JP5935479B2 - 高速ミーリング切削加工、高速断続切削加工で硬質被覆層がすぐれた耐チッピング性を発揮する表面被覆切削工具 - Google Patents

高速ミーリング切削加工、高速断続切削加工で硬質被覆層がすぐれた耐チッピング性を発揮する表面被覆切削工具 Download PDF

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Description

この発明は、合金鋼等の高熱発生を伴うとともに、切刃に対して衝撃的な負荷が作用する高速ミーリング切削加工や高速断続切削加工で、硬質被覆層がすぐれた耐チッピング性を発揮する表面被覆切削工具(以下、被覆工具という)に関するものである。
従来、一般に、炭化タングステン(以下、WCで示す)基超硬合金、炭窒化チタン(以下、TiCNで示す)基サーメットあるいは立方晶窒化ホウ素(以下、cBNで示す)基超高圧焼結体で構成された基体(以下、これらを総称して基体という)の表面に、硬質被覆層として、Ti−Al系の複合窒化物層を物理蒸着法により被覆形成した被覆工具が知られており、これらは、すぐれた耐摩耗性を発揮することが知られている。
ただ、上記従来のTi−Al系の複合窒化物層を被覆形成した被覆工具は、比較的耐摩耗性に優れるものの、高速ミーリング切削条件で用いた場合にチッピング等の異常損耗を発生しやすいことから、硬質被覆層の改善についての種々の提案がなされている。
例えば、特許文献1には、基体の表面に、組成式:(Ti1−XAl)Nで表した場合に、0.35≦X≦0.60(但し、Xは原子比)を満足するTiとAlの複合窒化物からなる硬質被覆層を物理蒸着法で被覆形成するとともに、硬質被覆層を、平均粒径30nm以下に粒状晶組織と、平均粒径50〜500nmの柱状晶組織との交互積層構造として構成することが提案されており、そしてこれによって、高硬度鋼の高速断続切削加工において、硬質被覆層がすぐれた耐チッピング性、耐欠損性、耐剥離性を発揮するとされている。
ただ、この被覆工具は、物理蒸着法により硬質被覆層を蒸着形成するため、Alの含有割合Xを0.6以上にはできず、より一段と切削性能を向上させることが望まれている。
このような観点から、化学蒸着法で硬質被覆層を形成することで、Alの含有割合Xを、0.9程度にまで高める技術も提案されている。
例えば、特許文献2には、TiCl、AlCl、NHの混合反応ガス中で、650〜900℃の温度範囲において化学蒸着を行うことにより、Alの含有割合Xの値が0.65〜0.95である(Ti1−XAl)N層を蒸着形成できることが記載されているが、この文献では、この(Ti1−XAl)N層の上にさらにAl層を被覆し、これによって断熱効果を高めることを目的とするものであるから、Xの値を0.65〜0.95まで高めた(Ti1−XAl)N層の形成によって、切削性能へ如何なる影響があるかという点についてまでの開示はない。
また、例えば、特許文献3には、TiCl、AlCl、NH、Nの混合反応ガス中、700〜900℃の温度でプラズマを用いない化学蒸着を行うことにより、Alの含有割合Xの値が0.75〜0.93である立方晶の(Ti1−XAl)N層からなる硬質被覆層を蒸着形成できることが記載されているが、特許文献2と同様、被覆工具としての適用可能性については何らの開示もない。
特開2011−224715号公報 特表2011−516722号公報 米国特許第7767320号明細書
近年の切削装置の高性能化はめざましく、一方で切削加工に対する省力化および省エネ化、さらに低コスト化の要求は強く、これに伴い、切削加工は一段と高速化、高効率化の傾向にあり、被覆工具には、より一層、耐チッピング性、耐欠損性、耐剥離性等の耐異常損傷性が求められるとともに、長期の使用に亘ってのすぐれた耐摩耗性が求められている。
しかし、上記特許文献1に記載される被覆工具は、(Ti1−XAl)N層からなる硬質被覆層が物理蒸着法で蒸着形成され、硬質被覆層中のAl含有量Xを高めることができないため、例えば、合金鋼の高速ミーリング切削に供した場合には、耐チッピング性が十分であるとは言えない。
一方、上記特許文献2、3に記載される化学蒸着法で被覆形成した(Ti1−XAl)N層については、Al含有量Xを高めることができ、また、立方晶構造を形成させることができることから、所定の硬さを有し耐摩耗性にはすぐれた硬質被覆層が得られるものの、基体との密着強度は十分でなく、また、靭性に劣ることから、合金鋼の高速ミーリング切削に供する被覆工具として用いた場合には、チッピング、欠損、剥離等の異常損傷が発生しやすく、満足できる切削性能を発揮するとは言えない。
本発明は、合金鋼の高速ミーリング切削等に供した場合であっても、すぐれた耐チッピング性を発揮するとともに、長期の使用に亘ってすぐれた耐摩耗性を発揮する被覆工具を提供することを目的とするものである。
本発明者等は、上述の観点から、TiとAlの複合炭窒化物(以下、「(Ti,Al)(C,N)」あるいは「(Ti1−XAl)(C1−Y)」で示すことがある)からなる硬質被覆層を化学蒸着で被覆形成した被覆工具の耐チッピング性、耐摩耗性の改善をはかるべく、鋭意研究を重ねた結果、次のような知見を得た。
炭化タングステン基超硬合金(以下、「WC基超硬合金」で示す)、炭窒化チタン基サーメット(以下、「TiCN基サーメット」で示す)、または立方晶窒化ホウ素基超高圧焼結体(以下、「cBN基超高圧焼結体」で示す)のいずれかで構成された基体の表面に、
例えば、トリメチルアルミニウム(Al(CH)を反応ガス成分として含有する化学蒸着法により、硬質被覆層として、立方晶構造の(Ti1−XAl)(C1−Y)層を蒸着形成するとともに、硬質被覆層と基体との界面から、硬質被覆層の表層側に向かうにしたがって、硬質被覆層中のAl含有割合が漸次増加する組成傾斜構造を有することによって、組成に応じた(Ti1−XAl)(C1−Y)の格子定数の違いによる歪が積極的に導入され、さらに、硬質被覆層と基体との界面側では、平均アスペクト比Aが1〜2である粒状組織を形成し、一方、硬質被覆層の表層側では、平均アスペクト比Aが3〜10である柱状組織を形成することによって、(Ti1−XAl)(C1−Y)層からなる硬質被覆層の耐チッピング性が向上することを見出したのである。
なお、上記(Ti1−XAl)(C1−Y)層において、X、Yは何れも原子比であって、0.55≦X≦0.95、0.0005≦Y≦0.005を満足するものであるから、従来のPVD法では蒸着形成することができない高Al含有割合X(例えば、X=0.80〜0.95)まで立方晶構造を維持した(Ti,Al)(C,N)層を、好ましくは、トリメチルアルミニウム(Al(CH)を反応ガス成分として含有する化学蒸着法により蒸着形成し得たことがわかる。
また、本発明者等は、本発明の化学蒸着法により上記立方晶構造の(Ti1−XAl)(C1−Y)層を蒸着形成した場合には、層中に微量の塩素が含有されるが、平均塩素含有量が1原子%以下であれば、硬質被覆層の脆化は生じず硬質被覆層特性に悪影響を及ぼすことはないばかりか、硬質被覆層と基体との界面から、硬質被覆層の表層側に向かうにしたがって、平均塩素含有量が漸次減少する組成傾斜構造を有する場合には、硬質被覆層は潤滑性を備えるばかりか、耐チッピング性も向上することを見出したのである。
したがって、上記のような硬質被覆層を備えた被覆工具を、例えば、合金鋼の高速ミーリング切削、高速断続切削等に用いた場合には、チッピング、欠損、剥離等の発生が抑えられるとともに、長期の使用にわたってすぐれた耐摩耗性を発揮することができるのである。
この発明は、上記の研究結果に基づいてなされたものであって、
「(1) 炭化タングステン基超硬合金、炭窒化チタン基サーメット、または立方晶窒化ホウ素基超高圧焼結体のいずれかで構成された基体の表面に、
(a)平均層厚2〜20μmの立方晶構造のTiとAlの複合炭窒化物層からなる硬質被覆層が形成されており
(b)上記硬質被覆層は、その平均組成を、
組成式:(Ti1−XAl)(C1−Y
で表した場合、Al含有割合XおよびC含有割合Y(但し、X、Yは何れも原子比)は、それぞれ、0.55≦X≦0.95、0.0005≦Y≦0.005を満足し、
(c)上記硬質被覆層と基体との界面から、0.5μm硬質被覆層の内部に入った位置Lを中心に組成分析を行い、立方晶構造のTiとAlの複合炭窒化物のAl含有割合を求め、その平均値をX(但し、原子比)とすると、該Al含有割合Xは、0.55≦X≦0.70であり、また、硬質被覆層の表層から、0.5μm硬質被覆層の内部に入った位置Hを中心に組成分析を行い、立方晶構造のTiとAlの複合炭窒化物のAl含有割合を求め、その平均値をX(但し、原子比)とすると、該Al含有割合Xは0.80≦X≦0.95であり、さらに、硬質被覆層中のAl含有割合は、硬質被覆層と基体との界面側から、硬質被覆層の表層側に向かうにしたがって漸次増加する組成傾斜構造を有しており、
(d)上記硬質被覆層と基体との界面から、0.5μm硬質被覆層の内部に入った位置Lに存在する立方晶構造のTiとAlの複合炭窒化物結晶粒各々について長軸幅、短軸幅を求め、それらの結晶粒の長軸幅と短軸幅の比を平均アスペクト比Aとすると、該平均アスペクト比Aは1〜2であり、また、硬質被覆層の表層から、0.5μm硬質被覆層の内部に入った位置Hに存在する立方晶構造のTiとAlの複合炭窒化物結晶粒各々について長軸幅、短軸幅を求め、それら結晶粒の長軸幅と短軸幅の比を平均アスペクト比Aとすると、該平均アスペクト比Aは3〜10であることを特徴とする表面被覆切削工具。
(2) 上記硬質被覆層中に含有される平均塩素含有量は、0.001〜1.0原子%であることを特徴とする前記(1)に記載の表面被覆切削工具。
(3) 上記硬質被覆層と基体との界面から、0.5μm硬質被覆層の内部に入った位置Lを中心に組成分析を行い、塩素の含有割合を求め、その平均値を平均塩素含有量Cとすると、該平均塩素含有量Cは0.02〜1.0原子%であり、また、硬質被覆層の表層から、0.5μm硬質被覆層の内部に入った位置Hを中心に組成分析を行い、塩素の含有割合を求め、その平均値を平均塩素含有量Cとすると、該平均塩素含有量Cは0.001〜0.01原子%であり、さらに、硬質被覆層中の平均塩素含有量は、硬質被覆層と基体との界面側から、硬質被覆層の表層側に向かうにしたがって漸次減少する組成傾斜構造を有していることを特徴とする前記(2)に記載の表面被覆切削工具。
(4) 上記硬質被覆層は、少なくとも、トリメチルアルミニウムを反応ガス成分として含有する化学蒸着法により蒸着形成することを特徴とする前記(1)乃至(3)のいずれかに記載の表面被覆切削工具の製造方法。」
に特徴を有するものである。
つぎに、この発明の被覆工具の硬質被覆層について、より具体的に説明する。
TiとAlの立方晶複合炭窒化物層((Ti1−XAl)(C1−Y)層)の平均組成:
上記(Ti1−XAl)(C1−Y)層において、Alの含有割合X(原子比)の値が0.55未満になると、高温硬さが不足し耐摩耗性が低下するようになり、一方、X(原子比)の値が0.95を超えると、相対的なTi含有割合の減少により、立方晶構造を維持できず、そのため高温強度が低下し、チッピング、欠損を発生しやすくなることから、X(原子比)の値は、0.55以上0.95以下とすることが必要である。
なお、PVD法によって上記組成の(Ti1−XAl)(C1−Y)層を蒸着形成した場合には、結晶構造は六方晶であるが、本発明では、後記する化学蒸着法によって蒸着形成していることから、高Al含有割合Xの範囲(例えば、X=0.80〜0.95)まで立方晶構造を維持したままで上記組成の(Ti1−XAl)(C1−Y)層を得ることができるので、皮膜硬さの低下はない。
また、上記(Ti1−XAl)(C1−Y)層において、C成分には層の硬さを向上させ、一方、N成分には層の高温強度を向上させる作用があるが、C成分の含有割合Y(原子比)が0.0005未満となると高硬度が得られなくなり、一方、Y(原子比)が0.005を超えると、高温強度が低下してくることから、Y(原子比)の値は、0.0005以上0.005以下と定めた。
また、上記(Ti1−XAl)(C1−Y)層は、その平均層厚が2μm未満では、基体との密着性を十分確保することができず、一方、その平均層厚が20μmを越えると、高熱発生を伴う高速ミーリング切削で熱塑性変形を起し易くなり、これが偏摩耗の原因となることから、その合計平均層厚は2〜20μmと定めた。
この発明では、上記平均組成を有する(Ti1−XAl)(C1−Y)層において、層全体にわたって均一組成にするのではなく、硬質被覆層の基体との界面側から、硬質被覆層の表層側に向かって、硬質被覆層中のAl含有割合が連続的に増加する組成傾斜構造を形成する。
即ち、基体表面と硬質被覆層の界面から、0.5μm硬質被覆層の内部に入った基体との界面側の位置Lを中心に組成分析を行い、立方晶構造のTiとAlの複合炭窒化物のAl含有割合X(原子比)を0.55以上0.70以下とし、また、硬質被覆層の表面から、0.5μm硬質被覆層の内部に入った表層部の位置Hを中心に組成分析を行い、立方晶構造のTiとAlの複合炭窒化物のAl含有割合X(原子比)を、0.80以上0.95以下とし、硬質被覆層の基体との界面側から、硬質被覆層の表層側に向かって、Al含有割合が漸次増加するAlの組成傾斜構造を構成する。
このような組成傾斜構造によって、硬質被覆層内には、表層側に向かって、その組成に応じた結晶格子定数の違いによる格子ひずみが導入され、その結果として、硬質被覆層の耐チッピング性が向上する。
また、この発明では、硬質被覆層を構成する(Ti1−XAl)(C1−Y)結晶粒の組織について、基体との界面側の硬質被覆層では粒状組織とし、一方、硬質被覆層の表層側では柱状組織を形成する。
即ち、基体表面と硬質被覆層の界面から、0.5μm硬質被覆層の内部に入った基体との界面側の位置Lにおける結晶粒の平均アスペクトAは1〜2である粒状組織とし、また、硬質被覆層の表面から、0.5μm硬質被覆層の内部に入った表層部の位置Hにおける結晶粒の平均アスペクトAは3〜10である柱状組織とする。
この発明は、上記のような組織形態を形成することによって、基体との界面側では、硬質被覆層の密着性を高めることができ、また、表層側の硬質被覆層は、すぐれた耐摩耗性を具備すると同時に、基体との界面側と表層側において組織形態が異なることから表層側からのクラック伝播を防止するため優れた耐チッピング性を具備するようになる。
また、この発明では、後記するような化学蒸着法によって(Ti1−XAl)(C1−Y)層を蒸着形成するが、この際、反応ガス成分である塩素が層中に含有される。
層中に含有される塩素は、多量(1原子%を超える量)になると層自体の脆化を招くが、0.001原子%〜1原子%の範囲で微量に含有されている場合に限り、層の靭性を低下させずに潤滑性を高めることができるため、平均塩素含有量0.001原子%〜1原子%以下の塩素を層中に含有することが望ましい。
さらに、層中に塩素を含有させるに際し、硬質被覆層と基体との界面側から、硬質被覆層の表層側に向かって、平均塩素含有量が漸次減少している組成傾斜構造を形成した場合には、硬質被覆層の耐チッピング性の低下を招くことなく、潤滑性を高めることができる。
具体的には、基体表面と硬質被覆層の界面から、0.5μm硬質被覆層の内部に入った位置Lを中心に組成分析を行い、塩素の含有割合を求め、その平均値を平均塩素含有量Cとすると、該平均塩素含有量Cは0.02〜1.0原子%であり、また、硬質被覆層の表面から、0.5μm硬質被覆層の内部に入った位置Hを中心に組成分析を行い、塩素の含有割合を求め、その平均値を平均塩素含有量Cとすると、該平均塩素含有量Cは0.001〜0.01原子%であり、硬質被覆層の表層側に向かうにしたがって平均塩素含有量が漸次減少するような組成傾斜構造を形成することによって、硬質被覆層の潤滑性、耐チッピング性を高めることができる。
この発明の(Ti1−XAl)(C1−Y)層は、例えば、次に述べる条件の熱CVD法によって蒸着形成することができる。
反応ガス組成(容量%):
TiCl 2.6〜5.0%、Al(CH0〜10.0%、
AlCl 0〜10.0%、NH 6.0〜10.0%、
6.0〜10.0%、C0〜1.0%、
Ar 6.0〜10.0%、残りH、(但し、Al(CHとAlClの何れもが同時に0%となることはない。)
反応雰囲気温度: 700〜900℃、
反応雰囲気圧力: 2〜10kPa、
上記条件の熱CVD法によって、平均組成が、0.55≦X≦0.95、0.0005≦Y≦0.005(但し、X、Yは何れも原子比)を満足し、
組成式:(Ti1−XAl)(C1−Y
で表されるTiとAlの立方晶複合炭窒化物層が蒸着形成される。
上記の化学蒸着法(熱CVD法)によって蒸着形成する(Ti1−XAl)(C1−Y)層について、Al含有割合が、硬質被覆層の表層側に向かうにしたがって漸次増加し、また、硬質被覆層の位置LにおけるAl含有割合X(原子比)が、0.55≦X≦0.70を満足し、また、位置HにおけるAl含有割合X(原子比)が、0.80≦X≦0.95を満足する組成傾斜構造は、例えば、上記反応ガス成分であるトリメチルアルミニウム(Al(CH)の添加量を蒸着形成の進行とともに調整する(即ち、増加する)ことや、蒸着形成の進行とともにAlCl成分の添加量を相対的に多く、かつArガスの添加量を相対的に少なくすることで蒸着形成を行うことが出来る。
また、結晶粒の組織形態についても、Alの組成傾斜構造と同様に、例えば、蒸着形成の進行とともに反応ガス成分トリメチルアルミニウム(Al(CH)の添加量を増加することや、蒸着形成の進行とともにNガスの添加量を相対的に多く、かつCガスを蒸着途中から少量添加することによって、硬質被覆層と基体との界面側では平均アスペクト比が1〜2の結晶粒が形成され、一方、硬質被覆層の表層側では、平均アスペクト比が3〜10の結晶粒を形成することが出来る。
さらに、上記化学蒸着法(熱CVD法)によれば、蒸着形成の進行とともに反応ガス成分トリメチルアルミニウム(Al(CH)の添加量を増加することから、相対的に反応ガス成分AlClの添加量は減少し、蒸着形成される(Ti1−XAl)(C1−Y)層中の平均塩素含有量は硬質被覆層の表層側に向かうにしたがって漸次減少する組成傾斜構造が形成される。
したがって、例えば、反応ガス成分トリメチルアルミニウム(Al(CH)の添加量を、所望の組成傾斜(Al、塩素)とともに、所望のX値、アスペクト比、平均塩素含有量等に応じて調整することにより所望の硬質被覆層を得ることが可能である。
本発明の被覆工具は、化学蒸着法により、硬質被覆層として、立方晶構造の(Ti1−XAl)(C1−Y)層が蒸着形成され、該硬質被覆層は、硬質被覆層と基体との界面から、硬質被覆層の表層側に向かうにしたがって、Al含有割合が漸次増加する組成傾斜構造を有し、また、界面側と表層側で異なった組織形態が形成され、さらに、平均塩素含有量が漸次減少する組成傾斜構造を有することによって、すぐれた密着性、潤滑性、耐チッピング性、耐摩耗性を備え、合金鋼の高速ミーリング切削や焼き入れ鋼の高速断続切削に用いた場合でも、長期の使用にわたってすぐれた切削性能を発揮することができるのである。
本発明被覆工具の硬質被覆層縦断面の概略説明図を示す。
つぎに、この発明の被覆工具を実施例により具体的に説明する。
原料粉末として、いずれも1〜3μmの平均粒径を有するWC粉末、TiC粉末、ZrC粉末、TaC粉末、NbC粉末、Cr32粉末、およびCo粉末を用意し、これら原料粉末を、表1に示される配合組成に配合し、さらにワックスを加えてアセトン中で24時間ボールミル混合し、減圧乾燥した後、98MPaの圧力で所定形状の圧粉体にプレス成形し、この圧粉体を5Paの真空中、1370〜1470℃の範囲内の所定の温度に1時間保持の条件で真空焼結し、焼結後、ISO規格・SEEN1203AFSN1に規定するインサート形状をもったWC基超硬合金製の基体A〜Dをそれぞれ製造した。
また、原料粉末として、いずれも0.5〜2μmの平均粒径を有するTiCN(質量比でTiC/TiN=50/50)粉末、Mo2C粉末、ZrC粉末、NbC粉末、TaC粉末、WC粉末、Co粉末、およびNi粉末を用意し、これら原料粉末を、表2に示される配合組成に配合し、ボールミルで24時間湿式混合し、乾燥した後、98MPaの圧力で圧粉体にプレス成形し、この圧粉体を1.3kPaの窒素雰囲気中、温度:1540℃に1時間保持の条件で焼結し、焼結後、ISO規格・SEEN1203AFTN1のインサート形状をもったTiCN基サーメット製の基体a〜dを作製した。


つぎに、これらの工具基体A〜Dおよび工具基体a〜dの表面に、通常の化学蒸着装置を用い、表3に示される条件で、本発明の(Ti1−XAl)(C1−Y)層を目標層厚で蒸着形成することにより、表5に示される本発明被覆工具1〜10を製造した。
また、比較の目的で、同じく工具基体A〜Dおよび工具基体a〜dの表面に、通常の化学蒸着装置を用い、表4に示される条件で、比較例の(Ti1−xAl)(C1−y)を目標層厚で蒸着形成することにより、表6に示される比較例被覆工具1〜8を製造した。
参考のため、工具基体Aおよび工具基体aの表面に、従来の物理蒸着装置を用いて、アークイオンプレーティングにより、参考例の(Ti1−xAl)(C1−y)を目標層厚で蒸着形成することにより、表6に示される参考例被覆工具9、10を製造した。
なお、アークイオンプレーティングの条件は、次のとおりである。
(a)上記工具基体Aおよびaを、アセトン中で超音波洗浄し、乾燥した状態で、アークイオンプレーティング装置内の回転テーブル上の中心軸から半径方向に所定距離離れた位置に外周部にそって装着し、また、カソード電極(蒸発源)として、所定組成のAl−Ti合金を配置し、
(b)まず、装置内を排気して0.1Pa以下の真空に保持しながら、ヒーターで装置内を500℃に加熱した後、前記回転テーブル上で自転しながら回転する工具基体に−1000Vの直流バイアス電圧を印加し、かつAl−Ti合金からなるカソード電極とアノード電極との間に100Aの電流を流してアーク放電を発生させ、もって工具基体表面をボンバード洗浄し、
(c)次に、装置内に反応ガスとして窒素ガスを導入して4Paの反応雰囲気とすると共に、前記回転テーブル上で自転しながら回転する工具基体に−100Vの直流バイアス電圧を印加し、かつ、上記Al−Ti合金からなるカソード電極(蒸発源)とアノード電極との間に120Aの電流を流してアーク放電を発生させ、前記工具基体の表面に、表6に示される目標平均組成、目標平均層厚の(Al,Ti)N層からなる被覆層を蒸着形成し、
比較被覆工具としての比較表面被覆インサート(以下、比較被覆インサートと云う)9〜10をそれぞれ製造した。
ついで、上記の本発明被覆工具1〜10の硬質被覆層について、硬質被覆層の平均Al含有割合X、平均C含有割合Y、Alの含有割合X,X、平均アスペクト比A,A、平均塩素含有量、平均塩素含有量C,平均塩素含有量Cについて測定した。
なお、具体的な測定は次のとおりである。
蛍光X線分析装置を用い、硬質被覆層表面にスポット径100μmのX線を照射し、得られた特性X線の解析結果から平均Al含有割合X、平均C含有割合Y及び平均塩素含有量を求めた。
ついで、ダイヤモンド研磨盤を用い基体表面に対し垂直な断面を作成し、電子線マイクロアナライザ装置を用い、硬質被覆層と基体との界面から0.5μm硬質被覆層の内部に入った位置Lをスポットの中心とし、スポット径0.4μmの電子線を照射し、すなわち位置Lを中心とし硬質被覆層と基体との界面から0.3μm硬質被覆層の内部に入った位置から0.7μm硬質被覆層の内部に入った位置まで電子線を照射し、得られた特性X線の解析結果の10点平均からAlの含有割合X及び平均塩素含有量Cを求めた。なお、“中心に組成分析を行う”とは、該位置を中心に上記スポット径0.4μmの電子線を照射し、得られた特性X線の解析結果の10点平均を得ることを意味する。また、位置Lにおいて基体表面と平行に幅50μmの線Lを引き、線Lの横切る結晶粒各々について長軸と短軸の長さを求め、長軸の長さを短軸の長さで除算することにより結晶粒各々のアスペクト比を求め、それら個々のアスペクト比を平均することにより位置Hにおける平均アスペクト比Aを求めた。
硬質被覆層の表面から0.5μm硬質被覆層の内部に入った位置Hをスポットの中心とし、スポット径0.4μmの電子線を照射し、すなわち位置Hを中心とし硬質被覆層の表面から0.3μm硬質被覆層の内部に入った位置から0.7μm硬質被覆層の内部に入った位置まで電子線を照射し、得られた特性X線の解析結果の10点平均からAlの含有割合X及び平均塩素含有量Cを求め、また、位置Hにおいて基体表面と水平方向に幅50μmの線Lを引き、線Lの横切る結晶粒各々について長軸と短軸の長さを求め、長軸の長さを短軸の長さで除算することにより結晶粒各々のアスペクト比を求め、それら個々のアスペクト比を平均することにより位置Hにおける平均アスペクト比Aを求めた。
また、硬質被覆層の平均層厚は、走査型電子顕微鏡を用い断面測定を行い、5ヶ所の平均値を求め、その平均値を硬質被覆層の平均層厚とした。
さらに、硬質被覆層の結晶構造については、X線回折装置を用い、Cu−Kα線を線源としてX線回折を行った場合、JCPDS00−038−1420立方晶TiNとJCPDS00−046−1200立方晶AlN、各々に示される同一結晶面の回折角度の間(例えば、36.66〜38.53°、43.59〜44.77°、61.81〜65.18°)に回折ピークが現れることを確認することによって調査した。
表5に、その結果を示す。
ついで、比較例被覆工具1〜8および参考例被覆工具9、10のそれぞれについても、本発明被覆工具1〜10と同様にして、硬質被覆層の平均Al含有割合x、平均C含有割合y、Alの含有割合x,y、平均アスペクト比a,a、平均塩素含有量、平均塩素含有量c,平均塩素含有量cについて測定した。
また、硬質被覆層の結晶構造についても、本発明被覆工具1〜10と同様にして、調査した。
表6に、その結果を示す。




つぎに、上記の各種の被覆工具をいずれもカッタ径125mmの工具鋼製カッタ先端部に固定治具にてクランプした状態で、本発明被覆工具1〜10、比較例被覆工具1〜8および参考例被覆工具9,10について、以下に示す、合金鋼の乾式高速正面フライス、センターカット切削加工試験を実施し、切刃の逃げ面摩耗幅を測定した。
被削材: JIS・SCM440幅100mm、長さ400mmのブロック材
回転速度: 917min−1
切削速度: 360m/min、
切り込み: 1mm、
一刃送り量: 0.1mm/刃、
切削時間: 9分、
表7に、上記切削試験の結果を示す。

原料粉末として、いずれも0.5〜4μmの範囲内の平均粒径を有するcBN粉末、TiN粉末、TiCN粉末、TiC粉末、Al粉末、Al粉末を用意し、これら原料粉末を表8に示される配合組成に配合し、ボールミルで80時間湿式混合し、乾燥した後、120MPaの圧力で直径:50mm×厚さ:1.5mmの寸法をもった圧粉体にプレス成形し、ついでこの圧粉体を、圧力:1Paの真空雰囲気中、900〜1300℃の範囲内の所定温度に60分間保持の条件で焼結して切刃片用予備焼結体とし、この予備焼結体を、別途用意した、Co:8質量%、WC:残りの組成、並びに直径:50mm×厚さ:2mmの寸法をもったWC基超硬合金製支持片と重ね合わせた状態で、通常の超高圧焼結装置に装入し、通常の条件である圧力:4GPa、温度:1200〜1400℃の範囲内の所定温度に保持時間:0.8時間の条件で超高圧焼結し、焼結後上下面をダイヤモンド砥石を用いて研磨し、ワイヤー放電加工装置にて所定の寸法に分割し、さらにCo:5質量%、TaC:5質量%、WC:残りの組成およびISO規格CNGA120412の形状(厚さ:4.76mm×内接円直径:12.7mmの80°菱形)をもったWC基超硬合金製インサート本体のろう付け部(コーナー部)に、体積%で、Zr:37.5%、Cu:25%、Ti:残りからなる組成を有するTi合金のろう材を用いてろう付けし、所定寸法に外周加工した後、切刃部に幅:0.13mm、角度:25°のホーニング加工を施し、さらに仕上げ研摩を施すことによりISO規格CNGA120412のインサート形状をもった工具基体イ〜ニをそれぞれ製造した。

つぎに、これらの工具基体イ〜ニの表面に、通常の化学蒸着装置を用い、表3に示される条件で、本発明の(Ti1−XAl)(C1−Y)層を目標層厚で蒸着形成することにより、表9に示される本発明被覆工具11〜15を製造した。
また、比較の目的で、同じく工具基体イ〜ニの表面に、通常の化学蒸着装置を用い、表4に示される条件で、比較例の(Ti1−xAl)(C1−y)を目標層厚で蒸着形成することにより、表10に示される比較例被覆工具11〜14を製造した。
参考のため、工具基体イの表面に、従来の物理蒸着装置を用いて、アークイオンプレーティングにより、参考例の(Ti1−xAl)(C1−y)を目標層厚で蒸着形成することにより、表10に示される参考例被覆工具15を製造した。
なお、アークイオンプレーティングの条件は、実施例1に示される条件と同様の条件である。
ついで、上記の本発明被覆工具11〜15の硬質被覆層について、硬質被覆層の平均Al含有割合X、平均C含有割合Y、Alの含有割合X,X、平均アスペクト比A,A、平均塩素含有量、平均塩素含有量C,平均塩素含有量C、硬質被覆層の結晶構造について実施例1に示される方法と同様の方法を用い測定した。
表9に、その結果を示す。
ついで、比較例被覆工具11〜14および参考例被覆工具15のそれぞれについても、本発明被覆工具11〜15と同様にして、硬質被覆層の平均Al含有割合x、平均C含有割合y、Alの含有割合x,y、平均アスペクト比a,a、平均塩素含有量、平均塩素含有量c,平均塩素含有量c、硬質被覆層の結晶構造について測定した。
表10に、その結果を示す。


つぎに、上記の各種の被覆工具をいずれも工具鋼製バイトの先端部に固定治具にてネジ止めした状態で、本発明被覆工具11〜15、比較例被覆工具11〜14および参考例被覆工具15について、以下に示す、浸炭焼入れ合金鋼の乾式高速断続切削加工試験を実施し、切刃の逃げ面摩耗幅を測定した。
被削材: JIS・SCM415(硬さ:HRC62)の長さ方向等間隔4本縦溝入り丸棒、
切削速度: 210 m/min、
切り込み: 0.15mm、
送り: 0.15mm/rev、
切削時間: 4分、
表11に、上記切削試験の結果を示す。

表5〜7および表9〜11に示される結果から、本発明被覆工具1〜15は、立方晶構造の(Ti1−XAl)(C1−Y)層が蒸着形成され、該硬質被覆層は、硬質被覆層と基体との界面から、硬質被覆層の表層側に向かうにしたがって、Al含有割合が漸次増加する組成傾斜構造を有し、また、界面側と表層側で異なった組織形態が形成され、さらに、平均塩素含有量が漸次減少する組成傾斜構造を有することによって、合金鋼の高速ミーリング切削加工または外径高速断続切削加工ですぐれた密着性、潤滑性、耐チッピング性、耐摩耗性を発揮する。
これに対して、比較例被覆工具1〜8、11〜14、参考例被覆工具9,10、15については、いずれも、硬質被覆層にチッピング、欠損、剥離等の異常損傷が発生するばかりか、比較的短時間で使用寿命に至ることが明らかである。
上述のように、この発明の被覆工具は、合金鋼の高速ミーリング切削加工及び外径高速断続切削ばかりでなく、各種の被削材の被覆工具として用いることができ、しかも、長期の使用に亘ってすぐれた耐摩耗性を発揮するものであるから、切削装置の高性能化並びに切削加工の省力化および省エネ化、さらに低コスト化に十分満足に対応できるものである。

Claims (4)

  1. 炭化タングステン基超硬合金、炭窒化チタン基サーメット、または立方晶窒化ホウ素基超高圧焼結体のいずれかで構成された基体の表面に、
    (a)平均層厚2〜20μmの立方晶構造のTiとAlの複合炭窒化物層からなる硬質被覆層が形成されており
    (b)上記硬質被覆層は、その平均組成を、
    組成式:(Ti1−XAl)(C1−Y
    で表した場合、Al含有割合XおよびC含有割合Y(但し、X、Yは何れも原子比)は、それぞれ、0.55≦X≦0.95、0.0005≦Y≦0.005を満足し、
    (c)上記硬質被覆層と基体との界面から、0.5μm硬質被覆層の内部に入った位置Lを中心に組成分析を行い、立方晶構造のTiとAlの複合炭窒化物のAl含有割合を求め、その平均値をX(但し、原子比)とすると、該Al含有割合Xは、0.55≦X≦0.70であり、また、硬質被覆層の表層から、0.5μm硬質被覆層の内部に入った位置Hを中心に組成分析を行い、立方晶構造のTiとAlの複合炭窒化物のAl含有割合を求め、その平均値をX(但し、原子比)とすると、該Al含有割合Xは0.80≦X≦0.95であり、さらに、硬質被覆層中のAl含有割合は、硬質被覆層と基体との界面側から、硬質被覆層の表層側に向かうにしたがって漸次増加する組成傾斜構造を有しており、
    (d)上記硬質被覆層と基体との界面から、0.5μm硬質被覆層の内部に入った位置Lに存在する立方晶構造のTiとAlの複合炭窒化物結晶粒各々について長軸幅、短軸幅を求め、それらの結晶粒の長軸幅と短軸幅の比を平均アスペクト比Aとすると、該平均アスペクト比Aは1〜2であり、また、硬質被覆層の表層から、0.5μm硬質被覆層の内部に入った位置Hに存在する立方晶構造のTiとAlの複合炭窒化物結晶粒各々について長軸幅、短軸幅を求め、それら結晶粒の長軸幅と短軸幅の比を平均アスペクト比Aとすると、該平均アスペクト比Aは3〜10であることを特徴とする表面被覆切削工具。
  2. 上記硬質被覆層中に含有される平均塩素含有量は、0.001〜1.0原子%であることを特徴とする請求項1に記載の表面被覆切削工具。
  3. 上記硬質被覆層と基体との界面から、0.5μm硬質被覆層の内部に入った位置Lを中心に組成分析を行い、塩素の含有割合を求め、その平均値を平均塩素含有量Cとすると、該平均塩素含有量Cは0.02〜1.0原子%であり、また、硬質被覆層の表層から、0.5μm硬質被覆層の内部に入った位置Hを中心に組成分析を行い、塩素の含有割合を求め、その平均値を平均塩素含有量Cとすると、該平均塩素含有量Cは0.001〜0.01原子%であり、さらに、硬質被覆層中の平均塩素含有量は、硬質被覆層と基体との界面側から、硬質被覆層の表層側に向かうにしたがって漸次減少する組成傾斜構造を有していることを特徴とする請求項2に記載の表面被覆切削工具。
  4. 上記硬質被覆層は、少なくとも、トリメチルアルミニウムを反応ガス成分として含有する化学蒸着法により蒸着形成することを特徴とする請求項1乃至3のいずれか一項に記載の表面被覆切削工具の製造方法

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