JP3721300B2 - 弁 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、新規な摺動部に耐食・耐摩耗合金を拡散接合した弁に関する。
【0002】
【従来の技術】
グローバルバルブ,ゲートバルブ,バタフライバルブ等の弁類は、実運転中の弁座付近での流体によるエロージョン損傷を防止するため、或いは弁作動時のかじり防止のために、耐食・耐摩耗性に優れた高硬度のコバルト(Co)基合金,ニッケル(Ni)基合金,鉄(Fe)基合金等の表面溶着合金を弁の摺動部に肉盛して用いられている。
【0003】
しかし、近年、タービン発電設備等では循環水の水質調整のために循環水系統に過酸化水素水等の薬剤が注入されるようになり、該薬剤の注入点より下流の溶存酸素量が増加し、その結果、弁の弁座面等にエロージョン・かじりによる損傷が発生している。これは弁の摺動部に肉盛しているコバルト(Co)基合金等の共晶炭化物が選択的に腐食損傷する恐れがあるためである。高速流体中では前記共晶炭化物の腐食損傷に続いて、鋳造組織の基地(マトリックス)が脱落し、エロージョンが発生する場合がある(「火力原子力発電」:30巻,No.5,67頁,「機械の損害」:1982年,No.2,90頁,及び「材料と環境」:47巻,No.3,207頁)。
【0004】
従来、弁類の摺動部にエロージョン防止・かじり防止のために、高硬度のCo基合金,Ni基合金,Fe基合金等が表面溶着合金として肉盛されている。
【0005】
しかし、溶存酸素量の多い高温高圧の水・蒸気雰囲気下で、Co基合金等を肉盛した弁等を使用すると、鋳造組織の基地(マトリックス)と網目状に鋳造組織の基地を包み込んでいる共晶炭化物のうち網目状の共晶炭化物が選択的に腐食され、弁座の面荒れが著しくなると共に、鋳造組織の基地も流れによって容易に脱落する可能性がある。このため、弁の耐漏洩性能が低下したり、制御特性や作動特性が変化する等の不具合を生じる可能性がある。
【0006】
又、特開昭60―86239号公報には、各種プラントで用いられるバルブ弁座に耐摩耗、耐エロージョン特性を付与するために、Co基合金の肉盛溶接、Cr10〜45%、Al,Tiの少なくとも1つを1.5〜6%、Mo20%以下、残部Ni合金が拡散接合することが開示されている。
【0007】
又、原子力発電設備においては、炉水と接する摺動部及び炉内に冷却水を供給する系統設備の弁類ではこれらの部位に肉盛されている高硬度のCo基合金等は、腐食・エロージョンによって系統中に混入する恐れがある。
【0008】
なお、従来の弁類の部材としては炭素鋼,構造用合金鋼,低合金鋼、ステンレス鋼等が多く用いられており、これら炭素鋼,構造用合金鋼、低合金鋼、ステンレス鋼等の表面に耐摩耗性のCo基合金,Ni基合金,Fe基合金等の表面溶着合金を肉盛すると、炭素鋼,構造用合金鋼、低合金鋼、ステンレス鋼表面が急熱・急冷を受けるために(1)残留応力の発生,(2)形状寸法の変化,(3)破壊靭性や衝撃値の低下,(4)各種の腐食に対する耐食性や疲労特性の低下が生じる可能性がある。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、上述のいずれの公報においても、弁の摺動部の耐食性・耐エロージョン性を向上させるための構造上の特定の工夫については全く示されていない。
【0010】
本発明の目的は、摺動部の耐食性・耐エロージョン性を向上させると共に、作業性とせん断力に対する抵抗力の高い弁を提供することにある。
【0011】
【課題を解決するための手段】
本発明は、フェライトとパーライトを主にした炭素鋼、構造用合金鋼,低合金鋼又は、ステンレス鋼からなる基材部の摺動部表面に、共晶炭化物を有する合金中の前記共晶炭化物を複数の粒状又は複数の塊状に集合形成して、粒径30μm以下、好ましくは10μm以下の共晶炭化物を非連続的に分散させた耐食・耐摩耗コバルト基合金,ニッケル基合金あるいは鉄基合金からなる耐摩耗性部材が前記摺動部表面に設けられた突起の外周、又はリング状突起の内周に接して接合されており、好ましくはリング状の耐摩耗性部材が円形の突起の外周、又はリング状突起の内周に接して前記接合されている弁にある。
【0012】
共晶炭化物を連続した網目状から粒径が30μm以下である粒状又は塊状に不連続化することで、例えば、JIS G0575のストラウス試験における耐食性を約300倍と大きく向上できる。又、共晶炭化物の粒径を30μm以下とするより小さい方が好ましく、延性、靭性、耐衝撃性等の機械的特性が良好となる。
【0013】
本発明の弁は、炭素鋼、低合金鋼又はステンレス鋼からなる基材の摺動部表面に、粒径が30μm以下である共晶炭化物を有するコバルト基合金,ニッケル基合金又は鉄基合金からなるリング状耐摩耗性部材が接合され、該耐摩耗性部材が前記基材より熱膨張係数が大きいとき前記摺動部表面に設けられた円形の突起の外周に接して前記接合され、又は前記耐摩耗性部材が前記基材より熱膨張係数が小さいとき前記摺動部表面に設けられたリング状突起の内周に接して前記接合されていることが好ましい
【0014】
本発明の摺動部表面に設けられた円形の突起又はリング状突起の厚さは耐摩耗性部材の厚さよりも小さくし、接合の際に耐摩耗性部材がそれらの突起に密着して安定して設置されるような厚さを有するものが好ましい。
【0015】
コバルト基合金は、重量で、C0.6 〜3%,Si2%以下,Cr25〜32%,W15%以下、好ましくは4〜15%、Fe0〜3%,Ni0〜3%,Mo0〜6%を含むものが好ましい。
【0016】
ニッケル基合金は、重量で、C1%以下、好ましくは0.2〜0.5%、Si7%以下,Cr7〜20%,W5%以下、好ましくは0.5 〜2%、B3.5%以下を含むものが好ましい。
【0017】
また、Fe基合金は、重量で、C1.5以下、好ましくは0.3〜1.0%、Si4%以下、好ましくは0.5〜3%、Cr15〜27%,Mo8%以下、好ましくは0.5 〜2%を含むものが好ましい。
【0018】
本発明に係る炭素鋼は、接合後の冷却速度を制御することにより摺動部のベース金属の組織をフェライト及びパーライトを主にした組織にするものが好ましい。その硬さはHv100〜250程度とするのが好ましい。
【0019】
前述の耐食・耐摩耗コバルト基合金,ニッケル基合金あるいは鉄基合金からなる耐摩耗性部材は、鋳造組織基地と共晶炭化物とを有する合金に熱間鍛造又は熱間圧延による塑性加工や加熱処理を加えて前記共晶炭化物を非連続分布とした耐食・耐摩耗合金が拡散接合により摺動部に接合されていることが好ましい。
【0020】
更に言えば、前記の拡散接合が母材よりも低融点のインサート材を接合界面に挿入し融点降下元素を母材中に拡散させ凝固・接合を進行させる液相拡散接合であることが好ましく、前記インサート材が重量で、Si8%以下、B5%以下及びP12%以下、好ましくはSi1〜8%,B1〜5%、より好ましくはSi3〜6%,B2〜4%を含むニッケル基合金或いはこれにさらにCr5〜20%を含有するニッケル基合金が好ましい。
【0021】
共晶炭化物を不連続化した耐食・耐摩耗合金の摺動部への接合は拡散接合、なかでも液相拡散接合によって容易に実現することができる。液相拡散接合では、母材(非接合材)よりも融点の低いインサート材を接合界面に挿入し、接合(加熱)時にインサート材に含有されるB,Si,P等の融点降下元素を母材中に拡散させることで凝固・接合を進行させるために、いわゆる固相拡散接合に比較して接合時の加圧力を小さくすることができ、接合による変形も少ない。また、接合面の機械加工仕上げ精度もRmax 20μm程度でも良好な接合が可能である。
【0022】
本発明は、高温での拡散接合後における室温までの冷却速度を制御することが好ましい。従来の表面溶着合金を肉盛する方法では、摺動部基材の炭素鋼,構造用合金鋼や低合金鋼の表面が急熱・急冷を受けるために基材肉盛部のミクロ組織中にマルテンサイトやベイナイト等が存在して、大きな残留応力の発生,破壊靭性や衝撃値の低下,耐食性や疲労特性の低下等の問題点を生ずる恐れがあった。これに対して本発明では、拡散接合後の温度−時間曲線すなわち冷却曲線が、摺動部基材である炭素鋼,構造用合金鋼や低合金鋼の連続冷却変態(CCT)図におけるマルテンサイトあるいはベイナイトを含む領域を横切らないように制御することにより、フェライトとパーライトを主体としたミクロ組織とHv250以下の硬さにすることにより、たとえばH2S を含む環境下での基材の耐食性・耐応力腐食割れ性等を大きく向上できるものである。
【0023】
なお、液相を介して母材(非接合材)を接合する方法として、従来からろう接が知られているが、ろう接では主にろう材と母材との間の化学的結合力と物理的粘着力とを利用しており、ろう材・母材間の相互拡散は液相拡散接合に比較して少なく、従って接合強度等接合部の信頼性も液相拡散接合が優れている。
【0024】
本発明によれば、共晶炭化物が基地(マトリックス)に非連続的に分布したCo基、Ni基、Fe基等の耐食、耐摩耗性合金を各種機器及び弁類の摺動部に拡散接合することにより、過酸化水素水等の注入によって生じた溶存酸素がもたらす共晶炭化物の腐食損傷を抑制し、同時に機器・弁類の摺動部の摩擦抵抗の増加や弁座面等の荒れによる耐漏洩性能の低下も抑制し、耐衝撃性・保守性能に優れた各種機器・弁類を得ることができる。又、本発明によれば、摺動部基材とリング状耐摩耗性部材の接合時の位置合わせ(中心合わせ)が容易に行えると同時に、弁の作動時に摺動部・接合部に負荷されるせん断力に対する抵抗力を高めることができる。
【0025】
又、本発明によれば、鍛造又は圧延等の塑性加工と加熱処理(焼鈍)を施した板材・棒材から切り出した粒状又は塊状の共晶炭化物を有するCo基,Ni基,Fe基等の耐食・耐摩耗合金を弁座等に拡散接合、特に液相拡散接合することで、溶存酸素がもたらす弁座等の腐食損傷やエロージョン損傷を低減した耐衝撃性の良好な安全弁,仕切り弁,玉型弁等を得ることができる。
【0026】
更に、本発明によれば、火力、原子力発電設備の弁類に使用されるCo基合金の腐食・エロージョン・摩耗等によるCoの飛散・拡散を抑制することで、保守性に優れた発電プラントを得ることができる。
【0027】
本発明のCo基耐食・耐摩耗合金では、鍛造・圧延等の塑性加工とその後の加熱処理(焼鈍)等、あるいは高温で熱間鍛造・熱間圧延を行う等により、粒径30μm以下に形成された共晶炭化物は鋳造組織基地中に粒状又は塊状に不連続に分布しており、溶存酸素による炭化物の腐食損傷は溶存酸素に接する面の炭化物にのみ限られ、鋳造組織基地の脱落も少ない。
【0028】
【発明の実施の形態】
(実施例1)
1000℃以上の温度での熱間鍛造と熱間圧延によって共晶炭化物を粒径30μm以下の粒状又は塊状とした1.0重量%C−29.4重量%Cr−3.9重量%Wを含むリング状の耐食・耐摩耗性Co基合金板1を液相拡散接合によって、図1に示す模擬弁Aの摺動部に接合した。リング状の耐食・耐摩耗性Co基合金板1は外径154mm,内径90mm,厚さ7mmである。模擬弁Aの摺動部基材2の材質は炭素鋼S25Cで、その熱膨張係数はCo基合金に比較して小さいため、熱膨張差による応力の発生を防止するために、S25Cの摺動部基材表面には接合されるリング状の耐食・耐摩耗性Co基合金板1に内接して直径が89.5mm ,高さが2mmの凸型の突起3を設けた。これによって、位置合わせを容易に行えると同時に、模擬弁の作動時に摺動部・接合部に負荷されるせん断力に対する抵抗力を高めることができる。
【0029】
模擬弁の摺動部基材2,リング状の耐食・耐摩耗性Co基合金板1を脱脂・洗浄した後、摺動部基材2上に外径154mm,内径90mm,厚さ約40μmの接合用インサート材を置き、次いで該材料の上に共晶炭化物を粒状又は塊状としたリング状の耐食・耐摩耗性Co基合金板1をはめ合わせて、液相拡散接合を行った。接合に用いたインサート材は4.5重量%Si,3重量%B を含むNi基合金で、約1040℃以上で完全に溶融する。液相拡散接合条件は、接合温度:1100℃,保持時間:1h,真空度:1〜2×10-4Torr,加圧力:15g/cm2とした。
【0030】
接合後に接合界面近傍の断面光学顕微鏡観察を行ったところ、ピンホールやボイド等の接合欠陥はほとんど認められず、良好な接合状態を示していた。
【0031】
模擬弁Aと同一のリング状の耐食・耐摩耗性Co合金板1を液相拡散接合によって、図2に示す模擬弁Bの摺動部に接合した。模擬弁Bの摺動部基材4の材質はオーステナイト系ステンレス鋼で、その熱膨張係数はCo基合金に比較して大きいため、熱膨張差による応力の発生を防止するために、オーステナイト系ステンレス鋼の摺動部基材表面には接合されるリング状の耐食・耐摩耗性Co基合金板1に外接して直径が154.5mm,高さ2mmの凹型の円形の突起5を設けた。これによって、位置合わせを容易に行えると同時に、模擬弁の作動時に摺動部・接合部に負荷されるせん断力に対する抵抗力を高めることができる。
【0032】
模擬弁Bの摺動部基材4,リング状の耐食・耐摩耗性Co基合金板1を脱脂・洗浄した後、摺動部基材4上に外形154mm,内径90mm,厚さ約40μmの接合用インサート材を置き、次いで該材料の上に共晶炭化物を粒状又は塊状としたリング状の耐食・耐摩耗性Co基合金板1をはめ合わせて、液相拡散接合を行った。接合に用いたインサート材は4.5 重量%Si,3重量%B,7重量%Cr,3重量%Feを含むNi基合金で、約1000℃以上で完全に溶融する。液相拡散接合条件は、接合温度:1100℃,保持時間:1h,真空度:1〜2×10-4Torr,加圧力:15g/cm2とした。接合後に接合界面近傍の断面光学顕微鏡観察を行ったところ、ピンホールやボイド等の接合欠陥はほとんど認められず、良好な接合状態を示していた。また、接合後の冷却は1100℃から650℃までを約150℃/h,650℃から425℃までを約100℃/h,425℃以下を空冷とした。
【0033】
上述によって作製した模擬弁A及びBを組み合わせて、面圧2000気圧の焼付摩耗試験を常温水中及び288℃高温水中で実施した。
【0034】
その結果、摺動回数100回後の摩擦係数は常温水中で約0.3、また288℃高温水中で約0.2 と、従来の表面肉盛溶着合金を摺動部に用いた弁に比較して、同等またはそれ以下であることを確認した。
【0035】
又、前述で作製した模擬弁Aから図3(a)に示すせん断試験片を切り出して、耐食・耐摩耗Co基合金板1と模擬弁Aの摺動部基材2である炭素鋼S25Cとの液相接合界面9のせん断強度を測定した。
【0036】
その結果、Co基合金/S25C界面の室温でのせん断強度は約37kg/mm2となったが、摺動部基材S25C表面に設けた高さ2mmの段差も含めた形の図3(b)に示すせん断試験片では当然のことながらせん断応力が37kg/mm2を越えても破断せず、本発明において摺動部基材表面に設けた凸型あるいは凹型の段差は弁摺動部・接合部に負荷されるせん断力に対する抵抗力を高める効果があることを確認した。
【0037】
なお、本実施例ではいずれもリング状の耐食・耐摩耗Co基合金板1を用いたが、共晶炭化物を非連続分布としたNi基合金あるいはFe基合金なども同様に用いることができる。
【0038】
(実施例2)
図4は、実施例1と同様に製造した仕切り弁の断面図である。熱間鍛造と熱間圧延によって共晶炭化物を30μm以下の粒状又は塊状とした1.0重量%C−30.0重量%Cr−3.9重量%W を含むリング状の耐食・耐摩耗Co基合金板6を液相拡散接合によって、図4に示すように溶存酸素雰囲気下で使用する仕切り弁の弁箱・弁座7及び弁体・弁座8に接合した。図4の(a)は仕切り弁本体の断面図、(b)は弁体・弁座8の正面図、(c)は弁箱・弁座7部分の断面図である。仕切り弁の弁体・弁座8は図4(b)に示す様に、円盤状で、上部が厚く、下部が薄く、上下に駆動して図中左右に流入する水や水蒸気の流れを開閉するものである。テーパの無い弁体・弁座においても同様の構造である。仕切り弁の弁体・弁座8の左右両表面に円形の段差3を設けた後に、これらの上に接合用インサート材を置き、次いで該材料の上に共晶炭化物を粒状又は塊状とした厚さ約7mmのリング状の耐食・耐摩耗性Co基合金板6をはめ合わせて、液相拡散接合を行った。接合に用いたインサート材は実施例1の模擬弁Aで用いたと同一化学組成のもので、液相拡散接合条件も実施例1の模擬弁Aと同一条件とした。
【0039】
本実施例における弁体・弁座基材の材質は機械構造用炭素鋼S25Cで、その熱膨張係数はCo基合金に比較して小さいため、弁体・弁座の摺動部基材表面には図4(b)、(c)に示したように、接合されるリング状の耐食・耐摩耗性Co基合金板6に内接して高さが2mmのリング状の突起3(段差)を設けた。これによって、接合時の位置合わせを容易に行えると同時に、仕切り弁の作動時に摺動部・接合部に負荷されるせん断力に接する抵抗力を高めることができる。図4(b)の弁体・弁座8は紙面に対して各々左右から見て、いずれも円形であり、更にリング状の耐食・耐摩耗性Co基合金板6は、弁体・弁座8の左右両側に凸型円形の突起3の外周に接して接合されている。弁箱・弁座7は円筒体であり、その摺動面に紙面に対して左側から見て、リング状の耐食・耐摩耗性Co基合金板6がリング状の突起3の外周に接して接合されている。いずれの突起3もその高さは、リング状の耐食・耐摩耗性Co基合金板6の厚さよりも小さいものである。
【0040】
本発明の方法で作製した仕切り弁では、溶存酸素による共晶炭化物の連続的な腐食発生が抑制され、鋳造組織の基地の脱落が抑制されるために、弁座の腐食・エロージョンの進行が抑止され、耐漏洩性能の低下が防止される。
【0041】
なお、本実施例ではいずれもリング状の耐食・耐摩耗Co基合金板6を用いたが、共晶炭化物を非連続分布としたNi基合金あるいはFe基合金なども同様に用いることができる。
【0042】
なお、本実施例ではインサート材として低融点のNi基合金を用いたが、Fe基又はCo基の低融点インサート材を用いることもできる。また、本発明の方法は上記仕切り弁のみならず、逆止弁,安全弁,玉型弁等の弁座部等の摺動部に適用することで、耐漏洩性能の低下,制御性・作動性能の低下を抑制する効果がある。
【0043】
(実施例3)
図5は本実施例の逆止弁の縦断面図である。本実施例では、1000℃以上での熱間鍛造によって粒径30μm以下の共晶炭化物を粒状又は塊状とした高硬度の1.1重量%C−29.7重量%Cr−4.5 重量%Wを含むリング状の耐食・耐摩耗Co基合金板6を、前述と同様に液相拡散接合によって、溶存酸素雰囲気下で使用する逆止弁の弁箱・弁座7及び弁体・弁座8に接合した。本実施例における逆止弁本体は実施例2と同じベース金属によって構成されている。リング状の耐食・耐摩耗Co基合金板6は円筒形の弁箱・弁座7に設けられたリング状の突起3の外周に沿って、又、円盤型の弁体・弁座8に設けられた凸型円形の突起3の外周に接して各々接合されている。接合の際のリング状の耐食・耐摩耗Co基合金板6の取り付けが極めて容易で、正確に行うことが出来た。
【0044】
接合に用いたインサート材はいずれも厚さ約40μmの7重量%Cr−3重量%Fe−4.5 重量%Si−3.2 重量%Bを含むNi基合金で、その固相線温度及び液相線温度はそれぞれ約970℃及び約1000℃である。液相拡散接合条件は、接合温度:1090℃,保持時間:1h,真空度:2×10-4Torr,加圧力:50g/cm2 とした。
【0045】
接合後に接合界面の断面観察を実施したところ、ボイド等の接合欠陥はほとんど認められず、良好な接合状態を示した。
【0046】
また、本実施例で作製した逆止弁は溶存酸素による共晶炭化物の連続的な腐食発生が抑制され、鋳造組織の基地の脱落が抑制されるために、弁座1の腐食が抑止され、耐漏洩性能の低下が防止される。
【0047】
なお、本実施例ではいずれもリング状の耐食・耐摩耗Co基合金板6を用いたが、共晶炭化物を非連続分布としたNi基合金あるいはFe基合金なども同様に用いることができる。
【0048】
なお、本実施例3ではインサート材として低融点のNi基合金を用いたが、Fe基又はCo基等の低融点インサート材を用いることもできる。また、インサート材には耐食性に有効なCrを含有させることが好ましく、これによって接合部の耐食性、特に溶存酸素の多い高温高圧の水・蒸気雰囲気下での接合部の耐食性を保持できる。
【0049】
又、以上の実施例では、円形の突起やリング状の突起について述べたが、位置(中心合わせ)やせん断力に対する抵抗力のためにはこれ以外の形状の突起が有効のこともあり、本発明は形状を円形やリング状に限られるものではない。
【0050】
(実施例4)
図6は実施例2及び3に記載の仕切弁及び逆止弁を給水系に用いた原子力プラントの配管系統図の例である。これらの本発明に係る弁は給水系配管に非常に多く存在しているので、図示は省略する。
【0051】
原子炉圧力容器14で得られた高温高圧蒸気は主蒸気管15を通って高圧タービン18に導入される。次いで、高圧タービン18から排出蒸気は低圧タービン19に導入され発電機20を駆動する。高圧タービン18及び低圧タービン19からの排出蒸気はグランド蒸気復水器26を経た後、本発明の弁を有する給水弁系6により給水ポンプ30,高圧給水加熱器31を経て給水管49を通って原子炉圧力容器14に往復水する。
【0052】
本発明は、原子力発電プラント内の機器や弁の寿命が延命に効果があり、プラント内の作業員の放射線被曝を低減することができる。
【0053】
また、本発明の仕切り弁や逆止弁のみならず、安全弁,玉型弁等の弁座部の摺動部に適用することで、耐漏洩性能の低下、制御性・作動性能の低下を抑制する効果がある。
【0054】
以上の弁を組み合わせて使用することで、タービン発電設備等のプラント設備で行われている、水質調整の目的からの過酸化水素水の注入等による溶存酸素の影響による弁類の弁座等の摺動部の腐食・エロージョンを抑制でき、タービン発電設備等のプラント設備の安全性向上に効果がある。
【0055】
特に、原子力発電設備においては炉水の接する摺動部及び炉内に冷却水を供給する系統設備の弁の弁座・ケージ等のCo基合金の共晶炭化物の腐食脱落とそれに伴う、共晶炭化物内のCoの系統内への流出・拡散を抑制すると共に、共晶炭化物の腐食脱落によって耐エロージョン性能の低下したCoを主成分とする鋳造組織の基地の脱落を抑制でき、原子力発電所内での作業者の被曝の低減を顕著に図ることができる。
【0056】
【発明の効果】
以上のように、本発明の機器及び弁によれば、作業性が良好で、良好な接合が得られることにより、流体中の溶存酸素による共晶炭化物の腐食損傷に伴う弁の摺動部又は弁座部の荒れが少なく、摺動部や弁座部での摩擦抵抗の増加抑制や弁座部での漏洩の防止を確実に維持できる。また、本発明の原子力発電プラントは、そのプラント内の機器や弁の寿命が延命される。
【図面の簡単な説明】
【図1】 模擬弁Aの分解断面図。
【図2】 模擬弁Bの分解断面図。
【図3】 せん断試験片の断面図。
【図4】 仕切り弁の断面図及びその部分拡大図。
【図5】 逆止弁の断面図及び弁座部の拡大図。
【図6】 本発明の弁を給水系に用いた原子力プラントの配管系統図。
【符号の説明】
1,6…リング状の耐食・耐摩耗性Co基合金板、2…模擬弁Aの摺動部基材、3…突起、4…模擬弁Bの摺動部基材、5…凹型の円形の突起、7…弁箱・弁座、8…弁体・弁座、9…接合界面、10…主復水器、11…SLCタンク、12…SLCポンプ、13…格納容器、14…原子炉圧力容器、15…主蒸気管、16…給水管、17…分湿分分析器、18…高圧タービン、19…低圧タービン、20…発電機、21…主変圧器、22…排気管、23…オフガス処理系、24…空気抽出器、25…低圧復水ポンプ、26…グランド蒸気復水器、27…復水貯蔵槽、28…復水ろ過装置、29…復水脱塩装置、30…給水ポンプ、31…高圧給水加熱器、32…制御棒駆動系、33,36…熱交換器、34…ろ過脱塩器、35…原子炉隔離時冷却系、45…冷却材浄化系熱交換器、46…給水弁系、47…給水加熱器、48…再循環系配管、49…給水管。

Claims (4)

  1. 炭素鋼、低合金鋼又はステンレス鋼からなる基材の表面に、コバルト基合金又はニッケル基合金又は鉄基合金からなり、粒径が30μm以下である共晶炭化物を有する耐摩耗性部材が接合されてなる弁であって、前記基材の表面に円形の突起を有し、該突起の外周に前記耐摩耗性部材のリングが接合されていることを特徴とする弁。
  2. 炭素鋼、低合金鋼又はステンレス鋼からなる基材の表面に、コバルト基合金又はニッケル基合金又は鉄基合金からなり、粒径が30μm以下である共晶炭化物を有する耐摩耗性部材が接合されてなる弁であって、前記基材の表面にリング状の突起を有し、該突起の内周に前記耐摩耗性部材のリングが接合されていることを特徴とする弁。
  3. 請求項1又は2において、前記耐摩耗性部材のリングは前記基材に拡散接合されていることを特徴とする弁。
  4. 請求項1又は2において、前記耐摩耗性部材のリングと前記基材が、接合界面に前記耐摩耗性部材よりも低融点のインサート材を介して液相拡散接合されていることを特徴とする弁。
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