JP6004087B2 - 回転電機駆動装置 - Google Patents

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Description

本発明は、交流の回転電機を駆動制御する回転電機駆動装置に関する。
近年、省エネルギや環境負荷軽減等の観点から、回転電機を駆動力源として備えたハイブリッド車両や電動車両が注目を集めている。このような車両においては、回転電機が駆動力源(モータ)として機能する際に電力を供給すると共に、当該回転電機が電力源(ジェネレータ)として機能する際に発電された電力を蓄電するバッテリなどの直流電源が備えられる。回転電機が駆動力源(モータ)として機能する際には、直流電源から供給される直流電力がインバータにより交流電力に変換されて回転電機が駆動される。回転電機がジェネレータとして機能する際には、回転電機により発電された交流電力がインバータにより直流電力に変換されて直流電源へ回生される。
直流電源とインバータとの間には、直流電力を平滑する平滑コンデンサが備えられ、脈動などの直流電力の変動が抑制される。一般的に、ハイブリッド車両や電動車両の駆動力源となる回転電機を駆動するためのインバータの直流側の電圧は、200〜400[V]程度の高電圧である。従って、平滑コンデンサには、脈動による変動分も考慮しつつ、このような高電圧に対する高耐圧性能が求められる。また、インバータを構成するスイッチング素子の耐圧を考慮すると、平滑コンデンサには、脈動成分を抑制するために充分な静電容量を確保することが求められる。このため、一般的に平滑コンデンサは、高価となり、その体格も大きくなり、大きな設置スペースも必要となる。また、インバータと平滑コンデンサとは、回転電機駆動装置として一体的に設置されることや、互いに近傍に設置されることが多い。特に、車載用途の回転電機駆動装置には、重量や設置スペースなどの観点から軽量化、小型化が求められ、インバータや平滑コンデンサの軽量化、小型化が望まれる。
例えば、特開2009−106046号公報(特許文献1)には、冷却機構も含めて、省スペース化が図られた回転電機駆動装置(電力変換装置)が開示されている。この回転電機駆動装置では、スイッチング素子により構成されたパワーモジュールが、放熱部を有したケースの内側の平面上に配置される。そして、パワーモジュールに電気的に接続された平滑コンデンサは、パワーモジュールが配置された平面よりも一段低い平面上にパワーモジュールに隣接して配置される(第7〜8段落、図1等)。高耐圧や大容量が求められる平滑コンデンサは、その体格が大きくなる傾向がある。特許文献1では、平滑コンデンサの高さに対応させて、放熱部とパワーモジュールとを配置することによって、回転電機駆動装置の全体の高さを抑制し、省スペース化を実現している。
このように、インバータの回路部(パワーモジュール)、冷却機構、平滑コンデンサなどのレイアウトを工夫することによって、ある程度の省スペースを実現することは可能である。しかし、耐圧や静電容量によって規定される平滑コンデンサの体格をより小型化して、装置全体の軽量化、小型化を実現するには至っていない。平滑コンデンサの容量を削減すると、小型化は実現可能であるが、上述したような脈動成分を充分に抑制できず、直流電源やスイッチング素子の劣化の抑制効果が低下する可能性が生じる。
また、一般的に直流電源は、抵抗成分(R成分)や誘導成分(L成分)を有している。よって、平滑コンデンサの容量成分(C成分)と共にRLC回路が構成されることになる。従って、インバータの直流側の電圧であるシステム電圧をインバータの直流側の電流であるシステム電流で除した直流側電圧ゲインや、直流電源を流れる電流である電源電流をシステム電流で除した直流側電流ゲインの周波数特性は、共振点を有するものとなる。各ゲインの値は、スイッチング周波数がゼロから高くなるに従って増加し、共振周波数において最大値(共振点)となり、この共振点を変曲点としてスイッチング周波数が高くなるに従って減少していく。システム電圧や電源電流の脈動は、インバータのスイッチング素子のスイッチングに伴う電圧や電流の変動に伴って発生する。具体的には、システム電圧や電源電流の脈動は、スイッチング素子のスイッチング周波数に対応して発生する。例えば、スイッチング周波数の2倍の周波数成分を有する脈動が発生することが知られている。また、回転電機の回転数に応じて生じる高調波成分(特に、6次高調波成分及びその整数倍の高調波成分)もあるため、双方の脈動を考慮する必要がある。そして、その脈動の大きさ(振幅)は、1つの指標としての直流側電圧ゲインや1つの指標としての直流側電流ゲインの値に応じて大きくなる。従って、システム電圧や電源電流の脈動を小さく抑えるためには、直流側電圧ゲインや直流側電流ゲインの値が大きくなり過ぎないようにすることが好ましい。特に、平滑コンデンサを小型化するために容量を小さくすると共振ピークが鋭く現れてくるため、スイッチング周波数が共振周波数に近づくのを抑制し、各ゲインの値を小さく抑えることが好ましい。
特開2009−106046号公報
上記背景に鑑みて、インバータの直流側の電圧及び電流の脈動などの変動を抑制しつつ、当該直流側の平滑コンデンサを低容量化することが可能な技術が望まれる。
上記課題に鑑みた本発明に係る、交流の回転電機を駆動制御する回転電機駆動装置の特徴構成は、
直流電源と前記回転電機との間に電気的に介在されて、直流と交流との間で電力を変換するインバータと、
前記直流電源と前記インバータとの間に電気的に介在され、前記インバータの直流側の正極と負極との間に接続される平滑コンデンサと、
前記インバータのスイッチング素子を、定められたスイッチング周波数に従ってスイッチング制御するインバータ制御部と、
前記直流電源の正極と前記平滑コンデンサの正極との間の直流側インダクタンスを、前記スイッチング周波数に応じて、予め規定された基準インダクタンスと当該基準インダクタンスよりも高い高インダクタンスとの間で切り替えるインダクタンス制御部と、を備え
前記インバータの直流側の電圧であるシステム電圧を前記インバータの直流側の電流であるシステム電流で除した直流側電圧ゲインの周波数特性において、前記基準インダクタンスに応じた前記直流側電圧ゲインの値が前記高インダクタンスに応じた前記直流側電圧ゲインの値と同じとなる周波数を第一周波数とし、
前記直流電源を流れる電流である電源電流を前記システム電流で除した直流側電流ゲインの周波数特性において、前記基準インダクタンスに応じた前記直流側電流ゲインの値が前記高インダクタンスに応じた前記直流側電流ゲインの値と同じとなる周波数を第二周波数とし、
前記インダクタンス制御部は、前記スイッチング周波数が前記第一周波数と前記第二周波数との間の周波数域内に設定される切替点の周波数より低い状態で前記基準インダクタンスとし、前記スイッチング周波数が前記切替点の周波数より高い状態で前記高インダクタンスとするように前記直流側インダクタンスを切り替える点にある。
インバータの直流側の電圧であるシステム電圧をインバータの直流側の電流であるシステム電流で除した直流側電圧ゲインや直流電源を流れる電流である電源電流をシステム電流で除した直流側電流ゲインの値は、周波数がゼロから高くなるに従って増加し、共振周波数において最大値(共振点)となり、この共振点を変曲点として周波数が高くなるに従って減少していく。また、これらの直流側電圧ゲインや直流側電流ゲインの周波数特性は、直流側インダクタンスの大きさに応じたものとなる。そして、それぞれのゲインの最大値を与える周波数(共振周波数)は、直流側インダクタンスが大きくなるに従って低周波数側にシフトする。そのため、各ゲインの基準インダクタンス及び高インダクタンスのそれぞれに応じた共振周波数が、異なる周波数域に分かれることになる。従って、例えばスイッチング周波数が上昇する場合には、高インダクタンスに応じた共振点を過ぎた後であって基準インダクタンスに応じた共振点に達する前に基準インダクタンスから高インダクタンスに切り替えることで、双方の共振点を避けることができる。逆に、スイッチング周波数が低下する場合には、基準インダクタンスに応じた共振点を過ぎた後であって高インダクタンスに応じた共振点に達する前に高インダクタンスから基準インダクタンスに切り替えることで、双方の共振点を避けることができる。
本特徴構成によれば、スイッチング周波数が変化したときに、当該スイッチング周波数に応じて、直流側インダクタンスを基準インダクタンスと高インダクタンスとの間で切り替える。これにより、直流側電圧ゲインや直流側電流ゲインの周波数特性を、スイッチング周波数に応じて基準インダクタンスに応じたものと高インダクタンスに応じたものとの間で切り替えることができる。従って、直流側インダクタンスを適切に切り替えて、スイッチング周波数が各インダクタンスに応じた2つの共振周波数の双方に近づくことを抑制することが可能となり、各ゲインの値を小さく抑えることが可能となる。よって、スイッチング周波数の2倍の周波数成分及び回転電機の回転数に応じて生じる高調波成分が全体として大きくなることを抑制でき、システム電圧や電源電流の脈動が大きくなることを抑制できる。従って、インバータの直流側の電圧及び電流の脈動などの変動を抑制しつつ、平滑コンデンサを低容量化することが可能となる。
また、上記の特徴構成によれば、スイッチング周波数が変化したときに、第一周波数と第二周波数との間の周波数域に設定される切替点で、直流側インダクタンスを、基準インダクタンスと高インダクタンスとの間で切り替えることになる。これにより、切替点の周波数の前後で、直流側電圧ゲインや直流側電流ゲインの周波数特性を、基準インダクタンスに応じたものと高インダクタンスに応じたものとの間で切り替えることができる。その際、各ゲインの基準インダクタンス及び高インダクタンスのそれぞれに応じた共振周波数が、切替点の周波数よりも高い周波数域と低い周波数域とに分かれることになる。従って、スイッチング周波数が変化したときに、当該スイッチング周波数に応じて直流側インダクタンスを適切に切り替えることができ、スイッチング周波数が各インダクタンスに応じた2つの共振周波数の双方に近づくことを抑制できる。その結果、各ゲインの値を小さく抑えることができる。よって、スイッチング周波数の2倍の周波数成分及び回転電機の回転数に応じて生じる高調波成分が全体として大きくなることを抑制でき、システム電圧や電源電流の脈動が大きくなることを抑制できる。従って、インバータの直流側の電圧及び電流の脈動などの変動を抑制しつつ、平滑コンデンサを低容量化することが可能となる。
直流側電圧ゲイン及び直流側電流ゲインのそれぞれの周波数特性において、各インダクタンスに応じた2つの共振周波数は、切替点が設定される周波数域の両側に分かれて存在する。ここで、切替点を設定可能な周波数域の広さは、第一周波数と第二周波数との差に応じて規定されることから、両者間の差が大きいほど、切替点の周波数を2つの共振周波数のいずれからも有効に遠ざけることが容易となる。また、両者間の差が大きいほど、切替点の設定の自由度も高まる。そして、第一周波数及び第二周波数、並びに切替点の周波数が適切に設定されれば、システム電圧及び電源電流の少なくとも一方の脈動を有効に抑えることができるので好適である。尚、第一周波数や第二周波数は、基準インダクタンス及び高インダクタンスに応じた各ゲインに基づいて決定されるため、切替可能な2つの直流側インダクタンスのそれぞれの大きさを適切に設定することも重要である。1つの態様として、前記システム電圧の脈動幅が予め規定された許容幅の範囲内に収まるように、前記基準インダクタンス及び前記高インダクタンス、並びに前記切替点の周波数が設定されていると好適である。また、1つの態様として、前記電源電流の脈動幅が予め規定された許容幅の範囲内に収まるように、前記基準インダクタンス及び前記高インダクタンス、並びに前記切替点の周波数が設定されていると好適である。
第一周波数と第二周波数との間の周波数域内に切替点を設定するに際しては、当該切替点の周波数に応じたシステム電圧及び電源電流の脈動幅の、それぞれについての許容幅に対する余裕度が考慮されていることが好ましい。その際、直流側電圧ゲインの周波数特性に基づいて第一周波数が決定されることを考慮すれば、当該第一周波数における電源電流の脈動幅がその許容幅に対してある程度余裕をもって収まることが好ましい。逆に、直流側電流ゲインの周波数特性に基づいて第二周波数が決定されることを考慮すれば、当該第二周波数におけるシステム電圧の脈動幅がその許容幅に対してある程度余裕をもって収まることが好ましい。電源電流やシステム電圧の脈動幅がそれぞれについての許容幅内に収まる場合でも、より余裕代の大きい方に応じた周波数側に切替点が設定されることが好ましい。
1つの態様として、前記スイッチング周波数が前記第一周波数である場合における前記電源電流の脈動幅の当該電源電流について予め規定された許容幅に対する余裕代が、前記スイッチング周波数が前記第二周波数である場合における前記システム電圧の脈動幅の当該システム電圧について予め規定された許容幅に対する余裕代よりも大きい場合には、前記切替点の周波数が前記第一周波数と前記第二周波数との中央値よりも前記第一周波数側に設定され、前記スイッチング周波数が前記第一周波数である場合における前記電源電流の脈動幅の許容幅に対する余裕代が、前記スイッチング周波数が前記第二周波数である場合における前記システム電圧の脈動幅の許容幅に対する余裕代よりも小さい場合には、前記切替点の周波数が前記中央値よりも前記第二周波数側に設定されると好適である。
回転電機駆動装置のシステム構成の一例を模式的に示すブロック図 直流電源部の制御モデルを示すブロック図 抵抗成分のみを考慮したゲイン(Vdc/Idc)の周波数特性 抵抗及び誘導成分を考慮したゲイン(Vdc/Idc)の周波数特性 抵抗成分のみを考慮したゲイン(Ib/Idc)の周波数特性 抵抗及び誘導成分を考慮したゲイン(Ib/Idc)の周波数特性 誘導成分の違いによるゲイン(Vdc/Idc)の周波数特性の違いを示す波形図 誘導成分の違いによるゲイン(Ib/Idc)の周波数特性の違いを示す波形図 切替点の周波数を決定する条件を周波数特性上で示す図 切替点の周波数を決定する条件を周波数特性上で示す図 直流側インダクタンスの切り替えに伴うゲイン(Vdc/Idc)の周波数特性の変化を示す図 直流側インダクタンスの切り替えに伴うゲイン(Ib/Idc)の周波数特性の変化を示す図 直流側インダクタンスの切替部の別形態を示す部分ブロック図 直流側インダクタンスの切替部の別形態を示す部分ブロック図 直流側インダクタンスの切替部の別形態を示す部分ブロック図 直流側インダクタンスの切替部の別形態を示す部分ブロック図 回転電機の回転数に応じたスイッチング周波数の対応マップを示す図 回転電機の回転数に応じたスイッチング周波数の対応マップを示す図
以下、ハイブリッド車両や電動車両等の駆動力源となる回転電機MGを制御する回転電機駆動装置を例として、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。図1のブロック図は、回転電機駆動装置100の構成を模式的に示している。車両の駆動力源としての回転電機MGは、複数相の交流(ここでは3相交流)により動作する回転電機であり、電動機としても発電機としても機能することができる。
鉄道のように架線から電力の供給を受けることができない自動車のような車両では、回転電機を駆動するための電力源としてニッケル水素電池やリチウムイオン電池などの二次電池(バッテリ)や、電気二重層キャパシタなどの直流電源を搭載している。本実施形態では、回転電機MGに電力を供給するための大電圧大容量の直流電源として、例えば電源電圧200〜400[V]のバッテリ11(高圧直流電源)が備えられている。バッテリ11を流れる直流電流は、以下の説明において適宜“バッテリ電流(電源電流)”と称する。回転電機MGは、交流の回転電機であるから、バッテリ11と回転電機MGとの間には、直流と交流との間で電力変換を行うインバータ10が備えられている。インバータ10の直流側の正極電源ラインP(高圧直流正極ライン)と負極電源ラインN(高圧直流負極ライン)との間の直流電圧は、以下の説明において適宜“システム電圧Vdc”と称する。バッテリ11は、インバータ10を介して回転電機MGに電力を供給可能であると共に、回転電機MGが発電して得られた電力を蓄電可能である。インバータ10とバッテリ11との間には、直流電圧(システム電圧Vdc)を平滑化する平滑コンデンサ40(直流リンクコンデンサ)が備えられている。平滑コンデンサ40は、回転電機MGの消費電力の変動に応じて変動する直流電圧を安定化させる。
バッテリ11は、複数のバッテリセルにより構成されており、バッテリ11には、内部抵抗(抵抗成分)や内部インダクタンス(誘導成分)を含む内部インピーダンスが存在する。本実施形態では、これらをバッテリ抵抗Rb、バッテリインダクタンスLbと称する。また、バッテリ11とインバータ10とは、例えばバスバーと称される金属配線部材などを用いて接続されるが、このようなバスバーにも、導体抵抗(抵抗成分)や導体インダクタンス(誘導成分)を含む導体インピーダンスが存在する。つまり、バッテリ11と平滑コンデンサ40とインバータ10とを接続する配線には、配線抵抗や配線インダクタンスを含む配線インピーダンスが存在する。本実施形態では、これらを配線抵抗Rw、配線インダクタンスLwと称する。
バッテリ11の正極と平滑コンデンサ40の正極との間には、インダクタンス(誘導成分)の大きさを切替可能なインダクタンス切替部50が備えられている。本実施形態では、インダクタンス切替部50は、バッテリ11の正極と平滑コンデンサ40の正極とを接続する配線に介在されたスイッチ(機械式スイッチ)51と、このスイッチ51に対して並列に接続された付加コイル52とを有する。付加コイル52にはインダクタンス(誘導成分)を含むインピーダンスが存在する。本実施形態では、これを付加インダクタンスLaと称する。スイッチ51は、後述する制御装置8からの制御信号に基づいてオンオフ制御され、オフの状態でバッテリ11と平滑コンデンサ40との間に付加コイル52を電気的に介在させる。一方、スイッチ51は、オンの状態で、付加コイル52を介在させることなくバッテリ11と平滑コンデンサ40とを電気的に接続する。本実施形態では、制御装置8とインダクタンス切替部50とが協働して、本発明における「インダクタンス制御部」として機能する。
インバータ10からバッテリ11側を見た際の、バスバーなどの配線部材を含む直流電源部の内部抵抗(電源内部抵抗Rps)は、バッテリ抵抗Rbと配線抵抗Rwとの和である。また、直流電源部の内部インダクタンス(電源内部インダクタンスLps)は、スイッチ51がオンの状態ではバッテリインダクタンスLbと配線インダクタンスLwとの和であり、スイッチ51がオフの状態ではこれらに付加インダクタンスLaが付加される。ただし、多くの場合、配線抵抗Rwに比べてバッテリ抵抗Rbが遙かに大きく、配線インダクタンスLwに比べてバッテリインダクタンスLbや付加インダクタンスLaの方が遙かに大きい。よって、以下の説明においては、電源内部抵抗Rpsとしてバッテリ抵抗Rbを用い、電源内部インダクタンスLpsとしてバッテリインダクタンスLb(スイッチ51の状態に応じて付加インダクタンスLaが付加される)を用いる。
尚、電源内部抵抗Rpsはインバータ10よりもバッテリ11側の抵抗であり、“直流側抵抗”と称することもできる。また、電源内部インダクタンスLpsはインバータ10よりもバッテリ11側のインダクタンスであり、“直流側インダクタンスLd”と称することもできる。また、本実施形態では、スイッチ51がオンの状態における直流側インダクタンスLd(バッテリインダクタンスLb)を“基準インダクタンスLs”と称し、スイッチ51がオフの状態における直流側インダクタンスLd(バッテリインダクタンスLbと付加インダクタンスLaとの合計)を“高インダクタンスLh”と称する。当然ながら、高インダクタンスLhは基準インダクタンスLsよりも大きい。尚、図2のブロック図は、直流電源部としてのバッテリ11の端子間電圧(バッテリ電圧Vb)とシステム電圧Vdcとの関係を示す制御モデルである。
インバータ10は、システム電圧Vdcを有する直流電力を複数相(nを自然数としてn相、ここでは3相)の交流電力に変換して回転電機MGに供給すると共に、回転電機MGが発電した交流電力を直流電力に変換して直流電源に供給する。インバータ10は、複数のスイッチング素子を有して構成される。スイッチング素子には、IGBT(insulated gate bipolar transistor)やパワーMOSFET(metal oxide semiconductor field effect transistor)などのパワー半導体素子を適用すると好適である。また、これらのSi(シリコン)デバイスに代えて、SiC−MOSFETやSiC−SIT(static induction transistor)などのSiC(シリコンカーバイド)デバイスや、GaN−MOSET(Gallium Nitride)等の高周波での動作が可能な複合化合物パワーデバイスをスイッチング素子に適用しても好適である。図1に示すように、本実施形態では、一例として、スイッチング素子にIGBT3が用いられる。
直流と複数相の交流(ここでは3相交流)との間で電力変換するインバータ10は、よく知られているように複数相(ここでは3相)のそれぞれに対応する数のアームを有するブリッジ回路により構成される。つまり、図1に示すように、インバータ10の直流正極側(直流電源の正極側の正極電源ラインP)と直流負極側(直流電源の負極側の負極電源ラインN)との間に2つのIGBT3が直列に接続されて1つのアーム10Aが構成される。ここで、正極電源ラインPに接続されるIGBT3を上段側IGBT(上段側スイッチング素子又はハイサイドスイッチ)と称し、負極電源ラインNに接続されるIGBT3を下段側IGBT(負極側スイッチング素子又はローサイドスイッチ)と称する。
複数相の交流が3相交流の場合には、この直列回路(1つのアーム10A)が3回線(3相:10U,10V,10W)並列接続される。つまり、回転電機MGのU相、V相、W相に対応するステータコイルのそれぞれに一組の直列回路(アーム10A)が対応したブリッジ回路が構成される。各相の上段側IGBTのコレクタ端子は正極電源ラインPに接続され、エミッタ端子は各相の下段側IGBTのコレクタ端子に接続される。また、各相の下段側IGBTのエミッタ端子は、負極電源ラインNに接続される。対となる各相のIGBT3による直列回路(アーム10A)の中間点、つまり、上段側IGBTと下段側IGBTとの接続点は、回転電機MGのステータコイルにそれぞれ接続される。尚、IGBT3には、それぞれフリーホイールダイオード39(回生ダイオード)が並列に接続される。フリーホイールダイオード39は、カソード端子がIGBT3のコレクタ端子に接続され、アノード端子がIGBT3のエミッタ端子に接続される態様で、各IGBT3に対して並列に接続される。
図1に示すように、インバータ10は、制御装置8により制御される。制御装置8は、マイクロコンピュータ等の論理回路を中核部材として構築されたECU(electronic control unit)を有して構成されている。本実施形態では、ECUは、不図示の車両ECU等の他の制御装置等からの要求信号として制御装置8に提供される回転電機MGの目標トルクTMに基づいて、ベクトル制御法を用いた電流フィードバック制御を行って、インバータ10を介して回転電機MGを制御する。制御装置8のECUは、電流フィードバック制御のために種々の機能部を有して構成されており、各機能部は、マイクロコンピュータ等のハードウェアとソフトウェア(プログラム)との協働により実現される。尚、本例では、インバータ10とインダクタンス切替部50とが共通の制御装置8により制御される例を想定しているが、もちろん、これらは別々の制御装置により制御されてもよい。
回転電機MGの各相のステータコイルを流れる実電流は電流センサ12により検出され、制御装置8はその検出結果を取得する。また、回転電機MGのロータの各時点での磁極位置は、回転センサ13により検出され、制御装置8はその検出結果を取得する。回転センサ13は、例えばレゾルバ等により構成される。ここで、磁極位置は、電気角上でのロータの回転角度を表している。制御装置8のECUは、電流センサ12及び回転センサ13の検出結果を用いて、回転電機MGをフィードバック制御する。
車両には、高圧直流電源としてのバッテリ11の他に、バッテリ11よりも低電圧の電源である低圧バッテリ(低圧直流電源)も搭載されている(不図示)。低圧バッテリの電源電圧は、例えば12〜24[V]であり、制御装置8(ECU)や、オーディオシステム、灯火装置、室内照明、計器類のイルミネーション、パワーウィンドウなどの電装品や、これらを制御する制御装置に電力を供給する。制御装置8は、レギュレータ回路等を備えて構成され、マイクロコンピュータ等を動作させるために適した電源を低圧バッテリから供給される電力によって生成する。
インバータ10を構成する各IGBT3の制御端子であるゲート端子は、ドライブ回路7を介して制御装置8(ECU)に接続されており、それぞれ個別にスイッチング制御される。回転電機MGを駆動するための高圧系回路と、マイクロコンピュータなどを中核とするECUなどの低圧系回路とは、動作電圧(回路の電源電圧)が大きく異なる。このため、低圧系回路の制御装置8(ECU)により生成されたIGBT3の制御信号(スイッチング制御信号)は、ドライブ回路7を介して高圧回路系のゲート駆動信号として各IGBT3に供給される。ドライブ回路7は、フォトカプラやトランスなどの絶縁素子を有して構成されることが多い。
上述したように、制御装置8は、マイクロコンピュータなどの論理回路を中核として構成される。本実施形態では、制御装置8は、回転電機駆動プログラムを実行するマイクロコンピュータを中核として構成されている。このマイクロコンピュータは、CPUコア、プログラムメモリ、パラメータメモリ、ワークメモリ、タイマ、ポートなどを有して構成されている。CPUコアは、マイクロコンピュータの中核であり、命令レジスタや命令デコーダ、種々の演算の実行主体となるALU(arithmetic logic unit)、フラグレジスタ、汎用レジスタ、割り込みコントローラなどを有して構成されている。本実施形態では、1つの半導体チップによりマイクロコンピュータが構成されている形態を例示するが、複数の部品を組み合わせてマイクロコンピュータユニットが構成されている形態をとることももちろん可能である。
プログラムメモリは、回転電機駆動プログラムが格納された不揮発性のメモリである。パラメータメモリは、プログラムの実行の際に参照される種々のパラメータが格納された不揮発性のメモリである。パラメータメモリは、プログラムメモリと区別することなく構築されてもよい。プログラムメモリやパラメータメモリは、例えばフラッシュメモリなどによって構成されると好適である。ワークメモリは、プログラム実行中の一時データを一時記憶するメモリである。ワークメモリは、揮発性で問題なく、高速にデータの読み書きが可能なDRAM(dynamic RAM)やSRAM(static RAM)により構成される。
タイマは、マイクロコンピュータのクロック周期を最小分解能として、時間を計測する。例えば、タイマは、プログラムの実行周期を監視する。また、タイマは、インバータ10のIGBT3を駆動するスイッチング制御信号の有効時間を計測して、当該スイッチング制御信号を生成する。また、タイマは、1回の電流フィードバック制御を実行する周期(基本制御周期)や、スイッチング制御信号の出力周期(スイッチング周期Tc)など、プログラムやパラメータによって予め規定される制御周期を管理する。ポートは、インバータ10のIGBT3のスイッチング制御信号などをマイクロコンピュータの端子を介して出力したり、マイクロコンピュータに入力される回転センサ13からの回転検出信号や、電流センサ12からの電流検出信号を受け取ったりする端子制御部である。
ところで、図2に示すように、直流電源部としてのバッテリ11の制御モデルの伝達関数には、周波数に依存するインピーダンス成分として、直流側インダクタンスLdと、平滑コンデンサ40の静電容量(直流リンクキャパシタンスCd)とが含まれている。従って、システム電圧Vdcは、周波数の関数となる。図3及び図4は、システム電圧Vdcとインバータ10に流れるシステム電流Idcとにより規定されるゲイン(直流側電圧ゲイン)の周波数特性を示している。システム電流Idcを基準としたシステム電圧Vdcのゲイン(直流側電圧ゲイン)は、直流側インダクタンスLdを考慮しない場合には、下記式(1)により規定され、図3に示すような周波数特性を示す。また、直流側電圧ゲインは、直流側インダクタンスLdを考慮する場合には、下記式(2)により規定され、図4に示すような周波数特性を示す。
Figure 0006004087

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式(1)、式(2)、及び図3、図4からわかるように、平滑コンデンサ40の静電容量(直流リンクキャパシタンスCd)が大きい方が、直流側電圧ゲインは小さい。換言すれば、平滑コンデンサ40の小型化を図るために、平滑コンデンサ40を低容量化すると、直流側電圧ゲインが大きくなり、システム電圧Vdcの脈動を抑制する効果が減少する。さらに、図3と図4との比較から明らかなように、直流電源部のインピーダンスである直流側インダクタンスLdを考慮した場合には、直流側インダクタンスLdと直流リンクキャパシタンスCdとの共振が生じ、この共振も考慮する必要がある。つまり、直流側インダクタンスLdを考慮しない場合には、単純に平滑コンデンサ40を低容量化すると直流側電圧ゲインが大きくなるだけである。これに対して、直流側インダクタンスLdを考慮する場合には、共振によって直流側電圧ゲインが非常に大きくなる周波数(共振周波数)が出現する。図4に例示するように、直流リンクキャパシタンスCdがC1[μF]の場合の共振点(Q2)におけるゲインの値は、直流リンクキャパシタンスCdがその10倍のC2(=10・C1)[μF]の場合の共振点(Q1)におけるゲインの値に比べて非常に大きい。
また、システム電流Idcを基準としたバッテリ電流Ibのゲイン(バッテリ電流ゲイン)も周波数の関数となる。図5及び図6は、バッテリ電流Ibとインバータ10に流れるシステム電流Idcとにより規定されるゲイン(バッテリ電流ゲイン)の周波数特性を示している。バッテリ電流ゲインは、直流側インダクタンスLdを考慮しない場合には、下記式(3)により規定され、図5に示すような周波数特性を示す。また、バッテリ電流ゲインは、直流側インダクタンスLdを考慮する場合には、下記式(4)により規定され、図6に示すような周波数特性を示す。バッテリ電流Ibは、本発明の直流電源を流れる電源電流に相当し、バッテリ電流ゲインは、本発明の直流側電流ゲインに相当する。
Figure 0006004087

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式(3)、式(4)、及び図5、図6からわかるように、平滑コンデンサ40の静電容量(直流リンクキャパシタンスCd)が大きい方が、バッテリ電流ゲインは小さい。換言すれば、平滑コンデンサ40の小型化を図るために、平滑コンデンサ40を低容量化すると、ゲインが大きくなり、バッテリ電流Ibに生じる脈動を抑制する効果が減少する。さらに、図5と図6との比較から明らかなように、直流電源部のインピーダンスである直流側インダクタンスLdを考慮した場合には、直流側インダクタンスLdと直流リンクキャパシタンスCdとの共振が生じ、この共振も考慮する必要がある。つまり、直流側インダクタンスLdを考慮しない場合には、単純に平滑コンデンサ40を低容量化するとバッテリ電流ゲインが大きくなるだけである。これに対して、直流側インダクタンスLdを考慮する場合には、共振によってバッテリ電流ゲインが非常に大きくなる周波数(共振周波数)が出現する。図6に例示するように、直流リンクキャパシタンスCdがC1[μF]の場合の共振点(Q2)におけるゲインの値は、直流リンクキャパシタンスCdが10倍のC2[μF]の場合の共振点(Q1)におけるゲインの値に比べて非常に大きい。
尚、バッテリ11の抵抗成分(R成分)や誘導成分(L成分)及び平滑コンデンサの容量成分(C成分)の内、周波数に依存するインピーダンス成分はL成分とC成分である。よって、直流側電圧ゲインやバッテリ電流ゲインの値は、周波数がゼロから高くなるに従って増加し、共振周波数において最大値(共振点)となり、この共振点を変曲点として周波数が高くなるに従って減少していく。例えばスイッチング周波数が100[Hz]以上での解析においては、バッテリ11の抵抗成分(R成分)と誘導成分(L成分)のみに基づいて共振周波数が算出されてもよい。
図7は、バッテリ抵抗Rb及び直流リンクキャパシタンスCdを一定にした状態で、直流側インダクタンスLdを異ならせて直流側電圧ゲインを求めたシミュレーション結果を示している。本実施形態では、直流側インダクタンスLdがL1[μH]、L1の2倍のL2(=2・L1)[μH]、L2の約3.3倍のL3(≒3.3・L2)[μH]、L3の2.5倍のL4(=2.5・L3)[μH]における直流側電圧ゲインを示している。図7から理解できるように、それぞれの直流側電圧ゲインの共振周波数は、直流側インダクタンスLdが大きくなるに従って低周波数側にシフトすることがわかる。また、本実施形態のように低容量の平滑コンデンサ40を用いる場合には、その容量との関係で、それぞれの直流側電圧ゲインの共振ピークは、直流側インダクタンスLdが大きくなるに従ってより鋭く現れている。
図8は、バッテリ抵抗Rb及び直流リンクキャパシタンスCdを一定にした状態で、直流側インダクタンスLdを異ならせてバッテリ電流ゲインを求めたシミュレーション結果を示している。本実施形態では、図7同様、直流側インダクタンスLdがL1[μH],L2[μH],L3[μH],L4[μH]におけるバッテリ電流ゲインを示している。図8から理解できるように、それぞれのバッテリ電流ゲインの共振周波数は、直流側インダクタンスLdが大きくなるに従って低周波数側にシフトすることがわかる。また、本実施形態のように低容量の平滑コンデンサ40を用いる場合には、その容量との関係で、それぞれのバッテリ電流ゲインの共振ピークは、直流側インダクタンスLdが大きくなるに従ってより鋭く現れている。
システム電圧Vdcやバッテリ電流Ibの脈動は、インバータ10のIGBT3のスイッチングに伴う電流や電圧の変動に伴って発生する。つまり、システム電圧Vdcやバッテリ電流Ibの脈動は、IGBT3のスイッチング周波数fc(スイッチング周期Tcの逆数)に対応して発生する。例えば、スイッチング周波数fcの2倍の周波数成分を有する脈動が発生することが知られている。また、回転電機MGの回転数に応じて生じる高調波成分(特に、6次高調波成分とその整数倍の高調波成分)もある。
本実施形態では、IGBT3のスイッチング周波数fcは、回転電機MGの回転数に応じて異なる値に設定される。1つの態様として、スイッチング周波数fcが、回転電機MGの回転数に比例して設定される構成を採用することができる。例えば、回転電機MGの回転数を“N”として、下記式(5)に基づいてスイッチング周波数fcを設定することができる。
Figure 0006004087
尚、回転電機MGの回転数に応じてスイッチング周波数fcが異なる値に設定されるのであれば、もちろん、他の形態を採用することも可能である。1つの態様として、回転電機MGの回転数に応じて複数の動作領域が設定され、スイッチング周波数fcが動作領域毎に異なる値に設定されても好適である(図17を参照)。即ち、スイッチング周波数fcが、回転電機MGの回転数が上昇するに従ってステップ的に高くなる(fc1<fc2<・・・)ように設定されても好適である。尚、この場合において、複数の動作領域の設定に際して、回転電機MGの回転数及びトルクの双方が考慮されても好適である(図18を参照)。
スイッチング周波数fcが直流リンクキャパシタンスCdと直流側インダクタンスLdとの共振周波数に近い場合には、各ゲインの値が大きいことから、脈動が大きくなる。尚、共振周波数は、回転電機駆動装置100のハードウェア構成によって決まる。従って、システム電圧Vdcやバッテリ電流Ibの脈動を小さく抑えるためには、直流側電圧ゲインやバッテリ電流ゲインの値が大きくなり過ぎないようにすることが好ましい。特に、平滑コンデンサ40を小型化するために容量を小さくすると共振ピークが鋭く現れてくるため、回転電機MGの回転数に応じたスイッチング周波数fcが共振周波数に近づくのを抑制し、各ゲインの値を小さく抑えることが好ましい。以下、各ゲインを小さく抑えるための構成について説明する。
上述したように、バッテリ11の正極と平滑コンデンサ40の正極との間にインダクタンス切替部50が備えられ、制御装置8はインダクタンス切替部50のスイッチ51をオンオフ制御する。そして、スイッチ51のオン状態で直流側インダクタンスLdが基準インダクタンスLs(バッテリインダクタンスLb)とされ、オフ状態で高インダクタンスLh(バッテリインダクタンスLb+付加インダクタンスLa)とされる。直流側インダクタンスLdを基準インダクタンスLsと高インダクタンスLhとの間でステップ的に切り替えると、その大きさに応じて直流側電圧ゲインやバッテリ電流ゲインの周波数特性が変化する(図9及び図10を参照)。本例では、高インダクタンスLhは基準インダクタンスLsの約7倍に設定されており(Lh≒7・Ls)、各ゲインの周波数特性は、直流側インダクタンスLdの切り替えに応じて大きく変化する。
一方、本実施形態では、IGBT3のスイッチング周波数fcが回転電機MGの回転数に比例して設定されるため、直流側電圧ゲインやバッテリ電流ゲインの周波数特性は、回転電機MGの回転数に応じた各ゲインの値を表しているとも言える。そこで、スイッチング周波数fc(換言すれば、回転電機MGの回転数)に応じて、直流側インダクタンスLdを基準インダクタンスLsと高インダクタンスLhとの間で切り替えることで、各ゲインの値を小さく抑えることが可能となる。ここでは、スイッチング周波数fcが特定の値に達した(換言すれば、回転電機MGの回転数が特定の値に達した)時点で直流側インダクタンスLdを切り替えることで、各ゲインの値を小さく抑えるようにしている。この際、システム電圧Vdcやバッテリ電流Ibの脈動をそれぞれ小さく抑えるためには、いずれもスイッチング周波数fcの関数である直流側電圧ゲイン及びバッテリ電流ゲインの値を、バランス良く小さく抑えることが求められる。これは、直流側インダクタンスLdを切り替えるタイミング(切替点)を規定する回転電機MGの回転数又はスイッチング周波数fc(切替点の周波数fs;図11等を参照)を適切に設定することで実現できる。
図9及び図10に示すように、本実施形態では、直流側インダクタンスLdの切替点の周波数fsを設定するに際して、2つの特定の周波数(第一周波数f1,第二周波数f2)との関係を考慮する。ここで、第一周波数f1は、図9に示す直流側電圧ゲインの周波数特性において、基準インダクタンスLsに応じた直流側電圧ゲインの値が高インダクタンスLhに応じた直流側電圧ゲインの値と同じとなる周波数(ゼロを除く)である。即ち、第一周波数f1は、基準インダクタンスLsに応じた共振周波数frp1と高インダクタンスLhに応じた共振周波数frp2との間の周波数域において、2つのインダクタンスLs,Lhに応じた直流側電圧ゲインの値が等しくなる周波数である。また、第二周波数f2は、図10に示すバッテリ電流ゲインの周波数特性において、基準インダクタンスLsに応じたバッテリ電流ゲインの値が高インダクタンスLhに応じたバッテリ電流ゲインの値と同じとなる周波数(ゼロを除く)である。即ち、第二周波数f2は、基準インダクタンスLsに応じた共振周波数frp1と高インダクタンスLhに応じた共振周波数frp2との間の周波数域において、2つのインダクタンスLs,Lhに応じたバッテリ電流ゲインの値が等しくなる周波数である。
図9及び図10から明らかなように、第一周波数f1と第二周波数f2との間の周波数域は、2つの共振周波数frp1,frp2のいずれからも離れて存在する。これにより、第一周波数f1と第二周波数f2との間の周波数域では、共振周波数frp1,frp2に比べて、直流側電圧ゲインやバッテリ電流ゲインの値が小さく抑えられていることがわかる。そこで、切替点に設定する回転電機MGの回転数に応じたスイッチング周波数fc(即ち、切替点の周波数fs)は、第一周波数f1と第二周波数f2との間の周波数域内に設定されると好適である。
但し、第一周波数f1は直流側電圧ゲインの周波数特性のみに基づいて決定されるため、図10に示すように、当該第一周波数f1におけるバッテリ電流ゲインが比較的大きくなる場合がある。バッテリ電流ゲインが大きくなると、バッテリ電流Ibの脈動幅がその許容幅に収まらなくなる可能性がある。逆に、第二周波数f2はバッテリ電流ゲインの周波数特性のみに基づいて決定されるため、図9に示すように、当該第二周波数f2における直流側電圧ゲインが比較的大きくなる場合がある。直流側電圧ゲインが大きくなると、システム電圧Vdcの脈動幅がその許容幅に収まらなくなる可能性がある。尚、バッテリ電流Ibの脈動幅は、スイッチング周波数fcに応じて生じる基本リップルと、回転電機MGの回転数に応じて生じる高調波成分(特に、6次高調波成分とその整数倍の高調波成分(6f,12f,18f,・・・))とを合わせて考慮した脈動幅である。システム電圧Vdcの脈動幅に関しても、同様である。そこで、1つの態様として、システム電圧Vdcの脈動幅及びバッテリ電流Ibの脈動幅がそれぞれについての許容幅の範囲内に収まるように、切替点の周波数fsが設定されると好適である。
このような切替点の周波数fsは、システム電圧Vdcやバッテリ電流Ibの脈動幅の、それぞれの許容幅に対する余裕代(マージン)を考慮して決定されると好適である。1つの態様として、切替点の周波数fsは、スイッチング周波数fcが第一周波数f1である場合におけるバッテリ電流Ibの脈動幅と、スイッチング周波数fcが第二周波数f2である場合におけるシステム電圧Vdcの脈動幅との内の、それぞれについての許容幅に対する余裕代が相対的に大きい方に応じた周波数側に設定されると好適である。具体的には、スイッチング周波数fcが第一周波数f1である場合におけるバッテリ電流Ibの脈動幅の許容幅に対する余裕代が、スイッチング周波数fcが第二周波数f2である場合におけるシステム電圧Vdcの脈動幅の許容幅に対する余裕代よりも大きい場合には、切替点の周波数fsが第一周波数f1と第二周波数f2との中央値fmよりも第一周波数f1側に設定されると好適である。一方、スイッチング周波数fcが第一周波数f1である場合におけるバッテリ電流Ibの脈動幅の許容幅に対する余裕代が、スイッチング周波数fcが第二周波数f2である場合におけるシステム電圧Vdcの脈動幅の許容幅に対する余裕代よりも小さい場合には、切替点の周波数fsが上記の中央値fmよりも第二周波数f2側に設定されると好適である。
図11及び図12は、第一周波数f1でのバッテリ電流Ibの脈動幅に係る余裕代が、第二周波数f2でのシステム電圧Vdcの脈動幅に係る余裕代よりも小さい場合の例を示している。本例では、中央値fmと第二周波数f2との間の周波数域内に、切替点の周波数fsが設定されている。
また、図11及び図12には、スイッチング周波数fcに応じた(即ち、回転電機MGの回転数に応じた)、直流側インダクタンスLdの切り替えに伴う直流側電圧ゲイン及びバッテリ電流ゲインの変化の様子が示される。回転電機MGの回転数が比較的低く、スイッチング周波数fcが切替点の周波数fsよりも低い状態では、インダクタンス切替部50により、直流側インダクタンスLdが基準インダクタンスLsに維持される。このため、スイッチング周波数fcが高インダクタンスLhに応じた共振周波数frp2に一致する時点及びその前後において、直流側インダクタンスLdが基準インダクタンスLsに維持され、実支配の直流側電圧ゲイン及びバッテリ電流ゲインが小さく抑えられる。
一方、回転電機MGの回転数が比較的高く、スイッチング周波数fcが切替点の周波数fs以上の状態では、インダクタンス切替部50により、直流側インダクタンスLdが高インダクタンスLhに維持される。このため、スイッチング周波数fcが基準インダクタンスLsに応じた共振周波数frp1に一致する時点及びその前後において、直流側インダクタンスLdが高インダクタンスLhに維持され、実支配の直流側電圧ゲイン及びバッテリ電流ゲインが小さく抑えられる。
回転電機MGの回転数が比較的低い状態から次第に上昇して、スイッチング周波数fcが切替点の周波数fsに達すると、直流側インダクタンスLdが基準インダクタンスLsから高インダクタンスLhにステップ的に切り替えられる。これにより、切替点の周波数fsの前後で、直流側電圧ゲインやバッテリ電流ゲインの周波数特性が、基準インダクタンスLsに応じたものから高インダクタンスLhに応じたものへと瞬時に切り替えられる。尚、その際、実支配の直流側電圧ゲインはステップ的に上昇するが(図11を参照)、システム電圧Vdcの脈動幅は、その許容幅内に収まっている(不図示)。実支配のバッテリ電流ゲインはステップ的に下降し(図12を参照)、バッテリ電流Ibの脈動幅はさらに小さくなっている(不図示)。
このように、回転電機MGの回転数の上昇に応じてスイッチング周波数fcが上昇したときに、スイッチング周波数fcが基準インダクタンスLsに応じた共振周波数frp1に近づく前に、直流側インダクタンスLdを高インダクタンスLhに切り替える。即ち、スイッチング周波数fcが共振周波数frp1に近づいて各ゲインが大きくなり過ぎる前に、直流側インダクタンスLdを基準インダクタンスLsから高インダクタンスLhに切り替える。当該切替後は、スイッチング周波数fcは、高インダクタンスLhに応じた共振周波数frp2よりも既に高周波数側に位置しているので、スイッチング周波数fcのさらなる上昇に伴って各ゲインは次第に低下する。
一方、回転電機MGの回転数が比較的高い状態から次第に低下して、スイッチング周波数fcが切替点の周波数fsに達すると、直流側インダクタンスLdが高インダクタンスLsから基準インダクタンスLhにステップ的に切り替えられる。これにより、切替点の周波数fsの前後で、直流側電圧ゲインやバッテリ電流ゲインの周波数特性が、高インダクタンスLhに応じたものから基準インダクタンスLsに応じたものへと瞬時に切り替えられる。尚、その際、実支配のバッテリ電流ゲインはステップ的に上昇するが(図12を参照)、バッテリ電流Ibの脈動幅は、その許容幅内に収まっている(不図示)。実支配の直流側電圧ゲインはステップ的に下降し(図11を参照)、システム電圧Vdcの脈動幅はさらに小さくなっている(不図示)。
このように、回転電機MGの回転数の低下に応じてスイッチング周波数fcが低下したときに、スイッチング周波数fcが高インダクタンスLhに応じた共振周波数frp2に近づく前に、直流側インダクタンスLdを基準インダクタンスLsに切り替える。即ち、スイッチング周波数fcが共振周波数frp2に近づいて各ゲインが大きくなり過ぎる前に、直流側インダクタンスLdを高インダクタンスLhから基準インダクタンスLsに切り替える。当該切替後は、スイッチング周波数fcは、基準インダクタンスLsに応じた共振周波数frp1よりも既に低周波数側に位置しているので、スイッチング周波数fcのさらなる低下に伴って各ゲインは次第に低下する。
以上説明したように、回転電機MGの回転数に応じてスイッチング周波数fcが変化したときに、直流側インダクタンスLdを切り替えることで、スイッチング周波数fcが各インダクタンスLs,Lhに応じた2つの共振周波数frp1,frp2の双方に近づくのを抑制することができる。その結果、広い周波数域において各ゲインの値を小さく抑えることができ(図11及び図12を参照)、システム電圧Vdcやバッテリ電流Ibの脈動が大きくなることを抑制することができる。
尚、一般的に、スイッチング周波数fcに応じて生じるリップルを抑制する目的で、バッテリ11とインバータ10との間に固定インダクタ等の誘導成分(L成分)が設けられる場合もある。しかし、このような構成の採用は、一般的に、平滑コンデンサ40の容量がある程度大きい場合に限られている。この場合において、平滑コンデンサ40を低容量化した場合には、特に回転電機MGが高回転で駆動される状況で、直流側電圧ゲインやバッテリ電流ゲインが大きくなり、高調波成分(特に、6次高調波成分及びその整数倍の高調波成分)に基づく脈動が大きくなる可能性がある。これに対して、本発明によれば、低容量の平滑コンデンサ40を用いる場合であっても、回転電機MGの回転数に応じて直流側インダクタンスLdを切り替えることで、システム電圧Vdcやバッテリ電流Ibの脈動などの変動を抑制することができる。即ち、スイッチング周波数fcの2倍の周波数成分と回転電機MGの回転数に応じた高調波成分とに関して、いずれか一方が大きくなっても他方が小さくなるように直流側インダクタンスLdが切り替えられるので、全体としての脈動を小さく抑えることができる。その結果、システム電圧Vdcやバッテリ電流Ibの脈動などの変動を有効に抑制することができる。
本発明は、このような概念に基づいて設計される回転電機駆動装置に広く適用することが可能である。当業者であれば、上述した具体的な実施形態に基づき、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で、適宜改変が可能であることが容易に理解できるであろう。従って、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で改変された別の実施形態も当然ながら、本発明に含まれるものである。
例えば、直流側インダクタンスLdとして切替可能な基準インダクタンスLs及び高インダクタンスLhの値は、適宜設定変更が可能である。本実施形態の構成のように、直流側インダクタンスLdの切替点の周波数fsを第一周波数f1と第二周波数f2との間の周波数域内に設定する場合、切替点を設定可能な周波数域の広さは、第一周波数f1と第二周波数f2との差に応じて規定される。したがって、第一周波数f1と第二周波数f2との間の差が大きくなるに従って切替点の周波数fsを共振周波数frp1,frp2のいずれからも有効に遠ざけることが容易となるので好ましい。また、第一周波数f1と第二周波数f2との間の差が大きくなるに従って、切替点の周波数fsの設定の自由度が高まるので好ましい。一方、第一周波数f1や第二周波数f2は、基準インダクタンスLs及び高インダクタンスLhに応じた各ゲインに基づいて決定されるため、切替可能な2つの直流側インダクタンスLdの大きさを適切に設定することも重要である。これらを適切に設定することにより、システム電圧Vdcの脈動幅及びバッテリ電流Ibの脈動幅を効果的に小さく抑えることができる。1つの態様として、システム電圧Vdcの脈動幅及びバッテリ電流Ibの脈動幅がそれぞれについての許容幅の範囲内に収まるように、基準インダクタンスLs及び高インダクタンスLhが設定されるとよい。尚、上記の実施形態では、高インダクタンスLhが基準インダクタンスLsの約7倍に設定されている例を示したが、それ以上(例えば10倍以上など)に設定されてもよい。また、それ以下(例えば3倍以上6倍以下など)に設定されることを妨げるものでもない。
また、1つの態様として、切替点の周波数fsが、第一周波数f1及び第二周波数f2のいずれかに設定されてもよい。この場合、スイッチング周波数fcが第一周波数f1である場合におけるバッテリ電流Ibの脈動幅と、スイッチング周波数fcが第二周波数f2である場合におけるシステム電圧Vdcの脈動幅との内の、それぞれについての許容幅に対する余裕代が相対的に大きい方に応じた周波数に設定されてもよい。即ち、スイッチング周波数fcが第一周波数f1である場合におけるバッテリ電流Ibの脈動幅の許容幅に対する余裕代が、スイッチング周波数fcが第二周波数f2である場合におけるシステム電圧Vdcの脈動幅の許容幅に対する余裕代よりも大きい場合には、切替点の周波数fsが第一周波数f1に設定されてもよい。一方、スイッチング周波数fcが第一周波数f1である場合におけるバッテリ電流Ibの脈動幅の許容幅に対する余裕代が、スイッチング周波数fcが第二周波数f2である場合におけるシステム電圧Vdcの脈動幅の許容幅に対する余裕代よりも小さい場合には、切替点の周波数fsが第二周波数f2に設定されてもよい。
また、上記の実施形態では、直流側インダクタンスLdを基準インダクタンスLsと高インダクタンスLhとの間で切り替える切替点の周波数fsを、第一周波数f1と第二周波数f2との間の周波数域内に設定する構成を例として説明した。しかし、本発明の実施形態はこれに限定されるものではなく、切替点の周波数fsを、第一周波数f1と第二周波数f2との間の周波数域の外に設定してもよい。1つの態様として、切替点の周波数fsを、直流側電圧ゲインの周波数特性における高インダクタンスLhに応じた共振周波数frp2とバッテリ電流ゲインの周波数特性における高インダクタンスLhに応じた共振周波数frp2とのいずれか高い方の周波数よりも高く、第一周波数f1と第二周波数f2とのいずれか低い方の周波数よりも低い周波数域内に設定してもよい。或いは、切替点の周波数fsを、直流側電圧ゲインの周波数特性における基準インダクタンスLsに応じた共振周波数frp1とバッテリ電流ゲインの周波数特性における基準インダクタンスLsに応じた共振周波数frp1とのいずれか低い方の周波数よりも低く、第一周波数f1と第二周波数f2とのいずれか高い方の周波数よりも高い周波数域内に設定してもよい。但し、いずれの場合においても、切替点の周波数fsは、共振周波数frp1,frp2から離して設定し、直流側電圧ゲイン及びバッテリ電流ゲインの値が小さくなるようにすると好適である。
また、上記の実施形態では、切替点の周波数fsを1つだけ設定し、直流側インダクタンスLdを第一周波数f1と第二周波数f2との間の周波数域内で1回だけ切り替える構成を例として説明した。しかし、本発明の実施形態はこれに限定されるものではなく、切替点を複数設定することも可能である。1つの態様として、例えば、上述した第一周波数f1と第二周波数f2との間の切替点(第一切替点の)とは別に第二の切替点を設定してもよい。またこの場合において、当該第二の切替点の周波数を、直流側電圧ゲインの周波数特性における基準インダクタンスLsに応じた共振周波数frp1とバッテリ電流ゲインの周波数特性における基準インダクタンスLsに応じた共振周波数frp1とのいずれか高い方の周波数よりも高い周波数に設定し、スイッチング周波数が第一の切替点fsより低い状態で基準インダクタンスLsとし、スイッチング周波数が第一の切替点fsより高く第二の切替点よりも低い状態で高インダクタンスLhとし、スイッチング周波数が第二の切替点より高い状態で再び基準インダクタンスLsとするように、直流側インダクタンスLdを切り替えてもよい。この場合においても、第二の切替点の周波数は、共振周波数frp1から離して設定し、直流側電圧ゲイン及びバッテリ電流ゲインの値が小さくなるようにすると好適である。
また、1つの態様として、切替点の周波数fsを設定するに際して、ヒステリシスを設けてもよい。即ち、回転電機MGの回転数の上昇に応じてスイッチング周波数fcが上昇する際の切替点の周波数を、回転電機MGの回転数の低下に応じてスイッチング周波数fcが低下する際の切替点の周波数よりも高周波数側に設定してもよい。
また、インダクタンス切替部50の具体的構成としては、少なくとも基準インダクタンスLsと高インダクタンスLhとの間で直流側インダクタンスLdを切替可能なものであれば、任意の構成を採用することができる。図13〜図16には、インダクタンス切替部50の別形態を示す。図13は、付加コイル52に対して並列に接続されたスイッチとして、サイリスタ等の半導体素子を用いた半導体スイッチ53が用いられた例を示す。図14は、インダクタンスの大きさを任意に切替可能な可変リアクトル54が用いられた例を示す。図15は、スイッチング電源(不図示)に接続された1次コイルとバッテリ11の正極と平滑コンデンサ40の正極との間に接続された2次コイルとを有するトランス55が用いられた例を示す。この例では、1次コイルに供給される交流電力により発生する磁界によって2次コイルが飽和することにより、インダクタンスの大きさが変化する。図16は、付加コイル52に対して直列に接続された半導体素子(MOSFETやIGBTなど)からなるスイッチング素子56を備えた例を示す。この例では、スイッチング素子56をオンオフ制御することによって付加コイル52が飽和することにより、インダクタンスの大きさが変化する。これらは、製造コスト、必要となる設置面積、補助電源の要否、及び冷却機構の要否などを総合的に考慮して選択されるとよい。
また、1つの態様として、インダクタンス切替部50と平滑コンデンサ40の正極との間に抵抗を介在させてもよい。このような抵抗を付加することで、共振点のピークを下げる(共振点における各ゲインの値を小さくする)ことができる。そして、そのような構成を前提として、上述したような直流側インダクタンスLdの切り替えを行うように構成されてもよい。
また、上記の実施形態では、スイッチング素子としてIGBT3を用いる場合を例として説明したが、本発明の構成は、スイッチング素子としてSiC−MOSFETやSiC−SITなどのSiCデバイスを用いる場合にも非常に適している。すなわち、これらのSiCデバイスは、Siデバイスに比べて、スイッチング損失が少なく、高温でも安定的に動作可能であるため、比較的高いスイッチング周波数としても損失を抑えて安定的にどうさせることができるという特性を備えている。そのため、本発明の構成は、このようなSiCデバイスをスイッチング素子として用い、スイッチング周波数として幅広い周波数域を利用する場合に特に好適である。
本発明は、交流の回転電機を駆動制御する回転電機駆動装置に利用することができる。
8 :制御装置
10 :インバータ
11 :バッテリ(直流電源)
40 :平滑コンデンサ
50 :インダクタンス切替部
100 :回転電機駆動装置
Ib :バッテリ電流(電源電流)
Idc :システム電流
Ld :直流側インダクタンス
Lh :高インダクタンス
Ls :基準インダクタンス
MG :回転電機
Vdc :システム電圧
f1 :第一周波数
f2 :第二周波数
fc :スイッチング周波数
fm :中央値
fs :切替点の周波数

Claims (4)

  1. 交流の回転電機を駆動制御する回転電機駆動装置であって、
    直流電源と前記回転電機との間に電気的に介在されて、直流と交流との間で電力を変換するインバータと、
    前記直流電源と前記インバータとの間に電気的に介在され、前記インバータの直流側の正極と負極との間に接続される平滑コンデンサと、
    前記インバータのスイッチング素子を、定められたスイッチング周波数に従ってスイッチング制御するインバータ制御部と、
    前記直流電源の正極と前記平滑コンデンサの正極との間の直流側インダクタンスを、前記スイッチング周波数に応じて、予め規定された基準インダクタンスと当該基準インダクタンスよりも高い高インダクタンスとの間で切り替えるインダクタンス制御部と、を備え
    前記インバータの直流側の電圧であるシステム電圧を前記インバータの直流側の電流であるシステム電流で除した直流側電圧ゲインの周波数特性において、前記基準インダクタンスに応じた前記直流側電圧ゲインの値が前記高インダクタンスに応じた前記直流側電圧ゲインの値と同じとなる周波数を第一周波数とし、
    前記直流電源を流れる電流である電源電流を前記システム電流で除した直流側電流ゲインの周波数特性において、前記基準インダクタンスに応じた前記直流側電流ゲインの値が前記高インダクタンスに応じた前記直流側電流ゲインの値と同じとなる周波数を第二周波数とし、
    前記インダクタンス制御部は、前記スイッチング周波数が前記第一周波数と前記第二周波数との間の周波数域内に設定される切替点の周波数より低い状態で前記基準インダクタンスとし、前記スイッチング周波数が前記切替点の周波数より高い状態で前記高インダクタンスとするように前記直流側インダクタンスを切り替える回転電機駆動装置。
  2. 前記システム電圧の脈動幅が予め規定された許容幅の範囲内に収まるように、前記基準インダクタンス及び前記高インダクタンス、並びに前記切替点の周波数が設定されている請求項に記載の回転電機駆動装置。
  3. 前記電源電流の脈動幅が予め規定された許容幅の範囲内に収まるように、前記基準インダクタンス及び前記高インダクタンス、並びに前記切替点の周波数が設定されている請求項又はに記載の回転電機駆動装置。
  4. 前記スイッチング周波数が前記第一周波数である場合における前記電源電流の脈動幅の当該電源電流について予め規定された許容幅に対する余裕代が、前記スイッチング周波数が前記第二周波数である場合における前記システム電圧の脈動幅の当該システム電圧について予め規定された許容幅に対する余裕代よりも大きい場合には、前記切替点の周波数が前記第一周波数と前記第二周波数との中央値よりも前記第一周波数側に設定され、
    前記スイッチング周波数が前記第一周波数である場合における前記電源電流の脈動幅の許容幅に対する余裕代が、前記スイッチング周波数が前記第二周波数である場合における前記システム電圧の脈動幅の許容幅に対する余裕代よりも小さい場合には、前記切替点の周波数が前記中央値よりも前記第二周波数側に設定される請求項からのいずれか一項に記載の回転電機駆動装置。
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