JP2021055819A - 弁 - Google Patents

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Abstract

【課題】弁箱シート部および弁体シート部について耐摩耗性および耐エロージョン性を向上可能であって、摺動特性に優れる弁を提供する。【解決手段】弁箱シート部111が設けられている弁箱11と、弁体シート部141が設けられている弁体14とを有する。弁箱シート部と弁体シート部とのうち一方は、Ni基合金の肉盛材で形成され、弁箱シート部と弁体シート部とのうち他方は、Fe基合金の肉盛材で形成されている。そして、Ni基合金の肉盛材のビッカース硬度がFe基合金の肉盛材のビッカース硬度よりも大きく、かつ、Ni基合金の肉盛材とFe基合金の肉盛材との間のビッカース硬度の差が、HV170以上である。【選択図】図2

Description

本発明は、弁に関する。
原子力プラントで使用される弁は、弁箱において弁座として機能する弁箱シート部と、弁体において弁座として機能する弁体シート部とを含み、弁箱シート部および弁体シート部は、耐摩耗性および耐エロージョン性に優れる材料で形成されている。
たとえば、Co基合金の肉盛材で弁箱シート部および弁体シート部が形成されている。しかし、この場合には、原子力プラントでは、Co基合金が高温かつ高圧な水に接するため、Co基合金からCo成分が炉水に溶出する場合がある。また、弁の開閉動作においてCo基合金同士が摺動して摩耗するため、その摩耗したCo成分が炉水に混入する場合がある。そのCo成分は、炉心中において放射性同位体であるCo60になり、配管、タービンなどの機器にCo60が付着する場合がある。その結果、沸騰水型プラントの定期検査の作業において、被ばく量の低減が困難になる場合がある。このため、炉水に入るCo成分の量を低減するために、Co成分を含有しないコバルトフリー材を用いることが検討されている。
たとえば、弁箱シート部の肉盛材と弁体シート部の肉盛材との組合せとして、たとえば、Cr−Ni−Fe系のFe基析出硬化型合金とCr−Nb−Mo−Ni系のNi基合金との組合せが提案されている。しかし、この場合には、肉盛材の溶接後に実行する析出硬化の熱処理が容易に実行できない。
また、弁箱シート部の肉盛材と弁体シート部の肉盛材との両者がNi基合金である場合、両者の硬度が同じであるために、摺動による摩耗の発生を抑制することが困難である。この場合、沸騰水型プラントでは、Co60の付着が減って被ばく量が低減するが、加圧水型プラントでは、炉心に流入して中性子照射により放射化したNi成分が蒸気発生器に付着するので、蒸気発生器の点検作業において被ばく量を低減することが容易でない。
特開昭62−1837号公報 特開昭62−130792号公報 特開平8−247302号公報 特許第5789328号 特許第6005436号
上記したように、弁において弁箱シート部および弁体シート部は、耐摩耗性および耐エロージョン性が十分でない場合があり、Co粒子が冷却水中に混入する。このため、原子力プラントでは検査などの作業において被ばく量を低減することが容易でない。
したがって、本発明が解決しようとする課題は、弁箱シート部および弁体シート部について耐摩耗性および耐エロージョン性を向上可能であって、摺動特性に優れるコバルトフリーな弁を提供することである。
実施形態の弁は、弁箱シート部が設けられている弁箱と、弁体シート部が設けられている弁体とを有する。弁箱シート部と弁体シート部とのうち一方は、Ni基合金の肉盛材で形成され、弁箱シート部と弁体シート部とのうち他方は、Fe基合金の肉盛材で形成されている。そして、Ni基合金の肉盛材のビッカース硬度がFe基合金の肉盛材のビッカース硬度よりも大きく、かつ、Ni基合金の肉盛材とFe基合金の肉盛材との間のビッカース硬度の差が、HV170以上である。
本発明によれば、弁箱シート部および弁体シート部について耐摩耗性および耐エロージョン性を向上可能であって、摺動特性に優れるコバルトフリーな弁を提供することができる。
図1は、実施形態に係る弁の構成を模式的に示す部分断面図である。 図2は、実施形態に係る弁の一部を拡大して示す部分断面図である。 図3は、エロージョン試験の結果を示す図である。
[A]弁10の構成
図1は、実施形態に係る弁10の構成を模式的に示す部分断面図である。図2は、実施形態に係る弁10の一部を拡大して示す部分断面図である。図1および図2では、弁10が全て閉じられた全閉状態である場合を示している。
図1に示すように、弁10は、弁箱11と弁蓋12と弁棒13と弁体14と弁駆動装置21とを有する仕切弁(ゲートバルブ)であって、たとえば、沸騰水型または加圧水型の原子力プラント(図示省略)において使用される。弁10を構成する各部について、順次、説明する。
[A−1]弁箱11
弁箱11は、図1に示すように、水平方向に沿った内部空間11Sを含む。弁箱11の内部空間11Sは、流体が流れる流路である。そして、鉛直方向において内部空間11Sの上側には、内部空間11Sに連通する開口11Kが形成されている。
[A−2]弁蓋12
弁蓋12は、図1に示すように、弁箱11の上方に設置されており、弁箱11の開口11Kを塞いでいる。ここでは、弁蓋12は、鉛直方向に貫通する貫通孔12Kが形成されている。
[A−3]弁棒13
弁棒13は、図1に示すように、鉛直方向に延在するように弁蓋12の貫通孔12Kを貫通している。
[A−4]弁体14
弁体14は、図1に示すように、鉛直方向において弁棒13の下端に設置されている。ここでは、弁体14は、弁箱11の開口11Kを貫通している。
[A−5]弁駆動装置21
弁駆動装置21は、図1に示すように、鉛直方向において弁棒13の上端に設置されている。弁駆動装置21は、ハンドル211およびモータ212を含み、弁棒13に設置された弁体14を鉛直方向に移動させることによって、弁10の開閉動作を実行する。
具体的には、弁駆動装置21は、弁10について閉動作を実行する際には、弁棒13に設置された弁体14を下方に移動させることによって、内部空間11Sである流路を閉じる。これに対して、弁10について開動作を実行する際には、弁駆動装置21は、弁棒13に設置された弁体14を上方に移動させることによって、内部空間11Sである流路を開ける。
[B]弁10の詳細構成
[B−1]弁箱シート部111
図2に示すように、弁箱11には、弁箱シート部111が設けられている。弁箱シート部111は、弁箱11において弁座として機能する。ここでは、弁箱シート部111は、環状であって、開口11K、貫通孔12K(図1参照)、および、弁棒13に対して同軸に設置されている。
本実施形態では、2つの弁箱シート部111が弁箱11に設けられている。具体的には、弁箱シート部111は、環状部材112のうち弁体シート部141側の端面に形成されており、環状部材112が弁箱11に固定されている。
[B−1]弁体シート部141
そして、図2に示すように、弁体14には、弁体シート部141が設けられている。弁体シート部141は、弁体14において弁座として機能する。ここでは、弁体シート部141は、環状であって、弁体14の外周面に設けられている。
本実施形態では、2つの弁体シート部141が弁体14に設けられている。
図2に示すように、弁10が全閉状態である場合には、弁箱シート部111と弁体シート部141とが密着した状態になる。このため、弁10について開閉動作が行われる際には、弁箱シート部111に対して弁体シート部141が摺動する。
[C]弁箱シート部111および弁体シート部141の材料
弁箱シート部111と弁体シート部141とのうち一方は、Ni基合金の肉盛材で形成されている。そして、弁箱シート部111と弁体シート部141とのうち他方は、Fe基合金の肉盛材で形成されている。つまり、弁箱シート部111をNi基合金の肉盛材で形成する場合には、弁体シート部141をFe基合金の肉盛材で形成する。これに対して、弁体シート部141をNi基合金の肉盛材で形成する場合には、弁箱シート部111をFe基合金の肉盛材で形成する。
[C−1]Fe基合金の組成
Fe基合金である肉盛材の化学組成は、たとえば、質量百分率表示で、下記であることが好ましい。
・Cr:23.0%以上26.0%以下
・Mo:1.8%以上2.2%以下
・Si:3.1%以上3.5%以下
・C:1.1%以上1.35%以下
・Ni:3.7%以上5.0%以下
・Mn:4.0%以上5.0%以下
・B:0%以上0.002%未満
・S:0%以上0.01%未満
・P:0%以上0.020%未満
・N:0%以上0.18%未満
・Oが0%以上0.020%未満
・残部:Feおよび不可避的不純物
Fe基合金の主要な化学成分について上記範囲に設定した理由を説明する。
Fe基合金において、Crは、耐食性を維持するために必要な成分である。この一方で、Crは、含有割合が過度に大きくなると耐摩耗性が低下する場合がある。このため、Crの含有割合は、上記範囲に設定されている。
Fe基合金において、Siは、硬さや耐摩耗性を向上のために添加される。この一方で、Siは、含有割合が過度に大きくなると、溶接割れが発生する場合がある。このため、Siの含有割合は、上記範囲に設定されている。
Fe基合金において、Cは、硬さや耐摩耗性向上およびオーステナイト安定化のために添加される。この一方で、Cは、含有割合が過度に大きくなると、溶接割れ感受性が高くなる場合がある。このため、Siの含有割合は、上記範囲に設定されている。
Fe基合金において、Niは、オーステナイト安定化元素として添加されており、溶接性等の改善の効果が得られる。この一方で、Niは、含有割合が過度に大きくなると、硬さおよび耐摩耗性の低下が生じる場合がある。このため、Niの含有割合は、上記範囲に設定されている。
Fe基合金において、Mnは、オーステナイト安定化元素として添加されている。この一方で、Mnは、含有割合が過度に大きくなると溶接割れ感受性が発現するおそれがある。このため、Mnの含有割合は、上記範囲に設定されている。
[C−2]Ni基合金の組成
Ni基合金である肉盛材の化学組成は、たとえば、質量百分率表示で、下記であることが好ましい。
・Cr:16.5以上18.5%以下
・B:0.75以上1.05%以下
・Si:6.5以上7.0%以下
・Fe:4.5以上6.0%以下
・C:0.1以上0.5%以下
・W:0.9以上1.5%以下
・Sn:0.35以上0.95%以下
・残部:Niおよび不可避的不純物
Ni基合金の主要な化学成分について上記範囲に設定した理由を説明する。
Ni基合金において、Crは、耐食性を維持するために必要な成分である。この一方で、Crは、含有割合が過度に大きくなると耐摩耗性が低下する場合がある。このため、Crの含有割合は、上記範囲に設定されている。
Ni基合金において、Siは、硬さや摺動性を向上のために添加される。この一方で、Siは、含有割合が過度に大きくなると、溶接割れが発生する場合がある。このため、Siの含有割合は、上記範囲に設定されている。
Ni基合金において、Cは、硬さや耐摩耗性向上およびオーステナイト安定化のために添加される。この一方で、Cは、含有割合が過度に大きくなると、溶接割れ感受性が高くなる場合がある。このため、Cの含有割合は、上記範囲に設定されている。
[D]ビッカース硬度
[D−1]ビッカース硬度の差
本実施形態では、Ni基合金の肉盛材のビッカース硬度がFe基合金の肉盛材のビッカース硬度よりも大きく、かつ、Ni基合金の肉盛材とFe基合金の肉盛材との間のビッカース硬度の差が、HV170以上である。なお、ビッカース硬度は、「JIS Z 2244:2009 ビッカース硬さ試験」で示される試験法によって求めることができる。
[D−2]Fe基合金の肉盛材のビッカース硬度
Fe基合金の肉盛材は、ビッカース硬度がHV380以上400以下であることが好ましい。上記範囲の下限値未満の場合には、Fe基合金の肉盛材において摩耗が発生しやすいので、耐摩耗性の低下が発生する場合がある。HV400を超える場合には、Fe基合金の形成時に溶接割れなどが発生する場合がある。
[E]製造方法
Fe基合金の肉盛材で弁箱シート部111または弁体シート部141を形成する場合には、たとえば、上記化学組成を有するFe基合金の粉末を用いて肉盛施工を実行する。ここでは、たとえば、粉体プラズマ溶接(PTA溶接によって肉盛施工を実行することが好ましい。
Ni基合金の肉盛材で弁箱シート部111または弁体シート部141を形成する場合には、たとえば、上記化学組成を有するNi基合金の粉末を用いて肉盛施工を実行する。ここでは、たとえば、粉体プラズマ溶接(PTA溶接)によって肉盛施工を実行することが好ましい。
[F]まとめ
以上のように、本実施形態では、弁箱シート部111と弁体シート部141とのうち一方は、Ni基合金の肉盛材で形成されている。これに対して、弁箱シート部111と弁体シート部141とのうち他方は、Fe基合金の肉盛材で形成されている。ここでは、Ni基合金の肉盛材のビッカース硬度がFe基合金の肉盛材のビッカース硬度よりも大きく、かつ、Ni基合金の肉盛材とFe基合金の肉盛材との間のビッカース硬度の差が、HV170以上250未満である。無欠陥で製作可能なNi基合金の硬さの上限はHV630であり、耐摩耗性から許容できるFe基合金の硬さの下限がHV380であることから両者の硬さの差の上限はHV250とする。NI基合金の硬度がHV630を超えると溶接時に割れなどの欠陥が生じる難点がある。
本実施形態では、弁箱シート部111および弁体シート部141について、Co成分を含まない肉盛材を用いて作製している。このため、軽水炉プラントの定期検査作業等において作業者の被ばく量が低減されるので、安全性を向上可能である。そして、詳細については後述するが、本実施形態では、弁箱シート部111と弁体シート部141との両者についてCo基合金を用いて形成した場合と耐摩耗性等が同様であるため、耐久性が良好である。
また、Ni基合金の肉盛材とFe基合金の肉盛材との間のビッカース硬度の差が、HV170以上であるので、良好な弁座シール性の効果を奏することができる。
[G]変形形態
上記の実施形態では、弁箱シート部111を環状部材112の内面に形成し、その環状部材112を弁箱11の内面に固定する場合について説明した。この場合には、弁10について容易かつ効率的に製造することができる。しかしながら、これに限らない。たとえば、弁箱シート部111を環状部材112の内面に形成せずに、弁箱シート部111を弁箱11の内面に直接的に形成してもよい。
上記の実施形態では、弁10が仕切弁である場合について説明したが、これに限らない。玉形弁、逆止弁、安全弁、ボール弁、バタフライ弁などのように他の形式の弁において、上記の実施形態の場合と同様に、弁箱シート部および弁体シート部を構成してもよい。
以下より、実施例等に関して、表1を用いて説明する。
Figure 2021055819
[実施例1]
実施例1では、表1に示すように、Fe基合金をPTA溶接で肉盛することによって弁箱シート部111を形成した。そして、Ni基合金をPTA溶接で肉盛することによって弁体シート部141を形成した。
実施例1において、弁箱シート部111のビッカース硬度は、380HVであり、弁体シート部141のビッカース硬度は、550HVであり、両者間のビッカース硬度の差は、170HVであった。上記のビッカース硬度は、JIS Z 2244に準拠する試験方法で測定した値である。ここでは、ビッカース硬度の測定は、ダイヤモンド圧子の負荷荷重を10kgの条件で行った。
具体的な製造方法に関して以下より説明する。
(弁箱シート部111)
実施例1において、弁箱シート部111の作製で用いたFe基合金は、質量百分率表示で下記に示す組成の材料である。
・Cr:25.1%
・Mo:2.1%
・Si:3.3%
・C:1.20%
・Ni:4.1%
・Mn:4.4%
・N:0.13%
・B:0.002%
・残部:Feおよび不可避的不純物
つぎに、鋼材であるS25C(JIS G 4051:2009)の上に、上記のFe基合金の粉末を用いてPTA溶接法で3層肉盛溶接を行うことで、150Aの仕切弁の弁体シート部141を摺動試験片として作製した。
(弁体シート部141)
実施例1において、弁体シート部141の作製で用いたNi基合金は、質量百分率表示で下記に示す組成の材料である。
・Cr:17.5%
・B:0.9%
・Siが6.5%
・Fe:5.31%
・C:0.3%
・W:1.2%
・Sn:0.7%
・残部:Niおよび不可避的不純物
上記のNi基合金についても同様に、鋼材であるS25C(JIS G 4051:2009)の上に、PTA溶接法で3層肉盛溶接を行うことで、150Aの仕切弁の弁体シート部141を摺動試験片として作製した。
[比較例1]
比較例1では、表1に示すように、Co基合金をガス盛溶接で肉盛することで、弁箱シート部111の形成を行った。これに対して、弁体シート部141の形成についても同様に、Co基合金をガス盛溶接で肉盛した。弁体シート部141の形成は、弁箱シート部111の形成と同様な条件で実施した。
比較例1において、弁箱シート部111のビッカース硬度、および、弁体シート部141のビッカース硬度の両者は、430HVであり、両者間のビッカース硬度の差は、0HVであった。
[比較例2]
比較例2では、表1に示すように、Ni基合金をPTA盛溶接で肉盛することで、弁箱シート部111および弁体シート部141の形成を行った
比較例2において、弁箱シート部111のビッカース硬度と弁体シート部141のビッカース硬度との差は、140HVであった。
[比較例3]
比較例3では、表1に示すように、Ni基合金を溶射することで、弁箱シート部111および弁体シート部141の形成を行った
比較例3において、弁箱シート部111のビッカース硬度と弁体シート部141のビッカース硬度との差は、30HVであった。
[試験結果]
(1)リーク量(摺動試験機を用いた摺動試験)
表1に示すように、各例に関して、リーク量の測定を実施した。ここでは、リーク量の測定のために、摺動試験機を用いて摺動試験を実行した。摺動試験は、温度が288℃である飽和水中において、面圧が200MPaの条件で弁の開閉動作を複数回行うことによって、実行された。
表1は、弁の開閉動作のリーク量の結果について、下記の基準で示している。
・A…リーク量Lが0mL/minである場合
・B…リーク量Lが0mL/minを超え、60mL/min以下である場合
・C…リーク量Lが60mL/minを超え、90mL/min以下である場合
・D…リーク量Lが90mL/minを超え、180mL/min以下である場合
・E…リーク量Lが180mL/minを超える場合
表1に示すように、実施例1は、比較例1に対してリーク量が同等であった。また、実施例1は、作動回数100回におけるリーク量が比較例2よりも少なく、作動回数50回および100回におけるリーク量が比較例3よりも少なかった。
実施例1では、Fe基合金の硬度が380HVであり、Ni基合金の硬度が550Hvであり、硬度差が170Hvである。このように、大きな硬度差が生じることによって摺動性が良好であると考えられる。ミクロ的な視点で見ると、摺動面は、微細な突起と突起の頂点とが接触した状態になっていると考えられる。このため、突起どうしの接触面圧は、平均面圧より高く、接触面圧が作用した状態で摺動する時に生じる摩擦熱によって突起が局部的に高温になると考えられる。金属は、温度が高くなるほど、硬さ、耐力(又は降伏点)、および、引張強さが低下する。金属の硬さと、耐力(又は降伏点)、及び、引張強さとの間は、比例関係にあり、硬いほど強度が高い。接触面を構成する両方の金属が同じ硬さである場合には、耐力(又は降伏点)及び引張強さも同等と推測され、摺動時に両面の突起部が融着しやすいと考えられる。焼付き・かじりと呼ばれる現象は、起点となった突起面の融着が周辺に広がり大きくなったものである。突起面の硬度差が大きい場合、硬い材料の突起部は、変形および摩耗が少なく、柔らかい材料側が大きく摩耗するため、焼付き・かじりが生じにくいと考えられる。高温環境下では室温状態より接触面の傷が大きくなるのは、高温では強度低下が大きく、摩耗・変形が生じやすいためである。
(2)摩擦係数
表1に示すように、各例について、摺動試験後の摩擦係数を測定した。表1では、摩擦係数の結果について、下記の基準で示している。
・A…摩擦係数が0.5以下である場合
・B…摩擦係数が0.5を超え、1.0以下である場合
・C…摩擦係数が1.0を超える場合
表1に示すように、実施例1と比較例1とは、摩擦係数が互いに同等であった。つまり、実施例1は、現状のプラントに使用されているCo基合金の弁と摺動特性が同等であった。
(3)表面粗さRa
各例に関して、上記の摺動試験を実行した後に、弁を分解し、弁箱シート部111および弁体シート部141の摺動面に関して、算術平均表面粗さRa(JIS B 0601−2001)を測定した。
実施例1において、算術平均表面粗さRaは、下記の結果であった。
・弁箱シート部111を構成するFe基合金のRa:0.74μm
・弁体シート部141を構成するNi基合金のRa:0.34μm
比較例1において、算術平均表面粗さRaは、下記の結果であった。
・弁体シート部141を構成するCo基合金のRa:1.00μm以下
・弁箱シート部111を構成するCo基合金のRa:1.00μm以下
上記の算術平均表面粗さRaの結果から、実施例1は、比較例1と同様に、メンテナンスが可能であることが判る。
実施例1では、Fe基合金とNi基合金との間の硬度差が170HVであり、Fe基合金の弁体シート部141が支配的に削れる。つまり、実運用上は、定期点検で交換が容易に可能な弁体にFe基合金を肉盛施工することが望ましい。したがって、Fe基合金の肉盛硬化材料を弁体に採用し、Ni基合金の肉盛硬化材料を弁座に採用した弁を、炉内に向かう系統の弁に採用した場合、弁シート部に起因する被ばくを、無くすことができる。よって、定期検査時の作業時間を大幅に確保でき、より安全な原子力プラントを製造することが可能になる。
[エロージョン試験]
エロージョン試験においては、実施例1と同様な条件でFe基合金を肉盛することによってテストピースを製作した後に、そのテストピースに関して機械加工を施すことによって、エロージョン試験片1を作製した。また、実施例1と同様な条件でNi基合金を肉盛することによってテストピースを製作した後に、そのテストピースに関して機械加工を施すことによって、エロージョン試験片2を作製した。更に、比較例1と同様な条件でCo基合金を肉盛することによってテストピースを製作した後に、そのテストピースに関して機械加工を施すことによって、エロージョン試験片3を作製した。
そして、各エロージョン試験片についてエロージョン試験を実行した。エロージョン試験では、高圧な流水を各試験片に衝突させてエロージョンを発生させた。具体的には、下記の試験条件でエロージョン試験を実行した。
・試験流体:常温水
・差圧:24.5MPa
・流速:216m/s
・試験時間:50hr
図3は、エロージョン試験の結果を示す図である。図3において、横軸は、エロージョン試験を実行した試験時間(Hr)を示し、縦軸は、各試験片の重量が試験前の状態から減少した重量(減重量)を示している。
図3に示すように、重量が試験前の状態から減少した重量(減重量)は、実施例1等で用いたFe基合金およびNi基合金は、比較例1で用いたCo基合金よりも著しく小さかった。
[600Aの仕切弁での摺動試験]
上記した摺動試験とは別に、600Aの仕切弁における摺動試験を行った。この摺動試験の結果について説明する。実施例1の場合と同様に弁体シート部141および弁箱シート部111が形成された600Aの仕切弁において、摺動試験を実行した。摺動試験は、温度が288℃である飽和蒸気中において、差圧が7.13MPaの条件で弁の開閉動作を、50回、行うことによって、実行された。
上記の摺動試験後、弁座漏えい試験を行うことによって漏洩の有無を確認した。弁座漏えい試験は、常温の水により、試験圧力が8.62MPaであって保持時間が3分間である条件で実行された。その結果、漏洩が無いことが確認された。
<その他>
以上、本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
10…弁、11…弁箱、11K…開口、11S…内部空間、12…弁蓋、12K…貫通孔、13…弁棒、14…弁体、21…弁駆動装置、111…弁箱シート部、112…環状部材、141…弁体シート部、211…ハンドル、212

Claims (4)

  1. 弁箱シート部が設けられている弁箱と、
    弁体シート部が設けられている弁体と
    を有する弁であって、
    前記弁箱シート部と前記弁体シート部とのうち一方は、Ni基合金の肉盛材で形成され、
    前記弁箱シート部と前記弁体シート部とのうち他方は、Fe基合金の肉盛材で形成され、
    前記Ni基合金の肉盛材のビッカース硬度が前記Fe基合金の肉盛材のビッカース硬度よりも大きく、かつ、前記Ni基合金の肉盛材と前記Fe基合金の肉盛材との間のビッカース硬度の差が、HV170以上であることを特徴とする、
    弁。
  2. 前記Fe基合金の肉盛材は、ビッカース硬度がHV380以上400以下である、
    請求項1に記載の弁。
  3. 原子力プラントにおいて使用される、
    請求項1または2に記載の弁。
  4. 請求項1または2記載の弁を用いて構成されることを特徴とするプラント。
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