JP6019840B2 - 電源装置の制御装置およびそれを搭載する車両 - Google Patents

電源装置の制御装置およびそれを搭載する車両 Download PDF

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Description

本発明は、電源装置の制御装置およびそれを搭載する車両に関し、より特定的には、エンジンと回転電機とを備えるハイブリッド車両における、エンジン始動時の電源制御に関する。
近年、環境に配慮した車両として、蓄電装置(たとえば二次電池やキャパシタなど)を搭載し、蓄電装置に蓄えられた電力を用いて、モータによって発生する駆動力により走行する車両が注目されている。このような車両には、たとえば電気自動車、ハイブリッド自動車、燃料電池車などが含まれる。
そして、このような車両において、電力による走行距離をさらに延ばすために、複数の蓄電装置が駆動装置などの負荷に並列に設けられる構成を有する場合がある。
特開2011−199934号公報(特許文献1)は、モータジェネレータを駆動するインバータに接続された第1の蓄電装置と、インバータに対して昇圧コンバータを介して第1の蓄電装置と並列に接続された第2の蓄電装置とを有する電源装置を備える電動車両を開示する。
特開2011−199934号公報(特許文献1)においては、大容量,高電圧の第1の蓄電装置からの電力と、低電圧,高出力型の第2の蓄電装置からの出力電圧を昇圧した電力とを、要求電力に応じて適宜選択する。一般的に、蓄電装置の高容量化と高出力化は、その特性が背反することから、一種類の蓄電装置でこの2つの要求を満足することは困難である。しかし、特開2011−199934号公報(特許文献1)のような構成とすることによって、通常走行においては、第1の蓄電装置と第2の蓄電装置とを併用することによって大容量化が実現され、急激な加速などの高い駆動力が必要となるときには、第2の蓄電装置からの出力電圧を昇圧してインバータに供給することによって高出力化が実現される。このような電源装置の構成とすることによって、電源装置全体として高容量かつ高出力を達成することができる。
特開2011−199934号公報 特開2007−189829号公報 特開2006−121874号公報
特開2011−199934号公報(特許文献1)のような構成の電源装置においては、昇圧コンバータを介さない第1の蓄電装置を使用する場合には、インバータへ供給する直流電圧を第1の蓄電装置の出力電圧よりも高くすることはできない。
上記のような電源装置を、エンジンを搭載したハイブリッド車両に適用した場合、モータジェネレータからの駆動力のみで走行するいわゆるEV(Electric Vehicle)走行中にエンジンの始動を行なう際には、エンジンをクランキングするための駆動力が必要となる。そして、第1の蓄電装置と第2の蓄電装置とを併用した状態(すなわち、低電圧)で走行している場合において、このクランキングトルクが達成できないときには、上述のように、インバータに供給する電圧を昇圧することが必要となる。しかしながら、この場合、第1の蓄電装置の電力が使用できなくなるために電源装置全体から供給可能な電力が制限されてしまい、逆に走行のための駆動力が確保できなくなる可能性がある。
一方で、エンジン始動時にインバータへ供給する電圧を昇圧しない場合には、EV走行可能領域が、エンジンのクランキングトルクが確保できる運転範囲に制限されてしまう可能性がある。
本発明は、このような課題を解決するためになされたものであって、その目的は、負荷に並列に接続された2つの蓄電装置を有し、その一方が昇圧コンバータを介して負荷に接続される電源装置を備えたハイブリッド車両において、エンジン始動トルクを確保しながらEV走行領域をできるだけ拡大することである。
本発明による電源装置の制御装置は、車両の負荷装置に電力を供給する電源装置を制御する。電源装置は、第1の蓄電装置と、第1の蓄電装置の電圧を変換して負荷装置に供給する電圧変換装置と、負荷装置に対して電圧変換装置と並列に接続された第2の蓄電装置とを含む。負荷装置は、エンジンと、エンジンを始動するための第1の回転電機とを含む。制御装置は、エンジンを始動する際に、負荷装置へ供給する電圧を第2の蓄電装置の出力電圧と略同じ大きさの状態とする第1のモードと、負荷装置へ供給する電圧を第2の蓄電装置の出力電圧よりも高い電圧の状態とする第2のモードとを、車両の状態に基づいて切換える。
好ましくは、車両の状態は、車両の走行速度を含む。制御装置は、走行速度が予め定められた第1の基準速度を下回る場合には第1のモードを選択し、走行速度が第1の基準速度を上回る場合には第2のモードを選択する。
好ましくは、負荷装置は、第1および第2の蓄電装置の少なくとも1つからの電力を用いて車両の駆動力を発生させる第2の回転電機と、エンジン、ならびに第1および第2の回転電機に結合され、遊星歯車機構を有する動力分割機構とをさらに含む。遊星歯車機構のサンギヤには第1の回転電機が結合され、リングギヤには第2の回転電機が結合され、プラネタリキャリアにはエンジンが結合される。制御装置は、第1のモードが選択された場合は、第2の回転電機に要求される駆動力が、第2の回転電機の回転速度から定まる所定のしきい値を上回るときにエンジンを始動する。
好ましくは、負荷装置は、第1および第2の蓄電装置の少なくとも1つからの電力を用いて車両の駆動力を発生させる第2の回転電機と、エンジン、ならびに第1および第2の回転電機に結合され、遊星歯車機構を有する動力分割機構とをさらに含む。遊星歯車機構のサンギヤには第1の回転電機が結合され、リングギヤには第2の回転電機が結合され、プラネタリキャリアにはエンジンが結合される。制御装置は、第2のモードが選択された場合は、第2の回転電機に要求される駆動力が第2の回転電機の回転速度から定まる所定のしきい値を上回るとき、または、第2の回転電機の回転速度が第1の基準速度よりも大きい第2の基準速度を上回るときにエンジンを始動する。
好ましくは、制御装置は、第1のモードが選択された場合は、電圧変換装置を制御することによって、負荷装置への総供給電力における第1の蓄電装置から出力される電力の第1の割合および第2の蓄電装置から出力される電力の第2の割合を制御する。制御装置は、第1のモードが選択された場合は、エンジンのクランキング開始後、第2の割合を時間とともに低減させ、低減した電力を補うように第1の割合を増加させる。
好ましくは、制御装置は、第2の割合がゼロとなったことに応答して、第1のモードから第2のモードへ移行する。
好ましくは、負荷装置は、第1および第2の蓄電装置の少なくとも1つからの電力を用いて車両の駆動力を発生させる第2の回転電機と、エンジン、ならびに第1および第2の回転電機に結合され、遊星歯車機構を有する動力分割機構とをさらに含む。遊星歯車機構のサンギヤには第1の回転電機が結合され、リングギヤには第2の回転電機が結合され、プラネタリキャリアにはエンジンが結合される。制御装置は、第1のモードが選択された場合は、第2の回転電機に要求される駆動力が、第2の回転電機の回転速度から定まる所定のしきい値を上回るときにエンジンを始動する。制御装置は、負荷装置に供給される第2の蓄電装置からの電力がゼロとなると予測される時刻において必要とされる第1の回転電機の回転速度が、基準回転速度を上回ると予測される場合には、第2の回転電機に要求される駆動力がしきい値を上回る前にエンジンを始動する。
好ましくは、負荷装置は、第1および第2の蓄電装置の少なくとも1つからの電力を用いて車両の駆動力を発生させる第2の回転電機と、第2の回転電機を駆動するための電力変換装置とをさらに含む。第2の回転電機は、第2の回転電機に印加される矩形波電圧の電圧位相を制御する矩形波制御モード、および、搬送波と第2の回転電機を動作させるための交流電圧指令との比較に基づくパルス幅変調制御モードのいずれかにより制御される。制御装置は、エンジンを始動する際に、第1および第2のモードのうちパルス幅変調制御モードで動作可能なモードを優先的に選択する。
本発明による車両は、電源装置と、電源装置からの電力により動作する負荷装置と、電源装置を制御するための制御装置とを備える。電源装置は、第1の蓄電装置と、第1の蓄電装置の電圧を変換して負荷装置に供給する電圧変換装置と、負荷装置に対して電圧変換装置と並列に接続された第2の蓄電装置とを含む。負荷装置は、エンジンと、エンジンを始動するための回転電機とを含む。制御装置は、エンジンを始動する際に、負荷装置へ供給する電圧を第2の蓄電装置の出力電圧と略同じ大きさの状態とする第1のモードと、負荷装置へ供給する電圧を第2の蓄電装置の出力電圧よりも高い電圧の状態とする第2のモードとを、車両の状態に基づいて切換える。
本発明によれば、負荷に並列に接続された2つの蓄電装置を有し、その一方が昇圧コンバータを介して負荷に接続される電源装置を備えたハイブリッド車両において、エンジン始動トルクを確保しながらEV走行領域を拡大することができる。
本実施の形態に従うハイブリッド車両の全体ブロック図である。 本実施の形態に従うハイブリッド車両の他の例を示す全体ブロック図である。 蓄電装置B1,B2からの電力を併用する場合のEV走行領域を説明するための図である。 システム電圧とエンジンクランキングトルクとの関係を説明するための図である。 エンジン始動時における、車速とモータジェネレータ140の回転速度との関係を説明するための図である。 システム電圧を蓄電装置B2の出力電圧よりも高くする場合のEV走行領域を説明するための図である。 実施の形態1に従う電源制御を用いた場合のEV走行領域を説明するための図である。 実施の形態1において、ECUで実行される電源制御を説明するための機能ブロック図である。 実施の形態1において、ECUで実行される電源制御処理を説明するためのフローチャートである。 実施の形態2に従う電源制御を適用しない場合の、蓄電装置およびエンジンの出力割合の時間変化を説明するための図である。 実施の形態2に従う電源制御を適用しない場合の問題点を説明するための図である。 実施の形態2に従う電源制御を適用した場合の、蓄電装置およびエンジンの出力割合の時間変化を説明するための図である。 実施の形態2において、ECUで実行される電源制御処理を説明するためのフローチャートである。 図13におけるステップS170の処理の詳細を説明するためのフローチャートである。 実施の形態3において、ECUで実行される電源制御処理を説明するためのフローチャートである。 図15におけるステップS180の処理の詳細を説明するためのフローチャートである。 モータジェネレータの駆動モードを説明するための図である。 EV走行領域において、エンジン始動時のモータジェネレータの制御モードを説明するための図である。 実施の形態4において、図18の各領域におけるエンジン始動モードを説明するための図である。 実施の形態4において、ECUで実行されるエンジン始動制御を説明するためのフローチャートである。
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。なお、図中同一または相当部分には同一符号を付してその説明は繰り返さない。
[車両の基本構成]
図1は、本実施の形態に従うハイブリッド車両100(以下、単に「車両」とも称する。)の全体ブロック図である。
図1を参照して、車両100は、電源装置110と、負荷装置105と、制御装置であるECU300(Electronic Control Unit)とを備える。電源装置110は、蓄電装置B1,B2と、システムメインリレー(System Main Relay:SMR)115と、電圧変換装置であるコンバータ120と、キャパシタC1,C2とダイオードD10とを含む。
負荷装置105は、インバータ130,135と、モータジェネレータ140,145と、動力伝達ギヤ150と、エンジン160と、駆動輪170と、回転角センサ190,195とを含む。
蓄電装置B1,B2は、充放電可能に構成された電力貯蔵要素である。蓄電装置B1,B2は、たとえば、リチウムイオン電池、ニッケル水素電池あるいは鉛蓄電池などの二次電池や、電気二重層キャパシタなどの蓄電素子を含んで構成される。
蓄電装置B1は、電力線PL1,NL1を介してコンバータ120に接続される。蓄電装置B1からの電力は、コンバータ120で所望の電圧に昇圧されて負荷装置105に供給される。また、蓄電装置B1は、モータジェネレータ140,145で発電された電力を蓄電する。蓄電装置B1の出力はたとえば200V程度である。
蓄電装置B1には、図示しない電圧センサおよび電流センサが設けられる。電圧センサは、蓄電装置B1の電圧を検出し、その検出値VB1をECU300へ出力する。電流センサは、蓄電装置B1に入出力される電流を検出し、その検出値IB1をECU300へ出力する。
一方、蓄電装置B2は、負荷装置105に対して、コンバータ120に並列に接続される。蓄電装置B2の正極端子は、ダイオードD10を介して電力線PL2に接続される。蓄電装置B2の負極端子は電力線NL1に接続される。蓄電装置B2は、蓄電装置B1に比べて高電圧かつ大容量であり、たとえば、その出力電圧は400V程度である。
ダイオードD10は、電力線Pl2,NL1間の電圧VH(以下、「システム電圧」とも称する。)が蓄電装置B2の出力電圧よりも高くされたときに、電力線PL2から蓄電装置B2へ電流が流れることを防止するために設けられる。そのため、電力線PL2から蓄電装置B2への電流を防止することができれば、図1のダイオードD10に代えて、図2に示される車両100AのようなスイッチSW10を採用することも可能である。
蓄電装置B2には、図示しない電圧センサおよび電流センサが設けられる。電圧センサは、蓄電装置B2の電圧を検出し、その検出値VB2をECU300へ出力する。電流センサは、蓄電装置B2に入出力される電流を検出し、その検出値IB2をECU300へ出力する。
SMR115は、蓄電装置B1の正極端子と電力線PL1とに接続されるリレーと、蓄電装置B1の負極端子と電力線NL1に接続されるリレーとを含む。そして、SMR115は、ECU300からの制御信号SE1によって制御され、蓄電装置B1と負荷装置105との間での電力の供給と遮断とを切換える。
キャパシタC1は、電力線PL1と電力線NL1との間に接続される。キャパシタC1は、電力線PL1と電力線NL1との間の電圧変動を低減する。電圧センサ180は、キャパシタC1にかかる電圧VLを検出し、その検出値をECU300へ出力する。
コンバータ120は、スイッチング素子Q1,Q2と、ダイオードD1,D2と、リアクトルL1とを含む。
スイッチング素子Q1およびQ2は、電力線PL2と電力線NL1との間に、電力線PL2から電力線NL1に向かう方向を順方向として直列に接続される。なお、本実施の形態において、スイッチング素子としては、IGBT(Insulated Gate Bipolar Transistor)、電力用MOS(Metal Oxide Semiconductor)トランジスタあるいは、電力用バイポーラトランジスタ等を用いることができる。
スイッチング素子Q1,Q2に対して、逆並列ダイオードD1,D2がそれぞれ接続される。リアクトルL1は、スイッチング素子Q1およびQ2の接続ノードと、電力線PL1との間に設けられる。すなわち、コンバータ120は、昇降圧型のチョッパ回路を形成する。
スイッチング素子Q1,Q2は、ECU300からの制御信号PWCによって制御され、電力線PL1および電力線NL1と、電力線PL2および電力線NL1との間で電圧変換動作を行なう。
コンバータ120は、基本的には、各スイッチング周期内でスイッチング素子Q1およびQ2が相補的かつ交互にオン・オフするように制御される。コンバータ120は、昇圧動作時には、直流電圧VLを直流電圧VHに昇圧する。この昇圧動作は、スイッチング素子Q2のオン期間にリアクトルL1に蓄積された電磁エネルギを、スイッチング素子Q1および逆並列ダイオードD1を介して、電力線PL2へ供給することにより行なわれる。
また、コンバータ120は、降圧動作時には、直流電圧VHを直流電圧VLに降圧する。この降圧動作は、スイッチング素子Q1のオン期間にリアクトルL1に蓄積された電磁エネルギを、スイッチング素子Q2および逆並列ダイオードD2を介して、電力線NL1へ供給することにより行なわれる。
これらの昇圧動作および降圧動作における電圧変換比(VHおよびVLの比)は、上記スイッチング周期におけるスイッチング素子Q1,Q2のオン期間比(デューティ比)により制御される。なお、昇圧動作および降圧動作が不要の場合(すなわち、VH=VL)には、スイッチング素子Q1およびQ2をオンおよびオフにそれぞれ固定するように制御信号PWCを設定することで、電圧変換比=1.0(デューティ比=100%)とすることもできる。
なお、蓄電装置B1,B2が併用して用いられる場合には、デューティ比を変更することによって、負荷装置105へ供給する全体の電力のうち、各蓄電装置に分担する電力の割合を制御することもできる。
キャパシタC2は、コンバータ120とインバータ130,135とを結ぶ電力線PL2と電力線NL1との間に接続される。キャパシタC2は、電力線PL2と電力線NL1との間の電圧変動を低減する。電圧センサ185は、キャパシタC2にかかる電圧VHを検出し、その検出値をECU300へ出力する。
インバータ130,135は、電力線PL2および電力線NL1によって、コンバータ120に対して並列に接続される。インバータ130,135は、ECU300からの制御指令PWI1,PWI2によりそれぞれ制御され、コンバータ120から出力される直流電力を、モータジェネレータ140,145をそれぞれ駆動するための交流電力に電力変換する。インバータ130,135は、たとえば、U相,V相,W相の上下アームを有する三相フルブリッジタイプのインバータである。
モータジェネレータ140,145は交流回転電機であり、たとえば、永久磁石が埋設されたロータを備える永久磁石型同期電動機である。
モータジェネレータ140,145の出力トルクは、減速機や動力分割機構によって構成される動力伝達ギヤ150を介して駆動輪170に伝達されて、車両100を走行させる。また、モータジェネレータ140,145は動力伝達ギヤ150を介してエンジン160とも結合される。そして、ECU300により、モータジェネレータ140,145およびエンジン160が協調的に動作されて必要な車両駆動力が発生される。さらに、モータジェネレータ140,145は、エンジン160の回転または駆動輪170の回転により発電が可能であり、その発電電力は、インバータ130,135によって蓄電装置B1の充電電力に変換される。
本実施の形態においては、モータジェネレータ145(以下、「MG2」とも称する。)を専ら駆動輪170を駆動するための電動機として用い、モータジェネレータ140(以下、「MG1」とも称する。)を専らエンジン160により駆動される発電機として用いるものとする。また、モータジェネレータ140は、エンジン160を始動する際には、エンジン160のクランク軸をクランキングするために用いられる。
モータジェネレータ140の出力軸は、動力伝達ギヤ150に含まれるプラネタリギヤ(図示せず)のサンギヤに結合される。モータジェネレータ145の出力軸はプラネタリギヤのリングギヤに結合されるとともに、減速機を介して駆動輪170にも結合される。また、エンジン160の出力軸はプラネタリギヤのプラネタリキャリアに結合される。
回転角センサ190,195は、モータジェネレータ140,145にそれぞれ設けられる。回転角センサ190,195は、モータジェネレータ140,145の回転角θ1,θ2をそれぞれ検出し、その検出値をECU300へ出力する。ECU300は、回転角センサ190,195からの回転角θ1,θ2に基づいて、モータジェネレータ140,145の回転速度Nm1,Nm2または角速度を演算する。
ECU300は、いずれも図1には図示しないがCPU(Central Processing Unit)、記憶装置および入出力バッファを含み、各センサ等からの信号の入力や各機器への制御信号の出力を行なうとともに、車両100および各機器の制御を行なう。なお、これらの制御については、ソフトウェアによる処理に限られず、専用のハードウェア(電子回路)で処理することも可能である。
ECU300は、蓄電装置B1,B2からの電圧VB1,VB2および電流IB1,IB2の検出値を受ける。ECU300は、これらの電圧および電流に基づいて、蓄電装置B1,B2のそれぞれの充電状態(以下、SOC(State of Charge)とも称する。)を演算する。
なお、図1においては、ECU300として1つの制御装置を設ける構成としているが、たとえば、負荷装置105用の制御装置や蓄電装置B1,B2用の制御装置などのように、機能ごとまたは制御対象機器ごとに個別の制御装置を設ける構成としてもよい。
[実施の形態1]
上記のような車両100においては、モータジェネレータ145からの駆動力のみを用いて走行するEV走行と、主にエンジン160からの駆動力を用いながら、加速時等の高出力時のような場合に必要に応じてモータジェネレータ145からの駆動力を併用するHV(Hybrid Vehicle)走行とを選択的に切換えることが可能である。
そして、このようなハイブリッド車両においては、CO2や排気ガスの低減、および騒音の低減などの環境的な観点から、EV走行をできるだけ広範囲な車両状態に対して適用し、かつ長時間継続することが望まれている。
図1および図2の例に示されるような2つの蓄電装置を備える車両においては、上述のように蓄電装置B2は負荷装置105に直接的に接続されているので、蓄電装置B1のように出力電圧を昇圧することはできない。そのため、蓄電装置B2を使用する場合には、システム電圧VHの昇圧が必要となる急激な負荷変動などの高出力が要求される場面には適していないが、逆にコンバータによる電力変換を伴わないために効率低下が抑制されるという利点がある。そして、蓄電装置B1と蓄電装置B2を併用することで、電源装置全体で供給可能な電力を増加することができ、長時間の電力供給が可能となる。このような蓄電装置B1と蓄電装置B2との併用は、特に定常状態での走行により適している。
一方、高出力が要求される場面においては、システム電圧VHの昇圧が必要となるため、蓄電装置B1からの出力電圧をコンバータ120を用いて昇圧することになる。この場合には、蓄電装置B2からの電力を使用することができず、負荷装置105へ供給することのできる電力は、蓄電装置B1の出力可能電力に制限される。
すなわち、蓄電装置B1,B2を併用する場合は、負荷装置105への供給可能電力を増加(大容量化)させることはできるが、高出力が必要となる場合(たとえば、高車速時)に要求される駆動力が十分に発揮できず、駆動力不足が生じるおそれがある。逆に、蓄電装置B1の出力電圧を昇圧する場合には、瞬間的に高い駆動力を得ること(高出力化)はできるが、負荷装置105へ供給可能なトータル電力の制限により、結果として車両全体の駆動力の不足を招いたり、EV走行継続時間が短くなったりするおそれがある。
図1および図2に示したような負荷装置105の構成において、駆動力の確保や蓄電装置の充電のためにEV走行中にエンジン160の始動が行なわれる場合には、モータジェネレータ140を用いてエンジン160のクランキングが実行される。また、動力伝達ギヤ150に含まれるプラネタリギヤの特性から、エンジン160の運転中は、エンジン反力を受けるようにモータジェネレータ140のトルクが出力される。
そのため、モータジェネレータ140によるエンジン160のクランキングトルクの不足が生じると、適切にエンジンの始動ができない状態となり得る。あるいは、エンジン始動中または始動後において、モータジェネレータ140がエンジン出力トルクに対抗する反力を十分に出力することができずに、モータジェネレータ140の回転速度が増加してしまったりする状態が生じ得る。そして、このようなエンジンの始動を考慮した場合に、車両の走行状態に応じた適切なエンジン始動タイミングを設定しなければ、EV走行可能領域を過度に狭めてしまい、EV走行をより広範囲の車両状態に対し、長時間継続するという要求を達成できなくなる場合がある。
そこで実施の形態1においては、エンジンの始動を考慮しつつ、できるだけEV走行可能領域を拡大するような電源制御を行なう。以下、図3〜図7を用いて、実施の形態1に従う電源制御の概要について説明する。
図3は、蓄電装置B1,B2からの電力を併用する場合のEV走行領域を説明するための図である。図3においては、横軸に車速VSが示され、縦軸にはモータジェネレータ145の駆動力(トルク)Tm2が示される。図1において説明したように、モータジェネレータ145の出力軸は駆動輪170に結合されているため、車速VSはモータジェネレータ145の回転速度に対応する。なお、図3は蓄電装置およびモータジェネレータが特定の特性を有する場合の一例であり、採用される蓄電装置およびモータジェネレータの特性によって変化し得ることに注意すべきである。
図1および図3を参照して、まず図中の各曲線W10〜W14について説明する。なお、曲線W10〜W14は、以降の図6,7,18においても同様である。
破線の曲線W10,W11は、蓄電装置の出力要件(電力容量)から定まる駆動力のしきい値である。曲線W10は、蓄電装置B1,B2を併用した場合の出力可能な駆動力のしきい値を示している。一方、曲線W11は、蓄電装置B1のみを使用した場合の出力可能な駆動力のしきい値を示している。
曲線W10,W11からわかるように、蓄電装置B1,B2を併用した方が、蓄電装置B1のみを使用する場合よりもモータジェネレータに供給可能な電力が大きいために、駆動範囲が広くなっている。
実線の曲線W12,W14は、モータジェネレータ145の特性から定まる駆動力のしきい値である。なお、曲線W12,W14は、蓄電装置による供給可能電力容量の制限は考慮されていない。
曲線W12は、システム電圧VHを設定可能な最大電圧とした場合に、モータジェネレータ145で出力可能な駆動力のしきい値を示している。一方、曲線W14は、システム電圧を蓄電装置B2の出力電圧とした場合に、モータジェネレータ145で出力可能な駆動力のしきい値を示している。この駆動力のしきい値は、主にモータジェネレータあるいはそれを駆動するインバータに流れる電流に基づく駆動力制限により定まる。そのため、印加電圧が高い方が出力可能な駆動力は大きくなる。
曲線W13は、エンジン160を始動する際に、モータジェネレータ140によってエンジンクランキングトルクが確保できるか否かによって定められるしきい値である。図4に示されるように、モータジェネレータ140についても、モータジェネレータ145についての図3の曲線W12,W14と同様に、一般的に回転速度が高くなるにつれて出力可能なトルクが低下する特性を有する(図4中の曲線L10,L11)。そして、システム電圧VHが大きいほど、同じ回転速度に対して出力可能な駆動力は大きくなる傾向を有する。そのため、たとえば、エンジンクランキングトルクが図4中の線L15であるとした場合、システム電圧VHが蓄電装置B2の出力電圧とされる場合には、モータジェネレータ140の回転速度Nm1がN1を超えるとエンジンクランキングトルクが確保できなくなる。一方、システム電圧VHが使用可能な最大電圧である場合には、回転速度Nm1がN2(>N1)になるまではエンジンクランキングトルクを確保することができる。
なお、走行中にエンジン160を始動する場合には、図5の共線図に示されるようにモータジェネレータ140は負回転となるため、エンジンをクランキングして回転速度を増加する場合には、正トルクかつ負回転のために発電状態となる。この場合にも、モータジェネレータ140で発生するトルクは、システム電圧VHにより制限される。すなわち、システム電圧VHが低くなれば、モータジェネレータ140による発電電力が制限されるため、モータジェネレータ140で発生するトルクも制限される。
また、図5に示される共線図からわかるように、EV走行中(エンジン停止中)においては、車速すなわちモータジェネレータ145の回転速度Nm2の大きさ(絶対値)が大きくなると、モータジェネレータ140の回転速度Nm1の大きさ(絶対値)も大きくなる。したがって、比較的高い車速においてエンジンクランキングトルクを確保するためには、システム電圧VHを高く設定することが必要となる。
したがって、再び図3を参照して、システム電圧VHが蓄電装置B2の出力電圧の場合には、図4の回転速度N1に対応する車速V1を超えるとクランキングトルクが確保できないためにエンジン160が始動できなくなる。また、システム電圧VHが最大昇圧電圧の場合には、図4の回転速度N2に対応する車速V2を超えるとエンジン160が始動できなくなる。
これらの条件を考慮すると、蓄電装置B1,B2を併用した場合には、図3中のハッチングした領域がEV走行可能領域として定められる。すなわち、車速については、蓄電装置B2の出力電圧で定まるシステム電圧VHにおいて、モータジェネレータ140で発生可能なエンジンクランキングトルクが制限される車速V1より低くなる領域に、EV走行可能領域が制限される。また、駆動力については、蓄電装置B1,B2による出力制限(図3の曲線W10)、および、蓄電装置B2の出力電圧で定まるシステム電圧VHによる駆動力制限(図3の曲線W14)のうちの小さい方の駆動力となる領域に、EV走行可能領域が制限される。
一方、蓄電装置B1の出力電圧を昇圧する場合には、図6におけるハッチングした領域がEV走行可能領域として定められる。すなわち、車速については、システム電圧VHの最大昇圧電圧におけるエンジンクランキングトルクで制限される車速V2より低くなる領域に、EV走行可能領域が制限される。また、駆動力については、蓄電装置B1による出力限界(図6の曲線W11)によりEV走行可能領域が制限される。
図3および図6からわかるように、車速VSが車速V1よりも低い領域においては、蓄電装置B1,B2を併用するほうが、システム電圧VHを昇圧するよりも広範なEV走行可能領域を得ることができる。また、車速VSが車速V1よりも高くかつ車速V2よりも低い領域、すなわち比較的高車速の領域においては、システム電圧VHを蓄電装置B2の出力電圧よりも高い電圧に設定することによって、EV走行を実施することができる。
したがって、実施の形態1における電源制御においては、図3と図6とを組み合わせた領域(図7中のハッチングした領域)をEV走行可能領域とし、車両の走行状態、すなわちモータジェネレータ145の駆動状態に応じて、蓄電装置B1,B2を併用する場合と、システム電圧VHを蓄電装置B2の出力電圧よりも高い電圧に設定して蓄電装置B1のみを用いる場合とを切換える。
これによって、エンジンのクランキングトルクを確保しながら、広範なEV走行可能領域を得ることができる。
図8は、実施の形態1において、ECU300で実行される電源制御を説明するための機能ブロック図である。図8で説明される機能ブロック図に記載された各機能ブロックは、ECU300によるハードウェア的あるいはソフトウェア的な処理によって実現される。
図1および図8を参照して、ECU300は、判定部310と、記憶部320と、コンバータ制御部330と、インバータ制御部340と、エンジン制御部350とを含む。
判定部310は、モータジェネレータ140,145についての、それぞれの要求駆動力Tm1,Tm2および回転速度Nm1,Nm2を受ける。また、判定部310は、エンジン160の回転速度Neを受ける。
判定部310は、これらの情報と、記憶部320に予め記憶された図7で示したようなしきい値マップMAPとに基づいて、EV走行の実行可否を判定するとともに、蓄電装置B1,B2を併用するか、あるいは、システム電圧VHを蓄電装置B2の出力電圧よりも高く昇圧して蓄電装置B1のみを使用するかを判定する。また、蓄電装置B1,B2を併用する場合には、負荷装置105への全体の供給電力のうちの、各蓄電装置が分担する電力の割合についても決定する。さらに、判定部310は、モータジェネレータ145の状態が図7のEV走行可能領域外となる場合や、図示しない補機装置の運転によって蓄電装置からの供給電力では電力不足となる場合などのように、エンジン160の始動が必要であるか否かについても判定する。
そして、判定部310は、上記の情報を含む信号INFを、コンバータ制御部330、インバータ制御部340、およびエンジン制御部350へ出力する。
コンバータ制御部330は、判定部310からの信号INFを受ける。そして、コンバータ制御部330は、この信号INFに基づいてコンバータ120の制御信号PWCを生成し、この制御信号PWCを用いてコンバータ120を制御する。
インバータ制御部340は、判定部310からの信号INFを受ける。そして、インバータ制御部340は、この信号INFに基づいてインバータ130,135についての制御信号PWI1,PWI2をそれぞれ生成する。インバータ制御部340は、これらの制御信号PWI1,PWI2を用いてインバータ130,135をそれぞれ制御する。
エンジン制御部350は、判定部310からの信号INFを受ける。そして、エンジン制御部350は、この信号INFに基づいてエンジン160を駆動するための制御信号DRVを生成する。エンジン制御部350は、この制御信号DRVを用いてエンジン160を制御する。
図9は、実施の形態1において、ECU300で実行される電源制御処理を説明するためのフローチャートである。図9および以降に説明する図13〜図16,図20に示すフローチャートの処理は、ECU300に予め格納されたプログラムがメインルーチンから呼び出されて、所定周期で実行されることによって処理が実現される。あるいは、一部のステップの処理については、専用のハードウェア(電子回路)を構築して処理を実現することも可能である。
図1および図9を参照して、ECU300は、ステップ(以下、ステップをSと略す。)100にて、現在、車両100がEV走行を実施しているか否かを判定する。
EV走行中でない場合(S100にてNO)は、本制御は必要でないため、以降の処理がスキップされ、処理がメインルーチンに戻される。
EV走行中である場合(S100にてYES)は、処理がS110に進められ、ECU300は、図7で示したようなしきい値マップMAPを取得する。また、ECU300は、現在のモータジェネレータ145のトルクおよび回転速度(または、車速)を取得する(S120)。
その後、S130にて、ECU300は、現在の車速VSが、図7で示した車速V1に相当するしきい値αより大きいか否かを判定する。
車速VSがしきい値α以下である場合(S130にてNO)は、処理がS140に進められ、ECU300は、システム電圧VHを蓄電装置B2の出力電圧とするモードに設定する。すなわち、蓄電装置B1,B2を併用するモードを選択する。
そして、ECU300は、S150にて、エンジン160の駆動が必要か否かを判定する。具体的には、ユーザのアクセル操作によって、モータジェネレータ145への要求トルクが図7で示されるしきい値を上回っているか、あるいは、補機装置の運転等によってより多くの電力が必要となっているかを判定する。
エンジン160の駆動が必要な場合(S150にてYES)は、処理がS160に進められ、ECU300は、HV走行モードを選択し、エンジン160を始動する。
エンジン160の駆動が必要でない場合(S150にてNO)は、処理がS190に進められ、ECU300はEV走行モードを選択し、EV走行を継続する。
一方、S130にて車速がしきい値αより大きい場合(S130にてYES)は、処理がS200に進められ、ECU300は、システム電圧VHを蓄電装置B2の出力電圧よりも高くするモードに設定する。すなわち、この場合には、蓄電装置B1のみが使用される。
そして、ECU300は、S210にて、エンジン160の駆動が必要であるか否かを判定する。具体的には、車速がさらに高くなって、図7で示した車速V2を示すしきい値βよりも大きくなっているか否か、モータジェネレータ145への要求トルクが図7で示されるしきい値を上回っているか、あるいは、補機装置の運転等によってより多くの電力が必要となっているかを判定する。
エンジン160の駆動が必要な場合(S210にてYES)は、処理がS220に進められ、ECU300は、HV走行モードを選択し、エンジン160を始動する。
エンジン160の駆動が必要でない場合(S210にてNO)は、処理がS230に進められ、ECU300はEV走行モードを選択し、EV走行を継続する。
以上のような処理に従って制御を行ない、車両の走行状態に応じてシステム電圧を適切に設定することで、エンジン駆動トルクを確保しながら、できるだけ広範囲走行状態においてEV走行を可能とすることができる。
[実施の形態2]
実施の形態1において、蓄電装置B1,B2を併用中にエンジン160の始動がされると、基本的にはエンジン160からの出力が優先的に使用される。すなわち、エンジン160の出力の増加とともに、蓄電装置B1,B2の出力は低下する。
図10は、このような状態を概略的に示したものであり、蓄電装置B1,B2およびエンジン160の出力の時間的変化が示される。
図10を参照して、ユーザからの要求出力が小さい場合(時刻t10まで)は、効率の観点から、コンバータ120による昇圧を必要としない蓄電装置B2からの出力が用いられる。
ユーザ要求出力が増加して、蓄電装置B2の出力可能電力を上回ると、コンバータ120により蓄電装置B2の電圧に昇圧された出力電圧で蓄電装置B1からの電力が追加的に出力される。
その後、さらにユーザ要求出力が増加すると、エンジン160からの出力を得るために、蓄電装置B1,B2を併用した最大出力となる前の時刻t11において、エンジン160のクランキングが開始される。そして、時刻t12においてエンジン160が始動し、エンジン160からの出力が増加するにつれて、蓄電装置B1,B2からの出力が徐々に低減される。
時刻t13において、蓄電装置B1,B2からの出力がなくなり、エンジン160からの出力に置き換わった後においては、急激な加速等によってさらに出力が必要とされる場合には、コンバータ120によりシステム電圧VHを昇圧しながら、蓄電装置B1からの出力を付加する。
図10に示されるように、蓄電装置からの出力を低下する際に、蓄電装置B1,B2の同じような割合で低下させると、時刻t13となるまでは蓄電装置B2からの出力が継続されているため、システム電圧VHは蓄電装置B2の出力電圧に維持することが必要となる。
しかしながら、図11に示されるように、エンジン160の始動後においては、エンジン160の回転速度が高くなると、反力として必要とされるモータジェネレータ140のトルクが大きくなる。また、図4で説明したように、回転速度が高くなると出力トルクが制限される。この場合、上述のように、システム電圧VHが低く設定されていると、モータジェネレータ140で発生可能なトルクが制限されてしまい、十分な反力を生成できずに、モータジェネレータ140の回転速度が増加してしまう可能性がある。
これを回避するためには、システム電圧VHをより高く設定する必要があるが、蓄電装置B2からの出力割合がゼロとなっていない状態でシステム電圧VHを昇圧すると、蓄電装置B2からの出力が急に停止されてしまい、蓄電装置およびエンジンによるトータル出力が瞬間的に低下してトルクショックが生じるおそれがある。
一方で、蓄電装置B2からの出力割合がゼロとなるまでシステム電圧VHの昇圧を遅延させると、ユーザの要求出力に対する応答が遅くなってドライバビリティを悪化させてしまうおそれがある。
そこで、実施の形態2においては、図12に示されるように、エンジン160のクランキングが開始されたことに応答して、蓄電装置B1,B2の出力割合を変化させ、蓄電装置B2からの出力をできるだけ早く終了させるような出力分配率変更制御を実行する。より具体的には、エンジン160のクランキングが開始されると、蓄電装置B2からの出力が時間とともに低下され、低下された出力を補うように蓄電装置B1の出力が増加される。
これによって、図12における時刻t23のように、要求出力のすべてがエンジン160からの出力に置き換わる前に、蓄電装置B2からの出力が終了する。すなわち、この状態においては、蓄電装置からの出力としては蓄電装置B1からの出力のみとなるので、この時刻t23以降においては、システム電圧VHの昇圧が可能となる。
これによって、要求出力がエンジン160からの出力に置き換わる前に、急激な加速等でより多くの出力が必要となった場合に、蓄電装置B1からの出力を迅速に利用することが可能となる。これにより、急激な出力低下によるトルクショックの発生やドライバビリティの悪化を抑制することができる。
図13は、実施の形態2において、ECUで実行される電源制御処理を説明するためのフローチャートである。図13は、実施の形態1における図9のフローチャートに、ステップS170が追加されたものとなっている。また、図14は、図13のステップS170の詳細な処理を示すフローチャートである。図13において、図9と重複するステップの説明は繰り返さない。
図13を参照して、S110で取得されたしきい値マップMAPを用いて、蓄電装置B1,B2を併用するモードが選択され(S130にてNO)、さらにエンジン160の始動が必要であると判定されると(S150にてYES)、S160にてHV走行が選択されてエンジンの始動が開始される。
そうすると、ECU300は、S170において、図12で説明したような、蓄電装置B1,B2の出力分配率変更処理を実行する。
具体的には、図14を参照して、ECU300は、エンジン160のクランキングが開始されたことに応答して、S171にて、蓄電装置B1からの出力を増加するとともに、蓄電装置B2からの出力を減少させる。
そして、ECU300は、S172にて、蓄電装置B2の分配率が0%となったか否かを判定する。
蓄電装置B2の分配率が0%となっていない場合(S172にてNO)は、処理がS170に戻されて、ECU300は、蓄電装置B2の出力分配率をさらに減少させる。
一方、蓄電装置B2の分配率が0%となった場合(S172にてYES)は、処理がS174に進められて、ECU300は、急激な出力増加に対応するために、システム電圧VHの昇圧制御を開始する。
以上のような処理に従って制御することによって、蓄電装置B1,B2を併用した状態でエンジンの始動を開始した直後に出力増加が必要となった場合においても、システム電圧VHを早期に昇圧できるので、快適なドライバビリティを維持しつつ要求出力の増加を実現することが可能となる。
[実施の形態3]
実施の形態2においては、エンジンクランキング後の駆動力増加に迅速に対応できるように、蓄電装置B1,B2の出力分配率を変更することによってできるだけ早く蓄電装置B2からの出力を終了させ、システム電圧VHを昇圧可能な状態とする構成について説明した。
蓄電装置B1,B2を併用する場合のエンジン160の始動中および始動後においては、エンジン160の回転速度が上昇するにつれて、モータジェネレータ140の回転速度も上昇する。図4で説明したように、モータジェネレータ140の出力トルクは、回転速度が上昇すると減少する傾向を有している。そのため、車両の状態によっては、エンジンクランキング中にクランキングトルクが不足してしまったり、エンジン始動後にエンジン反力をモータジェネレータ140で十分に支えきれない状態に陥ってしまったりするおそれがある。
そのため、実施の形態3では、実施の形態2で説明した蓄電装置B1,B2の出力分配率の変更制御を行なった場合の、蓄電装置B2の出力が停止されるとき(分配率=0%)のモータジェネレータ140の状態が実現できるか否かによって、エンジンのクランキングタイミングを変更する制御を実施する。
より具体的には、EV走行中の現在の車速において最大アクセル開度とされた場合の要求駆動力を予測するとともに、エンジン160を駆動して出力分配率の変更制御において蓄電装置B2の出力が停止されたと仮定したときのモータジェネレータ140の回転速度および必要出力トルクを予測する。そして、システム電圧VHおよびモータジェネレータ140の特性から当該状態が実現できるか否かを判定し、実現不可能であると予測される場合には、要求駆動力からはエンジン160の駆動が必要とはされてない状態であっても、事前にエンジン160の駆動を開始する。
次に、図15および図16を用いて、実施の形態3において、ECU300で実行される電源制御処理を説明するためのフローチャートである。図15は、実施の形態2で説明した図13のフローチャートに、ステップS180が追加されたものとなっている。また、図16は、図15のステップS180の詳細を説明するためのフローチャートである。なお、図15において、図13と重複する要素の説明は繰り返さない。
まず、図15を参照して、S110で取得されたしきい値マップMAPを用いて、蓄電装置B1,B2を併用するモードが選択され(S130にてNO)ると、ECU300はS150にて、現在の要求駆動力等から、エンジン160の始動が必要であるか否かを安定する。
エンジン160の駆動が必要と判断された場合(S150にてYES)は、処理がS160へ進められ、実施の形態2で説明したように、ECU300はHV走行を選択するとともに、エンジン160を始動しながら蓄電装置B1,B2の分配率変更処理を実行する。
エンジン160の駆動が必要でないと判断された場合(S150にてNO)は、処理がS180に進められ、ECU300は、モータジェネレータ140のトルク不足予測処理を実行する。
そして、モータジェネレータ140のトルク不足が生じないと予測される場合には、処理がS190に進められてEV走行が継続される。一方、モータジェネレータ140のトルク不足が生じると予測される場合には、処理がS160に進められて、HV走行が選択されてエンジン160が始動される。
次に、図16を用いて、S180のモータジェネレータ140のトルク不足予測処理の詳細を説明する。
図16を参照して、S180に処理が進められると、まずS181にて、ECU300は、エンジン160が始動され、かつ蓄電装置B1,B2の出力分配率変更が完了した(すなわち、蓄電装置B2の分配率が0%となった)時間T1を推定する。この推定は、以下のように算出される。
現在の車両要求出力をPv、アクセル開度100%の場合の車両要求出力の上昇率をΔPv、エンジン160をクランキングしてから始動するまでの時間をT0とした場合、出力分配率変更が完了したときの車両出力は、Pv+ΔPv・(T0+T1)で表わすことができる。ここで、車両要求出力の上昇率ΔPvは、予め定められた固定値、あるいは所定のマップを用いて取得することができる。
そして、モータジェネレータ140のトルク不足が発生しない限界においては、この出力が蓄電装置B1の最大出力(Pb1_max)とエンジン160の出力との合計に対応するので、以下の式(1)の関係が成立する。
Pv+ΔPv・(T0+T1)=Pb1_max+ΔPe・T1 … (1)
ここで、ΔPeは、エンジン160始動後の出力上昇率である。
この式(1)を変形すると、時間T1は以下の式(2)によって算出される。
T1=(Pv+ΔPv・T0−Pb1_max)/(ΔPe−ΔPv) … (2)
上述のように、S180にて時間T1が算出されると、ECU300は、S182にて、時間T1におけるエンジン160の出力Peを以下の式(3)によって予測する。
Pe=ΔPe・T1 … (3)
また、ECU300は、S182にて、算出されたエンジン出力Peと、予め実験等により定められたエンジン160の特性とから、エンジン160の回転速度Neを予測する。
そして、ECU300は、現在の車速Vと、走行中の道路の傾斜を考慮したアクセル開度100%の場合の加速度aとを用いて、S183にて、分配率変更完了時の車速Vsを以下の式(4)によって予測する。
VS=V+a・(T0+T1) … (4)
ECU300は、S184にて、このように予測された車速VSから、分配率変更完了時のモータジェネレータ145の回転速度Nm2および出力トルクTm2を予測する。
そして、ECU300は、S185にて、モータジェネレータ145のトルクTm2および回転速度Nm2、ならびに、回転速度Neおよびエンジン160の出力Peから求まるエンジントルクから、共線図を用いて、分配率変更完了時のモータジェネレータ140に必要とされる出力トルクTm1および回転速度Nm1を予測する。
その後、ECU300は、S186にて、モータジェネレータ140の特性を示すマップから、システム電圧VHが蓄電装置B2の出力電圧である場合の、上記で予測したモータジェネレータ140の必要トルクTm1を実現する基準回転速度Nref1を算出する。そして、予測回転速度Nm1がこの基準回転速度Nref1を上回るか否かを判定する(S187)。
予測回転速度Nm1が基準回転速度Nref1を上回る場合(S187にてYES)は、ECU300は、分配率変更完了時におけるモータジェネレータ140の出力トルクによってエンジン反力に対抗できないと判断し、処理をS160に進めて事前にエンジン160を始動する。
一方、予測回転速度Nm1が基準回転速度Nref1以下の場合(S187にてNO)は、ECU300は、モータジェネレータ140の出力トルクによってエンジン反力に対抗できると判断し、処理をS190に進めてEV走行を継続する。
以上のような処理に従って制御を行なうことによって、出力分配率変更完了時においてモータジェネレータのトルク不足に起因する駆動力不足およびドライバビリティの悪化を防止することができる。
[実施の形態4]
上述にように、モータジェネレータはインバータを用いて駆動されるが、このインバータは、一般的に、パルス幅変調(Pulse Width Modulation:PWM)制御モードおよび矩形波電圧制御モードのいずれかで制御することができる。
図17は、モータジェネレータの制御モードを概略的に説明する図である。図17に示すように、インバータにおける電力変換は、正弦波PWM制御,過変調PWM制御、および矩形波制御の3つの制御方式を切換えて使用される。
正弦波PWM制御は、一般的なPWM制御として用いられるものであり、各相上下アーム素子のオン・オフを、正弦波状の電圧指令と搬送波(代表的には三角波)との電圧比較に従って制御する。この結果、上アーム素子のオン期間に対応するハイレベル期間と、下アーム素子のオン期間に対応するローレベル期間との集合について、一定期間内でその基本波成分が正弦波となるようにデューティが制御される。正弦波PWM制御においては、非同期PWM制御が適用され、モータジェネレータの回転速度とは無関係に搬送波のキャリア周波数が設定される。正弦波PWM制御におけるキャリア周波数は、可聴周波数帯より高く、かつ、スイッチング損失が過大とならない範囲(たとえば、5〜10kHz程度)に設定される。
正弦波PWM制御と過変調PWM制御との切換えは、インバータの直流リンク電圧(すなわち、システム電圧VH)に対するモータ印加電圧(線間電圧)の基本波成分(実効値)の比で表わされる「変調率」を用いて行なわれる。具体的には、変調率が所定の上限値UL以下の場合は正弦波PWM制御が選択され、変調率が上限値ULを上回る場合は過変調PWM制御が選択される。
なお、本明細書においては、この変調率は、モータジェネレータへ印加される電圧指令について、三相−二相変換(d−q軸変換)した電圧指令値をVd,Vqとした場合には、以下の式(5)によって表わすことができる。
変調率=(Vd2+Vq21/2/VH … (5)
正弦波PWM制御は、代表的には、正弦波の電圧指令の振幅が搬送波振幅以下の範囲と設定され、その場合には、上限値ULは約0.61に設定される。また、搬送波振幅以下の範囲の正弦波成分に3n次高調波成分(n:自然数、代表的には、n=1の3次高調波)を重畳させて電圧指令を生成する制御方式も提案されており、その場合には、上限値ULは、たとえば約0.71に設定される。なお、本明細書においては、正弦波の電圧指令の振幅が搬送波振幅より大きい場合であっても、非同期PWM制御が行なわれる場合には正弦波PWM制御と称する。
一方、矩形波電圧制御では、上記一定期間内で、ハイレベル期間およびローレベル期間の比が1:1の矩形波1パルス分を交流電動機に印加する。これにより、変調率は0.78まで高められる。
過変調PWM制御は、正弦波PWM制御と矩形波電圧制御の間の変調率において用いられる。過変調PWM制御においては、同期PWM制御が適用され、モータジェネレータ140の回転速度に応じて搬送波のキャリア周波数が制御される。すなわち、キャリア周波数がモータジェネレータの回転速度に従う電圧指令の周波数の整数倍(好ましくは、3・(2n−1)倍、n:自然数)となるように、電圧指令の位相と同期させた搬送波が生成される。
一般的には、過変調PWM制御は、電圧指令(正弦波成分)の振幅が搬送波振幅より大きい範囲で上記正弦波PWM制御と同様のPWM制御を行なう。電圧指令を本来の正弦波波形から歪ませること(振幅補正)によって基本波成分を高めることができ、変調率を正弦波PWM制御モードでの最高変調率ULから0.78の範囲まで高めることができる。過変調PWM制御では、電圧指令(正弦波成分)の振幅が搬送波振幅より大きいため、モータジェネレータに印加される線間電圧は、正弦波ではなく歪んだ電圧となる。
PWM制御モードでは、モータジェネレータの電流をフィードバックして制御されるので、比較的応答よくモータジェネレータを制御することができる。一方、矩形波制御モードでは、電圧の位相を制御するため、PWM制御モードに比べると応答性がやや劣ることが知られている。
一般的に、エンジン始動時には、クランキングの際に振動が生じる。そして、本実施の形態のハイブリッド車両の構成においては、動力伝達ギヤのプラネタリギヤにより、エンジンとモータジェネレータとが結合されているので、このエンジン始動時の振動が駆動輪に伝達されやすい。
一方で、このようなエンジン始動時に発生する振動を、モータジェネレータの制御によってキャンセルする手法が採用される場合がある。しかしながら、この場合、エンジンからの振動に対して応答よくモータジェネレータが制御されなければ、適切に振動をキャンセルすることができず、かえって振動を助長する状態となるおそれがある。
上述のように、モータジェネレータ-の駆動制御については、PWM制御モードと矩形波制御モードが使用されるが、上記のように矩形波制御モードはPWM制御モードに比べて応答性が劣るため、エンジン始動時の振動に適切に応答できない可能性がある。
上述したように、モータジェネレータの制御モードは、基本的に変調率によって切換えられる。そして、変調率はシステム電圧VHによって変化し、システム電圧VHが低いほど矩形波制御モードが選択されやすくなる。
そこで、実施の形態4においては、EV走行中にエンジンを始動する場合に、応答性のよいPWM制御モードが優先的に選択されるように、電力供給に用いる蓄電装置を切換える電源制御を行なう。
図18は、EV走行領域において、エンジン始動時のモータジェネレータの制御モードを説明するための図である。図18においては、実施の形態1で説明した図7に、さらに2つの曲線W20,W21が追加されたものとなっている。
図18を参照して、曲線W20は、システム電圧VHが蓄電装置B2の出力電圧の場合の、PWM制御モードと矩形波制御モードとを切換えるしきい値を示している。そして、曲線W20よりも車速VSおよび駆動力Tm2が低い領域(すなわち、図18において曲線W20よりも左側)において、PWM制御モードが選択させる。
一方、曲線W21は、システム電圧VHを昇圧可能な最大電圧に設定した場合の、PWM制御モードと矩形波制御モードとを切換えるしきい値を示している。したがって、曲線W20と曲線W21の間の領域においては、システム電圧VHを蓄電装置B2の出力電圧よりも高く設定することによってPWM制御モードが選択可能である。また、曲線W21よりも高速側または高駆動力側(すなわち、図18において曲線W21よりも右側)では、PWM制御モードでの駆動はできず矩形波制御モードが採用される。
そして、実施の形態4においては、曲線W10,W11,W13,W14,W20,W21によって、EV走行可能領域は、6つの領域に区分される。
図18および図19を用いて、各領域の説明と、各領域におけるエンジン始動モードを説明する。
図18および図19を参照して、領域Iは、システム電圧VHを蓄電装置B2の出力電圧として蓄電装置B1,B2を併用して電力供給を行なう場合(以下、「ケースA」とも称する。)、および、システム電圧VHを蓄電装置B2の出力電圧よりも高く設定して蓄電装置B1のみで電力供給を行なう場合(以下、「ケースB」とも称する。)の双方において、PWM制御モードが選択可能な領域である。
この領域Iにおいては、エンジン始動時の振動のキャンセルに関しては、ケースA,ケースBのいずれの場合を採用することができるが、大容量化の観点からケースAを採用することがより好ましい。
領域IIは、ケースAの場合であれば矩形波制御モードとなってしまうが、ケースBであれば、適切にシステム電圧VHを設定することによってPWM制御モードが選択可能できる領域である。そのため、実施の形態4においては、この領域IIではケースBが採用される。
領域IIIおよび領域IVにおいては、蓄電装置B1のみでは出力が不足する領域であるので、基本的にはケースAが採用される。ただし、領域IIIにおいてはPWM制御モードが採用されるが、領域IVにおいてはシステム電圧VHが蓄電装置B2の出力電圧であるために矩形波制御モードが採用される。
領域Vは、ケースAおよびケースBのいずれも選択可能であるが、いずれの場合もモータジェネレータは矩形波制御モードで制御される。そのため、この領域Vの場合も、領域Iの場合と同様に、大容量化の観点からケースAを採用することが好ましい。
領域VIは、ケースBのみが選択可能な領域である。この領域では矩形波制御モードが採用される。
これらからわかるように、実施の形態1の場合と比較すると、実施の形態4においては、領域IIの範囲の場合にはケースBが採用される。
なお、このような領域においてエンジンが始動される場合としては、たとえば、エアコンなどの補機装置の駆動力確保、蓄電装置やモータジェネレータの加熱保護、または、勾配の増加のように、モータジェネレータ145の状態は変化しないが、エンジン160による駆動力が必要となるような場合である。
図20は、実施の形態4において、ECU300で実行されるエンジン始動制御を説明するためのフローチャートである。
図20を参照して、ECU300は、S300にて現在EV走行中であるか否かを判定する。
EV走行中でない場合(S300にてNO)は、当該制御は不要であるので、ECU300は、以降の処理をスキップして処理を終了する。EV走行中の場合(S300にてYES)は、処理がS310に進められ、ECU300は、エンジン160の始動要求があったか否かを判定する。
エンジン始動要求がない場合(S310にてNO)は、ECU300は、以降の処理をスキップして処理を終了する。エンジン始動要求がある場合(S310にてYES)は、処理がS320に進められて、ECU300は、図18のようなしきい値マップMAPを、記憶部から取得する。
そして、ECU300は、S330にて、現在のモータジェネレータ145のトルクおよび回転速度(車速)を検出し、その検出値としきい値マップMAPとに基づいて、エンジン始動時のモータジェネレータ145の制御モードを選択する(S340)。
その後、ECU300は、S350にて、S340で選択した制御モードを用いてエンジン160を始動する。
以上のような処理に従って制御を行なうことによって、高電圧の蓄電装置とコンバータを介した低電圧の蓄電装置とを備えたハイブリッド車両において、エンジン駆動トルクを確保しながら、できるだけ広範囲走行状態においてEV走行を可能とするとともに、EV走行中のエンジン始動時に生じる振動を低減することが可能となる。
なお、図3,6,7,18で示されるしきい値については、制御上のチャタリングや応答遅れ等を考慮して、実際には若干のマージンやヒステリシスを設けることが好適である。
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
100 車両、105 負荷装置、110 電源装置、115 SMR、120 コンバータ、130,135 インバータ、140,145 モータジェネレータ、150 動力伝達ギヤ、160 エンジン、170 駆動輪、180,185 電圧センサ、190,195 回転角センサ、300 ECU、310 判定部、320 記憶部、330 コンバータ制御部、340 インバータ制御部、350 エンジン制御部、B1,B2 蓄電装置、C1,C2 キャパシタ、D1,D2,D10 ダイオード、L1 リアクトル、NL1,PL1,PL2 電力線、Q1,Q2 スイッチング素子、SW10 スイッチ。

Claims (9)

  1. 車両の負荷装置に電力を供給する電源装置を制御するための制御装置であって、
    前記電源装置は、
    第1の蓄電装置と、
    前記第1の蓄電装置の電圧を変換して前記負荷装置に供給する電圧変換装置と、
    前記負荷装置に対して前記電圧変換装置と並列に接続された第2の蓄電装置とを含み、
    前記負荷装置は、
    エンジンと、
    前記エンジンを始動するための第1の回転電機とを含み、
    前記制御装置は、前記負荷装置へ供給する電圧を前記第2の蓄電装置の出力電圧と略同じ大きさの状態とする第1のモードと、前記負荷装置へ供給する電圧を前記第2の蓄電装置の出力電圧よりも高い電圧の状態とする第2のモードとを、前記車両の状態に基づいて切換え、前記第1のモードにおいて前記第1の回転電機が前記エンジンの始動に必要なトルクを発生することができない場合に前記第2のモードを選択する、電源装置の制御装置。
  2. 前記車両の状態は、前記車両の走行速度を含み、
    前記第1の回転電機は、前記車両の走行速度が予め定められた第1の基準速度を上回ると前記エンジンの始動に必要なトルクを発生することができなくなり、
    前記制御装置は、前記走行速度が前記第1の基準速度を下回る場合には前記第1のモードを選択し、前記走行速度が前記第1の基準速度を上回る場合には前記第2のモードを選択する、請求項1に記載の電源装置の制御装置。
  3. 前記負荷装置は、前記第1および第2の蓄電装置の少なくとも1つからの電力を用いて前記車両の駆動力を発生させる第2の回転電機と、
    前記エンジン、ならびに前記第1および第2の回転電機に結合され、遊星歯車機構を有する動力分割機構とをさらに含み、
    前記遊星歯車機構のサンギヤには前記第1の回転電機が結合され、リングギヤには前記第2の回転電機が結合され、プラネタリキャリアには前記エンジンが結合され、
    前記制御装置は、前記第1のモードが選択された場合は、前記第2の回転電機に要求される駆動力が、前記第2の回転電機の回転速度から定まる所定のしきい値を上回るときに、前記エンジンを始動する、請求項2に記載の電源装置の制御装置。
  4. 前記負荷装置は、前記第1および第2の蓄電装置の少なくとも1つからの電力を用いて前記車両の駆動力を発生させる第2の回転電機と、
    前記エンジン、ならびに前記第1および第2の回転電機に結合され、遊星歯車機構を有する動力分割機構とをさらに含み、
    前記遊星歯車機構のサンギヤには前記第1の回転電機が結合され、リングギヤには前記第2の回転電機が結合され、プラネタリキャリアには前記エンジンが結合され、
    前記制御装置は、前記第2のモードが選択された場合は、前記第2の回転電機に要求される駆動力が前記第2の回転電機の回転速度から定まる所定のしきい値を上回るとき、または、前記第2の回転電機の回転速度が前記第1の基準速度よりも大きい第2の基準速度を上回るときに、前記エンジンを始動する、請求項2に記載の電源装置の制御装置。
  5. 前記制御装置は、前記第1のモードが選択された場合は、前記電圧変換装置を制御することによって、前記負荷装置への総供給電力における前記第1の蓄電装置から出力される電力の第1の割合および前記第2の蓄電装置から出力される電力の第2の割合を制御し、
    前記制御装置は、前記第1のモードが選択された場合は、前記エンジンのクランキング開始後、前記第2の割合を時間とともに低減させ、前記第2の蓄電装置から出力される低減した電力を補うように前記第1の割合を増加させる、請求項2に記載の電源装置の制御装置。
  6. 前記制御装置は、前記第2の割合がゼロとなったことに応答して、前記第1のモードから前記第2のモードへ移行する、請求項5に記載の電源装置の制御装置。
  7. 前記負荷装置は、前記第1および第2の蓄電装置の少なくとも1つからの電力を用いて前記車両の駆動力を発生させる第2の回転電機と、
    前記エンジン、ならびに前記第1および第2の回転電機に結合され、遊星歯車機構を有する動力分割機構とをさらに含み、
    前記遊星歯車機構のサンギヤには前記第1の回転電機が結合され、リングギヤには前記第2の回転電機が結合され、プラネタリキャリアには前記エンジンが結合され、
    前記制御装置は、前記第1のモードが選択された場合は、前記第2の回転電機に要求される駆動力が、前記第2の回転電機の回転速度から定まる所定のしきい値を上回るときに前記エンジンを始動し、
    前記制御装置は、前記負荷装置に供給される前記第2の蓄電装置からの電力がゼロとなると予測される時刻において必要とされる前記第1の回転電機の回転速度が、基準回転速度を上回ると予測される場合には、前記第2の回転電機に要求される駆動力が前記しきい値を上回る前に前記エンジンを始動する、請求項6に記載の電源装置の制御装置。
  8. 記負荷装置は
    記第1および第2の蓄電装置の少なくとも1つからの電力を用いて前記車両の駆動力を発生させる第2の回転電機と、
    前記第2の回転電機を駆動するための電力変換装置とをさらに含み、
    前記第2の回転電機は、前記第2の回転電機に印加される矩形波電圧の電圧位相を制御する矩形波制御モード、および、搬送波と前記第2の回転電機を動作させるための交流電圧指令との比較に基づくパルス幅変調制御モードのいずれかにより制御され、
    前記制御装置は、前記エンジンを始動する際に、前記第1および第2のモードのうち前記パルス幅変調制御モードで動作可能なモードを優先的に選択する、請求項1に記載の電源装置の制御装置。
  9. 車両であって、
    電源装置と、
    前記電源装置からの電力により動作する負荷装置と、
    前記電源装置を制御するための制御装置とを備え、
    前記電源装置は、
    第1の蓄電装置と、
    前記第1の蓄電装置の電圧を変換して前記負荷装置に供給する電圧変換装置と、
    前記負荷装置に対して前記電圧変換装置と並列に接続された第2の蓄電装置とを含み、
    前記負荷装置は、
    エンジンと、
    前記エンジンを始動するための回転電機とを含み、
    前記制御装置は、前記負荷装置へ供給する電圧を前記第2の蓄電装置の出力電圧と略同じ大きさの状態とする第1のモードと、前記負荷装置へ供給する電圧を前記第2の蓄電装置の出力電圧よりも高い電圧の状態とする第2のモードとを、前記車両の状態に基づいて切換え、前記第1のモードにおいて前記回転電機が前記エンジンの始動に必要なトルクを発生できない場合に前記第2のモードを選択する、車両。
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