割れが発生するおそれがある。従って、Si含有量は、3.1〜3.5%の範囲とする。
Cは、硬さや耐摩耗性向上およびオーステナイト安定化のために添加される。一方、含有量が過度に多くなると溶接割れ感受性が高くなるおそれがある。従って、C含有量は、1.10〜1.35%の範囲とする。
Niは、オーステナイト安定化元素として添加されており、溶接性等の改善の効果もみられる。一方、含有量が過度に多くなると、硬さ、および耐摩耗性の低下が生じるおそれがある。従って、Ni含有量は3.7〜5.0%の範囲とする。
Mnは、オーステナイト安定化元素として添加される。一方、含有量が過度に多くなると溶接割れ感受性が発現するおそれがある。従って、Mn含有量は4.0〜5.0%の範囲とする。
Fe基合金は、質量百分率表示で、Cr:23.0〜26.0%、Mo:1.8〜2.2%、Si:3.1〜3.5%、C:1.10〜1.35%、Ni:3.7〜5.0%、Mn:4.0〜5.0%、B:0〜0.002%(但し0.002%を含まず)、S:0〜0.01%(但し0.01%を含まず)、P:0〜0.020%(但し0.020%を含まず)、N:0〜0.18%(但し0.18%を含まず)、残部Feおよび不可避的不純物からなる化学組成を有することが好ましい。
Fe基合金部分のビッカース硬度Hvは380〜400である。Fe基合金部分のビッカース硬度Hvが380未満の場合、Fe基合金部分が過度に摩耗しやすくなり、全体として耐摩耗性の低下が生じるおそれがある。一方、Fe基合金部分のビッカース硬度Hvが400を超える場合、Co基合金部分が摩耗しやすくなり、Co基合金の摩耗分が炉水中に混入するおそれがある。また、Fe基合金部分のビッカース硬度Hvが上記範囲外となる場合、Fe基合金部分の形成時に溶接割れなどが発生するおそれがある。
弁体12の肉盛部121、すなわち所定の化学組成およびビッカース硬度Hvを有するFe基合金からなる肉盛部121は、例えば、弁体12の弁座部分の表面に、上記したような所定の化学組成を有する合金粉末を用いて肉盛施工を行うことで得ることができる。肉盛施工としては、特に粉体プラズマ溶接(PTA溶接)または熱間等方圧加圧法(HIP法)が好ましい。このような方法を適用することで、ビッカース硬度Hvが380〜400であるものを好適に得ることができる。
一方、Co基合金は、特に制限されるものではなく、公知の軽水炉用弁において弁座部分の表面に形成される肉盛部に使用されるCo基合金を適用できる。このようなCo基合金としては、例えばステライトと称されるものなどを使用できる。具体的には、質量百分率表示で、Cr:25.0〜32.0%、Mo:0〜1.0%、Si:0〜2.0%、C:0.70〜1.40%、Ni:0〜3.0%、Fe:0〜5.0%、Mn:0〜2.0%、W:3.0〜6.0%、残部が主としてCoからなる化学組成を有するCo基合金が好ましい。
Co基合金は、質量百分率表示で、Cr:25.0〜32.0%、Mo:0〜1.0%、Si:0〜2.0%、C:0.70〜1.40%、Ni:0〜3.0%、Fe:0〜5.0%、Mn:0〜2.0%、W:3.0〜6.0%、S:0〜0.03%、P:0〜0.03%、残部Coおよび不可避的不純物からなる化学組成を有することがより好ましい。
弁箱11の肉盛部111、すなわちCo基合金からなる肉盛部111の形成方法は特に制限されず、公知の軽水炉用弁において弁箱11の弁座部分の表面に肉盛部を形成するために用いられている形成方法を適用できる。例えば、弁箱11の弁座部分の表面に、上記したような所定の化学組成を有する合金粉末を用いて肉盛施工を行うことで得ることができる。肉盛施工としては、例えばガス盛溶接法が好ましい。このような方法を適用することで、上記したビッカース硬度Hvを有するものを好適に得ることができる。
次に、軽水炉用弁10の第2の実施形態について説明する。
第2の実施形態の軽水炉用弁10は、弁箱11の肉盛部111の構成材料と弁体12の肉盛部121の構成材料とを入れ替えた以外は、基本的に第1の実施形態の軽水炉用弁10と同様の構成を有する。すなわち、図1に示されるように、弁箱11、弁体12、弁棒13、弁蓋14、ハンドル15、およびモータ16等を有する。さらに、図2に示すように、弁箱11の環状の弁座部分の表面には弁箱シートとしての肉盛部111が環状に設けられ、弁体12の弁座部分の表面には弁体シートとしての肉盛部121が設けられている。
第2の実施形態の軽水炉用弁10では、弁箱11の肉盛部111は、質量百分率表示で、Cr:23.0〜26.0%、Mo:1.8〜2.2%、Si:3.1〜3.5%、C:1.10〜1.35%、Ni:3.7〜5.0%、Mn:4.0〜5.0%、残部が主としてFeからなる化学組成を有するFe基合金からなり、かつビッカース硬度Hvが380〜400のものから構成されている。また、第2の実施形態の軽水炉用弁10では、弁体12の肉盛部121は、Co基合金から構成されている。
このような組合せとしても、弁開閉時に主としてFe基合金側を摩耗させて、Co基合金の摩耗を抑制できる。これにより、Co基合金の摩耗分が炉水中に混入することを抑制でき、軽水炉プラント定検作業中等の被爆量を低減して安全性を良好にできる。また、このような組合せによれば、従来のCo基合金どうしの組合せと同様に耐摩耗性等を良好にできる。
上記Fe基合金は、質量百分率表示で、Cr:23.0〜26.0%、Mo:1.8〜2.2%、Si:3.1〜3.5%、C:1.10〜1.35%、Ni:3.7〜5.0%、Mn:4.0〜5.0%、B:0〜0.002%(但し0.002%を含まず)、S:0〜0.01%(但し0.01%を含まず)、P:0〜0.020%(但し0.020%を含まず)、N:0〜0.18%(但し0.18%を含まず)、残部Feおよび不可避的不純物からなる化学組成を有することが好ましい。
上記Co基合金は、特に制限されるものではなく、公知の軽水炉用弁において弁座部分の表面に形成される肉盛部に使用されるCo基合金を適用できる。このようなCo基合金としては、例えばステライトと称されるものなどを使用できる。具体的には、質量百分率表示で、Cr:25.0〜32.0%、Mo:0〜1.0%、Si:0〜2.0%、C:0.70〜1.40%、Ni:0〜3.0%、Fe:0〜5.0%、Mn:0〜2.0%、W:3.0〜6.0%、残部が主としてCoからなる化学組成を有するCo基合金が好ましい。
Co基合金は、質量百分率表示で、Cr:25.0〜32.0%、Mo:0〜1.0%、Si:0〜2.0%、C:0.70〜1.40%、Ni:0〜3.0%、Fe:0〜5.0%、Mn:0〜2.0%、W:3.0〜6.0%、S:0〜0.03%、P:0〜0.03%、残部Coおよび不可避的不純物からなる化学組成を有することがより好ましい。
第2の実施形態における弁箱11の肉盛部111、すなわち所定の化学組成およびビッカース硬度Hvを有するFe基合金からなる肉盛部111についても、例えば、弁箱11の弁座部分の表面、具体的には環状部材112の内面等に、上記したような所定の化学組成を有する合金粉末を用いて肉盛施工を行って得ることができる。肉盛施工としては、特に粉体プラズマ溶接(PTA溶接)または熱間等方圧加圧法(HIP法)が好ましい。このような方法を適用することで、ビッカース硬度Hvが380〜400であるものを好適に得ることができる。
また、第2の実施形態における弁体12の肉盛部121、すなわちCo基合金からなる肉盛部121の形成方法は特に制限されず、公知の軽水炉用弁において弁体12の弁座部分の表面に肉盛部を形成するために用いられている形成方法を適用できる。例えば、弁体12の弁座部分の表面に、上記したような所定の化学組成を有する合金粉末を用いて肉盛施工を行うことで得ることができる。肉盛施工としては、例えばガス盛溶接法が好ましい。このような方法を適用することで、上記したビッカース硬度Hvを有するものを好適に得ることができる。
以上、本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
以下、実施例を参照して具体的に説明する。なお、本発明の実施形態は、以下の実施例に限定されない。
(摺動試験片の作製)
摺動試験片として、以下の2種の摺動試験片を作製した。
[摺動試験片1]
Fe基合金として、質量百分率表示で、Cr:25.1%、Mo:2.1%、Si:3.3%、C:1.20%、Ni:4.1%、Mn:4.4%、N:0.13、残部Feおよび不可避的不純物からなる化学組成を有するものを用意した。このFe基合金を真空もしくは不活性ガス環境下で溶解し、その後、ガスアトマイズ法によりFe基合金粉末を製造した。Fe基合金粉末の粒径は+80/−325メッシュである。このFe基合金粉末を用いて、プラズマ粉体肉盛溶接法により弁体および弁座に一般的に使用されるS25Cの上に3層肉盛溶接を行ったものから、150Aの摺動試験片1を製作した。なお、摺動試験片1におけるFe基合金からなる肉盛部のビッカース硬度Hvは380〜400の範囲内であった。ビッカース硬度Hvは、ダイヤモンドアッシの負荷荷重は、10kgにより測定を行った。
[摺動試験片2]
Co基合金として、質量百分率表示で、Cr:28.0%、C:1.00%、Ni:3.0%、Fe:3.0%以下、W:4.0%、残部Coおよび不可避的不純物からなる化学組成を有するものを用意した。このCo基合金を真空もしくは不活性ガス環境下で溶解し、その後、ガスアトマイズ法によりCo基合金粉末を製造した。Co基合金粉末の粒径は+80/−325メッシュである。このCo基合金粉末を用いて、ガス盛溶接法により弁体および弁座に一般的に使用されるS25Cの上に3層肉盛溶接を行ったものから、150Aの摺動試験片2を製作した。なお、摺動試験片1におけるFe基合金からなる肉盛部のビッカース硬度Hvは448であった。
(実施例1、比較例1)
上記摺動試験1、2を表1に示すような組合せで使用して、摺動試験装置により摺動試験を実施し、試験中および試験終了後の漏洩量、摩擦係数、および表面粗さを評価した。ここで、実施例1は、弁体の弁座部分として摺動試験片1(肉盛部がFe基合金であるもの)を用い、弁箱の弁座部分として摺動試験片2(肉盛部がCo基合金であるもの)を用いる組合せとした。また、比較例1は、弁体の弁座部分および弁箱の弁座部分の双方として摺動試験片2(肉盛部がCo基合金であるもの)を用いる組合せとした。また、摺動試験の条件は、面圧200MPa、摺動回数(弁開閉回数)100回、288℃飽和蒸気中とした。
Figure 0006005436
図3は、摺動試験における摺動回数と漏洩量との関係を示したものである。Fe基合金とCo基合金との組合せとした実施例1は、最終的に漏洩量が40cc/min以下となり、Co基合金どうしの組合せとした比較例1と同等の漏洩特性を示すことが認められた。
図4は、摺動試験における摺動回数と摩擦係数との関係を示したものである。Fe基合金とCo基合金との組合せとした実施例1は、Co基合金どうしの組合せとした比較例1とほぼ同等の摩擦係数を示し、同等の摺動特性を有することが認められた。
さらに、摺動試験後、分解点検を行って、摺動試験片における肉盛部の表面観察を行った。その結果、実施例1では、摺動試験片1(肉盛部がFe基合金であるもの)の肉盛部の表面の算術平均表面粗さRaは0.6μm以下であり、摺動試験片2(肉盛部がCo基合金であるもの)の肉盛部の表面の算術平均表面粗さRaは0.26μm以下であった。一方、比較例1では、いずれも摺動試験片2(肉盛部がCo基合金であるもの)の肉盛部の表面の算術平均表面粗さRaは1.00μm以下であった。
実施例1のように摺動試験片1(肉盛部がFe基合金であるもの)と摺動試験片2(肉盛部がCo基合金であるもの)とを組み合わせた場合、両者に硬度差があることから、Fe基合金からなる肉盛部の表面が支配的に摩耗し、Co基合金からなる肉盛部の表面の摩耗を抑制することができる。
従って、炉内に向かう系統の弁に実施形態の軽水炉用弁を採用した場合、Co基合金の摩耗分が炉内へ入ることを抑制できる。結果として、軽水炉用弁、特に弁座部分に起因する軽水炉プラント定検作業等における被爆量を低減して、定検時の作業時間を大幅に確保でき、より安全な原子力プラントを製造できる。
次に、上記摺動試験片1と同様にプラズマ粉体肉盛溶接法を行ってFe基合金のテストピースを製作し、機械加工でエロージョン試験片1を製作した。また、上記摺動試験片2と同様にガス盛溶接法によってCo基合金のテストピースを製作し、機械加工でエロージョン試験片2を製作した。これらのエロージョン試験片1、2を高圧流水中にさらして、エロージョンを発生させて、試験時間と試験片の重量変化を評価した。図5に、常温状態における試験時間と重量変化(減重量)との関係を示す。
さらに、600Aの仕切り弁で摺動試験を実施した。弁体の肉盛部は、上記摺動試験片1と同様にしてプラズマ粉体肉盛溶接法によりFe基合金を肉盛溶接した。弁箱の肉盛部は、上記摺動試験片2と同様にしてガス盛溶接法によりCo基合金を肉盛溶接した。摺動試験の条件は、差圧7.13MPa、摺動回数50回、288℃飽和蒸気中とし、摺動試験装置を使用して行った。摺動試験後、常温水により、8.62MPaの試験圧力で、保持時間を3分間とした弁座漏えい試験を行って、漏洩の有無を確認した。この結果、無漏洩であることを確認した。
10…軽水炉用弁、11…弁箱、12…弁体、13…弁棒、14…弁蓋、15…ハンドル、16…モータ、111…肉盛部、112…環状部材、121…肉盛部

Claims (2)

  1. 弁箱と前記弁箱内に配置された弁体とを有する軽水炉用弁であって、
    前記弁箱は、その弁座表面にCo基合金からなる肉盛部を有し、
    前記弁体は、その弁座表面に、質量百分率表示で、Cr:23.0〜26.0%、Mo:1.8〜2.2%、Si:3.1〜3.5%、C:1.10〜1.35%、Ni:3.7〜5.0%、Mn:4.0〜5.0%、残部が主としてFeからなる化学組成を有するFe基合金からなり、かつビッカース硬度Hvが380〜400である肉盛部を有する
    ことを特徴とする軽水炉用弁。
  2. 前記Co基合金は、質量百分率表示で、Cr:25.0〜32.0%、Mo:0〜1.0%、Si:0〜2.0%、C:0.70〜1.40%、Ni:0〜3.0%、Fe:0〜5.0%、Mn:0〜2.0%、W:3.0〜6.0%、残部が主としてCoからなる化学組成を有することを特徴とする請求項1記載の軽水炉用弁。
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