JP5962625B2 - 鋼の連続鋳造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、連続鋳造鋳片の厚み中心部に発生する成分偏析、つまり、中心偏析を抑制する鋼の連続鋳造方法に関する。
鋼の凝固過程では、炭素(C)、燐(P)、硫黄(S)、マンガン(Mn)などの溶質元素は、凝固時の再分配により未凝固の液相側に濃化される。これがデンドライト樹間に形成されるミクロ偏析である。連続鋳造機により鋳造されつつある鋳片の凝固収縮や熱収縮、連続鋳造機のロール間で発生する凝固シェルのバルジングなどによって、鋳片の厚み中心部に空隙が形成されたり負圧が生じたりすると、この部分に溶鋼が吸収されるが、凝固末期の未凝固層には十分な量の溶鋼が存在しないので、上記のミクロ偏析によって濃縮された溶鋼が流動し、鋳片中心部に集積して凝固する。このようにして形成された偏析スポットは、溶質元素の濃度が溶鋼の初期濃度に比べ格段に高濃度となっている。これを一般にマクロ偏析と呼び、その存在部位から、中心偏析と呼んでいる。
原油や天然ガスなどの輸送用ラインパイプ材は中心偏析によって品質が悪化する。中心偏析部にマンガン硫化物やニオブ炭化物が生成されると、腐食反応により鋼内部に侵入した水素が鋼中のマンガン硫化物やニオブ炭化物のまわりに拡散・集積し、その内圧により割れが発生する。更に、中心偏析部は硬くなっているので、割れが伝播する。この割れは水素誘起割れ(「HIC」とも記す)と呼ばれ、サワーガス環境で使用されるラインパイプ材の品質を悪化させる主たる原因となっている。
これに対処するべく、連続鋳造工程から圧延工程に至るまで、鋳片の中心偏析を低減する、或いは無害化する対策が多数提案されている。
例えば、特許文献1及び特許文献2には、連続鋳造機内において、未凝固層を有する凝固末期の鋳片を鋳片支持ロールによって凝固収縮量と熱収縮量との和に相当する程度の圧下量で徐々に圧下しながら鋳造する方法が提案されている。
特許文献1及び特許文献2のように、鋳造中の鋳片を連続鋳造機内において凝固収縮量及び熱収縮量の和に相当する程度の圧下量で徐々に圧下する技術は、「軽圧下」或いは「軽圧下法」と呼ばれている。この軽圧下技術は、鋳造方向に並んだ複数対のロールを用いて、凝固収縮量及び熱収縮量の和に見合った圧下量で鋳片を徐々に圧下して未凝固層の体積を減少させ、鋳片中心部における空隙或いは負圧部の形成を防止すると同時に、デンドライト樹間に形成される濃化溶鋼の流動を防止し、これによって鋳片の中心偏析を軽減するという技術である。
尚、近年の連続鋳造機は、複数対のロールを備えたセグメントで構成されるセグメント方式の連続鋳造機が主流であり、セグメント方式の連続鋳造機の場合には、軽圧下を実施する圧下ロール群(「軽圧下帯」という)も複数のセグメントから構成されている。セグメントで構成される軽圧下帯では、相対するロールの開度を、セグメントの入り側と出側とで、入り側を出側より大きく調整することで、所定の圧下量が鋳片に付与されるように構成されている。
ところで、鋳片の凝固完了位置の鋳片幅方向における形状と中心偏析とは密接な関係があることが知られており、特許文献3には、鋳片幅方向における凝固完了位置を検出し、検出された凝固完了位置の最短部と最長部との差が基準内となるように、鋳型内の溶鋼流動を調整するか、または二次冷却の幅切り量を調整する方法が提案されている。この技術は、鋳片幅方向で凝固完了位置が異なる場合には、軽圧下帯における圧下量が鋳片幅方向各位置で異なり、凝固完了位置が鋳造方向下流側に伸びた位置では、圧下量が少なくなり、十分な中心偏析改善効果を得ることができなくなることを防止するためである。
また、鋳片のロール間でのバルジングも中心偏析に影響を及ぼすことが知られており、特許文献4には、軽圧下帯における鋳片のロール間バルジングを非定常伝熱凝固計算によって算出し、算出されるロール間バルジングに応じて鋳片に付与する圧下速度を変更する連続鋳造方法が提案されている。
特開平8−132203号公報 特開平8−192256号公報 特開2006−198644号公報 特開2012−45552号公報
上記のように、鋳片の中心偏析を改善するべく、軽圧下時における圧下速度、鋳片幅方向における凝固完了位置の形状、ロール間バルジングについて、それぞれ対策が採られてきた。しかしながら、至近の連続鋳造鋳片に対する品質要求レベルはより一層高まっており、鋳片幅方向の偏析度のバラツキも問題となっている。特に、ラインパイプ材などの偏析厳格鋼材では、鋳片段階で幅方向に1箇所でも偏析の悪い部分があると、ラインパイプ材として使用することが困難となっている。
この観点から、上記従来技術を検証すれば、上記従来技術には以下の問題がある。
即ち、特許文献1や特許文献2では、軽圧下によって鋳片幅方向の偏析度は全体的には低下するが、鋳片幅方向で凝固完了位置が異なる場合には、偏析改善効果は十分ではない。これは、凝固完了位置が鋳片幅方向の他の位置と比べて鋳造方向下流側に延びている部分は、既に凝固が完了した部分が抵抗となり、軽圧下が付与され難くなるためであり、場合によっては前記した水素誘起割れが発生してしまう可能性がある。
特許文献3では、鋳片幅方向における凝固完了位置の形状制御を偏析低減対策として採用しているが、凝固完了位置の鋳片幅方向における形状と、偏析の鋳片幅方向における分布との関係が明らかではないため、偏析度の目標を設定しても、具体的にどのように凝固完了位置の鋳片幅方向における形状を制御すれば目的が達成されるのか、明確でない。また、特許文献3は、最短凝固完了位置と最長凝固完了位置との鋳造方向長さの差を2m以下に制御すれば十分に偏析が軽減されるとしており、昨今の厳格化された偏析の要求レベルには対応できない可能性がある。
特許文献4では、非定常伝熱凝固計算によって算出したロール間バルジングに応じて鋳片に付与する圧下速度を変更するといった方法を採用しているが、一般的に、凝固末期に近い軽圧下帯では、鋳片のバルジングは既に塑性変形によって元の形に戻らない非定常バルジングになっている。したがって、ロールと接触する部分では鋳片全体が押し込まれ、ロール間では鋳片全体が膨らむことになる。この現象は圧下速度に拘わらず発生することから、圧下速度を増減しても本質的な改善には至らない。つまり、鋳片の中心偏析を改善するためには、非定常バルジングそのものを低減することが必要となる。
本発明は上記事情に鑑みてなされたもので、その目的とするところは、中心偏析の鋳片幅方向における全体的な偏析レベルを低減するとともに、偏析度の鋳片幅方向におけるバラツキも低減することのできる鋼の連続鋳造方法を提供することである。
上記課題を解決するための本発明の要旨は以下のとおりである。
[1]複数対の鋳片支持ロールのロール開度を鋳造方向下流側に向かって段階的に増加させて鋳片長辺面を3〜10mmのバルジング総量でバルジングさせ、その後、複数対の鋳片支持ロールのロール開度を鋳造方向下流側に向かって段階的に減少させた軽圧下帯において、鋳片厚み中心部の固相率が少なくとも0.3の時点から0.7の時点に至るまで、0.3〜1.0mm/minの圧下速度で鋳片長辺面を圧下して連続鋳造鋳片を製造する鋼の連続鋳造方法において、塩基度((質量%CaO)/(質量%SiO2))が0.95以上1.05以下で、且つ、結晶化温度が1050℃以上1150℃以下であるモールドパウダーを鋳型内に添加して鋳片を鋳造することにより、下記の(1)式で算出される値を鋳造方向における鋳片厚みの変動量と定義したとき、前記軽圧下帯に導入される鋳片の前記変動量を0.10mm以下に制御することを特徴とする、鋼の連続鋳造方法。
Figure 0005962625
但し、(1)式において、Aは、鋳造方向における鋳片厚みの変動量(mm)、Ziは、鋳造方向に100mm以下の間隔で測定する、鋳片支持ロールのロールパスラインから鋳片表面までの距離のi番目の測定値(mm)、nは2以上の任意の整数である。
[2]二次冷却帯における各スプレーノズルの配置及び各スプレーノズルからの冷却水の噴射量から鋳片幅方向に10mm以下の間隔毎に算出される単位面積及び単位時間あたりの冷却水の噴射量を鋳造方向で平均した値を、二次冷却帯における鋳片幅方向の冷却水量密度分布と定義したとき、少なくとも鋳型直下から鋳造方向へ10m下方位置までの前記冷却水量密度分布の標準偏差σSP(L/m2/s)と鋳片引き抜き速度Vc(m/min)との比(σSP/Vc)を2.5以下することを特徴とする、上記[1]に記載の鋼の連続鋳造方法。
[3]伝熱凝固計算によって算出される鋳片幅方向100mm以下の間隔での表面温度または軸心温度の温度分布、或いは、オンラインで測定した鋳片幅方向100mm以下の間隔での表面温度または軸心温度の温度分布に基づいて鋳片幅方向各位置での凝固完了位置を算出し、算出される凝固完了位置から凝固完了位置の鋳片幅方向における分布を求め、求めた分布から凝固完了位置の鋳片幅方向における平均値及び標準偏差を算出し、算出した平均値を算出した標準偏差で除算した値を、凝固完了位置の鋳片幅方向での変動係数と定義したとき、鋳片の前記変動係数を0.03以下とすることを特徴とする、上記[2]に記載の鋼の連続鋳造方法。
[4]軽圧下帯入り口における鋳片で、前記変動係数を0.03以下とすることを特徴とする、上記[3]に記載の鋼の連続鋳造方法。
本発明によれば、鋳片に付与される実際の圧下速度を0.3〜1.0mm/minの範囲に制御し、且つ、軽圧下帯に導入される鋳片の鋳造方向における厚み変動量を0.10mm以下に制御するので、中心偏析による偏析度の鋳片幅方向における平均値を低減させることが実現される。また、冷却水量密度分布の標準偏差(σSP)と鋳片引き抜き速度(Vc)との比(σSP/Vc)を2.5以下に制御した場合には、中心偏析による偏析度の鋳片幅方向におけるバラツキを低減させることが可能となり、鋳片幅方向における全ての箇所での偏析度を低減することが実現される。
本発明を実施する際に用いたスラブ連続鋳造機の側面概略図である。 本発明における鋳片支持ロールのロール開度のプロフィルの例を示す図である。 水柱超音波センサーを使用して、鋳片の鋳造方向における鋳片厚みの変動量を測定する方法を模式的に示す図である。 鋳片の鋳造方向における鋳片厚みの変動量と、Mn偏析度の鋳片幅方向の平均値との関係を調査した結果を示す図である。 モールドパウダーの結晶化温度と鋳片の鋳造方向における鋳片厚みの変動量との関係を調査した結果を示す図である。 凝固完了位置の鋳片幅方向における形状と、Mn偏析度の鋳片幅方向における分布との関係を調査した結果の例を示す図である。 比(σSP/Vc)と凝固完了位置の鋳片幅方向での変動係数との関係を示す図である。
以下、添付図面を参照して本発明を具体的に説明する。図1は、本発明を実施する際に用いた垂直曲げ型のスラブ連続鋳造機の側面概略図である。
図1に示すように、スラブ連続鋳造機1には、溶鋼9が注入され、この溶鋼9を冷却して凝固させ、横断面が矩形である鋳片10の外殻形状を形成するための鋳型5が設置されている。この鋳型5の上方所定位置には、取鍋(図示せず)から供給される溶鋼9を鋳型5に中継供給するためのタンディッシュ2が設置されている。このタンディッシュ2の底部には、溶鋼9の流量を調整するためのスライディングノズル3が設置され、このスライディングノズル3の下面には、浸漬ノズル4が設置されている。
一方、鋳型5の下方には、サポートロール、ガイドロール及びピンチロールからなる複数対の鋳片支持ロール6が配置されている。鋳造方向に隣り合う鋳片支持ロール6の間隙には、水スプレーノズル或いはエアーミストスプレーノズルなどのスプレーノズル(図示せず)が配置され、鋳型直下から機端の鋳片支持ロール6までの範囲に、二次冷却帯が構成されている。鋳片10は、引き抜かれながら、二次冷却帯のスプレーノズルから噴霧される二次冷却水によって冷却されるようになっている。
鋳造方向最終の鋳片支持ロール6の鋳造方向下流側には、鋳造された鋳片10を搬送するための複数の搬送ロール7が設置されている。また、この搬送ロール7の上方には、鋳造される鋳片10から所定の長さの鋳片10aを切断するための鋳片切断機8が配置されている。
鋳片10の凝固完了位置13を挟んで鋳造方向の上流側及び下流側には、軽圧下帯14が設置されている。軽圧下帯14は、鋳片10を挟んで対向する鋳片支持ロール間の間隔(この間隔を「ロール開度」という)を鋳造方向下流側に向かって順次狭くなるように設定された、つまり、圧下勾配が施された、複数対の鋳片支持ロール群から構成されている。軽圧下帯14では、その全域または一部選択した領域で、鋳片10に軽圧下を行うことが可能である。軽圧下帯14の各鋳片支持ロール間にも鋳片10を冷却するためのスプレーノズルが配置されている。軽圧下帯14に配置される鋳片支持ロール6は「圧下ロール」とも呼ばれる。
図1に示すスラブ連続鋳造機1においては、軽圧下帯14は、3対の圧下ロールを1組とするセグメントが鋳造方向に3基つながって構成されている。尚、図1では、軽圧下帯14が3基のセグメントで構成されているが、1基であってもまた2基であっても構わず、更には4基以上であっても構わない。また、図1では、1基のセグメントに配置する鋳片支持ロール6は3対であるが3対とする必要はなく、2対以上であれば幾つであっても構わない。また、図示はしないが、軽圧下帯以外の鋳片支持ロール6もセグメント構造となっている。
通常、軽圧下帯14における圧下勾配は、鋳造方向1mあたりのロール開度の絞り込み量、つまり「mm/m」で表示されており、したがって、軽圧下帯14における、鋳片10の圧下速度(mm/min)は、この圧下勾配(mm/m)に鋳片引き抜き速度(m/min)を乗算することで得られる。
鋳型5の下端から鋳片10の液相線クレータエンド位置との間に配置される鋳片支持ロール6は、意図的バルジング帯15を構成している。意図的バルジング帯15では、ロール開度の拡大量が所定値となるまで、鋳造方向下流側に向かって1ロール毎または数ロール毎に順次ロール開度が広くなるように、各鋳片支持ロール6が設定されている。意図的バルジング帯15の下流側に設置される鋳片支持ロール6は、ロール開度が一定値または鋳片10の温度降下に伴う収縮量に見合う程度に狭められ、その後、下流側の軽圧下帯14につながっている。
図2に、本発明における鋳片支持ロールのロール開度のプロフィルの例を示す。図2に示すように、意図的バルジング帯15で鋳片長辺面を溶鋼静圧によって意図的にバルジングさせて鋳片長辺面の中央部の厚みを増大させ(領域b)、意図的バルジング帯15を通りすぎた下流側では、ロール開度が一定値または鋳片10の温度降下に伴う収縮量に見合う程度に狭められ(領域c)、その後、軽圧下帯14で鋳片長辺面を圧下する(領域d)というプロフィルである。図中のa及びeは、ロール開度が鋳片10の温度降下に伴う収縮量に見合う程度に狭められる領域である。図中のa′は、鋳片10の温度降下に伴う収縮量に見合う程度にロール開度を狭くする従来方法のロール開度の例である。
意図的バルジング帯15では、鋳片支持ロール6のロール開度を鋳造方向下流側に向かって順次広くすることにより、鋳片10の短辺近傍を除く長辺面は、未凝固層による溶鋼静圧によって鋳片支持ロール6に倣って意図的にバルジングさせられる。鋳片長辺面の短辺近傍は、凝固の完了した鋳片短辺面に固持・拘束されることから、意図的バルジングを開始した時点の厚みを維持しており、したがって、鋳片10は、意図的なバルジングによって鋳片長辺面のバルジングした部分のみが鋳片支持ロール6に接触することになる。また、軽圧下帯14では、圧下総量をバルジング総量以下に制御することで、鋳片長辺面のバルジングした部分のみが圧下され、効率的に軽圧下することが可能となる。尚、圧下総量とは、軽圧下帯14における圧下開始から圧下終了までの鋳片10の圧下量であり、バルジング総量とは、意図的バルジング帯15における意図的なバルジング開始から意図的なバルジング終了までのバルジング量である。
この構成のスラブ連続鋳造機1において、タンディッシュ2から浸漬ノズル4を介して鋳型5に注入された溶鋼9は、鋳型5で冷却されて凝固シェル11を形成する。この凝固シェル11を外殻とし、内部に未凝固層12を有する鋳片10は、鋳型5の下方に設けた鋳片支持ロール6に支持されつつ、鋳型5の下方に連続的に引き抜かれる。鋳片10は、鋳片支持ロール6を通過する間、二次冷却帯の二次冷却水で冷却され、凝固シェル11の厚みを増大させる。そして、鋳片10は、意図的バルジング帯15では鋳片長辺面の短辺側端部を除いた部分の厚みを増大させ、また、軽圧下帯14では軽圧下されながら凝固完了位置13で内部までの凝固を完了する。凝固完了後の鋳片10は、鋳片切断機8によって切断されて鋳片10aとなる。鋳型内には、断熱材、潤滑剤、酸化防止剤などとして機能するモールドパウダー(図示せず)が添加される。
本発明において、意図的バルジング帯15を鋳型5の下端から鋳片10の液相線クレータエンド位置との間に配置する理由は、以下のとおりである。即ち、鋳片10の液相線クレータエンド位置よりも鋳造方向上流側は、鋳片厚み中心部は全て未凝固層12(液相)であり、鋳片10の凝固シェル11は温度が高く、変形抵抗が小さく、容易にバルジングさせることができる。また、鋳片10を意図的にバルジングさせる場合、鋳片10の内部に存在する未凝固層12が少ない時点でバルジングさせると、中心偏析は却って悪化する。しかし、鋳片10の液相線クレータエンド位置よりも鋳造方向上流側でバルジングさせた場合には、この時点では、溶質元素の濃化されていない初期濃度の溶鋼が鋳片内部に潤沢に存在し、且つ、この溶鋼が容易に流動する。この溶鋼が流動しても偏析は起こらず、したがって、この時点におけるバルジングは中心偏析の原因とはならない。
尚、鋳片10の液相線とは、鋳片10の化学成分によって決まる凝固開始温度であり、例えば、下記の(2)式から求めることができる。
TL=1536-(78×[%C]+7.6×[%Si]+4.9×[%Mn]+34.4×[%P]+38×[%S]+4.7×[%Cu]+3.1×[%Ni]+1.3×[%Cr]+3.6×[%Al])…(2)
但し、(2)式において、TLは液相線温度(℃)、[%C]は溶鋼の炭素濃度(質量%)、[%Si]は溶鋼の珪素濃度(質量%)、[%Mn]は溶鋼のマンガン濃度(質量%)、[%P]は溶鋼の燐濃度(質量%)、[%S]は溶鋼の硫黄濃度(質量%)、[%Cu]は溶鋼の銅濃度(質量%)、[%Ni]は溶鋼のニッケル濃度(質量%)、[%Cr]は溶鋼のクロム濃度(質量%)、[%Al]は溶鋼のアルミニウム濃度(質量%)である。
鋳片10の液相線クレータエンド位置は、伝熱凝固計算により求められる鋳片内部の温度勾配と、(2)式で定まる液相線温度とを照らし合わせることで求めることができる。
意図的バルジング帯15は、特別な機構は不要であり、ロール開度を調整するだけで構成されるので、鋳型5の下端から鋳片10の液相線クレータエンド位置との範囲である限り、任意の位置に設置することができる。
本発明において、軽圧下帯14を構成するセグメント(「軽圧下セグメント」ともいう)に掛かる荷重は、鋳片10のサイズ、軽圧下帯14における圧下勾配、軽圧下される鋳片10の未凝固層12の割合で決定される。中心偏析の原因となる凝固末期での溶鋼流動を防止するには、凝固収縮量や熱収縮量に見合った量の軽圧下を付与する必要があるが、設定の圧下勾配が大きい、或いは、鋳片サイズが大きいと、軽圧下セグメントに掛かる荷重は大きくなる。
軽圧下セグメントに掛かる荷重が大きくなると、軽圧下セグメント内のロール開度は拡がる。したがって、鋳片サイズや圧下勾配の設定が同一であっても、凝固完了位置13の鋳片幅方向における形状に応じて軽圧下セグメントに掛かる荷重は変動し、その荷重に応じてロール開度も変動するため、実際に鋳片10に付与されている圧下速度も設定値から変動してしまう。また、軽圧下セグメントへの荷重の増加は、軽圧下セグメント寿命の短命化を招く。
本発明者らは、鋳片10を効率的に軽圧下することを目的として、先ず、意図的バルジング帯15におけるバルジング総量、鋳片引き抜き速度及び軽圧下帯14での設定の圧下勾配を変更した条件で、2100mm幅、250mm厚みの鋳片10(スラブ鋳片)を鋳造する試験を行い、意図的バルジング帯15におけるバルジング総量及び軽圧下帯14における圧下速度の鋳片品質に及ぼす影響を調査する試験を行った。その場合に、意図的バルジング帯15におけるバルジング総量を、軽圧下帯14における圧下総量よりも大きくして、軽圧下時には凝固が完了している鋳片10の短辺側を圧下しないようにした。具体的には、意図的バルジング帯15におけるバルジング総量を2〜13mmの範囲で変更した。また、鋳造中には、予め伝熱凝固計算によって求めた最も鋳造方向下流側となる凝固完了位置13が存在する軽圧下セグメントにおいて、非接触のセンサーによってロール開度の変位を測定した。
その結果、バルジング総量が3mm未満では、軽圧下帯14における圧下時に、完全凝固した鋳片10の短辺が圧下されてしまい、軽圧下セグメントへの荷重が過大になり、鋳片10の圧下はほとんど行うことができなかった。一方、バルジング総量が10mmを超えると、鋳片10に内部割れが発生していた。したがって、意図的バルジング帯15におけるバルジング総量は3〜10mmに設定することが必要であることがわかった。
尚、本発明では、鋳片10が軽圧下帯14の最上流位置に到達した時点で、鋳片10の長辺面の短辺側に鋳片長辺面と圧下ロールとが接触しない部分が鋳片幅方向に50mm以上存在する場合に、鋳片10の短辺は軽圧下帯14で圧下されないと定義する。また、意図的バルジング帯15において、1ロールあたりのロール開度の拡大量は、1.5mm以下とすることが好ましい。これは、鋳片長辺面のバルジングする部位とバルジングしない部位との境界位置における亀裂発生を防止するためである。
また、鋳片10に実際に付与された圧下速度と鋳片10の偏析との関係を調査した結果、軽圧下帯14における圧下速度が0.3mm/min未満ではV偏析が発生し、一方、圧下速度が1.0mm/minを超えると逆V字偏析が発生していた。したがって、軽圧下帯14における圧下速度は0.3〜1.0mm/minに制御する必要のあることがわかった。尚、鋳片10に実際に付与された圧下速度は、非接触のセンサーによって測定した軽圧下セグメントでのロール開度の変位から算出される圧下勾配と鋳片の引き抜き速度との積として求めたものである。
上記のように、意図的バルジング帯15におけるバルジング総量及び軽圧下帯14における圧下速度を適正化することで、鋳片10の偏析は改善されるが、これだけでは、昨今必要とされている偏析レベルには対応できない。
そこで、本発明者らは、更に、2100mm幅、250mm厚みの鋳片10の連続鋳造において、鋳片引き抜き速度を1.1m/min、意図的バルジング帯15におけるバルジング総量を5.0mm、軽圧下帯14における圧下速度を0.70mm/minの一定とした条件で、使用するモールドパウダーの物性値を変更する試験、及び、二次冷却帯の冷却水量を変更する試験を行い、モールドパウダー及び二次冷却帯の冷却水量の鋳片偏析に及ぼす影響を調査する試験を行った。モールドパウダーの物性値としては、結晶化温度及び塩基度((質量%CaO)/(質量%SiO2))を指標とした。
この試験鋳造の際には、軽圧下セグメントのロール開度を非接触のセンサーによって測定し、測定されるロール開度から圧下勾配を求め、鋳片10に実際に付与される圧下速度を監視した。その結果、圧下速度は、前述した適正範囲の0.3〜1.0mm/minの範囲内であることを確認した。また、鋳造中、鋳片10に縦波超音波を透過させ、縦波超音波の伝播時間から鋳片厚み中心部の温度を求め、求めた温度を伝熱凝固計算による鋳片中心温度と照らし合わせることで、鋳片10の凝固完了位置13を推定した。その結果、鋳片10の凝固完了位置13は、軽圧下帯14の最下流側の軽圧下セグメントに存在することを確認した。
また、この試験鋳造の際には、軽圧下帯14の直前において、鋳片10の鋳造方向における厚み変動量を、鋳片支持ロール6の間隙に設置した水柱超音波センサーによって測定した。水柱超音波センサーとは、水柱を経由する超音波によって鋳片表面と水柱超音波センサーとの距離を測定する装置である。
ここで、鋳片10の鋳造方向における鋳片厚みの変動量は、下記の(1)式によって定義されるものである。
Figure 0005962625
但し、(1)式において、Aは、鋳造方向における鋳片厚みの変動量(mm)、Ziは、鋳造方向に100mm以下の間隔で測定した、鋳片支持ロールのロールパスラインから鋳片表面までの距離のi番目の測定値(mm)、nは2以上の任意の整数である。
図3に、水柱超音波センサーを使用して、鋳片10の鋳造方向における鋳片厚みの変動量を測定する方法を模式的に示す。図3(A)に示すように、基準位置から水柱超音波センサー16の先端位置までの距離をx、基準位置から上面側の鋳片支持ロール6の中心までの距離をy、鋳片支持ロール6の半径をdとすると、「Lo=y+d−x」として基準距離(Lo)が一義的に定められる。つまり、基準距離(Lo)は仮想した鋳片10の表面までの距離となる。鋳造中は、図3(B)に示すように、水柱超音波センサー16により距離(Li)を鋳造方向に100mm以下の間隔で測定し、測定される距離(Li)と基準距離(Lo)との差(Zi=Lo−Li)の絶対値を、ロールパスラインに対する、鋳片10の鋳造方向における厚み変動量として測定する。図3における2本の破線は上面側及び下面側のロールパスラインとなる。
図3は、鋳片10の上面側の鋳片厚みの変動量を測定する模式図であり、鋳片10の下面側も上記と同一の方法で鋳造方向における鋳片厚みの変動量を測定する。但し、垂直曲げ型のスラブ連続鋳造機1においては、鋳片表面に残留する冷却水に起因して、鋳片上面側で鋳造方向における鋳片厚みの変動量が大きくなりやすく、したがって、このような場合には、鋳片10の上面側だけで鋳片厚みの変動量を測定しても問題ない。
試験鋳造により得られた鋳片10aに対し、鋳片厚み中心部の試験片を鋳片全幅において切り出し、EPMA(Electron Probe Micro Analyzer)で鋳片のMn濃度を定量分析し、各位置におけるMn偏析度を求め、鋳片幅方向におけるMn偏析度の分布を測定した。このMn偏析度の値を鋳片幅方向で平均し、この平均値を「Mn偏析度の鋳片幅方向の平均値」とした。ここで、Mn偏析度は、鋳片厚みの中心に直角な方向でEPMAを走査し、そのときのMn濃度が最も高い値(Mni)と、当該鋳片に対応する溶鋼から採取した試料のMn分析値(Mno)との比(Mni/Mno)で定義される。
図4に、鋳片10の鋳造方向における鋳片厚みの変動量と、Mn偏析度の鋳片幅方向の平均値との関係を調査した結果を示す。図4からも明らかなように、鋳造方向における鋳片厚みの変動量が小さいほど、Mn偏析度の鋳片幅方向の平均値が小さくなることがわかった。
本発明者らは、水素誘起割れを低減するためには、Mn偏析度の鋳片幅方向の平均値を1.025以下にする必要があることを経験的に確認しており、したがって、図4に示すデータから、水素誘起割れを防止するためには、軽圧下帯直前における鋳片10の鋳造方向における鋳片厚みの変動量、つまり、軽圧下帯14に導入される鋳片10の鋳造方向における鋳片厚みの変動量を0.10mm以下に制御する必要のあることが確認できた。
鋳片10の鋳造方向における鋳片厚みを変動させる原因の1つとして、鋳片10のロール間バルジングが挙げられる。鋳片10のロール間バルジングとは、内部に未凝固層12を有する鋳片10が、溶鋼静圧によって鋳造方向に隣り合う鋳片支持ロールの間でバルジングする現象である。但し、ロール間バルジングの場合には、下流側に隣り合って設置される鋳片支持ロール6により、鋳片10は所定の厚みに戻されるので、意図的バルジング帯15のように鋳片厚みが徐々に増大することはない。
ロール間バルジングを低減する手段として、二次冷却帯での比水量を増加させ、凝固シェル11の厚みを増加させる方法が知られている。しかしながら、二次冷却帯での比水量を増加させると鋳片幅方向で冷却ムラが生じ、凝固完了位置13の鋳片幅方向におけるバラツキが大きくなる。また更に、過剰な二次冷却水は鋳造方向の熱収縮のバラツキを発生させ、逆に、鋳片10の鋳造方向における鋳片厚みの変動量を増加させてしまう懸念がある。つまり、鋳片10の中心偏析を軽減する観点からは、比水量を増加させる方法は、好ましいとはいえない。尚、比水量とは、スラブ連続鋳造機1の二次冷却帯の全域において、1kgの鋳片を冷却するのに要する二次冷却水の水量という意味である。
そこで、モールドパウダーの結晶化温度と、鋳片10の鋳造方向における鋳片厚みの変動量との関係を調査した。図5に、モールドパウダーの結晶化温度と鋳片10の鋳造方向における鋳片厚みの変動量との関係を調査した結果を示す。尚、図5に示すモールドパウダーの塩基度は全て1.00である。モールドパウダーの結晶化温度の調整は、モールドパウダー中の成分を調整することで行った。
図5に示すように、使用するモールドパウダーの結晶化温度が1050℃以上1150℃以下の場合に、鋳片10の鋳造方向における鋳片厚みの変動量が0.10mm以下に減少することが確認できた。これは、モールドパウダーの結晶化温度が高くなりすぎると、鋳型5での抜熱が小さくなりすぎ、鋳型出口以降での凝固シェル11の厚みが薄くなりロール間でのバルジングが増加し、一方で、モールドパウダーの結晶化温度が低くなりすぎると、鋳型5での抜熱量が大きくなりすぎ、鋳造方向で凝固シェル11の厚みが不均一となり、ロール間バルジングを助長してしまうと考えられる。
また更に、モールドパウダーの塩基度が0.95未満の場合、及び、1.05超えの場合には、モールドパウダーの鋳片10からの剥離性が悪くなり、二次冷却を阻害することから、凝固シェル11の成長が遅れ、その結果、鋳片10のロール間バルジングが増加してしまうことがわかった。したがって、モールドパウダーの塩基度は0.95以上1.05以下に調整する必要があることがわかった。
即ち、鋳片10に付与する実際の圧下速度を0.3〜1.0mm/minの範囲に制御し、且つ、軽圧下帯14に導入する時点の鋳片10の鋳造方向における厚みの変動量を0.10mm以下に制御することで、鋳片幅方向の偏析度の平均値を低減することができることがわかった。
しかしながら、偏析に対して厳格な鋼材では、鋳片幅方向の偏析度の平均値が良好であっても、鋳片幅方向に1箇所でも偏析の悪い部分があると、その鋳片は使用できない場合がある。したがって、鋳片幅方向の偏析度の平均値を低減すると同時に、偏析度の鋳片幅方向のバラツキも低減する必要がある。
本発明者らは、更なる研究・検討を続け、その結果、凝固完了位置13の鋳片幅方向におけるバラツキと、偏析度の鋳片幅方向におけるバラツキとに、極めて強い相関があることを見出した。
図6に、凝固完了位置13の鋳片幅方向における形状と、Mn偏析度の鋳片幅方向における分布との関係を調査した結果の例を示す。この例を示す鋳片10には、0.3〜1.0mm/minの圧下速度が付与され、且つ、軽圧下帯14に導入される時点での鋳片10の鋳造方向における厚みの変動量が0.10mm以下に制御されたものである。
図6に示すように、凝固完了位置13が鋳造方向下流側に伸張した部分で、Mn偏析度が悪化することが確認できた。この鋳片は、前述したように、圧下速度が適正範囲で、且つ、軽圧下帯14に導入される時点での鋳片厚みの変動量が0.10mm以下に制御されており、Mn偏析度の鋳片幅方向の平均値は1.023であり、水素誘起割れが軽減されるMn偏析度の平均値(1.025)以下であった。
しかしながら、最短の凝固完了位置13と最長の凝固完了位置13とで、鋳造方向に約2.8mの差があり、凝固完了位置13の鋳片幅方向におけるバラツキが大きく、その形状に伴ってMn偏析度も変化し、凝固完了位置13が最も下流側となる位置でのMn偏析度は1.05を超えて悪化していた。この理由は、凝固完了位置13が下流側に延びている部分では、鋳片10のすでに凝固した他の部分が抵抗となり、圧下量が小さくなること、及び、マクロ的には各鋳片幅位置の液相は繋がっているので、上流側で凝固した部分から排出された濃化溶鋼が下流側に移動することによる。
Mn偏析度が1.05を超えた部分では、水素誘起割れが発生する可能性がある。上述したように、偏析に対して厳格な鋼材では、鋳片幅方向に1箇所でも偏析が悪化している部分があると、その用途に使用できない場合がある。これを防止するためには、偏析度の鋳片幅方向のバラツキを低減することが必要である。
偏析度の鋳片幅方向におけるバラツキと凝固完了位置13の鋳片幅方向におけるバラツキとの関係を調査するにあたり、凝固完了位置13の鋳片幅方向におけるバラツキの指標として、下記に定義される変動係数を採用した。
即ち、伝熱凝固計算によって算出される鋳片幅方向100mm以下の間隔での鋳片の表面温度または軸心温度の温度分布、或いは、オンラインで測定した鋳片幅方向100mm以下の間隔での鋳片の表面温度または軸心温度の温度分布に基づいて鋳片幅方向各位置での凝固完了位置13を算出し、算出される凝固完了位置13から凝固完了位置13の鋳片幅方向における分布を求め、求めた分布から凝固完了位置13の鋳片幅方向における平均値及び標準偏差を算出し、算出した平均値を算出した標準偏差で除算した値を、凝固完了位置13の鋳片幅方向での変動係数と定義した。
この変動係数を凝固完了位置13の鋳片幅方向におけるバラツキの指標として採用した理由は、標準偏差を指標とした場合には、凝固完了位置13の鋳片幅方向における平均値が大きいと、バラツキが小さくても標準偏差の値は大きくなってしまい、指標として適切でなく、従って、平均値を標準偏差で除算した変動係数をバラツキの指標として採用した。但し、凝固完了位置13の鋳片幅方向におけるバラツキの指標は、上記変動係数以外の指標であっても、正確なバラツキを示す指標であれば問題はない。
また、上記変動係数は軽圧下帯14における軽圧下を鋳片幅方向で均一に行うことを目的とするものであり、したがって、当然ではあるが、考慮するべき凝固完了位置13は軽圧下帯以降で凝固完了する部分であり、軽圧下帯14に入るまでに凝固完了した部分は含まない。
その結果、鋳片10に実際に付与される圧下速度を0.3〜1.0mm/minに制御し、軽圧下帯直前の位置での鋳片厚みの変動量を0.10mm以下に制御した場合、軽圧下帯14の入り口で求められる、凝固完了位置13の鋳片幅方向での変動係数が0.03以下であれば、鋳片幅方向の偏析度のバラツキが低減され、全ての鋳片幅位置で水素誘起割れが発生しないことが判明した。
以下、凝固完了位置13の鋳片幅方向での変動係数を0.03以下に制御する手段について説明する。
本発明者らは、鋳片引き抜き速度及び二次冷却水量を変更して、二次冷却帯における鋳片幅方向の冷却水量密度分布の標準偏差(σSP、単位=L/m2/s)と、鋳片引き抜き速度(Vc、単位=m/min)との比(σSP/Vc、単位=(L×min)/(m3×s))を変化させて鋳造した。その際に、鋳片10に超音波を透過し、伝播時間を測定することで、鋳片幅方向における凝固完了位置13を測定した。そのときの比(σSP/Vc)と凝固完了位置13の鋳片幅方向での変動係数との関係を図7に示す。ここで、二次冷却帯における鋳片幅方向の冷却水量密度分布とは、二次冷却帯における各スプレーノズルの配置及び各スプレーノズルからの冷却水の噴射量から鋳片幅方向に10mm以下の間隔毎に算出される単位面積及び単位時間あたりの冷却水の噴射量を鋳造方向で平均した値である。
図7に示すように、凝固完了位置13の鋳片幅方向での変動係数を0.03以下に制御するためには、比(σSP/Vc)を2.5以下する必要があることがわかる。比(σSP/Vc)を低減するには標準偏差(σSP)を低減するか、鋳片引き抜き速度(Vc)を増加させる必要があるが、必要以上に鋳片引き抜き速度(Vc)を増加させると、凝固完了位置13が軽圧下帯14に入らなくなるので、凝固完了位置13が軽圧下帯14に入る前提で、二次冷却水量や鋳片引き抜き速度(Vc)を決定する必要がある。尚、鋳片幅方向における凝固完了位置13の中で最も鋳造方向下流側の位置が軽圧下帯14に入るように二次冷却の水量を決定するにあたり、比(σSP/Vc)を2.5以下とすることが可能な鋳片引き抜き速度(Vc)を採用すれば、鋳片10の内部品質を維持しながら最大の生産性が達成される。
上記説明は、凝固完了位置13が軽圧下帯14の範囲内に入るように制御して連続鋳造する場合を例にしているが、本発明において、軽圧下帯14の出口における鋳片10の厚み中心部の固相率が0.7以上であれば問題ない。一方、軽圧下帯14の入り口における鋳片10の厚み中心部の固相率は0.3以下に制御する必要がある。つまり、軽圧下帯14では、鋳片厚み中心部の固相率が少なくとも0.3の時点から0.7の時点に至るまで圧下力を鋳片10に付与することが必要である。
これは、鋳片厚み中心部の固相率が0.3を超えてから圧下を開始しても、それ以前に濃化溶鋼の流動が発生する可能性があり、これにより中心偏析が発生し、軽圧下による効果を十分に得ることができない。また、溶鋼の流動は、鋳片厚み中心部の固相率が0.7未満で発生する可能性があり、固相率が0.7未満の状態で圧下を停止してしまうと、濃化溶鋼の流動が発生し、これにより中心偏析が発生して軽圧下による効果を十分に得ることができない。
鋳片厚み中心部の固相率は、液相線クレータエンド位置を求める場合と同様に、伝熱凝固計算によって求めることができる。ここで、固相率とは、凝固開始前を固相率=0、凝固完了時を固相率=1.0と定義されるものである。したがって、鋳片厚み中心部の固相率が1.0となる位置が凝固完了位置13(固相線クレータエンド位置)であり、液相線クレータエンド位置は、鋳片厚み中心部の固相率がゼロとなる最も下流側の位置に該当する。
本発明においては、軽圧下帯14における圧下総量が、意図的バルジング帯15におけるバルジング総量と同等かそれよりも小さくなるように調整する。また、軽圧下帯14に入る時点での鋳片厚み中心部の固相率が0.3以下になり、且つ、軽圧下帯14を出る時点での鋳片厚み中心部の固相率が0.7以上になるように、二次冷却水量、二次冷却の幅切り、鋳片引き抜き速度のうちの何れか1種または2種以上を調整する。鋳片厚み中心部の固相率の制御は、伝熱凝固計算などを用いて種々の鋳造条件での鋳片厚み中心部の固相率を予め求めておくことで、容易に行うことができる。ここで、「二次冷却の幅切り」とは、鋳片長辺面の両端部への冷却水の噴霧を中止することである。二次冷却の幅切りを実施することで、二次冷却は弱冷化され、一般的に、凝固完了位置13は鋳造方向下流側に延長される。
以上説明したように、本発明によれば、鋳片10に付与される実際の圧下速度を0.3〜1.0mm/minの範囲に制御し、且つ、軽圧下帯14に導入される鋳片10の鋳造方向における厚み変動量を0.10mm以下に制御するので、中心偏析による偏析度の鋳片幅方向における平均値を低減させることが実現される。また、冷却水量密度分布の標準偏差(σSP)と鋳片引き抜き速度(Vc)との比(σSP/Vc)を2.5以下に制御した場合には、凝固完了位置13の鋳片幅方向での変動係数が0.03以下に制御され、これにより、中心偏析による偏析度の鋳片幅方向におけるバラツキを低減させることが可能となり、鋳片幅方向における全ての箇所での偏析度を低減することが実現される。
低炭素アルミキルド鋼を、図1に示すスラブ連続鋳造機で連続鋳造する試験を行った。鋳片のサイズは、厚みが250mm、幅が2100mmで、鋳片引き抜き速度は1.1m/minとした。連続鋳造機の軽圧下帯は、鋳型内溶鋼湯面から19〜21mの第7セグメント、鋳型内溶鋼湯面から21〜23mの第8セグメント、鋳型内溶鋼湯面から23〜25mの第9セグメント、鋳型内溶鋼湯面から25〜27mの第10セグメントである。つまり、鋳型内溶鋼湯面から19〜27mの8mの範囲が軽圧下帯となっている。また、軽圧下帯の入り口における鋳片厚み中心部の固相率は、全ての試験で0.1〜0.2であり、軽圧下帯出口での鋳片中心部の固相率は0.9以上であった。
鋳造中、予め伝熱凝固計算によって求めた鋳片幅方向において最も下流側となる凝固完了位置がある軽圧下セグメントでのロール開度の変位を非接触のセンサーによって測定し、その結果から鋳片に付与される実際の圧下速度を求めた。また、第7セグメントの入り側のフレームに水柱超音波センサーを設置し、軽圧下帯に導入される鋳片の鋳造方向における厚み変動量を測定した。また更に、鋳片の各幅位置で縦波の超音波を透過させ、その伝播時間から鋳片厚み中心部の温度を求め、伝熱凝固計算による計算結果を参照して凝固完了位置の鋳片幅方向の分布を求めた。
試験では、意図的バルジング帯における総バルジング量、軽圧下帯における圧下勾配、使用するモールドパウダー、鋳型直下から鋳造方向へ10m下方位置までの二次冷却水量密度分布をそれぞれ変化させた。
鋳造後、鋳片から採取した試験片の断面(鋳片の縦断面に相当)をピクリン酸で腐食し、V偏析や逆V偏析の有無及び内部割れの有無を調査した。また、鋳片から採取した試験片において、鋳片厚み中心部のMnの偏析をEPMAにより分析し、鋳片幅方向各位置のMn偏析度を調査した。また更に、鋳片幅方向各位置から採取した試験片において、耐水素誘起割れ試験(HIC試験)を実施した。
表1に各試験鋳造のバルジング総量、実際の圧下速度、使用したモールドパウダーの物性値、鋳片の鋳造方向における厚み変動量、凝固完了位置の鋳片幅方向での変動係数、更に、試験片の腐食結果、Mn偏析度の鋳片幅方向における平均値、耐水素誘起割れ試験結果、合否判定を示す。
Figure 0005962625
表1に示したHIC結果は、水素誘起割れが発生した面積の割合(CAR)であり、鋳片全幅から採取した試験片のうちで、最もCARの高い値を代表値した。そして、鋳片幅方向で1箇所でもCARが2%以上の試験片があった場合は不合格とした。
本発明例1〜13は、バルジング総量、圧下速度、モールドパウダーの物性値が本発明の範囲内であり、且つ、比(σSP/Vc)及び凝固完了位置の鋳片幅方向での変動係数が本発明の好ましい範囲内であり、V偏析及び逆V偏析は観察されず、HIC試験も鋳片全幅において、CARが1%以下であり、全て合格となった。
本発明例14、15は、比(σSP/Vc)及び凝固完了位置の鋳片幅方向での変動係数が本発明の好ましい範囲を外れたものの、バルジング総量、圧下速度、モールドパウダーの物性値が本発明の範囲内であり、V偏析及び逆V偏析は観察されず、HIC試験も鋳片全幅において、CARが2%未満であり、全て合格となった。
一方で、比較例1では、バルジング総量が少ないので、セグメントの荷重が過大になり、ロール開度が拡大されて、鋳片に実際に付与された圧下速度が小さくなった。その結果、V偏析が観察され、HIC試験では、鋳片幅方向のいたるところで水素誘起割れが発生し、CARは最大で9.50%にも達した。
比較例2では、設定の圧下勾配が大きすぎたため、鋳片に実際に付与された圧下速度が過大となり、逆V偏析が観察された。また、HIC試験では、鋳片幅方向のいたるところで水素誘起割れが発生し、CARは最大で7.50%にも達した。
比較例3〜6では、鋳片に実際に付与された圧下速度は最適な範囲に入っていたが、モールドパウダーの物性値が最適な値ではなく、鋳片の鋳造方向における厚み変動量が0.10mmを超えていた。その結果、中心偏析が悪化し、HIC試験では、鋳片幅方向の数箇所で水素誘起割れが発生し、CARは最大で4〜7%に達し、全ての試験鋳造で不合格であった。
1 スラブ連続鋳造機
2 タンディッシュ
3 スライディングノズル
4 浸漬ノズル
5 鋳型
6 鋳片支持ロール
7 搬送ロール
8 鋳片切断機
9 溶鋼
10 鋳片
11 凝固シェル
12 未凝固層
13 凝固完了位置
14 軽圧下帯
15 意図的バルジング帯
16 水柱超音波センサー

Claims (3)

  1. 複数対の鋳片支持ロールのロール開度を鋳造方向下流側に向かって段階的に増加させて鋳片長辺面を3〜10mmのバルジング総量でバルジングさせ、その後、複数対の鋳片支持ロールのロール開度を鋳造方向下流側に向かって段階的に減少させた軽圧下帯において、鋳片厚み中心部の固相率が少なくとも0.3の時点から0.7の時点に至るまで、0.3〜1.0mm/minの圧下速度で且つ前記バルジング総量以下の圧下総量で鋳片長辺面を圧下して連続鋳造鋳片を製造する鋼の連続鋳造方法において、
    塩基度((質量%CaO)/(質量%SiO2))が0.95以上1.05以下で、且つ、結晶化温度が1050℃以上1150℃以下であるモールドパウダーを鋳型内に添加して鋳片を鋳造することにより、下記の(1)式で算出される値を鋳造方向における鋳片厚みの変動量と定義したとき、前記軽圧下帯に導入される鋳片の前記変動量を0.10mm以下に制御し、
    且つ、二次冷却帯における各スプレーノズルの配置及び各スプレーノズルからの冷却水の噴射量から鋳片幅方向に10mm以下の間隔毎に算出される単位面積及び単位時間あたりの冷却水の噴射量を鋳造方向で平均した値を、二次冷却帯における鋳片幅方向の冷却水量密度分布と定義したとき、
    少なくとも鋳型直下から鋳造方向へ10m下方位置までの前記冷却水量密度分布の標準偏差σ SP (L/m 2 /s)と鋳片引き抜き速度Vc(m/min)との比(σ SP /Vc)を2.5以下とすることを特徴とする、鋼の連続鋳造方法。
    Figure 0005962625
    但し、(1)式において、Aは、鋳造方向における鋳片厚みの変動量(mm)、Ziは、鋳造方向に100mm以下の間隔で測定する、鋳片支持ロールのロールパスラインから鋳片表面までの距離のi番目の測定値(mm)、nは2以上の任意の整数である。
  2. 伝熱凝固計算によって算出される鋳片幅方向100mm以下の間隔での表面温度または軸心温度の温度分布、或いは、オンラインで測定した鋳片幅方向100mm以下の間隔での表面温度または軸心温度の温度分布に基づいて鋳片幅方向各位置での凝固完了位置を算出し、算出される凝固完了位置から凝固完了位置の鋳片幅方向における分布を求め、求めた分布から凝固完了位置の鋳片幅方向における平均値及び標準偏差を算出し、算出した平均値を算出した標準偏差で除算した値を、凝固完了位置の鋳片幅方向での変動係数と定義したとき、
    鋳片の前記変動係数を0.03以下とすることを特徴とする、請求項に記載の鋼の連続鋳造方法。
  3. 軽圧下帯入り口における鋳片で、前記変動係数を0.03以下とすることを特徴とする、請求項に記載の鋼の連続鋳造方法。
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