JP5935479B2 - 高速ミーリング切削加工、高速断続切削加工で硬質被覆層がすぐれた耐チッピング性を発揮する表面被覆切削工具 - Google Patents
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Description
ただ、上記従来のTi−Al系の複合窒化物層を被覆形成した被覆工具は、比較的耐摩耗性に優れるものの、高速ミーリング切削条件で用いた場合にチッピング等の異常損耗を発生しやすいことから、硬質被覆層の改善についての種々の提案がなされている。
ただ、この被覆工具は、物理蒸着法により硬質被覆層を蒸着形成するため、Alの含有割合Xを0.6以上にはできず、より一段と切削性能を向上させることが望まれている。
例えば、特許文献2には、TiCl4、AlCl3、NH3の混合反応ガス中で、650〜900℃の温度範囲において化学蒸着を行うことにより、Alの含有割合Xの値が0.65〜0.95である(Ti1−XAlX)N層を蒸着形成できることが記載されているが、この文献では、この(Ti1−XAlX)N層の上にさらにAl2O3層を被覆し、これによって断熱効果を高めることを目的とするものであるから、Xの値を0.65〜0.95まで高めた(Ti1−XAlX)N層の形成によって、切削性能へ如何なる影響があるかという点についてまでの開示はない。
しかし、上記特許文献1に記載される被覆工具は、(Ti1−XAlX)N層からなる硬質被覆層が物理蒸着法で蒸着形成され、硬質被覆層中のAl含有量Xを高めることができないため、例えば、合金鋼の高速ミーリング切削に供した場合には、耐チッピング性が十分であるとは言えない。
一方、上記特許文献2、3に記載される化学蒸着法で被覆形成した(Ti1−XAlX)N層については、Al含有量Xを高めることができ、また、立方晶構造を形成させることができることから、所定の硬さを有し耐摩耗性にはすぐれた硬質被覆層が得られるものの、基体との密着強度は十分でなく、また、靭性に劣ることから、合金鋼の高速ミーリング切削に供する被覆工具として用いた場合には、チッピング、欠損、剥離等の異常損傷が発生しやすく、満足できる切削性能を発揮するとは言えない。
本発明は、合金鋼の高速ミーリング切削等に供した場合であっても、すぐれた耐チッピング性を発揮するとともに、長期の使用に亘ってすぐれた耐摩耗性を発揮する被覆工具を提供することを目的とするものである。
例えば、トリメチルアルミニウム(Al(CH3)3)を反応ガス成分として含有する化学蒸着法により、硬質被覆層として、立方晶構造の(Ti1−XAlX)(CYN1−Y)層を蒸着形成するとともに、硬質被覆層と基体との界面から、硬質被覆層の表層側に向かうにしたがって、硬質被覆層中のAl含有割合が漸次増加する組成傾斜構造を有することによって、組成に応じた(Ti1−XAlX)(CYN1−Y)の格子定数の違いによる歪が積極的に導入され、さらに、硬質被覆層と基体との界面側では、平均アスペクト比ALが1〜2である粒状組織を形成し、一方、硬質被覆層の表層側では、平均アスペクト比AHが3〜10である柱状組織を形成することによって、(Ti1−XAlX)(CYN1−Y)層からなる硬質被覆層の耐チッピング性が向上することを見出したのである。
「(1) 炭化タングステン基超硬合金、炭窒化チタン基サーメット、または立方晶窒化ホウ素基超高圧焼結体のいずれかで構成された基体の表面に、
(a)平均層厚2〜20μmの立方晶構造のTiとAlの複合炭窒化物層からなる硬質被覆層が形成されており、
(b)上記硬質被覆層は、その平均組成を、
組成式:(Ti1−XAlX)(CYN1−Y)
で表した場合、Al含有割合XおよびC含有割合Y(但し、X、Yは何れも原子比)は、それぞれ、0.55≦X≦0.95、0.0005≦Y≦0.005を満足し、
(c)上記硬質被覆層と基体との界面から、0.5μm硬質被覆層の内部に入った位置Lを中心に組成分析を行い、立方晶構造のTiとAlの複合炭窒化物のAl含有割合を求め、その平均値をXL(但し、原子比)とすると、該Al含有割合XLは、0.55≦XL≦0.70であり、また、硬質被覆層の表層から、0.5μm硬質被覆層の内部に入った位置Hを中心に組成分析を行い、立方晶構造のTiとAlの複合炭窒化物のAl含有割合を求め、その平均値をXH(但し、原子比)とすると、該Al含有割合XHは0.80≦XH≦0.95であり、さらに、硬質被覆層中のAl含有割合は、硬質被覆層と基体との界面側から、硬質被覆層の表層側に向かうにしたがって漸次増加する組成傾斜構造を有しており、
(d)上記硬質被覆層と基体との界面から、0.5μm硬質被覆層の内部に入った位置Lに存在する立方晶構造のTiとAlの複合炭窒化物結晶粒各々について長軸幅、短軸幅を求め、それらの結晶粒の長軸幅と短軸幅の比を平均アスペクト比ALとすると、該平均アスペクト比ALは1〜2であり、また、硬質被覆層の表層から、0.5μm硬質被覆層の内部に入った位置Hに存在する立方晶構造のTiとAlの複合炭窒化物結晶粒各々について長軸幅、短軸幅を求め、それら結晶粒の長軸幅と短軸幅の比を平均アスペクト比AHとすると、該平均アスペクト比AHは3〜10であることを特徴とする表面被覆切削工具。
(2) 上記硬質被覆層中に含有される平均塩素含有量は、0.001〜1.0原子%であることを特徴とする前記(1)に記載の表面被覆切削工具。
(3) 上記硬質被覆層と基体との界面から、0.5μm硬質被覆層の内部に入った位置Lを中心に組成分析を行い、塩素の含有割合を求め、その平均値を平均塩素含有量CLとすると、該平均塩素含有量CLは0.02〜1.0原子%であり、また、硬質被覆層の表層から、0.5μm硬質被覆層の内部に入った位置Hを中心に組成分析を行い、塩素の含有割合を求め、その平均値を平均塩素含有量CHとすると、該平均塩素含有量CHは0.001〜0.01原子%であり、さらに、硬質被覆層中の平均塩素含有量は、硬質被覆層と基体との界面側から、硬質被覆層の表層側に向かうにしたがって漸次減少する組成傾斜構造を有していることを特徴とする前記(2)に記載の表面被覆切削工具。
(4) 上記硬質被覆層は、少なくとも、トリメチルアルミニウムを反応ガス成分として含有する化学蒸着法により蒸着形成することを特徴とする前記(1)乃至(3)のいずれかに記載の表面被覆切削工具の製造方法。」
に特徴を有するものである。
上記(Ti1−XAlX)(CYN1−Y)層において、Alの含有割合X(原子比)の値が0.55未満になると、高温硬さが不足し耐摩耗性が低下するようになり、一方、X(原子比)の値が0.95を超えると、相対的なTi含有割合の減少により、立方晶構造を維持できず、そのため高温強度が低下し、チッピング、欠損を発生しやすくなることから、X(原子比)の値は、0.55以上0.95以下とすることが必要である。
なお、PVD法によって上記組成の(Ti1−XAlX)(CYN1−Y)層を蒸着形成した場合には、結晶構造は六方晶であるが、本発明では、後記する化学蒸着法によって蒸着形成していることから、高Al含有割合Xの範囲(例えば、X=0.80〜0.95)まで立方晶構造を維持したままで上記組成の(Ti1−XAlX)(CYN1−Y)層を得ることができるので、皮膜硬さの低下はない。
また、上記(Ti1−XAlX)(CYN1−Y)層において、C成分には層の硬さを向上させ、一方、N成分には層の高温強度を向上させる作用があるが、C成分の含有割合Y(原子比)が0.0005未満となると高硬度が得られなくなり、一方、Y(原子比)が0.005を超えると、高温強度が低下してくることから、Y(原子比)の値は、0.0005以上0.005以下と定めた。
また、上記(Ti1−XAlX)(CYN1−Y)層は、その平均層厚が2μm未満では、基体との密着性を十分確保することができず、一方、その平均層厚が20μmを越えると、高熱発生を伴う高速ミーリング切削で熱塑性変形を起し易くなり、これが偏摩耗の原因となることから、その合計平均層厚は2〜20μmと定めた。
即ち、基体表面と硬質被覆層の界面から、0.5μm硬質被覆層の内部に入った基体との界面側の位置Lを中心に組成分析を行い、立方晶構造のTiとAlの複合炭窒化物のAl含有割合XL(原子比)を0.55以上0.70以下とし、また、硬質被覆層の表面から、0.5μm硬質被覆層の内部に入った表層部の位置Hを中心に組成分析を行い、立方晶構造のTiとAlの複合炭窒化物のAl含有割合XH(原子比)を、0.80以上0.95以下とし、硬質被覆層の基体との界面側から、硬質被覆層の表層側に向かって、Al含有割合が漸次増加するAlの組成傾斜構造を構成する。
このような組成傾斜構造によって、硬質被覆層内には、表層側に向かって、その組成に応じた結晶格子定数の違いによる格子ひずみが導入され、その結果として、硬質被覆層の耐チッピング性が向上する。
即ち、基体表面と硬質被覆層の界面から、0.5μm硬質被覆層の内部に入った基体との界面側の位置Lにおける結晶粒の平均アスペクトALは1〜2である粒状組織とし、また、硬質被覆層の表面から、0.5μm硬質被覆層の内部に入った表層部の位置Hにおける結晶粒の平均アスペクトAHは3〜10である柱状組織とする。
この発明は、上記のような組織形態を形成することによって、基体との界面側では、硬質被覆層の密着性を高めることができ、また、表層側の硬質被覆層は、すぐれた耐摩耗性を具備すると同時に、基体との界面側と表層側において組織形態が異なることから表層側からのクラック伝播を防止するため優れた耐チッピング性を具備するようになる。
層中に含有される塩素は、多量(1原子%を超える量)になると層自体の脆化を招くが、0.001原子%〜1原子%の範囲で微量に含有されている場合に限り、層の靭性を低下させずに潤滑性を高めることができるため、平均塩素含有量0.001原子%〜1原子%以下の塩素を層中に含有することが望ましい。
さらに、層中に塩素を含有させるに際し、硬質被覆層と基体との界面側から、硬質被覆層の表層側に向かって、平均塩素含有量が漸次減少している組成傾斜構造を形成した場合には、硬質被覆層の耐チッピング性の低下を招くことなく、潤滑性を高めることができる。
具体的には、基体表面と硬質被覆層の界面から、0.5μm硬質被覆層の内部に入った位置Lを中心に組成分析を行い、塩素の含有割合を求め、その平均値を平均塩素含有量CLとすると、該平均塩素含有量CLは0.02〜1.0原子%であり、また、硬質被覆層の表面から、0.5μm硬質被覆層の内部に入った位置Hを中心に組成分析を行い、塩素の含有割合を求め、その平均値を平均塩素含有量CHとすると、該平均塩素含有量CHは0.001〜0.01原子%であり、硬質被覆層の表層側に向かうにしたがって平均塩素含有量が漸次減少するような組成傾斜構造を形成することによって、硬質被覆層の潤滑性、耐チッピング性を高めることができる。
反応ガス組成(容量%):
TiCl4 2.6〜5.0%、Al(CH3)3 0〜10.0%、
AlCl3 0〜10.0%、NH3 6.0〜10.0%、
N2 6.0〜10.0%、C2H40〜1.0%、
Ar 6.0〜10.0%、残りH2、(但し、Al(CH3)3 とAlCl3の何れもが同時に0%となることはない。)
反応雰囲気温度: 700〜900℃、
反応雰囲気圧力: 2〜10kPa、
上記条件の熱CVD法によって、平均組成が、0.55≦X≦0.95、0.0005≦Y≦0.005(但し、X、Yは何れも原子比)を満足し、
組成式:(Ti1−XAlX)(CYN1−Y)
で表されるTiとAlの立方晶複合炭窒化物層が蒸着形成される。
したがって、例えば、反応ガス成分トリメチルアルミニウム(Al(CH3)3)の添加量を、所望の組成傾斜(Al、塩素)とともに、所望のX値、アスペクト比、平均塩素含有量等に応じて調整することにより所望の硬質被覆層を得ることが可能である。
なお、アークイオンプレーティングの条件は、次のとおりである。
(a)上記工具基体Aおよびaを、アセトン中で超音波洗浄し、乾燥した状態で、アークイオンプレーティング装置内の回転テーブル上の中心軸から半径方向に所定距離離れた位置に外周部にそって装着し、また、カソード電極(蒸発源)として、所定組成のAl−Ti合金を配置し、
(b)まず、装置内を排気して0.1Pa以下の真空に保持しながら、ヒーターで装置内を500℃に加熱した後、前記回転テーブル上で自転しながら回転する工具基体に−1000Vの直流バイアス電圧を印加し、かつAl−Ti合金からなるカソード電極とアノード電極との間に100Aの電流を流してアーク放電を発生させ、もって工具基体表面をボンバード洗浄し、
(c)次に、装置内に反応ガスとして窒素ガスを導入して4Paの反応雰囲気とすると共に、前記回転テーブル上で自転しながら回転する工具基体に−100Vの直流バイアス電圧を印加し、かつ、上記Al−Ti合金からなるカソード電極(蒸発源)とアノード電極との間に120Aの電流を流してアーク放電を発生させ、前記工具基体の表面に、表6に示される目標平均組成、目標平均層厚の(Al,Ti)N層からなる被覆層を蒸着形成し、
比較被覆工具としての比較表面被覆インサート(以下、比較被覆インサートと云う)9〜10をそれぞれ製造した。
なお、具体的な測定は次のとおりである。
蛍光X線分析装置を用い、硬質被覆層表面にスポット径100μmのX線を照射し、得られた特性X線の解析結果から平均Al含有割合X、平均C含有割合Y及び平均塩素含有量を求めた。
ついで、ダイヤモンド研磨盤を用い基体表面に対し垂直な断面を作成し、電子線マイクロアナライザ装置を用い、硬質被覆層と基体との界面から0.5μm硬質被覆層の内部に入った位置Lをスポットの中心とし、スポット径0.4μmの電子線を照射し、すなわち位置Lを中心とし硬質被覆層と基体との界面から0.3μm硬質被覆層の内部に入った位置から0.7μm硬質被覆層の内部に入った位置まで電子線を照射し、得られた特性X線の解析結果の10点平均からAlの含有割合XL及び平均塩素含有量CLを求めた。なお、“中心に組成分析を行う”とは、該位置を中心に上記スポット径0.4μmの電子線を照射し、得られた特性X線の解析結果の10点平均を得ることを意味する。また、位置Lにおいて基体表面と平行に幅50μmの線LLを引き、線LLの横切る結晶粒各々について長軸と短軸の長さを求め、長軸の長さを短軸の長さで除算することにより結晶粒各々のアスペクト比を求め、それら個々のアスペクト比を平均することにより位置Hにおける平均アスペクト比ALを求めた。
硬質被覆層の表面から0.5μm硬質被覆層の内部に入った位置Hをスポットの中心とし、スポット径0.4μmの電子線を照射し、すなわち位置Hを中心とし硬質被覆層の表面から0.3μm硬質被覆層の内部に入った位置から0.7μm硬質被覆層の内部に入った位置まで電子線を照射し、得られた特性X線の解析結果の10点平均からAlの含有割合XH及び平均塩素含有量CHを求め、また、位置Hにおいて基体表面と水平方向に幅50μmの線LHを引き、線LHの横切る結晶粒各々について長軸と短軸の長さを求め、長軸の長さを短軸の長さで除算することにより結晶粒各々のアスペクト比を求め、それら個々のアスペクト比を平均することにより位置Hにおける平均アスペクト比AHを求めた。
また、硬質被覆層の平均層厚は、走査型電子顕微鏡を用い断面測定を行い、5ヶ所の平均値を求め、その平均値を硬質被覆層の平均層厚とした。
さらに、硬質被覆層の結晶構造については、X線回折装置を用い、Cu−Kα線を線源としてX線回折を行った場合、JCPDS00−038−1420立方晶TiNとJCPDS00−046−1200立方晶AlN、各々に示される同一結晶面の回折角度の間(例えば、36.66〜38.53°、43.59〜44.77°、61.81〜65.18°)に回折ピークが現れることを確認することによって調査した。
表5に、その結果を示す。
また、硬質被覆層の結晶構造についても、本発明被覆工具1〜10と同様にして、調査した。
表6に、その結果を示す。
被削材: JIS・SCM440幅100mm、長さ400mmのブロック材
回転速度: 917min−1、
切削速度: 360m/min、
切り込み: 1mm、
一刃送り量: 0.1mm/刃、
切削時間: 9分、
表7に、上記切削試験の結果を示す。
なお、アークイオンプレーティングの条件は、実施例1に示される条件と同様の条件である。
表9に、その結果を示す。
表10に、その結果を示す。
被削材: JIS・SCM415(硬さ:HRC62)の長さ方向等間隔4本縦溝入り丸棒、
切削速度: 210 m/min、
切り込み: 0.15mm、
送り: 0.15mm/rev、
切削時間: 4分、
表11に、上記切削試験の結果を示す。
これに対して、比較例被覆工具1〜8、11〜14、参考例被覆工具9,10、15については、いずれも、硬質被覆層にチッピング、欠損、剥離等の異常損傷が発生するばかりか、比較的短時間で使用寿命に至ることが明らかである。
Claims (4)
- 炭化タングステン基超硬合金、炭窒化チタン基サーメット、または立方晶窒化ホウ素基超高圧焼結体のいずれかで構成された基体の表面に、
(a)平均層厚2〜20μmの立方晶構造のTiとAlの複合炭窒化物層からなる硬質被覆層が形成されており、
(b)上記硬質被覆層は、その平均組成を、
組成式:(Ti1−XAlX)(CYN1−Y)
で表した場合、Al含有割合XおよびC含有割合Y(但し、X、Yは何れも原子比)は、それぞれ、0.55≦X≦0.95、0.0005≦Y≦0.005を満足し、
(c)上記硬質被覆層と基体との界面から、0.5μm硬質被覆層の内部に入った位置Lを中心に組成分析を行い、立方晶構造のTiとAlの複合炭窒化物のAl含有割合を求め、その平均値をXL(但し、原子比)とすると、該Al含有割合XLは、0.55≦XL≦0.70であり、また、硬質被覆層の表層から、0.5μm硬質被覆層の内部に入った位置Hを中心に組成分析を行い、立方晶構造のTiとAlの複合炭窒化物のAl含有割合を求め、その平均値をXH(但し、原子比)とすると、該Al含有割合XHは0.80≦XH≦0.95であり、さらに、硬質被覆層中のAl含有割合は、硬質被覆層と基体との界面側から、硬質被覆層の表層側に向かうにしたがって漸次増加する組成傾斜構造を有しており、
(d)上記硬質被覆層と基体との界面から、0.5μm硬質被覆層の内部に入った位置Lに存在する立方晶構造のTiとAlの複合炭窒化物結晶粒各々について長軸幅、短軸幅を求め、それらの結晶粒の長軸幅と短軸幅の比を平均アスペクト比ALとすると、該平均アスペクト比ALは1〜2であり、また、硬質被覆層の表層から、0.5μm硬質被覆層の内部に入った位置Hに存在する立方晶構造のTiとAlの複合炭窒化物結晶粒各々について長軸幅、短軸幅を求め、それら結晶粒の長軸幅と短軸幅の比を平均アスペクト比AHとすると、該平均アスペクト比AHは3〜10であることを特徴とする表面被覆切削工具。 - 上記硬質被覆層中に含有される平均塩素含有量は、0.001〜1.0原子%であることを特徴とする請求項1に記載の表面被覆切削工具。
- 上記硬質被覆層と基体との界面から、0.5μm硬質被覆層の内部に入った位置Lを中心に組成分析を行い、塩素の含有割合を求め、その平均値を平均塩素含有量CLとすると、該平均塩素含有量CLは0.02〜1.0原子%であり、また、硬質被覆層の表層から、0.5μm硬質被覆層の内部に入った位置Hを中心に組成分析を行い、塩素の含有割合を求め、その平均値を平均塩素含有量CHとすると、該平均塩素含有量CHは0.001〜0.01原子%であり、さらに、硬質被覆層中の平均塩素含有量は、硬質被覆層と基体との界面側から、硬質被覆層の表層側に向かうにしたがって漸次減少する組成傾斜構造を有していることを特徴とする請求項2に記載の表面被覆切削工具。
- 上記硬質被覆層は、少なくとも、トリメチルアルミニウムを反応ガス成分として含有する化学蒸着法により蒸着形成することを特徴とする請求項1乃至3のいずれか一項に記載の表面被覆切削工具の製造方法。
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