JP5907115B2 - ハイブリッド車両の走行制御装置 - Google Patents
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Description
本発明は、ハイブリッド車両の走行制御装置の技術分野に関する。
この種の技術分野において、加速走行と惰性走行とを繰り返す断続運転制御が知られている。例えば、現在の車両の走行状況に基づいた実加減速走行パターンにおける実加減速周期と、予め定められた基準加減速周期とを比較し、実加減速周期が基準加減速周期よりも短い場合に、実加減速走行パターンにおける実加減速周期を長くした補正加減速走行パターンを生成するものがある(特許文献1参照)。
また、断続運転制御における加速走行中において、内燃機関を作動状態にした直後及び内燃機関を非作動状態にする直前のうち少なくとも一方において、駆動動力を加速走行の途中に較べて小さくし、充電電力を加速走行の途中に較べて大きくする装置も提案されている(特許文献2参照)。
尚、特許文献2には、惰性走行の開始時点から加速走行を経て再び惰性走行が開始されるまでの一周期における、車両の消費電力量、加速走行中の内燃機関の駆動エネルギ及び加速走行中における内燃機関の動作時間に基づいて、内燃機関の出力が決定されることも開示されている。
ところで、惰性走行が行われる惰性走行期間においては、動力源としての内燃機関は停止状態となるものの、ハイブリッド車両が有する多くの補機装置への電力供給は継続される必要がある。このため、惰性走行期間において、バッテリの充放電収支は放電側に傾き、バッテリのSOC(State Of Charge:充電残量又はその指標値)は時間の経過と共に低下する。
一方、加速走行が行われる加速走行期間においては、内燃機関が稼動状態となるから、内燃機関の動力の一部を利用して発電された電力をバッテリに充電することができる。この際、バッテリへの充電に要する(即ち、発電に要する)内燃機関の発電要求出力は、バッテリのSOCを予め設定された制御範囲内に維持するべく、バッテリのSOCが低下する程大きくなる。即ち、バッテリのSOCが低下するに連れて、バッテリへの充電量は増加する。
従って、一の加速走行と一の惰性走行とからなる断続運転制御の一周期において、惰性走行期間におけるバッテリのSOCの低下分は、相応の時間経過を経て、この充電量の増加によるSOCの増加分と釣り合う。その結果、断続運転制御が行われる期間において、バッテリのSOCは、ある収束値に収束する。
然るに、内燃機関の発電要求出力は、元々継続的にバッテリへの充電がなされる状況を想定しており、このような間欠的にしか充電を行い得ない状況が想定されていない。このため、このSOCの収束値は、断続運転制御の開始時点におけるSOCが如何なる値であるかに関係なく、この開始時点のSOCよりも低い値であることが多い。必然的に、バッテリのSOCは、断続運転制御が終了した時点で、目標範囲内に維持されはしても、必ずしも十分に高い値ではないことが多い。
このため、場合によっては、バッテリのSOCを上昇させる必要が生じ、内燃機関を始動させる必要が生じる場合がある。或いは、内燃機関は、より高負荷側(要求出力が高い側)での稼動を余儀なくされる場合がある。従って、断続運転制御が行われる期間を含む、長期な走行期間において、内燃機関の燃料消費率が悪化する可能性がある。
ここで、特許文献1の装置においても、補正加減速走行パターンが選択された場合には、加速走行期間が相対的に長くなり、より多くの発電電力量が得られることから、バッテリの目標充電量をより高く設定して、より多くの電力をバッテリに充電することができる。
しかしながら、このような制御の結果として得られるバッテリの充電量の増加は、加速走行期間の長さに比例するものであるから、システム全体の要求とは関係がない。従って、断続運転制御が終了した後に、バッテリのSOCが十分に高い値に到達している保証はない。必然的に、上述した内燃機関の燃料消費率の悪化は必ずしも回避されない。
一方、特許文献2には、惰性走行期間における消費電力量を計算し、加速走行期間における内燃機関の要求出力に反映させる技術思想が開示されている。この場合、断続運転制御が行われる期間におけるSOCの低下自体が抑制され得る。
ところが、内燃機関の要求出力に惰性走行期間における消費電力量を反映させた結果として、内燃機関の出力が変化すると、内燃機関の熱効率が変化する可能性がある。これは、内燃機関の動作点を最適燃費動作線上で決定したところで変わることがない。熱効率が低下すると、必然的に燃料消費率が悪化する(即ち、燃料消費量が増加する)。
即ち、内燃機関の出力変更によってSOCの維持或いは回復を図ろうとした場合、加速走行期間における内燃機関の燃料消費率が悪化することがある。加速走行期間が訪れる毎に内燃機関が非効率な動作点で動作する場合、断続運転制御が終了した時点でのSOCの低下は抑制され得るにしても、断続運転制御が行われる期間における内燃機関の燃料消費率が悪化する可能性がある。
断続運転制御は、内燃機関の燃料消費を節減することを少なくとも一の目的とするため、このような、断続運転期間終了時点のSOCの維持を図る目的から断続運転期間における燃料消費率が悪化してしまうといった事態は、断続運転制御の目的に整合せず、断続運転モードを実施する意義から言って望ましくない。
このように、上記先行技術文献に開示されたものを含む従来の装置には、バッテリへの充電が間欠的にしか行われない状況を十分に想定しておらず、断続運転制御が行われるにあたっての内燃機関の燃料消費率に未だ改善の余地が残されている。
本発明は、係る問題点に鑑みてなされたものであり、断続運転制御が行われるハイブリッド車両において内燃機関の燃料消費率の悪化を抑制可能な、ハイブリッド車両の走行制御装置を提供することを課題とする。
上述した課題を解決するため、本発明に係るハイブリッド車両の走行制御装置は、内燃機関を含む動力源と、前記内燃機関の動力により発電が可能な回転電機と、バッテリとを備え、定常走行時の走行モードとして、前記動力源から駆動輪への動力伝達が停止された惰性走行と、前記発電により得られた電力を前記バッテリに充電しつつ前記動力源から前記駆動輪への動力伝達が行われる加速走行とが繰り返される断続運転モードを選択可能に構成されてなるハイブリッド車両を制御する、ハイブリッド車両の走行制御装置であって、前記バッテリのSOCから、前記加速走行が行われる加速走行期間における、前記発電に要する前記内燃機関の第1の発電要求出力を決定する第1決定手段と、前記惰性走行が行われる惰性走行期間における前記バッテリの消費電力を推定する消費電力推定手段と、前記加速走行期間の長さ及び前記推定された消費電力から、前記発電に要する前記内燃機関の第2の発電要求出力を決定する第2決定手段と、前記加速走行期間における、前記駆動輪の駆動に要する前記内燃機関の駆動用要求出力及び前記決定された第1の発電要求出力から決定される前記内燃機関の第1の要求出力に対応する前記内燃機関の第1の熱効率と、前記駆動用要求出力及び前記決定された第2の発電要求出力から決定される前記内燃機関の第2の要求出力に対応する前記内燃機関の第2の熱効率との比較を行う比較手段と、前記比較の結果に基づいて前記加速走行期間における前記内燃機関の要求出力を決定する第3決定手段とを具備することを特徴とする(請求項1)。
本発明に係るハイブリッド車両は、内燃機関を含む動力源と、内燃機関の動力を利用して発電可能な回転電機とを有する。また、上記動力源として、上記発電可能な回転電機とは異なる駆動用の回転電機を備えていてもよい。尚、これら回転電機は、好適には、いずれもが力行機能と回生機能とを併有する電動発電機(モータジェネレータ)である。即ち、ハイブリッド車両の制動期間等に駆動用の回転電機で電力回生を行うことも、上記発電可能な回転電機を力行側で駆動して駆動軸に駆動用のトルクを供給することも可能である。
本発明に係るハイブリッド車両の走行制御装置によれば、例えばSOCセンサにより検出される、或いは、バッテリの電力収支を経時的に観察することによって得られるバッテリのSOCに応じて、加速走行期間における、発電に要する内燃機関の第1の発電要求出力が決定される。この第1の発電要求出力は、断続運転期間において、惰性走行期間におけるバッテリ30の消費電力と加速走行期間における、この第1の発電要求出力に応じた発電電力とが釣り合うまで段階的に増加するが、その間にバッテリのSOCは上述したようにある収束値まで減少する。
一方、本発明に係るハイブリッド車両の走行制御装置によれば、消費電力推定手段により推定された、惰性走行期間におけるバッテリの消費電力及び加速走行期間の長さから、加速走行期間における、発電に要する内燃機関の第2の発電要求出力が決定される。
この第2の発電要求出力が、加速走行期間における駆動輪の駆動に要する駆動要求出力と加算され、内燃機関の要求出力とされた場合には、断続運転期間終了時点におけるバッテリのSOCの低下は抑制され、理想的には防止される。
ここで特に、本発明に係るハイブリッド車両の走行制御装置では、比較手段により、第1の要求出力に対応する第1の熱効率と、第2の要求出力に対応する第2の熱効率とが比較される。第1の要求出力とは、駆動要求出力及び第1の発電要求出力から決定される(例えば、これらの加算値又はその派生値として決定される)要求出力であり、第2の要求出力とは、駆動要求出力及び第2の発電要求出力から決定される(例えば、これらの加算値又はその派生値として決定される)要求出力である。加速走行期間における内燃機関の最終的な要求出力は、第3決定手段により、内燃機関の出力を各要求出力に適応させた場合の内燃機関の各熱効率の比較結果に基づいて決定される。
例えば、第3決定手段は、定性的には、要求出力を第2の要求出力に制御した場合に、要求出力を第1の要求出力に制御した場合と較べて、内燃機関の燃料消費率が悪化しないと判断される場合、又は、所定以上悪化しないと判断される場合に、要求出力を第2の要求出力又はその派生値に決定する。或いは、第3決定手段は、定量的には、第2の熱効率が第1の熱効率以上である場合に、又は、第1の熱効率と第2の熱効率との差分が所定値以下である場合に要求出力を第2の要求出力又はその派生値に決定する。
従って、本発明に係るハイブリッド車両の走行制御装置によれば、断続運転期間の終了時点でのバッテリのSOCが、断続運転モードにより得られる内燃機関の燃料消費率の向上効果を阻害しない範囲で、断続運転期間の開始時点のSOCに可及的に維持される。即ち、上述したような、バッテリのSOCを維持する目的から断続運転期間において内燃機関の燃料消費率が悪化するといった事態は生じることがない。従って、断続運転モードの恩恵を享受しつつ、断続運転期間終了後にSOC回復のために不要に内燃機関の始動が生じることを可及的に防止することができるのである。
本発明に係るハイブリッド車両の走行制御装置の一の態様では、前記第1の発電要求出力は、前記バッテリのSOCが低い程大きく設定され、前記第2の発電要求出力は、前記惰性走行期間における前記バッテリの消費電力に相当する(請求項2)。
このように、バッテリのSOCが低い程第1の発電要求出力が大きくなる場合、先に述べたように、断続運転期間中のバッテリのSOCは、ある収束値に収束する。従って、断続運転モードが実行されることによってSOCが永続的に低下することはなく、例えば、断続運転モードがバッテリのSOCの過度な低下に起因して強制的に終了する等といった事態が回避される。
本発明に係るハイブリッド車両の走行制御装置の他の態様では、前記第3決定手段は、前記比較の結果、前記第2の熱効率が前記第1の熱効率以上であるか、又は前記第2の熱効率と前記第1の熱効率との偏差が所定値以内である場合に、前記第2の要求出力に基づいて前記要求出力を決定する(請求項3)。
この態様によれば、断続運転期間における内燃機関の燃料消費率の悪化を好適に抑制又は防止することができる。
尚、この態様では、前記第3決定手段は、前記要求出力を前記第2の要求出力に決定してもよい(請求項4)。
この態様によれば、第2の要求出力が要求出力とされるので、バッテリのSOCの低下を防止することができる。
本発明のこのような作用及び他の利得は次に説明する実施形態から明らかにされる。
<発明の実施形態>
以下、図面を参照して、本発明の実施形態について説明する。
以下、図面を参照して、本発明の実施形態について説明する。
<実施形態の構成>
始めに、図1を参照し、本発明の一実施形態に係るハイブリッド車両1の構成について説明する。ここに、図1は、ハイブリッド車両1の構成を概念的に表してなる概略構成図である。
始めに、図1を参照し、本発明の一実施形態に係るハイブリッド車両1の構成について説明する。ここに、図1は、ハイブリッド車両1の構成を概念的に表してなる概略構成図である。
図1において、ハイブリッド車両1は、ECU(Electronic Control Unit:電子制御装置)100、PCU(Power Control Unit)20、バッテリ30及びハイブリッド駆動装置10を備えた、本発明に係る「ハイブリッド車両」の一例である。
ECU100は、CPU、ROM及びRAM等を備え、ハイブリッド車両1の各部の動作を制御可能に構成された電子制御ユニットであり、本発明に係る「ハイブリッド車両の走行制御装置」の一例である。ECU100は、ROMに格納された制御プログラムに従って、後述する「エンジン出力制御処理」を実行することができる。尚、ECU100は、PCU20に備わる後述する昇圧コンバータ21及びインバータ22を夫々制御する昇圧制御部110及びインバータ制御部120を備える。昇圧制御部110及びインバータ制御部120の詳細について後述する。
PCU20は、バッテリ30から取り出した直流電力を交流電力に変換して後述するモータジェネレータMG1及びモータジェネレータMG2に供給すると共に、モータジェネレータMG1及びモータジェネレータMG2によって発電された交流電力を直流電力に変換してバッテリ30に供給可能に構成された不図示のインバータ22を含み、バッテリ30と各モータジェネレータとの間の電力の入出力を、或いは各モータジェネレータ相互間の電力の入出力(即ち、この場合、バッテリ30を介さずに各モータジェネレータ相互間で電力の授受が行われる)を制御可能に構成された制御ユニットである。PCU20は、ECU100と電気的に接続されており、ECU100によってその動作が制御される構成となっている。尚、PCU20については後に図3を参照して詳述する。
バッテリ30は、モータジェネレータMG1及びモータジェネレータMG2を力行するための電力に係る電力供給源として機能する充電可能な二次電池ユニットである。バッテリ30は、例えばリチウムイオンバッテリセル等の単位電池セルが複数(例えば、数百個)直列に接続された構成を有する。バッテリ30の出力電圧値Voutは、バッテリ30に付設された不図示の電圧センサにより検出される。電圧センサは、ECU100と電気的に接続されており、検出された出力電圧値Voutは、ECU100により適宜参照される構成となっている。
尚、図示は省略するが、ハイブリッド車両1は、ハイブリッド車両1の各種状態量を検出する各種センサを備えている。例えば、この各種センサとは、ハイブリッド車両1の車速Vを検出する車速センサ、アクセルペダルの操作量たるアクセル開度Taを検出するアクセル開度センサ、ブレーキペダルの操作量を検出するブレーキペダルセンサ、バッテリ30の温度を検出するバッテリ温度センサ、バッテリ30のSOCを検出するSOCセンサ等を含む。これら各センサは、夫々ECU100と電気的に接続されており、検出された各種状態量、制御量或いは物理量は、ECU100によって適宜参照される構成となっている。
ハイブリッド駆動装置10は、ハイブリッド車両1のパワートレインである。ここで、図2を参照し、ハイブリッド駆動装置10の詳細な構成について説明する。ここに、図2は、ハイブリッド駆動装置10の構成を概念的に表してなる概略構成図である。尚、同図において、図1と重複する箇所には同一の符号を付してその説明を適宜省略することとする。
ハイブリッド駆動装置10は、エンジン200、動力分割機構300、入力軸400、駆動軸500、減速機構600、モータジェネレータMG1(以下、適宜「MG1」と略称する)、モータジェネレータMG2(以下、適宜「MG2」と略称する)を備える。
エンジン200は、ハイブリッド車両1の主たる動力源として機能する、本発明に係る「内燃機関」の一例たるガソリンエンジンである。
エンジン200は、気筒内部に形成された燃焼室で混合気が燃焼した際に生じる爆発力に応じて気筒内部で往復運動を生じるピストンを備える。このピストンの往復運動は、コネクティングロッドを介してクランク軸の回転運動に変換され、クランク軸と連結された入力軸400から取り出される構成となっている。尚、エンジン200の詳細な構成は、本発明との関係性が低いため、ここでは省略することとする。また、ここではエンジン200がガソリンエンジンであるとしたが、本発明に係る「内燃機関」の採り得る実践的態様は多岐にわたる。例えば、本発明に係る「内燃機関」は、燃料種別、気筒配列、気筒数、燃料供給態様、動弁系の構成及び吸排気系の構成等において自由である。
モータジェネレータMG1は、電気エネルギを運動エネルギに変換する力行機能と、運動エネルギを電気エネルギに変換する回生機能とを備えた、本発明に係る「回転電機」の一例たる電動発電機である。
モータジェネレータMG2は、モータジェネレータMG1よりも体格の大きい電動発電機であり、モータジェネレータMG1と同様に、電気エネルギを運動エネルギに変換する力行機能と、運動エネルギを電気エネルギに変換する回生機能とを有する。
モータジェネレータMG1及びMG2は、同期電動発電機として構成され、例えば外周面に複数個の永久磁石を有するロータと、回転磁界を形成する三相コイルが巻回されたステータとを備えるが、無論他の構成を有していてもよい。
動力分割機構300は、相互に差動作用をなす複数の回転要素を備えた公知の遊星歯車機構である。
動力分割機構300は、中心部に設けられたサンギアS1と、サンギアS1の外周に同心円状に設けられたリングギアR1と、サンギアS1とリングギアR1との間に配置されてサンギアS1の外周を自転しつつ公転する複数のピニオンギア(不図示)と、これら各ピニオンギアの回転軸を軸支するキャリアC1とを備える。
サンギアS1は、エンジン200の出力トルクであるエンジントルクTe(本発明に係る「動力」の一例)に対する反力トルクを負担するための反力要素であり、モータジェネレータMG1のロータが固定される出力回転軸に固定されている。従って、サンギアS1の回転速度は、モータジェネレータMG1の回転速度たるMG1回転速度Nmg1と等価である。
リングギアR1は、動力分割機構300の出力要素であり、動力分割機構300の動力出力軸である駆動軸500に、その回転軸を共有する形で連結されている。尚、駆動軸500は、デファレンシャル等を介してハイブリッド車両1の駆動輪DWに間接的に連結されている。
キャリアC1は、トーションダンパTDPを介してエンジン200のクランク軸に連結される入力軸400に、その回転軸を共有する形で連結されており、その回転速度は、エンジン200の機関回転数NEと等価である。
動力分割機構300は、上述した構成の下で、エンジン200から入力軸400に供給されるエンジントルクTeを、キャリアC1によってサンギアS1及びリングギアR1に所定の比率(各ギア相互間のギア比に応じた比率)で分配し、エンジン200の動力を2系統に分割することが可能である。
この際、動力分割機構300の動作を分かり易くするため、リングギアR1の歯数に対するサンギアS1の歯数としてのギア比ρを定義すると、エンジン200からキャリアC1に対しエンジントルクTeを作用させた場合に、サンギアS1に作用するトルクTes(本発明に係る「動力」の他の一例)は下記(1)式により、また駆動軸500に現れる直達トルクTer(本発明に係る「動力」の他の一例)は下記(2)式により、夫々表される。
Tes=−Te×ρ/(1+ρ)・・・(1)
Ter=Te×1/(1+ρ)・・・(2)
減速機構600は、駆動軸500とモータジェネレータMG2との間に介装された、サンギアS2、リングギアR2、ピニオンギア(不図示)及びキャリアC2の各回転要素を備えた遊星歯車機構である。
Ter=Te×1/(1+ρ)・・・(2)
減速機構600は、駆動軸500とモータジェネレータMG2との間に介装された、サンギアS2、リングギアR2、ピニオンギア(不図示)及びキャリアC2の各回転要素を備えた遊星歯車機構である。
減速機構600において、サンギアS2は、モータジェネレータMG2のロータに固定された出力回転軸に固定されている。また、キャリアC2は、ハイブリッド駆動装置10の外郭ケースに回転不能に固定されている。更に、リングギアR2は、駆動軸500に連結されている。係る構成において、減速機構600は、モータジェネレータMG2の回転速度Nmg2を、駆動軸500に対し、各回転要素(ギア)のギア比に応じて定まる減速比に従って減速して伝達することが出来る。
尚、減速機構600の構成は、モータジェネレータMG2の回転を減速する機構の採り得る一形態に過ぎず、この種の減速機構は実践上多様な形態を有し得る。また、この種の減速機構は、必ずしもハイブリッド駆動装置に備わっておらずともよい。即ち、モータジェネレータMG2は、駆動軸500に直結されていてもよい。
次に、図3を参照し、本実施形態に係るPCU20の構成について説明する。ここに、図3は、PCU20の概略構成図である。
図3において、PCU20は、昇圧コンバータ21及びインバータ22を備える。
昇圧コンバータ21において、リアクトルL1の一方端は、バッテリ30の正極に接続される正極線(符号省略)に接続され、他方端は、スイッチング素子Q1とスイッチング素子Q2との中間点、即ち、スイッチング素子Q1のエミッタ端子と、スイッチング素子Q2のコレクタ端子との接続点に接続される。
スイッチング素子Q1及びQ2は、上記正極線とバッテリ30の負極に接続される負極線(符号省略)との間に直列に接続されたスイッチング手段である。スイッチング素子Q1のコレクタ端子は上記正極線に、スイッチング素子Q2のエミッタ端子は上記負極線に接続されている。ダイオードD1及びD2は、夫々のスイッチング素子において、エミッタ側からコレクタ側への電流のみを許容する整流素子である。
尚、本実施形態において、スイッチング素子は、リアクトルL1の端部との接続点よりも高電位側のスイッチング素子Q1と、同じく低電位側のスイッチング素子Q2とから構成されており、双アーム型の昇圧コンバータを構成している。但し、このようなスイッチング素子の構成は一例であり、昇圧コンバータは、図1でスイッチング素子Q2のみを備えた片アーム型の昇圧コンバータであってもよい。
スイッチング素子Q1及びQ2並びにインバータ22の各スイッチング素子(Q3乃至Q8及びQ13乃至Q18)は、例えば、IGBT(Insulated Gate Bipolar Transistor)や電力用MOS(Metal Oxide Semiconductor)トランジスタ等として構成される。
キャパシタCは、正極線と負極線との間に接続されたコンデンサである。このキャパシタCの端子間電圧、即ち、正極線と負極線との間の電位差VHは、昇圧コンバータ200の出力電圧である。
インバータ22は、MG1駆動用のインバータ回路22AとMG2駆動用のインバータ回路22Bとを備える。
インバータ回路22Aは、p側スイッチング素子Q3及びn側スイッチング素子Q4を含むU相アーム(符号省略)、p側スイッチング素子Q5及びn側スイッチング素子Q6を含むV相アーム(符号省略)及びp側スイッチング素子Q7及びn側スイッチング素子Q8を含むW相アーム(符号省略)を備えた電力変換器である。インバータ22Aの夫々のアームは、上記正極線と上記負極線との間に並列に接続されている。
尚、スイッチング素子Q3乃至Q8には、スイッチング素子Q1及びQ2と同様、エミッタ側からコレクタ側へ電流を流す整流用ダイオードD3乃至D8が夫々接続されている。また、インバータ回路22Aにおける各相アームのp側スイッチング素子とn側スイッチング素子との中間点は、夫々モータジェネレータMG1の各相コイルに接続されている。
インバータ回路22Bは、インバータ回路22Aと同様の構成を有しており、スイッチング素子として、u相、v相及びw相の各相について、p側スイッチング素子Q13、Q15及びQ17を、またn側スイッチング素子Q14、Q16及びQ18を夫々備える。整流用のダイオードについても同様である。
昇圧コンバータ21は、ECU100における昇圧制御部110により制御される。ここで、図4を参照し、昇圧制御部110の構成について説明する。ここに、図4は、昇圧制御部110のブロック図である。尚、同図において、図3と重複する箇所には同一の符号を付してその説明を適宜省略することとする。
図4において、昇圧制御部110は、インバータ入力演算部111、加減算器112、電圧制御演算部113、キャリア生成部114及び比較器115を備える。また、昇圧制御部110は、予めROMに格納された制御プログラムに従って、昇圧制御を実行可能に構成される。
昇圧制御は、コンバータ制御信号PWCに基づいて、正極線と負極線との間の電圧、即ち、出力電圧VHをバッテリ30の出力電圧以上に昇圧する制御である。昇圧制御では、出力電圧VHが目標値VHtg(VH指令値とも称される)よりも低ければ、スイッチング素子Q2のオンデューティが相対的に大きくされ、正極線をバッテリ30側からインバータ300側へ流れる電流を増加させることができ、出力電圧VHを上昇させることができる。一方、出力電圧VHが目標値VHtgよりも高ければ、スイッチング素子Q1のオンデューティが相対的に大きくされ、正極線をインバータ300側からバッテリ30側へ流れる電流を増加させることができ、出力電圧VHを低下させることができる。
インバータ入力演算部111は、昇圧コンバータ200の出力電圧VHの目標値VHtgを設定する回路である。目標値VHtgは、昇圧コンバータ200、インバータ300及びモータジェネレータMGを含む電力系全体の損失であるシステム損失Lsysが最小となるように決定される。
加減算部112は、出力電圧VHの検出値を目標値VHtgから減算し、減算結果を電圧制御演算部113へ出力する。電圧制御演算部113は、目標値VHtgから出力電圧VHの検出値を減算してなる減算結果を加減算部112から受け取ると、出力電圧VHを目標値VHtgに一致させるための制御量を演算する。この際、例えば、比例項(P項)及び積分項(I項)を含む公知のPI制御演算等が用いられる。電圧制御演算部113は、算出された制御量を、電圧指令値として比較器115に出力する。
一方、キャリア生成部114は、三角波からなるキャリア信号を生成し、比較器115に送出する。比較器115では、電圧制御演算部113から供給される電圧指令値とこのキャリア信号とが比較され、その電圧値の大小関係に応じて論理状態が変化する、先述したコンバータ制御信号PWCが生成される。この生成されたコンバータ制御信号PWCは、昇圧コンバータ200のスイッチング素子Q1及びQ2に出力される。昇圧制御部110は、以上のように構成される。
尚、図2に例示された構成は、電圧制御を実現する回路構成であるが、昇圧コンバータ200の制御形態は、このような電圧制御に限定されない。
次に、図5を参照し、インバータ制御部120の構成について説明する。ここに、図5は、インバータ制御部120のブロック図である。尚、同図において、既出の各図と重複する箇所には同一の符号を付してその説明を適宜省略することとする。尚、図5では、説明の簡素化のため、インバータ22の電気的負荷としてモータジェネレータMG1及びモータジェネレータMG2を含むモータジェネレータMGなる概念を用いることとする。
図5において、インバータ制御部120は、電流指令変換部121、電流制御部122、2相/3相変換部123、3相/2相変換部124、キャリア生成部114(昇圧制御部110と共用される)及びPWM変換部125から構成される。
電流指令変換部121は、モータジェネレータMGのトルク指令値TRに基づいて、2相の電流指令値(Idtg、Iqtg)を生成する。
一方、インバータ300からは、フィードバック情報として、v相電流Ivとw相電流Iwが3相/2相変換部124に供給される。3相/2相変換部124では、これらv相電流Iv及びw相電流Iwから、三相電流値が、d軸電流Id及びq軸電流Iqからなる2相電流値に変換される。変換された後の2相電流値は、電流制御部122に送出される。
電流制御部122では、電流指令変換部121において生成された2相の電流指令値と、この3相/2相変換部124から受け取った2相電流値Id及びIqとの差分に基づいて、d軸電圧Vd及びq軸電圧からなる2相の電圧指令値が生成される。生成された2相の電圧指令値Vd及びVqhは、2相/3相変換部123に送出される。
2相/3相変換部123では、2相の電圧指令値Vd及びVqが、3相電圧指令値Vu、Vv及びVwに変換される。変換された3相電圧指令値Vu,Vv及びVwは、PWM変換部125に送出される。
ここで、PWM変換部125は、キャリア生成部114から所定のキャリア周波数fcarを有するキャリアCarを受け取る構成となっており、このキャリアCarと、変換された3相の電圧指令値Vu、Vv及びVwとの大小関係を比較する。更に、PWM変換部125は、その比較結果に応じて論理状態が変化する、u相スイッチング信号Gup及びGun、v相スイッチング信号Gvp及びGvn並びにw相スイッチング信号Gwp及びGwnを生成してインバータ22に供給する。
より具体的には、各相に対応するスイッチング信号のうち、「p」なる識別子が付記された信号は、各相のスイッチング素子のうちp側スイッチング素子(Q3、Q5及びQ7並びにQ13、Q15及びQ17)を駆動するための駆動信号であり、「n」なる識別子が付記された信号は、各相のスイッチング素子のうちn側スイッチング素子(Q4、Q6及びQ8並びにQ4、Q6及びQ18)を駆動するための駆動信号を意味する。
ここで特に、キャリアCarと各相電圧指令値との比較において、各相電圧指令値がキャリアCarよりも小さい値からキャリアCarに一致すると、p側スイッチング素子をターンオンさせるためのスイッチング信号が生成される。また、各相電圧指令値がキャリアCarよりも大きい値からキャリアCarに一致すると、n側スイッチング素子をターンオンさせるためのスイッチング信号が生成される。即ち、スイッチング信号は、オンオフが表裏一体の信号であり、各相のスイッチング素子は、p側とn側とのうち常にいずれか一方がオン状態であり、他方がオフ状態となる。
インバータ22が、各相スイッチング信号により規定される各スイッチング素子の駆動状態に変化する又は維持されると、その変化した又は維持された駆動状態に対応する回路状態に従って、モータジェネレータMGが駆動される構成となっている。尚、このようなインバータ300の制御態様は、所謂PWM制御の一態様である。
尚、一般的に、車両駆動用のモータジェネレータMGは、上述したPWM制御の他に、公知の過変調制御及び矩形波制御が併用される場合が多い。本実施形態に係るモータ駆動システム10においても、インバータ22の制御態様は、車両の走行条件に応じて適宜切り替えられるものとする。
尚、PCU20には、不図示のバッテリ電流センサが付設されている。バッテリ電流センサは、バッテリ30の出力電流値Ioutを検出可能なセンサである。バッテリ電流センサは、ECU100と電気的に接続されており、検出された出力電流値Ioutは、ECU100により適宜参照される構成となっている。
<実施形態の動作>
次に本実施形態の動作について説明する。
次に本実施形態の動作について説明する。
<ハイブリッド車両1の走行モード>
ハイブリッド車両1は、ハイブリッド駆動装置10と駆動輪DWとの間の動力伝達態様を規定する走行モードとして、HV走行モードとEV走行モードとを有する。
ハイブリッド車両1は、ハイブリッド駆動装置10と駆動輪DWとの間の動力伝達態様を規定する走行モードとして、HV走行モードとEV走行モードとを有する。
HV走行モードは、動力分割機構300の動力分割作用を利用して、エンジントルクTeの一部である直達トルクTerと、モータジェネレータMG2の出力トルクであるMG2トルクTmg2とを協調的に駆動軸500に(即ち、駆動輪DWに)作用させる走行モードである。HV走行モードでは、エンジントルクTeの他の一部である反力トルクTesを利用して、モータジェネレータMG1の出力トルクであるMG1トルクTmg1により電力回生、即ち発電もまた行われる。
この際、エンジン200の動作点(機関回転数NEとエンジントルクTeとにより規定される動作条件)は、MG1トルクTmg1を反力トルクとして利用したハイブリッド駆動装置10の電気的CVT(Continuously Variable Transmission)機能により、自由に設定可能である。エンジン200の動作点は、好適な一形態として、基本的にはエンジン200の燃料消費率が最小となる最適燃費動作線上の一動作点である、最適燃費動作点に制御される。
これに対し、MG2トルクTmg2は、基本的には、駆動軸500に要求される駆動軸要求トルクに対して直達トルクTerでは不足する分を補うように制御される。即ち、HV走行モードでは、MG2トルクTmg2とエンジントルクTeとの協調制御がなされる。
例えば、この協調制御においては、バッテリ30のSOCが目標値に維持されるように、モータジェネレータMG1の発電量と、モータジェネレータMG2の放電量或いは更に補機装置の放電量とが絶えず調整される。例えば、バッテリ30のSOCが目標値よりも高ければ、駆動軸要求トルクに対するMG2トルクTmg2の比率が増やされる等して電力収支は放電側に傾き、反対に目標値よりも低ければ当該比率が減らされる、或いは、エンジン200の動力を利用して行われる発電に係る発電量が増加される等して電力収支は充電側に傾く。
一方、EV走行モードは、MG2トルクTmg2のみを駆動軸500に作用させ、モータジェネレータMG2の動力のみによりハイブリッド車両1を走行させる走行モードである。EV走行モードでは、基本的にエンジン200は機関停止状態とされるため(尚、補機装置に対する電力供給のための最低限の機関稼動がなされる場合もある)、燃料消費はゼロか、或いは無視し得る程度に少ない。但し、EV走行モードは、バッテリ12の電力収支上は、放電側に傾いた走行モードであるから、バッテリ30のSOCは基本的に減少し続ける。従って、EV走行モードは、バッテリ30のSOCも考慮してその実行可否が決定される。
<断続運転モードの概要>
ここで、ハイブリッド車両1は、車速Vが目標車速又は一定車速に概ね維持される定常走行時において、断続運転モードを選択可能に構成されている。断続運転モードは、上述したEV走行モードによる走行中であっても、HV走行モードによる走行中であっても、所定の実行条件が満たされた場合に実行される。
ここで、ハイブリッド車両1は、車速Vが目標車速又は一定車速に概ね維持される定常走行時において、断続運転モードを選択可能に構成されている。断続運転モードは、上述したEV走行モードによる走行中であっても、HV走行モードによる走行中であっても、所定の実行条件が満たされた場合に実行される。
断続運転モードは、加速走行と惰性走行とが繰り返される運転モードであり、加速走行時に相対的に多くの燃料消費を要するものの、ハイブリッド駆動装置10を無負荷運転とすることができる惰性走行時に節減される消費燃料がそれを上回る場合には、総体的な燃料消費を抑制することができる。このため、比較的大きな加減速が要求されない定常走行時においては、実行条件が満たされる限りにおいて好適に実行される。
尚、断続運転モードにおける惰性走行期間中は、エンジン200並びにモータジェネレータMG1及びMG2がいずれも停止状態とされる。従って、惰性走行期間においては、バッテリ30の充電が行われることはない。一方で、ハイブリッド車両1にはバッテリ30からの電力供給を必要とする各種の補機装置が備わっており、それら補機装置への電力供給は、惰性走行期間中においても継続される。このため、惰性走行期間においては、基本的にバッテリ30のSOCは低下する。
従って、断続運転モードの実践的運用面においては、この惰性走行期間におけるSOCの減少を、加速走行期間における発電により回復させる必要が生じる。即ち、加速走行期間においては、エンジン200に要求される要求出力Penが、加速走行に要する(即ち、駆動輪への動力供給に要する)駆動要求出力Pendと、バッテリ30の充電のために必要となる充電要求出力Pencとに基づいて(例えば、これらの加算値として)設定される。尚、充電要求出力Pencは、本発明に係る「発電要求出力」の一例である。バッテリ30のSOCは、この加速走行期間における充電作用により適宜回復する。尚、このように断続運転モードにおいては、加速走行期間において基本的にバッテリ30の充電が必要であるから、開始時点の走行モードがHVモードとEVモードとのいずれであっても、定常的には加速走行期間における走行モードはHVモードとなる。
尚、本発明に係るハイブリッド車両の採り得る構成の一として、駆動輪への動力供給が駆動用のモータジェネレータのみで行われ、エンジン及び発電用のモータジェネレータが、この駆動用のモータジェネレータの駆動電力を賄う発電システムとされる場合がある(例えば、所謂シリーズハイブリッドシステム)。このような場合には、ハイブリッド車両の採り得る走行モードはEV走行モードのみである。然るに、この場合も結局、断続運転モードにおける加速走行期間においては、エンジン200の発電負荷を増加してバッテリの充電規模を拡大する必要がある点に変わりはない。
断続運転モードが実行されると、ハイブリッド車両1の車速Vは、例えば、開始時点の車速Vを目標車速として、目標車速(好適には、開始時点の車速である)を含む所定範囲に維持される。例えば、惰性走行により車速Vが下限値VLLまで低下すると加速走行が開始され、加速走行により車速Vが上限値VULまで上昇すると、惰性走行が開始される。
断続運転モードは、例えば、ハイブリッド車両1の運転者が車室内部の操作ボタンを操作した場合や、定常走行状態が所定時間以上継続した場合等において生じる、一種の制御信号としての実行要求に応じて実行される。但し、断続運転モードの実行条件は、これに限定されない。
EV走行中であれ、HV走行中であれ、断続運転モードにおける惰性走行時には、駆動軸500への動力供給が不要になることから、モータジェネレータMG2の出力トルクTmg2はゼロとなる。
MG2の出力トルクTmg2をゼロとする制御態様には大別二種類ある。一方は、モータジェネレータMG2の目標トルクをゼロとするインバータ22Bの制御(所謂ゼロトルク制御)であり、他方は、インバータ22Bそのものの動作を停止させ、インバータ22Bをバッテリ30及び昇圧コンバータ21を含む電力供給系統から電気的に切り離す制御(所謂シャットダウン制御)である。これらは、いずれが選択されてもよいが、惰性走行時における電力消費抑制の観点に立てばシャットダウン制御が望ましい。一方で、惰性走行時に定常走行を逸脱した加減速走行が要求されることは珍しくない。そのような場合にシャットダウン制御が実施されていると、モータジェネレータMG2から駆動軸500へ然るべき正負いずれかのトルク供給を行うためにインバータ22を起動する必要がある。従って、インバータ22の起動時間や動作安定時間の分だけ、モータジェネレータMG2からの動力供給は遅れる。このような応答遅延は、動力性能及びドライバビリティの面では不利である。これらの点に鑑み、惰性走行期間においては、電力消費及びドライバビリティの観点から適宜いずれか一方が選択されてもよい。
また、本実施形態に係るハイブリッド駆動装置10には備わらないが、入力軸400と駆動軸500との間の動力伝達経路に、或いは、減速機構600と駆動軸500との間の動力伝達経路に、動力伝達を遮断するクラッチが設けられていてもよい。このようなクラッチが設けられ、断続運転モードにおける惰性走行期間において当該クラッチが解放状態に制御される場合、惰性走行期間において駆動輪DWに作用するフリクションロスを軽減することができるため、惰性走行期間を可及的に延長せしめることも可能となる。
<エンジン出力制御処理の詳細>
断続運転モードが実行される期間において、ECU100は、エンジン出力制御処理を実行する。エンジン出力制御処理は、加速走行期間におけるエンジン200の出力を制御する処理である。以下に、エンジン出力制御処理の詳細について説明する。
断続運転モードが実行される期間において、ECU100は、エンジン出力制御処理を実行する。エンジン出力制御処理は、加速走行期間におけるエンジン200の出力を制御する処理である。以下に、エンジン出力制御処理の詳細について説明する。
始めに、図6を参照し、エンジン出力制御処理の流れについて説明する。ここに、図6は、エンジン出力制御処理のフローチャートである。
図6において、ECU100は、惰性走行が開始されたか否かを判定する(ステップS110)。尚、惰性走行が開始されたか否かとは、別言すれば加速走行が終了したか否かを意味する。惰性走行が開始されない場合(ステップS110:NO)、即ち、加速走行が継続している場合、処理はステップS110で待機状態となる。
惰性走行が開始された場合(ステップS110:YES)、即ち、加速走行が終了した場合、ECU100は、電池出力Pout(例えば、単位はkW)を算出する(ステップS120)。電池出力Poutは、バッテリ30に係る出力電圧値Vout及び出力電流値Ioutから、下記(3)式に従って算出される。
Pout=Vout・Iout・・・(3)
電池出力Poutが算出されると、算出された電池出力Poutが積算され、消費電力量Wout(例えば、単位はkJ)に変換される(ステップS130)。
電池出力Poutが算出されると、算出された電池出力Poutが積算され、消費電力量Wout(例えば、単位はkJ)に変換される(ステップS130)。
ECU100は、ステップS120で算出される電池出力Poutを、算出タイミング毎にRAMやフラッシュメモリ等に記録する。この際、得られた電池出力Poutは、既に記録されている過去の電池出力Poutに積算され更新される。ステップS130に係る動作は、この更新処理に該当する。尚、この積算値としての消費電力量Woutは、処理がステップS110に戻される毎にクリアされる。
ECU100は、惰性走行が終了したか否かを判定する(ステップS140)。尚、惰性走行が終了したか否かとは、別言すれば加速走行が開始されたか否かを意味する。惰性走行が終了していない場合(ステップS140:NO)、処理はステップS120に戻される。即ち、電池出力Poutの算出及び消費電力量Woutの算出が継続される。
惰性走行が終了すると(ステップS140:YES)、加速走行時間Taccが算出される(ステップS150)。加速走行時間Taccとは、加速走行期間の長さである。加速走行時間Taccは、例えば、断続運転モードの設定加速度A(固定値であっても、適宜更新される可変値であってもよいが、現時点の加速走行に適用される値が使用される)と、断続運転モードの上限車速VUL及び加減速度VLLとを用いて、下記(4)式により算出される。尚、設定加速度Aを含む設定加減速度や、上下限速度は、断続運転モードの設定情報として、記憶されている。
Tacc=(VUL−VLL)/A・・・(4)
尚、ここでは、断続運転モードの上下限速度の差と設定加速度Aから算術的に加速走行時間Taccが求められる構成としたが、上下限速度及び設定加速度Aが直前の加速走行時から変化しない前提に立てば、直前の加速走行期間において加速走行時間をカウントしておき、ステップS150に利用する構成としてもよい。
尚、ここでは、断続運転モードの上下限速度の差と設定加速度Aから算術的に加速走行時間Taccが求められる構成としたが、上下限速度及び設定加速度Aが直前の加速走行時から変化しない前提に立てば、直前の加速走行期間において加速走行時間をカウントしておき、ステップS150に利用する構成としてもよい。
加速走行時間Taccが算出されると、第2充電要求出力基準値Penc2bsが算出される(ステップS160)。第2充電要求出力基準値Penc2bsは、下記(5)式に従って算出される。
Penc2bs=Wout/Tacc・・・(5)
上記(5)式から明らかなように、第2充電要求出力基準値Penc2bsは、惰性走行期間においてバッテリ30が消費した電力に相当する電力を加速走行期間においてバッテリ30に充電するための単位時間当たりの要求充電量(例えば、単位はkW)である。
上記(5)式から明らかなように、第2充電要求出力基準値Penc2bsは、惰性走行期間においてバッテリ30が消費した電力に相当する電力を加速走行期間においてバッテリ30に充電するための単位時間当たりの要求充電量(例えば、単位はkW)である。
第2充電要求出力基準値Penc2bsが算出されると、第2充電要求出力Penc2が下記(6)式に従って算出される(ステップS160)。第2充電要求出力Penc2は、惰性走行期間において消費された電力を加速走行期間においてバッテリ30に充電するために必要となるエンジン200の発電負荷に相当し、本発明に係る「第2の発電要求出力」の一例である。
Penc2=Penc2bs/ηchg・・・(6)。
ここで、ηchgは、バッテリ30の充電効率であり、例えば、0.8(即ち、80%)程度の値である。充電効率ηchgは、予めROMに固定値として記憶されている。上記(6)式の如くに充電効率ηchgが考慮されるのは、エンジン200の要求出力に上記第2充電要求出力基準値Penc2bsを上乗せした場合に最終的にバッテリ30に充電される電力を、惰性走行期間における消費電力と一致させるためである。即ち、エンジン200の動力の一部(トルクTes)を利用したMG1の発電電力の一部が、熱等に変換されて消費されることを見越した上での措置である。
第2充電要求出力Penc2が算出されると、ECU100は、第1熱効率η1を算出する(ステップS180)。第1効率η1は、エンジン200の要求出力Penとして、第1要求出力Pen1が採用された場合のエンジン200の熱効率である。第1要求出力Pen1は、下記(7)式に従って算出される。
Pen1=Pend+Penc1・・・(7)
ここで、Pendは、先に述べたように、加速走行期間において駆動軸に動力供給を行うための駆動要求出力である。駆動要求出力Pendの値は、車速V及び加速走行期間の設定加速度等に基づいて制御マップから取得される要求駆動力に基づいて公知の手法により決定される。
ここで、Pendは、先に述べたように、加速走行期間において駆動軸に動力供給を行うための駆動要求出力である。駆動要求出力Pendの値は、車速V及び加速走行期間の設定加速度等に基づいて制御マップから取得される要求駆動力に基づいて公知の手法により決定される。
Penc1は、第1充電要求出力である。第1充電要求出力Penc1は、その時点のバッテリ30のSOCに応じて、制御マップから取得される。第1充電要求出力Penc1は、本発明に係る「第1の発電要求出力」の一例である。第1充電要求出力Penc1は、段階的に、バッテリ30のSOCが低い程大きく設定される。
第1熱効率η1は、熱効率マップから取得される。熱効率マップは、機関回転数NEとエンジントルクTeとに対応付けられる形でエンジン200の熱効率ηを記述してなる制御マップである。熱効率マップは、例えばROMに格納されており、ECU100は、第1要求出力Pen1が決定されると、別途記憶される動作点マップから、最適燃費線上で第1要求出力Pen1に相当する動作点(即ち、最適燃費動作点)を確定し、当該動作点に対応する熱効率ηを第1熱効率η1として熱効率マップから取得する。尚、このようなマップから該当値を選択する動作も、算出の一態様である。
第1熱効率η1が算出されると、ECU100は、第2熱効率η2を算出する(ステップS190)。第2効率η1は、エンジン200の要求出力Penとして、第2要求出力Pen2が採用された場合のエンジン200の熱効率である。第2要求出力Pen2は、下記(8)式に従って算出される。
Pen2=Pend+Penc2・・・(8)
ここで、Penc2は、ステップS170において算出された第2充電要求出力である。第2熱効率η2は、第1熱効率η1と同様に、熱効率マップから取得される。ECU100は、第2要求出力Pen2が決定されると、別途記憶される動作点マップから、最適燃費線上で第2要求出力Pen2に相当する動作点(即ち、最適燃費動作点)を確定し、当該動作点に対応する熱効率ηを第2熱効率η2として熱効率マップから取得する。
ここで、Penc2は、ステップS170において算出された第2充電要求出力である。第2熱効率η2は、第1熱効率η1と同様に、熱効率マップから取得される。ECU100は、第2要求出力Pen2が決定されると、別途記憶される動作点マップから、最適燃費線上で第2要求出力Pen2に相当する動作点(即ち、最適燃費動作点)を確定し、当該動作点に対応する熱効率ηを第2熱効率η2として熱効率マップから取得する。
第1熱効率η1及び第2熱効率η2が算出されると、ECU100は、これらを比較し、第2熱効率η2が第1熱効率η1以上であるか否かを判定する(ステップS200)。
第2熱効率η2が第1熱効率η1以上である場合には(ステップS200:YES)、ECU100は、加速走行期間におけるエンジン200の要求出力Penを第2要求出力Pen2に設定し(ステップS210)、処理をステップS110に戻す。一方、第2熱効率η2が第1熱効率η1未満である場合(ステップS200:NO)、ECU100は、加速走行期間におけるエンジン200の要求出力Penを第1要求出力Pen1に設定し(ステップS220)、処理をステップS110に戻す。エンジン出力制御処理はこのように行われる。
ここで、図7を参照し、エンジン出力制御について視覚的に説明する。ここに、図7は、エンジン200の動作点と熱効率との関係を表す図である。尚、図7において、既出の各図と重複する箇所には同一の符号を付してその説明を適宜省略することとする。
図7において、縦軸にエンジントルクTeが、横軸に機関回転数NEが夫々表されている。この座標平面上の一座標点は、エンジン200の動作点に相当する。
図中実線に示される最適燃費動作線は、エンジン出力Pe毎に燃料消費率が最小となる動作点(最適燃費動作点)を繋いで得られる線である。通常、エンジン200の動作点は、この最適燃費線上の最適燃費動作点に制御される。
ここで、エンジン出力制御において算出された第1要求出力Pen1及び第2要求出力Pen2に夫々相当する等出力線を、図7の座標平面に表すと、夫々図示等出力線Lpen1(破線参照)及び等出力線Lpen2(破線参照)となる。要求出力Penが第1要求出力Pen1に設定された場合のエンジン200の動作点は、最適燃費動作線と、この等出力線Lpen1との交点に相当する動作点m1(白丸参照)である。同様に、要求出力Penが第2要求出力Pen2に設定された場合のエンジン200の動作点は、最適燃費動作線と、この等出力線Lpen2との交点に相当する動作点m2(白丸参照)となる。
ここで、図7において、エンジン200の熱効率は、楕円のハッチング領域のようになる。例えば、熱効率ηがηt1となる等熱効率領域Aef1は最も濃いハッチング領域であり、熱効率ηがηt2(ηt2<ηt1)となる等熱効率領域Aef2は、中間のハッチング領域であり、熱効率ηがηt3(ηt3<ηt2)となる等熱効率領域Aef3は、最も薄いハッチング領域である。尚、当然ながら、実際の熱効率はより精細に分類され、等熱効率領域も、図示する以外に座標平面上の全域に展開される。図示されるのは、説明を平易化するための概念図である。
図7には、第1要求出力Pen1に対応する第1熱効率η1と、第2要求出力Pen2に対応する第2熱効率η2とが等しい状況が示されている。即ち、双方の要求出力に対応する動作点が、同じ等熱効率領域に属している。
このような場合、先述したエンジン出力制御処理によれば、エンジン200の要求出力Penとして第2要求出力Pen2が採用される。また、図示する関係とは異なるが、第1要求出力Pen1に対応する動作点m1の所属する等熱効率領域に係る熱効率が、第2要求出力Pen2に対応する動作点m2の所属する等熱効率領域に係る熱効率よりも高い場合には、エンジン200の要求出力Penとして第1要求出力Pen1が採用される。
次に、図8を参照し、エンジン出力制御の効果について説明する。ここに、図8は、断続運転期間におけるバッテリ30のSOCの時間推移を例示する図である。尚、同図において、既出の各図と重複する箇所には同一の符号を付してその説明を適宜省略することとする。
図8において、上段から順に、車速V、第1充電要求出力Penc1、第1充電要求出力に従って充電されたバッテリ30のSOC、第2充電要求出力Penc2及び第2充電要求出力に従って充電されたバッテリ30のSOCの各時間推移が例示される。
断続運転期間においては、車速Vは、実質的な目標車速となる制御中心車速Vcentと、下限車速VLL及び上限車速VULとの間で、図示鋸歯状に変化する。尚、図示時刻t1〜t2、t3〜t4、t5〜t6に相当する期間が加速走行期間であり、図示時刻t0〜t1、t2〜t3、t4〜t5及びt6〜t7に相当する期間が惰性走行期間である。図8には、時刻t0において断続運転モードによる走行が開始された状況が例示されている。
ここで、充電要求出力Pencが、第1充電要求出力Penc1に設定される場合、即ち、エンジン200の要求出力Penが、第1要求出力Pen1に設定される場合、バッテリ30のSOCは、断続運転期間の開始時点である時刻t=0におけるSOC0から、徐々に大略減少傾向を辿る。これは、加速走行期間における発電量が、惰性走行期間における消費電力量と釣り合っていないためである。また、SOCが減少傾向を辿る過程で、第1充電要求出力Penc1はSOCが低下するのに応じて徐々に増大する。この増大した第1充電要求出力Penc1に応じて得られる発電量が、惰性走行期間における消費電力量と釣り合った段階で、バッテリ30のSOCは平均的に収束値SOCcentに収束する。図8では、時刻t5〜t6における加速走行期間において得られる発電量が、時刻t4〜t5における惰性走行期間において消費された電力量と釣り合っている。このように、エンジン200の要求出力Penを、第1充電要求出力Penc1により規定される第1要求出力Pen1に制御すると、断続運転期間中のSOCが、断続運転開始時点のSOCから低下する。従って、場合によっては、断続運転モードが終了した時点以降に、エンジン200が発電のために始動する事態や、エンジン200の発電負荷が増大する事態が生じ、断続運転期間を含む長期の燃料消費率が悪化する可能性がある。尚、図では、断続運転開始時点である時刻t0における第1充電要求出力Penc1がゼロとなっているが、断続運転モードによる走行が開始される時点で充電要求がある場合には、その値が時刻t0における初期値であってもよい。
これに対して、充電要求出力Pencが、第2充電要求出力Penc2に設定される場合、即ち、エンジン200の要求出力Penが、第2要求出力Pen2に設定される場合、バッテリ30のSOCは、平均的に、断続運転期間の開始時点である時刻t0におけるSOC0に維持される。これは、加速走行期間における発電量が、惰性走行期間における消費電力量と釣り合っているためである。
このように、充電要求出力Pencが第2充電要求出力Penc2に設定された場合には、理想的には、断続運転モードの実行前後においてSOCが変化しない。従って、断続運転期間終了後の不要な燃料消費率の悪化が生じることがない。また、この第2充電要求出力Penc2に応じた第2要求出力Pen2は、第1充電要求出力Penc1に応じた第1要求出力Pen1と較べて熱効率が低下しない場合に選択が許可される。このため、第2要求出力Pen2を選択したが為に、エンジン200が、加速走行期間において常に燃料消費率の良好でない動作点で動作するといった事態も生じることがない。即ち、エンジン出力制御処理によれば、断続運転期間を含む長期にわたるエンジン200の燃料消費率の悪化を好適に抑制することができるのである。
尚、本実施形態においては、第2熱効率η2が第1熱効率η1以上である場合に第2要求出力Pen2の選択が許可される構成としたが、これは一例である。実践的には、第2要求出力Pen2が選択された場合、第1要求出力Pen1が選択された場合よりも加速走行期間における熱効率は若干低下することが多い。一方で、熱効率の低下幅が許容範囲に収まっていれば、上述したSOCが収束値SOCcentまで低下することによる長期的観点からの燃料消費率の悪化の方が燃料消費率の悪化により大きい影響を与え得る。このような観点から、予め実験的に、経験的に又は理論的に、第2熱効率η2と第1熱効率η1との間に許容され得る許容偏差が設定されていてもよい。例えば、第2要求出力Pen2が選択された場合の熱効率の悪化が、1%程度に収まる場合には、第2要求出力Pen2が要求出力Penに設定されてよい。
本発明は、上述した実施形態に限られるものではなく、請求の範囲及び明細書全体から読み取れる発明の要旨或いは思想に反しない範囲で適宜変更可能であり、そのような変更を伴うハイブリッド車両の走行制御装置もまた本発明の技術的範囲に含まれるものである。
本発明は、断続運転モードによる断続運転が可能なハイブリッド車両の走行制御に適用可能である。
1…ハイブリッド車両、10…ハイブリッド駆動装置、20…PCU、30…バッテリ、MG1、MG2…モータジェネレータ、100…ECU、200…エンジン、300…動力分割機構、400…入力軸、500…駆動軸、600…減速機構。
Claims (4)
- 内燃機関を含む動力源と、
前記内燃機関の動力により発電が可能な回転電機と、
バッテリと
を備え、
定常走行時の走行モードとして、前記動力源から駆動輪への動力伝達が停止された惰性走行と、前記発電により得られた電力を前記バッテリに充電しつつ前記動力源から前記駆動輪への動力伝達が行われる加速走行とが繰り返される断続運転モードを選択可能に構成されてなるハイブリッド車両を制御する、ハイブリッド車両の走行制御装置であって、
前記バッテリのSOCから、前記加速走行が行われる加速走行期間における、前記発電に要する前記内燃機関の第1の発電要求出力を決定する第1決定手段と、
前記惰性走行が行われる惰性走行期間における前記バッテリの消費電力を推定する消費電力推定手段と、
前記加速走行期間の長さ及び前記推定された消費電力から、前記発電に要する前記内燃機関の第2の発電要求出力を決定する第2決定手段と、
前記加速走行期間における、前記駆動輪の駆動に要する前記内燃機関の駆動用要求出力及び前記決定された第1の発電要求出力から決定される前記内燃機関の第1の要求出力に対応する前記内燃機関の第1の熱効率と、前記駆動用要求出力及び前記決定された第2の発電要求出力から決定される前記内燃機関の第2の要求出力に対応する前記内燃機関の第2の熱効率との比較を行う比較手段と、
前記比較の結果に基づいて前記加速走行期間における前記内燃機関の要求出力を決定する第3決定手段と
を具備することを特徴とするハイブリッド車両の走行制御装置。 - 前記第1の発電要求出力は、前記バッテリのSOCが低い程大きく設定され、
前記第2の発電要求出力は、前記惰性走行期間における前記バッテリの消費電力に相当する
ことを特徴とする請求項1に記載のハイブリッド車両の走行制御装置。 - 前記第3決定手段は、前記比較の結果、前記第2の熱効率が前記第1の熱効率以上であるか、又は前記第2の熱効率と前記第1の熱効率との偏差が所定値以内である場合に、前記第2の要求出力に基づいて前記要求出力を決定する
ことを特徴とする請求項1又は2に記載のハイブリッド車両の走行制御装置。 - 前記第3決定手段は、前記要求出力を前記第2の要求出力に決定する
ことを特徴とする請求項3に記載のハイブリッド車両の走行制御装置。
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