JP6933158B2 - 鋼の連続鋳造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、鋳片の連続鋳造方法に関し、詳細には、凝固中の連続鋳造鋳片に適切な冷却を施した後に軽圧下することで最終凝固位置(以下、「クレータエンド」と記す。)の形状を規定することにより、鋼材の欠陥の起点となるMnS介在物を低減する技術に関する。
近年、鋼材の要求特性の過酷化に伴い、水素誘起割れや硫化物応力腐食割れなどに対する耐食性や溶接性、靱性などの向上が強く求められている。この様な特性を低下させる大きな原因の一つとして鋼中に存在する非金属介在物(以下、介在物)が挙げられ、特にMnS介在物が有害であることが知られている。
MnS介在物は溶鋼を連続鋳造機を用いて凝固させる過程において生成し、特に連続鋳造機で製造される鋳片の中心部に生じる中心偏析部において多発しかつ粗大化することが知られている。加えて、MnS介在物は鋳片を圧延する際に圧延方向に延伸するため、さらに粗大化することで各種欠陥の起点となる。
MnS介在物の成因の一つである中心偏析は以下の機構で生じる。連続鋳造機内で溶鋼が凝固する過程においては溶融したままの液体の鋼と、凝固して固体となった鋼が共存する状態が生じるが、この液体と固体との間で発生する溶質の分配が進行し、固体からMnやSなどの溶質元素が液体側に排出される。さらに、鋳片の凝固過程において溶鋼側に排出された溶質元素が溶鋼流動(ロール間バルジングや凝固末期の凝固収縮による吸引)によって厚み中心部の最終凝固位置であるクレータエンドに濃化・集積して中心偏析が生じる。このMnやSが濃化した中心偏析部ではMnSが活発に生成する。
MnSの生成を抑制する方法としては、連続鋳造において鋳片を圧下して中心偏析を低減する方法と、Caなどを用いてMnS介在物をCaS介在物に改質する介在物制御方法とが知られている。
連続鋳造において鋳片を圧下して中心偏析を低減する方法では鋳片の中心偏析を低減するには、クレータエンドを軽圧下帯に位置させる必要がある。しかし、断面が扁平形状であるスラブでは、クレータエンド形状が鋳片幅方向に均一でなく、鋳片エッジ部近傍が凝固遅れとなるW形を呈することが多く、この凝固遅れ部で中心偏析が悪化する。そこで、クレータエンド形状をできるだけ幅方向に均一になるように調整する方法が提案されている。
例えば、特許文献1には、鋳片を軽圧下するための軽圧下帯が備えられた連続鋳造機を用いて連続鋳造鋳片を鋳造する際に、軽圧下帯における軽圧下量を0.5mm/m〜1.3mm/mの範囲内で変更し、最短クレータエンド位置と最長クレータエンド位置との差を2m以下に調整する技術が開示されている。なお、「最短クレータエンド」は、鋳型内溶鋼湯面(メニスカス)に最も近いクレータエンド、「最長クレータエンド」は、メニスカスから最も遠いクレータエンドである。
また、特許文献2には、側面側の吐出孔を1個有する浸漬ノズルを2本用い、各浸漬ノズルの吐出孔から吐出される溶鋼が互いに衝突するようにして鋳造することで、クレータエンドの形状を下流側に凸のU字状にする技術が開示されている。
一方、Caなどを用いてMnS介在物をCaS介在物に改質する介在物制御方法では、溶鋼にCaなどのSと親和力の強い元素を添加し、SをCaS介在物として固定することでMnS介在物の生成を抑止する方法が知られており、多数の技術が開示されている。
例えば、特許文献3には中心偏析しやすいMnの濃度を測定しHIC感受性を評価する方法が示されており、あわせてCaを用いてMnSを制御する技術が開示されている。
また、特許文献4には鋼中のCa/S濃度比率を適正化することで硫化物の団塊化を抑制する技術が開示されている。
特開2004−283849号公報 特開2012−110952号公報 特開2013−217901号公報 特表2016−524653号公報
中心偏析の度合いを示す指標のひとつとして、例えばMn偏析度が用いられる。中心偏析であるMn偏析は凝固過程で生じる固相と液相との間で生じる分配現象に起因して、鋳片中心部のMn濃度が母材成分よりも高くなる現象である。Mn偏析を示す指標としてMn偏析度が広く用いられており、一般に鋳片中心部のMn濃度と母材のMn濃度の比で示される。Mn偏析度の測定方法には様々な方法があるが、一例として以下の方法がある。
鋳片厚さ中心部から幅方向に50mm角程度のサンプルを採取する。サンプルは鋳片全幅から等間隔で5〜7点から採取する場合が多い。採取したサンプルの鋳片横断面側全面をEPMAなどを用いてサンプル全面の鋼中Mn濃度分布を定量する。通常用いられるビーム径は1〜70μm程度で、測定ピッチはビーム径に応じて1〜70μmである。ビーム径の大きさは必要とする測定精度や測定に要する時間に応じて適宜決定される。得られたMn濃度分布からサンプル全面の平均Mn濃度と最も高いMn濃度を測定点でのMn濃度との比を用いてMn偏析度とする。
一方、介在物であるMnSは鋼中Mn濃度と鋼中S濃度の積がある温度での濃度積を超えた時点で鋼中に生成するが、中心偏析によりMnやS濃度が母材よりも高くなると容易に生成してしまうため、MnSの生成を抑制するにはMn偏析をより低位に抑制する必要がある。従ってMn偏析度が高いほど、中心偏析レベルが悪いことを表している。
本発明者らは、中心偏析に起因する厚板製品の溶接熱影響部における靭性値の低下を回避するため、Mn偏析度1.05以下を合格基準とし、特許文献1記載の技術を用いて鋳片の連続鋳造を行った。特許文献1に記載の技術は、クレータエンド形状はW形のままで、最短クレータエンド位置と最長クレータエンド位置との差を2m以下に調整するものであるが、この要件だけでは最長クレータエンド位置となる鋳片エッジ部近傍において中心偏析が悪化し、多数のMnSが確認され、MnS介在物個数を十分に低減できないという知見を本発明者らは得ている。
また、特許文献2に記載の技術は、2本の浸漬ノズルを用いるものであり、タンディッシュ等周辺設備も含めて設備改造が必要となり、設備コストの増大に繋がると共に、操業管理も難しい。
特許文献3,4に記載の技術はMnSを抑制するためにCaを添加することで硫化物をCaSに形態制御するものであるが、十分にMnSの生成を抑制しようとするとCa添加量が増加するためにCaS生成量が増加し、却って清浄性が低下し鋼材の特性を低下させてしまう。
したがって、Caを添加してMnS介在物個数を低減するとCaS介在物によって清浄性が低下するため、従来はMn偏析度を抑制することでMnS個数を低減できると考えられてきた。しかしながら、Mn偏析度を抑制するだけではMnS個数を十分に低減することができす、Mn偏析度低減技術のみならず新たなMnS個数低減技術が必要とされてきた。
本発明はかかる事情に鑑みてなされたもので、大幅な設備コストをかけることなく、新たに二次冷却を適正化することでMnS偏析の改善のみならず鋳片中のMnS介在物個数を大幅に低減することが可能な鋳片を提供することを目的とする。
上記目的を達成するため、本発明者らは連続鋳造鋳片の調査を行い、鋳片厚み中心部の固相率が所定範囲となる領域に軽圧下を施すセグメントのある連続鋳造機において、連続鋳造機モールド出側の二次冷却帯の水平部冷却帯における鋳片幅方向の水量を制御することで適正な形状のクレータエンドを得て大幅にMnS介在物個数を低減できることを見出し、本発明を完成した。
本発明は、複数本の軽圧下ロールが組み込まれたセグメント1基又は複数基から構成される軽圧下帯を有する連続鋳造機を用いて、鋳片厚み中心部の固相率が0.1〜1.0となる領域を、前記軽圧下帯にて鋳片厚さ方向に圧下速度0.4mm/min〜1.1mm/minで圧下しながら行う連続鋳造方法において、連続鋳造機モールド出側の二次冷却帯の水平部冷却帯にて、鋳片幅方向のセンターを0%、鋳片幅方向端面位置を100%としたとき、センターから鋳片幅方向両端面に対し、0%以上〜68%未満までの鋳片センターの水量(イ)と68%以上〜100%以下の鋳片エッジ部の水量(ロ)との比(ロ)/(イ)が3.5以上10.0以下となるように冷却水を噴射することを特徴とする鋼の連続鋳造方法である。
本発明に係る鋳片の連続鋳造方法では、鋼中のMn濃度とS濃度に応じてクレータエンド形状の適正化を図って軽圧下を行うことにより、鋼中MnS介在物個数を大幅に低減することが可能となり、MnSに起因する製品欠陥や強度や靭性の低下を防止することができる。
クレータエンド形状の検討に使用した連続鋳造機の模式図である。 同連続鋳造機における水平部冷却帯の鋳片幅方向の模式図である。 鋳片幅方向端面位置を100%としたとき0〜68%までの鋳片センターの水量(イ)と68〜100%の鋳片エッジ部の水量(ロ)との比(ロ)/(イ)とMnS個数指数の関係を示す図である。 鋳片センターの水量(イ)と鋳片エッジ部の水量(ロ)との境界とする68%の根拠を示す模式図である。 クレータエンドの形状を示す模式図である。
本発明者らは、MnS個数を低減可能なクレータエンド形状について鋭意検討した。クレータエンド形状の検討に使用した連続鋳造機10の模式図を図1ならびに図2に示す。
精錬が終了した溶鋼は、連続鋳造機10の最上部に配置された取鍋(図示省略)に貯留された後、取鍋の底部に設けられたノズル孔(図示省略)に装着されたロングノズル(図示省略)を介して、取鍋の下方に配置されたタンディッシュ(図示省略)内に注入される。タンディッシュ内に注入された溶鋼は、タンディッシュ内で介在物が除去された後、タンディッシュの底部に設けられたノズル孔(図示省略)に装着された浸漬ノズル11を介して、タンディッシュの下方に配置された鋳型12内に注入される。鋳型12は常時、水冷されており、鋳型12に流入した溶鋼は鋳型12に接触して急冷され、微細なチル晶からなる薄い凝固殻を形成する。
鋳型12の下方には、サポートロール、ガイドロール、及びピンチロールからなる複数対の鋳造ロール13が鋳造経路に沿って配置されている。本実施の形態における連続鋳造機10の方式は湾曲型であり、鋳型12に続く鋳造経路は、下流側に向かって、円弧状に湾曲した湾曲部と、水平方向に延びる水平部とを備えている。
鋳造方向に隣接する鋳造ロール13の間隙には、水スプレーノズルなどの冷却ノズル14を有する二次冷却帯15が配置されている。本実施の形態における二次冷却帯15は、湾曲部に配置された湾曲部冷却帯16と、水平部の上流側に配置された水平部冷却帯17とから構成されている。冷却ノズル14は、図2に示すように、鋳片幅方向に複数設置され、鋳片センター部の冷却水量と鋳片エッジ部の冷却水量を分割制御することができる。
水平部の下流側には、複数本の軽圧下ロール18が組み込まれたセグメント1基又は複数基から構成される軽圧下帯19が配置されている。軽圧下帯19では、鋳片厚み中心部の固相率が0.1〜1.0となる領域を、鋳片厚さ方向に圧下速度0.4mm/min〜1.1mm/minで圧下することで中心偏析改善に寄与している。
なお、水平部冷却帯17と軽圧下帯19の間には、鋳片21の表面温度を測定する放射温度計20が設置されている。
発明者らは上記構成を有する連続鋳造機10を用いて、鋳造厚360mm、鋳造幅2150mm、鋳造速度0.7mpmで鋳造を行い、二次冷却の水平部冷却帯の水冷条件を変えることで数通りのクレータエンド形状を造り込み、軽圧下帯19の圧下速度を0.44〜0.86mm/minとして軽圧下を加える実験を行い、二次冷却帯の水平部冷却帯水冷条件とMnS個数の関係を調査した。
実験では、後述する連続鋳造機の水平部冷却帯における鋳片幅センターの水量(イ)と鋳片エッジ部の水量(ロ)を変化させることでクレータエンド形状を任意に変化させ、その時のMnS介在物個数を測定した。MnS介在物個数の測定は、鋳片幅方向横断面の厚さ中心部から幅方向に50mm角のサンプルを全幅からサンプルとサンプルの間隔がほぼ等間隔になるように9個切り出し、EPMAを用いてサンプル全面のMnSの介在物個数を計測した。EPMAの観察倍率を500倍から1000倍としてサンプル全面を観察し、大きさ5μm以上のMnS介在物の個数を計測した。また、MnS介在物個数を従来の半分以下とすることが可能となれば、破壊起点が半分以下となるため靱性などが50%程度の大幅な改善が得られるため本発明ではMnS介在物個数を従来の1/2以下とすることを目的とした。そのため、評価の方法として(ロ)/(イ)が0.1でのMnS介在物個数を1として他の条件での個数を指数化したMnS個数指数を用いて評価することとした。
結果、図3に示すように、二次冷却帯の水平部冷却帯において鋳片幅方向のセンターを0%、鋳片幅方向端面位置をそれぞれ100%としたとき、センターから鋳片幅方向両端面に対し、0%以上〜68%未満までの鋳片センターの水量(イ)と68%以上〜100%以下の鋳片エッジ部の水量(ロ)との比(ロ)/(イ)が3.5以上10以下となるように制御することで、MnS個数指数を0.50以下、即ち半減できることを見出した。以下、詳細を説明する。
センターとエッジとの境界を68%としたのは以下の理由による。鋳造幅を数々変更した実験の結果、図4に示すように68%未満ではMnS個数を低減する効果に乏しいことが確認された。なお、介在物個数は1600mm幅、位置10%での個数を基準として規格化して示した。以上の結果より、エッジの境界を68%とした。
クレータエンドの形状の模式図を図5に示す。クレータエンド形状は3種類に大別され、(A)は凝固遅れ部が2か所あり形状が凹型、(B)は一様に凝固しており形状が平坦型、(C)はクレータエンドが変曲点を有した2段形状となっており全体の形状が凸型、である。特に図5(C)は以下の(a)〜(f)の様に記述することができる。
(a)鋳片幅方向のセンターを幅方向比率0%、鋳片幅方向端面位置を幅方向比率100%とすると、幅方向比率0〜50%の領域においてクレータエンド長が最長となる。
(b)幅方向比率0%超50%以下の領域におけるクレータエンド長−幅方向比率0%におけるクレータエンド長=−0.3m〜0.5mとなる。
(c)幅方向比率が50%から上昇するにつれて、クレータエンド長は短くなる。
(d)幅方向比率を50%から上昇させていくと、鋳造方向上流側に凸から下流側に凸なクレータエンド形状に変化する変曲点がある。
(e)前記変曲点は最長クレータエンド位置より1.2m〜2.0m上流側にある。
(f)前記変曲点における接線の角度は鋳片幅方向に対して30°〜60°である。
形状(A)では図中に×印で示す部分に凝固遅れが生じるために、MnやSの偏析による濃化が生じ、結果、MnSが大量に生成する。形状(B)では鋳片の幅方向の凝固収縮の影響により、鋳片エッジ部近傍は鋳片センター部より凝固収縮量が大きいため、鋳片エッジ部方向に向かう溶鋼流動が発生し、図中×印で示す鋳片エッジ部近傍に偏析で生じた濃化溶鋼が集積してしまい、MnSが大量に生成する。一方、形状(C)では鋳片エッジ部の凝固シェルが堅牢であるため鋳片幅方向に均等に圧下が加えられることによってMnやSが鋳片の高濃度となる生成領域が鋳片幅方向に均一化するため中心偏析によるMnやSの高濃度部が生じないため、結果、MnSの生成が抑制される。
本発明の様に(ロ)/(イ)を調整するとMnSの個数指数が変化するが、これは(ロ)/(イ)の調整に伴い、クレータエンド形状が変化するためと推定され、(ロ)/(イ)が3.5未満の場合はセンター側の冷却が強いためクレータエンドは図5(A)の形状となり、10を超えて大きいとセンター側の冷却が弱くなり図5(B)の形状となると推定される。一方、(ロ)/(イ)を3.5以上10未満とすることでクレータエンド形状を図5(C)とすることが可能となると推定され、結果、MnSの生成が抑制できると考えられる。
次に、本発明における他の操業条件について説明する。転炉処理中または処理後に溶鋼に合金を添加し溶鋼成分を調整する。必要に応じてRHなどの二次精錬処理で成分調整を行ってもよい。
MnSの起点となる溶鋼中Sは精錬工程において低減されていることが望ましく、S濃度は転炉処理前に行われる溶銑脱硫で調整すればよく、必要に応じて二次精錬で再度脱硫処理を行えばよい。また、鋼中S濃度は45ppm以下であることが望ましく、30ppm以下であることがさらに望ましい。45ppmを超えてS濃度が高くなると偏析に伴うMnSは本発明で抑制できるが、表層近くのMnS個数が増加する場合がある。30ppm以下とすると効果が安定する。ただし、S濃度を5ppm未満とすると効果が飽和するので、生産性の観点から5ppm以上が望ましい。
また、本発明の効果をより安定させるには、鋼の成分が以下であることが望ましい。なお、%は質量%である。
鋼中C濃度は0.01%以上0.15%以下であることが望ましい。0.01%未満では偏析が軽減され、0.15%を超えて高くなると炭化物の生成によって効果がやや低下する場合がある。
鋼中Mn濃度は0.3%以上1.8%以下が望ましい。0.3%未満ではMnS生成量が物質収支的に減少し、1.8%を超えて高くなると凝固初期からMnSが生成してしまい、効果がやや低下する場合がある。
鋼中Siは0.1%以上1.5%以下が望ましい。0.1%未満では脱酸が不足し清浄性が悪化する場合があり、1.5%を超えて高いとSの活量が増加し、MnS生成形態が変化する場合がある。
Pは0.005%以上0.015%以下が望ましい。0.015%を超えて高くなると微細な偏析部の硬度が上昇し靱性を低下させる場合がある。0.005%未満では効果が飽和する一方で生産性が低下する。
その他に脱酸や介在物形態制御を目的にAlやCa、Mg、La、Ce、NdなどのREMなどを添加してもよい。ただし、Alは0.5%以下が望ましい。0.5%を超えて高くなると酸素活量が低下するが酸素濃度が増加しやすくなる。Ca、Mg、REMは0.005%以下が望ましい。0.005%を超えて高くなるとこれらの元素の単独脱酸反応や脱酸脱硫反応が発生し、新たな介在物が生成し清浄度が悪化する。
さらに、鋼材特性のために合金元素としてTi,Nb,Cr,Mo,W,V,Zrなどの元素を必要に応じて添加してもよい。ただし、これらの元素はそれぞれ1.5%以下であることが望ましい。合金元素が1.5%を超えると凝固時の固液共存時の偏析現象により液相中合金元素濃度が高くなるため、液相の融点が低下しクレータエンド形状に影響を及ぼす可能性があるためである。
以上のように二次精錬までに成分調整を完了し、溶鋼を収容した取鍋を連続鋳造機に移送し、直ちに鋳造を開始する。
湾曲型連続鋳造機や垂直曲げ型連続鋳造機では、鋳片の表面割れを防止するため、過冷却となる鋳片エッジ部は、湾曲部(矯正点通過まで)において緩冷却とすることが好ましいとされている。そのため、クレータエンド形状は、鋳片エッジ部が凝固遅れとなるのが一般的である。
本実施形態においても、鋳片21の表面割れを防止するため、二次冷却帯の湾曲部冷却帯16では鋳片エッジ部の冷却水量を減少させる。二次冷却帯の湾曲部冷却帯での水量比は0.10l/kg以上0.2l/kg未満が望ましく、0.13l/kg以上0.15l/kg以下がさらに望ましい。0.10l/kg未満では水平部冷却帯での冷却制御のみではクレータエンド形状の制御性が不安定化し、0.13ll/kg以上では制御性が極めて安定する。0.2l/kgを超えて大きくなると圧下が困難となる場合があり、0.15l/kg以下とすることでクレータエンド形状の制御性が安定する。
また、二次冷却帯の湾曲部冷却帯におけるセンター部水量比(ハ)とエッジ部水量比(二)との比(ハ)/(二)は1.00以上5.00以下が望ましい。1.00未満ではクレータエンド形状が図3の(B)に近くなり、5.00を超えると図3の(A)に近くなる。なお、二次冷却帯の湾曲部冷却帯のセンターとエッジとの境界は二次冷却帯の水平部冷却帯と同じく68%で、センターから鋳片幅方向両端面に対し、0%以上〜68%未満までの鋳片センターの水量(ハ)と68%以上〜100%以下の鋳片エッジ部の水量(ニ)である。
なお、鋳片の横割れを防止するために湾曲部冷却帯エッジ部水量を閉止する場合は上記比(ハ)/(ニ)の上限を超えてしまうが、この場合は(ロ)/(イ)を8.0以上10.0以下とすることで、横割れとMnS防止の両立を図ることができる。
また本発明で調整しようとしているクレータエンド形状は、例えば以下の方法で求めることができる。エンタルピー法の熱伝導方程式をもとに、下記数1の(4)式に示すC断面(鋳造方向に垂直な断面)の二次元差分伝熱計算を実施しクレータエンド形状を計算した。
初期条件(メニスカスの溶鋼温度)からの温度の時間変化を、差分により逐次算出し、初期条件からの時間変化に鋳造速度を掛けたものがメニスカスからの距離となる。
C断面の各点の温度Tが、溶鋼成分より算出される凝固温度(固相線温度:Ts)より低温(T≦Ts)であれば凝固、高温(T>Ts)であれば未凝固と判断し、鋳片のある幅方向位置(y[m])において、厚み全域で凝固状態になった瞬間が、y[m]位置の完全凝固位置であり、メニスカスから完全凝固位置までの距離がクレータエンド長である。そして、鋳片全幅でのクレータエンド位置、つまり、y[m]ごとのクレータエンド長の分布がクレータエンド形状となる。
Figure 0006933158
ここで、
H:エンタルピー[kcal/kg]
エンタルピーHは、α/γ、γ/δ、δ/Lの変態潜熱や凝固潜熱も含むものとした。
(4)式の各変数の意味は、数2の(5)、数3の(6)式のとおりである。
Figure 0006933158
φ:鉄の変換温度[K]
鉄の変換温度とは、温度による物性値(下記k,c)の変化が無視できない場合の熱伝導方程式を物性値一定と見なすための変数である。
Figure 0006933158
z:メニスカスからの距離[m]
k:ある温度における鉄の熱伝導度[kcal/m・h・K]
kd:基準温度(0℃)における鉄の熱伝導度[kcal/m・h・K]
ρ:鉄(凝固)の密度[kg/m] (7800kg/mを採用)
U:鋳造速度[m/Hr]
x:厚さ方向座標[m] (x=0は鋳片表面)
c:鉄の比熱[kcal/kg・K]
T:鉄の温度[K]
Td:基準温度(0℃)
Ta:雰囲気温度(水温または外気温度)[K] (ともに30℃を採用)
Figure 0006933158
h:鋳片表面の熱伝達係数[kcal/m・h・K]
鋳片表面の熱伝達係数hは、鋳片ロール接触によるものと、冷却水によるものとに分けられる。本実施の形態におけるクレータエンド推定では、ロール接触による熱伝達係数は一定値2600[kcal/m・h・K]とした。また、冷却水による熱伝達係数は、下記(8)式をもとに、各冷却帯の水量密度及びエア流量密度にて各冷却帯のhを算出した。
Figure 0006933158
以上、本発明の一実施の形態について説明してきたが、本発明は何ら上記した実施の形態に記載の構成に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載されている事項の範囲内で考えられるその他の実施の形態や変形例も含むものである。例えば、前述した連続鋳造機は湾曲型としているが、垂直曲げ型などでもよい。
本発明の効果について検証するために実施した試験について説明する。
転炉で脱炭した後にRHで成分調整を行うことで鋼成分をC:0.08〜0.1%、Mn:0.8〜1.3%、Si:0.2〜0.3%、P:0.01〜0.013%、S:0.001〜0.003%、Al:0.03〜0.05%に調整した。その後、溶鋼を連続鋳造機に移送し、鋳造した。
本試験では鋳造速度は0.7〜1.0m/minとして0.8〜1.0mm/minの圧下速度で鋳片に圧下を加えた。また、鋳片の表面割れを防止するため、湾曲部冷却帯の水量は合計0.15l/kgとし、(ハ)/(ニ)は0.85〜5.50とした。二次冷却帯の水平部冷却帯において鋳片センター部と鋳片エッジ部の冷却水量を調節した。
先に記載したサンプル取得方法に従って得られた鋳片からサンプルを切り出し、MnS個数指数を計測した。結果を表1に示す。なお、MnS個数指数は最も広く用いられている条件である試験番号10におけるMnS個数を1.00として相対的に表し、これより小さい値の者を合格とした。
Figure 0006933158
試験番号1〜9は本発明を満足した結果であり、クレータエンド形状を図4の(C)とすることでMnS個数を大幅に低減できていることが解る。さらに、(ハ)/(二)を1.00以上5.00以下とした方がよりMnS個数を低減できることが解る。
一方、試験番号10から15は本発明を満足しない場合で、クレータエンド形状が図3の(A)または(B)で試験番号1〜9に比較すると介在物個数は多い。
10:連続鋳造機、11:浸漬ノズル、12:鋳型、13:鋳造ロール、14:冷却ノズル、15:二次冷却帯、16:湾曲部冷却帯、17:水平部冷却帯、18:軽圧下ロール、19:軽圧下帯、20:放射温度計、21:鋳片

Claims (1)

  1. 複数本の軽圧下ロールが組み込まれたセグメント1基又は複数基から構成される軽圧下帯を有する連続鋳造機を用いて、鋳片厚み中心部の固相率が0.1〜1.0となる領域を、前記軽圧下帯にて鋳片厚さ方向に圧下速度0.4mm/min〜1.1mm/minで圧下しながら行う連続鋳造方法において、連続鋳造機モールド出側の二次冷却帯の水平部冷却帯にて、鋳片幅方向のセンターを0%、鋳片幅方向端面位置を100%としたとき、センターから鋳片幅方向両端面に対し、0%以上〜68%未満までの鋳片センターの水量(イ)と68%以上〜100%以下の鋳片エッジ部の水量(ロ)との比(ロ)/(イ)が3.5以上10.0以下となるように冷却水を噴射することを特徴とする鋼の連続鋳造方法。
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