JP5522324B1 - 鋼の連続鋳造方法 - Google Patents

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Abstract

鋳片を意図的にバルジングさせ、その後、未凝固層を有する鋳片を圧下して連続鋳造するにあたり、鋳片をブレークアウトさせることなく更には凝固シェルで内部割れを発生させることなくバルジングさせ、且つ、鋳片の中心偏析並びに厚み中心部近傍での正偏析を軽減する。
鋳片10の凝固シェル11の厚みが15mmに達するまでは鋳片支持ロール6のロール開度を鋳型直下での値と同一に設定し、その後、ロール開度を段階的に増加させて鋳片を3〜20mmのバルジング総量でバルジングさせ、その後、鋳造方向下流側に0.5〜5.0mの区間ではロール開度を一定に設定し、次いで、鋳片厚み中心部の固相率が0.2〜0.9の鋳片を、圧下速度と鋳造速度との積が0.3〜1.0mm・m/min2となる条件で圧下ロール7によって少なくとも1回圧下する。

Description

本発明は、鋳型から引き抜かれた鋳片をブレークアウトさせることなく更には内部割れを発生させることなく意図的にバルジングさせ、その後、未凝固層を有する連続鋳造中の鋳片を圧下して鋳片の中心偏析を軽減する方法に関する。
鋼の連続鋳造では、溶鋼を水冷鋳型内に注入して冷却(「一次冷却」と呼ぶ)し、鋳型内壁に凝固シェルを形成させている。そして、この凝固シェルを外殻とする鋳片を、鋳型下方に設置した多数の鋳片支持ロールで支持しつつ連続的に下方に引き抜いている。この引き抜き中に、スプレー冷却水などによって鋳片の表面を冷却(「二次冷却」と呼ぶ)し、鋳片の厚み中心部まで完全に凝固させた後に、鋳片を所定長さに切断し、鋼鋳片を製造している。
このようにして製造される鋼鋳片の厚み中心部には、中心偏析と呼ばれる内部欠陥が発生する場合がある。この中心偏析は、鋳片の最終凝固部、つまり厚み中心部に、炭素(C)、硫黄(S)、燐(P)、マンガン(Mn)などの溶質成分が濃化して発生するものである。鋳片の中心偏析は、最終製品である厚鋼板の靱性の低下や、厚鋼板を曲げ加工した後に溶接して製造される大径溶接鋼管の水素誘起割れの原因となることが知られている。
鋳片の中心偏析の生成機構は、次のように考えられている。即ち、鋳片の凝固の進行に伴って、鋳片の凝固組織であるデンドライト樹枝状晶の樹間に、分配の法則(Partition Law)に基づいて溶質成分が濃化する。これがデンドライト樹間に形成されるミクロ偏析である。凝固時の鋳片の収縮、または、バルジングと呼ばれる鋳片の膨れなどにより、鋳片の厚み中心部に空隙が形成されたり負圧が生じたりすると、この部分に溶鋼が吸引される。しかし、凝固末期の未凝固層には、十分な量の溶鋼が存在しないので、上記のミクロ偏析によって溶質成分の濃化した溶鋼が流動して鋳片の厚み中心部に集積し、集積した状態で凝固する。溶質成分の濃縮された溶鋼が集積して凝固するので、鋳片厚み中心部に溶質成分の濃化帯が形成される。この濃化帯が中心偏析であり、上記のミクロ偏析に対してマクロ偏析と呼ばれている。
鋳片の中心偏析の防止対策としては、溶質成分の濃化した、デンドライト樹間に存在する溶鋼(「濃化溶鋼」という)の移動を防止すること、並びに、濃化溶鋼の局所的な集積を防止することが効果的であり、これらの原理を利用した幾つかの中心偏析防止方法が提案されている。
そのなかで、連続鋳造機内において、未凝固層を有する凝固末期の鋳片を、凝固収縮量と熱収縮量との和に相当する程度の圧下総量及び圧下速度で、圧下ロール群(「軽圧下帯」という)によって徐々に圧下しながら鋳造する方法(「軽圧下」と呼ばれる)が広く行われている(例えば、特許文献1を参照)。ここで、圧下総量とは、圧下開始から圧下終了までの圧下量である。
この軽圧下方法は、デンドライト樹間に存在する濃化溶鋼の移動を防止することによって、中心偏析を防止する技術である。但し、凝固収縮量を若干上回る程度の圧下総量であることから、圧下力は弱い。つまり、軽圧下方法においては、圧下力が弱いことから、鋳片の凝固完了位置が鋳片幅方向で同一位置でないときには、すでに凝固完了した部位が圧下抵抗になり、圧下すべき未凝固の部位に圧下力が付与されないことが発生する。このような場合、圧下力が付与されない部分では中心偏析の改善効果は少ない。したがって、軽圧下方法であっても中心偏析を改善する効果には限界がある。
また、鋳片の中心偏析を改善する方法として、圧下ロール対によって、凝固収縮量と熱収縮量との和よりも遥かに大きな圧下総量で凝固末期の鋳片を圧下する方法も行われている(例えば、特許文献2を参照)。この方法は、上記の「軽圧下」に対して「大圧下」とも呼ばれている。
鋳片に大圧下を付与するためには、鋳片両端に位置する凝固の完了した鋳片短辺部も圧下しなければならず、大きな圧下力が必要となる。つまり、大きな圧下力を付与することから、大圧下法を通常の連続鋳造機に適用した場合には、圧下ロール対を支える支持枠体に撓みが発生し、充分な圧下効果が得られない場合が発生する。また、圧下ロールが曲がったり、折損したりするなどの設備上のトラブルにより、操業が困難になる場合も起こる。このような支持枠体の撓みや圧下ロール対の曲がりなどを防止するためには、連続鋳造設備を高い負荷荷重に耐え得る設備とする必要がある。この高負荷による問題は、軽圧下法において鋳片短辺を圧下するような圧下総量を大きくする場合にも、同様に発生する。
そこで、軽圧下法において、圧下総量を増大させ且つ圧下による連続鋳造機への負荷を緩和する、或いは、大圧下法において、連続鋳造機への負荷を緩和することを目的として、幾つかの提案がなされている。
例えば、特許文献3には、鋳片の中心部固相率が0.1以下の位置で鋳片を意図的にバルジングさせ、鋳片の幅方向中央部の厚みを鋳型内で生じる鋳片短辺部の厚みよりも20〜100mm厚くし、その後、凝固完了位置の直前にて少なくとも1つの圧下ロール対により、1つの圧下ロール対あたり20mm以上の圧下を与えてバルジング総量に相当する量を圧下し、中心偏析を防止する方法が提案されている。ここで、バルジング総量とは、意図的なバルジング開始から意図的なバルジング終了までのバルジング量である。
特許文献4には、鋳片の未凝固層の厚みが30mmになるまでの間に、鋳片の幅方向中央部の厚みを鋳片短辺部の厚みの10%〜50%相当の厚み分だけ意図的にバルジングさせ、その後、凝固完了位置までに少なくとも1つの圧下ロール対により、鋳片長さあたり80mm/m以上の圧下勾配で圧下を与えてバルジング総量に相当する量を圧下し、中心偏析を防止する方法が提案されている。
また、特許文献5には、意図的なバルジング開始時の鋳片の厚みの3%以上25%以下を位置的にバルジングさせた後、鋳片中心部固相率が0.2以上0.7以下の範囲の鋳片の任意の位置を、1つの圧下ロール対によってバルジング総量の30%以上70%以下に相当する厚みだけ圧下し、中心偏析を防止する方法が提案されている。
特開平8−132203号公報 特開平6−218509号公報 特開平9−57410号公報 特開平9−206903号公報 特開2000−288705号公報
上記特許文献3〜5は、バルジング総量に相当する量、或いは、それ以下の範囲内で鋳片を圧下しているので、鋳片の短辺部は圧下されることはなく、圧下による連続鋳造機への負荷は緩和される。しかしながら、特許文献3〜5には以下の問題がある。
即ち、特許文献3〜5では、鋳片を意図的にバルジングさせる場合に、バルジング前の鋳片の凝固シェルの厚みを規定しておらず、したがって、バルジング開始時期が早過ぎた場合には、凝固シェルの亀裂や膨らみに起因するブレークアウトの発生する危険性がある。また、特許文献3〜5では、鋳片を意図的にバルジングさせる際のバルジング付与速度を規定しておらず、したがって、急激にバルジングさせた場合には、バルジングする凝固シェルで内部割れが発生し、この内部割れが激しい場合には、ブレークアウトの危険性さえもある。
更に、特許文献3〜5では、バルジング領域と圧下領域とが連続鋳造機内で連続して設置されており、鋳片をバルジングさせた後に直ちに圧下することから、バルジングさせた鋳片の形状が安定せず、鋳片の部位によっては鋳片の厚み中心部に圧下力が伝わらずに中心偏析が改善しない場合も発生する虞がある。また更に、圧下時期や圧下総量が適切でない場合には、特許文献3〜5においても、鋳片の厚み中心部に溶質成分の中心偏析が発生したり、鋳片の厚み中心部近傍に溶質成分の正偏析が発生したりする。
本発明は上記事情に鑑みてなされたもので、第1の目的とするところは、鋳型から引き抜かれた鋳片を意図的にバルジングさせ、その後、鋳片の偏析を軽減するべく内部に未凝固層を有する鋳片を圧下して鋳片を連続鋳造するにあたり、鋳型から引き抜かれた鋳片をブレークアウトさせることなく更には鋳片の凝固シェルで内部割れを発生させることなく意図的にバルジングさせ、且つ、鋳片の中心偏析並びに鋳片の厚み中心部近傍での正偏析を軽減することのできる、鋼の連続鋳造方法を提供することである。
また、第2の目的は、鋳型から引き抜かれた鋳片を意図的にバルジングさせ、その後、鋳片の偏析を軽減するべく内部に未凝固層を有する鋳片を軽圧下帯で圧下して鋼鋳片を連続鋳造するにあたり、意図的にバルジングさせる際のバルジング総量を少なくすることができ、且つ、意図的バルジングでのバルジング総量及び軽圧下での圧下時期、圧下総量、圧下速度などを適正化することで、鋳片をブレークアウトさせることなく、鋳片の中心偏析を安定して軽減することのできる、鋼の連続鋳造方法を提供することである。
上記課題を解決するための本発明の要旨は以下のとおりである。
[1]連続鋳造用鋳型から引き抜かれた鋳片の凝固シェル厚みが少なくとも15mmに達するまでは鋳造方向に配列した鋳片支持ロールのロール開度を鋳型直下でのロール開度と同一に設定し、
その後、鋳片支持ロールのロール開度を鋳造方向下流側に向かって段階的に増加させて鋳片の長辺面を3〜20mmのバルジング総量でバルジングさせ、
バルジングさせた後、鋳造方向下流側に0.5〜5.0mの区間では、鋳片の厚みが変わらないように鋳片支持ロールのロール開度を一定に設定し、
次いで、鋳片厚み中心部の固相率が0.2〜0.9である鋳片の長辺面を、圧下速度と鋳造速度との積が0.3〜1.0mm・m/min2となる条件で圧下ロールによって少なくとも1回圧下する、鋼の連続鋳造方法。
[2]前記鋳片の長辺面をバルジングさせる際に、鋳造方向に配列された鋳片支持ロールのロール開度を鋳造方向1mあたり4.0mm以下の勾配で段階的に増加させる、上記[1]に記載の鋼の連続鋳造方法。
[3]複数対の鋳片支持ロールのロール開度を鋳造方向下流側に向かって段階的に減少させて、連続鋳造用鋳型から引き抜かれた横断面が矩形である鋳片の長辺面に、圧下速度と鋳造速度との積が0.3〜1.0mm・m/min2となる圧下力を付与し、この圧下力によって鋳片短辺の幅を前記鋳型下端での鋳片短辺幅よりも3〜20mm小さくし、
鋳片短辺幅を小さくした後、複数対の鋳片支持ロールのロール開度を鋳造方向下流側に向かって段階的に増加させて、鋳片の長辺面を3〜20mmのバルジング総量でバルジングさせ、
鋳片長辺面をバルジングさせた後、複数対の鋳片支持ロールのロール開度を鋳造方向下流側に向かって段階的に減少させた軽圧下帯において、鋳片厚み中心部の固相率が少なくとも0.2以下の時点から0.9以上になる時点まで、圧下速度と鋳造速度との積が0.3〜1.0mm・m/min2となる圧下力を鋳片長辺面に付与し、この圧下力によって前記バルジング総量と同等の圧下総量または前記バルジング総量よりも小さい圧下総量で鋳片長辺面を圧下する、鋼の連続鋳造方法。
[4]前記鋳片の凝固完了位置を、凝固完了位置検知装置を用いてオンラインで検知し、検知した凝固完了位置の情報に基づき、鋳片の厚み中心部の固相率が少なくとも0.2以下の時点から0.9以上になる時点までは、前記軽圧下帯に鋳片が位置するように、二次冷却水量、二次冷却の幅切り、鋳造速度のうちの何れか1種または2種以上を調整する、上記[3]に記載の鋼の連続鋳造方法。
上記[1]の発明によれば、鋳片の凝固シェル厚みが15mmを超えた以降に鋳片長辺面を意図的にバルジングさせるので、鋳片のブレークアウトを未然に防止することができる。また、鋳片をバルジングさせた後、鋳造方向下流側に0.5〜5.0mの区間では、鋳片の厚みが変わらないようにロール開度を設定するので、その間に、凝固シェルは平坦な形状となる。凝固シェルが平坦な形状となることから、その後に行う圧下時における圧下効率が向上し、鋳片の中心偏析並びに鋳片の厚み中心部近傍での正偏析を安定して軽減することが可能となる。
また、上記[2]の発明によれば、凝固シェルの変形強度が低い段階で、鋳片の短辺幅を鋳型下端寸法よりも狭めるので、意図的にバルジングさせる際のバルジング総量を少なく抑えることができる。これにより、鋳片のブレークアウトが防止され、且つ、鋳片の内部割れが抑制される。また、軽圧下の際には、軽圧下の時期及び圧下速度と鋳造速度との積を規定するので、鋳片の中心偏析を安定して軽減することができる。また更に、軽圧下帯では、鋳片両端の短辺部は圧下されず、少ない荷重で鋳片を圧下することができ、軽圧下帯を構成する設備への負荷が軽減される。また、鋳片短辺部は圧下されないので、鋳片短辺面が特に低温になりやすい連続鋳造操業の初期または末期の非定常鋳造域であっても、圧下力が鋳片内部に伝わり、非定常鋳造域部位の鋳片の中心偏析を従来に比較して大幅に改善することができる。当然ながら、定常鋳造域においては、従来と同様またはそれ以上に鋳片の中心偏析を改善することができる。
図1は、本発明の第1の実施形態で用いるスラブ連続鋳造機の概略断面図である。 図2は、本発明の第2の実施形態で用いる垂直曲げ型のスラブ連続鋳造機の側面概要図である。 図3は、第2の実施形態における鋳片支持ロールのロール開度のプロフィルの例を示す図である。 図4は、実施例1における横断面サンプルの採取位置及びEPMAによるマンガン(Mn)の分析位置を示す図である。
以下、添付図面を参照して本発明を具体的に説明する。先ず、本発明の第1の実施形態から説明する。図1は、本発明の第1の実施形態で用いるスラブ連続鋳造機の概略断面図である。
図1に示すように、スラブ連続鋳造機1には、溶鋼9が注入され、この溶鋼9を冷却して凝固させ、鋳片10の外殻形状を形成するための鋳型5が設置されている。この鋳型5の上方所定位置には、取鍋(図示せず)から供給される溶鋼9を鋳型5に中継供給するためのタンディッシュ2が設置されている。このタンディッシュ2の底部には、溶鋼9の流量を調整するためのスライディングノズル3が設置され、スライディングノズル3の下面には、浸漬ノズル4が設置されている。一方、鋳型5の下方には、ガイドロール6、圧下ロール7及びピンチロール8からなる複数対の鋳片支持ロールが配置されている。そして、鋳造方向に隣り合う、これらの鋳片支持ロールの間隙には、水スプレーノズル或いはエアーミストスプレーノズルなどのスプレーノズル(図示せず)が配置され、二次冷却帯が構成されている。鋳片10は、引き抜かれながら、二次冷却帯のスプレーノズルから噴霧される冷却水(「二次冷却水」ともいう)によって冷却されるように構成されている。
タンディッシュ2から鋳型5に注入された溶鋼9は、鋳型5で冷却されて凝固シェル11を形成する。この凝固シェル11を外殻とし、内部を未凝固層12とする鋳片10は、ガイドロール6に支持されながら且つ圧下ロール7によって圧下されながら、ピンチロール8によって鋳型5の下方に連続的に引き抜かれる。その間、鋳片10は二次冷却帯の二次冷却水で冷却され、凝固シェル11の厚みを増していく。
鋳片10が鋳型5を通り抜け、鋳片10の凝固シェル11の厚みが少なくとも15mmに達するまでは、ガイドロール6のロール開度を鋳型直下でのロール開度と同一に設定する。凝固シェル11の厚みは、鋳造条件を配慮した二次元伝熱凝固計算や、鋳片を透過する超音波の透過時間から凝固シェル厚みを測定するセンサーなどによって求める。鋳造条件などに起因して鋳片10の長辺面と短辺面とで凝固シェル11の厚みが異なる場合には、厚みの薄い方の凝固シェル11を対象とする。
鋳片10の凝固シェル11の厚みが15mmを超えた以降、鋳造方向に配列されたガイドロール6のロール開度を鋳造方向下流側に向かって段階的に増加させ、鋳片10の長辺面を3〜20mmのバルジング総量で、鋳片厚み方向に意図的にバルジングさせる。この場合、連続鋳造機の鋳造方向長さは限られているので、凝固シェル11の厚みが30mmに達するまでには、意図的なバルジングを開始することが好ましい。ここで、ロール開度とは、鋳片10を挟んで相対する鋳片支持ロール間の間隙距離であり、ロール間隔とも呼ばれる。尚、バルジング総量とは、意図的なバルジング開始から意図的なバルジング終了までの鋳片10のバルジング量である。
鋳片10の凝固シェル厚みが15mm以下の状態で鋳片10を意図的にバルジングさせると、凝固シェル11の強度が十分でなく、バルジングによる応力によって凝固シェル11に割れや亀裂が発生する。この凝固シェル11の割れや亀裂によってブレークアウトを生じる危険性もある。これに対して、本発明の第1の実施形態では、凝固シェル11の厚みが15mmを超えた後にバルジングさせるので、凝固シェル11の強度が確保され、凝固シェル11での割れや亀裂を未然に防止することができる。これにより、凝固シェル11の割れや亀裂に起因するブレークアウトは自ずと回避される。
ガイドロール6のロール開度を鋳造方向下流側に向かって段階的に増加させることで、鋳片10の長辺面は、内部に存在する未凝固層12の溶鋼静圧により、ガイドロール6のロール開度に倣ってバルジングする。一方、鋳片10の短辺面は、鋳片長辺面に比較して幅が狭い上に、温度が低く剛性の高いコーナー部(鋳片長辺面と鋳片短辺面との交差位置)に支持されていることから、ガイドロール6のロール開度を段階的に増加させても鋳片短辺面の形状はほとんど変化しない。同様に、鋳片10の長辺面の鋳片短辺面側も変化しない。鋳片10の長辺面では、鋳片短辺面よりも離れた、内部に未凝固層12を有する部位から長辺面中央部までの範囲でバルジングが発生する。
鋳片10の長辺面でバルジングが起こると、鋳片10の長辺面の鋳片短辺面側は変化しないので、鋳片10の長辺面の短辺面側はガイドロール6と接触しない状態となる。また、凝固シェル11の厚みの増加速度つまり凝固速度よりもバルジングによる鋳片厚み増加速度の方が速い場合には、バルジングによって未凝固層12の厚みが増加する。
この場合、バルジングに起因して凝固シェル11に作用する応力を少なくするために、つまり、凝固シェル11の内部割れや凝固シェル11の割れや亀裂に起因するブレークアウトを防止するために、ガイドロール6のロール開度を、鋳造方向下流側に向かって鋳造方向1mあたり4.0mm以下、望ましくは鋳造方向1mあたり1.0mm以下の勾配で徐々に増加させることが好ましい。これは、バルジングさせる際に、ガイドロールのロール開度が鋳造方向1mあたり4.0mm(以下、「4.0mm/m」と記す)を超えると、勾配が大き過ぎて鋳片10に内部割れが発生する虞があるが、4.0mm/m以下であれば、内部割れが防止される。
鋳片10をバルジングさせた以降、鋳造方向下流側に向かって0.5〜5.0mの区間では、バルジングさせた鋳片10の厚みが変わらないようにガイドロール6のロール開度を一定に設定する。その後、鋳片厚み中心部の固相率が0.2〜0.9である鋳片10を、圧下速度と鋳造速度との積が0.3〜1.0mm・m/min2となる条件で圧下ロール7によって鋳片厚み方向に少なくとも1回または複数回圧下する。この場合、圧下ロール7による圧下後の鋳片10の厚みは、バルジングさせる前の鋳片の厚みと同等かそれ以上とする。つまり、鋳片10の短辺面までも圧下されるような圧下は実施しない。
本発明の第1の実施形態では、鋳片10をバルジングさせた後、鋳造方向下流側に向かって0.5〜5.0mの区間では、バルジングさせた鋳片10の厚みが変わらないようにガイドロール6のロール開度を一定に設定するので、鋳片10のバルジングした部分の凝固シェル11の厚みが増大して、凝固シェル11が平坦な形状となり、その後に行う圧下時の圧下効率が向上する。
バルジングさせた後、ガイドロール6のロール開度を一定に設定する区間の長さが0.5m以上であるので、鋳片10のバルジングした部分の凝固シェル厚の成長が促進され、凝固シェル厚は平坦な形状となる。これにより、その後に行う圧下時には、鋳片幅方向で均一の圧下を行うことが可能となる。上記区間の長さが0.5m未満の場合には、短すぎてこの効果を得ることができない。一方、バルジングさせた後、ガイドロール6のロール開度を一定に設定する区間の長さが5m以下であるので、鋳片10のバルジングした部分の凝固シェル11の厚みは過剰に厚くならない。これにより、その後に行う圧下時の圧下効率が向上する。上記区間の長さが5mを超えると、凝固シェル11の厚みが増大しすぎ、圧下効率が低下する。
本発明の第1の実施形態において、意図的なバルジング総量を3〜20mmの範囲内とする理由は以下のとおりである。スラブ鋳片の厚みは200〜300mmが一般的であり、したがって、20mmを超えてバルジングさせた鋳片を圧下する場合は、過大な圧下設備を必要とし、設備費が高価になると同時に、内部割れの発生量が多くなる。これを防止するために、意図的なバルジング総量の上限値を20mmとする。一方、意図的なバルジング総量が3mm未満では、圧下できる厚み分が少なく、溶質成分の濃化した溶鋼を鋳造方向上流側に排出する効果が少ない。つまり、鋳片10の中心偏析の改善効果が少ない。したがって、鋳片10の中心偏析の改善効果を得るために、意図的なバルジング総量を3mm以上とする。
ここで、意図的なバルジング総量とは、具体的には、ガイドロール6のロール開度を鋳型直下でのロール開度と同一に設定した最下流のガイドロール6の位置での鋳片厚(D0)と、最上流の圧下ロール7に最も近いガイドロール6の位置での鋳片厚(D1)との差(=D1−D0)である。
本発明の第1の実施形態では、鋳片10をバルジングさせた後、鋳片厚み中心部の固相率が0.2〜0.9である鋳片10を、圧下ロール7によって1回または複数回圧下する。つまり、鋳片厚み中心部の固相率が0.2〜0.9の鋳片10を、圧下ロール7によって少なくとも1回圧下する(図1では2回の圧下を行っている)。ここで、固相率とは、凝固開始前を固相率=0、凝固完了時を固相率=1.0と定義されるものであり、鋳片厚み中心部の固相率は、二次元伝熱凝固計算によって算出することができる。
鋳片厚み中心部の固相率が0.2未満の鋳片10を圧下し、その後は圧下しない場合には、圧下直後の圧下位置での鋳片10の未凝固層12の厚みが厚いため、その後の凝固の進行ともに中心偏析が発生する。一方、鋳片厚み中心部の固相率が0.9となるまで圧下せず、鋳片厚み中心部の固相率が0.9を超えた鋳片10を圧下すると、凝固シェル11の厚みが厚くなり、圧下力が鋳片厚み中心部まで十分に伝わらず、溶質成分の濃化した溶鋼が排出されにくく、その結果、中心偏析の改善効果が少なくなる。また更に、鋳片厚み中心部の固相率が0.9を超えた鋳片10を圧下すると、鋳片10の厚み中心部近傍に溶質成分の正偏析が発生する。
本発明の第1の実施形態では、鋳片厚み中心部の固相率が0.2〜0.9の範囲内である鋳片10を圧下ロール7によって圧下するので、上記の問題は起こらず、鋳片10の中心偏析を安定して防止することができる。
本発明の第1の実施形態では、圧下速度と鋳造速度との積が0.3〜1.0mm・m/min2となる範囲で圧下ロール7によって鋳片10を厚み方向に圧下する。
圧下速度と鋳造速度との積が0.3mm・m/min2未満では、圧下後の圧下位置での鋳片10の未凝固層12の厚みが厚く、また、溶質成分の濃化したデンドライト樹間の溶鋼がデンドライト樹間から十分に排出されない。これにより、圧下後に中心偏析が発生する。一方、圧下速度と鋳造速度との積が1.0mm・m/min2を超えると、デンドライト樹間の溶質成分の濃化した溶鋼のほとんど全てが絞り出されて鋳造方向の上流側に排出される。しかし、未凝固層12の厚みが薄いために、絞り出された濃化溶鋼は、圧下位置よりも鋳造方向やや上流側の鋳片厚み方向両側の凝固シェル11に捕捉される。これにより、鋳片10の厚み中心部近傍に溶質成分の正偏析が発生する。
本発明の第1の実施形態では、圧下速度と鋳造速度との積が0.3〜1.0mm・m/min2となる範囲で圧下するので、上記の問題は起こらず、鋳片10の中心偏析及び厚み中心部近傍の正偏析を安定して防止することができる。
鋳片10の中心偏析及び厚み中心部近傍の正偏析の発生防止に対する圧下の効果は、鋳片10の凝固組織にも影響される。つまり、鋳片厚み中心部の凝固組織が等軸晶の場合には、等軸晶間にセミマクロ偏析の原因となる濃化溶鋼が存在し、且つ圧下力が鋳片厚み中心部に伝わりにくく改善効果が少ない。したがって、鋳片10の凝固組織が柱状晶組織となるように鋳造条件を設定することが好ましい。
以上説明したように、本発明の第1の実施形態によれば、鋳片10の凝固シェル厚みが15mmを超えた以降に鋳片10をバルジングさせるので、鋳片10のブレークアウトを未然に防止することができる。また、鋳片10をバルジングさせた後、鋳造方向下流側に0.5〜5.0mの区間では、鋳片10の厚みが変わらないようにロール開度を設定するので、凝固シェル11は平坦な形状となる。凝固シェル11が平坦な形状となることから、その後に行う圧下時における圧下効率が向上し、鋳片10の中心偏析並びに鋳片10の厚み中心部近傍での正偏析を安定して軽減することが可能となる。
次に、本発明の第2の実施形態について説明する。図2は、本発明の第2の実施形態で用いる垂直曲げ型のスラブ連続鋳造機の側面概要図である。
図2に示すように、スラブ連続鋳造機21には、溶鋼31が注入され、この溶鋼31を冷却して凝固させ、横断面が矩形である鋳片32の外殻形状を形成するための鋳型25が設置されている。この鋳型25の上方所定位置には、取鍋(図示せず)から供給される溶鋼31を鋳型25に中継供給するためのタンディッシュ22が設置されている。このタンディッシュ22の底部には、溶鋼31の流量を調整するためのスライディングノズル23が設置され、このスライディングノズル23の下面には、浸漬ノズル24が設置されている。
一方、鋳型25の下方には、サポートロール26、ガイドロール27及びピンチロール28からなる複数対の鋳片支持ロールが配置されている。このうち、ピンチロール28は、鋳片32を支持すると同時に鋳片32を引き抜くための駆動ロールである。鋳造方向に隣り合う鋳片支持ロールの間隙には、水スプレーノズル或いはエアーミストスプレーノズルなどのスプレーノズル(図示せず)が配置され、二次冷却帯が構成されている。鋳片32は、引き抜かれながら、二次冷却帯のスプレーノズルから噴霧される二次冷却水によって冷却されるようになっている。
鋳片支持ロールの下流側には、鋳造された鋳片32を搬送するための複数の搬送ロール29が設置されている。また、この搬送ロール29の上方には、鋳造される鋳片32から所定の長さの鋳片32aを切断するための鋳片切断機30が配置されている。
鋳片32の凝固完了位置35を挟んで鋳造方向の上流側及び下流側には、軽圧下帯36が設置されている。軽圧下帯36は、対向するガイドロール27とのロール開度を鋳造方向下流側に向かって順次狭くなるように設定された、つまり、ロール勾配が施された、複数対のガイドロール群から構成されている。軽圧下帯36では、その全域または一部選択した領域で、鋳片32に軽圧下を行うことが可能である。軽圧下帯36の各ガイドロール間にも鋳片32を冷却するためのスプレーノズルが配置されている。尚、図2では、軽圧下帯36にはガイドロール27だけが配置されているが、ピンチロール28を配置しても構わない。軽圧下帯36に配置される鋳片支持ロールは「圧下ロール」とも呼ばれる。
また、鋳型25の下端から鋳片32の液相線クレータエンド位置との間に配置される鋳片支持ロールは、短辺幅狭化圧下帯37及び意図的バルジング帯38を構成している。短辺幅狭化圧下帯37では、ロール開度の縮小量が所定値となるまで、鋳造方向下流側に向かって1ロール毎または数ロール毎に順次ロール開度が狭くなるように、各鋳片支持ロールが設定されている。意図的バルジング帯38では、ロール開度の拡大量が所定値となるまで、鋳造方向下流側に向かって1ロール毎または数ロール毎に順次ロール開度が広くなるように、各鋳片支持ロールが設定されている。ここで、意図的バルジング帯38は短辺幅狭化圧下帯37の下流側に設置されている。
この意図的バルジング帯38の下流側に設置される鋳片支持ロールは、ロール開度が一定値または鋳片32の温度降下に伴う収縮量に見合う程度に狭められ、下流側の軽圧下帯36につながっている。
本発明の第2の実施形態において、短辺幅狭化圧下帯37及び意図的バルジング帯38を、鋳型25の下端から鋳片32の液相線クレータエンド位置との間に配置する理由は、以下のとおりである。即ち、鋳片32の液相線クレータエンド位置よりも鋳造方向上流側は、鋳片厚み中心部は全て液相であり、鋳片32の凝固シェル33は温度が高く、変形抵抗が小さい。したがって、圧下することで鋳片短辺の幅狭化を容易に行うことができる。また、鋳片32を意図的にバルジングさせる場合、鋳片32の内部に存在する未凝固層34が少ない時点でバルジングさせると、中心偏析は却って悪化する。しかし、鋳片32の液相線クレータエンド位置よりも鋳造方向上流側でバルジングさせた場合には、この時点では、溶質元素の濃化されていない初期濃度の溶鋼が鋳片内部に潤沢に存在し、且つ、この溶鋼が容易に流動する。この溶鋼が流動しても偏析は起こらず、したがって、この時点におけるバルジングは中心偏析の原因とはならない。
尚、鋳片32の液相線とは、鋳片32の化学成分によって決まる凝固開始温度であり、例えば、下記の(1)式から求めることができる。
TL=1536-(78×[%C]+7.6×[%Si]+4.9×[%Mn]+34.4×[%P]+38×[%S]+4.7×[%Cu]+3.1×[%Ni]+1.3×[%Cr]+3.6×[%Al])…(1)
但し、(1)式において、TLは液相線温度(℃)、[%C]は溶鋼の炭素濃度(質量%)、[%Si]は溶鋼の珪素濃度(質量%)、[%Mn]は溶鋼のマンガン濃度(質量%)、[%P]は溶鋼の燐濃度(質量%)、[%S]は溶鋼の硫黄濃度(質量%)、[%Cu]は溶鋼の銅濃度(質量%)、[%Ni]は溶鋼のニッケル濃度(質量%)、[%Cr]は溶鋼のクロム濃度(質量%)、[%Al]は溶鋼のアルミニウム濃度(質量%)である。
鋳片32の液相線クレータエンド位置は、二次元伝熱凝固計算により求められる鋳片内部の温度勾配と、(1)式で定まる液相線温度とを照らし合わせることで求めることができる。また、鋳造中の鋳片32の厚み中心部に既知の溶融点の金属製のピンを打ち込み、金属製ピンの溶融状態を調べることからも、液相線クレータエンド位置を求めることができる。
鋳片32の液相線クレータエンド位置は、上記のように、正確には二次元伝熱凝固計算によって求めることができる。但し、鋳型内溶鋼湯面から軽圧下帯36の入側までの距離をLとすると、凝固完了位置35が軽圧下帯36に存在する鋳造条件であるならば、鋳型内溶鋼湯面からの距離がL×2/3の範囲内は、液相線クレータエンド位置よりも上流側であることが二次元伝熱凝固計算結果から明らかである。したがって、例えば図2に示すように、二次冷却帯の上部側に短辺幅狭化圧下帯37及び意図的バルジング帯38を配置すればよい。
短辺幅狭化圧下帯37及び意図的バルジング帯38は、特別な機構は不要であり、ロール開度を調整するだけで構成されるので、鋳型25の下端から鋳片32の液相線クレータエンド位置との範囲である限り、任意の位置に設置することができる。但し、短辺幅狭化圧下帯37を意図的バルジング帯38の鋳造方向上流側に設置することが必要である。
図3に、第2の実施形態における鋳片支持ロールのロール開度のプロフィルの例を示す。図3に示す例は、鋳型下端での厚みが250mmの鋳片を短辺幅狭化圧下帯37で245.2mmに圧下し、つまり、4.8mmの圧下総量で鋳片短辺幅(鋳片厚みと同一意味)を245.2mmへと狭くし、次いで、意図的バルジング帯38で鋳片長辺面をバルジングさせて鋳片長辺面の中央部の厚みを254.4mmとし(バルジング総量=9.2mm)、その後、軽圧下帯36で鋳片長辺面の中央部の厚みを245.4mmとなるまで圧下(圧下総量=9.0mm)するという例である。尚、圧下総量とは、圧下開始から圧下終了までの鋳片32の圧下量である。
即ち、短辺幅狭化圧下帯37では、鋳片支持ロールのロール開度を鋳造方向下流側に向かって順次狭くすることにより、鋳片32の短辺は圧下されて鋳片短辺の厚みは薄くなる。つまり、鋳片短辺幅は狭くなる。また、意図的バルジング帯38では、鋳片支持ロールのロール開度を鋳造方向下流側に向かって順次広くすることにより、鋳片32の短辺近傍を除く長辺面は、未凝固層34による溶鋼静圧によって鋳片支持ロールに倣って意図的にバルジングさせられる。鋳片長辺面の短辺近傍は、凝固の完了した鋳片短辺面に固持されることから、意図的バルジングを開始した時点の厚みを維持している。したがって、鋳片32は、意図的なバルジングによって鋳片長辺面のバルジングした部分のみが鋳片支持ロールに接触することになる。また、軽圧下帯36では、鋳片長辺面のバルジングした部分のみが圧下されることになる。
本発明の第2の実施形態において、短辺幅狭化圧下帯37では、短辺幅狭化のための圧下総量を3mm以上20mm以下とする。短辺幅狭化のための圧下総量を3mm以上20mm以下とすることで、その後の意図的なバルジング総量を大きくする必要がなく、また、鋳片短辺面での表面割れを防止することができる。圧下総量が3mm未満では、鋳片短辺の幅狭め量が少なく、その後の意図的なバルジング総量を大きくする必要があり、その場合、バルジング過大による鋳片32に内部割れの虞がある。一方、短辺幅狭化のための圧下総量が20mmを超えると、鋳片短辺面における圧縮歪が大きくなり、鋳片短辺面で表面割れが発生してブレークアウトを誘発する虞がある。
また、短辺幅狭化圧下帯37では、圧下速度と鋳造速度との積が0.3〜1.0mm・m/min2の範囲内となる圧下力を作用させることが必要である。圧下速度と鋳造速度との積の値が0.3mm・m/min2未満であると、所定量の圧下を完了するまでの距離が長くなってしまい、短辺幅狭化圧下帯37の長さを長くする必要があり、その後の意図的バルジング帯38の設置長さが確保できなくなる。一方、前記積の値が1.0mm・m/min2を超えると、急激な圧下となり、鋳片支持ロールに耐荷重以上の負荷が掛かり、設備破損を招くのみならず、鋳片32に内部割れを誘発する。
尚、短辺幅狭化圧下帯37における圧下速度は、鋳片支持ロールのロール開度を鋳造方向下流側に向かって順次狭くしたときのロール勾配(mm/m)と、鋳造速度(m/min)との積で表される。軽圧下帯36における圧下速度も、軽圧下帯36のロール勾配(mm/m)と鋳造速度(m/min)との積で表される。
意図的バルジング帯38では、バルジング総量を3〜20mmとする。バルジング総量が3mm未満では、次の軽圧下帯36で鋳片32の短辺部を圧下しないことを前提とすると、軽圧下帯36における圧下可能な量が少なく、鋳片32に対して中心偏析の改善効果が不十分になる虞がある。したがって、鋳片32の中心偏析の改善効果を得るために、意図的なバルジング総量を3mm以上とする。一方、意図的なバルジング総量が20mmを超えると、バルジングによる歪によって鋳片32に内部割れを誘発する虞がある。したがって、鋳片32の内部割れを防止するために、意図的なバルジング総量を20mm以下とする。
尚、意図的バルジング帯38において、1ロールあたりのロール開度の拡大量は、1.5mm以下とすることが好ましい。これは、鋳片長辺面のバルジングする部位とバルジングしない部位との境界位置における亀裂発生を防止するためである。
軽圧下帯36では、鋳片厚み中心部の固相率が0.2以下の時点から圧下を開始し、鋳片厚み中心部の固相率が0.9以上となる時点まで圧下を継続する。これは、鋳片厚み中心部の固相率が0.2を超えてから圧下を開始しても、それ以前に濃化溶鋼の流動が発生する可能性があり、これにより中心偏析が発生し、軽圧下による効果を十分に得ることができない。また、溶鋼の流動は、固相率が0.9となるまで発生する可能性があり、それよりも早期に圧下を停止してしまうと、濃化溶鋼の流動が発生し、これにより中心偏析が発生して、軽圧下による効果を十分に得ることができない。少なくとも、鋳片厚み中心部の固相率が0.2の時点から0.9の時点までを軽圧下することで、鋳片32の中心偏析を確実に防止することができる。
鋳片厚み中心部の固相率は、液相線クレータエンド位置を求める場合と同様に、二次元伝熱凝固計算によって求めることができる。ここで、固相率とは、凝固開始前を固相率=0、凝固完了時を固相率=1.0と定義されるものである。したがって、鋳片厚み中心部の固相率が1.0となる位置が凝固完了位置35(固相線クレータエンド位置)であり、液相線クレータエンド位置は、鋳片厚み中心部の固相率がゼロとなる最も下流側の位置に該当する。
また、鋳片厚み中心部の固相率は、凝固完了位置35をオンラインで検知することのできる、横波超音波または縦波超音波を用いた凝固完了位置検知装置によっても求めることができる。この凝固完了位置検知装置は、横波超音波または縦波超音波を鋳片32に透過させ、これら超音波の鋳片32での伝播時間に基づいて凝固完了位置35をオンラインで検知するという装置である。
具体的には、前記凝固完了位置検知装置によって凝固完了位置35の正確な位置を求め、求めた凝固完了位置35を基準とし、二次元伝熱凝固計算などの手法を併用して鋳片厚み中心部の鋳造方向の固相率を求めるという方法である。また、横波超音波は液相を通過しないという性質を利用して凝固完了位置35を検知する凝固完了位置検知装置によっても、鋳片厚み中心部の固相率を求めることができる。つまり、凝固完了位置35が、横波超音波センサーの設置位置と一致したことに基づき、この凝固完了位置35を基準とし、二次元伝熱凝固計算などの手法を併用して鋳片厚み中心部の鋳造方向の固相率を求めるという方法である。
したがって、本発明の第2の実施形態を実施するスラブ連続鋳造機21の軽圧下帯36の出側近傍には、図2に示すように、凝固完了位置検知装置の一部を構成する超音波送信センサー39及び超音波受信センサー40が配置されていることが好ましい。凝固完了位置検知装置は、その他の構成装置として、超音波送信センサー39へ信号を発信する発信部や、超音波受信センサー40が受信した受信信号に基づき計算式などを用いて鋳片32の凝固完了位置35を求める凝固完了位置演算部などで構成されるが、図2ではそれらを省略している。超音波を利用した凝固完了位置検知装置としては、横波超音波または縦波超音波の鋳片32での伝播時間から凝固完了位置35を求める方式の装置や、横波超音波が液相を通過しないことを利用して凝固完了位置35を求める方式の装置があり、凝固完了位置35を求めることができる限り、どちらの方式の凝固完了位置検知装置を用いても構わない
また、本発明の第2の実施形態においては、鋳片32の中心偏析及び厚み中心部近傍の正偏析を防止するために、軽圧下帯36における圧下速度と鋳造速度との積が0.3〜1.0mm・m/min2の範囲内となる圧下力を鋳片32に付与する。軽圧下帯36における圧下速度と鋳造速度との積が0.3mm・m/min2未満では、単位時間あたりの圧下量が凝固収縮量に対して小さく、軽圧下による中心偏析の低減効果が十分でない。一方、軽圧下帯36における圧下速度と鋳造速度との積が1.0mm・m/min2を超えると、単位時間あたりの圧下量が大きくなりすぎ、未凝固溶鋼が上流側に絞り出され、鋳片中心部に負偏析(溶質濃度が周囲よりも低い状態)が生成する虞がある。
タンディッシュ22から浸漬ノズル24を介して鋳型25に注入された溶鋼31は、鋳型25で冷却されて凝固シェル33を形成する。この凝固シェル33を外殻とし、内部に未凝固層34を有する鋳片32は、鋳型25の下方に設けたサポートロール26、ガイドロール27及びピンチロール28に支持されつつ、鋳型25の下方に連続的に引き抜かれる。鋳片32は、これらの鋳片支持ロールを通過する間、二次冷却帯の二次冷却水で冷却され、凝固シェル33の厚みを増大させる。そして、鋳片32は、短辺幅狭化圧下帯37では鋳片厚みを減少させ、一方、意図的バルジング帯38では鋳片長辺面の短辺側端部を除いた部分の厚みを増大させ、更に、軽圧下帯36では軽圧下されながら凝固完了位置35で内部までの凝固を完了する。凝固完了後の鋳片32は、鋳片切断機30によって切断されて鋳片32aとなる。
そして、本発明の第2の実施形態では、軽圧下帯36における圧下総量が、意図的バルジング帯38におけるバルジング総量と同等かそれよりも小さくなるように調整する。また、軽圧下帯36に入る時点での鋳片厚み中心部の固相率が0.2以下になり、且つ、軽圧下帯36を出る時点での鋳片厚み中心部の固相率が0.9以上になるように、二次冷却水量、二次冷却の幅切り、鋳造速度のうちの何れか1種または2種以上を調整する。鋳片厚み中心部の固相率の制御は、二次元伝熱凝固計算などを用いて種々の鋳造条件での凝固シェル33の厚み並びに鋳片厚み中心部の固相率を予め求めておくことで、容易に行うことができる。また、凝固完了位置検知装置を用いて鋳片厚み中心部の固相率をオンラインで求めることでも、鋳片厚み中心部の固相率を容易に制御することができる。ここで、「二次冷却の幅切り」とは、鋳片長辺面の両端部への冷却水の噴霧を中止することである。二次冷却の幅切りを実施することで、二次冷却は弱冷化され、一般的に、凝固完了位置35は鋳造方向下流側に延長される。
以上説明したように、本発明の第2の実施形態によれば、凝固シェル33の変形強度が低い段階で、一旦、鋳片長辺面を圧下して鋳片32の短辺幅を鋳型下端寸法よりも3〜20mm狭めるので、意図的にバルジングさせる際のバルジング総量を少なく抑えることができ、これにより、鋳片32の内部割れを防止することができる。また、軽圧下の際には、軽圧下の時期及び圧下速度と鋳造速度との積を規定するので、鋳片32の中心偏析を安定して軽減することができる。
尚、図2に示す連続鋳造機は垂直曲げ型連続鋳造機であるが、湾曲型連続鋳造機であってもまた垂直型連続鋳造機であっても、上記と同様に本発明の第2の実施形態を適用することができる。また、鋳片32の中心偏析に対する軽圧下の効果は、鋳片32の凝固組織にも影響される。具体的には、鋳片32の厚み中心部の凝固組織が等軸晶の場合には、等軸晶間にセミマクロ偏析の原因となる濃化溶鋼が存在し、且つ、軽圧下による中心偏析改善効果が低下する。したがって、本発明の第2の実施形態においては、鋳片32の厚み中心部の凝固組織が柱状晶組織となるように鋳造条件を設定することが好ましい。
図1に示すスラブ連続鋳造機を用い、鋳片を意図的にバルジングさせた後に圧下する、本発明の第1の実施形態を適用する試験を実施した。鋳片の幅は2100mm、鋳片の厚みは、バルジング開始直前の厚み(D0)を250mmとした。また、鋳造速度は0.85〜1.2m/min、鋳片の二次冷却比水量は1.0〜2.0リットル/鋼−kgとした。意図的なバルジング総量は3.0mm〜21.0mmとした。バルジング直前の凝固シェル厚み、バルジングの際のロール開度の勾配、バルジング後の鋳片厚みを一定とする区間の鋳造方向長さ(ガイドロールのロール開度を一定に設定する区間)、並びに、圧下総量を種々変更して試験した。鋳造した鋼種は、炭素濃度が0.05〜0.08質量%の厚鋼板用鋼種である。
各試験において、定常鋳造状態に相当する部位の鋳片から、鋳造方向の長さ1000mmの全幅試験片を採取し、この全幅試験片から、厚み50mmの横断面サンプルを各1個切り出した。この横断面サンプルの幅中央部で鋳片の厚み方向にEPMA(Electron Probe Micro Analyzer)を用いてマンガン(Mn)の分析を行った。図4は、横断面サンプルの採取位置及びEPMAによるマンガンの分析位置を示す図である。EPMAによるマンガンの分析により、鋳片厚み中心部の中心偏析及び鋳片厚み中心部近傍の正偏析(溶質成分の濃度が初期濃度よりも高くなる偏析)や負偏析(溶質成分の濃度が初期濃度よりも低くなる偏析)を調査した。
横断面サンプルの各位置で測定されたマンガン分析値を、取鍋内溶鋼から採取した分析試料のマンガン濃度で除算した値(横断面サンプルの各位置でのマンガン濃度(質量%)/取鍋内溶鋼から採取した分析試料のマンガン濃度(質量%))を偏析度として定め、鋳片厚み方向での偏析度の分布を調査した。中心偏析及び鋳片厚み中心部近傍の正偏析のうちで高い値をその鋳片の偏析度とした。また、横断面サンプルのサルファープリント試験から内部割れの有無を調査した。
表1に試験条件及び調査結果を示す。尚、表1の備考欄には、本発明の第1の実施形態の範囲内の条件で行った試験を「本発明例」、それ以外を「比較例」と表示している。
Figure 0005522324
本発明例である試験番号1〜6では、中心偏析及び鋳片厚み中心部近傍の正偏析は発生せず、且つ、内部割れも発生しなかった。試験番号1〜6は、バルジング直前の凝固シェル厚み、バルジング総量、バルジング後の鋳片厚みを一定とする区間の鋳造方向長さ、圧下速度と鋳造速度との積、圧下時の鋳片厚み中心部の固相率の5つの全ての条件が本発明の第1の実施形態の範囲内であり、且つ、バルジングの際のロール開度の勾配も本発明の第1の実施形態の好適な範囲内であることによる。
試験番号7は、バルジングの際のロール開度の勾配が本発明の第1の実施形態の好適な範囲を外れており、軽微な内部割れが発生した。但し、バルジング直前の凝固シェル厚みが25mmと厚く、内部割れは軽微であった。その他の条件は本発明の第1の実施形態の範囲内であり、中心偏析及び鋳片厚み中心部近傍の正偏析は発生しなかった。
試験番号8は、バルジング後の鋳片厚みを一定とする区間の鋳造方向長さが本発明の第1の実施形態の範囲外であり、鋳片厚み中心部近傍に偏析度が1.090の正偏析が発生した。これは、バルジング後の鋳片厚みを一定とする区間の鋳造方向長さが短すぎることから、鋳片幅方向において均一の圧下を行うことができなかったことによる。
試験番号9は、バルジング直前の凝固シェル厚み、並びに、バルジング後の鋳片厚みを一定とする区間の鋳造方向長さが本発明の第1の実施形態の範囲外であり、内部割れが発生し、且つ、鋳片厚み中心部近傍に偏析度が1.085の正偏析が発生した。内部割れの発生は、バルジング直前の凝固シェル厚みが本発明の第1の実施形態の範囲外であることによる。また、正偏析の発生は、バルジング後の鋳片厚みを一定とする区間の鋳造方向長さが短すぎて、鋳片幅方向において均一の圧下を行うことができなかったことによる。
試験番号10は、バルジング直前の凝固シェル厚みが本発明の第1の実施形態の範囲外であり、且つ、バルジングの際のロール開度の勾配が本発明の第1の実施形態の好適な範囲外であるので、鋳片に内部割れが発生した。但し、その他の条件は本発明の第1の実施形態の範囲内であるので、中心偏析及び鋳片厚み中心部近傍の正偏析は発生しなかった。
試験番号11は、バルジング総量が本発明の第1の実施形態の範囲である20mmを超えたことから、鋳片に内部割れが発生した。また、圧下速度と鋳造速度との積が本発明の第1の実施形態の範囲よりも小さいことから、圧下の効果が得られず、鋳片厚み中心部近傍に偏析度が1.158の正偏析が発生した。
試験番号12は、鋳片厚み中心部の固相率が0.95のときに圧下した試験である。圧下時期が本発明の第1の実施形態の範囲外であるので、圧下の効果が得られなかった。その結果、鋳片厚み中心部近傍に偏析度が1.198の正偏析が発生した。但し、バルジング直前の凝固シェル厚み及びバルジング総量は本発明の第1の実施形態の範囲内であり、また、バルジングの際のロール開度の勾配も本発明の第1の実施形態の好適な範囲内であることから、内部割れは発生しなかった。
図2に示す構成のスラブ連続鋳造機を用い、本発明の第2の実施形態を適用して鋳造する試験を実施した(本発明例:試験番号21〜25)。鋳片の幅は2100mm、鋳片の厚みは、鋳型直下における厚みを250mmとし、炭素含有率が0.05〜0.08質量%の厚鋼板用スラブ鋳片を鋳造した。鋳造速度は0.85〜1.42m/min、鋳片の二次冷却比水量は1〜2リットル/鋼−kgとした。
短辺幅狭化圧下帯における圧下総量は3.0〜20.0mmとし、意図的バルジング帯におけるバルジング総量は、3.0〜20.0mmとし、また、軽圧下帯における圧下総量はバルジング総量と同等またはそれ以下とした。また、軽圧下終了時の鋳片厚み中心部の固相率は0.9以上とした。
また比較のために、短辺幅狭化圧下帯における圧下総量、意図的バルジング帯におけるバルジング総量、軽圧下帯における圧下速度と鋳造速度との積、軽圧下帯での圧下開示時期の何れか1つが本発明の範囲外となる試験も行った(比較例:試験番号26〜30)。
各鋳造試験において、定常の鋳造状態に相当する鋳片から、鋳造方向長さが1000mmの全幅試験片を採取し、この全幅試験片から、厚み50mmの横断面サンプルを各1個切り出し、この横断面サンプルの幅中央部で鋳片の厚み方向にEPMAを用いてマンガンの分析を行った。EPMAによるマンガンの分析により、鋳片厚み中心部の中心偏析及び鋳片厚み中心部近傍の正偏析(溶質成分の濃度が初期濃度よりも高くなる偏析)や負偏析(溶質成分の濃度が初期濃度よりも低くなる偏析)を調査した。
横断面サンプルの各位置で測定されたマンガン分析値(質量%Mn)を、鋳造前に取鍋内溶鋼から採取した分析試料のマンガン濃度(質量%Mn0)で除算した値(質量%Mn/質量%Mn0)を偏析度として定め、鋳片厚み方向での偏析度の分布を調査した。中心偏析及び鋳片厚み中心部近傍の正偏析のうちで高い値をその鋳片の偏析度とした。また、横断面サンプルのサルファープリント試験から内部割れの有無を調査した。表2に試験条件及び調査結果を示す。
Figure 0005522324
本発明例である試験番号21〜25では、鋳片厚み中心部の中心偏析及び鋳片厚み中心部近傍の正偏析は発生せず、且つ、内部割れも発生しなかった。
試験番号26は、短辺幅狭化圧下帯における圧下総量を本発明の第2の実施形態の範囲外の23.0mmとした試験である。その他の条件は本発明の第2の実施形態の範囲内であったが、短辺幅狭化圧下帯における圧下総量が大きすぎ、鋳片に内部割れが発生した。
試験番号27は意図的なバルジング総量を本発明の第2の実施形態の範囲外の30.0mmとした試験である。その他の条件は本発明の第2の実施形態の範囲内であったが、バルジング総量が大きすぎ、鋳片に内部割れが発生した。
試験番号28は、軽圧下時の圧下速度と鋳造速度の積を本発明の第2の実施形態の範囲外の0.2とした試験である。鋳片に内部割れは発生しないものの、マンガン偏析度が1.080であり、軽圧下不足により中心偏析が確認された。
試験番号29は、短辺幅狭化圧下帯における圧下総量を本発明の第2の実施形態の範囲外の2.0mmとした試験である。その他の条件は本発明の第2の実施形態の範囲内で行った。その結果、内部割れは発生しなかったが、軽微ではあるがマンガン偏析度が1.040の中心偏析が確認された。これは、短辺幅狭化圧下帯における圧下総量が少なかったことから、短辺の厚みを薄くする効果が薄れ、軽圧下の効果が薄れたものと推定される。
試験番号30は、鋳片中心部の固相率が本発明の第2の実施形態の範囲外の1.0(完全凝固)となった後に軽圧下を実施した例である。凝固完了後に軽圧下しても効果はなく、マンガン偏析度が1.080の中心偏析が認められた。
1 スラブ連続鋳造機
2 タンディッシュ
3 スライディングノズル
4 浸漬ノズル
5 鋳型
6 ガイドロール
7 圧下ロール
8 ピンチロール
9 溶鋼
10 鋳片
11 凝固シェル
12 未凝固層
21 スラブ連続鋳造機
22 タンディッシュ
23 スライディングノズル
24 浸漬ノズル
25 鋳型
26 サポートロール
27 ガイドロール
28 ピンチロール
29 搬送ロール
30 鋳片切断機
31 溶鋼
32 鋳片
33 凝固シェル
34 未凝固層
35 凝固完了位置
36 軽圧下帯
37 短辺幅狭化圧下帯
38 意図的バルジング帯
39 超音波送信センサー
40 超音波受信センサー

Claims (4)

  1. 連続鋳造用鋳型から引き抜かれた鋳片の凝固シェル厚みが少なくとも15mmに達するまでは鋳造方向に配列した鋳片支持ロールのロール開度を鋳型直下でのロール開度と同一に設定し、
    その後、鋳片支持ロールのロール開度を鋳造方向下流側に向かって段階的に増加させて鋳片の長辺面を3〜20mmのバルジング総量でバルジングさせ、
    バルジングさせた後、鋳造方向下流側に0.5〜5.0mの区間では、鋳片の厚みが変わらないように鋳片支持ロールのロール開度を一定に設定し、
    次いで、鋳片厚み中心部の固相率が0.2〜0.9である鋳片の長辺面を、圧下速度と鋳造速度との積が0.3〜1.0mm・m/min2となる条件で圧下ロールによって少なくとも1回圧下する、鋼の連続鋳造方法。
  2. 前記鋳片の長辺面をバルジングさせる際に、鋳造方向に配列された鋳片支持ロールのロール開度を鋳造方向1mあたり4.0mm以下の勾配で段階的に増加させる、請求項1に記載の鋼の連続鋳造方法。
  3. 複数対の鋳片支持ロールのロール開度を鋳造方向下流側に向かって段階的に減少させて、連続鋳造用鋳型から引き抜かれた横断面が矩形である鋳片の長辺面に、圧下速度と鋳造速度との積が0.3〜1.0mm・m/min2となる圧下力を付与し、この圧下力によって鋳片短辺の幅を前記鋳型下端での鋳片短辺幅よりも3〜20mm小さくし、
    鋳片短辺幅を小さくした後、複数対の鋳片支持ロールのロール開度を鋳造方向下流側に向かって段階的に増加させて、鋳片の長辺面を3〜20mmのバルジング総量でバルジングさせ、
    鋳片長辺面をバルジングさせた後、複数対の鋳片支持ロールのロール開度を鋳造方向下流側に向かって段階的に減少させた軽圧下帯において、鋳片厚み中心部の固相率が少なくとも0.2以下の時点から0.9以上になる時点まで、圧下速度と鋳造速度との積が0.3〜1.0mm・m/min2となる圧下力を鋳片長辺面に付与し、この圧下力によって前記バルジング総量と同等の圧下総量または前記バルジング総量よりも小さい圧下総量で鋳片長辺面を圧下する、鋼の連続鋳造方法。
  4. 前記鋳片の凝固完了位置を、凝固完了位置検知装置を用いてオンラインで検知し、検知した凝固完了位置の情報に基づき、鋳片の厚み中心部の固相率が少なくとも0.2以下の時点から0.9以上になる時点までは、前記軽圧下帯に鋳片が位置するように、二次冷却水量、二次冷却の幅切り、鋳造速度のうちの何れか1種または2種以上を調整する、請求項3に記載の鋼の連続鋳造方法。
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