JP5789328B1 - 摺動部材用合金及び機器 - Google Patents

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Abstract

【課題】高面圧・高温環境の下でも、十分な耐摩耗性と耐食性を有するする摺動部材用合金及び、機器の提供。【解決手段】クロムを7〜17質量%、タングステンを1〜4質量%、ケイ素を3〜7質量%、ホウ素を1質量%以下、炭素を1質量%以下、鉄を3〜15質量%、及び銅を10〜20質量%、それぞれ含有するとともに、残部がニッケルで構成されている摺動部材用合金。少なくとも1組の弁座面を有する仕切弁1において、一方の弁座面を前記摺動部材用合金で形成されている機器。【選択図】図1

Description

本発明は、コバルトフリー合金、即ちコバルト(Co)を含まない摺動部材用合金及び摺動部材を有する機器に関する。
一の構成部材と当該一の構成部材に対して相対的に摺動する構成部材の組を、本明細書では、1組の摺動部材と呼ぶことにする。さて、かかる摺動部材は、十分な耐摩耗性と耐食性が要求される。そのために、摺動部材を備える機器では、当該機器の本体部分(母材)に、耐摩耗性と耐食性に優れた合金を肉盛溶接して、摺動部材を形成している。例えば弁類の弁座面は典型的な摺動部材であり、各種弁類は摺動部材を備える機器の代表例である。
摺動部材を形成する材料として、ステライト(登録商標)合金に代表されるような、コバルト(Co)、クロム(Cr)及びタングステン(W)を基材とするCo−Cr−W合金(以下、「Co基合金」と言う)が広く知られている。
さて、原子力発電プラントには、多数の弁類が使用されているが、Co基合金をかかる弁類に使用すると、時間の経過とともに弁座面が摩耗あるいは腐食して、その結果、コバルト(Co)の粒子が冷却水中に混入する。このコバルト(Co)粒子が冷却水とともに、炉心に達すると、冷却水中のコバルト(Co)は核燃料から放出される中性子の照射を受けて、原子核反応を起こし、放射性同位元素コバルト60(Co60)となる。コバルト60(Co60)は、冷却水とともにプラント内を循環する間にプラントの構成部材の内表面(接液表面)に付着して、原子力発電プラント全体の放射能レベルを増大させる。この現象は、定期検査時等における作業員の放射線被曝の大きな原因となっている。そのために、Co基合金の代替材料が強く求められている。また、コバルト(Co)は工業資源として貴重な希少金属であり、その使用を節約することが望まれている。
そこで、弁座の材料として、コバルト(Co)を含まない(コバルトフリー)合金が求められていて、既に実用化されている。例えば、COLMONOY(登録商標)合金に代表されるような、AWS(アメリカ溶接学会)の仕様(A5.11−54)に規定されているNi基の肉盛材であるRNiCrBは、炭素(C)を0.4〜0.8質量%、ケイ素(Si)を3〜5質量%、クロム(Cr)を10〜16質量%、ホウ素(B)を2〜4質量%、及び鉄(Fe)を3〜5質量%、それぞれ含有するとともに、残部がニッケル(Ni)で構成されていて、コバルト(Co)を含有していない。
前記RNiCrBはホウ素(B)の含有比率が比較的大きいので、肉盛溶接の際に肉盛層に割れが生じやすいとして、コバルトフリーのニッケル(Ni)基合金において、ホウ素(B)の含有比率を小さくすることも提案されている。例えば、特許文献1に記載の合金は、ホウ素(B)を0.05〜1.5質量%、ケイ素(Si)を3〜7質量%、クロム(Cr)を10〜15質量%、炭素(C)を0.05〜1.5質量%、それぞれ含有し、残部がニッケル(Ni)で構成されている。
特許文献1に記載の合金は、溶接時の割れは減少したが、耐摩耗性において難点があるとして、本願の出願人の一人は、摺動部材の一方を、クロム(Cr)を5〜15質量%、ケイ素(Si)を3〜7質量%、鉄(Fe)を10〜40質量%、タングステン(W)を1〜4質量%、ホウ素(B)を1質量%以下、及び炭素(C)を1質量%以下、それぞれ含有するとともに、残部がニッケル(Ni)からなる第1合金材料で形成し、他方をクロム(Cr)を15〜20質量%、ケイ素(Si)を3〜7質量%、鉄(Fe)を35質量%以下、タングステン(W)を1〜4質量%、錫(Sn)を0.5〜1.0質量%、ホウ素(B)を1質量%以下、炭素(C)を1質量%以下、それぞれ含有するとともに、残部がニッケル(Ni)からなる第2合金材料で形成した機器の発明について、特許を受けている(特許文献2)。
また、前記出願人は、前記第1合金材料に代えて、クロム(Cr)を6.5〜20質量%、タングステン(W)を1〜4質量%、ケイ素(Si)を2〜7質量%、ホウ素(B)を1質量%以下、炭素(C)を1質量%以下、及び鉄(Fe)を40〜50質量%、それぞれ含有するとともに、残部がニッケル(Ni)からなる合金材料で摺動部材の一方を形成してなる機器の発明について、特許を受けている(特許文献3)。特許文献3に係る合金材料は、摺動部材の他方の素材が前記第2合金材料には限定されないという利点を有する。つまり、前記合金材料は前記第2合金材料以外と組み合わせても、優れた耐摩耗性と耐食性が発揮される。
特開昭55−31127号公報 特許第2840191号公報 特許第2955506号公報
一般に、大口径の弁の弁座面は高い面圧を受けるので、弁座面の摩耗が激しい。また、温度が高くなると、弁座面の摩耗が激しくなる。確かに、特許文献2,3に開示されたコバルトフリー合金(第1合金材料、摺動部材用合金材料)は、優れた耐摩耗性と耐食性を有するが、600mmを超えるような大口径の弁であって、300℃を超える高温の冷却水を通過させる弁の弁座面に使用する場合は、耐摩耗性と耐食性について満足できなかった。つまり、従来のコバルトフリー合金はCo基合金に比べて見劣りがした。そのため、前記コバルトフリー合金を弁座面の素材に使用して、高面圧・高温環境の下で弁の開閉を繰り返すと、弁座面の粗度が増してシール性が損なわれるという問題があった。
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであり、高面圧・高温環境の下でも、十分な耐摩耗性と耐食性を発揮する摺動部材用合金及び、摺動部材を有する機器であって、耐久性及び信頼性の高い機器を提供することを目的とする。
上記課題を解決するために、本発明に係る摺動部材用合金は、クロムを7〜17質量%、タングステンを1〜4質量%、ケイ素を3〜7質量%、ホウ素を1質量%以下、炭素を1質量%以下、鉄を3〜15質量%、及び銅を10〜20質量%、それぞれ含有するとともに、残部がニッケルで構成されている。
本発明に係る機器は、少なくとも1組の摺動部材を有する機器において、前記摺動部材の一方が前記摺動部材用合金で形成されるものである。
前記摺動部材の他方は、クロムを15〜20質量%、タングステンを1〜4質量%、ケイ素を3〜7質量%、ホウ素を1質量%以下、炭素を1質量%以下、鉄を35質量%以下、及び錫を0.5〜1.0質量%、それぞれ含有するとともに、残部がニッケルで構成されている摺動部材用合金で形成されていても良い。
前記摺動部材の一方は弁座面であり、前記摺動部材の他方は前記弁座面に対して相対的に摺動する相手方の弁座面であっても良い。
クロムを7〜17質量%、タングステンを1〜4質量%、ケイ素を3〜7質量%、ホウ素を1質量%以下、炭素を1質量%以下、鉄を3〜15質量%、及び銅を10〜20質量%、それぞれ含有するとともに、残部がニッケルで構成されている摺動部材用合金は、耐摩耗性及び耐食性に優れている。
少なくとも1組の摺動部材を有する機器において、前記摺動部材の一方を前述の合金で形成すれば、耐摩耗性、耐食性が優れるとともに、摺動部材の摺動面において優れたシール性能を発揮する。
前記摺動部材の他方を、クロムを15〜20質量%、タングステンを1〜4質量%、ケイ素を3〜7質量%、ホウ素を1質量%以下、炭素を1質量%以下、鉄を35質量%以下、及び錫を0.5〜1.0質量%、それぞれ含有するとともに、残部がニッケルで構成されている摺動部材用合金で形成すれば、前記摺動部材の摺動面におけるシール性能がさらに向上する。
弁座面を前述の合金で形成すれば、耐摩耗性及び耐食性が優れた弁であって、優れたシール性能を有する弁が実現される。
本発明の実施形態を例示する仕切弁の断面図であって、(A)は流路に平行な平面で切断した断面図であり、(B)は(A)のX−X’線で切断した横断面図である。 仕切弁の弁体回りの部分拡大図である。
以下、本発明を実施するための最良の形態を説明する。
図1に示した仕切弁1は、本発明の具体的実施態様の例示である。すなわち、仕切弁1は1組の摺動部材を有する機器であって、摺動部材は後述するような合金で形成されている。以下、仕切弁1の構成及び、摺動部材を形成する合金の成分組成について説明する。
図1から明らかなように、仕切弁1は、弁箱2と弁体3とから構成される。弁箱2は、全体として中空筒状に形成された筐体であって、その内部に流路4が形成されていて、弁開時には流体が流路4のA端からB端に向けて流れる。弁体3は弁箱2の中に配置されて流路4を開閉する仕切り板である。全閉状態(図1に示す状態)において、弁箱2の弁体3と当接する部位には弁座5が配置されている。また、弁体3の上方には弁棒6があって、弁棒6は弁体3と連結されている。また、弁棒6の上方には図示しない電動昇降機器があって、弁棒6に連結されている。このように構成されているので、弁体3は前記電動昇降機器で駆動されて、弁箱2内を上下に移動する。なお、本図は弁体3が最低位置まで下降して、流路4を完全に塞いだ状態、つまり全閉状態を示している。前記電動昇降機器を動作させて、弁体3を上方に移動させれば、流路4は開放される(弁開状態になる)。
図2は弁座5と弁体3の取り合い部の詳細を示す拡大図である。弁座5及び弁体3において弁閉時に互いに密着する面を一般に弁座面と呼ぶが、ここでは、弁座5の弁座面を弁座面7と呼び、弁体3の弁座面を弁座面8と呼ぶことにする。図2に示すように、全閉時には弁座面7と弁座面8は互いに密着して、流路4(図1参照)を流体密に閉鎖している。また、この状態から弁開状態に移行する過程、あるいは弁開状態から弁閉状態に移行する過程では弁座面7と弁座面8は相対的に摺動する。したがって、弁座面7と弁座面8は、仕切弁1において、摺動部材の組に相当する。なお、弁体3の上下の弁座面8の中間の領域は弁座面8に対して凹んでいて、弁体3を上下に移動させる過程で、該領域が弁座面7に対して摺動することはない。また、流路4内を流れる流体の圧力は弁体3に負荷され、該圧力は弁座面8を介して、弁座面7に伝えられる。つまり、弁座面7と弁座面8は該圧力の作用によって、互いに押圧しあうように構成されている。
前述したように、摺動部材には高度の耐摩耗性と耐食性が要求される。また、耐摩耗性と耐食性が不十分であれば、開閉動作を繰り返すにつれて、弁座面7及び弁座面8の表面が荒れて、その結果シール性が損なわれる(漏れが生じる)からである。そこで、弁座面7の素材として、クロム(Cr)を7〜17質量%、タングステン(W)を1〜4質量%、ケイ素(Si)を3〜7質量%、ホウ素(B)を1質量%以下、炭素(C)を1質量%以下、鉄(Fe)を3〜15質量%、及び銅(Cu)を10〜20質量%、それぞれ含有するとともに、残部がニッケル(Ni)で構成されている合金(以下、「合金A」と呼ぶ)を選んだ。また、弁座面8の素材として、クロム(Cr)を15〜20質量%、タングステン(W)を1〜4質量%、ケイ素(Si)を3〜7質量%、ホウ素(B)を1質量%以下、炭素(C)を1質量%以下、鉄(Fe)を35質量%以下、及び錫(Sn)を0.5〜1.0質量%、それぞれ含有するとともに、残部がニッケル(Ni)で構成されている合金(以下、「合金B」と呼ぶ)を選んだ。
前述の合金Aと合金Bは、周知の高周波真空溶解炉を用いて溶解後、水或はガスアトマイズ法で微粉化され、弁座5あるいは弁体3に粉体プラズマ(PTA)溶接によって肉盛溶接されて、弁座面7及び弁座面8が形成される。なお、合金Aと合金Bの粉末の粒径は+70〜+210メッシュの範囲にすると良い。また弁座5及び弁体3の弁座面7及び弁座面8以外の部分、つまり弁座5及び弁体3の本体(母材)は炭素鋼で構成される。
ここで、合金Aと合金Bについて、上記の成分組成を選択した理由を簡単に説明する。
クロム(Cr)は、耐食性を向上させる成分として従来から慣用的に用いられている。例えば、アメリカ材料試験学会(ASTM)によれば、Type D−3のニレジストは、ニッケル(Ni)を28〜32質量%、ケイ素(Si)を1.5〜3質量%、及びクロム(Cr)を2.5〜3質量%、それぞれ含有するとともに、残部が実質的に鉄(Fe)で構成されているFe基合金であるが、原子力発電プラントの133〜221℃の蒸気中において、0.025mm/年以下の腐食量を示し、SUS304や、SUS403とほぼ同等の耐食性を示している。この事実から類推すれば、合金中にクロム(Cr)を5質量%以上含有させれば、原子力発電プラント用の弁座材としても十分な耐食性を発揮すると考えられる。また、クロム(Cr)は合金の硬さと靭性を高めることが知られているが、過度に含有させると、逆に靭性が低下する。そこで、合金Aにおいてはクロム(Cr)の含有量の範囲を7〜17質量%とした。合金Bにおいては、クロム(Cr)の含有量の範囲を15〜20質量%として硬度を高めている。
ケイ素(Si)は、硬度と耐摩耗性を維持するために必要であるが、過度に含有させると、靱性が低下し溶接施工性が劣化するので、合金A及び合金Bにおいて、含有量の範囲を3〜7質量%とした。
鉄(Fe)は、肉盛材の硬度を下げて溶接性を向上させる成分である。また、鉄(Fe)の摩耗粉は容易に酸化して、焼き付きやかじりの発生を抑制するが、過度に含有させると、合金の耐食性を低下させる。そこで、合金Aにおいては、含有量の範囲を3〜15質量%とした。合金Bにおいては、含有量の範囲を35質量%以下とした。
タングステン(W)は、硬度を高くして耐摩耗性を維持すると共に、摺動の際に潤滑性のある酸化タングステンを生成して焼き付きやかじりを防止するので、合金A及び合金Bにおいて、含有量の範囲を1〜4質量%とした。
銅(Cu)は、焼き付きやかじりを防止し摺動特性を向上させるが、過度に含有させると、耐摩耗性と靱性が低下するので、合金Aにおいて、10〜20質量%を含有させた。
錫(Sn)は、潤滑性の薄膜を形成して焼き付きやかじりを防止するが、過度に含有させると、靱性が低下して溶接施工性を劣化させるので、合金Bにおいて、0.5〜1質量%を含有させた。合金Aには含有させなかった。摺動部材の組のいずれか一方に錫(Sn)を含有させれば、両者の間に潤滑性の薄膜が形成されるからである。
ホウ素(B)及び炭素(C)は不純物であって、過度に含有させると、溶接時及び熱処理時に割れが生じるので、合金A及び合金Bにおいては、含有量を1質量%以下に制限した。なお、ホウ素(B)及び炭素(C)には、合金の硬度を高める効果があって、積極的に含有させる場合もあるが、前記の割れの問題があるので、本発明に係る合金では、含有量を上記のように制限している。
本発明の効果を確認するために、流路4の口径が600mmの仕切弁1であって、弁座面7及び弁座面8の素材の成分組成が異なる3種類の仕切弁1(実施例1,2及び比較例)を製作した。実施例1,2及び比較例について、弁座面7及び弁座面8の素材の成分組成を表1に示す。
Figure 0005789328
なお、表1に示した合金A1、A2の成分組成は、合金Aの成分組成の範囲に含まれ、合金B1は合金Bの成分組成の範囲に含まれる。つまり、合金A1、A2は合金Aの一種であり、合金B1は合金Bの一種である。なお、合金Cの成分組成は特許文献2に記載の第1合金の成分組成の範囲に含まれる。
実施例1、実施例2及び比較例に係る仕切弁1において、流路4に302℃、8.74MPaの蒸気を流した状態で、50回の開閉を行った。つまり、弁体3を弁座5に対して50回摺動させた。その後に、弁座面7,8の表面粗さを計測するとともに、仕切弁1を全閉状態にして、流路4のA端側を常温の水で満たして、弁体3に8.74MPaの水圧を加えて水の漏れ量を計測した結果を表2に示す。なお試験前の弁座面7,8の表面粗さは、0.09〜0.26μmRaの範囲にあった(つまり、仕切弁1の製造時に、弁座面7,8の表面粗さが前記範囲に収まるように仕上げた)。
Figure 0005789328
一般に、仕切弁1のようなサイズ及び用途の弁では、摺動痕の深さが1μmRa以下であれば、良好と評価される。1μmRa以下であれば弁の保守作業における摺り合わせ作業で容易に弁座面を復旧できるからである。表2によれば、比較例における弁座面7の表面粗さは2.40μmRaに達し、1μmRaを大きく超えている。また、その結果25ml/minの漏洩が生じている。つまり、比較例においては、50回程度の開閉によってシール性が損なわれると言う問題がある。
一方、実施例1においては、弁座面7の表面粗さは1.28μmRaに達し、やや粗いと考えられるが、漏洩量は比較例の1/4以下(6ml/min)に留まっている。また、実施例2においては、弁座面7の表面粗さは0.88μmRaに留まり、漏洩量も検出されない。このように、本発明によれば、耐摩耗性に優れていて、開閉を繰り返しても良好なシール性が維持される。
以上のように、表2によれば、本発明(実施例1,2)に係る仕切弁1は、従来技術(比較例)に係る仕切弁1に比べて、耐摩耗性及び耐食性に優れていて、開閉動作を繰り返しても十分なシール性が維持されることが理解できる。本発明によれば、従来の合金に比べて耐摩耗性及び耐食性に優れた合金が得られることが理解できる。また、本発明にかかる合金で弁座を形成すれば、弁の開閉を繰り返しても、弁座の表面が粗くならないので、十分なシール性が維持されることが理解できる。つまり、本発明によれば、耐久性及び信頼性の高い、摺動部材を備える機器、例えば弁類が提供されることが理解できる。
なお、上記の実施形態は本発明の具体的実施態様の一例を示すものであって、本発明の技術的範囲を画すものではない。本発明は特許請求の範囲に記述された技術的思想の限りにおいて、自由に変形、応用あるいは改良して実施することができる。
なお、上記の実施形態の説明においては、仕切弁1を、本発明に係る機器の具体例として例示したが、本発明が適用される機器は仕切弁1には限定されない。本発明に係る機器は、少なくとも1組の摺動部材を有する機器であれば、どのような機器であっても良い。本発明に係る機器が電動機で駆動される機器に限定されないことは言うまでもない。例えば、人力(手動)で操作される機器であっても良いし、油気圧で駆動される機器であっても良い。
また、上記実施形態においては、粉体プラズマ(PTA)溶接によって、摺動部材(弁座面8,6)を形成することを例示したが、摺動部材を形成する手段は、PTA溶接には限定されない。他の溶接方法によって肉盛溶接しても良いし、母材と別個に形成された摺動部材を母材と接合するようにしても良い。あるいは、摺動部材を母材と別個に形成して、適宜の締結手段で母材と締結固定するようにしても良い。また母材が炭素鋼に限定されないことは言うまでもない。母材は例えば、低合金鋼やステンレス鋼であっても、その他の金属材料、あるいは非金属材料であっても良い。
また、請求項1に係る合金の用途は、請求項2ないし請求項4に係る機器には限定されない。各種の機械器具の素材として有用である。
また、上記実施形態においては、請求項1に記載の合金(合金A)で弁座面7を形成し、請求項3に記載の合金(合金B)で弁座面8を形成する例を示したが、合金Aと合金Bの配置を逆にしても良い。つまり、弁座面7を(合金B)で形成し、弁座面8を(合金A)で形成するようにしても良い。また、請求項1に記載の合金(合金A)と組み合わせる合金は、請求項3に記載の合金(合金B)には限定されない。他の成分組成を有する合金であっても良い。
また、上記実施形態および特許請求の範囲の記載において、「残部がニッケルで構成」と記載したが、これは実質的に全ての残部をニッケル(Ni)で構成させることを意味していて、ニッケル(Ni)以外の成分が、厳密な意味で全く含まれないことを意味しない。つまり、技術的に除去が困難な微量の不純物、あるいは冶金学的な効果を有さない程度に微量の不純物の存在は許容される。
1 仕切弁
2 弁箱
3 弁体
4 流路
5 弁座
6 弁棒
7 弁座面
8 弁座面

Claims (4)

  1. クロムを7〜17質量%、タングステンを1〜4質量%、ケイ素を3〜7質量%、ホウ素を1質量%以下、炭素を1質量%以下、鉄を3〜15質量%、及び銅を10〜20質量%、それぞれ含有するとともに、残部がニッケルで構成されている摺動部材用合金。
  2. 少なくとも1組の摺動部材を有する機器において、
    該摺動部材の一方が請求項1に記載の摺動部材用合金で形成されている
    ことを特徴とする機器。
  3. 前記摺動部材の他方は、クロムを15〜20質量%、タングステンを1〜4質量%、ケイ素を3〜7質量%、ホウ素を1質量%以下、炭素を1質量%以下、鉄を35質量%以下、及び錫を0.5〜1.0質量%、それぞれ含有するとともに、残部がニッケルで構成されている摺動部材用合金で形成されている
    ことを特徴とする請求項2に記載の機器。
  4. 前記摺動部材の一方は弁座面であり、前記摺動部材の他方は前記弁座面に対して相対的に摺動する相手方の弁座面である
    ことを特徴とする請求項2又は請求項3に記載の機器。
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